JP2006018996A - 磁気記録媒体用基板、磁気記録媒体、および磁気記録再生装置 - Google Patents
磁気記録媒体用基板、磁気記録媒体、および磁気記録再生装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2006018996A JP2006018996A JP2005162636A JP2005162636A JP2006018996A JP 2006018996 A JP2006018996 A JP 2006018996A JP 2005162636 A JP2005162636 A JP 2005162636A JP 2005162636 A JP2005162636 A JP 2005162636A JP 2006018996 A JP2006018996 A JP 2006018996A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- magnetic recording
- substrate
- recording medium
- magnetic
- manufacturing
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Manufacturing Of Magnetic Record Carriers (AREA)
- Magnetic Record Carriers (AREA)
Abstract
【課題】 シリコン基板に適切な粗さをつけて、良好な浮上特性を示す表面形状を備えたシリコン基板を使用した磁気記録媒体用基板を提供する。
【解決手段】 シリコン基板をアルカリ水溶液と界面活性剤とを含んだエッチング液を用いて化学エッチングをすることにより、表面に凹凸を形成する。アルカリ水溶液は、水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムを含み、エッチング液中のアルカリ成分の濃度が1質量%〜60質量%の範囲内とする。
【選択図】 図1
【解決手段】 シリコン基板をアルカリ水溶液と界面活性剤とを含んだエッチング液を用いて化学エッチングをすることにより、表面に凹凸を形成する。アルカリ水溶液は、水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムを含み、エッチング液中のアルカリ成分の濃度が1質量%〜60質量%の範囲内とする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、ハードディスク装置などに用いられる磁気記録媒体用基板、磁気記録媒体用基板の製造方法、磁気記録媒体および磁気記録再生装置に関するものである。特にランプロード方式に適した良好な浮上特性を示す表面形状を備えた、小径のシリコン基板を使用した磁気記録媒体用基板、および、磁気記録媒体用基板の製造方法を提供することにある。
一般に、磁気記録再生装置(磁気ディスク装置)は、ケース内に配設された磁気記録媒体(磁気ディスク)と、磁気ディスクを支持および駆動するスピンドルモータと、磁気ディスクに対して情報をリード/ライトを行う磁気ヘッドを含んだヘッドサスペンションアッセンブリーと、を備えている。
ヘッドサスペンションアッセンブリーは、磁気ヘッドが形成されたスライダーと、このスライダーを支持したサスペンションと、このサスペンションを支持したアームと、を有している。ヘッドサスペンションはアッセンブリーは軸受け組み立てによって回転自在に支持され、ボイスコイルモータによってヘッドサスペンションアッセンブリーを回転させることにより、磁気ヘッドは磁気ディスク上の任意の位置を移動することができる。
このような磁気ディスク装置においては、磁気ヘッドは磁気ディスクが回転しているときには、一定の浮上量で飛行するように設計されている。すなわち、磁気ヘッドはリード/ライト時には、磁気ディスク上を一定の浮上量で飛行しており、このために、磁気ヘッドと磁気ディスクは直接接触することが無く、磁気ディスク装置の信頼性を向上させている。
このような磁気ディスク装置では、磁気ヘッドと磁気ディスクとが不慮に接触した際のスライダー挙動変化を低減させるために、磁気ディスク表面の粗さを多少大きくし、磁気ディスクに対するスライダーの吸着性低減を図ることが必要である。
さらに近年、記録密度の上昇と共に浮上量は低下してきており、現状では浮上量が10nm程度まで下がってきている。一般には、磁気ディスク表面が鏡面であるほど、低浮上には適しているように考えられるが、実際には、鏡面であるほど磁気ヘッドの共振が発生してしまい適さない。低浮上で磁気ヘッドの共振を発生させないためにも、磁気ディスク表面の粗さを多少大きくする必要性がある。
従来から表面粗さの指標として用いられている算術平均粗さRa(日本工業規格(JISB 0601)記載)は表面高さの中心線からの凹部、凸部までの深さ又は高さを積分平均したものである。しかし、磁気ヘッドと磁気ディスクとが接触した時の摩擦力は、凸部が占める接触面積の寄与が大きく、凹部とは相関性が低い。そのために、Raは、磁気ヘッドの浮上安定性との関連を示す表面粗さ指標として不十分である。
他の指標としては、磁気ディスク(メディア)表面の高さ中心線と凸部最大高さとの差を示すRpが知られてりるが、これは、平均的な凸部の高さを示すものではない。従って、たとえRpが大きくとも、高い凸部が少なければ接触時の摩擦力を低減できないこともある。そのため、この指標Rpと浮上安定性との相関は低い。
また、近年、表面粗さの指標として、負荷曲線における接触比率が0.01%となる高さBH[0.01%]と接触比率が50%となる高さBH[50%]との差
ΔBH[0.01, 50](=|BH[0.01%]−BH[0.01%] |)を用い、この差が3.0nm以上6.0nm以下とした磁気ディスクが提案されている。(例えば、特許文献1参照。)
また、表面凹凸の接触比率が50%の場合を基準高さとしたとき、その表面凹凸の接触比率が0.4%における高さが2.0〜7.0nmである磁気記録媒体用基板が提案されている。(例えば、特許文献2参照。)
磁気ディスク装置に用いられる磁気ディスクとしては、磁気記録媒体用基板(磁気ディスク用の基板)にスパッタリング法により金属膜を積層した構造が主流となっている。磁気記録媒体に用いられる基板としては、アルミニウム基板とガラス基板が広く用いられている。アルミニウム基板とは鏡面研磨したAl−Mg合金の基体上にNi−P系合金膜を無電解メッキで10μm程度の厚さに形成し、その表面を更に鏡面仕上げしたものである。ガラス基板にはアモルファスガラスと結晶化ガラスの2種類がある。どちらのガラス基板も鏡面仕上げしたものが用いられる。
ΔBH[0.01, 50](=|BH[0.01%]−BH[0.01%] |)を用い、この差が3.0nm以上6.0nm以下とした磁気ディスクが提案されている。(例えば、特許文献1参照。)
また、表面凹凸の接触比率が50%の場合を基準高さとしたとき、その表面凹凸の接触比率が0.4%における高さが2.0〜7.0nmである磁気記録媒体用基板が提案されている。(例えば、特許文献2参照。)
磁気ディスク装置に用いられる磁気ディスクとしては、磁気記録媒体用基板(磁気ディスク用の基板)にスパッタリング法により金属膜を積層した構造が主流となっている。磁気記録媒体に用いられる基板としては、アルミニウム基板とガラス基板が広く用いられている。アルミニウム基板とは鏡面研磨したAl−Mg合金の基体上にNi−P系合金膜を無電解メッキで10μm程度の厚さに形成し、その表面を更に鏡面仕上げしたものである。ガラス基板にはアモルファスガラスと結晶化ガラスの2種類がある。どちらのガラス基板も鏡面仕上げしたものが用いられる。
ガラス基板は高ヤング率のために対衝撃性が大きく、かつ、基板の薄くすることが可能である。したがって、ノートパソコン、携帯型音楽プレーヤー、デジタルカメラ等のモバイル用途に使用されている。
アルミニウム基板は高ヤング率ではないが、基板に電気を通すこと、基板コストの安さから、デスクトップパソコン用途に用いられている。
量産で用いられている基板は、ガラス基板とアルミニウム基板の2種類だけであるが、この他にも、シリコン基板やカーボン基板などが知られている。
特にシリコン基板は高ヤング率であり、基板に電気を通すことができる、ガラス基板のようにアルカリ金属の析出を心配しなくて良いなど多くの利点を持っている。
特開2001−160214公報
特開2001−143246公報
しかしながら、今ままで、シリコン基板には適切な粗さをつける手法がなかったために実用化することはできなかった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものである。本発明はシリコン基板に適切な粗さをつけて、良好な浮上特性を示す表面形状を備えたシリコン基板を使用した磁気記録媒体用基板、および、磁気記録媒体用基板の製造方法等を提供することである。
本発明者等は上記問題を解決するために、鋭意努力検討した結果、適切な濃度のアルカリ水溶液と適切な濃度の界面活性剤を含んだエッチング液を用いて適切な温度で化学エッチングを施すことにより、表面に適切な凹凸を形成できることを見出し本発明を完成した。即ち本発明は以下に関する。
(1)シリコン基板をアルカリ水溶液と界面活性剤とを含んだエッチング液を用いて化学エッチングをすることを特徴とする磁気記録媒体用基板の製造方法。
(2)化学エッチングにより、表面に凹凸を形成することを特徴とする(1)に記載の磁気記録媒体用基板の製造方法。
(3)アルカリ水溶液が、水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムを含み、エッチング液中のアルカリ成分の濃度が1質量%〜60質量%の範囲内であることを特徴とする(1)または(2)に記載の磁気記録媒体用基板の製造方法。
(4)界面活性剤がアニオン界面活性剤であり、エッチング液中のアニオン界面活性剤成分の濃度が0.1質量%〜5質量%の範囲内であることを特徴とする(1)〜(3)の何れか1項に記載の磁気記録媒体用基板の製造方法。
(5)アニオン界面活性剤が、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、アルキルリン酸カリウムからなる群から選ばれた何れか一種以上であることを特徴とする(4)に記載の磁気記録媒体用基板の製造方法。
(6)界面活性剤がカチオン界面活性剤であり、エッチング液中のカチオン界面活性剤成分の濃度が0.1質量%〜5質量%の範囲内であることを特徴とする(5)に記載の磁気記録媒体用基板の製造方法。
(7)カチオン界面活性剤が、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアルリトリメチルアンモニウムクロライド、ステアルリアミンアセテートからなる群から選ばれた何れか一種以上であることを特徴とする(6)に記載の磁気記録媒体用基板の製造方法。
(8)界面活性剤が両性界面活性剤であり、エッチング液中の両性界面活性剤成分の濃度が0.1質量%〜5質量%の範囲内であることを特徴とする(7)に記載の磁気記録媒体用基板の製造方法。
(9)両性界面活性剤が、ラウリルベタイン、ステアリルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイドからなる群から選ばれた何れか一種以上であることを特徴とする(8)に記載の磁気記録媒体用基板の製造方法。
(10)エッチング液の液温が20℃〜80℃の範囲内であることを特徴とする(1)〜(9)の何れか1項に記載の磁気記録媒体用基板の製造方法。
(11)表面の凹凸が、表面粗さ負荷曲線において接触比率が50%となる高さを基準として、高さが1.0nm以上の領域における接触比率値(BH1.0nm)が5%以上20%以下であることを特徴とする(1)〜(10)の何れか1項に記載の磁気記録媒体用基板の製造方法。
(12)シリコン基板が、単結晶シリコンであることを特徴とする(1)〜(11)の何れか1項に記載の磁気記録媒体用基板の製造方法。
(13)シリコン基板が、多結晶シリコンであることを特徴とする(1)〜(11)の何れか1項に記載の磁気記録媒体用基板の製造方法。
(14)基板の直径が50mm以下であること特徴とする(1)〜(13)の何れか1項に記載の磁気記録媒体用基板の製造方法。
(15)シリコン基板表面の凹凸が、表面粗さ負荷曲線において接触比率が50%となる高さを基準として、高さが1.0nm以上の領域における接触比率値(BH1.0nm)が5%以上20%以下であることを特徴とする磁気記録媒体用基板。
(16)シリコン基板が、単結晶シリコンであることを特徴とする(15)に記載の磁気記録媒体用基板。
(17)シリコン基板が、多結晶シリコンであることを特徴とする(15)に記載の磁気記録媒体用基板。
(18)基板の直径が50mm以下であること特徴とする(15)〜(17)の何れか1項に記載の磁気記録媒体用基板。
(19)(1)〜(14)の何れか1項に記載の磁気記録媒体用基板の製造方法を用いて製造した磁気記録媒体用基板。
(20)(15)〜(19)の何れか1項に記載の磁気記録媒体用基板上に磁性膜、保護膜、潤滑剤層を有する磁気記録媒体であって、磁気記録媒体表面の凹凸が、表面粗さ負荷曲線において接触比率が50%となる高さを基準として、高さが1.0nm以上の領域における接触比率値(BH1.0nm)が5%以上20%以下であることを特徴とする磁気記録媒体。
(21)シリコン基板を用いた磁気記録媒体用基板上に、磁性膜、保護膜、潤滑剤層を有する磁気記録媒体であって、磁気記録媒体表面の凹凸が、表面粗さ負荷曲線において接触比率が50%となる高さを基準として、高さが1.0nm以上の領域における接触比率値(BH1.0nm)が5%以上20%以下であることを特徴とする磁気記録媒体。
(22)(20)または(21)に記載の磁気記録媒体と、磁気記録媒体に情報を記録再生する磁気ヘッドとを備えた磁気記録再生装置。
(1)シリコン基板をアルカリ水溶液と界面活性剤とを含んだエッチング液を用いて化学エッチングをすることを特徴とする磁気記録媒体用基板の製造方法。
(2)化学エッチングにより、表面に凹凸を形成することを特徴とする(1)に記載の磁気記録媒体用基板の製造方法。
(3)アルカリ水溶液が、水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムを含み、エッチング液中のアルカリ成分の濃度が1質量%〜60質量%の範囲内であることを特徴とする(1)または(2)に記載の磁気記録媒体用基板の製造方法。
(4)界面活性剤がアニオン界面活性剤であり、エッチング液中のアニオン界面活性剤成分の濃度が0.1質量%〜5質量%の範囲内であることを特徴とする(1)〜(3)の何れか1項に記載の磁気記録媒体用基板の製造方法。
(5)アニオン界面活性剤が、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、アルキルリン酸カリウムからなる群から選ばれた何れか一種以上であることを特徴とする(4)に記載の磁気記録媒体用基板の製造方法。
(6)界面活性剤がカチオン界面活性剤であり、エッチング液中のカチオン界面活性剤成分の濃度が0.1質量%〜5質量%の範囲内であることを特徴とする(5)に記載の磁気記録媒体用基板の製造方法。
(7)カチオン界面活性剤が、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアルリトリメチルアンモニウムクロライド、ステアルリアミンアセテートからなる群から選ばれた何れか一種以上であることを特徴とする(6)に記載の磁気記録媒体用基板の製造方法。
(8)界面活性剤が両性界面活性剤であり、エッチング液中の両性界面活性剤成分の濃度が0.1質量%〜5質量%の範囲内であることを特徴とする(7)に記載の磁気記録媒体用基板の製造方法。
(9)両性界面活性剤が、ラウリルベタイン、ステアリルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイドからなる群から選ばれた何れか一種以上であることを特徴とする(8)に記載の磁気記録媒体用基板の製造方法。
(10)エッチング液の液温が20℃〜80℃の範囲内であることを特徴とする(1)〜(9)の何れか1項に記載の磁気記録媒体用基板の製造方法。
(11)表面の凹凸が、表面粗さ負荷曲線において接触比率が50%となる高さを基準として、高さが1.0nm以上の領域における接触比率値(BH1.0nm)が5%以上20%以下であることを特徴とする(1)〜(10)の何れか1項に記載の磁気記録媒体用基板の製造方法。
(12)シリコン基板が、単結晶シリコンであることを特徴とする(1)〜(11)の何れか1項に記載の磁気記録媒体用基板の製造方法。
(13)シリコン基板が、多結晶シリコンであることを特徴とする(1)〜(11)の何れか1項に記載の磁気記録媒体用基板の製造方法。
(14)基板の直径が50mm以下であること特徴とする(1)〜(13)の何れか1項に記載の磁気記録媒体用基板の製造方法。
(15)シリコン基板表面の凹凸が、表面粗さ負荷曲線において接触比率が50%となる高さを基準として、高さが1.0nm以上の領域における接触比率値(BH1.0nm)が5%以上20%以下であることを特徴とする磁気記録媒体用基板。
(16)シリコン基板が、単結晶シリコンであることを特徴とする(15)に記載の磁気記録媒体用基板。
(17)シリコン基板が、多結晶シリコンであることを特徴とする(15)に記載の磁気記録媒体用基板。
(18)基板の直径が50mm以下であること特徴とする(15)〜(17)の何れか1項に記載の磁気記録媒体用基板。
(19)(1)〜(14)の何れか1項に記載の磁気記録媒体用基板の製造方法を用いて製造した磁気記録媒体用基板。
(20)(15)〜(19)の何れか1項に記載の磁気記録媒体用基板上に磁性膜、保護膜、潤滑剤層を有する磁気記録媒体であって、磁気記録媒体表面の凹凸が、表面粗さ負荷曲線において接触比率が50%となる高さを基準として、高さが1.0nm以上の領域における接触比率値(BH1.0nm)が5%以上20%以下であることを特徴とする磁気記録媒体。
(21)シリコン基板を用いた磁気記録媒体用基板上に、磁性膜、保護膜、潤滑剤層を有する磁気記録媒体であって、磁気記録媒体表面の凹凸が、表面粗さ負荷曲線において接触比率が50%となる高さを基準として、高さが1.0nm以上の領域における接触比率値(BH1.0nm)が5%以上20%以下であることを特徴とする磁気記録媒体。
(22)(20)または(21)に記載の磁気記録媒体と、磁気記録媒体に情報を記録再生する磁気ヘッドとを備えた磁気記録再生装置。
本発明によれば、ランプロード方式に適した良好な浮上特性を示す表面形状を備えた、小径のシリコン基板を使用した磁気記録媒体用基板、および、磁気記録媒体用基板の製造方法を提供できる。
シリコン基板のアルカリエッチングは異方性エッチングであるために、(100)面は(111)面に対して100倍程度のエッチング速度差が生じる。半導体用途では、この異方性エッチングのために、エッチング後の表面粗さに劣るとされているが、本発明においては、この特性を利用して凹凸を形成している。ただし、異方性比が100倍もあるために、このままでは精密な表面凹凸制御はできない。特に均一性には問題があり、アルカリエッチングだけでは表面粗さのばらつきが大きくなってしまう。
このために、界面活性剤を添加して均一性を向上させ精密な表面凹凸制御を可能としている。アルカリエッチングだけではエッチングが進行するに連れて、表面粗さが大きくなりシリコン基板の表面電位が不均一になると推察される。しかし、界面活性剤を含んだアルカリ溶液でエッチングすると界面活性剤がマイナス電位のウェーハ表面に付着するために、ウェーハの表面電位が均一化する。このために表面粗さは均一に制御され良好な表面粗さを得ることができる。
エッチング液のアルカリ成分や界面活性剤の濃度、温度、時間を調整することによりシリコン基板の表面凹凸制御は広い範囲で可能であるが、低浮上に適した磁気記録媒体(磁気ディスク)表面は、表面粗さ負荷曲線において接触比率が50%となる高さを基準として、高さが1.0nm以上の領域における接触比率が(BH1.0nm)が5%以上20%以下である必要性がある。本発明では磁気記録媒体用基板または磁気記録媒体の表面粗さを、負荷曲線において接触比率が50%となる高さを基準として、高さが1.0nm以上の領域における接触比率が(BH1.0nm)が5%以上20%以下とする。
本発明で用いることのできるシリコン基板としては単結晶シリコン基板が好ましいが、本発明者らによる実験では、多結晶シリコン基板においても同様の効果が得られることが明らかになっている。
また本発明の磁気記録媒体用基板は特に、直径が50mm以下、最も好ましくは直径25mm以下のサイズを用いた場合において、その効果が著しい。なお基板直径の下限は実用的には10mm程度である。
近年、電磁変換特性のSNRを向上させるために、磁気記録媒体用基板(磁気ディスク基板)にテクスチャー加工を施し、その基板に磁性膜等を形成して得られた磁気記録媒体(磁気ディスク)に磁気異方性をつけることが実施されている。詳細を述べると、テクスチャー加工により磁性層であるCo合金層の磁化容易軸が円周方向に配向し、円周方向の在留磁化や角型比が磁気ディスクの半径方向に対して相対的に高くなる。残留磁化にほぼ比例して再生出力が向上するため磁性層膜厚を低減することが可能になり、磁化遷移幅、ノイズやオーバーライト特性が改善する。すなわち、テクスチャー加工を施されたテクスチャー媒体(異方性が付与された磁気記録媒体)は、分解能や半値幅、SNRを向上させることが可能であり、高記録密度媒体として大きな利点を有する。したがって、テクスチャー媒体を実用化することが高記録密度化への有力な手段となる。
しかしながら、このテクスチャー加工は磁気ディスク基板表面の凸部(突起)も削り取るため、磁気ディスク基板の表面粗さが非常に小さくなる傾向にある。その結果、磁気ディスクに対する磁気ヘッドの吸着性が高くなる。従って、テクスチャー媒体で信頼を得るためには、表面粗さをさらに厳しく制御し最適化する必要性がある。
テクスチャー媒体では、高さが1.0nm以上の領域における接触比率(BH1.0nm)が、5%以上20%以下、より好ましくは7%以上15%以下とする。
テクスチャー媒体は、Co合金層の磁化容易軸が円周方向に配向していることから分かるように、磁化容易軸は面内方向に配列している。このような媒体は「面内媒体」と呼ばれている。一方、Co合金層の磁化容易軸が面直方向に配列させることもできる。このような媒体は「垂直媒体」と呼ばれている。
今までの磁気記録再生装置(磁気ディスク装置)では、面内媒体が用いられている。しかしながら、近年、垂直媒体の特性が向上してきており、垂直媒体が磁気ディスク装置内で用いられる可能性も出てきた。垂直媒体の場合、Co合金層の磁化容易軸を円周方向に配向させる必要性は無いので、テクスチャーを施す必要性は無い。このようなテクスチャーを施さない垂直媒体においては、高さが1.0nm以上の領域における接触比率(BH1.0nm)が5%以上20%以下である必要性がある。
また、この発明の形態に係る磁気ディスク装置は、上記磁気ディスクと、この磁気ディスクを支持および駆動する駆動部と、上記磁気ディスクに対して情報の記録再生を行うとともに、上記磁気ディスクに対する浮上量が10.0nm以下の磁気ヘッドと、上記磁気ヘッドを支持したヘッドサスペンションアッセンブリーと、を備えたことを特徴としている。
上記磁気ディスクおよびこれを備えた磁気ディスク装置によれば、磁気ディスクの表面粗さの指標として「BH1.0nm」を用いている。この「BH1.0nm」は原子間力顕微鏡(AFM)より測定される表面粗さ負荷曲線において接触比率が50%となる高さを基準として、高さが1.0nm以上の接触比率値を表してる。
この「BH1.0nm」は、低浮上領域での浮上量安定性と相関が高く、「BH1.0nm」が5%から20%となるように磁気ディスクの表面粗さを制御することにより、磁気ヘッドの浮上量が10.0nm以下という低浮上の場合でも、磁気ディスクの電磁変換特性の優位性を維持しつつ浮上安定性を確保することができる。
以下図面を参照しながら、この発明の実施の形態に係わる磁気ディスクおよびこれを備えた磁気ディスク装置をハードディスクドライブ(以下、HDDと称する)に適用した実施の形態について詳細に説明する。
図1に示すように、HDDは、上面の開口した矩形箱状のケース12と、複数のねじによりケースにねじ止めされたケースの上端開口を閉塞する図示しないトップカバーと、を備えている。
ケース12内には、磁気記録媒体としての2枚の磁気ディスク16(一方のみ図示する)、磁気ディスクを支持および回転させる駆動部としてのスピンドルモータ18、磁気ディスクに対して情報の書き込み、読み出しを行う複数の磁気ヘッド、これらの磁気ヘッドを磁気ディスク16に対して移動自在に支持したキャリッジアッセンブリー22、キャリッジアッセンブリーを回転および位置決めするボイスコイルモータ(以下VCMと称する)24、磁気ヘッドが磁気ディスクの最外周に移動した際、磁気ヘッドを磁気ディスクから離間した退避位置を保持するランプロード機構25、および記録再生信号の処理回路であるリードライトアンプ等を有した基板ユニット21等が収納されている
ケース12の低壁外面には、基板ユニット21を介してスピンドルモータ18、VCM24、および磁気ヘッドの動作を制御する図示しないプリント回路基板がねじ止めされている。
ケース12の低壁外面には、基板ユニット21を介してスピンドルモータ18、VCM24、および磁気ヘッドの動作を制御する図示しないプリント回路基板がねじ止めされている。
各磁気ディスク16は、上面および下面に磁気記録を有している。2枚の磁気ディスク16は、スピンドルモータ18の図示しないハブの外周に嵌合されているとともに、クランプばね17によってハブ上に固定支持されている。これにより、2枚の磁気ディスク16は所定の隙間を置いて互いに同軸的に積層配置されている。そして、スピンドルモータ18を駆動することにより、2枚の磁気ディスク16は一体的に所定の速度、例えば、4200rpmで矢印B方向に回転される。
キャリッジアッセンブリー22は、ケース12の底壁上に固定された軸受部26と、軸受部から延出した複数のアーム32と、を備えている。これらのアーム32は、磁気ディスク16の表面と平行に、かつ、互いに所定の間隙を置いて位置しているとともに、軸受部26から同一の方向へ延出している。また、キャリッジアッセンブリー22は、弾性変形可能な細長い板状のサスペンション38を備えている。サスペンション38は、板ばねにより構成され、その基端がスポット溶接あるいは接着によりアーム32の先端に固定され、アームから延出している。なお、各サスペンション38は対応するアーム32と一体に形成せれてもよい。アーム32およびサスペンション38によりヘッドサスペンションを構成し、このヘッドサスペンションと磁気ヘッドとによりヘッドサスペンションアッセンブリーを構成している。
図2に示すように、各磁気ヘッド40は、ほぼ矩形状のスライダ42とこのスライダの端面に形成された記録再生用のヘッド部44とを有し、サスペンション38の先端部に設けられたジンバルばね41に固定されている。各磁気ヘッド40は、サスペンション38の弾性により、磁気ディスク16の表面に向かうヘッド荷重Lが印加されている。作動時において、磁気ディスク16に対する磁気ヘッド40の浮上量は10.0nm以下に設定されている。
図1に示すように、キャリッジアッセンブリー22は、軸受部26からアーム32と反対の方向へ延出した支持枠45を有し、この支持枠により、VCM24の一部を構成するボイスコイル47が支持されている。支持枠45は、合成樹脂によりボイスコイル47の外周に一体的に成形されている。ボイスコイル47は、ケース12上に固定された一対のヨーク49間に位置し、これらのヨーク、および、一方のヨークに固定された図示しない磁石とともにVCM24を構成している。そして、ボイスコイル47に通電することにより、軸受部26の回りでキャリッジアッセンブリ22が回動し、磁気ヘッド40は磁気ディスク16の所望のトラック上に移動および位置決めされる。
ランプロード機構25は、ケース12の底壁に設けられているとともに磁気ディスク16の外側に配置されたランプ51と、各サスペンション38の先端から延出したタブ53と、を備えている。キャリッジアッセンブリー22が、磁気ディスク16の外側の退避位置まで回動する際、各タブ53は、ランプ51に形成されたランプ面と係合し、その後、ランプ面の傾斜によって引き上げられ、磁気ヘッドのアンロードを行う。
次に、HDDにおける磁気ディスク16について詳細を説明する。
図3に示すように、磁気ディスク16は、基板50として,厚さ0.38mm、外径1.0インチ(25.4mm)のシリコン基板を備えている。基板50の表面は、アルカリ水溶液と界面活性剤を含んだエッチング液を用いて化学エッチングを施されている。面内媒体の場合には、基板50の表面にはさらにテクスチャー加工を施されてることが、電磁変換特性上好ましい。テクスチャー加工を施す順番は、化学エッチング、テクスチャー加工の順番でも、テクスチャー加工、化学エッチングの順番でも、どちらでも構わない。
エッチング液に含まれるアルカリ水溶液には、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムが用いられる。前記エッチング液中にアルカリ成分の濃度が1〜60質量%の範囲である。アルカリ成分の濃度が1質量%未満では、エッチング効果が十分に得られず、シリコン表面を粗すことができない。一方、アルカリ成分の濃度が60質量%を超えると、エッチング効果が強すぎて、シリコン表面を制御性良く粗すことができない。
エッチング液に含まれる界面活性剤には、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤のいづれかが用いられる。
アニオン界面活性剤には、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム又はアルキルリン酸カリウムが用いられる。前記エッチング液中にアニオン界面活性剤成分の濃度が0.1〜5質量%の範囲である。アニオン界面活性剤成分の濃度が0.1質量%未満では、ウェハーの表面電位を均一化できず、均一にシリコン表面を粗すことができない。一方、アニオン界面活性剤成分の濃度が5質量%を超えると、後工程でアニオン界面活性剤を洗浄除去することが困難になる。
カチオン界面活性剤には、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアルリトリメチルアンモニウムクロライド又はステアルリアミンアセテートが用いられる。前記エッチング液中にカチオン界面活性剤成分の濃度が0.1〜5質量%の範囲である。カチオン界面活性剤成分の濃度が0.1質量%未満では、ウェハーの表面電位を均一化できず、均一にシリコン表面を粗すことができない。一方、カチオン界面活性剤性剤成分の濃度が5質量%を超えると、後工程でカチオン界面活性剤を洗浄除去することが困難になる。
両性界面活性剤には、ラウリルベタイン、ステアリルベタイン又はラウリルジメチルアミンオキサイドが用いられる。前記エッチング液中に両性界面活性剤成分の濃度が0.1〜5質量%の範囲である。両性界面活性剤の濃度が0.1質量%未満では、ウェハーの表面電位を均一化できず、均一にシリコン表面を粗すことができない。一方、両性界面活性剤成分の濃度が5質量%を超えると、後工程で両性界面活性剤を洗浄除去することが困難になる。
前記エッチング液は、液温20〜80℃の範囲で実施される。20℃未満では、エッチング速度が極めて遅く生産性に適さない、一方、80℃を超えるとエッチング速度が極めて速くはるために粗さが増大してしまい適さない。
基板50の各表面上には、スパッタリングにより多層膜が形成されている。すなわち、基板50の各表面上には、CoW合金からなる厚さ10nmの配向調整膜52、Cr系合金からなる厚さ10nmの下地膜54、CoCrZr合金からなる厚さ2nm安定化層56、Ruからなる厚さ1nmの結合層58、CoCrPtB合金からなる厚さ15nmの磁性層60、およびカーボンからなる厚さ3nmの保護膜62が順に形成されている。更に、保護膜62上には、例えば、パーフルオロポリエーテルを主成分とする潤滑剤が塗布され、厚さ2nmの潤滑膜64が形成せれている。
磁気ディスク用基板または磁気ディスク16において、各表面の粗さは新たな指標として、所定の範囲に形成されている。すなわち、各表面の粗さは、原子間力顕微鏡(AFM)により測定される表面粗さ負荷曲線において、接触比率が50%となる高さを基準として、高さが1.0nm以上の領域の接触比率値(BH1.0nm)が5%以上20%以下の範囲となるように形成されている。図4に示すように、磁気ディスク16の各表面は、磁気ディスク16の表面と平行な断面において、ディスク表面凹凸の断面積が磁気ディスク全体の50%となる断面の高さ位置を中心線として、この中心線からの高さが1.0nm以上の位置における断面の面積が測定範囲(10μm×10μm)の面積の5%から20%となるように形成されている。
磁気ディスク表面の突起は、3.0nm程度では低く、磁気ヘッドとの接触時、突起は数nm押し込まれる。そのため、上記指標は、実質的には、磁気ヘッドのスライダと磁気ディスクとの吸着性を左右するのは突起の高さが1.0nm程度まで押し込まれたときのスライダと磁気ディスク表面との接触面積であるという考えに基づいて生み出されたものである。
外径25.4mm、内径7.0mm、板厚0.38mmのSi基板を用いた。Si基板は単結晶であり、その表面の結晶方位は(111)であるものを用意した。Si基板はRaが2.3Åまで鏡面仕上げをしたものを用意した。各サンプルはエッチング処理後、アンモニア過水と塩酸過水を主成分とする洗浄液で洗浄した後、乾燥した。図7、および、図8にエッチング液中に含まれる、アルカリ成分、界面活性剤成分、およびそれらの濃度、エッチング温度、時間を示した。図8は、エッチング処理、乾燥後、テクスチャー加工を施したサンプルである。テクスチャー加工の条件は以下の通りである。スラリーに含まれる砥粒はD90が0.15μmのダイアモンド砥粒を使用した。スラリーは50ml/分で加工が開始される前に2秒間滴下した。研磨テープにはポリエステル製の織物布を使用した。研磨テープの送りは75mm/分とした。ディスクの回転数は600rpmとした。ディスクの揺動は120回/分とした。テープの押し付け力は2.0kgf(19.6N)とした。加工時間は10秒とした。
磁気ディスクの表面形状の測定(Ra,BH1.0nm)には原子間力顕微鏡を用い、測定範囲は10μm×10μm、スキャンライン数は256本とした。測定データは負荷曲線の演算を行う前に、フィルター処理プレーンフィット(オーダー=1、X、Y両方)、フラットン(オーダー=0)を行った。
磁気ディスクの吸着性を評価するため、各サンプルのTD−TO試験を行った。図5に示すように、TD−TO試験に用いる試験装置はチャンバ70を備えている。チャンバ70には排気ポンプ72が接続され、チャンバ内部を0.3atm程度まで減圧することができる。チャンバ70内にはステージ74が配設され、このステージ上にはスピンドルモータ75、および支持ポスト76が設けられている。サンプルとしての磁気ディスク80はスピンドルモータ75に支持され、例えば、4200rpmで回転されている。支持ポスト76には、アーム77およびサスペンション78が取り付けられ、サスペンションの先端に試験用の磁気ヘッド82が支持されている。アーム77には、磁気ヘッド82と磁気ディスク80との接触の程度を検出するアコースティックエミッション(AE)センサー84が設けられ、AEセンサーはオシロスコープ85に接続されている。
TD−TO試験では、磁気ディスク80をスピンドルモータ75に装着し4200rpmで回転する。この状態で、チャンバ70内を徐々に減圧し、磁気ディスク表面に対する磁気ヘッド82の浮上量を下げていく。この間、AEセンサー84の出力をオシロスコープ85によりモニターする。図6に示すように、チャンバ70内がある圧力に達した時点でAEセンサーの出力が急激に増加する。これは磁気ヘッドが磁気ディスク表面と接触市とことを示している。この時の圧力をタッチダウン(TD)圧力Aとする。
その後、逆にチャンバ70内の圧力を上げていくと、AE出力は大きい値のまましばらく変化せず、ある圧力で突然ノイズレベルが低下する。これは、磁気ヘッドが再び磁気ディスク表面から浮上したことを示し、この時の圧力をテイクオフ(TO)圧力Bとする。また、TO圧力BとTD圧力Aとの差(B−A)をΔ圧力Cとする。このようなTD圧力A、TO圧力B、Δ圧力Cを測定する試験をTO−TD試験と称している。
図9から分かるように、テクスチャー加工が無い場合には、データのバラツキも含めてTO圧力が0.7atm以下になるようにするために、「BH1.0nm」が5%以上である必要性がある。「BH1.0nm」が5%よりも小さいと、磁気ディスクの表面粗さが低くなってもTD圧力が下がらない。また、図10から分かるように、Δ圧力Cが急増し、すなわち吸着性が増大する。その結果、0.7atmでも磁気ヘッドが磁気ディスク表面から浮上しないという現象が発生する。このように、「BH1.0nm」が5%より小さいと、磁気ディスク表面が過度に平坦となって吸着性が増大し、磁気ヘッドとの接触の際に生じる摩擦力が急増する。そのために、磁気ヘッドが振動し、記録再生が不安定となり、若しくは、磁気ヘッド、磁気ディスクの破壊に至る場合もある。
図11は、テクスチャー加工がある場合のTD−TO試験のデータである。この場合、テクスチャー加工が無い場合よりも、さらに厳しく、データのバラツキも含めてTO圧力が0.7atm以下になるようにするために、「BH1.0nm」が7%以上である必要性がある。また、図12から分かるように、Δ圧力Cが急増し、すなわち吸着性が増大する。
以上のことから、磁気ディスクの表面粗さとして「BH1.0nm」を5%以上にすることにより、とりわけ、テクスチャー加工がある場合には「BH1.0nm」を7%以上にすることにより、磁気ヘッドの浮上量10.0nm以下の低浮上においても、0.7atmの減圧環境下で磁気ヘッドの浮上安定性を確保することができる。
次に、磁気ディスクの表面粗さが大きい場合に懸念される磁気ヘッドによる潤滑材の拾い上げ(潤滑材のピックアップ)の有無を調査するために、以下のロード、アンロード試験を実施した。前述した試験同様に、サンプルとして「BH1.0nm」の値が異なる1.0インチサイズ(25.4mmサイズ)の磁気ディスクを複数枚作成した。各磁気ディスクを10000rpmで回転する磁気ディスク装置に組み込み、磁気ヘッドを磁気ディスク面内、面外にロード、アンロードさせる動作を繰り返し行った。試験環境は温度70℃、湿度80%RHとし、ロードアンロードサイクルを50万回行った。その後、磁気ディスク装置を分解して、磁気ヘッドへの潤滑材の付着の有無を調査した。
ロード、アンロード試験結果を図7,8に示す。この図から分かるように、テクスチャー無しの場合には、「BH1.0nm」が20%よりも大きいと潤滑剤ピックアップが観察された。潤滑剤ピックアップ現象は磁気ヘッドと磁気ディスクとの接触頻度が多いほど発生しやすいと考えられ、潤滑剤ピックアップが発生することは、同時にサーマルアスペリティや静電破壊による磁気ヘッドの破壊が生じやすいと言える。また、「BH1.0nm」が20%よりも大きいと、磁気ディスクが粗くなるために、磁気ヘッドと磁気ディスクとのスペーシングを短縮することが困難になる。したがって、高記録密度化が困難になるとともに、磁気ディスクおよび磁気ディスク装置の信頼性を確保することができない。
以上のことから、「BH1.0nm」が5%から20%となるように磁気ディスクの粗さを制御することにより、磁気ヘッドの浮上量が10.0nm以下という低浮上の場合でも、磁気ディスクの電磁変換特性を維持しつつ、高記録密度化および磁気ヘッドの浮上安定性を確保することができる。とりわけ、磁気ディスク基板にテクスチャー加工が施されている場合は、「BH1.0nm」が7%から15%となるように磁気ディスクの粗さを制御することが好ましい。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してよい、さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
例えば、磁気ディスクにおいて、下地膜、記録膜、中間膜、潤滑剤等の材質、膜厚等は上述した実施の形態に限定されることはなく、必要に応じて種々選択可能である。また、磁気ディスク装置において、磁気ディスクの枚数は、必要に応じて増減可能である。
12 ケース
16 磁気ディスク
17 クランプばね
18 スピンドルモータ
21 基板ユニット
22 キャリッジアセンブリ
24 ボイスコイルモータ
25 ランプロード機構
26 軸受部
32 アーム
38 サスペンション
40 磁気ヘッド
41 ジンバルばね
42 スライダ
43 ヘッド
44 ヘッド部
45 支持枠
47 ボイスコイル
49 ヨーク
50 基板
51 ランプ
52 第1下地膜
53 タブ
54 第2下地膜
56 安定化層
58 結合層
60 磁性記録膜
62 保護膜
64 潤滑膜
70 チャンバ
72 排気ポンプ
74 ステージ
75 スピンドルモータ
76 支持ポスト
77 アーム
78 サスペンション
80 磁気ディスク
82 磁気ヘッド
84 センサ
85 オシロスコープ
16 磁気ディスク
17 クランプばね
18 スピンドルモータ
21 基板ユニット
22 キャリッジアセンブリ
24 ボイスコイルモータ
25 ランプロード機構
26 軸受部
32 アーム
38 サスペンション
40 磁気ヘッド
41 ジンバルばね
42 スライダ
43 ヘッド
44 ヘッド部
45 支持枠
47 ボイスコイル
49 ヨーク
50 基板
51 ランプ
52 第1下地膜
53 タブ
54 第2下地膜
56 安定化層
58 結合層
60 磁性記録膜
62 保護膜
64 潤滑膜
70 チャンバ
72 排気ポンプ
74 ステージ
75 スピンドルモータ
76 支持ポスト
77 アーム
78 サスペンション
80 磁気ディスク
82 磁気ヘッド
84 センサ
85 オシロスコープ
Claims (22)
- シリコン基板をアルカリ水溶液と界面活性剤とを含んだエッチング液を用いて化学エッチングをすることを特徴とする磁気記録媒体用基板の製造方法。
- 化学エッチングにより、表面に凹凸を形成することを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体用基板の製造方法。
- アルカリ水溶液が、水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムを含み、エッチング液中のアルカリ成分の濃度が1質量%〜60質量%の範囲内であることを特徴とする請求項1または2に記載の磁気記録媒体用基板の製造方法。
- 界面活性剤がアニオン界面活性剤であり、エッチング液中のアニオン界面活性剤成分の濃度が0.1質量%〜5質量%の範囲内であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の磁気記録媒体用基板の製造方法。
- アニオン界面活性剤が、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、アルキルリン酸カリウムからなる群から選ばれた何れか一種以上であることを特徴とする請求項4に記載の磁気記録媒体用基板の製造方法。
- 界面活性剤がカチオン界面活性剤であり、エッチング液中のカチオン界面活性剤成分の濃度が0.1質量%〜5質量%の範囲内であることを特徴とする請求項5に記載の磁気記録媒体用基板の製造方法。
- カチオン界面活性剤が、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアルリトリメチルアンモニウムクロライド、ステアルリアミンアセテートからなる群から選ばれた何れか一種以上であることを特徴とする請求項6に記載の磁気記録媒体用基板の製造方法。
- 界面活性剤が両性界面活性剤であり、エッチング液中の両性界面活性剤成分の濃度が0.1質量%〜5質量%の範囲内であることを特徴とする請求項7に記載の磁気記録媒体用基板の製造方法。
- 両性界面活性剤が、ラウリルベタイン、ステアリルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイドからなる群から選ばれた何れか一種以上であることを特徴とする請求項8に記載の磁気記録媒体用基板の製造方法。
- エッチング液の液温が20℃〜80℃の範囲内であることを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の磁気記録媒体用基板の製造方法。
- 表面の凹凸が、表面粗さ負荷曲線において接触比率が50%となる高さを基準として、高さが1.0nm以上の領域における接触比率値(BH1.0nm)が5%以上20%以下であることを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載の磁気記録媒体用基板の製造方法。
- シリコン基板が、単結晶シリコンであることを特徴とする請求項1〜11の何れか1項に記載の磁気記録媒体用基板の製造方法。
- シリコン基板が、多結晶シリコンであることを特徴とする請求項1〜11の何れか1項に記載の磁気記録媒体用基板の製造方法。
- 基板の直径が50mm以下であること特徴とする請求項1〜13の何れか1項に記載の磁気記録媒体用基板の製造方法。
- シリコン基板表面の凹凸が、表面粗さ負荷曲線において接触比率が50%となる高さを基準として、高さが1.0nm以上の領域における接触比率値(BH1.0nm)が5%以上20%以下であることを特徴とする磁気記録媒体用基板。
- シリコン基板が、単結晶シリコンであることを特徴とする請求項15に記載の磁気記録媒体用基板。
- シリコン基板が、多結晶シリコンであることを特徴とする請求項15に記載の磁気記録媒体用基板。
- 基板の直径が50mm以下であること特徴とする請求項15〜17の何れか1項に記載の磁気記録媒体用基板。
- 請求項1〜14の何れか1項に記載の磁気記録媒体用基板の製造方法を用いて製造した磁気記録媒体用基板。
- 請求項15〜19の何れか1項に記載の磁気記録媒体用基板上に磁性膜、保護膜、潤滑剤層を有する磁気記録媒体であって、磁気記録媒体表面の凹凸が、表面粗さ負荷曲線において接触比率が50%となる高さを基準として、高さが1.0nm以上の領域における接触比率値(BH1.0nm)が5%以上20%以下であることを特徴とする磁気記録媒体。
- シリコン基板を用いた磁気記録媒体用基板上に、磁性膜、保護膜、潤滑剤層を有する磁気記録媒体であって、磁気記録媒体表面の凹凸が、表面粗さ負荷曲線において接触比率が50%となる高さを基準として、高さが1.0nm以上の領域における接触比率値(BH1.0nm)が5%以上20%以下であることを特徴とする磁気記録媒体。
- 請求項20または21に記載の磁気記録媒体と、磁気記録媒体に情報を記録再生する磁気ヘッドとを備えた磁気記録再生装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005162636A JP2006018996A (ja) | 2004-06-04 | 2005-06-02 | 磁気記録媒体用基板、磁気記録媒体、および磁気記録再生装置 |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004166472 | 2004-06-04 | ||
JP2005162636A JP2006018996A (ja) | 2004-06-04 | 2005-06-02 | 磁気記録媒体用基板、磁気記録媒体、および磁気記録再生装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006018996A true JP2006018996A (ja) | 2006-01-19 |
Family
ID=35793104
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2005162636A Pending JP2006018996A (ja) | 2004-06-04 | 2005-06-02 | 磁気記録媒体用基板、磁気記録媒体、および磁気記録再生装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2006018996A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015120817A (ja) * | 2013-12-24 | 2015-07-02 | 花王株式会社 | 洗浄剤組成物 |
-
2005
- 2005-06-02 JP JP2005162636A patent/JP2006018996A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015120817A (ja) * | 2013-12-24 | 2015-07-02 | 花王株式会社 | 洗浄剤組成物 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5574414B2 (ja) | 磁気ディスクの評価方法及び磁気ディスクの製造方法 | |
JP2007272995A (ja) | 磁気ディスク装置および非磁性基板の良否判定方法、磁気ディスク、並びに磁気ディスク装置 | |
JP4545714B2 (ja) | 磁気記録媒体並びに磁気記録再生装置 | |
JP2009146511A (ja) | 磁気ディスク及び磁気ディスク装置 | |
JP7195440B2 (ja) | 低減された厚さ及び低減されたディスク平坦度を有するディスクを備える磁気記録装置 | |
US7153193B1 (en) | System and apparatus for selectively sensing and removing asperities from hard disk drive media utilizing active thermally controlled flying heights | |
JP4947429B2 (ja) | 情報記録媒体用基板、およびそれを用いた情報磁気記録媒体 | |
JP2007012157A (ja) | 磁気記録媒体及び磁気記録再生装置 | |
US7239483B2 (en) | Magnetic disk with specified contact ratio [BH 1.0 nm] and circumferential texturing and magnetic disk apparatus equipped with magnetic disk | |
JP2006018996A (ja) | 磁気記録媒体用基板、磁気記録媒体、および磁気記録再生装置 | |
JP2024518836A (ja) | マグネシウムトラップ層を備えた熱アシスト磁気記録(hamr)媒体 | |
US7153192B1 (en) | Method for selectively sensing and removing asperities from hard disk drive media utilizing active thermally controlled flying heights | |
US6509111B1 (en) | Magnetic recording media and magnetic disk apparatus | |
US20080020239A1 (en) | Substrate For Magnetic Recording Medium, Magnetic Recording Medium, And Magnetic Recording And Reproducing Device | |
JP5032758B2 (ja) | 磁気ディスク用ガラス基板の製造方法及び磁気ディスクの製造方法 | |
US6852432B2 (en) | Magnetic recording media and magnetic disk apparatus | |
US6468600B1 (en) | Method of texturing surface of substrate for recording medium | |
JP2005346880A (ja) | 磁気記録再生装置 | |
JP2620591B2 (ja) | 磁気記録再生装置 | |
WO2005119659A1 (en) | Substrate for magnetic recording medium, magnetic recording medium, and mangetic recording and reproducing device | |
JP2006120228A (ja) | ディスク装置 | |
JP4146005B2 (ja) | 磁気記録媒体及び磁気記録再生装置 | |
JP2006164387A (ja) | 磁気記録媒体、磁気記録媒体の製造方法及びその磁気記録媒体を用いた磁気ディスク装置 | |
JP3606106B2 (ja) | 磁気記録媒体およびその製造方法 | |
JP2006018998A (ja) | 磁気記録媒体の製造方法 |