JP2006015175A - 塗布装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】
インクジェットヘッドを塗布装置に装着して吐出作業を実施する前に、予め吐出口列の湾曲の傾向を把握し、それら得られたデータを基に吐出口列の矯正を実施する。
【解決手段】
インクジェットヘッドの吐出口列の湾曲を認識する湾曲認識手段と、湾曲認識手段によって得た湾曲変位情報に応じて塗布位置情報を作成する塗布情報作成手段と、湾曲認識手段によって得た湾曲変位情報に応じてインクジェットヘッドの吐出口列を矯正する湾曲矯正手段からなる塗布装置を提供する。
【選択図】 図1
インクジェットヘッドを塗布装置に装着して吐出作業を実施する前に、予め吐出口列の湾曲の傾向を把握し、それら得られたデータを基に吐出口列の矯正を実施する。
【解決手段】
インクジェットヘッドの吐出口列の湾曲を認識する湾曲認識手段と、湾曲認識手段によって得た湾曲変位情報に応じて塗布位置情報を作成する塗布情報作成手段と、湾曲認識手段によって得た湾曲変位情報に応じてインクジェットヘッドの吐出口列を矯正する湾曲矯正手段からなる塗布装置を提供する。
【選択図】 図1
Description
この発明は、インクジェットヘッドを用いた塗布装置に係り、特に、インクジェットヘッドの射出特性、特にインクジェットヘッド吐出口列の湾曲に起因する着弾ばらつきを制御する機構を備えた塗布装置に関する。
複数の開口(吐出口)を備えたインクジェットにおいては、基板上の決められた位置に、決められた量のインク滴を供給して、カラーフィルタや有機ELの発光層を形成することが進められている。しかしながら、基板上への塗布に際して、インクジェットヘッドの反りが問題となっている。そのため、特許文献1記載の、長手方向に複数のインク吐出ノズルが並んで配置されたインクジェットヘッドの反り矯正部を備えたインクジェット記録装置がある。
この特許文献1に記載の反り矯正手段は、プレートにインクジェットヘッドを取り付けるためにインクジェットヘッド側に複数の貫通穴とネジを切った穴を設けて、それぞれの穴及びネジに挿入するボルトの締め付け力を調整することで反りを矯正するものである。
しかしながら、特許文献1記載の技術を使用するインクジェットヘッドにおいても以下の課題が生じる場合がある。
まず、複数のネジを用いて反りを矯正するために、矯正に高度の技術を要する上、矯正のために時間がかかるという課題がある。
また、上記方法で反り矯正を施したインクジェットヘッドにおいては、塗布ヘッドを取り付けた基板によっては、塗布作業中に再び元の反り形状に復元する可能性があり、その復元量の予測は不可能である。そのため、適当な時間毎にインクジェットヘッドの状態を監視する課題が生じる。
また、吐出口列をまっすぐにしたとはいえ、インクジェットヘッド固有の誤差、例えば液滴の飛行角度に起因する着弾ばらつきは補正されない。つまり、インクジェットヘッドを矯正させるためには、総合的な誤差を鑑みた上で矯正させなければならない課題が残るのである。
本発明はインクジェットヘッドの反りを、定期的にヘッドの各吐出口を観測して求め、機械的に反りを矯正し塗布を行う構成とすることで、矯正のための時間の短縮を図り、かつ、反り戻りによる塗布不良の発生を極力低減した塗布装置を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明は、インクジェットヘッドの各吐出口の中心位置情報を取得する情報収集部と、前記中心位置情報に基づき前記インクジェットヘッドの吐出口諸元を取得し補正制御を実施する補正制御部と、前記吐出口ばらつき情報に基づき前記インクジェットヘッドの吐出口列を矯正させるヘッド搭載部とを備え、前記ヘッド搭載部は、前記インクジェットヘッドを支持固定するヘッド支持部と、インクジェットヘッドを押圧する複数のヘッド押圧部とからなり、前記ヘッド支持部によって、前記インクジェットヘッドの任意の端部側面二箇所をそれぞれ両側面から支持しつつ、前記ヘッド押圧部によって、前記インクジェットヘッドの吐出口列を矯正するための押圧力を、前記インクジェットヘッドの側面の任意の位置に加える構成とした。
本発明によれば、インクジェットヘッド本体の構造的性質に起因する吐出口列の湾曲の度合いを把握し、その情報に応じてインクジェットヘッド吐出口列の矯正を実施することにより、湾曲による吐出口位置ずれを解消可能であり、さらに少なくとも湾曲変位方向の着弾ばらつきをも補正可能であるため、結果、装置の信頼性が向上する。
インクジェット方式は、単に文書の印字やカラー写真の印刷だけに止まらず、単一基板上に複数の薄膜パターンをそれぞれ異なる塗布材料で形成し、機能性デバイスを得る技術として応用され、その研究開発が盛んに行われている。その応用先として、フルカラー液晶ディスプレイに用いるRGB各色カラーフィルタや、次世代FPDとして注目されている有機ELを用いた画像表示装置(以下、有機EL表示装置と称す)の形成技術等が挙げられる。
上記応用先でのインクジェット方式は、極微少量液滴を射出可能なインクジェットヘッドと、画像表示デバイスの母体となる多数の液滴着弾部を有する基板を搭載固定したXYステージとを相対的に駆動させ、所定の液滴着弾部に所定の塗布材料を吐出する方式となるが、近年、画像表示デバイスの高解像度化に伴い、インクジェット塗布装置の信頼性(液滴着弾精度や基板位置決め精度など)も高精度のものが要求されている。
ここで、上記信頼性を確保するためには、インクジェットヘッド本体そのものの製作精度向上が課題となる。言い換えれば,インクジェットヘッド本体下部に直線状に配置されて成る微細な吐出口の製作精度がインクジェット塗布装置の信頼性を大きく占めることとなる。しかしながら、インクジェットヘッドの製作工程によっては、インクジェットヘッド吐出口列が湾曲し、そのために吐出口位置のばらつきが発生し、画像表示デバイスの形成が容易ではない場合がある。以下その理由について説明する。
図2は湾曲したインクジェットヘッドの吐出口面を示す。多数の溝部を有し、前記溝部の隔壁部に電極が設けられている圧電性セラミック基板と、前記圧電性セラミック基板の多数の溝部をその上面から蓋をするように接合し、前記圧電性セラミック基板の一端面に同一平面となる面を有するカバープレートと、前記圧電性セラミック基板の一端面に対して接合する際、前記溝部と対応するように直線状に配置された多数の吐出口を有する吐出口プレートとからなり、前記電極に電圧を印可し、前記隔壁をせん断変形させることにより所望の液体を微細孔から吐出するインクジェットヘッドにおいて、上記接合における各面は例えばエポキシ系強力接着剤によって瞬時に接合されるが、接合し固着した後の接着剤の体積変化に起因する各部材に発生する残留応力や接着剤の膨張収縮等により、固着した後の吐出口列は直線30とならず、程度の差は有るが、近似曲線31の如く湾曲してしまうのである。
この状態で、吐出口から吐出される液滴が塗布対象物に着弾できるように、インクジェットヘッドを位置合わせして、各吐出口から同じタイミングで吐出動作を実施すると、各吐出口の着弾位置が、図2のY座標方向へずれてしまい、精度良く着弾できない。
また、インクジェットヘッドを傾けて使用することは、単一のインクジェットヘッドで複数種類の塗布基板を塗布可能である等汎用的な運用が行え、望ましい方式である。しかし、この状態で吐出口から吐出される液滴が塗布対象物に着弾できるように、インクジェットヘッドを位置合わせして、各吐出口から同じタイミングで吐出動作を実施すると、各吐出口の着弾位置が、図2のY座標方向とX座標方向の双方へずれてしまい、精度良く着弾できない。
上記述べたように、インクジェットヘッド吐出口列が湾曲していると、液滴が精度良くバンクに着弾させることが出来ない。
また、数10個のインクジェットヘッドの吐出口位置を検査したところ、ほとんどのインクジェットヘッドの吐出口列が湾曲していることを確認した。
以上により、インクジェットヘッドを塗布装置に装着して吐出作業を実施する前に予め吐出口列の湾曲状態を確認し把握する必要がある。そして、インクジェットヘッドの吐出口列の湾曲度合いに応じて補正を行うことで、略正確な位置にインクを吐出できること確認した。
以下、本発明のインクジェットヘッド装置として、有機EL表示装置の製造装置を例にし、添付図面を参照し、その実施例について説明する。
図1に本発明の一実施形態になる、塗布装置の概略図を示す。本塗布装置は、ベースとなる架台1上に門型フレーム2が搭載されている。この門型フレーム2にはZ軸ステージ3が取付けてある。Z軸ステージ3にはZ軸駆動モータ4によってZ軸方向に移動可能にインクジェットヘッド本体5を交換可能に取付けたヘッドブラケット6が設けてある。また門型フレーム2には、塗布データを格納するインクジェットヘッド駆動機構部38が設けてある。
門型フレーム2の脚部の中央、架台1の上面には、Xステージ9と、X軸駆動モータ10とが固定されており、このXステージ9の上面には、Yステージ11と、Y軸駆動モータ12が、それらの行程が直交するよう取付けてある。そして、Yステージ11の上面にはθ回転ユニット13が、さらにθ回転ユニット13上には吸着テーブル14が、それぞれ取付けられ、最終的に、吸着テーブル14上面と架台1上面とが平行となるよう位置決めされ、取付けられている。
吸着テーブル14の上面には微細な吸引穴が複数設けてある。この吸着テーブル14上面に設けた吸引穴は図示しない真空発生装置と連通されているため、基板32をテーブル上面に吸着保持することが可能である。また、吸着テーブル14前側の端面にはインクジェットヘッド本体5の目詰り防止ならびに目詰り要因排除を目的としたクリーニング装置15が取付けられている。
上記構成により、吸着ステージ14上に設置された基板32の表面とインクジェットヘッド本体5の吐出口面とが互いに平行を保ちつつ、X方向、Y方向へのステージの駆動、Z方向へのインクジェットヘッド本体5の駆動、そして吸着プレート14上面中心を回転軸としての回転駆動が可能である。
なお、インクジェットヘッド本体5を駆動するZ軸駆動モータ4の下降ストロークは、少なくともクリーニング装置15がインクジェットヘッド本体5に対して各種クリーニング可能となる距離よりも大きく移動できるように設定してある。
門型フレーム2の図中右脚部には塗布材料ボトル16が、上下に垂直移動可能なボトルホルダ17に取付けられており、また、塗布材料ボトル16近傍には、インクジェットヘッド5内部流路を洗浄するための洗浄用溶剤が入っている洗浄液ボトル18が設けられている。これらは、図示しない供給手段によりインクジェットヘッド本体5へ供給、適宜、供給切替えを行う。
塗布装置近傍にはPC18が設けてある。PC18では、インクジェットヘッド本体5の液滴吐出制御や、本塗布装置に付帯する構成機器の駆動制御、状態監視等を行う。
図3に本発明の一実施例の塗布装置に適用される基板について示す。基板32は、矢示33に方向(操作方向)に移動されながらインクジェットヘッドより塗布材料が吐出される。35aは図中X座標と平行で傾き角θXの基準となる基準線、35bは傾き角θXを有する理想直線を示す。36a、36d、36gはそれぞれ吐出口22a、22d、22gから基板32に吐出される液滴の軌跡をそれぞれ示す。なお、説明を明確にするため、本図では湾曲の度合いを誇張し、吐出口の数を限定して(本来は128乃至512ノズル存在する)記載している。
基板32には、規定の深さを有する楕円状の液滴着弾領域すなわちバンクが設けられており、赤色(R)発光層用バンク列34AR、緑色(G)発光層用バンク列34AG、青色(B)発光層用バンク列34ABの順に、共通のバンク幅38とバンク奥行39を有し一定間隔で配置されている。本実施例では、赤色(R)発光層用バンク列34ARに対して吐出動作を実施することを前提とし、それ以外のバンクを全て点線で示してある。
本実施例における基板32は、前記RGB各色発光層用バンク列34AR、34AG、34ABはまとめて1画素とし、1画素当りの画素幅(X方向バンクピッチ)と画素奥行(Y方向バンクピッチ)の長さが等しいものとし、これにより、バンク幅38とバンク奥行39には少なくとも3倍の長さ差があることになる。また、基板32の使用用途によっては、その表面に複数種類のバンク幅とバンク奥行を有するバンクが、複数の集合体として形成されているものもあるが、本実施例では全て同形状のバンクが存在しているものとする。
図4は、本発明の一実施形態になる、塗布装置に適用されるインクジェットヘッド吐出口列の情報収集手段を示す。50は支持プレート、53はCCDカメラ、51はCCDカメラ53を走査させるためのレール、52はレール51に従いCCDカメラ53を駆動させるカメラ駆動機構、54は透明保護プレート、55は信号線及び電力線をそれぞれ示す。
インクジェットヘッド本体5の各吐出口の情報収集は下記要領で実施される。まず、CCDカメラ53をカメラ駆動機構52によりレール51に従い所定の基準位置へ駆動させた後、インクジェットヘッド本体5の吐出口のうち、最初に認識する吐出口(図中吐出口22a)がCCDカメラ53の視野内に入るよう、またCCDカメラ53のフォーカスを合わせるため、カメラ駆動機構52を駆動させる。
なお、吐出口の撮像は、インクジェットヘッド本体5の吐出口からの意図しない液滴の滴下や、装置構成部品やその周辺からもたらされる細かい粉塵等からCCDカメラ53を保護するために、透明保護プレート54越しに実施する。
次に、CCDカメラ53の視野内にある最初に認識する吐出口を撮像し、その撮像情報をPC18(図1参照)に送信する。PC18では、その撮像情報から撮像した吐出口の中心を割出し、その座標情報を記録する。記録後、CCDカメラ53によって次に認識すべき吐出口が認識可能となるまでカメラ駆動機構52を駆動させる。以下、認識すべき吐出口が無くなるまで上記作業を繰り返す。すべての吐出口の認識が終了すると、PC18によって、吐出動作に必要な諸元を求める。
なお、本図では、吐出口列方向の移動にレール51とカメラ駆動機構52を使用しているが、CCDカメラ53を固定とし、本塗布装置に備えられているXステージ9、Yステージ11(図1参照)を駆動させることで撮像可能とすれば、レール51とカメラ駆動機構52は省略して良い。その際、Xステージ9、Yステージ11は、CCDカメラ53の撮像範囲内に達するストロークを有することになる。
また、情報収集手段は本塗布装置の吐出動作に妨げにならない場所に設置し、情報収集手段としての機能を果たせる場所であればどこに設置しても良い。さらに情報収集装置として別途、塗布装置近傍に設置しても良い。
図5(a)は、本発明の一実施形態になる、塗布装置に適用されるインクジェットヘッドの湾曲矯正方法を示す。
31は湾曲の近似曲線、33は走査方向、35aは図中X座標と平行で傾き角θXの基準となる基準線、Faは押圧力、ΔHは湾曲の最大変位をそれぞれ示す。なお、説明を明確にするため、図3と同様に本図では湾曲の度合いを誇張し、吐出口の数を限定して記載している。
まず、本塗布装置に搭載されるインクジェットヘッド本体5の基準線35aを求める。本実施例では、吐出口の一方の端点と他方の端点とを結んだ直線とし、Xステージ9(図1参照)の行程が描く直線の傾きと同等の角度とする。ここで、取得した全ての吐出口の中心位置情報を、基準線35aを基準に軸補正を実施し、PC18の記録内容を更新する。
続いて、押圧力Faと押圧位置DPを取得する。全吐出口の中心位置情報から吐出口列の近似曲線31の最大変位ΔHを取得し、最大変位ΔHを押し込むことが可能な押圧力Faと、押し込む位置となる押圧位置DPをPC18に記録する。ここで、最大変位ΔHが規定誤差の範囲内であれば、このまま吐出動作可能とし、矯正を実施しない。具体的な矯正方法に関しては後述するように、図6で詳細に説明する。
なお、最大変位ΔHを求める要素はこの限りではなく、PC18に格納された各吐出口の中心位置情報であっても良いが、近似曲線31とした場合、前述図4の情報収集手段において、全吐出口の中心位置情報を取得する必要はないので作業の簡略化が可能である。この場合、両端に位置する吐出口22a、22gと、湾曲の最大変位部に位置する吐出口22dの三点だけの中心位置情報を取得すれば良く、また、曲線の傾向に合わせて中心位置情報の取得数を可変しても良い。
図5(b)は、本発明の一実施形態になる、本塗布装置に適用されるインクジェットヘッド本体のさらなる湾曲矯正方法を示す。押圧力Faをインクジェットヘッド本体5に加えても、図5(b)の如く、完全に矯正することができない。これは、吐出口22d付近の押圧によって、わずかではあるが他の吐出口位置にも影響を与えるためである。
ここで、前述図4の情報収集手段により求めた押圧力Faを加えた状態で再度各吐出口の中心位置情報を取得し、湾曲の近似曲線31xを形成し、最大変位ΔHxを取得する。最大変位ΔHxが規定誤差の範囲内であれば、押圧力Faの矯正で基板に吐出動作可能とし、範囲外であれば、最大変位ΔHxを押し込むことが可能な押圧力Fxを追加し、矯正を実施し、以降、規定誤差範囲内となるまで繰り返す。また、限界の押圧力を加えて吐出口列を湾曲させても規定誤差の範囲外であれば、このインクジェットヘッドでは吐出動作を実施できないとし、PC18は作業者に交換を促す。
続いて、インクジェットヘッド本体の傾き角θXを求める。傾き角θXは、吐出動作を実施する基板の同色バンク間ピッチによって決まる。なお、傾き角θXによっては一回の走査でインクジェットヘッド本体の全ての吐出口を使用するとは限らず、規定の吐出口ピッチ毎に吐出動作を実施することになる。また、その傾き角θXはX方向の吐出口の位置ずれを可能な限り低減させるために鋭角であるのが望ましい。なお、傾き角θXの原点は、端部に位置する吐出口中心点でも良いし、吐出口列の中心でも良いし、他にヘッドブラケット6やθ回転ユニット13の回転中心等、装置構成上で形成された点でも良い。
続いて、傾き角θXにおける各吐出口毎の吐出待ち距離Dnを取得する。吐出待ち距離Dnとは、傾き角θX>0とした場合、各吐出口からの液滴を走査方向に対して垂直に配列させるために必要な遅延距離のことである。なお、遅延時間であっても良い。
上記の如く、可能な限り湾曲を矯正することによって、高精度な吐出口列を形成することが可能となる。なお、最初の押圧力Faの取得に至っては全吐出口の中心位置情報による近似曲線とし、次の押圧力Fxの取得に至っては全吐出口のうち任意の数点の中心位置情報による近似曲線として、作業を短縮しても良い。
図6(a)は、本発明の一実施形態になる、塗布装置の湾曲矯正機構の構成図を示したものである。6はヘッドブラケット、101はインクジェットヘッド本体5正面からの押圧力付与手段、102はインクジェットヘッド本体5背面からの押圧力付与手段、103と104は押圧方向変換手段、Faは押圧力付与手段101からの押圧力、Fbは押圧力Faから押圧力変換手段103を経由しインクジェットヘッド本体5に作用する押圧力をそれぞれ示す。
図6(b)は、本発明の一実施形態になる、塗布装置の湾曲矯正機構を吐出口面側から見た図を示す。31は湾曲の近似曲線、106aと106bと107aと107bはインクジェットヘッドの支持部、108は正面側加圧位置調整手段、109は背面側加圧位置調整手段をそれぞれ示す。なお、吐出口22aと吐出口22gは、それぞれインクジェットヘッド5本体の吐出口列の一方の端部と他方の端部、DPは押圧力の加圧位置、ΔHは湾曲の近似曲線31の最大変位、吐出口22dは湾曲の近似曲線31の最大変位部に位置する吐出口を示す。
まず吐出動作を開始する前に、インクジェットヘッド本体5をヘッドブラケット6に装着する。ヘッドブラケット6の所定の位置からインクジェットヘッド本体5を挿入し、ヘッドブラケット6とインクジェットヘッド本体5底面とが平行かつギャップhとなる高さで、吐出口22aを支持部106aと支持部106bでそれぞれ正面と背面とで押え込み、そして吐出口22gを支持部107aと支持部107bで同様に押え込み固定する。なお、この押え込む力は、吐出口22aまたは吐出口22gが変形しない程度の力とする。
次に、湾曲矯正を実施する前に加圧位置DPを決定する。加圧位置DPは前述図5で認識した各吐出口の中心座標データからその最大値に該当する位置とする。押圧力変換手段103を加圧位置調整手段108により図中横方向に移動させ、位置決めを実施する。この動作は、湾曲の近似曲線31が正面側へ膨らむよう湾曲している状態のものであり、逆方向へ膨らんでいる場合は、押圧力変換手段104を加圧位置調整手段109により図中横方向に移動させ、位置決めを実施する。
そして、湾曲を矯正する。押圧力付与手段101から押圧力Faを発生させ、押圧力変換手段103を経由させ、インクジェットヘッド本体5正面を押圧する向きに変化した押圧力Fbとさせ、インクジェットヘッド本体5正面の所定の部位すなわち加圧位置DPに作用させる。押圧力Fbは押圧力Faとほぼ同等の力とする。上記の如き矯正は、湾曲の近似曲線31が正面側へ膨らむよう湾曲している状態のものであり、逆方向へ膨らんでいる場合は、押圧力付与手段102から押圧力Faを発生させ、押圧力変換手段104を経由させ、インクジェットヘッド本体5背面を押圧する向きに変化した押圧力Fbとさせ、インクジェットヘッド本体5正面の所定の部位すなわち加圧位置DPに作用させる。
この湾曲矯正手段により、直線として扱ってよい吐出口列にすることが可能となる。なお、インクジェットヘッド本体5の高さ方向での押圧位置は、吐出動作実施時に基板や他の装置構造部に悪影響を及ぼさない範囲内であれば可能な限り吐出口面に近づけるのが望ましい。
図7は、本発明の一実施形態になる、塗布装置の動作フローチャートを示す。なお、塗布装置の各部動作は、図1に基づいて説明を行う。
まず、インクジェットヘッド本体5に取付けられている図示しないヘッド保護装置を取り外す。なお、このヘッド保護装置は、インクジェットヘッド本体5吐出口およびその周縁部の乾燥による目詰りを防止するために用いている。そして、PC18を起動し、適宜塗布材料16や洗浄用溶剤18の残量を確認し、各構成機器の自己診断等を実施し、塗布準備を終了させる(ステップ401)。そして、クリーニング装置15によってインクジェットヘッド本体5吐出口とその周縁部の清掃を実施し、目詰り要因を排除する(ステップ402)。
続いて、インクジェットヘッド本体5の吐出口の情報収集作業、すなわち吐出口の中心位置情報の取得を実施して(ステップ403)、吐出口列の湾曲矯正を実施する(ステップ404)。湾曲矯正終了後、最大変位ΔHが規定誤差の範囲外であれば、限界の押圧力範囲内で吐出口列が規定誤差の範囲内となるまで再度ステップ404を実施する。
吐出動作に必要な諸元を算出し、得られた諸元によって、インクジェットヘッド本体をヘッドブラケット6またはθステージ13によって傾き角θXに設定する(ステップ405)。
そして、図示しない基板前処理部から搬送されてきた基板32を吸着プレート上の所定の位置に搭載し、図示しない真空発生手段を駆動させ基板32を吸着固定し(ステップ406)、Zステージ3を駆動させ、インクジェットヘッド本体5吐出口面と基板32表面とを規定の基板間距離に設定する。なお、基板32は、前述図7による望ましいバンク配置および走査方向となるよう搬送され固定される。
続いて、吐出作業を開始する(ステップ407)。塗布作業が終了すれば、図示しない真空発生手段を駆動させ基板32の吸着を解除し、基板後処理部へ搬送する(ステップ408)。
ここで、規定の基板処理枚数に達し(ステップ409)、さらにその枚数がインクジェットヘッド5のクリーニングの必要な枚数に達した(ステップ408)ならば、前記ステップ402を実行し、各種クリーニングを実施する。クリーニングが終了次第、前記ステップ403、ステップ404を順に実行し、吐出作業(前記ステップ405、ステップ406、ステップ407)を実行する。
規定の基板処理枚数に達すると、本塗布装置での塗布作業は終了となる。終了前に、クリーニング装置15を駆動させ、各種クリーニングを実施する(ステップ411)。最後に、図示しないヘッド保護装置をインクジェットヘッド5に装着し、作業は終了する。
有機EL表示装置を、インクジェットヘッドを用いた塗布装置で形成するためには、使用するインクジェットヘッドの様々な吐出特性の把握が重要である。本実施例では、それら吐出特性のうち、液滴の飛翔角度に起因する着弾ばらつきの、少なくとも湾曲変位方向に関して、吐出口列の湾曲矯正と同時に補正し得る塗布装置を提供する。
図8は、本発明の他実施形態になる、塗布装置に適用されるインクジェットヘッド吐出口列の情報収集手段を示す。5はインクジェットヘッド本体、6はヘッドブラケット、60は支持プレート、63はCCDカメラ、61はCCDカメラ63を走査させるためのレール、62はレール61に従いCCDカメラ63を駆動させるカメラ駆動機構、64は透明保護プレート、65は信号線及び電力線、32は基板をそれぞれ示す。
前実施例(図4参照)と本実施例での情報収集手段の差異は、必要なだけの吐出口を吐出口面から直接CCDカメラで読み取ることと、基板上に試射を実施して得られた必要なだけの液滴を一滴ずつ基板上からCCDカメラで読み取ること、とにある。
本実施例でのインクジェットヘッド本体5の各吐出口の情報収集は下記要領で実施される。まず、基板32に液滴を試射する。基板32は実際の基板でも良いし試射用に新たに設けたものでも良い。液滴は各吐出口からそれぞれ一回ずつ吐出する。吐出動作は、実際の基板への吐出動作と同様な条件、例えば規定の塗布材料、規定のインクジェットヘッド駆動電圧、規定の基板間距離で行う。この動作により、基板上には一列の液滴の集合が形成される。
続いて、基板32をCCDカメラ63で撮像可能な領域へ搬送し、CCDカメラ63をカメラ駆動機構62によりレール61に従い所定の基準位置へ駆動させた後、基板32上の液滴のうち、最初に認識する液滴(図中液滴72a)がCCDカメラ63の視野内に入るよう、またCCDカメラ63のフォーカスを合わせるため、カメラ駆動機構62を駆動させる。
なお、液滴の撮像は、装置構成部品やその周辺からもたらされる意図しない細かい粉塵等からCCDカメラ63や基板32を保護するために、透明保護プレート64越しに実施するのが望ましい。
続いて、CCDカメラ63の視野内にある最初に認識する液滴72aを撮像し、その撮像情報をPC18(図1参照)に送信する。PC18では、その撮像情報から撮像した液滴72aの中心を割出し、その座標情報を記録する。記録後、CCDカメラ63によって次に認識すべき液滴が認識可能となるまでカメラ駆動機構62を駆動させる。以下、認識すべき液滴が無くなるまで上記作業を繰り返す。すべての液滴の認識が終了すると、PC18によって、吐出動作に必要な諸元を求める。
なお、本図では、CCDカメラ63の液滴列方向の移動にレール61とカメラ駆動機構62を使用しているが、CCDカメラ63を固定とし、本塗布装置に備えられているXステージ9、Yステージ11(図1参照)を駆動させることで撮像可能とすれば、レール61とカメラ駆動機構62は省略して良い。その際、Xステージ9、Yステージ11は、CCDカメラ63の撮像範囲内に達するストロークを有することになる。
また、情報収集手段は本塗布装置の吐出動作に妨げにならない場所に設置し、情報収集手段としての機能を果たせる場所であればどこに設置しても良い。さらに情報収集装置として別途、塗布装置近傍に設置しても良い。
得られた液滴の中心位置情報は、前実施例における吐出口の中心位置情報に着弾ばらつきを与えられた情報となることから、液滴の中心位置情報に基づいて前実施例を利用すると、少なくとも湾曲変位方向の着弾ばらつきが、湾曲矯正と同時に補正可能となる。
1…袈台、2…門型フレーム、3…Z軸ステージ、4…Z軸駆動モータ、5…インクジェットヘッド本体、6…ヘッドブラケット、9…Xステージ、10…X軸駆動モータ、11…Yステージ、12…Y軸駆動モータ、13…θ回転ユニット、14…吸着テーブル、32…基板、53…CCDカメラ、101、102…押圧力付与手段。
Claims (6)
- インクジェットヘッドを用いた塗布装置において、
前記インクジェットヘッドの各吐出口の中心位置情報を取得する情報収集部と、前記中心位置情報に基づき前記インクジェットヘッドの吐出口諸元を取得し補正制御を実施する補正制御部と、前記吐出口諸元に基づき前記インクジェットヘッドの吐出口列を矯正させるヘッド搭載部とを備え、
前記ヘッド搭載部は、前記インクジェットヘッドを支持固定するヘッド支持部と、インクジェットヘッドを押圧する複数のヘッド押圧部とからなり、前記ヘッド支持部によって、前記インクジェットヘッドの任意の端部側面の二箇所を支持し、前記ヘッド押圧部によって、前記インクジェットヘッドの吐出口列を矯正する押圧力を与える構成としたことを特徴とする塗布装置。 - インクジェットヘッドを用いた塗布装置において、
前記インクジェットヘッドによって被塗布部材の所定位置に塗布した液滴集合体の中心位置情報を取得する情報収集部と、前記液滴集合体の中心位置情報に基づき前記インクジェットヘッドの吐出口諸元を取得し補正制御を実施する補正制御部と、前記吐出口諸元に基づき前記インクジェットヘッドの吐出口列を矯正させるヘッド搭載部とを備え、
前記ヘッド搭載部は、前記インクジェットヘッドを支持固定するヘッド支持部と、インクジェットヘッドを押圧する複数のヘッド押圧部とからなり、前記ヘッド支持部によって、前記インクジェットヘッドの任意の端部側面の二箇所をそれぞれ両側面から支持しつつ、前記ヘッド押圧部によって、前記インクジェットヘッドの吐出口列を矯正可能な押圧力を与える構成としたことを特徴とする塗布装置。 - 請求項2記載の塗布装置において、
前記液滴集合体は、前記インクジェットヘッドの各吐出口から一滴ずつ吐出を実施した時の形状であることを特徴とする塗布装置。 - 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の塗布装置において、
前記補正制御部が取得する前記吐出口諸元は、前記各吐出口の前記中心位置情報から求めた近似曲線の最大変位分を押圧可能な押圧力情報を含むことを特徴とする塗布装置。 - 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の塗布装置において、
前記補正制御部が取得する前記吐出口諸元は、前記各吐出口の前記中心位置情報から前記吐出口列に略直交する座標での、前記中心位置情報の最大値と最小値を抽出し、その差を押圧可能な押圧力情報を含むことを特徴とする塗布装置。 - 請求項1又は2に記載の塗布装置において、
前記押圧部は、インクジェット側面の両側にそれぞれ押圧力を付与する押圧力付与手段と、押圧力付与手段が押圧力を与える位置を調整する加圧位置調整手段を備えていることを特徴とする塗布装置。
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JP2015066771A (ja) * | 2013-09-27 | 2015-04-13 | 富士フイルム株式会社 | 画像記録装置及び画像記録装置の調整方法 |
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