JP2006022150A - 石炭のコークス炉装入方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 非微粘結炭を多量に使用する場合に、実コークス炉内で発生する熱分解ガスの石炭嵩密度への影響を考慮し石炭の粒度分布を調整することにより石炭の嵩密度を向上させ、高炉で使用可能な強度のコークスを製造する石炭のコークス炉装入方法を提供する。
【解決手段】 非微粘結炭を50%以上含有した石炭をコークス炉に装入する方法において、装入時の石炭の粒度分布を、Rosin−Rammler式の均等数nが0.68以下である粒度分布とし、5.6mm以上の粗粒炭の質量比率が10%以上であり、かつ、0.1mm未満の微粉炭の質量比率が14%未満であることを特徴とする石炭のコークス炉装入方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、石炭、特に、高炉用コークス製造用の石炭をコークス炉に装入する石炭の装入方法に関する。
近年、高炉用コークス用の原料炭として良質な石炭の需給状況は、極めて逼迫しており、長期にわたって安定供給するのは困難であり、原料価格も高騰している。そのため、粘結炭に比べて資源量は豊富であるが、コークス化性の劣る非微粘結炭の多量使用して品質の良好なコークスを製造する方法が求められている。
従来から、非微粘結炭を多量に使用する場合のコークス化性を改善するために、コークス炉内の石炭の嵩密度を高めて、隣接する石炭粒子同士の接着状況を改善させる方法が採用されている。
例えば、特許文献1〜2には、嵩密度向上のために、原料炭を、破砕する前あるいは破砕した後に、大粒径、中粒径、小粒径に粒度調整することにより、Rosin-Rammler線図あるいはFurnas分布に基づく理想の粒度分布に調整する方法が開示されている。
しかし、実際に石炭をコークス炉に装入する場合には、石炭が加熱されて発生する熱分解ガスが炉内の嵩密度に大きく影響するため、これらを考慮しない上記方法では、十分に嵩密度を向上させることはできなかった。
特開平11−302662号公報 特開2003−129065号公報
上記従来技術の現状を踏まえ、本発明は、非微粘結炭を多量に使用する場合に、実コークス炉内で発生する熱分解ガスの石炭嵩密度への影響を考慮し石炭の粒度分布を調整することにより石炭の嵩密度を向上させて、高炉で使用可能な強度のコークスを製造する石炭のコークス炉装入方法を提供する。
コークス炉内での石炭の嵩密度を向上させるためには、装入堆積物の充填構造を最密充填構造に近づけることと、石炭から発生する熱分解ガスの影響を緩和することが重要である。本発明者は、コークス炉装入後の石炭の嵩密度を高めるため、次の2つの手法を組み合わせる方法について、鋭意検討した。
(x)装入する石炭自体の粒度分布を拡大する。
(y)装入する石炭の微粉粒子と粗粒粒子の両方の存在割合を調製しコークス炉内の熱分解ガスの影響を緩和する。
本発明は、上記検討結果に基づいてなされたもので、その要旨は以下のとおりである。
(1)非微粘結炭を50%以上含有した石炭をコークス炉に装入する方法において、装入時の石炭の粒度分布を、Rosin−Rammler式の均等数nが0.68以下である粒度分布とし、5.6mm以上の粗粒炭の質量比率が10%以上であり、かつ、0.1mm未満の微粉炭の質量比率が14%未満であることを特徴とするの石炭のコークス炉装入方法。
本発明によれば、石炭をコークス炉に装入する時、実コークス炉内で発生する熱分解ガスの石炭嵩密度への影響を考慮し石炭の粒度分布を調整することにより、石炭の嵩密度を高めることができる。その結果、非微粘結炭を多量に使用する場合に、高炉で使用可能な強度のコークスを製造することが可能となる。
本発明者は、まず、上記(x)の手法について検討した。
一般に、粒子径が均一なものを充填する場合に比べ、粒子径の異なるものを充填する場合、空隙率は小さくなり、嵩密度は高くなる。即ち、粉粒体を所定空間に充填する場合、粒度分布が広いほど、最密充填構造に近づき、嵩密度は高くなる。
本発明者は、装入する原料炭の粒度分布を評価する指標として、Rosin−Rammler式の均等数nを用い、均等数nと冷間嵩密度の関係を調査した。ここで、石炭の均等数nと冷間嵩密度の関係を図1に示す。
均等数nは、ある石炭粒子径Xについて、Xよりも大きい粒子の質量の全質量に対する割合をRとすると、両対数紙にXと−logRをプロットし、2点以上のプロットから最小2乗法により直線を引き、その直線の勾配から求めることがきる。
2点以上のプロットがあれば、直線を引くことができるが、精度のよい直線を引くためには、プロットが5点以上あることが好ましい。
冷間嵩密度は、ASTM D 291-86に従い、測定した。
図1から、均等数nと冷間嵩密度は良好な相関関係にあり、nが小さくなるほど、冷間嵩密度が高くなることが分かる。
次に、図2に、実炉嵩密度と冷間嵩密度の関係を示す。実炉嵩密度とは、実機のコークス炉に石炭を装入した際に測定された値であり、下式で示される。
実炉嵩密度=Wt/(L×W×H)
ここで、Wt:石炭の装入量(t)
L:コークス炉の炉長(m)
W:コークス炉の炉幅(m)
H:装入後の石炭の高さ(m)
図2に示すように、冷間嵩密度が高い原料炭は実炉嵩密度も高い傾向があり、このことからも、コークス炉に装入する原料炭の粒度分布の適否を、Rosin−Rammler式の均等数nで評価することの正当性が解かる。
非微粘結炭を50%配合した時、高炉用コークスとして必要な強度レベル(DI150 15で84)を確保するためには、原料炭の実炉嵩密度は0.81t/m3必要である。図2から、実炉嵩密度と冷間嵩密度では、約0.035t/m3のバイアスがあるので、冷間嵩密度は、最低限0.845t/m3程度必要である。そこで、図1に示す関係から、均等数nの上限を0.68とした。
本発明者は、次に、上記(y)の手法について検討した。
原料炭を加熱された状態のコークス炉内に装入すると、原料炭は急激に昇温されて熱分解ガスが発生し、コークス炉内で上方向のガス流れ(上昇流)が生じる。原料炭の嵩密度は、この熱分解ガスの影響を少なからず受けるが、その影響は、粒径によって異なるので、ここでは、粒径5.6mm以上の粗粒炭の比率と、粒径0.1mm未満の微粉炭の比率を明確にした原料炭について、その実炉嵩密度と冷間嵩密度の関係を調査した。
図2において、◆に付されている上下2段の数字は、上段が5.6mm以上の粗粒炭の比率で、下段が、0.1mm未満の微粉炭の比率である。この図から、同じ冷間嵩密度で実炉嵩密度を比較した場合、5.6mm以上の粗粒炭が多く、0.1mm未満の微粉炭が少ない方が、実炉嵩密度が高いことを見出した。
このように実炉嵩密度が向上する理由は、以下の2点である。1点目は、浮遊し易い微粉炭量の低下により、石炭粒子の落下速度が熱分解ガスの流速の影響をそれ程受けず、石炭粒子が、充填層に衝突するときの衝撃力により充填層が圧密化され、充填構造が、最密充填構造の方向に移行するからである。
2点目は、粗粒炭の増加及び微粉炭の減少により装入時の石炭の比表面積が低下することにより、石炭の伝熱が抑制され、装入時に発生する熱分解ガス自体の量が低下するためである。
したがって、本発明においては、5.6mm以上の粗粒炭が多く、0.1mm未満の微粉炭が少ない方が好ましく、その限度は、図2によれば、質量比率で、5.6mm以上の粗粒炭は10%以上、0.1mm未満の微粉炭は14%未満である。
このように、本発明において、均等数nを限定することに加え、5.6mm以上の粗粒炭の比率、及び0.1mm未満の微粉炭の比率を限定することにより、装入する石炭自体の粒度分布を拡大しつつ、コークス炉内の熱分解ガスの影響を緩和することができ、石炭のコークス炉内における嵩密度をより高めることができる。
次に、本発明の実施例について説明するが、実施例の条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。
本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
(実施例)
表1に示す均等数n、5.6mm以上の比率、0.1mm未満の比率を有し、いずれも非微粘結炭を50%含む4種類の原料炭(発明例、比較例1、比較例2、比較例3)を準備した。これらの原料炭を実コークス炉で乾留し、得られたコークスについて、JIS K2151に従い、コークス強度:DI150 15を測定した。
また、上記4種類の原料炭につき、石炭の冷間での嵩密度と実炉での嵩密度を測定した。これらの結果を表1にまとめて示す。
発明例の原料炭は、本発明で規定する均等数nの範囲、及び、粗粒炭及び微粉炭の比率の両方を満たすものである。その結果、発明例については、非微粘結炭を50%使用しても、高炉で使用可能な強度のレベルであるDI150 15が84以上のコークスを製造することができた。
一方、比較例1の原料炭は、本発明で規定する均等数nの範囲、及び、粗粒炭及び微粉炭の比率の両方を満たさないものである。その結果、石炭の冷間での嵩密度に比べて、実炉での嵩密度が低くなり、コークス強度:DI150 15は83.1まで低下した。
比較例2は、本発明で規定する均等数nの範囲を満たすが、本発明で規定する粗粒炭および微粉炭の比率を満足しないものである。また、比較例3は、本発明で規定する均等数nの範囲および粗粒炭の比率を満たすが、本発明で規定する微粉炭の比率を満足しないものである。
その結果、比較例2及び3は、石炭の冷間での嵩密度は、実炉での嵩密度とほぼ同じになったが、コークス強度:DI150 15は、83.7、83.8まで低下した。
これらは、本発明で規定するRosin−Rammler式の均等数nの範囲を満たすとともに、同じく本発明で規定する5.6mm以上の粗粒炭の比率、及び、0.1mm未満の微粉炭の比率を満たすことにより、予熱した原料炭の炉内における嵩密度がより高まることを実証している。
また、本発明の適用により非微粘結炭を多量に使用する場合でも、高炉で使用可能な強度のコークスを製造することが可能となることが判る。
Figure 2006022150
本発明によれば、石炭をコークス炉に装入する時、実コークス炉内で発生する熱分解ガスの石炭嵩密度への影響を考慮し石炭の粒度分布を調整することにより、炉内に堆積する原料炭の嵩密度を高めることができる。
したがって、本発明により、非微粘結炭を多量配合しても高品質の高炉用コークスの製造が可能となる。よって、本発明は、鉄鋼産業において、利用可能性が高いものである。
Rosin−Rammler式の均等数nと冷間嵩密度の関係を示す図である。 冷間嵩密度と実炉嵩密度の関係を示す図である。

Claims (1)

  1. 非微粘結炭を50%以上含有した石炭をコークス炉に装入する方法において、装入時の石炭の粒度分布を、Rosin−Rammler式の均等数nが0.68以下である粒度分布とし、5.6mm以上の粗粒炭の質量比率が10%以上であり、かつ、0.1mm未満の微粉炭の質量比率が14%未満であることを特徴とするの石炭のコークス炉装入方法。
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JP2009270104A (ja) * 2008-04-09 2009-11-19 Nippon Steel Corp コークスの製造方法
JP2019135281A (ja) * 2018-02-05 2019-08-15 日本製鉄株式会社 廃棄プラスチックの熱分解リサイクル方法
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