JP2006004474A - 薄膜磁気ヘッド、ヘッドジンバルアセンブリ、ヘッドアームアセンブリおよび磁気ディスク装置 - Google Patents

薄膜磁気ヘッド、ヘッドジンバルアセンブリ、ヘッドアームアセンブリおよび磁気ディスク装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 駆動時において極めて微小なマグネティックスペーシングを安定して維持することの可能な、高記録密度に対応した磁気ディスク装置を提供する。
【解決手段】 薄膜磁気ヘッド10が、MR素子20Aおよび記録素子20Bを有する磁気変換素子20と、この磁気変換素子20を挟んでABS11Sとは反対側に配置されたヒータ30と、磁気変換素子20よりもヒータ30側に配置された熱電対40とを内部に備えた積層構造をなすようにしたので、ABS11Sの突出量を高精度に制御することができる。このため、駆動時における微小かつ安定したマグネティックスペーシングMSを高精度に制御することができ、さらなる高記録密度に対応することができる。
【選択図】 図5

Description

本発明は、磁気変換素子を搭載した薄膜磁気ヘッド、ヘッドジンバルアセンブリ、ヘッドアームアセンブリおよび磁気ディスク装置に関する。
従来より、磁気情報(以下、単に情報という。)の記録および読出を行うものとして磁気ディスク装置が用いられている。磁気ディスク装置は、例えば筐体の内部に、情報が格納される磁気ディスクと、この磁気ディスクへの情報の記録および磁気ディスクに記録された情報の再生を行う薄膜磁気ヘッドとを備えたものである。磁気ディスクは、筐体に固定されたスピンドルモータの回転軸に支持され、これを中心として回転するようになっている。一方、薄膜磁気ヘッドは、サスペンションの一端に設けられた磁気ヘッドスライダの一側面に形成されており、磁気ディスクと対向する記録媒体対向面(ABS;Air Bearing Surface)を有する磁気記録素子および磁気再生素子を含んで構成されている。特に、磁気再生素子としては、磁気抵抗(MR:Magnetoresistive)効果を示すMR素子が一般的に用いられる。サスペンションの他端は、筐体内部に立設した固定軸に回動可能に支持されたアームの先端に取り付けられている。
薄膜磁気ヘッドは、磁気ディスク装置が静止状態にあるとき、すなわち、磁気ディスクが回転せずに静止しているときには、サスペンションの付勢力によって、ABSが磁気ディスクの表面に軽く押しつけられるように接している。ここで磁気ディスク装置が駆動状態となり、磁気ディスクが回転を開始すると磁気ヘッドスライダが僅かに浮上し、ABSと磁気ディスク表面との微小な間隔(マグネティックスペーシング)を生じることとなる。この浮上量を安定化することにより、情報の記録および再生を正確に行うことができる。
ところで、近年、磁気ディスクの高記録密度化(大容量化)が進んでおり、これに伴って記録トラック幅の狭小化が進んでいる。このように記録トラック幅が狭くなると、薄膜磁気ヘッドの寸法も小さくなるので、磁気記録素子における磁気ディスクへの信号記録能力が弱まると共に磁気ディスクからの信号磁界の強度も弱くなってしまう。これらの機能低下を補うため、マグネティックスペーシングをより小さくする(薄膜磁気ヘッドのABSと磁気ディスク表面とを近づける)必要があった。
そこで、磁気ヘッドスライダ全体の浮上高さを下げるようにしたところ、十分な制御をおこなうことができずに磁気ディスク表面の微小な突起などに薄膜磁気ヘッドが接触し、発熱による異常信号の発生や薄膜磁気ヘッド自体の摩耗といった問題が生じることがあった。
このような問題を解決するため、本出願人は、先に、磁気記録素子および磁気再生素子からなる磁気変換素子の、ABSとは反対側に発熱手段を設けるようにした薄膜磁気ヘッドを提案している(特許文献1参照。)。この薄膜磁気ヘッドでは、磁気ディスク装置の駆動時に、発熱体の発熱によりその周辺部分が熱膨張するのを利用して磁気変換素子をABS側へ突出させ、マグネティックスペーシングの微小化を図っている。この際、発熱量を制御することによって突出量を高精度に調節し、微小なマグネティックスペーシングであっても安定して維持するようにしたので、磁気ディスク表面と薄膜磁気ヘッドとの接触する確率を大幅に下げることができた。
さらに、この特許文献1が開示されたのち、温度検知部を搭載し、検知した温度情報に基づいて発熱体への通電量を制御するようにした薄膜磁気ヘッドが提案されている(例えば特許文献2参照。)。この薄膜磁気ヘッドでは、一対の発熱体が磁気ディスクの回転方向に沿って磁気変換素子を挟むように設けられていると共に、温度検知部が一方の発熱体と磁気変換素子との間に設けられている。また、関連する先行技術として、発熱体を有する磁気ヘッドスライダと温度センサが設けられたアームとを備えるようにした磁気ディスク装置が開示されている(例えば特許文献3参照。)。
特開2003−168274号公報 特開2003−272335号公報 米国特許第5991113号明細書
ところが最近では、磁気ディスクのさらなる高記録密度化(大容量化)が進んでいることから、これに対応可能なようにマグネティックスペーシングの微小化および安定化がさらに強く求められるようになってきている。しかしながら、特許文献1の薄膜磁気ヘッドでは、発熱体周辺部分の温度が使用時の磁気変換素子自身の駆動による発熱や、周辺の温度環境等によって左右され易いことから、発熱体への投入電力の制御によって極めて微小なマグネティックスペーシングを高精度に制御することは困難であった。また、特許文献2の薄膜磁気ヘッドでは、発熱体が磁気ディスクの回転方向に沿って磁気変換素子を挟むように設けられていることから投入電力の変化に伴うABSと直交する方向への変位が十分に得られず、発熱体の発熱によって磁気変換素子の温度も高温となってしまうことが予想される。さらに特許文献3の磁気ディスク装置では、発熱体と磁気変換素子との距離が大きく、投入電力を変化させてから突出量が変化するまでの時間的なギャップが大きいと予想される。こうしたことから、特許文献2,3の薄膜磁気ヘッド(磁気ディスク装置)においても、極めて微小なマグネティックスペーシングを高精度に制御することはやはり困難と考えられる。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、発熱体を有し、この発熱体に対する投入電力に応じて記録媒体対向面側への突出量を高精度に制御することのできる薄膜磁気ヘッドならびにそれを搭載したヘッドジンバルアセンブリおよびヘッドアームアセンブリを提供することにある。
本発明の第2の目的は、駆動時において極めて微小なマグネティックスペーシングを安定して維持することの可能な、高記録密度に対応した磁気ディスク装置を提供することにある。
本発明の薄膜磁気ヘッド、ヘッドジンバルアセンブリ、ヘッドアームアセンブリおよび磁気ディスク装置は、磁気記録媒体と対向する記録媒体対向面を有する積層構造をなす薄膜磁気ヘッドであり、積層構造が、その内部に磁気記録媒体への情報記録を行う記録素子および磁気記録媒体からの信号磁界を検出する再生素子のうちの少なくとも一方を有する磁気変換素子と、この磁気変換素子を挟んで記録媒体対向面とは反対側に配置された発熱手段と、磁気変換素子よりも発熱手段側に配置された温度検知手段とを備えるようにしたものである。
本発明の薄膜磁気ヘッド、ヘッドジンバルアセンブリ、ヘッドアームアセンブリおよび磁気ディスク装置では、積層構造の内部において、発熱手段が磁気変換素子を挟んで記録媒体対向面とは反対側に配置されると共に、温度検知手段が磁気変換素子における発熱手段側の端部よりも発熱手段側に配置されるようにしたので、投入電力の変化に対して突出量が敏感に変化することとなるうえ、検出温度に応じた投入電力の調整が可能となり、突出量が高精度に制御される。
本発明の薄膜磁気ヘッド、ヘッドジンバルアセンブリ、ヘッドアームアセンブリおよび磁気ディスク装置では、特に、温度検知手段が、磁気記録媒体と直交する方向において磁気変換素子と発熱手段との間に配置されることが望ましい。
本発明の薄膜磁気ヘッド、ヘッドジンバルアセンブリおよびヘッドアームアセンブリによれば、積層構造が、その内部に、記録素子および再生素子のうちの少なくとも一方を含む磁気変換素子と、この磁気変換素子を挟んで記録媒体対向面とは反対側に配置された発熱手段と、磁気変換素子における発熱手段側の端部よりも発熱手段側に配置された温度検知手段とを備えるようにしたので、温度検知手段によって得られた検出温度に基づいて発熱手段への投入電力を調整することにより、磁気変換素子における記録媒体対向面側への突出量を高精度かつ効率的に制御可能となる。特に、磁気変換素子と発熱手段との間に温度検知手段を配置するようにすれば、磁気変換素子自身の駆動による発熱をも考慮した敏感な温度検知が可能となり、より高精度な突出量制御が可能となる。
本発明の磁気ディスク装置によれば、上記本発明の薄膜磁気ヘッドを有するヘッドアームアセンブリと磁気記録媒体とを備えるようにしたので、駆動時において、投入電力の調整により磁気変換素子の突出量を高精度に制御することができ、極めて微小なマグネティックスペーシングを安定して維持することができる。したがって、より高い記録密度に対応することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
最初に、図1および図2を参照して、本発明の一実施の形態に係る磁気ディスク装置の構成について以下に説明する。
図1は、本実施の形態に係る磁気ディスク装置の内部構成を表す斜視図である。この磁気ディスク装置は、駆動方式としてCSS(Contact-Start-Stop)動作方式を採用したものであり、例えば筐体1の内部に、情報が記録されることとなる磁気記録媒体としての磁気ディスク2と、この磁気ディスク2への情報の記録およびその情報の再生を行うためのヘッドアームアセンブリ(HAA;Head Arm Assembly)3とを備えるようにしたものである。HAA3は、ヘッドジンバルアセンブリ(HGA;Head Gimbals Assembly)4と、このHGA4の基部を支持するアーム5と、このアーム5を回動させる動力源としての駆動部6を備えている。HGA4は、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッド10(後出)が一側面に設けられた磁気ヘッドスライダ(以下、単に「スライダ」という。)4Aと、このスライダ4Aが一端に取り付けられたサスペンション4Bとを有するものである。このサスペンション4Bの他端(スライダ4Aとは反対側の端部)は、アーム5によって支持されている。アーム5は、筐体1に固定された固定軸7を中心軸としてベアリング8を介して回動可能なように構成されている。駆動部6は、例えばボイスコイルモータなどからなる。なお、磁気ディスク装置は、複数(図1では4枚)の磁気ディスク52を備えており、各磁気ディスク2の記録面(表面および裏面)2Sのそれぞれ対応してスライダ4Aが配設されるようになっている。各スライダ4Aは、各磁気ディスク2の記録面2Sと平行な面内において、記録トラックを横切る方向(X方向)に移動することができる。一方、磁気ディスク2は、筐体1に固定されたスピンドルモータ9を中心とし、X方向に対してほぼ直交する方向に回転するようになっている。磁気ディスク2の回転およびスライダ4Aの移動により磁気ディスク2に情報が記録され、または記録された情報が読み出されるようになっている。
図2は、図1に示したスライダ4Aの構成を表している。このスライダ4Aは、例えば、アルティック(Al23・TiC)よりなるブロック状の基体11を有している。この基体11は、例えば、ほぼ六面体状に形成されており、そのうちの一面が磁気ディスク2の記録面2Sに近接して対向配置されたABS11Sである。磁気ディスク装置が駆動していないとき、すなわち、スピンドルモータ9が停止し、磁気ディスク2が回転していないときには、ABS11Sと記録面2Sとが接触した状態となっている。スピンドルモータ9により磁気ディスク2が高速回転を始めると記録面2SとABS11Sとの間に空気流が起こり、これに起因する揚力によりスライダ4Aが記録面2Sと直交する方向(Y方向)に沿って浮上し、ABS11Sと磁気ディスク2との間に一定の間隙(マグネティックスペーシング)MS(図19)が生じるようになっている。また、ABS11Sと直交する一側面である素子形成面11Aには薄膜磁気ヘッド10が設けられている。
次に、図3から図6を参照して、薄膜磁気ヘッド10についてより詳細に説明する。
図3は、薄膜磁気ヘッド10の構成を表す分解斜視図である。図4は、図3に示した矢印IVの方向から眺めた平面図であり、図5は、図4に示したV−V線に沿った矢視方向の構造を表す断面図である。さらに、図6(A)は図4に示したVIA−VIA線に沿った矢視方向の断面構造を表し、図6(B)は図4に示したVIB−VIB線に沿った矢視方向の断面構造を表すものである。薄膜磁気ヘッド10は、ABS11Sを有する積層構造をなしており、その内部に磁気変換素子20、ヒータ30および熱電対40を備えている。磁気変換素子20は、磁気ディスク2に記録された磁気情報を再生する磁気抵抗効果(MR)素子20Aと、磁気ディスク2の記録トラックに磁気情報を記録する記録素子20Bとによって構成されている。ヒータ30は、発熱手段であり、磁気変換素子20を挟んでABS11Sとは反対側(後方)に配置されている。熱電対40は、温度検知手段であって磁気変換素子20とヒータ30との間に配置されている。なお、本実施の形態では、ABS11Sと直交する方向(Y方向)において、磁気変換素子20からみてABS11Sの側を「前方」とし、ABS11Sと反対側を「後方」と呼ぶこととする。
ヒータ30は、基体11の上に絶縁層12を介して形成された発熱体31と、この発熱体31の両端末と接続された一対のリードパターン32A,32Bとを有している。発熱体31は、絶縁層12上で蛇行する線状パターンをなし、例えば、ニッケルクロム合金(NiCr)、銅(Cu)、金(Au)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)およびロジウム(Rh)のうちの少なくとも一種を含む材料からなるものである。リードパターン32A,32Bは、素子形成面11Aに設けられた電極30S,30E(図3)と接続されている。ここでヒータ30は、図4に示したように、記録トラックの幅方向(X方向)において磁気変換素子20の幅20Wの範囲に収まるように配置されることが望ましく、特に、発熱体31の幅31Wの中心位置が幅20Wの中心位置と一致することが望ましい。
熱電対40は、例えば白金(Pt)からなる第1部分40Aと、例えば白金ロジウム合金(ロジウムを13重量%含有したもの)からなる第2部分40Bとが接合されたものであり、その接合面40Sが絶縁層12上の、磁気変換素子20のX方向における中心位置を通る直線上に位置するように構成されている。接合面40Sの形成位置は、X方向において磁気変換素子20の中心位置と一致することが最も望ましいが、少なくとも幅31Wの範囲に収まっていればよい(図4)。第1部分40Aおよび第2部分40Bは、それぞれ、素子形成面11Aに設けられた電極40S,40E(図3)と接続されている。
MR素子20Aは、センス電流がMR膜パターン15の内部を積層面内方向に流れるように構成されたCIP(Current In Plane)−GMR(Giant Magnetoresistive)構造をなしている。具体的には、MR素子20Aは、ABS11Sに露出する側において、例えば基体11の上に絶縁層12(図5および図6のみ示す)、下部シールド層13、下部ギャップ層14、MR膜パターン15、上部ギャップ層18および上部シールド層19が順に積層されたものである。ここで、下部ギャップ層14と上部ギャップ層18との間には、MR膜パターン15の両側に隣接して延在する一対の磁区制御層16(16L,16R)と、その上に形成された一対の導電リード層17(17L,17R)とが配置されている(図3)。また、上部ギャップ層18は、MR膜パターン15の後方をも取り囲むように設けられており、詳細には、MR膜パターン15の後方を占める第1部分18Aと、MR膜パターン15(および導電リード層17)の上面を覆う第2部分18Bとの2つの部分から構成されている。なお、下部シールド層13の後方には、絶縁性の平坦化膜28Aに埋設されたヒータ30および熱電対40が配置されている。上部ギャップ層18および上部シールド層19の後方には平坦化膜28Bが充填されている。
下部シールド層13および上部シールド層19は、例えば、ニッケル鉄合金(NiFe)などの軟磁性金属材料によりそれぞれ構成され、MR膜パターン15を積層方向(Z方向)に挟んで対向することで、不要な磁界の影響がMR膜パターン15に及ばないように機能するものである。下部ギャップ層14は酸化アルミニウム(Al23)、窒化アルミニウム(AlN)、二酸化珪素(SiO2)またはダイヤモンドライクカーボン(DLC)などの絶縁性材料からなり、主に下部シールド層13とMR膜パターン15との電気的な絶縁をおこなう。上部ギャップ層18は、下部ギャップ層14と同様の絶縁性材料からなり、上部シールド層19とMR膜パターン15との電気的な絶縁をおこなう。MR膜パターン15は、磁気ディスク2の記録情報に起因した信号磁界変化を検知するセンサ部分として機能し、例えば下部ギャップ層の側から固定作用層(ピンニング層)、被固定層(ピンド層)、非磁性層、磁気感受層(フリー層)および保護層(いずれも図示せず)が順に積層されたスピンバルブ構造をなすものである。一対の磁区制御層16(16L,16R)は、特に上記磁気感受層に磁気バイアスを印加して磁区の向きを揃え、単磁区化をおこなうものであり、例えばコバルト白金合金(CoPt)などの硬磁性材料により構成されている。一対の導電リード層17(17L,17R)は、MR膜パターン15に対して積層面内方向(X方向)へセンス電流を流すための電流経路となるものであり、それぞれ素子形成面11上に形成された一対の電極17LP,17RPに接続されている。
このような構成のMR素子20Aでは、MR膜パターン15に含まれる磁気感受層の磁化方向が、磁気ディスク2からの信号磁界に応じて変化する。このため、MR膜パターン15に含まれる被固定層の磁化方向との相対的な変化を生じることとなる。ここで一対の導電リード層17を介してMR膜パターン15へセンス電流を流すと磁化方向の相対的変化が電気抵抗の変化として現れるので、これを利用することにより信号磁界を検知し磁気情報を読み出すようになっている。
一方、記録素子20Bは、MR素子20Aの上に絶縁層21を介して設けられており、下部磁極22、記録ギャップ層23、コイル24、絶縁層25および上部磁極47を有している。
下部磁極22は、例えば、NiFeなどの磁性材料よりなり、MR素子20Aと記録素子20Bとを分離する絶縁層21の上に形成されている。なお、下部磁極22の後方には平坦化膜28Cが充填されている。下部磁極22の上には、Al23などの絶縁材料よりなる記録ギャップ層23が形成されている。この記録ギャップ層23は、コイル24のXY平面における中心部に対応する位置に、磁路形成のための開口部23Aを有してる。銅(Cu)や金(Au)などにより構成されたコイル24は、開口部23Aを中心として渦を巻くように記録ギャップ層42上に設けられており、フォトレジストなどからなる絶縁層25によって一部(端末部分)を除いて覆われている。コイル24の両端末はそれぞれコイルリード24A,24Bを介して電極24S,24Eに接続されている。さらに、上部磁極26が記録ギャップ層23、開口部23Aおよび絶縁層25を覆うように形成されている。この上部磁極26は、例えば、ニッケル鉄合金(NiFe)などの高飽和磁束密度を有する軟磁性材料よりなり、開口部23Aを介して下部磁極22と接触しており、互いに磁気的に連結している。さらに、Al23などからなる保護膜27が記録素子20Bの上面全体を覆うように形成されている。
このような構成を有する記録素子20Bは、コイル24に流れる書込電流により、主に下部磁極22と上部磁極26とによって構成される磁路内部に磁束が発生する。これにより記録ギャップ層23の近傍に信号磁界が生じるので、その信号磁界によって記録面2Sの所定の領域部分を磁化し、情報を記録するようになっている。
次に、図7から図17を参照して、薄膜磁気ヘッド10の製造方法について説明する。
まず、図7に示したように、スパッタリング法などを用い、基体11の上に全面に亘って絶縁層12を形成する。ここでは、Al23またはSiO2を用いて、0.1μm〜5.0μmの厚みをなすように形成することが望ましい。次いで、図8に示したように、のちに形成する磁気変換素子20の後方となる所定の位置に、発熱体31を含むヒータ30を形成する。発熱体31を形成する際にはドライエッチング法を用いる。具体的には、例えば0.3μm〜3μmの厚みとなるようにスパッタリング法、蒸着法、化学気相蒸着(CVD)法またはめっき法などを用いて絶縁層12の上に既出の材料からなる薄膜を成膜したのち、この薄膜上に形成した所定形状のレジストパターンを利用して反応性イオンエッチング(RIE)やミリングを行い、レジストパターンを剥離するようにする。
次に、上記のように形成した発熱体31の前方、かつ磁気変換素子20の後方となる位置に、熱電対40の接合面40Sを形成する。具体的には、まず、図8に示したように、例えば白金からなる第1部分40Aをドライエッチング法により形成する。次いで、この第1部分40Aと輪郭が一致して重なるように、PtRh(Pt13wt%含有)を用いて第2の部分をドライエッチング法により形成する(図9)。
ヒータ30および熱電対40を形成したのち、図10に示したように、それらの前方の所定位置に、下部シールド層13をフレームめっき法などにより選択的に形成する。ここでは、0.5μm〜3μmの厚みをなすように形成する。下部シールド層13の構成材料としては、NiFeのほか、コバルト鉄ニッケル合金(CoFeNi)、コバルト鉄合金(CoFe)、窒化鉄(FeN)または鉄ジルコニウム窒化物(FeZrN)などを用いることができる。さらに、ヒータ30および熱電対40を埋設するように、Al23またはSiO2を用いて平坦化膜28Aをスパッタリングなどにより形成したのち、CMP(Chemical Mechanical Polishing)などにより平坦化する。平坦化ののち、CVD法やスパッタリング法により、下部ギャップ層14を全面に亘って、例えば10nm〜50nmの厚みをなすように形成することが望ましい。
続いて、図11に示したように、下部ギャップ層14上の最も前方位置にMR膜パターン15を形成すると共に、MR膜パターン15と隣接する磁区制御層16および導電リード層17(図11には示さず)を形成する。ここでは、まず、下部ギャップ層14を覆うように全面に亘って固定作用層、被固定層、非磁性層、磁気感受層および保護層が順に積層された多層膜を形成し、その多層膜を選択的に覆うようにマスクパターン(図示せず)を形成する。このマスクパターンは、磁区制御層16および導電リード層17の形状に対応する開口部を有している。このマスクパターンを利用したミリングにより上記の多層膜をエッチングしたのち、多層膜を除去した領域に、スパッタリング法を用いて磁区制御層16と導電リード層17とを順に積層する。そののち、マスクパターンをアセトンやN−メチルピロリドン(NMP)等の有機溶剤により溶解除去する。さらに、MR膜パターン15と導電リード層17とを合わせた形状をなす他のマスクパターン(図示せず)を形成し、これをマスクとして利用したミリングにより不要な部分の多層膜を除去する。こうすることにより、MR膜パターン15、磁区制御層16および導電リード層17の形成が完了する。なお、上記のマスクパターンは、溶解除去操作を容易とするため、断面が逆台形状(底面が最も幅が狭く、上面に向かうほど幅が広がる形状)とすることが望ましい。
こののち、MR膜パターン15、磁区制御層16および導電リード層17を覆うように上部ギャップ層18を形成する。ここでは、スパッタリング法やCVD法などにより、例えば10nm〜50nmの厚みをなすように形成する。さらに上部ギャップ層18の上に、フレームめっき法などを用いて0.5μm〜3.0μmの厚みの上部シールド層19を形成する。なお、これら上部ギャップ層18および上部シールド層19は、下部シールド層13と対応する領域に形成する。下部ギャップ層14上の、上部ギャップ層18および上部シールド層19の後方領域、すなわち、ヒータ30(発熱体31)および熱電対40の上部にあたる領域には、図12に示したように、平坦化膜28Bをスパッタリング法などにより形成したのち、CMPにより平坦化処理をおこなう。以上により、MR素子20Aの形成が一旦終了する。さらに、全体を覆うように、スパッタリング法やCVD法を用いて10nm〜50nmの厚みをなす絶縁層21を形成する。
続いて、図13に示したように、絶縁層21上に0.5μm〜3.0μmの厚みをなす下部磁極22をフレームめっき法により形成する。ここでは、NiFeのほか、CoFeNi、CoFe、FeNまたはFeZrNなどを用いることができる。
さらに、図14に示したように、下部磁極22の後方領域に平坦化膜28Cを形成し、CMPにより平坦化処理をおこなったのち、下部序曲22および平坦化膜28Cを選択的に覆うように開口部23Aを有する記録ギャップ層23を形成する。ここでは、スパッタリング法やCVD法を用いて10nm〜50nmの厚みとなるようにする。
記録ギャップ層23を形成したのち、図15に示したように、フレームめっき法により1μm〜5μmの厚みをなすコイル24を形成する。さらに、図16に示したようにコイル24の一部を覆うように絶縁層25を形成する。そののち、図17に示したように、絶縁層25を覆い、かつ下部磁極22と連結する上部磁極26を形成したうえ、絶縁層25に覆われずに露出したコイル24の一部と連結するコイルリード24Bを形成する。ここで、絶縁層25は、フォトレジストを所定領域のみ露光したのち加熱処理(キュアリング)をおこなうことにより、0.5μm〜7.0μmの厚みとなるように形成する。上部磁極26およびコイルリード24Bは、フレームめっき法により形成する。
最後に、上部磁極26を含む全てを覆うように、スパッタリング等により保護膜27を形成し、CMPなどにより平坦化処理をおこなう。これにより、記録素子20Bが形成され、磁気変換素子20の形成が一旦終了する。こののち、例えば、スライダ4Aを機械研磨するなどしてABS11Sを形成するなどの所定の工程を経ることにより、磁気変換素子20を含む薄膜磁気ヘッド10が完成する(図5)。
続いて、上記のように構成された薄膜磁気ヘッド10を備えた磁気ディスク装置の動作および作用について、図1から図6および図18を参照して説明する。図18は、書込または読出時における磁気ディスク2と薄膜磁気ヘッド10との位置関係を表す断面図である。
この磁気ディスク装置では、磁気情報の書込(記録)および読出(再生)をおこなう際には、スピンドルモータ9により磁気ディスク2が矢印2Rの方向(図1,図18)へ高速回転することにより、スライダ4Aが記録面2Sから浮上する。このとき、薄膜磁気ヘッド10の記録素子20B側がMR素子20A側よりも記録面2Sに近づくような前傾姿勢となる。磁気ディスク2の回転が安定した直後において、マグネティックスペーシングMSはh1となる。
ここで、ヒータ30に通電して発熱体31を発熱させると、その周辺部分、特に平坦化膜28A〜28C、下部ギャップ層14、絶縁層21および記録ギャップ層23が熱膨張する。これにより、磁気変換素子20が前方へ押し出され、ABS11Sが二点鎖線で示すABS11SSの位置まで突出することとなる。この結果、MR素子20Aおよび記録素子20Bと記録面2Sとの間隔、すなわち、マグネティックスペーシングMSが低減されh2となり、高い再生出力が得られると共に、より狭小な記録トラックへの書込が可能となる。この際、ヒータ30への通電量を調整することにより、突出量を制御することができる。特に、本実施の形態では、磁気変換素子20のABS11Sとは反対側に発熱体31を設けるようにしたので、ある投入電力に対して効率的に突出させることができるうえ、投入電力の変化に対する突出量変化の応答性をより高めることができる。
上記の磁気変換素子20における前方への突出は熱膨張に起因するものであることから、特に磁気変換素子20の後方部分における温度が重要な因子となる。通常、磁気変換素子20自体も動作時の通電によってジュール熱を発するすることから、その発熱量を加味したうえで、発熱体31の発熱量、すなわちヒータ30への通電量を調整することが望ましい。本実施の形態では、熱電対40により発熱体31と磁気変換素子20との間の領域の温度を検知することができる。ここで予め熱電対40による検知温度と、突出量との相関関係を把握しておくようにすると、検知温度を所定値に近づけるようにヒータ30への通電量を調整することにより、高精度な突出量の制御が可能となる。この場合、特に、ヒータ30と熱電対40とを同一階層に設けることにより、より敏感な温度検知が可能となり、突出量制御の精度がより向上する。
図19を参照して、磁気ディスク装置の動作をより詳細に説明する。図19は、磁気ディスク装置における駆動回路の構成例を表すブロック図である。
この駆動回路は、記録動作に関する要素として、入力端子51A,51Bを介して記録データを受け取るライトゲート52と、このライトゲート52からの記録データに従って記録素子20Bへ書込電流を流すライト回路53と、ライト回路53からの書込電流によって記録動作をおこなう記録素子20Bとを備えている。また、再生動作に関わる要素として、MR素子20Aに読出電流(センス電流)を流す定電流回路54と、再生動作をおこなうMR素子20Aと、このMR素子20Aからの再生信号を増幅する増幅器55と、増幅した再生信号を復調し、出力端子57A,57Bを介して再生データを出力する復調回路56とを備えている。このほか、記録制御信号を受け取る制御端子61、再生制御信号を受け取る制御端子62、ヒータ30、ヒータ30の制御をおこなうヒータ制御回路70、熱電対40および熱電対40による温度検出をおこなう温度検出回路80を備えている。
入力端子51A,51Bを介して印加される記録データはライトゲート52へ供給される。ライトゲート52は、制御端子61を介して記録制御信号が記録動作を指示するときのみライト回路53へ記録データを供給する。ライト回路53は、この記録データに従ってMR素子20Bのコイル24へ書込電流を流すので、上部磁極26の内部に磁束が形成され、磁気ディスク2の記録トラックへの記録動作がおこなわれる。
制御端子62より供給される再生制御信号が再生動作を指示するときには、定電流回路54からMR素子20AのMR膜パターン15へ一定のセンス電流が流れる。MR素子20Aによって再生された信号は増幅器55で増幅されたのち、復調回路56で復調され、得られた再生データが出力端子57A,57Bを介して出力される。
さらに、制御端子61,62より供給される記録または再生制御信号が記録動作または再生動作を指示するときには、ヒータ制御回路70によってヒータ30の発熱体31への通電がおこなわれる。このヒータ制御回路70の機能および動作について、図19に加え、図20を参照して詳細に説明する。
図20は、ヒータ制御回路70の構成例を表すブロック図である。ヒータ制御回路70は、発熱体31を含むように直列接続された制御部70Aとスイッチングトランジスタ70Bと電流値調整用の抵抗70Cとからなる直列回路を有している。さらに、スイッチングトランジスタ70Bおよび抵抗70Cと互いに並列接続となるように、直列接続されたスイッチングトランジスタ70Dおよび抵抗70Eを有している。このような構成のヒータ制御回路70では、制御端子61からの記録制御信号が記録動作を指示するときには、スイッチングトランジスタ70Dがオンとなって、抵抗70Eによって調整された電流がヒータ30の発熱体31へ流れる。一方、制御端子62からの再生制御信号が再生動作を指示するときには、スイッチングトランジスタ70Bがオンとなって、抵抗70Cによって調整された電流がヒータ30の発熱体31へ流れる。この際、熱電対40により温度制御回路80が常時、薄膜磁気ヘッド10内部の温度をモニタリングしており、その温度データが温度制御回路80から制御部70Aへ供給される。制御部70Aは、発熱体31へ流れる電流値と熱電対40による検知温度との関係および熱電対40による検知温度とABS11Sの突出量との関係を予め把握しており、これらの関係に基づいて、最適な突出量が得られるように発熱体31への電流値を制御する。この結果、最適かつ安定したマグネティックスペーシングMSを得ることができる。
このように、本実施の形態では、発熱体31と接合面40Sとを適切な位置に設け、薄膜磁気ヘッド10におけるABS11Sの突出量を正確に制御するようにしたので、駆動時における微小かつ安定したマグネティックスペーシングMSを維持し、記録面2Sとの接触確率をより低減することができる。よって、さらなる高記録密度に対応することができる。
また、発熱体31は、磁気変換素子20の後方へ所定の間隔をもって配置されていることから、磁気変換素子20は発熱体31によって直接加熱されることがないので、その機能上の信頼性が担保される。
なお、本実施の形態では、発熱体31および熱電対40を絶縁層12の上面に設けるようにしたが、互いに異なる階層に設けるようにしてもよい。例えば、図21に示した第1の変形例(変形例1)としての薄膜磁気ヘッド10Aのように、発熱体31を絶縁層12の上面に設けると共に熱電対40を下部ギャップ層14の上面に設けるようにしてもよい。また、発熱体31と熱電対40とを互いに同一の階層に設ける場合であっても、図22に示した第2の変形例(変形例2)としての薄膜磁気ヘッド10Bのように、発熱体31の後方に熱電対40を設けるようにしてもよい。ここで、図21および図22は、本実施の形態の図5に対応する断面図である。
次に、本発明の具体的な実施例について説明する。
以下に述べる本発明の実施例は、上記実施の形態において説明した製造方法に基づき、図5,図21および図22に示した断面構造を有する薄膜磁気ヘッド10,10A,10Bのサンプルを形成し、これについて特性調査をおこなったものである。同時に、本実施例の効果を明確にするため、図28に示した構造を有する薄膜磁気ヘッド110(比較例1)および図示しない構造を有する比較例2〜4を作成し、同様の特性調査をおこなった。以下、主に図21〜図28を参照して詳細を説明する。
図23は、実施例1の薄膜磁気ヘッド10における発熱体31への投入電力と、ABS11Sの突出量との関係を表す特性図である。図23において、横軸が投入電力(mW)を示し、縦軸が突出量(nm)、すなわち上部シールド層19におけるABS11SからABS11SSへの変位(図18)の大きさである。特性線23L1が駆動開始直後(駆動開始から10秒後)のデータを示し、特性線23L2が通常駆動時(センス電流または書込電流による磁気変換素子自身の発熱に伴う薄膜磁気ヘッドの温度上昇が飽和した時)におけるデータを示す。特性線23L1および特性線23L2は互いにほぼ同一の傾きを示しているが、特性線23L2(通常駆動時)の方が全体的に3.3nmほど高い突出量を示している。これは磁気変換素子20の駆動による発熱に伴い、3.3nmほど突出するためと考えられる。図23の結果から、投入電力を調整することにより突出量を変化させることはいずれの場合も可能であるが、駆動開始時と通常駆動時とにおいて互いに同一の突出量を得るためには磁気変換素子自身の駆動による発熱に伴う突出量を考慮する必要があることがわかった。
図24(A),(B)は、図23のように投入電力を印加したときの、各実施例における熱電対40による検知温度とABS11Sの突出量との関係を表す特性図である。特に、図24(A)が駆動開始時に対応するデータであり、図24(B)が通常駆動時に対応するデータである。図24(A)および図24(B)では、実施例1〜3をそれぞれ「◆」,「■」,「△」で示す。併せて、比較例1〜4のデータをそれぞれ「□」,「+」,「×」,「○」で示す。
比較例1は、図28に示したように、温度検出手段としての熱電対の配設位置が本実施例と異なっている。具体的には、磁気変換素子20の上側、すなわち上部磁極26を覆う保護膜27の、ABS11Sと開口部23Aとのほぼ中間位置に熱電対40が埋設されたものである。なお、図28では、本実施例と同様の構成要素については同一の符号を付している。さらに、比較例2は、スライダ4AにおけるABS11Sとは反対側の表面に熱電対を設けるようにしたものであり、比較例3は、HGA4のサスペンション4Bの中央部分に熱電対を設けるようにしたものであり、比較例4は、筐体1の内壁に熱電対を設けるようにしたものである。
図24(A)から明らかなように、駆動開始時においては、各実施例および各比較例はいずれも直線状の変化を示した。実施例1〜3は、比較例1〜4と比べて突出量の変化に対する検知温度の変化が大きい。比較例2〜4では、発熱体31の熱をほとんど検出できていない。比較例1では、わずかに発熱体31の熱を検出しているが全体的に温度変化が小さい。加えて比較例1では、発熱体31に電力を投入してから飽和状態となるまでに5秒〜7秒程度を要してしまった。これに対し、実施例1〜3では、検知温度が飽和するまで2秒〜3秒程度と、良好な応答性を示した。
一方、通常駆動時においては、図24(B)に示したように、磁気変換素子20自身の発熱の影響により実施例1〜3および比較例1〜4はいずれも検知温度が高温側にシフトした。但し、実施例1〜3が、突出量の変化に対して最も大きな検知温度変化を示している。すなわち、検知温度を基準とした突出量制御が最も容易である。このような有意差が生じた理由としては、実施例1〜3が、発熱体31の熱による温度変化と磁気変換素子20自身の発熱による温度変化との双方を敏感に検出しているためと考えられる。特に、実施例1では、図25に示したように、駆動開始時および通常駆動時における検知温度と突出量との相関関係が互いにほぼ一致し、突出量のばらつきを約0.3nm以内に抑えることができた。実施例2および実施例3においても、図26および図27にそれぞれ示したように、突出量のばらつきは1nm程度の範囲に収まっている。
以上説明したように、本実施例では、磁気変換素子20自身の駆動による発熱に伴う温度上昇成分とヒータ30の加熱による温度上昇成分との双方を加味した温度変化を、より正確かつ敏感に検出することができることが確認できた。さらに、その検知温度の変化に基づいて投入電力を調整することにより、駆動開始時および通常駆動時のいずれにおいても突出量を高精度に制御可能なことが確認できた。
以上、実施の形態および実施例(以下、実施の形態等)を挙げて本発明を説明したが、本発明は、これらの実施の形態等に限定されず、種々変形可能である。例えば、本実施の形態等では、再生素子としてCIP型のGMR素子を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、CPP(Current Perpendicular to the Plane)型であってもよい。あるいはトンネル接合膜を有するTMR(tunneling magnetoresistance)素子を用いることもできる。また、本実施の形態および実施例では、再生素子および記録素子の双方を有する複合型の薄膜磁気ヘッドの例について説明したが、例えば再生専用の薄膜磁気ヘッドであってもよい。
本発明の一実施の形態に係る磁気ディスク装置の構成を表す斜視図である。 図1に示した磁気ディスク装置におけるスライダの構成を表す斜視図である。 本発明の一実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの構成を表す分解斜視図である。 図3に示した薄膜磁気ヘッドのIV矢視方向から眺めた要部構成を表す平面図である。 図3に示した薄膜磁気ヘッドのV−V線に沿った矢視方向の構造を表す断面図である。 図3に示した薄膜磁気ヘッドのVIA−VIA線およびVIB−VIB線に沿った矢視方向の構造を表す断面図である。 図1に示した薄膜磁気ヘッドを製造する方法における一工程を表す要部断面図である。 図7に続く一工程を表す要部断面図である。 図8に続く一工程を表す要部断面図である。 図9に続く一工程を表す要部断面図である。 図10に続く一工程を表す要部断面図である。 図11に続く一工程を表す要部断面図である。 図12に続く一工程を表す要部断面図である。 図13に続く一工程を表す要部断面図である。 図14に続く一工程を表す要部断面図である。 図15に続く一工程を表す要部断面図である。 図16に続く一工程を表す要部断面図である。 図1に示した磁気ディスク装置の、駆動時における磁気ディスクおよび薄膜磁気ヘッドの断面構成を表す図である。 図1に示した磁気ディスク装置における駆動回路の構成例を表すブロック図である。 図19に示した駆動回路における要部構成例を表すブロック図である。 図3に示した薄膜磁気ヘッドの第1の変形例(変形例1)としての構造を表す断面図である。 図3に示した薄膜磁気ヘッドの第2の変形例(変形例2)としての構造を表す断面図である。 図5に示した薄膜磁気ヘッドにおけるヒータへの投入電力とABSの突出量との関係を表す特性図である。 実施例1〜3における検知温度と突出量との関係を表す特性図である。 実施例1における検知温度と突出量との関係を表す他の特性図である。 実施例2における検知温度と突出量との関係を表す他の特性図である。 実施例3における検知温度と突出量との関係を表す他の特性図である。 比較例(比較例1)としての構造を表す断面図である。
符号の説明
MS…マグネティックスペーシング、1…筐体、2…磁気ディスク、3…ヘッドアームアセンブリ(HAA)、4…ヘッドジンバルアセンブリ(HGA)、4A…スライダ、4B…サスペンション、5…アーム、6…駆動部、7…固定軸、8…ベアリング、9…スピンドルモータ、10…薄膜磁気ヘッド、11…基体、11A…素子形成面、11S…記録媒体対向面(ABS)、12…絶縁層、13…下部シールド層、14…下部ギャップ層、15…MR膜パターン、16…磁区制御層、17…導電リード層、18…上部ギャップ層、19…上部シールド層、20…磁気変換素子、20A…磁気抵抗効果(MR)素子、20B…記録素子、21…絶縁層、22…下部磁極、23…記録ギャップ層、24…コイル、24A,24B…コイルリード、25…絶縁層、26…上部磁極、27…保護膜、28…平坦化膜、30…ヒータ、31…発熱体、40…熱電対、51A,51B…入力端子、52…ライトゲート、53…ライト回路、54…定電流回路、55…増幅器、56…復調回路、57A,57B…出力端子、61,62…制御端子、70…ヒータ制御回路、80…温度検出回路。

Claims (9)

  1. 磁気記録媒体と対向する記録媒体対向面を有する積層構造をなす薄膜磁気ヘッドであって、
    前記積層構造は、その内部に
    前記磁気記録媒体への情報記録を行う記録素子および前記磁気記録媒体からの信号磁界を検出する再生素子のうちの少なくとも一方を有する磁気変換素子と、
    前記磁気変換素子を挟んで前記記録媒体対向面とは反対側に配置された発熱手段と、
    前記磁気変換素子よりも前記発熱手段側に配置された温度検知手段と
    を備えたことを特徴とする薄膜磁気ヘッド。
  2. 前記温度検知手段は、前記磁気変換素子と前記発熱手段との間に配置されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の薄膜磁気ヘッド。
  3. 前記発熱手段と前記温度検知手段とが互いに同一の階層に設けられている
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の薄膜磁気ヘッド。
  4. 前記発熱手段は、ニッケルクロム合金(NiCr)、銅(Cu)、金(Au)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)およびロジウム(Rh)のうちの少なくとも一種を含む発熱体を有する
    ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の薄膜磁気ヘッド。
  5. 前記温度検知手段は熱電対である
    ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の薄膜磁気ヘッド。
  6. 前記再生素子は磁気抵抗効果素子である
    ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の薄膜磁気ヘッド。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の薄膜磁気ヘッドが一側面に設けられた磁気ヘッドスライダと、
    この磁気ヘッドスライダが一端に取り付けられたサスペンションと
    を有することを特徴とするヘッドジンバルアセンブリ。
  8. 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の薄膜磁気ヘッドが一側面に設けられた磁気ヘッドスライダと、
    この磁気ヘッドスライダが一端に取り付けられたサスペンションと、
    このサスペンションの他端を支持するアームと
    を含むことを特徴とするヘッドアームアセンブリ。
  9. 磁気記録媒体と、ヘッドアームアセンブリとを備えた磁気ディスク装置であって、
    前記ヘッドアームアセンブリは、
    請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の薄膜磁気ヘッドが一側面に設けられた磁気ヘッドスライダと、
    この磁気ヘッドスライダが一端に取り付けられたサスペンションと、
    このサスペンションの他端を支持するアームと、
    を含むことを特徴とする磁気ディスク装置。
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