JP2006005599A - 受光装置 - Google Patents

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Fukumi Ueda
福美 上田
Masahiko Iwasaki
正彦 岩崎
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Abstract

【課題】 定常的な強い光と信号光とを同時に受光して生成された入力信号から、定常的な強い光による直流成分を除去して信号光による交流成分を抽出し、幅広いダイナミックレンジで出力の飽和を防止しながら位相変動を抑えて増幅する。
【解決手段】 受光装置1は、帰還増幅回路2と受光素子3と直流成分除去回路4とを備えている。直流成分除去回路4の積分器41は、受光素子3で光を受けて生成された入力電流Ipのうち、太陽光等から生成される直流成分を直流成分除去回路4に流し、信号光を受けて受光素子3から生成される高周波の交流成分のみを帰還回路22に流す。ショットキーダイオード23は、出力電圧Voの飽和を防止するとともに、位相変動を小さく抑える。
【選択図】 図1

Description

この発明は、入力される信号を増幅して出力する受光装置に関する。
屋外で信号光を受光して増幅する受光器は、例えば図4に示すように受光素子91と負荷抵抗92と増幅器93とにより構成される。信号光を受光した受光素子91から光電変換により出力される光電流Iは、抵抗値Rの負荷抵抗92を流れることにより増幅器93の入力端子に起電力V=IRを発生させる。一般に、光電流Iは負荷抵抗92の抵抗値Rに依存しないため、負荷抵抗Rを大きくするほど起電力Vが大きくなり、S/N比が向上する。起電力VはゲインAをもつ増幅器93により、出力電圧Vo=AIRに変換される。
屋外環境下において光学式通信を行う場合、受光素子91には、信号光以外に外乱として太陽光が入力される。信号光は100分の数ルクス(lx)以下であるのに対し、真夏の太陽光は10万ルクス(lx)に達するため、光電流Iのうち圧倒的に太陽光により発生する電流が大きくなる。
例えば、負荷抵抗92の抵抗値R=100kΩ、増幅器93のゲインA=1000倍とする受光器に最も弱い信号光が入力され、最小交流光電流10nAが発生する場合、出力電圧Vo=AIR=1000×10nA×100kΩ=1Vを得る。この受光器に太陽光が入射すると直流光電流10mAが発生し、増幅器93の入力はV=IR=10mA×100kΩ=1000Vとなり、太陽光により増幅器93の入力が飽和することにより信号光を抽出できなくなる問題がある。
交流成分の信号光と直流成分の太陽光とを分離するため、負荷抵抗92に並列にインダクタンスを挿入する方法が考えられる。増幅器93及び受光素子91等の影響で増幅器93の入力側に存在する浮遊容量94(C)との共振周波数を考慮すると、インダクタンスLを大きくできないためインピーダンスは数kΩ程度となることから受光回路のゲインに限界がある。
さらに、浮遊容量94(C)の影響により、出力電圧Voは式1のように表され、図5(a)に示すように階段状に光電流Iが発生すると、出力電圧Voは図5(b)に示すように徐々に立上がる。
Figure 2006005599
浮遊容量94の値をC=10pFとし、信号光のパルス幅T=10nsとすると、最小交流電流10nAに対する出力電圧は約0.01Vに減衰する。すなわち、浮遊容量の存在が、高速な信号光を遅延させることにより出力を減衰させるとともに、信号光の入力レベルの変動に伴って位相遅れ量が大きく変動する。位相遅れ量が変動すると、高速通信ができず、また、例えば距離計測では物体の反射率の違いにより距離に誤差を発生させる。
特許文献1では、増幅器の入力端子と出力端子との間に帰還インダクタンスを接続し、受光素子からの入力のうち、太陽光による直流成分を出力端子に短絡して流し、信号光による交流成分のみを帰還インダクタンスで出力電圧に変換する受光回路が記載されている。特許文献1の受光回路では、浮遊容量等の共振周波数を考慮すると、インダクタンスを大きくできずゲインに限界がある。
さらに、従来の受光回路では、光電流を10nA〜10mA程度の大きなダイナミックレンジで変化させる信号光で通信を行う場合、増幅器の入力が飽和したり、出力電圧の位相が大きく変動するため、高速通信に適さない。
特開平6−252731号公報
この発明は、定常的な強い光と信号光とを同時に受光して生成された入力信号から、定常的な強い光による直流成分を除去して信号光による交流成分を抽出し、幅広いダイナミックレンジで出力の飽和を防止しながら位相変動を抑えて増幅できる受光装置を提供することを目的とする。
この発明の受光装置は、屋外環境において発光器から送出された変調光信号を受光する受光装置において、受光素子と帰還増幅回路及び直流成分除去回路を有する。帰還増幅回路は増幅器と帰還回路を有し、増幅器は受光素子より出力される電気信号を増幅するものであり受光素子の出力が接続され、帰還回路は並列に接続された帰還抵抗と一定電圧以上で低インピーダンスになる非直線回路素子とを有し、非直線回路素子は受光素子から出力される電気信号に応じて帰還回路全体の抵抗を可変する。直流成分除去回路は積分器と直流分流抵抗を有し、積分器は入力端子が増幅器の出力端子側に接続され、出力端子が直流分流抵抗を介して受光素子の出力側に接続され、増幅器から出力される直流成分を積分し、受光素子から出力される直流成分を全て直流分流抵抗側に分流させる。さらに、非直線回路素子にショットキーダイオードを用いるとよい。また、入力信号に交流成分を含まない場合の増幅器の出力電圧を調整する出力電圧調整部を備えるとよい。
この受光装置によれば、定常的な強い光と信号光とを同時に受光して生成された入力信号から、定常的な強い光による直流成分を除去して信号光による交流成分を抽出し、幅広いダイナミックレンジで出力の飽和を防止しながら位相変動を抑えて増幅できる。非線形回路素子にショットキーダイオードを用いることにより位相変動の抑制効果が増大する。さらに出力電圧調整部を備えることにより入力信号に交流成分を含まない場合の増幅器の出力電圧を調整できる
第1の実施形態の受光装置1は、図1の構成図に示すように、帰還増幅回路2と受光素子3と直流成分除去回路4とを備える。
帰還増幅回路2は増幅器21と帰還回路22とを有し、帰還回路22はショットキーダイオード23と帰還抵抗24とを並列に接続して構成され、増幅器21の逆相入力端子25と出力端子26との間に接続される。増幅器21の正相入力端子27は接地されている。受光素子3は、出力端子31を増幅器21の逆相入力端子25に接続され、バイアス端子32に印加された電圧Vbにより逆バイアスが印加されており、光が照射されると入力電流Ipを発生して出力端子31を通じて流出させる。
直流成分除去回路4は積分器41と直流分流抵抗42とを有し、積分器41は入力端子43が増幅器21の出力端子26に接続され、出力端子44が直流分流抵抗42を介して受光素子3の出力端子31及び増幅器21の逆相入力端子25に接続されている。
積分器41は、例えば図2の構成図に示すような差動積分器で実現される。増幅器401の逆相入力端子402は、コンデンサ403を介して増幅器401の出力端子404に接続されて積分器41の出力端子44に接続されるとともに、抵抗405を介してバイアス端子406に接続されている。増幅器401の正相入力端子407は、コンデンサ408を介して接地されるとともに、抵抗409を介して積分器41の入力端子43に接続されている。
バイアス端子406に電圧V1を印加し、入力端子43に電圧V2を印加すると、式2で表されるように、逆相入力端子402の電圧Vcは、バーチャルショートされた正相入力端子407の電圧に等しくなる。
Figure 2006005599
逆相入力端子402からコンデンサ403を通って出力端子404に流れる電流Iは、式3で表されるように、バイアス端子406から抵抗405に流れ込む電流に等しい。出力端子404の電圧Vdcは、式4で表されるように、逆相入力端子402の電圧Vcにコンデンサ403の電圧を加えて得られる。
Figure 2006005599
電圧Vdcは、電圧Vcと電流Iを代入して積分定数Aを用いて式5で表され、時間t=0のとき電圧Vdc=0であることから積分定数A=−V2が定まる。電圧Vdcは式6で表されるように、電圧V1と電圧V2との間に差があれば、時間tに比例して積分される。バイアス端子406を接地して電圧V1=0とすると、式7で表されるように、電圧Vdcは、入力端子43に電圧V2が印加されると、時間tに比例して積分する。
Figure 2006005599
例えば屋外で信号光を受信する場合、信号光に加え、太陽光による定常的な強い光が受光素子3に入射される。受光素子3は信号光と太陽光とを含む入力光を受光すると、太陽光による直流成分と信号光による交流成分とを含んだ入力電流Ipを生成し、増幅器21の逆相入力端子25に入力する。
ここで、入力電流Ipに太陽光による直流成分のみが含まれる場合の動作を説明する。帰還増幅回路2を流れる電流Ifと、直流成分除去回路4を流れる電流Ibとに分かれることから、入力電流Ipは式8のように電流Ifと電流Ibとの和で表される。
Figure 2006005599
出力電圧Voは式9のように、抵抗値Rfの帰還回路22を流れる電流Ifによる電圧降下で表される。
Figure 2006005599
式7で表される積分器41の出力端子404の電圧Vdcは、式10のように表されるように、積分器41の入力端子43の電圧V2に増幅器21の出力電圧Voが印加される。同時に、積分器41の出力端子404の電圧Vdcは、式11のように抵抗値Rbの直流分流抵抗42を流れる電流Ibによる電圧降下としても表されるため、式12のような等式が導かれる。
Figure 2006005599
式12を電流Ibで解くと明らかなように、電流Ibは式13のように時間応答する。
Figure 2006005599
式13が示すように、入力電流Ipが入力されたばかりの時間t=0ではIb=0かつIf=Ipとなり、入力電流Ipのほぼ全てが帰還回路22を流れる電流Ifとなり、徐々に直流成分除去回路4へ流れ込む電流Ibが増えて帰還回路22を流れる電流Ifが減り、十分時間が経過するとt=∞ではIb=IpかつIf=Ipとなり、入力電流Ipのほぼ全てが直流成分除去回路4へ流れ込む電流Ibとなる。従って、定常状態では、太陽光等の定常的な光は出力に現れない。
一方、入力電流Ipに信号光による交流成分が含まれる場合、交流成分は十分な時間が経過するよりも速く高周波で変化することから、電流Ifにのみ含まれて電流Ibには含まれない。
直流成分除去回路4とを設けることにより、入力電流Ipのうち、太陽光等の定常的な光から生成される直流成分と、信号光を受けて生成される高周波の交流成分とを分離し、直流成分を直流成分除去回路4に流すことにより帰還回路22に流れて出力に影響することを防止し、信号光を受けて受光素子3から生成される高周波の交流成分のみを帰還回路22に流して増幅して出力することができる。また、インダクタンスを用いないため、浮遊容量との共振周波数による増幅率の抑制を防止できるとともにLSI化が容易になる。
増幅器21及び積分器41の帰還により、受光素子3や増幅器21等の浮遊容量の電位を一定に保つことができるため、浮遊容量による位相変化及び振幅率の低下を防止できる。増幅器21の積分器41を通る帰還により、増幅器21の入力オフセット電圧の影響を除去できる。
信号光により過大かつ高速な交流成分が電流Ifとして帰還回路22に流れる場合、帰還抵抗24に並列に接続され、一定電圧以上で低抵抗になる非直線回路素子として機能するショットキーダイオード23は、他のダイオード等に比較して高速に非線形抵抗Rdを減少させて出力電圧Voの変動量を小さくすることにより、出力電圧Voの飽和を防止できるとともに、位相変動を小さくできる。ショットキーダイオード23を用いることで、通常、入力電流Ipを10nAから10mAの約1,000,000倍の範囲等の広範囲でレベル変動させるパルス幅10ns程度の高周波の信号光を受けて増幅する場合でも、出力電圧Voの飽和及び位相変動を抑制できる。さらに、ショットキーダイオード23は、他のダイオード等に比較して浮遊容量が非常に小さいため位相遅れを小さく抑えられる。
例えばレーザ光を受光して距離を計測する場合、光は1nsで約30cm進み、位相変動を低減することにより距離分解能を高められる。また、ダイナミックレンジを広範囲にすることにより、遠い物体や低反射率の物体からの弱い反射光や、近い物体や高反射率の物体からの強い反射光等を幅広く、高い分解能で検出できる。
この受光装置1によれば、受光した入力信号から太陽光等による大きな直流成分を除去して信号光による交流成分を抽出し、幅広いダイナミックレンジにおいて出力電圧を飽和させることなく、かつ、位相変動を小さく抑えて高周波パルスの交流成分の増幅を行うことができる。
第2の実施形態の受光装置5は、図3に示すように、帰還増幅回路51と受光素子52と直流成分除去回路53と出力電圧調整部54と電圧フォロワ55とを備えている。
帰還増幅回路51は増幅器511と帰還回路512とを有し、帰還回路512はショットキーダイオード513と帰還抵抗514とを並列に接続して構成され、増幅器511の逆相入力端子515と出力端子516との間に接続される。受光素子52は、出力端子521を増幅器511の逆相入力端子515に接続され、バイアス端子522に印加された電圧Vbにより逆バイアスが印加されており、光が照射されると入力電流Ipを発生して出力端子521を通じて流出させる。
直流成分除去回路53は積分器531と直流分流抵抗532とを有し、積分器531は入力端子533が増幅器511の出力端子516に接続され、出力端子534が直流分流抵抗532を介して受光素子52の出力端子521及び増幅器511の逆相入力端子515に接続されている。
帰還増幅回路51、受光素子52及び直流成分除去回路53は、それぞれ、第1の実施形態の受光装置1が備える帰還増幅回路2、受光素子3及び直流成分除去回路4と同様に機能する。
出力電圧調整部54では、積分器531のバイアス端子535に印加する電圧を調整することにより、信号光が入力されない場合の増幅器51の出力電圧を決定する。増幅器51の出力端子512には、電圧フォロワ55が接続されており、受光装置の出力端子56における出力インピーダンスを低減させている。
この受光装置5によれば、第1の実施形態の受光装置1の効果を得られるとともに、信号光が入力されない場合の増幅器の出力電圧を自由に調整できるとともに、出力インピーダンスを低減することで、出力電圧を利用する後段への影響を低減できる。
この発明は、レーザ光を用いた測距計、光ベースバンド符号化通信装置、右折車両検出装置、LED灯器符号化受光回路、物体検出センサ等の受光装置に応用できる。
受光装置の構成図である。 積分器の構成図である。 他の受光装置の構成図である。 従来の受光回路の構成図である。 従来の受光回路の入力信号及び出力信号の波形図である。
符号の説明
1;受光装置、2;帰還増幅回路、3;受光素子、4;直流成分除去回路、
21;増幅器、22;帰還回路、23;ショットキーダイオード、24;帰還抵抗、
25;逆相入力端子、26;出力端子、27;正相入力端子、31;出力端子、
32;バイアス端子、41;積分器、42;直流分流抵抗、43;入力端子、
44;出力端子、51;帰還増幅回路、52;受光素子、53;直流成分除去回路、
54;出力電圧調整部、55;電圧フォロワ、401;増幅器、402;逆相入力端子、
403;コンデンサ、404;出力端子、405;抵抗、406;バイアス端子、
407;正相入力端子、408;コンデンサ、409;抵抗、511;増幅器、
512;帰還回路、513;ショットキーダイオード、514;帰還抵抗、
515;逆相入力端子、516;出力端子、521;出力端子、522;バイアス端子、
531;積分器531、532;直流分流抵抗、533;入力端子、534;出力端子、
535;バイアス端子。

Claims (3)

  1. 屋外環境において発光器から送出された変調光信号を受光する受光装置において、
    受光素子と帰還増幅回路及び直流成分除去回路を有し、
    前記帰還増幅回路は増幅器と帰還回路を有し、前記増幅器は前記受光素子より出力される電気信号を増幅するものであり前記受光素子の出力が接続され、前記帰還回路は並列に接続された帰還抵抗と一定電圧以上で低抵抗になる非直線回路素子とを有し、前記非直線回路素子は前記受光素子から出力される電気信号に応じて前記帰還回路全体の抵抗を可変し、
    前記直流成分除去回路は積分器と直流分流抵抗を有し、前記積分器は入力端子が前記増幅器の出力端子側に接続され、出力端子が前記直流分流抵抗を介して前記受光素子の出力側に接続され、前記増幅器から出力される直流成分を積分し、前記受光素子から出力される直流成分を全て前記直流分流抵抗側に分流させることを特徴とする受光装置。
  2. 前記非直線回路素子はショットキーダイオードである請求項1に記載の受光装置。
  3. 入力信号に交流成分を含まない場合の増幅器の出力電圧を調整する出力電圧調整部を備える請求項1または請求項2に記載の受光装置。

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