JP2006003222A - Dna検出装置及びdna検出用電極 - Google Patents

Dna検出装置及びdna検出用電極 Download PDF

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Abstract

【課題】 より簡易、簡便かつ高感度にDNAの検出を行うことができるDNA検出装置及びDNA検出用電極を提供する。
【解決手段】 DNA検出装置は、カーボン電極の表面に、メディエータを介して、キャプチャープローブが結合した電極32aを有する電極部32を備える。DNA検出装置は、DNAサンプル液に対して、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行うための温度サイクルを制御する。そして、電極部32をDNAサンプル液に浸漬し、電極32aのキャプチャープローブに増幅されたターゲットDNAを結合させ、さらに、このターゲットDNAに酵素が標識されたレポータプローブを結合させるように温度制御する。そして、判定液中で、レポータプローブに標識された酵素と基質との反応に基づいて電極32aに流れる限界酸化電流の電流値を測定することにより、DNAの検出を行う。
【選択図】 図4

Description

本発明は、DNA検出装置に関し、より詳細には、DNAを増幅させた後、そのDNAを電極型のバイオセンサを用いて検出し得るDNA検出装置及びDNA検出用電極に関する。
従来、DNAの配列により個体を特定する場合には、ターゲットとなるDNA配列に対するプライマーと酵素によりターゲットDNAの複製物を大量に作り、電気泳動法により所定の分子量の複製物ができたかどうかを確認することにより行っている。また、自動的に核酸の検査を行う自動核酸検査装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1では、PCR増幅容器として加熱体一体型核酸増幅容器を用い、検出手段としてDNAチップと楕円偏光解析を用いることが開示されている。
一方、基質(例えば、生体内物質等)を定量する方法や酵素活性を測定する方法に関しては、従来から、バッチ式のシステムにおいて、二種類の酸化還元酵素と補酵素とを組み合わせて行う方法が確立されている(例えば、非特許文献1参照)。
特開2001−149097号公報 生化学実験講座、第5巻、酵素研究法(東京化学同人)p121-129
従来のPCR後に電気泳動を行って確認する方法によると、DNAを複製するための温度サイクルをサンプルに印加するための装置と、DNAを電気泳動で分離する装置とを用い、さらに、電気泳動した後のDNAを染色し視覚的に検知できるようにする作業を行う。これら一連の作業を自動的に実施する装置は可能ではある。しかし、自動分注装置や送液機構などが必要となり、携帯してサンプリングした場所でDNAの検出を行うことは不可能である。また、特許文献1に記載の自動核酸検査装置では、検出手段として電極型バイオセンサを用いることは開示されていない。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、より簡易、簡便かつ高感度にDNAの検出を行うことができるDNA検出装置及びDNA検出用電極を提供することを目的とする。
本発明のDNA検出装置は、導電体表面に、電子を授受し得るメディエータを介して、1種又は2種以上のDNA断片が結合してなる電極と、DNAサンプル液に対して、ポリメラーゼ連鎖反応を行うための温度サイクルを制御する第1温度制御部と、前記電極に結合したDNA断片にターゲットDNAを結合させ、さらに、前記ターゲットDNAに酵素が標識されたDNA断片を結合させるための温度を制御する第2温度制御部と、前記DNA断片に標識された酵素と基質との反応に基づいて前記電極に流れる限界酸化電流の電流値を測定する電流測定部とを備えたことを特徴とする。これによれば、ポリメラーゼ連鎖反応によりターゲットDNAを増幅させ、増幅されたターゲットDNAを、前記電極に結合したDNA断片に結合させ、さらに、前記ターゲットDNAに前記酵素が標識されたDNA断片を結合させて、前記DNA断片に標識された酵素と基質との反応に基づいて前記電極に流れる限界酸化電流の電流値を測定することにより、DNAを検出できる。
このDNA検出装置において、前記第1温度制御部と前記第2温度制御部とを、一つの
制御ユニットで構成することができる。これによれば、ターゲットDNAの増幅のための温度制御と、前記電極に結合したDNA断片にターゲットDNAを結合させ、さらに、前記ターゲットDNAに前記酵素が標識されたDNA断片を結合させるための温度制御とを、同じ制御ユニットにより行うことができる。
このDNA検出装置において、前記ポリメラーゼ連鎖反応を行うための第1容器を備え、前記酵素と前記基質との反応のために、前記第1容器とは異なる第2容器を備えるように構成することができる。これによれば、ポリメラーゼ連鎖反応を行った第1容器に含まれる、前記電極上で前記ターゲットDNAと結合しているDNA断片以外の、酵素が標識されたDNA断片等を除去することができる。従って、未反応のDNA断片に標識された酵素等による影響を排除できる。
このDNA検出装置において、前記DNAサンプル液中に入れる酵素が標識されたDNA断片の供給手段を備え、前記供給手段は、前記ポリメラーゼ連鎖反応を実行後のDNAサンプル液に、酵素が標識されたDNA断片を供給するようにすることができる。これによれば、供給手段により、自動的に、DNAサンプル液に、酵素が標識されたDNA断片を供給することができる。
このDNA検出装置において、前記電極に、前記酵素が標識されたDNA断片を、表面に付着させておくことができる。これによれば、電極をDNAサンプル液に浸漬すると、酵素が標識されたDNA断片もDNAサンプル液に入ることになり、自動的に酵素が標識されたDNA断片をDNAサンプル液に供給できる。
本発明のDNA検出用電極は、電子を授受し得るメディエータを介して1種又は2種以上のDNA断片が結合してなる電極であって、前記電極でのDNA検出に必要な試薬を、前電極の表面に付着させていることを特徴とする。これによれば、前記DNA検出用電極を用いてDNA検出を行う場合に、前記DNA検出用電極を反応液中に浸漬することにより、自動的に、DNA検出用電極でのDNA検出に必要な試薬を反応液に添加することができる。従って、より容易に、DNAの検出を行うことができる。
本発明によれば、DNAを増幅させた後、同じ装置を用いて、電流値の測定によりDNAの検出を行うことができるため、より簡易、簡便かつ高感度に、DNAの検出を行うことができる。
本実施形態では、電極を用いた酵素活性の測定方法を利用したDNA検出装置について、図1〜図7を用いて説明する。このDNA検出装置は、DNAサンプル液のDNA断片をPCR(Polymerase Chain Reaction)により増幅させ、増幅されたDNA断片を電極
に固定されたDNA断片及び酵素が標識されたDNA断片と反応させ、これを用いてDNAの検出を行う。つまり、本実施形態におけるDNA検出装置は、DNA増幅工程とDNA検出工程とを自動化し、これらを行う装置を一体化したものである。
(DNA検出装置で用いる電極)
まず、本発明のDNA検出装置で用いる電極について説明する。
このDNA検出装置で用いる電極は、測定対象となる酵素の活性を測定するために用いることができるものであり、少なくとも、導電体上に、メディエータが積層されて構成される。
導電体としては、通常、電極として用いられるものであればどのような材料でも使用す
ることができる。例えば、グラファイト、カーボン、カーボンファブリック等;アルミニウム、銅、金、白金、銀等の金属又は合金、SnO2、In23、WO3、TiO2等、導
電性酸化物等種々の材料の単層又は2種以上の積層構造が挙げられる。電極の膜厚、大きさ及び形状等は特に限定されるものではなく、使用するメディエータ、酵素等の種類、得ようとするバイオセンサの性能等によって適宜調整することができる。例えば、厚み0.1〜5mm程度、1〜10000mm2程度の面積の矩形形状であることが適当である。
メディエータとしては、電極と酵素との間で電子を授受し得る電子移動媒体として機能するもので、酵素反応に悪影響を与えないものであれば、どのようなものでも使用することができる。例えば、フェロセン、フェリシアン化アルカリ金属(フェリシアン化カリウム、フェリシアン化リチウム、フェリシアン化ナトリウム等)又はこれらのアルキル置換体(メチル置換体、エチル置換体、プロピル置換体等)、フェナジンメトサルフェート、p−ベンゾキノン、2,6−ジクロロフェノールインドフェノール、メチレンブルー、β−ナフトキノン−4−スルホン酸カリウム、フェナジンエトサルフェート、ビタミンK、ビオローゲン等の酸化還元性の有機又は無機化合物の1種あるいは2種以上の組み合わせが挙げられる。なかでも、水や水溶性有機溶媒(低級アルコール等)に溶解し、取り扱いが容易であるもの、電子移動媒体としての機能が安定しているものが好ましく、例えば、フェロセン、フェリシアン化カリウム等が好適に用いられる。
導電体上に積層されるメディエータの膜厚は、特に限定されるものではなく、導電体の大きさ、用いるメディエータの種類、後述する酵素層の酵素の種類及び量、測定対象である酵素の種類等によって適宜調整することができる。例えば、0.1μm〜1000μm程度が挙げられる。なお、メディエータを導電体上に積層する方法は、メディエータの種類によって、適当なものを適宜選択することができる。例えば、メディエータをその機能を阻害しない溶媒、例えば、水又は水溶性有機溶媒等に溶解させ、塗布、乾燥する方法、メディエータを適当な担体、例えば、樹脂、タンパク等の高分子化合物等に混合及び分散させ、担体を薄膜状に形成する方法、交互積層法(現代化学、1997年1月、p20〜25参照)等、当該分野で公知の薄膜形成法のすべてを利用することができる。なかでも、後述する交互積層法が好ましい。
さらに、酵素層が、導電体上に積層されたメディエータの上に積層されてもよいし、メディエータ及び酵素の種類等によっては、酵素層をメディエータとともに導電体上に配置してもよい。酵素層の膜厚は、特に限定されるものではなく、導電体の大きさ、用いるメディエータの種類、測定対象である酵素の種類等によって適宜調整することができる。例えば、0.1μm〜1000μm程度が挙げられる。なお、酵素層を積層する方法としては、メディエータとともに、あるいはメディエータの上に、メディエータを積層するのと同様の方法が挙げられる。
このDNA測定装置の電極では、上述したメディエータ、酵素層の少なくとも1種、好ましくは全てが、高分子担体とともに層状で積層されている。ここで用いることができる高分子担体としては、電荷を有すること、ポリマーであること及び水溶性であることのいずれか1種、好ましくは全ての性質を満足するものが適当である。電荷は正及び負のいずれでもよい。高分子担体は、例えば、各種タンパク質(例えば、酵素、抗体、レセプタータンパク等)、ポリペプチド(例えば、ポリリシン、ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸等)、水溶性合成高分子化合物(例えば、ポリエチレンイミン、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、ポリスチレンスルホン酸、ポリジメチルジアリルアンモニウムクロライド等)、天然高分子(アルギン酸及びその塩類、トラガントガム等)が挙げられる。
メディエータ等を高分子担体とともに積層する方法としては、特に限定されるものでは
なく、メディエータ等を高分子担体に分散、あるいは高分子担体とともに適当溶媒(水、緩衝液、水溶性有機溶媒等)に溶解又は分散し、塗布、乾燥する方法でもよいし、交互積層法を利用してもよい。
メディエータ及び酵素層の少なくとも1種、好ましくはすべてを積層する交互積層法(ここでは、各層を順次積層する方法)は、例えば、以下のように行うことができる。
まず、導電体表面を活性化することにより、正又は負に帯電させる。次いで、メディエータを構成する分子、あるいはメディエータを分散/メディエータと結合した高分子担体を負又は正に帯電させ、これを導電体表面に接触させることにより、正と負との電荷の間の相互作用を通してメディエータを導電体表面に積層する。なお、このような1回の正負の相互作用によって、必要なメディエータ量を確保することができれば、上述のような積層は1層のみでよいが、さらに多量のメディエータを導電体表面に積層したい場合は、上述の相互作用を複数回行うことによって、メディエータ層を複数層、例えば、2〜20層程度積層してもよい。この場合、積層されたメディエータ上に、これと反対の電荷を有する担体(例えば、上述した高分子担体)又はメディエータ等を積層し、再度、メディエータを構成する分子等を、この高分子担体等の上に積層するという一連の操作を繰り返すことによって、多数層のメディエータの積層を実現することができる。
また、このDNA測定装置の電極では、測定対象となる酵素の活性を測定するために、(1)活性の測定対象となる酵素が積層されていてもよいし、(2)電極に接触するように、この電極とは別個に測定対象となる酵素が配置されていてもよい。(1)の場合には、メディエータ等と同様の積層法を利用して積層することができ、同様に、交互積層法によって形成することが好ましい。なお、(1)の場合には、測定対象となる酵素が導電体上に積層されていることにより、例えば、酵素が基質とともに溶液によって供給されるのに比較して、測定対象の酵素の反応に起因して発生する電流値が十分に高い出力として得ることができ、より測定感度が良好となり、測定誤差を低減することが可能になるという利点がある。(2)の場合には、例えば、測定対象となる酵素を、好ましくは基質の存在下において、溶液状、懸濁又は分散された液状で、電極に接触させてもよい。なお、(2)の場合には、測定対象となる酵素が含有された液状であってもよい。
本発明のDNA検出装置で用いる電極には、さらに、DNA断片を固定させておく。このDNA断片は、DNAの相補性を利用して、検出及び/又は定量目的のDNA(以下「ターゲットDNA」と記す)と対合させるためのキャプチャープローブである。
そして、さらに、別のDNA断片(ターゲットDNA及びレポータプローブ)を加えて、キャプチャープローブ、ターゲットDNA、レポータプローブがこの順にメディエータを介して電極に結合させられ、ターゲットDNAの検出及び/又は定量を行う。つまり、電極上で、いわゆるターゲットDNAのハイブリダイゼーションを行わせる。そして、ターゲットDNA及びレポータプローブが結合された電極を用いて、メディエータを介する間接的な電子授受を、例えば、電流値として測定することによって、ターゲットDNAの検出及び/又は定量を行うことができる。
ターゲットDNAは、DNAの相補性を利用して、このキャプチャープローブと対合させられる検出及び/又は定量目的のDNA断片である。なお、このターゲットDNAは、本発明のDNA検出装置においては、サンプルされたDNAが、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により増幅されて用いられる。レポータプローブは、DNAの相補性を利用してターゲットDNAと対合して、ターゲットDNAの検出及び/又は定量するために酵素が標識されている。
電極上にキャプチャープローブを固定する方法としては、当該分野で公知の方法の全て
及びそれらに準じた方法を利用することができる。例えば、電極上にストレプトアビジンを積層し、キャプチャープローブの5’末端をビオチン修飾し、アビジン−ビオチンの相互作用により固定する方法又はこれに準じた方法が挙げられる。
なお、DNA断片を用いる方法、つまりDNAプローブ法、DNAハイブリダイゼーション自体は当該分野で公知の方法の全て及びそれらに準じた方法を利用することができる。この際に利用するDNA断片は、市販されているいずれを用いてもよい。例えば、サルモネラのプローブ(Rahn K., S. A. De Grandis, R. C. Clarke, S. A. McEwen, J. E. Galan, C. Ginocchio, R. Curtiss and C.L. Gyles, Mol. Cell. Probes, 6, 271-279 (1992)参照)、タカラバイオケミカルス、赤痢菌および腸管侵入性大腸菌(EIEC)invE遺伝
子検出用Primer Set INV-1& 2、赤痢菌および腸管侵入性大腸菌(EIEC)ipaH遺伝子検出
用Primer Set IPA-1& 2、コレラ毒素遺伝子検出用Primer Set VCT-1 & 2(いずれも(株
)島津製作所製)等が挙げられる。
上記のようにして作成された電極は、通常、対電極と、これらの電極及び対電極とを収容し、液体、好ましくは測定対象の酵素の基質を含有する溶液を収容することができる反応器内に配置され、さらにこの反応器内に、両電極がほぼ完全に浸漬する程度に溶液で充填されたバイオセンサにおいて、利用されることが適当である。このようなバイオセンサにおいては、サイクリックボルタンメトリを利用することによって、例えば、両電極に所定の電位差を有する定電位を与え、測定対象の酵素の反応に起因して発生する電流値を、例えば、限界酸化電流値として測定して、測定対象の酵素の活性を判定することができる。電流値の検出は、例えば、ポテンショスタット、電流計等の電流検出部によって行うことができる。本発明のDNA検出装置においては、このようなバイオセンサを用いて電流値を測定することによりDNAの検出を行う。
(DNA検出装置)
次に、上記電極を利用したDNA検出装置について、説明する。
図1に示すように、本実施例におけるDNA検出装置30の上面には、測定部31が備えられている。この測定部31には、本発明の電極部(バイオセンサ)32(図2参照)が備えられており、この電極部32を移動させるための電極移動用ツマミ33が、この測定部31の上面に備えられている。この測定部31は、蓋状になっており、上下方向に開閉可能となっている。
この測定部31を持ち上げた状態において、それぞれ2つのスタンバイステーション34、ハイブリッドステーション35及び測定ステーション36が露出する。スタンバイステーション34は、PCRの実行時に電極部32を退避させておくために用いられる。ハイブリッドステーション35は、DNAサンプルを入れたサンプルチューブ101(第1容器)をセットしてPCR処理を行い、PCR処理後に電極部32を挿入して、ハイブリダイゼーションを行わせるために用いられる。測定ステーション36は、判定液を注入した判定液チューブ102(第2容器)をセットし、ハイブリッドステーション35から取り出した電極部32を挿入して、電流を測定するために用いられる。
DNA検出装置30の上面には、さらに、電源スイッチ(電源SW)41、スタートスイッチ(スタートSW)42、ストップスイッチ(ストップSW)43が備えられている。
DNA検出装置30の正面下部には、設定用ロータリースイッチ(設定用ロータリーSW)44及びUSBコネクタ45が備えられている。この設定用ロータリーSW44の上側には、制御される温度の推移を示す温度制御パターンが示されており、PCR、ハイブリダイゼーション、測定の各処理の各段階について、それぞれ、温度及び時間を設定する
スイッチを対応付けて表示している。この設定用ロータリーSW44では、これらの各段階での温度及び時間、PCRサイクルの回数、及び測定電圧の設定入力が行われる。USBコネクタ45は、測定データの転送のためにパソコンと接続する場合に用いられる。
DNA検出装置30の正面上部には、LCD表示部51が設けられている。また、DNA検出装置30の両側の側面には、冷却用ファンモータ52及び排熱口53が、それぞれ備えられている。また、このDNA検出装置30の背面には、図示しないが、冷却用ファンモータ、ヒューズホルダ及び電源入力部が設けられている。
次に、図2を用いて、DNA検出装置30のブロック構成を説明する。
図2に示すように、DNA検出装置30は、CPU61を備えている。CPU61は、スイッチ制御機能(SW制御機能)62、設定数値変換機能63、時間制御機能64、PCRステップ制御機能65を備えている。さらに、CPU61は、温度制御機能66、温度検出・PID演算機能67、温度制御機能68、温度検出・PID演算機能69を備えている。
SW制御機能62は、スタートSW42、ストップSW43がそれぞれ押下されると、時間制御機能64、PCRステップ制御機能65をそれぞれ制御することにより、処理を開始又は中断する機能である。設定数値変換機能63は、設定用ロータリーSW44により設定入力された温度、時間、PCRサイクルの回数、及び測定電圧の数値に関するデータ変換を行い、各設定値を、時間制御機能64、PCRステップ制御機能65、温度制御機能66,68、測定電圧発生回路91に対してそれぞれ指示する機能である。
時間制御機能64は、各処理の処理時間を制御するとともに、時間制御に関する情報をLCD表示部51に表示させる機能である。PCRステップ制御機能65は、PCRステップの回数を制御するとともに、PCRステップ制御に関する情報をLCD表示部51に表示させる機能である。
温度制御機能66及び温度検出・PID演算機能67は、PCR及びハイブリダイゼーションに関する温度の設定値に基づいて、PCRブロック70における温度制御を行う機能である。
PCRブロック70の各側面及び底面には、ペルチェ素子71が設けられている。また、PCRブロック70の両側側面及び背面には、冷却用ファン72が設けられている。さらに、温度センサ73がPCRブロック70に備えられている。そして、このPCRブロック70には、前述のハイブリッドステーション35が設けられている。
ペルチェ素子71は、ペルチェ効果を利用した素子であって、PCRブロック70の温度サイクルを調整する。冷却用ファン72は、放熱を行うために用いられる。温度センサ73は、PCRブロック70の温度の測定を行う。
温度制御機能66は、PCRブロック70の温度制御を行うための制御信号を、加熱/冷却切替回路75に出力する機能である。温度検出・PID演算機能67は、温度センサ73によって測定されたPCRブロック70における温度を検出し、検出された温度と、温度制御機能66から指示された設定温度とに基づいて、PID演算を行う機能である。そして、算出された値に関する信号を電流制御回路74に出力する。
電流制御回路74は、温度検出・PID演算機能67により出力された信号に従って、熱制御電源60からの熱制御電源電圧に基づく制御電流を加熱/冷却切替回路75に出力する。
加熱/冷却切替回路75は、加熱/冷却の切替を指示する信号をペルチェ素子71に出力する。そして、ペルチェ素子71により、PCRブロック70の温度サイクルの調整を行う。
温度制御機能68及び温度検出・PID演算機能69は、測定部ブロック80における温度制御を行う機能である。
測定部ブロック80は、加熱ヒータ81により加熱される。また、温度センサ82が測定部ブロック80に備えられている。そして、この測定部ブロック80には、前述の測定ステーション36が設けられている。
温度制御機能68は、測定部ブロック80の設定温度に関するデータを温度検出・PID演算機能69に指示する機能である。
温度検出・PID演算機能69は、温度センサ82によって測定された測定部ブロック80における温度を検出し、検出された温度と、温度制御機能68から指示された設定温度とに基づいて、PID演算を行う機能である。そして、算出された値に関する信号を電流制御回路83に出力する。
電流制御回路83は、温度検出・PID演算機能69により出力された信号に従って、熱制御電源60からの熱制御電源電圧に基づく制御電流を加熱ヒータ81に出力する。そして、加熱ヒータ81により、測定部ブロック80の温度が調整される。
測定電圧発生回路91は、測定電圧を発生させ、この測定電圧をワーク電流測定ヘッドアンプ92に出力する。ワーク電流測定ヘッドアンプ92には、電極部32が接続されている。電極部32は、電極32a、参照電極32b、及び対電極32cを備えている(図4参照)。
ワーク電流測定ヘッドアンプ92は、測定電流をA/D変換回路93に出力する。A/D変換回路93は、測定電流についてA/D変換を行い、測定電流をLCD表示部51に表示させる。
このDNA検出装置30において、温度制御機能66、温度検出・PID演算機能67、電流制御回路74、加熱/冷却切替回路75、ペルチェ素子71、冷却用ファン72及び温度センサ73が、特許請求の範囲に記載の第1温度制御部及び第2温度制御部を構成する。また、ワーク電流測定ヘッドアンプ92、A/D変換回路93及び測定電圧発生回路91が、特許請求の範囲に記載の電流測定部を構成する。
次に、温度制御及び電極移動について、図3及び図4を用いて説明する。図3は、温度制御の説明図である。なお、PCR繰り返し回数は設定変更可能であるが、図3においては、PCR繰り返し回数を3回とした場合の温度遷移例を示す。図4は、電極移動の説明図である。
図3に示すように、PCRにおいては、高温(TH)、中温(TM)、低温(TL)の温度サイクルを繰り返す。この温度サイクルにおける高温(TH)、中温(TM)、低温(TL)のそれぞれにおける温度及び時間は、設定用ロータリーSW44を用いて設定される。
具体的には、高温(TH)は84〜99℃、中温(TM)は67〜82℃、低温(TL)は45〜60℃の範囲でそれぞれ設定可能となっている。PCR繰り返し時の各温度の維持時間は、高温維持時間(tH)は23〜38秒、中温維持時間(tM)は23〜38
秒、低温維持時間(tL)は1〜16秒の範囲でそれぞれ設定可能となっている。
また、PCR繰り返し回数も設定用ロータリーSW44を用いて設定される。本実施例では、中温−高温−低温を1回として、1〜48回の範囲で設定可能であり、3回を1つの単位として繰り返し回数を設定することができる。
PCR後において行うハイブリダイゼーションにおける温度及び時間についても、設定用ロータリーSW44を用いて設定される。
具体的には、ハイブリッド時について、高温(THR)は84〜99℃、中温(TMR)は67〜82℃の範囲でそれぞれ設定可能となっている。なお、図3においては、ハイブリッド時の中温(TMR)として、PCRサイクルにおける中温(TM)より高い温度を設定している。ハイブリッド時の各温度の維持時間は、高温維持時間(tHR)は0.5〜8.0分、中温維持時間(tMR)は0〜150秒の範囲でそれぞれ設定可能となっている。
さらに測定ステーション36における測定温度、測定時間、及び測定ワーク電圧についても、設定用ロータリーSW44を用いて設定される。測定温度は、30〜45℃の範囲で設定可能となっている。また、測定時間は、0.5分〜8.0分の範囲で設定可能となっている。また、測定ワーク電圧については、50〜800mVの範囲で設定可能となっている。
図3に示すように、電源投入により、DNA検出装置30は、ハイブリッドステーション35についてウォーミングアップ温度(30℃)を維持するように作動する。また、DNA検出装置30は、測定ステーション36について測定設定温度を維持するように作動する。なお、それぞれ、ウォーミングアップ温度及び測定設定温度になるまで(ウォーミングアップ中)は、スタートSW42のスタートランプを点滅させ、それぞれの温度で安定すると(ウォーミングアップが完了すると)、スタートランプを静止点灯させる。そして、DNA検出装置30は、LCD表示部51に、「サンプルをセットし、スタートSWを押して下さい」というメッセージを表示させる。
これにより、利用者は、図4に示すように、DNAサンプル液を注入したサンプルチューブ101をハイブリッドステーション35にセットするとともに、判定液を注入した判定液チューブ102を測定ステーション36にセットする。
ここで、DNAサンプル液は、一般的なPCR処理で用いられる構成成分を含有する。具体的には、DNAサンプル液は、2種類のプライマー、DNAポリメラーゼ、dNTP、Mg2+、及びサンプルDNA(鋳型DNA)を構成成分として含有する。なお、各構成成分の濃度については、一般的な場合に準じるが、反応条件に応じて変更する必要がある。判定液は、例えばトリス塩酸緩衝液中に、後述する基質を含有する溶液を用いる。
そして、利用者は、電極部32を測定部31に装着し、測定部31をステーション34,35,36の上に下ろす。そして、図4のステップ1のように、電極移動用ツマミ33をスタンバイステーション34の位置にスライドさせて、スタンバイステーション34にセットされたサンプルチューブ101内に電極部32を挿入する。
ここで、スタートSW42を押下すると、DNA検出装置30は、上記の設定温度、設定時間及びPCR繰り返し回数に従って、温度サイクルの制御を行う。なお、図3に示すように、スタート時は、高温(TH)まで、温度を上昇させる。そして、設定されたPCR繰り返し回数に従って、温度サイクルを繰り返す。
PCR繰り返しにおいては、高温(TH)時の変成ステップ、低温(TL)時のアニーリングステップ、中温(TM)時の伸長ステップが繰り返される。変成ステップにおいては、サンプルの2本鎖DNAを1本鎖DNAに解離させる。アニーリングステップにおいては、解離したDNAに相補的な配列をもつ2種類のプライマーが水素結合によって部分的に2本鎖を形成する。伸長ステップにおいては、DNAポリメラーゼにより、2種類のプライマーのそれぞれをDNA合成の開始点として、相補正をもつもう一本のDNAが合成される。
PCR繰り返しの最後のサイクルでは、高温維持時間(tH)を経ずに、ハイブリダイゼーションの処理に移行する。そして、ハイブリッド高温(THR)をハイブリッド高温維持時間(tHR)だけ維持する。
そして、ハイブリッド高温維持時間(tHR)の終了後、ハイブリッド中温(TMR)に制御してハイブリッド中温維持時間(tMR)維持するとともに、その間ブザーを鳴動し、電極部32をハイブリッドステーション35にスライドさせることを促す表示を行う。具体的には、LCD表示部51には、「電極をハイブリッドステーションに移動し、スタートSWを押して下さい」と表示する。また、このとき、スタートランプを点滅させ、この間、tMR時間の進行を停止する。利用者は、指示に従って、図4のステップ2のように、電極部32をハイブリッドステーション35に移動し、サンプルチューブ101に挿入する。ここで、電極部32がサンプルチューブ101に挿入されると、凍結乾燥させた状態の、酵素26が標識されたレポータプローブ28cが、DNA検出装置30に備えられた供給手段により、サンプルチューブ101内に添加されるようになっている。本実施形態では、凍結乾燥させた状態の、酵素26が標識されたレポータプローブ28cが、電極32aの表面に付着している。このため、電極32aを含む電極部32がサンプルチューブ101に挿入されると、酵素26が標識されたレポータプローブ28cが、サンプルチューブ101内に供給される。
電極部32の電極32aは、図7に示すように、導電体であるカーボン電極21上にメディエータ22の表面に、ターゲットDNA28bと相補的にハイブリダイズするキャプチャープローブ28aが固定されている。
スタートSW42が押下されると、DNA検出装置30は、スタートSW42のスタートランプを静止点灯させ、tMR時間の進行を開始する。
そして、このtMR時間中に、図7に示すように、キャプチャープローブ28a、1本鎖のターゲットDNA28b及びレポータプローブ28cがアニールさせられる。ここで、検出対象のDNAが得られている場合には、PCRにより増幅されたDNAが、1本鎖のターゲットDNA28bに相当する。従って、サンプル液中に検出対象のDNAが含まれている場合に、キャプチャープローブ28a、1本鎖のターゲットDNA28b及びレポータプローブ28cがアニールさせられることとなる。
電源投入からPCR制御中においては、LCD表示部51に、図5に示す設定条件及び実効状態に関する表示画面110が表示される。
図5に示すように、表示画面110には、PCR設定条件表示欄111、ハイブリダイゼーション設定条件表示欄112、測定条件表示欄113及び実効状態表示欄114が設けられている。PCR設定条件表示欄111には、PCR制御時の高温、中温、低温の各ステップにおける設定温度及び設定時間が表示される。ハイブリダイゼーション設定条件表示欄112には、ハイブリダイゼーション制御時の高温、中温の各ステップにおける設定温度及び設定時間が表示される。測定条件表示欄113には、電流測定時の測定時間の設定値及び設定電圧が表示される。
実効状態表示欄114には、測定部温度115、PCR繰り返し回数116、ハイブリッドチューブ現在温度117、実行残り時間118が表示される。測定部温度115には、測定部ブロックの温度(℃)を示す。PCR繰り返し回数116は、設定されたPCR繰り返し回数(3回を1単位とした単位数)を示し、括弧内に残り回数(3回を1単位とした単位数)を示す。なお、本実施形態では、PCR繰り返し回数は、上記のように3回を1単位として設定している。ここでは、10単位を設定しており、PCR繰り返し回数として30回が設定されている。ハイブリッドチューブ現在温度117は、ハイブリッドステーション35にセットされたサンプルチューブ101の現在温度(℃)を示す。実行残り時間118は、PCR制御及びハイブリダイゼーション制御の全体が終了するまでの残り時間を示す。
なお、PCR設定条件表示欄111、ハイブリダイゼーション設定条件表示欄112において、制御中のステップが反転文字で表示される。
tMR時間完了後、DNA検出装置30は、ハイブリッドステーション35を測定温度に移行させ、この測定温度に達すると、再度ブザーを鳴動し、電極部32を測定ステーション36にスライドさせることを促す表示を行う。具体的には、LCD表示部51には、「電極を測定ステーションに移動し、スタートSWを押して下さい」と表示する。また、このとき、スタートSW42のスタートランプを点滅させ、この間、測定時間の進行を停止する。利用者は、この指示に従って、図4のステップ3のように、電極部32を測定ステーション36に移動する。
ここで、サンプル液中に検出対象のDNAが含まれていた場合には、電極部32の電極32a上には、キャプチャープローブ28a、ターゲットDNA28b、レポータプローブ28cが、この順で結合されている。なお、レポータプローブ28cには、酵素26が結合されている。
そして、スタートSW42が押下されると、DNA検出装置30は、スタートランプを静止点灯させ、測定時間の進行を開始する。
電流値の測定は、電極部32の電極32aに、参照電極32bを基準として+500mVの電位を印加し、電極32aに流れる電流を測定することにより行う。
ここで、電極部32の電極32aに電位を印加すると、判定液中の基質と酵素が反応し、メディエータを介して電子の授受が行われる。具体的には、図7に示すように、酵素26が基質25と反応して酸化体基質27を生成する際に生じた電子の授受を、メディエータ22を介してカーボン電極21に伝達させる。そして、DNA検出装置30は、電極32aのカーボン電極21に流れる電流(限界酸化電流)の電流値を測定する。
なお、電解質溶液のみを用い、酵素反応が起こらない場合であっても、ベースとなる電流が発生するが、酵素反応が起こった場合の酸化還元反応の電子の移動を、このベース電流に比較してより大きな値として測定することができる。
このように、酵素反応に基づく酵素−電極間の電子伝達をモニタする、つまり、一連の電子移動を電流として捕らえることにより、ターゲットDNAの有無又は濃度を検知することができる。このため、ターゲットDNAを捕捉するキャプチャープローブ及びキャプチャーしたターゲットDNAにさらに結合し、信号を得るためのレポータプローブを用いるサンドイッチハイブリダイゼーションアッセイによりDNAの検出を行うことが可能となる。
測定中は、DNA検出装置30は、所定の間隔(例えば、1秒毎)で、テキストファイル形式の測定データをパーソナルコンピュータに送信する。
また、測定中においては、LCD表示部51に、図6に示す測定状態に関する表示画面120が表示される。
図6に示すように、表示画面120には、測定数値表示欄121及び測定結果グラフ表示欄122が設けられている。測定数値表示欄121には、測定チューブ実温度、測定時間設定(分)、測定ワーク電圧(mV)、測定残り時間(sec)、測定実データ(nA)が表示される。測定結果グラフ表示欄122には、測定結果がグラフ描画される。このグラフにおいて、X軸は測定時間であり、Y軸は測定データ(電流値)である。
そして、測定時間が完了すると、DNA検出装置30は、ブザーを1秒間鳴動し、スタートSW42を点滅させ、ハイブリッドステーション35をウォーミングアップ温度に制御する。なお、ハイブリッドステーション35がウォーミングアップ温度に到達すると、スタートSW42を静止点灯させ、LCD表示部51に「測定が終了しました」と表示する。
以上、本実施例によれば、以下に示す効果を得ることができる。
・ 上記実施形態では、PCRにより増幅させたDNAの検出を、電極32a、参照電極32b及び対電極32cを備えた電極部32を用いて電流値を測定することにより行う。電極32aについては、メディエータ22を設けることにより、電子伝達場を設けることができる。そして、ターゲットDNA28bを、電極上に固定化したキャプチャープローブ28a及び酵素26を結合させたレポータプローブ28cとハイブリダイゼーションさせ、この電極32aを用いて、酵素と基質との反応に基づく電流値を測定してDNAの検出を行う。これにより、目的のDNAの有無を、より容易に判断することができる。従って、より簡易、簡便かつ高感度に、DNAの検出を行うことができる。
・ 上記実施形態では、DNA検出装置30は、DNAサンプル液に対して、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行うための温度サイクルを制御する。そして、電極部32をDNAサンプル液に浸漬し、電極32aのキャプチャープローブ28aに増幅されたターゲットDNA28bを結合させ、さらに、このターゲットDNA28bに酵素が標識されたレポータプローブ28cを結合させるように温度制御する。これにより、ターゲットDNA28bの増幅と、キャプチャープローブ28a、ターゲットDNA28b及びレポータプローブ28cのハイブリダイゼーションとを行わせるように温度を制御できる。従って、より簡易、簡便かつ高感度に、DNAの検出を行うことが可能なDNA検出装置を実現できる。
・ 上記実施形態では、ターゲットDNA28bの増幅の温度制御と、キャプチャープローブ28a、ターゲットDNA28b及びレポータプローブ28cのハイブリダイゼーションとの温度制御とを、いずれもPCRブロック70の温度を制御することにより行う。このため、これらの温度制御を、同じ制御ユニットを用いて行うことができる。
・ 上記実施形態では、PCR及びハイブリダイゼーションはハイブリッドステーション35にセットしたサンプルチューブ101内で行い、酵素と基質との反応は測定ステーション36にセットした判定液チューブ102内で行う。このため、電流の測定の際に、電極32a上のターゲットDNA28bと結合したレポータプローブ28c以外のレポータプローブ28cに標識された酵素による影響を排除できる。
・ 上記実施形態では、凍結乾燥させた状態の、酵素26が標識されたレポータプローブ28cが、電極32aの表面に固定されている。このため、電極部32がサンプルチューブ101に挿入されると、酵素26が標識されたレポータプローブ28cが、サンプルチューブ101内に供給される。従って、電極部32をサンプルチューブ101内のDN
Aサンプル液に挿入することにより、自動的に、DNAサンプル液中に、酵素26が標識されたレポータプローブ28cを供給することができる。
・ 上記実施形態では、DNAを増幅するための温度サイクルをサンプルに印加する装置(PCR装置)と、増幅されたDNAを検出するための電極の電流出力を測定する装置とを一体化した。これにより、携帯が容易な装置を実現できる。従って、サンプリングしたその場でDNAの検出を行うことが可能となる。また、DNA増幅産物の移動やピペッティング操作が不要となるため、より容易にDNAの検出を行うことができる。さらに、DNAの検出を、上記の電極を用いて電流値の測定により行うことにより、電気泳動及び染色の処理を行わないため、DNAの検出のための所要時間を短縮できる。
・ 上記実施形態では、酵素26を結合したレポータプローブ28cとして凍結乾燥した状態のものを用いる。このため、酵素26を結合したレポータプローブ28cを冷却保存する必要がない。このため、DNA検出装置30を携帯して、サンプリングを行った場所でDNA検出を行うことが、より容易となる。
なお、上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
○ 上記実施形態では、酵素26を結合したレポータプローブ28cとして凍結乾燥した状態のものを用いたが、酵素26を結合したレポータプローブ28cは、液状試薬を用いてもよい。

○ 上記実施形態では、凍結乾燥させた状態の酵素26が標識されたレポータプローブ28cを電極32aの表面に付着させておき、サンプル液中に酵素26が標識されたレポータプローブ28cを供給したが、別の方法で供給を行ってもよい。例えば、凍結乾燥した状態の酵素26を結合したレポータプローブ28cは、電極部32の電極32a以外の部分に付着させていてもよい。
○ 上記実施形態では、スタンバイステーション34、ハイブリッドステーション35、測定ステーション36を設けた。これに代えて、スタンバイステーション34は設けずに、電極部32をサンプルチューブ101に挿入するまで、電極部32を別の場所に退避させておいてもよい。
○ 上記実施形態では、ハイブリッドステーション35と測定ステーション36とを別々に設けたが、PCRによるDNAの増幅及びハイブリダイゼーションによる電極の作成と、電流の測定とを同じステーションにセットされたチューブ内で行ってもよい。この場合、ハイブリダイゼーションの完了後、測定温度まで温度を下げた後に、サンプル液が入っているチューブに基質を添加する。なお、この場合、電極32a上のターゲットDNAbと結合したレポータプローブ28c以外のレポータプローブ28cに標識された酵素による影響を、実験データに基づく数値を用いて補償してもよい。これにより、ハイブリッドステーション35から測定ステーション36に電極を移動する必要がないため、利用者の操作をより簡略化できる。
○ 上記実施形態では、電極部32をサンプルチューブ101に挿入する際と、サンプルチューブ101から判定液チューブ102に電極部32を移動する際には、それぞれブザーを鳴らして利用者の操作を促した。これに代えて、サンプルチューブ101への電極部32の挿入と、サンプルチューブ101から判定液チューブ102への電極部32の移動とを自動的に行ってもよい。なお、この場合、サンプルチューブ101に電極部32の挿入する際に、酵素が結合したレポータプローブ28cを、自動的にサンプル液に添加する。
本発明のDNA検出装置は、医療分野及び食品分野のほか、環境計測用などの幅広い分野で、DNA検出に利用することができる。
本発明のDNA検出装置の斜視図である。 本発明のDNA検出装置の回路構成を示すブロック図である。 本発明のDNA検出装置の温度制御の説明図である。 本発明のDNA検出装置における電極移動の説明図である。 本発明のDNA検出装置における表示画面の説明図である。 本発明のDNA検出装置における表示画面の説明図である。 本発明のDNA検出装置の電極における反応の説明図である。
符号の説明
21 カーボン電極(導電体)
22 メディエータ
25 基質
26 酵素
27 酸化体基質
28a キャプチャープローブ
28b ターゲットDNA28b
28c レポータプローブ28c
30 DNA検出装置
32 電極部(バイオセンサ)
32a 電極
32b 参照電極
32c 対電極

Claims (6)

  1. 導電体表面に、電子を授受し得るメディエータを介して、1種又は2種以上のDNA断片が結合してなる電極と、
    DNAサンプル液に対して、ポリメラーゼ連鎖反応を行うための温度サイクルを制御する第1温度制御部と、
    前記電極に結合したDNA断片にターゲットDNAを結合させ、さらに、前記ターゲットDNAに酵素が標識されたDNA断片を結合させるための温度を制御する第2温度制御部と、

    前記DNA断片に標識された酵素と基質との反応に基づいて前記電極に流れる限界酸化電流の電流値を測定する電流測定部と
    を備えたことを特徴とするDNA検出装置。
  2. 前記第1温度制御部と前記第2温度制御部とを、一つの制御ユニットで構成することを特徴とする請求項1に記載のDNA検出装置。
  3. 前記ポリメラーゼ連鎖反応を行うための第1容器を備え、
    前記酵素と前記基質との反応のために、前記第1容器とは異なる第2容器を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載のDNA検出装置。
  4. 前記DNAサンプル液中に入れる酵素が標識されたDNA断片の供給手段を備え、
    前記供給手段は、前記ポリメラーゼ連鎖反応を実行後のDNAサンプル液に、酵素が標識されたDNA断片を供給することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のDNA検出装置。
  5. 前記供給手段は、前記酵素が標識されたDNA断片を、表面に付着させた前記電極であることを特徴とする請求項4のいずれか1つに記載のDNA検出装置。
  6. 導電体表面に、電子を授受し得るメディエータを介して1種又は2種以上のDNA断片が結合してなる電極であって、前記電極でのDNA検出に必要な試薬を、前記電極の表面に付着させているDNA検出用電極。
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