JP2006006433A - 血液透析装置の返血方法および装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】透析液回路から血液回路への透析液の送入により血液回路内の残留血液を透析液で置換することにより自動返血を行うことを前提とした方法および装置において、返血時に血液回路内の圧力が過大に上昇しないようにし、患者に対する安全性をより向上させた返血方法および装置を提供する。
【解決手段】血液ポンプを用いて患者の体内との間で血液を循環させる血液回路と透析液を流通させる透析液回路との間で透析膜を介して血液透析を行う血液透析要素を備えた血液透析装置における、血液透析後の血液回路内の残留血液の患者体内への返血方法であって、透析液回路内の透析液を透析膜を通して血液回路内に流入させることにより血液回路内の残留血液を押し出して患者体内へ返血するとともに、該返血時に、血液回路内の圧力を検出し、検出圧力が所定値を越えないように、血液回路内への透析液の流入速度を制御することを特徴とする、血液透析装置の返血方法および装置。
【選択図】図1
【解決手段】血液ポンプを用いて患者の体内との間で血液を循環させる血液回路と透析液を流通させる透析液回路との間で透析膜を介して血液透析を行う血液透析要素を備えた血液透析装置における、血液透析後の血液回路内の残留血液の患者体内への返血方法であって、透析液回路内の透析液を透析膜を通して血液回路内に流入させることにより血液回路内の残留血液を押し出して患者体内へ返血するとともに、該返血時に、血液回路内の圧力を検出し、検出圧力が所定値を越えないように、血液回路内への透析液の流入速度を制御することを特徴とする、血液透析装置の返血方法および装置。
【選択図】図1
Description
本発明は、血液透析装置の返血方法および装置に関し、とくに、血液透析を行った後に、血液回路に残った血液を患者に戻す(返血する)際に、自動で安全に返血できるようにした返血方法および装置に関する。
患者の動脈側から採血し、血液透析を行った後、浄化された血液を静脈側に戻す血液透析装置は広く実用化されている。このような血液透析装置においては、通常、血液透析が終了した後には、血液回路の残留血液が患者の体内に戻される。この血液返血方法としては、一般的に生理食塩液を用いたいわゆる生食置換返血法が推奨されており、日本透析医会よりマニュアルが発行されている。つまり、生理食塩液の注入回路を血液回路に接続し、血液回路に設けられている血液ポンプを低速で運転して、注入された生理食塩液を主として動脈側回路から静脈側回路へと送って血液回路内の残留血液を生理食塩液で置換する方法である。
しかし近年、コスト削減等を目的として、血液透析要素(ダイアライザー)を介して逆濾過した(すなわち、透析液回路側から血液透析要素の透析膜を通して透析液を血液回路側に押し出した)透析液で自動的に返血を行う方式が各種提案されている。
たとえば特許文献1には、透析液を透析膜である中空糸膜の内側へと圧入し、血液回路内に残留する血液を透析液に置換する方法が開示されており、この方法では、透析液の逆濾過量と血液ポンプの流量を制御することにより、動脈ラインの採血口と静脈ラインの返血口とから同時に患者の体内に戻すようにしている。返血を行うとき血液ポンプの回転方向は血液浄化時と逆方向に設定される。
また、特許文献2には、血液透析を終了した後、動脈ラインの採血口を静脈ラインに設けられた接続部材に接続し、透析液を透析膜である中空糸膜の内側へと圧入し、血液回路内に残留する血液を透析液に置換することにより、静脈ラインの返血口より患者の体内に戻すようにした残留血液返血方法が開示されており、この方法でも、返血を行うとき血液ポンプの回転方向は血液透析時と逆方向に設定される。
また、特許文献3には、動脈側回路に設けた血液ポンプの一次側の先端を静脈側回路に設けたドリップチャンバに接続した後、血液ポンプを駆動させつつ透析液回路の透析液を血液回路内に圧入することにより、血液回路内に残留した血液を透析液に置換するが開示されている。
特開2001−259024号公報
特開2001−252352号公報
特開2003−265598号公報
ところが、上記のような従来の血液透析要素における逆濾過した透析液を用いた自動返血においては、血液回路の動脈側ラインに設けた血液ポンプの逆回転動作を利用しており、かつ、血液返血時において血液ポンプ逆回転および動脈側シャント穿刺部の抵抗等により生じる圧力の監視を行っていないことから次のような問題点が生じる。
(1)動脈圧の高い患者に対して、透析液を血液ポンプ逆回転により動脈圧以上の圧力により強制的に押し込みながら血液を体内に戻すことになるので、返血時の圧力、とくに動脈側圧力が高くなりすぎるおそれがあり、このことによりシャント、血管に対してダメージを与えるおそれがある。
(2)血液透析要素や血液回路の滞留部に濃縮された血液や血栓が存在すると、血液ポンプ運転による圧力上昇に伴い、濃縮血液や血栓が強制的に強引に動脈側穿刺部を越えて患者体内に戻されるおそれがあり、患者にダメージを与えるおそれがある。
(1)動脈圧の高い患者に対して、透析液を血液ポンプ逆回転により動脈圧以上の圧力により強制的に押し込みながら血液を体内に戻すことになるので、返血時の圧力、とくに動脈側圧力が高くなりすぎるおそれがあり、このことによりシャント、血管に対してダメージを与えるおそれがある。
(2)血液透析要素や血液回路の滞留部に濃縮された血液や血栓が存在すると、血液ポンプ運転による圧力上昇に伴い、濃縮血液や血栓が強制的に強引に動脈側穿刺部を越えて患者体内に戻されるおそれがあり、患者にダメージを与えるおそれがある。
そこで本発明の課題は、このような問題点に着目し、透析液回路から血液回路への透析液の送入により血液回路内の残留血液を透析液で置換することにより自動返血を行うことを前提とした方法および装置において、返血時に血液回路内の圧力が過大に上昇しないようにし、患者に対する安全性をより向上させた自動返血を可能とする、血液透析装置の返血方法および装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る血液透析装置の返血方法は、血液ポンプを用いて患者の体内との間で血液を循環させる血液回路と透析液を流通させる透析液回路との間で透析膜を介して血液透析を行う血液透析要素を備えた血液透析装置における、血液透析後の血液回路内の残留血液の患者体内への返血方法であって、透析液回路内の透析液を透析膜を通して血液回路内に流入させることにより血液回路内の残留血液を押し出して患者体内へ返血するとともに、該返血時に、血液回路内の圧力を検出し、検出圧力が所定値を越えないように、血液回路内への透析液の流入速度(流入流量)を制御することを特徴とする方法からなる。
この方法においては、返血時に、血液回路内の圧力は常時監視され、検出圧力が予め設定された所定値(たとえば、所定の一定値、あるいはその時の状態や患者に応じて設定された所定値)を越えないように、血液回路内への透析液の流入速度(流入流量)が自動制御されるため、返血時の血液回路内圧力は常時所定値以下に保たれることになる。したがって、たとえば血栓等によりいずれかの部位で詰まりが発生したような場合には、返血速度を下げる、または自動返血を中止することにより、無理に血栓を押し込む、あるいは過大な圧力でシャントや血管に過大な負荷をかけて押し込むことがなくなり、常時安全な状態で患者に血液を返すことが可能となる。
このような本発明に係る血液透析装置の返血方法においては、患者の動脈側穿刺部から血液透析要素まで延び、血液ポンプを備えた動脈側血液回路における返血と、血液透析要素から静脈側穿刺部まで延びる静脈側血液回路における返血とを分けて行うことが可能である。そして、動脈側血液回路における返血を行う際には静脈側血液回路を閉じ、静脈側血液回路における返血を行う際には動脈側血液回路を閉じるようにすることが好ましい。また、動脈側血液回路における返血時の血液回路内への透析液の流入速度と静脈側血液回路における返血時の血液回路内への透析液の流入速度とをそれぞれ制御する(別々に、あるいは場合によっては同等の流入速度に制御する)ことも可能である。また、動脈側血液回路における返血のための前記圧力所定値と静脈側血液回路における返血のための前記圧力所定値とをそれぞれ設定する(別々に、あるいは場合によっては同等の圧力に設定する)ことも可能である。さらに、動脈側血液回路における返血時間と静脈側血液回路における返血時間とをそれぞれ制御する(別々に、あるいは場合によっては同等の時間に制御する)ことも可能である。このように構成すれば、動脈側血液回路と静脈側血液回路の返血を最適な条件で行うことが可能になり、切り換え時間やタイミングも最適に設定、制御することが可能になる。また、動脈側血液回路と静脈側血液回路の返血に使用する透析液の量も正確に管理できるため、回路内の残血をより効率よく適切に無くすことができる。
また、患者の動脈側穿刺部から血液透析要素まで延び、血液ポンプを備えた動脈側血液回路における返血と、血液透析要素から静脈側穿刺部まで延びる静脈側血液回路における返血とを同時に行うようにすることも可能である。このようにすれば、返血時間が短縮されるため、患者負担の軽減をはかることができ、血液回路内の血液凝固等の発生を防止することができる。
また、血液ポンプがチューブとロータを備えたチューブポンプからなる場合、返血時にはロータをチューブから離してロータによるチューブの流路狭小化動作を解放することもできる。解放は、ワンタッチ動作で行われることが好ましい。このようにすれば、返血時において血液ポンプ部に過大な抵抗が発生するのを防止でき、過大な圧力発生をより適切に防止して、最適な圧力での返血が可能になる。また、血栓等によりいずれかの部位に閉塞等が生じた場合にあっても、そのときの圧力上昇を、血液ポンプ部による影響を受けることなく正確に検出することが可能になり、該検出により、適切な処置や制御に繋げることが可能になる。
さらに、本発明に係る血液透析装置の返血方法においては、透析液回路側の制御を付加することもできる。すなわち、返血時における透析液回路内の圧力を検出し、検出圧力に応じて透析液供給手段を制御するようにすることもできる。このようにすれば、たとえば、血液透析要素における詰まりを上記検出圧力により測定、検出できるようになり、それに応じて、返血速度を変えたり、返血続行不可能な場合には自動返血を中止することが可能になる。
このような本発明に係る血液透析装置の返血方法における動作は、血液透析後の自動返血のみならず、血液透析前の自動プライミングにも応用できる。すなわち、本発明は、上記のような血液透析装置の返血方法と同等の動作を利用して、血液透析前に、透析液回路から透析液を血液回路内に流入させ、流入させた透析液を血液回路に流通させるプライミングを行う、血液透析装置のプライミング方法も提供する。
また、本発明は、上記のような血液透析装置の返血方法に対応して、血液透析装置の返血装置も提供する。すなわち、本発明に係る血液透析装置の返血装置は、血液ポンプを用いて患者の体内との間で血液を循環させる血液回路と、透析液を流通させる透析液回路と、血液回路と透析液回路との間で透析膜を介して血液透析を行う血液透析要素とを備えた血液透析装置における、血液透析後の血液回路内の残留血液の患者体内への返血装置であって、透析液回路に設けられ、透析液回路内の透析液を透析膜を通して血液回路内に流入させることにより血液回路内の残留血液を押し出して患者体内へ返血することが可能なポンプ手段と、該返血時に血液回路内の圧力を検出する手段と、該圧力検出手段による検出圧力が所定値を越えないように血液回路内への透析液の流入速度を制御する制御手段とを有することを特徴とするものからなる。
この装置においては、上記制御手段は、患者の動脈側穿刺部から血液透析要素まで延び、血液ポンプを備えた動脈側血液回路における返血と、血液透析要素から静脈側穿刺部まで延びる静脈側血液回路における返血とを分けて行う手段として構成できる。そして、動脈側血液回路における返血を行う際に静脈側血液回路を閉じる手段と、静脈側血液回路における返血を行う際に動脈側血液回路を閉じる手段とを有する構成を採用することができる。また、上記制御手段は、動脈側血液回路における返血時の血液回路内への透析液の流入速度と静脈側血液回路における返血時の血液回路内への透析液の流入速度とをそれぞれ制御する手段からなる構成とすることもできる。また、上記制御手段は、動脈側血液回路における返血のための前記圧力所定値と静脈側血液回路における返血のための前記圧力所定値とをそれぞれ設定可能な手段からなる構成とすることもできる。さらに、上記制御手段は、動脈側血液回路における返血時間と静脈側血液回路における返血時間とをそれぞれ制御可能な手段からなる構成とすることもできる。
また、上記制御手段は、患者の動脈側穿刺部から血液透析要素まで延び、血液ポンプを備えた動脈側血液回路における返血と、血液透析要素から静脈側穿刺部まで延びる静脈側血液回路における返血とを同時に行う手段からなる構成とすることもできる。
また、前記血液ポンプがチューブとロータを備えたチューブポンプからなり、かつ、返血時にはロータをチューブから離してロータによるチューブの流路狭小化動作を解放可能なポンプからなる構成とすることができる。
さらに、返血時における透析液回路内の圧力を検出する手段と、該圧力検出手段による検出圧力に応じて前記透析液回路に設けられたポンプ手段を制御する手段を有する構成とすることができる。
このような本発明に係る血液透析装置の返血装置における動作は、血液透析後の自動返血のみならず、血液透析前の自動プライミングにも応用できる。すなわち、本発明は、上記のような血液透析装置の返血装置を利用して、血液透析前に、透析液回路から透析液を血液回路内に流入させ、流入させた透析液を血液回路に流通させることが可能な血液透析装置のプライミング装置も提供する。
本発明に係る血液透析装置の返血方法および装置によれば、不具合を生じることなく、血液回路の残留血液を透析液で置換することが可能になり、患者に対する安全性をより向上させた自動返血が可能となる。また、本発明に係る技術思想を利用して、より最適なプライミングを行うことも可能になる。
以下に、本発明の望ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施態様に係る血液透析装置の返血装置を示している。図1において、1は、中空糸膜等からなる透析膜1aを備えた血液透析要素(ダイアライザー)を示しており、2は患者の体内との間で血液を循環させる血液回路、3は透析液を流通させる透析液回路を示している。血液透析は、血液回路2と透析液回路3との間で透析膜1aを介して行われ、血液回路2を循環される血液中から尿成分などが透析液側に除去され、また余剰の水分が除水されて、浄化された透析後の血液が患者の体内に戻される。
図1は、本発明の一実施態様に係る血液透析装置の返血装置を示している。図1において、1は、中空糸膜等からなる透析膜1aを備えた血液透析要素(ダイアライザー)を示しており、2は患者の体内との間で血液を循環させる血液回路、3は透析液を流通させる透析液回路を示している。血液透析は、血液回路2と透析液回路3との間で透析膜1aを介して行われ、血液回路2を循環される血液中から尿成分などが透析液側に除去され、また余剰の水分が除水されて、浄化された透析後の血液が患者の体内に戻される。
血液回路2は、シャントの動脈側穿刺部4から血液透析要素1までの動脈側血液回路6と、血液透析要素1から静脈側穿刺部5までの静脈側血液回路7からなる。動脈側血液回路6には、この動脈側血液回路6を閉塞可能な手段としての開閉弁8(たとえば、動脈側血液回路6を構成するチューブを外部から挟んで閉塞させるとともに、その閉塞動作を解除して流路を開くことが可能な弁)と、気泡検知手段9と、チューブ10とロータ11とを備えたチューブポンプからなる血液ポンプ12と、上向きに設けられたドリップチャンバ13とが設けられており、本実施態様では、ドリップチャンバ13の部分に動脈側血液回路6内の圧力を検出する圧力センサー14が設けられている。
静脈側血液回路7には、ドリップチャンバ15と、気泡検知手段16と、この静脈側血液回路7を閉塞可能な手段としての開閉弁17(たとえば、上記同様の弁)とが設けられており、本実施態様では、ドリップチャンバ15の部分に静脈側血液回路7内の圧力を検出する圧力センサー18が設けられている。
透析液回路3には、血液透析要素1に対して、透析液供給ライン19と透析液戻りライン20とが設けられており、本実施態様では、透析液供給ライン19に透析液供給手段としての透析液供給ポンプ21が設けられている。この透析液供給ポンプ21は、たとえば、透析液回路3のいずれかの部位に接続された除水ポンプと兼用することも可能である。22は、これら透析液側の機器を備えた透析液流通装置を示している。本実施態様では、透析液戻りライン20に、透析液回路3内の圧力を検出する圧力センサー23が設けられている。
血液回路2内の圧力情報は、圧力センサー14または/および圧力センサー18の検出信号として、制御装置24に送られ、透析液回路3内の圧力情報は、圧力センサー23の検出信号として制御装置24に送られる。制御装置24からは、これら圧力情報に基づいて、透析液供給ポンプ21に駆動制御信号が送られ、後述の透析液回路3から血液回路2への透析膜1aを通しての透析液の流入(いわゆる逆濾過による透析液の流入)における、流入速度(流入流量)が自動的に制御されるようになっている。さらに本実施態様では、上記開閉弁8、17の開閉動作も、制御装置24からの指令信号により、自動的に行われるようになっている。
また、本実施態様では、血液ポンプ12は、血液透析時にはチューブ10に対してチューブ10を押圧してしごくように回転されていたロータ11を、返血時には、チューブ10からワンタッチで離してロータ11によるチューブ10の流路狭小化動作を解放することができるように構成されている(図1は、チューブ10からロータ11が離された状態を示している)。この解放動作は、手動で行ってもよいし、制御装置24からの指令信号により自動的に行われてもよい。なお、血液透析のための血液ポンプ12の駆動制御信号は、制御装置24から出力されるようになっている。
このように構成された装置を用いて、本発明に係る返血方法は、たとえば次のように実施される。
血液透析を終了後に、血液ポンプ12における血液送液用ロータ11がチューブ10からワンタッチで離した後、動脈側への返血においては静脈側血液回路7側の閉塞手段としての開閉弁17で静脈側血液回路7を閉塞して遮断し、動脈側の血液回路6内の圧力を圧力センサー14で検出し(このとき、血液回路2内の圧力を静脈側の圧力センサー18で検出することも可能である)、検出された圧力が予め設定されている所定値を越えないように、制御装置24から透析液供給ポンプ21に駆動制御信号を送り、透析液回路3から血液回路2への透析膜1aを通しての透析液の流入速度(流入流量)を制御する。透析液が透析膜1aを通して透析液回路3から血液回路2へ流入されると、流入した透析液は血液回路2内(この場合主として動脈側血液回路6内)に残留していた血液を押し出し、動脈側穿刺部4を介して患者の体内に戻す。
血液透析を終了後に、血液ポンプ12における血液送液用ロータ11がチューブ10からワンタッチで離した後、動脈側への返血においては静脈側血液回路7側の閉塞手段としての開閉弁17で静脈側血液回路7を閉塞して遮断し、動脈側の血液回路6内の圧力を圧力センサー14で検出し(このとき、血液回路2内の圧力を静脈側の圧力センサー18で検出することも可能である)、検出された圧力が予め設定されている所定値を越えないように、制御装置24から透析液供給ポンプ21に駆動制御信号を送り、透析液回路3から血液回路2への透析膜1aを通しての透析液の流入速度(流入流量)を制御する。透析液が透析膜1aを通して透析液回路3から血液回路2へ流入されると、流入した透析液は血液回路2内(この場合主として動脈側血液回路6内)に残留していた血液を押し出し、動脈側穿刺部4を介して患者の体内に戻す。
この返血時には、血液回路2内の圧力が予め設定されている所定値を越えないように制御されるから、血液回路2内に過大な圧力が発生することはなく、また、血栓等が生じていた場合にあっても、それを穿刺部4を通して(越して)強制的に患者の体内に押し込むこともない。したがって、シャント部や血液回路、さらには血管に過大な圧力をかけてダメージを与えることはなく、患者に大きな負担を与えることもなく、とくに患者に対する安全性を大幅に向上させた状態にて返血を行うことができる。また、血液ポンプ12における血液送液用ロータ11をチューブ10から離し、このチューブ10部分を抵抗の極めて少ない流路状態としてあるから、絞られた流路のように流路抵抗の影響を実質的に受けることなく、血液回路2内の圧力を精度良く検出でき、上記の如き安全性の高い返血に供することができる。
さらに、この返血時には、圧力センサー23により透析液回路3内の圧力も検出できるので、たとえば血液透析要素1に詰まりが生じているような場合にあっても、それを精度良く検出することが可能になり、透析液供給ポンプ21による透析液流入速度を低く抑える制御を行ったり、場合によっては自動返血を中止する措置を採ったりすることが可能になる。
また、静脈側への返血においては動脈側血液回路6側の閉塞手段としての開閉弁8で動脈側血液回路6を閉塞して遮断し、静脈側の血液回路7内の圧力を圧力センサー18で検出し(このとき、血液回路2内の圧力を動脈側の圧力センサー14で検出することも可能である)、検出された圧力が予め設定されている所定値を越えないように、制御装置24から透析液供給ポンプ21に駆動制御信号を送り、透析液回路3から血液回路2への透析膜1aを通しての透析液の流入速度(流入流量)を制御する。透析液が透析膜1aを通して透析液回路3から血液回路2へ流入されると、流入した透析液は血液回路2内(この場合主として静脈側血液回路7内)に残留していた血液を押し出し、静脈側穿刺部5を介して患者の体内に戻す。
この返血時にも、血液回路2内の圧力が予め設定されている所定値を越えないように制御されるから、血液回路2内に過大な圧力が発生することはなく、また、血栓等が生じていた場合にあっても、それを穿刺部5を通して(越して)強制的に患者の体内に押し込むこともない。したがって、シャント部や血液回路、さらには血管に過大な圧力をかけてダメージを与えることはなく、患者に大きな負担を与えることもなく、とくに患者に対する安全性を大幅に向上させた状態にて返血を行うことができる。この静脈側への返血時には、上記所定の圧力値は、動脈側への返血時における設定値よりも低く設定できる。ただし、装置的には、患者やその時の状況に応じて、動脈側、静脈側とも任意の所定値に設定可能である。
上記動脈側、静脈側への返血は、開閉弁8、17を共に開放して同時に行うことも可能である。この場合には、圧力センサー14、18のいずれかの検出圧力を、血液回路2の検出圧力として制御に使用すればよい。同時に返血できれば、返血時間が短くて済み、患者への負担軽減、血液回路2内での血液凝固防止等をより促進することができる。
前述の如く動脈側、静脈側への返血を分けて行う場合には、返血時の血液回路2内許容圧力値をそれぞれの返血に対して最適な値に設定することが可能である。また、同時に、透析液回路3から血液回路2への透析膜1aを通しての透析液の流入速度(流入流量)についても、それぞれの返血に対して最適な値に制御することが可能である。さらに、動脈側、静脈側への返血時間についても、それぞれ最適な時間に設定、制御することが可能であるとともに、その切り換えも最適なタイミングで行うことが可能であり、効率の良い返血操作を行うことができる。
このような本発明に係る血液透析装置の返血方法および装置における優れた動作は、血液透析前のプライミングにも適用できる。すなわち、血液回路2内の圧力が許容圧力を越えないように(とくに最適な圧力値に保たれるように)、逆濾過により透析液回路3から血液回路2へ透析膜1aを通しての透析液を流入させることができ、血液透析前に血液回路2内を清浄な透析液で置換、充満させることができる。ただし、このプライミング時には、シャント穿刺部4、5は、基本的には開放し、内部から押し出されてきた透析液等が外部に滴下されたことを確認して、血液回路2内が清浄な透析液で充満されたことを認識できる。
このプライミングにおいても、動脈側、静脈側を分けて行うこともできるし、同時に実施することもできる。また、血液ポンプ12における血液送液用ロータ11をチューブ10から離し、このチューブ10部分を抵抗の極めて少ない流路状態としてプライミングすることもできる。
1 血液透析要素(ダイアライザー)
1a 透析膜
2 血液回路
3 透析液回路
4 動脈側穿刺部
5 静脈側穿刺部
6 動脈側血液回路
7 静脈側血液回路
8、17 開閉弁
9、16 気泡検知手段
10 チューブ
11 ロータ
12 血液ポンプ
13、15 ドリップチャンバ
14、18、23 圧力センサー
19 透析液供給ライン
20 透析液戻りライン
21 透析液供給ポンプ
22 透析液流通装置
24 制御装置
1a 透析膜
2 血液回路
3 透析液回路
4 動脈側穿刺部
5 静脈側穿刺部
6 動脈側血液回路
7 静脈側血液回路
8、17 開閉弁
9、16 気泡検知手段
10 チューブ
11 ロータ
12 血液ポンプ
13、15 ドリップチャンバ
14、18、23 圧力センサー
19 透析液供給ライン
20 透析液戻りライン
21 透析液供給ポンプ
22 透析液流通装置
24 制御装置
Claims (20)
- 血液ポンプを用いて患者の体内との間で血液を循環させる血液回路と透析液を流通させる透析液回路との間で透析膜を介して血液透析を行う血液透析要素を備えた血液透析装置における、血液透析後の血液回路内の残留血液の患者体内への返血方法であって、透析液回路内の透析液を透析膜を通して血液回路内に流入させることにより血液回路内の残留血液を押し出して患者体内へ返血するとともに、該返血時に、血液回路内の圧力を検出し、検出圧力が所定値を越えないように、血液回路内への透析液の流入速度を制御することを特徴とする、血液透析装置の返血方法。
- 患者の動脈側穿刺部から血液透析要素まで延び、血液ポンプを備えた動脈側血液回路における返血と、血液透析要素から静脈側穿刺部まで延びる静脈側血液回路における返血とを分けて行う、請求項1の血液透析装置の返血方法。
- 動脈側血液回路における返血を行う際には静脈側血液回路を閉じ、静脈側血液回路における返血を行う際には動脈側血液回路を閉じる、請求項2の血液透析装置の返血方法。
- 動脈側血液回路における返血時の血液回路内への透析液の流入速度と静脈側血液回路における返血時の血液回路内への透析液の流入速度とをそれぞれ制御する、請求項2または3の血液透析装置の返血方法。
- 動脈側血液回路における返血のための前記圧力所定値と静脈側血液回路における返血のための前記圧力所定値とをそれぞれ設定する、請求項2〜4のいずれかに記載の血液透析装置の返血方法。
- 動脈側血液回路における返血時間と静脈側血液回路における返血時間とをそれぞれ制御する、請求項2〜5のいずれかに記載の血液透析装置の返血方法。
- 患者の動脈側穿刺部から血液透析要素まで延び、血液ポンプを備えた動脈側血液回路における返血と、血液透析要素から静脈側穿刺部まで延びる静脈側血液回路における返血とを同時に行う、請求項1の血液透析装置の返血方法。
- 血液ポンプがチューブとロータを備えたチューブポンプからなり、返血時にはロータをチューブから離してロータによるチューブの流路狭小化動作を解放する、請求項1〜7のいずれかに記載の血液透析装置の返血方法。
- 返血時における透析液回路内の圧力を検出し、検出圧力に応じて透析液供給手段を制御する、請求項1〜8のいずれかに記載の血液透析装置の返血方法。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の血液透析装置の返血方法と同等の動作を利用して、血液透析前に、透析液回路から透析液を血液回路内に流入させ、流入させた透析液を血液回路に流通させるプライミングを行う、血液透析装置のプライミング方法。
- 血液ポンプを用いて患者の体内との間で血液を循環させる血液回路と、透析液を流通させる透析液回路と、血液回路と透析液回路との間で透析膜を介して血液透析を行う血液透析要素とを備えた血液透析装置における、血液透析後の血液回路内の残留血液の患者体内への返血装置であって、透析液回路に設けられ、透析液回路内の透析液を透析膜を通して血液回路内に流入させることにより血液回路内の残留血液を押し出して患者体内へ返血することが可能なポンプ手段と、該返血時に血液回路内の圧力を検出する手段と、該圧力検出手段による検出圧力が所定値を越えないように血液回路内への透析液の流入速度を制御する制御手段とを有することを特徴とする、血液透析装置の返血装置。
- 前記制御手段は、患者の動脈側穿刺部から血液透析要素まで延び、血液ポンプを備えた動脈側血液回路における返血と、血液透析要素から静脈側穿刺部まで延びる静脈側血液回路における返血とを分けて行う手段からなる、請求項11の血液透析装置の返血装置。
- 動脈側血液回路における返血を行う際に静脈側血液回路を閉じる手段と、静脈側血液回路における返血を行う際に動脈側血液回路を閉じる手段とを有する、請求項12の血液透析装置の返血装置。
- 前記制御手段は、動脈側血液回路における返血時の血液回路内への透析液の流入速度と静脈側血液回路における返血時の血液回路内への透析液の流入速度とをそれぞれ制御する手段からなる、請求項12または13の血液透析装置の返血装置。
- 前記制御手段は、動脈側血液回路における返血のための前記圧力所定値と静脈側血液回路における返血のための前記圧力所定値とをそれぞれ設定可能な手段からなる、請求項12〜14のいずれかに記載の血液透析装置の返血装置。
- 前記制御手段は、動脈側血液回路における返血時間と静脈側血液回路における返血時間とをそれぞれ制御可能な手段からなる、請求項12〜15のいずれかに記載の血液透析装置の返血装置。
- 前記制御手段は、患者の動脈側穿刺部から血液透析要素まで延び、血液ポンプを備えた動脈側血液回路における返血と、血液透析要素から静脈側穿刺部まで延びる静脈側血液回路における返血とを同時に行う手段からなる、請求項11の血液透析装置の返血装置。
- 血液ポンプがチューブとロータを備えたチューブポンプからなり、かつ、返血時にはロータをチューブから離してロータによるチューブの流路狭小化動作を解放可能なポンプからなる、請求項11〜17のいずれかに記載の血液透析装置の返血装置。
- さらに、返血時における透析液回路内の圧力を検出する手段と、該圧力検出手段による検出圧力に応じて前記透析液回路に設けられたポンプ手段を制御する手段を有する、請求項11〜18のいずれかに記載の血液透析装置の返血装置。
- 請求項11〜19のいずれかに記載の血液透析装置の返血装置を利用して、血液透析前に、透析液回路から透析液を血液回路内に流入させ、流入させた透析液を血液回路に流通させることが可能な血液透析装置のプライミング装置。
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