JP2006010890A - マイクロアクチュエータアレー、光学装置及び光スイッチアレー - Google Patents

マイクロアクチュエータアレー、光学装置及び光スイッチアレー Download PDF

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Abstract

【課題】 ローレンツ力用電流経路に流す電流の供給源として、定電圧源を用いたりあるいは搭載されるマイクロアクチュエータの数が多くても負荷変動の許容量の小さい定電流源を用いたりすることを、可能にする。
【解決手段】 電流供給回路は、いずれのコイル(ローレンツ力電流経路)L11〜L13,L21〜L23,L31〜L33に所定方向にローレンツ力が生ずるように選択的に電流を供給しても、当該供給時に流れる電流の全体経路の抵抗値が、互いに実質的に同一となるように、構成される。
【選択図】 図11

Description

本発明は、マイクロアクチュエータアレー、並びに、これを用いた光学装置及び光スイッチアレーに関するものである。この光学装置及び光スイッチアレーは、例えば、光通信装置や光伝送装置等で用いることができるものである。
マイクロマシニング技術の進展に伴い、種々の分野においてマイクロアクチュエータの重要性が高まっている。マイクロアクチュエータが用いられている分野の一例として、例えば、光通信などに利用され光路を切り替える光スイッチを挙げることができる。このような光スイッチの例として、下記の特許文献1,2に開示された光スイッチを挙げることができる。
マイクロアクチュエータは、基板と、該基板により支持されて前記基板に対して移動し得る可動部とを備えている。可動部が片持ち梁構造を持つタイプのマイクロアクチュエータ(例えば、特許文献1の図26、図36〜図40)や、可動部が両持ち構造を持つタイプのマイクロアクチュエータ(例えば、特許文献2の図2〜図4)が知られている。これらのマイクロアクチュエータでは、可動部は、弾性部(例えば、片持ち梁構造を持つタイプのマイクロアクチュエータでは梁部を構成する板ばね部、両持ち構造を持つタイプのマイクロアクチュエータではフレクチュア部)を有し、該弾性部の変形に従って基板に対して移動し得るようになっている。
特許文献1,2に開示された各光スイッチでは、それぞれミラーの支持構造は異なるものの、いずれの光スイッチにおいても、可動部におけるミラー支持基板板となる部分にその面と垂直にミラーが搭載されている。そして、これらの光スイッチでは、ミラーがマイクロアクチュエータにより駆動されて上下方向に移動し、ミラーが入射光路に進出した時に光がそのミラーで反射される一方、ミラーが入射光路から退出した時に光が直進することにより、出射光路が切り替えられる。
また、駆動力としてローレンツ力を用いるマイクロアクチュエータが知られており、このマイクロアクチュエータでは、磁界内に配置されて通電によりローレンツ力を生ずるローレンツ力用電流経路が、可動部に設けられている。例えば、特許文献1,2には、駆動力としてローレンツ力及び静電力を用いるマイクロアクチュエータが開示されている。
さらに、特許文献1,2には、同一基板上に前記可動部を複数2次元状に配置したマイクロアクチュエータアレーと、各可動部にそれぞれ搭載されたミラーとを備えた光スイッチアレーも、開示されている。そして、特許文献2の図7及び図17には、このようなマイクロアクチュエータアレーに搭載された回路の回路図が開示されている。この回路は、定電流源からの一定電流を、複数のマイクロアクチュエータのローレンツ力用電流経路に択一的に供給する電流供給回路を、含んでいる。
国際公開第03/060592号パンフレット 特開2003−159698号公報
前述したようなマイクロアクチュエータアレーでは、各マイクロアクチュエータの可動部に作用するローレンツ力の大きさのばらつきが少なく一定であることが要請されるため、各ローレンツ力用電流経路に流れる電流の大きさが一定であることが要請される。そこで、前述したようなマイクロアクチュエータアレーでは、特許文献2に開示されているように、ローレンツ力用電流経路に一定の電流を供給するための電源として、定電流源が用いられている。
特許文献2の図7及び図17に開示されているような電流供給回路を、一般的な配線手法を採用して実現しようとすると、配線パターンの抵抗値等に起因して、各ローレンツ力用電流経路に択一的に電流を流す場合にあるローレンツ力用電流経路を選択した時と他のローレンツ力用電流経路を選択した時とで、流れる電流の経路の抵抗値が変動してしまい、定電流源から見た抵抗値(すなわち、定電流源の負荷)が変動してしまう。この点については、後に、比較例を参照して説明する。
このように定電流源の負荷が変動しても、マイクロアクチュエータアレーに搭載されるマイクロアクチュエータの数が少なくて定電流源の負荷の変動量が小さければ、負荷変動の許容量の小さい定電流源を採用しても、当該定電流源が定電流動作を適切に行うため、各ローレンツ力用電流経路に一定電流を供給することができる。
ところが、マイクロアクチュエータアレーに搭載されるマイクロアクチュエータの数が多くなると、定電流源の負荷の変動量が大きくなってしまい、負荷変動の許容量の小さい定電流源では、もはや適切な定電流動作が行われなくなり、各ローレンツ力用電流経路に一定電流を供給することができなくなる。このため、マイクロアクチュエータアレーに搭載されるマイクロアクチュエータの数が多くなると、負荷変動の許容量の大きい定電流源を採用せざるを得なくなる。負荷変動の許容量の大きい定電流源は、その構成が複雑になるなどの理由で高価になる。したがって、当該マイクロアクチュエータアレーも高価になってしまう。
また、マイクロアクチュエータアレーに搭載されるマイクロアクチュエータの数が少なくても、あるローレンツ力用電流経路を選択した時と他のローレンツ力用電流経路を選択した時とで、流れる電流の経路の抵抗値が変動してしまうため、定電流源に代えて定電圧源を用いると、各ローレンツ力用電流経路に一定電流を供給することができなくなってしまう。したがって、ローレンツ力用電流経路に流す電流の供給源として、定電流源に代えて定電圧源を用いることはできなかった。定電流源に代えて定電圧源を用いることができれば、電源部に要するコストを低減することができる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、ローレンツ力用電流経路に流す電流の供給源として、定電圧源を用いたりあるいは搭載されるマイクロアクチュエータの数が多くても負荷変動の許容量の小さい定電流源を用いたりすることができ、コスト低減を図ることができるマイクロアクチュエータアレー並びにこれを用いた光学装置及び光スイッチアレーを提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明の第1の態様によるマイクロアクチュエータアレーは、複数のマイクロアクチュエータを備えたマイクロアクチュエータアレーであって、(i)前記各マイクロアクチュエータは、基体により支持されて前記基体に対して移動し得るように設けられた可動部を有し、(ii)前記各マイクロアクチュエータの前記可動部は、磁界内に配置されて通電によりローレンツ力を生ずるローレンツ力用電流経路を有し、(iii)前記複数のマイクロアクチュエータの前記ローレンツ力用電流経路を複数のグループに分けて、電源からの電流を、前記複数のマイクロアクチュエータの前記ローレンツ力用電流経路に前記各グループ毎に選択的に供給する電流供給回路を、備え、(iv)前記各グループは、前記複数のマイクロアクチュエータのうちの1つ以上のマイクロアクチュエータの前記ローレンツ力用電流経路を含み、(v)前記電流供給回路は、前記複数のグループのうちのいずれのグループのローレンツ力用電流経路に所定方向にローレンツ力が生ずるように選択的に電流を供給しても、当該供給時に流れる電流の全体経路の抵抗値が、互いに実質的に同一となるように、構成されたものである。
本発明の第2の態様によるマイクロアクチュエータアレーは、前記第1の態様において、前記電源が定電流源であるものである。
本発明の第3の態様によるマイクロアクチュエータアレーは、前記第1の態様において、前記電源が定電圧源であるものである。
本発明の第4の態様によるマイクロアクチュエータアレーは、前記第1乃至第3のいずれかの態様において、前記電源が前記基体に搭載されたものである。
本発明の第5の態様によるマイクロアクチュエータアレーは、前記第1乃至第4のいずれかの態様において、前記各グループは、前記ローレンツ力用電流経路を1つのみ含むものである。
本発明の第6の態様によるマイクロアクチュエータアレーは、前記第5の態様において、(i)前記複数のマイクロアクチュエータが2次元状に配置され、(ii)前記各ローレンツ力用電流経路に関して、当該ローレンツ力用電流経路に対応する第1及び第2の電流通過点間に、当該ローレンツ力用電流経路を含む経路であって当該ローレンツ力用電流経路を流れる電流のみが流れて他のローレンツ力用電流経路を流れる電流が流れない経路である個別電流経路が形成され、(iii)前記各ローレンツ力用電流経路に関して形成された前記個別電流経路のオン時の抵抗値が互いに実質的に同一であり、(iv)列方向(又は行方向)に隣り合う各2つのマイクロアクチュエータの前記ローレンツ力用電流経路に対応する前記第1の電流通過点同士、及び、列方向(又は行方向)に隣り合う各2つのマイクロアクチュエータの前記ローレンツ力用電流経路に対応する前記第2の電流通過点同士が、互いに実質的に同一の抵抗値を持つ第1の電流経路でそれぞれ接続され、(v)前記複数のマイクロアクチュエータの各列(又は各行)に関して、当該列(又は行)に対応する第3の電流通過点と当該列のうちの一方側のマイクロアクチュエータの前記ローレンツ力用電流経路に対応する前記第1の電流通過点とが第2の電流経路で接続され、(vi)各列(又は各行)に対応する前記第2の電流経路の抵抗値が互いに実質的に同一であり、(vii)前記複数のマイクロアクチュエータの各列(又は各行)に関して、当該列(又は行)に対応する第4の電流通過点と当該列のうちの他方側のマイクロアクチュエータの前記ローレンツ力用電流経路に対応する前記第2の電流通過点とが第3の電流経路で接続され、(viii)各列(又は各行)に対応する前記第3の電流経路の抵抗値が互いに実質的に同一であり、(ix)隣り合う各2つの列(又は各2つの行)に対応する前記第3の電流通過点同士、及び、隣り合う各2つの列(又は各2つの行)に対応する前記第4の電流通過点同士が、互いに実質的に同一の抵抗値を持つ第4の電流経路で接続され、(x)前記各ローレンツ力用電流経路に流れる電流は、前記電源から、一方側の列(又は行)に対応する前記第3の電流通過点及び他方側の列(又は行)に対応する前記第4の電流通過点のうちの一方の電流通過点を経由した後に当該ローレンツ力用電流経路に入り、当該ローレンツ力用電流経路から出た後に、前記一方側の列(又は行)に対応する前記第3の電流通過点及び前記他方側の列(又は行)に対応する前記第4の電流通過点のうちの他方の電流通過点を経由した後に、前記電源へ戻るものである。
本発明の第7の態様によるマイクロアクチュエータアレーは、前記第6の態様において、前記各個別電流経路は、対応するローレンツ力用電流経路に直列接続された第1及び第2の選択スイッチを含むものである。
本発明の第8の態様によるマイクロアクチュエータアレーは、前記第6の態様において、前記各個別電流経路は、対応するローレンツ力用電流経路に直列接続された第1の選択スイッチを含み、前記各第2の電流経路又は前記各第3の電流経路は、第2の選択スイッチを含むものである。
本発明の第9の態様による光学装置は、前記第1乃至第8のいずれかの態様によるマイクロアクチュエータアレーと、前記複数のマイクロアクチュエータの前記可動部にそれぞれ搭載された前記被駆動体とを備え、前記各被駆動体が光学素子であるものである。
本発明の第10の態様による光スイッチアレーは、前記第1乃至第8のいずれかの態様によるマイクロアクチュエータアレーと、前記複数のマイクロアクチュエータの前記可動部にそれぞれ搭載された前記被駆動体とを備え、前記各被駆動体がミラーであるものである。
本発明によれば、ローレンツ力用電流経路に流す電流の供給源として、定電圧源を用いたりあるいは搭載されるマイクロアクチュエータの数が多くても負荷変動の許容量の小さい定電流源を用いたりすることができ、コスト低減を図ることができるマイクロアクチュエータアレー並びにこれを用いた光学装置及び光スイッチアレーを提供することができる。
以下、本発明によるマイクロアクチュエータアレー、光学装置及び光スイッチアレーについて、図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態による光学装置としての光スイッチアレー1を備えた光学システム(本実施の形態では、光スイッチシステム)の一例を模式的に示す概略構成図である。説明の便宜上、図1に示すように、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸を定義する(後述する図についても同様である。)。光スイッチアレー1の基板11の面がXY平面と平行となっている。また、Z軸方向のうち矢印の向きを+Z方向又は+Z側、その反対の向きを−Z方向又は−Z側と呼び、X軸方向及びY軸方向についても同様とする。なお、Z軸方向の+側を上側、Z軸方向の−側を下側という場合がある。また、X軸方向の並びを列、Y軸方向の並びを行という。もっとも、本発明では、列方向と行方向とは必ずしも直交している必要はない。
この光スイッチシステムは、図1に示すように、光スイッチアレー1と、m本の光入力用光ファイバ2と、m本の光出力用光ファイバ3と、n本の光出力用光ファイバ4と、光スイッチアレー1に対して後述するように磁界を発生する磁界発生部としての磁石5と、光路切替状態指令信号に応答して、当該光路切替状態指令信号が示す光路切換状態を実現するための制御信号を光スイッチアレー1に供給する制御部としての外部制御回路6と、を備えている。図1に示す例では、m=3、n=3となっているが、m及びnはそれぞれ任意の数でよい。
本実施の形態では、磁石5は、図1に示すように、X軸方向の−側がN極に+側がS極に着磁された板状の永久磁石であり、光スイッチアレー1の下側に配置され、光スイッチアレー1に対して磁力線5aで示す磁界を発生している。すなわち、磁石5は、光スイッチアレー1に対して、X軸方向に沿ってその+側へ向かう略均一な磁界を発生している。もっとも、磁界発生部として、磁石5に代えて、例えば、他の形状を有する永久磁石や、電磁石などを用いてもよい。
光スイッチアレー1は、図1に示すように、基板11と、基板11上に配置されたm×n個のミラー31とを備えている。m本の光入力用光ファイバ2は、基板11に対するY軸方向の一方の側からY軸方向に入射光を導くように、XY平面と平行な面内に配置されている。m本の光出力用光ファイバ3は、m本の光入力用光ファイバ2とそれぞれ対向するように基板11に対する他方の側に配置され、光スイッチアレー1のいずれのミラー31によっても反射されずにY軸方向に進行する光が入射するように、XY平面と平行な面内に配置されている。n本の光出力用光ファイバ4は、光スイッチアレー1のいずれかのミラー31により反射されてX軸方向に進行する光が入射するように、XY平面と平行な面内に配置されている。m×n個のミラー31は、m本の光入力用光ファイバ2の出射光路と光出力用光ファイバ4の入射光路との交差点に対してそれぞれ、後述するマイクロアクチュエータにより進出及び退出可能にZ軸方向に移動し得るように、2次元マトリクス状に基板11上に配置されている。なお、本例では、ミラー31の向きは、その法線がXY平面と平行な面内においてX軸と45゜をなすように設定されている。もっとも、その角度は適宜変更することも可能であり、ミラー31の角度を変更する場合には、その角度に応じて光出力用光ファイバ4の向きを設定すればよい。この光スイッチシステムの光路切替原理自体は、従来の2次元光スイッチの光路切替原理と同様である。
図2は、図1中の光スイッチアレー1を模式的に示す概略平面図である。光スイッチアレー1は、基板11(図2では図示せず)と、該基板11上に2次元状に配置されたm×n個の可動板12と、各可動板12に搭載されたミラー31とを備えている。図1及び図2並びに後述する図では、説明を簡単にするため、9個の光スイッチを3行3列に配置しているが、光スイッチの数は何ら限定されるものではない。光スイッチアレー1のうちのミラー31以外の部分が、マイクロアクチュエータアレーを構成している。
次に、図1中の光スイッチアレー1の単位素子としての1つの光スイッチの構造について、図3乃至図7を参照して説明する。
図3は、図1中の光スイッチアレー1の単位素子としての1つの光スイッチを模式的に示す概略平面図である。図4は、図3中のA−A’線に沿った概略断面図である。ただし、図4は可動板12の断面のみを示している。図5は、図3中の可動板12を上から見たときのAl膜22のパターン形状を示す図である。理解を容易にするため、図5において、Al膜22の部分にハッチングで示している。図6及び図7はそれぞれ、図3及び図5中のB−B’線に沿った断面を+Y側から−Y軸方向に見た概略断面図である。ただし、図6及び図7には、−Y軸方向に見たミラー31も併せて示している。図6はミラー31が上側に保持されて光路に進出した状態、図7はミラー31が下側に保持されて光路から退出した状態を示している。なお、図6及び図7では、図面表記の便宜上、後述する凸部24の図示を省略してそれによる段差がないものとして示している。
光スイッチアレー1の単位素子としての1つの光スイッチは、図2及び図3に示すように、シリコン基板等の基板11上に設けられ基板11と共に1つのマイクロアクチュエータを構成する可動部としての1つの可動板12と、可動板12に搭載された被駆動体である光学素子としてのミラー31とを有している。
可動板12は、薄膜で構成され、図3乃至図7に示すように、可動板12の平面形状の全体に渡る下側の窒化ケイ素膜(SiN膜)21及び上側のSiN膜23と、これらの膜21,23の間において部分的に形成された中間のAl膜22とから構成されている。すなわち、可動板12は、下から順にSiN膜21,23を積層した2層膜からなる部分と、下から順にSiN膜21、Al膜22及びSiN膜23を積層した3層膜からなる部分とを、併有している。Al膜22のパターン形状は図5に示す通りであるが、これについては後述する。可動板12は、SiN膜21,23とAl膜22との熱膨張係数の差によって生じる内部応力、並びに、成膜時に生じた内部応力により、図6に示すように基板11に対して上向き(+Z方向)に湾曲するように、予め定められた膜厚及び成膜条件によって形成されている。
可動板12は、図3に示すように、ミラー31を搭載するための搭載部(すなわち、ミラー31用の支持基体)としての長方形状のミラー搭載板12aと、ミラー搭載板12aの端部に接続された2本の帯状の支持板12bとを含む。本実施の形態では、これらの2本の支持板12bが、互いに機械的に並列接続された2本の梁部となっている。支持板12bは、それぞれの端部に脚部12c及び脚部12dを有している。脚部12c及び12dはいずれも基板11に固定されており、可動板12は、脚部12c及び12dを固定端として、図6に示すように、ミラー搭載板12a側が持ち上がるようになっている。このように、本実施の形態では、可動板12は、脚部12c及び12dを固定端とする片持ち梁構造を持つ可動部となっている。本実施の形態では、基板11及びこれに積層された後述する絶縁膜13,14,15等が、固定部を構成している。
可動板12には、図3に示すように、可動板12のミラー31を搭載している部分を含む領域を取り囲むように、凸部24が設けられている。凸部24は、図4に示すように、可動板12を構成する複層膜を凸型にすることにより形成されている。このように凸部24を設けることにより、段差が生じるため、可動板12のうち、凸部24で囲まれた領域及び凸部24が設けられた領域は、内部応力による湾曲が抑制され、平面性を維持することができる。このため、可動板12は、図6のように内部応力による湾曲によりミラー31を上側の位置に持ち上げた状態であっても、ミラー31を搭載している部分は平面であるため、搭載されているミラー31の形状を一定に保つことができる。
このように、可動板12は、凸部24で囲まれた領域及び凸部24が設けられた領域は湾曲が抑制されるが、支持板12bの脚部12dに近い領域は、凸部24が設けられていない。これにより、凸部24が設けられていない支持板12bの領域の湾曲によって、可動板12は、脚部12c,12dを固定端として、図6のように、ミラー搭載板12a側が持ち上がるようになっている。また、支持板12bの脚部12dに近い領域は、凸部24が設けられていないことにより、弾性部としての板ばね部となっている。
ここで、可動板12のAl膜22の形状について、図5を参照して説明する。本実施の形態では、駆動力としてローレンツ力と静電力の両方を用いて可動板12を駆動するために、図5に示すような形状に、Al膜22をパターニングしている。Al膜22のうちパターン22aは、2つの脚部12dのそれぞれから、可動板12の外周の縁に沿って延びて可動板12の先端側(+X側)まで延び、可動板12の先端の一辺12eに沿ってY軸方向に延びた直線状のパターン22cに接続されている。パターン22cは、磁界内に配置されて通電により駆動力としてのローレンツ力を生じる電流経路(ローレンツ力用電流経路)である。以下、パターン22cをローレンツ力電流経路22cと呼ぶ場合がある。パターン22cもAl膜22のうちのパターンである。パターン22aは、ローレンツ力電流経路22cに電流を供給するための配線パターンである。パターン22aは、図6及び図7に示すように、+Y側の脚部12dにおいて基板11上の絶縁膜15のスルーホール及びSiN膜21のコンタクトホールを介してAl膜等からなるローレンツ力用配線パターン42aに接続されるとともに、−Y側の脚部12dにおいて同様に別のローレンツ力用配線パターン42a(図6及び図7では図示せず)と接続され、脚部12dを介してローレンツ力用配線パターンからローレンツ力用駆動信号としての電流が供給される。図1に示す磁石5によって、ローレンツ力用電流経路22cがX軸方向の磁界内に置かれている。したがって、パターン22aを介してローレンツ力電流経路22cに電流を供給すると、ローレンツ力用電流経路22cに、その電流の向きに応じて、+Z方向又は−Z方向のローレンツ力が生ずる。
なお、図6及び図7に示すように、基板11上には、基板11側から順にシリコン酸化膜等の絶縁膜13,14,15が積層され、ローレンツ力用配線パターン42aは、絶縁膜14,15間に形成されている。
また、Al膜22のうちパターン22bは、2つの脚部12cのそれぞれから、可動板12の内側の縁に沿って可動板12の先端側(+X側)まで延び、先端側に配置された長方形状のパターン22dに接続されている。パターン22dは、駆動力としての静電力を発生するための可動電極である。以下、パターン22dを可動電極22dと呼ぶ場合がある。パターン22dもAl膜22のうちのパターンである。パターン22bは、可動電極22dの配線パターンである。パターン22bは、脚部12cにおいて、絶縁膜15のスルーホール及びSiN膜21のコンタクトホールを介して可動電極用配線パターン(図示せず)に接続され、Al膜からなる固定電極41aとの間に電圧(静電力用電圧、静電力用駆動信号)が印加される。固定電極41aは、基板11上の絶縁膜13,14間に形成され、可動電極22dと対向する位置に配置されている。可動電極22dと固定電極35との間に電圧が印加されると、両者の間に駆動力としての静電力が生じ、この静電力により可動板12は基板11に引き寄せられる。
本実施の形態では、可動電極22dと固定電極41aとの間の静電力用電圧及びローレンツ力用電流経路22cに流す電流を制御することで、ミラー31が上側(基板11と反対側)に保持された状態(図6)及びミラー31が下側(基板11側)に保持された状態(図7)にすることができる。本実施の形態では、後述するように、外部制御回路6a及び当該マイクロアクチュエータアレーに搭載された後述の図9に示す回路によってこのような制御が行われるようになっている。図6及び図7において、Kは、ミラー31の進出位置に対する入射光の光路の断面を示している。
次に、1つの光スイッチに着目して、その制御方法の一例とこれによる光スイッチの動作について、図8を参照して説明する。図8は、1つの光スイッチのローレンツ力電流経路22cに流れてローレンツ力を起こす電流(以下、「ローレンツ力用電流」という)と、当該光スイッチの可動電極22dと固定電極41aとの間に静電力を起こす両者間の電圧(以下、「静電力用電圧」という。)と、当該光スイッチのミラー31の位置(したがって、可動板12の位置)との、時間変化による関係を示す、タイミングチャートである。
最初に、ローレンツ力用電流がゼロであるとともに静電力用電圧がゼロであり、凸部24が設けられていない支持板12bの領域の膜の応力(バネ力)によって+Z方向に湾曲した状態に復帰し、ミラー31が図6に示すように上側位置に保持されていたとする。この状態では、ミラー31が光路Kに進出して、当該光路Kに入射した光を反射させる。
その後、時刻T1において、ミラー31の位置を図7に示す下側位置に切り替えるべく制御を開始する。すなわち、時刻T1において、ローレンツ力用電流を+Iとする。ここで、+Iは、ローレンツ力電流経路22cに、前記バネ力より強くかつ下向きのローレンツ力を発生させる電流である。
ミラー31は、このローレンツ力により徐々に下降し、可動板12が基板11に当接した時刻T2で停止し、図6に示す下側位置に保持される。次に、時刻T3で静電力用電圧をVとした後に、時刻T4でローレンツ力用電流をゼロにする。ここで、Vは、少なくとも、ミラー31が下側位置に位置しているときに前記バネ力より強い静電力を発生させる電圧である。期間T2−T3ではローレンツ力のみによりミラー31が下側位置に保持され、期間T3−T4ではローレンツ力及び静電力によりミラー31が下側位置に保持され、時刻T4以降では静電力のみによりミラー31が下側位置に保持される。期間T2−T4は、ミラー31の下側位置への保持をローレンツ力から静電力に切り替えるいわば下側保持の過渡期間であり、期間T4以降がいわば下側保持の定常期間である。
ミラー31が下側位置に保持された期間では、図7に示すように、入射光はミラー31で反射されることなく、そのまま通過して出射光となる。
その後、時刻T5において、ミラー31の位置を図7に示す上側位置に切り替えるべく制御を開始する。すなわち、時刻T5において、静電力用電圧をゼロにするとともに、ローレンツ力用電流を−I(ローレンツ力電流経路22cに上向きのローレンツ力を発生させる電流)を流す。その結果、ミラー31は、前記バネ力及び上向きのローレンツ力により上方へ移動していく。ミラー31が図7に示す上方位置に到達する前の時刻T6において、ローレンツ力用電流をゼロにする。時刻T6以降は前記バネ力のみによって上方へ移動していき、時刻T7において図7に示す上側位置に戻り、当該バネ力により上側位置に保持され続ける。期間T5−T6に印加される上向きのローレンツ力は、上向きの力を増大させていわば加速力として作用する。このため、ミラー31をより短時間で上側位置へ移動させることができるという利点が得られるとともに、ミラー31が下側位置に保持されているときに可動板12と基板11との接触部間にスティッキングと呼ばれる現象が生じて両者の間に接着力が作用している場合であっても、両者の間が剥がれ易くなり、作動不能となるおそれがなくなるという利点が得られる。もっとも、期間T5−T6においてもローレンツ力電流をゼロのままとして、前記バネ力のみによってミラー31を下側位置から上側位置へ復帰させてもよい。
なお、前述した例では、時刻T2と時刻T4との間の時刻T3で静電力用電圧をVにしているが、期間T1−T4のいずれの時点で静電力用電圧をVにしてもよいし、時刻T1の前に静電力用電圧をVにしてもよい。また、可動板12が上側位置に位置しているときに静電力用電圧をVにした際に生ずる静電力が、凸部24が設けられていない支持板12bの領域のバネ力より小さいものであれば、時刻T7の後に可動板12が上側位置に移動した後には、上側保持期間においても静電力用電圧をVにしておいてもよい。後述する図10の例における右側の電圧リフレッシュ期間は、このような場合に相当する。
以上の説明からわかるように、本実施の形態では、駆動力としての静電力を発生させる可動電極22d及び固定電極41a、及び、駆動力としてのローレンツ力を発生させるローレンツ力用電流経路22cが、信号に応じて、可動板12の弾性部(凸部24が設けられていない支持板12bの領域)のバネ力に抗してミラー31の移動及び位置の保持を行う駆動力を可動板12に付与し得る駆動力付与手段を、構成している。もっとも、本発明では、この駆動力付与手段は、例えば、ローレンツ力用電流経路22cのみで構成してもよい。この場合には、例えば、パターン22bを除去するかあるいは途中で断線させるか、あるいは、可動電極22dを除去すればよい。
本実施の形態では、ミラー31は、前記特許文献2に開示されているミラーと同様に、Au、Ni又はその他の金属で構成され、可動板12のミラー搭載板12aの上面に直立して、単に固定されている。このミラー31は、例えば、前記特許文献2に開示されているように、ミラー31に対応する凹所をレジストに形成した後、電解メッキによりミラー31となるべきAu、Niその他の金属を成長させ、その後に前記レジストを除去することで、形成することができる。ミラー31をその支持基体となるミラー搭載板12aにより支持する支持構造は、これに限定されるものではなく、例えば、特許文献1に開示された支持構造を採用してもよい。その場合、これらの支持構造及びミラー31は、特許文献1に開示されている製造方法と同様の製造方法により製造することができる。
図9は、本実施の形態による光スイッチアレー1を示す電気回路図である。図3乃至図7に示す単一の光スイッチは、電気回路的には、1個のコンデンサ(固定電極41aと可動電極22dとがなすコンデンサに相当)と、1個のコイル(ローレンツ力用電流路22cに相当)と見なせる。図9では、m行n列の光スイッチのコンデンサ及びコイルをそれぞれCmn及びLmnと表記している。例えば、図2中の左上の(1行1列の)光スイッチのコンデンサ及びコイルをそれぞれC11,L11と表記している。図9では、説明を簡単にするため、既に説明したように、9個の光スイッチを3行3列に配置している。もっとも、光スイッチの数は何ら限定されるものではなく、例えば100行100列の光スイッチを有する場合も、原理は同一である。また、光スイッチの数が同じであっても、行数と列数を同数にする必要はないし、マトリクス配置にする必要もない。例えば、光スイッチの数が9個の場合、1行9列の配置でもよいし、光スイッチの数が16個の場合、4行4列、1行16列及び2行8列のいずれの配置でもよい。
制御線の本数を減らすために、図9に示す回路では、コンデンサCmn及びコイルLmnに対してそれぞれ、列選択スイッチMmnb,Mmndと行選択スイッチMmna,Mmncが設けられている。コンデンサCmnの一端が行選択スイッチMmnaの一端に接続され、行選択スイッチMmnaの他端が列選択スイッチMmnbの一端に接続され、列選択スイッチMmnbの他端は電圧制御スイッチMC1の一端及びMC2の一端に接続されている。コンデンサCmnの他端はグランドに接続されている。電圧制御スイッチMC1の他端はクランプ電圧VCに接続され、電圧制御スイッチMC2の他端はグランドに接続されている。
また、コイルLmnの一端が行選択スイッチMmncの一端に接続され、行選択スイッチMmncの他端が列選択スイッチMmndの一端に接続され、列選択スイッチMmndの他端は電流制御スイッチMC3,MC4の一端に接続されている。コイルLmnの他端はグランドに接続されている。電流制御スイッチMC3の他端は前記電流+Iを供給する定電流源I1の一端に接続され、電流制御スイッチMC4の他端は前記電流−Iを供給する電流源I2の一端に接続され、定電流源I1,I2の他端はグランドに接続されている。なお、前述したように、期間T5−T6においてもローレンツ力電流をゼロのままとして、前記バネ力のみによってミラー31を下側位置から上側位置へ復帰させる場合には、電流制御スイッチMC4、電流源I2及び後述する端子C4は不要である。
スイッチング素子としての列選択スイッチMmnb,Mmnd、行選択スイッチMmna,Mmnc、電圧制御スイッチMC1,MC2及び電流制御スイッチMC3,MC4は、例えば、基板11としてP型シリコン基板を用いた場合、基板11に形成したN型MOSトランジスタで構成することができる。
1行目の行選択スイッチM11a,M11c,M12a,M12c,M13a,M13c、のゲートは、端子V1に接続されている。同様に、2行目の行選択スイッチのゲートは端子V2に、3行目の行選択スイッチのゲートは端子V3にそれぞれ接続されている。
1列目の列選択スイッチM11b,M11d,M21b,M21d,M31b,M31dのゲートは、端子H1に接続されている。同様に、2列目の列選択スイッチのゲートは端子H2に、3行目の列選択スイッチのゲートは端子H3にそれぞれ接続されている。
次に、各端子V1,V2,V3,H1,H2,H3,C1,C2,C3,C4に印加する電圧のタイミングチャートの一例を、図10に示す。図10において、時刻t1以前は、全ての光スイッチのコンデンサCmnをクランプ電圧VCにバイアスする電圧リフレッシュ期間である。したがって、この期間では、端子V1,V2,V3,H1,H2,H3は全てハイレベルとされて、全ての列選択スイッチMmnb,Mmnd及び行選択スイッチMmna,Mmncが導通状態になっている。また、この期間では、端子C1がハイレベルで端子C2がローレベルとされ、電圧制御スイッチMC1が導通状態で電圧制御スイッチMC2が不導通状態になっている。さらに、端子C3,C4はローレベルとされ、電流制御スイッチMC3,MC4が不導通状態となっている。電圧リフレッシュ期間では、ミラー31は上側位置及び下側位置のいずれかに保持されている。図10の例では、時刻t1以前の電圧リフレッシュ期間では、ミラー31が下側位置に保持されている。
ところで、本実施の形態では、端子V1,V2,V3,H1,H2,H3,C1,C2,C3,C4に印加する信号(電圧)は、図1中の外部制御回路6から制御信号として供給される。外部制御回路6は、例えば、光路切換状態指令信号に基づいて、現在の位置状態から変更すべき光スイッチを調べて、当該変更すべき光スイッチの1つずつについて、状態変更期間を1つずつ順次設定していく。現在の位置状態から変更すべき光スイッチがない場合には、前記電圧リフレッシュ期間を設定する。また、状態変更期間を複数設定する場合(つまり、現在の位置状態から変更すべき光スイッチの数が2つ以上の場合)には、各状態変更期間の間に電圧リフレッシュ期間を設定してもよいし、設定しなくてもよい。そして、設定した各状態変更期間においては、対応する光スイッチについて、指令された光路切換状態に応じて前述した図8に示すような制御が実現されるように、端子V1,V2,V3,H1,H2,H3,C1,C2,C3に印加する信号を供給する。なお、外部制御回路6を光スイッチアレー1に搭載してもよいことは、言うまでもない。
図10は、外部制御回路6により、電圧リフレッシュ期間→1行1列の光スイッチについての状態変更期間→電圧リフレッシュ期間が、設定された例である。図10の例では、時刻t1以前の電圧リフレッシュ期間では、ミラー31が下側位置に保持されている。時刻t1で、1行1列の光スイッチについての状態変更期間が開始され、端子V2,V3,H2,H3がローレベルにされてコンデンサC11以外のコンデンサ及びコイルL11以外のコイルが切り離される。次に、時刻t2で端子C1がローレベルにされ、時刻t3で端子C2がハイレベルにされると同時に端子C4がハイレベルにされる。これにより、コンデンサC11に充電されていた電荷が放電され静電力用電圧がゼロにされると同時に、ローレンツ力用電流として−I(ローレンツ力電流経路22cに上向きのローレンツ力を発生させる電流)がコイルL11に流れる。この時刻t3は図8中の時刻T5に対応している。次に、時刻t4で端子C4がローレベルにされる。この時刻t4は図8中の時刻T6に対応している。これによって、ミラー31は、図6に示す上側位置まで移動して停止し、その状態が保持される。時刻t5で端子C2がローレベルにされ、更に時刻t6で端子C1がハイレベルにされた後に、時刻t7で、当該状態変更期間を終了し、電圧リフレッシュ期間とされる。
図9に示す回路は、各コンデンサCmnに電圧を供給する電圧供給回路と、定電流電源I1,I2からの電流を各コイルLmnに供給する電流供給回路とから構成されている。前述した説明からわかるように、本実施の形態では、この電流供給回路は、1つのコイルが選択されてそのコイルに電流を流している時には他のコイルには電流を流さない。すなわち、本実施の形態では、前記電流供給回路は、定電流源I1,I2からの電流をm×n個のコイル(ローレンツ力電流経路22c)に択一的に供給する。
図11は、図1中の光スイッチアレー1に搭載されている前記電流供給回路の電流経路(すなわち、定電流源I1,I2から供給されるローレンツ力用電流が流れる電流経路)の様子を模式的に示す概略平面図である。図12は、図11に示す電流経路を等価抵抗で示す電気回路図である。
本実施の形態では、前記電流供給回路は、図11に示すように配線されることによって、いずれのコイルLmn(ローレンツ力電流経路22c)に所定方向にローレンツ力が生ずるように選択的に電流を供給しても、当該供給時に流れる電流の全体経路の抵抗値が、互いに実質的に同一となるように、構成されている。この点について以下に具体的に説明する。
図11及び図12において、電源部100は、図9中の定電流源I1,I2及び電流制御スイッチMC3,MC4からなる部分をまとめて示している。100a,100bは電源部100の電流入出力点を示し、電流入出力点100a,100bの一方から流出した電流が他方に戻ってくる。その電流の向きは、電流制御スイッチMC3,MC4のいずれがオンしているかにより定まる。
前記電流供給回路には、図11及び図12に示すように、各コイルLmnに対応して第1の電流通過点Amn及び第2の電流通過点Bmnが存在している。なお、m行n列の光スイッチのコイルLmnに対応する第1及び第2の電流通過点をそれぞれAmn,Bmnと表記している。例えば、コイルL11に対応する第1及び第2の電流通過点をそれぞれA11,B11と表記している。
図11及び図12に示すように、各コイルLmnに関して、当該コイルLmnに対応する第1及び第2の電流通過点Amn,Bmn間に、当該コイルLmnを含む経路であって当該コイルLmnを流れる電流のみが流れて他のコイルを流れる電流が流れない経路である個別電流経路Smnが形成されている。例えば、コイルL11に対応する第1及び第2の電流通過点A11,B11間に、コイルL11を含む経路であってコイルL11を流れる電流のみが流れて他のコイルを流れる電流が流れない経路である個別電流経路S11が形成されている。
本実施の形態では、各個別電流経路Smnは、コイルLmn、行選択スイッチMmnc及び列選択スイッチMmndが、第1及び第2の電流通過点Amn,Bmn間に、前述したパターン22a及び配線パターン42aなどの配線要素によって直列接続されることによって、構成されている。例えば、個別電流経路S11は、コイルL11、行選択スイッチM11c及び列選択スイッチM11dが、第1及び第2の電流通過点A11,B11間に、パターン22a及び配線パターン42aなどの配線要素によって直列接続されることによって、構成されている。
各個別電流経路Smnのオン時の抵抗値(個別電流経路Smnに電流が流れる時の当該個別電流経路Smnの電流通過点Amn,Bmn間の抵抗値)は、互いに同一の抵抗値RLに設定されている。なお、本実施の形態では、この抵抗値RLは、コイルL11の抵抗値、スイッチMmnc,Mmndのオン抵抗値及び前記配線要素の抵抗値の合計となる。
図11及び図12に示すように、列方向に隣り合う各2つのマイクロアクチュエータのコイルに対応する第1の電流通過点同士、及び、列方向に隣り合う各2つのマイクロアクチュエータアレーのコイルに対応する第2の電流通過点同士が、互いに同一の抵抗値Raを持つ第1の電流経路81でそれぞれ接続されている。すなわち、点A11,A21同士、点A21,A31同士、点A12,A22同士、点A22,A32同士、点A13,A23同士、点A23,A33同士、点B11,B21同士、点B21,B31同士、点B12,B22同士、点B22,B32同士、点B13,B23同士、及び点B23,B33同士が、それぞれ第1の電流経路81で接続され、各第1の電流経路81は、互いに同一の抵抗値Raを持っている。各第1の電流経路81は、アルミやポリシリコン等の導電膜の配線パターンなどの配線要素で構成されている。
前記電流供給回路には、図11及び図12に示すように、マイクロアクチュエータの各列に対応して第3の電流通過点Cn及び第4の電流通過点Dnが存在している。n列目のマイクロアクチュエータに対応する第3及び第4の電流通過点をそれぞれCn,Dnと表記している。例えば、1列目のマイクロアクチュエータに対応する第3及び第4の電流通過点をそれぞれC1,D1と表記している。
マイクロアクチュエータの各列に関して、当該列に対応する第3の電流通過点Cnと当該列のうちの一方側のマイクロアクチュエータのコイルL1nに対応する第1の電流通過点A1nとが、第2の電流経路82で接続されている。すなわち、点C1,A11同士、点C2,A12同士、及び点C3,A13同士が、それぞれ第2の電流経路82で接続されている。各第2の電流経路82は、互いに同一の抵抗値Rbを有している。各第2の電流経路82は、アルミやポリシリコン等の導電膜の配線パターンなどの配線要素で構成されている。
マイクロアクチュエータの各列に関して、当該列に対応する第4の電流通過点Dnと当該列のうちの他方側のマイクロアクチュエータのコイルL3nに対応する第2の電流通過点B3nとが第3の電流経路83で接続されている。すなわち、点D1,B31同士、点D2,B32同士、及び点D3,B33同士が、それぞれ第3の電流経路83で接続されている。各第3の電流経路83は、互いに同一の抵抗値Rcを有している。各第3の電流経路83は、アルミやポリシリコン等の導電膜の配線パターンなどの配線要素で構成されている。
隣り合う各2つの列に対応する第3の電流通過点同士、及び、隣り合う各2つの列に対応する前記第4の電流通過点同士が、互いに同一の抵抗値Rdを持つ第4の電流経路84で接続されている。すなわち、点C1,C2同士、点C2,C3同士、点D1,D2同士、及び点D2,D3同士が、それぞれ第4の電流経路84で接続されている。各第4の電流経路84は、互いに同一の抵抗値Rdを有している。各第4の電流経路84は、アルミやポリシリコン等の導電膜の配線パターンなどの配線要素で構成されている。
本実施の形態では、図11及び図12に示すように、電源部100の電流入出力点100aと第3の電流通過点C3との間が、抵抗値Reを持つ第5の電流経路85で接続されている。また、電源部100の電流入出力点100bと第4の電流通過点D1との間が、抵抗値Rfを持つ第6の電流経路86で接続されている。第5及び第6の電流経路85,86は、アルミやポリシリコン等の導電膜の配線パターンなどの配線要素で構成されている。これによって、各コイルLmnに流れる電流は、電源部100から、前記一方側の列に対応する第3の電流通過点C3及び前記他方側の列に対応する第4の電流通過点D1のうちの一方の電流通過点を経由した後に当該コイルLmnに入り、当該コイルLmnを出た後に、前記一方側の列に対応する第3の電流通過点C3及び前記他方側の列に対応する第4の電流通過点D1のうちの他方の電流通過点を経由した後に、電源部100へ戻るようになっている。
なお、本実施の形態による光スイッチアレー1は、例えば、MOSトランジスタ製造プロセスの他、膜の形成及びパターニング、エッチング、犠牲層の形成・除去などの半導体製造技術を利用して、製造することができる。
本実施の形態では、例えば、電源部100の電流制御スイッチMC3をオンにし電流制御スイッチMC4をオフにした場合において、電源部100に最も近い位置に配置されたコイルL13を選択すると図11中の実線の矢印で示す経路及び向きに電流が流れ、電源部100から最も遠い位置に配置されたコイルL13を選択すると図11中の破線の矢印で示す経路及び向きに電流が流れる。
本実施の形態では、前記電流供給回路が前述した電流経路Smn,81〜86を有することによって、図11及び図12からわかるように、いずれのコイルLmnを選択しても、その際に流れる電流の、電源部100の電流入出力点100a,100bの一方から他方までの経路の抵抗値は、(m−1)×Ra+(n−1)×Rd+RL+Rb+Rc+Re+Rfとなる。ここで、mはマイクロアクチュエータの行数、nはマイクロアクチュエータの列数である。
したがって、本実施の形態では、いずれのコイルLmnに所定方向にローレンツ力が生ずるように選択的に電流を供給しても、当該供給時に流れる電流の全体経路の抵抗値が、互いに同一となる。なお、電流制御スイッチMC3,MC4のオンオフ状態によって定電流源I1を有効にした場合と定電流源I2を有効にした場合とで、電源部100内で流れる電流の経路の抵抗値は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
このため、本実施の形態によれば、いずれのコイルLmnを選択しても、定電流源I1,I2の負荷が変動することがなく一定となる。これは、マイクロアクチュエータアレー1に搭載されるマイクロアクチュエータの数が増えても同じである。よって、本実施の形態によれば、定電流源I1,I2として、負荷変動の許容量の小さい定電流源を採用しても、当該定電流源が定電流動作を適切に行うため、各コイルLmnに一定電流を供給することができる。このように、負荷変動の許容量の小さい定電流源を採用することができるので、コスト低減を図ることができる。
また、いずれのコイルLmnに所定方向にローレンツ力が生ずるように選択的に電流を供給しても、当該供給時に流れる電流の全体経路の抵抗値が、互いに同一となるので、定電流源I1,I2に代えて、定電圧源を採用しても、各コイルLmnに一定電流を供給することができる。本発明では、定電流源I1,I2に代えて定電圧源を用いてもよく、この場合には、よりコスト低減を図ることができる。
ここで、本実施の形態による光スイッチアレー1と比較される比較例による光スイッチアレーについて、図13及び図14を参照して説明する。
図13は、比較例による光スイッチアレーに搭載されている電流供給回路の電流経路(すなわち、定電流源I1,I2から供給されるローレンツ力用電流が流れる電流経路)の様子を模式的に示す概略平面図である。図14は、図13に示す電流経路を等価抵抗で示す電気回路図である。図13及び図14は、図11及び図12にそれぞれ対応している。図13及び図14において、図11及び図12中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
この比較例によるが本実施の形態による光スイッチアレー1と異なる所は、電流供給回路の電流経路の構成のみである。この比較例は、電流供給回路を一般的な配線手法を採用して構成したものである。この比較例では、図13及び図14に示すように、図11中の電流通過点D1〜D3及びこれらに接続されている電流経路83,84,86が除去され、その代わりに、(i)電流通過点E1,B11同士、電流通過点E2,B12同士、及び電流通過点E3,B13同士が、互いに同一の抵抗値Rhを持つ配線パターン等の電流経路91でそれぞれ接続され、(ii)電流通過点E1,E2同士及び電流通過点E2,E3同士が、互いに同一の抵抗値Rd(電流経路84と同じ抵抗値Rd)を持つ配線パターン等の電流経路92でそれぞれ接続され、(iii)電流通過点E3と電源部100の電流入出力点100bと間が、抵抗値Rgを持つ配線パターン等の電流経路93で接続されている。
この比較例では、電源部100に最も近い位置に配置されたコイルL13を選択すると図13中の実線の矢印で示す経路に電流が流れる。この電流の、電源部100の電流入出力点100a,100bの一方から他方までの経路の抵抗値R1は、Re+Rb+RL+Rh+Rgとなる。一方、電源部100から最も遠い位置に配置されたコイルL13を選択すると図13中の破線の矢印で示す経路に電流が流れる。この電流の、電源部100の電流入出力点100a,100bの一方から他方までの経路の抵抗値R2は、Re+2(n−1)×Rd+Rb+2(m−1)×Ra+RL+Rh+Rgとなる。
今、m=3、n=3であるので、例えば、RL=200Ω、Ra,Rd,Re=2Ω、Rb,Rg,Rh=4Ωとした場合、R1=214Ω、R2=230Ωとなり、選択したコイルLmnによって定電流源I1,I2の負荷が変動することがわかる。
図13及び図14に示す電流供給回路における、電源部100における一方の定電流源I1(図9参照)が有効となっているときにあるコイルLmnを選択した場合に電流Iが流れる経路に関する回路部分は、図15に示すようにモデル化することができる。図15に示すモデルでは、ゲート電圧を固定した1個のMOSトランジスタ200で定電流源I1を構成し、定電流源I1の負荷は、選択スイッチのMmnc,Mmndとその他の配線抵抗等の負荷抵抗Rとの直列回路であると考え、電流制御スイッチMC3は省略している。このモデルのように、定電流源I1を1個のMOSトランジスタ200で構成する場合、電流Iの大きさの設定は、MOSトランジスタ200のゲート電圧の電圧値を変えて行う。図15に示すように、定電流源I1を1個のMOSトランジスタ200で構成すると、構造が極めて簡単であるとともに、これをマイクロアクチュエータアレーの基板11となるシリコン基板上に形成することができて製造が容易となるので、有効である。
図15に示すモデルにおいて、MOSトランジスタ200及び選択スイッチのMmnc,MmndとしてPMOSトランジスタを用い、定電流源11の電源電圧を+15V、ゲート電圧を+10V、選択スイッチMmnc,Mmndのオン信号電圧を−15Vとして、負荷抵抗Rに対する電流値Iの変化をシミュレーションした。図16は、そのシミュレーション結果を示す。図16から、前述した例のR1=214Ω、R2=230Ω程度の負荷抵抗の変動ならば、定電流源I1は、定電流動作を適切に行うことがわかる。
しかしながら、図13及び図14に示す比較例と同様の配線手法を採用した場合、マイクロアクチュエータの数を増やすと、電源部100に最も近い位置に配置されたコイルを選択した場合と、電源部100から最も遠い位置に配置されたコイルを選択した場合とで、電源部100から見た抵抗値の差は非常に大きくなる。例えば32×32個のマイクロアクチュエータを搭載したマイクロアクチュエータアレーを考えると、R1=214Ω、R2=462Ωとなり、図16を見てもわかるようにもはや適切な定電流動作が行われなくなる。
このため、図13及び図14に示す比較例と同様の一般的な配線手法を採用した場合、マイクロアクチュエータアレーに搭載されるマイクロアクチュエータの数が多くなると、負荷変動の許容量の大きい定電流源を採用せざるを得なくなる。負荷変動の許容量の大きい定電流源は、その構成が複雑になるなどの理由で高価になる。したがって、当該マイクロアクチュエータアレーも高価になってしまう。
また、図13及び図14に示す比較例と同様の一般的な配線手法を採用した場合、マイクロアクチュエータアレーに搭載されるマイクロアクチュエータの数が少なくても、あるコイルを選択した時と他のコイルを選択した時とで、流れる電流の経路の抵抗値が変動してしまうため、定電流源に代えて定電圧源を用いると、各ローレンツ力用電流経路に一定電流を供給することができなくなってしまう。したがって、コイルLmnに流す電流の供給源として、定電流源に代えて定電圧源を用いることはできなかった。
これに対し、本実施の形態によれば、前述したように、いずれのコイルLmnに所定方向にローレンツ力が生ずるように選択的に電流を供給しても、当該供給時に流れる電流の全体経路の抵抗値が、互いに同一となるので、前記比較例で生ずる不都合を解消することができるのである。
なお、本実施の形態において、定電流源I1,I2として、図15中のMOSトランジスタ200を用いてもよい。
[第2の実施の形態]
図17は、本発明の第2の実施の形態による光スイッチアレーを示す電気回路図である。図18は、本実施の形態による光スイッチアレーに搭載されている電流供給回路の電流経路(すなわち、定電流源I1,I2から供給されるローレンツ力用電流が流れる電流経路)の様子を模式的に示す概略平面図である。図17及び図18は、図9及び図11にそれぞれ対応している。図17及び図18において、図9及び図11中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。本実施の形態が前記第1の実施の形態と異なる所は、以下に説明する点のみである。
本実施の形態では、図17に示すように、図9において各コンデンサCmnに対して設けられていた列選択スイッチMmnbが除去され、その代わりに、各列に共通して列選択スイッチM1b〜M3bが設けられている。列選択スイッチM1bの一端は、1列目の行選択スイッチM11a,M21a,M31aの一端にそれぞれ接続されている。列選択スイッチM2bの一端は2列目の行選択スイッチM12a,M22a,M32aの一端にそれぞれ接続されている。列選択スイッチM3bの一端は3列目の行選択スイッチM13a,M23a,M33aの一端にそれぞれ接続されている。列選択スイッチM1b〜M3bの他端は、電圧制御スイッチMC1,MC2の一端にそれぞれ接続されている。列選択スイッチM1b〜M3bのゲートは、端子H1,H2,H3にそれぞれ接続されている。
また、本実施の形態では、図17に示すように、図9において各コイルLmnに対して設けられていた列選択スイッチMmndが除去され、その代わりに、各列に共通して列選択スイッチM1d〜M3dが設けられている。列選択スイッチM1dの一端は、1列目の行選択スイッチM11c,M21c,M31cの一端にそれぞれ接続されている。列選択スイッチM2dの一端は2列目の行選択スイッチM12c,M22c,M32cの一端にそれぞれ接続されている。列選択スイッチM3dの一端は3列目の行選択スイッチM13c,M23c,M33cの一端にそれぞれ接続されている。列選択スイッチM1d〜M3dの他端は、電流制御スイッチMC3,MC4の一端にそれぞれ接続されている。列選択スイッチM1d〜M3dのゲートは、端子H1,H2,H3にそれぞれ接続されている。
これに伴い、本実施の形態では、図18に示すように、図11において個別電流経路Smn中に配置されていた列選択スイッチMmndが除去され、その代わりに、列選択スイッチM1dが電流通過点A11,C1間の電流経路82中に配置され、列選択スイッチM2dが電流通過点A12,C2間の電流経路82中に配置され、列選択スイッチM3dが電流通過点A13,C3間の電流経路82中に配置されている。なお、本実施の形態においても、前記第1の実施の形態と同様に、各個別電流経路Smnは互いに同一のオン抵抗値を有し、各電流経路82は互いに同一のオン抵抗値を有する。
本実施の形態によっても、前記第1の実施の形態と同様の利点が得られる。また、本実施の形態によれば、アレイ領域に配置されていた列選択スイッチMmndの代わりに、アレイ領域の外側に配置された列選択スイッチM1d〜M3dが設けられているので、アレイ領域におけるスイッチに必要な面積を減らすことができる。このため、同一面積をアレイ領域のスイッチに割り当てれば、2倍の電流を扱うスイッチを構成でき、コイルの制御に関する設計上の制約を緩和することができる。また、本実施の形態によれば、前記第1の実施の形態に比べて、列選択スイッチの数を減らすことができるので、好ましい。
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。
例えば、前記各実施の形態において、行と列との関係を入れ替えてもよいことは、言うまでもない。
また、前記各実施の形態では、ローレンツ力用電流経路に流す電流の供給源となる電源は、光スイッチアレーの基板上に搭載されていたが、光スイッチアレーの外部に配置してもよい。この場合、例えば、光スイッチアレーに、当該電源から給電を受けるための端子を設けておけばよい。
さらに、前記各実施の形態は、電源からの電流をm×n個のコイル(ローレンツ力用電流経路)に択一的に供給する電流供給回路を有するマイクロアクチュエータアレーに適用した例であったが、本発明は、マイクロアクチュエータアレーに搭載されているコイルを複数個ずつのグループに分けて、電源からの電流を、前記複数のマイクロアクチュエータのコイルに前記各グループ毎に選択的に供給する電流供給回路を、備えたマイクロアクチュエータアレーにも、同様に適用することができる。この場合、例えば、各列毎(又は行毎)にコイルを直列接続しておいてもよい。
さらにまた、前述した各実施の形態は、本発明を可動部が片持ち梁構造を持つタイプのマイクロアクチュエータを用いたマイクロアクチュエータアレーに適用した例であったが、本発明は、これに限定されるものではなく、例えば、特許文献2に開示されているような可動部が両持ち構造を持つタイプのマイクロアクチュエータを用いたマイクロアクチュエータアレーにも適用できる。
また、前述した各実施の形態は、本発明によるマイクロアクチュエータアレーを光スイッチアレーに適用した例であったが、本発明によるマイクロアクチュエータアレーは、他の光学装置やその他の種々の用途に用いることができる。
本発明の第1の実施の形態による光スイッチアレーを備えた光学システムの一例を模式的に示す概略構成図である。 図1中の光スイッチアレーを模式的に示す概略平面図である。 図1中の光スイッチアレーの単位素子としての1つの光スイッチを模式的に示す概略平面図である。 図3中のA−A’線に沿った概略断面図である。 図3中の可動板を上から見たときのAl膜のパターン形状を示す図である。 ミラーが上側に保持された状態を示す、図3及び図5中のB−B’線に沿った断面を+Y側から−Y軸方向に見た概略断面図である。 ミラーが下側に保持された状態を示す、図3及び図5中のB−B’線に沿った断面を+Y側から−Y軸方向に見た概略断面図である。 図1中の光スイッチアレーを構成する1つの光スイッチの、ローレンツ力用電流と静電力用電圧とミラーの位置との時間変化による関係を示す、タイミングチャートである。 図1中の光スイッチアレーを示す電気回路図である。 図9中の各端子に供給する信号を示すタイミングチャートである。 図1中の光スイッチアレーに搭載されている電流供給回路の電流経路の様子を模式的に示す概略平面図である。 図11に示す電流経路を等価抵抗で示す電気回路図である。 比較例による光スイッチアレーに搭載されている電流供給回路の電流経路の様子を模式的に示す概略平面図である。 図13に示す電流経路を等価抵抗で示す電気回路図である。 図13に示す電流供給回路のモデルを示す図である。 図15に示すモデルに従ってシミュレーションした結果を示す図である。 本発明の第2の実施の形態による光スイッチアレーを示す電気回路図である。 図17に示す光スイッチアレーに搭載されている電流供給回路の電流経路の様子を模式的に示す概略平面図である。
符号の説明
1 光スイッチアレー
11 基板
12 可動板
22c,L11〜L13,L21〜L23,L31〜L33 コイル(ローレンツ力電流経路)
31 ミラー
81 第1の電流経路
82 第2の電流経路
83 第3の電流経路
84 第4の電流経路
85 第5の電流経路
86 第6の電流経路
100 電源部
A11〜A13,A21〜A23,A31〜A33 第1の電流通過点
B11〜B13,B21〜B23,B31〜B33 第2の電流通過点
C1〜C3 第3の電流通過点
D1〜D3 第4の電流通過点
I1,I2 定電流源
S11〜S13,S21〜S23,S31〜S33 個別電流経路

Claims (10)

  1. 複数のマイクロアクチュエータを備えたマイクロアクチュエータアレーであって、
    前記各マイクロアクチュエータは、基体により支持されて前記基体に対して移動し得るように設けられた可動部を有し、
    前記各マイクロアクチュエータの前記可動部は、磁界内に配置されて通電によりローレンツ力を生ずるローレンツ力用電流経路を有し、
    前記複数のマイクロアクチュエータの前記ローレンツ力用電流経路を複数のグループに分けて、電源からの電流を、前記複数のマイクロアクチュエータの前記ローレンツ力用電流経路に前記各グループ毎に選択的に供給する電流供給回路を、備え、
    前記各グループは、前記複数のマイクロアクチュエータのうちの1つ以上のマイクロアクチュエータの前記ローレンツ力用電流経路を含み、
    前記電流供給回路は、前記複数のグループのうちのいずれのグループのローレンツ力用電流経路に所定方向にローレンツ力が生ずるように選択的に電流を供給しても、当該供給時に流れる電流の全体経路の抵抗値が、互いに実質的に同一となるように、構成されたことを特徴とするマイクロアクチュエータアレー。
  2. 前記電源が定電流源であることを特徴とする請求項1記載のマイクロアクチュエータアレー。
  3. 前記電源が定電圧源であることを特徴とする請求項1記載のマイクロアクチュエータアレー。
  4. 前記電源が前記基体に搭載されたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のマイクロアクチュエータアレー。
  5. 前記各グループは、前記ローレンツ力用電流経路を1つのみ含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のマイクロアクチュエータアレー。
  6. 前記複数のマイクロアクチュエータが2次元状に配置され、
    前記各ローレンツ力用電流経路に関して、当該ローレンツ力用電流経路に対応する第1及び第2の電流通過点間に、当該ローレンツ力用電流経路を含む経路であって当該ローレンツ力用電流経路を流れる電流のみが流れて他のローレンツ力用電流経路を流れる電流が流れない経路である個別電流経路が形成され、
    前記各ローレンツ力用電流経路に関して形成された前記個別電流経路のオン時の抵抗値が互いに実質的に同一であり、
    列方向(又は行方向)に隣り合う各2つのマイクロアクチュエータの前記ローレンツ力用電流経路に対応する前記第1の電流通過点同士、及び、列方向(又は行方向)に隣り合う各2つのマイクロアクチュエータの前記ローレンツ力用電流経路に対応する前記第2の電流通過点同士が、互いに実質的に同一の抵抗値を持つ第1の電流経路でそれぞれ接続され、
    前記複数のマイクロアクチュエータの各列(又は各行)に関して、当該列(又は行)に対応する第3の電流通過点と当該列のうちの一方側のマイクロアクチュエータの前記ローレンツ力用電流経路に対応する前記第1の電流通過点とが第2の電流経路で接続され、
    各列(又は各行)に対応する前記第2の電流経路の抵抗値が互いに実質的に同一であり、
    前記複数のマイクロアクチュエータの各列(又は各行)に関して、当該列(又は行)に対応する第4の電流通過点と当該列のうちの他方側のマイクロアクチュエータの前記ローレンツ力用電流経路に対応する前記第2の電流通過点とが第3の電流経路で接続され、
    各列(又は各行)に対応する前記第3の電流経路の抵抗値が互いに実質的に同一であり、
    隣り合う各2つの列(又は各2つの行)に対応する前記第3の電流通過点同士、及び、隣り合う各2つの列(又は各2つの行)に対応する前記第4の電流通過点同士が、互いに実質的に同一の抵抗値を持つ第4の電流経路で接続され、
    前記各ローレンツ力用電流経路に流れる電流は、前記電源から、一方側の列(又は行)に対応する前記第3の電流通過点及び他方側の列(又は行)に対応する前記第4の電流通過点のうちの一方の電流通過点を経由した後に当該ローレンツ力用電流経路に入り、当該ローレンツ力用電流経路から出た後に、前記一方側の列(又は行)に対応する前記第3の電流通過点及び前記他方側の列(又は行)に対応する前記第4の電流通過点のうちの他方の電流通過点を経由した後に、前記電源へ戻る、ことを特徴とする請求項5記載のマイクロアクチュエータアレー。
  7. 前記各個別電流経路は、対応するローレンツ力用電流経路に直列接続された第1及び第2の選択スイッチを含むことを特徴とする請求項6記載のマイクロアクチュエータアレー。
  8. 前記各個別電流経路は、対応するローレンツ力用電流経路に直列接続された第1の選択スイッチを含み、
    前記各第2の電流経路又は前記各第3の電流経路は、第2の選択スイッチを含むことを特徴とする請求項6記載のマイクロアクチュエータアレー。
  9. 請求項1乃至8のいずれかに記載のマイクロアクチュエータアレーと、前記複数のマイクロアクチュエータの前記可動部にそれぞれ搭載された前記被駆動体とを備え、前記各被駆動体が光学素子であることを特徴とする光学装置。
  10. 請求項1乃至8のいずれかに記載のマイクロアクチュエータアレーと、前記複数のマイクロアクチュエータの前記可動部にそれぞれ搭載された前記被駆動体とを備え、前記各被駆動体がミラーであることを特徴とする光スイッチアレー。
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