JP2006016444A - インクジェットプリンター用水性記録液の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明が解決しようとする課題は、顔料を使用したインクジェットプリンター用水性記録液の製造方法において、顔料の一次粒子の破砕を防ぎ、貯蔵安定性により優れたインクジェットプリンター用水性記録液の製造方法を提供することにある。
【解決手段】 中和されたアニオン性基を有する有機高分子化合物で顔料が被覆されてなるインクジェットプリンター用水性記録液の製造方法であって、分散装置として、円筒形粉砕部内のロータとセパレータを有する分散媒体攪拌型分散装置を用い、当該分散装置内における分散メディア効率が、顔料1kgにつき、0.1〜1.2kwh/kgとなる様に懸濁液を供給して、顔料を微分散した顔料分散液を用いて水性記録液を調製する。
【選択図】 なし。
【解決手段】 中和されたアニオン性基を有する有機高分子化合物で顔料が被覆されてなるインクジェットプリンター用水性記録液の製造方法であって、分散装置として、円筒形粉砕部内のロータとセパレータを有する分散媒体攪拌型分散装置を用い、当該分散装置内における分散メディア効率が、顔料1kgにつき、0.1〜1.2kwh/kgとなる様に懸濁液を供給して、顔料を微分散した顔料分散液を用いて水性記録液を調製する。
【選択図】 なし。
Description
本発明は、有用なるインクジェットプリンター用水性記録液の製造方法に関する。
従来、サインペン、水性マーカー等の筆記具や、インクジェットプリンターのインクには、色材として染料が用いられてきた。しかしながら、染料を用いた水性記録液は、着色力や画像鮮明性に優れるものの、印刷物の耐水性や耐光性が劣るという問題点があった。この耐水性や耐光性を改善するため、近年、前記した用途において、染料から顔料への転換が活発に検討されている。
インクジェットプリンター用水性記録液には種々の特性が要求され、なかでも、水性記録液の貯蔵安定性が要求されている。
特許文献1には、塩基性化合物を用いて中和されたカルボキシル基を有する樹脂でもって微分散された水性顔料分散体を、酸性化合物を用いてpHを中性または酸性として樹脂を疎水性化することによって樹脂を顔料に強く固着(いわゆる酸析)し、次いで、必要に応じて、濾過および水洗後、再度塩基性化合物を用いてカルボキシル基を中和して水に再分散させることによって、光沢、発色性、着色力を高度に発揮するに充分な程度に微分散され、しかも、貯蔵安定性に優れた水性顔料分散体を得ることができることが記載されている。
しかしながら、インクジェットプリンター用水性記録液には、一般に、インクとしての印字特性を付加するため、エチレングリコール、グリセリン、pH調整剤、活性剤等を加えるため、上記特許文献1の様な方法で得られた水性顔料分散体をもってしても、例えば、パールミル(PM−DCP型)等の流通式湿式ビーズミルで製造したインクジェットプリンター用水性記録液は、顔料の一次粒子の破砕が避けられず、貯蔵中に粘度上昇や粒子径の増大等を起こし、水性記録液の貯蔵安定性を実用的なレベルまでもっていけないという欠点があった。
しかしながら、インクジェットプリンター用水性記録液には、一般に、インクとしての印字特性を付加するため、エチレングリコール、グリセリン、pH調整剤、活性剤等を加えるため、上記特許文献1の様な方法で得られた水性顔料分散体をもってしても、例えば、パールミル(PM−DCP型)等の流通式湿式ビーズミルで製造したインクジェットプリンター用水性記録液は、顔料の一次粒子の破砕が避けられず、貯蔵中に粘度上昇や粒子径の増大等を起こし、水性記録液の貯蔵安定性を実用的なレベルまでもっていけないという欠点があった。
特許文献2には、中和されたアニオン性基を有する有機高分子化合物で顔料が被覆されてなるインクジェットプリンター用水性記録液の製造方法であって、分散装置として、円筒形粉砕部内のロータとセパレータを有する分散媒体撹拌型分散装置を用いて、当該分散装置内の滞在時間が30秒以内となる様にして、顔料を微分散した顔料分散液を用いてインクを調製する方法が記載されている。
しかしながら、このインクジェットプリンター用水性記録液は、従来の分散装置を用いて得た顔料分散液で調製するよりも貯蔵安定性に優れた極めて実用性の高い前記水性記録液が得られるものの、近年の市場要求レベルから見て、その貯蔵安定性は未だ不十分であった。
しかしながら、このインクジェットプリンター用水性記録液は、従来の分散装置を用いて得た顔料分散液で調製するよりも貯蔵安定性に優れた極めて実用性の高い前記水性記録液が得られるものの、近年の市場要求レベルから見て、その貯蔵安定性は未だ不十分であった。
本発明が解決しようとする課題は、顔料を使用したインクジェットプリンター用水性記録液の製造方法において、顔料の一次粒子の破砕を防ぎ、貯蔵安定性により優れたインクジェットプリンター用水性記録液の製造方法を提供することにある。
そこで本発明者らは、前記実状に鑑みて鋭意検討した結果、特定の分散装置を用い、当該分散装置内における顔料1kg当たりの分散メディア効率が特定範囲となる分散条件下で顔料を微分散して顔料分散液を調製し、ここで得られた中和されたアニオン性基を有する有機高分子化合物で顔料が被覆されてなるインクジェットプリンター用水性顔料記録液を製造することにより、前記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、中和されたアニオン性基を有する有機高分子化合物で顔料が被覆されてなるインクジェットプリンター用水性記録液の製造方法であって、中和されたアニオン性基を有する有機高分子化合物と顔料とを含む懸濁液を混合し、顔料を微分散して顔料分散液とするに当たって、分散装置として、懸濁液の供給口と吐出口を有する、セパレータを有する内壁が円筒状の外部固定容器(I)と、その内部に所定間隙を介し設けられた、回転軸中心に回転可能な円筒状ロータ(II)とからなり、当該ロータ(II)が、円筒内部に中空の液室を有し、液室に向かって懸濁液が供給できる、当該供給口に対向するスリットと、液室外部に通じる円筒側壁に複数の液吐出孔とを有するロータ(II)であり、当該外部固定容器(I)が、当該ロータの円周外壁面と所定間隙を介して対向する、分散メディアよりも小さい所定径の複数の穴を有するセパレータが円筒状内壁に設けられた外部固定容器(I)であり、当該ロータとセパレータとの間隙には分散メディアが充填された分散装置を用い、ロータ(II)を回転させながら、容器(I)の供給口からロータのスリットに向けて、液室に懸濁液を供給し、遠心力にて吐出孔から懸濁液を放出し、分散メディアを介してセパレータを通過した懸濁液を容器(I)の吐出口から取り出すに当たり、当該分散装置内における分散メディア効率が、顔料1kgにつき、0.1〜1.2kwh/kgとなる様に懸濁液を供給して、顔料を微分散して顔料分散液とすることを特徴とするインクジェットプリンター用水性記録液の製造方法を提供するものである。
本発明の製造方法によれば、円筒形粉砕部内のロータとセパレータとを有する分散媒体攪拌型分散装置を用いて、当該分散装置内における分散メディア効率が、顔料1kgにつき、0.1〜1.2kwh/kgの範囲となる様に顔料を微分散して得られた顔料分散液からインクジェットプリンター用水性顔料記録液を調製することにより、前記分散装置を用いて分散メディア効率が前記範囲外の顔料分散液から調製された水性記録液よりも、貯蔵安定性により優れ、極めて実用性の高いインクジェットプリンター用水性記録液を得ることができるという格別顕著な効果を奏する。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、中和されたアニオン性基を有する有機高分子化合物で顔料が被覆されてなるインクジェットプリンター用水性記録液の製造方法において、中和されたアニオン性基を有する有機高分子化合物と顔料とを含む懸濁液を混合し、顔料を微分散して顔料分散液とするに当たり、特定の分散装置及び当該分散装置内における分散メディア効率が、顔料1kgにつき、後記する特定範囲となる様な分散条件下で行う。
すなわち、本発明において使用する分散装置としては、例えば、図1に示される様な、短い円筒形粉砕部内のロータとセパレータを有する分散媒体攪拌型分散装置が挙げられる。
以下、図1を例に説明する。本発明で使用できる分散装置は、外部固定容器(I)〔以下、外部固定容器1と表示する。〕内に、所定の間隙を介して、円筒状ロータ(II)〔以下、円筒状ロータ2と表示する。〕がそれの回転軸3を中心に回転可能な様に設けられている。回転軸3の向きは任意だが、水平、即ち地表面に対して平行となる関係となっていることが後記する理由から好ましい。図1では、好ましい向きで示してある。また容器1には、顔料を含む懸濁液を供給するための供給口4と、吐出口9とが設けられている。
外部固定容器1の内壁には、顔料を含む懸濁液中の顔料粒子が所定の粒子径となった時に通過可能となる所定径の複数の穴を有するセパレータ8が固定されており、容器1とロータ2の間隙には、懸濁液中の顔料を粉砕するための、所定径の分散メディア7の粒子が充填されている。
一方、ロータ2の円筒内部には、中空となった液室6が設けられており、供給口4から供給された顔料を含む懸濁液が、更に液室6に供給出来るように、回転軸を中心にして2つの異なる半径の円で挟まれた形状のリング状切れ目からなるスリット5が設けられている。そして、このスリット5は供給口4に対向している。
このロータ2の円筒側壁には、矢印の通りに液室6外部に通じる液吐出孔(符号なし)が複数設けられている。このロータ2の各液吐出孔は、分散メディア7の粒子より大きい孔径を有しており、当該懸濁液はこの液吐出孔から放出されるようになっており、一方、セパレータ8に設けられた吐出口9に繋がる個々の穴の径は、この分散メディア7の粒子よりも小さい径となっており、分散メディア7自体が吐出口9に流出しないようになっている。
そして、ロータ2の円周外壁面とセパレータ8とは対向しており、当該懸濁液は、液室6から分散メディア7の粒子が充填されている、容器1とロータ2との間隙に液吐出孔を通じて供給されるようになっている。
当該懸濁液は、供給口4から、スリット5を通じて液室6に向けて矢印に示される様に供給される。ロータ2を回転軸3中心に回転させた状態で当該懸濁液が中空の液室6に供給されると、この分散装置に固有の原理で顔料の粉砕が行われる。
本発明で用いる分散装置の特徴としては、ロータ2を回転させると遠心力が発生し、メディア7はセパレータ8内壁部に層状に押し付けられる。同時に、ロータ2の回転運動により、メディア7間に強力な剪断力が発生する。更に、遠心力と、当該顔料を含む懸濁液の流れる方向が同一なため、均一な粉砕・分散とセパレータ8からの大流量の当該懸濁液の排出が可能で、分散装置内の試料の滞在時間を短くできる。
遠心力により液吐出孔から放出された当該懸濁液中の顔料は、分散メディア7の粒子が充填された間隙で粉砕され、セパレータ8に設けられた穴径よりも小さい顔料粒子となった段階で、当該穴を通過し、懸濁液の液媒体と共に、吐出口9から取り出される。こうして顔料が微分散された顔料分散液は吐出口9に取り出される。尚、ロータ2の回転軸3を水平とするのは、この遠心力による効果をより充分に利用するためである。
本発明において使用する分散装置の運転条件は、分散装置内での試料の滞在時間を30秒以下/パス(通過)とするのが好ましい。試料の滞在時間が長くなると顔料の一次粒子の破砕が起きやすく、シャープな粒度分布が得られなくなるので好ましくない。
更に、顔料の分散に寄与する分散装置内の攪拌総電力(kwh)と、被分散体である顔料(kg)と、分散メディア(kg)は、分散メディア効率を算出する上で必至なものである。その分散メディア効率kwh/kgは、顔料1kg当たり、前記攪拌総電力/分散メディアの関係式から求められ、その数値は0.1〜1.2kwh/kgであることが好ましく、なかでも0.2〜0.8kwh/kgであることがより好ましい。その他の条件は、分散試料の種類や量、目標とする粒度分布などによって適宜設定することができる。
本発明では、上記した通り特定の有機高分子化合物と顔料とを含む懸濁液を、上記したような特定の分散装置に通過(パス)させることにより、顔料が微分散された顔料分散液を得ることができる。供給口4への当該懸濁液の供給は、通常ポンプによって行い、常に液室6が満たされているように、当該懸濁液を連続供給するのが好ましい。
当該懸濁液を分散装置に1回パス(通過)させただけで、充分に顔料が微分散した顔料分散液が得られない場合においては、2回以上パスすることが好ましい。1回目パスよりは、2回以上繰り返してパスした場合の方が、液媒体に占める、当該穴より小さい所定粒子径未満の顔料粒子の含有率はより高くなる。こうして分散装置を通す懸濁液中の顔料粒子含有率が飽和し一定になるまで、繰り返すことにより、当該セパレータ8の穴径よりも小さい、所定粒子径に粉砕され液媒体に微分散された、顔料粒子が均一に安定的に微分散した顔料分散液とすることが出来る。
繰り返して、当該懸濁液を処理し、顔料分散液を得る場合には、当該懸濁液を保持する容器と、循環ポンプを更に設け、顔料が所定の粒子径となった顔料分散液となるよう、液吐出口9、懸濁液を保持する容器、循環ポンプ、液供給口4をこの順序となるように連結し、懸濁液を上記滞在時間の範囲となるように循環させるのが好ましい。
本発明において、容器1とロータ2間に充填する分散メディア7の種類は、特に制約されるものではないが、例えば、ガラスビーズ、酸化ジルコニアビーズ、スチールビーズ、セラミックビーズなどが挙げられる。ビーズの硬さ、水系中での錆、耐摩耗性等から酸化ジルコニアビーズが好ましい。ビーズの充填量もまた特に制約されるものではないが、一例として当該間隙内容積の20〜50%とすることが望ましい。
ビーズの大きさとしては細かくなるほど分散能力が上がる反面、セパレータでのビーズの分離のために大きな圧力を必要とするため、適正な範囲、例えば、直径0.05〜3mm、好ましくは直径0.1〜1mmのビーズを用いる。
次に本発明の顔料分散液を得るのに用いる、中和されたアニオン性基を有する有機高分子化合物と顔料とを含む懸濁液について説明する。
本発明で用いる顔料としては、特に限定されるものではなく、従来公知のものが使用できる。例えば、キナクリドン系顔料、キナクリドンキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、フタロシアニン系顔料、アントラピリミジン系顔料、アンサンスロン系顔料、インダンスロン系顔料、フラバンスロン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ペリノン系顔料、キノフタロン系顔料、アントラキノン系顔料、チオインジゴ系顔料、ベンツイミダゾロン系顔料又はアゾ系顔料などの有機顔料、カーボンブラック、酸化チタン、弁柄などの無機顔料等が挙げられる。更に、従来公知の顔料誘導体として、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系等の顔料誘導体を適宜用いることができる。
これらは粉体として用いても、ウェットケーキとして用いても、あるいは水性スラリーとして用いても構わない。更には、水溶性有機溶剤を適宜用いることもできる。
本発明において使用するアニオン性基を有する有機高分子化合物としては、公知慣用のものが使用できるが、アニオン性基に基づく酸価(KOHmg/g)が30〜150KOHmg/gの範囲にある有機高分子化合物が好ましい。アニオン性基としては、カルボキシル基が代表的である。
そのような有機高分子化合物としては、例えば、ビニル系共重合体、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ロジン変性樹脂などが挙げられる。これらの中でも、カルボキシル基の導入の容易さ、被膜の強靱性などの面から、ビニル系共重合体、ポリエステル樹脂およびポリウレタン樹脂が好ましい。
本発明において使用するビニル系共重合体としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル樹脂、(メタ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体樹脂、スチレン−(無水)マレイン酸共重合体樹脂、含フッ素ビニル系共重合体樹脂などが挙げられる。
また、本発明において使用するポリエステル樹脂としては、例えば、飽和ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、適度な水溶性または水分散性を付与するため、アニオン性基としてカルボキシル基を含有することが必須である。
カルボキシル基を有する重合性モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、フマル酸、イタコン酸、(無水)マレイン酸、マレイン酸モノブチルの如きマレイン酸モノアルキル類、イタコン酸モノブチルの如きイタコン酸モノアルキル類などが挙げられるが、特にアクリル酸、メタクリル酸及びマレイン酸が好ましい。
重合性モノマー組成物中に含まれるカルボキシル基を有する重合性ビニルモノマー以外の重合性ビニルモノマーとしては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンの如き芳香族ビニルモノマー類;アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸メチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチルの如きアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸イソアミル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸イソデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ブトキシメチル、メタクリル酸エトキシジエチレングリコール、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸セチル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、メタクリル酸イソボルニルの如きメタクリル酸エステル類;酢酸ビニル、安息香酸ビニル、バーサチック酸ビニル、プロピオン酸ビニルの如きビニルエステル類;(メタ)アクリロニトリルの如き重合性ニトリル類;フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンまたはクロロトリフルオロエチレンの如きフッ素原子を有するビニルモノマー類;メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルカルバゾールの如き第3級アミノ基含有モノマー類;2−(2’−ヒドロキシ−5−メタクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−ヒドロシ−4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)ベンゾフェノン、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレートの如き紫外線吸収性または酸化防止性を有するモノマー類;N−ビニルピロリドン、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸1,3−ジオキソラン−2−オン−4−イルメチル、1,3−ジオキソラン−2−オン−4−イルメチルビニルエーテル、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドの如きN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド類などの官能基含有モノマー類;γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシランの如き加水分解性アルコキシシラン基を有するモノマー類;メタクリル酸2−ホスホオキシエチル、メタクリル酸4−ホスホオキシブチルの如き燐酸基含有モノマー類;分子末端に重合性不飽和基を1個有するマクロモノマー類などが挙げられるが、特にアクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル及びスチレンが好ましい。
重合性ビニルモノマー組成物の重合方法は、懸濁重合、乳化重合、塊状重合、溶液重合など公知の各種重合方法が利用できるが、溶液重合が簡便なので好ましい。重合開始剤としては、公知の過酸化物やアゾ系化合物が使用できる。
本発明において使用するカルボキシル基を有するポリエステル樹脂は、カルボキシル基含有化合物と水酸基含有化合物とを、カルボキシル基が残存するように、溶融法、溶剤法などの公知の方法によって脱水縮合反応を行って製造される。
ポリエステル樹脂は、一塩基酸、二塩基酸、多塩基酸の如きカルボキシル基を有する化合物と、ジオール、ポリオールの如き水酸基を有する化合物とを適宜選択して脱水縮合させて得られるものであり、さらに、油脂類または脂肪酸類を使用したものがアルキッド樹脂となる。
本発明において使用するポリエステル樹脂が有するカルボキシル基は、主に、ポリエステル樹脂を構成する二塩基酸または多塩基酸に由来する未反応のカルボキシル基である。
二塩基酸または多塩基酸としては、例えば、アジピン酸、(無水)コハク酸、セバシン酸、ダイマー酸、(無水)マレイン酸、(無水)フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロ(無水)フタル酸、ヘキサヒドロ(無水)フタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、(無水)トリメリット酸、(無水)ピロメリット酸などが挙げられる。
二塩基酸または多塩基酸以外に使用可能なカルボキシル基を有する化合物としては、例えば、テレフタル酸ジメチルの如き酸の低級アルキルエステル類;安息香酸、p−ターシャリブチル安息香酸、ロジン、水添ロジンの如き一塩基酸類;脂肪酸および油脂類;分子末端に1または2個のカルボキシル基を有するマクロモノマー類;5−ソジウムスルフォイソフタル酸およびそのジメチルエステル類などが挙げられる。
水酸基を有する化合物としては、例えば、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,5−ペンタンジオール、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールの如きジオール類;グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ジグリセリン、ペンタエリスリトール、トリスヒドロキシエチルイソシアヌレートの如きポリオール類;「カージュラ E−10」(シェル化学工業株式会社製の合成脂肪酸のグリシジルエステル)などのモノグリシジル化合物類、分子片末端に水酸基を2個有するマクロモノマー類などが挙げられる。
また、ポリエステル樹脂を合成する際に、ひまし油、12−ヒドロキシステアリン酸などの水酸基含有脂肪酸または油脂類;ジメチロールプロピオン酸、p−ヒドロキシ安息香酸、ε−カプロラクトンの如きカルボキシル基と水酸基とを有する化合物なども使用できる。
さらに、二塩基酸の一部をジイソシアネート化合物に代えることもできる。本発明において使用するカルボキシル基を有するポリエステル樹脂として、カルボキシル基を有する重合性モノマーをポリエステル樹脂にグラフトした変性ポリエステル樹脂も使用することができる。
カルボキシル基を有するポリウレタンは、水酸基を有するセグメントとして、ジメチロールプロピオン酸の如きカルボキシル基および水酸基を有する化合物を使用することにより、容易に製造することができる。
本発明において使用するカルボキシル基を有するポリウレタン樹脂は、カルボキシル基を導入する成分としてのジメチロールプロピオン酸の如きカルボキシル基および水酸基を有する化合物を含有するポリオール成分と、ポリイソシアネート成分とを反応させることによって、容易に製造することができる。
ポリオール成分としては、ポリエステルの製造方法において掲げたジオール成分のほか、必要に応じて、3官能以上のポリオール化合物を使用することもできる。
ポリイソシアネート成分には、例えば2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート、水添4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、水添メタキシリレンジイソシアネート、粗製4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの如きジイソシアネート化合物のほか、ポリメチレンポリフェニルイソシアネートの如きポリイソシアネート化合物も使用できる。
ポリウレタン樹脂は、公知の方法で製造できる。例えば、イソシアネート基と反応しない不活性な有機溶剤溶液中で、室温又は40〜100℃程度の温度で付加反応を行うのが好ましい。その際、ジブチル錫ジラウレート等の公知の触媒を使用しても良い。
ポリウレタン樹脂を製造する際の反応系には、例えばジアミン、ポリアミン、N−メチルジエタノールアミンの如きN−アルキルジアルカノールアミン;ジヒドラジド化合物などの公知の鎖伸長剤も使用できる。
また、本発明において使用するアニオン性基を有する有機高分子化合物として、水酸基を有するビニル系共重合体またはポリエステル樹脂に、例えば無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸の如き無水多塩基酸を付加反応せしめる方法によって得られるカルボキシル基を有する樹脂も使用することができる。
本発明で使用するアニオン性基を有する有機高分子化合物としては、酸価30〜150KOHmg/gのカルボキシル基を有する有機高分子化合物が好ましい。酸価が150KOHmg/gを越えると、親水性が高くなり過ぎるため、被塗物の耐水性が著しく低下する傾向にあり、また、酸価が30〜150KOHmg/gよりも低いと、酸析して中和後の水への再分散性が低下する傾向にあるので好ましくない。
また、本発明において使用するアニオン性基を有する有機高分子化合物は、カルボキシル基に加えて、水酸基を有するものが好ましい。水酸基に基づく水酸基価は、20〜120KOHmg/gの範囲のものが好ましい。
即ち、アニオン性基を有する有機高分子化合物が、酸価30〜150KOHmg/gであり、かつ、水酸基価20〜120KOHmg/gのカルボキシル基と水酸基を有する有機高分子化合物がより好ましい。水酸基価が120KOHmg/gを越えると、親水性が高くなり過ぎるため、被塗物の耐水性が低下する傾向にあり好ましくない。有機高分子化合物に結合した水酸基は、焼き付け塗料、焼き付けインキ、捺染剤などに使用するとき、硬化剤と反応して、より強固な膜を形成することができる。
カルボキシル基および水酸基を有するビニル系共重合体は、カルボキシル基を有するビニル系共重合体を製造する際に使用した重合性モノマーと水酸基を有する重合性モノマーとを共重合する方法により、容易に製造することができる。
水酸基を有する重合性モノマーとしては、例えば、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチルの如き水酸基を有するアクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル;「プラクセル FM−2」、「プラクセル FA−2」(ダイセル化学工業株式会社製)に代表されるラクトン化合物を付加したメタアクリルモノマー類;メタクリル酸ポリエチレングリコールトモノマー類;モノメタクリル酸ポリプロピレングリコールモノマー類;ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテルの如き水酸基を有するアルキルビニルエーテル等が挙げられるが、特にアクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルが好ましい。
カルボキシル基および水酸基を有するポリエステル樹脂は、ポリエステル樹脂の脱水縮合反応において、公知の方法に従って、水酸基が残存するように反応すればよい。残存する水酸基は、ジオール化合物、ポリオール化合物またはカルボン酸ポリオール化合物などに由来する未反応基である。
本発明において使用するカルボキシル基を有するビニル系共重合体及びポリウレタン樹脂は、数平均分子量が5,000〜20,000の範囲にあるものが好ましい。数平均分子量が5,000よりも小さい場合、得られた水性顔料分散体を被覆剤に使用した時に、塗膜が脆くなる傾向にあるので好ましくない。また、数平均分子量が20,000よりも大きい場合、微細な水性顔料分散体を得にくくなる傾向にあるので好ましくない。
本発明において使用するポリエステル樹脂は、分岐型であることがほとんどなので、線状のビニル系共重合体などの場合とは異なり、数平均分子量が小さい場合であっても重量平均分子量が大きいので、塗膜として充分なる強靱性を有する。従って、当該ポリエステル樹脂は、数平均分子量が1,000〜20,000の範囲にあるものが好ましく、重量平均分子量では、5,000〜100,000の範囲にあるものが好ましい。
次に、本発明の製造方法をその工程に従って、順次、説明する。本発明では、中和されたアニオン性基を有する有機高分子化合物と顔料とを含む懸濁液を、顔料が所定粒子径で狭い粒子径分布となり、均一に安定的微分散するまで上記した分散装置に通して、充分に混合して顔料分散液とする。
この懸濁液には、当該有機高分子化合物と顔料の他に、分散すべき媒体たる液媒体とが通常は含まれる。この液媒体としては、有機溶剤や水性媒体が用いられる。本発明では、液媒体を構成する主たる溶媒が、有機溶剤のものを有機溶剤媒体、水のものを水性媒体という。
塩基性化合物で中和されたアニオン性基を有する有機高分子化合物と顔料とを混合、分散する工程としては、次の2方法が適当である。
(1)有機溶剤媒体中で、塩基性化合物で中和されたアニオン性基を有する有機高分子化合物と顔料とを混合し懸濁液とし、顔料を分散した後、水性媒体中に分散する。(2)水性媒体中で、塩基性化合物で中和されたアニオン性基を有する有機高分子化合物と顔料とを混合し、分散する。
塩基性化合物で中和されたアニオン性基を有する有機高分子化合物と顔料とを混合し、分散する工程に適用できる第1の方法である有機溶剤中での分散では、まず、塩基性化合物で中和されたアニオン性基を有する有機高分子化合物の有機溶剤溶液と顔料とを含む懸濁液を得て、これを上記した様な短い円筒形粉砕部内のロータとセパレータを有する分散媒体攪拌型分散装置を用いて顔料を微分散する。
この時、使用される有機溶剤は、一般にアニオン性基を有する有機高分子化合物に対する溶解性が良く、アニオン性基を有する有機高分子化合物の合成上も問題がないもの、蒸気圧が水より高く、脱溶剤し易いもの、更に、水と混和性のあるものが好ましい。
このような溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、酢酸エチル、テトラヒドロフランなどが特に好ましい。水との混和性は低いが、メチルイソプロピルケトン、メチル−n−プロピルケトン、酢酸イソプロピル、酢酸n−プロピル、塩化メチレンなども使用できる。
有機溶剤媒体中に分散させた、塩基性化合物で中和されたアニオン性基を有する有機高分子化合物と顔料とからなる顔料分散液を更に水性媒体中に分散させるには、次のような方法が適当である。
水性媒体中に分散する時には、通常の低シェアーでの攪拌、ホモジナイザーなどでの高シェアー攪拌、あるいは、超音波などを使用して行う。また、水性媒体中への分散を補助する目的でもって、界面活性剤や保護コロイドなどを、塗膜の耐水性を著しく低下させない範囲で併用することもできる。
アニオン性基を有する有機高分子化合物を中和するための塩基性化合物としては、無機塩基と有機アミンが挙げられる。無機塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムや水酸化リチウム等が挙げられる。有機アミンとしては、例えばアンモニア、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリブチルアミン、N−メチルエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、2−アミノ−2−メチルプロパノール、2−エチル−2−アミノ−1,3−プロパンジオール、2−(アミノエチル)エタノールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、ピペリジン、モルフォリン等が挙げられる。
次に、塩基性化合物で中和されたアニオン性基を有する有機高分子化合物と顔料とを混合し、分散する工程に適用できる第2の方法である水性媒体中での分散は、まず、アニオン性基を有する有機高分子化合物のアニオン性基を前記した塩基性化合物を用いて中和し、水性媒体中で顔料と混合し、分散する。
この時、水に溶解または分散したアニオン性基を有する有機高分子化合物が、有機溶剤を含有していても差し支えないし、脱溶剤を行って実質的に水のみの媒体であってもよい。顔料は、粉末顔料、水性スラリー、プレスケーキのいずれも使用できる。分散方法、有機溶剤、塩基性化合物は、有機溶剤媒体中での分散の場合と同じ方法、同じ材料で可能である。
有機溶剤系、水性系いずれの分散の場合であっても、顔料の分散を補助する目的のために、顔料分散剤や湿潤剤を塗膜の耐水性を低下させない範囲で使用することもできる。
塩基性化合物で中和されたアニオン性基を有する有機高分子化合物と顔料とを混合、分散する上記方法としては、前者(1)の方法が好適である。
本発明では、上記した通り、顔料分散液を得て、それを用いて公知慣用の方法により、中和されたアニオン性基を有する有機高分子化合物で顔料が被覆されてなるインクジェットプリンター用水性記録液を得る。
本発明の当該水性記録液は、好適には、後者(2)の方法で調製できる。より具体的には、(a)アニオン性基を塩基性化合物で中和して水溶性化したアニオン性基を有する有機高分子化合物と水性媒体とを含有する、有機溶剤を含んでいても良い液媒体中に顔料を混合し懸濁液とし、懸濁液を更に充分に混合し、顔料を微分散させた後、(b)酸性化合物を加えてアニオン性基有する有機高分子化合物を析出させることにより顔料をアニオン性基を有する有機高分子化合物で被覆し、(c)次いで塩基性化合物を加えてアニオン性基を有する有機高分子化合物のアニオン性基を中和して水性媒体中に分散させてなる水性分散体を含有することが好ましい。
上記(a)の、顔料が分散すべき液媒体に充分に均一分散していない状態にある懸濁液から、液媒体中に顔料が均一に微分散した顔料分散液を得る工程にて、上記したような特定の分散装置を用いるわけである。尚、本発明では、酸性化合物を用いてアニオン性基有する有機高分子化合物を析出させることを、酸析と称する場合がある。
また、顔料を分散する際、あるいは、分散後であって酸析する前に、顔料以外の物質、例えば、染料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、被覆剤バインダーの硬化触媒、防錆剤、香料、薬剤などを添加することもできる。
アニオン性基を有する有機高分子化合物と顔料との割合は、質量換算で顔料100部に対して、アニオン性基を有する有機高分子化合物の固形分量で10〜200部の範囲が好ましい。アニオン性基を有する有機高分子化合物の使用量が10部よりも少ない場合、顔料を充分微細に分散しにくくなる傾向にあり、また、200部よりも多い場合、分散体中の顔料の割合が少なくなり、水性顔料分散体を塗装剤などに使用した時に、配合設計上の余裕がなくなる傾向にあるので好ましくない。
水性媒体中に微分散された顔料をアニオン性基を有する有機高分子化合物で被覆する目的で行われる酸析は、酸性化合物を加えてpHを中性または酸性とすることによって、塩基性化合物によって中和されたアニオン性基を有する有機高分子化合物を析出させるものである。
使用される酸性化合物としては、例えば、塩酸、硫酸、燐酸、硝酸の如き無機酸類;蟻酸、酢酸、プロピオン酸の如き有機酸類などが使用できるが、排水中の有機物が少なく、かつ、酸析効果も大きい塩酸、硫酸が好ましい。酸析時のpHは3〜6の範囲が好ましいが、顔料によっては酸によって分解されるものもあり、このような顔料の場合には、pH4〜7の範囲で酸析することが好ましい。また、酸析を行う前に、系に存在する有機溶剤を減圧蒸留、常圧蒸留などの方法を用いて予め除いておくことが好ましい。
酸析後、必要に応じて濾過および水洗を行って、アニオン性基を有する有機高分子化合物で被覆された顔料の含水ケーキを得る。濾過方法としては、吸引濾過、加圧濾過、遠心分離など公知の方法が採用できる。
この含水ケーキは、乾燥させることなく、含水した状態のままで塩基性化合物でもってアニオン性基を再中和することによって、顔料粒子が凝集することなく、微細な状態を保持したままで、水性媒体中に再分散される。再分散させるための塩基性化合物としては、アニオン性基を有する有機高分子化合物を中和するために使用した塩基性化合物と同じ物が使用できる。
このようにして得られる塩基で中和されたカルボキシル基を有する有機高分子化合物で顔料が被覆されてなる水性分散体は、体積平均粒子径が10〜500nmの範囲にあるものが好ましい。体積平均粒子径が500nmよりも大きい場合、塗膜の光沢、発色性、着色力に優れたものが得難くなる傾向にあるので好ましくない。また、体積平均粒子径が10nmよりも小さいものを得ることは非常に困難で現実的ではない。
本発明で得られる塩基で中和されたカルボキシル基を有する有機高分子化合物で顔料が被覆されてなる水性分散体の評価方法としては、例えば、以下の様な方法がある。
まず、水性分散体に更にインクとしての印字特性を付与するため、エチレングリコール、グリセリン、pH調整剤、活性剤等を加えてインクジェットプリンター用水性記録液を調製した後、インクジェットプリンターのカートリッジに詰めて画像を印刷する。
更に貯蔵安定性の評価としては、例えば、調製直後のインクジェットプリンター用水性記録液を70℃の恒温槽中に7日間静置して貯蔵し、貯蔵前後の粘度と体積平均粒子径の経時変化をそれぞれ測定することにより評価できる。尚、上記粘度と体積平均粒子径の経時変化が小さければ小さいほど貯蔵安定性は良好と判断する。
上記のようにして得られるインクジェットプリンター用水性記録液を用いて記録画像を形成させる方法としては、例えばオンデマンドタイプのインクジェットプリンターを用いて、各種の紙、シート、フィルム、繊維、金属等に印字させる方法がある。
インクジェットプリンターとしては、特に限定されないが、例えば、プリンターヘッドに圧電素子を用いたピエゾ方式や、記録液に熱エネルギーを加え微細孔から記録液を液滴として吐出させて記録するサーマル方式等が挙げられる。更に、印字後に熱や紫外線等のエネルギーを加えることによって画像を定着させることも可能である。
上記のようにして製造された水性顔料分散液はインクジェットプリンター用水性記録液として極めて実用的に使用できる。
以下、合成例、実施例及び比較例により本発明を詳細に説明する。本発明はこれら実施例に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、「部」及び「%」はいずれも質量基準である。
(合成例1)
[スチレン/アクリル系共重合体の合成]
滴下装置、温度計、窒素ガス導入管、攪拌装置および還流冷却管を備えた容量3リットルの四つ口フラスコに、メチルエチルケトン1,000部を仕込み、窒素シール下に、攪拌しながら液温を78℃まで昇温させた後、スチレン200部、メタクリル酸n−ブチル400部、アクリル酸n−ブチル50部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル150部、メタクリル酸200部、パーブチルO(日本油脂(株)製のtert−ブチルパーオキシオクトエート)80部とからなる混合液を4時間掛けて滴下した。更に、同温度で8時間反応を続けた。
反応混合物を室温まで放冷した後、不揮発分が50%となるようにメチルエチルケトンを加えて希釈して、酸価130KOHmg/g、水酸基価65KOHmg/g、数平均分子量13,000の有機高分子化合物溶液(A)を得た。
[スチレン/アクリル系共重合体の合成]
滴下装置、温度計、窒素ガス導入管、攪拌装置および還流冷却管を備えた容量3リットルの四つ口フラスコに、メチルエチルケトン1,000部を仕込み、窒素シール下に、攪拌しながら液温を78℃まで昇温させた後、スチレン200部、メタクリル酸n−ブチル400部、アクリル酸n−ブチル50部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル150部、メタクリル酸200部、パーブチルO(日本油脂(株)製のtert−ブチルパーオキシオクトエート)80部とからなる混合液を4時間掛けて滴下した。更に、同温度で8時間反応を続けた。
反応混合物を室温まで放冷した後、不揮発分が50%となるようにメチルエチルケトンを加えて希釈して、酸価130KOHmg/g、水酸基価65KOHmg/g、数平均分子量13,000の有機高分子化合物溶液(A)を得た。
(合成例2)
[加熱架橋型共重合体の合成]
滴下装置、温度計、窒素ガス導入管、攪拌装置および還流冷却管を備えた容量3リットルの四つ口フラスコに、メチルエチルケトン1,000部を仕込み、窒素シール下に、攪拌しながら液温を78℃まで昇温させた後、n−ブチルメタクリレート335部、n−ブチルアクリレート358部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート150部、メタクリル酸107部、グリシジルメタクリレート50部、パーブチルO(日本油脂(株)製のtert−ブチルパーオキシオクトエート)80部とからなる混合液を4時間掛けて滴下した。更に、同温度で8時間反応を続けた。反応混合物を室温まで放冷した後、不揮発分が50%となるようにメチルエチルケトンを加えて希釈して、酸価70KOHmg/g、水酸基価65KOHmg/g、数平均分子量10,000の有機高分子化合物溶液(B)を得た。
[加熱架橋型共重合体の合成]
滴下装置、温度計、窒素ガス導入管、攪拌装置および還流冷却管を備えた容量3リットルの四つ口フラスコに、メチルエチルケトン1,000部を仕込み、窒素シール下に、攪拌しながら液温を78℃まで昇温させた後、n−ブチルメタクリレート335部、n−ブチルアクリレート358部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート150部、メタクリル酸107部、グリシジルメタクリレート50部、パーブチルO(日本油脂(株)製のtert−ブチルパーオキシオクトエート)80部とからなる混合液を4時間掛けて滴下した。更に、同温度で8時間反応を続けた。反応混合物を室温まで放冷した後、不揮発分が50%となるようにメチルエチルケトンを加えて希釈して、酸価70KOHmg/g、水酸基価65KOHmg/g、数平均分子量10,000の有機高分子化合物溶液(B)を得た。
尚、上記合成例1および2の数平均分子量は、GPC(ゲルパーミッションクロマトグラフィー)により測定した。
(1)顔料分散工程
20%水酸化ナトリウム19部及びイオン交換水221部を加え、均一になったところへ、合成例1で得られた有機高分子化合物溶液(A)の80部を加え、攪拌して、有機高分子化合物中のカルボキシル基を100%中和すると共に、有機高分子化合物を水中に溶解させた。次いで、FASTOGEN BLUE TGR(大日本インキ化学工業株式会社製の銅フタロシアニンブルー顔料 C.I.Pigment Blue 15:3)80部を攪拌しながらゆっくりと加え、更に30分間よく攪拌して銅フタロシアニンブルー顔料の懸濁液を得た。
20%水酸化ナトリウム19部及びイオン交換水221部を加え、均一になったところへ、合成例1で得られた有機高分子化合物溶液(A)の80部を加え、攪拌して、有機高分子化合物中のカルボキシル基を100%中和すると共に、有機高分子化合物を水中に溶解させた。次いで、FASTOGEN BLUE TGR(大日本インキ化学工業株式会社製の銅フタロシアニンブルー顔料 C.I.Pigment Blue 15:3)80部を攪拌しながらゆっくりと加え、更に30分間よく攪拌して銅フタロシアニンブルー顔料の懸濁液を得た。
得られた銅フタロシアニンブルー顔料の懸濁液を、図1に示す様な外部固定容器と内部攪拌装置(ロータ)を有する、ロータ回転軸が水平の分散媒体攪拌型分散装置(三井鉱山製SCミル450/140型、ベッセル容量30L、モーター容量75kw)を用いて、分散し、塩基で中和されたカルボキシル基を有する有機高分子化合物と顔料からなる水性分散体(顔料分散液)を得た。尚、当該懸濁液を保持する容器と、循環ポンプを更に設け、液吐出口、懸濁液を保持する容器、循環ポンプ、液供給口をこの順序となるように連結し、前記保持容器内において顔料が所定の粒子径の顔料分散液となるまで、懸濁液を前記滞在時間の範囲となる様に循環させた。この時の分散条件は、分散装置内の攪拌総電力600kwh、分散メディアである0.3mmφジルコニアビーズ(株式会社ニッカトー社製 YTZビーズ)充填量21部、25時間循環分散であった。尚、この時の分散メディア効率は、顔料1kg当たり、0.36kwh/kgであった。
(2)溶剤蒸留工程
塩基で中和されたカルボキシル基を有する有機高分子化合物と顔料からなる水性分散体(顔料分散液)に水を加えて倍に希釈した後、常圧蒸留によってメチルエチルケトンを蒸留した。
塩基で中和されたカルボキシル基を有する有機高分子化合物と顔料からなる水性分散体(顔料分散液)に水を加えて倍に希釈した後、常圧蒸留によってメチルエチルケトンを蒸留した。
(3)酸析工程
溶剤蒸留後の水性分散体をディスパーで攪拌しながら、1規定塩酸を加えて水性分散体のpHを3〜5に調整し、有機高分子化合物を析出させ、カルボキシル基を有する有機高分子化合物で顔料を被覆した。
溶剤蒸留後の水性分散体をディスパーで攪拌しながら、1規定塩酸を加えて水性分散体のpHを3〜5に調整し、有機高分子化合物を析出させ、カルボキシル基を有する有機高分子化合物で顔料を被覆した。
(4)濾過及び水洗工程
カルボキシル基を有する有機高分子化合物で被覆された顔料スラリーを吸引濾過、水洗して、含水ケーキを得た。
カルボキシル基を有する有機高分子化合物で被覆された顔料スラリーを吸引濾過、水洗して、含水ケーキを得た。
(5)中和及び水性媒体への再分散工程
ディスパーで攪拌下、含水ケーキに、水酸化ナトリウムの10%水溶液を加え分散体のpHを8.5〜9.5に調整した。更に、1時間攪拌を続けた後、水を加えて、不揮発分が20%になるように調整して、塩基で中和されたカルボキシル基を有する有機高分子化合物で顔料が被覆されてなるシアン水性顔料分散体(A−1)を得た。
ディスパーで攪拌下、含水ケーキに、水酸化ナトリウムの10%水溶液を加え分散体のpHを8.5〜9.5に調整した。更に、1時間攪拌を続けた後、水を加えて、不揮発分が20%になるように調整して、塩基で中和されたカルボキシル基を有する有機高分子化合物で顔料が被覆されてなるシアン水性顔料分散体(A−1)を得た。
(6)インクジェットプリンター用水性記録液の調製
上記シアン水性顔料分散体(A−1)20.0部、イオン交換水44.4部、エチレングリコール4.0部、グリセリン8.0部、ジエタノールアミン2.4部、エマルゲン147(花王株式会社製のノニオン活性剤)1.2部を混合し、塩基で中和されたカルボキシル基を有する有機高分子化合物で顔料が被覆されてなるインクジェットプリンター用水性記録液を調製した。調製した水性記録液をインクジェットプリンターBJC−400J(キャノン株式会社製)のカートリッジに詰め、カラーBJペーパー(キャノン株式会社製)に印刷した結果、十分に発色の良いシアン色の画像を得た。
上記シアン水性顔料分散体(A−1)20.0部、イオン交換水44.4部、エチレングリコール4.0部、グリセリン8.0部、ジエタノールアミン2.4部、エマルゲン147(花王株式会社製のノニオン活性剤)1.2部を混合し、塩基で中和されたカルボキシル基を有する有機高分子化合物で顔料が被覆されてなるインクジェットプリンター用水性記録液を調製した。調製した水性記録液をインクジェットプリンターBJC−400J(キャノン株式会社製)のカートリッジに詰め、カラーBJペーパー(キャノン株式会社製)に印刷した結果、十分に発色の良いシアン色の画像を得た。
更に、調製した水性記録液を70℃の恒温槽中に7日間静置し、貯蔵前後の粘度と体積平均粒子径の経時変化をそれぞれ測定し、貯蔵安定性の評価を行った。その結果、表1より明らかな如く、貯蔵前後の粘度と体積平均粒子径の経時変化がいずれも小さく貯蔵安定性に優れていた。尚、粘度は、東機産業株式会社製のR−500型粘度計を使用し、回転数を60rpmに設定して測定した。また、体積平均粒子径は、日機装社製のレーザードップラー式粒度分布計(マイクロトラックUPA−150)を使用して測定した。
実施例1の銅フタロシアニンブルー顔料をカーボンブラック顔料(三菱化学株式会社製のC.I.Pigment Black 7)に代えた以外は、実施例1の顔料分散工程と同様の操作を行い、カーボンブラックの懸濁液を得た。
得られたカーボンブラックの懸濁液を、図1に示す様な外部固定容器と内部攪拌装置(ロータ)を有する、ロータ回転軸が水平の分散媒体攪拌型分散装置(三井鉱山株式会社製のSCミル 220/70型、ベッセル容量3.5L、モーター容量17kw)を用いて、分散し、塩基で中和されたカルボキシル基を有する有機高分子化合物と顔料からなる水性顔料分散体(顔料分散液)を得た。尚、当該顔料懸濁液を保持する容器と、循環ポンプを更に設け、液吐出口、顔料懸濁液を保持する容器、循環ポンプ、液供給口をこの順序となるように連結し、前記保持容器内において顔料が所定の粒子径の顔料分散液となるまで、顔料懸濁液を上記滞在時間の範囲となるように循環させた。この時の分散条件は、分散装置の内部攪拌装置の総電力156kwh、分散メディアである0.3mmφジルコニアビーズ充填量3.0部、20時間循環分散であった。尚、この時の分散メディア効率は、顔料1kg当たり、0.65kwh/kgであった。
更に、溶剤蒸留工程、酸析工程、濾過及び水洗工程、ならびに中和及び水性媒体への再分散工程を経て、不揮発分が20%となるように調整して、ブラック水性顔料分散体(A−2)を得た。
上記ブラック水性顔料分散体(A−2)を実施例1と同様の操作でインクジェットプリンター用水性記録液を調製して印刷した結果、十分に濃度のあるブラックの画像を得た。
更に、実施例1と同様の操作で、水性記録液の貯蔵前後における粘度と体積平均粒子径の経時変化をそれぞれ測定した。その結果、表1より明らかな如く、貯蔵前後の粘度と体積平均粒子径の経時変化がいずれも小さく、貯蔵安定性に優れていた。
実施例1の合成例1で得られた有機高分子化合物溶液(A)を合成例2で得られた有機高分子化合物溶液(B)に代えた以外は実施例1と同様の操作を行った。顔料分散工程、溶剤蒸留工程を経て、加圧下、120℃、4時間加熱処理を行い、次いで酸析工程、濾過及び水洗工程、ならびに中和及び水性媒体への再分散工程を行ない、不揮発分20%のシアン水性顔料分散体(B−1)を得た。
上記シアン水性顔料分散体(B−1)を実施例1と同様の操作でインクジェットプリンター用水性記録液を調製し、印刷した結果、十分に発色の良いシアン色の画像を得た。
更に、調製した水性記録液の貯蔵前後における粘度と体積平均粒子径の経時変化をそれぞれ測定した。その結果、表1の結果から明らかな如く、貯蔵前後の粘度と体積平均粒子径の経時変化の絶対値がいずれも小さく、貯蔵安定性に優れていた。
(比較例1)
実施例1で、分散条件を、分散装置の内部攪拌装置の総電力2,520kwh、分散メディアである0.3mmφジルコニアビーズ充填量21部、84時間循環分散であった。この時、分散メディア効率を顔料1kg当たり、1.5kwh/kgとした以外は、実施例1と同様の操作を行い、不揮発分20%のシアン水性顔料分散体(A−3)を得た。
実施例1で、分散条件を、分散装置の内部攪拌装置の総電力2,520kwh、分散メディアである0.3mmφジルコニアビーズ充填量21部、84時間循環分散であった。この時、分散メディア効率を顔料1kg当たり、1.5kwh/kgとした以外は、実施例1と同様の操作を行い、不揮発分20%のシアン水性顔料分散体(A−3)を得た。
上記シアン水性顔料分散体(A−3)を実施例1と同様の操作で、インクジェットプリンター用水性記録液を調製し、印刷した結果、満足なシアン色の画像は得られなかった。更に、貯蔵安定性については、表1の結果から明らかな如く、調製した水性記録液の貯蔵前後の粘度と体積平均粒子径の経時変化が大きく(貯蔵中に粘度上昇と顔料粒子径の成長が起こる。)貯蔵安定性は実用的なレベルにはなく、不良であった。
(比較例2)
実施例2で、分散条件を、分散装置の内部攪拌装置の総電力380kwh、分散メディアである0.3mmφジルコニアビーズ充填量3.0部、50時間循環分散であった。この時、分散メディア効率を顔料1kg当たり、1.6kwh/kgとした以外は、実施例1と同様の操作を行い、不揮発分20%のカーボンブラック水性顔料分散体(A−4)を得た。
実施例2で、分散条件を、分散装置の内部攪拌装置の総電力380kwh、分散メディアである0.3mmφジルコニアビーズ充填量3.0部、50時間循環分散であった。この時、分散メディア効率を顔料1kg当たり、1.6kwh/kgとした以外は、実施例1と同様の操作を行い、不揮発分20%のカーボンブラック水性顔料分散体(A−4)を得た。
上記ブラック水性顔料分散体(A−4)を実施例1と同様の操作で、インクジェットプリンター用水性記録液を調製し、印刷した結果、満足なブラックの画像は得られなかった。貯蔵安定性については、表1の結果から明らかな如く、調製した水性記録液の貯蔵前後の粘度と体積平均粒子径の経時変化が大きく(貯蔵中に粘度上昇と顔料粒子径の成長が起こる。)貯蔵安定性は実用的なレベルにはなく、不良であった。
(比較例3)
実施例3で、分散条件を、分散装置の内部攪拌装置の総電力2,520kwh、分散メディアである0.3mmφジルコニアビーズ充填量21部、84時間循環分散であった。この時、分散メディア効率を顔料1kg当たり、1.5kwh/kgとした以外は実施例3と同様の操作を行い、不揮発分20%のシアン水性顔料分散体(B−2)を得た。
実施例3で、分散条件を、分散装置の内部攪拌装置の総電力2,520kwh、分散メディアである0.3mmφジルコニアビーズ充填量21部、84時間循環分散であった。この時、分散メディア効率を顔料1kg当たり、1.5kwh/kgとした以外は実施例3と同様の操作を行い、不揮発分20%のシアン水性顔料分散体(B−2)を得た。
上記シアン水性顔料分散体(B−2)を実施例1と同様の操作で、インクジェットプリンター用水性記録液を調製し、印刷した結果、満足なシアンの画像は得られなかった。貯蔵安定性については、表1の結果から明らかな如く、調製した水性記録液の貯蔵前後の粘度と体積平均粒子径の経時変化が大きく(貯蔵中に粘度上昇と顔料粒子径の成長が起こる。)貯蔵安定性は実用的なレベルにはなく、不良であった。
表1
表1の結果から明らかな様に、本発明の製造方法で得られたインクジェットプリンター用水性記録液は、調製直後ならびに70℃で7日間経過後の粘度と体積平均粒子径の経時変化がより小さいことから貯蔵安定性に優れていることが判った。
以上より、本発明は、分散メディア効率を顔料1kg当たり、0.1〜1.2kwh/kgとなる様な分散条件下で顔料を微分散して顔料分散液を調製し、ここで得られた中和されたアニオン性基を有する有機高分子化合物で顔料が被覆されてなるインクジェットプリンター用水性記録液を製造することにより、分散メディア効率を従来の条件下で調製して得られた前記水性記録液と比べて、粘度と体積平均粒子径の経時変化がいずれも小さいことから貯蔵安定性により優れていることが判った。
1 外部固定容器
2 円筒状ロータ
3 ロータの回転軸
4 供給口
5 スリット
6 液室
7 分散メディア
8 セパレータ
9 吐出口
2 円筒状ロータ
3 ロータの回転軸
4 供給口
5 スリット
6 液室
7 分散メディア
8 セパレータ
9 吐出口
Claims (5)
- 中和されたアニオン性基を有する有機高分子化合物で顔料が被覆されてなるインクジェットプリンター用水性記録液の製造方法であって、中和されたアニオン性基を有する有機高分子化合物と顔料とを含む懸濁液を混合し、顔料を微分散して顔料分散液とするに当たり、分散装置として、懸濁液の供給口と吐出口を有する、セパレータを有する内壁が円筒状の外部固定容器(I)と、その内部に所定間隙を介し設けられた、回転軸中心に回転可能な円筒状ロータ(II)とからなり、当該ロータ(II)が、円筒内部に中空の液室を有し、液室に向かって懸濁液が供給できる、当該供給口に対向するスリットと、液室外部に通じる円筒側壁に複数の液吐出孔とを有するロータ(II)であり、当該外部固定容器(I)が、当該ロータの円周外壁面と所定間隙を介して対向する、分散メディアよりも小さい所定径の複数の穴を有するセパレータが円筒状内壁に設けられた外部固定容器(I)であり、当該ロータとセパレータとの間隙には分散メディアが充填された分散装置を用い、ロータ(II)を回転させながら、容器(I)の供給口からロータのスリットに向けて、液室に懸濁液を供給し、遠心力にて吐出孔から懸濁液を放出し、分散メディアを介してセパレータを通過した懸濁液を容器(I)の吐出口から取り出すに当たり、当該分散装置内における分散メディア効率が、顔料1kgにつき、0.1〜1.2kwh/kgとなる様に懸濁液を供給して、顔料を微分散して顔料分散液とすることを特徴とするインクジェットプリンター用水性記録液の製造方法。
- 分散メディア効率が、顔料1kgにつき、0.2〜0.8kwh/kgである請求項1記載のインクジェットプリンター用水性記録液の製造方法。
- アニオン性基を有する有機高分子化合物が、酸価30〜150KOHmg/gのカルボキシル基を有する有機高分子化合物である請求項1または2記載のインクジェットプリンター用水性記録液の製造方法。
- アニオン性基を有する有機高分子化合物が、酸価30〜150KOHmg/g、かつ、水酸基価20〜120KOHmg/gのカルボキシル基と水酸基を有する有機高分子化合物である請求項1〜3のうちいずれか一項記載のインクジェットプリンター用水性記録液の製造方法。
- 塩基性化合物で中和して水溶性化したアニオン性基を有する有機高分子化合物と水性媒体と顔料とを混合し懸濁液として、懸濁液の液媒体中に顔料を均一に微分散させるに当たり、分散装置として、懸濁液の供給口と吐出口を有する、セパレータを有する内壁が円筒状の外部固定容器(I)と、その内部に所定間隙を介し設けられた、回転軸中心に回転可能な円筒状ロータ(II)とからなり、当該ロータ(II)が、円筒内部に中空の液室を有し、液室に向かって懸濁液が供給できる、当該供給口に対向するスリットと、液室外部に通じる円筒側壁に複数の液吐出孔とを有するロータ(II)であり、当該外部固定容器(I)が、当該ロータの円周外壁面と所定間隙を介して対向する、分散メディアよりも小さい所定径の複数の穴を有するセパレータが円筒状内壁に設けられた外部固定容器(I)であり、当該ロータとセパレータとの間隙には分散メディアが充填された分散装置を用い、ロータ(II)を回転させながら、容器(I)の供給口からロータのスリットに向けて、液室に懸濁液を供給し、遠心力にて吐出孔から懸濁液を放出し、分散メディアを介してセパレータを通過した懸濁液を容器(I)の吐出口から取り出すに当たり、当該分散装置内における分散メディア効率が、顔料1kgにつき、0.1〜1.2kwh/kgとなる様に懸濁液を供給して、顔料を微分散して顔料分散液とした後、酸性化合物を加えてアニオン性基有する有機高分子化合物を析出させることにより顔料をアニオン性基を有する有機高分子化合物で被覆し、次いで塩基性化合物を加えてアニオン性基を有する有機高分子化合物のアニオン性基を中和して水性媒体中に分散させて水性分散体とし、これを用いてインクを調製する請求項1〜4のうちいずれか一項記載のインクジェットプリンター用水性記録液の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004193415A JP2006016444A (ja) | 2004-06-30 | 2004-06-30 | インクジェットプリンター用水性記録液の製造方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2006016444A true JP2006016444A (ja) | 2006-01-19 |
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ID=35791004
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JP2004193415A Pending JP2006016444A (ja) | 2004-06-30 | 2004-06-30 | インクジェットプリンター用水性記録液の製造方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US7898915B2 (en) | 2008-03-26 | 2011-03-01 | Kabushiki Kaisha Toshiba | Method and apparatus for determining recording powers for recording on an optical disc |
-
2004
- 2004-06-30 JP JP2004193415A patent/JP2006016444A/ja active Pending
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