JP2006009454A - 外断熱工法 - Google Patents
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Abstract
【課題】断熱材の目地を継ぐジョイント処理に係る工期を短縮し、作業者の負担を軽減し、簡便な構成にて建築用部材を実現することを課題とする。
【解決手段】パネル状の断熱材6と断熱材6の表面に貼着されたメッシュ材7とを有し、メッシュ材7は、断熱材6の表面積よりも大きく、断熱材の縁部から延出された延出部8を備える。隣接する建築用部材3の延出部8同士を重ね合わせ、この重ね合わされたメッシュ材7をどちらか一方の建築用部材3の表面に折り畳み、表面に樹脂及びセメントの混合物を塗布することで、継ぎ足し用のメッシュ材を使わずに隣接する断熱材6同士を接合させる。
【選択図】 図3
【解決手段】パネル状の断熱材6と断熱材6の表面に貼着されたメッシュ材7とを有し、メッシュ材7は、断熱材6の表面積よりも大きく、断熱材の縁部から延出された延出部8を備える。隣接する建築用部材3の延出部8同士を重ね合わせ、この重ね合わされたメッシュ材7をどちらか一方の建築用部材3の表面に折り畳み、表面に樹脂及びセメントの混合物を塗布することで、継ぎ足し用のメッシュ材を使わずに隣接する断熱材6同士を接合させる。
【選択図】 図3
Description
本発明は、住宅やビルディングなどの建築物の外装に使用される建築用部材に関するものである。
住宅やビルディングなどの建築物の断熱方法として、内断熱と外断熱の2種類の方法が一般的に知られている。日本では、古くより内断熱が広く採用されてきたが、内断熱とは、グラスウール等の断熱材を柱と柱の間に設ける方法であり、この方法においては、気密性が低いため、壁内結露を引き起こし、これがカビやシロアリなどの発生原因となっている。また、近年の環境保護、省エネルギー化への関心の高まりに伴い、室内の熱を外に逃がさないようにして暖房器具によるエネルギーの消費量を低減し、高いレベルでの断熱、気密性能が求められるようになっている。そこで、内断熱の方法だけではなく、住宅の躯体の外側を断熱材によってすっぽりと覆う外断熱の方法も用いられる。
従来の外断熱にて用いられる建築用部材を図7、図8に示す。建築用部材100は、断熱材101、壁面の表面を塗装する際の下地層であるセメント層102、及び外壁の補強材であるメッシュ材103で構成される。まず、工場にて、断熱材101の表面にセメント層102などを接着層にしてメッシュ材103が貼着される。セメント層102は、メッシュ材103の網目に細かく入り込み、乾燥した後は、メッシュ材102はセメント層102に埋没する。外断熱は、こうして形成された建築用部材100が、施工現場において、住宅やビルディングなどの建築物の外側にマトリクス状に隙間無く敷き詰められることで実現される。そして、セメント層102の表面に、塗料が塗装されることで外壁が完成する。
以上の従来技術は、当業者において当然として行われているものであり、出願人は、この従来技術が記載された文献を知見していない。
ところで、上記の建築用部材100を用いて外断熱を行う場合には、隣接する建築用部材100の継ぎ目に、ジョイント処理と呼ばれる処理工程が必要となっていた。すなわち、隣接する建築用部材100の継ぎ目に段差や隙間が生じることにより、表面の塗装がひび割れたり剥落する恐れがあるため、セメント層102の表面を塗装する作業の前に、建築用部材100の継ぎ目に、継ぎ足し用メッシュ材104を継ぎ足し、この継ぎ足し部105にセメント層102を上塗りする処理(ジョイント処理)が必要となっていた。従って、工場にて断熱材101の表面にセメント層102を塗布する作業に加えて、施工現場でもジョイント処理のためにセメント層102を塗布する作業が行われ、全体としての作業効率を著しく下げる結果を招いていた。
また、継ぎ足し用のメッシュ材104を片手で保持し、もう一方の手でセメント層102を均一かつ平滑に塗布するためには作業者の熟練度が必要とされ、これも作業効率を下げる一因となっていた。さらに、建築用部材100を構成するメッシュ材103とは別に、継ぎ足し用メッシュ材104を用意する必要があるため、部材の管理が煩雑化し、工期を増大させ、より作業者の負担を増加させる要因となっていた。加えて、メッシュ材103と継ぎ足し用のメッシュ材104とは別体にて構成されるため、建築物の躯体の変化や外壁に加わる振動、衝撃によって、継ぎ目から剥がれ落ちる恐れもあった。
そこで、本発明は、上記の実状に鑑み、ジョイント処理に係る工期を短縮し、作業者の負担を軽減する建築用部材を実現することを課題とする。
本発明にかかる建築用部材は、「表面が樹脂及びセメントの混合物で塗装される建築用部材であって、パネル状の断熱材と該断熱材の表面に貼着されたメッシュ材とを有し、該メッシュ材は、前記断熱材の表面積よりも大きく、前記断熱材の縁部から延出された延出部を備える」ものである。
本発明の建築用部材によれば、断熱材の表面に貼着されたメッシュ材は、断熱材の表面積よりも大きく、断熱材の縁部から延出された延出部を備えることにより、継ぎ足し用のメッシュ材を用いることなく、隣接する断熱材同士を接合することができる。従って、建築物の外側に敷き詰められた建築用部材において、隣接する断熱材同士の継ぎ目に段差や隙間が生じることがあっても、隣接する建築用部材のメッシュ材から延出された延出部同士を重ね合わせ、この重ね合わされたメッシュ材をどちらか一方の建築用部材の表面に折り畳み、そして、敷き詰められた建築用部材の表面全体に、樹脂及びセメントの混合物と塗料とが塗布されることで、折り畳まれたメッシュ材が継ぎ目にて生じる段差や隙間を埋め合わせ、隣接する建築用部材同士を隙間無く接合することができる。
ところで、本発明の建築用部材において、建築物の外側にマトリクス状に敷き詰められた場合、上下左右で断熱材同士の頂点が接する部位においては、上側、下側、右側、及び左側夫々の延出部が相互に重なり合い、メッシュ材が幾重にも重なり合う多重構造となる。従って、断熱材同士の頂点が接する部位にのみ多重構造のメッシュ材に起因する段差が生じるという問題があった。そこで、この問題に鑑み、本発明では、「前記延出部は、前記断熱材の表面形状の一辺毎に、それぞれ舌片状に設けられている」構成とすることができる。
本発明の建築用部材によれば、延出部の形状が舌片状に設けられることにより、断熱材同士の頂点部分において、メッシュ材が重なり合うことが無く、メッシュ材の過剰な多重構造を回避することができる。これにより、メッシュ材の過剰な多重構造に起因する段差を埋め合わせるための作業を軽減することができ、よりジョイント処理に係る工期を短縮することが可能となる。
ところで、本発明の建築用部材において、「前記断熱材は、通気性を有するポリスチレンフォームからなることを特徴とする」構成とすることができる。
本発明の建築用部材によれば、断熱材を、通気性を有するポリスチレンフォームとする構成のため、断熱材の内側に構成される建材に湿気が溜まらず、壁内結露を低減することが可能となる。これにより、建材の腐食によるカビやシロアリの発生を低減することが可能となる。
このように、本発明の建築用部材によれば、工場で建築用部材を作製してから現場で外壁が形成されるまでの、全体としての作業工程を短縮し、より効率的な施工が可能となる。また、ジョイント処理に係る作業内容を単純化し、より簡単に施工することができるため、さらに作業効率を向上させることができる。さらに、継ぎ足し用のメッシュ材を使用しないことにより、部材の管理を簡略化し、作業者の負担を軽減することが可能となる。また、断熱材の表面に貼着されたメッシュ材と延出部とは一体で形成されるため、剥がれ落ちる恐れがなく、より強固に断熱材の継ぎ目を接合できる。
以下、本発明の一実施形態である建築用部材について、図1乃至図5に基づき説明する。図1は本実施形態の建築用部材を用いた外壁の斜視図であり、図2は断面図である。図3は建築用部材を示す斜視図である。図4は建築用部材の使用状態を示す説明図であり、図5は図4のB―B´における断面図である。
以下、本発明の構成について簡単に説明する。図1及び図2に示すように、外壁1の外断熱は、下地用の構造用合板2と、構造用合板2の表面にマトリクス状に隙間無く敷き詰められた建築用部材3と、建築用部材3の表面に一様に塗り固められた樹脂及びセメントの混合物4と、混合物4の表面に塗装された塗料5とで形成される。
図3に示すように、建築用部材3は、断熱材6と、断熱材6の表面に貼着され断熱材6の縁部から舌片状に延出した延出部8を備えるメッシュ材7とから構成されている。
特に、本例の断熱材6はビーズ法ポリスチレンフォーム保温板4号などの、通気性と可撓性を有する部材が用いられている。ビーズ法ポリスチレンフォーム4号とは、ポリスチレン樹脂と炭化水素系泡剤からなる原料ビーズを予備発泡させた後に、金型に充填し加熱することによって約30倍から80倍に発泡させてつくられるもので、密度は15以上20kg/m3未満、透水係数は250以上290ng/(m2/s/Pa)未満などの特徴を持つ。大きさは、おおよそ縦1m、横2m、厚み25mmなどのものが例示される。
断熱材6の厚みはこれに限定されるものではないが、好ましくは20mmから100mmである。
断熱材6の厚みはこれに限定されるものではないが、好ましくは20mmから100mmである。
ここで、メッシュ材7とは、とくに限定されるものではないが、例えば合成繊維系の柔軟性のある織布で、網目サイズが略4mm角の正方形網目のものが挙げられる。メッシュ材7を用いることで、外壁1の振動や衝撃に対する強度を増加させ、また、湾曲した外壁1に適用される場合においての、表面の塗料5のひび割れ、剥落防止の効果も有する。
次に、本例の建築用部材3の使用方法について説明する。まず、図1に示すように、住宅やビルディングなどの建築物の外壁1に張り巡らされた下地用構造用合板2の表面に、建築用部材3をマトリクス状に敷き詰める。建築用部材3は、基礎の上端を基準にして下から上に積み上げるように敷き詰められ、下地用構造用合板2にビス留めされ固定される。
次に、隣接する建築用部材3の延出部8同士を重ね合わせ、この重ね合わされたメッシュ材7の延出部8をいずれか一方の建築用部材3の表面に折り畳む(図4参照)。図5に示すように、隣接する建築用部材3の継ぎ目部9においては、メッシュ材7は、断熱材6の表面に貼着されたメッシュ材7、折り畳まれた延出部8a、及び隣接する建築用部材3の延出部8bの3重構造となる。
次に、混合物4を、建築用部材3の表面に一様に塗布する。これにより、メッシュ材7の網目に混合物4が細かく入り込み、隣接する建築用部材3の継ぎ目に生じた段差や隙間を埋め、建築用部材6の表面を平滑にし、塗料5による塗装の下地層を形成する。混合物4とは、例えばセメントと樹脂を1:1の割合で配合されたものであり、入念に攪拌することにより作製される。混合物4に含まれる樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば柔軟性と透湿性を兼ね備える水性アクリル系樹脂などを用いることができる。
そして、混合物4が塗布された表面に、塗料5を一様に塗装することで、外壁1の外断熱が完成する。
このように、本実施の形態によると、従来の工法、すなわち建築用部材の継ぎ目部に継ぎ足し用のメッシュ材を使用し、これをセメント層で塗り込むというジョイント処理を行う必要がなく、工場で建築用部材3を作製してから現場で外壁1が形成されるまでの、全体としての作業工程を短縮し、より効率的な施工が可能となる。また、ジョイント処理に係る作業内容を単純化し、より簡単に施工することができるため、さらに作業効率を向上させることができる。加えて、継ぎ足し用のメッシュ材を使用しないことにより、部材の管理を簡略化し、作業者の負担を軽減することが可能となる。また、断熱材6の表面に貼着されたメッシュ材7と延出部8とは一体で形成されるため、剥がれ落ちる恐れがなく、より強固に断熱材の継ぎ目を接合できる。さらに、可撓性のある断熱材6、柔軟性のある樹脂を混合させた混合物4、及び補強材であるメッシュ材7を組み合わせることにより、例えば湾曲した形状の外壁1に沿って折り曲げて使用することがあっても、塗装のひび割れや剥落を起こさず施工できる。
また、上記の建築用部材3によれば、延出部8の形状が舌片状に設けられることにより、マトリクス状に敷き詰められた建築用部材3の頂点部分において、隣接する建築用部材3夫々の延出部8が重なり合うことが無く、メッシュ材7の過剰な多重構造を回避することができる。これにより、メッシュ材7の過剰な多重構造に起因する、混合物4及び塗料5の平坦化作業(段差なく均一に塗布する作業)を回避することができ、よりジョイント処理に係る工期を短縮することが可能となり、施工作業の効率化を図ることができる。
また、上記の建築用部材3によれば、断熱材6は通気性を有するポリスチレンフォームからなる構成のため、断熱材6の内側に構成される下地用構造用合板2に湿気が溜まらず、壁内結露を低減することが可能となる。これにより、下地用構造用合板2の腐食によるカビやシロアリの発生を低減することが可能となる。
さらに、従来の建築用部材100を使用した場合、外壁1のコーナー部においては、断熱材101の厚みの分だけメッシュ材103の空白部が生じることとなるが、上記の建築用部材3によれば、延出部8を重ね合わせることでこの空白部を埋め合わせることができ、簡便な構成でより堅牢な外壁1を構成することができる。
以上、本発明を実施するための最良の実施の形態を挙げて説明したが、本発明はこの実施の形態に限定されるものではなく、以下に示すように本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良および設計の変更が可能である。
すなわち、図1に示すように、外壁1の外断熱は、下地用構造用合板2の表面に建築用部材3がマトリクス状に隙間なく敷き詰められ、敷き詰められた建築用部材3は、夫々の左右端部側が上下方向で揃い、縦方向の継ぎ目(縦目地)が通った構成となっているが、これに限定されるものではなく、上下方向で継ぎ目をずらし、縦目地を通さない構成としても良い。これによれば、住宅やビルディングなどの建築物の躯体の変化による目地割れの発生を軽減できるため、より外壁1の強度を増すことができる。
また、上記の実施の形態では、メッシュ材7は、断熱材6の縁部から舌片状に延出した延出部8を備える構成としたが、これに限定されるものではなく、図6に示すように、断熱材6の表面積よりも大きく、断熱材6の縁部から一様に延出された延出部10を備える構成としても良い。これによれば、メッシュ材7を裁断し、舌片状の延出部8を作製する必要がなく、簡便な構成にて建築用部材3を構成することができる。
また、上記の実施の形態では、メッシュ材7は、断熱材7の表面のみに貼着させる構成としたが、表面と裏面の両方に貼り付ける構成としてもよい。これによれば、さらに外壁1の強度を増すことができる。
上記の実施の形態では、断熱材6は表面の形状が長方形であるものを示したが、これに限定されるものではなく、表面の形状は三角形や五角形など任意の多角形でもよい。ただし、表面の形状が円形である場合は、マトリクス状に隙間無く敷き詰めることが困難となるため、直線状の辺を持つ多角形であることが好ましい。
3 建築用部材
4 混合物
6 断熱材
7 メッシュ材
8 延出部
4 混合物
6 断熱材
7 メッシュ材
8 延出部
本発明は、住宅やビルディングなどの建築物の外装に使用される建築用部材、及び当該建築用部材を用いた外断熱工法に関するものである。
住宅やビルディングなどの建築物の断熱方法として、内断熱と外断熱の2種類の方法が一般的に知られている。日本では、古くより内断熱が広く採用されてきたが、内断熱とは、グラスウール等の断熱材を柱と柱の間に設ける方法であり、この方法においては、気密性が低いため、壁内結露を引き起こし、これがカビやシロアリなどの発生原因となっている。また、近年の環境保護、省エネルギー化への関心の高まりに伴い、室内の熱を外に逃がさないようにして暖房器具によるエネルギーの消費量を低減し、高いレベルでの断熱、気密性能が求められるようになっている。そこで、内断熱の方法だけではなく、住宅の躯体の外側を断熱材によってすっぽりと覆う外断熱の方法も用いられる。
従来の外断熱にて用いられる建築用部材を図7、図8に示す。建築用部材100は、断熱材101、壁面の表面を塗装する際の下地層であるセメント層102、及び外壁の補強材であるメッシュ材103で構成される。まず、工場にて、断熱材101の表面にセメント層102などを接着層にしてメッシュ材103が貼着される。セメント層102は、メッシュ材103の網目に細かく入り込み、乾燥した後は、メッシュ材102はセメント層102に埋没する。外断熱は、こうして形成された建築用部材100が、施工現場において、住宅やビルディングなどの建築物の外側にマトリクス状に隙間無く敷き詰められることで実現される。そして、セメント層102の表面に、塗料が塗装されることで外壁が完成する。
以上の従来技術は、当業者において当然として行われているものであり、出願人は、この従来技術が記載された文献を知見していない。
ところで、上記の建築用部材100を用いて外断熱を行う場合には、隣接する建築用部材100の継ぎ目に、ジョイント処理と呼ばれる処理工程が必要となっていた。すなわち、隣接する建築用部材100の継ぎ目に段差や隙間が生じることにより、表面の塗装がひび割れたり剥落する恐れがあるため、セメント層102の表面を塗装する作業の前に、建築用部材100の継ぎ目に、継ぎ足し用メッシュ材104を継ぎ足し、この継ぎ足し部105にセメント層102を上塗りする処理(ジョイント処理)が必要となっていた。従って、工場にて断熱材101の表面にセメント層102を塗布する作業に加えて、施工現場でもジョイント処理のためにセメント層102を塗布する作業が行われ、全体としての作業効率を著しく下げる結果を招いていた。
また、継ぎ足し用のメッシュ材104を片手で保持し、もう一方の手でセメント層102を均一かつ平滑に塗布するためには作業者の熟練度が必要とされ、これも作業効率を下げる一因となっていた。さらに、建築用部材100を構成するメッシュ材103とは別に、継ぎ足し用メッシュ材104を用意する必要があるため、部材の管理が煩雑化し、工期を増大させ、より作業者の負担を増加させる要因となっていた。加えて、メッシュ材103と継ぎ足し用のメッシュ材104とは別体にて構成されるため、建築物の躯体の変化や外壁に加わる振動、衝撃によって、継ぎ目から剥がれ落ちる恐れもあった。
そこで、本発明は、上記の実状に鑑み、ジョイント処理に係る工期を短縮し、作業者の負担を軽減する建築用部材及び当該建築用部材を用いた外断熱工法を提供することを課題とする。
本発明にかかる建築用部材は、「パネル状の断熱材と、柔軟性のある折畳み可能な材質より形成されるものであって、該断熱材の表面に貼着され、前記断熱材の表面積よりも大きく、前記断熱材の縁部から延出された延出部を備えるメッシュ材とを有し、後工程において前記断熱材の表面が樹脂及びセメントの混合物で塗装されるものである」である。
本発明の建築用部材によれば、断熱材の表面に貼着されたメッシュ材は、断熱材の表面積よりも大きく、断熱材の縁部から延出された延出部を備えることにより、継ぎ足し用のメッシュ材を用いることなく、隣接する断熱材同士を接合することができる。従って、建築物の外側に敷き詰められた建築用部材において、隣接する断熱材同士の継ぎ目に段差や隙間が生じることがあっても、隣接する建築用部材のメッシュ材から延出された延出部同士を重ね合わせ、この重ね合わされたメッシュ材をどちらか一方の建築用部材の表面に折り畳み、すなわち断熱材の表面に貼着されたメッシュ材、折り畳まれた延出部、及び隣接する建築用部材の延出部の3重構造とし、そして、敷き詰められた建築用部材の表面全体に、樹脂及びセメントの混合物と塗料とが塗布されることで、折り畳まれたメッシュ材が継ぎ目にて生じる段差や隙間を埋め合わせ、隣接する建築用部材同士を隙間無く接合することができる。
ところで、本発明の建築用部材において、建築物の外側にマトリクス状に敷き詰められた場合、上下左右で断熱材同士の頂点が接する部位においては、上側、下側、右側、及び左側夫々の延出部が相互に重なり合い、メッシュ材が幾重にも重なり合う多重構造となる。従って、断熱材同士の頂点が接する部位にのみ多重構造のメッシュ材に起因する段差が生じるという問題があった。そこで、この問題に鑑み、本発明では、「前記延出部は、前記断熱材の表面形状の一辺毎に、それぞれ舌片状に設けられている」構成とすることができる。
本発明の建築用部材によれば、延出部の形状が舌片状に設けられることにより、断熱材同士の頂点部分において、メッシュ材が重なり合うことが無く、メッシュ材の過剰な多重構造を回避することができる。これにより、メッシュ材の過剰な多重構造に起因する段差を埋め合わせるための作業を軽減することができ、よりジョイント処理に係る工期を短縮することが可能となる。
ところで、本発明の建築用部材において、「前記断熱材は、通気性を有するポリスチレンフォームからなることを特徴とする」構成とすることができる。
本発明の建築用部材によれば、断熱材を、通気性を有するポリスチレンフォームとする構成のため、断熱材の内側に構成される建材に湿気が溜まらず、壁内結露を低減することが可能となる。これにより、建材の腐食によるカビやシロアリの発生を低減することが可能となる。
本発明に係る外断熱工法は、「パネル状の断熱材、及び該断熱材の表面に貼着され前記断熱材の表面積よりも大きく形成されるとともに前記断熱材の縁部から延出された延出部を有するメッシュ材が備えられた建築用部材を、下地用構造用合板の表面に複数枚敷き詰める工程と、敷き詰められた前記建築用部材を、前記下地用構造用合板に対して固定させる工程と、固定された前記建築用部材のうち隣接する建築用部材の前記延出部同士を重ね合わせ、前記隣接する建築用部材のいずれか一方の表面にメッシュ材を3重構造となるように折畳む工程と、折畳まれた前記メッシュ材及び前記建築用部材の表面に、樹脂及びセメントの混合物を平坦に塗布する工程とを備える」ものである。
本発明の外断熱工法によれば、隣接する建築用部材の延出部同士を重ね合わせ、いずれか一方の表面に折畳む(折畳む工程)ことによって、建築用部材の継ぎ目部の表面において、メッシュ材が、断熱材の表面に貼着されたメッシュ材、折り畳まれた一方の延出部のメッシュ材、及び隣接する他方の延出部のメッシュ材の3重構造となる。また、継ぎ足し用のメッシュ材を用いることなく、断熱材の表面に貼着されたメッシュ材と延出部とは一体で形成されるため、剥がれ落ちる恐れがなく、より強固に断熱材の継ぎ目を接合できる。さらに、建築用部材の継ぎ目部に継ぎ足し用のメッシュ材を使用し、これを樹脂及びセメントの混合物で塗り込むというジョイント処理を行う必要がなく、工場で建築用部材を作製してから現場で外壁が形成されるまでの、全体としての作業工程を短縮し、より効率的な施工が可能となる。
このように、本発明の建築用部材によれば、工場で建築用部材を作製してから現場で外壁が形成されるまでの、全体としての作業工程を短縮し、より効率的な施工が可能となる。また、ジョイント処理に係る作業内容を単純化し、より簡単に施工することができるため、さらに作業効率を向上させることができる。さらに、継ぎ足し用のメッシュ材を使用しないことにより、部材の管理を簡略化し、作業者の負担を軽減することが可能となる。また、断熱材の表面に貼着されたメッシュ材と延出部とは一体で形成されるため、剥がれ落ちる恐れがなく、より強固に断熱材の継ぎ目を接合できる。
以下、本発明の一実施形態である建築用部材について、図1乃至図5に基づき説明する。図1は本実施形態の建築用部材を用いた外壁の斜視図であり、図2は断面図である。図3は建築用部材を示す斜視図である。図4は建築用部材の使用状態を示す説明図であり、図5は図4のB―B´における断面図である。
以下、本発明の構成について簡単に説明する。図1及び図2に示すように、外壁1の外断熱は、下地用構造用合板2と、下地用構造用合板2の表面にマトリクス状に隙間無く敷き詰められた建築用部材3と、建築用部材3の表面に一様に塗り固められた樹脂及びセメントの混合物4と、混合物4の表面に塗装された塗料5とで形成される。
図3に示すように、建築用部材3は、断熱材6と、断熱材6の表面に貼着され断熱材6の縁部から舌片状に延出した延出部8を備えるメッシュ材7とから構成されている。特に、本例の断熱材6はビーズ法ポリスチレンフォーム保温板4号などの、通気性と可撓性を有する部材が用いられている。ビーズ法ポリスチレンフォーム4号とは、ポリスチレン樹脂と炭化水素系泡剤からなる原料ビーズを予備発泡させた後に、金型に充填し加熱することによって約30倍から80倍に発泡させてつくられるもので、密度は15以上20kg/m3未満、透水係数は250以上290ng/(m2/s/Pa)未満などの特徴を持つ。大きさは、おおよそ縦1m、横2m、厚み25mmなどのものが例示される。断熱材6の厚みはこれに限定されるものではないが、好ましくは20mmから100mmである。
ここで、メッシュ材7とは、とくに限定されるものではないが、例えば合成繊維系の柔軟性のある織布で、網目サイズが略4mm角の正方形網目のものが挙げられる。メッシュ材7を用いることで、外壁1の振動や衝撃に対する強度を増加させ、また、湾曲した外壁1に適用される場合においての、表面の塗料5のひび割れ、剥落防止の効果も有する。
次に、本例の建築用部材3の使用方法について説明する。まず、図1に示すように、住宅やビルディングなどの建築物の外壁1に張り巡らされた下地用構造用合板2の表面に、建築用部材3をマトリクス状に敷き詰める。建築用部材3は、基礎の上端を基準にして下から上に積み上げるように敷き詰められ、下地用構造用合板2にビス留めされ固定される。
次に、隣接する建築用部材3の延出部8同士を重ね合わせ、この重ね合わされたメッシュ材7の延出部8をいずれか一方の建築用部材3の表面に折り畳む(図4参照)。図5に示すように、隣接する建築用部材3の継ぎ目部9においては、メッシュ材7は、断熱材6の表面に貼着されたメッシュ材7、折り畳まれた延出部8a、及び隣接する建築用部材3の延出部8bの3重構造となる。
次に、混合物4を、建築用部材3の表面に一様に塗布する。これにより、メッシュ材7の網目に混合物4が細かく入り込み、隣接する建築用部材3の継ぎ目に生じた段差や隙間を埋め、建築用部材6の表面を平滑にし、塗料5による塗装の下地層を形成する。混合物4とは、例えばセメントと樹脂を1:1の割合で配合されたものであり、入念に攪拌することにより作製される。混合物4に含まれる樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば柔軟性と透湿性を兼ね備える水性アクリル系樹脂などを用いることができる。そして、混合物4が塗布された表面に、塗料5を一様に塗装することで、外壁1の外断熱が完成する。
このように、本実施の形態によると、従来の工法、すなわち建築用部材3の継ぎ目部に継ぎ足し用のメッシュ材を使用し、これをセメント層で塗り込むというジョイント処理を行う必要がなく、工場で建築用部材3を作製してから現場で外壁1が形成されるまでの、全体としての作業工程を短縮し、より効率的な施工が可能となる。また、ジョイント処理に係る作業内容を単純化し、より簡単に施工することができるため、さらに作業効率を向上させることができる。加えて、継ぎ足し用のメッシュ材を使用しないことにより、部材の管理を簡略化し、作業者の負担を軽減することが可能となる。また、断熱材6の表面に貼着されたメッシュ材7と延出部8とは一体で形成されるため、剥がれ落ちる恐れがなく、より強固に断熱材6の継ぎ目を接合できる。さらに、可撓性のある断熱材6、柔軟性のある樹脂を混合させた混合物4、及び補強材であるメッシュ材7を組み合わせることにより、例えば湾曲した形状の外壁1に沿って折り曲げて使用することがあっても、塗装のひび割れや剥落を起こさず施工できる。
また、上記の建築用部材3及び外断熱工法によれば、延出部8の形状が舌片状に設けられることにより、マトリクス状に敷き詰められた建築用部材3の頂点部分において、隣接する建築用部材3夫々の延出部8が重なり合うことが無く、メッシュ材7の過剰な多重構造を回避することができる。これにより、メッシュ材7の過剰な多重構造に起因する、混合物4及び塗料5の平坦化作業(段差なく均一に塗布する作業)を回避することができ、よりジョイント処理に係る工期を短縮することが可能となり、施工作業の効率化を図ることができる。
また、上記の建築用部材3及び外断熱工法によれば、断熱材6は通気性を有するポリスチレンフォームからなる構成のため、断熱材6の内側に構成される下地用構造用合板2に湿気が溜まらず、壁内結露を低減することが可能となる。これにより、下地用構造用合板2の腐食によるカビやシロアリの発生を低減することが可能となる。さらに、従来の建築用部材100を使用した場合、外壁1のコーナー部においては、断熱材101の厚みの分だけメッシュ材103の空白部が生じることとなるが、上記の建築用部材3によれば、延出部8を重ね合わせることでこの空白部を埋め合わせることができ、簡便な構成でより堅牢な外壁1を構成することができる。
以上、本発明を実施するための最良の実施の形態を挙げて説明したが、本発明はこの実施の形態に限定されるものではなく、以下に示すように本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良および設計の変更が可能である。
すなわち、図1に示すように、外壁1の外断熱は、下地用構造用合板2の表面に建築用部材3がマトリクス状に隙間なく敷き詰められ、敷き詰められた建築用部材3は、夫々の左右端部側が上下方向で揃い、縦方向の継ぎ目(縦目地)が通った構成となっているが、これに限定されるものではなく、上下方向で継ぎ目をずらし、縦目地を通さない構成としても良い。これによれば、住宅やビルディングなどの建築物の躯体の変化による目地割れの発生を軽減できるため、より外壁1の強度を増すことができる。
また、上記の実施の形態では、メッシュ材7は、断熱材6の縁部から舌片状に延出した延出部8を備える構成としたが、これに限定されるものではなく、図6に示すように、断熱材6の表面積よりも大きく、断熱材6の縁部から一様に延出された延出部10を備える構成としても良い。これによれば、メッシュ材7を裁断し、舌片状の延出部8を作製する必要がなく、簡便な構成にて建築用部材3を構成することができる。
また、上記の実施の形態では、メッシュ材7は、断熱材6の表面のみに貼着させる構成としたが、表面と裏面の両方に貼り付ける構成としてもよい。これによれば、さらに外壁1の強度を増すことができる。
上記の実施の形態では、断熱材6は表面の形状が長方形であるものを示したが、これに限定されるものではなく、表面の形状は三角形や五角形など任意の多角形でもよい。ただし、表面の形状が円形である場合は、マトリクス状に隙間無く敷き詰めることが困難となるため、直線状の辺を持つ多角形であることが好ましい。
3 建築用部材
4 混合物
6 断熱材
7 メッシュ材
8 延出部
4 混合物
6 断熱材
7 メッシュ材
8 延出部
本発明は、住宅やビルディングなどの建築物の外装に適用される外断熱工法に関するものである。
そこで、本発明は、上記の実状に鑑み、ジョイント処理に係る工期を短縮し、作業者の負担を軽減する外断熱工法を提供することを課題とする。
本発明に係る外断熱工法は、「パネル状の断熱材、及び該断熱材の表面に貼着され前記断熱材の表面積よりも大きく形成されるとともに前記断熱材の縁部から延出された延出部を有し、柔軟性のある折畳み可能な材質より形成されるメッシュ材が備えられた建築用部材を、下地用構造用合板の表面に複数枚敷き詰める工程と、敷き詰められた前記建築用部材を、前記下地用構造用合板に対して固定する工程と、固定された前記建築用部材のうち隣接する建築用部材の前記延出部同士を重ね合わせ、前記隣接する建築用部材のいずれか一方の表面にメッシュ材を3重構造となるように折畳む工程と、折畳まれた前記メッシュ材及び前記建築用部材の表面に、樹脂及びセメントの混合物を平坦に塗布する工程とを備えることを特徴とする」ものである。
Claims (3)
- 表面が樹脂及びセメントの混合物で塗装される建築用部材であって、
パネル状の断熱材と
該断熱材の表面に貼着されたメッシュ材とを有し、
該メッシュ材は、前記断熱材の表面積よりも大きく、前記断熱材の縁部から延出された延出部を備える
ことを特徴とする建築用部材。 - 前記延出部は、前記断熱材の表面形状の一辺毎に、それぞれ舌片状に設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の建築用部材。 - 前記断熱材は、通気性を有するポリスチレンフォームからなる
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の建築用部材。
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