JP2006017566A - 吸光度検出器の測定セル - Google Patents

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Abstract

【課題】構造が簡単で低コスト化が可能であり、測定光などの回り込みを防止して測定精度を向上させた吸光度検出器の測定セルを提供する。
【解決手段】測定液に照射した光の吸光度を検出する吸光度検出器の測定セルであって、この測定セルを介して光を照射し、受光する測定セルに関する。前記測定セルを、測定液が供給される内管21と、その周囲に一体的に形成されて内管と共に密閉空間23を形成する同心状の外管22とからなる二重管構造とし、かつ、密閉空間23を真空にする。また、測定セルを通過する光路を妨害しない位置(内管21の外周面等)に遮光部25(25’)を形成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えば全窒素・全りん計やCOD(Chemical Oxygen Demmand:化学的酸素消費量)計、あるいはこれらの全項目を測定する全窒素・全りん/COD計等の吸光度検出器に使用される測定セルに関するものである。
後述する特許文献1には、比色計において、測定液を通過させるフローセルの構造を改良した二重フローセル装置が記載されている。
この従来技術は、フローセル、測定液供給管及び測定液排出管を一体形成した部材を円筒状ケーシングの内部に配置して二重管構造にすると共に、前記フローセルを通過する測定液に対しケーシングの透過ガラスを介して測定光を照射し、透過光を受光して透過率を測定するものであり、ケーシング内部の空間に乾燥空気または不活性ガス、窒素ガス等の水分を含有しない空気を封入した構造となっている。そして、この二重フローセル装置によれば、フローセル内に外気より温度が低い測定液を通過させた場合でも、前記透過ガラスに対向するセル窓の外表面に水滴が付着することがなく、また、温度変化によるレンズ効果を生じないようにして安定した高精度の測定を可能にするものである。
また、下記の特許文献2には、ガス分析計において、測定対象の高温ガスが供給されるセル本体の外周面にヒータを巻き付けて温度調節を行い、セル本体やセル窓の結露を防止すると共に、セル窓の外側に真空の空間を形成して熱媒体となる気体を排除し、更に、測定光の光学系を窒素ガス等の不活性ガスによる密封空間もしくはパージ空間に配置して外気湿度等の影響を受けないようにした加熱高温ガスセルが記載されている。
特開昭48−73193号公報(特許請求の範囲、第2頁右上欄第13行〜第3頁右上欄第2行、第2図〜第4図等) 特開2002−148183号公報(請求項1、[0013]〜[0021]、図1〜図3等)
特許文献1に記載された従来技術によれば、フローセル端面への水滴の付着を防止することは可能であるが、フローセル廻りの空間に乾燥空気や不活性ガス、窒素ガス等を封入しなくてはならず、これらのガスの封入作業が製造コストを上昇させる原因となっていた。
更に、この従来技術では、フローセル廻りの空間に回り込んできた測定光や、場合によっては外来光が受光部に入射する場合があり、これらがノイズとなって測定精度が低くなるという問題があった。
また、特許文献2に記載された従来技術においても、ヒータや温度センサ、温度調節回路が不可欠であると共に不活性ガスの封入作業が必要であり、これらが検出器の小形化を阻害し、高価格化を招いていた。
そこで本発明の解決課題は、構造が簡単で低コスト化が可能であり、しかも、測定光などの回り込みを防止して測定精度を向上させることができる吸光度検出器の測定セルを提供することにある。
上記課題を解決するため、請求項1に記載した発明は、測定液に照射した光の吸光度を検出する吸光度検出器の測定セルであって、この測定セルを介して光を照射し、受光する測定セルにおいて、
前記測定セルを、測定液が供給される内管と、この内管の周囲に一体的に形成されて内管と共に密閉空間を形成する外管と、からなる二重管構造とし、かつ、前記密閉空間を真空にしたものである。
請求項2に記載した発明は、請求項1において、内管をほぼ円筒状に形成し、この内管の周囲に、外管を同心状に形成したものである。
請求項3に記載した発明は、請求項1または2において、測定セルを通過する光路を妨害しない位置に、遮光部を形成したものである。この遮光部は、例えば内管の外周面や内周面、あるいは前記密閉空間に形成、配置すればよい。
請求項4に記載した発明は、請求項3において、遮光部を測定セルの材料と熱膨張率がほぼ等しい材料にて形成したものである。
例えば、測定セルを石英ガラスにより形成した場合には、これと熱膨張率がほぼ等しい白金等を用いて遮光部を形成すればよい。
本発明によれば、二重管構造にした測定セルの内管と外管との間の密閉空間を真空にしたため、内管外周面や外管内周面への水滴の付着を防止して測定液の吸光度を正確に測定することができる。また、前述した従来技術のように各種のガスを封入する手間がなく、また、加熱、温度調節手段が不要であるため、検出器の構造の簡略化、小形化及び低コスト化が可能である。
更に、必要に応じて遮光部を設けることにより、受光部への光の回り込みを防いで直線性の良い測定結果を得ることができる。
以下、図に沿って本発明の実施形態を説明する。
まず、図1は、この実施形態に係る吸光度検出器の断面図であり、例えば環境水や下水道水等の水質を測定する全窒素・全りん/COD計に用いられる紫外光・可視光吸光度検出器(UV−VIS検出器)に本発明を適用した場合のものである。
図1において、10はほぼ偏心円筒状の検出器ハウジングであり、その内部に形成された中空のセル収容部11には、石英ガラスにより形成された二重管状の測定セル20が収容されている。なお、測定セル20の構造については後に詳述する。
前記ハウジング10には、測定セル20内を測定光が透過するように、タングステン−ハロゲンランプ等の可視光ランプ31と、水銀ランプやメタルハライドランプ等の紫外光ランプ33とが測定セル20の軸方向に沿って適宜な距離をおいて取り付けられている。これらのランプ31,33の測定セル20を介した反対側には、可視光を受光する受光部32と紫外光を受光する受光部34とがそれぞれ配置されている。
なお、12a,12bはハウジング10内を可視光が通過する通孔、13a,13bは同じく紫外光が通過する通孔、35は各受光部32,34の受光信号を増幅するアンプ等の回路素子が実装される基板を示している。ここで、基板35については、各受光部32,34と電気的に接続されていれば良く、必ずしも図示した位置に配置する必要はない。
また、41は測定セル20の下端に開口される測定液供給部であり、42は測定セル20の上端に開口される測定液排出部である。
次に、図2(a)は前記測定セル20だけを抜き出して示した断面図、(b)は(a)のA−A断面に相当する断面図、(c)は後述するように測定セル20(遮光部)の変形例に関するA−A相当断面図である。
この測定セル20は、円筒状の内管21と、その軸方向両端部を除いた部分の外側に同心状に一体形成された外管22とによって二重管状に構成されており、内管21と外管22との間の空間は真空引きした上で封止部24により封止されて密封空間23となっている。
更に、例えば前記内管21の外周面には、図2(a),(b)に示すごとく、可視光の光路12及び紫外光の光路13を妨害しないような位置に遮光部25が配置されている。この遮光部25は、内管21や外管22により反射した光が密閉空間23を経て測定セル20内や光路12,13内に紛れ込むのを防止するものであり、図2(a)に示すように測定セル20の軸方向に沿って光路12,13をカバーし得る範囲の長さを持ち、かつ、図2(b)に示すように光路12,13を両側から挟むように形成されている。
上記遮光部25は、例えば黒色の遮光性のテープを内管21の外周面に貼着して形成したり、遮光性の黒色塗料を塗布することにより形成される。また、熱膨張率が測定セル20の材質(石英ガラス)に近い材料、例えば白金等を膜状にして内管21の外周面に被着させても良い。
なお、遮光部25は内管21の内周面に形成しても良く、更には、内管21の外周面または内周面と、外管22の内周面とに形成しても良い。
また、図2(c)に示すように、測定セル20の軸方向に沿って光路12,13をカバーし得る範囲の長さを持つ白金膜等を、密閉空間23内の光路12,13を遮らない位置において内管21の外周面と外管22の内周面とを橋絡させるように配置することにより、遮光部25’を構成しても良い。
次に、この実施形態の動作を説明すると、図1のように測定液を供給部41から測定セル20の内管21に所定流量で供給し、排出部42から排出させる。この状態で可視光ランプ31及び紫外光ランプ33を点灯して測定光(可視光及び紫外光)を出射し、測定セル20内の測定液を介した受光部32,34の入射光を電気信号に変換してなる受光信号に基づき、測定液による吸光度を検出して全窒素・全りん濃度、COD等を測定する。
その際、測定液が低温であり、内管21の管壁の温度が周囲温度より低下したとしても、外管22との間の密閉空間23は真空状態であるため、この密閉空間23を包囲する内管21の外周面や外管22の内周面に水滴が付着することがなく、内管21及び外管22の曇りや結露を防止することができる。このため、各ランプ31,33から出射された測定光の一部または全部が水滴により妨害されて測定液を通過しなかったり、測定液から出た光の一部または全部が水滴により妨害されて受光部32,34に入射しないといった不都合を防止することができ、測定液の吸光度を正確に測定することが可能になる。
また、各ランプ31,33から測定セル20への入射光が内管21と外管22との間の密閉空間23内で反射を繰り返したとしても、この反射光は遮光部25(25’)により遮られるため測定液中に入射したり受光部32,34側へ回り込むおそれが少なく、測定値の直線性を阻害する心配はない。
なお、遮光部25(25’)を設けない場合、設ける場合の何れにおいても、検出器を組み立てた際に、内管21内に遮光物を挿入して内管21内の光路12,13を遮り、内管21内を光が透過しない状態で可視光ランプ31及び紫外光ランプ33を点灯した場合の受光部32,34への入射光量をオフセット値として予め測定しておき、実際の測定時には、測定値から前記オフセット値を差し引いてゼロ点調整する方法も有効である。
次に、図3は、本実施形態により遮光部を設けて光の回り込みをなくした場合のCOD測定結果を示す図であり、(b)は数値データ、(a)は数値データのうち標準液濃度、吸光度、濃度値をプロットしたグラフである。
測定条件としては、内筒の内周面に遮光部を設けた石英ガラス製の測定セルを用い、恒温槽で25℃に保った純水及びフタル酸水素カリウム標準液を使用して吸光度及び濃度値を測定した。
更に、図4は、図3との対比のために、遮光部を設けない場合(光の回り込みがある場合)のCOD測定結果を示す図である。
これらの図から明らかなように、本実施形態による図3の例では、標準液濃度に対して吸光度及び濃度値が直線性良く測定されており、標準液濃度と濃度値(測定値)とがほぼ等しくなっているのに対し、光の回り込みがある図4の例では、標準液濃度が高くなるにつれて測定値の直線性が低下し、標準液濃度と濃度値との誤差も大きくなっている。
なお、図3,図4の各標準液濃度における受光部の出力電圧の差は0.045Vであり、この電圧が光の回り込みに相当する誤差分である。
以上のように、本実施形態によれば、測定セル20を二重管構造にして内管21と外管22との間の密閉空間23を真空にすることにより、内管21の外周面や外管22の内周面への水滴の付着を防止して吸光度方式による濃度測定を正確に行うことができる。特に、従来技術のように、乾燥空気や不活性ガス、窒素ガス等を封入する手間がなく、また、ヒータや温度センサ、温度調節回路等を用いた加熱、温度調節手段が不要であるため、検出器の構造の簡略化、小形化及び製造コストの低減を図ることができる。
また、測定セル20における測定光の光路を除いた部分を遮光部25(25’)にて遮光することにより、受光部32,34への光の回り込みを防いで直線性の良好な測定結果を得ることが可能である。
本発明の実施形態に係る吸光度検出器の断面図である。 (a)は図1における測定セルの断面図、(b)は(a)のA−A拡大断面図、(c)は測定セルの変形例のA−A相当断面図である。 本発明の実施形態により遮光部を設けて光の回り込みをなくした場合のCOD測定結果を示す図である。 図3との比較のために、遮光部を設けない場合のCOD測定結果を示す図である。
符号の説明
10:検出器ハウジング
11:セル収容部
12a,12b,13a,13b:通孔
12:可視光光路
13:紫外光光路
20:測定セル
21:内管
22:外管
23:密閉空間
24:封止部
25,25’:遮光部
31:可視光ランプ
32,34:受光部
33:紫外光ランプ
35:基板
41:測定液供給部
42:測定液排出部

Claims (4)

  1. 測定液に照射した光の吸光度を検出する吸光度検出器の測定セルであって、この測定セルを介して光を照射し、受光する測定セルにおいて、
    前記測定セルを、
    測定液が供給される内管と、この内管の周囲に一体的に形成されて内管と共に密閉空間を形成する外管と、からなる二重管構造とし、かつ、
    前記密閉空間を真空にしたことを特徴とする吸光度検出器の測定セル。
  2. 請求項1に記載した吸光度検出器の測定セルにおいて、
    前記内管をほぼ円筒状に形成し、この内管の周囲に、前記外管を同心状に形成したことを特徴とする吸光度検出器の測定セル。
  3. 請求項1または2に記載した吸光度検出器の測定セルにおいて、
    前記測定セルを通過する光路を妨害しない位置に、遮光部を形成したことを特徴とする吸光度検出器の測定セル。
  4. 請求項3に記載した吸光度検出器の測定セルにおいて、
    前記遮光部を、測定セルの材料と熱膨張率がほぼ等しい材料にて形成したことを特徴とする吸光度検出器の測定セル。
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