JP2006015919A - エアバッグドア構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】エアバッグの膨張力が弱い場合でもドア破断予定部の破断を短時間で完了し得るようにする。
【解決手段】ドアパネル32,34を、エアバッグ装置52の側へ所要角度だけ後退した傾斜状態に設けることで、これらドアパネル32,34の境界ラインに沿って沿設した破断予定部40を、ヒンジ部44よりも奥まって位置させる。そして、互いに隣接する一方のドアパネル32の開放端縁部32Aが、他方のドアパネル34の開放端縁部34Aに重なり、オーバーラップした両開放端縁部32A,34Aに沿って破断予定部40が形成されている。従って、各ドアパネル32,34がヒンジ部44より外方へ開放変位するまでに破断予定部40が破断するようになる。
【選択図】図1

Description

本発明は、エアバッグドア構造に関し、更に詳細には、車両内装部材を構成する基材に設けた複数のドアパネルと、これらドアパネルの境界ラインに沿って延設した破断予定部とからなり、エアバッグ装置の作動により膨張するエアバッグが各ドアパネルをその裏側から押圧した際に破断予定部が破断して、ヒンジ部を中心とした該ドアパネルの開放を許容するエアバッグドア構造に関するものである。
近年生産される殆どの乗用車には、対向車との衝突事故の発生時に乗員保護を図るため、運転席エアバッグ装置および助手席エアバッグ装置が標準的に装備されている。例えば図10および図11に例示するように、助手席の乗員保護用のエアバッグ装置52は、乗員室内の前方に組付けた車両内装部材であるインストルメントパネル10の内部に、乗員席から見えないよう格納した状態で搭載されている。このため、インストルメントパネル10を構成する合成樹脂製の基材12には、エアバッグ装置52のインフレータケース54に対応する位置にエアバッグドア30が設けられており、エアバッグ装置52の作動により膨張を開始したエアバッグ56の押圧力を受けた際に、エアバッグドア30が開放するようになっている。
ここで前述した基材12は、ポリプロピレン等に強化剤を添加した合成樹脂素材からインジェクション成形技術に基づいて成形された部材であるため、殊に低温時にエアバッグ56の強大な押圧力を瞬間的に受けた場合に破損する虞がある。そこで、図11および図12に例示したように、基材12とエアバッグドア30とを別部材として構成し、例えばオレフィン系の熱可塑性エラストマ(TPO)等の柔軟性に富んだ樹脂素材からエアバッグドア30を成形し、基材12に開設したドア設置部18に対して当該のエアバッグドア30を組付ける構造としたものが多い。なお、図11および図12に例示したエアバッグドア30は、4枚のドアパネル32,34,36,38からなる四方開きタイプとなっており、各ドアパネル32,34,36,38の境界ラインに沿って両Y字形のドア破断予定部(破断予定部)40が延設されていると共に、その裏面側に角筒状の支持枠部42が一体的に形成されており、この支持枠部42がエアバッグ装置52のインフレータケース54に連結されるようになっている。
また前述のインストルメントパネル10は、部分的には単層構造となっているものの、基本的には、所要形状にインジェクション成形された合成樹脂製の基材12と、この基材12の外面における所要領域に形成被着された発泡体14と、この発泡体14の外面に被着されて該発泡体14を被覆する表皮材16とから構成された3層構造となっている。従って、3層構造となっている部位に設けられたエアバッグドア30は、図11に例示したように、その外面に所要厚の発泡体14および該発泡体14を被覆する表皮材16で被覆された構造となっている。このため表皮材16には、前述したドア破断予定部40に沿って両Y字形の表皮開裂予定部20が延設されており、各ドアパネル32,34,36,38の裏面にエアバッグ56の押圧力が加わると、ドア破断予定部40の破断、表皮開裂予定部20の開裂、そして発泡体14の裂断が夫々進行して、ヒンジ部44を中心とした各ドアパネル32の開放が許容される。なお、これに関する技術は、例えば特許文献1に開示されている。
特開2000−177525号公報
ところで、従来したエアバッグドア30の構造では、当該のエアバッグドア30を構成する各ドアパネル32,34,36,38が、図11の位置、すなわち基材12の外面レベルおよびヒンジ部44と略一致するように設定されており、各ドアパネル32はこの位置を開放開始位置として開放変位するようになっている。従って、エアバッグ装置52の作動により膨張を開始したエアバッグ56の押圧力がエアバッグドア30の裏側に加わると、図13に例示するように、各ドアパネル32,34,36,38は発泡体14および表皮材16を外方へ押し上げながら凸形状に変形した後、応力が集中したドア破断予定部40の破断が始まるようになる。すなわち、このようなエアバッグドア30では、エアバッグ56の押圧力に基づいて隣接するドアパネル32,34,36,38が相互に離間する方向へ引張られるようになり、この際に発生する所謂引裂力によりドア破断予定部40を破断させるものであるから、該ドア破断予定部40を安定かつ適切に破断させるためにはエアバッグ56は大きな膨張力を必要とする。殊に近年のエアバッグ装置52は、衝突時の衝撃力を大きさ感知してエアバッグ56の膨張力を強弱調整し得るようになっているため、エアバッグ56の膨張力が弱い場合においてもドア破断予定部40がエアバック56が膨張を開始して短時間で破断を開始する必要がある。
また、図13から明らかなように、エアバッグドア30の外面に被着された発泡体14の厚みが5〜10mm程度で略一定に設定されているため、エアバッグドア30の開放時には、該エアバッグ56の開放変位量(外方への変位)に略比例して表皮材16が変形するようになる。ここで表皮材16は、厚みが1mm程度に設定されて柔軟性に富んでいるため、図13に図示した時点ではまだ表皮開裂予定部20の開裂がまだ進行しないことが多い。すなわち、各ドアパネル32,34,36,38の開放変位量に対し、表皮開裂予定部20の開裂のタイミングが遅れてしまう場合がある。
従って本発明は、エアバッグ装置の作動によりエアバッグが膨張するに際して、エアバッグの膨張力が弱い場合でも、ドア破断予定部の破断および表皮開裂予定部の開裂を短時間で早期に完了し得る構造を提供することを目的とする。
前記課題を解決し、所期の目的を達成するため本発明は、
車両内装部材を構成する基材に設けた複数のドアパネルと、これらドアパネルの境界ラインに沿って延設した破断予定部とからなり、前記エアバッグ装置の作動により膨張するエアバッグが前記各ドアパネルをその裏側から押圧した際に前記破断予定部が破断して、ヒンジ部を中心とした該ドアパネルの開放を許容するエアバッグドア構造において、
前記各ドアパネルの前記破断予定部を、前記ヒンジ部よりも奥まって位置させたことを特徴とする。
本発明に係るエアバッグドア構造によれば、エアバッグドアを構成するドアパネルの境界ラインに沿って延設した破断予定部の破断が、エアバッグの膨張力が弱い場合でも短時間で早期に完了するようになるから、各ドアパネルの開放変位が円滑かつ確実に実現されると共に、エアバッグが適切に膨張展開するようになる有益な効果を奏する。また、車両内装部材が、基材、発泡体および表皮材からなる3層構造を呈する場合は、表皮材に設けた表皮開裂予定部の開裂も短時間で早期に完了するようになり、このような車両内装部材であってもエアバッグが膨張展開し易くなる利点がある。
次に、本発明に係るエアバッグドア構造につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。なお、後述する実施例では、4枚のドアパネルからなる四方開きタイプのエアバッグドアを例示することとし、よって図10〜図13を引用して説明した従来技術の項における既出の部材・部位と同一の部材・部位については、同一の符号を付して説明する。
図1は、本実施例に係るエアバッグドアの構造を実施したインストルメントパネルを、該エアバッグドアの配設位置で破断して示した説明断面図、図2は、基材と別体に形成されたエアバッグドアの概略斜視図である。本実施例に係るエアバッグドア30は、車両内装部材であるインストルメントパネル10を構成する基材12に設けた複数のドアパネル32,34,36,38と、これらドアパネル32,34,36,38の境界ラインに沿って延設したドア破断予定部40と、基材12の内側に配設したエアバッグ装置52とからなり、エアバッグ装置52の作動により膨張するエアバッグ56が各ドアパネル32,34,36,38をその裏側から押圧した際にドア破断予定部40が破断して、ヒンジ部44を中心とした該ドアパネル32,34,36,38の開放が許容されるようになっている。
インストルメントパネル10は、基本的には図10および図11に例示した従来のものと同様に、所要形状に成形された基材12と、この基材12の外面に配設されて意匠面を構成する表皮材16と、これら基材12および表皮材16の間で発泡成形した発泡体14とからなる3層構造タイプのものである。従ってエアバッグドア30は、常には前述した表皮材16および発泡体14により被覆され、インストルメントパネル10の外方からは全く視認されないようになっている。
ここで基材12は、例えばポリプロピレン(PP)やASG等に強化剤を添加した合成樹脂素材を材質とする比較的硬質のインジェクション成形部材であって、内側に配設されるエアバッグ装置52のインフレータケース54に対応する部位に、別部材として形成されるエアバッグドア30を組付けるためのドア設置部18が開設されている。このドア設置部18は、図1に例示したように、エアバッグドア30の板厚と略同程度の段差状に凹設されており、該エアバッグドア30の裏面に一体的に形成された角筒状の支持枠部42の挿通を許容するサイズに形成された挿通口18Aと、この挿通口18Aの外側に形成されてエアバッグドア30の外縁部を支持する取付支持部18Bとからなっている。
表皮材16は、インストルメントパネル10の質感向上を図るために配設されるもので、(a)樹脂シート材から真空成形されたもの、(b)樹脂粉末からパウダースラッシュ成形されたもの、(c)ウレタン原料からスプレー成形されたもの、(d)ウレタン原料から反応射出成形されたもの等が好適に使用され、インストルメントパネル10の外部意匠面形状を前提として厚さが1mm程度に予備成形されたものである。この表皮材16は、例えば表面全体に本革に似せたシボ模様等が再現されている一方、エアバッグドア30に対応した裏面所要位置に表皮開裂予定部20が形成されている。
発泡体14は、例えばウレタン原料を発泡させて形成されるウレタンフォームであって、図示しない発泡成形型にセットした前述の基材12および表皮材16の間でウレタン原料を発泡・硬化させることで、これら基材12と表皮材16との間に介在させたものである。この発泡体14は、基材12と表皮材16との間では5〜10mmの厚さに設定されており、またエアバッグドア30と表皮材16との間では、後述すると共に図1に例示したように、エアバッグドア30の形状態様に基づいてこれより適宜厚く設定されており、適度の弾力性を発現し得るようになっている。従って、表皮材16の適宜部位を指先等で押圧すると該押圧部位が陥凹的に変形するようになり、インストルメントパネル10の触感向上に寄与するようになっている。また万一、衝突事故時に前方へ投げ出された乗員がインストルメントパネル10の外面に衝突した場合には、その衝撃を吸収して傷害程度の軽減を図ることにも寄与する。
本実施例のエアバッグドア30は、図2〜図4に例示するように、例えばTPO(オレフィン系の熱可塑性エラストマ)等の柔軟性および靭性等に優れた合成樹脂材料を材質としたインジェクション成形部材であり、前述したドア設置部18の内周端縁形状に合致する略矩形状の外部輪郭形状に形成されている。そして、ドア設置部18の開口領域に整合するよう配置される4枚のドアパネル32,34,36,38と、これらドアパネル32,34,36,38の外周縁に形成され、前述の取付支持部18Bに密着的に固定されるドア取付部46とに分かたれている。ここで、各ドアパネル32,34,36,38は平面視で両Y字形に区分されていて、ドアパネル32は乗員席側(インストルメントパネル10の後側)に向け開放し、ドアパネル34は図示しないフロントウィンドウ(インストルメントパネル10の前側)に向け開放し、ドアパネル36,38はインストルメントパネル10の左側および右側に向け開放するようになっている。すなわち各ドアパネル32,34,36,38は、エアバッグ装置52の作動時にドア破断予定部40が破断すると、ドア取付部46との境界ラインに沿って薄肉帯状に設けたヒンジ部44を中心として、インストルメントパネル10の前・後方向および左・右方向へ夫々開放するようになる。
また、各ドアパネル32,34,36,38を囲繞する角筒状の支持枠部42が、エアバッグドア30の裏側においてドア取付部46へ一体的に形成されている。この支持枠部42は、エアバッグドア30をドア設置部18へ取付けた際に前述した挿通口18Aを介して基材12の裏側へ延出し、エアバッグ装置52のインフレータケース54に連結されることで、ヒンジ部44を中心として開放変位する各ドアパネル32,34,36,38をエアバッグ装置52で支持させるよう機能する。なお、支持枠部42の外側壁面には、基材12の挿通口18Aの端縁に係止される複数個の係止突部48が突設されている。
そして、本実施例に係るエアバッグドア30では、図1〜図4に例示したように、当該のエアバッグドア30を構成する各ドアパネル32,34,36,38を、エアバッグ装置52の側へ所要角度だけ後退した傾斜状態に設けた構造となっている。しかも、互いに隣接する夫々のドアパネル32,34,36,38では、一方のドアパネル32,34,36,38の開放端縁部32A,34A,36A,38Aが他方のドアパネル32,34,36,38の開放端縁部32A,34A,36A,38Aに重なった状態に形成されており、互いのオーバーラップした両開放端縁部32A,34A,36A,38Aに沿ってドア破断予定部40が形成されている。これによりドア破断予定部40は、図11に例示した従来の場合と比較して、各ドアパネル32のヒンジ部44および基材12の外面レベル(ドア取付部46の外面レベル)よりも奥まって位置している。但し図1、図7および図8では、ドアパネル36,38は図示省略してある。
なお、各ドアパネル32,34,36,38の重なり態様は、乗員席(助手席)側に向け開放するドアパネル32の開放端縁部32Aが最も外方(開放方向)へ位置しており、次いでフロントウィンドウ側に向け開放するドアパネル34の開放端縁部34Aがその内方(下方)に位置し、そしてインストルメントパネル10の左側および右側へ向け開放する各ドアパネル36,68の開放端縁部36A,38Aが、前述した各々のドアパネル32,34の内方(下方)に位置している。すなわち、乗員席側に向け開放するドアパネル32の開放端縁部32Aが、乗員席側とは異なる方向へ開放する各ドアパネル34,36,38の開放端縁部34A,36A,38Aより外方(上方)に位置する関係となっている。
従って、エアバッグドア30の裏側にエアバッグ56の押圧力が加わった際に、各ドアパネル32,34,36,38がヒンジ部44より外方(上方)および基材12の外面レベル(ドア取付部46の外面レベル)より外方(上方)へ変位するまでの開放初期段階においては、隣接するドアパネル32,34,36,38同士のオーバーラップ量が増大するようになり、これによりドア破断予定部40に剪断力が生ずるようになるから、この剪断力によりドア破断予定部40が好適に破断するようになる。例えば、図5に例示するように、乗員席側に向け開放するドアパネル32とフロントウィンドウ側に向け開放するドアパネル34を例示して説明すると、各々のドアパネル32,34のヒンジ部44から開放端縁部32A,34Aまでの幅をS、一方のヒンジ部44から他方のヒンジ部44までの間隔をLとすると、S+S>L の関係となる。これにより、各ドアパネル32,34がヒンジ部44に整列して基材12の外面レベルと同一となるまで(図7の状態)は、これらドアパネル32,34が相互に近接するようになって開放端縁部32A,34Aのオーバーラップ量が徐々に増大するようになるから、図6に例示するように、ドア破断予定部40に剪断力が生じて該ドア破断予定部40が破断するようになるのである。
ここで、例えば薄紙の切断を考察した場合、当該の紙を左右へ引張るよりも前後へ裂くようにした方が軽い力で簡単に切断し得ることで説明できるように、従来のエアバッグドア30のように引裂力を利用してドア破断予定部40を破断する態様より、本願のエアバッグドア30のように剪断力を利用してドア破断予定部40を破断する態様の方が、該ドア破断予定部40の容易かつ確実な破断を実現できる。
従って、本実施例のエアバッグドア30では、図7に例示した位置、すなわち各ドアパネル32,34,36,38がヒンジ部44および基材12の外面レベルに略整列した位置(図11に例示した従来のエアバッグドアにおける開放開始位置)に各ドアパネル32,34,36,38が開放変位した時点において、既にドア破断予定部40の破断が略完了するようになっている。従って、図13に例示した従来のエアバッグドア30と比較すると、この従来のエアバッグドア30における開放開始位置において既にドア破断予定部40の破断が完了することとなり、エアバッグ56の膨張力が弱い場合でもドア破断予定部40の破断を短時間で早期に完了させ得る。
一方、本実施例のインストルメントパネル10では、前述したように、エアバッグドア30の各々のドアパネル32,34,36,38を、エアバッグ装置52の側へ所要角度だけ後退した傾斜状態に設けてあるため、このエアバッグドア30に対応した部位では発泡体14の厚みが大きくなっている。これに対し表皮材16の形状は、図11に例示した従来のインストルメントパネル10と同様であるため外観上での形状的な相異は全くなく、インストルメントパネル10の外部意匠面に不具合が生ずることはない。このように、エアバッグドア30に対応した部位で発泡体14の厚みが大きくなっていることに伴い、エアバッグドア30の開放時に各ドアパネル32がヒンジ部44に整列して基材12の外面レベルと略同一となった時点では、図7に例示したように、表皮材16は既に凸状に変形するようになる。この表皮材16の凸状状態は、図13に例示した従来のエアバッグドア30において、ドアパネル32が所要位置まで開放した段階と略同形状となっている。
すなわち本実施例のエアバッグドア30では、各ドアパネル32,34,36,38が図11の位置まで開放変位した時点において、表皮材16が図13に例示した形状まで変形しているため、既に表皮開裂予定部20へかなりの応力が加わった状態となっており、その一部では開裂が始まる状態となっている。そして、更に各ドアパネル32の開放変位が進行して図8に例示した状態となった段階(図13の開放位置状態)では、既に表皮開裂予定部20の開裂が完了することは勿論、発泡体14の裂断もかなり進行するようになる。従って本実施例のエアバッグドア30では、発泡体14の厚みが大きくなったことに伴い、表皮材16における表皮開裂予定部20の開裂も短時間で早期に完了すると共に、これにより発泡体14の裂断も短時間で早期に進行するようになっている。
なお、本実施例に係るエアバックドア30では、図1および図2に例示したように、各ドアパネル32,34,36,38における開放端縁部32A,34A,36A,38Aに隣接した部位に、当該ドアパネル32と発泡体14との剥離を促進するための所要幅のシール50が貼着されている。すなわち、エアバッグドア30の外側に所要厚の発泡体14が存在していると、ヒンジ部44を中心としたドアパネル32,34,36,38の開放中心と発泡体14の折曲ポイントとが一致しないことに起因して、発泡体14とドアパネル32,34,36,38とが完全に接着されていると該ドアパネル32,34,36,38の全開状態までの開放が阻害される虞がある。このため、エアバッグドア30の開放時には、図9に例示するように、前述したシール50によりドアパネル32と発泡体14との剥離を促進させることで、ドアパネル32の開放不良を回避することが可能となる。
本実施例に係るエアバッグドア30の構造の特徴を纏めると、エアバッグドア30を構成する各ドアパネル32,34,36,38を、基材12の外面レベル(ドア取付部46の外面レベル)よりもエアバッグ装置52の側へ所要角度だけ後退した傾斜状態に設けて、ドア破断予定部40をヒンジ部44よりも奥まって位置させたことにより、エアバッグ装置52の作動によりエアバッグドア30の裏側をエアバッグ56が押圧した際には、各ドアパネル32,34,36,38がヒンジ部44(基材12の外面レベル)より外方(上方)へ変位する以前の過程において、ドア破断予定部40の破断を短時間で早期に完了させることが可能である。しかも各ドアパネル32,34,36,38は、互いに隣接する一方のドアパネル32,34,36,38の開放端縁部32A34A,36A,38Aが他方のドアパネル32,34,36,38の開放端縁部32A34A,36A,38Aに重なり、互いにオーバーラップした両開放端縁部32A34A,36A,38Aに沿ってドア破断予定部40を形成してあるため、各ドアパネル32,34,36,38の開放初期段階において各ドアパネル32,34,36,38が相互に干渉することなくそのオーバーラップ量が増大するようになり、ドア破断予定部40に生じた剪断力により該ドア破断予定部40を適切に破断させることが可能となる。
また、膨張するエアバッグ56の展開方向である乗員席側に向け開放するドアパネル32が、乗員席側とは異なる方向に向け開放するドアパネル34,36,38よりも外方(開放方向)に位置しているため、当該のドアパネル32の開放タイミングが少しだけでも早くなり、その分だけエアバッグ56と干渉する不都合の発生確率が低くなる。更に、インストルメントパネル10を構成する発泡体14の厚みがエアバッグドア30に対応した部位で大きくなっていることにより、エアバッグドア30の開放度合よりも表皮材16の変形度合の方が早くなるため、表皮材16の表皮開裂予定部20の開裂も短時間で早期に完了するようになる。
従って、図1〜図8に例示した本実施例に係るエアバッグドア30では、ドア破断予定部40の破断、表皮開裂予定部20の開裂、発泡体14の裂断の夫々が、図11〜図13に例示した従来のエアバッグドア30の場合と比較すると、エアバッグ56の膨張力が弱い場合でも短時間で早期に完了するようになるから、各ドアパネル32,34,36,38の開放変位が円滑かつ確実に実現されると共に、エアバッグ56が適切に膨張展開するようになる。また前述した実施例のように、インストルメントパネル10が基材12、発泡体14および表皮材16からなる3層構造を呈している場合でも、表皮材16に設けた表皮開裂予定部20の開裂も短時間で早期に完了するようになり、このようなインストルメントパネル10であってもエアバッグ56が膨張展開し易くなる。
なお前述した実施例では、車両内装部材としてインストルメントパネル10を例示したが、本願のエアバッグドアが実施可能な車両内装部材はこれに限定されるものではなく、これ以外にドアパネル、ピラーガーニッシュ等も対象とされる。
また前述した実施例では、4枚のドアパネル32,34,36,38から構成される四方開きタイプのエアバッグドアを例示したが、本願のエアバッグドアは、2枚のドアパネルから構成される両開きタイプのエアバッグドアや、4枚以上のドアパネルから構成されるエアバッグドアにも実施可能である。
本発明に係るエアバッグドア構造は、インストルメントパネル等の車両内装部材を構成する基材に設けた複数のドアパネルと、これらドアパネルの境界ラインに沿って延設した破断予定部とからなり、エアバッグ装置の作動により膨張するエアバッグが各ドアパネルをその裏側から押圧した際に破断予定部が破断して、ヒンジ部を中心とした該ドアパネルの開放を許容するものである。従って、エアバッグ装置を搭載した種々自動車等に好適に実施可能である。
本発明の好適実施例に係るエアバッグドアの構造を実施したインストルメントパネルを、該エアバッグドアの配設部位で破断して示した説明断面図である。 エアバッグドアを構成する各ドアパネルを示した概略斜視図である。 図2のIII−III線断面図である。 図2のIV−IV線断面図である。 ドアパネルの寸法を示した説明断面図である。 隣接するドアパネルが開放するに際し、両ドアパネルの開放端縁部のオーバーラップ量が増大することで、ドア破断予定部に剪断力が生ずることを示した説明図である。 図1の開放開始位置から変位した各ドアパネルが、図11に例示した従来の開放開始位置まで変位した状態を示した説明断面図であって、この状態においてドア破断予定部の破断が既に完了し、また表皮材が凸状に変形して表皮開裂予定部の開裂も始まることを示している。 図7から更に開放変位した各ドアパネルが、図13に例示した位置まで変位した状態を示した説明断面図であって、この状態において表皮開裂予定部の開裂および発泡体の裂断が完了していることを示している。 各ドアパネルが全開位置まで開放した状態を示した説明断面図である。 エアバッグドアを設けたインストルメントパネルの部分斜視図である。 図10のXI−XI線断面図である。 基材と別体に形成されるエアバッグドアの概略斜視図である。 従来のエアバッグドアを示した説明断面図であって、エアバッグ装置の作動により膨張を開始したエアバッグがエアバッグドアを裏側から押すことで各ドアパネルが上方へ移動し、ドア破断予定部に生じた引裂力により該ドアパネルが破断するようになることを示している。
符号の説明
10 インストルメントパネル(車両内装部材)
12 基材
14 発泡体
16 表皮材
32,34,36,38 ドアパネル
32A,34A,36A,38A 開放端縁部
40 ドア破断予定部(破断予定部)
44 ヒンジ部
52 エアバッグ装置
56 エアバッグ

Claims (5)

  1. 車両内装部材(10)を構成する基材(12)に設けた複数のドアパネル(32,34,36,38)と、これらドアパネル(32,34,36,38)の境界ラインに沿って延設した破断予定部(40)とからなり、エアバッグ装置(52)の作動により膨張するエアバッグ(56)が前記各ドアパネル(32,34,36,38)をその裏側から押圧した際に前記破断予定部(40)が破断して、ヒンジ部(44)を中心とした該ドアパネル(32,34,36,38)の開放を許容するエアバッグドア構造において、
    前記各ドアパネル(32,34,36,38)の前記破断予定部(40)を、前記ヒンジ部(44)よりも奥まって位置させた
    ことを特徴とするエアバッグドア構造。
  2. 前記各ドアパネル(32,34,36,38)を、前記エアバッグ装置(52)の側へ所要角度だけ後退した傾斜状態に設けることで、前記破断予定部(40)を前記ヒンジ部(44)よりも奥まって位置させ、
    前記各ドアパネル(32,34,36,38)の裏側を前記エアバッグ(56)が押圧した際に、各ドアパネル(32,34,36,38)が前記ヒンジ部(44)より外方へ変位するまでに、前記破断予定部(40)を破断させ得るようにした請求項1記載のエアバッグドア構造。
  3. 互いに隣接する一方の前記ドアパネル(32,34,36,38)の開放端縁部(32A,34A,36A,38A)が他方の前記ドアパネル(32,34,36,38)の開放端縁部(32A,34A,36A,38A)に重なり、互いにオーバーラップした両開放端縁部(32A,34A,36A,38A)に沿って前記破断予定部(40)が形成されており、
    前記各ドアパネル(32,34,36,38)が前記ヒンジ部(44)より外方へ変位するまでそのオーバーラップ量が増大する請求項1または2記載のエアバッグドア構造。
  4. 乗員席側に向け開放する前記ドアパネル(32)の開放端縁部(32A)が、乗員席側とは異なる方向へ開放する前記ドアパネル(34,36,38)の開放端縁部(34A,36A,38A)より外方に位置している請求項3記載のエアバッグドア構造。
  5. 前記車両内装部材(10)は、前記基材(12)の外面に発泡体(14)および表皮材(16)が配設され、前記各ドアパネル(32,34,36,38)の外側に位置する該発泡体(14)は、後退した傾斜状態に設けた該ドアパネル(32,34,36,38)により適宜厚みが大きく設定されている請求項1〜4の何れかに記載のエアバッグドア構造。
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