JP2006013266A - 計測方法、露光方法、及び露光装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ステージ又は空間像の動的な位置情報を高い応答速度で計測する。
【解決手段】 レチクルステージRST上のレチクルを照明光ILで照明し、照明光ILでレチクル及び投影光学系PLを介してウエハステージWST上のウエハWを露光する露光装置において、レチクルステージRST上に評価用パターン94の形成されたテストレチクルR1をロードして、評価用パターン94のエッジ部の空間像とウエハステージWST上のスリット92Xとを相対的に走査して、スリット92Xを介して検出される光量に応じた検出信号Sに基づいて、レチクルステージRST又はウエハステージWSTの位置情報を求める。
【選択図】 図2
【解決手段】 レチクルステージRST上のレチクルを照明光ILで照明し、照明光ILでレチクル及び投影光学系PLを介してウエハステージWST上のウエハWを露光する露光装置において、レチクルステージRST上に評価用パターン94の形成されたテストレチクルR1をロードして、評価用パターン94のエッジ部の空間像とウエハステージWST上のスリット92Xとを相対的に走査して、スリット92Xを介して検出される光量に応じた検出信号Sに基づいて、レチクルステージRST又はウエハステージWSTの位置情報を求める。
【選択図】 図2
Description
本発明は、物体を駆動するステージの位置情報を計測する計測技術に関し、例えば半導体素子及び液晶表示素子等のデバイスを製造するためのリソグラフィ工程中で、マスクパターンを基板上に転写するために使用される露光装置において、ステージの位置又はそのステージ上のパターンの投影像の位置を計測して、ステージ性能等の評価や問題解析等を行う場合に使用して好適なものである。また、本発明はその計測技術を用いる露光技術に関する。
従来より、半導体素子等を製造するためのリソグラフィ工程中で、マスクとしてのレチクル(又はフォトマスク等)のパターンを投影光学系を介して基板としての感光材料が塗布されたウエハ(又はガラスプレート等)上に転写するために、ステッパー等の一括露光型の投影露光装置が使用されている。最近は、投影光学系自体をあまり大型化することなく、大面積の回路パターンをウエハ上に転写するために、スキャニングステッパー等の走査露光型の投影露光装置(走査型露光装置)も使用されている。半導体素子等の集積度及び微細度が益々向上するのに応じて、投影露光装置の解像度や重ね合わせ精度等の露光精度の向上も求められている。
その露光精度に大きな影響を与える要素の一つが、レチクルステージやウエハステージの位置決め精度や、レチクルステージとウエハステージとの投影光学系を介しての相対的な位置精度(例えば走査型露光装置における同期精度)等のステージ性能である。そのステージ性能の評価方法として最も簡単な方法は、実際に例えばレチクルステージ及びウエハステージを移動しながら、フォトレジストの塗布されたウエハ上に評価用パターンの像を複数回露光して、そのウエハの現像後に得られるレジスト像の位置を計測する方法である。しかしながら、このようにテストプリントを行う方法は、現像プロセスに起因する様々な計測誤差が混入する恐れがある。
そこで、例えば走査型露光装置において、走査露光中のレチクルパターンの像の位置を計測するために、ウエハステージ内に設けた撮像装置でその像を撮像する方法(以下、「空間像計測法」と言う)が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この従来の空間像計測法では、一例として、レチクルステージに設けたマークの像を投影光学系を介して投影した状態で、レチクルステージとウエハステージとを同期移動して、その撮像装置でそのマークの像を所定のサンプリングレートで撮像していた。
特開平9−50955号公報
上述の如く空間像計測法を用いることによって、現像プロセスに起因する計測誤差の問題を解消することができる。しかしながら、従来の空間像計測法は、撮像装置を用いて空間像を撮像していたため、応答速度をあまり高くできないという不都合があった。
そのため従来は、例えば走査型露光装置において、レチクルステージを高速走査した状態で、そのレチクルステージに保持されたレチクルのパターンの像位置を高精度に計測することや、ウエハステージを高速走査した状態で、そのウエハステージの投影光学系側から見た位置の変化を高精度に計測すること等が困難であった。そのため、走査露光時の同期誤差の要因を解析するような場合に、レチクルステージ及びウエハステージの単体での位置の変化等を評価することが困難であった。
そのため従来は、例えば走査型露光装置において、レチクルステージを高速走査した状態で、そのレチクルステージに保持されたレチクルのパターンの像位置を高精度に計測することや、ウエハステージを高速走査した状態で、そのウエハステージの投影光学系側から見た位置の変化を高精度に計測すること等が困難であった。そのため、走査露光時の同期誤差の要因を解析するような場合に、レチクルステージ及びウエハステージの単体での位置の変化等を評価することが困難であった。
また、ステージ性能に影響を与える要因として、外乱や別のステージを駆動する際の反力による振動がある。そのため、ステージ性能を向上するためには、ステージの振動を計測して、その振動の要因を解析して、その振動を抑制する対策を施すことが望ましい。しかしながら、従来の計測方法では、ステージの高周波数の振動は計測が困難であるという不都合があった。
本発明は斯かる点に鑑み、ステージの動的な位置情報を高い応答速度で計測できる計測技術を提供することを第1の目的とする。
また、本発明は、ステージや空間像の動的な位置情報を高い応答速度で計測できる露光技術を提供することを第2の目的とする。
また、本発明は、ステージや空間像の動的な位置情報を高い応答速度で計測できる露光技術を提供することを第2の目的とする。
本発明による第1の計測方法は、第1ステージ(RST)上の第1物体(R)を露光ビームで照明し、その露光ビームでその第1物体及び投影光学系(PL)を介して第2ステージ(WST)上の第2物体(W)を露光するに際して、その第1ステージの位置情報を計測する計測方法であって、その第1ステージに第1方向(Y方向)に伸びたエッジ部(94E)を有するパターン(94)を設けておき、そのパターンにその露光ビームを照射した状態で、その第1ステージをその第1方向に移動しながら、そのエッジ部を通過したその露光ビームをその投影光学系を介して受光する第1工程を有するものである。
本発明によれば、そのパターンのエッジ部を通過した露光ビームの光量は高い応答速度で検出できる。また、その第1ステージがその第1方向に直交する第2方向に変位すると、そのパターンの位置も変位して、そのエッジ部を通過する露光ビームの光量も変化するため、その検出される光量にはその第1ステージのその第2方向における動的な位置情報が含まれている。
本発明において、一例として、その第1工程で得られる情報からその第1ステージのその第1方向と直交する第2方向(X方向)の位置情報を求める第2工程をさらに有してもよい。そのエッジ部を有することにより、その第1ステージのその第2方向への変位を高精度に検出できる。また、その第1ステージのその第2方向の振動等を含む位置情報を求めることで、その第1ステージの性能評価を行うことができる。さらに、例えばその位置情報の周波数解析(フーリエ解析)を行うことで、その位置情報の要因解析等も行うことができる。
本発明において、一例として、その第1工程で得られる情報からその第1ステージのその第1方向と直交する第2方向(X方向)の位置情報を求める第2工程をさらに有してもよい。そのエッジ部を有することにより、その第1ステージのその第2方向への変位を高精度に検出できる。また、その第1ステージのその第2方向の振動等を含む位置情報を求めることで、その第1ステージの性能評価を行うことができる。さらに、例えばその位置情報の周波数解析(フーリエ解析)を行うことで、その位置情報の要因解析等も行うことができる。
この場合、その第2工程で求められる位置情報の一例は、その第1ステージをその第1方向に移動するときのその第1ステージのその第2方向の振動の情報を含むものである。本発明によれば、高周波数の振動も検出できる。
また、本発明による第2の計測方法は、第1ステージ(RST)上の第1物体(R)を露光ビームで照明し、その露光ビームでその第1物体及び投影光学系(PL)を介して第2ステージ(WST)上の第2物体(W)を露光するに際して、その第2ステージの位置情報を計測する計測方法であって、その露光ビームで第1方向(Y方向)に伸びたエッジ部(94E,99X)を有するパターン(94,98)を照明し、そのパターンの像をその投影光学系を介して投影した状態で、その第2ステージをその第1方向に移動しながら、そのエッジ部の像をその第2ステージを介して受光する第1工程を有するものである。
また、本発明による第2の計測方法は、第1ステージ(RST)上の第1物体(R)を露光ビームで照明し、その露光ビームでその第1物体及び投影光学系(PL)を介して第2ステージ(WST)上の第2物体(W)を露光するに際して、その第2ステージの位置情報を計測する計測方法であって、その露光ビームで第1方向(Y方向)に伸びたエッジ部(94E,99X)を有するパターン(94,98)を照明し、そのパターンの像をその投影光学系を介して投影した状態で、その第2ステージをその第1方向に移動しながら、そのエッジ部の像をその第2ステージを介して受光する第1工程を有するものである。
本発明によれば、そのエッジ部を通過した露光ビームの光量は高い応答速度で検出できる。また、その第2ステージがその第1方向に直交する第2方向に変位すると、検出される露光ビームの光量も変化するため、その検出される光量にはその第2ステージのその第2方向における動的な位置情報が含まれている。
本発明において、一例として、その第1工程で得られる情報からその第2ステージのその第1方向と直交する第2方向(X方向)の位置情報を求める第2工程をさらに有してもよい。そのエッジ部を有するパターンを基準としてその第2ステージのその第2方向への変位を高精度に検出でき、その第2ステージの性能評価を高精度に行うことができる。
本発明において、一例として、その第1工程で得られる情報からその第2ステージのその第1方向と直交する第2方向(X方向)の位置情報を求める第2工程をさらに有してもよい。そのエッジ部を有するパターンを基準としてその第2ステージのその第2方向への変位を高精度に検出でき、その第2ステージの性能評価を高精度に行うことができる。
この場合、その第2工程で求められる位置情報の一例は、その第2ステージをその第1方向に移動するときのその第2ステージのその第2方向の振動の情報を含むものである。本発明によれば高周波数の振動も検出できる。
また、他の例として、そのパターンは、その第1方向に伸びたエッジ部(99X)を有してその第1ステージに設けられた第1パターン(98X)を含み、その第1工程は、その第2ステージに同期してその第1ステージをその第1方向に移動する工程を含み、その第1工程で得られる情報からその第1ステージとその第2ステージとのその第2方向の同期誤差の情報を求める第2工程をさらに有してもよい。
また、他の例として、そのパターンは、その第1方向に伸びたエッジ部(99X)を有してその第1ステージに設けられた第1パターン(98X)を含み、その第1工程は、その第2ステージに同期してその第1ステージをその第1方向に移動する工程を含み、その第1工程で得られる情報からその第1ステージとその第2ステージとのその第2方向の同期誤差の情報を求める第2工程をさらに有してもよい。
これは、本発明を走査露光方式で露光を行う場合に適用したものであり、走査露光時の両ステージの走査方向がその第1方向に対応し、その走査方向に実質的に直交する非走査方向がその第2方向に対応する。そして、その第1パターンを通過した露光ビームの光量を検出すると、その光量は両ステージの非走査方向(第2方向)の位置ずれ量に対応しているため、その光量の情報から実質的にリアルタイムで両ステージの非走査方向の同期誤差の情報が得られる。
また、そのパターンは、その第2方向に伸びたエッジ部(99Y)を有してその第1ステージに設けられた第2パターン(98Y)を含み、その第1工程は、その2ステージに同期してその第1ステージをその第1方向に移動する工程を含み、その第1工程で得られる情報からその第1ステージとその第2ステージとのその第1方向の同期誤差の情報を求める第2工程をさらに有してもよい。このとき、その第2パターンを通過した露光ビームの光量はその第1ステージとその第2ステージとの走査方向(第1方向)の位置ずれ量に対応しているため、その光量の情報から実質的にリアルタイムで両ステージの走査方向の同期誤差の情報が得られる。
また、本発明において、その第1工程は、そのパターンのエッジ部の像の少なくとも一部を含むように配置された開口(92X,92Y,92P)を介してその露光ビームを受光する工程を含んでもよい。その開口を介して受光することによって、不要な光を遮光できるため、その第1ステージ又は第2ステージの変位に対応するそのエッジ部の像の変位を高いSN比で高精度に検出できる。
このとき、その開口の例は、スリット(92X,92Y)、ピンホール(92P)、又は一端がナイフエッジとされた開口である。その開口がスリットであるときには、そのスリットの長手方向を検出対象のエッジ部の像に平行にすることによって、検出感度(=信号変化/空間像の変位)が高くなるとともに受光量を多くできる。一方、その開口がピンホールであるときには、そのエッジ部の方向に関係なくそのエッジ部の位置情報を検出できる。
次に、本発明による露光方法は、第1ステージ(RST)上の第1物体(R)を露光ビームで照明し、その露光ビームでその第1物体及び投影光学系(PL)を介して第2ステージ(WST)上の第2物体(W)を露光する露光方法において、本発明のいずれかの計測方法を用いてその第1ステージ及びその第2ステージの少なくとも一方のその第1方向と直交する第2方向の位置情報を求める計測工程と、その計測工程で求められた位置情報に基づいてその第1ステージ又はその第2ステージの位置を補正しながらその第1及び第2ステージを駆動してその第2物体を露光する露光工程とを有するものである。
本発明によれば、例えばその計測工程でその第1及び第2ステージの同期誤差等の位置ずれが計測された場合には、その露光工程でその位置ずれを補正することによって、重ね合わせ精度等の露光精度が向上する。
また、本発明による露光装置は、第1ステージ(RST)上の第1物体(R)を露光ビームで照明し、その露光ビームでその第1物体及び投影光学系(PL)を介して第2ステージ(WST)上の第2物体(W)を露光する露光装置において、その第1ステージに設けられるとともに第1方向(Y方向)に伸びたエッジ部(94E,99X)を有するパターン(94,98)と、その第1ステージ及びその第2ステージの少なくとも一方をその第1方向に駆動する駆動機構(56R,56W)と、その第2ステージに少なくとも一部が設けられてその投影光学系を介したその露光ビームを受光する光電センサ(88)と、その露光ビームのもとでそのパターンの像をその投影光学系を介して投影した状態で、その駆動機構によってその第1ステージ及びその第2ステージの少なくとも一方をその第1方向に移動しながら、そのエッジ部の像をその光電センサで受光する制御装置(50)とを有するものである。
また、本発明による露光装置は、第1ステージ(RST)上の第1物体(R)を露光ビームで照明し、その露光ビームでその第1物体及び投影光学系(PL)を介して第2ステージ(WST)上の第2物体(W)を露光する露光装置において、その第1ステージに設けられるとともに第1方向(Y方向)に伸びたエッジ部(94E,99X)を有するパターン(94,98)と、その第1ステージ及びその第2ステージの少なくとも一方をその第1方向に駆動する駆動機構(56R,56W)と、その第2ステージに少なくとも一部が設けられてその投影光学系を介したその露光ビームを受光する光電センサ(88)と、その露光ビームのもとでそのパターンの像をその投影光学系を介して投影した状態で、その駆動機構によってその第1ステージ及びその第2ステージの少なくとも一方をその第1方向に移動しながら、そのエッジ部の像をその光電センサで受光する制御装置(50)とを有するものである。
本発明によれば、そのエッジ部を通過した露光ビームの光量はその光電センサを介して高い応答速度で検出できる。また、その第1ステージがその第1方向に直交する第2方向に変位すると、そのパターンも変位して、そのパターンを通過する露光ビームの光量も変化するため、その検出される光量にはその第1ステージ又はそのパターンの空間像のその第2方向における動的な位置情報が含まれている。
本発明において、一例として、その光電センサは、そのパターンのエッジ部の像の少なくとも一部を含む大きさの開口(92X)が形成されてその第2ステージに設けられた開口部材(90)と、その開口を通過したその露光ビームを受光する光電検出器(85)とを含み、その制御装置は、その光電センサで受光して得られる情報から、その第1ステージ及びその第2ステージの少なくとも一方のその第1方向に直交する第2方向(X方向)の位置情報を求めるものである。
そのパターンを用いることによって、その少なくとも一方のステージのその第2方向の位置情報を高精度に求めることができる。これによってそのステージの性能評価を行うことができる。
また、別の例として、その駆動機構は、その第1ステージとその第2ステージとをその第2方向に同期して駆動する機構(70)を含み、そのパターンは、その第1方向に伸びたエッジ部(99X)を有する第1パターン(98X)と、その第2方向に伸びたエッジ部(99Y)を有する第2パターン(98Y)とを含み、その開口は、その第1パターンのエッジ部の少なくとも一部の像を含む大きさの第1開口(92X)と、その第2パターンのエッジ部の少なくとも一部の像を含む大きさの第2開口(92Y)とを含み、その制御装置は、その光電センサで受光して得られる情報から、その第1ステージとその第2ステージとを同期して駆動する際のその第2方向及びその第1方向の同期誤差の情報を求めてもよい。
また、別の例として、その駆動機構は、その第1ステージとその第2ステージとをその第2方向に同期して駆動する機構(70)を含み、そのパターンは、その第1方向に伸びたエッジ部(99X)を有する第1パターン(98X)と、その第2方向に伸びたエッジ部(99Y)を有する第2パターン(98Y)とを含み、その開口は、その第1パターンのエッジ部の少なくとも一部の像を含む大きさの第1開口(92X)と、その第2パターンのエッジ部の少なくとも一部の像を含む大きさの第2開口(92Y)とを含み、その制御装置は、その光電センサで受光して得られる情報から、その第1ステージとその第2ステージとを同期して駆動する際のその第2方向及びその第1方向の同期誤差の情報を求めてもよい。
これは、本発明を走査型露光装置に適用したものであり、走査露光時のその第1及び第2ステージの走査方向がその第1方向に対応し、その走査方向に実質的に直交する非走査方向がその第2方向に対応する。本発明によれば、それらのステージを走査露光時と同様に高速に走査した状態で、実質的にリアルタイムで走査方向及び非走査方向の同期誤差の情報を高精度に求めることができる。
本発明の計測方法によれば、所定のパターンのエッジ部を通過した露光ビームを検出しているため、第1ステージ若しくは第2ステージ、又はそのパターンの空間像の動的な位置情報を高い応答速度で計測することができる。
また、本発明の露光装置によれば、2つのステージの少なくとも一方を第1方向に移動しながら、所定のパターンのエッジ部の少なくとも一部の像を光電センサで受光することによって、それらのステージやそのパターンの空間像の動的な位置情報を高い応答速度で計測することができる。そして、その位置情報を用いて例えばステージ性能を評価できる。
また、本発明の露光装置によれば、2つのステージの少なくとも一方を第1方向に移動しながら、所定のパターンのエッジ部の少なくとも一部の像を光電センサで受光することによって、それらのステージやそのパターンの空間像の動的な位置情報を高い応答速度で計測することができる。そして、その位置情報を用いて例えばステージ性能を評価できる。
以下、本発明の好ましい実施形態の一例につき図面を参照して説明する。
図1は、本例の投影露光装置10の概略構成を示す。本発明の露光装置に対応する投影露光装置10は、ステップ・アンド・スキャン方式の走査露光型の投影露光装置、即ちスキャニングステッパーである。
図1において、投影露光装置10は、レーザビームLBを発生する光源14(露光光源)、照明光学系12(照明ユニット)、マスクとしてのレチクルRを保持して移動するレチクルステージRST、投影光学系PL、基板(又は感光体)としてのウエハWを保持して移動するウエハステージWST、及びこれらを制御する制御系等を備えている。そして、光源14及び制御系以外の部分は、実際には、内部の温度等の環境条件が高精度に制御され一定に維持されている不図示の環境チャンバ内に収容されている。
図1は、本例の投影露光装置10の概略構成を示す。本発明の露光装置に対応する投影露光装置10は、ステップ・アンド・スキャン方式の走査露光型の投影露光装置、即ちスキャニングステッパーである。
図1において、投影露光装置10は、レーザビームLBを発生する光源14(露光光源)、照明光学系12(照明ユニット)、マスクとしてのレチクルRを保持して移動するレチクルステージRST、投影光学系PL、基板(又は感光体)としてのウエハWを保持して移動するウエハステージWST、及びこれらを制御する制御系等を備えている。そして、光源14及び制御系以外の部分は、実際には、内部の温度等の環境条件が高精度に制御され一定に維持されている不図示の環境チャンバ内に収容されている。
本例では、光源14として、ArFエキシマレーザ光源(発振波長193nm)が用いられている。光源14は、装置全体の動作を統轄制御するコンピュータよりなる主制御装置50(制御装置)によってそのレーザ発光のオン・オフや、中心波長、スペクトル半値幅、繰り返し周波数などが制御される。なお、露光光源として、KrFエキシマレーザ(波長248nm)、F2 レーザ(波長157nm)、YAGレーザの高調波発生装置、固体レーザ(半導体レーザ等)の高調波発生装置、又は水銀ランプ(i線等)等も使用できる。
照明光学系12は、光源14から供給されるレーザビームLBの断面形状を整形するビーム整形光学系18、オプティカル・インテグレータ(ユニフォマイザ又はホモジナイザ)としてのフライアイレンズ22、照明系開口絞り板24、第1リレーレンズ28A及び第2リレーレンズ28Bから成るリレー光学系、固定レチクルブラインド30A、可動レチクルブラインド30B、ミラーM、並びにコンデンサレンズ32等を備えている。なお、オプティカル・インテグレータとして、内面反射型インテグレータ(例えばロッドインテグレータ)又は回折光学素子等を用いてもよい。以下では、フライアイレンズ22によって形成される2次光源から射出されるレーザビームLBを、露光ビーム(露光光)としての「照明光IL」と呼ぶ。
光源14及び照明光学系12は、後述の空間像計測時の照明系としても使用される。照明光学系12において、フライアイレンズ22の射出側焦点面の近傍には、円板状部材から成る照明系開口絞り板24が配置されている。この照明系開口絞り板24には、ほぼ等角度間隔で、例えば通常の円形開口より成る開口絞り(通常絞り)、小さな円形開口より成りコヒーレンスファクタであるσ値を小さくするための開口絞り(小σ絞り)、輪帯照明用の開口絞り(輪帯絞り)、及び変形光源法用に複数の開口を偏心させて配置して成る変形開口絞り(例えば2極照明又は4極照明用の開口絞り)等が配置されている。この照明系開口絞り板24は、主制御装置50により制御されるモータ等の駆動装置40により回転されるようになっており、この回転動作により、いずれかの開口絞りが照明光ILの光路上に選択的に設定される。
照明系開口絞り板24から出た照明光ILの光路上に、反射率が小さく透過率の大きなビームスプリッタ26が配置され、更にこの後方の光路上に、レチクルブラインド30A及び30Bを介在させてリレー光学系(28A,28B)が配置されている。固定レチクルブラインド30Aは、レチクルRのパターン面に対する共役面から僅かにデフォーカスした面に配置されており、その固定レチクルブラインド30Aには、レチクルR上での照明領域IARを規定する矩形開口が形成されている。また、この固定レチクルブラインド30Aの近傍には、走査露光時の走査方向、及びこれに直交する非走査方向に光学的にそれぞれ対応して位置及び幅が可変の開口部を有する可動レチクルブラインド30Bが配置されている。走査露光の開始時及び終了時において、主制御装置50からの指示により、固定レチクルブラインド30Aによって規定されている照明領域IARが、可動レチクルブラインド30Bによって更に制限されることによって、不要な部分(レチクルR上の回路パターン等の転写すべき部分以外の部分)の露光が防止されるようになっている。また、本例では、可動レチクルブラインド30Bは、必要に応じて後述する空間像計測の際の照明領域の設定にも用いられる。
一方、照明光学系12内のビームスプリッタ26で反射された照明光ILの光路上には、集光レンズ44、及び受光素子から成るインテグレータセンサ46が配置されている。ビームスプリッタ26で反射された照明光ILの一部は、集光レンズ44を介してインテグレータセンサ46で受光され、インテグレータセンサ46の光電変換信号が、ピークホールド回路及びA/D変換器を有する信号処理装置80を介して主制御装置50に供給される。本例では、インテグレータセンサ46の計測値は、ウエハWに対する露光量制御に用いられる他、投影光学系PLに対する照射量の計算にも用いられる。
そして、露光時に光源14から射出されたレーザビームLBは、照明光学系12内で照明光ILとなり、照明光ILは、ミラーMによって光路が垂直下方に折り曲げられた後、コンデンサレンズ32を経て、レチクルRのパターン面(下面)の非走査方向に細長いスリット状の照明領域IARを均一な照度分布で照明する。その照明光ILのもとで、レチクルRの照明領域IAR内のパターンの、両側(又はウエハ側に片側)テレセントリックの投影光学系PLによって形成された像は、感光材料としてのフォトレジストが塗布されたウエハWの一つのショット領域上の露光領域IAに投影される。露光領域IAは照明領域IARと共役であり、投影光学系PLは、レチクルR(第1物体)のパターン面(第1面)のパターンの像をウエハW(第2物体)の上面(第2面)に形成している。投影光学系PLの投影倍率は、例えば1/4又は1/5等の縮小倍率である。本例の投影光学系PLは屈折系であるが、投影光学系PLとしては、反射屈折系なども使用できる。
以下、投影光学系PLの光軸AXに平行な方向にZ軸を取り、Z軸に垂直な平面内で図1の紙面に垂直な方向にX軸を、図1の紙面に平行な方向にY軸を取って説明する。本例では、走査露光時のレチクルR及びウエハWの走査方向は、Y軸に平行な方向(Y方向)であり、レチクルR上の照明領域IAR、及びウエハW上の露光領域IAはそれぞれ非走査方向(X方向)に細長い領域である。本例の投影光学系PLには、そのディストーション等の結像特性を制御(補正)するために、投影光学系PL内の光学部材を駆動するための駆動素子、及びこの駆動素子の動作を制御する結像特性コントローラ78を含む結像特性制御機構が備えられている。また、投影光学系PLの近傍には、結像特性の変化の一因となる大気圧や温度等の環境条件を計測するための環境センサ81が配置され、環境センサ81の計測値、及び投影光学系PL内を通過する照明光ILの光量等に基づいて、主制御装置50が結像特性コントローラ78を介して投影光学系PLの結像特性を制御する。
そして、レチクルステージRST(第1ステージ)上には、レチクルRが例えば真空吸着(又は静電吸着)により固定されている。レチクルステージRSTは、リニアモータ等を含むレチクルステージ駆動系56R(駆動機構)により、レチクルベースRBS上のXY平面内で2次元的に(X方向、Y方向、及びZ軸回りの回転方向(回転角θz)に)微少駆動可能であるとともに、レチクルベースRBS上をY方向に指定された走査速度で移動可能となっている。
また、レチクルステージRST上には、レーザ干渉計(以下、「レチクル干渉計」という)54Rからのレーザビームを反射する移動鏡52Rが固定されており、レチクルステージRSTのXY平面内の位置はレチクル干渉計54Rによって、例えば0.1〜1nm程度の分解能で常時検出される。即ち、実際には、移動鏡52Rは、Y方向の位置を2箇所で計測するための2つのY軸の移動鏡と、X軸の移動鏡とから構成され、レーザ干渉計54Rもそれに対応して3軸のレーザ干渉計から構成されている。
レチクル干渉計54RからのレチクルステージRSTの位置情報は、ステージ制御装置70(同期駆動機構の一部)、及びこれを介して主制御装置50に送られる。ステージ制御装置70は、主制御装置50の指示によりレチクルステージ駆動系56Rを介してレチクルステージRSTの移動を制御する。なお、レチクルステージRSTの端面を鏡面加工して前述の移動鏡52Rの反射面を形成しても良い。
また、レチクルステージRSTの−Y方向の端部近傍には、例えば投影光学系PLの結像特性を評価する際に使用できる空間像計測用マーク(計測用パターン)PM(図2参照)が形成されたマーク形成部材としてのレチクルフィデューシャルマーク板(以下、「レチクルマーク板」と言う)RFMが、レチクルRと並ぶように固定されている。このレチクルマーク板RFMは、レチクルRと同材質のガラス素材、例えば合成石英や蛍石、フッ化リチウムその他のフッ化物結晶などから構成されており、レチクルステージRSTに固定されている。レチクルステージRSTは、レチクルRの全面とレチクルマーク板RFMの全面とが少なくとも投影光学系PLの光軸AXを横切ることができる程度のY方向の移動ストロークを有している。また、レチクルステージRSTには、レチクルR及びレチクルマーク板RFMの下方に、照明光ILを通すための開口がそれぞれ形成されている。また、レチクルベースRBSの投影光学系PLのほぼ真上の部分にも、照明光ILの通路となる開口が形成されている。
また、レチクルRの上方には、投影光学系PLを介してレチクルR上又はレチクルマーク板RFM上のマークと、ウエハステージWST上の基準マーク板(不図示)上の基準マークとを同時に観察するための露光波長の光を用いたTTR(Through The Reticle)方式の一対のレチクルアライメント顕微鏡(不図示)が設けられている。
図1において、ウエハステージWSTは、XYステージ42と、このXYステージ42上に搭載されたZチルトステージ38とを含んで構成されている。XYステージ42は、ウエハベース16の上面に不図示のエアベアリングによって例えば数μm程度のクリアランスを介して浮上支持されている。更に、XYステージ42は、ウエハステージ駆動系56W(駆動機構)を構成する不図示のリニアモータ等によって走査方向であるY方向及びこれに直交するX方向に2次元駆動可能に構成されている。このXYステージ42上にZチルトステージ38が搭載され、Zチルトステージ38上にウエハホルダ25が固定されている。このウエハホルダ25によって、ウエハWが真空吸着等により保持されている。
図1において、ウエハステージWSTは、XYステージ42と、このXYステージ42上に搭載されたZチルトステージ38とを含んで構成されている。XYステージ42は、ウエハベース16の上面に不図示のエアベアリングによって例えば数μm程度のクリアランスを介して浮上支持されている。更に、XYステージ42は、ウエハステージ駆動系56W(駆動機構)を構成する不図示のリニアモータ等によって走査方向であるY方向及びこれに直交するX方向に2次元駆動可能に構成されている。このXYステージ42上にZチルトステージ38が搭載され、Zチルトステージ38上にウエハホルダ25が固定されている。このウエハホルダ25によって、ウエハWが真空吸着等により保持されている。
Zチルトステージ38は、内部にZ方向に変位可能な3個のアクチュエータ(不図示)を備えており、これらのアクチュエータを駆動することによって、その上面のウエハWの光軸AX方向の位置(フォーカス位置)、X軸回りの回転角θx、及びY軸回りの回転角θyを制御する。ステージ制御装置70は、露光中にはウエハWの上面が投影光学系PLの像面に合焦されるように、オートフォーカス方式でZチルトステージ38内のアクチュエータを駆動する。
図1において、Zチルトステージ38上には、レーザ干渉計(以下、「ウエハ干渉計」という)54Wからのレーザビームを反射する移動鏡52Wが固定されている。ウエハ干渉計54Wによって、Zチルトステージ38(ウエハステージWST)のXY平面内の位置が、例えば0.1〜1nm程度の分解能で常時検出されるようになっている。実際には、Zチルトステージ38上には、走査方向(Y方向)に直交する反射面を有する移動鏡と非走査方向(X方向)に直交する反射面を有する移動鏡とが設けられ、これに対応してウエハ干渉計もX方向、Y方向にそれぞれ複数軸設けられ、Zチルトステージ38の5自由度方向の位置(X方向、Y方向の位置、及び回転角θx、θy、θz)が計測可能となっている。ウエハステージWSTの位置情報(又は速度情報)は、ステージ制御装置70及びこれを介して主制御装置50に供給される。ステージ制御装置70は、主制御装置50の指示に応じてウエハステージ駆動系56Wを介してウエハステージWSTのXY平面内の位置を制御する。なお、Zチルトステージ38の端面を鏡面加工して前述の移動鏡52Wの反射面を形成するようにしてもよい。
また、投影光学系PLの側面には、ウエハW上のアライメントマーク又は所定の基準マークを検出するマーク検出系としてのオフアクシス方式のアライメント系ALGが設けられている。本例では、このアライメント系ALGとして、画像処理方式のアライメント系、いわゆるFIA(Field Image Alignment)系が用いられている。このアライメント系ALGからの撮像信号が、不図示のアライメント制御装置に供給されて、そのアライメントマーク又は基準マークの座標位置が算出される。その算出された座標位置に基づいて、主制御装置50は、ウエハW上の各ショット領域の配列座標の算出等を行う。
更に、本例の投影露光装置10では、図1に示すように、照射系60a及び受光系60bから成る斜入射方式の多点焦点位置検出系(60a,60b)が設けられている。照射系60aは、ウエハWの表面等の被検面に複数のスリット像を光軸AXに対して斜めに投影し、受光系60bは、被検面からの反射光を受光してそれらのスリット像を再結像する。そして、受光系60bは、それらの再結像された複数のスリット像の横ずれ量に対応する検出信号をステージ制御装置70に供給する。ステージ制御装置70では、一例としてそれらの検出信号をデフォーカス量に換算し、複数のデフォーカス量から、その被検面の投影光学系PLの像面に対するZ方向へのデフォーカス量と、X軸及びY軸の回りの傾斜角とを求める。なお、この多点焦点位置検出系(60a,60b)と、同様の多点焦点位置検出系の詳細な構成は、例えば特開平6−283403号公報等に開示されているため、その構成についての詳細な説明を省略する。
通常の露光時には、ステージ制御装置70は、多点焦点位置検出系(60a,60b)の検出結果を用いて、ウエハWの表面が投影光学系PLの像面に合焦されるように、オートフォーカス方式でウエハステージ駆動系56Wを介してZチルトステージ38のZ方向の位置及び傾斜角を制御する。また、主制御装置50に接続された磁気記憶装置等のメモリ51内には、例えば露光データの情報及び後述の空間像計測によって得られる検出信号の情報などが記憶される。
次に、本例の投影露光装置10における走査露光動作について簡単に説明する。先ず、主制御装置50は、レチクルRを用いた露光に最適な照明条件をオペレータの指示に基づいて設定する。次に、上記のレチクルアライメント顕微鏡、及びウエハ側のアライメント系ALGを用いて、レチクルRのアライメント及びウエハWのアライメントが行われる。その後、ウエハステージWSTのステッピングによって、ウエハW上で次に露光されるショット領域が光軸AXの手前側に位置決めされる。そして、照明光ILの照射が開始されて、レチクルステージRSTを介して照明領域に対してレチクルRをY方向に速度Vrで移動するのに同期して、ウエハステージWSTを介して露光領域に対してウエハW上の一つのショット領域がY方向に速度β・Vr(βは投影光学系PLの投影倍率)で移動する。このようにして、ショット間のステッピング動作とショット毎の同期走査動作とが繰り返されて、ステップ・アンド・スキャン方式でウエハW上の全てのショット領域にレチクルRのパターン像が転写される。
上述の走査露光動作において、レチクルRのパターンを投影光学系PLを介して高い解像度で高精度にウエハW上に転写するためには、レチクルステージRST及びウエハステージWSTを駆動する際の振動及び同期誤差等を抑制して、ステージ性能を高める必要がある。そのためには、実際の走査露光時に近い条件(ステージの走査速度等)のもとでそのステージ性能を高精度に評価(計測)する必要がある。以下では、そのステージ性能の評価のための装置構成、及びその評価方法の一例につき説明する。
ステージ性能の評価時には、本例のレチクルステージRST上には、デバイスパターン露光用のレチクルRの代わりに、図2に示すように評価用パターンの形成されたテストレチクルR1がロードされる。なお、その評価用パターンは、露光用のレチクルRのパターン領域の一部に形成しておいてもよく、レチクルマーク板RFMの空間像計測用マークPMの一部に形成しておいてもよい。
図4は、そのテストレチクルR1の評価用パターンの一例を示し、この図4において、テストレチクルR1のパターン領域の+X方向及び−X方向の端部にそれぞれ遮光膜よりなるステージ単体の位置計測用の評価用パターン94及び95が形成され、そのパターン領域の中央部に遮光膜よりなる同期誤差計測用の評価用パターン98が形成されており、そのパターン領域のその他の部分は光透過部とされている。評価用パターン94,95,98はそれぞれ例えばクロム(Cr)等からなる金属の薄膜より形成されている。前者の+X方向の評価用パターン94は、実質的にY軸に平行な直線状のエッジ部94Eを有し、エッジ部94EにはY方向に所定間隔で光透過部よりなる位置基準としてのバーニアマーク部94Vが形成されている。そして、−X方向の評価用パターン95は、評価用パターン94と対称に実質的にY軸に平行で所定間隔でバーニアマーク部95Vが形成された直線状のエッジ部95Eを有している。一例として、バーニアマーク部94V,95VのY方向の幅は数mmで、それらのY方向の間隔は数10mmである。なお、評価用パターン94及び95は、そのうちのどちらか又は両方を用いることも可能であるが、以下では一方の評価用パターン94を用いるものとする。
一方、後者の同期誤差計測用の評価用パターン98は、実質的にY軸に平行な直線状のエッジ部99Xを持つ遮光膜よりなる第1パターン98Xと、実質的にX軸に平行な直線状のエッジ部99Yを持つ遮光膜よりなる第2パターン98Yとから構成されている。エッジ部99X及び99Yの長さは、一例としてそれぞれ数100μm程度である。なお、不図示であるが、テストレチクルR1のパターン領域内にはX方向に離れた1組のアライメントマークも形成されている。この1組のアライメントマークの位置を上記のレチクルアライメント顕微鏡で検出することによって、図1の主制御装置50はテストレチクルR1上での評価用パターン94,98のそれぞれのエッジ部の位置を認識できる。
また、その1組のアライメントマークの検出結果に基づいて、評価用パターン94のエッジ部94E(及び第1パターン98Xのエッジ部99X)が実質的にY軸に平行になるように、図2においてテストレチクルR1がレチクルステージRST上に保持されている。なお、図1の投影光学系PLが例えば反転投影を行うときには、テストレチクルR1のパターンはウエハステージWST上に反転像として投影される。しかしながら、分かり易くするために、図4及び以下の説明では、評価用パターン94,95,98の形状及び配置は投影光学系PLによって投影された状態で表すものとする。
本例では、上記のテストレチクルR1に形成された評価用パターン94,98のうちのいずれかの像を、図2の状態で投影光学系PLを介してウエハステージWST上に投影して、その空間像のエッジ部の位置を計測する。本例の投影露光装置のウエハステージWSTのZチルトステージ38内には、その空間像のエッジ部を検出してステージ性能の評価を行うための空間像計測装置88(光電センサ)が備えられている。即ち、Zチルトステージ38の上面のウエハホルダ25の近傍には、表面に複数の開口が形成されたスリット板90(開口部材)が固定されている。スリット板90は空間像計測装置88の一部であり、スリット板90はその上面がウエハWの表面と同じ高さになるように固定されている。また、例えばスリット板90の中心を投影光学系PLの下方の一つの焦点位置の計測点の近傍に移動して、多点焦点位置検出系(60a,60b)を用いてスリット板90の表面のフォーカス位置を計測し、この計測結果を用いてスリット板90の表面が投影光学系PLの像面に合致するようにZチルトステージ38を駆動した後、Zチルトステージ38の姿勢を固定することで、スリット板90の表面を投影光学系PLの像面に合致させた状態でステージ性能を評価することも可能である。
図1において、空間像計測装置88からの検出信号Sが信号処理装置80に供給されている。信号処理装置80には、ステージ制御装置70を介してレチクル干渉計54Rによって計測されるレチクルステージRSTの座標(X座標、Y座標)、及びウエハ干渉計54Wによって計測されるウエハステージWSTの座標(X座標、Y座標)も所定のサンプリングレートで供給されている。信号処理装置80ではその検出信号Sに所定処理を施して、レチクルステージRSTの座標又はウエハステージWSTの座標に対応させてメモリ51に格納する。主制御装置50(制御装置)内の演算部は、その座標に対応した検出信号の情報に基づいてレチクルステージRST及びウエハステージWSTの位置情報(詳細後述)を求める。なお、空間像計測装置88は、投影光学系PLの結像特性(光学特性)を計測する際にも使用できる。
図2は、Zチルトステージ38内に設けられた空間像計測装置88及び信号処理装置80を示す一部を切り欠いた図であり、この図2において、空間像計測装置88(光電センサ)は、Zチルトステージ38の上面に設けられたスリット板90と、スリット板90の開口を通過した照明光ILを集光するコンデンサレンズ84と、その集光された照明光ILを光電検出する光電検出器としての受光素子85とを備えている。受光素子85としては、フォトダイオード又はフォト・マルチプライア・チューブ(PMT:光電子増倍管)等を使用できる。なお、例えば受光素子85がフォト・マルチプライア・チューブである場合には、受光素子85をZチルトステージ38の側面等に外付けしてもよい。これによって、受光素子85の発熱等による計測精度の低下が防止できる。
スリット板90は、Zチルトステージ38の端部上面に設けられて上部に開口が形成された突設部58に対し、その開口を覆う状態で上方から嵌め込まれている。このスリット板90は、XY平面に平行な円形の平板状のガラス基板82の上面に金属(例えばクロム)の薄膜等の遮光膜83を形成して構成され、その遮光膜83の一部に所定形状の複数の開口が形成されている。ガラス基板82の素材としては、露光ビームとしてのArFエキシマレーザ光に対して透過性の良い、合成石英又は蛍石などが用いられる。
図3は、スリット板90(開口部材)の開口の配置を示し、この図3において、スリット板90の上面の遮光膜中にはY方向(走査方向)に伸びた細長い長方形の開口よりなるX方向用のスリット92X(第1開口)と、X方向(非走査方向)に伸びた細長い長方形の開口よりなるY方向用のスリット92Y(第2開口)と、小さい円形開口よりなるピンホール92Pとが形成されている。スリット92X及び92Yはそれぞれ幅d1が150〜100nm程度で、長さL1が1μm程度以上で数10μm程度以下である。また、ピンホール92Pの直径はスリット92X,92Yの幅d1の2倍程度、即ち300〜200nm程度である。この場合、X方向用のスリット92Xは、図1のレチクルステージRST及びウエハステージWSTのX方向の位置情報を計測するために、図4のテストレチクルR1の評価用パターン94又は第1パターン98Xのエッジ部の空間像を検出する際に使用される。そして、Y方向用のスリット92Yは、レチクルステージRST及びウエハステージWSTのY方向の位置情報を計測するために、図4の第2パターン98Yのエッジ部の空間像を検出する際に使用される。
また、ピンホール92Pは、レチクルステージRST及びウエハステージWSTのX方向及びY方向を含む全方向の位置情報を計測する際に、即ち図4の全方向の評価用パターン94,98のエッジ部の空間像を検出する際に使用することができる。なお、図3のスリット板90上のスリット92X,92Yの代わりに、それぞれY軸及びX軸に平行なナイフエッジ部を持つ開口パターンを使用することも可能である。
本例では、レチクルステージRST及びウエハステージWSTを個別に、又は同期してY方向に走査する機構が備えられている。そこで、レチクルステージRST及びウエハステージWSTのX方向の位置情報を計測するために、図4のテストレチクルR1の評価用パターン94又は第1パターン98Xの空間像を検出する際には、その空間像とスリット板90のスリット92Xとを相対的にY方向に走査して、スリット92Xを通過した照明光IL(露光ビーム)を図2の受光素子85で受光する。そして、実質的にその照明光ILの強度に比例する光電変換信号が検出信号Sとして出力され、その検出信号Sの情報が対応するステージの座標とともにメモリ51に記憶される。言い換えると、そのステージの計測方向の位置情報を含む空間像の強度に対応する検出信号の情報が、そのステージの非計測方向の座標とともにメモリ51に記憶される。この場合の計測方向(第2方向に対応する)は、スリット92Xの幅方向(短辺方向)であるX方向(非走査方向)であり、計測方向に直交する非計測方向(第1方向に対応する)はスリット92Xの長手方向であるY方向(走査方向)である。
そのように計測可能な空間像としては、計測方向以外に変化する部分(模様)を有していない一次元的に変化する空間像、即ち非計測方向に伸びたエッジ部を持つ空間像が望ましい。また、ステージの計測方向の変位を高い感度(=信号変化/変位)で検出するには、スリット92Xの計測方向の幅d1は狭い方がよい。ただし、その幅d1は計測対象のステージの予想される変位の幅(ストローク)よりも広くしておく必要がある。また、スリット92Xの非計測方向の長さL1が広い方が受光される光量が多くなり、受光素子85からの検出信号のSN比が高くなる。そこで、図4の評価用パターン94はY方向に長く伸びたエッジ部94Eを持つ形状とされ、図3のスリット92Xは計測方向に狭く、非計測方向に長い長方形とされている。なお、図4の第1パターン98Xは、レチクルステージRSTとウエハステージWSTとの走査露光時の同期誤差を計測する際に使用され、走査露光時にレチクルステージRSTとウエハステージWSTとは投影光学系PLを介して相対的にほぼ静止状態(このときの位置ずれ量が同期誤差となる)であるため、第1パターン98XのY方向(非計測方向)の長さはその投影像の長さが図3のスリット92Xの長さL1よりも十分に長ければよい。
同様に、レチクルステージRST及びウエハステージWSTのY方向の位置情報を計測するために、図4の第2パターン98Yの空間像を検出する際には、その空間像と図3のスリット92YとをX方向に相対的に走査することも可能である。この場合には、スリット92Yにとっての計測方向はY方向であり、非計測方向はX方向となる。ただし、例えば走査露光時の同期誤差を計測するために、レチクルステージRST及びウエハステージWSTのY方向の位置情報(位置ずれ量)を計測する際には、図4の第2パターン98Yの空間像とスリット92YとをX方向に相対的に走査する必要はなく、単に第2パターン98Yのエッジ部99Yの像とスリット92YとのY方向への相対的な位置ずれ量を検出するだけでよい。そのため、第2パターン98YのX方向の長さは、その投影像の長さがスリット92Yの長さL1よりも十分に長ければよい。このように同期誤差を計測する際には、スリット92Xの非計測方向(Y方向)がスリット92Yの計測方向となる。
スリット92Yについても、Y方向の検出感度を高くして、かつ受光量を大きくするために、計測方向であるY方向に狭く、非計測方向であるX方向に長い長方形とされている。また、スリット92Yを通過した照明光ILも図2の受光素子85で受光され、その受光素子85からの検出信号Sが信号処理装置80に供給される。同様に、図3のピンホール92Pを用いて評価用パターンのエッジ部の空間像を検出する際にも、ピンホール92Pを通過した照明光ILが図2の受光素子85で受光され、その受光素子85からの検出信号Sが信号処理装置80に供給される。そこで、受光素子85に不要なノイズ光が入射するのを防止するため、図3において、スリット板90の底面に例えば液晶シャッタを設けておき、スリット92X、スリット92Y、及びピンホール92Pのうちで使用中の開口以外の2つの開口の底面を遮光してもよい。
図2において、受光素子85の検出信号Sは信号処理装置80内で、不図示の増幅器及びピークホールド回路(パルス光のピーク光量を検出するための回路)を経た後、ローパスフィルタ回路86の入力部及びスイッチ回路87の入力部aに検出信号SAとして供給される。また、ローパスフィルタ回路86を通過した低周波数成分よりなる検出信号SBは、スイッチ回路87の入力部bに供給される。スイッチ回路87は、図1の主制御装置50からの指示に応じて入力部a又はbの検出信号SA又はSBを信号処理部80aに供給する。信号処理部80aでは、供給された検出信号SA(又はSB)を例えばA/Dコンバータによって一連のデジタルデータに変換して、変換されたデータを図1のレチクルステージRSTの座標(X座標又はY座標)、又はウエハステージWSTの座標(X座標又はY座標)に対応させて図1のメモリ51に格納する。なお、例えばレチクルステージRST及びウエハステージWSTを静止させた状態で一方のステージの振動を計測するような場合には、その検出信号SA(又はSB)を経過時間に対応させてメモリ51に格納してもよい。
ここで、図3のX方向用のスリット92Xを用いる場合の計測可能範囲(計測ストローク)について実測した結果を示す。この場合、露光波長λは193nmであり、図1の投影光学系PLの開口数NAを0.82、照明光学系のコヒーレンスファクタ(σ値)を0.85として、スリット92Xの計測方向の幅d1を150nmとした。この露光条件は以下のステージ性能の評価時にも共通である。
次に、図2に示すようにテストレチクルR1をレチクルステージRST上にロードして、図4のテストレチクルR1の評価用パターン94のエッジ部94Eの一部に照明光ILを照射した状態で、ウエハステージWSTを駆動することによって、そのエッジ部94Eの像に対してX方向に近接するようにスリット板90のスリット92Xを移動する。そして、スリット92Xを通過した光を図2の空間像計測装置88で受光して得られる検出信号SAを信号処理装置80において取り込みながら、図5に示すように、そのエッジ部94Eの像94EWを横切るようにスリット92Xを計測方向(X方向)に移動した。なお、スリット92XをX方向に移動する代わりに、図2のテストレチクルR1をX方向に移動してもよい。
図6の曲線は、そのようにエッジ部の像94EWを横切るようにスリット92XをX方向に移動した場合に計測された検出信号SAの変化の一例を示し、この図6において、横軸はスリット92Xの計測方向の位置X(即ち、図1のウエハ干渉計54Wによって計測されるウエハステージWSTのX座標)[μm]であり、縦軸はその位置Xに対応する検出信号SA(相対値)である。図6において、検出信号SAは位置Xの変化に対して幅d2の範囲内でほぼ線形に大きく変化している。幅d2はほぼ160nm(±80nm)であり、スリット92Xの実際の幅d1とほぼ等しい。従って、スリット92Xを用いることによって、エッジ部の像94EW(空間像)の計測方向の位置Xの変化をほぼその幅d1内で、検出信号SAの一次関数として高精度に計測することができる。即ち、ほぼその幅d1の範囲内で、エッジ部の像94EW(空間像)の検出信号SA(強度)と位置Xとが比例関係にあると見なすことができ、検出信号SAから位置Xを高精度に求めることができる。この際に、例えば検出信号SAが最小値と最大値との中央のレベルにあるときの位置Xを0として、検出信号SAが上下に変化したときにその変化量の関数として位置Xを計算してもよい。
なお、その位置Xを検出信号SAの2次以上の関数、又は検出信号SAの指数関数等で表して、ほぼ線形の範囲を超えて計測を行うことによって、計測方向の計測可能範囲を拡大することもできる。また、図2において、検出信号Sの低周波数成分である検出信号SBを用いる場合にも、その検出信号SBからエッジ部の像とスリット92XとのX方向の相対的な位置を高精度に計測できる。同様に、図3のY方向用のスリット92Yを用いる場合にも、図2の検出信号SA(又はSB)から、評価用パターンのエッジ部の像とスリット92YとのY方向の相対的な位置をほぼ幅d1の範囲内で高精度に計測できる。
本例のような走査型露光装置においては、露光精度に大きな影響を与えるのは、走査露光中のレチクルステージRSTとウエハステージWSTとの同期誤差である。従って、走査露光中と同じ走査速度のもとで、レチクルステージRSTとウエハステージWSTとをY方向に走査しながら所定の空間像を検出して、両ステージのX方向、Y方向の同期誤差を計測することは重要である。しかしながら、その同期誤差の要因を解析するためには、レチクルステージRST及びウエハステージWSTをそれぞれ単体で走査しながら所定の空間像を検出して、各ステージの位置の変化を計測する必要がある。また、レチクルステージRST及びウエハステージWSTのそれぞれの振動量を計測する場合にも、レチクルステージRST及びウエハステージWSTをそれぞれ単体で移動して、又は静止状態で所定の空間像の検出を行う必要がある。
そこで、本例の投影露光装置のステージ性能の評価方法の一例につき主に以下の3つの場合に分けて説明する。
[レチクルステージRST単体の位置計測]
ここでは、図2のレチクルステージRST単体の位置計測動作を次の第1工程及び第2工程に分けて説明する。
[レチクルステージRST単体の位置計測]
ここでは、図2のレチクルステージRST単体の位置計測動作を次の第1工程及び第2工程に分けて説明する。
[第1工程]
図4に示すようにテストレチクルR1の評価用パターン94のエッジ部94Eが実質的にY軸に平行になるように、そのテストレチクルR1をレチクルステージRST上にロードする。次に、レチクルステージRSTをY方向に駆動して、図4に示すように、照明光ILの照明領域IARに対してY方向の手前側にテストレチクルR1の評価用パターン94を移動する。また、ウエハステージWSTを駆動して、スリット板90上のスリット92Xを露光領域IA内で、かつ評価用パターン94のエッジ部の像のほぼ延長線上に移動する。
図4に示すようにテストレチクルR1の評価用パターン94のエッジ部94Eが実質的にY軸に平行になるように、そのテストレチクルR1をレチクルステージRST上にロードする。次に、レチクルステージRSTをY方向に駆動して、図4に示すように、照明光ILの照明領域IARに対してY方向の手前側にテストレチクルR1の評価用パターン94を移動する。また、ウエハステージWSTを駆動して、スリット板90上のスリット92Xを露光領域IA内で、かつ評価用パターン94のエッジ部の像のほぼ延長線上に移動する。
図3のスリット板90のレチクル側への共役像を図4の像90Rとして、スリット92X及び92Yのレチクル側への共役像を図4の像92XR及び92YRとすると(ただし、分かり易くするために、像90R,92XR,92YRの方向は図3と同じにしてある)、図4に示すように、スリット92Xの像92XRはエッジ部94Eのほぼ延長線上に位置している。
この状態で、照明光ILの照射を開始して、レチクルステージRSTを走査露光時の通常の走査速度で、即ちウエハ上での速さに換算して300mm/secで+Y方向に走査しながら、図2の信号処理装置80において、レチクルステージRSTの次第に変化するY座標に対応させて、スリット92Xを通過した光を空間像計測装置88で受光して得られる検出信号SAを取り込み、取り込まれたデータをメモリ51に格納する。この際に、図7に示すように、スリット92X上を評価用パターンの像94Wのうちのエッジ部の像94EWがY方向に移動して行く。そのメモリ51に格納されるデータは、レチクルステージRSTの所定間隔毎の一連のY座標(位置Y)と、その一連の位置Yにおけるそれぞれの検出信号SAのデジタルデータとの集合である。このとき、図4の評価用パターン94のバーニアマーク部94V以外の区間が有効計測区間である評価ウィンドウとなる。
実際には、図4の評価用パターン94には描画誤差があるため、そのエッジ部94Eは完全な直線ではなく微小なランダムの凹凸が含まれている。その描画誤差等の系統誤差は、レチクルステージRSTを低速で移動して評価用パターン94のエッジ部94Eの像の位置を計測することで検出可能である。そこで、本例では系統誤差を独立に計測するために、レチクルステージRSTを再び図4のように−Y方向に移動する。そして、照明光ILの照射を開始して、レチクルステージRSTを通常の走査速度に対して1/10から1/50程度に遅い走査速度で、即ち例えばウエハ上での速さに換算して15mm/secで+Y方向に走査しながら、図2の信号処理装置80において、レチクルステージRSTの一連のY座標(位置Y)に対応させて、スリット92Xを通過したエッジ部の像94EWの光を空間像計測装置88で受光して得られる検出信号SBを取り込む。そして、取り込まれた一連の座標及び対応する検出信号SBのデジタルデータをメモリ51に格納する。ここで取り込む検出信号SBは、ローパスフィルタ回路86に通して得られる低周波数成分である。このように検出信号SBを取り込むのは、光電変換信号中の本来のレチクル製造誤差以外の機械的振動成分である高周波数のノイズ成分(短い空間周波数成分)を除去するためである。従って、機械的な振動が少ない場合には、この段階でも原信号である検出信号SAを検出してもよい。
図8(A)は上述の1回目のレチクルステージRSTの走査で検出される評価用パターン94のエッジ部の像の検出信号SA(エッジ部の空間像の振動)の変化の一例を示し、図8(B)は上述の2回目のレチクルステージRSTの走査で検出される検出信号SB(その空間像の振動中の描画誤差等の系統誤差)の変化の一例を示している。図8(A)及び図8(B)において、横軸はレチクルステージRSTの位置Yをウエハ上での値に換算した位置であり、図8(A)の検出信号SA中で高いピークとなっている部分96は、図4のバーニアマーク部94Vに対応している。従って、後述の図8(C)に示すように、その部分96以外の部分が評価ウィンドウEY1,EY2,EY3,EY4,EY5となっている。なお、この他に図1のレチクル干渉計54Rによって計測されているレチクルステージRSTのX座標をウエハ上での値に換算した値と、ウエハ干渉計54Wによって計測されているウエハステージWSTのX座標との差分である干渉計で計測される位置誤差も、位置Yに対応させて記録されている。
[第2工程]
図1の主制御装置50の演算部は、メモリ51内に格納されている図8(A)の検出信号SA及び図8(B)の検出信号SBを用いて、図8(C)に示すように、位置Y毎に差分SC(=SA−SB)を計算する。この差分SC(ステージの計測方向の位置情報)の評価ウィンドウEY1〜EY5での値が、図4の評価用パターン94のエッジ部の空間像の系統誤差を除いた実質的な位置、即ちレチクルステージRSTの投影光学系PLを介した位置の計測方向(X方向)への変位又は振動を表している。本例によれば、図3のスリット92Xを通過した光を受光しており、例えば撮像素子でマーク像を撮像する場合に比べて応答速度が高いため、レチクルステージRSTを走査露光時と同様に高速に走査した場合の変位又は振動も高精度に検出することができる。
図1の主制御装置50の演算部は、メモリ51内に格納されている図8(A)の検出信号SA及び図8(B)の検出信号SBを用いて、図8(C)に示すように、位置Y毎に差分SC(=SA−SB)を計算する。この差分SC(ステージの計測方向の位置情報)の評価ウィンドウEY1〜EY5での値が、図4の評価用パターン94のエッジ部の空間像の系統誤差を除いた実質的な位置、即ちレチクルステージRSTの投影光学系PLを介した位置の計測方向(X方向)への変位又は振動を表している。本例によれば、図3のスリット92Xを通過した光を受光しており、例えば撮像素子でマーク像を撮像する場合に比べて応答速度が高いため、レチクルステージRSTを走査露光時と同様に高速に走査した場合の変位又は振動も高精度に検出することができる。
この場合、図8(C)の差分SCで検出されて、上記の干渉計で検出されない成分は、投影光学系PLなどに起因する空間像の振動が主な成分と考えられる。逆に干渉計で検出されて図8(C)の差分SCで検出されない成分としては、可能性としては低いが干渉計の固定鏡、移動鏡の高周波振動がありえる。この場合の高周波数とは、レチクルステージRSTが制御的に追従できない程度の周波数を指す。
また、図8(C)の差分SCの要因解析を行うために、差分SCを周波数解析(フーリエ解析)してもよい。この場合、位置Yを時間tに換算して周波数解析をして、そのフーリエスペクトルがピーク値を取るときの周波数を求めることによって、差分SCに影響を与えている要因(工場内の特定の振動源など)を特定できる場合がある。要因が特定できた場合には、その要因を除去すればよい。
なお、この実施形態ではレチクルステージRSTを走査しているときのレチクルステージRSTの計測方向の位置の変化を計測したが、レチクルステージRSTを静止させた状態で、レチクルステージRSTの計測方向の位置の変化を検出信号SAから計測してもよい。この計測結果はレチクルステージRSTの主に振動を表しており、その計測結果を周波数解析することで、振動源などをより的確に特定できる場合がある。
[ウエハステージWST単体の位置計測]
ここでは、図2のウエハステージWST単体の位置計測動作を次の第1工程及び第2工程に分けて説明する。
[第1工程]
図4に示すようにテストレチクルR1の評価用パターン94のエッジ部94Eが実質的にY軸に平行になるように、そのテストレチクルR1をレチクルステージRST上にロードする。次に、図4の状態からレチクルステージRSTを+Y方向に駆動して、照明光ILの照明領域IAR内に評価用パターン94のエッジ部94Eの一部が入るようにして、レチクルステージRSTを静止させる。
ここでは、図2のウエハステージWST単体の位置計測動作を次の第1工程及び第2工程に分けて説明する。
[第1工程]
図4に示すようにテストレチクルR1の評価用パターン94のエッジ部94Eが実質的にY軸に平行になるように、そのテストレチクルR1をレチクルステージRST上にロードする。次に、図4の状態からレチクルステージRSTを+Y方向に駆動して、照明光ILの照明領域IAR内に評価用パターン94のエッジ部94Eの一部が入るようにして、レチクルステージRSTを静止させる。
図9は、そのときのウエハステージWST上の露光領域IAを示し、この図9において、評価用パターンの像94Wのうちのエッジ部の像94EWがスリット板90上のX方向用のスリット92X内を通過している。本例ではウエハステージWSTを走査露光時と同じ走査速度でY方向に移動するが、エッジ部の像94EWを検出してウエハステージWSTのX方向(計測方向)への変位又は振動を検出できるのは、スリット92XがY方向の幅LY(例えば8mm程度)の露光領域IAを通過している期間のみである。
即ち、本例では図9においてスリット92Xを露光領域IAに対して−Y方向の手前側に移動して、照明光ILの照射を開始した後、ウエハステージWSTを走査露光時の通常の走査速度で、即ち300mm/secで+Y方向に走査しながら、図2の信号処理装置80において、ウエハステージWSTの次第に変化するY座標(位置Y)に対応させて、スリット92Xを通過した光を空間像計測装置88で受光して得られる検出信号SAを取り込み、取り込まれたデータを位置Yとともにメモリ51に格納する。
この場合にも、図4の評価用パターン94の描画誤差等の系統誤差を独立に計測するために、ウエハステージWSTを再び−Y方向に移動して、図9において露光領域IAの−Y方向の手前にスリット92Xを移動する。そして、照明光ILの照射を開始して、ウエハステージWSTを通常の走査速度に対して1/10から1/50程度に遅い走査速度で、即ち例えば15mm/secで+Y方向に走査しながら、図2の信号処理装置80において、ウエハステージWSTの一連のY座標(位置Y)に対応させて、スリット92Xを通過したエッジ部の像94EWの光を空間像計測装置88で受光して得られる検出信号SBを取り込み、取り込まれた一連の座標及び対応する検出信号SBのデジタルデータをメモリ51に格納する。ここで取り込む検出信号SBは、ローパスフィルタ回路86を経て機械的振動成分の除去された低周波数成分である。なお、機械的な振動が少ない場合には、この段階でも原信号である検出信号SAを検出してもよい。
図10(A)の曲線A1は上述の1回目のウエハステージWSTの走査で検出される評価用パターン94のエッジ部の像の検出信号SA(ウエハステージWSTのX方向の振動)の変化の一例を示し、曲線B1は上述の2回目のウエハステージWSTの走査で検出される検出信号SB(そのウエハステージWSTの振動中の描画誤差等の系統誤差)の変化の一例を示している。図10(A)において、横軸はウエハステージWSTの位置Y(ウエハ位置)[mm]であり、図10(A)の検出信号SA,SB中で高いピークとなっている部分は、図4のバーニアマーク部94Vに対応している。従って、露光領域IAの幅内でそのピークとなる部分以外が評価ウィンドウEY6,EY7,EY8となっている。また、図10(A)の縦軸は検出信号SA,SBをX方向の変位[μm]に換算した値であり、見やすくするために、曲線A1,B1及び後述の曲線C1,D1の平均値をずらして表示してる。
この例では、図1のレチクル干渉計54Rによって計測されているレチクルステージRSTのX座標をウエハ上での値に換算した値と、ウエハ干渉計54Wによって計測されているウエハステージWSTのX座標との差分である干渉計で計測される位置誤差SD[μm]も、位置Yに対応させて曲線D1として記録されている。
[第2工程]
図1の主制御装置50の演算部は、メモリ51内に格納されている図10(A)の検出信号SA及びSBを用いて、図10(A)の曲線C1に示すように、ウエハ位置毎に差分SC(=SA−SB)を計算する。この差分SC(ステージの計測方向の位置情報)の評価ウィンドウEY6〜EY8での値が、図4の評価用パターン94のエッジ部の空間像の系統誤差を除いた実質的な位置、即ちウエハステージWSTの計測方向(X方向)への振動を表している。本例によれば、図3のスリット92Xを通過した光を受光しており、例えば撮像素子でマーク像を撮像する場合に比べて応答速度が高いため、ウエハステージRSTを走査露光時と同様に高速に走査した場合の変位又は振動も高精度に検出することができる。
[第2工程]
図1の主制御装置50の演算部は、メモリ51内に格納されている図10(A)の検出信号SA及びSBを用いて、図10(A)の曲線C1に示すように、ウエハ位置毎に差分SC(=SA−SB)を計算する。この差分SC(ステージの計測方向の位置情報)の評価ウィンドウEY6〜EY8での値が、図4の評価用パターン94のエッジ部の空間像の系統誤差を除いた実質的な位置、即ちウエハステージWSTの計測方向(X方向)への振動を表している。本例によれば、図3のスリット92Xを通過した光を受光しており、例えば撮像素子でマーク像を撮像する場合に比べて応答速度が高いため、ウエハステージRSTを走査露光時と同様に高速に走査した場合の変位又は振動も高精度に検出することができる。
この場合、図10(A)の差分SCで検出されて、上記の干渉計の位置誤差SDで検出されない成分は、ウエハステージWSTの振動が主な成分と考えられる。逆に干渉計で検出されて図10(A)の差分SCで検出されない成分としては、可能性としては低いが干渉計の固定鏡、移動鏡の高周波振動がありえる。この場合の高周波とは、ウエハステージWSTが制御的に追従できない程度の周波数を指す。
また、図1の主制御装置50の演算部は、図10(A)の差分SC(ステージ振動成分)及び干渉計の位置誤差SDを位置Yを時間tに換算して周波数解析することによって、図10(B)の曲線E1及びF1でそれぞれ示すように、評価ウィンドウEY6〜EY8内の差分SC及び位置誤差SDのパワースペクトラム密度PSC及びPSDを求める。図10(B)において、横軸は周波数f[Hz]であり、縦軸はパワースペクトラム密度PSC及びPSD[μm2 /Hz]であり、縦軸の1目盛りは、1×10-6[μm2 /Hz]である。
この場合、差分SCから求めたパワースペクトラム密度PSC(曲線E1)のピークレベルは、干渉計の位置誤差SDから求めたパワースペクトラム密度PSD(曲線F1)のピークレベルよりもかなり大きいため、本例の空間像計測によれば、ステージの振動をより高感度に計測できることが分かる。また、例えば図10(B)の差分SC(ステージ振動成分)に対応するパワースペクトラム密度PSCがピークとなる周波数から、差分SCに影響を与えている要因(工場内の特定の振動源など)を特定できる場合がある。要因が特定できた場合には、その要因を除去すればよい。また、ウエハステージWSTを静止させた状態で上記の検出信号SAを検出することによって、ウエハステージWSTの静止状態での振動の状態も計測することができる。
[レチクルステージRSTとウエハステージWSTとの同期誤差の計測]
ここでは、走査露光時と同様に図2のレチクルステージRSTとウエハステージWSTとを同期走査するときの、レチクルステージRSTの座標をウエハ上での値に換算して得られる座標とウエハステージWSTの座標との目標値からのずれであるX方向及びY方向の同期誤差を計測する動作について、次の第1工程及び第2工程に分けて説明する。
ここでは、走査露光時と同様に図2のレチクルステージRSTとウエハステージWSTとを同期走査するときの、レチクルステージRSTの座標をウエハ上での値に換算して得られる座標とウエハステージWSTの座標との目標値からのずれであるX方向及びY方向の同期誤差を計測する動作について、次の第1工程及び第2工程に分けて説明する。
走査型露光装置における一つのステージ性能は、通常、図1の露光領域IAのY方向の幅(以下、「露光スリット幅」と言う)内の同期誤差の平均値であるMA(Moving Average)と、露光スリット幅内の同期誤差の標準偏差であるMSD(Moving Standard Deviation)とによって評価される。また、同期誤差は通常はレチクル干渉計54Rで計測されるレチクルステージRSTの座標と、ウエハ干渉計54Wで計測されるウエハステージWSTの座標とを用いて計測されている。同期誤差のMA成分は、ウエハW上のフォトレジストに感光される像の位置を変化させて、MSD成分は、フォトレジストに感光される像のコントラストを変化させる。しかしながら、レチクル干渉計54R及びウエハ干渉計54Wの計測値には投影光学系PLの結像特性の影響が含まれていない。そこで、本例では、その結像特性の影響を含めた実質的な同期誤差を次のようにして計測する。
[第1工程]
本例では、評価用パターンとして、図4のテストレチクルR1のエッジ部99Xを持つ第1パターン98Xとエッジ部99Yを持つ第2パターン98Yとを有する評価用パターン98を用いる。そして、第1パターン98Xのエッジ部99Xが実質的にY軸に平行になるように、そのテストレチクルR1をレチクルステージRST上にロードする。次に、図4の状態からレチクルステージRSTを+Y方向に駆動して、照明光ILの照明領域IAR内に第1パターン98Xのエッジ部99X及び第2パターン98Yのエッジ部99Yが入るようにして、レチクルステージRSTを静止させる。次に、ウエハステージWSTを駆動して、図3のスリット板90のスリット92X及び92Yがそれぞれエッジ部99X及び99Yの像を含むように位置決めを行う。
本例では、評価用パターンとして、図4のテストレチクルR1のエッジ部99Xを持つ第1パターン98Xとエッジ部99Yを持つ第2パターン98Yとを有する評価用パターン98を用いる。そして、第1パターン98Xのエッジ部99Xが実質的にY軸に平行になるように、そのテストレチクルR1をレチクルステージRST上にロードする。次に、図4の状態からレチクルステージRSTを+Y方向に駆動して、照明光ILの照明領域IAR内に第1パターン98Xのエッジ部99X及び第2パターン98Yのエッジ部99Yが入るようにして、レチクルステージRSTを静止させる。次に、ウエハステージWSTを駆動して、図3のスリット板90のスリット92X及び92Yがそれぞれエッジ部99X及び99Yの像を含むように位置決めを行う。
図11は、そのときのウエハステージWST上の露光領域IAを示し、この図11において、第1パターンの像98XWのエッジ部の像99XWがスリット92X内にあり、第2パターンの像98YWのエッジ部の像99YWがスリット92Y内にある。本例ではレチクルステージRST及びウエハステージWSTを走査露光時と同じ走査速度でY方向に同期して移動するが、エッジ部の像99XW及び99YWを検出してレチクルステージRSTとウエハステージWSTとのX方向(計測方向)及びY方向(スリット92Xの非計測方向)への相対的な位置ずれ量又は振動を検出できるのは、スリット92X,92Yが幅LYの露光領域IAを通過している期間のみである。
なお、例えばX方向用のスリット92Xを通過した光を受光する場合にはスリット92Yを通過した光はノイズ光となるため、スリット92Yの底面を液晶シャッタで覆うか、又は図11においてスリット92Yを第2パターンの像98YW中に入れてもよい。逆に、Y方向用のスリット92Yを通過した光を受光する場合には、スリット92Xの底面を液晶シャッタで覆うか、又は図11においてスリット92Xを第1パターンの像98XWの中に入れてもよい。
そして、本例ではレチクルステージRSTとウエハステージWSTとの投影光学系PLを介しての位置関係を維持した状態で、図11においてスリット板90を露光領域IAに対して−Y方向の手前側に移動して、照明光ILの照射を開始した後、レチクルステージRSTとウエハステージWSTとを走査露光時の通常の走査速度で、即ちウエハ上に換算した速さで300mm/secで+Y方向(レチクルステージRSTは実際には逆方向に移動している)に同期して走査する。この際に、図11において、第1及び第2パターンの像98XW及び98YWと、スリット板90とはそれぞれ矢印A1及びA2で示すように+Y方向に同期して移動する。この動作と並行して、図2の信号処理装置80において、ウエハステージWSTの次第に変化するY座標(位置Y)に対応させて、X方向用のスリット92Xを通過した光を空間像計測装置88で受光して得られる検出信号SAを取り込み、取り込まれたデータを位置Yとともにメモリ51に格納する。また、この動作がY方向用のスリット92Yを通過した光を取り込む状態で繰り返される。
この場合にも、図4の評価用パターン98の描画誤差等の系統誤差を独立に計測するために、レチクルステージRSTとウエハステージWSTとの位置関係を維持した状態で、ウエハステージWSTを再び−Y方向に移動して、図11において露光領域IAの−Y方向の手前にスリット板90を移動する。そして、照明光ILの照射を開始して、レチクルステージRSTとウエハステージWSTとを通常の走査速度に対して1/10から1/50程度に遅い走査速度で、即ち例えばウエハ上に換算した速さで15mm/secで+Y方向に同期して走査しながら、図2の信号処理装置80において、ウエハステージWSTの一連のY座標(位置Y)に対応させて、スリット92Xを通過したエッジ部の像94EWの光を空間像計測装置88で受光して得られる検出信号SBを取り込み、取り込まれた一連の座標及び対応する検出信号SBのデジタルデータをメモリ51に格納する。ここで取り込む検出信号SBは、ローパスフィルタ回路86を経て機械的振動成分の除去された低周波数成分である。なお、機械的な振動が少ない場合には、この段階でも原信号である検出信号SAを検出してもよい。また、この動作がY方向用のスリット92Yを通過した光を取り込む状態で繰り返される。
図12(A)の曲線A2は上述の1回目のレチクルステージRST及びウエハステージWSTの同期走査時に第1パターン98のエッジ部の像をスリット92Xを介して検出して得られる検出信号SA(両ステージのX方向の相対位置)の変化の一例を示し、曲線B2は上述の2回目の同期走査で検出される検出信号SB(その両ステージの相対位置中の描画誤差等の系統誤差)の変化の一例を示している。図12(A)において、横軸はウエハステージWSTの位置Y(ウエハ位置)[mm]であり、図12(A)の検出信号SA,SB中でレベルの高い部分が評価ウィンドウEY9内の部分である。また、図12(A)の縦軸も検出信号SA,SBをX方向の変位[μm]に換算した値であり、見やすくするために、曲線A2,B2及び後述の曲線C2,D2の平均値をずらして表示してる。
また、この例でも、図1のレチクル干渉計54Rによって計測されているレチクルステージRSTのX座標をウエハ上での値に換算した値と、ウエハ干渉計54Wによって計測されているウエハステージWSTのX座標との差分である干渉計で計測されるX方向の位置誤差SD[μm]も、位置Yに対応させて曲線D2として記録されている。
また、図12(A)に対応させて、不図示であるが、レチクルステージRST及びウエハステージWSTの同期走査時に第2パターン98のエッジ部の像をスリット92Yを介して検出したときに得られる検出信号SA,SB(両ステージのX方向の相対位置)の変化も記憶されている。
また、図12(A)に対応させて、不図示であるが、レチクルステージRST及びウエハステージWSTの同期走査時に第2パターン98のエッジ部の像をスリット92Yを介して検出したときに得られる検出信号SA,SB(両ステージのX方向の相対位置)の変化も記憶されている。
[第2工程]
図1の主制御装置50の演算部は、メモリ51内に格納されている図12(A)の検出信号SA及びSBを用いて、図12(A)の曲線C2に示すように、ウエハ位置毎に差分SC(=SA−SB)を計算する。この差分SC(ステージの計測方向の位置情報)の評価ウィンドウEY9での値が、図4の第1パターン98Xのエッジ部の空間像の系統誤差を除いた実質的な位置、即ちレチクルステージRSTとウエハステージWSTとの計測方向(X方向)への相対的な位置ずれ(空間像から求めた同期誤差)を表している。本例によれば、図3のスリット92Xを通過した光を受光しており、例えば撮像素子でマーク像を撮像する場合に比べて応答速度が高いため、その相対的な位置ずれをウエハ位置に関してより細かい分解能で高精度に検出することができる。
図1の主制御装置50の演算部は、メモリ51内に格納されている図12(A)の検出信号SA及びSBを用いて、図12(A)の曲線C2に示すように、ウエハ位置毎に差分SC(=SA−SB)を計算する。この差分SC(ステージの計測方向の位置情報)の評価ウィンドウEY9での値が、図4の第1パターン98Xのエッジ部の空間像の系統誤差を除いた実質的な位置、即ちレチクルステージRSTとウエハステージWSTとの計測方向(X方向)への相対的な位置ずれ(空間像から求めた同期誤差)を表している。本例によれば、図3のスリット92Xを通過した光を受光しており、例えば撮像素子でマーク像を撮像する場合に比べて応答速度が高いため、その相対的な位置ずれをウエハ位置に関してより細かい分解能で高精度に検出することができる。
この場合、図12(A)の差分SCで検出されて、上記の干渉計の位置誤差SDで検出されない成分は、レチクルステージRST及びウエハステージWSTの振動が主な成分と考えられる。逆に干渉計で検出されて図12(A)の差分SCで検出されない成分としては、可能性としては低いが干渉計の固定鏡、移動鏡の高周波振動がありえる。この場合の高周波数とは、レチクルステージRST及びウエハステージWSTが制御的に追従できない程度の周波数を指す。
また、差分SCは、レチクルステージRST及びウエハステージWSTの同期走査時に第2パターン98のエッジ部の像をスリット92Yを介して検出したときに得られる検出信号SA,SB(両ステージのX方向の相対位置)に関しても求められる。
また、図1の主制御装置50の演算部は、図12(A)の差分SC(両ステージの振動成分)及び干渉計の位置誤差SDを位置Yを時間tに換算して周波数解析することによって、図12(B)の曲線E2及びF2でそれぞれ示すように、評価ウィンドウEY9内の差分SC及び位置誤差SDのパワースペクトラム密度PSC及びPSDを求める。図12(B)において、横軸は周波数f[Hz]であり、縦軸はパワースペクトラム密度PSC及びPSD[μm2 /Hz]であり、縦軸の1目盛りは、1×10-6[μm2 /Hz]である。
また、図1の主制御装置50の演算部は、図12(A)の差分SC(両ステージの振動成分)及び干渉計の位置誤差SDを位置Yを時間tに換算して周波数解析することによって、図12(B)の曲線E2及びF2でそれぞれ示すように、評価ウィンドウEY9内の差分SC及び位置誤差SDのパワースペクトラム密度PSC及びPSDを求める。図12(B)において、横軸は周波数f[Hz]であり、縦軸はパワースペクトラム密度PSC及びPSD[μm2 /Hz]であり、縦軸の1目盛りは、1×10-6[μm2 /Hz]である。
この場合、差分SCから求めたパワースペクトラム密度PSC(曲線E2)のピークレベルは、干渉計の位置誤差SDから求めたパワースペクトラム密度PSD(曲線F2)のピークレベルよりもかなり大きいため、本例の空間像計測によれば、ステージの振動をより高感度に計測できることが分かる。また、例えば図12(B)の差分SC(ステージ振動成分)に対応するパワースペクトラム密度PSCがピークとなる周波数から、差分SCに影響を与えている要因(工場内の特定の振動源など)を特定できる場合がある。要因が特定できた場合には、その要因を除去すればよい。
以上がステージ性能の計測工程である。その後に図1の投影露光装置のレチクルステージRST上に露光用のレチクルRをロードして走査露光を行う場合には、例えば図12(A)の曲線C2で示される差分SC(レチクルステージRSTとウエハステージWSTとの相対的な位置ずれ量)が所定の目標値となるように、レチクルステージRST又はウエハステージWSTの位置を補正すればよい。これによって、重ね合わせ精度等の露光精度が向上する。
上述のように本例によれば、干渉計で計測されるステージの座標からは計測困難な空間像(又はステージ)の変位又は振動を直接計測でき、空間像の動的な位置測定を高精度に行うことができる。このように高精度に空間像の変位又は振動をモニタできるため、例えばそのモニタ結果の周波数解析等により振動の要因の特定などを効率良く行うことができる。また、定期的に投影露光装置のステージ性能等を確認することも容易に行うことができる。
また、上記各実施形態では、投影光学系として縮小系を用いる場合について説明したが、これに限らず、投影光学系として等倍あるいは拡大系を用いても良いし、投影光学系は屈折系、反射屈折系、又は反射系のいずれであっても良い。
また、例えば半導体デバイスは、デバイスの機能・性能設計を行うステップ、この設計ステップに基づいてレチクルを製作するステップ、シリコン材料からウエハを製作するステップ、前述した実施形態の投影露光装置(露光装置)によりレチクルのパターンをウエハに転写するステップ、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)、及び検査ステップ等を経て製造される。
また、例えば半導体デバイスは、デバイスの機能・性能設計を行うステップ、この設計ステップに基づいてレチクルを製作するステップ、シリコン材料からウエハを製作するステップ、前述した実施形態の投影露光装置(露光装置)によりレチクルのパターンをウエハに転写するステップ、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)、及び検査ステップ等を経て製造される。
また、上記各実施形態では、本発明が走査露光型の投影露光装置に適用された場合について説明したが、これに限らず、マスクとウエハとを静止した状態でマスクのパターンをウエハに転写するステッパー等の静止露光型(一括露光型)の投影露光装置でステージ性能の評価等を行う場合にも本発明を適用することができる。また、本発明は、例えば国際公開第99/49504号パンフレットに開示されている液浸型露光装置でステージ性能の評価等を行う場合にも適用することができる。
また、本発明は、半導体デバイス製造用の露光装置に限らず、液晶表示素子やプラズマディスプレイなどを含むディスプレイの製造に用いられる、デバイスパターンをガラスプレート上に転写する露光装置、薄膜磁気ヘッドの製造に用いられるデバイスパターンをセラミックウエハ上に転写する露光装置、及び撮像素子(CCDなど)、有機EL、マイクロマシーン、DNAチップなどの製造に用いられる露光装置などにも適用することができる。また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるマスクを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。
なお、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の構成を取り得ることは勿論である。
本発明の露光装置によれば、ステージ又は所定のパターンの空間像の動的な位置情報を高い応答速度で計測することができる。また、その位置情報の計測結果の周波数解析等を行うことによって、その計測結果の要因の特定などを効率的に行うことができる。
12…照明光学系、14…光源、50…主制御装置、51…メモリ、80…信号処理装置、85…受光素子、88…空間像計測装置、90…スリット板、92X,92Y…スリット、92P…ピンホール、94,95…評価用パターン、98X…第1パターン、98Y…第2パターン、PL…投影光学系、R…レチクル、RST…レチクルステージ、W…ウエハ、WST…ウエハステージ
Claims (14)
- 第1ステージ上の第1物体を露光ビームで照明し、前記露光ビームで前記第1物体及び投影光学系を介して第2ステージ上の第2物体を露光するに際して、前記第1ステージの位置情報を計測する計測方法であって、
前記第1ステージに第1方向に伸びたエッジ部を有するパターンを設けておき、前記パターンに前記露光ビームを照射した状態で、前記第1ステージを前記第1方向に移動しながら、前記エッジ部を通過した前記露光ビームを前記投影光学系を介して受光する第1工程を有することを特徴とする計測方法。 - 前記第1工程で得られる情報から前記第1ステージの前記第1方向と直交する第2方向の位置情報を求める第2工程をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の計測方法。
- 前記第2工程で求められる位置情報は、前記第1ステージを前記第1方向に移動するときの前記第1ステージの前記第2方向の振動の情報を含むことを特徴とする請求項2に記載の計測方法。
- 第1ステージ上の第1物体を露光ビームで照明し、前記露光ビームで前記第1物体及び投影光学系を介して第2ステージ上の第2物体を露光するに際して、前記第2ステージの位置情報を計測する計測方法であって、
前記露光ビームで第1方向に伸びたエッジ部を有するパターンを照明し、前記パターンの像を前記投影光学系を介して投影した状態で、前記第2ステージを前記第1方向に移動しながら、前記エッジ部の像を前記第2ステージを介して受光する第1工程を有することを特徴とする計測方法。 - 前記第1工程で得られる情報から前記第2ステージの前記第1方向と直交する第2方向の位置情報を求める第2工程をさらに有することを特徴とする請求項4に記載の計測方法。
- 前記第2工程で求められる位置情報は、前記第2ステージを前記第1方向に移動するときの前記第2ステージの前記第2方向の振動の情報を含むことを特徴とする請求項5に記載の計測方法。
- 前記パターンは、前記第1方向に伸びたエッジ部を有して前記第1ステージに設けられた第1パターンを含み、
前記第1工程は、前記第2ステージに同期して前記第1ステージを前記第1方向に移動する工程を含み、
前記第1工程で得られる情報から前記第1ステージと前記第2ステージとの前記第2方向の同期誤差の情報を求める第2工程をさらに有することを特徴とする請求項4に記載の計測方法。 - 前記パターンは、前記第2方向に伸びたエッジ部を有して前記第1ステージに設けられた第2パターンを含み、
前記第1工程は、前記2ステージに同期して前記第1ステージを前記第1方向に移動する工程を含み、
前記第1工程で得られる情報から前記第1ステージと前記第2ステージとの前記第1方向の同期誤差の情報を求める第2工程をさらに有することを特徴とする請求項4又は7に記載の計測方法。 - 前記第1工程は、前記パターンのエッジ部の像の少なくとも一部を含むように配置された開口を介して前記露光ビームを受光する工程を含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の計測方法。
- 前記開口は、スリット、ピンホール、又は一端がナイフエッジとされた開口であることを特徴とする請求項9に記載の計測方法。
- 第1ステージ上の第1物体を露光ビームで照明し、前記露光ビームで前記第1物体及び投影光学系を介して第2ステージ上の第2物体を露光する露光方法において、
請求項1〜10のいずれか一項に記載の計測方法を用いて前記第1ステージ及び前記第2ステージの少なくとも一方の前記第1方向に直交する第2方向の位置情報を求める計測工程と、
前記計測工程で求められた位置情報に基づいて前記第1ステージ又は前記第2ステージの位置を補正しながら前記第1及び第2ステージを駆動して前記第2物体を露光する露光工程とを有することを特徴とする露光方法。 - 第1ステージ上の第1物体を露光ビームで照明し、前記露光ビームで前記第1物体及び投影光学系を介して第2ステージ上の第2物体を露光する露光装置において、
前記第1ステージに設けられるとともに第1方向に伸びたエッジ部を有するパターンと、
前記第1ステージ及び前記第2ステージの少なくとも一方を前記第1方向に駆動する駆動機構と、
前記第2ステージに少なくとも一部が設けられて前記投影光学系を介した前記露光ビームを受光する光電センサと、
前記露光ビームのもとで前記パターンの像を前記投影光学系を介して投影した状態で、前記駆動機構によって前記第1ステージ及び前記第2ステージの少なくとも一方を前記第1方向に移動しながら、前記エッジ部の像を前記光電センサで受光する制御装置とを有することを特徴とする露光装置。 - 前記光電センサは、前記パターンのエッジ部の像の少なくとも一部を含む大きさの開口が形成されて前記第2ステージに設けられた開口部材と、前記開口を通過した前記露光ビームを受光する光電検出器とを含み、
前記制御装置は、前記光電センサで受光して得られる情報から、前記第1ステージ及び前記第2ステージの少なくとも一方の前記第1方向に直交する第2方向の位置情報を求めることを特徴とする請求項12に記載の露光装置。 - 前記駆動機構は、前記第1ステージと前記第2ステージとを前記第2方向に同期して駆動する機構を含み、
前記パターンは、前記第1方向に伸びたエッジ部を有する第1パターンと、前記第2方向に伸びたエッジ部を有する第2パターンとを含み、
前記開口は、前記第1パターンのエッジ部の少なくとも一部の像を含む大きさの第1開口と、前記第2パターンのエッジ部の少なくとも一部の像を含む大きさの第2開口とを含み、
前記制御装置は、前記光電センサで受光して得られる情報から、前記第1ステージと前記第2ステージとを同期して駆動する際の前記第2方向及び前記第1方向の同期誤差の情報を求めることを特徴とする請求項13に記載の露光装置。
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JP2004190571A JP2006013266A (ja) | 2004-06-28 | 2004-06-28 | 計測方法、露光方法、及び露光装置 |
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