実施の形態1.
図1は、実施の形態1における再生クロック生成装置4を適用した情報再生装置の構成を示すブロック図である。なお、以下、当該情報再生装置においてDVD(Digital Versatile Disk)1に記録されたBCAデータを再生する場合について説明する。
図1において、光ピックアップ2は、DVD1に記録されたBCAデータを読み出して当該BCAデータに対応する信号を再生信号生成部3に出力する。なお、以下の説明においては光ピックアップ2から出力された信号を再生信号S0という。
ここで、前記BCAおよびBCAデータについて説明する。図2は、DVDにおけるBCAの記録形態を説明するための説明図である。BCA100とは、当該DVDの工場出荷時に、YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)レーザによってパルスレーザ光を照射することで、DVDの内周に形成されたアルミニウム等からなる反射膜を当該DVDの半径方向に細長く除去したバーコード状の書き換え不可能なデータ領域である。
BCA100には、DVDの不正コピーの防止や当該DVDの管理等を行なうために、DVDの製造番号等がBCAデータとして記録されている。そして、当該BCAデータは、前記反射膜が除去された部分(以下、バースト部という。)の間隔を検出することにより読み出すことができる。
図3は、BCAデータのデータ構造を説明するための説明図である。DVDのBCAデータは、5バイトの行(row)を1単位として記録される。そして、BCAにおける最初の行は、前記5バイトのうち、先頭の1バイトをシンクバイト(図3中のSB)とし、残りの4バイトをプリアンブルとして記録される。なお、プリアンブルは全て0のデータである。
また、当該プリアンブルより後の行は、前記5バイトのうち、先頭の1バイトをリシンクバイト(図3中のRS)とし、残りの4バイトを情報バイト(図3中のI0、I1・・・In)として記録される。なお、情報バイトとは、上述した、ディスクの製造番号等に対応する。そして、BCAの最後の行にはポストアンブルが記録され、当該ポストアンブルの後にリシンクバイトが記録される。
BCAデータは、誤り訂正符号化が施されて誤り訂正符号が付加された後に、所定の変調方式(例えば、PE(Phase Encode)変調方式)により変調されてDVDに記録される。なお、以下の説明においては、BCAデータが前記PE変調方式によって変調された場合について説明する。
図4は、PE変調によって変調されたデータビットを説明するための説明図である。図4に示すように、PE変調は、マーク「1」(図4において「1」が記載されたビット)およびスペース「0」(図4において「0」が記載されたビット)の位置によってデータビットを表す変調方式である。すなわち、データビットの中央においてパルスの立ち下がり(「1」から「0」への反転)のある場合がデータビット「0」の場合に対応し、データビットの中央においてパルスの立ち上がり(「0」から「1」への反転)のある場合がデータビット「1」の場合に対応する。
したがって、図4の例では、データビット「0」は「1」のチャネルビット41および「0」のチャネルビット42に変換され、データビット「1」は「0」のチャネルビット42および「1」のチャネルビット41に変換される。なお、チャネルビット41、42の最小間隔をTとすると、1データビットは2Tであることから、1データバイトは2Tが8回続き、プリアンブルでは2Tが32回続くことになる。
通常、DVD1から読み出されたBCAデータを再生する場合、当該BCAデータに同期して入力されるクロックが無い。そのため、当該情報再生装置において、チャネルビットに同期したタイミングを検出して、クロック同期を確立する必要がある。そこで、実施の形態1の再生クロック生成装置4において、図3に示したプリアンブルを再生して得られる再生信号S0に基づいて再生クロックを生成する。そして、当該情報再生装置は、前記再生クロック生成装置4によって生成された再生クロックによって同期を確立してBCAデータを復調する。
前記図1において、前記再生信号生成部3は光ピックアップ2から出力された再生信号S0を2値化して得られる2値化信号S1を再生クロック生成装置4およびBCAデータ復調部5に出力する。
図5は、前記再生信号生成部3から出力された2値化信号S1を説明するための説明図である。2値化信号S1は、バースト部に対応する信号が「0」となり、バースト部以外の部分に対応する信号が「1」となる。そのため、当該2値化信号S1における、立ち下りエッジの間隔または立ち上がりエッジの間隔が当該2値化信号S1のパルス間隔となる。なお、「1」のチャネルビットは、バースト部およびバースト部以外の部分からなるように形成される。
図6は、BCAのプリアンブルにおけるパルス間隔を説明するための説明図である。BCAデータをPE変調して記録した場合、当該BCAにおけるプリアンブルは全て0で構成され、図6に示すように、チャネルビットがTであり、データビットが2Tであることから、当該プリアンブルにおけるパルス間隔は常に2Tとなる。したがって、当該プリアンブルにおいて連続するパルス間隔の比は1:1になる。なお、前記図6においては、立ち下がりエッジの間隔をパルス間隔として示した。
再生クロック生成装置4は、前記2値化信号S1から前記パルス間隔の比を検出し、当該パルス間隔の比に基づいて前記チャネルビットに同期した再生クロックを生成する。そして、BCAデータ復調部5は、再生クロック生成装置4で生成された再生クロックを用いてBCA2値化信号S1を復調する。
再生クロック生成装置4に入力された前記2値化信号S1は、プリアンブル検出部6およびエッジ検出部7に入力される。
プリアンブル検出部6は、プリアンブルの位置を推測してプリアンブルウインドウを生成する。そして、前記プリアンブルウインドウに対応する信号(以下、ウインドウ信号S2ともいう。)をエッジ検出部7に出力する。具体的には、BCAデータの先頭(すなわち、前記図3中のSBの先頭)から読み出して得られた2値化信号S1が「0」となる数をカウントすることで前記プリアンブルの位置を推測する。
DVDにおいては、前記図3において説明したように、プリアンブルの前に8バイトのシンクバイトがあり、当該シンクバイトに対応して前記2値化信号S1が8回「0」となる。したがって、BCAデータの先頭からの2値化信号S1をモニターして、当該2値化信号S1が「0」となる回数をカウントすることでプリアンブルの位置を推測することができる。
ここで、前記プリアンブルウインドウを生成するのは以下の理由による。すなわち、実施の形態1における再生クロック生成装置4においては、前記プリアンブルのパルス間隔に基づいて再生クロックの生成を行なう。したがって、当該プリアンブル以外の部分におけるパルス間隔を検出すると、再生クロックを正確に生成することができなくなってしまう。そこで、実施の形態1における再生クロック生成装置4においては、上述のようにプリアンブルウインドウを生成する。なお、プリアンブルウインドウの大きさは、当該再生クロック生成装置4を適用する装置等に応じて任意に設定する。例えば、当該プリアンブルウインドウは、当該プリアンブルの開始位置(2値化信号S1が8回「0」となったとき)および終了位置(2値化信号S1が32回「0」となったとき)と一致させて設定してもよいし、後述するエッジ検出部7における、立ち下がりエッジ(または立ち上がりエッジ)の誤検出や検出ミス等を考慮して前記プリアンブルよりも広めに設定してもよい。
エッジ検出部7は、前記プリアンブル検出部6から入力されたウインドウ信号S2に応じて、前記2値化信号S1における立ち下がりエッジを検出する。そして、当該エッジを検出したことを示す信号(以下、エッジ検出信号S3ともいう。)をパルス間隔測定部8に出力する。なお、実施の形態1においては、エッジ検出部7が立ち下がりエッジを検出する場合について説明するが、立ち上がりエッジを検出するようにしてもよい。
パルス間隔測定部8は、エッジ検出部7から順次出力されるエッジ検出信号S3が入力される間隔を計測することによって、前記2値化信号S1におけるパルス間隔を演算する。具体的には、例えば、チャネルビットの間隔T(図5に記載)よりも十分に早い周期で動作するカウンタによって当該パルス間隔測定部8を構成し、前記エッジ検出部7から出力された第1のエッジ検出信号S31が入力されたときから、当該第1のエッジ検出信号S31の次の第2のエッジ検出信号S32が入力されるまでの間カウントを行なう。そして、カウントて得られた値(以下、カウント値ともいう。)を前記パルス間隔として、当該パルス間隔に対応する信号(以下、パルス間隔信号S4という。)をパルス間隔保持部9に出力する。
また、パルス間隔測定部8は、エッジ検出部7からエッジ検出信号S3が入力された際に、それまでにカウントして得られたカウント値をリセットするとともに、リセットする直前のカウント値をパルス間隔保持部9に出力する。したがって、例えば、前記第2のエッジ検出信号S32が入力された時にカウント値をリセットし、前記第1のエッジ検出信号S31が入力された時から、当該第2のエッジ検出信号S32が入力されるまでに得られたカウント値をパルス間隔保持部9に出力する。また、当該第2のエッジ検出信号S32次の第3のエッジ検出信号S33が入力されるまでの間、再度カウントを行なう。
そして、前記エッジ検出部7から順次入力されるエッジ検出信号S3に応じて上述の動作を繰り返す。なお、上述のように、パルス間隔測定部8をカウンタによって構成した場合、より高い動作周波数を有するカウンタで構成することによって、前記パルス間隔をより正確に算出することができる。
パルス間隔保持部9は、パルス間隔測定部8から出力されたパルス間隔信号S4に対応するパルス間隔を所定の個数(少なくとも3個。理由は後述する。)だけ保持する。そして、後段のパルス間隔判定部10の要求に応じて、保持したパルス間隔に対応する保持パルス信号S5を出力する。
パルス間隔判定部10は、前記パルス間隔保持部9に記憶されたパルス間隔を読み出して、当該パルス間隔が所定の条件を満たすか否かを判断する。具体的には、前記パルス間隔保持部9に記憶されたパルス間隔を比較して、第1のパルス間隔と第2のパルス間隔とが所定の比となっているか否かを判断する。そして、パルス間隔保持部9に記憶されたパルス間隔が前記所定の条件を満たす場合(すなわち、所定の比となっている場合)、前記パルス間隔保持部9に記憶されたパルス間隔の平均値を演算する。そして、当該平均値に対応する信号(以下、平均値信号S6)を生成して再生クロック同期算出部11に出力する。
再生クロック同期算出部11は、前記パルス間隔判定部10から出力された平均値信号S6に基づいて、後段の再生クロック出力部12において再生クロックを生成する際に使用する信号(以下、再生クロック周期信号S7ともいう。)を生成して出力する。そして、再生クロック出力部12は、再生クロック同期算出部11から出力された再生クロック周期信号S7に基づいて再生クロックを生成し、当該再生クロックに対応する信号(以下、再生クロック信号S8ともいう。)をBCAデータ復調部5に出力する。
図7は、前記パルス間隔判定部10の構成を示すブロック図である。図7において、パルス間隔比演算部21は、パルス間隔保持部9に記憶されたN個のパルス間隔のうち、連続する2つのパルス間隔、例えば、N番目のパルス間隔と(N−1)番目のパルス間隔との比(以下、第1の比という。)を演算する。また、(N−1)番目のパルス間隔と(N−2)番目のパルス間隔との比(以下、第2の比という。)を演算する。そして、演算の結果得られた第1の比が所定の比であるかを判定して、当該判定の結果に対応する第1の判定信号をパルス間隔比比較部22に出力する。また、前記第2の比が所定の比であるか否かを判定して、当該判定の結果に対応する第2の判定信号をパルス間隔比比較部22に出力する。
したがって、例えば、PE変調の場合、ノイズ等の影響がなければ、連続するパルス間隔は2Tで常に一定であり、連続する2つのパルス間隔の比は1:1となるため、前記所定の比として「1:1」を当該パルス間隔比演算部21に予め設定する。そして、前記パルス間隔保持部9に記憶されたN個のパルス間隔のうち、連続する2つのパルス間隔の比が1:1であれば「1」を、1:1でなければ「0」をパルス間隔比比較部22に出力する。
パルス間隔比比較部22は、パルス間隔比演算部21から出力された第1の判定信号と第2の判定信号とをさらに比較して、当該比較の結果に対応する比較結果信号を平均値演算部23に出力する。具体的に説明すると、当該パルス間隔比比較部22は、前記パルス間隔比演算部21から出力された比較結果を記憶し、すべての比較結果のANDをとった値に対応する信号(以下、AND信号ともいう。)を平均値演算部23に出力する。
平均値演算部23は、前記パルス間隔比比較部22から出力されたAND信号が「1」である場合、前記パルス間隔保持部9に記憶されているN個のパルス間隔の平均値を演算して、当該平均値に対応する平均値信号S6を再生クロック周期算出部11に出力する。なお、前記パルス間隔比比較部22から出力されたAND信号が「1」である場合とは、前記第1の比および第2の比が等しいことを示し、AND信号が「0」である場合とは、前記第1の比および第2の比が異なることを示す。
図8は、当該パルス間隔判定部10の構成をより具体的に示したブロック図である。図8において、パルス間隔保持部9は、前記パルス間隔測定部8から出力されたパルス間隔を3個記憶するシフトレジスタである。なお、図8におけるN1、N2、N3はそれぞれ前記パルス間隔を記憶する領域を示す。したがって、例えば、当該シフトレジスタに、新たなパルス間隔が入力された場合、当該新たなパルス間隔はN1に記憶され、N1に記憶されていたパルス間隔はN2にシフトし、N2に記憶されていたパルス間隔はN3にシフトし、N3に記憶されていたパルス間隔は消去される。
パルス間隔比演算部21は、パルス間隔保持部9に記憶されるパルス間隔が3個の場合、第1の比較部211および第2の比較部212の2つの比較部を備える。そして、第1の比較部211は、N1に記憶されたパルス間隔(以下、第1のパルス間隔ともいう。)と、N2に記憶されたパルス間隔(以下、第2のパルス間隔ともいう。)とを比較して、第1のパルス間隔と第2のパルス間隔との比(第1の比)が所定の比(すなわち、1:1)であるかを判定する。そして、当該第1の比が、1:1である場合には「1」を出力し、1:1でない場合には「0」を出力する。
一方、第2の比較部212は、N2に記憶された第2のパルス間隔と、N3に記憶されたパルス間隔(以下、第3のパルス間隔ともいう。)とを比較して、第2のパルス間隔と第3のパルス間隔との比(第2の比)が1:1であるかを判定する。そして、当該第2の比が、1:1である場合には「1」を出力し、1:1でない場合には「0」を出力する。
パルス間隔比比較部22は、図8に示すようにAND回路で構成され、前記第1の比較部211の出力と第2の比各部212の出力とのANDを平均値演算部23に出力する。したがって、第1の出力および第2の出力がともに「1」である場合には「1」を出力し、それ以外の場合には「0」を出力する。
平均値演算部23は、前記パルス間隔比比較部22の出力が「1」である場合、N1〜N3に記憶されたパルス間隔を全て読み出して、当該パルス間隔の平均値を演算する。そして、当該平均値に対応する平均値信号S6を再生クロック周期算出部11に出力する。
図9は、再生クロック周期算出部11の構成を示すブロック図である。図9において、平均値保持部31は、前記平均値演算部23から出力された平均値信号に対応する平均値を記憶する。そして、後述する中央値選択部32の要求に応じて、前記平均値に対応する信号を当該中央値選択部32に出力する。
中央値選択部32は、前記平均値保持部31に記憶された平均値のうち、その大きさが中央である平均値を選択する。すなわち、例えば、前記平均値保持部31に記憶された平均値をM個とし、当該Mが偶数である場合には、前記平均値保持部31に記憶された平均パルス間隔のうち、(M/2)番目に大きい平均値を選択して、当該平均値に対応する信号を出力する。一方、前記Mが奇数である場合には、前記平均値保持部31に記憶された平均値のうち、((M+1)/2)番目に大きい平均値を選択して、当該平均値に対応する信号を出力する。
なお、上述のように中央値選択部32を設け、平均値保持部31に記憶されているM個の平均値のうち、値の大きさが中央である平均値を選択するのは以下の理由による。
すなわち、前記パルス間隔判定部10においては、ノイズ等の影響を受けたことによって、前記パルス間隔保持部9に記憶されたパルス間隔の値そのものが正しくない場合においても、パルス間隔の比が所定の比(1:1)となっていれば、当該パルス間隔に基づいて平均値の演算を行なう。例えば、前記図8におけるパルス間隔保持部9のN1〜N3に、正しいパルス間隔よりも小さいパルス間隔が入力された場合には、当該小さいパルス間隔の平均値を演算する。また、前記パルス間隔保持部9のN1〜N3に、正しいパルス間隔よりも大きいパルス間隔が入力された場合には、当該大きいパルス間隔の平均値を演算する。
すなわち、前記パルス間隔判定部10においては、上述のように、正しいパルス間隔よりも、大きいパルス間隔または小さいパルス間隔(以下、誤りパルス間隔ともいう。)が入力された場合であっても、当該誤りパルス間隔を完全に排除することができない。一方、平均値保持部31に入力された、複数の平均値の分布においては、正しいパルス間隔に基づいて演算された平均値がほぼ中央に集中する。
そこで、前記中央値選択部32を設けて、前記平均値保持部31に入力された、複数の平均値の中央値を選択することにより、誤りパルス間隔の影響を排除する。
図10は、実施の形態1における情報再生装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。本実施の形態において、DVD1のBCAに図10(a)に示すようなBCAデータが記録されているとする。なお、図10(a)におけるノイズは、例えば、当該DVD1からデータを読み取る際にゴミやキズの影響により当該データを正確に読めない場合や、当該BCAデータそのものが誤っている場合に生じるノイズである。
光ピックアップ2によって読み出されたBCAデータに対応する信号が再生信号生成部3に入力されると、再生信号生成部3は図10(b)のような2値化信号S1をプリアンブル検出部6およびエッジ検出部7に出力する。
プリアンブル検出部6は、入力された2値化信号S1が「0」となる回数をカウントして、プリアンブルの位置を推測する。そして、図10(c)に示すようにウインドウ信号S2を出力することで、プリアンブルウインドウを生成する。具体的には、エッジ検出部7においてエッジの検出を行なわせる間、「1」を出力し続けることによりイネーブルとし、エッジ検出部7におけるエッジの検出を行わない時は「0」を出力してディスエーブルとする。
なお、BCAではプリアンブルの前に1バイトのシンクバイトがあるため、BCAデータの先頭から2値化信号S1が8回「0」になるとプリアンブルが始まり、2値化信号S1が40回「0」になるとプリアンブルが終了する。そこで、実施の形態1の再生クロック生成装置4においては、ノイズなどの影響によりBCAのバースト部を誤検出してしまう場合等を考慮し、当該プリアンブル検出部6において「0」をカウントした値が6になったときに「1」を出力し、カウント値が42になったときに「0」を出力するようにした。
一方、エッジ検出部7は、2値化信号S1における立ち下りエッジを検出して図10(d)に示すようにエッジ検出信号S3をパルス間隔測定部8に出力する。パルス間隔測定部8は、図10(e)に示すように、エッジ検出信号S3が入力された場合、当該入力がされるまでのカウント値をパルス間隔保持部9に出力するとともに、当該カウント値をリセットする。そして、エッジ検出信号S3が再度入力されるまでの間、再度カウントを行なう。なお、パルス間隔測定部8は、2値化信号S1が入力される周期よりも十分に周波数の早いシステムクロックでカウントアップするカウンタで構成する。
パルス間隔保持部9は、前記図8に示すような2値化信号S1のパルス間隔であるカウンタ値を3個保持する3段のシフトレジスタで構成し、図10(f)に示すように前記パルス間隔測定部8から入力されたカウント値(b1、b2・・・)を保持する。なお、図10(f)において、b1、b2・・・はパルス間隔を示し、当該パルス間隔が記載されたブロックの幅は前記図8におけるN1〜N3の各々において当該パルス間隔を保持する時間に対応する。
したがって、例えば、図10(f)において、パルス間隔b2がN1に入力されてからt1に達するまでの間は、パルス間隔b1がN2に、パルス間隔b2がN1に保持されている。そして、t1に達した時にパルス間隔b3がN1に入力されると、N1に保持されていたパルス間隔b2がN2に移動し、N2に保持されていたパルス間隔b1がN3に移動する。そして、パルス間隔が前記シフトレジスタに入力される度に、上述の動作が繰り返される。
パルス間隔比演算部21は、パルス間隔保持部9に保持されているパルス間隔のうち、時間的に相前後して当該パルス間隔保持部9に入力された2つのパルス間隔を比較する。そして、当該2つのパルス間隔が所定の比(1:1)であるか否かを判断する。したがって、図10(f)において、N1に保持されたパルス間隔とN2に保持されたパルス間隔とを比較して、両パルス間隔の比が1:1となっていた場合には、「1」を出力する。一方、N1に保持されたパルス間隔とN2に保持されたパルス間隔との比が1:1になっていない場合には「0」を出力する。
図10(g1)は、N1に保持されたパルス間隔とN2に保持されたパルス間隔とを比較した結果出力された信号を示しており、例えば、N1にb3、N2にb2が保持されている場合(図10(f)中のt2に対応するブロック)には、パルス間隔b2とパルス間隔b3とが等しい、すなわち、両パルス間隔の比が1:1となっていることから「1」が出力され、N1にb4、N2にb3が保持されている場合(図10(f)中のt3に対応するブロック)にはパルス間隔b3とパルス間隔b4とが異なる、すなわち、両パルス間隔の比が1:1となっていないことから「0」が出力される。
また、パルス間隔比演算部21は、N2に保持されたパルス間隔およびN3に保持されたパルス間隔についても同様の動作を行なう。すなわち、図10(f)において、N2に保持されたパルス間隔とN3に保持されたパルス間隔とを比較して、両パルス間隔の比が1:1となっていた場合には、「1」を出力し、1:1となっていない場合には「0」を出力する。なお、N2に保持されたパルス間隔とN3に保持されたパルス間隔とを比較した結果に対応する信号を図10(g2)に示す。
パルス間隔比比較部22は、図10(g1)と図10(g2)のANDを出力する。その結果、図10(h)に示すような信号を出力する。平均値演算部23は、前記パルス間隔比比較部22から「1」が出力された場合(図10(h)において「1」となる場合)、その時にN1〜N3に保持されているパルス間隔の平均値を演算する。
なお、図10の場合においては、前記図10(h)に示した信号が「1」となる場合に対応して、以下のパルス間隔平均値が演算される。
ave1=( b1+ b2+ b3)/3
ave2=( b4+ b5+ b6)/3
ave3=( b5+ b6+ b7)/3
ave4=( b8+ b9+b10)/3
ave5=( b9+b10+b11)/3
ave6=(b10+b11+b12)/3
平均値演算部23において得られたパルス間隔の平均値は、図10(i)に示すように、平均値保持部31に保持される。なお、平均値保持部31は、シフトレジスタで構成される。そして、中央値選択部32は、平均値保持部31に保持されている6個(前記ave1〜6)の平均値の大小関係が、
ave2<ave3<ave1=ave4=ave5=ave6
となっているので、図10(j)に示すように、当該6個のパルス間隔の平均値の中央値((M/2)番目)である6/2=3番目の平均値ave4を選択する。そして、当該平均値ave4に対応する信号を再生クロック周期信号S6として再生クロック出力部12に出力する。
なお、平均値保持部31に保持されるパルス間隔の平均値が5個(奇数)の場合、中央値選択部32は、当該平均値の大きさが、(5+1)/2=3番目である平均値を選択する。また、平均値保持部31に保持される平均値が3個未満の場合には、中央値選択部32において中央値の選択を行なうことができないため、再度、BCAデータの再生を行なって上述の処理を行なう。
再生クロック出力部12は、パルス間隔測定部8のカウンタ値が前記平均値ave4の中央値になるタイミングで再生クロック信号S8をBCAデータ復調部5に出力する。そして、BCAデータ復調部5は、前記再生クロック信号S8に応じてBCA2値化信号S1をラッチすることによって同期を確立してBCAデータの復調を行なう。
以上の説明のように、実施の形態1における再生クロック生成装置4によれば、パルス間隔判定部10によって所定の比を満たさないパルス間隔を排除することによって、ノイズ、周波数変動または再生速度の変化等の影響を排除して、正確な再生クロックを生成することができる。
また、万が一、誤差パルス間隔であるにも関わらず、誤差パルス間隔が連続することで、パルス間隔判定部10において所定の比を満たすと判断された場合であっても、中央値選択部32においてパルス間隔の中央値を選択することにより誤差パルスの影響を排除することができる。すなわち、ノイズ等に起因して本来のパルス間隔と極端に値が異なるパルス間隔の影響を排除することができる。
また、パルス間隔の値そのものではなく、パルス間隔の比によって当該パルス間隔の適否を判定するため、周波数変動や再生速度の変化に起因して当該パルス間隔の長さが変化した場合であっても、正確に再生クロックを発生させることができる。
よって、実施の形態1における情報再生装置においては、確実に同期を確立することができる。したがって、実施の形態1における情報再生装置によれば、ノイズ、周波数変動または再生速度の変化があった場合でもデータを正確に復調することができる。
なお、実施の形態1では、中央値選択部32において平均値保持部31に保持されているパルス間隔の平均値のうち、中央値を選択する方法について説明したが、例えば、平均値保持部31に保持されているパルス間隔のうち、最大値と最小値を除いた平均値をさらに平均した値を演算し、当該演算の結果得られた値を再生クロック出力部12に出力するようにしてもよい。また、前記平均値保持部31に保持されたパルス間隔の平均値うち、最大値から所定の個数の平均値と最小値から所定の個数のパルス間隔とを除いた平均値をさらに平均した値を演算して再生クロック出力部12に出力するようにしてもよい。
また、実施の形態1においては、PE変調方式の場合を例に説明をしたが、変調方式はこれに限られることはなく、例えば、FM(Freqency Moduration)変調やEFM(Eight to Forteen Moduration)等、その他の変調方式でもよい。なお、変調方式に応じて前記所定の比を適宜変更する必要がある。
また、実施の形態1においては、プリアンブルのパルス間隔の比が1:1の場合について説明したが、プリアンブルにおけるパルス間隔の比は、当該再生クロック生成装置を適用する装置やシステムに応じて適宜設定すればよい。そして、当該比A:Bは、A、Bが1以上の整数であればよく、また、設定する比の個数は何個でもよい。例えば、変調方式に応じて複数個の比を用意してもよい。
また、実施の形態1においては、DVDを例に説明したが、当該再生クロック生成装置の適用はDVDに限られることはなく、その他の光ディスクに適用可能である。また、実施の形態1においては情報再生装置においてDVDを再生する場合について説明したが、当該再生クロック生成装置は、前記特許文献1に記載のような通信においても適用することが可能である。
また、実施の形態1においては、パルス間隔保持部9において3個のパルス間隔を保持する場合について説明したが、特に3個である必要はなく、当該パルス間隔保持部9において保持するパルス間隔の個数nは任意に設定可能である。その場合、前記図8に示した、パルス間隔保持部9、パルス間隔比演算部21、パルス間隔比比較部22および平均値演算部23の構成は、例えば、図11のように構成すればよい。すなわち、パルス間隔保持部9をn個のパルス間隔を保持可能なシフトレジスタで構成し、また、パルス間隔比演算部21を前記パルス間隔保持部9に保持されたパルス間隔に応じたn個の比較部を設ける。
1 DVD、2 光ピックアップ、3 再生信号生成部、4 再生クロック生成装置、5 BCAデータ復調部、6 プリアンブル検出部、7 エッジ検出部、8 パルス間隔測定部、9 パルス間隔保持部、10 パルス間隔判定部、11 再生クロック周期算出部、12 再生クロック出力部、21 パルス間隔比演算部、22 パルス間隔比比較部、23 平均値演算部、31 平均値保持部、32 中央値選択部、41,42 チャネルビット、100 BCA、211,212,213,214 比較部。