JP2006016932A - 鉄筋継手へのグラウト材の注入方法、グラウト材及び連結鉄筋 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 グラウト材の主剤と硬化剤とをそれぞれ収容したカートリッジ31,32を供給管21,22にその一端部から挿入する。供給管21,22を混合用継手41の大径嵌合部42及び小径嵌合部43にそれぞれ着脱可能に嵌合する。継手41、供給管21,22及びカートリッジ31,32を注入装置の装着部19に着脱可能に装着する。カートリッジ31,32の底部31d,32dをピストン24,25によって供給管21,22の一端側へ押すことにより、カートリッジ31,32の柔軟な薄膜からなる筒部31a,32aを押し潰し、その内部に収容されたグラウト材の主剤及び硬化剤を継手41を介してミキサー50に押出す。そして、ミキサー50内において主剤及び硬化剤を混合させた後、ミキサー50から鉄筋継手内に注入する。
【選択図】図2
Description
この場合、上記グラウト注入装置が、剛性を有する混合用継手をさらに備え、上記混合用継手が、上記複数の供給管が着脱可能に嵌合固定される複数の嵌合部、各嵌合部内にそれぞれ開口し、上記カートリッジから吐出した上記グラウト材の成分が流入する複数の流入筒部、及び上記複数の流入筒部の各内部にそれぞれ接続された複数の吐出口が設けられ、上記ミキサーが着脱可能に取り付けられる取付部を有していることが望ましい。
上記カートリッジが、上記筒部の先端部外周面に嵌合固定された補強リングと、この補強リングに設けられ、上記筒部の先端開口部を閉じる薄膜からなる蓋部と、上記筒部の基端開口部を閉じる底部とを有し、上記補強部材の後端面が上記供給管の先端面に突き当たるまで上記筒部が上記供給管に挿入され、その状態で上記供給管が上記混合用継手の嵌合部に嵌合されることにより、上記流入筒部が上記蓋部を破って上記筒部内に突出していることが望ましい。
上記カートリッジの筒部が、その基端側から先端側へ向かって僅かに大径になるようにテーパ状に形成されていることが望ましい。
上記グラウト材が二成分からなる場合には、それに対応して上記供給管、上記ピストン及び上記カートリッジがそれぞれ二つ宛て用いられる。
上記グラウト材の二つの成分の一方がエポキシ化合物(A)及び無機充填剤(B)からなり、他方の成分がアミノ化合物(C)及び無機充填剤(B)からなることが望ましい。
上記グラウト材の混合直後の25°Cにおける粘度が20,000〜200,000mPa・sであることが望ましい。
上記グラウト材の混合直後の25°Cにおける下記式で算出されるSVI値が3.0〜10.0であることが望ましい。
S=η1/η2
ここで、
η1:BH型粘度計、7号スピンドルを用いて回転数2rpmでの25°Cにおける粘度
η2:BH型粘度計、7号スピンドルを用いて回転数20rpmでの25°Cにおける粘度
また、複数のグラウト材成分に共通の無機充填剤を配合すれば本発明の注入方法で混合しても各成分が容易に相溶することができるので注入されたグラウト材は均一性に優れる。
まず、この発明に係る注入方法を採用することによって製造された連結鉄筋について説明すると、図4に示すように、連結鉄筋Aは、鉄筋継手1と、二本の鉄筋2,3とを備えている。鉄筋継手1は、筒状をなしており、その内周面には雌ねじ部1aが形成されている。鉄筋継手1には、その外周面から内周面まで貫通する注入孔1b及び二つの確認孔1c,1cが形成されている。注入孔1bは、鉄筋継手1の長手方向の中央部に配置されており、確認孔1c,1cは、鉄筋継手1の両端部にそれぞれ配置されている。一方、各鉄筋2,3の一端部外周面には、雄ねじ部2a,3aがそれぞれ形成されている。雄ねじ部2a,3aは、鉄筋継手1の雌ねじ部1aの両端部にそれぞれ螺合されている。この場合、雄ねじ部2a,3aは、鉄筋2,3の一端面どうしが互いに突き当たるまでねじ込まれているが、鉄筋2,3の一端面どうしは若干離間させておいてもよい。
上記に用いられる樹脂フィルムの材質としては、グラウト材に作用せず、かつグラウト材によって劣化しないフィルム状のものであれば特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル、ナイロン等の樹脂が挙げられる。
膜厚は特に限定はないが、好ましくは0.1μm〜100μmである。
エポキシ樹脂系グラウト材は、一方の成分がエポキシ化合物(A)及び無機充填剤(B)からなり、他方の成分がアミノ化合物(C)及び無機充填剤(B)からなるのが好ましい。
アクリル樹脂系グラウト材は、一方の成分がアクリル系モノマー及び/若しくはオリゴマーと無機充填剤からなり、他方の成分が重合開始剤及び無機充填剤からなるのが好ましい。
ウレタン樹脂系グラウト材は、一方の成分が多価水酸基含有化合物及び無機充填剤からなり、他方の成分がイソシアネート化合物及び無機充填剤からなるのが好ましい。
水ガラス系グラウト材は、一方の成分が水ガラス及び無機充填剤からなり、他方の成分が固結剤(ホウ酸亜鉛、リン酸アルミニウム等)及び無機充填剤からなるのが好ましい。
シリカゾル系グラウト材は、一方の成分がシリカゾル及び無機充填剤からなり、他方の成分が固結剤(ホウ酸亜鉛、リン酸アルミニウム等)及び無機充填剤からなるのが好ましい。
これらの内で、より好ましくはエポキシ樹脂系、アクリル樹脂系グラウト材であり、特に好ましくはエポキシ樹脂系グラウト材である。
エポキシ化合物(A)としては、分子中に1個以上のエポキシ基を有していれば特に限定されず、用途、目的に応じて適宜選択することができる。好ましくは分子中にエポキシ基を1〜6個有するものである。エポキシ化合物のエポキシ当量(エポキシ基1個当たりの分子量)は、好ましくは65〜1,000であり、より好ましくは90〜500である。エポキシ当量が1,000以下であると、硬化物の耐水性、耐薬品性、機械的強度等の物性が良好であり、一方、エポキシ当量が65以上であると硬化物の耐水性、耐薬品性、機械的強度等が良好な架橋構造となる。
エポキシ化合物(A)の例としては、下記(A−1)から(A―5)があげられる。
1価フェノール類のグリシジルエーテル(フェニルグリシジルエーテル等の炭素数6〜30の1価フェノール類のグリシジルエーテル);2価フェノール類のジグリシジルエーテル(ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールBジグリシジルエーテル、ビスフェノールADジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル等の炭素数6〜30の2価フェノール類のジグリシジルエーテル);3価〜6価又はそれ以上の、多価フェノール類のポリグリシジルエーテル[ピロガロールトリグリシジルエーテル、フェノール又はクレゾールノボラック樹脂(分子量200〜5,000)のグリシジルエーテル等の炭素数6〜50又はそれ以上で、分子量250〜5,000の3価〜6価又はそれ以上の多価フェノール類のポリグリシジルエーテル];脂肪族1価アルコールのグリシジルエーテル(アリルグリシジルエーテル、n−ブチルグリシジルエーテル等の炭素数2〜100、分子量150〜5,000のモノオールのグリシジルエーテル);脂肪族2価アルコールのジグリシジルエーテル[エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコール(分子量150〜4,000)ジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコール(分子量180〜5,000)ジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル等の炭素数2〜100、分子量150〜5,000のジオールのジグリシジルエーテル];3価〜6価又はそれ以上の脂肪族アルコールのポリグリシジルエーテル[トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ソルビトールヘキサグリシジルエーテル、ポリ(n=2〜5)グリセロールポリグリシジルエーテル等の炭素数3〜50又はそれ以上で、分子量92〜10,000の3価〜6価又はそれ以上の多価アルコール類のグリシジルエーテル];エポキシ変成シリコーン[1,3−ビス(3−グリシドキシプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン等の1個以上の水酸基を含有する分子量200〜2,000のポリジアルキルシロキサン];
炭素数6〜20又はそれ以上で、1価〜6価又はそれ以上の芳香族カルボン酸のグリシジルエステル、及び炭素数2〜20又はそれ以上で、1価〜6価又はそれ以上の脂肪族若しくは脂環式カルボン酸のグリシジルエステル;例えば、フタル酸ジグリシジルエステル等の芳香族カルボン酸のグリシジルエステル;前記芳香族カルボン酸のグリシジルエステルの芳香核水添加物、ダイマー酸ジグリシジルエステル等の脂肪族若しくは脂環式カルボン酸のグリシジルエステル等;
(A−3)グリシジルアミン型;
炭素数6〜20又はそれ以上で、1〜10又はそれ以上の活性水素原子をもつ芳香族アミン類のグリシジルアミン及び脂肪族、脂環式若しくは複素環式アミン類のグリシジルアミン;例えば、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジルトルイジン等の芳香族アミン類のグリシジルアミン;N,N,N’,N’−テトラグリシジルキシリレンジアミン等の脂肪族アミン類のグリシジルアミン;N,N,N’,N’−テトラグリシジルキシリレンジアミンの水添化合物等の脂環式アミン類のグリシジルアミン;トリスグリシジルメラミン等の複素環式アミンのグリシジルアミン;
炭素数6〜50又はそれ以上で1〜6価又はそれ以上の鎖状脂肪族エポキサイド;例えば、エポキシ当量130〜1,000のエポキシ化ブタジエン(分子量90〜2,500)等のエポキシ化(ポリ)アルカジエン等;
(A−5)脂環式エポキサイド
炭素数6〜50又はそれ以上で、分子量90〜2500、エポキシ基の数1〜4又はそれ以上の脂環式エポキサイド;例えば、ビニルシクロヘキセンジオキシド、ジシクロペンタジエンジオキシド等;
これらのうち、グラウト材硬化物の強度の観点から好ましいものはグリシジルエーテル型(A−1)であり、特に好ましいものはフェノール類の(ポリ)グリシジルエーテルである。
が挙げられる。これらは1種又は2種以上の混合物として用いてもよい。
これらの内で好ましくはガラス粉末、アルミニウム化合物、カルシウム化合物及び亜鉛化合物であり、より好ましくはガラス粉末及びカルシウム化合物である。
(B)の形状についても特に限定されず、粉末状でもビーズ状でもよく、また、粒状でも中空状でもよい。
(B)の体積平均粒子径は、好ましくは0.1μm〜300μmであり、より好ましくは0.2μm〜200μmである。
(A)と(B)の配合方法は、混合できれば限定されるものではないが、万能混合機等の通常の混合機を使用して各成分を混合する方法が好適に用いられる。
(A)と(B)の配合物の粘度は、好ましくは3,000〜40,000mPa・s、より好ましくは5,000〜300,000mPa・sである。
アミノ化合物(C)はアミノ基に由来する活性水素を2個以上有する化合物であり、以下の(C−1)〜(C−9)が挙げられる。アミノ基に由来する活性水素とは、直接アミノ基の窒素原子に結合する水素原子のことをいう。好ましくは分子中にアミノ基に由来する活性水素を2〜10個有する化合物であり、より好ましくは3〜6個有する化合物である。
(C)の活性水素当量(活性水素1個当りの分子量)は、好ましくは15〜500であり、より好ましくは20〜200である。活性水素当量が500以下であると硬化物の接着性、耐久性等の物性が良好である。活性水素当量が15以上であると硬化物の接着性、耐久性、耐薬品性等の物性が良好である。
(i)脂肪族アミン{炭素数6〜18のアルキルアミン(オクチルアミン等)、炭素数2〜6のアルキレンジアミン(エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサメチレンジアミン等)、ポリアルキレン(炭素数2〜6)ポリアミン〔ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、トリエチレンテトラミン、ペンタエチレンヘキサミン等〕};
(ii)これらのアルキル(炭素数1〜4)又はヒドロキシアルキル(炭素数2〜4)置換体〔ジアルキル(炭素数1〜3)アミノプロピルアミン、N,N’−ジメチルヘキサメチレンジアミン、アミノエチルエタノールアミン、2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン等〕;
(iii)芳香族アミン類(炭素数8〜15)(キシリレンジアミン等);
1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン等;
(C−3)複素環式ポリアミン(炭素数4〜15、官能基数2〜3);
ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、〔3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等〕等;
(C−4)ポリアミドポリアミン;
ジカルボン酸(ダイマー酸等)と過剰の(酸1モル当り1〜2級アミノ基が2モルの)ポリアミン類(官能基数2〜7の前記アルキレンジアミン,ポリアルキレンポリアミン等)との縮合により得られるポリアミドポリアミン(数平均分子量200〜1,000)等;
ポリエーテルポリオール(官能基数;好ましくは2〜7)のシアノエチル化物の水素化物(分子量230〜1,000)等;
(C−6)エポキシ付加ポリアミン;
エポキシ化合物[特開2001−40331号公報記載のポリエポキサイド及びモノエポキサイド)1モルをポリアミン類(前記アルキレンジアミン、ポリアルキレンポリアミン等)に1〜30モル付加させることによって得られるエポキシ付加ポリアミン(分子量230〜1,000)等;
(C−7)シアノエチル化ポリアミン:アクリロニトリルとポリアミン類(前記脂肪族ポリアミン等)との付加反応により得られるシアノエチル化ポリアミン、ビスシアノエチルジエチレントリアミン等(分子量230〜606)等;
(C−8)アミノ変成シリコーン;
分子量200〜2,000のポリジアルキルシロキサン(例えば、ポリジメチルシロキサン等)にアミノ基を導入した化合物、例えば、1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3−ポリ(n=2〜20)テトラメチルジシロキサン等;
(i)ヒドラジン類(ヒドラジン、モノアルキル(炭素数1〜5)ヒドラジン等);
(ii)ジヒドラジッド類(コハク酸ジヒドラジッド,アジピン酸ジヒドラジッド等の炭素数4〜30の脂肪族系ジヒドラジッド;イソフタル酸ジヒドラジッド,テレフタル酸ジヒドラジッド等の炭素数10〜40の芳香族系ジヒドラジッド;);
(iii)グアニジン類(ブチルグアニジン等の炭素数1〜5のアルキルグアニジン;1−シアノグアニジン等のシアノグアニジン);
(iv)ジシアンジアミド等;
並びにこれらの2種以上の混合物。
上記(C)のうち、好ましいのは(C−2)、(C−3)、(C−4)及び(C−6)であり、特に好ましいのは(C−1)である。
(C)と(B)の配合比は、(C)と(B)の合計を100質量部としたとき、好ましくは10〜95:90〜5質量部であり、より好ましくは20〜90:80〜10質量部である。
配合方法としては、万能混合機等の通常の混合機を使用して各成分を混合する方法が好適に用いられる。
(C)と(B)の配合物の粘度は、好ましくは3,000〜40,000mPa・s、より好ましくは5,000〜300,000mPa・sである。
該(D)を含有することにより、作業性を損なわずに、鉄筋継手に注入した後でもタレが生じにくくなる効果が向上する。
(D)は、ポリオールにアルキレンオキサイド(AO)を付加したものである。該目的に用いられるポリオールとしては、例えば、2〜8価又はそれ以上で、炭素数2〜30で2価〜8価又はそれ以上の多価アルコール〔エチレングリコール,プロピレングリコール等の2価アルコール;グリセリン,トリメチロールプロパン等の3価アルコール;ペンタエリスリトール,ジペンタエリスリトール,グルコース,ショ糖等の4〜8価のアルコール等〕、2〜8価又はそれ以上で、炭素数6〜40の多価フェノール(ピロガロール,ヒドロキノン等の多価フェノ―ル;ビスフェノールA,ビスフェノールF等のビスフェノール類)等があげられる。
これらのポリオールは1種又は2種以上使用することができる。これらのうち、好ましくは多価アルコールであり、より好ましくは2〜4価で炭素数2〜10の多価アルコールである。
(AO)として(EO)及び(PO)を用いた場合、(EO)と(PO)のポリオールへの付加形式はランダム付加でもブロック付加でもよいが、好ましくはランダム付加である。ランダム付加であると配合物の注入作業性とチキソトロピー性が良好となり、鉄筋継手に注入した後でもタレが生じにくくなる効果がさらに向上する。
この場合の(EO)と(PO)の付加モル数の比は、好ましくは1:0.1〜0.5であり、より好ましくは1:0.12〜0.35である。 (PO)の付加モル数が0.1以上であると配合物のチキソトロピー性が良好となり注入後タレにくく、0.5以下であると作業性が良好となる。
(D)を含有させる場合、その添加量は特に限定されないが、好ましくは(A)、(B)、(C)の合計を100質量部としたとき、0.1〜10質量部である。
硬化促進剤(E)としては、3級アミノ化合物(E1)、ソジウムメチラ−ト、カセイソ−ダ、カセイカリ、炭酸リチウム等のアルカリ化合物(E2)、トリエチルフォスフィン、トリフェニルフォスフィン等のルイス塩基化合物(E3)、フェノール、4−t−ブチルフェノール、2,4−ジ−t−ブチルフェノール等のフェノール類(E4)、リン酸、サリチル酸等の酸類(E5)、リン酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム等の塩類(E6)等があげられる。これらの内好ましいものは3級アミノ化合物(E1)である。
(E1−1)脂肪族3級アミン:トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、テトラメチルヘキサン−1,6−ジアミン、テトラメチルグアニジン、ジメチルピペラジン、N−メチルモルホリン、ジメチルアミノエタノ−ル、ジメチルアミノエトキシエタノール、N−メチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン等、
(E1−3)含窒素複素環化合物 1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7(サンアプロ社;商標「DBU」)、1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)−ノネン−5(サンアプロ社;商標「DBN」)、6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7(サンアプロ社;商標「DBA−DBU」)等が挙げられる。
3級アミノ化合物(E1)は得ようとする硬化速度、可使時間に応じて種類、添加量とも適宜選択すればよい。例えば(E1)の量は好ましくは(A)+(C)の合計を100質量部としたとき、1〜100質量部である。
これらの添加剤を含有させる場合、(A)と(B)の配合物、(C)と(B)の配合物のどちらに含有させてもよいが、好ましくは(C)と(B)の配合物に含有させる場合である。 これらの添加量は特に限定されないが、好ましくは(A)、(B)、(C)の合計を100質量部としたとき、0.01〜10質量部である。
(A)+(B)の成分と(C)+(B)の成分の比率は、容量比で整数比となることが好ましく、例えば、好ましい例として、容量比で1:1、2:1、1:2、4:1、1:4等が挙げられる。
また、粘度が20,000mpa・s以上であると、流動性が高すぎず、継手1の内周面と鉄筋2,3の外周面との間に充填したグラウト材が、固化する前にそれらの間から流れ出てしまうおそれがない。逆に、グラウト材の粘度が200,000mpa・s以下であると、その粘性が高すぎず、グラウト材が継手1の内周面と鉄筋2,3の外周面との間全体に行き渡り、それらの間にグラウト材が充填されていない空間がなく、継手1と鉄筋2,3との接続強度が低下するおそれがない。
S=η1/η2
ここで、
S:SVI値
η1:BH型粘度計、7号スピンドルを用いて回転数2rpmでの25°Cにおける粘度。
η2:BH型粘度計、7号スピンドルを用いて回転数20rpmでの25°Cにおける粘度。
SVI値が3.0以上であると、供給管21,22に混合用継手41が装着された際に、カートリッジ31,32の蓋部31c、32cからグラウト材が漏れ出さず、ミキサー50の先端開口部からタレを生じるおそれがない。逆に、SVI値が10.0以下であると、カートリッジ31,32からグラウト材が短時間に充分に吐出されることになる。
なお、グラウト材の粘度及びSVI値を上記の値にすることは、例えばエポキシ樹脂(A)、アミノ化合物(C)の種類の選定、無機充填剤(B)の種類の選定、エポキシ樹脂(A)と無機充填剤(B)および/またはアミノ化合物(C)と無機充填剤(B)の配合比率を適宜に調整することによって達成することができる。
注入されたグラウト材の硬化条件は従来公知の条件でよく、温度は好ましくは5〜40℃であり、特に好ましくは10〜35℃である。
例えば、上記の実施の形態においては、グラウト材が二成分から構成されていることに対応して、二つの供給管21,22及び二つのカートリッジ31,32が用いられているが、グラウト材が三つ以上の成分を混合することによって構成される場合には、供給管及びカートリッジを三つ以上設けることになる。勿論、それに対応して被動軸も3つ以上設けられる。
また、カートリッジ31,32が、剛性を有する補強リング31b,32b及び底部31d、32dを有しているが、それらは必ずしも必要ではない。例えば、筒部31a,32aの両端部に金属線を巻回して締め付けることにより、筒部31a,32aの両端開口部を閉じてもよい。その場合には、二つのカートリッジを供給管21,22にそれぞれ挿入した後、各筒部31a,32aの混合用継手41側の一端部を金属線より内側において切除して開口させ、各カートリッジの開口部に継手41の流入筒部42b、43bを挿入すればよい。
すなわち、鉄筋継手を母材である鉄筋の規格降伏強度の95%まで引張荷重を加え、次に荷重を圧縮荷重に変えて、鉄筋の規格降伏強度の2%のところまで圧縮し、再度降伏するまで引張荷重を加え、応力と変位を測定する。母材である鉄筋の弾性率をE0、最初に引張荷重を加えたときに鉄筋の規格降伏強度の70%のところでの応力を断面積で割った見掛けの弾性率をE70、最初に引張荷重を加えたときに鉄筋の規格降伏強度の95%のところでの応力を断面積で割った見掛けの弾性率をE95、鉄筋の規格降伏強度の2%まで圧縮したときの継手のすべり量をSとしたとき、E70/E0≧0.9、E95/E0≧0.7、S≦0.3を満足した場合に、鉄筋継手性能としてA級と判定され、実用上問題ないとされている。
この発明の連結鉄筋の引張試験による国土交通省の鉄筋継手性能判定基準のA級を満足しする良好なものである。
攪拌式オートクレーブにプロピレングリコールを147部、触媒として水酸化カリウムを0.76部仕込み、エチレンオキサイド682部とプロピレンオキサイド171部とを混合したものを吹き込み、110℃で5 時間反応させた。130℃で3時間 時間熟成後、「キョーワード600」酸化マグネシウム系吸着剤(酸化マグネシウム系吸着剤:協和化学工業社製:「キョーワード600」)で処理し、触媒を除去してアルキレンオキサイド付加物Hを得た。このものの水酸基価は28、粘度は700mPa・s/25℃であった。
25℃雰囲気下で、下記に示した配合量で各成分を混合攪拌し、エポキシ樹脂主剤とエポキシ樹脂硬化剤とを二つのカートリッジにそれぞれ充填した。
[エポキシ樹脂主剤]
エピコート828 260部
エピオールB 25部
製造例1のアルキレンオキサイド付加物 3部
ホワイトンSB 175部
[エポキシ樹脂硬化剤]
ペンタエチレンヘキサミン 50部
製造例1のアルキレンオキサイド付加物 2部
ホワイトンSB 105部
エピオールB(日本油脂社製ブチルグリシジルエーテル、粘度1mPa・s/25℃、エポキシ当量135);
ホワイトンSB(白石カルシウム社製炭酸カルシウム)
ペンタエチレンヘキサミン(東ソー社製、粘度70mPa・s/25℃、活性水素当量29)
主剤の粘度は、51,000mPa・sであり、硬化剤の粘度は、48,000mPa・sであった。なお粘度の測定法は、25℃において、BH型粘度計、7号スピンドルを用いて、回転数20rpmで測定した。
上記主剤及び硬化剤を二つのカートリッジにそれぞれ充填した後、各カートリッジを二つ供給管にそれぞれ挿入し、さらに各供給管の先端部に混合用継手を嵌合固定してユニット化し、このユニットをグラウト注入装置の装着部に装着した。その後、二つのピストンを前進させて各カートリッジを押し潰すことにより、主剤と硬化剤とを混合用継手を介してミキサー内に流入させ、ミキサー内のおいて混合させた。混合することによって構成されたグラウト材を、その硬化前にミキサーから直接鉄筋継手(サイズ:D29)に注入した。注入し始めてから鉄筋継手からあふれ出すまでの時間(注入時間)を測定したところ、25秒と良好な結果であった。混合直後の粘度は54,000mPa・sであった。
また、グラウト材を完全に吐出した後の二本のカートリッジ外観は、筒部が押し潰されることにより、縮んだときのアコーディオンのような状況を呈していた。
また、上記条件にてグラウト材を鉄筋継手(サイズ:D29)に注入し、25℃にて1週間養生後に継手性能試験を行ったところ、引張試験による国土交通省の鉄筋継手性能判定基準のA級を満足し、実用上問題のないレベルであった。
B グラウト注入装置
1 鉄筋継手
2 鉄筋
3 鉄筋
10 装置本体
19 装着部
21 供給管
22 供給管
24 ピストン
25 ピストン
31 カートリッジ
31a 筒部
31b 補強リング
31c 蓋部
31d 底部
32 カートリッジ
32a 筒部
32b 補強リング
32c 蓋部
32d 底部
41 混合用継手
42 大径嵌合部(嵌合部)
42a 底部
42b 流入筒部
43 小径嵌合部(嵌合部)
43a 底部
43b 流入筒部
44 流出筒部(取付部)
47 第1吐出口(吐出口)
48 第2吐出口(吐出口)
50 ミキサー
52 吐出口
Claims (10)
- 装置本体と、この装置本体に長手方向へ移動不能に装着された剛性を有する複数の供給管と、各供給管の内部にその長手方向へ摺動可能に嵌合され、駆動機構によって互いに連動して移動させられる複数のピストンと、上記複数の供給管に接続された筒状をなすミキサーとを備えたグラウト注入装置を用いて鉄筋継手の内部に複数の成分からなる反応性の鉄筋継手用グラウト材の各成分を注入するに際し、上記駆動機構によって上記ピストンを上記供給管の基端側から先端側へ移動させることにより、各供給管内に収容されたグラウト材の各成分を上記ミキサー内に送り込んで混合した後、上記ミキサーの吐出口から上記鉄筋継手内にグラウト材を注入する方法において、
上記複数の供給管に、柔軟な薄膜からなる筒部を有し、内部に上記グラウト材の各成分を収容したカートリッジをそれぞれ着脱可能に挿入し、その状態で上記ピストンを上記供給管の基端側から先端側へ向かって移動させて各カートリッジの筒部をそれぞれ押し潰すことにより、各カートリッジの先端部からグラウト材の各成分を吐出させて上記ミキサー内に送り込むことを特徴とする鉄筋継手へのグラウト材の注入方法。 - 上記グラウト注入装置が、剛性を有する混合用継手をさらに備え、上記混合用継手が、上記複数の供給管が着脱可能に嵌合固定される複数の嵌合部、各嵌合部内にそれぞれ開口し、上記カートリッジから吐出した上記グラウト材の成分が流入する複数の流入筒部、及び上記複数の流入筒部の各内部にそれぞれ接続された複数の吐出口が設けられ、上記ミキサーが着脱可能に取り付けられる取付部を有していることを特徴とする請求項1に記載の鉄筋継手へのグラウト材の注入方法。
- 上記カートリッジが、上記筒部の先端部外周面に嵌合固定された補強リングと、この補強リングに設けられ、上記筒部の先端開口部を閉じる薄膜からなる蓋部と、上記筒部の基端開口部を閉じる底部とを有し、上記補強部材の後端面が上記供給管の先端面に突き当たるまで上記筒部が上記供給管に挿入され、その状態で上記供給管が上記混合用継手の嵌合部に嵌合されることにより、上記流入筒部が上記蓋部を破って上記筒部内に突出していることを特徴とする請求項2に記載の鉄筋継手へのグラウト材の注入方法。
- 上記カートリッジの筒部が、その基端側から先端側へ向かって僅かに大径になるようにテーパ状に形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の鉄筋継手へのグラウト材の注入方法。
- 上記グラウト材が二成分からなり、それに対応して上記供給管、上記ピストン及び上記カートリッジがそれぞれ二つ宛て用いられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の鉄筋継手へのグラウト材の注入方法。
- 請求項5に記載の注入方法に用いられる上記グラウト材がエポキシ樹脂系、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系、水ガラス系組成物系、シリカゾル系グラウト材から選ばれるものであるグラウト材。
- 請求項5に記載の注入方法に用いられる上記グラウト材の二つの成分の一方がエポキシ化合物(A)及び無機充填剤(B)からなり、他方の成分がアミノ化合物(C)及び無機充填剤(B)からなることを特徴とするグラウト材。
- 請求項5に記載の注入方法に用いられる上記グラウト材の二つの成分の混合直後の25°Cにおける粘度が20,000〜200,000mPa・sであることを特徴とするグラウト材。
- 請求項5に記載の注入方法に用いられる上記グラウト材の二つの成分の混合直後の25°Cにおける下記式で算出されるSVI値が3.0〜10.0であることを特徴とするグラウト材。
S=η1/η2
ここで、
η1:BH型粘度計、7号スピンドルを用いて回転数2rpmでの25°Cにおける粘度
η2:BH型粘度計、7号スピンドルを用いて回転数20rpmでの25°Cにおける粘度 - 筒状をなす鉄筋継手と、この鉄筋継手の両端部にそれぞれ挿入された二本の鉄筋と、上記鉄筋継手の内周面と上記二本の鉄筋の外周面との各間に充填固化されたグラウト材とからなり、上記グラウト材が請求項1〜5のいずれかに記載の注入方法によって上記鉄筋継手の内部に注入することにより、上記鉄筋継手の内周面と上記二本の鉄筋の外周面との各間に上記グラウト材が充填されていることを特徴とする連結鉄筋。
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