第1の発明は、吸引用の送風機を内包する本体と、前記送風機への吸引経路に配設され塵埃を集積する集塵室と、前記集塵室内に装着され集塵室内に取り込まれる空気中の塵埃を濾過するフィルターと、前記フィルターの下流側面に対し略垂直方向に回動自在に支持されると共に前記フィルターの下流側から上流側方向に弾性応力を加えた状態で当接させて配設される弾性体と、前記弾性体の一部に応力を与える作用部とからなり、前記作用部は前記弾性体の自由端を前記フィルターの下流側面に対し離れる方向に作用させて、前記弾性体に弾性応力を持たせ、前記弾性応力を前記フィルターの負圧側面に断続的に作用させることで衝撃振動を加える加振部を有した電気掃除機とすることにより、より強い力でフィルター表面に付着した塵埃が除去されるので、安定した吸引性能が発揮できる。
第2の発明は、第1の発明のフィルターの上部をフィルターの上流側に前傾させて配設したことにより、フィルター表面に付着した塵埃が落下しやすく確実に除去されるので、安定した吸引性能が発揮できる。
第3の発明は、第1又は2の発明のフィルターがフィルター枠と、フィルター濾材と、フィルター支えとからなり、前記フィルター濾材はひだ織りにしてフィルター枠に固定されると共に前記フィルター支えがフィルター濾材に下流側から当接することにより、フィルター濾材上に溜まった塵埃の量によらずフィルター濾材の形状が保たれるので、除塵動作を繰り返しても安定した集塵性能が発揮し続けることができる。
第4の発明は、第3の発明のフィルター支えはフィルター枠に固定されないことにより、加振部に加振されたフィルター濾材の振動量の減衰を低減できるので、フィルターに効率よく衝撃振動を与えれるので、除塵が確実にでき安定した集塵性能が発揮できる。
第5の発明は、第1から4の発明の加振部がフィルターの少なくとも2ヶ所に振動を加えることにより、フィルターに大きな振動を与えるので、除塵を確実に行い安定した集塵性能が発揮できる。
第6の発明は、第3から5の発明の加振部がフィルター支えに振動を加える様にしたことにより、フィルター濾材に間接的に振動を加えるため除塵を繰り返してもフィルター濾材が破損することが無く、優れた集塵性能が発揮し続けることができる。また、下流側から上流側方向へ衝撃振動がフィルターの山谷の表面全域に効率よく伝わり、フィルター表面から塵埃が確実に剥離でき安定した集塵性能が発揮できる。
第7の発明は、第3から6の発明の加振部がフィルター枠に振動を加えることにより、フィルター濾材に直接力が加えられないので除塵を繰り返してもフィルター濾材が破損することが無く、優れた集塵性能が発揮できる。また、フィルターユニット全体に対し衝撃振動を伝えることができると共に、特にフィルター濾材とフィルター枠との結合部である外周域に衝撃振動を与えるので、フィルターユニットの隅部に堆積した塵埃を効率よく剥離することができる。
第8の発明は、第1から7の発明のフィルターは上流側表面に多孔質膜を露出させると共に前記多孔質膜表面を潤滑処理したフィルター濾材を備えた構成としてあり、フィルター表面からの塵埃の剥離が極めて容易になるので、安定した集塵性能が発揮し続けることができる。
第9の発明は、第1から8の送風機の通電を入切する送風機スイッチを有し、送風機スイッチが入から切に変わった際加振部を動作させる様にしたことにより、塵埃吸引終了後にフィルターに付着した塵埃を剥離するので、送風機を運転し始める時にはいつも優れた集塵性能を発揮することができる。
第10の発明は、第1から8の加振部の通電を入切する加振部スイッチを有し、加振部スイッチが入り状態の際は、送風機への通電を遮断する様にしたことにより、除塵作業中はフィルター表面の塵埃に吸引力が作用しないので、優れた除塵性能を発揮し安定した集塵性能が発揮できる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1に本発明の第1の実施の形態における電気掃除機の構成を示している。6は本体で、送風機1を内包している。この送風機1は、モータ部2、及びファン部3より構成されている。ファン部3の中央には吸引部4が設けられている。5はモータ部2に設けられた排気口を示す。送風機1は本体6にシールを兼ねた防振ゴム前7及び防振ゴム後8を介して支持されている。9は集塵室で、本体6に着脱自在に取り付けられている。集塵室9はその内部にプレフィルター10とメインフィルター11を有しており、プレフィルター10は紙屑や綿ゴミなど比較的大きな塵埃を、メインフィルター11はセメントや関東ローム層の土の様な数十μm程度の細かい塵埃をそれぞれ捕捉する。メインフィルター11は上部を前方に傾けて設けてあり、塵埃が付着する面が斜め下方向を向いている。
図2はプレフィルター10の正面図を、図3の(a)はメインフィルター11の断面を、図3の(b)はメインフィルター11の正面図を示している。プレフィルター10の濾材は目の粗いメッシュで構成され、メインフィルター11の濾材は吸気流の上流側に孔径2μm程度の多孔質膜13、その下流側に不織布14を貼り合わせると共に多孔質膜13の表面には金属を蒸着する等の潤滑処理を施してある。また、メインフィルター11の濾材が平板の状態では通気抵抗が非常に大きいので山谷を有したプリーツ状に折って表面積を広くして通気抵抗を下げ圧力損失を小さくしている。濾材をプリーツ状に折っただけでは送風機1の圧力への耐久性が低かったり、濾材表面に塵埃が多量に付着すると初期のプリーツ形状を維持できなかったりするので、図4、図5(a)、(b)に示す様に濾材プリーツ山谷と同じ形状を有するフィルター支え15を複数個用いて下流側から濾材を補強して、メインフィルター11とフィルター支え15とフィルター枠16とでフィルターユニット17を構成している。フィルター支え15はメインフィルター11とは密着或いは固着しているが、フィルター枠16には密着せず、隙間設けて切り離されている。
次に前記メインフィルター11に付着した塵埃を除去する除塵機構を説明する。
図1に示す加振部18はメインフィルター11の下流側に配され、メインフィルター11に対して上流側方向に力を加えてメインフィルター11を衝撃振動させるようになっている。この衝撃振動によってメインフィルター11上の塵埃が払い落とされ、集塵室内の細塵室21に貯えられるようになっている。加振部18は、ばね性を有する板金或いは樹脂板を素材とする弾性体22と、弾性体の下端23に上流側から下流側に向かって衝撃振動を加える作用部24とからなる。
図6および図8の(b)は弾性体22の正面図を、図7および図8の(a)は弾性体22の側面図を示している。弾性体22は略四角形の上記板金或いは樹脂板に数箇所の切り欠き25を設けて幅寸法aの矩形26が連続する櫛形とすると共に、切り欠き25の根元27で矢印28方向に角度Aだけ曲げた形状になっている。さらに図8(b)に示す様に弾性体の下端23(櫛形状の先端部)は押圧板32で2本づつ連結されている。
図11の(a)、(b)に示す様に弾性体22をフィルター枠16に当接させた状態で弾性体上部33をフィルターユニット17上部にビスbで着脱自在に固定されている。この時弾性体の下端23は送風機1の吸引経路の空気流れ方向36にビスbを中心として回動自在になっている。その際、図9および10に示す様にフィルターユニット17の下流側から弾性体22をフィルター枠16に当接させた状態で弾性体上部33をフィルターユニット17上部に固定すると、弾性体の曲げられた部分34がもどされる。このとき弾性体22は長さD(mm)だけ変位した状態になるので、弾性体22のバネ定数をK(N/mm)とすると弾性体22がフィルターユニット17に取り付けられた状態で弾性体22がフィルターユニット17にK×D(N)の力を加えていることになる。
前記弾性体22を衝撃振動させる図12の(a)、(b)に示す作用部24は、モータ37とモータ37の回転を伝達されるシャフト38とシャフト38から法線方向に突出したピン39からなる。図13はフィルターユニット17と加振部18(弾性体22および作用部24)を下流側から見た状態を示しており、作用部24は弾性体22の上流側の押圧板32前方に配設され、弾性体22は送風機1の吸引経路内に空気流れに逆らう形で配設されるが、矩形26の幅寸法aを3〜5mmと細いものにすることで空気抵抗を抑えて圧力損失による吸引力ロスを最小限にとどめることができる。
ピン39は押圧板32と同数設けられ、ピン39のシャフト38上におけるスラスト方向位置はピン39が押圧板32の中央部に位置する様に配されると共に、図12(b)の作用部24の側面図に示す様にシャフト38の円周方向には、隣接するピン39が互いに360°をピン39の取り付け個数で割り算した角度で互いに等角度ずれた位置に設けられている。本実施例では、ピン39の個数が4個なので、360°÷4=90°になり、隣接するピン39が90°ずれた配置となっている。モータ37に通電されるとシャフト38が図13の矢印42方向に回転し、ピン39aが押圧板32aに当接すると、ピン39aを介してシャフト38の回転力の一部が押圧板32aに伝えられ、結果として弾性体22の一部の矩形26に上流側から下流側に向かって応力を加えられる様な構成になっている。弾性体22の矩形26の幅寸法aは3〜5mmと非常に細いが複数(本実施例では2本)の矩形26の自由端を結合することで弾性力を増し、メインフィルター11に与える衝撃を大きくしている。
また、既述の様に弾性体がフィルターユニット17に取り付けられた状態で弾性体22がフィルターユニット17にK×D(N)の力を加えている様になっているので、メインフィルター11に与える衝撃を更に大きくしている。
図14から図18は加振部18がメインフィルター11に衝撃振動を与える動きを説明する図で、簡略化のために作用部24はモータ37を図示せずにシャフト38と、ピン39のみが描かれている。図14の様に、ピン39a、39b、39c、39dの何れも押圧板32に接触していない状態でモータ37に通電されるとシャフト38が矢印43方向に回転を開始し、図15に示している様にピン39aが押圧板32aに接触するとシャフト38の回転力の一部がピン39aを介して押圧板32aに矢印44方向の応力が加え始める。
さらに、シャフト38が回転すると図16の様にピン39aが押圧板32aを矢印45方向に持ち上げ、押圧板32aが最も持ち上げられた図17の状態から更にシャフトが回転すると押圧板32aからピン39aが離れる。図18の様にピン39aが押圧板32aから離れると、押圧板32aに加えられていた矢印44方向の応力が無くなり、弾性体22の弾性力による矢印46方向の力で弾性体22は初期位置に戻ると共に弾性体22がフィルター支え15及びフィルター枠16に衝撃を与える。ピン39a、39b、39c、39dがこの順にそれぞれ単独で押圧板32a、32b、32c、32dを所定の位置まで持ち上げては放すということを繰り返しフィルター支え15及びフィルター枠16に衝撃振動を加え続ける。
フィルター支え15は、図5に示す様に濾材プリーツ山谷と同じ形状を有してメインフィルター11に密着しかつ、フィルター枠16とは隙間あけて切り離されている。前記隙間あけて切り離している理由は、フィルター支え15がフィルター枠16に固定されているとフィルター支え15に加えられた衝撃がフィルター枠16に伝わって衝撃が減衰しメインフィルター11に伝わる衝撃が小さくなるのを防ぐためである。前記のように構成したフィルター支え15を弾性体22がたたくことで、下流側から上流側方向へ床面にたたきつけるような、衝撃振動がメインフィルター11の山谷の表面全域に効率よく伝わり、メインフィルター11の表面から塵埃が剥離される。
さらに、弾性体22がフィルター枠16をたたくことで、フィルターユニット17の全体に対し衝撃振動を伝えることができると共に、特にメインフィルター11とフィルター枠16との結合部である外周域に衝撃振動を与えるので、メインフィルター11の隅部に堆積した塵埃を効率よく剥離することができる。
また、フィルターユニット17は上部を前方に傾けて設けてあり、塵埃が付着する面が斜め下方向を向いているのでメインフィルター11から浮き上がった塵埃には重力が働きメインフィルター11から落下しやすくなっている。
さらに、図14から図18で明らかな様に、ピン39aが押圧板に接触している間は他のピン39b、39c、39dの何れも押圧板32に接することが無いので、ピン36が2本、3本、4本と複数にわたり同時に押圧板32を持ち上げる場合と比べ、シャフト38にかかるトルク荷重が小さく、モータ負荷も小さくて済むのでモータ37のサイズも小さくできる。弾性体22の矩形26の幅寸法aを太くすれば大きな衝撃力が得られるが空気抵抗が大きくなり圧力損失による吸引力ロスが大きくなってしまうが、矩形26の幅寸法aを3〜5mmと非常に細くした場合においては、自由端を複数結合することでそれぞれの弾性力を増しメインフィルター11に与える衝撃力を大きなものにすることができかつ、空気抵抗を抑えて圧力損失による吸引力ロスを最小限にとどめることができる。
さらに幅寸法aが太い矩形26を単体で持ち上げる時に比べて、細い矩形26を連結したものを持ち上げる時の方が必要トルクが小さくて済み、モータ37も小さいもので良く、全体の小型軽量化にもつながっている。メインフィルター11の濾材の最上流側に有した多孔質膜13の表面には金属を蒸着する等の潤滑処理を施されているので塵埃がフィルター表面で引っ掛かることが無く、非常にスムーズに塵埃がフィルター表面から剥離できる。さらにメインフィルター11の塵埃を捕捉する面は多孔質膜13になっており、不織布の様な濾材で繊維に塵埃が絡み付く様なことが無いために良好な塵離れを実現できる。
なお、上記多孔質膜13がポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の塵離れの良い素材を用いた場合、金属蒸着等の潤滑処理がなくても上記と同様な効果が得られるものである。
図19は作用部24のモータ37への電力制御を示すブロック図である。
電源47から送風機1に電力が供給されている時に送風機スイッチ48をオフにすると、電力変化検知手段49が送風機1に供給されていた電力が0に変化したことを検知し、モータ制御部50と時間測定部51に信号を送る。電力変化検知手段49から信号を受けたモータ制御部50は電源47からモータ37へ電力を供給しモータ37を回転させ、電力変化検知手段49から信号を受けた時間測定部51はその時点からの経過時間を測定し始める。時間測定部51が測定する時間が予め決められた時間に到達すると時間測定部51がモータ制御部50に信号を送り、時間測定部51から信号を受けたモータ制御部50はモータ37への電力供給を遮断しモータ37の回転を停止する。
以上の構成で動作について説明する。
電気掃除機の運転操作が開始され、送風機1に通電されると吸口から塵埃が吸引されプレフィルター10で粗塵埃が分離され、分離された粗塵埃は集塵室9に蓄積される。メインフィルター11では細塵が分離され、分離された細塵は細塵室21に蓄積される。メインフィルター11表面には非常に細かい塵埃が捕捉されて目が詰まり圧力損失が大きくなるので吸引力が低下する。掃除作業が終了するか一旦停止するために送風機1の通電を止めると、電力変化検知手段49が送風機1に供給されていた電力が0に変化したことを検知しモータ37へ一定時間電力が供給される。モータ37に通電されるとシャフト38が回転し、4本のピン39a、39b、39c、39dのうちの何れかのピンが各々のピンに対応した押圧板32a、32b、32c、32dを所定の位置まで持ち上げて放す。弾性体22は初期位置に戻ると共に弾性体22がフィルター支え15およびフィルター枠16に衝撃を与え、結果的にメインフィルター11に下流側から上流側方向へ非常に短時間に衝撃力が加えられる。モータ37に一定時間通電されている間、4本のピン39a、39b、39c、39dによってこの事が順に繰り返されてメインフィルター11が衝撃振動しメインフィルター11から塵埃が剥離される。
つまり、メインフィルター11が塵埃で目詰まりを起こすなどにより圧力損失が増加した場合でも初期の圧力損失に回復し、このことにより吸引力の変化を少なくして安定した集塵性能を発揮する事ができる。
この時、弾性体自体は切り欠き25の根元27で矢印28方向に角度Aだけ曲げた形状になっているが、フィルターユニット17に固定されると曲げられた部分が弾性体上部33と水平になるまで移動させられるため、その変位分だけ弾性体22がフィルターユニット17に力を加えていることになり、フィルター支え15およびフィルター枠16に与えられる衝撃もそれだけ大きくなる。
しかし、弾性体形状が単なる平板の場合は、弾性体22がフィルター支え15およびフィルター枠16に接触した瞬間にフィルター支え15およびフィルター枠16に加えた衝撃の反力を受けて振動し、結果的に弾性体22によるフィルター支え15およびフィルター枠16に対して加えた衝撃力が減衰してしまうことが有るが、弾性体22がフィルターユニット17に接触した状態でも弾性体22がフィルターユニット17に力を加えているので、弾性体22によってフィルター支え15およびフィルター枠16に加えた衝撃が減衰してしまうことがなく、弾性体22の弾性力を最大限用いることができるのである。
また、集塵室9内のメインフィルター11表面の塵埃が自動的に剥離され続けるので、電気掃除機使用者がメインフィルター11を掃除したり水洗いしたりと言ったフィルターメンテナンスを行う作業回数を大幅に低減させることができる。
なお、本実施の形態では、弾性体22をフィルターユニット17上部にビスbで着脱自在に固定された場合で説明したが、弾性体22をフィルターユニット17にビス等の締結手段を用いず、嵌め込み等による嵌合によって着脱自在に保持した状態で、集塵室9内に挿着し、前記フィルターユニット17を内包した集塵室9を掃除機本体6に装着することで、弾性体22が掃除機本体6の内壁によって付勢され、弾性体22がフィルターユニット17にK×D(N)の弾性力を加える作用をし、上記で述べた効果が同様に得られるものである。
さらに、本実施の形態では、弾性体22を衝撃振動させる駆動源にモータ37を使用した場合で説明したが、駆動源をコードリールの回転力を利用した場合やソレノイドの振動を利用した場合でも良く、いずれの場合においても同様の効果が得られるのは明らかである。
なおさらに、本実施の形態では、ピン39a、36b、36c、36dの何れも押圧板32に接触していない状態でモータに通電させたが、何れかのピンが押圧板32に接触した状態でモータを通電しても同様の効果が得られるのは明らかである。
(実施の形態2)
本発明の第2の実施例の掃除機を図20を用いて説明する。実施例1と同様な部分は同番号を付してその説明を省略する。
図20は送風機1および作用部24のモータ37への電力制御を示すブロック図である。作用部24の通電を入切する作用部スイッチである除塵スイッチ52が掃除機使用者によって入の状態にされると、電力制御部53が電源47から送風機1に供給されている電力を遮断し、代わって電源47からの電力をモータ37へ供給すると共に、時間測定部51に信号を送る。ただし除塵スイッチ52が入の状態にされた時に送風機1に電力が供給されていなければ電力制御部53は電源47から電力をモータ37へ供給し始めると共に、時間測定部51に信号を送る動作を行う。電力制御部53から信号を受けた時間測定部51はその時点からの経過時間を測定し始めて、予め決められた時間に到達すると時間測定部51が電力制御部53に信号を送り、電力制御部53はモータへの電力を供給を遮断しモータを回転を停止する。
以上の構成で動作について説明する。
電気掃除機の運転操作が開始され、送風機1に通電されると吸口から塵埃が吸引されプレフィルター10で粗塵埃が分離され、分離された粗塵埃は集塵室9に蓄積される。メインフィルター11では細塵が分離され、分離された細塵は細塵室21に蓄積される。メインフィルター11表面には非常に細かい塵埃が捕捉されて目が詰まり圧力損失が大きくなるので吸引力が低下する。掃除機の吸引力が低下したと感じた掃除機使用者によってフィルター振動ボタン(図示せず)が押されると、送風機1が運転中は送風機1の運転を停止した後一定時間モータ37に通電される様に、送風機が運転されていなければ即座に一定時間モータ37に通電される様に制御されている。モータ37に通電されるとシャフト38が回転し、4本のピン39a、39b、39c、39dのうちの何れかのピンが各々のピンに対応した押圧板32a、32b、32c、32dを所定の位置まで持ち上げて放す。弾性体22は初期位置に戻ると共に弾性体22がフィルター支え15およびフィルター枠16に衝撃を与え、結果的にメインフィルター11に下流側から上流側方向へ非常に短時間に衝撃力が加えられる。モータ37に一定時間通電されている間、4本のピン39a、39b、39c、39dによってこの事が順に繰り返されてメインフィルター11が衝撃振動しメインフィルター11から塵埃が剥離される。
つまりメインフィルター11が塵埃で目詰まりを起こすなどにより圧力損失が増加し、風量が低下した場合でも掃除機使用者が除塵ボタンを押しさえすれば初期の圧力損失に戻る。このことにより吸引力の変化も少なくして安定した集塵性能を発揮する事ができる。掃除機使用者が除塵ボタンを押さなければ、除塵作業が行われないので無駄に除塵作業が行われることが無いのである。
また、集塵室9内のメインフィルター11表面の塵埃が自動的に剥離され続けるので、電気掃除機使用者がメインフィルター11を掃除したり水洗いしたりと言ったフィルターメンテナンスを行う作業回数を大幅に低減させることができる。
なお、本実施の形態では、弾性体22を衝撃振動させる駆動源にモータ37を使用した場合で説明したが、駆動源をコードリールの回転力を利用した場合やソレノイドの振動を利用した場合でも良く、いずれの場合においても同様の効果が得られるのは明らかである。
さらに、本実施の形態では、ピン39a、36b、36c、36dの何れも押圧板32に接触していない状態でモータに通電させたが、何れかのピンが押圧板32に接触した状態でモータを通電しても同様の効果が得られるのは明らかである。
(実施の形態3)
本発明の第3の実施例の掃除機を図21から28を用いて説明する。実施例1および2と同様な部分は同番号を付してその説明を省略する。
図21の(b)は弾性体22の正面図を、図21の(a)は弾性体22の側面図を示している。弾性体22は略四角形の板金或いは樹脂板に数箇所の切り欠き25を設けて幅寸法aの矩形26が連続する櫛形とすると共に、弾性体の下端23(櫛形状の先端部)は押圧板32で2本づつ連結されている。
図22の(a)、(b)に示す様に弾性体22から突出した上下2段の衝撃板56、57をそれぞれフィルター支え58、59に当接させた状態で弾性体上部33をフィルターユニット17上部にビスbで着脱自在に固定されている。この時弾性体の下端23は送風機1の吸引経路の空気流れ方向36にビスbを中心として回動自在になっている。モータ37に通電されるとシャフト38が回転し、4本のピン39a、39b、39c、39dのうちの何れかのピンが各々のピンに対応した押圧板32a、32b、32c、32dを所定の位置まで持ち上げて放す。弾性体22は初期位置に戻ると共に弾性体22がフィルター支え15およびフィルター枠16に衝撃を与え、結果的にメインフィルター11に下流側から上流側方向へ非常に短時間に衝撃力が加えられる。モータ37に一定時間通電されている間、4本のピン39a、39b、39c、39dによってこの事が順に繰り返されてメインフィルター11が衝撃振動しメインフィルター11から塵埃が剥離される。上下2段の衝撃板56、57が2つのフィルター支え58、59に衝撃を与えるので、1つのフィルター支えに衝撃を与えるよりも衝撃が大きくなっている。
さらに、フィルター支え15がフィルター枠16に固定されているとフィルター支え15に加えられた衝撃がフィルター枠16に伝わってメインフィルター11に伝わる衝撃が小さくなるが、フィルター支え15はフィルター枠16には密着せず、隙間設けて切り離されているので衝撃が減衰すること無く効率よくメインフィルター11に伝達される。
図24から図28は加振部18がメインフィルター11に衝撃振動を与える動きを説明する図で、簡略化のために作用部24はモータ37を図示せずにシャフト38と、ピン39のみが描かれている。図24の様に、ピン39a、39b、39c、39dの何れも押圧板32に接触していない状態でモータ37に通電されるとシャフト38が矢印43方向に回転を開始し、図25に示している様にピン39aが押圧板32aに接触するとシャフト38の回転力の一部がピン39aを介して押圧板32aに矢印44方向の応力が加え始める。
さらに、シャフト38が回転すると図26の様にピン39aが押圧板32aを矢印45方向に持ち上げ、押圧板32aが最も持ち上げられた図27の状態から更にシャフトが回転すると押圧板32aからピン39aが離れる。図28の様にピン39aが押圧板32aから離れると、押圧板32aに加えられていた矢印44方向の応力が無くなり、弾性体22の弾性力による矢印46方向の力で弾性体22は初期位置に戻ると共に、弾性体22から突出した上下2段の衝撃板56、57が2つのフィルター支え58、59に衝撃を与える。ピン39a、39b、39c、39dがこの順にそれぞれ単独で押圧板32a、32b、32c、32dを所定の位置まで持ち上げては放すということを繰り返し、フィルター支え58、59を衝撃振動させ、メインフィルター11全体に衝撃振動を加え続ける。このメインフィルター11全体の衝撃振動がメインフィルター11上の塵埃にも伝わり、メインフィルター11から塵埃が剥離される。
また、フィルター枠16に衝撃振動を加えるよりも、フィルター枠16と隙間をあけて分離したフィルター支え15に衝撃板56、57で衝撃振動を加える方が、メインフィルター11の衝撃振動も大きく、メインフィルター上の塵埃の剥離も効率よく行われる。作用部のモータへの電力制御は、実施例1で述べた図19に基づくもので、送風機の送風機スイッチ48をオフにすると、一定時間モータを回転させた後停止する様になっている。
以上の構成で動作について説明する。
電気掃除機の運転操作が開始され、送風機1に通電されると吸口から塵埃が吸引されプレフィルター10で粗塵埃が分離され、分離された粗塵埃は集塵室9に蓄積される。メインフィルター11では細塵が分離され、分離された細塵は細塵室21に蓄積される。メインフィルター11表面には非常に細かい塵埃が捕捉されて目が詰まり圧力損失が大きくなるので吸引力が低下する。掃除作業が終了するか一旦停止するために送風機1の通電を止めると、電力変化検知手段49が送風機1に供給されていた電力が0に変化したことを検知しモータ37へ一定時間電力が供給される。モータ37に通電されるとシャフト38が回転し、4本のピン39a、39b、39c、39dのうちの何れかのピンが各々のピンに対応した押圧板32a、32b、32c、32dを所定の位置まで持ち上げて放す。弾性体22が初期位置に戻る際に上下2段の衝撃板56、57が2つのフィルター支え58、59に衝撃を与え結果的にメインフィルター11に下流側から上流側方向へ非常に短時間力が加えられる。モータ37に一定時間通電されている間、4本のピン39a、39b、39c、39dによってこの事が順に繰り返されてメインフィルター11が衝撃振動しメインフィルター11から塵埃が剥離される。
つまり、メインフィルター11が塵埃で目詰まりを起こすなどにより圧力損失が増加した場合でも初期の圧力損失に回復し、このことにより吸引力の変化を少なくして安定した集塵性能を発揮する事ができる。
また、集塵室9内のメインフィルター11表面の塵埃が自動的に剥離され続けるので、電気掃除機使用者がメインフィルター11を掃除したり水洗いしたりと言ったフィルターメンテナンスを行う作業回数を大幅に低減させることができる。
なお、本実施の形態では、弾性体22を衝撃振動させる駆動源にモータ37を使用した場合で説明したが、駆動源をコードリールの回転力を利用した場合やソレノイドの振動を利用した場合でも良く、いずれの場合においても同様の効果が得られるのは明らかである。
さらに、本実施の形態では、ピン39a、36b、36c、36dの何れも押圧板32に接触していない状態でモータに通電させたが、何れかのピンが押圧板32に接触した状態でモータを通電しても同様の効果が得られるのは明らかである。
(実施の形態4)
本発明の第4の実施例の掃除機を説明する。実施例1〜3と同様な部分は同番号を付してその説明を省略する。
図20において、送風機1および作用部24のモータ37への電力制御は以下の通りである。
除塵スイッチ52が掃除機使用者によって入の状態にされると、電力制御部53が電源47から送風機1に供給されている電力を遮断し、代わって電源47からの電力をモータ37へ供給すると共に、時間測定部51に信号を送る。また、除塵スイッチ52が入の状態にされた時に送風機1に電力が供給されていなければ、電力制御部53は電源47から電力をモータ37へ供給し始めると共に、時間測定部51に信号を送る動作を行う。電力制御部53から信号を受けた時間測定部51はその時点からの経過時間を測定し始めて、予め決められた時間に到達すると時間測定部51がモータ制御部50に信号を送り、モータ制御部50から信号を受けたモータ制御部50はモータ37への電力の供給を遮断しモータの回転を停止する。
以上の構成で動作について説明する。
電気掃除機の運転操作が開始され、送風機1に通電されると吸口から塵埃が吸引されプレフィルター10で粗塵埃が分離され、分離された粗塵埃は集塵室9に蓄積される。メインフィルター11では細塵が分離され、分離された細塵は細塵室21に蓄積される。メインフィルター11表面には非常に細かい塵埃が捕捉されて目が詰まり圧力損失が大きくなるので吸引力が低下する。掃除機の吸引力が低下したと感じた掃除機使用者によってフィルター振動ボタン(図示せず)が押されると、送風機1が運転中は送風機1の運転を停止した後一定時間モータ37に通電される様に、送風機が運転されていなければ即座に一定時間モータ37に通電される様に制御されている。モータ37に通電されるとシャフト38が回転し、4本のピン39a、39b、39c、39dのうちの何れかのピンが各々のピンに対応した押圧板32a、32b、32c、32dを所定の位置まで持ち上げて放す。弾性体22が初期位置に戻る際に上下2段の衝撃板56、57が2つのフィルター支え58、59に衝撃を与え結果的にメインフィルター11に下流側から上流側方向へ非常に短時間力が加えられる。モータ37に一定時間通電されている間、4本のピン39a、39b、39c、39dによってこの事が順に繰り返されてメインフィルター11が衝撃振動しメインフィルター11から塵埃が剥離される。
つまり、メインフィルター11が塵埃で目詰まりを起こすなどにより圧力損失が増加し、風量が低下した場合でも掃除機使用者が除塵ボタンを押しさえすれば初期の圧力損失に戻る。このことにより吸引力の変化も少なくして安定した集塵性能を発揮する事ができる。掃除機使用者が除塵ボタンを押さなければ、除塵作業が行われないので無駄に除塵作業が行われることが無いのである。
また、集塵室9内のメインフィルター11表面の塵埃が自動的に剥離され続けるので、電気掃除機使用者がメインフィルター11を掃除したり水洗いしたりと言ったフィルターメンテナンスを行う作業回数を大幅に低減させることができる。