JP2006010354A - コンクリート中性化状態判定方法及びコンクリート中性化状態判定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 鉄筋コンクリート内の中性化状態を容易に且つ精度よく行わせることができるようにすること。
【解決手段】 鉄筋コンクリート内の比抵抗値ρの当該鉄筋コンクリート表面からの距離に応じた分布を検出するようにした。そのため、鉄筋コンクリートの所定断面における中性化状態を容易に且つ精度よく判定でき、鉄筋コンクリートの水素イオン濃度指数pHの当該鉄筋コンクリート表面からの距離に応じた分布をディスプレイ54に表示させることができる。それゆえ、例えば、鉄筋コンクリート内の鉄筋近傍の水素イオン濃度指数pH、つまり、中性化状態(アルカリ性の強さ)を利用者に適切に把握させることができる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、コンクリート内の所定領域における中性化状態を判定するコンクリート中性化状態判定方法及び、その方法を実行するコンクリート中性化状態判定装置に関する。
鉄筋コンクリート内の鉄筋は、コンクリート部のpHが12〜13の強アルカリ性であるとき、つまり、通常時には、その表面に厚さ3nmの不導態皮膜が形成され、その不導態皮膜によって酸化(腐食)から保護されている。しかしながら、コンクリート部が大気中の二酸化炭素によって中和され、コンクリート部のpHが11.5より小さくなると(中性化が進むと)、不動態皮膜が破壊され、鉄筋が腐食しやすい状態となってしまう。
従来、このような状態を検出する技術としては、例えば、送電線や地磁気等から自然に発生する磁場によって鉄筋コンクリートの内部で発生する誘導磁場を検出し、その検出された誘導磁場に基づいて前記鉄筋コンクリート表面の比抵抗値の分布を検出するものがある(例えば、特許文献1参照。)。そして、この特許文献1に記載の技術によれば、その検出された比抵抗値と、前記鉄筋コンクリートについての比抵抗値と鉄筋の腐食性との対応関係が示されている表とに基づいて、前記鉄筋コンクリート内の鉄筋の腐食性(中性化状態)を判定し、その判定結果をディスプレイに表示することで、前記鉄筋が腐食しやすい環境にあるか否かという判定を利用者が容易に行うことができるようになっている。
特開2001−194341号公報、〔0078〕、〔0106〕
しかしながら、上記従来の技術にあっては、単に、鉄筋コンクリート表面の比抵抗分布を検出するようになっている、つまり、前記鉄筋コンクリート表面の各箇所で比抵抗値の代表値を検出するようになっている。そのため、例えば、調査箇所の鉄筋コンクリート内の鉄筋近傍の比抵抗値が小さい(腐食性が強い)ときにも、前記鉄筋から離れたところ(例えば前記鉄筋コンクリートの表面側)の比抵抗値が大きい(腐食性が弱い)と、前記調査箇所での前記鉄筋コンクリートの比抵抗値が大きく(腐食性が弱く)検出されてしまい、その結果、前記鉄筋が腐食しにくい環境にあると誤判定されてしまう恐れがあった。
本発明は、上記従来の技術が未解決な問題点を解決することを目的とするものであって、コンクリート内の中性化状態を容易に且つ精度よく判定できるコンクリート中性化状態判定方法及び、コンクリート中性化状態判定装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、第1の発明であるコンクリート中性化状態判定方法は、コンクリート内の所定領域の比抵抗値の分布を検出し、その検出された比抵抗値の分布と、前記コンクリートについての比抵抗値と水素イオン濃度との対応関係とに基づいて、前記所定領域の水素イオン濃度の分布を判定することを特徴とする。
一方、上記課題を解決するために、第2の発明であるコンクリート中性化状態判定装置は、コンクリート内の所定領域の比抵抗値の当該コンクリート表面からの距離に応じた分布を検出する比抵抗分布検出手段と、前記コンクリート内についての比抵抗値と当該コンクリート内の水素イオン濃度との対応関係を記憶している記憶手段と、前記比抵抗分布検出手段で検出された比抵抗値の分布と前記記憶手段に記憶されている対応関係とに基づいて、前記所定領域の水素イオン濃度の前記コンクリート表面からの距離に応じた分布を判定するイオン濃度分布判定手段と、そのイオン濃度分布判定手段による判定結果を提示する判定結果提示手段とを備えたことを特徴とする。
また、第3の発明であるコンクリート中性化状態判定装置にあっては、前記比抵抗分布検出手段は、周波数が異なる複数の磁場を順次発生し、その発生した複数の磁場によって前記コンクリート内で発生した誘導磁場をそれぞれ検出し、それら検出された誘導磁場に基づいて、前記コンクリート内の所定領域の比抵抗値の当該コンクリート表面からの距離に応じた分布を検出することを特徴とする。
したがって、上記第1又は第2の発明によれば、コンクリート内で比抵抗値の深さ方向への分布(コンクリート表面からの距離に応じた分布)を検出することで、コンクリート内の所定領域の中性化状態を容易に且つ精度よく判定できる。そのため、例えば、鉄筋コンクリート内の鉄筋近傍の水素イオン濃度、つまり、中性化状態(アルカリ性の強さ)を利用者に適切に把握させることができる。その結果、例えば、鉄筋コンクリート表面の各箇所で代表値のみを提示する方法に比べ、鉄筋が腐食しやすい環境にあるか否かという判定を、利用者に容易に且つ精度よく行わせることができる。
また、上記第3の発明によれば、周波数が高い磁場は、コンクリート内でのエネルギー損失が大きいため、コンクリートの深部までは透過しにくい。つまり、磁場の周波数に応じて、その磁場の届く深さが決まる。それゆえ、各磁場に誘導されて発生する渦電流は当該磁場の周波数に応じた位置(深さ)に発生し、その発生した渦電流によってコンクリート内の当該位置で当該周波数を有する誘導磁場、つまり、各周波数に対応する深さで当該深さの比抵抗値に応じた誘導磁場が発生する。その結果、それらの誘導磁場をそれぞれ検出することで、各周波数に対応する深さでの比抵抗値を容易に検出することができる。
以下、本発明のコンクリート中性化状態判定方法及び、コンクリート中性化状態判定装置の一実施形態を図面に基づいて説明する。
本発明のコンクリート中性化状態判定装置は、鉄筋コンクリート内の比抵抗値ρの当該鉄筋コンクリート表面からの距離に応じた分布をEM (Electro Magnetic)法で検出し、その検出された比抵抗値ρの分布に基づいて、前記鉄筋コンクリート内の水素イオン濃度指数(pH)の当該鉄筋コンクリート表面からの距離に応じた分布を検出し、その検出結果を提示するものである。ここで、EM法は、調査対象に対向させた送信コイル22(後述)に電流を流して1次磁場を発生させ、その発生させた1次磁場によって、前記調査対象内で発生した2次磁場(誘導磁場)を受信コイル31(後述)で検出し、その検出された2次磁場に基づいて、前記調査対象内の比抵抗値ρの分布を検出する方法である。
<コンクリート中性化状態判定装置の構成>
図1は、本実施形態のコンクリート中性化状態判定装置の概略構成を示すブロック図である。この図1に示すように、コンクリート中性化状態判定装置1は、送信部2、受信部3、EM送受信機4及びパーソナルコンピュータ5を含んで構成される。
これらのうち、送信部2は、多周波高速送信機21、送信コイル22及びサーチコイル23を含んで構成される。また、多周波高速送信機21は、容量可変のキャパシタ(不図示)を備えている。そして、多周波高速送信機21は、EM送受信機4の送信電流供給回路43(後述)から送信電流(後述)が供給されると、その供給された送信電流(後述)の周波数(以下、「測定周波数」とも呼ぶ。)fに応じてキャパシタ(不図示)の容量を変化させ、その変化させたキャパシタ(不図示)の共振作用によって送信電流(後述)を増幅する。また、多周波高速送信機21は、その増幅した送信電流(後述)を送信コイル22に供給する。
さらに、多周波高速送信機21は、サーチコイル23(後述)から出力される電流から不要なノイズ成分等を除去し、実際に発生している1次磁場の周波数と位相とを示す信号(以下、「同期検波用信号」とも呼ぶ。)を順次生成する。そして、多周波高速送信機21は、その生成された同期検波用信号をEM送受信機4の受信磁場検波回路41(後述)に順次出力する。
また、送信コイル22は、所定方向に向けられた1つの磁場発生コイルである。そして、送信コイル22は、多周波高速送信機21から送信電流(後述)が供給されると、その供給された送信電流(後述)に応じた(測定周波数fを有する)複数の1次磁場を順次高速で発生する。なお、周波数が高い1次磁場は、鉄筋コンクリート内でのエネルギー損失が大きいため、深部までは透過しにくい。つまり、1次磁場の測定周波数fに応じて、1次磁場が届く深さが決まる。それゆえ、各1次磁場に誘導されて発生する渦電流は当該各1次磁場の測定周波数fに応じた位置(深さ)に発生し、その渦電流によって鉄筋コンクリート内の当該位置で当該測定周波数fを有する2次磁場が発生する。この2次磁場の位相は、誘導される渦電流が送信電流(後述)の位相よりも90°遅れることから同様に90°遅れ、さらに、鉄筋コンクリートの抵抗成分Rsとインタラクティブ成分Lsのために、tan-1(ωLs/Rs)だけずれる。また、鉄筋コンクリート内には3次以上の高次の磁場も発生するが、それらの磁場強度は極めて小さく、鉄筋コンクリート表面で観測される磁場は事実上1次磁場と2次磁場のみとなる。
さらに、サーチコイル23は、送信コイル22に添設された1つの磁場検出コイルである。そして、サーチコイル23は、送信コイル22で発生された複数の1次磁場の磁場強度に応じた電流を、多周波高速送信機21(後述)にそれぞれ出力する。
また、受信部3は、受信コイル31及び受信磁場強度検出器32を含んで構成される。受信コイル31は、互いに直行する方向に向けられた3つの磁場検出コイル33、34、35を備えている。そして、各磁場検出コイル33、34、35は、送信コイル22で1次磁場が発生されると、各方向の磁場の磁場強度に応じた電流(以下、「受信電流」とも呼ぶ。)を受信磁場強度検出器32にそれぞれ出力する。なお、磁場検出コイル33、34、35によって検出される磁場は、送信コイル22で発生された1次磁場と、その発生された1次磁場によって誘導された2次磁場とが合成された磁場(合成磁場)となる。
さらに、受信磁場強度検出器32は、受信コイル31から出力される受信電流(後述)をそれぞれ増幅し、その増幅した受信電流に基づいて、受信した磁場の周波数と位相とを示す信号(以下、「受信磁場信号」とも呼ぶ。)を順次生成する。そして、受信磁場強度検出器32は、その生成された受信磁場信号をEM送受信機4の受信磁場検波回路41(後述)に順次出力する。
さらに、EM送受信機4は、受信磁場検波回路41、磁場ベクトル検出回路42及び送信電流供給回路43を含んで構成される。
受信磁場検波回路41は、多周波高速送信機21から順次出力される同期検波用信号に基づいて、受信磁場強度検出器32から順次出力される受信磁場信号それぞれから実数成分及び虚数成分(1次磁場との同相成分及び離相成分)を検波する。具体的には、同期検波用信号を用いて実数成分を検波し、同期検波用信号の位相を90°遅らせた信号を用いて虚数成分を検波する。そして、受信磁場検波回路41は、それら検波された受信磁場信号の受信磁場信号の実数成分及び虚数成分を磁場ベクトル検出回路42に順次出力する。
また、磁場ベクトル検出回路42は、受信磁場検波回路41から出力される受信磁場信号の実数成分及び虚数成分をそれぞれアナログ信号形式の直流電圧信号に順次変換し、それら変換された成分(以下、「受信磁場実数値」、「受信磁場虚数値」とも呼ぶ。)をパーソナルコンピュータ5の高速A/D変換器51(後述)に順次出力する。
さらに、送信電流供給回路43は、送信電流の供給開始を利用者が指示するための供給開始指示スイッチ(不図示)を備えている。そして、送信電流供給回路43は、供給開始指示スイッチ(不図示)がON状態とされると、予め定められた複数の周波数間で周波数(測定周波数)fが順次高速で切り替わる電流(以下、「送信電流」とも呼ぶ。)を多周波高速送信機21に供給する。
また、パーソナルコンピュータ5は、高速A/D変換器51、演算処理装置53、記憶装置52及びディスプレイ54を含んで構成される。
高速A/D変換器51は、磁場ベクトル検出回路42からアナログ信号形式で出力される受信磁場実数値及び受信磁場虚数値をデジタル信号に順次変換する。そして、高速A/D変換器51は、それら変換されたデジタル信号を演算処理装置53に順次出力する。
また、記憶装置52は、鉄筋コンクリート内の比抵抗値ρと当該鉄筋コンクリート内の水素イオン濃度指数pHとの対応関係のデータ(以下、「対応関係データ」とも呼ぶ。)を記憶している。そして、記憶装置52は、演算処理装置53からの読み出し要求に応じて、前記対応関係データを演算処理装置53に出力する。
さらに、演算処理装置53は、高速A/D変換器51から出力される受信磁場実数値及び受信磁場虚数値のデジタル信号それぞれ、つまり、各1次磁場の測定周波数fに応じた深さで発生された2次磁場に関するデータに基づき、後述する(8)式に従って、調査対象(鉄筋コンクリート)の比抵抗値ρの当該調査対象の深さ方向の分布(鉄筋コンクリート表面からの垂直方向の距離に応じた分布)を各箇所で算出する。また、演算処理装置53は、対応関係データを記憶装置52から読み出し、その読み出した対応関係データと、前記算出された比抵抗値ρの鉄筋コンクリートの深さ方向の分布とに基づいて、鉄筋コンクリート内の水素イオン濃度指数pHの前記深さ方向の分布を各箇所で判定する。
さらに、演算処理装置53は、各箇所で判定された水素イオン濃度指数pHの前記深さ方向の分布に基づいて、調査対象(鉄筋コンクリート)内の水素イオン濃度指数pHの分布を示すカラーコンタを表示させる指令(以下、「検出結果表示指令」とも呼ぶ。)をディスプレイ54に出力する。なお、調査開始時を位置データの初期位置とし、以後、時間の経過に伴って位置データを順次増加させることで、順次移りゆく調査箇所を算出する。
また、ディスプレイ54は、演算処理装置53から検出結果表示指令が出力されると、調査対象(鉄筋コンクリート)内の水素イオン濃度指数pHの分布(鉄筋コンクリートの受信部3の移動方向に沿った断面における分布)を示すカラーコンタを表示する。
<EM法の測定原理>
次に、本実施形態のコンクリート中性化状態判定装置1で、調査対象内の比抵抗値ρの検出に用いられるEM法の測定原理を説明する。
まず、送信コイル22の中心軸及び受信コイル35の中心軸が共に調査対象(鉄筋コンクリート)表面と垂直であるときには、1次磁場HPと当該1次磁場HPによって発生する2次磁場HSとの比(HS/Hp)vは、下記(1)式のように記載することができる。
(HS/Hp)v=2/(γs)2[9-{9+9γs+4(γs)2+(γs)3}e−γs]………(1)
但し、2次磁場HSは、1次磁場HPとの同相成分を実数部とし、離相成分を虚数部とする複素数である。また、γ=(jωμoσ)1/2であり、jは虚数単位であり、ωは測定角周波数で2π×測定周波数f、μoは真空の透磁率(4π×10-7H/m)、σは調査対象(鉄筋コンクリート)の電気伝導率(S/m)である。さらに、sは送信コイル22と受信コイル35との間の距離(以下、「コイル間隔」とも呼ぶ。)である。
また、送信コイル22の中心軸及び受信コイル34の中心軸が共に調査対象(鉄筋コンクリート)表面と平行であるときには、1次磁場HPと当該1次磁場HPによって発生する2次磁場HSとの比(HS/Hp)Hは、下記(2)式のように記載することができる。
(HS/Hp)H=2/[1-3/(γs)2+{3+3γs+(γs)2}e−γs/(γs)3] …(2)
一方、鉄筋コンクリート内では、1次磁場HPの磁場強度は鉄筋コンクリートの表面からの距離dに応じて指数関数的に減衰する。ここで、その指数関数はexp(―αd)(α=(ωμoσ/2)1/2)となる。そのため、1次磁場HPの磁場強度が鉄筋コンクリート表面の1/e(約37%)になる距離(以下、「表皮深度(skin depth)」とも呼ぶ。)δは、比抵抗値ρを用いると、下記(3)式のように記載することができる。
δ=503.8(ρ/f)1/2 ………(3)
それゆえ、前記(1)式及び(2)式におけるγsは、コイル間隔sと表皮深度δsとの比s/δに基づいて、下記(4)式のように記載することができる。
γs=(2j)1/2s/σ ………(4)
さらに、このγsが1より十分に小さい場合、つまり、測定周波数fやコイル間隔sが十分に小さい場合、前記(1)式及び(2)式は、下記(5)式のように記載できる。
(HS/Hp)v≒(HS/Hp)H≒jωμoσs2/4 ………(5)
そのため、電気伝導率σは、下記(6)式のように記載することができる。
σ=2/(πfμo2)×(HSI/Hp) ………(6)
但し、HSIは2次磁場HSの離相成分(虚数部)である。
その結果、調査対象(鉄筋コンクリート)内の比抵抗値ρ(Ω・m)は、この電気伝導率σの逆数、つまり、下記(7)式のように記載することができる。
ρ=1/σ=(πfμo2)/2×(Hp/HSI) ………(7)
ここで、受信磁場検波回路41と磁場ベクトル検出回路42とによって、合成磁場の各成分の大きさが受信磁場実数値HR及び受信磁場虚数値HIとして演算処理装置53に出力され、また、受信磁場虚数値HIは、2次磁場HSの離相成分HSIに相当するので、受信磁場実数値HR及び受信磁場虚数値HSに基づき、下記(8)式に従って、調査対象(鉄筋コンクリート)内の所定深さ(測定周波数fに応じた深さ、つまり、渦電流が発生し、その渦電流で2次磁場が発生する深さ)での比抵抗値ρを算出することができる。
ρ=1/σ=(πfμo2)/2×(Hp/HI) ………(8)
<コンクリート中性化状態判定装置の動作>
次に、本実施形態のコンクリート中性化状態判定装置1の動作を、具体的に説明する。
まず、調査対象である鉄筋コンクリート(例えば建物の床)の表面に格子状のマーキングを行った後、送信電流供給回路43の供給開始指示スイッチ(不図示)をON状態とし、そのマーキングに沿って送信部2と受信部3とを十分に遅い一定速度で移動させたとする。すると、送信電流供給回路43によって、予め定められた複数の周波数間で周波数(測定周波数)fが順次高速で切り替わる送信電流が多周波高速送信機21に供給される。
また、多周波高速送信機21によって、その供給された送信電流の測定周波数fに応じてキャパシタ(不図示)の容量が変化され、その変化されたキャパシタ(不図示)の共振作用によって送信電流(後述)が増幅され、その増幅された送信電流(後述)が送信コイル22に供給される。そして、送信コイル22によって、その送信電流の測定周波数fと同じ周波数を有する複数の1次磁場が送信コイル22で順次高速で発生される。また、その発生された複数の1次磁場に誘導されて、鉄筋コンクリート内の各1次磁場の測定周波数fに応じた深さに渦電流が発生され、その発生された渦電流によって鉄筋コンクリート内の当該深さで当該測定周波数fをそれぞれ有する複数の2次磁場が順次発生される。
すると、サーチコイル23によって、送信コイル22で発生された複数の1次磁場の磁場強度に応じた電流が多周波高速送信機21にそれぞれ出力される。また、多周波高速送信機21によって、その出力された電流から不要なノイズ成分等が除去されて同期検波用信号が順次生成され、その同期検波用信号が受信磁場検波回路41に順次出力される。
また同時に、受信コイル31によって、送信コイル22で発生された各1次磁場と、その1次磁場によって誘導された2次磁場との合成磁場に応じた受信電流それぞれが、受信磁場強度検出器32に順次出力される。そして、受信磁場強度検出器32によって、その出力された受信電流が増幅され、その増幅された受信電流に基づいて受信磁場信号が順次生成され、その生成された受信磁場信号が受信磁場検波回路41に順次出力される。
そして、受信磁場検波回路41によって、多周波高速送信機21から順次出力される同期検波用信号に基づき、受信磁場強度検出器32から順次出力される受信磁場信号それぞれから実数成分及び虚数成分が検波され、それら検波された実数成分及び虚数成分が磁場ベクトル検出回路42に順次出力される。また、磁場ベクトル検出回路42によって、その出力された実数成分及び虚数成分がそれぞれアナログ信号形式の直流電圧信号に順次変換され、それらアナログ信号に変換された実数成分(受信磁場実数値)及び虚数成分(受信磁場虚数値)が高速A/D変換器51に順次出力される。そして、高速A/D変換器51によって、その出力される受信磁場実数値及び受信磁場虚数値がデジタル信号に順次変換され、それら変換されたデジタル信号が演算処理装置53に順次出力される。
また、演算処理装置53によって、その高速A/D変換器51から出力される受信磁場実数値及び受信磁場虚数値のデジタル信号それぞれ、つまり、各1次磁場の測定周波数fに応じた深さで発生された2次磁場に関するデータに基づいて、調査対象である鉄筋コンクリートの比抵抗値ρの当該鉄筋コンクリートの深さ方向の分布が前記マーキングに沿った各箇所で算出される。また、演算処理装置53によって、対応関係データが記憶装置52から読み出され、その読み出された対応関係データと、前記算出された比抵抗値ρの前記深さ方向の分布とに基づいて、鉄筋コンクリート内の水素イオン濃度指数pHの前記深さ方向の分布が前記マーキングに沿った各箇所で判定された後、検出結果表示指令がディスプレイ54に出力される。そして、ディスプレイ54によって、その検出結果表示指令に応じて、図2に示すように、前記マーキングに沿った各箇所で判定された水素イオン濃度指数pHの前記深さ方向の分布に基づいて、調査対象である鉄筋コンクリート内の水素イオン濃度指数pHの分布を示すカラーコンタ、つまり、前記鉄筋コンクリートの前記マーキングに沿った断面における水素イオン濃度指数pHの分布の情報が表示される。
このように、本実施形態のコンクリート中性化状態判定装置1によれば、鉄筋コンクリート内の比抵抗値ρの当該鉄筋コンクリート表面からの距離に応じた分布を検出するようにしたため、鉄筋コンクリートの前記マーキングに沿った断面における中性化状態(アルカリ性の強さ)を容易に且つ精度よく判定でき、鉄筋コンクリートの水素イオン濃度指数pHの当該鉄筋コンクリート表面からの距離に応じた分布をディスプレイ54に表示させることができる。それゆえ、例えば、鉄筋コンクリート内の鉄筋近傍の水素イオン濃度指数pH、つまり、中性化状態(アルカリ性の強さ)を利用者に適切に把握させることができる。その結果、例えば、図2に示すように、前記断面内に5本の鉄筋B1〜B5があり、それらの鉄筋B1〜B5のうち鉄筋コンクリート表面側から3本目の鉄筋B3近傍のコンクリート部Aの水素イオン濃度指数pHが小さいときには、その3本目の鉄筋B3が腐食しやすい環境にあるという判定を、利用者に容易に且つ精度よく行わせることができる。
ちなみに、鉄筋コンクリート表面の各箇所で水素イオン濃度指数pHの代表値を提示する従来の方法では、例えば、図2に示すように、調査箇所の鉄筋コンクリート内に5本の鉄筋B1〜B5があり、それらの鉄筋B1〜B5のうち鉄筋コンクリート表面側から3本目の鉄筋B3近傍のコンクリート部Aの水素イオン濃度指数pHが小さくても、その鉄筋B3から離れたところ(例えば鉄筋コンクリート表面側から1本目と5本目の鉄筋B1及びB5近傍)のコンクリート部Aの水素イオン濃度指数pHが大きいと、前記調査箇所での鉄筋コンクリートの水素イオン濃度指数pHが小さく判定されてしまい、その結果、前記3本目の鉄筋B3が腐食しにくい環境にあると誤判定されてしまう恐れがあった。
以上、図1の演算処理装置53が特許請求の範囲の比抵抗分布検出手段を構成し、以下同様に、図1の記憶装置52が記憶手段を構成し、図1の演算処理装置53がイオン濃度分布判定手段を構成し、図1のディスプレイ54が判定結果提示手段を構成する。
なお、本発明のコンクリート中性化状態判定方法及び、コンクリート中性化状態判定装置は、上記実施の形態の内容に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記実施形態では、調査対象である鉄筋コンクリートの表面に格子状のマーキングを行って当該マーキングに沿った断面における水素イオン濃度指数pHの分布(2次元データ)をディスプレイ54に表示する例を示したが、これに限られるものではない。例えば、その2次元データを複数検出し、それら検出された複数の2次元データに基づいて生成される3次元データをディスプレイ54に表示するようにしてもよい。
コンクリート中性化状態判定装置の一実施形態の概略構成を示すブロック図である。 コンクリート中性化状態判定装置の動作を説明するための説明図である。
符号の説明
1はコンクリート中性化状態判定装置
2は送信部
3は受信部
4は送受信機
5はパーソナルコンピュータ
21は多周波高速送信機
22は送信コイル
23はサーチコイル
31は受信コイル
32は受信磁場強度検出器
33は磁場検出コイル
34は受信コイル
35は受信コイル
41は受信磁場検波回路
42は磁場ベクトル検出回路
43は送信電流供給回路
51は変換器
52は記憶装置
53は演算処理装置
54はディスプレイ

Claims (3)

  1. コンクリート内の所定領域の比抵抗値の分布を検出し、その検出された比抵抗値の分布と、前記コンクリートについての比抵抗値と水素イオン濃度との対応関係とに基づいて、前記所定領域の水素イオン濃度の分布を判定することを特徴とするコンクリート中性化状態判定方法。
  2. コンクリート内の所定領域の比抵抗値の当該コンクリート表面からの距離に応じた分布を検出する比抵抗分布検出手段と、前記コンクリート内についての比抵抗値と当該コンクリート内の水素イオン濃度との対応関係を記憶している記憶手段と、前記比抵抗分布検出手段で検出された比抵抗値の分布と前記記憶手段に記憶されている対応関係とに基づいて、前記所定領域の水素イオン濃度の前記コンクリート表面からの距離に応じた分布を判定するイオン濃度分布判定手段と、そのイオン濃度分布判定手段による判定結果を提示する判定結果提示手段とを備えたことを特徴とするコンクリート中性化状態判定装置。
  3. 前記比抵抗分布検出手段は、周波数が異なる複数の磁場を順次発生し、その発生した複数の磁場によって前記コンクリート内で発生した誘導磁場をそれぞれ検出し、それら検出された誘導磁場に基づいて、前記コンクリート内の所定領域の比抵抗値の当該コンクリート表面からの距離に応じた分布を検出することを特徴とする請求項2に記載のコンクリート中性化状態判定装置。
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