JP2006021335A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 露光用表示パネルの表示解像度による制約を受けずに高い印刷解像度を得ることができる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】 本発明の画像形成装置Xは、露光手段としての表示パネル3、および移動手段を備える。表示パネルは、パック2内の感光性記録媒体に露光スポットを形成するための、マトリクス状に配された複数の表示素子を有する。移動手段は、感光性記録媒体に形成された複数の露光スポットの間に複数の表示素子により複数の露光スポットを形成することが可能な位置に、感光性記録媒体に対して表示パネルを相対移動させ得るように構成されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、感光方式により感光性記録媒体に画像を形成するための画像形成装置に関し、特に、感光性記録媒体を露光するための手段として表示パネルを有する画像形成装置に関する。
感光性記録媒体に画像を形成するための画像形成装置としては、露光手段として表示パネルを具備するものが知られている。そのようなパネル露光型の画像形成装置については、例えば下記の特許文献1に記載されている。例えば特許文献1に記載されている従来の画像形成装置による画像形成においては、まず、形成目的の画像に相当する映像が表示パネルに表示され、当該表示パネルからの光により、感光フィルムなどの感光性記録媒体が露光される。この後、感光性記録媒体に対して所定の手法で現像処理が施される。このようにして、感光性記録媒体において目的画像が形成される。表示パネルとしては、例えば液晶パネルが採用される。
特開2001−199100号公報
このような従来の画像形成装置では、目的画像に相当する映像が表示パネルに表示されている状態で感光性記録媒体が露光されるため、表示パネルの表示解像度は、装置の印刷解像度に対して直接的な影響を及ぼす。また、装置の印刷解像度が高いほど、感光性記録媒体に形成される画像の精細度は高く、良好な画質が得られやすい。したがって、例えば特許文献1に記載されている従来の画像形成装置において、形成画像について高精細度や高画質を得るべく印刷解像度を向上するためには、表示パネルの表示解像度を向上することが考えられる。
表示パネルの表示解像度を向上するためには、当該表示パネルの画素を構成する表示素子の形成ピッチを小さくして表示素子の形成密度を高める必要がある。しかしながら、表示素子の形成ピッチについては、それが小さくなるほど、更なる狭小化を図ることが技術的に困難となる傾向がある。そのため、表示素子形成ピッチについては、表示パネルについて要求される高表示解像度が得られる程度にまで小さくは、設定できない場合がある。すなわち、表示パネルの表示解像度は、技術的に実現し得る表示素子形成ピッチによる制約を受けるのである。したがって、パネル露光型の従来の画像形成装置においては、このように制約される表示パネルの表示解像度による制約を受けて、充分な高印刷解像度を実現できない場合がある。
本発明は、このような事情のもとで考え出されたものであって、露光用表示パネルの表示解像度による制約を受けずに高い印刷解像度を得ることができる画像形成装置を提供することを、目的とする。
本発明の第1の側面により提供される画像形成装置は、露光手段としての表示パネル、および移動手段を備える。表示パネルは、各々が光を出射して感光性記録媒体に露光スポットを形成するための、マトリクス状に配された複数の表示素子を有する。移動手段は、感光性記録媒体に形成された複数の露光スポットの間に複数の表示素子により複数の露光スポットを形成することが可能な位置に、感光性記録媒体に対して表示パネルを相対移動させるための、機能を担う。露光スポットとは、単一の表示素子から出射された光により露光されることによって生ずる感光性記録媒体上の露光素領域である。また、複数の表示素子についてマトリクス状に配されるとは、複数の表示素子が、互いに離隔しつつ、複数行および複数列からなる行列(マトリクス)を構成する行列要素のように配列している状態を意味する。
本発明の第1の側面の画像形成装置によると、表示パネルによる感光性記録媒体の露光と、移動手段による表示パネルおよび感光性記録媒体の相対移動とを、繰り返すことができる。このような本画像形成装置により画像を形成するに際しては、まず、表示パネルの複数の表示素子にて所定の映像パターンを表示させた状態において、当該表示パネルにより感光性記録媒体を露光する(第1の露光ステップ)。本ステップでは、所定の映像パターンを構成する複数の表示素子から出射した光が、いずれの箇所も未だ露光されていない初期状態の感光性記録媒体に対して照射され、当該感光性記録媒体において複数の露光スポットが形成される。形成された複数の露光スポットは、感光性記録媒体上において相互に離隔している。本画像形成装置による画像形成においては、次に、移動手段(送り機構)の作動により、感光性記録媒体に対する表示パネルの相対位置を変化させる(送りステップ)。本ステップでは、感光性記録媒体において既に形成されている露光済箇所(複数の露光スポットよりなる)以外の箇所(即ち未露光箇所)に対して表示パネルによる露光によって複数の露光スポットを形成することが可能な位置に、表示パネルが至るように、感光性記録媒体に対して表示パネルを相対移動させる。本画像形成装置による画像形成においては、次に、表示パネルの複数の表示素子にて所定の映像パターンを表示させた状態において、当該表示パネルにより感光性記録媒体を露光する(第2の露光ステップ)。本ステップでは、所定の映像パターンを構成する複数の表示素子から出射した光が、感光性記録媒体において既に形成されている露光済箇所以外の未露光箇所に対して照射され、当該感光性記録媒体において新たに複数の露光スポットが形成される。この後、必要に応じて、送りステップおよび第2の露光ステップが、所定数、交互に繰り返される。第1および第2の露光ステップにて表示パネルに表示される各映像パターンは、形成目的の画像の一部に相当し、露光ステップを経るごとに、目的画像の一部に対応する露光済箇所が感光性記録媒体上に形成されることとなる。また、第1の露光ステップにおける映像パターン、および、行われる全ての第2の露光ステップにおける映像パターンの合成は、形成目的の画像に対応する映像に相当する。本画像形成装置による画像形成においては、目的画像全体に対応する露光済箇所が感光性記録媒体上に完成するまで、第2の露光ステップおよび送りステップが、所定数、交互に繰り返され、当該所定数は、表示パネルの表示素子の形成ピッチや、各送りステップにおける移動手段による感光性記録媒体および表示パネルの相対移動ピッチなどとの関係に応じて、決定される。
このような画像形成過程において、各露光ステップにて感光性記録媒体上に生じる露光スポットの形成密度(ないし形成ピッチ)は、表示パネルの表示解像度(ないし表示素子の形成ピッチ)に対応する。しかしながら、複数の露光ステップを経て最終的に感光性記録媒体上に得られる目的画像は、単一の露光ステップにて生ずる露光スポットの形成密度よりも高密度の露光スポットにより構成されることとなる。目的画像を構成する全露光スポットの形成密度は、本画像形成装置の印刷解像度に対応する。このように、本画像形成装置によると、露光用表示パネルの実際の表示解像度を越える高解像度に対応する印刷解像度を達成することができる。すなわち、本画像形成装置によると、露光用表示パネルの表示解像度による制約を受けずに高い印刷解像度を得ることができるのである。
本発明の第2の側面により提供される画像形成装置は、各々が光を出射して感光性記録媒体に露光スポットを形成するための複数の表示素子を有する表示パネルと、感光性記録媒体に対して表示パネルを相対移動させるための移動手段とを備え、複数の表示素子は、第1方向に第1ピッチで離隔し且つ当該第1方向に交差する第2方向に第2ピッチで離隔するマトリクス状に配され、移動手段は、感光性記録媒体に対して表示パネルを第1方向および第2方向の少なくとも一方に移動させることが可能であることを特徴としている。複数の表示素子についてマトリクス状に配されるとは、複数行および複数列からなる行列(マトリクス)を構成する行列要素のように、複数の表示素子が配列している状態を意味する。また、表示素子について第1方向に第1ピッチで離隔するとは、マトリクス状に配された複数の表示素子において例えば行を構成する一群の表示素子が、当該行の延び方向(第1方向)において第1ピッチで配され、且つ、相互に離隔している状態を意味する。同様に、表示素子について第2方向に第2ピッチで離隔するとは、マトリクス状に配された複数の表示素子において例えば列を構成する一群の表示素子が、当該列の延び方向(第2方向)において第2ピッチで配され、且つ、相互に離隔している状態を意味する。
本発明の第2の側面に係る画像形成装置によると、第1の側面の画像形成装置によるのと同様に、表示パネルによる感光性記録媒体の露光と、移動手段による表示パネルおよび感光性記録媒体の相対移動とを、繰り返すことができる。したがって、本発明の第2の側面の画像形成装置による画像形成過程においても、各露光ステップにて感光性記録媒体上に生じる露光スポットの形成密度は、表示パネルの表示解像度に対応するが、複数の露光ステップを経て最終的に感光性記録媒体上に得られる目的画像は、単一の露光ステップにて生ずる露光スポットの形成密度よりも高密度の露光スポットにより構成されることとなる。このように、本発明の第2の側面の本画像形成装置によると、第1の側面の画像形成装置と同様に、露光用表示パネルの表示解像度による制約を受けずに高い印刷解像度を得ることができる。
本発明の第2の側面において、好ましくは、第1方向において隣り合う表示素子間の距離は、表示素子における第1方向の寸法より長い。また、好ましくは、第2方向において隣り合う表示素子間の距離は、表示素子における第2方向の寸法より長い。これらの構成は、異なる露光ステップにおいて感光性記録媒体上に生ずる異なる露光スポットどうしが不当に重ならないようにするうえで好適であり、従って、最終的に得られる画像において、露光スポットが不当に重なることに起因する画像ムラの発生を抑制するうえで、好適である。
本発明の第1および第2の側面において、好ましくは、感光性記録媒体と表示パネルとの間に正立等倍レンズを更に備える。このような構成は、感光性記録媒体上に良好な画像を形成するうえで好適である。
本発明の第1および第2の側面において、好ましくは、表示素子は有機EL素子である。すなわち、本発明における表示パネルとしては、各表示素子が有機EL素子よりなる有機ELパネルが好ましい。有機ELパネルは、自発光型の表示パネルであるのでバックライト等を必要とせず、バックライト等を必要とする例えば液晶パネルよりも、一般に、消費電力が少なく、また、軽量かつ薄型である。したがって、本発明の画像形成装置において表示パネルとして有機ELパネルを具備する構成は、本装置の電力消費量を低減するうえで、また、本装置の軽量化および薄型化を図るうえで、好適である。
図1から図3は、本発明に係る画像形成装置Xを表す。図1は、画像形成装置Xの分解斜視図であり、図2は、画像形成装置Xの内部構造を概略的に表す平面図である。また、図3は、画像形成装置Xの部分断面図である。
画像形成装置Xは、筐体1と、フィルムパック2と、有機ELパネル3と、レンズユニット4と、アクチュエータ5と、一対のプラテンローラ6とを備える。
筐体1は、図1に示すように、開口部11と、蓋体12と、送出口13とを有し、中空の略矩形状に構成されている。開口部11は、フィルムパック2を筐体1の内外へ出し入れ可能とするために設けられたものである。蓋体12は、この開口部11を開閉するためのものであり、2つの凸部12aを有する。各凸部12aは、蓋体12が開口部11を閉塞している状態において筐体1の内部に延出する。送出口13は、筐体1の側壁における所定の箇所に設けられており、画像形成装置Xによる画像形成過程を経た後述の感光フィルム22(図3に示す)を本装置ないし筐体1の外部に送り出し可能とするためのものである。
フィルムパック2は、図3に示すように、ケース21と、複数の感光フィルム22と、支持板23と、板バネ部材24とを有する。複数の感光フィルム22、支持板23、および板バネ部材24は、支持板23が感光フィルム22と板バネ部材24の間に介在する態様で、ケース21内に収容されている。板バネ部材24は、ケース21内において、支持板23とともに感光フィルム22を図中下方へ付勢する。フィルムパック2の有する感光フィルム22の数は、図示した数には限られない。
ケース21は、複数の開口部21a,21b,21cを有する。開口部21aは、感光フィルム22における所定面をケース21外に露出させるためのものである。2つの開口部21bは、各々、上述の蓋体12の凸部12aに対応した箇所に設けられている。蓋体12が筐体1の開口部11を閉塞している状態では、各凸部12aは、対応する開口部21bを介してケース21内に突出し、支持板23に対して開口部21a側に向けた押圧力を作用させることができる。開口部21cは、ケース21の側壁に設けられており、感光フィルム22をケース21外に送り出し可能とするためのものである。また、開口部21cは、ケース21内への埃などの侵入を抑制するためのカーテン25により覆われている。
感光フィルム22は、図4に示すように、透明基材22aと、感光層22bと、透明カバー22cと、接着シート22dと、現像液パック22eと、トラップ材22fとを備え、透明基材22a、感光層22b、および透明カバー22cよりなる積層構造を有する。図4は、図3に示す感光フィルム22の断面を具体的に表したものである。接着シート22dは、その矢印AB方向の中間部に開口部22d’を有して透明カバー22c上に積層されており、その矢印AB方向の両端部が折り返されて基材22aに接着されている。現像液保持パック22eは、感光フィルム22の矢印AB方向の一端部に設けられ、感光層22bの一端部により包み込まれ、更に接着シート22dの一端部により包み込まれている。トラップ材22fは、感光フィルム22の矢印AB方向の他端部に設けられており、接着シート22dの他端部により包み込まれている。このトラップ材22fは、後述の現像処理において感光層22bを通過した現像液を捕捉するための部位である。このような感光フィルム22は、透明基材22aの側から感光層22bに光が照射されることによって露光される。また、感光層22bにて形成される画像は、透明カバー22cの側から視認される。
図5は、有機ELパネル3の全体を概略的に表したものである。有機ELパネル3は、基板31と、カバー32と、複数の表示素子33と、駆動IC34とを備える。また、有機ELパネル3は、例えば、線順次方式によるパッシブ駆動によって各表示素子33を駆動させるように構成されている。
基板31は、透明基板であり、例えば透明ガラスや透明樹脂よりなる。基板31は、第1面31aおよび第2面31bを有し、且つ、表示素子配置領域31Aおよびこれを囲む周縁領域31Bに区分される。図5では、両領域31A,31Bの境界を破線で表す。表示素子配置領域31Aは、有機ELパネル3における有効表示領域(表示画面)に相当する部位である。第2面31bは、画像形成装置X内において、レンズユニット4を介してフィルムパック2ないし感光フィルム22に対向する。
カバー32は、基板31の第1面31aの側において周縁領域31Bに対して所定のシール部材35を介して接合される。これにより、カバー32と基板31との間は密閉状態とされている。このようなカバー32は、例えば、ガラス、セラミック、樹脂などの絶縁材料よりなる。
複数の表示素子33は、基板31の第1面31a側において、表示素子配置領域31A上にマトリクス状に配置されている。具体的には、第1面31a上にパターン形成された複数のアノード36と、この上に重なるようにパターン形成された複数の有機EL膜(図示略)と、この上に重なるようにパターン形成された複数のカソード37とからなる積層構造において、アノード36とカソード37の交差箇所に各表示素子33が構成されている。
各アノード36は、第1面31a上に例えばITO(Indium Tin Oxide)膜を蒸着した後にエッチング処理などを施すことにより形成される透明電極であり、図5の矢印AB方向に延びる。各有機EL膜は、アノード36上に形成されており、例えば、アノード36上に順次積層形成されたホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、および電子注入層よりなる。発光層は蛍光性の有機物質を含み、発光層を構成するための蛍光性有機物質を選択することにより、各有機EL膜の発する光の色を赤色、緑色、または青色などに設定することができる。本実施形態では、各アノード36上の各有機EL膜は、発光色について矢印B方向に赤色、青色、緑色の順となるように配列している。各カソード37は、有機EL膜の上方から例えばアルミニウム膜を蒸着した後にエッチング処理などを施すことにより形成される電極であり、図5の矢印CD方向に延びる。また、各表示素子33は、アノード36およびカソード37の間に所定電圧を印加すると有機EL膜の発光層中の蛍光性有機物質が発光するように構成されている。
図6は、第1面31a上での表示素子33(表示素子33R,33B,33G)の配列態様の一部を模式的に表す。図6において、表示素子33Rは赤色光を発する赤色表示素子、表示素子33Bは青色光を発する青色表示素子、表示素子33Gは緑色光を発する緑色表示素子を意味する。
表示素子33R,33B,33Gは、矢印AB方向に第1ピッチP1で離隔し且つ矢印CD方向に第2ピッチP2で離隔して、マトリクス状(行列状)に配置されている。第1ピッチP1は、矢印AB方向において隣り合う表示素子33R,33B,33G間の距離S1(例えば33.5μm)と、矢印AB方向における各表示素子33R,33B,33Gについての長さW1(例えば13.5μm)との和(例えば47.0μm)であり、距離S1が長さW1より大きくなるように設定されている。第2ピッチP2は、矢印CD方向において隣り合う表示素子33R,33B,33G間の距離S2(例えば85.5μm)と、矢印CD方向における各表示素子33R,33B,33Gについての長さW2(例えば55.5μm)との和(例えば141μm)であり、距離S2が長さW2より大きくなるように設定されている。表示素子33R,33B,33Gの配列は、図示したものには限られず、必要に応じて適宜に設定すればよい。
駆動IC34は、有機ELパネル3の外部からフレキシブルケーブル(図示略)などを介して供給される電力や各種信号に基づき、一組のアノード36およびカソード37の間の印加電圧を制御するものである。また、駆動IC34は、図5に示すように、カバー32の上面32aに実装されており、各アノード36および各カソード37に対し、各々異なる配線38を介して接続されている。
有機ELパネル3においては、駆動IC34の作動により、基板31における第1面31a上の全ての表示素子33の発光状態が制御されて所望の画像が表示される。各表示素子33から発せられた光は、基板31を通過して第2面31bから出射される。有機ELパネル3における当該第2面31bは、上述のように、レンズユニット4を介してフィルムパック2ないし感光フィルム22に対向している。
レンズユニット4は、有機ELパネル3が表示する画像を感光フィルム22に正立等倍で結像させるためのものであり、例えば、正立等倍像を形成するための、相互に並列する複数のロッドレンズを有する。また、レンズユニット4は、有機ELパネル3に対して固定されている。
アクチュエータ5は、有機ELパネル3およびこれに固定されているレンズユニット4を感光フィルム22に対して所定の態様で移動させるためのものであり、図2に示すように、送り機構5A,5Bと制御装置(図示略)とを備える。送り機構5Aは、矢印AB方向に延びる一対のガイドレール51aと、当該ガイドレール51aに沿って並進駆動可能な合計4個のスライダ52aとからなる。一方、送り機構5Bは、矢印CD方向に延びる一対のガイドレール51bと支持プレート52bとからなる。各ガイドレール51bの両端は、異なるガイドレール51aに案内される2つのスライダ52aに固定されている。支持プレート52bは、有機ELパネル3およびこれに固定されているレンズユニット4を保持するためのものであり、2本のガイドレール51bに沿って並進駆動可能に設けられている。このようなアクチュエータ5において、スライダ52aおよび支持プレート52bの並進駆動は、各々、制御装置からの制御信号に基づいて制御される。また、図2では、支持プレート52b上に保持されている有機ELパネル3およびレンズユニット4の上位に位置するフィルムパック2(感光フィルム22を内包している)を二点鎖線で表す。
一対のプラテンローラ6は、画像形成装置Xによる画像形成過程においてフィルムパック2から送り出される感光フィルム22を引き出しつつ搬送し、筐体1の送出口13を介して筐体1の外部に送り出すためのものである。更に、一対のプラテンローラ6は、感光フィルム22がプラテンローラ6間を通過する際に現像液保持パック22eに押圧力を作用させ、この現像液保持パック22eから現像液を押し出して感光層22bの全面に拡げる役割をも果たす。
図7および図8は、画像形成装置Xにより感光フィルム22に画像を形成する際の動作を説明するための説明図である。
画像形成装置Xによる画像形成においては、まず、アクチュエータ5の作動により、レンズユニット4を伴う有機ELパネル3を所定の初期位置に移動させた後(以降、レンズユニット4は有機ELパネル3に伴って移動する)、有機ELパネル3の複数の表示素子33R,33B,33G(図6参照)にて所定の映像パターンを表示させた状態において、当該有機ELパネル3により感光フィルム22の感光層22bを露光することによって、図7(a)に示すように、感光層22bに露光スポット22R,22B,22Gを形成する(初期露光ステップ)。所定の映像パターンは、感光フィルム22に形成することを目的とする画像の一部に対応する映像である。本ステップでは、有機ELパネル3の表示素子33R,33B,33Gから出射された光は、当該有機ELパネル3の基板31とレンズユニット4とを通過して感光フィルム22の感光層22bに到達し、これにより、感光層22bに露光スポット22R,22B,22Gが形成される。露光スポット22Rは表示素子33Rからの赤色光が到達して感光層22bに形成された露光素領域、露光スポット22Bは表示素子33Bからの青色光が到達して感光層22bに形成された露光素領域、露光スポット22Gは表示素子33Gからの緑色光が到達して感光層22bに形成された露光素領域である。本ステップにて形成される露光スポット22R,22B,22Gは、有機ELパネル3の表示素子33R,33B,33Gの形成ピッチ(第1ピッチP1,第2ピッチP2)に対応するピッチで離隔している。
次に、アクチュエータ5においてガイドレール51aに沿ってスライダ52aを矢印B方向に並進駆動させることにより、有機ELパネル3を上述の初期位置から矢印B方向に第1ピッチP1の3/2の長さ(例えば70.5μm)移動させる(送りステップ)。
次に、有機ELパネル3の複数の表示素子33R,33B,33Gにて所定の映像パターンを表示させた状態において、当該有機ELパネル3により感光フィルム22の感光層22bを露光することによって、図7(b)に示すように、感光層22bに新たな露光スポット22R,22B,22Gを形成する(後続露光ステップ)。図の明確化の観点より、新たに形成された露光スポット22R,22B,22Gについてはクロスハッチングを付して表す。本ステップでは、有機ELパネル3の表示素子33R,33B,33Gから出射された光は、当該有機ELパネル3の基板31とレンズユニット4とを通過して感光フィルム22の感光層22bに到達し、これにより、感光層22bに既に形成されている露光スポット間に新たな露光スポット22R,22B,22Gが形成される。
次に、アクチュエータ5においてガイドレール51bに沿って支持プレート52bを矢印D方向に並進駆動させることにより、有機ELパネル3を上述の初期位置から矢印D方向に第2ピッチP2の1/2の長さ(例えば70.5μm)移動させる(送りステップ)。
次に、有機ELパネル3の複数の表示素子33R,33B,33Gにて所定の映像パターンを表示させた状態において、当該有機ELパネル3により感光フィルム22の感光層22bを露光することによって、図8(a)に示すように、感光層22bに新たな露光スポット22R,22B,22G(クロスハッチングを付して表す)を形成する(後続露光ステップ)。本ステップでは、有機ELパネル3の表示素子33R,33B,33Gから出射された光は、当該有機ELパネル3の基板31とレンズユニット4とを通過して感光フィルム22の感光層22bに到達し、これにより、感光層22bに既に形成されている露光スポット間に新たな露光スポット22R,22B,22Gが形成される。
次に、アクチュエータ5においてガイドレール51aに沿って支持プレート52aを矢印A方向に並進駆動させることにより、有機ELパネル3を上述の初期位置から矢印A方向に第1ピッチP1の3/2の長さ(例えば70.5μm)移動させる(送りステップ)。
次に、有機ELパネル3の複数の表示素子33R,33B,33Gにて所定の映像パターンを表示させた状態において、当該有機ELパネル3により感光フィルム22の感光層22bを露光することによって、図8(b)に示すように、感光層22bに新たな露光スポット22R,22B,22G(クロスハッチングを付して表す)を形成する(後続露光ステップ)。本ステップでは、有機ELパネル3の表示素子33R,33B,33Gから出射された光は、当該有機ELパネル3の基板31とレンズユニット4とを通過して感光フィルム22の感光層22bに到達し、これにより、感光層22bに既に形成されている露光スポット間に新たな露光スポット22R,22B,22Gが形成される。
本実施形態では、以上のようにして、形成目的の画像の全体に対応する複数の露光スポット22R,22B,22Gが、感光フィルム22の感光層22bに形成される。4つの露光ステップにて有機ELパネル3に表示される各映像パターンは、上述のように、形成目的の画像の一部に対応し、全ての露光ステップにおける映像パターンの合成は、形成目的の画像に対応する映像に相当する。また、図7(b)〜図8(b)においては、図の明確化の観点より、隣り合う2つの露光スポットが離隔する態様を表すが、実際上、隣り合う2つの露光スポットは実質的に連続する。
形成目的の画像の全体に対応する露光スポット22R,22B,22Gが全て形成された後、感光フィルム22は、図3にて二点鎖線で示すように、所定のプッシュ機構(図示略)により押動されてフィルムパック2から押し出される。押し出された感光フィルム22は、一対のプラテンローラ6の作動によりフィルムパック2から引き出され、筐体1の送出口13へ搬送され、更に、筐体1の外部に送り出される。一対のプラテンローラ6は、感光フィルム22がプラテンローラ6間を通過する際に、当該感光フィルム22の現像液保持パック22e(図4に示す)に押圧力を作用させ、この現像液保持パック22eから現像液を押し出して感光層22bの全面に行き渡らせる。このようにして、露光後の感光フィルム22の現像処理が実行される。この現像処理の後、感光フィルム22の感光層22bにて目的画像が現れる。
画像形成装置Xによる画像形成過程においては、各露光ステップにて感光フィルム22の感光層22bに生じる露光スポット22R,22B,22Gの形成密度(ないし形成ピッチ)は、有機ELパネル3の表示解像度(ないし表示素子33の形成ピッチ)に対応する。しかしながら、複数の露光ステップを経て最終的に感光フィルム22上に得られる目的画像は、単一の露光ステップにて生ずる露光スポット22R,22B,22Gの形成密度よりも高密度の露光スポット22R,22B,22Gにより構成されることとなる。目的画像を構成する全露光スポット22R,22B,22Gの形成密度は、本画像形成装置Xの印刷解像度に対応する。このように、画像形成装置Xによると、露光用表示パネルである有機ELパネル3の実際の表示解像度を越える高解像度(本実施形態では4倍)に対応する印刷解像度を達成することができる。すなわち、画像形成装置Xによると、露光用表示パネルである有機ELパネル3の表示解像度による制約を受けずに高い印刷解像度を得ることができるのである。
また、上述の実施形態における画像形成過程を経た後、露光スポット22R,22B,22Gは、矢印B方向において、露光スポット22R、露光スポット22G、露光スポット22Bの順に位置し、表示素子22の形成ピッチの1/2ピッチで等間隔に位置する。これとともに、露光スポット22R,22B,22Gは、矢印D方向において、表示素子22の形成ピッチの1/2ピッチで等間隔に位置する。画像形成装置Xによる画像形成過程においては、このように露光スポット22R,22G,22Bは規則性のよい配置で形成される。したがって、画像形成装置Xによると、露光スポット22R,22G,22Bの形成位置のバラツキに起因する画像ムラの発生を回避して、高画質な画像が得られる。
また、画像形成装置Xの有機ELパネル3においては、図6に示すように、表示素子33R,33B,33G間の間隔S1が当該素子の長さW1より大きくなるように、且つ、表示素子33R,33B,33G間の間隔S2が当該素子の長さW2より大きくなるように、表示素子33R,33G,33Bは配列されている。このような構成により、図7および図8に示すように、感光フィルム22に既に形成されている露光スポット22R,22B,22Gに不当に重なることなく、新たな露光スポット22R,22B,22Gを形成することができ、従って、露光スポット22R,22B,22Gが不当に重なることに起因する画像ムラの発生を回避して、高画質な画像を得ることができる。
画像形成装置Xが表示パネルとして具備する有機ELパネル3は、自発光型の表示パネルであるのでバックライト等を必要とせず、バックライト等を必要とする例えば液晶パネルよりも、一般に、消費電力が少なく、また、軽量かつ薄型である。加えて、有機ELパネル3は、液晶パネルに比べて高輝度であるので所望の露光量を得るのに要する時間が液晶パネルよりも短く、且つ、液晶パネルよりも応答性が高く、従って、高速印刷も達成するのに好適である。更に、有機ELパネル3は、液晶パネルに比べてコントラストにも優れているため、鮮明な画像を得るうえで好適である。
本発明の画像形成装置Xは、例えば、デジタルカメラやパーソナルコンピュータに保持されている画像データを出力するためのプリンタ装置に適用することができる。また、画像形成装置Xは、デジタルカメラと一体化されて当該デジタルカメラで撮像された画像を出力するためのカメラ一体型のプリンタ装置に適用することができる。
以上、本発明の具体的な実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の思想から逸脱しない範囲内で種々の変更が可能である。例えば、有機ELパネル3の各表示素子33から出射される光がレンズユニット4を介さずに感光フィルム22に直接に到達するように構成してもよい。このような構成は、画像形成装置Xの軽量化および薄型化を図るうえで好適である。
本発明に係る画像形成装置の分解斜視図である。 図1に示す画像形成装置の内部構造を概略的に表す平面図である。 図1に示す画像形成装置の部分断面図である。 図3に示す感光フィルムの断面構成を表す。 図1に示す有機ELパネルの概略斜視図である。 図1に示す有機ELパネルの部分概略平面図である。 図1に示す画像形成装置による画像形成過程の一部を表す。(a)は、最初の露光ステップを終えた後の感光フィルム表面の状態を表し、(b)は、2回目の露光ステップを終えた後の感光フィルム表面の状態を表す。 図7に示す過程の後に続く過程を表す。(a)は、3回目の露光ステップを終えた後の感光フィルム表面の状態を表し、(b)は、4回目の露光ステップを終えた後の感光フィルム表面の状態を表す。
符号の説明
X 画像形成装置
1 筐体
2 フィルムパック
22 感光フィルム
22b 感光層
22R,22G,22B 露光スポット
3 有機ELパネル
31 基板
33,33R,33G,33B 表示素子
4 レンズユニット
5 アクチュエータ
6 プラテンローラ

Claims (6)

  1. 各々が光を出射して感光性記録媒体に露光スポットを形成するための、マトリクス状に配された複数の表示素子、を有する表示パネルと、
    上記感光性記録媒体に形成された複数の露光スポットの間に上記複数の表示素子により複数の露光スポットを形成することが可能な位置に、上記感光性記録媒体に対して上記表示パネルを相対移動させるための、移動手段と、を備える画像形成装置。
  2. 各々が光を出射して感光性記録媒体に露光スポットを形成するための複数の表示素子、を有する表示パネルと、
    上記感光性記録媒体に対して上記表示パネルを相対移動させるための移動手段と、を備え、
    上記複数の表示素子は、第1方向に第1ピッチで離隔し且つ当該第1方向に交差する第2方向に第2ピッチで離隔するマトリクス状に配され、
    上記移動手段は、上記感光性記録媒体に対して上記表示パネルを上記第1方向および上記第2方向の少なくとも一方に移動させることが可能である、画像形成装置。
  3. 上記第1方向において隣り合う表示素子間の距離は、上記表示素子における上記第1方向の寸法より長い、請求項2に記載の画像形成装置。
  4. 上記第2方向において隣り合う表示素子間の距離は、上記表示素子における上記第2方向の寸法より長い、請求項2または3に記載の画像形成装置。
  5. 上記表示パネルと上記感光性記録媒体との間に正立等倍レンズを更に備える、請求項1から4のいずれか一つに記載の画像形成装置。
  6. 上記表示素子は有機EL素子である、請求項1から5のいずれか一つに記載の画像形成装置。
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