JP2006021941A - 被塗布基材、その製造方法、その被塗布基材を用いた光学素子成形用金型母型の製造方法、及び光学素子成形用金型の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 加工に時間がかからず効率よく製作できかつシリコンを用いたドライエッチングが可能な被塗布基材、その製造方法、その被塗布基材を用いた光学素子成形用金型母型の製造方法及び光学素子成形用金型の製造方法を提供する。
【解決手段】 この被塗布基材11は、レジストの塗布対象とされる被塗布基材であって、所望の表面形状を有する快削性金属材料にシリコン層12が形成されている。切削加工適性が高いため、その快削性金属材料を所望の表面形状に比較的効率・精度よく加工でき、その加工後の表面にシリコン層が形成されるので、加工に時間がかからず効率・精度よく製作できかつシリコンを用いたドライエッチングが可能となる。
【選択図】 図2
【解決手段】 この被塗布基材11は、レジストの塗布対象とされる被塗布基材であって、所望の表面形状を有する快削性金属材料にシリコン層12が形成されている。切削加工適性が高いため、その快削性金属材料を所望の表面形状に比較的効率・精度よく加工でき、その加工後の表面にシリコン層が形成されるので、加工に時間がかからず効率・精度よく製作できかつシリコンを用いたドライエッチングが可能となる。
【選択図】 図2
Description
本発明は、レジストの塗布対象とされる被塗布基材、その製造方法、その被塗布基材を用いた光学素子成形用金型母型の製造方法及び光学素子成形用金型の製造方法に関する。
プラスチックやガラスなどの素材から高精度なレンズや回折格子等の光学素子を均一かつ迅速に製造するため金型成形が用いられているが、このための成形金型は消耗品であることから、定期的に交換したり、不測の金型損傷があればその都度交換が必要である。従って、光学素子を成形するための成形金型は一定精度のものをある程度の量だけ予め用意しておく必要がある。このため、光学素子の光学面に対応した母光学面を有する母型に対し、化学反応を通じて電鋳等を成長させることで、金型を製作する方法が提案されている(下記特許文献1乃至5)。この方法によれば、母型としての被塗布基材の表面に均一な膜厚のレジストを被覆し、そこに電子ビーム描画を行い、現像処理し、ドライエッチングを行い、電鋳処理を行って、光学素子成形用金型を得ることができる。
かかる被塗布基材は、従来、高脆性材料である単結晶シリコンの超延性モード切削により、時間とダイヤモンドバイトを消費して作製されている。その目的は、ドライエッチング工程において、公知技術の多いシリコンを用いることが有利だと考えられているからである。高脆性材料の単結晶シリコンの光学面加工は、シリコンの超延性モード加工が必須であるため、光学面の曲面形状の創製においては、「目標形状+5μm」まで研削により概形状を荒取り加工してから、単結晶ダイヤモンド工具などを用いたシングルポイントダイヤモンドターニング(SPDT)切削加工でシリコンの超延性モードにより切り込み量0.1μmのステップで切削しているため、時間のかかるものであり、効率がよいとはいえなかった。
また、下記特許文献5に開示された光学素子成形用金型の製作方法においては、母型材料に単結晶シリコンを採用する場合、その後の電鋳工程での電極となる別部材との接合が予め必要であるため、別に電極部材を設ける工程が増えていた。
特開2003−229416号公報
特開2003−149423号公報
特開2002−263553号公報
特開2004−89798号公報
特開2004−43951号公報
本発明は、上述のような従来技術の問題に鑑み、加工に時間がかからず効率よく製作できかつシリコンを用いたドライエッチングが可能な被塗布基材、その製造方法、その被塗布基材を用いた光学素子成形用金型母型の製造方法及び光学素子成形用金型の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明による被塗布基材は、レジストの塗布対象とされる被塗布基材であって、所望の表面形状を有する快削性金属材料にシリコン層が形成されたことを特徴とする。
この被塗布基材によれば、快削性金属材料は切削加工適性が高いので、その快削性金属材料を所望の表面形状に比較的効率・精度よく加工でき、その加工後の表面にシリコン層が形成されるので、加工に時間がかからず効率・精度よく製作できかつシリコンを用いたドライエッチングが可能となる。
上記被塗布基材において前記快削性金属材料を切削加工することで前記表面形状が所望の光学面と形状精度にされていることが好ましい。切削加工適性の高い快削性金属材料を切削加工することで、所望の光学面を精度よく加工できる。なお、本明細書で光学面とは、平均表面粗さRaが20nm以下のものをいう。
また、前記シリコン層は、前記被塗布基材の後工程のドライエッチングで形成される所定の構造の高さに相当する厚さを少なくとも有するように形成することで、シリコン層を後工程のドライエッチングで所定の構造に加工できる。
また、前記快削性金属材料は非磁性材料であることが好ましい。これにより、後工程の電子ビーム描画のときに悪影響を与えない。なお、かかる快削性金属材料として高純度アルミニウムや無酸素銅が好ましい。
本発明による、レジストの塗布対象とされる被塗布基材の製造方法は、快削性金属材料を所望の表面形状に加工し、前記快削性金属材料の表面にシリコン層を形成することを特徴とする。
この被塗布基材の製造方法によれば、快削性金属材料を所望の表面形状に比較的効率・精度よく加工でき、その加工後の表面にシリコン層が形成されるので、加工に時間がかからず効率・精度よく製作できる。後工程でシリコンを用いたドライエッチングが可能となる。
上記被塗布基材の製造方法において前記快削性金属材料を切削加工することで前記表面形状を所望の光学面と形状精度に形成することができる。なお、快削性金属材料の切削加工後で次のスパッタリング等の前に、アニーリングを行うことで、切削加工による残留応力を解放することが好ましい。
また、前記シリコン層はスパッタリング、CVD(化学気相成長法)または蒸着により形成できる。
また、前記シリコン層を前記被塗布基材の後工程のドライエッチングで形成される所定の構造の高さに相当する厚さに少なくとも形成することで、シリコン層を後工程のドライエッチングで所定の構造に加工できる。
また、前記快削性金属材料は非磁性材料であることことが好ましい。これにより、後工程の電子ビーム描画のときに悪影響を与えない。なお、かかる快削性金属材料として高純度アルミニウムや無酸素銅が好ましい。
本発明による光学素子成形用金型母型の製造方法は、上述の被塗布基材または上述の製造方法により製造された被塗布基材を用いて光学素子成形用金型母型を製造する方法であって、前記被塗布基材にレジスト層を形成する工程と、前記被塗布基材のレジスト層に電子ビーム描画を行う工程と、前記電子ビーム描画を行ったレジスト層を現像する工程と、前記現像されたレジスト層に対しドライエッチングを行う工程と、を含む。
この光学素子成形用金型母型の製造方法によれば、快削性金属材料で所望の表面形状に精度よく加工され、その表面にシリコン層が形成された被塗布基材を用いて、レジスト層を形成し、電子ビーム描画を行い、現像されたレジスト層に対しドライエッチングを行うことで、シリコン層を光学素子成形用金型母型のための所定の構造に精度よく形成できる。これにより、被塗布基材を所定の構造を有する光学素子成形用金型母型を得ることができる。
本発明による光学素子成形用金型の製造方法は、上述の被塗布基材または上述の製造方法により製造された被塗布基材を用いて光学素子成形用金型を製造する方法であって、前記被塗布基材にレジスト層を形成する工程と、前記被塗布基材のレジスト層に電子ビーム描画を行う工程と、前記電子ビーム描画を行ったレジスト層を現像する工程と、前記現像されたレジスト層に対しドライエッチングを行う工程と、を含む。
この光学素子成形用金型の製造方法によれば、快削性金属材料で所望の表面形状に加工され、その表面にシリコン層が形成された被塗布基材を用いて、レジスト層を形成し、電子ビーム描画を行い、現像されたレジスト層に対しドライエッチングを行うことで、シリコン層を光学素子成形用金型のための所定の構造に形成できる。これにより、被塗布基材から所定の構造を有する光学素子成形用金型を構成することができ、また、更に次の工程を実行することで光学素子成形用金型を得ることができる。
上記光学素子成形用金型の製造方法において前記ドライエッチング後の被塗布基材を母型として電鋳を行う工程と、前記電鋳による電鋳部材に裏打ち部材を取り付ける工程と、前記電鋳部材を前記母型から脱型する工程と、を更に含むことで、母型から所定の構造を有する光学素子成形用金型を得ることができる。また、母型となる被塗布基材は金属材料から構成されるので、従来のように母型材料に単結晶シリコンを採用した場合に予め別の電極部材を設けることは不要である。
本発明の被塗布基材及びその製造方法によれば、加工に時間がかからず効率よく製作できかつシリコンを用いたドライエッチングが可能な被塗布基材を実現できる。
また、本発明の被塗布基材を用いた光学素子成形用金型母型の製造方法及び光学素子成形用金型の製造方法によれば、被塗布基材のシリコン層を光学素子成形用金型母型または光学素子成形用金型のための所定の構造に精度よく形成できる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。図1は、本実施の形態にかかる金型の製造方法の主要な工程(ステップS01乃至S15)を示すフローチャートである。図2(a)乃至(d)は、図1に示す各工程において、金型母型となる被塗布基材を示す断面図である。なお、本実施の形態の金型は、回折輪帯及びレンズ機能を有する高密度回折光学素子を射出成形するためのものである。
本実施の形態による金型の製造方法の工程について図1,図2を参照して説明する。
まず、図2(a)のような高純度アルミニウムからなる略半球形の突状部10を有する被塗布基材11について荒加工する(S01)。この粗加工では、突状部10を例えば、目標形状の5μmまで加工する。この被塗布基材11が以下の各工程を経て回折レンズ成形用金型の母型となる。
次に、高純度アルミニウムからなる被塗布基材11を例えば300℃程度の温度でアニーリングする(S02)。この熱処理により切削加工による残留応力を解放することでき、次工程で形成される母光学面10aの形状精度を保つことができる。
次に、図2(a)の被塗布基材11を、後述の超精密旋盤であるSPDT加工機にセットする(S03)。そして、被塗布基材11を回転させなから、ダイヤモンド工具により被塗布基材11の突状部10を図2(b)に示すように切削加工することで、突状部10から母光学面(成形しようとする光学素子の光学曲面に対応する)10aを形成する(S04)。このとき、被塗布基材11は高純度アルミニウムからなるので、所望の母光学面に時間がかからずに効率よくかつ精度よく加工できる。また、母光学面10aは、後に形成するシリコン層12の膜厚分だけマイナスにして加工される。
次に、図2(b)の被塗布基材11についてスパッタリングを行い、図2(c)のように、母光学面10aを含めて被塗布基材11の表面に所定の膜厚でシリコン層12を形成する(S05)。
次に、図2(c)の被塗布基材11をスピンコータにセットし、液状のレジスト樹脂を被塗布基材11に滴下しながら被塗布基材11を回転させてレジスト樹脂を塗布する(S06)。そして、レジストの塗布された被塗布基材11をベーキングすることで(S07)、図2(d)のように被塗布基材11のシリコン層12上にレジスト層13を安定した状態で形成する。
図2(d)のレジスト層13が形成された被塗布基材11を後述する電子ビーム描画装置にセットし、電子ビームを照射することで、レジスト層13に所望の輪帯形状を描画する(S08)。そして、所定の現像液でレジスト層13の現像処理を行い(S09)、輪帯形状のレジスト層とする。
次に、プラズマシャワーによるドライエッチングを行い、被塗布基材11に形成された輪帯形状のレジスト層のパターンをシリコン層12に転写する(S10)。このプラズマエッチングにより、図2(e)のように母光学面10a上にブレーズ状の輪帯10bを形成する(図2(e)では、実際より誇張されて描かれている。)。上述のようにして加工処理された被塗布基材11が図2(e)のような母型Aとなる。
次に、母型Aに電極を直接セットし(S11)、スルファミン酸ニッケル浴中に、表面を活性処理した母型Aを浸し、図2(f)のように、母型Aと外部の電極14との間に電流を流すことで、電鋳部材20を成長させる(S12)。このとき、電鋳に先立ち母型Aの外周面A1に絶縁剤を塗布することで、絶縁剤が塗布された部分の電鋳形成を抑制できる。また、母型Aは、金属材料からなるので、母型Aに予め特別な電極部材を取り付ける必要がない。
電鋳部材20は、図2(f)のように、その成長の過程で、母光学面10aに精度良く対応した光学面転写面20aと、輪帯10bに精度良く対応した輪帯転写面20bとを形成する(光学面転写面20aと輪帯転写面20bを合わせて光学転写面と呼ぶ)。
次に、母型Aの外周面A1を基準として、母型Aと電鋳部材20とを一体で、SPDT加工機の回転軸と母型Aの光軸とを一致させるようにしてチャックに取り付け、電鋳部材20の外周面20cを切削加工する(S13)。これにより、母光学面の光軸は電鋳部材の回転中心と一致することとなる。なお、このステップS13で用いるSPDT加工機は、上述のステップS03,S04のSPDT加工機であるが、上述のステップS03,S04と異なるSPDT加工機を用いることも可能である。
加えて、図2(g)に示すように、電鋳部材20に、裏打ち部材との位置決め部としてのピン孔20d(中央)及びネジ孔20eを加工する。なお、ピン孔20dの代わりに円筒軸を形成しても良い。
次に、上述のような光学転写面を有する電鋳部材20を、上述のピン孔20d(中央)及びネジ孔20eを用いて裏打ち部材と一体化し(S14)、脱型する(S15)。この電鋳部材20を仕上げ加工することで成形用金型を得る(S16)。
以上のように、本実施の形態による金型の製造方法によれば、3次元電子ビーム描画装置を用いて高密度回折光学素子製作用の射出成形用金型を製作する過程において、レジストの塗布される被塗布基材を切削性に優れる材料に高精度で製作し、その最表層にドライエッチングで創製する回折構造の高さ分のシリコン層をスパッタリングで形成するので、被塗布基材を比較的時間がかからずに加工でき効率・精度よく製作できかつシリコンを用いたドライエッチングが可能となる。
従来、高脆性材料である単結晶シリコンの超延性モード切削により、時間とダイヤモンドバイトを消費して被塗布基材を作成してきたのに対し、本実施の形態では、SPDT加工適性の高純度アルミニウムのような快削性金属材料で被塗布基材を後に膜付けして得るシリコン層の厚さ分だけマイナスして製作しておき、スパッタリング等の膜付け方法によりシリコン層を形成することで、被塗布基材で所望の基材形状を精度よくしかも加工に比較的時間がかからずに効率よく得ることができる。
本実施の形態において被塗布基材11の材質である快削性金属材料は次のことが要求される。即ち、ダイヤモンドバイトで加工され、平均表面粗さRaが20nm以下の光学面を得るものであり、加工後の表面粗さが鏡面相当の粗さであること、バイトの摩耗量が少なくバイトの寿命が長いこと、切削加工時に硬さの差異が生じるような不純物がないこと、結晶粒界がないこと等が要求され、かかる要求を満たす材料として、高純度アルミニウム、無酸素銅等がある。
また、図1に示す本実施の形態による金型の製造方法は、図5のような階段状のエシュロン回折格子を有する光学素子を成形する成形金型母型・金型の製造に適用可能である。図5(a)のように、光学素子150は、その光学面151に回折構造としてエシュロン回折格子152が縞状に形成されている。エシュロン回折格子152は、図5(b)の断面図のように、エシュロン階段格子が例えば階段状に繰り返して形成されている。エシュロン回折格子152は、図5(b)のように、例えば、段数が4であり、全体の高さHを16μm、全体の幅Wを40μmに設定できる。なお、光学面151は、レンズ面であっても、平面であってもよい。
〈SPDT加工機〉
次に、上述の切削加工に用いることのできる超精密旋盤、例えば、SPDT(Single Point Diamond Turning)加工機の制御系の概略構成について、図3(a)及び図3(b)を参照しつつ説明する。
超精密旋盤100は、図3(a)に示すように、上述の被塗布基材11などのワーク110を固定するための回転保持部材である固定部111と、前記ワーク110に対して加工を施すための切削バイトの刃先であるダイアモンド工具112と、前記固定部111をZ軸方向に移動させるZ軸スライドテーブル120と、前記ダイアモンド工具112を保持しつつX軸方向(あるいは加えてY軸方向)に移動させるX軸スライドテーブル122と、Z軸スライドテーブル120及びX軸スライドテーブル122を移動自在に保持する定盤124と、を含んで構成されている。なお、固定部111もしくはダイアモンド工具112のいずれか一方又は双方を回転駆動するための不図示の回転駆動手段が設けされ、後述の制御手段138に電気的に接続されている。
また、超精密旋盤100は、図3(a)に示すように、Z軸スライドテーブル120の駆動を制御するZ方向駆動手段131と、X軸スライドテーブル122のX軸方向での駆動(あるいは加えてY軸方向での駆動)を制御するX方向駆動手段132及びY方向駆動手段133と、これらにより送り量を制御する送り量制御手段134と、切込量を制御する切込量制御手段135と、温度を制御する温度制御手段136と、各種制御条件や制御テーブルないしは処理プログラムを記憶した記憶手段137と、これら各部の制御を司る制御手段138と、を含んで構成される。
ダイアモンド工具112は、図3(b)に示すように、本体部分を構成するダイアモンドチップ113と、この先端部に構成された頂角αからなるすくい面114と、側面部を構成する第1逃げ面115、第2逃げ面116から構成される。このすくい面114に含まれる刃先には、予めないしは摩耗による複数の凹凸部114aが形成されている。
上述のような構成を有する超精密旋盤100では、セットされた母型Aであるワーク110に対して、ダイアモンド工具112が相対移動することによって、ワーク110の加工を行うこととなる。この際、ダイアモンド工具112は、刃先がRバイトの構成を有していることから、刃先の当たるポイントが順次変化し、摩耗に対しても強い。
本実施の形態においては、上述のような超精密旋盤を用いて、母型Aを加工する際には、温度コントロールを実施しながら、送り量、切込量を制御して曲面部の切削加工されることとなる。
〈電子ビーム描画装置〉
次に、上述のステップS08で用いることのできる電子ビーム描画装置の全体の概略構成について、図4を参照して説明する。図4は、本例の電子ビーム描画装置の全体構成を示す説明図である。
電子ビーム描画装置401は、図4に示すように、大電流で高解像度の電子線プローブを形成して高速に描画対象の上述の被塗布基材11上を走査するものであり、高解像度の電子線プローブを形成し、電子ビームを生成してターゲットに対してビーム照射を行う電子ビーム生成手段である電子銃412と、この電子銃412からの電子ビームを通過させるスリット414と、スリット414を通過する電子ビームの前記被塗布基材11に対する焦点位置を制御するための電子レンズ416と、電子ビームが出射される経路上に配設され開口により所望の電子ビームのビーム形状にするためのアパーチャー418と、電子ビームを偏向させることでターゲットである被塗布基材11上の走査位置等を制御する偏向器420と、偏向を補正する補正用コイル422と、を含んで構成されている。なお、これらの各部は、鏡筒410内に配設されて電子ビーム出射時には真空状態に維持される。
さらに、電子ビーム描画装置401は、描画対象となる被塗布基材11を載置するための載置台であるXYZステージ430と、このXYZステージ430上の載置位置に被塗布基材11を搬送するための搬送手段であるローダ440と、XYZステージ430上の被塗布基材11の表面の基準点を測定するための測定手段である測定装置480と、XYZステージ430を駆動するための駆動手段であるステージ駆動手段450と、ローダを駆動するためのローダ駆動装置460と、鏡筒410内及びXYZステージ430を含む筐体411内を真空となるように排気を行う真空排気装置470と、被塗布基材11上を観察する観察系491と、これらの制御を司る制御手段である制御回路492と、を含んで構成されている。
なお、電子レンズ416は、高さ方向に沿って複数箇所に離間して設置される各コイル417a、417b、417cの各々の電流値によって電子的なレンズが複数生成されることで各々制御され、電子ビームの焦点位置が制御される。
測定装置480は、被塗布基材11に対してレーザを照射することで被塗布基材11を測定する第1のレーザ測長器482と、第1のレーザ測長器482にて発光されたレーザ光(第1の照射光)が被塗布基材11を反射しその反射光を受光する第1の受光部484と、前記第1のレーザ測長器482とは異なる照射角度から照射を行う第2のレーザ測長器486と、前記第2のレーザ測長器486にて発光されたレーザ光(第2の照射光)が被塗布基材11を反射しその反射光を受光する第2の受光部488と、を含んで構成されている。
ステージ駆動手段450は、XYZステージ430をX方向に駆動するX方向駆動機構452と、XYZステージ430をY方向に駆動するY方向駆動機構454と、XYZステージ430をZ方向に駆動するZ方向駆動機構456と、XYZステージ430をθ方向に駆動するθ方向駆動機構458と、を含んで構成されている。これによって、XYZステージ430を3次元的に動作させたり、アライメントを行うことができる。
なお、制御回路492は、図示しないが、電子銃412に電源を供給するための電子銃電源部、この電子銃電源部での電流、電圧などを調整制御する電子銃制御部、電子レンズ416(複数の各電子的なレンズを各々)を動作させるためのレンズ電源部、このレンズ電源部での各電子レンズに対応する各電流を調整制御するレンズ制御部、を含んで構成される。
さらに、制御回路492は、補正用コイル422を制御するためのコイル制御部、偏向器420にて成形方向の偏向を行う成形偏向部、偏向器420にて副走査方向の偏向を行うための副偏向部、偏向器420にて主走査方向の偏向を行うための主偏向部、電子ビームの電界を制御する電界制御手段である電界制御回路、描画パターンなどを前記被塗布基材11に対して生成するためのパターン発生回路、各種レーザ制御系、ステージ駆動手段450を制御するためのステージ制御回路、ローダ駆動装置460を制御するローダ制御回路、測定情報を入力するための測定情報入力部、入力された情報や他の複数の情報を記憶するための記憶手段であるメモリ、各種制御を行うための制御プログラムを記憶したプログラムメモリ、各部を備えた制御系、これらの各部の制御を司る例えばCPUなどにて形成された制御部、を含んで構成されている。
上述のような構成を有する電子ビーム描画装置401において、ローダ440によって搬送された被塗布基材11がXYZステージ430上に載置されると、真空排気装置470によって鏡筒410及び筐体411内の空気やダストなどを排気したした後、電子銃412から電子ビームが照射される。
電子銃412から照射された電子ビームは、電子レンズ416を介して偏向器420により偏向され、偏向された電子ビームB(以下、この電子レンズ416を通過後の偏向制御された電子ビームに関してのみ「電子ビームB」と符号を付与することがある)は、XYZステージ430上の被塗布基材11の表面、例えば曲面部(曲面)12上の描画位置に対して照射されることで描画が行われる。
この際に、測定装置480によって、被塗布基材11上の描画位置(描画位置のうち少なくとも高さ位置)、もしくは後述するような基準点の位置が測定され、制御回路492は、その測定結果に基づき、電子レンズ416のコイル417a、417b、417cなどに流れる各電流値などを調整制御して、電子ビームBの焦点深度の位置、すなわち焦点位置を制御し、その焦点位置が前記描画位置となるように移動制御される。
または、測定結果に基づき、制御回路492は、ステージ駆動手段450を制御することにより、電子ビームBの焦点位置が前記描画位置となるようにXYZステージ430を移動させる。また、本例においては、電子ビームの制御、XYZステージ430の制御のいずれか一方の制御によって行っても、双方を利用して行ってもよい。
次に、測定装置480の第1のレーザ測長器482により電子ビームと交差する方向から被塗布基材11に対して第1の光ビームS1を照射し、被塗布基材11を透過する第1の光ビームS1の受光によって、第1の光強度分布が検出される。
この際に、第1の光ビームS1は、被塗布基材11の底部にて反射されるため、第1の強度分布に基づき、被塗布基材11の平坦部上の(高さ)位置が測定算出されることになる。しかし、この場合には、被塗布基材11の母光学面10a上の(高さ)位置を測定することができない。そこで、本例においては、さらに第2のレーザ測長器486を設けている。即ち、第2のレーザ測長器486によって、第1の光ビームS1と異なる電子ビームとほぼ直交する方向から被塗布基材11に対して第2の光ビームS2を照射し、被塗布基材11を透過する第2の光ビームS2が第2の受光部488にて受光されることによって、第2の光強度分布が検出され、これに基づき、位置が測定算出される。そして、この被塗布基材11の高さ位置を、例えば描画位置として、電子ビームの焦点位置の調整が行われ描画が行われることとなる。
次に、被塗布基材にシリコン層を形成し、レジスト塗布、電子ビーム描画工程を経てプラズマによるドライエッチングによりレジストパターンをシリコン層に転写する実施例について説明する。レジストパターンは図6のような4段の階段状であり、最大高さは4μmである。
Siスパッタリングを次のようにして行い、シリコン層を形成した。高純度アルミニウムからなるサンプルをスパッタリング装置にセットした後、5×10−4Paの高真空まで排気する。その後、サンプルの温度が180度になるように加熱し、温度が充分安定するまで1時間程度時間をおく。温度も安定し、真空度も充分に高真空(望ましくは、5×10−4Pa以下)であることを確認した後、Arガスを10sccm程度導入し、コンダクタンスバルブを調整して真空度が0.1Paになるようにする。圧力が安定したら、Rfパワーを350Wとしターゲット側に印加し、そのまま10分〜30分RFパワーを印加し続け、ターゲット裏面の自然酸化膜や不純物をとばす。しかる後、シャッタを開け、サンプルに対しスパッタリングを始め、サンプルへの成膜を開始する。約10時間スパッタリングを行ってから、RFパワーをオフにし、充分冷えるのを待って窒素やAr等の不活性ガスでパージし、サンプルを取り出す。上述の条件の下で、約10時間の成膜でサンプル上に20μmのシリコン膜厚が均一に得られた。
なお、場合によっては、成膜に先立ち、Arガス雰囲気下でサンプル側からRF電力を与えてプラズマを点灯する逆スパッタリングを行い、サンプル表面の洗浄および活性化を行ってもよい。また、Arガスの流量、反応圧力、基板温度等の成膜条件は、成膜する膜厚や膜質、また、サンプルの焼鈍温度や成膜後の歪を勘案して決めることが好ましい。
次に、サンプルのシリコン層へのレジスト塗布及び電子ビーム描画工程を経てから、以下のエッチング装置およびエッチングプロセス条件でドライエッチングを行った。
装置:株式会社アルバック
型式・装置名:CE300I ICPエッチング装置
プロセスガス:SF6×5sccm、O2×5sccm、HBr×5sccm
ガス圧:0.6Pa
高周波アンテナ出力:110W
バイアス出力:6W
装置:株式会社アルバック
型式・装置名:CE300I ICPエッチング装置
プロセスガス:SF6×5sccm、O2×5sccm、HBr×5sccm
ガス圧:0.6Pa
高周波アンテナ出力:110W
バイアス出力:6W
本実施例で図6のサンプル上に形成したレジストパターンでシリコン層に複数形成したエシュロン形状の走査型電子顕微鏡写真を図7(a)、(b)に示す。サンプルのシリコン層上に複数のエシュロン構造を精度よく形成できた。
以上のように本発明を実施するための最良の形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で各種の変形が可能である。例えば、本実施の形態による被塗布材を、回折輪帯及びレンズ機能を有する光学素子の成形用金型母型・金型の製造に適用した例及びエシュロン回折格子を有する光学素子を成形する成形金型の製造に適用した例について説明したが、これら以外の光学素子の成形用金型母型・金型の製造に適用してもよいことは勿論である。また、本発明による被塗布基材または本発明の製造方法により得た被塗布基材は、光学素子以外の精密部品を成形する金型母型・金型の製造に用いてもよい。
また、本実施の形態及び本実施例では、シリコン層をスパッタリングで形成したが、本発明はこれに限定されず、CVDまたは蒸着等により形成してもよい。
10 突状部
10a 母光学面
10b ブレーズ状の輪帯
11 被塗布基材
12 シリコン層
13 レジスト層
14 電極
20 電鋳部材
20a 光学面転写面
20b 輪帯転写面
100 超精密旋盤
110 ワーク
112 ダイアモンド工具
113 ダイアモンドチップ
150 光学素子
151 光学面
152 エシュロン回折格子
401 電子ビーム描画装置
A 母型
10a 母光学面
10b ブレーズ状の輪帯
11 被塗布基材
12 シリコン層
13 レジスト層
14 電極
20 電鋳部材
20a 光学面転写面
20b 輪帯転写面
100 超精密旋盤
110 ワーク
112 ダイアモンド工具
113 ダイアモンドチップ
150 光学素子
151 光学面
152 エシュロン回折格子
401 電子ビーム描画装置
A 母型
Claims (12)
- レジストの塗布対象とされる被塗布基材であって、所望の表面形状を有する快削性金属材料にシリコン層が形成されたことを特徴とする被塗布基材。
- 前記快削性金属材料を切削加工することで前記表面形状が所望の光学面と形状精度にされていることを特徴とする請求項1に記載の被塗布基材。
- 前記シリコン層は、前記被塗布基材の後工程のドライエッチングで形成される所定の構造の高さに相当する厚さを少なくとも有することを特徴とする請求項1または2に記載の被塗布基材。
- 前記快削性金属材料は非磁性材料であることを特徴とする請求項1,2または3に記載の被塗布基材。
- 快削性金属材料を所望の表面形状に加工し、
前記快削性金属材料の表面にシリコン層を形成することを特徴とするレジストの塗布対象とされる被塗布基材の製造方法。 - 前記快削性金属材料を切削加工することで前記表面形状を所望の光学面と形状精度に形成したことを特徴とする請求項5に記載の被塗布基材の製造方法。
- 前記シリコン層はスパッタリング、CVDまたは蒸着により形成されることを特徴とする請求項5または6に記載の被塗布基材の製造方法。
- 前記シリコン層を前記被塗布基材の後工程のドライエッチングで形成される所定の構造の高さに相当する厚さに少なくとも形成することを特徴とする請求項5,6または7に記載の被塗布基材の製造方法。
- 前記快削性金属材料は非磁性材料であることを特徴とする請求項5乃至8のいずれか1項に記載の被塗布基材の製造方法。
- 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の被塗布基材または請求項5乃至9のいずれか1項に記載の製造方法により製造された被塗布基材を用いて光学素子成形用金型母型を製造する方法であって、
前記被塗布基材にレジスト層を形成する工程と、
前記被塗布基材のレジスト層に電子ビーム描画を行う工程と、
前記電子ビーム描画を行ったレジスト層を現像する工程と、
前記現像されたレジスト層に対しドライエッチングを行う工程と、を含む光学素子成形用金型母型の製造方法。 - 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の被塗布基材または請求項5乃至9のいずれか1項に記載の製造方法により製造された被塗布基材を用いて光学素子成形用金型を製造する方法であって、
前記被塗布基材にレジスト層を形成する工程と、
前記被塗布基材のレジスト層に電子ビーム描画を行う工程と、
前記電子ビーム描画を行ったレジスト層を現像する工程と、
前記現像されたレジスト層に対しドライエッチングを行う工程と、を含む光学素子成形用金型の製造方法。 - 前記ドライエッチング後の被塗布基材を母型として電鋳を行う工程と、
前記電鋳による電鋳部材に裏打ち部材を取り付ける工程と、
前記電鋳部材を前記母型から脱型する工程と、を更に含む請求項11に記載の光学素子成形用金型の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004200431A JP2006021941A (ja) | 2004-07-07 | 2004-07-07 | 被塗布基材、その製造方法、その被塗布基材を用いた光学素子成形用金型母型の製造方法、及び光学素子成形用金型の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2004200431A JP2006021941A (ja) | 2004-07-07 | 2004-07-07 | 被塗布基材、その製造方法、その被塗布基材を用いた光学素子成形用金型母型の製造方法、及び光学素子成形用金型の製造方法 |
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JP2006021941A true JP2006021941A (ja) | 2006-01-26 |
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ID=35795489
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JP2004200431A Pending JP2006021941A (ja) | 2004-07-07 | 2004-07-07 | 被塗布基材、その製造方法、その被塗布基材を用いた光学素子成形用金型母型の製造方法、及び光学素子成形用金型の製造方法 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2006021941A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013210638A (ja) * | 2013-04-17 | 2013-10-10 | Dnp Fine Chemicals Co Ltd | 反射防止膜及びその製造方法 |
-
2004
- 2004-07-07 JP JP2004200431A patent/JP2006021941A/ja active Pending
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