JP2006010776A - プラスチック光ファイバプリフォーム及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 プリフォーム及びPOFにおける気泡を抑制し、かつ製造ロスを減少する。
【解決手段】 アウターコアが内面に形成されたクラッドの中に、インナーコア用の原料を注入し、この円管軸が略水平となるように回転重合装置35にクラッドをセットする。重合器本体44aが回転されながらインナーコア用モノマーとアウターコアとの反応、及び前記モノマーの重合反応とが実施される。重合反応の初期と中期との少なくとも一方では加圧し、後期と重合反応後との少なくともいずれか一方では減圧する。加圧時と減圧時とにおける加圧量P1,減圧量P2とを、それぞれ0<P1<1×103 、0<P2<0.99×102 とする。このようにして得られたプラスチック光ファイバプリフォームは、クラッドの中がコアで満たされ、気泡の発生もなく、延伸により全長をプラスチック光ファイバとすることができる。得られる光ファイバは良好な伝送特性を有する。
【選択図】 図9

Description

本発明は、光ファイバプリフォーム及びその製造方法に関し、特に詳しくはプラスチック光ファイバに用いることができるプラスチック光ファイバプリフォームの製造方法とこれにより得られるプラスチック光ファイバプリフォームとに関するものである。
光伝送体等の光学用途においては、プラスチック系材料は、石英系材料に比べて、一般には成型加工性、部材の軽量化、低コスト化、可撓性、耐衝撃性等における優位性を有している。例えばプラスチック光ファイバ(POF)は、石英系光ファイバと較べると、光の伝送損失が大きいために長距離の光伝送には光伝送には向いていないが、上記のプラスチックの性質により、光ファイバのコア部を数10μm以上とするようないわゆる大口径化を図ることができる。この大口径化により、光ファイバの分岐や接続に用いる各種周辺部品や機器の、光ファイバとの接続精度を上げる必要がなくなる。そのため、POFは、周辺部品や機器との接続容易性、端末加工容易性、高精度の調芯が不要になるメリットを有する。その他にもPOFは、上記のようなコネクタ部分の低コスト化の他に、上記のプラスチックの性質により、人体への突き刺し災害等の危険性の低さ、高い柔軟性による易加工性や易敷設性や耐振動性、そして低価格等のメリットがある。これにより、POFは、家庭や、車載用途に注目されているだけでなく、高速データ処理装置の内部配線や、DVI(digital Video Interface)リンクなどの極短距離かつ大容量のケーブルとしても、利用が検討されている。
POFは、コア部とクラッド部とから構成され、クラッド部は外殻部分であり、コア部はクラッドの中を満たす芯部分であってクラッド部よりも屈折率が高いものとなっている。そして、高い伝送容量を有する光ファイバとして、屈折率分布型POFが最近注目されており、これは中心から外側に向かって屈折率の高低分布を有するコア部を備えたPOFである。この屈折率分布型POFの製法の一つは、界面ゲル重合法を利用するものであり、この方法では、まず、光ファイバ母材(プリフォーム)を作製し、その後、このプリフォームを溶融延伸する。
プリフォームの作製においては、クラッド用パイプの中にコア部を生成するための重合性化合物を入れて、クラッド用パイプの内部で界面ゲル重合を行いコア部を形成する。界面ゲル重合により形成されたコア部には、含有される屈折率調整剤等の濃度分布があり、これにより、コア部には屈折率の分布が生じる。このようにして得られたプリフォームを、所定の温度で延伸することにより、屈折率分布型プラスチック光ファイバが得られる。この屈折率分布型プラスチック光ファイバのプリフォームの製造方法の中でも、その径方向における屈折率変化を良好に制御して製造するために、外周側つまり外側から、内側に向かって徐々に重合体を生成してプリフォームとする方法等が提案されており(例えば、特許文献1参照)、代表的な製造法のひとつには、膨潤層を形成しながら重合物を生成するいわゆる界面ゲル重合法がある(特許文献2参照)。
特開2001−215345号公報 国際公開第93/8488号パンフレット
しかしながら、特許文献1等に提案されるようなプラスチック光ファイバプリフォームの製造方法によると、既に生成された重合体とその次に生成する重合体との間やその界面近傍に気泡が発生してしまったり、あるいは、プリフォームには気泡が認められなくとも、POFとするために延伸する際に発泡して、POFとしての伝送損失が大きくなってしまうという問題があった。また、管状部材の中で重合性化合物を重合させると、重合による体積減少により、管状部材の一端が重合物で満たされず、管状部材のロスが生じてしまい、製造コストの面で問題がある。さらに、特許文献2に提案されるような界面ゲル重合法によると、重合に時間の短縮には限界があり、製造効率の点で問題が残る。
そこで、本発明は、管状部材の中空部に、重合性化合物を注入してこれを重合させて重合体を生成させた際に生じる管状部材のロスや、管状部材とその中に生成した重合物との間に発生する気泡の発生を抑制し、伝送損失の少ないPOFを製造ロスを低減させて効率的に製造することができるプラスチック光ファイバプリフォームの製造方法を提供することを目的とするとともに、この製造方法により得られ、良好な伝送特性を有するプラスチック光ファイバを製造することができるプラスチック光ファイバプリフォームを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明では、第1の重合性化合物と前記第1重合性化合物の重合により得られる重合体よりも屈折率が高い化合物としての第1の屈折率調整剤とを、円管状である外側部材の中に注入し、前記第1重合性化合物を重合させる重合反応により、前記第1部材よりも高い屈折率を有する内側部材を前記外側部材の内面に生成するプラスチック光ファイバプリフォームの製造方法において、前記外側部材の円管軸を回転中心とするとともに略水平な状態として、外側部材を回転させながら、外側部材の内面と第1重合性化合物との反応である第1反応と、前記重合反応とを生起進行させ、この重合反応の初期と中期との少なくともいずれか一方では加圧し、重合反応の後期と終了後との少なくともいずれか一方では減圧することを特徴として構成されている。
そして、前記加圧時における加圧量P1(単位;kPa))と前記減圧時における減圧量P2(単位;kPa)とが、0<P1<1×103 と、0<P2<0.99×102 とを満たすことが好ましく、また、加圧時における加圧気体が、窒素(N2 )、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)のうちの少なくともひとつであることが好ましい。
さらに本発明は、以上の製造方法により製造されたことを特徴とするプラスチック光ファイバプリフォームを含んで構成されている。
本発明のプラスチック光ファイバプリフォームの製造方法によると、管状部材の中空部に、重合性化合物を注入してこれを重合させて重合体を生成させた際に生じる管状部材のロスや、管状部材とその中に生成した重合物との間に発生する気泡と、POFとするための延伸時の発泡とを抑制し、伝送損失の少ないPOFを製造ロスを低減させて効率的に製造することができる。
本発明の実施の形態について図を引用しながら説明するが、本発明は下記実施形態に限定されるものではない。図1は、POF及び光ファイバーケーブルの製造工程図である。それぞれの工程については後で詳細に説明するものとし、ここでは工程の流れについてのみ説明する。まず、クラッド作製工程11により、管形状のクラッド12Aを作製する。クラッド12Aは、後で生成するプリフォーム21の外殻部分をなす部分である。
次に、クラッド12Aの中にコアを生成させる。本実施形態では2重構造のコアを生成させ、以降の説明においては、外側、つまりクラッド12Aの内面と接して生成される部分をアウターコアと称し、内側、つまりアウターコアの中に生成される部分をインナーコアと称する。まず、アウターコアを生成させるための重合性化合物(以降、アウターコア用モノマーと称する。)をクラッド12Aの中、つまり中空部に入れる第1注入工程13と、注入されたアウターコア用モノマーを重合させて、断面円形の中央が空洞となるようにアウターコアを生成するためのアウターコア重合工程15がある。ところで、重合体へ重合性化合物が接触し、しみ込む等して重合体が膨潤、溶解することにより所定の反応が進む塊状重合の一種である界面ゲル重合反応が起こる場合には、この反応の進行により先に形成された重合体が溶解する。したがって、例えば後に述べるインナーコアの生成反応により、ここで形成されたアウターコアがインナーコアと一体となって、アウターコアが認められなくなる場合がある。
そして、インナーコアを生成させるための重合性化合物(以降、インナーコア用モノマーと称する。)をアウターコアの中、つまり中空部に入れる第2注入工程17と、インナーコアを生成するためのインナーコア重合工程20がある。このようにしてPOFのプリフォーム21が得られる。なお本実施形態では、アウターコアとインナーコアとをそれぞれ形成する重合性化合物は、上記のようにアウターコア用モノマー、インナーコア用モノマーとして説明をするが、本発明では単量体に限定されるものではなく、2量体や3量体等の他、後述する各種の重合体を形成するための重合性化合物を含んでいる。
プリフォーム21は、延伸工程22により延伸されて、POF(plastic optical fiber)25となる。この延伸工程16では、円柱状のプリフォーム21が、加熱されて、長手方向に延伸される。なお、プリフォーム21は、POF25とされなくとも、この状態のままでも光伝送体としての機能を有する。そして、POF25は、その外周を被覆材により被覆される被覆工程26を経る。なお、後で詳細に述べるが、被覆工程26では、通常は、一次被覆が実施された後に二次被覆が実施され、被覆工程を経たPOF25はプラスチック光ファイバ心線またはプラスチック光ファイバコード(ともに、plastic optical code)と称する。本発明においては、このファイバ心線が1本のままであり、必要に応じてさらに被覆を施されたものをシングルファイバケーブルと称し、一方、ファイバ心線がテンションメンバ等とともに複数本組み合わされてさらなる被覆材を被されたものをマルチファイバケーブルと称することとし、プラスチック光ケーブル27(plastic optical cable)とは、これらのシングルファイバケーブルとマルチファイバケーブルとの両方を含む。
次に、本実施形態としてのPOF25及びその製造方法を説明する。図2は、本発明により製造されたプリフォーム21の一例の断面図であり、図3はプリフォーム21の断面円形の径方向における屈折率を示す図である。図2に示すプリフォーム21は、外殻部であるクラッド12Aと、コア31Aを有し、コア31Aは上記のように、クラッド12Aの内面に接するアウターコア32Aと、アウターコア32Aの内部のインナーコア33Aとを有している。そして、インナーコア33Aの中央部は空洞部34となっている。クラッド12Aは、外径及び内径が長手方向に一定で、厚みが均一の管形状となっている。クラッド12Aは、ポリマーの中でも屈折率が低いものであり、本実施形態として例示するものはポリフッ化ビニリデン(以降、PVDFと称する。)を溶融押出し成型により成型したものである。ただし、クラッド12Aは、例えば回転重合により得られるPMMAであってもよいし、後に詳細に述べるような他の材料であってもよい。
アウターコア32Aは、クラッド12Aと同様に外径及び内径が長手方向に一定で、厚みが均一の管形状となっている。アウターコア32Aの材料は、クラッドまたはインナーコアの少なくとも一方との関係を考慮して選択される。本発明の本実施形態の例示としたアウターコア用モノマーは、メチルメタクリレート(MMA)またはその水素の少なくとも一部が重水素化された重水素化メチルメタクリレート(MMA−d)であり、したがって、これによって生成されたアウターコア32Aの材料はPMMAまたは重水素化ポリメチルメタクリレート(PMMA−d)となる。
なお、図2に示したプリフォーム21の中央部には空洞部34が形成されているが、この空洞部の断面円形の径と、この径のプリフォームの外径に対する比率とは、図2に示す様態に限定されるものではなく、製造条件に応じて変動する。
図3において、横軸はプリフォーム21の断面径方向を示し、縦軸は屈折率を示す。屈折率は、上方向が高い値であることを意味している。横軸の符号(A)で示される範囲は、図2におけるクラッド12の屈折率であり、符号(B)で示される範囲は図2におけるアウターコア32の屈折率であり、符号(C)で示される範囲は図2におけるインナーコア33の屈折率である。符号(D)で示される範囲は、図2における空洞部34に対応する範囲であるので、値がないものとして示している。
インナーコア33Aは、図3に示されるように、アウターコア32Aとの境界から空洞部34に向けて屈折率が連続的に高くなっている。クラッド12Aはアウターコア32Aよりも屈折率が低く、アウターコア32Aはインナーコア33Aよりも屈折率が低い。そして、本発明の実施形態として例示するものにおいては、製造されたプリフォーム21のインナーコア33Aの屈折率が、図3に示すように、断面円形の径の外側から空洞部34に向けて連続的に屈折率が高くなるように、インナーコア33Aの生成方法として後述のような回転ゲル重合法を適用している。なお、断面円形の径方向において、屈折率の最大値と最小値との差が0.001以上0.3以下であることが好ましい。本実施形態におけるインナーコア用モノマーはMMAまたは重水素化メチルメタクリレート(MMA−d)であり、重合後のアウターコア32Aとインナーコア33Aとは主成分がPMMAまたは重水素化ポリメチルメタクリレート(PMMA−d)となる。したがって、図2では両者の境界は、説明の便宜上示されてはいるが、得られたプリフォーム21では、例えば界面ゲル重合反応等が生起進行する場合には図2のように明確でない場合や上記のように界面が消失する場合がある。
次にPOFについて説明する。図4は、上記のプリフォーム21を加熱延伸することにより得られるPOF25の断面図であり、図5は、POFの断面径方向における屈折率を示す概略図である。図4に示すように、POFは、クラッド12Bと、クラッド12Bの内面にコア31Bとを有し、コア31Bはアウターコア32Bとインナーコア33Bとを有する。POF25のクラッド12Bとコア31Bとは、図2に示したプリフォーム21のそれぞれクラッド12Aとコア31Aとから形成されるものであり、また、POF25のアウターコア32Bとインナーコア33Bとは、図2のプリフォーム21のアウターコア32Aとインナーコア33Aとから形成される。ただし、POF25は、プリフォーム21(図2参照)を加熱溶融して長手方向に延伸されるために空洞部がなくなっている。
図5の縦軸及び横軸は、図3と同様に示しているので説明を略す。そして、図5においては、横軸の符号(E)で示される範囲は、図4におけるクラッド12Bの屈折率であり、符号(F)で示される範囲は図4におけるアウターコア32Bの屈折率であり、符号(G)で示される範囲は図4におけるインナーコア33Bの屈折率である。このように、POFの断面径方向における屈折率はプリフォームと同様に、クラッド12Bが最も低く、アウターコア32B、インナーコア33Bの順に高くなっている。そしてインナーコア33Bの屈折率はPOFの中心に向かうほど連続的に高くなっている。また、このようにして得られるPOF25の屈折率分布係数は、上記で得られたプリフォームのそれとほぼ同じ値を示すようになる。
次に、プリフォーム21(図2参照)の製造方法について詳細に説明する。本実施形態においては、クラッド12Aは、上記のようにPVDFを主成分としているので溶融押出にて作製している。溶融押出は、市販の溶融押出成型機を用いて実施している。
得られたクラッド12A(図2参照)の片端部を所定の材料で栓をして塞いだあとに、アウターコア形成用モノマーをクラッド12Aの中に注入して、他方の端部を栓で塞いだ後、回転重合によりアウターコア32A(図2参照)を生成する。このアウターコア生成方法について、図6〜図8を参照しながら次に説明する。
図6はクラッド12Aが装填された重合容器の断面図であり、図7は、回転重合装置の概略斜視図であり、図8は重合装置による重合反応についての説明図である。ただし、本発明は図6〜図8に示す重合装置及び重合容器に依存するものではなく、また、本実施形態は、本発明の一様態としての例示である。
所定の材料からなる栓37によりクラッド12Aの一方の端部を塞ぐ。この栓はコア31A(図2参照)を生成する重合性化合物に溶解しない素材からなり、可塑剤等を溶出させるような化合物も含まないものとする。このような素材としてはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等があげられる。本実施形態においては、栓37で一端を塞がれたクラッド12Aの中に、図6に示すように、アウターコア形成用モノマー32Cを注入して、他方の端部も栓37で塞いだ後、回転重合によりアウターコア32A(図2参照)を生成するが、アウターコア生成時においては、クラッド12Aは、図6に示されるような重合容器38の中に収容される。重合容器38は容器本体38aと蓋部材38bとを有し、本実施形態においてはいずれもSUS製とされている。重合容器38は、図6に示すように、その内径がクラッド12Aの外径よりもわずかに大きいものであり、後に述べるような重合容器の回転に同期してクラッド12が回転することができるようにされている。なお、クラッド12が重合容器の回転に上記のように応じることができるように、重合容器38の内面等にクラッド12を支持する支持部材等を設けてもよい。
また、重合容器38には、クラッド12Aの内部圧力を制御するためにガスを供給したりガス抜きを行う管40が備えられている。そして、重合容器38が回転中であっても圧力制御ができるように、この管40はロータリジョイント39により重合容器38に取り付けられて、その先端がクラッド12Aの一端の栓37の中央開口部に貫通されている。本実施形態においては、図6に示すように、クラッド12Aの内部に送り込むガスを窒素N2 等の不活性ガスとしてその配管にはバルブVを設け、また、クラッド12Aの内部を減圧するための配管には圧力コントローラ51を設けている。また、管40には、クラッド12Aの中空部における圧力を測定するための圧力計40aが備えられている。
回転重合装置41は、図7に示すように、装置本体42の中に複数の回転部材43と、装置本体42の外側にモータ46と、装置本体42内の温度を検知してその検知結果に応じて内部温度を制御するための温度コントローラ47とを有している。そして、クラッド12Aの内部の圧力を制御するための管40は、装置本体42の側面から外部へ導かれている。
回転部材43は、円柱形状であり、2本の周面で少なくともひとつの重合容器38を支持することができるように、長手方向が互いに概ね平行かつ略水平となっている。各回転部材43は、その一端が装置本体42の側面に回動自在に取り付けられており、モータ46によりそれぞれ独立した条件で回転駆動される。モータ46にはコントローラ(図示なし)が備えられており、このコントローラによりモータ46の駆動が制御される。そして、所定の重合反応時においては、図8に示すように、隣り合う回転部材43の周面により形成される谷部に重合容器38は載せられて回転部材43の回転に応じて回転する。図6においては、回転部材43の回転軸を符号43で示している。このように、ここに例示される本実施形態においては、重合容器38の回転はサーフェスドライブ式としているが、この回転方式については限定されるものではない。
なお、本実施形態では、必要に応じて、図8に示すように、重合容器43の両端の蓋部材38bには磁石38cがそれぞれ備えられているとともに、隣り合う2本の回転部材43の間の下方にも磁石45が備えられている。本実施形態においては、磁石38cは、図6に示したロータリジョイントが備えられた側とは異なる他端側に備えられている。これにより、回転時において重合容器38が回転部材43から浮くことを防止している。重合容器38の回転部材43からの浮きを防止する方法としては磁石を用いる上記方法に加えて、回転部材43と同様な回転手段を、セットされた重合容器38の上部に接するようにさらに設けて、同様に回転させ、これにより重合容器38の浮きを防止することもある。またこの方法の他に、例えば重合容器38に上方に押さえ手段等を設けて、重合容器38に所定の荷重をかける方法等もあるが、本発明は回転中の浮き防止方法に依存するものではない。
続いて、アウターコアの生成方法について説明する。アウターコア用モノマーを始めとするアウターコアの各種原料については後で詳細に述べる。アウターコアは、クラッドとインナーコアとの間に存在し、インナーコア用モノマーの重合反応にも関与する。ただし、アウターコアは、インナーコアの生成条件によっては不要である場合もあるし、また、前述のようにインナーコアの生成過程においてインナーコアと一体化して消失する場合もある。アウターコアを生成するためのモノマー等の原料はろ過や蒸留等により、重合禁止剤や水分、不純物等を予め十分除去してから用いる。さらにモノマーや重合開始剤を混合した後で、この混合物を超音波処理により溶存気体や揮発成分を除去することが好ましい。クラッド12Aへの注入後には、図6に示すように、クラッド12Aの一端である注入口が所定材料からなる栓37により塞がれる。この注入工程の前後では、必要に応じて、公知の減圧装置により、クラッド12や注入物を減圧処理してもよい。なお、管40に新たな配管を設けて、管40からアウターコア用モノマーを注入してもよい。
その後クラッド12Aを収容した重合容器38を、その長手方向を略水平状態にして回転(水平回転)させながら重合を生起進行させるとアウターコアが生成する。このように、アウターコアは、クラッド12Aの円管軸を回転中心にしながら重合する回転重合により生成される。なお、回転重合の前には、クラッド12Aを立てた状態で予備重合をしてもよく、この予備重合の際には必要に応じて所定の回転機構により、クラッド12Aの円管軸を回転中心として回転させる。本実施形態の回転重合においては、クラッド12Aの長手方向を概ね水平に保ちながら回転させるために、クラッド12Aの内面全体に均等の厚みのアウターコアが生成しやすくなる。なお、本発明では、アウターコアの重合時においては、クラッド12Aの長手方向を水平とすることが、クラッド12Aの内面全体にアウターコアを形成する上で最も好ましいが、略水平であれば好適であり、回転軸の許容される角度は水平に対して概ね5°以内である。
アウターコアの原料について説明する。本発明においては、アウターコア用モノマーと、所定の重合開始剤(反応開始剤)と、連鎖移動剤(分子量調整剤)とをアウターコアの原料として用いている。アウターコア用モノマーとしては、ラジカル重合性化合物とアニオン重合性化合物とを用いることができ、重合開始剤は、所定の触媒に代えることができる。
アウターコア用モノマーとしては、本実施形態では前述のようにMMAまたはMMA−dを用いており、これらはラジカル重合とアニオン重合とにより反応することができる化合物である。しかし、本発明はこれら以外のラジカル重合性化合物とアニオン重合性化合物とをアウターコア用モノマーとして用いることができ、好ましいものとしてはインナーコア用のモノマーとともに後で詳細に例示する。
アウターコアを生成するための重合開始剤または触媒は、アウターコア用モノマーに対して0.001〜5モル%となるように使用しており、この添加率を0.01〜0.1モル%とすることがより好ましい。重合開始剤または触媒の添加率を5モル%よりも多くすると、注入したアウターコア用原料が沸騰したりあるいは気泡が発生したり、またあるいは発生した気泡が抜けにくくなる等の問題が生じる場合があり、また、0.001モル%未満とすると十分な反応開始効果が得られない。
本実施形態では、重合開始剤として2,4−ジメチルバレロニトリル(V−65、和光純薬工業(株)製)を用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、使用するアウターコア用モノマーの種類に応じて、適宜重合開始剤または触媒を決定することができる。特に好ましい重合開始剤は、重合開始剤として市販されているもののうち、中低温用重合開始剤と分類されているものである。この中低温用重合開始剤とは、一般に、10時間半減期温度が40〜90℃であるような重合開始剤を指す。このような重合開始剤を用いることにより、例えば高温用重合開始剤を用いた時の反応最適温度が90〜130℃であった反応を概ね50〜80℃で実施することができるとともに、所定時間における転化率を好適に制御して所定の重合反応速度とすることができるので、従来法に比べてアウターコアの生成時間を短縮することができる。また、反応温度を低くするとともに反応時間を短縮することができるために、クラッドの劣化を防止することができる。なお重合開始剤または触媒の具体的例示については、インナーコア重合工程における重合開始剤または触媒とともにまとめて後述するものとする。
また、前記連鎖移動剤は、アウターコア用モノマーに対して0.05〜0.8モル%となるように使用されており、この添加率を0.05〜0.4モル%とすることがより好ましい。
連鎖移動剤は特に限定されるものではなく、使用するアウターコア用モノマーの種類に応じて決定される。具体的例示については、インナーコア重合工程における連鎖移動剤とともにまとめて後述するものとする。
ただし、本発明では、クラッドとアウターコアとの作成方法について上記の実施形態には限定されず、用いる材料に応じて適宜公知の方法を用いて作製することができる。例としては、クラッドとアウターコアとを同時一体押出により成型することもできる。また、他の方法としては、所定の内径を有するガラス製の管状部材の内面にアウターコア用モノマーを注入して重合させてから、このガラス製管状部材をはずして、このアウターコアに対して別途作成された管状のクラッドを取り付けたり、あるいはこのアウターコアの外周面に所定の方法によりクラッドを生成させてもよい。
以上のようにしてアウターコアが形成されたクラッドを、回転重合装置41から取り出した後、必要に応じて、所定温度に設定された恒温槽等の温度調整手段により所定時間温度調整を実施してもよい。
また、アウターコアが形成されたクラッドを、所定時間減圧下におくことがより好ましく、本実施形態においてもこの減圧処理を実施した。この減圧処理により、クラッドとアウターコアとの内部に含まれている水や空気がインナーコア用モノマーの重合時等に加熱されて体積膨張したりするなどして、クラッドやアウターコアの各内部やこれらの界面、あるいはアウターコアの内面に歪みやひび割れ等が発生したり、あるいはクラッドとアウターコアとの各内部の分子密度がばらついてしまうという現象を抑制することができる。また、この減圧処理は上記加熱処理と同時に実施してもよい。
次にインナーコアを生成させる。図9はインナーコア用モノマー33Cが注入されたクラッド12Aを収容した重合容器の概略断面図である。図9に示す重合容器は、図6に示したものと同一のものであるので、具備された部材とともに図6と同じ符号を付し、説明を略す。インナーコアは、インナーコア用モノマー33Cをはじめとするインナーコア用原料をアウターコアの中に注入して所定の条件で重合させることにより生成される。この重合は、アウターコア重合工程で用いた回転重合装置41(図7参照)を用い、アウターコア重合時と同様にクラッド12Aの長手方向が略水平となるような状態で回転させながら実施する。
インナーコア用モノマー33Cをクラッド12Aに注入してから栓37を用いてクラッド12Aの一端である注入口を塞ぎ、このクラッド12Aを重合容器38に収容する。そして、アウターコア32Aが形成されたクラッド12Aの長手方向が略水平状態となるように重合容器38を回転重合装置41にセットする。そしてクラッドの断面円形の中心が回転軸となるように回転させながら反応を開始し重合を進めるとインナーコアが生成する。なお、この重合の前には、クラッドを立てた状態で予備重合をしてもよく、この予備重合の際にも必要に応じて所定の回転機構により、クラッドの円管軸を回転中心として回転させてもよい。なお、本発明では、インナーコアの重合時においては、クラッドの長手方向が水平とすることが、アウターコアの内面全体にインナーコアを形成する上で最も好ましいが、回転軸の許容される角度は水平に対して概ね 5°以内である。また、アウターコア用モノマーの注入について述べたと同じように、管40に別途配管を設けて、重合容器38にクラッド12Aを収容したまま、管40からインナーコア用モノマー33Cをクラッド12Aに注入してもよい。
クラッド12Aの注入口に取り付けられる栓37としては、図9に示すように、クラッド内部の液体が外に流れださず、かつ、後述するような加圧と減圧との圧力制御のための開口部とロータリジョイント39とを有しているものや、あるいは、これに代えて所定の孔径を有するフィルタを栓として用いることが好ましい。これにより、重合容器38を回転させている間でもクラッド12Aの内部圧力を制御することができる。そして、本実施形態では、図9に示すような前者の例の他に、後者の例として、図示は省略するが、孔径0.01〜0.5μmのガラス製フィルタをこの蓋部材として用い、同様の効果を得ることができることを確認した。これにより、クラッドの長手方向を水平としても、注入されたアウターコア用モノマー32C(図6参照)やインナーコア用モノマー33Cが外に流れださず、かつ、重合容器38の回転中であってもクラッド12Aの内部の圧力制御を実施することができる。
重合初期と重合中期との少なくともいずれか一方においては、クラッド12Aの中が加圧されるように重合容器38の内部を加圧する。加圧については、重合容器38を回転重合装置41にセットする前に所定の気体を用いて重合容器38内部を予め加圧する方法であってもよいが、重合中に適宜制御されていることがより好ましい。本実施形態によると、重合収縮による体積減少があっても、圧力計40aにより内部圧力を適宜測定して、その測定結果に基づいて重合中であっても圧力制御をすることができるので、より効果的に圧力制御を実施することができる。この加圧により、後述するような加熱下でもインナーコア用モノマー33Cが沸騰せず、そして、コアに気泡が発生することを抑制することができる。なお、本発明における加圧とは、大気圧に対して高い圧力となるように圧力を加えることを意味する。
この重合初期と重合中期との少なくともいずれか一方の加圧処理における加圧量P1(単位;kPa)は、0<P1<1×103 とすることが好ましく、本実施形態においてもこの範囲の値となるように制御している。この加圧量P1は1×102 <P1<4×102 とすることがより好ましい。ここで、重合初期とは、クラッドが装填された重合容器38を、所定の温度に調整された回転重合装置41の内部にセットしてからインナーコア用モノマーの重合による転化率が概ね20%となるまでを意味し、また、重合中期とは、前記転化率が概ね20%から概ね80%となるまでを意味する。
加圧に用いる気体は、不活性ガス、つまり、アルゴン(Ar),ヘリウム(He)などの希ガス及び窒素(N2 )のうちの少なくともいずれかひとつとすることが好ましく、後に述べる溶存ガスによる問題を考慮するとこれらのうちHeが特に好ましい。
そして、アウターコアやインナーコア用モノマー33C等にもともと含まれていた空気や、上記加圧に用いられてインナーコア中に残った溶存気体、中でも特に酸素は、インナーコア用モノマーの重合開始剤として機能して副生成物を生じる場合がある。また、溶存している気体が重合終了後や延伸したPOFの中に気泡を発生させて欠陥部を生じることがある。副生成物や欠陥部が生じるとその部位で光が散乱するため、光学部材としての性能および生産性を低下させる。そこで、本発明では、重合後期と重合後との少なくともいずれか一方においては、圧力コントローラ51により、クラッド12Aの中が減圧されるよう重合容器38の内部を減圧する。本発明では、減圧とは、重合収縮の有無に関わらず、大気圧よりも低い圧力にすることを意味する。これにより、例えばアウターコアやインナーコア用モノマー等にもともと含まれていた空気や、上記加圧に用いられてインナーコア中に残った溶存気体を抜くことができる。重合後にアニール処理を実施するときには、このアニール前に例えば所定の加熱処理を施して、この加熱処理時に減圧を実施してもよい。この加熱処理は、通常転化率をより100%に近づけるために実施される。
この減圧時における減圧量P2(単位;kPa)は、0<P2<0.99×102 とすることが好ましく、本実施形態においてもこの範囲の値となるように制御している。この減圧量圧力P2は10<P2<95とすることがより好ましい。ここで、重合後期とは、前記転化率が概ね80%以上における重合進行時を意味する。なお、減圧における圧力制御については、急に大きく減圧するとインナーコア形成用モノマーの中に残留している揮発成分が突沸する恐れがあるので、上記圧力範囲内で徐々に減圧度を大きくすることが好ましく、本実施形態のようにインナーコア用モノマーをMMAまたはMMA−dとしたときには、これらの転化率が80%〜95%の範囲に達したときから徐々に減圧度を大きくすることが好ましい。
減圧下とする時間は、1分以上が好ましく、5分以上がより好ましい。減圧時間の上限は、特に限定されるものではないが、生産性を考慮すると60分以下であることが好ましい。
以上のような加圧処理と減圧処理とについては、インナーコアの重合生成反応における回転ゲル重合時のみならず、前記のアウターコア重合生成反応の回転重合の際にも実施することが好ましい。特に、アウターコア重合生成において、クラッドとアウターコア用モノマーとを界面をゲル状化して反応させる場合には、このような加圧処理と減圧処理とは気泡の抑制の点で有効である。
ところで、インナーコア用モノマーが重合を開始すると、アウターコアの内壁がインナーコア用モノマーにより膨潤し、重合初期段階では膨潤層を形成する。この膨潤層は、ゲル状態となっており、そのため、重合速度が加速(ゲル効果と称する)する。このような現象から、本明細書中では、予め作成された管状部材を回転させながら、この管状部材と重合性化合物との反応により膨潤層を形成して、この重合性化合物を重合する反応を回転ゲル重合法を称するものとする。そして、重合は、アウターコアの内面から開始し、クラッド12の断面円形の中心に向かって進行する。このとき、膨潤層の内部へは、分子体積の小さい化合物ほど優先的に入り込むため、重合の進行と共に、共存する他の化合物と比べて分子体積の大きなドーパントが膨潤層から前記中心方向へと押し出される。この結果、形成されたインナーコアの中心部は、高屈折率のドーパントの濃度が高くなり、図3に示したように、断面円形の径方向における中心に向かって屈折率が徐々に高くなったプリフォームを得ることができる。
なお、本実施形態においては、アウターコアとインナーコアとは、膨潤層を形成しながらプリフォームが作成されることから、アウターコアとインナーコアとは明確な境界を有するものではない。つまり、図2では説明の便宜上クラッドとコアとの境界を示しているが、このように、アウターコアとインナーコアとの材料の互いの親和性、または膨潤層形成の有無等の製造条件に応じて、得られたプリフォームにおけるアウターコアとインナーコアとの境界の明確度は異なったものとなる。
以上のように、本発明では回転ゲル重合法を実施し、コアの重合の所定のタイミングで加圧と減圧とを実施することにより、従来の界面ゲル重合において発生していたような、アウターコアとインナーコアとの界面やインナーコア内における気泡の発生が抑制される。そして、本発明では、クラッドの長手方向を水平にして回転させながら、アウターコア及びインナーコアの重合生成を実施するので、クラッドの内面全体にコアを生成することができ、クラッド全体をPOFプリフォームとして利用することが可能となるとともに、回転ゲル重合法により従来の界面ゲル重合法よりも重合時間を短縮することができるので、製造ロスが低減されるとともに生産効率が向上する。
本発明では、重合開始後所定時間におけるインナーコア用モノマーの転化率が所定の値となるように、用いるインナーコア用モノマーの種類に応じて、重合開始剤と連鎖移動剤とを選択するとともに、反応温度、回転速度を決定することが好ましい。
上記のような回転ゲル重合法における反応温度については、モノマーの沸点を越さない範囲とすることが好ましい。例えばメチルメタクリレートをモノマーとして用いる場合には、40〜95℃とすることが好ましく、50〜90℃とすることがより好ましい。沸点である100℃よりも高いと、モノマーおよび残留している揮発成分の突沸等に起因して気泡が発生したり、40℃よりも低いと反応が進みにくいという問題がある。
また、反応時間は、0.5〜20時間とすることが好ましく、1.5〜3時間とすることがより好ましい。20時間よりも長いと製造効率の点で問題があり、0.5時間よりも短いと、重合度の分布の幅が大きくなったり、形成されたインナーコアが中空となったときの内壁に波打ち形状が発生したり気泡が発生する等の問題がある。
回転速度については、500〜5000rpmとすることが好ましく、1500〜3500rpmとすることがより好ましい。5000rpmよりも速いと、装置への負荷が大きすぎたりランニングコストが高くなりすぎたり、さらには回転の際の偏心による振動が大きくなってしまうという問題があり、500rpmよりも遅いと重合度が不均一になったり、形成されたインナーコアが中空となったときの内壁面に波打ちが発生する等の問題がある。
インナーコアの原料について説明する。本発明においては、インナーコア用モノマーと、所定の重合開始剤(反応開始剤)と、連鎖移動剤(分子量調整剤)と、屈折率調整剤(ドーパント)とをインナーコアの原料として用いている。インナーコア用モノマーとしては、ラジカル重合性化合物とアニオン重合性化合物とを用いることができ、重合開始剤は、所定の触媒に代えることができる。
インナーコア用モノマーとしては、本実施形態ではメチルメタクリレート(MMA)または重水素化メチルメタクリレート(MMA−d)を用いており、これらはラジカル重合とアニオン重合とにより反応することができる化合物である。しかし、本発明はこれら以外のラジカル重合性化合物とアニオン重合性化合物とをインナーコア用モノマーとして用いることができ、具体的例示については、アウターコア用モノマーとともにまとめて後述するものとする。
インナーコアを生成するための重合開始剤または触媒は、インナーコア用モノマーに対して0.005〜0.050質量%となるように使用しており、この添加率を0.010〜0.020質量%とすることがより好ましい。重合開始剤または触媒の添加率を0.005質量%よりも多くしても、その効果はほとんど変わりはなく、また0.050質量%未満とすると十分な反応開始効果が得られない。
本実施形態では、重合開始剤としての2,4−ジメチルバレロニトリル(2,4−dimethylvaleronitrile;V−65、和光純薬工業(株)製)を用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、使用するアウターコア用モノマーの種類に応じて、適宜重合開始剤または触媒を決定することができる。特に好ましい重合開始剤は、重合開始剤として市販されているもののうち、アウターコア重合方法において説明した中低温用重合開始剤である。このような重合開始剤を用いることにより、例えば高温用重合開始剤を用いた時の反応最適温度が90〜130℃であった反応を概ね50〜80℃で実施することができるとともに、所定の反応進行度となるように反応速度と転化率を制御することが容易となるので、従来法に比べてインナーコアの生成時間を短縮することができる。また、反応温度を低くするとともに反応時間を短縮することができるために、クラッドの劣化を防止することができる。なお具体的な好ましい重合開始剤または触媒としては、以下のものを例示することができる。具体的例示については、アウターコア重合工程における重合開始剤または触媒とともにまとめて後述するものとする。
また、中低温用ラジカル重合開始剤を用いるときには、40〜90℃の範囲で3時間以内の半減期を有するものであることが好ましい。半減期が上記よりも長いものであると、反応速度をはじめとする所定の反応条件に制御することが困難となって製造効率が悪い場合がある。また、上記よりも半減期が短いものであると、反応が急速に進みすぎて重合度の分布幅が大きくなりすぎたり、形成されたインナーコアが中空となったときの内壁面に波打ちが発生する等の問題が発生する場合がある。
また、連鎖移動剤は特に限定されるものではなく、使用するインナーコア用モノマーの種類に応じて決定される。この連鎖移動剤は、インナーコア用モノマーに対して0.05〜0.8質量%となるように使用されており、この添加率を0.05〜0.4質量%とすることがより好ましい。具体的例示については、アウターコア重合工程における連鎖移動剤とともにまとめて後述するものとする。
ドーパントの添加率は、インナーコア用モノマーに対して、0.01重量%以上25重量%以下とすることが好ましく、1重量%以上20重量%以下とすることがより好ましい。インナーコア用モノマーに対するドーパントの添加率を、0.01重量%未満とすると、断面円形の径方向における屈折率を所定の分布にすることができず、一方25重量%よりも大きいと、可塑性が大きくなりガラス転移点が下がるために耐熱性が低下してしまうことがあるので不適である。
本実施形態においては、ドーパントとしては高屈折率で分子体積が大きく、重合に関与しない低分子化合物としての硫化ジフェニルを用い、これを添加することによりコアの径方向における屈折率を変化させている。なお、ドーパントを用いずに、例えばインナーコア用モノマーを2種以上用いる等によっても、コア31(図2参照)の断面の径方向における屈折率を変化させることもでき、この場合には、各モノマー、つまり各重合性化合物の重合反応速度の差や、用いる重合性化合物の組成比を変化させながら注入して反応させる逐次添加方法を利用するとよい。なおドーパントの具体的例示については、重合開始剤や連鎖移動剤とともにまとめて後述するものとする。
なお、本実施形態においては、インナーコア用モノマーに添加される上記の化合物は、注入前にインナーコア用モノマーと予め混合し、この混合液を所定の濾過手段で濾過した後、アウターコアの中に注入される。このように、注入前には濾過工程を設けて、その濾液を注入に供することが好ましい。
また、本実施形態では、上記のような条件下で重合反応した後、さらに、所定条件での熱処理をして重合を進め、さらに、この重合完了後には所定の冷却速度で冷却する。
このようにして、コアおよびクラッドがプラスチックからなり、かつコアがアウターコアとインナーコアとの2重構造である、円柱状の光伝送体であるプリフォームを作製することができ、得られたプリフォームは延伸工程に供される。なお、得られるプリフォームは、断面円形の中央部に中空部を有するものとなる場合があるが、延伸工程における延伸によりこの中空部はなくなり、良好な伝送損失を有するPOFとなる。
プリフォームの延伸方法としては、公知の各種延伸方法を適用することができ、これににより、所望の直径、例えば200μm以上1000μm以下のPOFが得られる。なお、本実施形態におけるPOFでは、光はアウターコアとクラッドとの界面で反射してアウターコアとインナーコアとの両方を通過することもあるが、また、インナーコア内のみを通過することもある。
また、本発明では、インナーコアを上記実施形態のように一度の重合により生成せずともよい。例えばインナーコアを外側から段階的に管状に生成していくこともできる。このような段階的生成によっても上記に示した実施形態と同様のGI型POFプリフォームは製造することができる。
本発明においては、プリフォーム及びPOFを構成するクラッド及びコアの材料として特に好ましく用いられるものは、有機材料として光透過性が高いものである。ただし、コアを伝送する光がコアとクラッドとの界面で全反射するように、クラッドの材料は、コアの屈折よりも低い屈折率を有するようなポリマーとする。また、光学的異方性を生じないように、非晶性のポリマーとする。さらに、コアとクラッドとは、互いに密着性に優れるポリマーとし、これらがタフネス等に示される機械的特性に優れ、耐湿熱性にも優れていることがより好ましい。本発明において用いることができるアウターコア用モノマーやインナーコア用モノマー等のコア用重合性化合物と、クラッド用の重合性化合物とは、このようなポリマーを生成することができる重合性化合物を意味する。
上記ポリマーの例としては、(メタ)アクリル酸エステル類(フッ素不含(メタ)アクリル酸エステル(a),含フッ素(メタ)アクリル酸エステル(b)),スチレン系化合物(c),ビニルエステル類(d)、ポリカーボネート類の原料であるビスフェノールA等を重合性化合物として用いて重合させたものとすることができる。そして、クラッド形成ポリマーとしては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)も好ましい。これらを原料として、各々を重合させたホモポリマー、あるいはこれらのうち2種以上を組み合わせて重合させた共重合体、および上記のホモポリマーや共重合体の各種組み合わせによる混合物も例として挙げることができる。混合物を用いる場合においては、上記沸点Tbは、混合物を構成する複数の原料化合物の沸点の中で最も低い温度、もしくは共沸混合物を成すことにより沸点が下がるときには沸点下降後の温度として定義される。また、混合物を原料として得られた共重合体及びブレンドポリマーの場合には、各共重合体またはブレンドポリマーのガラス転移点を上記Tgとして定義する。そして、これらのうち、(メタ)アクリル酸エステル類または含フッ素ポリマーを成分として含むものが光伝送体を構成する上でより好ましい。次に、上記の例について、より詳細に示す。
上記の(a)フッ素不含メタクリル酸エステルおよびフッ素不含アクリル酸エステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸−tert−ブチル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ジフェニルメチル、トリシクロ[5・2・1・02,6 ]デカニルメタクリレート、アダマンチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、ノルボニルメタクリレート等が挙げられ、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−tert−ブチル、アクリル酸フェニル等が挙げられる。
また、(b)含フッ素アクリル酸エステルおよび含フッ素メタクリル酸エステルとしては、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルメタクリレート、1 −トリフルオロメチル−2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルメタクリレート、2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロブチルメタクリレート等が挙げられる。
さらに、(c)スチレン系化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン等が挙げられる。さらには、(d)ビニルエステル類としては、ビニルアセテート、ビニルベンゾエート、ビニルフェニルアセテート、ビニルクロロアセテート等が挙げられる。もちろん、これらに限定されるものではなく、重合性化合物の単独あるいは共重合体からなるポリマーの屈折率が、光伝送体に成型されたときに所定の屈折率分布を成型体のなかで有するように、種類や組成比を決定することが好ましい。
また、クラッドを形成する好ましいポリマーとしては、上記の各種化合物の他に以下のものを例示することができる。例えば、メチルメタクリレート(MMA)とトリフルオロエチルメタクリレート(FMA)やヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート等のフッ化(メタ)アクリレートとの共重合体を挙げることができる。また、MMAと,tert−ブチルメタクリレートなどの分岐を有する(メタ)アクリレート、イソボルニルメタクリレート、ノルボルニルメタクリレート、トリシクロデカニルメタクリレートなどの脂環式(メタ)アクリレートなどとの共重合体がある。さらにはポリカーボネート(PC)、ノルボルネン系樹脂(例えば、ZEONEX(登録商標:日本ゼオン(株)製))、ファンクショナルノルボルネン系樹脂(例えば、ARTON(登録商標:JSR製)など)、フッ素樹脂(例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)など)を用いることもできる。また、フッ素樹脂の共重合体(例えば、PVDF系共重合体)や、テトラフルオロエチレンパーフルオロ(アルキルビニルエーテル(PFA)ランダム共重合体、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)共重合体などを用いることもできる。また、これらのポリマーの水素原子(H)を重水素原子(D)に置換して伝送損失の低減を図ることもできる。
さらに、光学部材を近赤外光用途に用いる場合は、構成するC−H結合に起因した吸収損失が起こるために、特許3332922号公報や特開2003−192708号公報などに記載されているような、C−H結合の水素原子を重水素原子やフッ素などで置換したポリマーを用いることで、この伝送損失を生じる波長域を長波長化することができ、伝送信号光の損失を軽減することができる。このようなポリマーとしては、例えば、重水素化ポリメチルメタクリレート(PMMA−d8)、ポリトリフルオロエチルメタクリレート(P3FMA)、ポリヘキサフルオロイソプロピル2−フルオロアクリレート(HFIP 2−FA)などを例示することができる。なお、原料となる化合物は、重合後の透明性を損なわないためにも、不純物や散乱源となる異物は重合前に十分に除去されることが望ましい。
ラジカルを生成する重合開始剤としては、過酸化ベンゾイル(BPO)、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート(PBO)、ジ−tert−ブチルパーオキシド(PBD)、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート(PBI)、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バラレート(PHV)などのパーオキサイド系化合物が挙げられる。また、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、2,2’−アゾビス(2−メチルブタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2,3−ジメチルブタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルヘキサン)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2,3,3−トリメチルブタン)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、3,3’−アゾビス(3−メチルペンタン)、3,3’−アゾビス(3−メチルヘキサン)、3,3’−アゾビス(3,4−ジメチルペンタン)、3,3’−アゾビス(3−エチルペンタン)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジエチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジ−tert−ブチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)などのアゾ系化合物が挙げられる。なお、重合開始剤は、これらに限定されるものではなく、また、2種類以上を併用してもよい。
ポリマーとしたときの機械特性や熱物性などの各種物性値を全体にわたって均一に保つために、重合度の調整を行うことが好ましい。重合度の調整のためには、連鎖移動剤を使うことができる。連鎖移動剤については、併用する重合性モノマーの種類に応じて、適宜、種類および添加量を選択できる。各モノマーに対する連鎖移動剤の連鎖移動定数は、例えば、ポリマーハンドブック第3版(J.BRANDRUPおよびE.H.IMMERGUT編、JOHN WILEY&SON発行)を参照することができる。また、該連鎖移動定数は大津隆行、木下雅悦共著「高分子合成の実験法」化学同人、昭和47年刊を参考にして、実験によっても求めることができる。
連鎖移動剤としては、アルキルメルカプタン類(例えば、n−ブチルメルカプタン、n−ペンチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ラウリルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン等)、チオフェノール類(チオフェノール、m−ブロモチオフェノール、p−ブロモチオフェノール、m−トルエンチオール、p−トルエンチオール等)などを用いることが好ましい。特に、n−オクチルメルカプタン、n−ラウリルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタンのアルキルメルカプタンを用いるのが好ましい。また、C−H結合の水素原子が重水素原子やフッ素原子で置換された連鎖移動剤を用いることもできる。なお、連鎖移動剤は勿論これらに限定されるものではなく、これら連鎖移動剤は2種類以上を併用してもよい。
GI型POFは、伝送性能に優れているため、他の型のPOFよりも広帯域の光通信を行うことができ、高性能通信用途に好ましく用いることができる。屈折率の分布を付与する方法としては、コアとなるポリマーに、複数の重合単位を組み入れたり、それらのポリマーをさらに組合わせた共重合体を用いたり、または、ドーパントを添加する必要がある。
ドーパントは、上記のような重合性化合物とは異なる屈折率を有する化合物である。その屈折率差は0.005以上であることが好ましい。ドーパントは、これを含有するポリマーが無添加のポリマーと比較して、屈折率が高くなる性質を有する。これらは、特許3332922号公報や特開平5−173026号公報に記載されているような、モノマーの合成によって生成されるポリマーとの比較において、溶解性パラメータとの差が7(cal/cm3 1/2 以内であると共に、屈折率の差が0.001以上であり、これを含有する重合体が無添加の重合体と比較して屈折率が変化する性質を有し、重合体と安定して共存可能で、且つ前述の原料である重合性モノマーの重合条件(加熱および加圧等の重合条件)下において安定であるものを、いずれも用いることができる。
また、ドーパントは重合性化合物であってもよい。重合性化合物のドーパントを用いた場合には、これを共重合成分として含む共重合体が、これを含まない重合体と比較して、屈折率が上昇する性質を有するものを用いることが好ましい。上記性質を有し、重合体と安定した共存が可能で、かつ、前述のコアあるいはクラッドの原料である重合性化合物の各種重合条件(加熱および加圧等の重合条件)下において安定であるものを、ドーパントとして用いることができる。本実施の形態では、インナーコア用モノマーあるいはコア用モノマーにドーパントを含有させ、その重合工程において界面ゲル重合法により重合の進行方向を制御し、屈折率調整剤の濃度に傾斜を持たせ、コアに屈折率調整剤の濃度分布に基づく屈折率分布構造を形成する方法を例示しているが、それ以外にもプリフォーム形成後に屈折率調整剤を拡散させる方法も知られている(以下、屈折率の分布を有するコアを「屈折率分布型コア」と称する)。屈折率分布型コアを形成することにより、得られる光学部材は、広い伝送帯域を有する屈折率分布型プラスチック光学部材となる。
前記ドーパントとしては、例えば、安息香酸ベンジル(BEN)、硫化ジフェニル(DPS)、リン酸トリフェニル(TPP)、フタル酸ベンジル−n−ブチル(BBP)、フタル酸ジフェニル(DPP)、ビフェニル(DP)、ジフェニルメタン(DPM)、リン酸トリクレジル(TCP)、ジフェニルスルホキシド(DPSO)などが挙げられ、中でも、BEN、DPS、TPP、DPSOが好ましい。また、ドーパントは、例えばトリブロモフェニルメタクリレートのように重合性化合物でもよく、その場合、ポリマーマトリックスを形成する際に、重合性モノマーと重合性ドーパントとを共重合させるので、種々の特性(特に光学特性)の制御がより困難となるが、耐熱性の面では有利となる可能性がある。ドーパントの、コア部における濃度および分布を調整することによって、プラスチック光ファイバーの屈折率を所望の値に変化させることができる。
その他、コア、クラッドもしくはそれらの一部には、光伝送性能を低下させない範囲で、その他の添加剤を添加することができる。例えば、コアもしくはその一部に耐候性や耐久性などを向上させる目的で、安定剤を添加することができる。また、光伝送性能の向上を目的として、光信号増幅用の誘導放出機能化合物を添加することもできる。該化合物を添加することにより、減衰した信号光を励起光により増幅することができ、伝送距離が向上するので、例えば、光伝送リンクの一部にファイバ増幅器として使用することができる。これらの添加剤も、前記原料となる各種重合性化合物に添加した後、重合することによって、コア、クラッドもしくはそれらの一部に含有させることができる。
POFは、曲げ、耐候性の向上,吸湿による性能低下抑制,引張強度の向上,耐踏付け性付与,難燃性付与,薬品による損傷からの保護,外部光線によるノイズ防止,着色などによる商品価値の向上などを目的として、通常、その表面に1層以上の保護層を被覆して使用される。
保護層形成用材料としては、具体的に以下の材料を挙げることができる。これらは高い弾性を有しているため、曲げなどの機械的な特性付与の観点でも効果がある。まず、ポリマーの一形態であるゴムを用いることもできる。具体的には、イソプレン系ゴム(例えば、天然ゴム,イソプレンゴムなど),ブタジエン系ゴム(例えば、スチレン−ブタジエン共重合ゴム,ブタジエンゴムなど),ジエン系特殊ゴム(例えば,ニトリルゴム,クロロプレンゴムなど),オレフィン系ゴム(例えば、エチレン−プロピレンゴム,アクリルゴム,ブチルゴム,ハロゲン化ブチルゴムなど),エーテル系ゴム,ポリスルフィド系ゴム,ウレタン系ゴムなどが挙げられる。
また、保護層形成用材料としては、室温では流動性を示し、加熱することによりその流動性が消失して硬化する液状ゴムを用いることができる。具体的には、ポリジエン系(例えば、基本構造がポリイソプレン,ポリブタジエン,ブタジエン−アクリロニトリル共重合体,ポリクロロプレンなど),ポリオレフィン系(例えば、基本構造がポリオレフィン,ポリイソブチレンなど),ポリエーテル系(例えば、基本構造がポリ(オキシプロピレン)など),ポリスルフィド系(例えば、基本構造がポリ(オキシアルキレンジスフィド)など),ポリシロキサン系(例えば、基本構造がポリ(ジメチルシロキサン)など)などを挙げることができる。
保護層形成用材料として、さらには、熱可塑性エラストマー(TPE)を用いることもできる。熱可塑性エラストマーは、室温ではゴム弾性を示し、高温では可塑化されて成形が容易である物質群である。具体的には、スチレン系TPE,オレフィン系TPE,塩化ビニル系TPE,ウレタン系TPE,エステル系TPE,アミド系TPEなどが挙げられる。なお、前記列記したポリマーは、POFのポリマーのガラス転移温度Tg以下で成形可能なものであれば、特に上記材料に限定されず、各材料間もしくは上記以外の共重合体や混合ポリマーを用いることもできる。
また、ポリマー前駆体と反応剤などとを混合した液を熱硬化させるものを保護層形成用材料として用いることができる。例えば、特開平10−158353号公報に記載のNCOブロックプレポリマーと微粉体コーティングアミンとから製造される1液型熱硬化性ウレタン組成物を挙げることができる。また、国際公開第95/26374号パンフレットに記載のNCO基含有ウレタンプレポリマーと20μm以下の固形アミンとからなる1液型熱硬化性ウレタン組成物なども用いることもできる。その他に、性能を改善する目的で難燃剤、酸化防止剤、ラジカル捕獲剤、滑剤などの添加剤や、無機化合物及び/または有機化合物からなる各種フィラーを加えることができる。
本発明のプリフォームを用いたPOFは、さらに、必要に応じて上記の保護層を1次被覆層とし、外周にさらに2次(または多層)被覆層を設けても良い。1次被覆が充分な厚みを有している場合には、1次被覆の存在により熱ダメージが減少するため、2次被覆層の素材の硬化温度の制限は、1次被覆層を被覆する場合に比べて、緩くすることができる。2次被覆層には前述と同様に、難燃剤や紫外線吸収剤、酸化防止剤、ラジカル捕獲剤、昇光剤、滑剤などを導入してもよい。なお、難燃剤については臭素を始めとするハロゲン含有の樹脂や添加剤や燐含有のものがあるが、毒性ガス低減などの安全性の観点で難燃剤として金属水酸化物を好ましく使うことができる。金属水酸化物はその内部に結晶水として水分を有しており、またその製法過程での付着水が完全に除去できないため、金属水酸化物による難燃性被覆は本発明の1次被覆層の外層に耐湿性被覆を設けてその外層にさらに被覆層として設けることが望ましい。
また、被覆層に複数の機能を付与させるために、さらに様々な機能を有する被覆を積層させてもよい。例えば、前述の難燃化以外に、吸湿を抑制するためのバリア層や水分を除去するための吸湿材料、例えば吸湿テープや吸湿ジェルを被覆層内や被覆層間に有することができ、また可撓時の応力緩和のための柔軟性素材層や発泡層等の緩衝材、剛性を向上させるための強化層など、用途に応じて選択して設けることができる。樹脂以外にも構造材として、高い弾性率を有する繊維(いわゆる抗張力繊維)および/または剛性の高い金属線等の線材を熱可塑性樹脂に含有すると、得られるケーブルの力学的強度を補強することができることから好ましい。抗張力繊維としては、例えば、アラミド繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維が挙げられる。また、金属線としてはステンレス線、亜鉛合金線、銅線などが挙げられる。いずれのものも前述したものに限定されるものではない。その他に保護のための金属管の外装、架空用の支持線や、配線時の作業性を向上させるための機構を組み込むことができる。
また、プラスチック光ケーブルの形状は使用形態によって、POFまたはプラスチック光ファイバ心線を同心円上にまとめた集合型のものや、一列に並べたテープ型のもの、さらにそれらを押え巻やラップシースなどでまとめたものなど用途に応じてその使用形態が選ばれる。
また、本発明のプリフォームから得られるPOFを用いた光デバイスは、端部に接続用光コネクタを用いて接続部を確実に固定することが好ましい。コネクタとしては一般に知られている、PN型、SMA型、SMI型、F05型、MU型、FC型、SC型などの市販の各種コネクタを利用することも可能である。
本発明のプリフォームから得られるPOFには、種々の発光素子や受光素子、光スイッチ、光アイソレータ、光集積回路、光送受信モジュールなどの光部品を含む光信号処理装置等が組み合わされる。また、必要に応じて他の光ファイバーなどと組合わせてもよい。それらに関連する技術としてはいかなる公知の技術も適用でき、例えば、プラスティックオプティカルファイバの基礎と実際(エヌ・ティー・エス社発行)、日経エレクトロニクス2001.12.3号110頁〜127頁「プリント配線基板に光部品が載る,今度こそ」などを参考にすることができる。前記文献に記載の種々の技術と組み合わせることによって、コンピュータや各種デジタル機器内の装置内配線、車両や船舶などの内部配線、光端末とデジタル機器、デジタル機器同士の光リンクや一般家庭や集合住宅・工場・オフィス・病院・学校などの屋内や域内の光LAN等をはじめとする、高速大容量のデータ通信や電磁波の影響を受けない制御用途などの短距離に適した光伝送システムに好適に用いることができる。
さらに、IEICE TRANS. ELECTRON.,VOL.E84−C,No.3,MARCH 2001,p.339−344 「High−Uniformity Star Coupler Using Diffused Light Transmission」,エレクトロニクス実装学会誌 Vol.3,No.6,2000 476頁〜480頁「光シートバス技術によるインタコネクション」の記載されているものや、特開2003−152284号公報に記載の導波路面に対する発光素子の配置;特開平10−123350号、特開2002−90571号、特開2001−290055号等の各公報に記載の光バス;特開2001−74971号、特開2000−329962号、特開2001−74966号、特開2001−74968号、特開2001−318263号、特開2001−311840号等の各公報に記載の光分岐結合装置;特開2000−241655号等の公報に記載の光スターカプラ;特開2002−62457号、特開2002−101044号、特開2001−305395号等の各公報に記載の光信号伝達装置や光データバスシステム;特開2002−23011号等に記載の光信号処理装置;特開2001−86537号等に記載の光信号クロスコネクトシステム;特開2002−26815号等に記載の光伝送システム;特開2001−339554号、特開2001−339555号等の各公報に記載のマルチファンクションシステム;や各種の光導波路、光分岐器、光結合器、光合波器、光分波器などと組み合わせることで、多重化した送受信などを使用した、より高度な光伝送システムを構築することができる。以上の光伝送用途以外にも照明(導光)、エネルギー伝送、イルミネーション、センサ分野にも用いることができる。
以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下の実施例において、実施例5は、実施例1〜4に対する比較実験として行ったものである。
溶融押出成形により作製した内径19mm、長さ60cmのPVDFの中空管をクラッド12Aとし、この中空部に、アウターコア用の原料を注入した。アウターコア用の原料は、MMA104.96gと、重合開始剤としての2,4−ジメチルバレロニトリル(V−65)0.104gと、連鎖移動剤としてのn−ラウリルメルカプタン0.424gとの混合物であり、この混合物は所定温度に調整してから注入された。アウターコア用の原料を注入されたクラッド12Aを、SUS製の重合容器38に入れてから内部を窒素置換した。そして、孔径0.2μmのガラス製フィルタでクラッド12Aに栓37をして、注入物がもれない状態で加圧と減圧とが実施できるようにした。0.5×102 kPa加圧して1.5×102 kPaにまで重合容器38の内部を加圧し、これを回転重合装置41にセットして、3000rpmで回転しながら80℃で2時間加熱重合を行った。2時間の重合反応の後、室温にまで自然冷却し、圧抜きをして、重合容器38から、内面にPMMAからなるアウターコア32を有するクラッド12を取り出した。
クラッド12からガラス製フィルタの栓37をとり、アウターコア32の中空部に、インナーコア用の原料を所定の温度に調整してから注入した。インナーコア用の原料は、MMA66.33gと、重合開始剤としての2,4−ジメチルバレロニトリル(V−65)0.0658gと、連鎖移動剤としてのn−ラウリルメルカプタン0.287gと、ドーパントとしてのジフェニルスルフィド(DPS)7重量%との混合物である。なお、このドーパントの添加率は、生成した重合体に対する重量比率である。注入後、クラッドを重合器本体44aに入れて、再び、窒素置換とガラスフィルタ栓の取り付けとを実施してから重合容器38に収容して、0.5×102 kPa加圧して1.5×102 kPaにまで重合容器38の内部を加圧し、これを回転重合装置41にセットした。2000rpmで回転しながら80℃で2時間加熱重合を行った。2時間の重合反応の後、120℃に昇温させて12時間この温度を保持した後、圧抜きをした。さらに0.1×102 kPa減圧して0.9×102 kPaとしこの状態でさらに12時間回転しながらアニール処理を実施し、プリフォーム21を得た。そしてこのプリフォームを延伸してPOF25を得た。
本実施例1の結果、得られたプリフォームは気泡は発生せず、これを延伸して得られたPOFは、外径が500μmの外径を有し、長さは780mである。このPOFにも気泡欠陥がなかった。さらに、得られたPOFの伝送損失値を測定したところ、波長650nmにて170dB/kmであった。
アウターコア及びインナーコアの両生成における加圧処理では加圧量をともに1×102 kPaとした。そして、インナーコアの生成については、120℃での温度保持時間を24時間とし、アニール時における減圧量を0.5×102 kPaとした他は実施例1と同様に実施した。
本実施例2の結果得られたプリフォームには気泡が発生せず、これを延伸して得られたPOFは、外径が500μmの外径を有し、長さは720mである。このPOFにも気泡欠陥がなかった。さらに、得られたPOFの伝送損失値を測定したところ、波長650nmにて183dB/kmであった。
アウターコア及びインナーコアの両生成における加圧処理では加圧量をともに2×102 kPaとした。そして、アニール時における減圧量を0.2×102 kPaとした他は実施例1と同様に実施した。
本実施例3の結果得られたプリフォームには気泡が発生せず、これを延伸して得られたPOFは、外径が500μmの外径を有し、長さは800mである。このPOFにも気泡欠陥がなかった。さらに、得られたPOFの伝送損失値を測定したところ、波長650nmにて179dB/kmであった。
アニール時における減圧量を0.995×102 kPaとした他は実施例2と同様に実施した。
本実施例4の結果得られたプリフォームには部分的に気泡が発生していることが目視により確認された。これを延伸して得られたPOFは、外径が500μmの外径を有し、気泡が認められなかった部分の長さは300mである。さらに、得られたPOFの伝送損失値を測定したところ、波長650nmにて203dB/kmであった。
アウターコア及びインナーコアの両生成時における加圧処理と、アニール時の減圧処理とを実施しなかった他は実施例1と同様に実施した。
本実施例5の結果、得られたプリフォームには気泡がみられなかったが、これを延伸したPOFに一端面より光を入射したところ、輝点が散在することが確認された。そして、このPOFの伝送損失値を測定したところ、波長650nmにて232dB/kmであった。
以上の実施例1〜4は実施例5に比較して、微小欠陥が少ない伝送損失に優れたPOFを高得率で製造することができることがわかる。
このように、本発明によると、管状部材の中空部に、重合性化合物を注入してこれを重合させて重合体を生成させた際に生じる管状部材のロスや、管状部材とその中に生成した重合物との間に発生する気泡を抑制し、伝送損失の少ないPOFを、製造ロスを低減させて効率的に製造することができる。
本発明の実施形態としてのプラスチック光ファイバの製造工程を示す概略図である。 本発明の実施形態であるプリフォームの断面図である。 図3のプリフォームの断面径方向における屈折率を示す図である。 POFの断面図である。 図4のPOFの断面径方向における屈折率を示す図である。 アウターコア用モノマーが注入されたクラッドを収容した重合容器の断面図である。 回転重合装置の概略図である。 重合容器の回転方法についての説明図である。 クラッドを収容した重合容器の断面図である。
符号の説明
31A プリフォームのコア
32A プリフォームのアウターコア
33A プリフォームのインナーコア
31B POFのコア
32B POFのアウターコア
33B POFのインナーコア
32C,33C アウターコア用モノマー、インナーコア用モノマー
20 インナーコア重合工程
38 重合容器
41 回転重合装置
43 回転部材
40 管
40a 圧力計
51 圧力コントローラ

Claims (4)

  1. 第1の重合性化合物と前記第1重合性化合物の重合により得られる重合体よりも屈折率が高い化合物としての第1の屈折率調整剤とを、円管状である外側部材の中に注入し、前記第1重合性化合物を重合させる重合反応により、前記外側部材よりも高い屈折率を有する内側部材を前記外側部材の内面に生成するプラスチック光ファイバプリフォームの製造方法において、
    前記外側部材の円管軸を回転中心とするとともに略水平な状態として、前記外側部材を回転させながら、
    前記外側部材の内面と前記第1重合性化合物との反応である第1反応と、前記重合反応とを生起進行させ、
    前記重合反応の初期と中期との少なくともいずれか一方では加圧し、
    前記重合反応の後期と終了後との少なくともいずれか一方では減圧することを特徴とするプラスチック光ファイバプリフォームの製造方法。
  2. 前記加圧時における加圧量P1(単位;kPa)と前記減圧時における減圧量P2(単位;kPa)とが、
    0<P1<1×103
    0<P2<0.99×102
    を満たすことを特徴とする請求項1記載のプラスチック光ファイバプリフォームの製造方法。
  3. 前記加圧時における加圧気体が、窒素(N2 )、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)のうちの少なくともひとつであることを特徴とする請求項1または2記載のプラスチック光ファイバプリフォームの製造方法。
  4. 請求項1ないし3いずれかひとつ記載の製造方法により製造されたことを特徴とするプラスチック光ファイバプリフォーム。
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