JP2006022192A - 粘着テープ基材及び粘着テープ - Google Patents

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Abstract

【課題】低温性に優れ、また柔軟性が良好で曲面追従性に優れ、且つ基材表面に特定の加工を施すことにより粘着テープとしての展開性と手切れ性に優れた粘着テープ基材及び粘着テープを提供する。
【解決手段】メルトフローレート20g/10分以上のポリプロピレン系樹脂50〜99重量%及び粘弾性測定におけるtanδのピークが−40℃以下であり、ビニル芳香族化合物と共役ジエンとのブロック共重合体であるビニル芳香族系エラストマー50〜1重量%を含むポリプロピレン系樹脂組成物からなる粘着テープ基材。粘着テープ基材に粘着剤層が設けられてなる粘着テープ。
【選択図】なし

Description

本発明は、粘着テープ基材及び粘着テープに関し、特に、低温においても破断することなく良好に用いることができ、良好な手切れ性を発揮できる粘着テープ基材及び粘着テープに関する。
従来より、手切れ性を損なうことなく、展開性、粘着性等の改良された粘着テープとしては、例えば特許文献1には、一方の面が平滑面であって、他方の面が凹凸部を有する非平滑面からなるポリオレフィン樹脂フィルムを基材とし、該基材の凹凸面に粘着剤層が設けられたものが開示されている。
上記特許文献1には、ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンまたはプロピレンとブテン−1などのα−オレフィンとの共重合体などが記載されている。
特開平3−47855号公報
しかしながら、これらの樹脂フィルム基材においては、氷点下もしくは氷点近辺での使用において低温特性が劣るため、粘着テープとして使用する場合に、テープ剥離時にフィルムが容易に破断する、いわゆる低温割れの問題があった。
本発明の目的は、上記の問題点に鑑み、低温性に優れ、また柔軟性が良好で曲面追従性に優れ、且つ基材表面に特定の加工を施すことにより粘着テープとしての展開性と手切れ性に優れた粘着テープ基材及び粘着テープを提供することにある。
請求項1記載の発明(発明1)による粘着テープ基材は、メルトフローレート20g/10分以上のポリプロピレン系樹脂50〜99重量%及び粘弾性測定におけるtanδのピークが−40℃以下であり、ビニル芳香族化合物と共役ジエンとのブロック共重合体であるビニル芳香族系エラストマー50〜1重量%を含むポリプロピレン系樹脂組成物からなる。
請求項2記載の発明(発明2)による粘着テープ基材は、メルトフローレート20g/10分以上のポリプロピレン系樹脂50〜99重量%及びビニル芳香族エラストマー50〜1重量%を含むポリプロピレン系樹脂組成物であって、ビニル芳香族系エラストマーの芳香族部分の20%以上が80〜1000nmの大きさのドメイン構造で分散していることを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物からなる。
請求項3記載の発明(発明3)による粘着テープ基材は、メルトフローレート20g/10分以上のポリプロピレン系樹脂50〜99重量%及びビニル芳香族エラストマー50〜1重量%を含むポリプロピレン系樹脂組成物であって、ビニル芳香族系エラストマーが、ビニル芳香族化合物単量体を主体とする2個の重合体ブロックAと水素添加されたブタジエン単量体を主体とする1個の重合体ブロックBとから構成され、ビニル芳香族化合物の含有量が13重量%を超え25重量%未満であり、水素添加前のブタジエン単量体を主体とする重合体ブロックにおける1、2結合量が40モル%を超え60モル%未満であり、水素添加前のブタジエン単量体を主体とする重合体ブロック中のオレフィン性不飽和二重結合のうち90%以上が水素添加され、秩序−無秩序転移温度が200℃以上であり、結晶融解熱量(ΔH)が0.05J/g未満であり、メルトフローレートが0.1g/10分以上30g/10分未満である水添ブロック共重合体であることを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物からなる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリプロピレン系樹脂のメルトフローレート(MFRと記す)は、20g/10分以上であって、好ましくは20〜30g/10分とされる。MFRが20g/10分未満になると、基材フィルムが流れ方向に配向し易くなって手切れ性が悪化する。MFRが30g/10分超えると、ドローレゾナンスが発生し易くなり、厚み精度のよい基材フィルムが得られ難くなる。上記MFRは、JIS K 6758に準拠して測定される値であり、以下についても同様である。
上記ポリプロピレン系樹脂としては特に限定されず、プロピレンから誘導される高分子主鎖を主成分とする汎用のポリプロピレン系樹脂であり、プロピレンの単独重合体、プロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体であるランダムポリプロピレン等が挙げられる
。上記ポリプロピレン系樹脂は単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
上記α−オレフィンとしては、炭素数2又は4〜10の直鎖状あるいは分岐状のα−オレフィンが好ましく、具体的には、エチレン、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、ネオヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン等が例示される。これらα−オレフィンは、1種又は2種以上が併用されてよく、その共重合量は4重量%以下が好ましい。α−オレフィンの共重合量が多すぎると、高温時における寸法安定性が劣るようになり、粘着剤塗工時の乾燥の際に収縮が発生し易くなる。
発明1及び発明2によるビニル芳香族系エラストマーとしては、一般式X−(Y−X)m 又は(Y−X)n 〔式中、Xはビニル芳香族化合物重合体ブロック、Yは共役ジエン重合体ブロックをそれぞれ表し、m、nは1以上の整数を示す〕で表されるブロック共重合体であり、Y部分に少量のビニル芳香族化合物が共重合されていても良い。
上記ビニル芳香族化合物としては、スチレン、t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、1,1−ジフェニルエチレン等が例示できるが、特にスチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
上記共役ジエンとしては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン等が例示できるが、特に1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましく、これらの混合物であってもよい。
上記ビニル芳香族系エラストマーとしては、上記ブロック共重合体もしくはブロック共重合体の水素添加物、又はこの水素添加物と同様の構造を有する重合体であってもよく、特に、水素添加スチレン−ブタジエンブロック共重合体、又は水素添加スチレン−イソプレンブロック共重合体が好ましい。上記ブタジエン又はイソプレンの結合様式は、1,2結合又は3,4結合の割合が25%以上のものが好ましく、50%以上のものが特に好ましい。
発明1によるビニル芳香族系エラストマーとしては、粘弾性測定におけるtanδのピークが−40℃以下である。
粘弾性測定におけるtanδのピークが−40℃以下である場合、基材の低温特性を改善できることを見いだした。このtanδのピークが−40℃を超えると、基材の低温特性を改善する効果が乏しくなり好ましくない。
発明2によるビニル芳香族系エラストマーとしては、その芳香族部分の20%以上が80〜1000nmの大きさのドメイン構造で分散していることを特徴とする構造をもつ。
このような構造の基材においては、低温特性を改善できることを見いだした。この芳香族部分が80nm未満で微分散すると、基材の柔軟性を向上できるが低温割れが発生する恐れがあり、逆に1000nmを超えると、基材の柔軟化効果に乏しく粘着テープの曲面追随性に劣るものとなる。
また、芳香族部分が80〜1000nmの範囲で分散したドメインが、上記MFR20g/10分以上のポリプロピレン系樹脂中に20%未満であると、低温特性を改善する効果が乏しくなる。
発明1及び発明2による上記ポリプロピレン系樹脂組成物において、ポリプロピレン系樹脂とビニル芳香族系エラストマーの含有比率は、ポリプロピレン系樹脂50〜99重量%及びビニル芳香族系エラストマー50〜1重量%である。
ポリプロピレン系樹脂が上記範囲より多くなると、良好な柔軟性が得られず、またビニル芳香族系エラストマーが上記範囲より多くなると手切れ性に悪影響を及ぼす。
発明3による水素添加ブロック共重合体は、ビニル芳香族化合物単量体を主体とする2個の重合体ブロックAと、水素添加されたブタジエン単量体を主体とする1個の重合体ブロックBから構成される。上記「主体とする」とは、該単量体を50重量%を超えて含有していることを意味し、該単量体と共重合可能な他の単量体と共重合されていても良いし、該単量体のみから構成されていても良い。重合体ブロックA中の該単量体の量は好ましくは70モル%以上、更に好ましくは80モル%以上、特に好ましくは90モル%以上である。
上記重合体ブロックAを構成するビニル芳香族化合物単量体としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−ターシャルブチルスチレン等のアルキルスチレン、p−メトキシスチレン、ビニルナフタレン等が挙げられ、中でもスチレンが好ましい。これらビニル芳香族化合物単量体は、単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されて用いられてもよい。
上記重合体ブロックAを構成する共重合可能な他の単量体としては、共役ジエン化合物単量体、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート等のメタクリル酸エステル、シクロヘキサジエン、カプロラクトン等が挙げられる。共重合の形態としては、ランダム、交互、テーパー等いかなる形態でもよい。また、2個の重合体ブロックAは、それぞれ、その組成、分子量などが異なっていてもよい。
上記ブロック共重合体において、ビニル芳香族化合物単量体単位の含有量は、13重量%を超え25重量%未満であり、剛性、及び脆化温度の点から、15重量%以上23重量%未満であることが好ましく、15重量%以上20重量%未満であることがより好ましい。13重量%以下であると剛性が悪化し、25重量%以上であると脆化温度が高くなる。ビニル芳香族化合物単量体単位の含有量は、核磁気共鳴装置(NMR)、紫外分光光度計(UV)などにより測定できる。
発明3による水素添加ブロック共重合体は、水素添加される前のブタジエン単量体を主体とする重合体ブロックB中のオレフィン性不飽和二重結合のうち、90%以上が水素添加されたものである。90%未満であると、ポリプロピレン界面での接着性が低下し、耐衝撃性、伸びが低下し、熱、光などにより劣化をおこし熱可塑性が低下する。
また、重合体ブロックA中において、ビニル芳香族化合物のベンゼン環の不飽和二重結合は、ビニル芳香族化合物全体において20%までは水素添加されていてもよい。この水素添加率は、核磁気共鳴装置(NMR)などによって測定できる。
また、発明3による水素添加ブロック共重合体は、水素添加される前のブタジエン単量体を主体とする重合体ブロックにおける1、2結合量が40モル%を超え60モル%未満であり、41モル%以上55モル%以下であることが好ましく、46モル%以上54モル%以下がさらに好ましい。40モル%以下の場合、分散不良をまねき伸びが劣り、60モル%以上の場合、低温特性や耐熱変形性が悪化する。
また1,2結合はポリマー鎖中に、できるだけ均一に(局所的に1,2結合が集まらないよう)存在することが望ましい。ミクロ構造は核磁気共鳴装置(NMR)などにより測定できる。
上記重合体ブロックBを構成する共重合可能な他の単量体としては、イソプレン等の他の共役ジエン化合物単量体、ビニル芳香族化合物単量体、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート等のメタクリル酸エステル、シクロヘキサジエン、カプロラクトン等をあげることができる。共重合の形態としては、ランダム、交互、テーパー等いかなる形態でも良い。
発明3による水素添加ブロック共重合体は、秩序−無秩序転移温度は200℃以上である。水素添加ブロック共重合体の秩序−無秩序転移温度が200℃未満であると、本発明で得られる組成物の耐熱変形性が悪化する。耐熱変形性は射出成形した組成物の熱変形温度を測定することにより判断できる。
この秩序−無秩序転移温度とは、室温付近ではゴム相と拘束相の二相に相分離している水素添加ブロック共重合体の相分離状態が消失する温度をいい、小角X線散乱、レオロジー測定により求めることができ、本発明においてはレオロジー測定により求められた値である。レオロジー測定により秩序−無秩序転移温度を求める場合、十分なせん断速度範囲において種々の温度で動的な貯蔵弾性率(G’)、損失弾性率(G”)を測定し、G’をG”に対してプロットした直線の傾き、切片が同じになり始める温度より決定できる。または、十分低い周波数で、例えば0.1Hz以下の周波数で、G’の温度依存性を高温側から測定し、もっとも高温側に現れる変曲点からも決定できる。
発明3においては、水素添加ブロック共重合体の結晶融解熱量(ΔH)は、0.05J/g未満である。0.05J/g以上であると、得られる組成物の脆化温度が高くなり、必要とする低温特性が得られない。この結晶融解熱量(ΔH)は、通常DSC法によって求めることができる。
また、発明3においては、水素添加ブロック共重合体のメルトフローレート(MFR)は、0.1g/10分以上30g/10分未満の範囲になければならない。好ましい範囲としては0.1g/10分以上15g/10分未満、さらに好ましい範囲としては1.0g/10分以上10g/10分未満、特に好ましい範囲としては3.0g/10分以上8g/10分未満である。0.1g/10分未満であったり、30g/10分以上であると、均一な粘着テープ基材を得ることができない。なお、このメルトフローレートは、JIS K 7210(1976年版)に準拠し、温度230℃、荷重22.18Nの条件で求めた値である。
発明3の水素添加ブロック共重合体は、特公昭36−19286号公報、特公昭43−14979号公報、特公昭49−36957号公報などに記載された方法で製造することができ、例えば、ある炭化水素溶剤中でアニオン重合開始剤として有機リチウム化合物等を用い、1,2結合量調節剤としてジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル化合物、トリエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン等の第3級アミンを用い逐次重合するか、または必要に応じカップリング剤としてジメチルジクロロシラン、安息香酸エチル、安息香酸フェニル等の二官能性化合物を用い、2個のビニル芳香族単量体を主体とする重合体ブロックと1個のブタジエン単量体を主体とする重合体ブロックをブロック共重合し、このブロック共重合体を、公知の方法、例えば、特公昭42−87045号公報に記載の方法で水素添加することにより、本発明の範囲となるように製造することで得ることができる。
特に発明3においては、ブタジエン単量体単位を主体とする重合体ブロックを重合する際には、反応器内のピーク温度が85℃以下であり、重合中の反応器内の最高温度と最低温度の差である温度幅(ΔT)が15℃以下であると、最終的に得られる水素添加ブロック共重合体の結晶融解熱量(△H)を低下させることができる。反応器内のピーク温度を85℃以下、温度幅(ΔT)を15℃以下にするためには、反応熱を冷却により取り除く必要がある。ピーク温度が85℃を超えるか、温度幅(△T)が15℃を超えると、結晶融解熱量(△H)が増加してしまい、最終的に得られる組成物の脆化温度が悪化するため好ましくない。さらに好ましい範囲としては反応器内のピーク温度が80℃以下であり、温度幅(ΔT)が10℃以下である。
発明3による上記ポリプロピレン系樹脂組成物において、ポリプロピレン系樹脂と水素添加ブロック共重合体の含有比率は、ポリプロピレン系樹脂50〜99重量%及び水素添加ブロック共重合体50〜1重量%である。
ポリプロピレン系樹脂が上記範囲より多くなると良好な柔軟性が得られず、水素添加ブロック共重合体が上記範囲より多くなると手切れ性に悪影響を及ぼす。
本発明においては、上記ポリプロピレン系樹脂が、長鎖分岐を有するポリプロピレンを3重量%以上含有してなることが好ましい。この含有量が3重量%未満になると、長鎖分岐を有するポリプロピレン添加の効果が得られ難くなる。
上記長鎖分岐を有するポリプロピレンは、汎用のポリプロピレン系樹脂に比べて高い溶融張力(伸長粘性)を持っており、このポリプロピレンを汎用のポリプロピレン系樹脂に含有させることにより、基材フィルムの耐熱性を損なうことなく、高MFRのポリプロピレンを製膜する際に、ドローレゾナンスを防止できるとともにネックインを制御できるため、基材フィルムの製膜性を格段に向上させることができ、寸法安定性のより優れた基材フィルムを得ることができる。即ち、本発明においては、使用できるポリプロピレン系樹脂のMFRを広げることが可能となる。しかし、長鎖分岐を有するポリプロピレンは多量に配合すると経済的に不利となるので、上限は適宜決定されればよい。
上記長鎖分岐を有するポリプロピレンのMFRは、5〜50g/10分が好ましい。使用量にもよるが、MFRが5g/10分未満になると、基材フィルムの流れ方向に配向を生じて手切れ性が悪くなったり、MFRが50g/10分を超えると、目的とする効果が得られ難くなったりする場合がある。
上記長鎖分岐を有するポリプロピレンの製造方法としては、例えば、特開平2−69533号公報に開示されているように、不活性ガス雰囲気中で直鎖状のプロピレン単独重合体を電離放射線で処理した後に、高温でエージングして製造する方法が挙げられる。このような一連の操作により、ポリプロピレン分子鎖中に生じた遊離基が反応制御された状態で再結合し、ポリプロピレン主鎖に長鎖の分岐を形成する。このような方法で製造された長鎖分岐を有するポリプロピレンの市販品としては、例えば、モンテル・エスディーケイ・サンライズ社製「HMS」等が挙げられる。
本発明においては、ポリプロピレン系樹脂組成物100重量部に対して、結晶核剤0.005〜0.1重量部が含有されることが好ましい。この結晶核剤を配合することにより、乾燥工程における加熱時の基材フィルムの収縮をより効果的に防止できる。上記結晶核剤の含有量が下限を下回ると、基材フィルムの加熱による一層の収縮防止効果が期待できなくなり、逆に過剰に配合されると、フィルムの剛性が大きくなって柔軟性を損なうこともある。
上記結晶核剤としてはポリプロピレン系樹脂に対して造核作用を有するものであればよく、例えば、安息香酸のNa塩やK塩、p−t−ブチル安息香酸Al塩等の有機カルボン酸の金属塩;ジベンジリデンソルビトール、ジベンジリデンキシリドール、ジベンジリデンパセイトール、モノベンジリデンソルビトール、ジベンジリデンマンニトール、1・3,2・4−ジ(アルキルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ジ(アルコキシベンジリデン)ソルビトール、アルキル置換ジベンジリデンソルビトール等のベンズアルデヒド及びその環置換体と多価アルコールとの縮合物;ビニルシクロヘキサン、ビニルシクロペンタン等のビニルシクロアルカン類、3−メチルブテン−1、4,4−ジメチルペンテン−1、4,4−ジメチルヘキセン−1、3,3−ジメチルブテン−1、3−メチルペンテン−1、3−メチルヘキセン−1、3,5,5−トリメチルヘキセン−1、インデン、アルキル置換スチレン等を重合して得られる高分子核剤等を例示することができる。
上記ポリプロピレン系樹脂組成物には、この他に必要に応じて、顔料等の着色剤、酸化防止剤、分散剤、充填剤、帯電防止剤等が添加されてもよい。
また、本発明による粘着テープ基材は、上記基材の一方の表面に、幅方向、即ちフィルムの流れ方向に直交する方向に、多数の溝状の凹部が設けられた凹凸面が形成され、上記溝状の凹部の形状としては、手切れ性が発現できるような構造であれば特に限定されないが、長手方向に略直交する略直線状に形成されたものが好ましい。この場合、凹部の深さが20〜500μm、隣接する凹部同士の間隔が0.3〜5mm、凹部における最薄部の厚みが10〜100μmであることが手切れ性に対して効果的であり好ましい。
上記凹部の深さが20μm未満になると、手切れ性を確保するために基材フィルムの厚みを薄くする必要があり、基材の引張強度が実用に耐えなくなり、逆に500μmを超えると、粘着剤塗工後に気泡が残り易くなる。
また、凹部同士の間隔が0.3mm未満では、凹凸加工が困難となり、逆に0.5mmを超える場合には、手切れできる場所が制約を受けることになる。
更に、凹部における最薄部(フィルムの最も薄い部分)の厚みが10μm未満になると、フィルムの強度が低下して破断し易くなり、逆に100μmを超えると、手切れ性が悪くなる。
更に、上記凹凸面には、粘着剤との密着性を向上させるために、濡れ表面張力が3×10-4N/cm以上となるように表面処理が施されるのが好ましい。この表面処理の方法としては、例えば、コロナ放電処理、プラズマ放電処理、フレーム処理、サンドブラスト処理、プライマー処理等が挙げられる。
上記濡れ表面張力が3×10-4N/cm未満の場合には、粘着剤との密着性が不足して粘着剤層が剥離しやすくなる。また、コロナ放電処理の場合は、5×10-4N/cmを超えるような処理を行うと、エンボス加工面とエンボスロールとの間で放電が発生し、放電がフィルムを貫通し裏抜けしやすくなるので好ましくない。
本発明の粘着テープ基材の他方の表面は、算術平均粗さ(Ra)が1.5μm以上のエンボス面であることが好ましい。エンボス加工がなされなかったり、Raの値が1.5μm未満の場合は、巻重体となされた粘着テープの展開性が低下しがちとなる。ここで、上記RaはJIS B 0601に準拠して、カットオフ値0.8mm、評価長さ5mmに設定して測定した値である。
上記基材フィルムの製膜方法としては、通常のプラスチック成形法が採用可能であるが、押出成形法が好ましく、更に、半溶融状態の基材フィルムを、表面に凹凸を有する金属ロールと、表面を粗面化したゴムロールとで挟圧しながら冷却しつつ引き取ることにより、一方の表面に凹凸を付与し、他方の表面をエンボス面とすることができる。
本発明の粘着テープは、上記粘着テープ基材に粘着剤層が設けられてなる。特に、基材の凹凸面に粘着剤層が設けられてなることにより、優れた手切れ性を有する粘着テープとすることができる。
この粘着剤としては特に限定されず、例えば、アクリル系粘着剤、ビニルエーテル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ゴム系粘着剤等が挙げられる。また、上記粘着剤の形態についても、溶剤型、エマルジョン型、ホットメルト型等どのような形態であっても使用可能である。
上記粘着テープ基材に粘着剤層を設ける方法としては、塗布ロール、押出機等により粘着テープ基材に直接粘着剤層を形成する方法、別途剥離紙上に形成した粘着剤層を転写する方法等、従来公知の方法が採用可能であるが、粘着剤と基材との密着力に優れ、凹溝に気泡が残存しにくい、生産性に優れる等の利点を有する前者の方法が好ましい。
上記粘着剤層は乾燥後の塗布量が20〜50g/m2 となるように塗布することが好ましい。塗布量が20g/m2 未満であると、粘着剤がフィルムの凹部に入り込んで凸部よりも低くなることがあり、粘着力が不安定となりやすい。
また、本発明の粘着テープ基材の粘着剤層と反対側の面、即ちエンボス面には、必要に応じて、離型処理がなされても良い。この離型処理は、シリコーン系離型剤、非シリコーン系離型剤等の公知の離型剤を塗布することによりなされる。
本発明の粘着テープ基材及び粘着テープは、上述のとおりの構成であるので、低温性に優れ生産性が向上でき、また柔軟性が良好で曲面追従性に優れ、且つ基材表面に特定の加工を施すことにより粘着テープとしての展開性と手切れ性に優れるといった効果を発現できる。
以下に実施例を掲げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜3、比較例1〜4)
ポリプロピレン系樹脂、及びビニル芳香族系エラストマーを、表1〜3に示した組成に従ってドライブレンドした。ここで、表3におけるビニル芳香族系エラストマーの種類は、表4に示した性状のものである。
Figure 2006022192
Figure 2006022192
Figure 2006022192
Figure 2006022192
次に、上記ドライブレンドした混合物を、シリンダー温度210〜230℃で混練した後、金型温度230℃で溶融押出して得られた基材の一方の表面に、凹凸面を形成可能な表面を有する金属ロールにて、深さ80μmで凹部が1mm間隔で形成された凹凸加工を施し、他方の表面には、表面を荒らしたゴムロールにて、Raが1.6μmとなるようにエンボス加工をし、引き取りつつ挟圧冷却することにより、最大厚さ120μmの基材フィルムを製膜した。更に、該基材フィルムの凹凸面の表面を、濡れ表面張力が4.5×10-4N/cmとなるようにコロナ放電処理をして粘着テープ基材フィルムを得た。この基材フィルムの凹凸面に、ブチルアクリレート80重量部及び2−エチルヘキシルアクリレート20重量部を主成分とするアクリル系共重合体を主成分とする粘着剤を、乾燥後で塗布量が35g/m2 となるように塗工機で塗布し、80℃で4分間乾燥した後巻き取り、幅25mmに切断して粘着テープの巻重体を得た。
(実施例6)
表面を荒らしたゴムロールに代えて、表面が平滑なゴムロールを用い、Raが0.5μmとなるようにエンボス加工をしたこと以外は、実施例1と同様にして粘着テープを得た。
(比較例14)
MFR=7g/10分、密度0.927g/cm3 の低密度ポリエチレン70重量部とMFR=10g/10分、密度0.960g/cm3 の高密度ポリエチレン30重量部とをドライブレンドし、シリンダ温度190〜220℃で混練した後、金型温度220℃で溶融押出して得られた基材を用いたこと以外は、実施例1と同様にして粘着テープを得た。
(性能評価)
・製膜性
製膜時の状態を観察し、下記の基準で評価した。
○:押出量変動や引き取り不良がなく、良好な基材フィルムが得られた
×:押出量変動や引き取り不良が発生した
・幅方向の収縮
粘着剤塗工前の基材フィルム(幅:1300mm)に対する、粘着加工(粘着剤塗布及び乾燥)後の基材フィルムの収縮量をmm数で示した。
・弾性率
JIS K 7113に準拠して、粘着テープ基材の幅方向について測定した。尚、粘着テープ基材の厚みは幅方向の最大厚みを採用した。
・曲面追従性
図1に示す断面形状を有する支持体1(a=80mm、b=80mm、c=160mm、h=40mm)の表面に、図2に示すように、粘着テープ6を接着し、コーナー部2、3、4、及び5における接着追従性を観察して下記の基準で評価した。
○:曲面に追従してしわなく接着可能
△:凹部に少ししわが残る
×:しわが残る
・手切れ性
粘着テープを幅方向に手で引き裂き、幅方向の凹部に沿って手切れするものを合格とし、手切れ操作を100回行って、以下の基準で評価を行った。
○:合格が90回以上
△:合格が70〜89回
×:合格が69回以下
・展開力
粘着テープの巻重体を巻きほぐし試験機で展開し、25mm幅での展開力を測定した。
・低温特性
30cm×60cmの段ボールを、粘着テープにて長辺を床に貼りつけ、−20℃にて、短片を引き剥がす。100回この操作を繰り返して、以下の基準で評価を行った。
○:80回以上破断しなかった
△:50〜79回破断しなかった
×:破断しなかったものが49回以下
実施例及び比較例で得られた粘着テープの性能を評価し、その結果を表5に示した。
Figure 2006022192
曲面追従性の評価において使用される支持体の形状を示す模式断面図である。 支持体1に粘着テープ6を接着した状態を示す斜視図である。
符号の説明
1 支持体
2、3,4,5 コーナー部
6 粘着テープ


Claims (9)

  1. メルトフローレート20g/10分以上のポリプロピレン系樹脂50〜99重量%及び粘弾性測定におけるtanδのピークが−40℃以下であり、ビニル芳香族化合物と共役ジエンとのブロック共重合体であるビニル芳香族系エラストマー50〜1重量%を含むポリプロピレン系樹脂組成物からなる粘着テープ基材。
  2. メルトフローレート20g/10分以上のポリプロピレン系樹脂50〜99重量%及びビニル芳香族エラストマー50〜1重量%を含むポリプロピレン系樹脂組成物であって、ビニル芳香族系エラストマーの芳香族部分の20%以上が80〜1000nmの大きさのドメイン構造で分散していることを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物からなる粘着テープ基材。
  3. メルトフローレート20g/10分以上のポリプロピレン系樹脂50〜99重量%及びビニル芳香族エラストマー50〜1重量%を含むポリプロピレン系樹脂組成物であって、ビニル芳香族系エラストマーが、ビニル芳香族化合物単量体を主体とする2個の重合体ブロックAと水素添加されたブタジエン単量体を主体とする1個の重合体ブロックBとから構成され、ビニル芳香族化合物の含有量が13重量%を超え25重量%未満であり、水素添加前のブタジエン単量体を主体とする重合体ブロックにおける1、2結合量が40モル%を超え60モル%未満であり、水素添加前のブタジエン単量体を主体とする重合体ブロック中のオレフィン性不飽和二重結合のうち90%以上が水素添加され、秩序−無秩序転移温度が200℃以上であり、結晶融解熱量(ΔH)が0.05J/g未満であり、メルトフローレートが0.1g/10分以上30g/10分未満である水添ブロック共重合体であることを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物からなる粘着テープ基材。
  4. ポリプロピレン系樹脂が、長鎖分岐を有するポリプロピレンを3重量%以上含有してなる請求項1〜3いずれか記載の粘着テープ基材。
  5. ポリプロピレン系樹脂組成物100重量部に対して、結晶核剤0.005〜0.1重量部が含有されてなる請求項1〜4いずれか記載の粘着テープ基材。
  6. 基材の一方の表面が幅方向に設けられた多数の溝状の凹部が設けられた凹凸面であり、他方の表面が算術平均粗さ1.5μm以上のエンボス面である請求項1〜5いずれか記載の粘着テープ基材。
  7. 凹凸面が、長手方向に略直交する略直線状に設けられた多数の溝状の凹部から形成されており、凹部の深さが20〜500μm、凹部同士の間隔が0.3〜5mm、凹部における最薄部の厚みが10〜100μmであり、且つ濡れ表面張力が3×10-4N/cm以上となるように表面処理が施された凹凸面である請求項1〜6いずれか記載の粘着テープ基材。
  8. 請求項1〜7いずれか記載の粘着テープ基材に粘着剤層が設けられてなる粘着テープ。
  9. 請求項6又は7記載の粘着テープ基材の凹凸面に粘着剤層が設けられてなる粘着テープ。




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