JP3673392B2 - 電磁超音波探傷装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばボイラ、燃焼炉、焼却炉、独立過熱器、独立節炭器、各種熱交換器、タンク、各種プラント、鉄道のレール、橋梁などの被検材に対して非破壊で探傷することのできる電磁超音波探傷装置に係り、特に灰や酸化スケールが被検材の表面に被膜を形成していたり、塗装が施工されている場合においても、センサを1〜2mm程度浮かせた状態で傾斜探傷を行うことのできる電磁超音波探傷装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図27ならびに図28は従来提案された電磁超音波探傷装置を説明するための図で、図27は電磁超音波探傷装置のシステム構成図、図28はその電磁超音波探傷装置に用いられる電磁超音波探触子(Electro Magnetic Acoustic Transducer、以下EMATと略記する)の一部を断面にした斜視図である。(鉄道におけるサイバネティクス利用国内シンポジウム論文集 VOL.31st PAGE.337−340 1994参照)
電磁超音波探傷装置は図27に示すように主に超音波送信器101、EMAT102、超音波受信器103、シグナルアベレージャ104、コントローラ105、オシロスコープ106から構成されている。同図に示すようにEMAT102は例えば鉄道レールなどの被検材107に載置して、欠陥108を検出する仕組みになっている。
【0003】
EMAT102は図28に示すように、永久磁石110、発信コイル111、受信コイル112、ケース113、基板114、リード線115、送信用コネクタ116、受信用コネクタ117などから構成されている。発信コイル111と受信コイル112は例えば銅などのコ字形の連続した帯状導体からなり、同一の基板114上に発信コイル111と受信コイル112とが1枚ずつ重ねて配置されている。
【0004】
このような配置の従来技術においては、図27に示すようにEMAT102を被検材107に設置する場合には、図28に示すようにEMAT102の発信コイル111と受信コイル112とが配置された基板114側を被検材107に対向する底面とする。前記永久磁石110により被検材107内に静磁界が発生し、前記発信コイル111に所定のパルス電流を流すと磁界に変化を生じ、その変化を抑えようとする方向、すなわち発信コイル111に流すパルス電流とは逆向きの渦電流が被検材107に発生する。
【0005】
この渦電流と前記静磁界との相互作用で発生するローレンツ力により、渦電流の中心部を中心にして放射状に歪みが生じ、この歪みが横波の超音波として被検材107中を伝播し、被検材107の底面や欠陥108の所で反射して被検材107の表面に戻る。この表面に到達する反射超音波は、前述の超音波の発生とは逆の過程により受信コイル112で検出される仕組みになっている。
【0006】
このような電磁超音波探傷装置では、被検材に損傷を与えることがなく、発熱も生じさせず、比較的操作が簡単に行えるなどの特長が有る。
【0007】
図29は、図27および図28に示す従来の電磁超音波探傷装置を用いた場合の、ノッチ(欠陥)深さ(h)と電磁超音波探傷装置のエコーレベル(電圧)との関係をテストによって求めた結果を示す特性図である。図29において、試験片は25mm厚の炭素鋼で作成し、試験片の厚さに対して一方を上面、他方を底面とすると、底面側にはノッチ(欠陥)を予め形成しておき、EMAT102を上面側に隙間(リフトオフまたはギャップ)を0mmで配置して、前記ノッチ深さ(h)を変化させたときの、それぞれの超音波エコーの受信によるエコーレベル(電圧)の相対値の変化を示している。図29においては、ノッチ深さ(h)が10mmのときのエコーレベルを0としている。
【0008】
図29によれば、ノッチ深さ(h)が小さくなるとエコーレベルは低下し、ノッチ深さ(h)が1mm以下ではエコーレベルは−10dB以下に急激に低下することがわかる。これにより、エコーレベル−10dBをEMAT102を上面側に隙間(リフトオフまたはギャップ)を0mmで配置した場合のノッチ深さ(h)が1mmのときの電磁超音波探傷装置の限界値とみなすことができる。
【0009】
次に、図30は図29と同じ試験片を用いて、試験片とEMATとの隙間(リフトオフまたはギャップ)とエコーレベルとの関係をテストにより求めた結果を示す特性図である。図30においては、図29によりEMAT102を上面側に隙間(リフトオフまたはギャップ)を0mmで配置した場合には、ノッチ深さ(h)が1mmのときのエコーレベル−10dBが限界値とみなすことができるので、試験片のノッチ深さ(h)を1mmに固定した。図30においては、ギャップ0mmのときのエコーレベルを0としている。
【0010】
図30によれば、試験片の上面とEMAT102とのギャツプが大きくなるとそれに比例してエコーレベルの相対値が小さくなることがわかる。またギャツプが0.25mmのときにエコーレベルが−10dBとなり、従って、ギャツプ0.25mmが試験片の厚さが25mmのときの従来の電磁超音波探傷装置の測定限界であることが分かる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
例えば、ボイラの耐圧部は400〜600℃の高温に曝されており、その耐圧部の外面には酸化スケール(例えばFe3 O4 など)が厚さ0.5mmから1.0mm程度付着する。そのため図27,図28に示す従来の電磁超音波探傷装置では厚さ0.5mmから1.0mmのスケールの上から確実に探傷できず、そのためにこの電磁超音波探傷装置を用いるためには検査前に酸化スケールを除去する作業が必要となり、作業効率が悪くコストの増大を招いていた。従って前記電磁超音波探傷装置が事前の研磨作業を要しないで使用できる範囲は、被検材の表面に酸化スケールなどがほとんど付着しない例えば圧力容器や鉄道のレールなどに限定されるという問題がある。
【0012】
本発明の目的は、このような従来技術の欠点を解消し、被検材の表面に酸化スケールなどが付着しても欠陥の検出が可能で、適用範囲が広く確実に探傷が可能な電磁超音波探傷装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明は、被検材に静磁界を発生させるための静磁界発生用磁石と、パルス電流を流すことにより被検材内に渦電流を発生させるための発信コイルと、前記静磁界発生用磁石と前記発信コイルにより被検材内に発生した静磁界と渦電流との作用によりローレンツ力を誘起させ、被検材の表面を加振することで斜角の超音波を発生させ、その超音波の探傷部に対する反射エコーを検出する受信コイルとを備えた電磁超音波探傷装置において、
前記発信コイルの外側を取り囲むように外輪コイルを設け、該外輪コイルには該外輪コイルに隣接する発信コイルを流れる電流とは逆向きの電流を流すように構成したことを特徴とするものである。
【0014】
本発明は前述したように、被検材に静磁界を発生させるための静磁界発生用磁石と、パルス電流を流すことにより被検材内に渦電流を発生させるための発信コイルと、前記静磁界発生用磁石と前記発信コイルにより被検材内に発生した静磁界と渦電流との作用によりローレンツ力を誘起させ、被検材の表面を加振することで斜角の超音波を発生させ、その超音波の探傷部に対する反射エコーを検出する受信コイルとを備えた電磁超音波探傷装置において、
前記発信コイルの外側を取り囲むように外輪コイルを設け、該外輪コイルには該外輪コイルに隣接する発信コイルを流れる電流とは逆向きの電流を流すように構成したことにより、コイルの巻き部毎に、被検材の表面に1対の方向が逆でほぼ均等の大きさの強い渦電流を発生させることができる。そのためSV波が有効に発生し、これにより発信コイルと被検材との間のリフトオフ距離を従来より大きく設定しても探傷が確実に行うことができる。
【0015】
前記のように、リフトオフ距離を大きくすることができるので、例えば、ボイラ耐圧部の伝熱管外表面に付着している酸化スケールなどの上から直接探傷することができ、従来技術では不可欠であった酸化スケール除去などの研磨作業や接触媒質の塗付などの付随作業を不要となり、精度よく短時間で探傷作業を行うことができ。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を図とともに説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係る電磁超音波探傷装置の概略構成図、図2はその電磁超音波探傷装置の被検材中での電磁超音波の発振状態を説明する模式図である。
【0017】
図1および図2に示すように、電磁超音波探傷装置は、被検材10の内部に静磁界7を発生するための例えば焼結された希土類磁石などからなる永久磁石1と、被検材10の表面に渦電流5を発生するための発信コイル2と、被検材10の内部の欠陥から反射した超音波エコーなどを検出する受信コイル3と、発信コイル2を取り囲むようにその外側に設けられた外輪コイル4から主に構成されている。
【0018】
このような構成において探傷するには、まず前記永久磁石1により被検材10内に直流の静磁界7が供給される。次に前記永久磁石1と被検材10との間に配置された発信コイル2に所定のパルス電流を流すと前記静磁界7に変化が生じ、その変化を抑えようとする方向、すなわち発信コイル2に流すパルス電流とは逆向きの渦電流5が被検材10に発生する。
【0019】
図2において、被検材10の永久磁石1側の表面には、3箇所の巻き部(パンケーキと称する)からなる発信コイル2を流れる電流に対して、被検材10の表面のそれぞれに対応する位置には、逆向きの渦電流5が生じている。
【0020】
前記渦電流5と前記静磁界7との相互作用で発生するローレンツ力により、渦電流の中心部を中心にして放射状に歪みが生じ、この歪みが角度をもった横波の超音波(SV波)8として被検材10中を伝播し、被検材10内の欠陥などで反射して被検材10の表面に戻る。この表面に到達する反射超音波は、前述の超音波の発生とは逆の過程により受信コイル3で検出される。
【0021】
前記発信コイル2の巻き部のコイルピッチ(P)は、発信コイル2と被検材10との間のリフトオフ距離(L)に対して2.5倍以上、好ましくは2.5倍から4.5倍の大きさに設定される。
【0022】
図31に発信コイル2の巻き部のコイルピッチ(P)とコイル巻き線幅(W)に対する渦電流密度特性を示す。図31は、被検材表面と発信コイルとのリフトオフ距離を2mmに固定して、コイルピッチ(P)を変化させた時の渦電流密度の変化を求めたものである。ここでは、コイル巻き線幅(W)は1.0mmと1.5mmのものとを使用している。
【0023】
図31に示すように、リフトオフ距離に対してコイルピッチ(P)が小さい場合には、渦電流は小さく、リフトオフ距離に対してコイルピッチ(P)を2.5倍、すなわち5mm以上にすると、充分に大きな渦電流(8×107 A/m2 )が生じることがわかる。また、図31には記載されていないが、リフトオフ距離に対してコイルピッチ(P)を4.5倍以上にすると、すなわち、図31の曲線を横軸方向に外挿した場合には、曲線は横に寝た形になり、渦電流を高める効果がなくなるとともに、波長が長くなることから検出精度の低下が生じ、検出限度欠陥高さが大きくなることを求め、最適なリフトオフ距離に対するコイルピッチ(P)を求めるに至ったものである。
【0024】
次に、図3ないし図5は、リフトオフ距離(L)2mm、発信コイル2の巻き部のコイルピッチ(P)を5mmとした場合に、外輪コイル4を設置しない場合の被検材10の表面に発生する渦電流のシミュレーション結果を説明するための図で、図3は発信コイル2と測定点を示す説明図、図4、図5は被検材表面での渦電流の強さを示す図である。
【0025】
図6ないし図9は、図3ないし図5の場合に対して、外輪コイル4を設置した場合の被検材10の表面に発生する渦電流のシミュレーション結果を説明するための図である。図6は発信コイル2と外輪コイル4の平面図、図7は測定点を示す説明図、図8、図9は被検材表面での渦電流の強さを示す図である。
【0026】
3箇所の巻き部からなる発信コイル2に対して、外輪コイル4を設けない場合には図4に示すように、最も外側のコイルにおいて内側のコイルにおけるよりもはるかに大きな渦電流が発生している。このため、図4の最も左側および最も右側に位置するコイルに対応して発生する渦電流と、それらの隣のコイルに対応して発生する渦電流との強さのレベルに大きなアンバランスが生じ、発信コイル2の外側部分では、ローレンツ力による加振が生じないで、被検材10表面からのSV波が発生しないことになり、全体としての測定限界が低下する。
【0027】
これに対して外輪コイル4を設置した場合には、図8に示すように、発信コイル2の全体にわたってほぼ均等のレベルの充分な大きさの渦電流を発生することができるので、ローレンツ力による加振が隣接する電流方向が逆向きの渦電流間でもれなく生じ、被検材10表面からのSV波が有効に発生し、全体としての測定限界を向上させることができる。
【0028】
また、被検材10上に安定した渦電流5を発生させるためには、従来のコ字形の帯状導電体からなる発信コイルおよび受信コイルではなく、図10に示すように巻き部が複数個連続したコイル形状にして、コイルの全巻数を10ターン以上(図10においては全18ターン)にして、コイル配線によるインダクタンス変化の影響をコイルのパルス電流へ及ぼさないようにすることができる。
【0029】
また、図11、図12に示すように発信コイル2と受信コイル3の相対的な配置は、発信コイルセンターラインと受信コイルセンターラインをオフセットして(ずらして)取付けて、一方向の超音波反射エコーを検出し易くすることができる。
【0030】
また前記のように配置することで、受信コイル3よりも被検材10側にある発信コイル2から受信コイル3へ直接届く受信波が、被検材10からの超音波反射エコーと相互に受信コイル3に対して打ち消し合い、その結果としてノイズ成分の低い検出が可能となる。図12において符号6は被検材10内の欠陥、矢印Xは被検材10内での発生超音波の発信方向、矢印Yは欠陥がある場合の超音波の反射方向、矢印Zは欠陥がない場合の超音波の反射方向である。
【0031】
次に、図13、図14は、発信コイル2における巻き部(パンケーキ)の数と被検材10内での発生超音波の指向性または音圧との関係を示す図である。図13に示すように、発信される超音波の指向性はコイルパンケーキ数が1のときが最も高く、4までは低下し、4を越えると変化が少ない。また図14に示すように、発信される超音波の音圧、すなわち感度は、コイルパンケーキ数が1から3までは増加し、3以上ではほとんど変化しない。これらの図から指向性と音圧とを同時に高めることはできないことがわかる。また、操作性、経済性を考慮してできるだけコンパクトにする必要が有った。発明者等は試験により、指向性を実作業上問題のない範囲で音圧を高め、しかもコンパクトな装置となる最適範囲としてコイルパンケーキ数が1から3のものが最も好ましいことを見出した。
【0032】
次に、永久磁石1は焼結タイプの希土類磁石を使用するが、該希土類磁石は金属のように電導性が良いため、発信コイル2に通電するとそれと対向して配置される永久磁石1の底面に渦電流が発生し、永久磁石1内でも超音波が発生する。そのため本発明の第2の実施の形態では、図16,図17(図16の側面図)に示すように発信コイル2と被検材10との間のリフトオフ距離(L)に対して、受信コイル3と永久磁石1との間のスペース(S)を大きくすることにより、受信コイル3から永久磁石1側への影響を少なくすることができ、永久磁石1内での超音波の発生が抑制できる。
【0033】
次に、図15ないし図17に示すように、永久磁石1の少なくとも被検材10と対向する面の一部を凹形状(例えば径16mmの円弧状の凹部)にすることにより、永久磁石1内に発生した超音波が分散でき、妨害エコーの強度を低下することができる。
【0034】
次に、図18は本発明の第3の実施の形態を示す図で、永久磁石1内で発生する妨害エコーを低減する手段として、永久磁石1と発信コイル2の間に例えばパーマロイ、センダスト、アモルファスなどの強磁性箔12を配置することで、永久磁石1内に発生する渦電流は、発信コイル2から強磁性箔12内に発生した渦電流により、強磁性箔12と永久磁石1の間の相互誘導により発生したものであり、直接的に発信コイル2から永久磁石1に発生したものではないので、永久磁石1内での渦電流の強度を低下させることができる。強磁性箔12は複数枚を使用することで効果が向上する。
【0035】
次に、図19は本発明の第4の実施の形態を示す図で、前記強磁性箔12の代わりにFe3 O4 やバリウムフエライトなどの磁性粉末を混入するかあるいは表面に塗付した磁気シート13を配置したものである。妨害エコーの低減の機構は図18と同様である。
【0036】
次に、図20は本発明の第5の実施の形態を示す図で、前記強磁性箔12の代わりに発信コイル2に短絡した短絡発信コイル14−1と、受信コイル3に短絡した短絡受信コイル14−2を配置したものである。図20において、前記短絡発信コイル14−1と短絡受信コイル14−2とは、それぞれ前記発信コイル2、受信コイル3と同じパターン形状にしておくことで、相互に打ち消し合う効果が生じ、永久磁石1における妨害エコーの強度を低下することができる。
【0037】
次に、図21は本発明の第6の実施の形態を示す図で、静磁界形成用の永久磁石1の両側の側面に、前記永久磁石1の磁束密度(M.F.−0)よりも大きい磁束密度(M.F.−1)を有する磁石を強制磁石15として、永久磁石1と同じ磁極の方向に配置している。図22は強制磁石15を使用しない場合、図23は図21に示す強制磁石15を使用した場合の、被検材10中におけるローレンツ力16ならびに静磁界17の方向を模式的に示す図である。
【0038】
図21に示すように静磁界形成用の永久磁石1の両側に強制磁石15を配置することにより、図23に示すように静磁界の方向17を発信コイル2,受信コイル3側に向けることで、ローレンツ力16の方向が水平となり、結果的には強いSV波を発生することができる。
【0039】
次に、図24は本発明の第7の実施の形態を示す図で、静磁界形成用永久磁石1の両側に強制磁石15を配置し、さらにその両側に補助磁石18を設けた例を示している。このように補助磁石18を配置することにより、漏洩磁束を抑制し、強力な静磁界を発生して、検出感度を高めることができる。この実施の形態において、強制磁石15を省略することもできる。
【0040】
次に、図25は本発明の第8の実施の形態を示す図で、永久磁石1の両側面に鋼層19(例えば、インピーダンスZ=45.3×10-6kg/m2 s)を介して強制磁石15を介在したものである。さらに、永久磁石1、鋼層19および強制磁石15で形成される表面、すなわち発信コイル2または受信コイル3に面する側とは反対側の面には、鋼製(例えば、インピーダンスZ=45.3×10-6kg/m2 s)の連続した山形のダンパ層20を設けるとともに、強制磁石15の両外側の側面にはアルミニウム製(例えば、インピーダンスZ=17.1×10-6kg/m2 s)の連続した山形のダンパ層21を設けている。
【0041】
また、図26は、永久磁石1の両側面に鋼層19および空気層22からなる(例えば、インピーダンスZ=45.3×10-6kg/m2 sおよびZ=0.0004×10-6kg/m2 s)ダンパ層を介して強制磁石15を介在したものである。さらに強制磁石15の両側の側面には銅層23(例えば、インピーダンスZ=39.1×10-6kg/m2 s)、鉛層24(例えば、インピーダンスZ=25.5×10-6kg/m2 s)、アルミニウム製(例えば、インピーダンスZ=17.1×10-6kg/m2 s)の連続した山形のダンパ層21を設けるとともに、さらに永久磁石1,鋼層19,強制磁石15,銅層23および鉛層24で形成される表面、すなわち発信コイル2または受信コイル3に面する側とは反対側の面(上面側)には、鋼製(例えば、インピーダンスZ=45.3×10-6kg/m2 s)の連続した山形のダンパ層20を設けている。
【0042】
図25または図26に設けた前記ダンパ層19ないし24は、永久磁石1内で発生した超音波の不要なものを減衰させたり、位相を逆転させたりして、不要な超音波の音圧を下げ、騒音を低下させることができる。
【0043】
【発明の効果】
本発明は前述したように、被検材に静磁界を発生させるための静磁界発生用磁石と、パルス電流を流すことにより被検材内に渦電流を発生させるための発信コイルと、前記静磁界発生用磁石と前記発信コイルにより被検材内に発生した静磁界と渦電流との作用によりローレンツ力を誘起させ、被検材の表面を加振することで斜角の超音波を発生させ、その超音波の探傷部に対する反射エコーを検出する受信コイルとを備えた電磁超音波探傷装置において、
前記発信コイルの外側を取り囲むように外輪コイルを設け、該外輪コイルには該外輪コイルに隣接する発信コイルを流れる電流とは逆向きの電流を流すように構成したことにより、コイルの巻き部毎に、被検材の表面に1対の方向が逆でほぼ均等の大きさの強い渦電流を発生させることができる。そのためSV波が有効に発生し、これにより発信コイルと被検材との間のリフトオフ距離を従来より大きく設定しても探傷が確実に行うことができる。
【0044】
前記のように、リフトオフ距離を大きくすることができるので、例えば、ボイラ耐圧部の伝熱管外表面に付着している酸化スケールなどの上から直接探傷することができ、従来技術では不可欠であった酸化スケール除去などの研磨作業や接触媒質の塗付などの付随作業を不要となり、精度よく短時間で探傷作業を行うことができ。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る電磁超音波探傷装置の概略構成図である。
【図2】その電磁超音波探傷装置の被検材中での電磁超音波の発振状態を説明する模式図である。
【図3】外輪コイルを用いない場合の発信コイルと測定点を示す説明図である。
【図4】外輪コイルを用いない場合の被検材表面での渦電流の強さを示す図である。
【図5】外輪コイルを用いない場合の被検材表面での渦電流の強さを示す図である。
【図6】発信コイルと外輪コイルの平面図である。
【図7】外輪コイルを用いた場合の発信コイルと測定点を示す説明図である。
【図8】外輪コイルを用いた場合の被検材表面での渦電流の強さを示す図である。
【図9】外輪コイルを用いた場合の被検材表面での渦電流の強さを示す図である。
【図10】発信コイルの平面図である。
【図11】発信コイルと受信コイルの位置関係を示す説明図である。
【図12】被検材内での超音波の発信方向を示す図である。
【図13】発信コイルのパンケーキ数と被検材内での発生超音波の指向性との関係を示す図である。
【図14】発信コイルのパンケーキ数と被検材内での発生超音波の音圧との関係を示す図である。
【図15】本発明の第2の実施の形態に係る静磁界発生用永久磁石の平面図である。
【図16】その静磁界発生用永久磁石を用いた場合の発信,受信コイル−被検材間のリフトオフLと発信,受信コイル−永久磁石間のスペースSとの関係を示す正面図である。
【図17】その静磁界発生用永久磁石を用いた場合の発信,受信コイル−被検材間のリフトオフLと発信,受信コイル−永久磁石間のスペースSとの関係を示す側面図である。
【図18】本発明の第3の実施の形態に係る電磁超音波探傷装置を示す説明図である。
【図19】本発明の第4の実施の形態に係る電磁超音波探傷装置を示す説明図である。
【図20】本発明の第5の実施の形態に係る電磁超音波探傷装置を示す説明図である。
【図21】本発明の第6の実施の形態に係る電磁超音波探傷装置を示す説明図である。
【図22】強制磁石を用いない場合の被検材内でのローレンツ方向と静磁界方向を示す説明図である。
【図23】強制磁石を用いた場合の被検材内でのローレンツ方向と静磁界方向を示す説明図である。
【図24】本発明の第7の実施の形態に係る電磁超音波探傷装置を示す説明図である。
【図25】本発明の第8の実施の形態に係る電磁超音波探傷装置を示す説明図である。
【図26】本発明の第9の実施の形態に係る電磁超音波探傷装置を示す説明図である。
【図27】従来提案された電磁超音波探傷装置のシステム構成図である。
【図28】その電磁超音波探傷装置に用いるEMATの一部を断面にした斜視図である。
【図29】その電磁超音波探傷装置のノッチの深さとエコーレベルの相対値との関係を示す特性図である。
【図30】その電磁超音波探傷装置のギャツプとエコーレベルの相対値との関係を示す特性図である。
【図31】発信コイルの巻き部のコイルピットとコイル巻き線幅に対する渦電流密度特性を示す図である。
【符号の説明】
1 静磁界形成用永久磁石
2 発信コイル
3 受信コイル
4 外輪コイル
5 渦電流
7 静磁界
8 SV波
10 被検材
12 金属箔
13 磁気シート
14 短絡発信・受信コイル
15 強制磁石
18 補助磁石
19 鋼層
20,21 ダンパ層
22 空気層
23 銅層
L リフトオフ
P コイルピッチ
S スペース
Claims (12)
- 被検材に静磁界を発生させるための静磁界発生用磁石と、パルス電流を流すことにより被検材内に渦電流を発生させるための発信コイルと、
前記静磁界発生用磁石と前記発信コイルにより被検材内に発生した静磁界と渦電流との作用によりローレンツ力を誘起させ、被検材の表面を加振することで斜角の超音波を発生させ、その超音波の探傷部に対する反射エコーを検出する受信コイルとを備えた電磁超音波探傷装置において、
前記発信コイルの外側を取り囲むように外輪コイルを設け、該外輪コイルには該外輪コイルに隣接する発信コイルを流れる電流とは逆向きの電流を流すように構成したことを特徴とする電磁超音波探傷装置。 - 請求項1に記載した電磁超音波探傷装置において、前記発信コイルは、該発信コイルの巻き部におけるコイルピッチを、発信コイルと被検材との間のリフトオフ距離の2.5倍以上で形成したことを特徴とする電磁超音波探傷装置。
- 請求項1に記載した電磁超音波探傷装置において、前記発信コイルは、該発信コイルの巻き数を全部で10ターン以上で形成したことを特徴とする電磁超音波探傷装置。
- 請求項1に記載した電磁超音波探傷装置において、前記発信コイルのセンターラインと受信コイルのセンターラインを相互にずらして構成したことを特徴とする電磁超音波探傷装置。
- 請求項1に記載した電磁超音波探傷装置において、前記静磁界発生用磁石と発信コイルとの間隔を、前記被検材と発信コイルとの間のリフトオフ距離以上として構成したことを特徴とする電磁超音波探傷装置。
- 請求項1に記載した電磁超音波探傷装置において、前記静磁界発生用磁石は焼結した希土類磁石としたことを特徴とする電磁超音波探傷装置。
- 請求項1に記載した電磁超音波探傷装置において、前記静磁界発生用磁石の受信コイルと対向する面に、凹部を設けたことを特徴とする電磁超音波探傷装置。
- 請求項1に記載した電磁超音波探傷装置において、前記静磁界発生用磁石と発信コイルの間に強磁性箔を介在して設けたことを特徴とする電磁超音波探傷装置。
- 請求項1に記載した電磁超音波探傷装置において、前記静磁界発生用磁石と発信コイルの間に磁性粉末を含有したシートを介在して設けたことを特徴とする電磁超音波探傷装置。
- 請求項1に記載した電磁超音波探傷装置において、前記静磁界発生用磁石と発信コイルの間に、発信コイルと受信コイルとを短絡した短絡発信コイルと短絡受信コイルを介在して設けたことを特徴とする電磁超音波探傷装置。
- 請求項1に記載した電磁超音波探傷装置において、前記静磁界発生用磁石の両側の側面に、前記静磁界発生用磁石よりも磁束密度が高い磁石を、前記静磁界発生用磁石の磁極と同じ向きに設けたことを特徴とする電磁超音波探傷装置。
- 請求項1に記載した電磁超音波探傷装置において、前記静磁界発生用磁石の周囲に、補助磁石を該磁石の磁極の向きが前記静磁界発生用磁石に向かうように設けたことを特徴とする電磁超音波探傷装置。
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