以下、図1を基に、本発明に係るバーナー装置を実施するための最良の形態として、ごみ焼却装置10について説明するが、本発明は、バーナー装置がごみ焼却装置10であることに限定されるものではなく、可燃物としてごみ以外の各種の可燃材料を適用することができる他、当該バーナー装置を金属材料を溶融する溶融炉としても使用し得るものである。
図1は、本発明に係るごみ焼却装置の一実施形態を示す一部切欠き斜視図であり、図2は、そのA−A線断面図である。なお、これらの図において、X−X方向を幅方向、Y−Y方向を前後方向といい、特に−X方向を左方、+X方向を右方、−Y方向を後方、+Y方向を前方という。これらの図に示すように、ごみ焼却装置(バーナー装置)10は、ごみ(可燃物)Dが装填される焼却炉20と、この焼却炉20にごみDを自動的に供給するごみ自動供給装置(可燃物連続供給装置)30と、焼却炉20内に空気を送り込む送気装置40と、焼却炉20内で生成した燃焼排ガスを吸気する吸気装置50と、焼却炉20内のごみDに着火処理を施す着火バーナー(着火装置)60とを備えた基本構成を有している。
前記焼却炉20は、平面視で円弧状を呈しており、炉床21と、前方平板壁22と、一対の側壁23と、円弧壁24と、天壁25と、後方平板壁26と、蓋体27とを備えて構成され、これら各壁および蓋体27に囲繞されることによって内部が空洞に形成されている。
前記炉床21は、焼却炉20内でごみDが燃焼することにより形成された焼却灰を受けるものであり、図2に示すように、後方に向って先下がりに傾斜した傾斜面を有している。前記前方平板壁22は、炉床21の平面視で円弧状を呈する弦の部分から立ち上がった状態で形成されている。
また、前記側壁23は、前記前方平板壁22の幅方向両側縁部から前方に向けて一対で延設されている。また、前記円弧壁24は、これら一対の側壁23間に前記炉床21の円弧円部に沿った状態で架設されている。かかる円弧壁24は、高さ寸法が前記前方平板壁22より低めに設定されている。また、前記天壁25は、円弧壁24の上面を覆うものである。また、前記後方平板壁26は、天壁25より上方位置で一対の側壁23の後縁部間に架設されることによって形成されている。
前記蓋体27は、前方平板壁22、一対の側壁23および後方平板壁26によって形成された角筒体の上面開口を開閉自在に閉止するものであり、後方平板壁26の上縁部に設けられた蝶板271の軸回りに回動自在に取り付けられ、開閉自在になっている。また、前記後方平板壁26の下縁部からは下縁部が自由端とされた仕切り壁28が垂下されている。
このような焼却炉20において、炉床21の若干上方位置にごみDを受けるとともに焼却灰を通過させるロストル部材29が設けられている。このロストル部材29は、焼却炉20の平面視での内面形状に沿った支持枠体291と、この支持枠体291内に等ピッチで架設された複数本のロストル292とから構成され、焼却炉20内に投入されたごみDは、これら複数本のロストル292によって支持されるようになっている。前記仕切り壁28は、その下端縁部がロストル292より相当上方に位置するように上下寸法が設定されている。かかるロストル292は、炭化ケイ素(SiC)等からなるセラミック製のものが採用され、これによって焼却炉20内が高温(例えば1000〜1800℃)になっても溶融しないようになされている。
また、前記前方平板壁22には、その上部位置に前記ごみ自動供給装置30からのごみD(図2)を焼却炉20内に投入するためのごみ投入口221が設けられている。そして、このような焼却炉20のロストル部材29より上方位置における前方平板壁22と、一対の側壁23と、後方平板壁26とに囲まれた空間にごみ投入口221を介して投入されたごみDを一旦受け入れるごみ受入室201が形成されているとともに、同上方位置における円弧壁24と、仕切り壁28と、天壁25とに囲まれた空間にごみDを燃焼させて焼却処理する燃焼室202が形成されている。
したがって、ごみ自動供給装置30からごみ投入口221を介してごみ受入室201に投入されたごみDは、ここで一時的に滞留した後、仕切り壁28の下端縁部とロストル292との間に形成された隙間を通って燃焼室202内に導入され、燃焼室202で燃焼処理に付されることになる。
かかる焼却炉20は、その本体が構造材としての鉄皮203の内面に耐火煉瓦や耐火モルタル等の耐火材204が内張りされることによって形成されている。また、前記仕切り壁28についても、鉄皮203が延設されることによって形成された芯材の表裏面に耐火材204が張設されている。耐火材204が鉄皮203に張設されることにより、焼却炉20は、燃焼室202内の高温に対抗し得るようになっている。
そして、焼却炉20内におけるロストル部材29より下方位置には、燃焼室202からロストル292を介して落下した焼却灰を貯留する灰貯留室205が形成されているとともに、前記前方平板壁22におけるロストル部材29より下方位置には灰掻出し口206と、この灰掻出し口206を開閉自在に閉止する開閉蓋207とが設けられ、適宜この開閉蓋207を開放することにより灰貯留室205内に溜まった焼却灰を灰掻出し口206を介して掻き出し得るようになっている。
前記ごみ自動供給装置30は、前記ごみ投入口221と連通するように前方平板壁22から前方に向って延設されたごみ供給筒31と、このごみ供給筒31内に同心で装着されるスパイラルフィーダ32と、このスパイラルフィーダ32を軸心回りに駆動回転させる電動モータ33と、ごみ供給筒31の前端上部に固定されたごみホッパー34とを備えて構成されている。
前記スパイラルフィーダ32は、電動モータ33の駆動軸に同心で一体回転可能に連結されたフィーダ軸321と、このフィーダ軸321周りに螺旋状で形成されたスパイラルフィン322とを備えている。そして、かかるスパイラルフィーダ32のスパイラルフィン322が電動モータ33の駆動でフィーダ軸321回りに一体回転することにより、前記ごみホッパー34から導入されたごみDがごみ投入口221に向けて搬送されるようになっている。
前記ごみホッパー34は、逆円錐状に形成され、ごみDが上面開口から投入され得るようになっている。一方、ごみ供給筒31の前端上部には、ごみホッパー34の下面開口に対向した貫通孔311が穿設され、ごみホッパー34へ投入されたごみDは、この貫通孔311を介してごみ供給筒31内に供給されるようになっている。なお、ごみDが廃タイヤのように大型のものである場合には、当該大型ごみは、ごみ自動供給装置30を介することなく、蓋体27を回動操作してごみ受入室201の頂部の大型ごみ投入口222を開放し、この大型ごみ投入口222からごみ受入室201内に直接投入される。
このように構成されたごみ自動供給装置30は、ごみ供給筒31の先端側が敷地に立設された一対の支柱35に梁材351を介して支持されることにより設置状態が安定するようになされている。
前記送気装置40は、焼却炉20の燃焼室202に対して空気を供給するものであり、焼却炉20の天壁25の略中央位置を上下に貫通した送気管41と、この送気管41を介して燃焼室202内に空気を送り込む送風ブロワ42とを備えて構成されている。前記送気管41は、下端部がロストル292の若干上方位置に位置するように燃焼室202内での上下寸法が設定され、これによって送気管41の下端部の空気吹出し口411から送気された空気は、燃焼室202内に存在するごみDの略中央部に向けて供給されるようになっている。したがって、燃焼室202内のごみDは、その中央部から四方に向けて放射状に吹き出してくる空気の供給を受けて燃焼することになる。
かかる送気管41にも、燃焼室202に位置する部分に耐火材204が全外周面に亘って張設され、この耐火材204の断熱効果によって、送気管41は、燃焼室202内で高温に曝されても溶融しないようになされている。
前記吸気装置50は、ごみDの焼却処理によって燃焼室202内で生成した燃焼排ガスを吸引処理するものであり、焼却炉20の円弧壁24上部に穿設された排ガス導出口241を介して燃焼室202と連通した排気管51と、この排気管51の下流端に接続された排熱回収装置52と、この排熱回収装置52の下流側に接続された吸引ブロワ53とを備えて構成されている。そして、吸引ブロワ53の駆動により燃焼室202内で生成した排ガスは、排気管51内を通り排熱回収装置52において所定の熱交換器による熱交換で排熱が回収された後、吸引ブロワ53を介して系外に排気されるようになっている。
このように吸気装置50に排熱回収装置52を含ませることにより、燃焼排ガス中の排熱が回収されてエネルギーの有効活用が推進されるとともに、高温の燃焼排ガスが排熱回収装置52での熱交換で冷却されるため、吸引ブロワ53の運転に支障をきたすような不都合が回避される。
前記着火バーナー(着火装置)60は、ごみ焼却装置10の運転初期に燃焼室202内に導入されたごみDに着火処理を施すものであり、火炎噴射口がロストル292の下部で送気管41の空気吹出し口411と対応するように円弧壁24を貫通した状態で焼却炉20に取り付けられている。
図3は、本発明に係るごみ焼却装置10へ好適に適用することができる着火バーナー60の一実施形態を示す側面視の断面図である。図3に示すように、着火バーナー60は、外筒61と、この外筒61に同心で装着される内筒62と、この内筒62に装着される通電発熱体63と、外筒61を貫通して外筒61内に燃料を供給する燃料供給管64と、外筒61内および外筒61内を介して内筒62内に空気を供給する空気供給管65とを備えて構成されている。
前記外筒61は、上流端側が閉止板611によって閉止され、この閉止板611の中央部に穿設された孔に連通するように空気供給管65が固定されている一方、下流端側は開放され、内筒62の外周面と外筒61の内周面との間に空気を噴出する環状空気噴出口612が形成されている。
前記内筒62内には、上流端を閉止した閉止板621から下流側に向けて同心で突設された燃料分配筒622と、この燃料分配筒622内に閉止板621から同心で突設されることによって形成された着火筒623とが内装されている。前記内筒62と燃料分配筒622との間には燃料供給管64からの液体燃料が通過する環状の燃料通過室620が形成されている。
この燃料通過室620の下流端は閉止されている一方、同上流側には空気を導入するための空気孔が設けられている。かかる燃料分配筒622の燃料供給管64と対向した周面には、筒心方向に1列で複数の燃料供給孔622aが穿設されているとともに、各燃料供給孔622aにピン66が差し通されている。ピン66の一部のものは先端が着火筒623を貫通している。
前記通電発熱体633には、閉止板621を貫通した通電発熱体63の先端が内装されているとともに、先端を閉止した閉止板には着火炎排出孔623aが穿設され、通電発熱体63によって着火された炎がこの着火筒623から排出されるようになっている。そして、着火筒623の外周面と、燃料分配筒622の内周面との間の環状隙間と、着火筒623内とには、セラミック製の塊状を呈した多孔質体67が内装されている。
そして、着火バーナー60には、燃料ポンプ68からの液体燃料が燃料供給管64を介して供給されるとともに、空気ポンプ69からの空気が空気供給管65を介して供給されるようになっている。
このように構成された着火バーナー60によれば、液体燃料が燃料ポンプ68の駆動で燃料供給管64を介して燃料通過室620に供給された液体燃料は、燃料供給孔622aの内周面とピン66との間の環状隙間を通って着火筒623の外周面に滴下され、当該外周面と燃料分配筒622の内周面との間に内装されている多孔質体67に吸着されるとともに、一部の液体燃料は、ピン66を伝って着火筒623内にまで侵入し、ここに内装されている多孔質体67に吸着される。液体燃料は、多数の多孔質体67に吸着されることによって、内筒62内に満遍なく行き渡ることになる。
ついで、空気ポンプ69の駆動で空気供給管65を介して空気を外筒61内に供給すると、一部は、環状空気噴出口612から外部へ放出されるとともに、残部が燃料通過室620および着火筒623の外周面と燃料分配筒622の内周面との隙間に供給され、当該隙間内および着火筒623内は、多孔質体67から気化した気化燃料と空気とが混合した混合気が充満した状態になる。この状態で、通電発熱体63に通電することにより、当該通電発熱体63の発熱によって混合気が引火し、これによって着火バーナー60が着火する。
そして、一旦着火バーナー60が着火すると、着火筒623の外周面と燃料分配筒622の内周面と隙間から放出された火炎および未だ燃焼していない液体燃料の飛沫が環状空気噴出口612から放出される空気によって包まれた状態になり、これによる液体燃料の完全燃焼でさらに大きな火炎が形成され、この火炎が灰貯留室205に放出されることになるため、ロストル292に支持されている燃焼室202内のごみDは、即座に着火されることになる。
したがって、予めごみ自動供給装置30の駆動によりごみDを燃焼室202内に装填し、かつ、送風ブロワ42および吸引ブロワ53を駆動させた状態で、着火バーナー60を着火することにより、燃焼室202内のごみDも着火し、その後は、着火バーナー60を消火しても、一旦着火したごみDは、送気管41を介して供給される空気によって燃焼を継続することになる。
因みに、本実施形態においては、着火バーナー60用の液体燃料として軽油あるいは灯油が採用されているが、着火バーナー60は、上記のような特殊な構造によって液体燃料が極めて効率よく燃焼するため、軽油や灯油に代えて使用済みのいわゆる廃油であっても好適に使用することが可能であり、燃料コストの低減化に貢献することができる。
図4は、排熱回収装置52の一実施形態を説明するための図であり、(イ)は、排熱回収装置52の側面視の断面図、(ロ)は、熱交換パイプの一実施形態を示す一部切欠き側面図である。図4の(イ)に示すように、排熱回収装置52は、熱交換装置の一種であり、筒状を呈した長尺の装置本体521と、この装置本体521に内装された複数本の熱交換パイプ55とを備えた基本構成を有している。
前記装置本体521は、例えば円筒状の周壁522と、この周壁522の各端面に設けられた一対の端壁523とを備えている。各端壁523の中心位置には、装置本体521内と連通する接続管524がそれぞれ設けられ、上流側(図4の左方)の接続管524には前記排気管51が接続されているとともに、下流側の接続管524には前記吸引ブロワ53へと続く第2排気管54が接続されている。
また、装置本体521内の上流側および下流側には、仕切り壁525がそれぞれ設けられ、これによって装置本体521内は、上流側の仕切り壁525のさらに上流側に形成された前室521aと、一対の仕切り壁525に挟まれた熱交換室521bと、下流側の仕切り壁525のさらに下流側に形成された後室521cとに仕切られている。
そして、前記各熱交換パイプ55は、前記熱交換室521b内において、一対の仕切り壁525間に架設され、これによって前記前室521aと後室521cとは、複数本の熱交換パイプ55を介して互いに連通した状態になっている。したがって、排気管51および接続管524を介して前室521aに導入された焼却炉20からの排気は、装置本体521内で各熱交換パイプ55に分配された後、熱交換パイプ55内を通って後室521cに集合され、第2排気管54および吸引ブロワ53介し系外に排出されることになる。。
また、装置本体521の周壁522には、下流側の仕切り壁525より若干上流位置に所定の熱媒体を熱交換室521b内に導入するための熱媒体導入管526が接続されているとともに、上流側の仕切り壁525より若干下流位置に熱媒体導出管527が接続されている。
したがって、焼却炉20からの排気を排気管51、接続管524および前室521aを介して装置本体521内の各熱交換パイプ55に導入した状態で、熱媒体を熱媒体導入管526から熱交換室521b内に導入することにより、当該熱媒体は、熱交換パイプ55を介して排気と熱交換されて加熱される一方、熱交換パイプ55内を流通する排気は冷却され、後室521c、下流側の接続管524、第2排気管54および吸引ブロワ53を通って系外に排出されることになる。
そして、熱交換パイプ55は、内面側の断面積の合計の値が排気管51の内面側の断面積より大きくなるように各熱交換パイプ55の断面積やや採用本数が設定され、これによって燃焼排ガスの熱交換パイプ55内での圧力損失が大きくなるのを防止している。
本実施形態においては、熱媒体として水(図4に破線の矢印で表示)が採用され、この水が焼却炉20からの高温の燃焼排ガス(図4に実線の矢印で表示)と熱交換されることによって蒸気となって熱媒体導出管527から導出されるように設計されている。したがって、例えば、得られた蒸気で発電用のタービンを駆動させることで排熱の有効利用を図ることができる。なお、蒸気の利用は発電に限らず、暖房用の熱源など、各種の用途に利用可能である。
また、熱媒体は水であることに限定されるものではなく、熱交換用のオイルなど用途に応じて各種の液体を利用することができる。
そして、本実施形態においては、高温の排ガスに対応することができるように、接続管524の内周面および前室521aの内壁面に、焼却炉20の場合と同様の耐火材204が内張りされ、これによって排熱回収装置52の上流側が高熱から保護されている。
さらに、熱交換パイプ55は、排熱の高温に耐えるために特殊な構造のものが採用されている。すなわち、かかる熱交換パイプ55は、図4の(ロ)に示すように、炭化ケイ素等のセラミック材料からなるセラミックパイプ551と、このセラミックパイプ551に密着状態で外嵌された金属パイプ552とから構成されている。本実施形態においては、金属パイプ552としてステンレススチール製のものが採用されているが、金属パイプ552がステンレススチール製であることに限定されない。
このような熱交換パイプ55が採用されることにより、1000℃〜1800℃の高温の排気が熱交換パイプ55内に導入されても、セラミックパイプ551の断熱効果によって熱交換パイプ55が熱損傷するような不都合を確実に回避することができる。
図5は、本発明に係るごみ焼却装置10の作用を説明するための説明図である。本発明に係るごみ焼却装置10は、送気管41の空気吹出し口411が焼却炉20の燃焼室202内に装填されたごみDの堆積物の略中心位置に位置するように設定されているため、空気吹出し口411から吹き出した空気は、図5に実線矢印で示すように、堆積したごみDに対して満遍なく均等に供給される。したがって、従来のように、堆積したごみDの山の一側面や下面側から空気が供給される場合に比較し、ごみDの山において供給空気に対して陰になる部分が存在せず、これによってごみDは燃え残りのない状態で均等に完全燃焼して焼却される。
そして、燃焼室202内で発生した燃焼排ガスは、図5に白抜き矢印で示すように、吸引ブロワ53の駆動で排気管51へ吸引されるため、燃焼室202内は常に新たな空気に満たされた状態になり、ごみDの円滑、かつ、効率的な焼却処理が実現する。
以上詳述したように、本発明に係るごみ焼却装置10は、投入されたごみDを焼却処理する焼却炉20と、この焼却炉20内に空気を供給する送気管41と、焼却炉20内で形成した燃焼排ガスを排気する排気管51とを備えてなるものであり、焼却炉20は、その内部に設けられたごみ支持用のロストル292と、このロストル292の下部に設けられた着火用の着火バーナー60とを有し、送気管41は、空気吹出し口411が焼却炉20内のごみDの略中心位置に位置するように配設されている。
したがって、ごみDが焼却炉20内に装填された状態で送気管41から空気吹出し口411を介して空気を吹き出させることにより、この空気は、ごみDの略中心位置に供給され、ごみDの中を満遍なく通過して四方に拡散していくため、ごみDの燃焼は、その略中心位置から四方に広がっていき、均一に燃焼されることで燃え残りのない確実な焼却処理を実現することができる。
したがって、従来のごみ焼却装置においては、空気が焼却炉20の壁面の一部に開口された空気取入口や、焼却炉20内のロストル292の下部から空気が焼却炉20内に導入され、これによって焼却炉20内のごみDの一面にしか空気が供給されないことから、ごみDに対する空気の供給が不均一になり、これによってごみDの均一でかつ効率的な焼却処理が実現し難かったという不都合を確実に解消することができる。
そして、ごみDを着火するための着火バーナー60が焼却炉20の内部に設けられたごみ支持用のロストル292の下部に設けられ、これによって着火バーナー60からの火炎は、ロストル292を介して上部のごみDに向けて立ち昇るため、ごみDは、この立ち昇った火炎に炙られて直ちに着火する。したがって、従来のように、焼却炉20に付設された上下方向に延びる送気管41の上端部から火炎を下方に向けて送り込むものに比べて着火不良で焼却炉20を正常に運転し得なくなるような不都合の発生を有効に防止することができる。
また、焼却炉20には、ごみDを連続的に焼却炉20内に供給するごみ自動供給装置30と、大型ごみを投入するための大型ごみ投入口222とが付設されているため、生ごみや紙製品等の比較的容量の小さいごみDは、ごみ自動供給装置30によって連続的に焼却炉20に供給することができる一方、廃タイヤや不要家具等の大型ごみは、大型ごみ投入口222から焼却炉20に投入することができ、ごみ焼却装置10を、処理対処であるごみの種類に応じて汎用性に富んだものにすることができる。
また、送気管41には、焼却炉20内のごみDに向けて空気を送り込む送風ブロワ42が接続され、排気管51には、焼却炉20内で形成した燃焼排ガスから排熱を回収する排熱回収装置52と、この排熱回収装置52を介して燃焼排ガスを吸引する吸引ブロワ53とが接続されているため、焼却炉20内には、送風ブロワ42からの空気が強制供給されるとともに、生成した燃焼排ガスは、吸引ブロワ53によって強制吸引され、これら送風ブロワ42および吸引ブロワ53の運転を適正に制御することによって、焼却炉内の環境をごみDの燃焼に最適の状態にすることが可能になり、効率的なごみDの燃焼処理を達成することができる。
また、焼却炉20で生成した燃焼排ガスは、その排熱が排熱回収装置52によって回収されるため、エネルギーの有効利用に貢献することができる。
そして、焼却炉20は、ごみDが燃焼される燃焼室202と、この燃焼室202に下部が自由端となるように焼却炉20の天板から垂下された仕切り壁28と、この仕切り壁28を介して燃焼室202に隣設されたごみ受入室201とを備えて構成されているため、焼却炉20に導入されたごみDは、一旦ごみ受入室201に投入され、ここで予熱処理が施され、これによってごみDを直接燃焼室202に導入する場合に比較し、燃焼室202内でのごみDの燃焼がより円滑に行われ、結果として焼却処理の熱効率を向上させることができる。
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、以下の内容をも包含するものである。
(1)上記の実施形態においては、焼却炉20は、平面視で円弧状を呈するものが採用されているが、本発明は、焼却炉20が平面視で円弧状をていするものであることに限定されるものではなく、全体的に円筒状であってもよいし、直方体状を呈するものであってもよく、状況に応じて適宜最適な立体形状が設定される。
(2)上記の実施形態では、ごみ自動供給装置30において電動モータ33の駆動軸ががスパイラルフィーダ32のフィーダ軸321に直接連結されているが、本発明は、電動モータ33の駆動軸をフィーダ軸321に直結することに限定されるものではなく、各種のギヤを組み合わせて形成されたギヤ機構を介して減速状態で電動モータ33の駆動力をスパイラルフィーダ32に伝達するようにしてもよい。
(3)上記の実施形態においては、燃焼室202内に装填されたごみDを着火するための着火装置として、特殊な構造の着火バーナー60が採用されているが、本発明は、かかる着火バーナー60を採用することに限定されるものではなく、市販されている通常のバーナー装置を採用してもよい。
(4)上記の実施形態においては、着火バーナー60を燃焼室202内のごみDの着火時に使用するようにしているが、本発明は、着火バーナー60をごみDの着火時のみに使用することに限定されるものではなく、ごみDの種類や量等の状況に応じて適宜使用してもよい。例えば大型ごみが多くて燃えにくい場合など、送気装置40からの空気供給による大型ごみの自然に加えて着火バーナー60による強制燃焼を加味することにより、焼却処理がより効率的に行われる。
(5)上記の実施形態においては、着火バーナー60を横置きで灰貯留室205内に装着しているが、本発明は、着火バーナー60を横置きで装着することに限定されるものではなく、火炎噴射口を上に向けた縦置きで装着してもよい。こうすることによって着火バーナー60からの火炎がロストル292間の隙間を介してごみDに直接当るため、ごみDの着火がより迅速に行われる。
(6)上記の実施形態においては、排熱回収装置52として焼却炉20からの高温の排気を熱交換パイプ55内に通すことによって当該熱交換パイプ55内の高温の排気と、熱交換パイプ55の外側の熱媒体との熱交換を行わせるようにしているが、これとは逆に、焼却炉20からの高温の排気を熱交換パイプ55内に通し、熱交換パイプ55の外側に供給された熱媒体との熱交換で当該熱媒体を加熱するようにしてもよい。但し、この場合には、上記の実施形態とは逆に、セラミックパイプ551を金属パイプ552に外嵌する必要がある。