JP2006021153A - 炭化水素の吸着材及びその吸着材を用いた吸着材一体型炭化水素燃焼触媒 - Google Patents

炭化水素の吸着材及びその吸着材を用いた吸着材一体型炭化水素燃焼触媒 Download PDF

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Abstract

【課題】 Agを含有させた吸着材の吸着性能の低下を抑制できる炭化水素の吸着材を提供する。
【解決手段】 Agを含有すると共に、Agとの合金、または、Agを含む金属酸化物または複合酸化物を形成し、かつ、Ag単独の場合よりも融点が上昇するAgとの合金、または、Agを含む金属酸化物または複合酸化物を形成する成分を含有し、この成分がTi、Ni、B、Pd、Si、Al、Cu、Cr及びZrのうちの少なくとも1つである吸着材とする。このような吸着材とすれば、Agイオンを安定化し、Agの凝集や蒸散などを抑制できる。したがって、Agを含有させた吸着材の吸着性能の低下を抑制できる。

Description

本発明は、炭化水素の吸着材及びその吸着材を有する炭化水素燃焼触媒に係り、特に、内燃機関の排気の浄化のために用いる炭化水素の吸着材及びその吸着材を有する炭化水素燃焼触媒に関する。
地球温暖化の防止や環境改善を目的に、自動車のエンジンをはじめとする内燃機関の排ガス中の一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(Nox)、炭化水素(HC)の低減が求められている。このうち、HCは、エンジン始動初期、例えばエンジン始動から3分程度の間に多く発生する。このエンジン始動初期に排出される炭化水素はコールドHCと呼ばれ、例えば、自動車において、米国のLA−4モードで走行した場合、走行中に排出される炭化水素量の60−80%に相当する。乗用車の場合、最も厳しい排気規制は、2004年から実施される米国のLEVII中に設定されているSULEV(Super Ultra Low Emission Vehicle)つまり米国カリフォルニア州排ガス規制中の超々低排出ガス車である。この排気規制における炭化水素の排出規制値は、通常のLEV規制値の1/9であり、規制をクリアするにはコールドHCの浄化が必須である。
コールドHCを含めた炭化水素を浄化して、炭化水素の大気放出を抑制する方法の一つとして、エンジン始動直後の低温時には炭化水素を一旦吸着材に吸着し、排ガスで温度が上昇したら吸着材から炭化水素を脱離させて炭化水素の燃焼を触媒する燃焼触媒によって燃焼浄化する方法が実用化されている(例えば、特許文献1−3参照)。
これらの炭化水素の吸着材と燃焼触媒とを用いた炭化水素の浄化方法では、吸着材の主成分となるゼオライトにパラジウム(Pd)、ニッケル(Ni)、ホウ素(B)、銀(Ag)、リン(P)、アルカリ金属、アルカリ土類金属のうちの少なくとも1つを含有させている。
特開平7−256114号公報(第2−4頁) 特開2000−51707号(第9−10頁、第1図) 特開2003−154274号(第3−4頁、第1図、第2図)
ところで、本発明者らは、上記のような従来の吸着材に含有させていた成分のうち、特にAgを含有させることで、吸着材のコールドHCの吸着性能、つまり、炭化水素の脱離温度まで炭化水素を吸着保持する性能を向上できることを見出した。しかし、Agを含有させた吸着材では、長時間使用すると劣化が起こり、吸着した炭化水素を、要求されている温度つまり燃焼触媒による炭化水素の燃焼温度よりも低い温度で脱離してしまうようになり、使用とともに吸着材の吸着性能の低下が生じることもわかった。したがって、吸着性能をできるだけ長時間維持するためには、吸着性能の低下を抑制する必要がある
本発明の課題は、Agを含有させた吸着材の吸着性能の低下を抑制することにある。
本発明者らは、検討の結果、Agを含有させた吸着材の吸着性能の低下は、吸着材の使用に伴ってAgの凝集や蒸散が生じることにより吸着材が劣化することによるものであることを見出した。
そこで、本発明の吸着材は、Agを含有すると共に、Agとの合金、または、Agを含む金属酸化物または複合酸化物を形成し、かつ、Ag単独の場合よりも融点が上昇するAgとの合金、または、Agを含む金属酸化物または複合酸化物を形成する成分を含有することにより上記課題を解決する。このような吸着材とすれば、Agイオンを安定化し、Agの凝集や蒸散などを抑制できる。したがって、Agを含有させた吸着材の吸着性能の低下を抑制できる。
さらに、上記のような成分がTi、Ni、B、Pd、Si、Al、Cu、Cr及びZrのうちの少なくとも1つであれば、Ag単独の場合よりも融点が上昇するAgとの合金、または、Agを含む金属酸化物または複合酸化物を形成できる。
また、上記のような成分がTi、Ni、B及びPdのうちの少なくとも1つであれば、Agの凝集や蒸散の抑制効果を向上できる。
さらに、上記のような成分としてTiを含有する吸着材であれば、Agの凝集や蒸散の抑制効果を確実に得ることができる。
また、上記のような成分としてTiに加えて、Ni、B、Pd、Si及びAlのうちの少なくとも1つを含有していれば、Agの凝集や蒸散の抑制効果を向上できる。
さらに、上記のような成分としてNi、B及びPdを含有することでもAgの凝集や蒸散の抑制効果を確実に得ることができる。
また、さらに、Ceを含有していれば、Agの凝集や蒸散の抑制効果を一層向上できる。
さらに、炭化水素を吸着する吸着材と、炭化水素の燃焼を触媒する触媒成分とを有し、内燃機関の排ガス中の炭化水素を燃焼させて排ガスを浄化する吸着材一体型炭化水素燃焼触媒であり、吸着材として、上記のいずれかの吸着材を用いた構成の吸着材一体型炭化水素燃焼触媒とする。このような構成とすれば、炭化水素の燃焼による炭化水素の浄化効率を向上できる。
本発明によれば、Agを含有させた吸着材の吸着性能の低下を抑制できる。
以下、本発明を適用してなる吸着材及びその吸着材を用いた吸着材一体型炭化水素燃焼触媒の一実施形態について図1乃至図5を参照して説明する。図1乃至図4は、本発明を適用してなる吸着材一体型炭化水素燃焼触媒の概略構成の一例を示す図である。図5は、本発明を適用してなる吸着材一体型炭化水素燃焼触媒の排気系への取り付け例を示す図である。
本発明者らが炭化水素(HC)の吸着材の開発を行っている中で、銀(Ag)を含有する吸着材に対する耐久試験の結果、触媒性能の指標となるHC−T50、つまり、吸着したHCが50%脱離する温度が約350℃から250℃へ低下することがわかった。すなわち、Agを含有する吸着材では、吸着材の使用とともに、炭化水素の脱離温度が低下してしまうことがわかった。
そこで、本発明者らは、炭化水素の脱離温度が低下してしまった劣化した吸着材を詳細に調べたところ、Agイオンの状態が変化し、凝集して金属状態になっていることが判明した。また、Agの蒸散が生じていることも考えられた。そこで、Agイオンを安定化させ、Agの凝集や蒸散を抑制するため、Agとの合金や、Agを含む金属酸化物や複合酸化物を形成すると共に、これらの形成した物質の融点をAg単独の場合よりも上昇させる成分を添加することを検討した。この検討の結果、このような成分を含有する吸着材では、Agを含有させることによって得られる炭化水素の吸着性能を得ることができ、さらに、吸着材の使用に伴う吸着性能の低下を抑制できた。
本実施形態の吸着材は、吸着材の主成分となるゼオライトに、Agと共に、Agとの合金、または、Agを含む金属酸化物や複合酸化物を形成する成分として、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、ホウ素(B)、パラジウム(Pd)、シリコン(Si)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、クロム(Cr)及びジルコニウム(Zr)のうち少なくとも1つを含有させた状態となっている。これらの成分のうち、Ti、Ni、B及びPdは、Agとの親和性が他の成分よりも高いことから、隣接することでAgイオンの分散性を維持する時間を他の成分の場合よりも長くできる。したがって、このような成分として、Ti、Ni、B及びPdのうち少なくとも1つを含有していることが、Agの凝集や蒸散の抑制効果を向上できるので望ましい。特に、Tiを含有させた場合、Ni、B、Pdに比べてAgの凝集や蒸散の抑制効果を確実に得ることができる。
本実施形態のゼオライトは、例えばベータ、エリオナイト、X、Y、フェリオライト、A、L、ZSM−5、TS−1、モルデナイト、MCM−22などの一般的に吸着材に用いられるゼオライトである。用いるゼオライトの種類は、対象とする内燃機関や炭化水素の種類によって適宜選択する。対象とする内燃機関が自動車のエンジンである場合、この排ガス中の炭化水素に対しては、効率良く炭化水素を吸着するうえで、細孔径が5−10Åのゼオライトを用いることが望ましい。このような細孔径のゼオライトとしては、ベータ、X、Y、ZSM−5、モルデナイトなどがある。
ゼオライトは、一般的に、SiOとAlの複合酸化物である。ゼオライトが吸着性能を示すのは、4価のSiと3価のAlの複合酸化物で生じる分極によるものであり、必要な炭化水素の吸着性能を得るうえでは、SiO/Alのモル比が30−500のゼオライトを用いることが望ましい。
各成分の担持量は、例えば、吸着材としてβゼオライトを用いた場合、吸着材のハニカム触媒の体積当たりの重量としてβゼオライト100−240g/Lに対して、Agを金属として0.25−5.0g/L、さらに、Ti、Ni、B、Pd、Si、Al、Cu、Cr及びZrのうちの少なくとも1つを金属として0.25−5.0g/L添加することが望ましい。添加成分は、Agと同モル数で添加することが望ましい。ただし、担体の種類に応じて適宜組成を変えることもできる。
なお、ゼオライトヘのAgや、Agの凝縮や蒸散を抑制する上記のような成分の添加方法としては、イオン交換、含浸、及び混練方法を用いることができる。また、Ag、Ti、Ni、B、Pd、Si、Al、Cu、Cr及びZrの原料としては、硝酸塩、酸化物、塩化物、炭酸塩、水酸化物、酢酸塩、錯体塩、ジニトロジアミン硝酸塩などを使用することができる。
さらに、吸着材にCeO、CeOとZrOとの混合物や複合酸化物、銅酸化物、コバルト酸化物、ニッケル酸化物などのOSC(Oxygen Strage Capacity)を有する金属酸化物を添加した状態とすることによってAgの蒸散の一部を抑制できる。そこで、Agとの合金、または、Agを含む金属酸化物や複合酸化物を形成する成分に加えてセリウム(Ce)、コバルト(Co)、銅(Cu)、クロム(Cr)、ジルコニウム(Zr)を含有させると、Agの蒸散をより確実に抑制できるようになり、吸着性能の低下を抑制する効果を増大できる。
このようにCe、CeとZr、Coを含有する場合、そして、Cu、Crを、OSCを有する金属酸化物を添加した状態とするために含有させる場合、担持量は、例えば、吸着材としてβゼオライトを用いた場合、吸着材の体積当たりの重量としてβゼオライト100−240g/Lに対して、Ce、CeとZr、Co、Cu、Crのうちの少なくとも1つを、それらの酸化物として30−50g/Lで添加することが望ましい。これらのOSCを有する金属酸化物は、他の吸着材の材料と共に混練することで添加することもできるし、他の吸着材の材料で形成した吸着材にコートすることで添加することもできる。
なお、従来の吸着材のように、ゼオライトに、Agと共に、アルカリ土類金属である亜鉛(Zn)、バリウム(Ba)、マグネシウム(Mg)などを含有させると、Zn、Ba、MgがAgの劣化を加速させ、吸着性能の低下を促進させてしまう。したがって、吸着性能の低下を抑制させるためには、Zn、Ba、Mgといったアルカリ土類金属を含有させないことが望ましい。
ここで、このような吸着材を用いた本実施形態の吸着材一体型炭化水素燃焼触媒について説明する。吸着材は、単独で支持材にコートするなどして内燃機関の排気系に設置することもできるが、炭化水素の燃焼の触媒作用を有する成分を担持する支持材に吸着材を一緒に担持させることなどで、吸着材一体型炭化水素燃焼触媒として用いる場合が一般的である。
吸着材一体型炭化水素燃焼触媒は、図1に示すように、支持材1と燃焼触媒層3との間に、上記のような吸着材からなる吸着材層5を設けた構造とすることが望ましい。このように排ガスの流路内側に燃焼触媒層3を配置することで、吸着材層5に吸着されていた炭化水素が排ガスの流路に放出される際の炭化水素の燃焼効率を向上できる。
さらに、吸着材一体型炭化水素燃焼触媒の燃焼触媒層3は、図2に示すように、異なる触媒作用を示す成分を含む複数の層を積層した状態の構造にすることもできる。また、吸着材一体型炭化水素燃焼触媒は、図3乃至図4に示すように、支持材1の表面に粒状の触媒成分3aを混入した吸着材層5をコートした構造や、支持材1の表面に粒状の吸着材5aを混入した燃焼触媒層3をコートした構造などにすることもできる。
支持材1は、例えばコージェライトやメタルなどの燃焼触媒を担持させる一般的な排ガス浄化用の触媒に用いられる材料で形成できる。支持材1は、様々な形状のものを用いることができるが、圧損等の観点から蜂の巣状のハニカム型のものを用いることが望ましい。燃焼触媒層3を形成する触媒成分としては、アルミナ、ジルコニア、チタニア、さらに、これらのセリア複合酸化物、そして、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、ロジウム(Rh)などの貴金属などを用いている。
なお、吸着材一体型炭化水素燃焼触媒は、吸着材をハニカム型の支持材に担持したものを排ガスの流れに対して上流側に、燃焼触媒成分をハニカム型の支持材に担持したものを排ガスの流れに対して下流側に配置した構造などにすることもできる。さらに、吸着材一体型炭化水素燃焼触媒は、粒状、押出し成型した柱状、プレス成型したペレット型などに成形した吸着材や燃焼触媒成分を用いた構造などにすることもできる。
吸着材一体型炭化水素燃焼触媒7は、例えば図5に示すように、内燃機関9の排ガスの流路11に設置された三元触媒作用を有するプリ触媒13の、排ガスの流れに対して下流側などに適宜設置される。なお、炭化水素の吸着材と燃焼触媒を別個に内燃機関9の排ガスの流路11に設置する場合には、吸着材を上流側、燃焼触媒を下流側に設置し、また、吸着材と燃焼触媒とは、できるだけ近い位置に設置することが望ましい。
このような本実施形態の炭化水素の吸着材では、Agとの合金、または、Agを含む金属酸化物または複合酸化物を形成し、これらAgを含む物質の融点をAg単独の場合よりも上昇させることにより、吸着材のゼオライト中のAgイオンを安定化し、Agの凝集や蒸散などを抑制できる。したがって、Agを含有させた吸着材の吸着性能の低下を抑制できる。
さらに、本実施形態の炭化水素の吸着材、そして、本実施形態の吸着材一体型炭化水素燃焼触媒では、吸着材の吸着性能の低下を抑制できることにより、炭化水素の燃焼による炭化水素の浄化効率を向上できる。
以下、本発明を適用してなる炭化水素の吸着材の吸着性能の評価の一実施例について図6乃至図8を参照して説明する。図6は、炭化水素の吸着材への吸着及び脱離試験の条件を説明する図である。図7は、実施例1の吸着材における炭化水素の脱離挙動を説明する図である。図8は、実施例2の吸着材における炭化水素の脱離挙動を説明する図である。
(実施例1)
実施例1の吸着材は、次の手順で作製した。ハニカム型の支持材に、SiO/AlO比が480のβゼオライトをウオッシュコートにより180g/L担持した。次に、含浸法で、硝酸銀とチタニアゾルの水溶液を用い、Agを2.7g/L、Tiを1.2g/L担持した。150℃で乾燥後、600℃で1時間、空気中で焼成した。なお、実施例1をはじめとし、ここで示す各実施例及び比較例の組成を表1にまとめた。
Figure 2006021153
吸着材の吸着性能は、耐久処理後に評価した。耐久処理は、自動車の排ガスの空気/燃料比=14.7のストイキガスと、空気/燃料比=21のリーンガスを模擬したガスを用い、流通させるガスを3分間隔で切り換えながらガスを触媒に流通させ、850℃で6時間処理を行なった。吸着材の吸着性能を評価するため、吸着した炭化水素の脱離温度の高温化効果を、以下のような試験により検証した。この試験におけるガスフローと昇温パタンを図6に示す。この吸着性能試験では、自動車の排ガスのコールドHC組成を模擬したガス、すなわちHCモデルガスを使用した。 HCモデルガスの組成は表2のようなものである。
Figure 2006021153
吸着性能試験前に、吸着材に0.5%のOを流通させた状態で残存する炭化水素を完全に燃焼除去した後、10vol%の水蒸気を流通させた状態でHCモデルガス1800ppmC1を50℃で2分間、試料に流通した。その後、0%のOつまり酸素を含まない10vol%の水蒸気を流通させた状態で500℃まで昇温した。なお、HCモデルガスは種々の炭化水素を含んでいるため、HCモデルガスの濃度は、C1換算値として示している。
(比較例)
比較例の吸着材は、実施例1の吸着材と同様に、ハニカム型の支持材に、SiO/AlO比が480のβゼオライトをウオッシュコートにより180g/L担持したものである。しかし、比較例の吸着材は、表1に示すように、Agと合金化する元素、金属酸化物または複合酸化物を形成する元素などを含有していない。調製は、含浸法でAgを2.7g/L、Ceを40g/L 担持した。
実施例1の炭化水素の脱離挙動を、比較例と合わせて図7に示す。実施例1の吸着材が吸着した炭化水素は、温度が上昇するに連れて吸着材から脱離し、150℃と390℃で濃度がピークとなった。このような温度下で脱離した炭化水素は、同様の温度下にある燃焼触媒によって燃焼され浄化される。 炭化水素の脱離量と燃焼量を表3に示す。
Figure 2006021153
実施例1と比較例の吸着材と燃焼触媒とを組み合わせることによって浄化できる炭化水素の量つまり浄化可能HC量を300−500℃の炭化水素の脱離量と燃焼量の合計として試算した。この結果、実施例1では、表3に示すように、浄化可能HC量は、5.4mmolC1/Lとなった。これに対し、比較例の浄化可能HC量は、2.5mmolC1/Lであった。このように、実施例1の吸着材は、浄化可能HC量が多くなることが判った。特に、300−550℃で排出される炭化水素量が増大した。さらに、実施例1の吸着材は、比較例の吸着材に比べて炭化水素の吸着量が多くなることにより、燃焼触媒と組み合わせると、比較例の吸着材に比べて多量の炭化水素を浄化できる。
(実施例2)
実施例2の吸着材は、表1に示すように、AgとTiに加えてOSCを有する酸化物を形成するCeを添加したものであり、それ以外は実施例1と同様に作製したものである。実施例2も、実施例1と同様に含浸法で調製し、Agを2.7g/L、Tiを1.2g /L、さらに、硝酸セリウム水溶液を用いてCeを40g/L 担持した。
実施例2の吸着材を試験したときの炭化水素の脱離挙動を図8に示す。実施例2の吸着材では、図8及び表3に示すように、浄化可能HC量は、6.8mmolC1/Lとなり、実施例1の吸着材と同様に300−550℃で排出される炭化水素量が比較例より増大した。さらに、実施例2の吸着材では、実施例1の吸着材よりも300−550℃で排出される炭化水素量が増大している。
(実施例3)
実施例3の吸着材は、表1に示すように、AgとTi、Ceに加えてBを添加したものであり、それ以外は実施例1と同様に作製したものである。実施例3も、実施例1と同様に含浸法で調製し、Agを2.7g/L、Tiを1.2g/L、Bを0.27g/L、Ceを40 g/L担持した。
実施例3の吸着材では、表3に示すように、浄化可能HC量は、7.4mmolC1/Lとなり、実施例1の吸着材と同様に300−550℃で排出される炭化水素量が比較例より増大した。さらに、実施例3の吸着材では、実施例2の吸着材よりも300−550℃で排出される炭化水素量が増大している。
(実施例4)
実施例4の吸着材は、表1に示すように、AgとTi、Ceに加えてPdを添加したものであり、それ以外は実施例1と同様に作製したものである。実施例4も実施例1と同様に含浸法で調製し、Agを2.7g/L、Tiを1.2g/L、Pdを0.5g/L、Ceを40g/L担持した。
実施例4の吸着材では、表3に示すように、浄化可能HC量は、7.9mmolC1/Lとなり、実施例1の吸着材と同様に300−550℃で排出される炭化水素量が比較例より増大した。さらに、実施例4の吸着材では、Pdを含有させることで、実施例2の吸着材よりも300−550℃で排出される炭化水素量が増大している。
(実施例5)
実施例5は、表1に示すように、AgとTi、Ceに加えてPdとBを添加したものであり、それ以外は実施例1と同様に作製したものである。実施例5も実施例1と同様に含浸法で調製し、Agを2.7g/L、Tiを0.6g/L、Pdを0.5g/L、Bを0.27g/L、Ceを40g/L担持した。
実施例5の吸着材では、表3に示すように、浄化可能HC量は、7.1mmolC1/Lとなり、実施例1の吸着材と同様に300−550℃で排出される炭化水素量が比較例より増大した。さらに、実施例4の吸着材では、PdとBを含有させることで、実施例2の吸着材よりも300−550℃で排出される炭化水素量が増大している。
(実施例6)
実施例6は、表1に示すように、AgとTi、Ceに加えてPdとNiを添加したものであり、それ以外は実施例1と同様に作製したものである。実施例6も実施例1と同様に含浸法で調製し、Agを2.7g/L、Tiを0.6g/L、Pdを0.5g/L、Niを1.47g/L、Ceを40g/L担持した。
実施例6の吸着材では、表3に示すように、浄化可能HC量は、7.7mmolC1/Lとなり、実施例1の吸着材と同様に300−550℃で排出される炭化水素量が比較例より増大した。さらに、実施例6の吸着材では、PdとNiを含有させることで、実施例2の吸着材よりも300−550℃で排出される炭化水素量が増大している。
(実施例7)
実施例7は、表1に示すように、AgとCeに加えてPd、Ni、Bを添加したものであり、それ以外は実施例1と同様に作製したものである。実施例7も実施例1と同様に含浸法で調製し、Agを2.7g/L、Pdを0.5g/L、 Niを1.47g/L、Bを0.27g/L、Ceを40g/L担持した。
実施例7の吸着材では、表3に示すように、浄化可能HC量は、7.0mmolC1/Lとなり、実施例1の吸着材と同様に300−550℃で排出される炭化水素量が比較例より増大した。さらに、実施例6の吸着材では、Tiを含有していないが、Pd、Ni、Bを含有させることで、実施例2の吸着材よりも300−550℃で排出される炭化水素量が増大している。
(実施例8)
実施例8は、表1に示すように、AgとTiに加えてNiを添加したものであり、それ以外は実施例1と同様に作製したものである。実施例8も実施例1と同様に含浸法で調製し、Agを2.7g/L、Tiを0.6g /L、 Niを1.47g/L担持した。
実施例8の吸着材では、表3に示すように、浄化可能HC量は、7.2mmolC1/Lとなり、実施例1の吸着材と同様に300−550℃で排出される炭化水素量が比較例より増大した。さらに、実施例8の吸着材では、実施例2のようにCeを含有していないが、Niを含有させることで、実施例1の吸着材よりも300−550℃で排出される炭化水素量が増大している。
(実施例9)
実施例9は、表1に示すように、AgとPd、Ni、Bを添加したものであり、それ以外は実施例1と同様に作製したものである。実施例9も実施例1と同様に含浸法で調製し、Agを2.7g/L、Niを1.47g/L、Bを0.27g/L、PBを0.5g /L担持した。
実施例9の吸着材では、表3に示すように、浄化可能HC量は、5.5mmolC1/Lとなり、実施例1の吸着材と同様に300−550℃で排出される炭化水素量が比較例より増大した。なお、実施例9の吸着材では、実施例1のようにTiを含有していないが、Pd、Ni、Bを含有させることで、実施例1の吸着材と同様に300−550℃で排出される炭化水素量が増大している。
本発明を適用してなる吸着材を用いた吸着材一体型炭化水素燃焼触媒の一実施形態の概略構成の一例を示す図である。 本発明を適用してなる吸着材を用いた吸着材一体型炭化水素燃焼触媒の一実施形態の概略構成の一例を示す図である。 本発明を適用してなる吸着材を用いた吸着材一体型炭化水素燃焼触媒の一実施形態の概略構成の一例を示す図である。 本発明を適用してなる吸着材を用いた吸着材一体型炭化水素燃焼触媒の一実施形態の概略構成の一例を示す図である。 本発明を適用してなる吸着材を用いた吸着材一体型炭化水素燃焼触媒の排気系への取り付け例を示す図である。 炭化水素の吸着材への吸着及び脱離試験の条件を説明する図である。 本発明を適用してなる実施例1の炭化水素の吸着材における炭化水素の脱離挙動を説明する図である。 本発明を適用してなる実施例2の炭化水素の吸着材における炭化水素の脱離挙動を説明する図である。
符号の説明
1 支持材
3 燃焼触媒層
5 吸着材層

Claims (8)

  1. Agを含有すると共に、Agとの合金、または、Agを含む金属酸化物または複合酸化物を形成し、かつ、Ag単独の場合よりも融点が上昇するAgとの合金、または、Agを含む金属酸化物または複合酸化物を形成する成分を含有する炭化水素の吸着材。
  2. 前記成分がTi、Ni、B、Pd、Si、Al、Cu、Cr及びZrのうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項1に記載の炭化水素の吸着材。
  3. 前記成分がTi、Ni、B及びPdのうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項1に記載の炭化水素の吸着材。
  4. 前記成分としてTiを含有することを特徴とする請求項1に記載の炭化水素の吸着材。
  5. さらに、前記成分としてNi、B、Pd、Si及びAlのうちの少なくとも1つを含有することを特徴とする請求項4に記載の炭化水素の吸着材。
  6. 前記成分としてNi、B及びPdを含有することを特徴とする請求項1に記載の炭化水素の吸着材。
  7. さらに、Ceを含有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の炭化水素の吸着材。
  8. 炭化水素を吸着する吸着材と、炭化水素の燃焼を触媒する触媒成分とを有し、内燃機関の排ガス中の炭化水素を燃焼させて排ガスを浄化する吸着材一体型炭化水素燃焼触媒であり、
    前記吸着材として、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の吸着材を用いたことを特徴とする吸着材一体型炭化水素燃焼触媒。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014144408A (ja) * 2013-01-28 2014-08-14 Nippon Steel & Sumitomo Metal 一酸化炭素酸化触媒及びその製造方法並びにガス中の一酸化炭素の除去方法
JP2016034616A (ja) * 2014-08-04 2016-03-17 株式会社デンソー 排ガス浄化フィルタ及びその製造方法
CN109941955A (zh) * 2019-02-18 2019-06-28 合肥晶鼎光电科技有限公司 一种提高吸气效率的吸气剂及其制备方法

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