JP5031314B2 - 電磁超音波センサ及び電磁超音波検出システム - Google Patents

電磁超音波センサ及び電磁超音波検出システム Download PDF

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Description

本発明は、導体からなる被計測物に対して磁束を発生させて、当該被計測物の内部に横波超音波を伝播させる電磁超音波センサ及び電磁超音波検出システムに関する。
従来より、導体からなる被計測物(例えば、鋼板)の厚みの計測や結晶粒径の計測、あるいはその欠陥検出等を行うために、当該被計測物内に超音波を発生させ、当該被計測物内を伝播した超音波を電磁気的な作用により検出する電磁超音波センサがある(例えば、下記の特許文献1参照)。
この電磁超音波センサは、超音波振動の送受信に電磁気的な作用を利用するため、被計測物との間に接触媒質を設ける必要が無い。即ち、この電磁超音波センサは、被計測物との間で超音波振動を伝達し合うための制約が無く、被計測物に対して非接触で計測を行うことができる。そのため、電磁超音波センサでは、被計測物に接触しなくても定量性、再現性、操作性の高い計測が可能であるとされてきた。
以下に、従来の電磁超音波センサについて説明する。
図7は、従来の電磁超音波センサの概略構成及び動作の概略を示す図であり、図7(a)にその外観の斜視図を示し、図7(b)に電磁超音波センサと被計測物の断面図を示す。
図7(a)に示すように、従来の電磁超音波センサ50は、一対の永久磁石51a及び51bからなる磁束発生部51と、渦巻き状に形成されたコイル52を有して構成されている。また、永久磁石51a及び51bは、大きな磁界を得るために磁気エネルギー積が大きなSm−Co系又はNd−Fe−B系の永久磁石材で形成されることがある。
磁束発生部51は、図7(b)に示すように、導体からなる被計測物(例えば、鋼板)100内に直流の磁束102を発生させる。また、コイル52に交流電流が供給されると、被計測物100の表面に、コイル52に流れる交流電流と逆向きの渦電流101a及び101bが発生する。そして、被計測物100内に発生した磁束102と渦電流101a、101により力Fが生じ、これが横波の超音波振動となって被計測物100の内部を板厚方向に伝播する。
そして、この被計測物100の内部を板厚方向に伝播した超音波が、被計測物の底面や内部の欠陥で反射される。例えば反射法では、この反射超音波を電磁気的な作用により、例えば、コイル52内の誘導起電力として受信(検出)する。
特開2006−5508号公報
しかしながら、導体からなる永久磁石51a及び51bを用いた従来の電磁超音波センサ50では、一般的に、超音波の送受信が周波数500kHz以上の周波数領域に限られており、周波数500kHz未満(例えば、100kHz程度)の低周波数領域における超音波を適正に受信(検出)することが困難であるという問題があった。これにより、例えば、厚い被計測物の厚み計測や結晶粒径が大きい被計測物の結晶粒径計測等を、非接触で正確に行うことができないという不具合が生じていた。
本発明は上述の問題点に鑑みてなされたものであり、周波数500kHz未満の低周波数領域においても被計測物の内部を伝播した超音波を適正に受信し、当該被計測物における種々の計測をより広範囲に亘って非接触で正確に行うことを実現する電磁超音波センサ及び電磁超音波検出システムを提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、以下に示す発明の諸態様に想到した。
本発明の電磁超音波センサは、導体からなる被計測物に対して直流磁束を発生させる磁束発生手段と、前記磁束発生手段から発生させた直流磁束と交差する位置に配置され、通電されるコイルとを有し、前記磁束発生手段は、導体からなる一体構造の永久磁石で形成されており、且つ、前記被計測物と対向する一側端部及び当該一側端部の反対側の他側端部のうち、少なくともいずれか一方の端部が鋸歯形状に形成されている。
本発明の電磁超音波検出システムは、前記電磁超音波センサと、前記コイルに対して、特定の周波数領域における各周波数の交流電流を順次発信する発信装置と、前記発信装置から発信させた交流電流の各周波数毎に、前記被計測物の内部を伝播した超音波を受信する受信装置と、前記受信装置で受信した前記各周波数毎の超音波における波形に基づいて、前記各周波数毎に、当該波形のエネルギー値を算出する処理を行う処理装置とを有する。
本発明によれば、周波数500kHz未満の低周波数領域においても被計測物の内部を伝播した超音波を適正に受信(検出)することができる。これにより、被計測物における種々の計測をより広範囲に亘って非接触で正確に行うことが可能となる。
−本発明の骨子−
本発明者は、被計測物の内部を伝播した超音波を適正に受信(検出)すべく、図7に示す従来の電磁超音波センサ50において、周波数500kHz未満の低周波数領域で被計測物100の内部を伝播した超音波の受信(検出)が困難となる原因について調査した。そして、以下のメカニズムを想到した。
まず、本発明者は、被計測物100内に超音波を発生させるためにコイル52に交流電流が供給された際に、被計測物100の表面のみならず、導体からなる永久磁石51a及び51bの内部にも、コイル52に流れる交流電流と逆向きの渦電流が発生することを見出した。即ち、コイル52に交流電流が供給されると、永久磁石51aの内部には渦電流101aと同じ向きの渦電流が発生し、導体である永久磁石51bの内部には渦電流101bと同じ向きの渦電流が発生するものと考えられる。
そして、本発明者は、この各永久磁石51a及び51bの内部に発生した渦電流によって、被計測物100の場合と同様に、各永久磁石51a及び51bの内部の厚み方向(S極とN極とを繋ぐ方向)に超音波が伝播し、これにより当該超音波の周波数によっては擬似的定在波が生じると考えた。
そして、本発明者は、被計測物100の内部を伝播した計測用の超音波をコイル52で受信する際に、上述した各永久磁石51a及び51bの内部に生じた擬似的定在波による影響を受けることにより、被計測物100の内部を伝播した超音波を適正に受信することが困難になることを思料した。
また、本発明者は、周波数500kHz未満の低周波数領域で被計測物100の内部の超音波を適正に受信することが困難になる理由として、周波数が低周波数になると、各永久磁石51a及び51bの内部を伝播する超音波の減衰が小さくなるために、各永久磁石51a及び51bの内部に上述した擬似的定在波が形成されやすくなるためであると考えた。一方、周波数が500kHz以上の高周波数になると、各永久磁石51a及び51bの内部を伝播する超音波の減衰が大きくなるために、各永久磁石51a及び51bの内部には、上述した擬似的定在波が形成され難くなると考えた。
以上の点から、本発明者は、周波数500kHz未満の低周波数領域において被計測物の内部を伝播した超音波を適正に受信(検出)するためには、各永久磁石の内部に形成される擬似的定在波を消失させることが必要であると思料した。
そこで、本発明者は、各永久磁石における一対の端部(S極及びN極)のうち、少なくともいずれか一方の端部を鋸歯形状で形成する形態を案出した。このように、各永久磁石の端部を鋸歯形状で形成することにより、各永久磁石の厚み方向(S極とN極とを繋ぐ方向)の長さが一定とならないため、擬似的定在波の発生を防止できると考えた。
−本発明の具体的な実施形態−
次に、上述した本発明の骨子を踏まえた本発明における諸実施形態を、添付図面を参照しながら説明する。
(第1の実施形態)
以下に、本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る電磁超音波センサと被計測物の概略断面図である。また、図2は、本発明の第1の実施形態に係る電磁超音波センサと被計測物の外観写真である。
図1に示すように、第1の実施形態に係る電磁超音波センサ10は、導体からなる被計測物(例えば、鋼板)100に対して直流の磁束102を発生させる磁束発生部11と、磁束発生部11から発生させた磁束102と交差する位置に配置され、通電されるコイル12を有して構成されている。
ここで、磁束発生部11は、一対の永久磁石11a及び11bで構成されており、この永久磁石11a及び11bは、例えば、Nd−Fe−B系の導体で形成されている。また、コイル12は、図7(a)に示すコイル52と同様に、渦巻き状に形成されている。
本実施形態の永久磁石11a及び11bは、被計測物100と対向する一側端部(永久磁石11aのN極及び永久磁石11bのS極)の反対側の他側端部(永久磁石11aのS極及び永久磁石11bのN極)が鋸歯形状11kで形成されている。
コイル12に交流電流が供給されると、被計測物100の表面に、コイル12に流れる交流電流と逆向きの渦電流101a及び101bが発生する。そして、被計測物100内に発生した磁束102と渦電流101a、101bにより力F1が生じ、これが横波の超音波振動となって被計測物100の内部を板厚方向に伝播する。
続いて、この被計測物100の内部を板厚方向に伝播した超音波を電磁気的な作用により、例えば、コイル12内の誘導起電力として受信する。
第1の実施形態に係る電磁超音波センサ10によれば、永久磁石11a及び11bの他側端部(永久磁石11aのS極及び永久磁石11bのN極)を鋸歯形状11kで形成するようにしたので、各永久磁石11a及び11bの厚み方向(S極とN極とを繋ぐ方向)の長さが一定とならないため、各永久磁石内に擬似的定在波が発生することを防止することができる。これにより、周波数500kHz未満の低周波数領域においも被計測物100の内部を伝播した超音波を適正に受信(検出)することができる。
また、本実施形態では、永久磁石11a及び11bの他側端部に形成する鋸歯形状11kの各々の高さhを、以下の数式1を満たすように設定する。
h≧VJ/f ・・・(数式1)
ここで、VJは磁束発生部11における音速を示し、fはコイル12に流す交流電流の周波数(被計測物100の内部を伝播する超音波の周波数)を示す。また、コイル12に特定の周波数領域の交流電流を供給する場合には、fの値として、例えば、当該特定の周波数領域における最低の周波数を用いるようにする。
例えば、磁束発生部11における音速VJが2km/sであり、周波数fを200kHzとした場合には、数式1により鋸歯形状11kの各々の高さhを10mm以上とする。
このように、鋸歯形状11kの各々の高さhが数式1を満たすように設定することで、各永久磁石11a及び11bにおける厚み方向(S極とN極とを繋ぐ方向)の長さが、各永久磁石11a及び11bの内部に発生し得る超音波の波長(λ=VJ/f)以上に変位したものとなるため、当該超音波の波長に対して当該厚み方向の長さが一定とならず、擬似的定在波の発生を確実に防止することができる。
また、第1の実施形態に係る電磁超音波センサ10では、各永久磁石11a及び11bの側面を直線状で形成しているが、必ずしも直線状でなくてもよい。例えば、若干の粗度があってもよい。
なお、第1の実施形態では、永久磁石11a及び11bの他側端部(永久磁石11aのS極及び永久磁石11bのN極)を鋸歯形状11kで形成するようにしているが、本発明はこれに限定されるものでは無く、例えば、当該他側端部は鋸歯形状11kを形成せずに、被計測物100と対向する一側端部(永久磁石11aのN極及び永久磁石11bのS極)を鋸歯形状11kで形成した形態も本発明に含まれる。この際、被計測物100に対して安定した磁束102を供給するという観点について考慮すると、永久磁石11a及び11bの一側端部は鋸歯形状とせずに平面とし、永久磁石11a及び11bの他側端部を鋸歯形状11kで形成する図1に示す場合の方が、より好適である。
また、本実施形態では、永久磁石11a及び11bがNd−Fe−B系の材料で形成されている例を示しているが、導体で形成されているものであれば本実施形態に適用することが可能であり、例えば、Sm−Co系の材料で形成されているものであってもよい。
(第2の実施形態)
以下に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図3は、本発明の第2の実施形態に係る電磁超音波センサと被計測物の概略断面図である。ここで、図3では、図1に示す第1の実施形態と同様の構成については同様の符号を付しており、その詳細な説明は省略する。
第2の実施形態に係る電磁超音波センサ20は、図1に示す第1の実施形態に係る電磁超音波センサ10と比較して、被計測物(例えば、鋼板)100に対して直流の磁束202を発生させる磁束発生部21の構成が異なる。即ち、第2の実施形態では、磁束発生部21として、被計測物100と対向する一側端部がN極である永久磁石21a及び21bと、被計測物100と対向する一側端部がS極である永久磁石21c及び21dがそれぞれ設けられている。そして、この磁束発生部21から発生させた磁束202と交差する位置に、コイル22が構成されている。
ここで、磁束発生部21を構成する各永久磁石21a〜21dは、例えば、Nd−Fe−B系の導体で形成されている。また、コイル22は、図7(a)に示すコイル52と同様に、渦巻き状に形成されている。
本実施形態の各永久磁石21a〜21dは、被計測物100と対向する一側端部の反対側の他側端部(永久磁石21a及び21bのS極、永久磁石21及び21dのN極)が鋸歯形状21kで形成されている。
コイル22に交流電流が供給されると、被計測物100の表面に、コイル22に流れる交流電流と逆向きの渦電流201a及び201bが発生する。そして、被計測物100内に発生した磁束202と渦電流201a、201bにより力F2が生じ、これが横波の超音波振動となって被計測物100の内部を板厚方向に伝播する。
続いて、この被計測物100の内部を板厚方向に伝播した超音波を電磁気的な作用により、例えば、コイル22内の誘導起電力として受信する。
第2の実施形態に係る電磁超音波センサ20によれば、各永久磁石21a〜21dの他側端部(永久磁石21a及び21bのS極、永久磁石21及び21dのN極)を鋸歯形状21kで形成するようにしたので、各永久磁石21a〜21dの厚み方向(S極とN極とを繋ぐ方向)の長さが一定とならないため、各永久磁石内に擬似的定在波が発生することを防止することができる。これにより、周波数500kHz未満の低周波数領域においも被計測物100の内部を伝播した超音波を適正に受信(検出)することができる。
また、第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、各永久磁石21a〜21dの他側端部に形成する鋸歯形状21kの各々の高さhを、上述した数式1を満たすように設定する。
このように、鋸歯形状21kの各々の高さhが数式1を満たすように設定することで、各永久磁石21a〜21dにおける厚み方向(S極とN極とを繋ぐ方向)の長さが、各永久磁石21a〜21dの内部に発生し得る超音波の波長(λ=VJ/f)以上に変位したものとなるため、当該超音波の波長に対して当該厚み方向の長さが一定とならず、擬似的定在波の発生を確実に防止することができる。
また、第2の実施形態に係る電磁超音波センサ20では、各永久磁石21a〜21dの側面を直線状で形成しているが、必ずしも直線状でなくてもよい。例えば、若干の粗度があってもよい。
なお、第2の実施形態では、各永久磁石21a〜21dの他側端部(永久磁石21a及び21bのS極、永久磁石21及び21dのN極)を鋸歯形状21kで形成するようにしているが、本発明はこれに限定されるものでは無く、例えば、当該他側端部は鋸歯形状21kを形成せずに、被計測物100と対向する一側端部(永久磁石21a及び21bのN極、永久磁石21及び21dのS極)を鋸歯形状21kで形成した形態も本発明に含まれる。この際、被計測物100に対して安定した磁束202を供給するという観点について考慮すると、各永久磁石21a〜21dの一側端部は鋸歯形状とせずに平面とし、各永久磁石21a〜21dの他側端部を鋸歯形状21kで形成する図3に示す場合の方が、より好適である。
また、本実施形態では、各永久磁石21a〜21dがNd−Fe−B系の材料で形成されている例を示しているが、導体で形成されているものであれば本実施形態に適用することが可能であり、例えば、Sm−Co系の材料で形成されているものであってもよい。
(第3の実施形態)
以下に、本発明の第3の実施形態について説明する。
図4は、本発明の第3の実施形態に係る電磁超音波センサと被計測物の概略断面図である。ここで、図4では、図1に示す第1の実施形態と同様の構成については同様の符号を付しており、その詳細な説明は省略する。
第3の実施形態に係る電磁超音波センサ30は、図1に示す第1の実施形態に係る電磁超音波センサ10と比較して、被計測物(例えば、鋼板)100に対して直流の磁束302を発生させる磁束発生部31の構成が異なる。
即ち、第3の実施形態では、磁束発生部31を構成する一対の永久磁石31a及び31bにおいて、被計測物100と対向する一側端部(永久磁石31aのN極及び永久磁石31bのS極)、並びに、当該一側端部の反対側の他側端部(永久磁石31aのS極及び永久磁石31bのN極)の両端部が、それぞれ、鋸歯形状31k1及び31k2で形成されている。また、この永久磁石31a及び31bは、例えば、Nd−Fe−B系の導体で形成されている。
コイル12に交流電流が供給されると、被計測物100の表面に、コイル12に流れる交流電流と逆向きの渦電流101a及び101bが発生する。そして、被計測物100内に発生した磁束302と渦電流101a、101bにより力F3が生じ、これが横波の超音波振動となって被計測物100の内部を板厚方向に伝播する。
続いて、この被計測物100の内部を板厚方向に伝播した超音波を電磁気的な作用により、例えば、コイル12内の誘導起電力として受信する。
第3の実施形態に係る電磁超音波センサ20によれば、永久磁石31a及び31bの一側端部、並びに他側端部を、それぞれ鋸歯形状31k1及び31k2で形成するようにしたので、永久磁石31a及び31bの厚み方向(S極とN極とを繋ぐ方向)の長さが一定とならないため、各永久磁石内に擬似的定在波が発生することを防止することができる。これにより、周波数500kHz未満の低周波数領域においも被計測物100の内部を伝播した超音波を適正に受信(検出)することができる。
第3の実施形態では、各永久磁石に形成する鋸歯形状31k1及び31k2の各々の高さh1及びh2を、上述した数式1に示すhを満たすように設定する。但し、各永久磁石に鋸歯形状31k1及び31k2が同数設けられ、各鋸歯形状31k1及び31k2の組が、それぞれ、図4に示すように各永久磁石の厚み方向(S極とN極とを繋ぐ方向)に対して平行に形成されている場合には、以下の数式2を満たすように設定してもよい。
1+h2≧VJ/f ・・・(数式2)
このように、鋸歯形状31k1及び31k2の各々の高さh1及びh2が数式1(上述した但し書きの場合には、数式2)を満たすように設定することで、各永久磁石31a及び31bにおける厚み方向(S極とN極とを繋ぐ方向)の長さが、各永久磁石31a及び31bの内部に発生し得る超音波の波長(λ=VJ/f)以上に変位したものとなるため、当該超音波の波長に対して当該厚み方向の長さが一定とならず、擬似的定在波の発生を確実に防止することができる。
また、第3の実施形態に係る電磁超音波センサ30では、各永久磁石31a及び31bの側面を直線状で形成しているが、必ずしも直線状でなくてもよい。例えば、若干の粗度があってもよい。
なお、第3の実施形態では、永久磁石31a及び31bがNd−Fe−B系の材料で形成されている例を示しているが、導体で形成されているものであれば本実施形態に適用することが可能であり、例えば、Sm−Co系の材料で形成されているものであってもよい。
(第4の実施形態)
以下に、本発明の第4の実施形態について説明する。
図5は、本発明の第4の実施形態に係る電磁超音波検出システムの概略構成図である。ここで、図5では、上述した第1〜第3の実施形態と同様の構成については同様の符号を付しており、その詳細な説明は省略する。
図5に示す電磁超音波検出システムは、第1の実施形態に係る電磁超音波センサ10と、発信・受信装置41と、信号処理装置42と、制御装置43を有して構成されている。
電磁超音波センサ10の磁束発生部11は、導体からなる被計測物(例えば、鋼板)100に対して直流の磁束を発生させる。電磁超音波センサ10のコイル12は、磁束発生部11から発生させた磁束と交差する位置に配置され、発信・受信装置41により通電される。
発信・受信装置41は、制御装置43による制御に応じて、コイル12に対して、特定の周波数領域における各周波数の交流電流を順次発信する。また、発信・受信装置41は、制御装置43による制御に応じて、発信した交流電流の各周波数毎に、被計測物100の内部を板厚方向に伝播した超音波を、例えば、コイル12内に発生した誘導起電力として受信(検出)する。
信号処理装置42は、制御装置43による制御に応じて、発信・受信装置41で受信した、各周波数毎の超音波に基づく誘導起電力の信号値を処理する。具体的に、本実施形態の信号処理装置42は、各周波数毎の超音波に基づく誘導起電力の信号値における波形に基づいて、各周波数毎に、当該波形のエネルギー値を算出する処理を行う。各周波数毎に、被計測物100の内部を板厚方向に伝播した超音波に基づくエネルギー値を算出することにより、当該超音波の共振周波数を検出することができる。
図6は、図5に示す信号処理装置42で処理された各周波数毎の超音波波形のエネルギー値を示す特性図である。ここで、図6には、発信・受信装置41からコイル12に対して周波数200kHz〜250kHzの各周波数の交流電流を順次発信し、信号処理装置42において、各周波数毎に、被計測物100の内部を板厚方向に伝播した超音波に基づくエネルギー値を算出した場合の特性を示している。
また、図6に示す特性の各ピーク値は、共振周波数を示している。また、図6には、「従来」として図7に示す従来の電磁超音波センサ50における特性を示し、「本発明」として図1に示す電磁超音波センサ10における特性を示している。
図6に示すように、図7に示す従来の電磁超音波センサ50では、各共振周波数におけるエネルギー値と、共振周波数以外の各周波数のおけるエネルギー値との差が小さく、各共振周波数を識別することが困難となっている。これは、上述したように、発信する交流電流の周波数が500kHz未満の低周波数領域となると、磁束発生部51を構成する永久磁石51a及び51bの内部に擬似的定在波が生じるためであると考えられる。
一方、図1に示す本発明の電磁超音波センサ10では、各共振周波数におけるエネルギー値と、共振周波数以外の各周波数のおけるエネルギー値との差が大きく、各共振周波数を識別することが可能である。これは、上述したように、磁束発生部11を構成する永久磁石11a及び11bの他側端部を鋸歯形状11kで形成していることから、各永久磁石11a及び11bの厚み方向(S極とN極とを繋ぐ方向)の長さが一定とならないため、その内部に擬似的定在波が生じないためであると考えられる。
ここで、各共振周波数の周波数間隔Δf(Hz)について検証を行った。
この各共振周波数の周波数間隔Δfは、以下の数式3のように示すことができる。
Δf=fn+1−fn=Vk/(2d) ・・・(数式3)
ここで、fnはn番目の共振周波数を示し、Vkは被計測物100における音速を示し、dは被計測物100の板厚を示す。
図6に示す特性に用いた被計測物100としては、音速Vkが3.2km/s、板厚dが0.25m(250mm)のものを使用した。
この場合、共振周波数の周波数間隔Δfは、数式3により、
Δf=3.2/(2*0.25)=6.4kHz(0.0064MHz)
となり、図6に示す本発明の電磁超音波センサ10の各共振周波数の周波数間隔よく一致していることがわかる。
なお、本実施形態の電磁超音波検出システムでは、電磁超音波センサとして、第1の実施形態に係る電磁超音波センサ10を用いる形態を示したが、例えば、第2の実施形態に係る電磁超音波センサ20、あるいは、第3の実施形態に係る電磁超音波センサ30を用いるようにした形態であってもよい。
本発明の電磁超音波センサ及び電磁超音波検出システムは、例えば、導体からなる被計測物(例えば、鋼板)に対して、周波数100kHz程度の低周波数領域における超音波を発生させて、被計測物の厚みの計測や結晶粒径の計測、あるいはその欠陥検出等に用いることが好適である。特に、被計測物の内部から周波数500kHz未満の低周波数領域における超音波を適正に受信できることから、厚い被計測物の厚み計測や結晶粒径が大きい被計測物の結晶粒径計測等を非接触で正確に行うことが可能である。
一例として、図6に示す超音波の受信波形におけるエネルギー値の(送信波形のエネルギー値に対する)減衰率を利用した、被計測物の結晶粒径の計測方法について簡単に説明する。超音波の受信波形におけるエネルギー値の減衰率αは、以下の数式4のように示すことができる(理論及び実験)。
α(f,D)=CDn-1n ・・・(数式4)
ここで、fは被計測物を伝播する超音波の周波数を示し、Dは被計測物における(平均)結晶粒径を示す。また、Cは定数を示し、nは超音波の波長と結晶粒径Dとの大小関係で変わる定数を示す。
数式4に示すように、結晶粒径Dの値が大きくなると、超音波の受信波形におけるエネルギー値の減衰率αも大きくなるため、各定数を決定することにより、超音波の受信波形におけるエネルギー値の減衰率αから、被計測物の(平均)結晶粒径を計測することが可能となる。
本発明の第1の実施形態に係る電磁超音波センサと被計測物の概略断面図である。 本発明の第1の実施形態に係る電磁超音波センサと被計測物の外観写真である。 本発明の第2の実施形態に係る電磁超音波センサと被計測物の概略断面図である。 本発明の第3の実施形態に係る電磁超音波センサと被計測物の概略断面図である。 本発明の第4の実施形態に係る電磁超音波検出システムの概略構成図である。 図5に示す信号処理装置で処理された各周波数毎の超音波波形のエネルギー値を示す特性図である。 従来の電磁超音波センサの概略構成及び動作の概略を示す図である。
符号の説明
10 電磁超音波センサ
11 磁束発生部
11a、11b 永久磁石
11k 鋸歯形状
12 コイル
100 被計測物
101a、101b 渦電流
102 磁束

Claims (3)

  1. 導体からなる被計測物に対して直流磁束を発生させる磁束発生手段と、
    前記磁束発生手段から発生させた直流磁束と交差する位置に配置され、通電されるコイルとを有し、
    前記磁束発生手段は、導体からなる一体構造の永久磁石で形成されており、且つ、前記被計測物と対向する一側端部及び当該一側端部の反対側の他側端部のうち、少なくともいずれか一方の端部が鋸歯形状に形成されていることを特徴とする電磁超音波センサ。
  2. 前記鋸歯形状の各々の高さは、前記磁束発生手段における音速をVとし、前記コイルに流れる交流電流の周波数をfとすると、V/f以上であることを特徴とする請求項1に記載の電磁超音波センサ。
  3. 請求項1又は2に記載の電磁超音波センサと、
    前記コイルに対して、特定の周波数領域における各周波数の交流電流を順次発信する発信装置と、
    前記発信装置から発信させた交流電流の各周波数毎に、前記被計測物の内部を伝播した超音波を受信する受信装置と、
    前記受信装置で受信した前記各周波数毎の超音波における波形に基づいて、前記各周波数毎に、当該波形のエネルギー値を算出する処理を行う処理装置と
    を有することを特徴とする電磁超音波検出システム。
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