JP2006011414A - 液晶表示素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】視角特性を改善することができ、しかも、コストの低減が可能な液晶表示素子を提供することを目的とする。
【解決手段】偏光子構成体Pを構成する第1位相差板R1と第3位相差板R3とが協同して第1偏光板PL1を通過した直線偏光に4分の1波長の位相差を付与する。検光子構成体Aを構成する第2位相差板R2と第4位相差板R4とが協同して第2偏光板PL2を通過した直線偏光に4分の1波長の位相差を付与する。第1位相差板R1及び第2位相差板R2のそれぞれの面内における遅相軸が略平行であり、第1位相差板R1及び第3位相差板R3のそれぞれの面内における遅相軸の交差角が略60°であり、第2位相差板R2及び第4位相差板R4のそれぞれの面内における遅相軸の交差角が略60°であり、第3位相差板R3及び第4位相差板R4のそれぞれの面内における遅相軸の交差角が略60°であることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

この発明は、液晶表示素子に係り、特に円偏光主導型の垂直配向モードの液晶表示素子に関する。
液晶表示装置は、薄型、軽量、低消費電力である等の様々な特徴を有しており、OA機器、情報端末、時計、及びテレビ等の様々な用途に応用されている。特に、薄膜トランジスタ(以下、TFTという)を有する液晶表示装置は、その高い応答性から、携帯テレビやコンピュータなどのように多量の情報を表示するモニタとして用いられている。
近年、情報量の増加に伴い、画像の高精細化や表示速度の高速化に対する要求が高まっている。これら要求のうち画像の高精細化は、例えば、上述したTFTが形成するアレイ構造を微細化することによって実現されている。
一方、表示速度の高速化に関しては、従来の表示モードに代わって、例えばネマティック液晶を用いたOCB(Optically Compensated Birefringence)モード、VAN(Vertically Aligned Nematic)モード、HAN(Hybrid Aligned Nematic)モード、及び、π配列モード、並びにスメクチック液晶を用いた界面安定型強誘電性液晶(SSFLC: Surface−Stabilized Ferroelectric Liquid Crystal)モード及び反強誘電性液晶(AFLC: Anti−Ferroelectric Liquid Crystal)モードなどを採用することが検討されている。
これら表示モードのうち、特にVANモードは、従来のTN(Twisted Nematic)モードよりも速い応答速度を得ることができ、さらに静電気破壊のような不良発生の原因となるラビング処理を垂直配向により不要にできるという特長を有している。なかでも、配向分割型VANモード(以下、MVAモードという)は、視野角の拡大が比較的容易なことから特に注目されている。
MVAモードでは、マスクラビング、画素電極構造の工夫、画素内に突起を設けるなどして、これらによって画素電極及び対向電極から画素領域に印加される電界の傾きを制御することが行われている。液晶層の画素領域は、液晶分子の配向方向が電圧印加状態で互いに90°の角度をなすような例えば4つのドメインに配向分割され、これにより、視角特性の対称性改善と反転現象の抑止を実現している。
なおかつ、液晶分子が基板主面にほぼ垂直に配列した状態、すなわち黒表示状態での液晶層の位相差の視角依存性を負の位相差板を用いて補償し、これにより、視角に対するコントラスト(CR)を良好なものとしている。さらに、この負の位相差板が偏光板の視角依存性も補償するような面内位相差をもつ2軸位相差板であれば、さらに優れた視角−コントラスト特性を実現することができる。
しかしながら、従来のMVAモードでは、各画素内を配向分割しているため、配向分割境界及び配向分割構造である画素内突起や画素電極スリットの近傍にシュリーレン配向や意図しない方位への配向など、望ましい液晶配列方位とは異なる方位に配列した領域が形成される。
直線偏光板を用い、直線偏光主導の複屈折制御をした液晶表示素子のクロスニコル下における液晶層の透過率Tlp(LC)は次式で表わされる。
Figure 2006011414
この数式(1)において、Iは偏光板の透過軸に平行な直線偏光の透過率であり、θは液晶層の遅相軸と偏光板の光軸とのなす角度であり、Vは印加電圧であり、dは液晶層の厚みであり、λは液晶表示素子への入射光の波長である。
数式(1)において、屈折率異方性Δn(λ,V)は、その領域における実効的な印加電圧及びネマティック液晶分子の各々の傾き角に依存する。T(LC)を0乃至Iに変化させるためには、Δn(λ,V)d/λを0乃至λ/2のレンジで変化させ、なおかつ、θの値をπ/4(rad)とする必要がある。このため、液晶分子がπ/4以外の方位に配列した領域では、透過率が低下することになる。前述したように、MVAモードは、配向分割をしているために、必然的にこうした領域を伴っている。したがって、MVAモードは、TNモードなどと比較して透過率が低いといった問題を有している。
こうした問題を解決するために、円偏光主導型のMVAモードが検討されている。直線偏光板の代わりに位相差板すなわち進相軸及び遅相軸をそれぞれ透過する所定波長の光の間に1/4波長の位相差を与える一軸の4分の1波長板を備えた偏光板、つまり円偏光板を用いることによって前述した問題を解決している。円偏光板を用い、円偏光主導型の複屈折制御をした液晶表示素子のクロスニコル下における液晶層の透過率Tcp(LC)は次式で表わされる。
Figure 2006011414
この数式(2)からわかるように、透過率Tcp(LC)は、液晶分子の配列方位に依存しない。したがって、配向分割境界及び配向分割構造の近傍にシュリーレン配向や意図しない方位への配向など、望ましい液晶配列方位とは異なる方位に配列した領域を伴っていても液晶分子の傾きさえ制御できれば、所望の透過率を得ることができるわけである。
しかしながら、従来の円偏光主導型のMVAモードは、視角特性が狭いといった問題を抱えている。
図7は、従来の円偏光主導型MVAモードの液晶表示素子の断面構造の一例を示したものである。図7に示すように、第1基板13は、その内面に設けられたITO(インジクム・ティン・オキサイド)からなる共通電極9を備えており、この共通電極9上に画素内を配向分割するための突起12を備えている。これと対向する第2基板14は、その内面に設けられたITOからなる画素電極10を備えており、画素内を配向分割するためのスリット11(画素電極がない領域)を備えている。共通電極9と画素電極10との間には、誘電異方性が負のネマティック液晶7が狭持されており、液晶分子8が電圧を印加しない状態にて基板主面に対してほぼ垂直に配列するよう配向処理がなされている。
こうした構造からなる液晶セルは、その両外面にそれぞれ設けられた、位相差板3,4、及び、偏光板5,6を備えている。位相差板3、4は、屈折率異方性(nx>ny=nz)を有する1軸の4分の1波長板であり、その遅相軸が偏光板5,6の透過軸とπ/4(rad)の角度をなすように設けられている。
このような構造では、一対の位相差板3,4は、それぞれの遅相軸が互いに直交する構造となるので、負の位相差板として作用する。例えば550nmの波長の光に対しては−280nm程度の負の位相差を与える。これに対し、液晶層7は、電界制御により2分の1波長の位相差変化を得るには、材料の屈折率異方性Δnと液晶層厚dとを乗じた値Δn・dを300nm以上とする必要がある。このため、液晶表示素子としてのトータルの位相差はゼロとはならず、黒表示時の視角特性が劣化する。また、1軸の4分の1波長板を用いているので、偏光板の視角特性に起因して液晶層に入射する円偏光の偏光特性にも視角依存性が生じている。
このようにして、従来の円偏光主導型MVAモードは、液晶層に入射する入射光を略円偏光として前述した透過率が低い問題を解決しているが、液晶層に入射する円偏光の視角依存性や液晶層の位相差の視角依存性を補償する手段を設けていないため、コントラスト視角が狭いといった問題が生じる。
図8は、図7に示した構造を有する液晶表示素子の等コントラスト曲線の測定結果の一例である。ここでは、0度(deg.)及び180度(deg.)の方位が画面の左右方向に相当し、90度(deg.)及び270度(deg.)の方位が画面の上下方向に相当するものとする。図8に示すように、コントラスト比が10:1以上の視野は、上下左右とも±40°程度と狭く、実用に耐え得る特性は得られていなかった。
こうした問題に対し、1軸の4分の1波長板の代わりに図10に示すような屈折率異方性(nx>ny>nz)を有する2軸の4分の1波長板を用いて液晶層に入射する円偏光の視角依存性を補償し、視角特性を改善する提案がなされている。
図9は、図10に示した2軸の4分の1波長板15を用いた円偏光主導型MVAモード液晶表示素子の断面構造の一例を示したものである。この構造では、用いた4分の1波長板の屈折率楕円体が図10に示すようにnx>ny>nzとなっているため、面内の位相差は4分の1波長であり、上下で面内遅相軸が互いに直交するように配置すれば負の位相差板として機能するので、その位相差値を制御すれば液晶層の法線方向の位相差を補償し、視角特性が改善される。
図11は、図9に示した円偏光主導型MVAモード液晶表示素子の等コントラスト曲線の実測結果である。図8に示した結果と比較して、若干視野が拡大され、特性の改善がなされていることがわかる。しかしながら、斜め方位については、コントラスト比10:1以上の視野は±80°程度と広いが上下左右方位は±40°程度と実用に耐え得る視角特性となっていない。これは、液晶層の法線方向の位相差が前述した2軸の4分の1波長板である程度改善されるものの、実際、用いることができるフィルムとしては高分子フィルムであり、液晶層の位相差の波長分散に合致させることが困難であることに起因している。また、円偏光板として見れば、十分な視角特性を得る構造とはなっていないことも前述したコントラスト比の視角特性の一因となっている。
これに対し、図10に示した2軸の4分の1波長板の代わりに図13に示すような屈折率異方性を有する2軸の4分の1波長板を用いた円偏光主導型MVAモード液晶表示素子も提案されている。
図12は、図13に示した2軸の4分の1波長板16を用いた円偏光主導型MVAモード液晶表示素子の断面構造の一例を示したものである。この構造では、用いた4分の1波長板の屈折率異方性が図13に示すようにnx>ny<nzとなっている。図7及び図9に示した構造と同様に、MVAモードの液晶セルの外面に4分の1波長板16及び偏光板5,6を配置した構造となっている。
図12に示した構造では、用いた4分の1波長板の屈折率がny<nzとなっているため、仮にnx>nzであってもこれを液晶セルの上下で遅相軸が直交となるよう配置しても、1軸の4分の1波長板を上下で直交配置した図7の構造と比較して負の位相差としての作用が弱まるし、nx<nzの場合は正の位相差を生ずる。したがって、液晶層の屈折率異方性Δnが極めて小さい場合、つまり、液晶層の位相差変化量が2分の1波長を下回り、液晶セルの透過率が不十分となるような条件としない限り、図7の構造よりもコントラスト視角特性が狭くなってしまう。
図14は、図12に示した円偏光主導型MVAモード液晶表示素子の等コントラスト曲線の実測結果である。図14に示すように、コントラスト比が1:1以下の領域が生じており、図8及び図11より狭い視角特性となっていることがわかる。こうした特性となっているのは、図9に示した構造と同様に、円偏光板として見れば、十分な視角特性を得る構造とはなっていないことも一因している。
また、図9に示した構造及び図12に示した構造は、ともに2軸の4分の1波長板を用いている。こうした2軸の位相差板は、高分子フィルムを2軸延伸して得ているため、製造コストが高くなる問題を抱えている。また、屈折率の制御も限られた範囲でしかなしえないので、所望の屈折率楕円体を実現することが困難となっている。さらには、2軸性を得るために、材料の選択範囲が狭く、液晶の屈折率の波長分散特性に合致させることが困難であるといった問題も抱えている(例えば、非特許文献1及び非特許文献2参照。)。
T.Ishinabe etal,A Wide Viewing Angle Polarizer and a Quarter−wave plate with a Wide Wavelength Range for Extremely High Quality LCDs,IDW’01 Proceedings,p485(2001) Y.Iwamoto etal,Improvement of Display Performance of High Transmittance Photo−Alined Multi−domain Vertical Alignment LCDs Using Circular Polarizers,IDW’02 Proceedings,p85(2002)
この発明は、上述した問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、視角特性を改善することができ、しかも、コストの低減が可能な液晶表示素子を提供することにある。
この発明の態様による液晶表示素子は、
2枚の電極付基板間に液晶層を挟持した液晶セルの一方の側に配置された第1偏光板と、
前記液晶セルの他方の側に配置された第2偏光板と、
前記第1偏光板と前記液晶セルとの間に配置された第1位相差板と、
前記第2偏光板と前記液晶セルとの間に配置された第2位相差板と、
前記第1偏光板と前記第1位相差板との間に配置された第3位相差板と、
前記第2偏光板と前記第2位相差板との間に配置された第4位相差板と、を備え、
前記第1位相差板と前記第3位相差板とが協同して前記第1偏光板を通過した直線偏光に4分の1波長の位相差を付与し、かつ、前記第2位相差板と前記第4位相差板とが協同して前記第2偏光板を通過した直線偏光に4分の1波長の位相差を付与するものであって、
前記第1位相差板及び前記第2位相差板のそれぞれの面内における遅相軸が略平行であり、
前記第1位相差板及び第2位相差板の遅相軸と、前記第3位相差板の遅相軸と、前記第4位相差板の遅相軸とは、それぞれ面内で異方性をキャンセルする方向に配置されていることを特徴とする。
この発明によれば、視野角特性を改善することができ、しかも、コストの低減が可能な液晶表示素子を提供することができる。
以下、この発明の一実施の形態に係る液晶表示素子について図面を参照して説明する。
図1は、一実施の形態に係る液晶表示素子の構成を概略的に示す図である。ここでは、特に、各画素の液晶分子が液晶層に電圧を印加していない状態において基板主面に対してほぼ垂直に配向した円偏光主導型の垂直配向モードの液晶表示素子について説明するが、この発明は、2枚の電極付基板間に電圧を印加する手段を設けた縦電界型の電界制御複屈折(ECB)モードの液晶表示素子に適用可能である。
すなわち、図1に示した液晶表示素子は、偏光子構成体Pと、可変リターダー構成体VRと、検光子構成体Aと、を備えている。可変リターダー構成体VRは、偏光子構成体Pと検光子構成体Aとの間に配置されている。
可変リターダー構成体VRは、2枚の電極付基板間に液晶層を挟持したドットマトリクス型の液晶セルCを備えている。すなわち、この液晶セルCは、MVAモードの液晶セルであって、アクティブマトリクス基板14と対向基板13との間に液晶層7を挟持した構造を有している。また、これらアクティブマトリクス基板14と対向基板13との間隔は、図示しないスペーサによって一定に維持されている。
アクティブマトリクス基板14は、ガラス基板などの光透過性を有する絶縁基板を用いて構成され、その一方の主面上に、走査線や信号線などの各種配線、走査線と信号線との交差部付近に設けられたスイッチング素子などを備えている。また、アクティブマトリクス基板14は、各画素のスイッチング素子に接続された画素電極10を備えている。画素電極10の表面は、液晶層7に含まれる液晶分子の配向を制御する配向膜によって覆われている。
走査線及び信号線などの各種配線は、アルミニウム、モリブデン、銅などによって形成されている。また、スイッチング素子は、例えば、アモルファスシリコンやポリシリコンを半導体層とし、アルミニウム、モリブデン、クロム、銅、タンタルなどをメタル層として備えた薄膜トランジスタ(TFT)である。このスイッチング素子は、走査線、信号線、並びに画素電極10と接続されている。アクティブマトリクス基板14では、このような構成により、所望の画素電極10に対して選択的に電圧を印加することを可能としている。
画素電極10は、ITO(インジウム・ティン・オキサイド)のような光透過性を有する導電材料によって形成され得る。配向膜は、ポリイミドなどの光透過性を有する樹脂材料からなる薄膜によって構成されている。なお、この実施形態では、配向膜には、ラビング処理は施さずに液晶分子8に垂直配向性を付与している。
対向基板13は、ガラス基板などの光透過性を有する絶縁基板を用いて構成され、その一方の主面上に、共通電極9を備えている。この共通電極9の表面は、液晶層7に含まれる液晶分子の配向を制御する配向膜によって覆われている。共通電極9は、画素電極10と同様に、光透過性を有する導電材料、例えばITOによって形成され得る。また、配向膜は、アクティブマトリクス基板14側の配向膜と同様に、光透過性を有する樹脂材料、例えばポリイミドによって形成され得る。なお、この実施形態では、共通電極9は、すべての画素電極と切れ目なく対向するよう平坦な連続膜として形成されている。
カラー液晶表示素子として構成する場合、液晶セルCは、カラーフィルタ層を備えている。カラーフィルタ層は、3原色例えば青、緑、赤にそれぞれ着色された着色層で構成されている。このカラーフィルタ層は、アクティブマトリクス基板14側の絶縁基板と画素電極10との間に設けてCOA(color filter on array)構造を採用しても良いし、対向基板13側に設けてもよい。
COA構造を採用した場合、カラーフィルタ層にはコンタクトホールが設けられており、画素電極10は、このコンタクトホールを介してスイッチング素子と接続されている。このようなCOA構造は、アクティブマトリクス基板14と対向基板13とを貼り合わせて液晶セルCを構成する際に、アライメントマークなどを利用した高精度な位置合わせが不要となる利点を有している。
液晶層7は、誘電異方性が負のネマティック液晶組成物によって構成されている。この実施の形態では、液晶組成物として、メルク(株)社製のMJ02151を用いた。ここで用いた液晶材料の屈折率異方性Δnは、0.093(測定波長は550nmである。以下位相差板の屈折率や位相差は全て波長550nmでの測定値を記す。)であり、液晶層7の厚みdは3.3μmである。したがって、液晶層7のΔn・dは、308nmである。
この実施の形態に係る液晶表示素子は、液晶セルCにおいて、所定電圧を印加した状態もしくは印加電圧にかかわらず、画素内の液晶分子が少なくとも2方位を向くように配向制御された配向分割型の垂直配向モードを採用している。特に、各画素における開口領域のうち、少なくとも半分の領域において、液晶分子の配列方位が第2偏光板PL2の吸収軸(若しくは透過軸)と略平行となるように制御されることが望ましい。
このような配向制御は、図1に示したように、画素内に配向分割制御用の突起12を備えることで実現可能であるし、また、画素電極10または共通電極9の一部に配向分割制御用のスリット11を設けることでも実現可能であり、さらには、アクティブマトリクス基板14及び対向基板13における液晶層7を挟持する面に配向分割制御用のラビング等の配向処理を施した配向膜を設けることでも実現可能である。さらには、これらの突起12、スリット11、及び、配向処理を施した配向膜の少なくとも2つを組み合わせても良いことは言うまでもない。
偏光子構成体P及び検光子構成体Aは、可変リターダー構成体VRの面内位相差が略ゼロである状態で黒表示となるように、それぞれ少なくとも1枚の位相差板を備えて構成されている。なお、面内位相差とは、基板主面と平行な面内で直交する2方位での屈折率(例えばnx及びny)の差に起因して生ずる位相差である。
すなわち、偏光子構成体Pは、液晶セルCの光源すなわちバックライトユニットBL側に配置されている。ここで説明する偏光子構成体Pは、第1偏光板PL1の他に2枚の位相差板を備えており、第1偏光板PL1と液晶セルCとの間に配置された第1位相差板R1と、第1偏光板PL1と第1位相差板R1との間に配置された第3位相差板R3と、を備えて構成されている。
検光子構成体Aは、液晶セルCの観察側に配置されている。ここで説明する検光子構成体Aは、第2偏光板PL2の他に2枚の位相差板を備えており、第2偏光板PL2と液晶セルCとの間に配置された第2位相差板R2と、第2偏光板PL2と第2位相差板R2との間に配置された第4位相差板R4と、を備えて構成されている。
第1偏光板PL1及び第2偏光板PL2は、それぞれ、面内において互いにほぼ直交する透過軸及び吸収軸を有している。第1位相差板R1及び第2位相差板R2は、それぞれ、面内において互いにほぼ直交する進相軸及び遅相軸を有しており、進相軸及び遅相軸をそれぞれ透過する所定波長(例えば550nm)の光の間に1/4波長の位相差(面内位相差)を与える4分の1波長板として機能する。第3位相差板R3及び第4位相差板R4は、それぞれ、面内において互いにほぼ直交する進相軸及び遅相軸を有しており、進相軸及び遅相軸をそれぞれ透過する所定波長(例えば550nm)の光の間に1/2波長の位相差(面内位相差)を与える2分の1波長板として機能する。
第1位相差板R1及び第3位相差板R3は、協同して第1偏光板PL1の透過軸を通過した直線偏光をほぼ円偏光として出射する。
第3位相差板R3は、所定波長(例えば550nm)に対しては、第1偏光板PL1の透過軸を通過した直線偏光の位相(より厳密には直線偏光のうち第3位相差板R3の進相軸及び遅相軸をそれぞれ通過する光線成分の間の位相)を1/2ずらす。また、第1位相差板R1は、所定波長(例えば550nm)に対しては、第3位相差板R3を通過した偏光の位相(より厳密には直線偏光のうち第1位相差板R1の進相軸及び遅相軸をそれぞれ通過する光線成分の間の位相)を1/4ずらす(第3位相差板R3が直線偏光の位相を1/2進めるようにずらした場合には、第1位相差板R1は第3位相差板R3を出射した偏光の位相を1/4戻すようにずらす作用を生じさせる)。
さらに、上述した所定波長より長い波長の光に対しては、第3位相差板R3は、第1偏光板PL1の透過軸を通過した直線偏光の位相を1/2より大きくずらす。この場合、第1位相差板R1は、第3位相差板R3を通過した偏光の位相を1/4より大きくずらす。例えば、第3位相差板R3が直線偏光の位相を2/3進めるようにずらした場合は、第1位相差板R1は第3位相差板R3を出射した偏光の位相を5/12戻すように作用し、結果的に直線偏光の位相を2/3−5/12=1/4ずらし、所定波長同様の偏光状態(=円偏光)を得る。
逆に、上述した所定波長より短い波長の光に対しては、第3位相差板R3は、第1偏光板PL1の透過軸を通過した直線偏光の位相を1/2より小さく、第1位相差板R1は、第3位相差板R3を通過した偏光の位相を1/4より小さくずらし、協同して直線偏光の位相を1/4ずらし、所定波長同様の偏光状態(=円偏光)を得る。
同様に第2位相差板R2及び第4位相差板R4は、協同して可変リターダー構成体VRを出射した直線偏光の位相を1/4ずらすよう構成されている。
可変リターダー構成体VRは、液晶セルCの法線方向位相差の視角特性を補償する補償手段を備えている。すなわち、液晶セルCは、その法線方向に正の位相差RLC(Δn・d=308nm)を有している。一方で、偏光子構成体P及び検光子構成体Aは、それぞれの法線方向に負の位相差R及びRを有している。偏光子構成体Pの法線方向位相差Rは、第1偏光板PL1を構成するトリアセテート・セルロース(TAC)などで形成されたベースフィルム、第1位相差板R1、及び、第3位相差板R3におけるそれぞれの法線方向位相差の和に相当する。検光子構成体Aの法線方向位相差Rは、第2偏光板PL2を構成するTACなどで形成されたベースフィルム、第2位相差板R2、及び、第4位相差板R4におけるそれぞれの法線方向位相差の和に相当する。
液晶セルCの法線方向位相差RLC、偏光子構成体Pの法線方向位相差R、及び、検光子構成体Aの法線方向位相差Rの和がゼロであれば、液晶表示素子を観察する視角にかかわらず良好な表示品位が得られる。しかしながら、RLC+R+R≠0である場合、これを補償する補償手段が必要となる。RLC>|R+R|である場合には、補償手段として、法線方向に負の位相差を有する位相差板を配置すれば良い。この補償手段が有する法線方向位相差は、(|R+R|−RLC)であれば良い。
すなわち、可変リターダー構成体VRは、液晶セルCと偏光子構成体P及び検光子構成体Aとの間の少なくとも一方に配置された、屈折率異方性がnx=ny>nzとなる光学的に負の1軸の位相差板(Cプレート)を備えている。図1に示した実施の形態では、可変リターダー構成体VRは、液晶セルCと第1位相差板R1との間に配置された第1CプレートCP1、及び、液晶セルCと第2位相差板R2との間に配置された第2CプレートCP2を備えている。
これら第1CプレートCP1及び第2CプレートCP2としては、図2に示すような構造の屈折率楕円体(nx=ny>nz)を有するものが適用可能である。なお、図2において、nx及びnyはCプレートの面内で直交する2方位での屈折率を示し、nzはCプレートの主面に対する法線方向での屈折率を示すものとする。これら第1CプレートCP1及び第2CプレートCP2がそれぞれ有する法線方向位相差の和を(|R+R|−RLC)と略同等に設定することにより、液晶セルCの視角特性を改善することができる。なお、先にも説明したが、RLC+R+R≠0である場合には、第1CプレートCP1及び第2CプレートCP2を配置する必要はなく、省略しても良い。
ところで、偏光子構成体P及び検光子構成体Aは、可変リターダー構成体VRの面内位相差が略ゼロである状態で黒表示となるように構成されている。すなわち、偏光子構成体P及び検光子構成体Aは、互いに異なる極性を有する(つまり逆極性を有する)ように構成されている。より詳細に説明すると、偏光子構成体P及び検光子構成体Aのうち、一方は光の進行方向から見たときに右回り(時計回り)の円偏光を出射する右回り円偏光板として構成され、他方は光の進行方向から見たときに左回り(反時計回り)の円偏光を出射する左回り円偏光板として構成されている。
このような構成により、偏光子構成体Pを通過した円偏光(例えば右回り円偏光)は、面内位相差が略ゼロの可変リターダー構成体VRをその偏光状態を維持したまま通過し、逆極性を有する(例えば左回り円偏光を通過する)検光子構成体Aに吸収される。したがって、理論的には、液晶表示素子をいずれの方向から観察した場合であっても所望の黒表示が可能であり、高コントラスト表示が可能となる。
上述した作用を実現するためには、偏光子構成体P及び検光子構成体Aが互いに逆極性のほぼ完全な円偏光板である必要がある。すなわち、円偏光板は、一般的に、直線偏光を出射する偏光板と、直線偏光に1/4の位相差を付与する位相差板(4分の1波長板)とを組み合わせることで構成される。より厳密には、右回り円偏光板は、光の進行方向から見たときに偏光板の透過軸に対して右回りに45°ずれた位置に位相差板の遅相軸を配置することで構成される。同様に、左回り円偏光板は、光の進行方向から見たときに偏光板の透過軸に対して左回りに45°ずれた位置に位相差板の遅相軸を配置することで構成される。
しかしながら、4分の1波長板が1/4の位相差を付与できるのは、特定波長の直線偏光のみである。つまり、一般的な円偏光板を構成する位相差板(4分の1波長板)は、その位相差に波長分散を有している(つまり位相差が波長に依存して異なる)ため、特定波長の光に対して円偏光板として機能するような円偏光板であっても、他の波長の光については円偏光として出射することはできない(楕円偏光を出射する)。このため、通常適用されている1枚の位相差板(4分の1波長板)及び偏光板との組み合わせでは、波長分散のない(あるいは波長分散を無視できる)完全な円偏光板を構成することはできず、特定条件を満たさない限り、可変リターダー構成体VRの面内位相差が略ゼロである状態で偏光子構成体P及び検光子構成体Aによって所望の黒表示を実現することはできない。
そこで、この実施の形態では、複数の位相差板と偏光板とを組み合わせることにより、偏光子構成体P及び検光子構成体Aをそれぞれ完全な円偏光板として構成している。すなわち、偏光子構成体P及び検光子構成体Aは、それぞれ差分円偏光板として構成され、より具体的には、上述したように、直線偏光を出射する偏光板と、所定波長(例えば550nm)に対して、直線偏光に1/2の位相差を付与する位相差板(2分の1波長板)と、直線偏光に1/4の位相差を付与する位相差板(4分の1波長板)と、を組み合わせることで構成される。2分の1波長板及び4分の1波長板は、実質的に入射光の波長(λ)にかかわらず、それぞれを通過した際に付与される位相差(リタデーション値(R)/入射光波長(λ))の差分が略λ/4となるように組み合わせられている。
例えば、2分の1波長板及び4分の1波長板は、それぞれ入射光の波長(λ)が大きくなるほどリタデーション値Rλ/2及びRλ/4が小さくなるような波長分散特性を有している。これらの波長板と偏光板との組み合わせは、それぞれの波長分散特性について、同一波長に対する位相差(リタデーション値/入射光波長)を比較した時、2分の1波長板での位相差(リタデーション値(Rλ/2)/入射光波長(λ))は常に4分の1波長板での位相差(リタデーション値(Rλ/4)/入射光波長(λ))より大きく、しかも、2分の1波長板及び4分の1波長板における同一波長に対する位相差の差分((Rλ/2−Rλ/2)/λ)が入射光波長(λ)にかかわらず略λ/4となるように最適化される。
このように最適化された2枚の位相差板(2分の1波長板及び4分の1波長板)及び偏光板を組み合わせた偏光子構成体P及び検光子構成体Aは、入射光の波長(λ)にかかわらず偏光板を通過した直線偏光にπ/2の位相差を付与して円偏光を出射する完全な円偏光板として機能する。
ここで、偏光板及び2枚の位相差板(2分の1波長板及び4分の1波長板)の最適化条件は、以下の通りである。ここでは、第1位相差板R1及び第3位相差板R3の位相差の波長分散特性が同等であり、しかも、第2位相差板R2及び第4位相差板R4の位相差の波長分散特性が同等である。さらに、図3及び図4に示すように、液晶表示素子の基板主面内において、互いに直交するX軸及びY軸を規定する。
図3に示すように、X軸を基準軸としたとき、第1偏光板PL1の透過軸と基準軸との成す角度をθp1とし、第1位相差板R1の遅相軸と基準軸との成す角度をθ1とし、第3位相差板R3の遅相軸と基準軸との成す角度をθ3とする。このとき、第1偏光板PL1、第1位相差板R1、及び、第3位相差板R3は、これらθp1、θ1、及び、θ3との間に、
θ1=θp1+2・(θ3−θp1)±π/4 ,0≦θ1≦π
の関係が成り立つよう配置される。これにより、偏光子構成体Pは最適化され、完全な円偏光板(例えば右回り円偏光板)として機能する。
同様に、図4に示すように、X軸を基準軸としたとき、第2偏光板PL2の透過軸と基準軸との成す角度をθp2とし、第2位相差板R2の遅相軸と基準軸との成す角度をθ2とし、第4位相差板R4の遅相軸と基準軸との成す角度をθ4とする。このとき、第2偏光板PL2、第2位相差板R2、及び、第4位相差板R4は、これらθp2、θ2、及び、θ4との間に、
θ2=θp2+2・(θ4−θp2)±π/4 ,0≦θ2≦π
の関係が成り立つように配置される。これにより、検光子構成体Aは最適化され、完全な円偏光板(例えば左回り円偏光板)として機能する。
偏光子構成体P及び検光子構成体Aは、上述したような完全な円偏光板として構成したことにより、それぞれを構成する位相差板の遅相軸の交差角、あるいは、それぞれを構成する偏光板の透過軸の交差角にかかわらず、可変リターダー構成体VRの面内位相差が略ゼロである状態で所望の黒表示を実現できる。換言すると、完全な円偏光板として最適化された偏光子構成体P及び検光子構成体Aは、それぞれの面内においていずれの方位に光軸を設定しても良い。
以下に、この発明の具体的な実施形態について説明する。
《実施形態1》
この実施形態1では、第1位相差板R1及び第2位相差板R2として、日東電工社製のゼオノア樹脂からなる1軸の4分の1波長板(面内位相差は140nm)を適用した。また、第3位相差板R3及び第4位相差板R4として、日東電工社製のゼオノア樹脂からなる1軸の2分の1波長板(面内位相差は270nm)を適用した。さらに、第1偏光板PL1及び第2偏光板PL2として、日東電工社製の偏光板SEG1224DUを適用した。また、この実施形態1では、液晶セルCと偏光子構成体P及び検光子構成体Aとの間に、それぞれCプレートCP1及びCP2を配置した。これらCプレートCP1及びCP2としては、フジフィルム社製のTACフィルム(法線方向位相差は−60nm)を適用した。
第1偏光板PL1及び第2偏光板PL2におけるそれぞれの透過軸の交差角は60°であり、例えば、第2偏光板PL2の透過軸は、基準軸に設定されている。図3に示した例では、第1偏光板PL1の透過軸とX軸(基準軸)との交差角は60°であり(θp1=60°)、図4に示した例では、第2偏光板PL2の透過軸はX軸(基準軸)と一致する(θp2=0°)ものとする。
第1偏光板PL1の液晶セルC側に配置された第3位相差板R3は、その遅相軸が第1偏光板PL1の透過軸に対して成す角度Θ1(=θ3−θp1)で交差するように配置されている。ここでは、Θ1=75°であり、θ3=135°である。同様に、第2偏光板PL2の液晶セルC側に配置された第4位相差板R4は、その遅相軸が第2偏光板PL2の透過軸に対して成す角度Θ2(=θ4−θp2)で交差するように配置されている。ここでは、Θ2(=θ4)=15°である。
第3位相差板R3の液晶セルC側に配置された第1位相差板R1は、その遅相軸が第3位相差板R3の遅相軸に対して成す角度(Θ1+π/4)で交差するように配置されている。つまり、第1位相差板R1の遅相軸と第1偏光板PL1の透過軸との成す角度は(2・Θ1+π/4)(=θ1−θp1)である。ここでは、(2・Θ1+π/4)=195°であり、θ1=75°(=255°)である。同様に、第4位相差板R4の液晶セルC側に配置された第2位相差板R2は、その遅相軸が第4位相差板R4の遅相軸に対して成す角度(Θ2+π/4)で交差するように配置されている。つまり、第2位相差板R2の遅相軸と第2偏光板PL2の透過軸との成す角度は(2・Θ2+π/4)(=θ2−θp2)である。ここでは、(2・Θ2+π/4)(=θ2)=75°である。
このように、4分の1波長板として機能する2枚の位相差板、すなわち第1位相差板R1及び第2位相差板R2のそれぞれの面内における遅相軸は平行であり(θ1=θ2)、ここでは、X軸との交差角はともに75°である。また、偏光子構成体Pを構成する第1位相差板R1及び第3位相差板R3のそれぞれの面内における遅相軸の交差角|θ1−θ3|は60°である。さらに、検光子構成体Aを構成する第2位相差板R2及び第4位相差板R4のそれぞれの面内における遅相軸の交差角|θ2−θ4|は60°である。
液晶セルCは、配向分割制御用の突起12もしくはスリット11を備えている。突起12もしくはスリット11は、図3及び図4に示したX−Y座標系において、Y軸と平行つまり90°及び270°方位に延在している。これにより、液晶分子の配列方位は、0°及び180°方位に設定される。
このように構成された液晶表示素子において、液晶層7に印加する電圧を4.2V(白表示時)及び1.0V(黒表示時;液晶材料のスレショルド電圧未満の電圧であり、液晶分子は垂直配向のままの状態となる電圧である)となるようにして駆動させ、コントラスト比の視角特性を評価した。
図5は、実施形態1に係る液晶表示素子の等コントラスト曲線の測定結果を示す。ほぼ全方位でコントラスト比10:1以上の視野が±80°以上となり、優れた視角特性を得られることが確認できた。また、4.2Vにおける透過率を測定したところ、5.0%と極めて高い透過率を得ていることが確認できた。
次に、第1乃至第4位相差板のそれぞれの面内における遅相軸の交差角について検討する。ここでは、第1乃至第4位相差板のそれぞれの面内における遅相軸の交差角は、コントラストの視角特性に対応した特性値が所定の基準値以上となるように設定されている。すなわち、図3及び図4に示すように、偏光子構成体Pを構成する第1偏光板PL1の透過軸と第3位相差板R3の遅相軸との交差角をΘ1(=|θ3−θp1|)とし、検光子構成体Aを構成する第2偏光板PL2の透過軸と第4位相差板R4の遅相軸との交差角をΘ2(=|θ4−θp2|)とし、第1位相差板R1の遅相軸と第2位相差板R2の遅相軸との交差角をΘ3(=|θ1−θ2|)とする。
なお、先に説明した通り、第1位相差板R1の遅相軸と第3位相差板R3の遅相軸との交差角(θ1−θ3)はこれらの組み合わせを最適化するための条件として(Θ1+π/4)の関係を満たしており、また、第2位相差板R2の遅相軸と第4位相差板R4の遅相軸との交差角(θ2−θ4)はこれらの組み合わせを最適化するための条件として(Θ2+π/4)の関係を満たしている。
本発明の課題である視角特性の改善効果は、コントラストの視角特性に対応した特性値に基づいて評価可能である。すなわち、Θ1、Θ2、及び、Θ3は、コントラストの視角特性に対応した特性値が基準値以上となるように設定される。
ここでは、コントラストの視角特性に対応した特性値として、コントラスト面積値を採用する。このコントラスト面積値とは、図5に示したような等コントラスト曲線の測定結果に基づき、所定のコントラスト比以上の視野の面積(deg)として表わし、ここでは、コントラスト比が10:1(CR=10:1)以上の視野の面積を採用している。
図6A乃至図6Cは、交差角Θ1(°)、Θ2(°)、及び、Θ3(°)に対するコントラスト面積値の測定結果を示す図である。なお、この測定に際し、各液晶表示素子の基本構成は同一とし、偏光子構成体はθ1=θp1+2・(θ3−θp1)±π/4の関係を満たすように最適化され、また、検光子構成体もθ2=θp2+2・(θ4−θp2)±π/4の関係を満たすように最適化されている。
図6A乃至図6Cに示した測定結果から明らかなように、Θ1=75°、Θ2=15°、Θ3=0°のとき、最も高いコントラスト面積値(約18300)が得られた。なお、種々測定を行ったところ、交差角Θ1については75°±5°の範囲、交差角Θ2については15°±5°の範囲、交差角Θ3については0°以上5°以下の範囲に設定することにより、基準値(=17000)以上のコントラスト面積値を得られることが確認できた。
これは、以下の理由によるものと考えられる。すなわち、Θ1=75°、及び、Θ2=15°と設定した場合、第1位相差板R1及び第3位相差板R3のそれぞれの面内における遅相軸の交差角|θ1−θ3|が60°であり、第2位相差板R2及び第4位相差板R4のそれぞれの面内における遅相軸の交差角|θ2−θ4|が60°であり、第3位相差板R3及び第4位相差板R4のそれぞれの面内における遅相軸の交差角|θ3−θ4|が60°である。また、Θ3=0°と設定した場合、第1位相差板R1及び第2位相差板R2のそれぞれの面内における遅相軸が平行である。
つまり、4分の1波長板として機能する第1位相差板R1及び第2位相差板R2のそれぞれの遅相軸が平行であるということは、これらを総合して1枚の2分の1波長板として機能することを意味する。したがって、この液晶表示素子は、偏光子構成体P及び検光子構成体Aが2分の1波長板として機能する3枚の位相差板(R1+R2)、R3、及び、R4を備えていることになる。
そして、これら3枚の2分の1波長板のそれぞれの面内における遅相軸の交差角は図6Dに示すようにすべて60°となる。つまり、位相差板の遅相軸が面内において回転対象に分布することになる。このため、位相差板それぞれの遅相軸の影響が分散され(あるいは面内での異方性を互いにキャンセルし合い)、略全方位にわたって高いコントラスト比が得られたものと考えられる。
以上説明したように、この発明によれば、垂直配向モードや配向分割型垂直配向モードなどの液晶層にて入射光の位相を略2分の1波長変調させる表示モードにおいて、液晶分子の配列方位がシュリーレン配向や意図する方位以外の方位に配列することなどによる透過率の低下を防ぐために、液晶層に入射する偏光を円偏光とした円偏光主導型の表示モード、特に円偏光主導型MVAモードにおいて、視野角特性が狭いといった問題、及び、用いる部材の製造コストが高いといった問題を解決するために、新規な液晶表示素子の構造を提供するものである。
これによれば、新規な構造により、従来の円偏光主導型MVAモードと同様に、高い透過率特性を得るばかりでなく、優れたコントラスト視角特性を実現することができ、しかも、従来の視角補償構造を伴った円偏光主導型MVAモードよりも安価に提供することができる。
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、その実施の段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
偏光子構成体P及び検光子構成体Aは、可変リターダー構成体VRの面内位相差が略ゼロである状態で黒表示となるように、完全な円偏光板として構成したが、それぞれの偏光板を通過した直線偏光を楕円偏光として出射する楕円偏光板として構成しても良い。この場合、偏光子構成体P及び検光子構成体Aのうちの一方は右回り楕円偏光板であって、他方は左回り楕円偏光板であって、しかも、それぞれが出射する楕円偏光の長軸が直交するよう各楕円偏光板の光軸を設定すれば、上述した実施の形態と同様の効果が得られる。
また、可変リターダー構成体VRの面内位相差が略ゼロである状態は、液晶層7に含まれる液晶分子が基板に対して略垂直に配向している状態に相当するが、液晶層が面内位相差を有している場合であってもこれを補償する位相差板を配置することで面内位相差が略ゼロである状態を形成可能である。すなわち、液晶分子が基板に対して90°未満の角度で配向している場合においては、液晶分子が傾いた面内方位とこれに直交する方位との間で面内位相差を生ずる。この液晶層の面内における遅相軸と略直交する方位に面内遅相軸を有する位相差板を設けることにより、この位相差板と液晶層との面内位相差の和が略ゼロである状態を形成することが可能である。このような位相差板と液晶層との組み合わせで面内位相差が略ゼロである状態を形成した可変リターダー構成体であっても、最適化された偏光子構成体P及び検光子構成体Aを組み合わせることにより、上述した実施の形態と同様の効果が得られる。
図1は、この発明の一実施の形態に係る液晶表示素子の断面構造の一例を概略的に示す図である。 図2は、図1に示した液晶表示素子に適用可能な位相差板(Cプレート)の屈折率楕円体の形状を説明するための図である。 図3は、図1に示した液晶表示素子に適用可能な偏光子構成体を構成する偏光板及び位相差板の軸角度の関係を説明するための図である。 図4は、図1に示した液晶表示素子に適用可能な検光子構成体を構成する偏光板及び位相差板の軸角度の関係を説明するための図である。 図5は、実施形態1に係る液晶表示素子の等コントラスト曲線の一例を示す図である。 図6Aは、図1に示した液晶表示素子の偏光子構成体及び検光子構成体を構成する位相差板における遅相軸の交差角に対する、10:1以上のコントラスト比が占める面積の関係を示す図である。 図6Bは、図1に示した液晶表示素子の偏光子構成体及び検光子構成体を構成する位相差板における遅相軸の交差角に対する、10:1以上のコントラスト比が占める面積の関係を示す図である。 図6Cは、図1に示した液晶表示素子の偏光子構成体及び検光子構成体を構成する位相差板における遅相軸の交差角に対する、10:1以上のコントラスト比が占める面積の関係を示す図である。 図6Dは、最高のコントラスト面積値が得られる条件での各位相差板における遅相軸の交差角の関係を説明するための図である。 図7は、従来の液晶表示素子の断面構造の一例を説明するための図である。 図8は、図7に示した液晶表示素子の等コントラスト曲線の一例を示す図である。 図9は、従来の液晶表示素子の断面構造の一例を説明するための図である。 図10は、図9に示した液晶表示素子に用いる2軸の4分の1波長板の屈折率楕円体の形状を説明するための図である。 図11は、図9に示した液晶表示素子の等コントラスト曲線の一例を示す図である。 図12は、従来の液晶表示素子の断面構造の一例を説明するための図である。 図13は、図12に示した液晶表示素子に用いる2軸の4分の1波長板の屈折率楕円体の形状を説明するための図である。 図14は、図12に示した液晶表示素子の等コントラスト曲線の一例を示す図である。
符号の説明
R1…第1位相差板、R2…第2位相差板、R3…第3位相差板、R4…第4位相差板、CP1…Cプレート、CP2…Cプレート、PL1…第1偏光板、PL2…第2偏光板、7…液晶層、8…液晶分子、9…共通電極、10…画素電極、11…スリット、12…突起、13…対向基板、14…アクティブマトリクス基板、BL…バックライトユニット(光源)、P…偏光子構成体、VR…可変リターダー構成体、A…検光子構成体、C…液晶セル

Claims (12)

  1. 2枚の電極付基板間に液晶層を挟持した液晶セルの一方の側に配置された第1偏光板と、
    前記液晶セルの他方の側に配置された第2偏光板と、
    前記第1偏光板と前記液晶セルとの間に配置された第1位相差板と、
    前記第2偏光板と前記液晶セルとの間に配置された第2位相差板と、
    前記第1偏光板と前記第1位相差板との間に配置された第3位相差板と、
    前記第2偏光板と前記第2位相差板との間に配置された第4位相差板と、を備え、
    前記第1位相差板と前記第3位相差板とが協同して前記第1偏光板を通過した直線偏光に4分の1波長の位相差を付与し、かつ、前記第2位相差板と前記第4位相差板とが協同して前記第2偏光板を通過した直線偏光に4分の1波長の位相差を付与するものであって、
    前記第1位相差板及び前記第2位相差板のそれぞれの面内における遅相軸が略平行であり、
    前記第1位相差板及び第2位相差板の遅相軸と、前記第3位相差板の遅相軸と、前記第4位相差板の遅相軸とは、それぞれ面内で異方性をキャンセルする方向に配置されていることを特徴とする液晶表示素子。
  2. 前記第1位相差板及び前記第3位相差板のそれぞれの面内における遅相軸の交差角が略60°であり、前記第2位相差板及び前記第4位相差板のそれぞれの面内における遅相軸の交差角が略60°であり、前記第3位相差板及び前記第4位相差板のそれぞれの面内における遅相軸の交差角が略60°であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示素子。
  3. 前記第1乃至第4位相差板のそれぞれの面内における遅相軸の交差角は、コントラストの視角特性に対応した特性値が基準値以上となるように設定されたことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示素子。
  4. 前記液晶セルを含む可変リターダー構成体と、
    前記第1偏光板、前記第1位相差板、及び、前記第3位相差板を含む偏光子構成体と、
    前記第2偏光板、前記第2位相差板、及び、前記第4位相差板を含む検光子構成体と、を備え、
    前記偏光子構成体及び前記検光子構成体は、前記可変リターダー構成体の面内位相差が略ゼロである状態で黒表示となるように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示素子。
  5. 前記2枚の電極付基板間に電圧を印加する手段を設けた縦電界型の電界制御複屈折モードであることを特徴とする請求項4に記載の液晶表示素子。
  6. 前記液晶層がネマティック液晶組成物によって構成され、前記液晶層の液晶分子が前記液晶層に電圧を印加していない状態で基板主面に対してほぼ垂直に配向していることを特徴とする請求項5に記載の液晶表示素子。
  7. 所定電圧を印加した状態もしくは印加電圧にかかわらず、画素内の液晶分子が少なくとも2方位を向くように配向分割されていることを特徴とする請求項5に記載の液晶表示素子。
  8. 画素内に配向分割制御用の突起を備えたことを特徴とする請求項7に記載の液晶表示素子。
  9. 前記電極に配向分割制御用のスリットを設けたことを特徴とする請求項7に記載の液晶表示素子。
  10. 2枚の前記基板における前記液晶層を挟持する面に配向分割制御用の配向処理を施した配向膜を設けたことを特徴とする請求項7に記載の液晶表示素子。
  11. 前記第1位相差板及び前記第3位相差板の位相差の波長分散特性が同等であり、しかも、前記第2位相差板及び前記第4位相差板の位相差の波長分散特性が同等であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示素子。
  12. 前記第1偏光板の透過軸と基準軸との成す角度をθp1とし、前記第1位相差板の遅相軸と前記基準軸との成す角度をθ1とし、前記第3位相差板の遅相軸と前記基準軸との成す角度をθ3としたとき、これらθp1、θ1、及び、θ3との間に、
    θ1=θp1+2・(θ3−θp1)±π/4 ,0≦θ1≦π
    の関係が成り立ち、しかも、
    前記第2偏光板の透過軸と基準軸との成す角度をθp2とし、前記第2位相差板の遅相軸と前記基準軸との成す角度をθ2とし、前記第4位相差板の遅相軸と前記基準軸との成す角度をθ4としたとき、これらθp2、θ2、及び、θ4との間に、
    θ2=θp2+2・(θ4−θp2)±π/4 ,0≦θ2≦π
    の関係が成り立つことを特徴とする請求項11に記載の液晶表示素子。
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