JP2006002201A - メッキ膜被覆構造部材、メッキ膜が被覆された構造部材の製造方法および光学モジュール - Google Patents

メッキ膜被覆構造部材、メッキ膜が被覆された構造部材の製造方法および光学モジュール Download PDF

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Abstract

【課題】 Si等の非金属基板表面に直接的にメッキ処理を行うことを可能とする。
【解決手段】 非金属からなるSi基板11と、Si基板11表面に形成された無機酸化物微粒子の焼結体からなる下地薄膜161と、下地薄膜161上に無電解メッキ処理により形成されたメッキ膜 (Ni-P膜162)とを有する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、Siウェハ等の非金属基板表面にメッキ膜が形成されたメッキ膜被覆構造部材等に関し、特にスパッタリング等によって金属下地層を設けることなく、非金属基板表面にメッキ膜が形成されたメッキ膜被覆構造部材等に関する。
近年、高周波素子あるいは光通信素子の高速化、高密度化に伴い、シリコンウェハ(Siウェハ)等の半導体基板上に、配線、端子、バンプ等に用いられる金属膜が形成されたデバイスが多用されている。かかるデバイスでは、基板としてSiウェハが用いられる場合には、従来よりスパッタリングや蒸着等の気相成長法やメッキ処理によって金属膜が形成されている。特にメッキ処理は、1μm以上の厚膜形成が容易であること、高アスペクトの精密なパターン形成が可能であること、さらには大きな面積の基板に対しても、全域に亘って均一な被膜を形成でき、しかも量産性が高いこと等から、ダマシン法やウェハレベルCSP(Wafer level Chip Size Package)等の半導体プロセスで盛んに用いられている。
この場合、メッキ処理は通常、電気メッキが用いられ、基板上にスパッタリングによってシード層となる金属薄膜が形成された後、メッキが行われている。すなわち、Siウェハ等の半導体基板上にメッキ処理を行う場合には、シード層を形成するためにドライ方式の薄膜形成が必要であった。この薄膜形成は、メッキ処理に比べてスループットが格段に劣るため、生産性を低下させる要因となっている。そのため、シード層の形成を無電解メッキで行うことができれば、オールメッキプロセスが実現し、メッキ処理におけるスループットは飛躍的に向上する。しかし、SiまたはSi熱酸化膜(以下、「Si等」という。)上への無電解メッキは、Si等の表面が極めて安定であるため技術的に難しく、実用化に向けた検討は行なわれているが、未だに実現できないのが現状である。
ここで、従来より検討が行なわれているSi等への無電解メッキに関する技術として、金属導体回路が設けられた絶縁基板上の全面又はその一部に、無機系固体粉末を含有した紫外線硬化性組成物を塗布、パターニングして絶縁層を形成した後、プラズマ処理を施し、無機酸にて絶縁層を粗面化して、続いて無電解メッキを行なう技術が存在する(例えば、特許文献1参照)。
また、他の技術として、ガラス基板表面の所望するメッキパターン以外の領域をレジスト膜で保護した後、メルカプト基、アミノ基、シアノ基、アミド基、そしてウレイド基から選ばれた少なくとも1種の官能基を有するシランカップリング剤で表面処理し、固着されたシランカップリング剤を介して金属微粒子を固定し、無電解メッキ処理を施してガラス基板表面のパターンメッキを行なう技術が存在する(例えば、特許文献2参照)。
特開平5−37152号公報(第2−3頁) 特開2002−68782号公報(第3−5頁)
しかしながら、Si等への無電解メッキを行なうに際して、特許文献1に記載されたように、絶縁基板表面に対して粗面化処理を行う方法では、絶縁基板表面にミクロン(μm)オーダー以上の凹凸を形成することとなるため、これを配線に用いた場合には、損失や信号遅延の原因となる。特に、高周波配線では、損失や信号遅延が大きなものとなるため実用には適さない。また、光デバイスにおけるミラーのような平滑性が要求される部材に対して使用することもできない。さらには、絶縁基板表面を粗面化させるために、フッ酸等の劇薬を必要とするので、プロセス管理を慎重に行なう必要もある。このように、粗面化処理を行う方法には種々の問題が存在している。
また、特許文献2に記載されたように、特定の界面活性剤等を用いてメッキ処理の触媒核を設ける方法では、実用上充分な膜付着強度が得られるものが未だ見出されていないという問題がある。
なお、Si等の非金属基板の表面にエポキシ樹脂等の接着層となる被膜を形成することによっても、メッキ処理を行うことは可能であるが、耐環境性に劣る点や、さらには膜応力の違いに起因した剥離等の問題が存在し、実用的ではない。
そこで本発明は、以上のような技術的課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、Si等の非金属基板からなる構造部材の表面に直接的にメッキ膜を形成することにある。
また、他の目的は、Si等の非金属基板表面の平滑性を維持しつつ、メッキ膜における充分な膜付着強度を得ることにある。
かかる目的のもと、本発明のメッキ膜被覆構造部材は、非金属からなる基体と、基体表面に形成された無機酸化物微粒子の焼結体からなる下地膜と、下地膜上に無電解メッキ処理により形成されたメッキ膜とを有することを特徴としている。これにより、Si等の非金属基板で構成される構造部材において、スパッタリングや蒸着等の手法によって金属薄膜を形成することなく、直接的にメッキ膜を強固に被覆することが可能となる。
ここで、下地膜はシリカを含むことを特徴とすれば、下地膜を形成するに際し、シリコン基板との接着性が高く、信頼性に優れ、かつ塗布性が良好である点から好ましい。また、下地膜は化学的に未結合の部分を有することを特徴とすれば、下地膜とメッキ膜との間の化学的な結合力をより強固なものにすることができる。さらに、下地膜は多孔質構造を有することを特徴とすれば、下地膜と接合するメッキ膜との接触面積を大きくして、下地膜とメッキ膜との膜付着強度をさらに高めることができる。さらにまた、下地膜はメッキ膜との界面がナノメートルオーダーの平滑面に形成されたことを特徴とすれば、下地膜上に形成されるメッキ膜の接合面は高い平滑性を持って形成されることとなるため、高周波配線に用いられても、実質的に損失や信号遅延を発生することがない。
また、本発明をメッキ膜が被覆された構造部材の製造方法と捉え、本発明のメッキ膜が被覆された構造部材の製造方法は、非金属基体上に無機酸化物微粒子のコロイド溶液を塗布する塗布工程と、コロイド溶液を焼成して下地薄膜を成膜させる乾燥工程と、下地薄膜を無電解メッキ処理するメッキ工程とを有することを特徴としている。
ここで、塗布工程は、シリカ微粒子を含むコロイド溶液が塗布されることを特徴とすれば、下地薄膜を形成するに際し、シリコン基板との接着性が高く、信頼性に優れ、かつ塗布性が良好である点から好ましい。また、塗布工程は、コロイド溶液がSOGまたはポーラスSOGであることを特徴とすることもできる。これにより、特にポーラスSOGを用いることで、下地薄膜を多孔質構造に形成して、下地薄膜と接合するメッキ膜との接触面積を大きくし、下地薄膜とメッキ膜との膜付着強度をさらに高めることができる。さらに、乾燥工程は、下地薄膜に化学的に未結合の部分が残るか、または下地薄膜の表面に無機酸化物微粒子による微細な凹凸が残る程度に、焼成条件が定められたことを特徴とすれば、下地薄膜とメッキ膜との間の化学的な結合力をより強固なものにすることができる。さらにまた、乾燥工程により成膜された下地薄膜に対し、イオンまたは紫外線の照射処理を行なう乾式照射処理工程をさらに含むことを特徴とすれば、下地薄膜とメッキ膜との結合力をより高めることができる。
本発明を光学モジュールと捉え、本発明の光学モジュールは、シリコン基板と、シリコン基板上に搭載される駆動部品と、駆動部品に電力を供給する配線とを備え、配線は、無機酸化物微粒子の焼結体からなる下地膜と、下地膜上に無電解メッキ処理により形成されたメッキ膜とで構成されたことを特徴としている。これにより、シリコン基板に対し、スパッタリングや蒸着等の手法によって金属薄膜を形成することなく、直接的に配線を強固に形成することが可能となる。
ここで、配線は下地膜がシリカを含むことを特徴とすれば、下地膜を形成するに際し、シリコン基板との接着性が高く、信頼性に優れ、かつ塗布性が良好である点から好ましい。また、下地膜は、メッキ膜との界面がナノメートルオーダーの平滑面に形成されたことを特徴とすれば、駆動部品に高周波を伝送する際にも、実質的に損失や信号遅延を発生することがない。
本発明の効果として、Si等の様々な非金属基板からなる構造部材の表面に、直接的にメッキ処理を行うことが可能となるため、配線等の形成に際し量産性の高いメッキプロセスを実現することができる。また、Si等の非金属基板表面の平滑性を維持できるので、高周波配線に用いても損失や信号遅延の発生を抑えることができる。
さらに、メッキ膜における充分な膜付着強度を得ることができるので、非金属基板とメッキ膜との間で剥離が生じることを抑制し、信頼性の高いメッキ膜を形成することが可能となる。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1(a)、(b)は、本実施の形態が適用されるメッキ膜被覆構造部材の一例としての光学モジュール1の構成を示した図である。図1(a)は光学モジュール1の上面図であり、図1(b)は光学モジュール1の側面図である。図1に示す光学モジュール1は、シリコン(Si)基板11を基体とする光学ベンチ(シリコンオプティカルベンチ)10、光学部品である結像素子としての結合レンズ21、駆動部品である発光素子としてのレーザダイオード22により主要部が構成されている。
光学ベンチ10には溝12が形成され、この溝12内に、例えば石英製の結合レンズ21が搭載されている。また、光学ベンチ10には配線16が形成され、この配線16の上に、レーザダイオード22が実装されている。図1に示す光学モジュール1の実装例では、配線16の上にレーザダイオード22が所定位置に実装された後、結合レンズ21が位置決めされる。その後、結合レンズ21は、接着剤等を用いてSi基板11に固定される。本実施の形態では、上述した作業工程によって光学ベンチ10が作製されることから、配線16の精度が±3μm以内と高く、その結果として、光学モジュール1における組み立て整合性を向上させることが可能となる。なお、光学モジュール1に搭載される他の光学部品または駆動部品としては、ファイバ、ミラー、フィルタ、スイッチ等を配設することもできる。
ここで、本実施の形態が適用される光学ベンチ10では、シリコンウェハであるSi基板11上に形成される配線16は、Si基板11上にスパッタリングや蒸着等の手法によって金属薄膜を形成することなく、直接的にメッキ処理を行うことによりメッキ膜が形成されている点に特徴がある。
図2は、光学ベンチ10に配線16が形成された断面構造を示した図である。ここでは、Si基板11上に、無機酸化物微粒子の焼結により形成された下地薄膜(下地膜)161が、メッキ膜の下地層として設けられている。具体的には、例えばシリカ等の無機酸化物微粒子のコロイド溶液をスピンコート等によりSi基板11上に塗布し、所定の条件により焼成することで膜化させて、焼成体である下地薄膜161を形成している。
その際、この下地薄膜161を形成する段階においては、この焼成による膜化を、本来の条件よりも緩やかな条件で行なうことで、下地薄膜161では焼成不完全な状態となるようにしていることも特徴としている。すなわち、本来の焼成条件よりも低い温度または短い時間で焼成を行なうことで、下地薄膜161に化学的に未結合の部分が存在するか、或いは微粒子の形状が僅かに残って、表面に微細な凹凸が存在するようにしておく。
そして、この下地薄膜161の上に、無電解メッキにより例えばリン濃度13%のニッケルリン膜(Ni-P膜)162が成膜されている。さらに、このNi-P膜162の上に、無電解メッキにより金膜(Au膜)163が0.5μm程度の厚さで成膜され、配線16が形成されている。
このように配線16を構成することで、下地薄膜161上に無電解メッキを施した際に、下地薄膜161とNi-P膜162との界面で、下地薄膜161とNi-P膜162との化学的な結合力を生じさせることが可能となり、両者間の付着力を強固なものとすることができる。さらに加えて、下地薄膜161表面には、ナノメートル(nm)オーダーの極めて微小な粒子に基づく微細な凹凸が形成されているため、それ単独では充分な付着力とはなり得ない程度ではあるが、下地薄膜161とNi-P膜162との間の付着力を補助する程度の所謂物理的なアンカー効果も作用する。そのため、Ni-P膜162とAu膜163とを下地薄膜161を介してSi基板11上に強固に付着させることができることとなり、Si基板11のような非金属基板に対し、剥離の発生を抑制する程の膜付着強度の高いメッキ膜を形成することが可能となる。
さらに、下地薄膜161表面に形成される凹凸は、ナノメートルオーダーの極めて微細な凹凸であるため、その上に形成されるメッキ膜(Ni-P膜162)の接合面は極めて高い平滑性を持って形成されることとなる。そのため、レーザダイオード22用の配線等の高周波配線に用いられても、実質的に損失や信号遅延を発生することはない。
なお、この配線16に用いられるメッキ材料としては、一般的に電極配線用として無電解メッキで用いられるNi-P膜162およびAu膜163の2層膜が、成膜性、導電性、および耐食性の観点から好適であるが、特に、ニッケルリン中のリン濃度が高いほど非磁性に近くなるため、高周波配線であるレーザダイオード22用配線には適している。具体的には、リン濃度は10%以上が好ましく、特に12%以上で実質的に非磁性状態とすることができるのでさらに好適である。
かかるAu膜163が形成された後には、所定の条件で再度焼成が行なわれて、下地薄膜161の安定化が図られる。ただし、メッキ膜被覆体の用途によっては、完全焼結を行なわずに、焼結不完全のまま使用に供することも可能である。
続いて、下地薄膜161について説明する。
下地薄膜161を形成する微粒子の材料としては、無機酸化物微粒子であれば様々なものを用いることができるが、Si基板11との接着性が高く、信頼性に優れ、かつ塗布性の良好なシリカ微粒子溶液であるSOG(Spin-On-Glass)が好適に使用できる。特に、下地薄膜161中に空孔(ボイド)が形成されるタイプである、所謂ポーラスSOGがさらに好適である。ポーラスSOGを用いることにより、下地薄膜161を基本的に多孔質に構成できるため、下地薄膜161と接合するメッキ膜(Ni-P膜162)との接触面積を大きくして、下地薄膜161とメッキ膜との膜付着強度をさらに高めることができるからである。
このSOGのようなシリカ微粒子溶液は、Si基板11にスピンコートで一様に塗布される。Si基板11への塗布方法としては、スピンコートの他に、ディッピングやロール塗布等、一様な膜形成が可能であれば種々の方法を用いることができる。そして、シリカ微粒子溶液が一様に塗布された後、所定の条件により焼成することにより、下地薄膜161が形成される。
また、焼成により下地薄膜161が形成された後には、無電解メッキによるNi-P膜162を形成する際の前処理として、下地薄膜161の表面に、通常の酸洗、および水洗等の湿式処理に加えて、プラズマ照射処理や紫外線(UV)照射処理等の乾式処理を施すことが好適である。このような乾式処理を施すことにより、下地薄膜161とNi-P膜162との結合力をより高める作用があるためである。これは、乾式処理により、下地薄膜161の表面のSi−O結合の手が切れて、所謂ダングリングボンドに類似した状態が形成されるために、化学的な結合性がより高くなるためであると考えられる。この効果は、ポーラスSOGを用いることで特に顕著なものとなる。
ここで、図3において、下地薄膜161の形成から無電解メッキ処理に至る工程を説明するフローチャートを示す。図3に示したように、まず、Si基板11表面にスピンコートでSOG溶液を一様に塗布する(ステップS1)。そして、これを焼成することでSOG溶液を乾燥させる(ステップS2)。これにより、下地薄膜161が形成される。なお、このステップS2での乾燥工程おいては、通常の焼成で行なわれるベーキングとキュアとの2段階のうちのキュアを省略して、ベーキングのみを行なう。これは、焼成を不完全に行なうことで、下地薄膜161に化学的に未結合の部分が存在するか、或いは微粒子の形状が僅かに残って、表面に微細な凹凸が存在するようにしておくためである。
ステップS2の後、無電解メッキ処理に対する前処理を行なう。この前処理では、まず、プラズマ照射を行なって下地薄膜161表面をドライ処理(乾式照射処理)する(ステップS3)。これにより、下地薄膜161の表面のSi−O結合の手が切れて、所謂ダングリングボンドに類似した状態が形成される。また、ステップS3では、プラズマ照射に代えて紫外線照射を行うこともでき、この場合にも、プラズマ照射を行なった場合と類似の効果を得ることができる。なお、このステップS3は省略することも可能である。
続いて、界面活性剤により下地薄膜161表面のコンディショニングを行なう(ステップS4)。そして、これを水洗(ステップS5)した後に、例えば塩化スズ(Sn2+)溶液に浸漬し、下地薄膜161表面にSn2+触媒を付与して感応化させる(ステップS6)。さらに、これを水洗(ステップS7)した後に、例えば塩化パラジウム溶液に浸漬する酸洗を行い(ステップS8)、下地薄膜161表面にPdを析出させて活性化させる。ステップS6およびステップS8における処理条件は、いずれも例えば温度25℃の下で1〜2分間である。そして、これを水洗し(ステップS9)、無電解メッキの前処理が終了する。
続いて、下地薄膜161が形成されたSi基板11をニッケル(Ni)等で無電解メッキする(ステップS10)。そしてこれを水洗し(ステップS11)、乾燥させて(ステップS12)、メッキ膜(Ni-P膜162)が形成される。
以下、実施例に基づき、本実施の形態のメッキ膜の形成方法を具体的に説明する。なお、本実施の形態のメッキ膜の形成方法はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
表面熱酸化膜を有しない厚さ550μm、直径4インチのSiウェハ上に、スピンコートによりSOG溶液を塗布し、これを乾燥させて、厚さ300nmのシリカ薄膜下地層(下地薄膜161)を形成した。ここで、SOG溶液として日立化成工業(株)製HSG−7000を用いた。このSOG溶液は、多孔質の膜質を形成する低誘電率タイプとして設計されたポーラスSOGである。
乾燥工程の際の焼成では、キュア(400〜450℃)を省略して、ベーキング(250℃)のみを行なった。この乾燥工程の後に、無電解メッキ処理の前処理として、乾式処理であるアルゴンプラズマ照射処理を行い、その後、界面活性剤によるコンディショニング、触媒付与、酸洗等の一般的な湿式処理を行った。そして、シリカ薄膜下地層の上に無電解メッキ処理により、厚さ200nmのメッキ膜(Ni-P膜162)を形成した。メッキ膜を形成した後、シリカ薄膜下地層であるポーラスSOG膜のキュア温度である400℃で熱処理を行い、ポーラスSOG膜の安定化を図った。
このメッキ膜(Ni-P膜162)について、外観観察およびテープ剥離試験を行なった結果、光沢のあるフラット(平滑)な表面が形成されたのが観察され、また高い膜付着強度を確認できた
(実施例2)
SOG溶液として日立化成工業(株)製HSG−R7を用いた以外は、実施例1と同様の条件でメッキ膜(Ni-P膜162)を形成した。この実施例で用いたSOG溶液は、ポーラスSOGではなく、通常のSOG溶液である。
その結果、実施例1と同様に、光沢のあるフラットな表面のメッキ膜(Ni-P膜162)が形成され、膜付着強度は実施例1に比較してやや弱いが、実用可能なレベルの膜付着強度を得ることができた。
(実施例3)
シリカ薄膜下地層(下地薄膜161)を形成する際の乾燥工程において、ベーキング(250℃)およびキュア(400〜450℃)の2段階を行う点と、メッキ膜を形成した後の熱処理は省略した点を除いて、それ以外は、実施例1と同様の条件でメッキ膜(Ni-P膜162)を形成した。
その結果、実施例1と同様に、光沢のあるフラットな表面のメッキ膜(Ni-P膜162)が形成され、膜付着強度は実施例1に比較して弱いレベルではあるが、シリカ薄膜下地層(下地薄膜161)形成による膜付着強度の向上効果が確認できた。
(実施例4)
無電解メッキ処理の前処理において、乾式処理であるアルゴンプラズマ照射処理を行わないこと以外は、実施例1と同様の条件でメッキ膜(Ni-P膜162)を形成した。
その結果、実施例1と同様に、光沢のあるフラットな表面のメッキ膜(Ni-P膜162)が形成され、膜付着強度は実施例1に比較して弱いレベルではあるが、シリカ薄膜下地層(下地薄膜161)形成による膜付着強度の向上効果が確認できた。
なお、上記した実施例1〜4での結果は、表面熱酸化膜を有するSiウェハを基板として用いた場合にも、ほぼ同様の結果を得ることができた。また、実施例1、2、4において、メッキ膜(Ni-P膜162)を形成した後の400℃での熱処理を行った場合には、メッキ膜の密着強度は若干低下したが、メッキ膜自体に対する影響は殆どなかった。
次に、本実施の形態が適用される光学ベンチ10の製造方法について説明する。
図4および図5は、光学ベンチ10の製造工程を説明するための図である。まず、表面に酸化膜(SiO)が形成されているSi基板11を準備した後、図4(a)に示すように、SOGをスピンコート等によりSi基板11上に塗布し、さらに所定の条件により焼成(乾燥)することで膜化させて、下地薄膜161が形成される。次に、図4(b)に示すように、無電解メッキ処理により、例えば3μm程度の厚さにNi-P膜162が形成される。次いで、図4(c)に示すように、レジスト31が塗布される。その後、図4(d)に示すようにマスクを用いてパターニング(パターン形成)が行われる。そして、図4(e)に示すように、塩酸によりNi-P膜162をエッチングして、配線16の基本パターンを形成する。その後、レジスト31は除去される。
次に、レジスト31が除去されたNi-P膜162の上に、図4(f)に示されるように、この基本パターン上に無電解メッキ処理によりAu膜163が、例えば0.5μm程度、成膜されて、配線16が作製される。このAu無電解メッキ工程では、パターン上にマスクレスで無電解メッキがなされる。その際に、無電解メッキ処理において反応速度を低めに設定することにより、残留歪が小さくかつ均一性の高い膜が得られ、応力集中による腐食の加速が実質的に生じにくくしている。また、無電解メッキを用いて膜を積層堆積する場合、一層目のみをエッチングしてパターニングしておくことで、後続の層はその上に同一パターンで堆積させることができる。その結果、積層膜の場合に比べエッチング作業が行い易くなり、また寸法精度を高めることができ、プロセス効率を向上させることができる。
図5を用いて製造工程を更に説明すると、前述のようにして配線16を作製した後、KOH等の強アルカリを用いた溝12の形成工程に入る前に、Si基板11の酸化膜(SiO)とSOGからなる下地薄膜161とを除去することを目的として、図5(g)に示すようにレジスト32の塗布とパターニングが実行される。次いで、図5(h)に示すようなフッ酸エッチング工程で形成される溝12のパターンに合わせて、Si基板11上に当初から形成されている酸化膜(SiO)と下地薄膜161とがフッ酸(HF)を用いて除去される。
その後、レジスト32が除去された後、図5(i)に示すように、強アルカリであるKOHを用いた異方性エッチングが行われ、レンズ搭載用の溝12が形成される。そして、光学ベンチ10が完成される。このように、本実施の形態では、配線16の加工は溝12の加工前、すなわち、Si基板11のウェハ表面に酸化膜の付いた状態で行われることから、従来、必要であった高温の酸化処理が不要であり、工程時間を著しく短縮することが可能となった。
なお、この図5(i)に示したKOHの深溝加工工程では、例えば、水酸化カリウム水溶液濃度を40wt%程度(60℃)、エッチング時間を33時間程度とすることで、例えば0.8mm程度の溝12を形成することができる。また、ある程度の荒れが加工面に生じることを許せば、アルカリ系のエッチング液としては、KOHの他に、例えばTMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)などを用いることも可能である。
以上説明したように、本実施の形態の光学モジュール1では、シリカ等の無機酸化物微粒子のコロイド溶液をSi基板11上に塗布して、所定の条件によりこれを焼成することで下地薄膜161を形成し、この下地薄膜161を介して無電解メッキ処理を行ってメッキ膜(Ni-P膜162)を形成して配線16を構成している。このような構成により、Si基板11のような非金属基板に対しても、スパッタリングや蒸着等の手法によって金属薄膜を形成することなく、直接的にSi基板11に対しメッキ膜を形成することが可能となった。そのため、配線16等の形成に際して、量産性を格段に向上させることができる。さらに、下地薄膜161と、その上に成膜されたメッキ膜(Ni-P膜162)との間に、化学的な結合力が生じるとともに、物理的なアンカー効果も加わって、両者の間の付着力を強固なものとすることができるため、実用上充分な膜付着強度を実現し、メッキ膜、すなわち配線16の信頼性を高めることが可能となった。
また、下地薄膜161の表面はナノメートルオーダーの極めて微細な凹凸であるため、その上に形成されるメッキ膜(Ni-P膜162)の接合面は高い平滑性を持って形成されることとなる。そのため、配線16がレーザダイオード22用の配線等の高周波配線に用いられても、実質的に損失や信号遅延を発生することもない。また、光デバイスにおけるミラーのような平滑性が要求される部材に対しても使用することが可能である。
なお、本実施の形態ではメッキ膜被覆構造部材として光学モジュールを例に説明したが、本発明はこのような光学モジュールに限定されず、非金属基板からなる構造部材に対し広く適用することが可能である。特に、従来のスパッタリングや蒸着等ではすべての面に対し均一な金属薄膜が形成できないために、メッキ膜を全面に均一に形成できない3次元の非金属構造部材に対しても、シリカ等の無機酸化物微粒子のコロイド溶液は均一に塗布することができるので、下地薄膜161を形成することができる。そのため、かかる3次元構造部材に対してもメッキ膜の形成が可能となるので、3次元配線を容易に作製することも可能となる。
本発明の活用例として、高周波素子あるいは光通信素子等における高周波配線への適用がある。また、電気製品等における3次元配線への適用も可能である。さらには、メッキ処理を必要とするいかなる非金属構造部材に対しても適用可能である。
光学モジュールの構成を示した図であり、(a)は上面図、(b)は側面図である。 光学ベンチに配線が形成された断面構造を示した図である。 下地薄膜の形成から無電解メッキ処理に至る工程を説明するフローチャートである。 光学ベンチの製造工程を説明するための図である。 光学ベンチの製造工程を説明するための図である。
符号の説明
1…光学モジュール、10…光学ベンチ(シリコンオプティカルベンチ)、11…シリコン(Si)基板、12…溝、16…配線、161…下地薄膜、162…Ni-P膜、163…Au膜、21…結合レンズ、22…レーザダイオード、31,32…レジスト

Claims (13)

  1. 非金属からなる基体と、
    前記基体表面に形成された無機酸化物微粒子の焼結体からなる下地膜と、
    前記下地膜上に無電解メッキ処理により形成されたメッキ膜と
    を有することを特徴とするメッキ膜被覆構造部材。
  2. 前記下地膜は、シリカを含むことを特徴とする請求項1記載のメッキ膜被覆構造部材。
  3. 前記下地膜は、化学的に未結合の部分を有することを特徴とする請求項1記載のメッキ膜被覆構造部材。
  4. 前記下地膜は、多孔質構造を有することを特徴とする請求項1記載のメッキ膜被覆構造部材。
  5. 前記下地膜は、前記メッキ膜との界面がナノメートルオーダーの平滑面に形成されたことを特徴とする請求項1記載のメッキ膜被覆構造部材。
  6. 非金属基体上に無機酸化物微粒子のコロイド溶液を塗布する塗布工程と、
    前記コロイド溶液を焼成して下地薄膜を成膜させる乾燥工程と、
    前記下地薄膜を無電解メッキ処理するメッキ工程と
    を有することを特徴とするメッキ膜が被覆された構造部材の製造方法。
  7. 前記塗布工程は、シリカ微粒子を含む前記コロイド溶液が塗布されることを特徴とする請求項6記載のメッキ膜が被覆された構造部材の製造方法。
  8. 前記塗布工程は、前記コロイド溶液がSOGまたはポーラスSOGであることを特徴とする請求項6記載のメッキ膜が被覆された構造部材の製造方法。
  9. 前記乾燥工程は、前記下地薄膜に化学的に未結合の部分が残るか、または当該下地薄膜の表面に無機酸化物微粒子による微細な凹凸が残る程度に、焼成条件が定められたことを特徴とする請求項6記載のメッキ膜が被覆された構造部材の製造方法。
  10. 前記乾燥工程により成膜された前記下地薄膜に対し、イオンまたは紫外線の照射処理を行なう乾式照射処理工程をさらに含むことを特徴とする請求項6記載のメッキ膜が被覆された構造部材の製造方法。
  11. シリコン基板と、
    前記シリコン基板上に搭載される駆動部品と、
    前記駆動部品に電力を供給する配線とを備え、
    前記配線は、無機酸化物微粒子の焼結体からなる下地膜と、当該下地膜上に無電解メッキ処理により形成されたメッキ膜とで構成されたことを特徴とする光学モジュール。
  12. 前記配線は、前記下地膜がシリカを含むことを特徴とする請求項11記載の光学モジュール。
  13. 前記下地膜は、前記メッキ膜との界面がナノメートルオーダーの平滑面に形成されたことを特徴とする請求項11記載の光学モジュール。
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