JP2006001116A - 長繊維強化熱可塑性樹脂構造体製造用分割可能な賦形ダイ及びそのダイを使用する長繊維強化熱可塑性樹脂構造体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は長繊維強化熱可塑性樹脂の製造装置及び製造方法に関して、製造される長繊維強化熱可塑性樹脂ペレットの繊維の種類又は繊維含量を効率良く変更する。
【解決手段】本発明は、開繊された繊維ロービングに溶融した熱可塑性樹脂を含浸し、賦形ダイにより溶融された過剰の樹脂を絞り所望の形状に賦形し、更に冷却後カッティングにより所望の長さの長繊維強化熱可塑性樹脂構造体を製造する方法において、低部が略半円形又は半割り多角形である凹部を有するプレート(A)と、頭頂部が略半円形又は半割り多角形である凸部を有するプレート(B)を組み合わせることで、プレート(A)の底部の略半円形又は半割り多角形とプレート(B)の頭頂部の略半円形又は半割り多角形とにより、略円形又は多角形の貫通穴が形成されることを特徴とした長繊維強化熱可塑性樹脂構造体製造用分割可能な賦形ダイを提供する。
【選択図】図2
【解決手段】本発明は、開繊された繊維ロービングに溶融した熱可塑性樹脂を含浸し、賦形ダイにより溶融された過剰の樹脂を絞り所望の形状に賦形し、更に冷却後カッティングにより所望の長さの長繊維強化熱可塑性樹脂構造体を製造する方法において、低部が略半円形又は半割り多角形である凹部を有するプレート(A)と、頭頂部が略半円形又は半割り多角形である凸部を有するプレート(B)を組み合わせることで、プレート(A)の底部の略半円形又は半割り多角形とプレート(B)の頭頂部の略半円形又は半割り多角形とにより、略円形又は多角形の貫通穴が形成されることを特徴とした長繊維強化熱可塑性樹脂構造体製造用分割可能な賦形ダイを提供する。
【選択図】図2
Description
本発明は、開繊された繊維ロービングに溶融した熱可塑性樹脂を含浸し、賦形ダイにより溶融された過剰の樹脂を絞り所望の形状に賦形し、更に冷却後カッティングにより所望の長さの長繊維強化熱可塑性樹脂構造体を製造する際に使用する賦形ダイ及び長繊維強化熱可塑性樹脂構造体の製造方法に関するものである。
従来から、繊維で強化された熱可塑性樹脂は、熱可塑性樹脂の物性を驚くほどに改善し、その用途の拡大がはかられてきた。特に近年では軽量化を目指す車両の部材として、金属に代わる材料として大きな可能性が期待されている。通常、繊維強化熱可塑性樹脂は、強化用繊維束を引きながら、繊維を開繊し樹脂を含浸する、例えば、クロスヘッドダイへ導入され、強化繊維に樹脂が含浸され、更に賦形ダイにより過剰の樹脂を絞り、ダイを出た樹脂含浸繊維ロービングは必要に応じて冷却後、適当な長さにカッティングされ製造されている。その製造方法に関しては種々の提案があり、特許文献1、特許文献2などが挙げられる。但し、賦形ダイに関しては、今まで特別に着目されることもなく、所望の形状を有する成形体にあわせた貫通穴のあいたプレートが使用されてきた。また、製造される繊維強化熱可塑性樹脂はその使用目的により繊維濃度が変更される。この繊維濃度を変えるには樹脂の供給量にもよるが、多くは賦形ダイの貫通穴の面積に左右される。従って、繊維濃度の異なる繊維強化熱可塑性樹脂を製造する際には、その規格に応じた貫通穴の面積を有する賦形ダイに変更する必要がある。この賦形ダイの変更は、通常製造を一旦停止し、繊維ロービングを総て引抜き、樹脂含浸ダイを冷却し、更には樹脂を取り除き、その後に変更すべき賦形ダイに交換して、再度繊維ロービングを樹脂含浸ダイに通し、ダイを加熱しつつ樹脂を供給することによって製造が再開されることになる。
特開平5−147116号公報
特開平11−314291号公報
本発明は長繊維強化熱可塑性樹脂の製造装置及び製造方法に関して、高度な生産性を実現するためのものである。近年、長繊維強化熱可塑性樹脂は多種の用途に用いられるようになり、熱可塑性樹脂の品種のみならず、繊維の種類及び繊維の含量について数多くの要望がある。繊維の種類を変更するときは装置を停止開放して残存する繊維を除去後、異なる品種の繊維をダイに通す必要がある。また、繊維の含量を変更する時は、やはり機械を停止して開放し、残存繊維を除去後、貫通穴の異なる賦形ダイに取り替え、再度繊維をダイに通して製造を開始していた。しかし、この停止による時間のロス及び切り替えによる材料のロスはコストに占める比率も大きく、特に自動車用の材料とするにはそのコスト低減は欠かせないものとなっている。従って、繊維含量の異なる品種を効率良く製造する方法が強く望まれていた。
本発明らは、上記問題を解決すべく鋭意検討の結果、分割可能で、樹脂含浸した繊維ロービングの通る貫通穴の面積を所望に応じて容易に変更可能な賦形ダイ及びその賦形ダイを使用した製造方法を見出すことにより本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、開繊された繊維ロービングに溶融した熱可塑性樹脂を含浸し、賦形ダイにより溶融された過剰の樹脂を絞り所望の形状に賦形し、更に冷却後カッティングにより所望の長さの長繊維強化熱可塑性樹脂構造体を製造する方法において、低部が略半円形又は半割り多角形である凹部を有するプレート(A)と、頭頂部が略半円形又は半割り多角形である凸部を有するプレート(B)を組み合わせることで、プレート(A)の底部の略半円形又は半割り多角形とプレート(B)の頭頂部の略半円形又は半割り多角形とにより、略円形又は多角形の貫通穴が形成されることを特徴とした長繊維強化熱可塑性樹脂構造体製造用分割可能な賦形ダイを提供するものである。
さらに本発明は、プレート(A)の底部の略半円形又は半割り多角形とプレート(B)の頭頂部の略半円形又は半割り多角形とにより形成される略円形又は多角形である貫通穴の面積が0.7〜80mm2であることを特徴とする前記記載の長繊維強化熱可塑性樹脂構造体製造用分割可能な賦形ダイを提供することである。
また、本発明は、プレート(A)の底部の略半円形又は半割り多角形とプレート(B)の頭頂部の略半円形又は半割り多角形とにより形成される略円形又は多角形である貫通穴の面積が賦形ダイの内側に向かって、貫通穴の面積が大きくなっていることを特徴とする前記記載の長繊維強化熱可塑性樹脂構造体製造用分割可能な賦形ダイを提供するものである。
さらに、本発明は、プレート(A)及びプレート(B)の厚みが0.5〜20mmであることを特徴とする前記記載の長繊維強化熱可塑性樹脂構造体製造用分割可能な賦形ダイを提供する。
また、本発明は、プレート(A)及びプレート(B)のかみ合わせ部分に、例えばスペーサーを挿入することで、プレート(A)の底部の略半円形又は半割り多角形とプレート(B)の頭頂部の略半円形又は半割り多角形とにより、形成される略円形又は多角形の貫通穴の面積を変更できることを特徴とした前記記載の長繊維強化熱可塑性樹脂構造体製造用分割可能な賦形ダイを提供するものである。
さらにまた、本発明は、開繊された繊維ロービングに溶融した熱可塑性樹脂を含浸するための樹脂含浸ダイの樹脂含浸繊維ロービング出口スリットに、分割可能な賦形ダイを取り付けることを特徴とした前記記載の長繊維強化熱可塑性樹脂構造体製造用分割可能な賦形ダイを提供する。
また、本発明は、開繊された繊維ロービングに溶融した熱可塑性樹脂を含浸し、賦形ダイにより溶融された過剰の樹脂を絞り所望の形状に賦形し、更に冷却後カッティングにより所望の長さの長繊維強化熱可塑性樹脂構造体を製造する方法において、低部が略半円形又は半割り多角形である凹部を有するプレート(A)と、頭頂部が略半円形又は半割り多角形である凸部を有するプレート(B)を組み合わせることで、プレート(A)の底部の略半円形又は半割り多角形とプレート(B)の頭頂部の略半円形又は半割り多角形とにより、略円形又は多角形の貫通穴が形成されることを特徴とした長繊維強化熱可塑性樹脂構造体製造用分割可能な賦形ダイを使用して樹脂含浸繊維ロービングを賦形することを特徴とした長繊維強化熱可塑性樹脂構造体の製造方法を提供するものである。
さらにまた、本発明は、プレート(A)及びプレート(B)のかみ合わせ部分に、例えばスペイサーを挿入することで、プレート(A)の底部の略半円形又は半割り多角形とプレート(B)の頭頂部の略半円形又は半割り多角形とにより、形成される略円形又は多角形の貫通穴の面積を変更できることを特徴とした長繊維強化熱可塑性樹脂構造体製造用分割可能な賦形ダイを使用して樹脂含浸繊維ロービングを賦形することにより長繊維強化熱可塑性樹脂構造体中の繊維濃度を可変出来ることを特徴とした前記記載の長繊維強化熱可塑性樹脂構造体の製造方法を提供する。
本発明の分割可能な賦形ダイ及びその賦形ダイを使用して長繊維強化熱可塑性樹脂材料を製造することにより、繊維含量の異なる品種の長繊維強化熱可塑性樹脂材料を製造する装置の切り替え時間の大幅な短縮を達成すると同時に、切り替え時に発生する原材料のロス及び不良品の発生を大幅に低減した。
本発明を実施するために、更に詳細に以下に説明する。本発明の分割可能な賦形ダイは長繊維強化熱可塑性樹脂の製造に使用される。長繊維強化熱可塑性樹脂の製造方法は、繊維束のケーキ巻きから繊維を引き出す工程と、繊維を開繊し溶融した熱可塑性樹脂を含浸する工程と樹脂含浸した繊維を賦形する工程と賦形された長繊維強化熱可塑性樹脂を冷却する工程、更に適切な長さにカットするカッティング工程による。また、必要に応じて、冷却工程が水による冷却では、樹脂含浸した繊維に付着した水を風圧により除去したり、カッティングした樹脂を乾燥させるような工程を加えることも可能である。前記した工程は総てが必須ではなく、各工程の目的を達成するならば、他の方法に変えることも可能である。各工程を更に詳細に説明すると、使用される繊維は通常ケーキ巻きになっているが、繊維ロービングであればどのような形状でも可能である。繊維を開繊する工程では、繊維に張力を加えるために凸面が交互になったクロスヘッドダイに繊維を走らせることも好ましいが、交互に配置されたピンを上下しながら、繊維が進むことも可能である。溶融された樹脂は、押出機等から供給されることが通常であり、その供給位置は繊維開繊のためのダイのどの位置でもよく、繊維が開繊された空隙を溶融樹脂で満たすことが必要である。賦形ダイを出た樹脂含浸繊維の冷却は水冷でも空冷でも良いが、水冷が効果的で好ましい。冷却用に使用した水が後の工程に持ち越されて不適当であれば、冷却後に風圧で水滴を除去することも好ましい。
本発明の分割可能な賦形ダイは、低部が略半円形又は半割り多角形である凹部を有するプレート(A)と、頭頂部が略半円形又は半割り多角形である凸部を有するプレート(B)を組み合わせることで、プレート(A)の底部の略半円形又は多角形とプレート(B)の頭頂部の略半円形又は半割り多角形とにより、略円形又は多角形の貫通穴が形成されることで構成されるが、その形成された貫通穴の面積は0.7〜80mm2であり、好ましくは1〜70mm2、特に好ましくは1.5〜60mm2である。貫通穴が0.7mm2より小さいと得られるペレットもほぼ0.7mm2の断面積であり、ペレットとしては細いものとなり、搬送中に破砕される。また、80mm2より大きいと、ペレットが太すぎてカッティングがうまく実施できない。略円形とは、真円や楕円等の種々の円形を示すが、プレート(A)及びプレート(B)によって形成される円が、両プレートをスライドさせて貫通穴を広げた時、半円との間に四角形が形成され、半円二つと四角形により形成される円も略円の中に含まれるものであり、多角形についても同じことが言える。
本発明の賦形ダイのプレート(A)及びプレート(B)の厚みは0.5〜20mmであり、好ましくは1〜15mm、特に好ましくは2〜10mmである。プレートの厚みが0.5mmより薄いと、プレートには押し出し圧力がかかるため強度不足で変形の原因となり、20mmより厚いと、ダイの組み立てが困難になる。
プレート(A)及びプレート(B)により形成される貫通穴は、賦形ダイの内側と外側で面積が異なっていてもよく、外側は通常内側より面積が同じか又は大きい。外側より内側に向かって徐々に大きくなることが、樹脂を均一含浸する上で好ましいものといえる。前記した、貫通穴の面積は賦形ダイの外側の面積であり、内側の面積は外側と同じから5倍程度であり、好ましくは同じから3倍程度である。
本発明の賦形ダイはプレート(A)及びプレート(B)をずらすことにより貫通穴の面積を自由に変更できる。プレート(A)及びプレート(B)をずらす方法としては、両プレートのかみ合わせ部分に種々の厚みのスペーサーを挿入することにより、貫通穴の面積を変更することができる。また、スペーサーを挿入する変わりに、それぞれを固定ボルトで位置を調整することでも貫通穴の面積を変更することは可能である。製造中にプレートの位置が変わらないようにするには、スペーサーの使用が好ましい。
本発明の分割可能な賦形ダイは、樹脂含浸ダイの樹脂含浸繊維ロービング出口スリットに設置されるが、賦形ダイと樹脂含浸ダイの間に、ロービングの方向性制御のためのスリットノズルを設けてもかまわない。更に、プレート(A)及びプレート(B)の組み込みにおいて、両プレートを強固に固定するために、両プレートのスライド部分を楔形として、かみ合わせることによる方法も好ましい。
本発明の分割可能な賦形ダイの材質としては、鉄、ステンレス鋼、アルミニウム等の金属やセラミックなどがあげられる。
図1は、長繊維熱可塑性樹脂構造体を製造するための例であり、ケーキ巻きされた繊維ロービング(1)から繊維を引き出し、溶融された熱可塑性樹脂は(2)から樹脂含浸ダイに供給される。図示はしていないが、熱可塑性樹脂は押出機などで溶融供給することが一般的である。図ではクロスヘッドダイにより繊維ロービングは開繊され、樹脂が含浸され賦形ダイ(5)で余剰の樹脂を絞り、賦形ダイの貫通孔の形状に賦形され、更に引取機(6)で樹脂含浸ロービングを引取り、更にペレタイザー(7)により適切な長さにカッティングされる。分割可能な賦形ダイの取り付け位置は、樹脂含浸繊維ロービングの出口スリット(8)である。
図2は、本発明である分割可能な賦形ダイの分割された状態を示したものであり、上部のプレート(7)が、プレート(A)に相当するものであり、低部(図では上側にはなっているが)に略半円形又は半割り多角形である凹部(1)を有している。下側のプレート(8)はプレート(B)に相当するものであり、頭頂部が略半円形又は半割り多角形である凸部(2)を有している。(3)はプレート(A)を適切な位置に固定するためのスペーサーである。プレート(B)は固定するために丸い貫通孔(4)があり、ボルト等で固定される。プレート(B)は貫通孔の大きさを変えるために適宜上下させて固定するため、ボルト孔(5)は楕円形である。(6)はプレート(A)とプレート(B)の位置確定させるための突起物であり、プレート(A)には図では隠れているが、突起物(6)に対応する孔が設けられている。この突起物は必ずしも必要なものではないが、位置固定のために好ましいものである。
図3は、プレート(A)の低部が略半円形又は半割り多角形である凹部と、プレート(B)頭頂部が略半円形又は半割り多角形である凸部を拡大図示したものである。図では頭頂部及び底部の略半円形で示したが、この略半円形は、半割り多角形でもかまわない。
図4は、プレート(A)とプレート(B)を組み合わせた時の図であり、(1)が貫通孔である。この貫通孔から樹脂含浸繊維ロービングが賦形され引き出される。図では、貫通孔は4つ記載されているが、装置の製造能力の設計にあわせて、その数が決定されるものである。
本発明により製造される長繊維強化熱可塑性樹脂の繊維含有量は10〜80重量%であり、好ましくは15〜75重量%、特に好ましくは20〜70重量%である。繊維含有量が10重量%より少ないと、製造された長繊維強化熱可塑性樹脂による成形体の強度が得られず、80重量%より多いと、樹脂と繊維の含浸が不十分となり、やはり適切な強度が得られない。
本発明に使用される長繊維強化熱可塑性樹脂の強化繊維としては、使用するマトリックス樹脂よりも弾性率が高い繊維であれば、下記に挙げた繊維に限定されるものではなく、周知のいずれの繊維も強化繊維として使用可能である。例えば、E−ガラス、D−ガラス等のガラス繊維;ポリアクリロニトリル系、ピッチ系、レーヨン系等の炭素繊維;ボロン繊維、鉱物繊維等の無機繊維;ステンレス、黄銅等の金属繊維;超高分子量ポリエチレン繊維、ポリオキシメチレン繊維、ポリビニルアルコール繊維、液晶性芳香族ポリエステル繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリ−p−フェニレンテレフタルアミド繊維、ポリ−m−フェニレンイソフタルアミド繊維等のアラミド繊維、ポリアクリロニトリル繊維、綿、ジュート等のセルロース繊維等の有機繊維などが挙げられる。それぞれの繊維は樹脂との親和性を向上するために各種のサイジング剤にてサイジング処理された繊維が用いられることが多い。
本発明に使用される長繊維強化熱可塑性樹脂ペレットのマトリックス樹脂は、熱可塑性樹脂であれば全ての樹脂が使用可能である。例えば、一般用ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂等のポリスチレン系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の熱可塑性ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、塩化ビニル、塩素化ポリプロピレン等のハロゲン含有ポリオレフィン樹脂、6−ナイロン、 6,6−ナイロン、 4,6−ナイロン、11−ナイロン、12−ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリエチルアクリレート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂等のポリアクリル系樹脂、ポリスルホン酸系樹脂、ポリフェニルエーテル樹脂、ポリアセタール樹脂、液晶性芳香族ポリエステル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂等の汎用樹脂からスーパーエンプラまで全ての熱可塑性樹脂及びこれらの2種類以上からなるアロイ樹脂が使用可能である。アロイを形成する樹脂は、ここに挙げた熱可塑性樹脂に限定されるものではなく、周知の他の熱可塑性樹脂及びそれらの2種類以上のアロイ樹脂が使用可能である。特に本発明の適用が好ましい熱可塑性樹脂としては、安価なポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ハロゲン含有ポリオレフィン系樹脂を挙げることができる。このようなポリオレフィン樹脂は無水マレイン酸などの変性剤を共重合やグラフト重合させた変性ポリオレフィンとして使用すること、または変性ポリオレフィンとポリオレフィンとの混合物として使用することが好ましい。
また、目的に応じて所望の特性を付与するため、一般に熱可塑性樹脂に添加される公知の物質、例えば酸化防止剤、耐熱安定剤、紫外線吸収剤等の安定剤、帯電防止剤、難燃剤、難燃助剤、染料や顔料等の着色剤、潤滑剤、可塑剤、結晶化促進剤、結晶核剤等を配合することも可能である。また、ガラスフレーク、マイカ、ガラス粉、ガラスビーズ、タルク、クレー、アルミナ、カーボンブラック、ウォラストナイト等の板状、粉粒状の無機化合物、ウィスカー等を併用しても良い。
以下に実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明は実施例により限定されるものではない。
含浸用樹脂としては、ポリプロピレンに無水マレイン酸を1重量%及び2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3を500ppm添加し、200℃で溶融混練し反応させて得られた変性ポリプロピレンを使用した。
ガラス繊維ロービングとして、径17μmのガラス単繊維を4000本の束、サイジング処理したものを使用した。
(実施例1)
4本のガラス繊維ロービングを260〜270℃に温度制御されたクロスヘッドダイに引き込み、変性ポリプロピレンをクロスヘッドダイに接続された押出機より溶融させ供給し、貫通穴の面積5.3mm2に調整された分割可能な賦形ダイを通して賦形し、冷却装置により繊維含浸ロービングを冷却し、ペレタイザーにて11mmの長さにカッティングした。引取速度は15m/分で行なった。得られたペレットのガラス繊維含有量は40重量%であった。
(実施例1)
4本のガラス繊維ロービングを260〜270℃に温度制御されたクロスヘッドダイに引き込み、変性ポリプロピレンをクロスヘッドダイに接続された押出機より溶融させ供給し、貫通穴の面積5.3mm2に調整された分割可能な賦形ダイを通して賦形し、冷却装置により繊維含浸ロービングを冷却し、ペレタイザーにて11mmの長さにカッティングした。引取速度は15m/分で行なった。得られたペレットのガラス繊維含有量は40重量%であった。
製造を一旦停止して、賦形ダイの貫通穴を9.3mm2に広げて、製造を再スタートした。同様の操作をすることでペレタイザーからは、5分後にはガラス繊維含量30重量%のペレットが得られた。切り替えの停止時間は約10分であった。再スタートから5分間は切り替えの不安定期間として、約2kgのペレットがロスとなった。
(比較例1)
分割できない賦形ダイを使用した以外は実施例1と同様の操作を実施した。ガラス繊維含有量が40重量%のペレットは貫通穴の面積が5.3mm2である分割できない従来の賦形ダイを使用した。製造を一旦停止して、樹脂含浸ダイ及び溶融樹脂の押出機の温度制御している加熱を停止して、放置冷却後、ダイを開放して樹脂含浸ダイに残存する繊維及び樹脂を取り除き、賦形ダイを貫通穴9.3mm2のものに変更した。繊維ロービングを樹脂含浸ダイ及び賦形ダイの貫通穴に通して、更に冷却設備、ロービング引取装置を通過させ、ペレタイザーへと繊維ロービングを導いた。再度ダイを復旧して過熱して、溶融樹脂を送りながら、繊維を引抜き製造再開に入った。製造を再開するまでの切り替え時間は3時間を要した。また、再スタート後繊維含有量が30%に安定するのに15分を要した。その間の不良ペレット発生量は、約6kgであった。
(比較例1)
分割できない賦形ダイを使用した以外は実施例1と同様の操作を実施した。ガラス繊維含有量が40重量%のペレットは貫通穴の面積が5.3mm2である分割できない従来の賦形ダイを使用した。製造を一旦停止して、樹脂含浸ダイ及び溶融樹脂の押出機の温度制御している加熱を停止して、放置冷却後、ダイを開放して樹脂含浸ダイに残存する繊維及び樹脂を取り除き、賦形ダイを貫通穴9.3mm2のものに変更した。繊維ロービングを樹脂含浸ダイ及び賦形ダイの貫通穴に通して、更に冷却設備、ロービング引取装置を通過させ、ペレタイザーへと繊維ロービングを導いた。再度ダイを復旧して過熱して、溶融樹脂を送りながら、繊維を引抜き製造再開に入った。製造を再開するまでの切り替え時間は3時間を要した。また、再スタート後繊維含有量が30%に安定するのに15分を要した。その間の不良ペレット発生量は、約6kgであった。
本発明の分割可能な賦形ダイを長繊維強化熱可塑性樹脂構造体の製造に応用することにより、繊維含量の異なる長繊維強化熱可塑性樹脂構造体の製造の切り替えを効率化し、切り替えによす原材料のロスを低減した。
(図1)
1 繊維ロービングのケーキ巻き
2 溶融熱可塑性樹脂入口
3 樹脂含浸ダイ
4 クロスヘッド
5 賦形ダイ
6 引取機
7 ペレタイザー
8 出口スリット
(図2)
1 プレート(A)の低部が略半円形である凹部
2 プレート(B)の塔頂部が略半円形である凸部
3 スペーサー
4 ボルト固定穴
5 ボルト変動固定穴
6 位置固定突起物
7 プレート(A)
8 プレート(B)
(図3)
1 プレート(A)
2 プレート(B)
3 プレート(A)の低部が略半円形である凹部
4 プレート(B)の塔頂部が略半円形である凸部
(図4)
1 貫通穴
2 賦形ダイ外側
3 賦形ダイ内側
4 ボルト固定穴
5 ボルト変動固定穴
1 繊維ロービングのケーキ巻き
2 溶融熱可塑性樹脂入口
3 樹脂含浸ダイ
4 クロスヘッド
5 賦形ダイ
6 引取機
7 ペレタイザー
8 出口スリット
(図2)
1 プレート(A)の低部が略半円形である凹部
2 プレート(B)の塔頂部が略半円形である凸部
3 スペーサー
4 ボルト固定穴
5 ボルト変動固定穴
6 位置固定突起物
7 プレート(A)
8 プレート(B)
(図3)
1 プレート(A)
2 プレート(B)
3 プレート(A)の低部が略半円形である凹部
4 プレート(B)の塔頂部が略半円形である凸部
(図4)
1 貫通穴
2 賦形ダイ外側
3 賦形ダイ内側
4 ボルト固定穴
5 ボルト変動固定穴
Claims (8)
- 開繊された繊維ロービングに溶融した熱可塑性樹脂を含浸し、賦形ダイにより溶融された過剰の樹脂を絞り所望の形状に賦形し、更に冷却後カッティングにより所望の長さの長繊維強化熱可塑性樹脂構造体を製造する方法において、低部が略半円形又は半割り多角形である凹部を有するプレート(A)と、頭頂部が略半円形又は半割り多角形である凸部を有するプレート(B)を組み合わせることで、プレート(A)の底部の略半円形又は半割り多角形とプレート(B)の頭頂部の略半円形又は半割り多角形とにより、略円形又は多角形の貫通穴が形成されることを特徴とした長繊維強化熱可塑性樹脂構造体製造用分割可能な賦形ダイ。
- プレート(A)の底部の略半円形又は半割り多角形とプレート(B)の頭頂部の略半円形又は半割り多角形とにより形成される略円形又は多角形である貫通穴の面積が0.7〜80mm2であることを特徴とする請求項1記載の長繊維強化熱可塑性樹脂構造体製造用分割可能な賦形ダイ。
- プレート(A)の底部の略半円形又は半割り多角形とプレート(B)の頭頂部の略半円形又は半割り多角形とにより形成される略円形又は多角形である貫通穴の面積が賦形ダイの内側に向かって、貫通穴の面積が大きくなっていることを特徴とする請求項1記載の長繊維強化熱可塑性樹脂構造体製造用分割可能な賦形ダイ。
- プレート(A)及びプレート(B)の厚みが0.5〜20mmであることを特徴とする請求項1記載の長繊維強化熱可塑性樹脂構造体製造用分割可能な賦形ダイ。
- プレート(A)及びプレート(B)のかみ合わせ部分に、例えばスペーサーを挿入することで、プレート(A)の底部の略半円形又は半割り多角形とプレート(B)の頭頂部の略半円形又は半割り多角形とにより、形成される略円形又は多角形の貫通穴の面積を変更できることを特徴とした請求項1記載の長繊維強化熱可塑性樹脂構造体製造用分割可能な賦形ダイ。
- 開繊された繊維ロービングに溶融した熱可塑性樹脂を含浸するための樹脂含浸ダイの樹脂含浸繊維ロービング出口スリットに、分割可能な賦形ダイを取り付けることを特徴とした請求項1記載の長繊維強化熱可塑性樹脂構造体製造用分割可能な賦形ダイ。
- 開繊された繊維ロービングに溶融した熱可塑性樹脂を含浸し、賦形ダイにより溶融された過剰の樹脂を絞り所望の形状に賦形し、更に冷却後カッティングにより所望の長さの長繊維強化熱可塑性樹脂構造体を製造する方法において、低部が略半円形又は半割り多角形である凹部を有するプレート(A)と、頭頂部が略半円形又は半割り多角形である凸部を有するプレート(B)を組み合わせることで、プレート(A)の底部の略半円形又は半割り多角形とプレート(B)の頭頂部の略半円形又は半割り多角形とにより、略円形又は多角形の貫通穴が形成されることを特徴とした長繊維強化熱可塑性樹脂構造体製造用分割可能な賦形ダイを使用して樹脂含浸繊維ロービングを賦形することを特徴とした長繊維強化熱可塑性樹脂構造体の製造方法。
- プレート(A)及びプレート(B)のかみ合わせ部分に、例えばスペイサーを挿入することで、プレート(A)の底部の略半円形又は半割り多角形とプレート(B)の頭頂部の略半円形又は半割り多角形とにより、形成される略円形又は多角形の貫通穴の面積を変更できることを特徴とした長繊維強化熱可塑性樹脂構造体製造用分割可能な賦形ダイを使用して樹脂含浸繊維ロービングを賦形することにより長繊維強化熱可塑性樹脂構造体中の繊維濃度を可変出来ることを特徴とした請求項7記載の長繊維強化熱可塑性樹脂構造体の製造方法。
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