JP2006016728A - ポリエステル繊維構造物の染色方法 - Google Patents
ポリエステル繊維構造物の染色方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2006016728A JP2006016728A JP2004195917A JP2004195917A JP2006016728A JP 2006016728 A JP2006016728 A JP 2006016728A JP 2004195917 A JP2004195917 A JP 2004195917A JP 2004195917 A JP2004195917 A JP 2004195917A JP 2006016728 A JP2006016728 A JP 2006016728A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- polyester fiber
- fiber structure
- dyeing
- dye
- wax
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Treatment Of Fiber Materials (AREA)
- Coloring (AREA)
Abstract
【課題】 ポリエステル繊維構造物においてロウ物質を適用した染色方法を提供する。
【解決手段】 ポリエステル繊維構造物の染色方法において、ポリエステル繊維を有するポリエステル繊維構造物の表面にロウ物質を塗布するロウ物質塗布工程と、前記ロウ物質を塗布した前記構造物の表面に、分散型染料を塗布する染料塗布工程と、前記分散型染料を塗布した前記構造物を減圧下に曝す減圧工程と、減圧処理した前記構造物を一定時間加熱する熱処理工程とを行う。
【選択図】 図1
【解決手段】 ポリエステル繊維構造物の染色方法において、ポリエステル繊維を有するポリエステル繊維構造物の表面にロウ物質を塗布するロウ物質塗布工程と、前記ロウ物質を塗布した前記構造物の表面に、分散型染料を塗布する染料塗布工程と、前記分散型染料を塗布した前記構造物を減圧下に曝す減圧工程と、減圧処理した前記構造物を一定時間加熱する熱処理工程とを行う。
【選択図】 図1
Description
本発明は、ポリエステル繊維構造物の染色方法に関する。
ポリエステル繊維は、例えば引張強度・弾性率・摩耗強度が高い物理特性を有する。そして、ポリエステル繊維を有するポリエステル布帛は、速乾性・保温性に優れている。また、ポリエステル布帛は、綿・羊毛等との混紡・交織により、ポリエステル繊維の特性を維持しつつ、吸湿性・吸汗性・帯電防止性・風合いなどを向上させることができる。そのため、ポリエステル繊維を有するポリエステル布帛等のポリエステル繊維構造物は衣料用・産業用等多岐にわたって幅広く利用されている。
従来、ポリエステル繊維構造物の染色は、ポリエステル繊維への染色性が優れていることから、通常、分散型染料による染色法が行われている。
分散型染料は、分散染料自体が水に不溶あるいは難溶であるため、分散剤を用いて水に安定に分散できるようにしたものである。そして、分散染料は、常温では水不溶性であるが高温になると徐々に水に溶解し、単分子として繊維表層部に吸着して繊維内部に拡散して染着することによりポリエステル繊維への染色が行われる。
具体的なポリエステル繊維構造物の染色は、分散型染料を満たした染色浴中にポリエステル繊維構造物を浸漬し、弱酸性条件下において130℃程度に維持することにより行われていた。
分散型染料は、分散染料自体が水に不溶あるいは難溶であるため、分散剤を用いて水に安定に分散できるようにしたものである。そして、分散染料は、常温では水不溶性であるが高温になると徐々に水に溶解し、単分子として繊維表層部に吸着して繊維内部に拡散して染着することによりポリエステル繊維への染色が行われる。
具体的なポリエステル繊維構造物の染色は、分散型染料を満たした染色浴中にポリエステル繊維構造物を浸漬し、弱酸性条件下において130℃程度に維持することにより行われていた。
一方、ポリエステル繊維構造物以外の綿等の布帛の染色技術として、ローケツ染めが広く行われている。このローケツ染めを以下に説明する。まず、熱で溶かした蝋やパラフィン等のロウ物質を筆や刷毛等で前記布帛に塗布して硬化させると薄い被膜が形成される。その後、直接染料等の染料を、ロウ物質を塗布した布帛に塗布したとき、布帛におけるロウ物質が塗布された被膜部位には染料が浸透しないため、被膜部位は染料により染色されない。一方、前記被膜は硬化時の凝集や外力等によって容易に亀裂が発生し、不規則な隙間が形成される。そして、染色時にこの隙間を介して染料が布帛の繊維間に浸透すると、布帛には亀裂部位の形状に対応した染色部位が形成される。つまり、硬化後におけるロウ物質の亀裂の生じ易さを利用して亀裂部位に応じた種々の模様を布帛に付すことができるため、多様な表現が可能となる。尚、ロウ物質は油に溶け易いため、染料による染色後、ロウ物質塗布部位に有機溶剤等を接触させることで容易に布帛から除去することができる。
尚、本発明における従来技術となるポリエステル繊維構造物の分散型染料による染色方法、及び、ローケツ染めに関しては、一般的な技術であるため、特許文献等の従来技術文献は示さない。
上述したように、ポリエステル繊維構造物を分散型染料で染色する場合、所望の色相を得るため、及び、分散染料をポリエステル繊維に効率よく染着させるため、100℃以上の高温条件を維持する必要がある。
一般に蝋やパラフィン等のロウ物質は50〜70℃程度で溶解する。このため、上述した高温条件を必要とする分散型染料による染色法に前記ローケツ染めを適用すると、ロウ物質が塗布された被膜部位が容易に溶解するため、所望の模様をポリエステル繊維構造物に付すのは困難である。従って、ポリエステル繊維構造物にローケツ染めを適用して染色することは行われていない。
一般に蝋やパラフィン等のロウ物質は50〜70℃程度で溶解する。このため、上述した高温条件を必要とする分散型染料による染色法に前記ローケツ染めを適用すると、ロウ物質が塗布された被膜部位が容易に溶解するため、所望の模様をポリエステル繊維構造物に付すのは困難である。従って、ポリエステル繊維構造物にローケツ染めを適用して染色することは行われていない。
ここで、仮にポリエステル繊維構造物においてもローケツ染めのようなロウ物質の亀裂の生じ易さを利用して亀裂部位に応じた種々の模様を布帛に付し、多様な表現が可能となれば、ポリエステル繊維構造物製品の付加価値が向上するため、好ましい。
従って、本発明の目的は、ポリエステル繊維構造物においてロウ物質を適用した染色方法を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明に係るポリエステル繊維構造物の染色方法の第一特徴構成は、ポリエステル繊維を有するポリエステル繊維構造物の表面にロウ物質を塗布するロウ物質塗布工程と、前記ロウ物質を塗布した前記構造物の表面に、分散型染料を塗布する染料塗布工程と、前記分散型染料を塗布した前記構造物を減圧下に曝す減圧工程と、減圧処理した前記構造物を一定時間加熱する熱処理工程とを有する点にある。
ポリエステル繊維構造物の表面にロウ物質を塗布するロウ物質塗布工程により、ロウ物質が硬化してポリエステル繊維構造物の表面には薄い被膜が形成される。そして、染料塗布工程時において、ロウ物質塗布工程で形成した被膜形成部位の表面に供された分散型染料は、ポリエステル繊維構造物の繊維内に浸透できないため、染料により染色されない。一方、ロウ物質塗布工程で形成した被膜形成部位には、硬化時の凝集や外力等によって容易に亀裂が発生し、不規則な隙間が形成しているため、染料塗布工程における染色時にこの隙間を介して染料がポリエステル繊維構造物の表面に達する。
ここで、本発明では、減圧工程を行って当該ポリエステル繊維構造物を減圧条件下に曝す。これにより、当該ポリエステル繊維構造物内の空気を脱気することができ、分散型染料がポリエステル繊維構造物内に速やかに浸透し易くなると考えられる。そして、このように分散型染料の十分な量がポリエステル繊維構造物内に移行した後に、熱処理工程を行って分散型染料をポリエステル繊維に染着させることができる。
このとき、ポリエステル繊維構造物表面で被膜を形成したロウ物質は、熱処理工程における加熱処理で溶解する。しかし、本構成では、熱処理工程の前段階で既に分散型染料がポリエステル繊維構造物内に十分浸透しているため、ロウ物質が溶解して被膜の形状が熱処理の前後で変化していたとしても、ポリエステル繊維構造物には亀裂部位の形状に対応した染色部位が形成される。
そのため、上記第一特徴構成によれば、所望の模様やデザインの輪郭をはっきりと認識できるポリエステル繊維構造物の染色方法を提供できる。従って、これまで行われていなかった染色方法、つまり、ポリエステル繊維構造物に高温染色染料を使用する染色方法において、ローケツ染めを適用して染色する染色方法が可能となる。
本発明に係るポリエステル繊維構造物の染色方法の第二特徴構成は、前記減圧工程を300〜500hPaで行う点にある。
後述の実施例において、減圧工程の減圧条件を約300hPaおよび500hPaで行う実験を行い、何れの場合も、ロウ物質の亀裂により形成された隙間の形状に対応した模様がシャープな輪郭を有する状態で付すことができることが判明した。
従って、上記第二特徴構成によれば、所望の模様やデザインの輪郭をはっきりと認識できる好ましい減圧条件を提供できる。
従って、上記第二特徴構成によれば、所望の模様やデザインの輪郭をはっきりと認識できる好ましい減圧条件を提供できる。
本発明に係るポリエステル繊維構造物の染色方法の第三特徴構成は、前記熱処理工程を加圧条件下で行う点にある。
上記第三特徴構成によれば、分散型染料を用いた染色において、好適な熱処理条件および加圧条件に維持することにより、分散染料がポリエステル繊維に移行し、分散型染料がポリエステル繊維に染着し易くなる。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
本発明のポリエステル繊維構造物の染色方法は、図1に示したように、ポリエステル繊維を有するポリエステル繊維構造物の表面にロウ物質を塗布するロウ物質塗布工程と、前記ロウ物質を塗布した前記構造物の表面に、分散型染料を塗布する染料塗布工程と、前記分散型染料を塗布した前記構造物を減圧下に曝す減圧工程と、減圧処理した前記構造物を一定時間加熱する熱処理工程とを有する。
さらに、熱処理済みポリエステル繊維構造物を洗浄する洗浄工程を行う。
本発明のポリエステル繊維構造物の染色方法は、図1に示したように、ポリエステル繊維を有するポリエステル繊維構造物の表面にロウ物質を塗布するロウ物質塗布工程と、前記ロウ物質を塗布した前記構造物の表面に、分散型染料を塗布する染料塗布工程と、前記分散型染料を塗布した前記構造物を減圧下に曝す減圧工程と、減圧処理した前記構造物を一定時間加熱する熱処理工程とを有する。
さらに、熱処理済みポリエステル繊維構造物を洗浄する洗浄工程を行う。
本発明におけるポリエステル繊維構造物は、ポリエステル繊維を有するポリエステル繊維構造物である。具体的なポリエステル繊維構造物の態様としては、織物・編物・不織布等の布帛、糸状あるいは縄状等の構造物が挙げられる。
ポリエステルとしては、特にポリエステルであれば制限されることはなく、例えばポリエチレンテレフタレート・ポリブチレンテレフタレート・ポリプロピレンテレフタレート・ポリ乳酸等から選ばれる1種類又は複数種類を用いることができるが、物性や耐久性のバランスの点でポリエチレンテレフタレートが好ましい。また、ポリエステルに柔軟性や染色性を付与する目的で、スルホン基を有するモノマーや、イソフタル酸・5−ナトリウムスルホイソフタル酸・ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸・セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸、テトラメチレングリコール・ヘキサメチレングリコールなどの脂肪族ジオール、1,4シクロヘキサンジメタノール・ビスフェノールAなどの脂環族または芳香族ジオール等の成分を共重合して含有できる。
ポリエステルとしては、特にポリエステルであれば制限されることはなく、例えばポリエチレンテレフタレート・ポリブチレンテレフタレート・ポリプロピレンテレフタレート・ポリ乳酸等から選ばれる1種類又は複数種類を用いることができるが、物性や耐久性のバランスの点でポリエチレンテレフタレートが好ましい。また、ポリエステルに柔軟性や染色性を付与する目的で、スルホン基を有するモノマーや、イソフタル酸・5−ナトリウムスルホイソフタル酸・ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸・セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸、テトラメチレングリコール・ヘキサメチレングリコールなどの脂肪族ジオール、1,4シクロヘキサンジメタノール・ビスフェノールAなどの脂環族または芳香族ジオール等の成分を共重合して含有できる。
ポリエステル繊維構造物におけるポリエステル繊維の含有割合は特に制限されるものではない。つまり、当該ポリエステル繊維構造物は、ポリエステル繊維のみで構成してもよい。また、ナイロン・アクリル・アセテート・ビニロン・ポリエチレン・ポリプロピレン・ポリウレタン・ポリ塩化ビニル・ポリ塩化ビニリデン・アラミド・レーヨンといった化学繊維および綿・麻・羊毛・絹といった天然繊維から選ばれる1種類又は複数種類の繊維との混紡・交織・交編・交撚であってもよい。つまり、本明細書では、ポリエステル繊維構造物とはポリエステル繊維単独素材、或いは、ポリエステル繊維と他の繊維との複合素材で構成された構造物のことを指す。
ポリエステル繊維構造物は、分散型染料で染色されない繊維素材との混紡・交織布等を使用することもできるが、好ましくは分散型染料で染色可能な繊維を主材とするように構成する。尚、「主材」とは、分散型染料で染色可能な繊維を少なくとも50%以上、好ましくは70%以上含有していることをいう。
また、ポリエステル繊維構造物が布帛の場合、布帛を構成する単糸の太さは限定されるものではなく、種々の太さの単糸が適用できる。さらに、ポリエステル繊維構造物が糸状あるいは縄状である場合においても、種々の太さの糸あるいは縄を適用できる。
また、ポリエステル繊維構造物が布帛の場合、布帛を構成する単糸の太さは限定されるものではなく、種々の太さの単糸が適用できる。さらに、ポリエステル繊維構造物が糸状あるいは縄状である場合においても、種々の太さの糸あるいは縄を適用できる。
以下に、各工程について詳述する。
(ロウ物質塗布工程)
ロウ物質塗布工程では、ポリエステル繊維構造物の表面にロウ物質を塗布する処理を行う。ロウ物質塗布工程の処理条件は、常温・常圧下で行う。
ロウ物質塗布工程では、ポリエステル繊維構造物の表面にロウ物質を塗布する処理を行う。ロウ物質塗布工程の処理条件は、常温・常圧下で行う。
ここで、ロウ物質とは、例えば、蝋燭の原料となる蝋(ロウ)であって、原料が植物系蝋・動物系蝋・石油系蝋の何れであっても適用できる。植物系蝋は木蝋等、動物蝋は蜜蝋・鯨蝋等、石油系蝋はパラフィン系炭水化物のパラフィンワックス等が好適に例示されるがこれらに限られるものではない。
これらロウ物質は、常温で固体であり、構成原料の差異により種々の融点を有することが知られているが、通常、40〜100℃に加熱することで容易に溶解する。例えば、パラフィンワックスでは、125°F(51.7℃)、155°F(68.3℃)等の種々の融点を有するものが知られている。
つまり、熱で溶かしたロウ物質を、筆・刷毛・ヘラ等でポリエステル繊維構造物の表面に塗布することにより本工程を行う。このとき、上述した一種類のロウ物質をポリエステル繊維構造物の表面に対して、単独で塗布する、複数種類のロウ物質を重ねて塗布する、或いは、複数のロウ物質を適切な割合で混合して塗布することが可能である。ロウ物質のポリエステル繊維構造物への塗布は、ポリエステル繊維構造物の全面或いは一部の何れに行ってもよく、ポリエステル繊維構造物の一部に行う場合は、事前に設計した所望の模様やデザインに基づき行うのが好ましい。
塗布されたロウ物質は、常温下では短時間で硬化してポリエステル繊維構造物の表面に被膜を形成する部位(被膜形成部位)ができる。この硬化時において、ロウ物質自体の凝集や意図的に外力を加えること等によって容易に亀裂が発生し、不規則な隙間が形成される。
(染料塗布工程)
染料塗布工程では、ロウ物質塗布工程でロウ物質を塗布したポリエステル繊維構造物の表面に分散型染料を塗布する処理を行う。
染料塗布工程では、ロウ物質塗布工程でロウ物質を塗布したポリエステル繊維構造物の表面に分散型染料を塗布する処理を行う。
本工程で用いる分散型染料は公知の分散型染料であれば適用でき、特に限定されるものではない。この分散型染料は染料と分散剤とを有する。染料としては、例えば疎水性分散染料等の公知の何れの分散染料をも好適に用いることができる。さらに、分散型染料として、分散型のナフトール染料も適用可能である。分散剤は、不溶性の分散染料を水に分散させるため、或いは、染料の熱凝集を防止して均染を得るために添加する。この分散剤としては、例えばアニオン性あるいは非イオン性の公知の分散剤を用いることができる。
また、分散型染料にはpH調整剤や均染剤等を適宜含有させてもよい。最適pHは、使用する染料によって若干異なり、特に限定されないが、分散染料であればpH5〜7程度が一般的である。
また、分散型染料にはpH調整剤や均染剤等を適宜含有させてもよい。最適pHは、使用する染料によって若干異なり、特に限定されないが、分散染料であればpH5〜7程度が一般的である。
そして、上記染料を、筆・刷毛・ヘラ等でロウ物質塗布済みポリエステル繊維構造物の表面に塗布する。或いは、上記染料の染色浴にしてもよい。染料塗布工程の処理条件は、常温・常圧下で行う。
染料の塗布は、作業者による手作業や染色装置により自動で行う。染色装置は特に限定されるものではないが、一般的に浸染に用いられる液流染色機や、ドラム式染色機、或いは、ポット式の小型染色機などを適用することができる。
染料の塗布は、作業者による手作業や染色装置により自動で行う。染色装置は特に限定されるものではないが、一般的に浸染に用いられる液流染色機や、ドラム式染色機、或いは、ポット式の小型染色機などを適用することができる。
このとき、ロウ物質塗布工程で形成した被膜形成部位の表面に供された染料は、ポリエステル繊維構造物の繊維内に浸透できないため、染料により染色されない。一方、ロウ物質塗布工程で塗布したロウ物質には、硬化時の凝集や外力等によって容易に亀裂が発生し、不規則な隙間が形成しているため、染色時にこの隙間を介して染料がポリエステル繊維構造物の表面に達する。
(減圧工程)
減圧工程では、前記染料塗布したポリエステル繊維構造物を減圧下に曝す処理を行う。減圧工程の処理条件は、常温でかつ圧力が常圧未満の気圧条件、好ましくは300〜500hPa(約0.3〜0.5気圧)の条件で20〜30分程度行う。この減圧は、減圧室などの公知の減圧手段により行うことが可能である。
減圧工程では、前記染料塗布したポリエステル繊維構造物を減圧下に曝す処理を行う。減圧工程の処理条件は、常温でかつ圧力が常圧未満の気圧条件、好ましくは300〜500hPa(約0.3〜0.5気圧)の条件で20〜30分程度行う。この減圧は、減圧室などの公知の減圧手段により行うことが可能である。
このように当該ポリエステル繊維構造物を減圧条件下に曝すことにより、当該ポリエステル繊維構造物内の空気を脱気することができ、これにより、分散型染料がポリエステル繊維内部に速やかに浸透し易くなると考えられる。
尚、気圧条件を300hPaの条件で減圧工程を行うことは可能であるが、減圧室等の設備を強固にする必要がある等ことを考慮すると、300hPa以上で本工程を行うのが好ましい。
(熱処理工程)
熱処理工程では、減圧処理したポリエステル繊維構造物を、高温条件下に一定時間加熱する処理を行う。このように高温条件下に一定時間曝すことにより、常温では水不溶性であるが高温になると徐々に水に溶解し、単分子として繊維表層部に吸着して繊維内部に拡散して染着することによりポリエステル繊維への染色が行われ、所望の色相や堅牢な染着度が得られる。本構成では、減圧工程を行うことにより、分散型染料の十分な量がポリエステル繊維構造物内に移行した後に、熱処理工程を行って分散型染料をポリエステル繊維に染着させることができる。
熱処理工程では、減圧処理したポリエステル繊維構造物を、高温条件下に一定時間加熱する処理を行う。このように高温条件下に一定時間曝すことにより、常温では水不溶性であるが高温になると徐々に水に溶解し、単分子として繊維表層部に吸着して繊維内部に拡散して染着することによりポリエステル繊維への染色が行われ、所望の色相や堅牢な染着度が得られる。本構成では、減圧工程を行うことにより、分散型染料の十分な量がポリエステル繊維構造物内に移行した後に、熱処理工程を行って分散型染料をポリエステル繊維に染着させることができる。
高温条件にするため、例えば当該ポリエステル繊維構造物をスチームに曝し、数分で上記温度まで上昇させる。
前記高温条件とは、例えば100〜180℃の範囲であり、好ましくは120〜150℃、さらに好ましくは130℃の条件である。この高温条件を、スチームを作用させ続けることで、例えば30〜90分程度維持する。前記スチームは、公知の手段により発生させることができる。
このとき、通常、密閉室内で熱処理を行うため、圧力は常圧〜5000hPa程度の加圧状態となる。
前記高温条件とは、例えば100〜180℃の範囲であり、好ましくは120〜150℃、さらに好ましくは130℃の条件である。この高温条件を、スチームを作用させ続けることで、例えば30〜90分程度維持する。前記スチームは、公知の手段により発生させることができる。
このとき、通常、密閉室内で熱処理を行うため、圧力は常圧〜5000hPa程度の加圧状態となる。
このような温度および圧力条件に維持することにより、例えば分散染料を用いた染色の場合、上述した温度域に到達すると分散染料がポリエステル繊維に移行し、分散染料がポリエステル繊維に染着するに至る。このとき、130℃であれば分散染料が最も効率よくポリエステル繊維に染着し易くなるため、好ましい。
尚、当該温度の上限は、ポリエステル繊維構造物を構成する繊維が脆化しない温度とする必要があるため、ポリエステル繊維構造物を構成する繊維材料の種類や割合等に応じて適宜設定する必要がある。上述のように、本工程の処理温度は100〜180℃の範囲が好ましいが、これは、100℃以下では染料の溶解性の低下による染着性の問題を生じ、200℃以上では繊維の劣化による黄変や強度低下の問題を生じる。従って100℃〜180℃の範囲で染色を行うことが好ましい。
また、処理時間は、通常は30〜90分程度に設定することが好ましいが、例えば、一般に堅牢性の良い染料は吸尽されにくいため、ポリエステル繊維構造物を構成する繊維材料の種類や割合等に応じて適宜設定する。また、染色堅牢性を低下させない範囲で染色浴中にキャリアーを添加して繊維への染料の浸透を促進させることもできる。
そして、一定時間経過後、スチームの作用を停止し、常温まで下降させる。
また、処理時間は、通常は30〜90分程度に設定することが好ましいが、例えば、一般に堅牢性の良い染料は吸尽されにくいため、ポリエステル繊維構造物を構成する繊維材料の種類や割合等に応じて適宜設定する。また、染色堅牢性を低下させない範囲で染色浴中にキャリアーを添加して繊維への染料の浸透を促進させることもできる。
そして、一定時間経過後、スチームの作用を停止し、常温まで下降させる。
(洗浄工程)
洗浄工程では、熱処理済みポリエステル繊維構造物を洗浄する処理を行う。
つまり、当該ポリエステル繊維構造物を、例えば、温水に浸透剤や洗浄剤を溶解させた洗浄水等で洗浄し、当該ポリエステル繊維構造物に付着しているロウ物質を取り除く。この洗浄は、洗浄水を注水しながら洗浄する所謂注水洗浄とするのが好ましい。これにより、当該ポリエステル繊維構造物から除去されて水面に浮いたパラフィンをオーバーフローにより除去できるため、そのパラフィンが染色布帛に再付着することを防止できる。
洗浄後、洗浄済みポリエステル繊維構造物を公知の手段により乾燥させる。
洗浄工程では、熱処理済みポリエステル繊維構造物を洗浄する処理を行う。
つまり、当該ポリエステル繊維構造物を、例えば、温水に浸透剤や洗浄剤を溶解させた洗浄水等で洗浄し、当該ポリエステル繊維構造物に付着しているロウ物質を取り除く。この洗浄は、洗浄水を注水しながら洗浄する所謂注水洗浄とするのが好ましい。これにより、当該ポリエステル繊維構造物から除去されて水面に浮いたパラフィンをオーバーフローにより除去できるため、そのパラフィンが染色布帛に再付着することを防止できる。
洗浄後、洗浄済みポリエステル繊維構造物を公知の手段により乾燥させる。
ポリエステル繊維100%のポリエステル布帛を用いて本発明の染色方法を実行した。
融点が125°F(51.7℃)のパラフィンワックス(新日本石油社製)を熱で溶解し、作業者が刷毛を用いて当該ポリエステル布帛の全面に塗布した(ロウ物質塗布工程)。
パラフィンワックス硬化後、ロウ物質を塗布したポリエステル布帛を、分散型染料(カヤロンポリエステルBlue TN−S200、日本化薬(株)製)の染色浴に常温・常圧で20分間浸漬した(染料塗布工程)。
そして、常温で300hPa、或いは、500hPaに設定した減圧室に、染料塗布したポリエステル布帛を20分間収容した(減圧工程)。減圧処理後、減圧室内に設けられたスチーム発生装置からのスチームにより130℃の温度を30分間維持(熱処理工程)し、スチームを停止して常温まで下降させた。最後に、熱処理済みポリエステル布帛を洗浄室に移して洗浄水により洗浄し(洗浄工程)、乾燥室にて80℃、20分の条件で乾燥させた。このように本発明の染色方法により染色したポリエステル布帛を図2〜3に示した。
図2には、減圧処理条件を300hPaとした場合、図3には、減圧処理条件を500hPaとした場合の結果を示した。
融点が125°F(51.7℃)のパラフィンワックス(新日本石油社製)を熱で溶解し、作業者が刷毛を用いて当該ポリエステル布帛の全面に塗布した(ロウ物質塗布工程)。
パラフィンワックス硬化後、ロウ物質を塗布したポリエステル布帛を、分散型染料(カヤロンポリエステルBlue TN−S200、日本化薬(株)製)の染色浴に常温・常圧で20分間浸漬した(染料塗布工程)。
そして、常温で300hPa、或いは、500hPaに設定した減圧室に、染料塗布したポリエステル布帛を20分間収容した(減圧工程)。減圧処理後、減圧室内に設けられたスチーム発生装置からのスチームにより130℃の温度を30分間維持(熱処理工程)し、スチームを停止して常温まで下降させた。最後に、熱処理済みポリエステル布帛を洗浄室に移して洗浄水により洗浄し(洗浄工程)、乾燥室にて80℃、20分の条件で乾燥させた。このように本発明の染色方法により染色したポリエステル布帛を図2〜3に示した。
図2には、減圧処理条件を300hPaとした場合、図3には、減圧処理条件を500hPaとした場合の結果を示した。
比較例として、本発明の染色方法における減圧工程を行わないこと以外は上記染色方法と同様の条件で染色したポリエステル布帛を図4に示した。
この結果、本発明の染色方法により染色したポリエステル布帛では、ロウ物質の亀裂により形成された隙間の形状に対応した模様がシャープな輪郭を有する状態で付すことができた(図2〜3)。一方、減圧工程を行わない従来の染色方法により染色したポリエステル布帛では、輪郭のはっきりしない模様が付された(図4)。
これにより、本発明のポリエステル繊維構造物の染色方法は、所望の模様やデザインの輪郭をはっきりと認識できる、好ましいポリエステル繊維構造物の染色方法であると認められた。
Claims (3)
- ポリエステル繊維を有するポリエステル繊維構造物の表面にロウ物質を塗布するロウ物質塗布工程と、前記ロウ物質を塗布した前記構造物の表面に、分散型染料を塗布する染料塗布工程と、前記分散型染料を塗布した前記構造物を減圧下に曝す減圧工程と、減圧処理した前記構造物を一定時間加熱する熱処理工程とを有するポリエステル繊維構造物の染色方法。
- 前記減圧工程を300〜500hPaで行う請求項1に記載のポリエステル繊維構造物の染色方法。
- 前記熱処理工程を加圧条件下で行う請求項1又は2に記載のポリエステル繊維構造物の染色方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004195917A JP2006016728A (ja) | 2004-07-01 | 2004-07-01 | ポリエステル繊維構造物の染色方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004195917A JP2006016728A (ja) | 2004-07-01 | 2004-07-01 | ポリエステル繊維構造物の染色方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006016728A true JP2006016728A (ja) | 2006-01-19 |
Family
ID=35791260
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2004195917A Pending JP2006016728A (ja) | 2004-07-01 | 2004-07-01 | ポリエステル繊維構造物の染色方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2006016728A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102031706B (zh) * | 2009-10-01 | 2012-05-23 | 华纺股份有限公司 | 一种带蜡印花工艺 |
-
2004
- 2004-07-01 JP JP2004195917A patent/JP2006016728A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102031706B (zh) * | 2009-10-01 | 2012-05-23 | 华纺股份有限公司 | 一种带蜡印花工艺 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4926210B2 (ja) | 繊維素材の加工方法 | |
EP3137555A1 (en) | Ring dyed materials and method of making the same | |
JP2013256727A (ja) | 伸縮性コーティング布帛及びその製造方法 | |
US7235110B2 (en) | Method for dyeing fabric materials with indigo, other vat dyes, and sulfur dyes | |
CN107580640B (zh) | 精练目标材料的方法及以超临界流体精练及加工目标材料的方法 | |
JP2018003229A (ja) | 編み物の染色仕上げ方法及びそれを用いた所定の色を有する生地、アッパー生地 | |
CN1766225A (zh) | 染色布帛的制造方法及染色布帛 | |
JP2006052520A (ja) | 長く持続する蚊の忌避効果又は抗菌効果を有する糸及び織物、及びその製法 | |
US6997962B2 (en) | Method for dyeing cotton with indigo | |
JP2006016728A (ja) | ポリエステル繊維構造物の染色方法 | |
KR20200117252A (ko) | 이염 방지 처리된 청바지의 제조방법 | |
Jordanov et al. | Changes in the Non-Cellulosic Components of Cotton Surface after Mercerization and Scouring. | |
CN1379150A (zh) | 超低温粘合衬布及其制造方法 | |
CN113373704A (zh) | 一种环染效果可控的纱线染色方法和靛蓝纱线 | |
JP3566761B2 (ja) | インクジェット染色用布帛及びその染色方法 | |
JP2009007680A (ja) | デニム生地及びその色落ち防止加工方法 | |
JP2934767B2 (ja) | 芳香族ポリアミド繊維の染色方法 | |
WO2019054965A2 (en) | METHOD FOR DYING CHAIN THROUGH A ROTOR SPRAYER INTEGRATED IN A LINE OF STITCHERS | |
WO2006041480A1 (en) | Method for dyeing cotton with indigo | |
JP4093154B2 (ja) | パイル編物の製造方法 | |
KR102569125B1 (ko) | 발수기능성보유 리사이클 나일론사를 사용한 친환경 다운프루프 직물의 제조방법 | |
WO2003038183A1 (fr) | Procede de teinture de toile tissee comprenant une fibre de polyamide | |
JP2004176238A (ja) | 高染色堅牢度を付与されたセルロース系繊維構造物及び処理方法 | |
Zadhoush et al. | The Influence of “Enzymatic Hydrolysis of Cellulosic Substrates” on The Final Quality of Coated Fabrics | |
KR200357355Y1 (ko) | 코팅된 폴리에스터 섬유원단간 이행오염방지장치가부설된 원단코팅기 |