JP2005536442A - リポソーム封入インスリン製剤 - Google Patents

リポソーム封入インスリン製剤 Download PDF

Info

Publication number
JP2005536442A
JP2005536442A JP2003533863A JP2003533863A JP2005536442A JP 2005536442 A JP2005536442 A JP 2005536442A JP 2003533863 A JP2003533863 A JP 2003533863A JP 2003533863 A JP2003533863 A JP 2003533863A JP 2005536442 A JP2005536442 A JP 2005536442A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
insulin
liposome
formulation
solution
encapsulated
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2003533863A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005536442A5 (ja
Inventor
リモナ マルガリート
Original Assignee
アラダイム コーポレーション
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by アラダイム コーポレーション filed Critical アラダイム コーポレーション
Publication of JP2005536442A publication Critical patent/JP2005536442A/ja
Publication of JP2005536442A5 publication Critical patent/JP2005536442A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K9/00Medicinal preparations characterised by special physical form
    • A61K9/10Dispersions; Emulsions
    • A61K9/127Liposomes
    • A61K9/1277Processes for preparing; Proliposomes
    • A61K9/1278Post-loading, e.g. by ion or pH gradient
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides
    • A61K38/16Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • A61K38/17Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • A61K38/22Hormones
    • A61K38/28Insulins
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P3/00Drugs for disorders of the metabolism
    • A61P3/08Drugs for disorders of the metabolism for glucose homeostasis
    • A61P3/10Drugs for disorders of the metabolism for glucose homeostasis for hyperglycaemia, e.g. antidiabetics
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K9/00Medicinal preparations characterised by special physical form
    • A61K9/0012Galenical forms characterised by the site of application
    • A61K9/007Pulmonary tract; Aromatherapy
    • A61K9/0073Sprays or powders for inhalation; Aerolised or nebulised preparations generated by other means than thermal energy

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Diabetes (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Endocrinology (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Dispersion Chemistry (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Emergency Medicine (AREA)
  • Hematology (AREA)
  • Obesity (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Medicinal Preparation (AREA)

Abstract

本発明はリポソーム内に封入されたインスリンまたはインスリンアナログの製剤、およびそのような製剤を製造する方法を提供する。本発明はさらに、本発明の製剤を投与することにより高血糖症および関連疾患を治療する方法を提供する。

Description

発明の分野
本発明は一般にリポソームインスリン製剤、ならびにその製剤を使用する高血糖症および関連状態を治療する方法に関する。
発明の背景
ヒトおよび動物のグルコース代謝の幾つかの代謝性疾患、例えば、高血糖症、インスリン依存性糖尿病、グルコース寛容減損、高インスリン血症、およびインスリン非感受性、例えばインスリン非依存性糖尿病(NIDDM)が存在する。高血糖症は、血糖値が、空腹時、食事を摂取した後またはブドウ糖負荷試験中に正常なレベルを超えた状態である。高血糖症はNIDDMおよび肥満において起こることがある。高血糖症はNIDDMと診断されなくても起こることがある。この状態はグルコース寛容減損または糖尿病予備群と呼ばれる。標準用量のグルコースが経口または非経口投与された後、血液からのグルコースの代謝クリアランス速度が、一般個体群で普通生じる速度よりも小さいとグルコース寛容減損が起こる。グルコース寛容減損はNIDDMならびに肥満、糖尿病予備群、および妊娠糖尿病においても起こることがある。高インスリン血症は、空腹時または食後の血液インスリンレベルが正常レベルを超えるものと規定される。高インスリン血症は、高血圧症またはアテローム性動脈硬化症と関連し、またはそれらの原因となることがある。インスリン非感受性、またはインスリン抵抗性は、インスリン依存性グルコースクリアランス速度が、診断手順中一般群において通常起こる速度よりも小さい場合に起こる。
糖尿病は世界中で約1億5000万人の人々に影響する疾病である。米国で糖尿病と診断された750万のうち、その約3分の1がインスリン置換療法による治療を受けている。インスリン投与を受ける患者は典型的には、皮下注射により1日あたり1回または複数回の用量の薬物を自己投与する。
糖尿病は2つの型、I型糖尿病すなわちインスリン依存性糖尿病(IDDM)およびII型糖尿病すなわち非インスリン依存性糖尿病(NIDDM)に分類される。I型糖尿病は、膵臓がインスリンの産生を中止し、全糖尿病患者の10%で発症し、しばしば幼少期に発症し、若年発症糖尿病として知られる。より一般的なII型糖尿病は、全糖尿病患者の90%で発症し、膵臓はインスリンを産生できるが、食事に応答するインスリンの分泌量が減少し、糖尿病患者の組織は糖尿病患者でないものの組織ほどインスリンに応答しない。II型糖尿病は成人発症糖尿病として周知である。
インスリンは名目上の分子量が約6,000ダルトンのポリペプチドである。インスリンは従来、ブタおよびウシの膵臓を処理し天然産物を単離することにより製造していた。最近では、組換え技術によりヒトインスリンをインビトロで製造することが可能となっている。米国では、インスリン治療を開始した患者全てにおいて組換えヒトインスリンを使用することが現在、一般的である。
ほとんどの蛋白質が胃腸(GI)管の酸性環境で直ちに分解されることは周知である。インスリンはGI管で容易に分解される蛋白質であるので、インスリンの投与が必要な場合は皮下注射により薬物が投与される。インスリンを経口投与する満足のいく方法は開発されていない。インスリンに対するそのような経口送達製剤が欠如していることにより、注射による薬物投与では心理学的かつ身体的に痛みがあるという問題が生じる。
多くの研究者が、経口、直腸、経皮、および経鼻経路など、インスリンを投与するための他の経路を研究している。これまでのところ、これらの種類の投与は、インスリン吸収の低さおよび変動性、血清グルコース値の有意な減少の欠如、または送達部位での炎症により有益ではなかった。対照的に、患者の呼吸を適当に制御することにより送達される微粒子エアロゾルの肺送達では、インスリンの有益で再現可能な吸収および短時間作用型(レギュラー)インスリンの皮下注射により得られる応答と同様のグルコース値の減少が得られる。しかしながら、現在ではこれらのインスリン製剤の肺投与後の血漿プロファイルにより、これらの方法では、長時間作用型インスリン注射に取って代わることができるインスリンの持続レベルが達成されないことが示される。
従って、当技術分野では、長時間作用型インスリン製剤、特に肺投与のためにエアロゾル化することができる長時間作用型インスリン製剤が必要である。
文献
Figure 2005536442
発明の概要
本発明は、リポソーム内に封入したインスリンまたはインスリンアナログの製剤、およびそのような製剤を製造する方法を提供する。本発明はさらに、本発明の製剤を投与することにより高血糖症および関連疾患を治療する方法を提供する。
本発明の1つの態様は、薬剤として使用するためにインスリンを製剤化する方法である。この場合、塩基性pHを有するインスリン溶液を作製し、溶液を塩基性pHでリポソーム内に封入させ、封入後、リポソームを中和し、より中性のpH、例えばpH7.2〜7.6とする。塩基性pHでの封入により、インスリンまたはインスリンアナログの封入効率が高くなり、封入に続く中和により、患者に投与するのに望ましいpHの製剤が提供される。
他の態様では、本発明はインスリン含有リポソーム製剤を作製する酸性〜中性アプローチを提供する。このアプローチでは乾燥インスリンを約2〜3の範囲のpHまでの酸性条件下で溶解し、その後、典型的に希釈を最小に抑える条件下で、調製物をNaOHで滴定し約pH7.2〜7.4とする。その後、調製物を一般に緩衝化する。
本発明の他の態様は、本発明の方法を用いて製造したインスリン製剤である。好ましい態様では、製剤は高インスリン用量、例えば、約500〜1500インスリン単位/mlを提供する。この好ましい態様の製剤は一般に、その製剤中に20〜80mg/mlのインスリンを含む。製剤は溶液(例えば、水溶液)、乾燥粉末、コロイド懸濁液などとして作製してもよい。特別な態様では、製剤はエアロゾル化され、好ましくは空気動力学的直径が1〜5ミクロンの範囲の粒子が形成される。
本発明の他の態様は、本発明のインスリン製剤を患者に投与することにより高血糖症および関連疾患を治療するための方法である。本発明の他の態様は、本発明のインスリン製剤を投与することにより患者の糖尿病を治療するための方法である。いくつかの態様では、製剤はエアロゾルを介して、例えば水溶性エアロゾルを介して患者に投与される。
本発明の利点は、封入効率がより中性pHでの封入よりも高いことである。
本発明の他の利点は、製剤が持続放出性の長時間作用型製剤であることである。
本発明の製剤の特徴は、吸入されると肺内に深く局在化する粒子が形成されるように設計することができることである。
本発明の製剤の他の特徴は、リポソームから放出されるインスリンが血流に吸収されることである。
本発明のこれらのおよび他の目的、利点ならびに特徴は、下記でより詳細に説明される本発明の詳細を読むことにより、当業者には明らかになると思われる。
本発明の特徴
本発明はインスリン製剤を調製するための方法を特徴とする。方法は一般に(a)pHが中性でない、インスリンを含む溶液を調製する過程;(b)中性でないpHでリポソーム内に溶液を封入する過程;および(c)過程(b)のリポソームを中和し7.2〜7.6のpHとする過程を含む。いくつかの態様では、溶液のpHは中和前で約2.3〜3.0であり、封入は酸性環境で行われる。他の態様では、溶液のpHは中和前で約7.8〜9.5であり、封入は塩基性環境で行われる。多くの態様では、過程(a)の溶液は20〜80mg/mlのインスリンを含む。多くの態様では、リポソームの直径は約0.2〜0.3ミクロンである。
いくつかの態様では、リポソームはホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、コレステロール、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、およびホスファチジルイノシトールからなる群から選択される脂質を含む。いくつかの態様では、リポソームは単層である。他の態様では、リポソームは多層である。
本発明はさらに、リポソームに封入されたモノマーインスリンを含む組成物を特徴とし、モノマーインスリンの分子量は約6,000Daである。いくつかの態様では、インスリンはインスリンアナログである。これらの態様のうちのいくつかでは、インスリンは超速効型インスリンアナログ、モノマーインスリンアナログ、および肝臓特異的インスリンアナログからなる群から選択される。他の態様では、封入インスリンはインスリン・リスプロである。いくつかの態様では、溶液は第2の治療薬をさらに含む。
本発明はさらに、患者の血糖値を低減するための方法を特徴とする。方法は一般に、リポソーム内に封入されたモノマーインスリンを含む製剤を患者に投与する過程を含む。いくつかの態様では、モノマーインスリンの分子量は約6,000Daである。いくつかの態様では、投与は、製剤のエアロゾルを生成し、エアロゾルを吸入することにより実施される。他の態様では、投与は、製剤の注射可能な溶液を生成し;その溶液を注入することにより実施される。
この発明はさらに、個人の高血糖症に関連する状態を治療するための方法を特徴とする。本方法は一般的にはリポソーム内に封入したモノマーインスリンを含む製剤を個人に投与する過程を含む。
本発明はさらに、インスリンを個人の肺に送達する方法を特徴とする。方法は一般的には本発明の方法によりインスリン製剤を調製する過程;インスリン製剤をエアロゾル化し空気動力学的直径が約1〜約5ミクロンのエアロゾル粒子を提供する過程;およびエアロゾルを個人の肺に吸入する過程を含む。
発明の詳細な説明
本発明はリポソーム内に封入されたインスリンまたはインスリンアナログの製剤、およびそのような製剤を製造する方法を提供する。本発明はさらに、本発明の製剤を投与することにより高血糖症および関連疾患を治療する方法を提供する。
特に、本発明はリポソーム内で製剤化したインスリンを含む持続放出性の長時間作用型製剤、およびそのようなリポソーム製剤を製造する方法を提供する。本発明のリポソームに封入されたインスリン製剤は高濃度インスリンを特徴とする。従って、投与する必要のある製剤の量は減少する。必要な投与回数が減少するので、これは好都合である。
定義
本明細書で使用されるように、「インスリン」という用語は天然の抽出ヒトインスリン;組換え技術により製造されたヒトインスリン;ウシおよび/またはブタ源から抽出されたインスリン;組換え技術により製造されたブタおよびウシインスリン;インスリンアナログ;誘導インスリン;合成によりまたは半合成により製造されたインスリン誘導体;ならびにこれらの任意の組み合わせを示す。この用語は、実質的に精製された形態で糖尿病患者の治療に通常使用されるポリペプチドを含み、追加の賦形剤を含む市販の薬学的形態でのその用語の使用も含むものとする。いくつかの形態では、本明細書で記述したインスリン含有リポソームを作製するのに使用されるインスリンは組換え技術により製造されたヒトインスリンである。「インスリン」という用語はまた、任意の形態のインスリンを含有するインスリンアナログを含むものとし、この場合、ポリペプチド鎖内の1つまたは複数のアミノ酸が他のアミノ酸で置換された、および/または1つまたは複数のアミノ酸が欠失し、または1つまたは複数の追加のアミノ酸がポリペプチド鎖に付加されたインスリンアナログを含むものとする。一般に、本発明の「インスリンアナログ」はインスリン・リスプロ、「スーパーインスリンアナログ」などのモノマーインスリンアナログ(この場合、血清グルコース値に影響するインスリンアナログ能力は従来のインスリンに比べ実質的に増強される)、および脂肪組織よりも肝臓においてより活性な肝臓選択的インスリンアナログを含む。インスリン誘導体としてはアシル化誘導体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
「投与」という用語は、インスリンおよび/またはインスリンアナログ投与を必要とする患者に肺内投与経路によりそれらを投与することを意味すると解釈される。そのような事象は15分またはそれ未満、好ましくは10分またはそれ未満、さらに好ましくは5分またはそれ未満の時間(その時間の間、患者は1回または複数回の吸入を行い、1つまたは複数の用量のインスリンが放出され吸入される)にわたるインスリン分配装置からのインスリン製剤の1回または複数回の放出を意味しうる。投与は患者へのインスリン投与、および/またはインスリンの患者への吸収を含み、1回の投与の量は約1単位〜50単位であり、送達装置からの約1〜約500単位の放出を含んでもよい。
「測定」という用語は、患者の吸気流速および吸気量のいずれかまたは両方を測定し、エアロゾル化インスリン製剤が放出されるべき吸気サイクルの最適点を決定する事象を示す。任意の薬物送達中および送達後の吸気流を測定し続けること、ならびに薬物の放出前、放出中、および放出後の吸気流速および量を記録することもまた好ましい。そのような記録により、インスリン製剤が正確に患者に送達されたかどうかを決定することが可能となる。マイクロプロセッサまたは他の装置により、測定した流速に基いて量を計算することができる。何らかの様式で流速または量のいずれかがわかれば、決定されたということができる。従って、電気的、機械的、または特別な様式で呼吸するように患者を指導することにより測定してもよい。
「モニタリング」という用語は、吸気流、吸気流速および/または吸気量などの肺機能の測定を意味し、そのため、本明細書で規定されるように患者の肺機能は薬物送達前および/または後に評価することができ、これにより患者の肺機能に対するインスリン送達効果があれば、それを評価することができる。
「製剤」および「製剤液」という用語は、リポソーム封入インスリン、誘導インスリン、またはインスリンアナログのいずれかを単独で、または糖尿病を治療する他の薬物と組み合わせて、それだけでまたは薬学的許容される担体と共に使用されるものを記述するために本明細書で交換可能に使用される。そのような製剤は好ましくは溶液、例えば水溶液、生理食塩水およびコロイド懸濁液である。製剤は低沸点噴霧剤に溶解した本発明のリポソーム溶液または懸濁液とすることができる。
「エアロゾル」という用語は、粒子の空気動力学的直径が0.1〜10μm、好ましくは1〜5μmの範囲であり、各用量中のエアロゾル化製剤の総体積が5μl〜10,000μlである製剤の粒子を意味する。空気動力学的直径が1〜3ミクロンの約10μl〜約50μlの粒子が約50ml〜2リットル、好ましくは100ml〜1,000mlの吸入空気体積中に存在する。
「空気」、「粒子を含まない空気」、「エアロゾルを含まない空気」という用語は、実質的に他の物質を含まない、特にエアロゾルを生成する製剤の粒子などの意図的に添加された粒子を含まない、ある体積の空気を記述するために本明細書で交換可能に使用される。この用語は、空気が意図的に添加された製剤の粒子を含まないことを意味するが、たとえフィルタリングを実施することが可能であっても通常の周囲の空気をフィルタリングまたは全ての粒子が除去されるように処理することを意味するものではない。空気は薬物送達と共に使用するための好ましいガスであるが、他の非毒性ガス、例えば純粋酸素、噴霧剤、およびCO2を使用することができることに注意すべきである。
「粒子」、「エアロゾル化粒子」、および「製剤のエアロゾル化粒子」という用語は、リポソーム内に封入した製剤の粒子を示すために、本明細書で交換可能に使用される。粒子は十分小さなサイズを有し、そのため粒子が形成された時、粒子は十分な時間の間空気中に浮遊し続け、そのため患者は粒子を患者の肺内に吸い込むことができる。粒子のサイズは約0.1μm〜50μm、一般的には約0.5μm〜約10μmの範囲である。粒子の直径は空気動力学的直径である。
「実質的に乾燥した」という用語は、総重量に基づいて10%未満の自由水、エタノール、または他の液体担体を含み、好ましくは検出可能な自由液体担体を含まないエアロゾルの粒子を意味する。
本明細書で使用されるように、「高血糖症」は正常な血糖値より高い血糖値を示し、正常な血糖値は約65mg/dL〜約140mg/dLの範囲である。一般に、高血糖症は約140mg/dLを越える血糖値を示す。
本明細書で使用されるように、「高血糖症に関連する状態」は高血糖の結果起こる状態、高血糖が症状である状態、および高血糖に関連する状態から生じる状態を示す。そのような状態としては、グルコース寛容減損;インスリン依存性糖尿病(IDDM:I型糖尿病);非インスリン依存性糖尿病(NIDDM:II型糖尿病);インスリン抵抗性;インスリン非感受性;糖尿病に関連する疾患が挙げられるが、これらに限定されるものではない。糖尿病に関連する疾患としては、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症、心臓血管疾患、脳血管障害、歯周病、および高血圧が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本明細書で使用されるように、「治療」、「治療する」などの用語は、所望の薬理効果および/または生理学的効果を得ることを示す。その効果は疾患またはその症状を完全にまたは部分的に予防する観点から予防的であってもよく、および/または疾患および/またはその疾患に起因する悪影響が部分的または完全に治癒するという観点から治療的であってもよい。本明細書で使用されるように、「治療」は哺乳類、特にヒトにおける治療をすべて含み、(a)病気にかかりやすい素因があるが、まだ病気があるとは診断されていない被験者において病気が発症するのを予防する;(b)疾患を抑制する、すなわちその発症を抑える;および(c)疾患を軽減する、すなわち疾患の回帰を引き起こすことが含まれる。
本明細書で交換可能に使用される「個人」、「宿主」、「被験者」、および「患者」は哺乳類を示し、例えば、マウス、齧歯類、ウサギ、サル、ヒト、有蹄類、ネコ、イヌ、哺乳類の家畜、哺乳類のスポーツ用動物、および哺乳類のペットが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明についてさらに記述する前に、本発明は記述した特別な態様に限定されないことを理解すべきである。そのような態様は当然変更されてもよい。本発明の範囲は添付の請求の範囲によってのみ限定されるため、本明細書において使用した専門用語は特別な態様のみを説明することを目的としており、限定しようというものではないことも理解すべきである。
ある範囲の値を提供する場合、その範囲の上限と下限との間の、特に明確な記載がなければ下限の単位の1/10までの各中間値、およびその範囲内の任意の他の記載値または中間値は本発明に含まれることは理解される。これらのより小さな範囲の上限および下限はそれぞれより小さな範囲に含まれてもよく、そのような上限および下限も本発明に含まれ、記述した範囲内において任意の特異的に排除された限界に制約される。記載範囲が限界の1方または両方を含む場合、それらの含まれる限界両方のいずれも排除する範囲もまた本発明に含まれる。
特に規定がなければ、本明細書で使用した技術的および科学的用語はすべて、本発明が属する技術分野の当業者が通常理解する意味と同じ意味を有する。本明細書で記述したものと類似のまたは等価な任意の方法および材料を本発明の実施または試験に使用することができる。ここでは好ましい方法および材料について記述する。本明細書で言及した出版物は全て、その出版物の引用と関連する方法および/材料を開示、記述するために参照により本明細書に組み入れられる。
本明細書および添付の請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は、特に明確に記述されていなければ、複数の指示対象を含むことに注意しなければならない。従って、例えば、「1つの製剤」というと、異なる製剤の混合物が含まれ、「1つのインスリンアナログ」というと、インスリンアナログの1つまたは混合物が示され、「その治療方法」というと、当業者に周知の等価な過程および複数の方法を示す、などである。
本明細書で検討した出版物は本出願の出願日前に開示されたもののみである。本明細書は、先行する発明により本発明がこのような先行する出版物に権利を与えることを承認するとは解釈されない。さらに、提供した出版物の日付は実際の発行日とは異なっている可能性があり、それぞれ確認する必要がある。
リポソームインスリン製剤およびその製造方法
本発明は、リポソーム内で製剤化したインスリンを含む持続放出性の長時間作用型製剤、およびそのようなリポソーム製剤を製造する方法を提供する。本発明のリポソーム封入インスリン製剤は高濃度インスリンを特徴とする。従って、投与する必要のある製剤の量が減少する。必要とされる投与回数が減少するので、これは好都合である。
U500〜U1500(3〜10mM)の濃度範囲の中性インスリン溶液は、高度可逆自己会合、主にヘキサマーおよび高次会合体、すなわち共に複合化された6インスリン分子を示す。本発明は、任意のインスリン供給源由来のインスリンモノマーの封入に有利な条件下で、リポソーム内でインスリンを製剤化するための方法を提供する。得られた製剤は任意の投与方法において使用することができ、例えば、静脈内投与、筋内投与、吸入、経口投与、口腔内投与、経鼻投与、経皮投与などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。特に、本発明は、酸性または塩基酸性下で開始する(この場合、インスリンは中性pHにおいてよりもずっと会合しにくい)、インスリンのリポソーム内への封入により、主な封入種の有効サイズが36,000Da(またはそれ以上)から6000Da(インスリンモノマーのサイズ)に減少するという予期しない結果を提供する。これにより、中性pHで開始した場合よりもインスリンの良好な封入が可能となる。従って、本発明の封入条件によりインスリン会合体の解離が促進され、モノマー形態での封入となる。
いくつかの態様では、リポソーム封入インスリンがエアロゾル吸入装置において患者に投与される。いくつかの態様では、インスリンは他の薬剤と共にリポソーム内に封入される。いくつかの態様では、リポソームは封入されていないインスリンと共に、封入されていない薬剤と共に、または様々な組み合わせで投与される。
本発明の製剤は一般に、非中性pH、例えば約7.8〜約9.5の塩基性pH範囲、または例えば2〜3の酸性pH範囲で、脂質組成物をインスリン溶液、懸濁液、または混合物と合わせる過程;脂質組成物をインスリン溶液と混合し、インスリンを含むリポソームを得る過程からなる方法により調製される。
対象リポソーム製剤のインスリン成分は少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、またはそれ以上のモノマーインスリンを含み、残りのインスリンはより分子量が高く、例えば会合形態をとり、そのため、インスリン成分は約2%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、またはそれ以上のより高い分子量形態から構成される。従って、本発明の1つの局面は、薬学的に許容される担体ならびに脂質およびインスリンから構成されるリポソームを含む薬学的製剤である。
インスリンのリポソーム封入のための本発明の方法を使用すると、封入効率は少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、またはそれ以上である。「封入効率」により、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、またはそれ以上のインスリンがリポソーム内に封入されることを意味する。
対象リポソーム製剤中のインスリン濃度は約250〜約3000、約300〜約2500、約400〜約2000、または約500〜約1500単位/mlの範囲である。一般に、対象リポソーム製剤中のインスリン濃度は約25〜約75、約30〜約70、または約40〜約60mg/mlである。
いくつかの態様では、本発明はインスリン含有リポソーム製剤を作製するための「塩基〜中性」方法を提供する。本方法では、乾燥インスリンが塩基性条件下の緩衝液に溶解され、約7.8〜約9.5のpH、20〜80mg/mlの範囲の濃度とされる。
当技術分野において周知の技術により、多層小嚢(MLV)を調製する。簡単に説明すると、1つの態様では、脂質を計量し、適した有機溶媒(例えば、クロロホルムまたはクロロホルム-メタノール混合物)に溶解する。ロータリー・エバポレータで、低圧下、約37〜40℃の範囲の温度で有機溶媒を蒸発させ完全に乾燥させる。蒸発後、インスリン溶液(「膨張溶液(swelling solution)」)を乾燥脂質膜に添加する。系を激しく混合し、その後約2時間、例えば振盪浴で、脂質組成物に適した温度範囲でインキュベートする。この塩基性MLV調製物をHCl(または、硫酸または酢酸などの他の適した酸)で、好ましくは希釈を最小に抑える条件下で、約pH7.2〜7.4まで滴定する。その後、約pH7.4の、約10分の1の量の10倍濃縮リン酸緩衝生理食塩水(PBS)または他の適した緩衝液を添加することにより、調製物を緩衝化する。このプロトコルの例は実施例7で示す。
当業者には様々な緩衝液が周知であり、所望のpH範囲に対する適当な緩衝化剤を選択することは当業者の技術レベルに属する。7.8〜9.5の範囲の塩基性pHで緩衝化するための生物(または生物由来)物質のために適した材料の例としては、2.64mg/ml〜0.2Mの濃度のGlyGly(グリシルグリシン)が挙げられるがこれに限定されるものではない。グリシン-NaOHまたはトリス-HClはどちらも10mM〜0.2Mである。7.0〜7.6の中性pH範囲で緩衝化するための生物(または生物由来)物質のために適した材料の例としては、3〜7mMのリン酸緩衝液、緩衝塩;および10mM〜0.2Mのトリス-HClおよびHEPES緩衝液が挙げられるがこれに限定されるものではない。
他の態様では、本発明はインスリン含有リポソーム製剤を作製するための「酸性〜中性」アプローチを提供する。このアプローチでは酸性条件下で乾燥インスリンを溶解し、約2〜3の範囲のpH、および20〜80mg/mlの間の濃度とする。MLV調製物が酸性であることを除き、上記のようにMLVを調製する。酸性MLV調製物をNaOHにより、好ましくは希釈を最小に抑える条件下で滴定し、約pH7.2〜7.4とする。その後、例えば、約pH7.4の、約10分の1の量の10倍濃縮リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を添加することにより、この調製物を緩衝化する。
1つの態様では、上記のように作製したMLVが酸性単層小嚢(ULV)のための原材料として機能する。例えば、上記のようにMLVを調製し、例えば、リペックスバイオメンブレン社(Lipex Biomembranes,Inc.)(ブリティッシュコロンビア州、バンクーバー)により製造されるような装置において押し出し成形される。押し出し成形は、徐々に細孔サイズが小さくなる、例えば0.8〜1.0μmの細孔から始まり(1つの細孔サイズあたり1〜2の押し出しサイクル)望ましいリポソームサイズにより選択される細孔サイズで終わる(例えば、最終細孔サイズでの7サイクルの押し出し成形)一連の膜を通して実施される。いくつかの態様では、開始MLV材料は押し出し成形前に中和される。他の態様では、MLVは酸性または塩基性pHでの押し出し成形を受ける。これらの後者の態様では、酸性または塩基性ULV押し出し成形生成物が、上記のように滴定され、中性pHとされる。
本発明のリポソームは、多層および単層を含む、当業者に周知の任意の適当な形態とすることができる。例えば、Liposomes、Ed. R.R.C.New、Oxford University Press、ニューヨーク(1997)、およびGregoriadis、Liposome Technology、volume I-III、CRC Press、ボカラトン、F1(1984)を参照のこと。これらは参照により明細書に組み込まれる。本発明において使用される技術は、親水性溶液、例えば水に脂質を適当に懸濁させるとリポソームが形成されるほとんど全ての脂質組成物を使用することができる。本発明の製剤のリポソームを製造するために使用することができる例示的な脂質としては(i)ホスファチジルコリンのみ、またはホスファチジルコリンとホスファチジルエタノールアミン、コレステロール、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、およびホスファチジルイノシトールなどの脂質との混合物;ならびに(ii)ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、およびホスファチジルイノシトール(単独または混合物)などの荷電リン脂質が挙げられる。
一般に、作製されるリポソームのサイズは好ましくは直径約0.2〜3μmである。
一般に、本発明の製剤においては、インスリンが生物学的に活性である、すなわちインスリンに応答する個人の血糖値を減少させるのにインスリンが有益である限り、任意の形態のインスリンを使用してもよい。いくつかの態様では、組換えヒトインスリン(「レギュラー」インスリン)または組換えヒトインスリンアナログが使用される。特別な態様では、インスリンアナログはモノマー形態のインスリン、例えはヒトリスプロである。いくつかの例では、他の形態のインスリンが単独、または組換えヒトインスリン、または互いと組み合わされて使用される。本明細書で使用するのに適したインスリンとしては、レギュラーインスリン、セミレンテ、NPH、レンテ、プロタミン亜鉛インスリン(PZI)、ウルトラレンテ、インスリングラージン、インスリンアスパルト、アシル化インスリン、モノマーインスリン、超速効型インスリン、肝臓選択性インスリン、および任意の他のインスリンアナログまたは誘導体、ならびに前記の任意の混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本明細書で使用するのに適したインスリンとしては、米国特許第4,992,417号;同第4,992,418号;同第5,474,978号;同第5,514,646号;同第5,504,188号;同第5,547,929号;同第5,650,486号;同第5,693,609号;同第5,700,662号;同第5,747,642号;同第5,922,675号;同第5,952,297号;および同第6,034,045号;ならびに公開されたPCT出願国際公開公報第00/121197号;同第09/010645号;および同第90/12814号に開示されたインスリン形態が挙げられるが、これらに限定されるものではない。インスリンアナログとしては、超速効型インスリンアナログ、モノマーインスリン、および肝臓特異的インスリンアナログが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
超速効型インスリンアナログは天然のヒトインスリンよりも活性が増大している。したがって、そのようなインスリンは実質的により少ない量で投与しても血清グルコース値を減少させることに関して実質的に同じ効果を得ることができる。超速効型インスリンアナログとしては、例えば、10-アスパラギン酸-Bヒトインスリン;des-ペンタペプチド(B26-B30)→Aspb10、TyrB25-α-カルボキサミドヒトインスリン、(B26-B30)→gluB10、TyrB25-α-カルボキサミドヒトインスリン、および化学式des(B26-B30)→XB10、TyrB25→α-カルボキサミドヒトインスリンの他のインスリンアナログ(式中、XはB鎖の10位で置換された残基である)が挙げられる。これらのインスリンアナログは、天然のヒトインスリンの力価に比べどこでも11〜20倍の力価を有する。上記インスリンアナログの全てが天然のヒトインスリンのAまたはB鎖に沿ってアミノ酸置換基を含み、これにより化合物の力価が増大し、または化合物の他の性質が変化する。モノマーインスリンとしては、リスプロが挙げられるが、これに限定されるものではない。
インスリン誘導体としては、アシル化インスリン、グリコシル化インスリンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。アシル化インスリンの例としては米国特許第5,922,675号に開示されたもの、例えばグリシン、フェニルアラニン、またはリシンのαアミノ酸またはεアミノ酸でC6〜C21脂肪酸(例えばミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、またはステアリン酸)により誘導されたインスリンが挙げられる。
高血糖症および関連疾患を治療する方法
本発明はさらに、高血糖症および高血糖症に関連する状態を治療する方法を提供する。この方法は一般に、本発明の有効量のリポソームインスリン製剤を被験者に投与する過程を含む。
本発明のリポソームインスリン製剤は個人に、治療上有効な量、例えば高血糖症および/または高血糖症に関連する状態を治療するのに有効な量で投与され、そのため、高血糖症または高血糖症に関連する状態の少なくとも1つの測定値が、治療を受けていない個人に比べ、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、またはそれ以上、減少する。例えば、測定値が血糖値であり、血糖値が250mg/mlである場合、有効量の対象製剤は血糖値を240mg/ml以下まで減少させる、好ましくは正常範囲内、例えば約65mg/mL〜約140mg/dLの血糖値まで減少させるのに有益である。従って、いくつかの態様では、本発明は、被験者に対象リポソームインスリン製剤を投与する過程を含む、個人の血糖値を減少させるための方法を提供する。
製剤
インスリンを含むリポソーム製剤について上述した。対象リポソームインスリン製剤は、当業者に周知の成分、例えば薬学的賦形剤をさらに含むことができる。そのような成分は、例えば、A.Gennaro(2000)「Remington:The Science and Practice of Pharmacy」、第20版、Lippincott、Williams、& Wilkins;Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems(1999)H.C.Anselら、編集第7版、Lippincott、Williams、& Wilkins;およびHandbook of Pharmaceutical Excipients(2000)A.H.Kibbeら、編集第3版 Amer. Pharmaceutical Assoc.を含む様々な出版物において開示されている。追加の成分としては、等張化剤、亜鉛、生理学的に許容される緩衝液および保存薬が挙げられるが、これらに限定されるものではない。生理学的に許容される緩衝液は好ましくは、リン酸緩衝液、例えば第二リン酸ナトリウムである。他の生理学的に許容される緩衝液としては、TRIS、酢酸ナトリウム、またはGlyGlyが挙げられる。緩衝液の選択および濃度は当技術分野において周知である。薬学的に許容される保存薬としては、フェノール、m-クレゾール、レゾルシノールおよびメチルパラベンが挙げられる。
そのようなリポソーム製剤は、例えば、投与経路を含む様々な因子により、従来の製剤の任意の種類で提供することができる。より特別には、本発明の製剤は、リポソームとその中に内封されたインスリンとの機能的な統合性が製剤により変化しない限り(例えば、悪影響がない限り)、適当な、薬学的に許容される担体または希釈剤と組み合わせることにより製剤化して薬学的組成物とすることができ、製剤化して固体、半固体、液体、または気体形態、例えば錠剤、カプセル、粉末、顆粒、軟膏、溶液、坐薬、注射薬、吸入薬、噴霧薬およびエアロゾルなどの調製物としてもよい。
経口用途および局所用途に適した薬学的グレードの有機または無機担体および/または希釈剤を使用して、治療的に活性な化合物を含む組成物を形成させることができる。当業者に周知の希釈剤としては水溶液媒質、植物油および動物油、ならびに脂肪が挙げられる。安定化剤、湿潤剤および乳化剤、浸透圧を変動させるための塩または適切なpH値を確保するための緩衝液、ならびに皮膚浸透増強剤を補助剤として使用することができる。
経口用調製物のために、製剤を単独で、または適当な添加剤と組み合わせて使用し、錠剤、粉末、顆粒、カプセル、バッカル噴霧剤を製造することができる。様々な賦形剤および添加剤、例えば、従来の添加剤、例えば乳糖、噴霧剤、マンニトール、トウモロコシデンプン、またはジャガイモデンプン;結合剤、例えば結晶セルロース、セルロース誘導体、アラビアゴム、トウモロコシデンプン、またはゼラチン;崩壊薬、例えばトウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、またはカルボキシメチルセルロースナトリウム;潤滑剤、例えばタルクまたはステアリン酸マグネシウム;ならびに望ましいならば、希釈剤、緩衝薬、湿潤剤、保存薬、および香味剤を使用することができる。
作用物質を水溶性または非水溶性溶媒、例えば植物油または他の同様の油、合成脂肪酸グリセリド、高級脂肪族酸のエステル、またはプロピレングリコール中で、ならびに望ましいならば、等張剤、懸濁剤、乳化剤、安定化剤、および保存薬などの従来の添加剤と共に、懸濁または乳化させることにより、製剤化して注射用の調製物とすることができる。
作用物質を吸入により投与されるエアロゾル製剤中で使用することができる。本発明の化合物は、ジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素などの加圧された許容される噴霧剤中に製剤化することができる。
さらに、作用物質は、乳化塩基または水溶性塩基などの様々な塩基と共に混合することにより坐薬とすることができる。本発明の化合物は坐薬により直腸投与することができる。坐薬は、体温では溶解するが室温では固化するココアバター、カルボワックス、およびポリエチレングリコールなどの溶媒を含むことができる。
シロップ、エリキシル、および懸濁液などの経口または直腸投与用の単位用量形態を提供してもよく、この場合各用量単位、例えば、茶さじ一杯、大さじ一杯、錠剤、または坐薬は、所定量の本発明の組成物を含む。同様に、注入または静脈内投与用の単位用量形態は、滅菌水、標準の生理食塩水、または他の薬学的に許容される担体に溶解した溶液として対象組成物を含んでもよい。
本明細書で使用されるように、「単位用量形態」という用語はヒトおよび動物被験者に対する単位用量として適した物理的に別個の単位を示し、各単位は、薬学的に許容される希釈剤、担体、または溶媒と共に所望の効果を得るのに十分な量で計算された本発明の化合物を所定量含む。本発明の新規単位用量形態に対する内訳は、使用した特別な化合物および達成すべき効果、ならびに宿主における各化合物に関連する薬力学に依存する。
用量
より多くの用量のインスリンをある1回の時間点で投与しなければならない場合、中間または長時間作用型インスリン製剤を投与することが好ましい。そのような製剤は典型的には直ちにいくらかのインスリンを放出し、残りのインスリンのより持続的な放出が時間と共に提供される。ピーク効果および時間は患者間で変動することがあり、投与経路だけでなく用量にも依存するので、様々な調製物に対する生物学的応答を正確に詳細に説明することはできない。
一般に、注射を介するインスリンの投与情報は、McGraw Hill Book Company(ニューヨーク)が発行したHarrison's-Principles of Internal Medicine(最新版)内で見出すことができる。これは参照により明細書に組み込まれ、注射を介するインスリン投与に関する従来の情報が開示される。以下の段落はインスリン投与に対する一般的なガイドラインを提供する。
患者に投与したインスリンの正確な量は投与方法、疾患の程度および患者の背格好によりかなり変動する。標準の背格好の糖尿病でない被験者において評価した1日のインスリン産生速度は約25単位/日であるので、標準体重の成人では1日あたり約15〜20単位で開始してもよい。高血糖症患者を除き、投与計画を変更する前に数日間ほぼ同じ量のインスリンを投与することが好ましい。高血糖症患者では、高血糖症の明らかな非再発性原因が存在しない場合(例えば、欠食、すなわち標準的な食事を欠く)、用量を直ちに減少させるべきである。一般に、その変更は1日あたり5〜10単位を超えるべきではない。いくつかの態様では、1日当たりの総インスリン用量の約3分の2が朝食前に投与され、残りが夕食前に投与される。総投薬量が一日当たり50または60単位に到達すると、複数の少量の用量がしばしば必要とされる。これは、インスリンの最大作用が用量に関連すると考えられる、すなわち、低用量では初期に最大活性が現れるが、高用量よりも早く消失するからである。余分な活性が予想される場合、全ての患者は一般に、インスリン投薬量を一日当たり5〜10単位だけ減少させるように指示される。同様に、余分なカロリーを含む食事、または糖尿病患者が一般には食べない食物を取る前に、少量の余分なインスリンを摂取してもよい。
肥満患者は一般に若干インスリン感受性が低く、標準体重の患者と同じ効果を達成するためにより高い用量のインスリンを提供しなければならない。インスリン感受性に基づく用量特性は当業者には周知であり、インスリン投与に関して考慮される。
注射を介するインスリン投与に関するさらなる情報は、McGraw Hill Book Company(ニューヨーク)により発行されたHarrison’s-Principles of Internal Medicine(最新版)内で見出すことができる。これは参照により明細書に組み込まれ、注射を介したインスリン投与に関する従来の情報を開示する。
投与経路
従来のおよび薬学的に許容される投与経路としては、鼻腔内投与、筋内投与、気管内投与、口腔投与、皮下投与、皮内投与、局所塗布投与、静脈内投与、直腸投与、経鼻投与、眼球投与、経皮投与、肺投与、経口投与、および他の非経口投与経路が挙げられる。投与経路は、望ましいならば併用してもよく、または様々な因子、例えば治療中の疾患、患者個人の必要性などによって調節してもよい。対象製剤は単回投与または複数回投与で投与することができる。
混合製剤
高血糖症または高血糖症に関連する状態(例えば糖尿病)を患う患者は、上記のようにインスリン製剤のみで治療してもよい。しかしながら、そのような患者は、インスリンと他の治療薬とを組み合わせて治療することができる。したがって、本発明はインスリンおよび1つまたは複数の付加的な治療薬を含むリポソーム製剤を提供する。治療薬としては、主に膵臓のβ細胞からのインスリンの放出を刺激することにより作用する作用物質(例えば、スルホニル尿素薬);デンプンの吸収および/または消化を遅らせる薬物(例えばミグリコール、アカルボース、およびα-グルコシダーゼの他の阻害薬を含むがこれらに限定されない);インスリンに対する組織(例えば、脂肪組織、骨格筋組織)の感受性を増大させる薬物(例えばロジグリタゾンおよびピオグリタゾンを含むがこれらに限定されない)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。アミリンおよびアミリン様分子;グルカゴン様ペプチド-1(GLP1)、およびその類似体;ならびにグルカゴンもまた、インスリン治療と、またはインスリンアナログを用いる治療と併用して使用することができる。
スルホニル尿素薬は、標的組織中のインスリン受容体数を増大させることができ、インスリン媒介ブドウ糖処理を増強する。本発明と共に使用することができるいくつかの特定のスルホニル尿素薬としては、1日あたり約500〜1,500mgの量で投与されるアセトヘキサミド;1日あたり約50〜750mgの量で投与されるクロルプロパミド;、1日あたり約0.1〜1gの量で投与されるトラザミド;1日あたり約0.5〜3gの量で投与されるトルブタミド;1日あたり約2.5〜40mgの量で投与されるグリプジド、および1日あたり約1.25〜20mgの量で投与されるグリブリドが挙げられる。他の薬物としてはレパグリニドが挙げられる。いくらかのインスリンを産生する患者では、スルホニル尿素薬物が症状を治療するのに十分である可能性がある。
他の患者は、インスリンを投与しながら薬物を併用することができ、さらに他の患者はインスリンの投与のみを必要とする。本発明は各型の患者に有益である。さらに、本発明は、一部の患者が注射によりインスリンを摂取する必要性を排除するための手段を可能にする。患者に本発明の製剤を用いて肺内経路を介してインスリンを投与しながら、上記と同様の量のスルホニル尿素の経口投与を実施することができる。または、患者は主に、肺内経路を介するインスリン投与により治療され、治療は上記の種類のスルホニル尿素の経口投与により補完される。
以上に基づき、当業者であれば、複数の異なる治療および投与手段を使用して1人の患者を治療することができることを理解すると思われる。例えば、患者は、注射によるインスリン、本発明による肺内投与によるインスリン、およびスルホニル尿素薬物(経口投与される)を用いて同時に治療することができる。血清グルコース値に関連する真の要求に応じた様式で患者から自然にインスリンが放出されるので、スルホニル尿素薬物の経口投与により恩典が得られる。この天然のインスリンは、本発明応じて肺内投与により供給される少量の投薬量により補完される。呼吸困難など、どんな理由であろうともそのようにすることが効果的でないことが証明された場合、補完は注射による投与により実施することができる。
インスリン製剤のエアロゾル化送達
特別な態様において、本発明は、インスリン製剤を必要とする患者に対するインスリン製剤のエアロゾル化送達法を提供する。活性成分には関係なく、エアロゾル吸入装置と共に使用することができるインスリン製剤のいくつかの基本型が存在する。その製剤は全て、インスリンを含む対象リポソーム製剤を、好ましくは肺内投与に適した薬学的に許容される担体と共に含む。肺内経路により患者に吸入および送達されるインスリンのエアロゾル形態を製造することができると共に、リポソーム完全性を損なうことない任意の製剤を本発明と共に使用することができる。
製剤の異なる態様に応じて、リポソームは噴霧器などの装置内で使用するための水溶性媒体に懸濁させてもよい。本発明のリポソームは典型的には、水溶液中に溶解させたコロイド懸濁液として送達される。特定の態様において、対象リポソーム製剤を乾燥させて粉末を得てもよく、粉末を送達用にエアロゾル化し、気道内で再水和させてもよい。他の態様では、水または他の水溶液などの担体媒質中にリポソームを懸濁させる。他の態様では、リポソームを低沸点の高揮発性噴霧剤および選択的に、薬学的に許容される賦形剤に懸濁させてもよい。リポソームは乾燥粉末の懸濁液もしくはエマルジョンとして噴霧剤中に溶解して提供することができ、またはリポソームは噴霧剤内の溶液に溶解することができる。
肺内経路を介して患者に吸入および送達されるインスリンのエアロゾル形態の製造を可能にする任意の製剤を、本発明と共に使用することができる。エアロゾル化送達装置と共に使用することができる製剤に関する特定の情報は、例えば、A.Gennaro(2000)“Remington:The Science and Practice of Pharmacy”、第20版、Lippincott、Williams、& Wilkins;Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems(1999)H.C.Anselら、編集第7版、Lippincott、Williams、& Wilkins;およびHandbook of Pharmaceutical Excipients(2000)A.H.Kibbeら、編集第3版 Amer. Pharmaceutical Assoc.において記述されている。
低沸点噴霧剤を使用する場合、噴霧剤は装置の加圧キャニスター内に保持され、液体状態で維持される。バルブを作動させると、噴霧剤が放出され、キャニスターから噴霧剤と共に活性成分が押し出される。噴霧剤は周囲の外気に曝されると「フラッシュ」し、すなわち、噴霧剤は直ちに蒸発する。フラッシングは非常に迅速に起こるので、患者の肺に実際に送達されるのは本質的に純粋な活性成分である。
多くの態様において、インスリン製剤は肺の深部分まで投与され、粘膜毛様体クリアランスにより除去することができない。その後、インスリンは徐々に放出され体循環に吸収される。リンパ系および血液循環内にリポソームを輸送することも可能である。
本発明の製剤は、インスリンを含有するリポソームを、肺表面を通過する患者循環系内へのリポソーム輸送を増強するのに有益な量の肺胞表面活性物質蛋白質を含むことができる。そのようなリポソームおよびそのようなものを含む製剤は、1991年4月9日に発行された米国特許第5,006,343号において開示されている。この特許については参照により本明細書に組み入れられ、肺内送達において使用されるリポソームおよびリポソーム製剤が開示されている。米国特許第5,006,343号において開示されている製剤および方法を、インスリン用途に適合させることができ、本発明の送達装置内に含ませ、糖尿病患者の有益な治療を提供してもよい。
薬物製剤の形態に関係なく、約0.5〜12ミクロンの範囲のサイズを有する製剤のエアロゾル化粒子を作製することが好ましい。比較的狭い範囲のサイズを有する、リポソーム製剤を含む粒子を作製することにより、薬物送達システムの効率をさらに高め、投与の再現性を改善することができる。従って、粒子は0.5〜12ミクロンの範囲の空気力学的サイズを有し、平均粒子サイズが狭い範囲内にあることが好ましく、そのため患者に送達される粒子の80%以上が平均粒子サイズの±20%、好ましくは±10%、より好ましくは±5%以内の粒径を有する。しかしながら、口腔咽頭空洞内での損失は吸気流速にも依存するので、より高い吸気流速のためにはより小さな粒子が最適であるが、低吸気流速を使用する場合、より大きな粒子さえも肺深くに沈積することができる。約20〜80L/分の吸気流速では、0.5〜4ミクロンの間、好ましくは1〜3ミクロンの間のサイズの空気力学的直径を有する粒子を有することが好ましい。
約0.25〜6ミクロンの範囲のサイズを有する、膜の細孔を通して薬物を押し出すことによりエアロゾルを形成させてもよい。細孔がこのサイズを有する場合、細孔から出てエアロゾルを形成する粒子は0.5〜12ミクロンの範囲の直径を有する。薬物粒子は、粒子をこのサイズ範囲内に保つように意図された空気流と共に放出させてもよい。小粒子の形成は、約800〜約4000kHzの振動数を提供する振動装置を使用することにより促進される。当業者であれば、目的は約0.5〜12ミクロンの範囲の空気動力学的直径を有するエアロゾル化粒子を提供することであることに留意して、薬物を放出する細孔のサイズ、振動数、圧力、ならびに製剤の密度および粘度に基づく他のパラメータなどのパラメータをいくらか調節することができることを理解すると思われる。
リポソーム製剤は低粘度液体製剤としてもよい。薬物のそれ自体の、または担体と組み合わせた粘度は、製剤が開口から押し出されてエアロゾルが形成できるように、例えば20〜800psiを使用して、好ましくは約0.5〜12ミクロンの範囲のエアロゾル化粒子サイズを有するエアロゾルが形成されるように、十分低くしなければならない。
吸入用に本発明の製剤のエアロゾルを製造するのに使用することができる一般に異なる機構および方法を使用するいくつかの異なる種類の装置が存在する。最も一般的に使用される装置は、低沸点噴霧剤を含む製剤を有する薬物製剤容器を備えた定量吸入器(MDI)である。製剤は加圧下で容器内に保持され、容器上のバルブを開けると定量の製剤がエアロゾルとして放出される。製剤が容器の外で大気圧に曝露されると、低沸点噴霧剤は直ちに蒸発または「フラッシュ」する。噴霧剤を有さない薬物を含む製剤粒子が患者の肺に吸い込まれ、その後、患者の循環系に移動する。多くの異なる種類のMDI装置が存在する。この種類の装置は米国特許第5,404,871号および第5,364,838号において記述されている。
他の種類のエアロゾル送達装置は、多孔質膜を通して製剤を押し出す。細孔を通って移動する製剤は崩壊して患者に吸入される小粒子が形成される。この種類の装置は米国特許第5,718,222号、同第5,554,646号および同第5,522,385号において示される。
さらに他の種類の装置は乾燥粉末吸入(DPI)装置である。その名前により示されるように、そのような装置は乾燥粉末製剤を使用し、この場合、粉末がガスの噴出により吹き飛ばされエアロゾル化雲となる。典型的なDPI装置は米国特許第5,458,135号、同第5,492,112号、同第5,622,166号、および同第5,775,320号において示される。
適した装置の他の限定しない例は米国特許第6,158,431号、同第6,142,146号、同第6,123,068号、および同第6,196,218号において見られる。
本発明に応じた製剤を送達するために適した装置のさらなる例としては、ジェット噴霧器、超音波噴霧器、圧電装置、エレクトロスプレー装置、などが挙げられる。
実施例
以下の実施例は、当業者に本発明をどのように製造し使用するかを完全に開示し説明するために提案するものであり、本発明者らが自分たちの発明であると考える範囲を制限しようとするものではなく、または以下の実験が全てであるもしくは実施した唯一の実験であることを示すものでもない。使用した数値(例えば、量、温度など)に関しては正確を期すように努力したが、幾らかの実験誤差および逸脱を考慮すべきである。特に記載がなければ、部は重量部であり、分子量は重量平均分子量であり、温度は℃で表され、圧力は大気圧またはほぼ大気圧である。
実施例1
本質的には従来の脂質膜法(Gregoriadis、Liposome Technology、volumes I-III、CRC Press、ボーカラートン、F1(1984))により、酸性インスリン封入多層リポソーム(MLV)を大豆ホスファチジルコリンから作製した。簡単に説明すると、脂質を計量し、クロロホルムに溶解し、丸底フラスコに移し、ロータリーエバポレータを使用して低圧下で蒸発させ乾燥させた。ヒト組換えインスリン、HClからの凍結乾燥製品からなる膨張溶液を水に溶解し40mg/ml濃度とし、脂質膜に添加した。調製物を2〜5分徹底的にボルテックスし、27℃で2時時間、連続して振とうまたは回転させながらインキュベートした。インキュベーション時間の終わりに、調製物を丸底フラスコから、通常の冷蔵下で保存するのに適したバイアルに移した。調製物のpHを測定すると、2.67であった。
封入効率を決定するために、完全な調製物のアリコート(すなわち、封入インスリンおよび非封入インスリンの両方を含む)を0.01N HCl中で、4倍および60倍に希釈し、24時間冷蔵し、その後、1.5時間、64000g、4℃で高速遠心分離に供した。沈澱リポソーム(ペレット)および上清の両方を入れた遠心管を、沈殿物を乱すことなく再び冷蔵した。6日後、非封入インスリンを含む上清を、封入インスリンを含むリポソームペレットから吸引し、ペレットを0.01N HCl中に再懸濁させた。以下の系において改良Lowry法を用いてインスリンをアッセイした:完全調製物、再懸濁ペレット、および上清。オリジナル調製物の60倍希釈物では7.8%、4倍希釈物では19.7%の封入効率が決定された。
実施例2
押出装置(Lipex Biomembranes Inc.、カナダブリティッシュコロンビア州バンクーバー)モデルT.001を用いて酸性単層リポソーム(ULV)を調製した。実施例1で調製した酸性MLVのアリコートを原材料として使用し、水溶性媒質を0.01N HClとした。50-100PSIの窒素圧下、ポリカーボネート膜(2膜の積み重ね)を通して押し出した。最初の押出は細孔サイズ1μmの膜を通して実施し、その後、細孔サイズ400nmの膜を通して7回の連続押出を実施した。リポソーム系は押出および遠心分離のための調製中に10倍に希釈された。貯蔵、遠心分離、および封入効率決定は上記実施例1で記述したように実施し、7.7%の封入効率が得られた。
実施例3
実施例1で調製した酸性MLVのアリコートをNaOHで滴定し中性として、PBSで緩衝化し最終pHを7.57とした。水溶性媒質はPBS pH7.4とした。30倍希釈および10倍希釈(酸性MLVの最初のインスリン濃度と比較)試料に対し、貯蔵、遠心分離、封入効率決定を上記実施例1で記述したように実施し、それぞれ、13.5%および31.7%の封入効率を得た。
実施例4
中和した単層リポソーム(ULV)は、原材料として実施例3の中和MLVを使用して、実施例2で記述した様に押出により調製した。リポソーム系は、押出および遠心分離のための調製中に20倍希釈(最初の酸性MLVと比較)を受けた。貯蔵、遠心分離、および封入効率決定を上記実施例1で記述したように実施し、14.4%の封入効率を得た。
実施例5
酸性インスリン封入多層リポソーム(MLV)を実施例1のように調製した。膨張溶液中のインスリン濃度は20.25mg/mlであった。リポソーム調製物のpHは2.79であった。封入効率を決定するために、リポソーム調製物からのアリコートを以下の分離手順に供した:短時間の低速遠心分離、ミクロバイオスピンカラム(micro biospin column)を用いたゲル排除クロマトグラフィー、および透析。水溶性媒質はHCl 0.01Nとした。実施例1で記述したように決定した封入効率は、低速遠心分離およびクロマトグラフィーでは34%であり、透析では52%であった。
実施例6
実施例5の調製物のアリコートを実施例2で記述したように中和した。最終pHは7.48であり、最終インスリン濃度は12mg/mlであった。分離法は低速遠心分離および透析であり、封入効率はそれぞれ32%および62%であった。
実施例7
インスリン封入リポソームの調製
過程2、3、4、7、8をそれぞれ5℃で実施した。
過程1.
最終リポソーム製品に対し50mg/mlの脂質濃度を提供する量の大豆ホスファチジルコリン(SPC)を計量し、クロロホルムに溶解した。溶液を丸底フラスコに移し、38℃でロータリーエバポレータ内で、低圧下で蒸発させ乾燥させた。
過程2.
最終リポソーム製品中で2.64mg/mlの値に達する濃度で、GlyGly溶液を調製した。
過程3.
インスリン溶液の調製:40mg/mlの最終濃度を得るために所望の量のインスリン(Novo Nordiskより供給、レギュラーヒト組換えZn-インスリン)を計量し、GlyGly溶液に溶解し、バッチ用に設定した最終体積の50〜70%の体積とした。
過程4.
インスリン溶液をNaOHで滴定しpH9.0とした。
過程5.
「膨張溶液」と示されるインスリン溶液を4℃で20分間、インキュベートし完全に溶解させた。
過程6.
膨張溶液を丸底フラスコ内の脂質薄層に添加し、数分間集中的にボルテックスし、回転シェーカー内で、37℃の室温で2時間インキュベートした。
過程7.
インキュベーション終了時に、HClで滴定することによりpHを7.4〜7.6の範囲に調節した。
過程8.
最終リポソーム製品中の濃度を150mMとする量のNaClを計量し、過程7の中和リポソーム調製物に添加した。
過程9.
最終体積およびpHを記録し、リポソーム懸濁液をさらに使用するまで冷蔵保存した。
封入効率の決定
用語
完全調製物:製造で得られるリポソーム調製物であり、封入インスリンおよび非封入インスリンの両方を含む。
封入インスリン:遠心分離により得られリポソームペレットであり、封入インスリンのみを含み、インスリンを含まない緩衝水溶液中に再懸濁させたものである。
非封入インスリン:分離過程から得られる上清。
定義
封入効率は、完全調製物中のインスリン濃度に対する、封入インスリンの濃度の比率として規定される。
遠心分離の実施
(a)小規模試料:リポソーム調製物の200μlのアリコートを、4℃で30分間、130000のGの力で動作させるテーブルトップミニ超遠心分離器で遠心分離に供した。このGの力はMLV型のリポソームを沈降させるのに必要とされる力よりも実質的に高い。
(b)中規模試料:600μlのアリコートを、4℃で60分間、20000のGの力で動作させるテーブルトップミニ高速遠心分離器で遠心分離に供した。
上清を注意深く吸引し、保存し、ペレットを、完全(中和)調製物と同じpHに緩衝化した適当なインスリンを含まない水溶性媒質中に最初のアリコート体積まで再懸濁させた。
インスリンアッセイ法
2つのアッセイ法を使用して、緩衝水溶液;完全リポソーム調製物;封入インスリン画分(すなわち、再懸濁リポソームペレット);非封入インスリン画分(すなわち、上清)中のインスリン濃度を決定した:(1)改良Lowryおよび(2)280nmでのインスリン吸光度(UV)。アッセイ法は、インスリンUV吸光度に対してはその範囲にとりわけ適したプレートを使用し、96ウエルプレートで実施した。プレート読み取り機はMolecular DevicesからのThermomax Microplate Autoreaderとした。
封入効率の計算
封入インスリンの濃度および非封入インスリンの濃度を、それぞれリポソームペレット中および上清中のインスリンのアッセイ法から計算した。完全調製物の総インスリン濃度は、「総インスリン」と呼ばれ、(i)完全調製物からの試料のインスリンアッセイ法ならびに(ii)封入および非封入インスリン濃度の合計により計算した。その後、総インスリンに対する封入の濃度比から封入効率を計算した。総インスリンは1度は上記(i)から、および1度は上記(ii)から得た。
結果
最終調製物中のインスリン濃度は37.2(±1.0)mg/mlであった。封入効率は15.2(±1.1)%であった。
実施例8
以下の点を変更したことを除き、上記実施例7で記述したようにMLV型のインスリン封入リポソームを調製して封入効率を決定した:実施例7の過程5で詳述した、pH=9でのインスリン溶液のインキュベーションを30分に増やした。最終調製物中のインスリン濃度は37.3(±0.8)mg/mlであった。封入効率は16.3(±1.9)%であった。
実施例9
以下の点を変更したことを除き、上記実施例7で記述したようにMLV型のインスリン封入リポソームを調製して封入効率を決定した:実施例7の過程5で詳述した、pH=9でのインスリン溶液のインキュベーションを2時間に増やした。最終調製物中のインスリン濃度は38.0(±0.8)mg/mlであった。封入効率は24.5(±1.3)%であった。
実施例10
以下の点を変更したことを除き、上記実施例7で記述したように、MLV型のインスリン封入リポソームを調製して封入効率を決定した:実施例7の過程5で詳述した、pH=9でのインスリン溶液のインキュベーションを18時間に増やした。最終調製物中のインスリン濃度は35.6(±1.6)mg/mlであった。封入効率は50.3(±5.0)%であった。
実施例11
リポソーム調製
以下の点を変更したことを除き、上記実施例7で記述したように、MLV型のインスリン封入リポソームを調製した:(1)過程8、NaClの添加を過程4の終わり、過程5の前に移動させ、(2)過程5におけるインキュベーション時間を18時間とした。
方法
封入効率を2つの別個の独立した実験アプローチにより決定した:(1)実施例7で詳述したように、遠心分離による完全調整物の分離(このアプローチは「熱力学的」と呼ばれる)、および(2)「動的」と呼ばれるアプローチ(これについては以下で記述する)。
動的アプローチ:リポソームからのインスリン排出
リポソームの懸濁液(0.5〜1.0ml)を透析袋に入れ(MWカットオフ12000〜14000Da)、袋の体積の10〜16倍の体積の、pH=7.6のインスリンを含まないGlyGly/生理食塩水緩衝液を含む絶えず撹拌したレシーバ容器に袋を浸漬させた。指定した時間で、透析袋を1つのレシーバ容器から、新鮮な(すなわち、薬物を含まない)緩衝液を含む他のレシーバ容器に移した。各透析液および袋内の(各実験の開始および終了時に)インスリン濃度をアッセイした。透析液のインスリン濃度が検出限界より低いまたはその限界の下限端である場合、透析液を以下のように凍結乾燥により濃縮した:1mlのアリコートを凍結乾燥して乾燥粉末とし、100〜200μlの水に再溶解した。緩衝液アリコートおよびインスリン較正標準を同じ手順に供した。
薬物放出を定量的に評価するために、以前に誘導した多プール(multi-pool)動的モデル(Margalit、R.、Alon、R.、Linenberg、M.、Rubin、I.、Roseman、T.J.、およびWood R.W.(1991)J.Control.Rel.、17:285-296)に従い実験データを解析した。袋からリザーバ中への薬物流出は、一連の独立した薬物プールの結果であり、1つは自由(すなわち、非封入)、および他のすべてはリポソーム関連薬物に対応する。時間=tに放出される全体的な薬物、f(t)は以下の式に対応すべきである:
Figure 2005536442
(式中、
fjは時間=0でのj番目のプールを占める系における総薬物の画分であり、kjはj番目のプールからの薬物拡散に対する速度定数である)。
透析用の試料が完全調製物である場合、封入インスリンに対するfjはまた封入効率の値でもある。
結果
上記実施例7〜10のように、オリジナル調製物は脂質濃度が50mg/mlであり、膨張溶液は40mg/mlのインスリンを含有した。最終調製物中のインスリン濃度は37.6(±1.7)mg/mlであった。封入効率は、熱力学的アプローチおよび動的アプローチにより決定すると、それぞれ、93.3(±3.6)%および87.3(±0.3)%であった。これらの結果は封入レベルに関しては大いに満足のいくものであり、2つのアプローチ間で良好な一致も見られた。
オリジナル調製物をpH=7.6のインスリンを含まないGlyGly/生理食塩水緩衝液中で1/20に希釈し、リポソーム濃度が脂質2.5mg/mlの調製物を得た。この(希釈)最終調製物中のインスリン濃度は2.1(±0.2)mg/mlであり、理論値2.0mg/mlと良好に一致した。動的アプローチにより封入効率を決定すると84.6(±0.5)%であった。これにより、系は持続放出性インスリンデポー剤として機能すること、およびリポソーム調製物の希釈で封入インスリンの即時損失の危険はないことが示される。これらの所望の特性は、インスリン排出動力学の結果を報告する実施例においてさらに実証される。
実施例12
リポソーム調製
インスリン封入単層リポソーム(ULV)を2段階方法により調製した。第1に、実施例11で記述したようにMLVを調製した。リポソーム(MLV)濃度は50mg/mlであり、膨張溶液のインスリン濃度は40mg/mlであった。完全MLV調製物は第2過程のための「原材料」であり、第2過程は、最終7サイクルは450μMの細孔を有する膜を通すことを除き、実施例2で記述したようにリポソームをLIPEX押出装置を通して押し出す過程から構成した。方法、定義、および計算は実施例7および11で記述した通りとした。
結果
最終リポソーム調製物は脂質21mg/mlであった。これにより、最終調製物のインスリン濃度に対する理論上の予測値は16.8mg/mlであり、実験により決定した値は17.5(±0.6)mg/mlであり、極めて良好に一致した。動的アプローチにより封入効率を決定すると86.7(±0.2)%であった。
実施例13
脂質濃度を25mg/mlに減少させることを除き、上記実施例11で記述したようにインスリン封入MLVを調製して封入効率を決定した。最終調製物中のインスリン濃度は31.9(±1.7)mg/mlであった。熱力学的アプローチにより封入効率を決定すると21.5(±4.5)%であった。
実施例14
膨張溶液のインスリン濃度を60mg/mlに上昇させることを除き、上記実施例11で記述したようにインスリン封入MLVを調製して封入効率を決定した。最終調製物中のインスリン濃度は55.1(±4.4)mg/mlであった。熱力学的アプローチにより封入効率を決定すると36.0(±2.9)%であった。
実施例15
脂質濃度を100mg/mlに上昇させることを除き、上記実施例11に記述したようにインスリン封入MLVを調製して封入効率を決定した。最終調製物中のインスリン濃度は38.4(±2.6)mg/mlであった。熱力学的アプローチおよび動的アプローチにより封入効率を決定すると、それぞれ82.8(±4.7)%および92.5(±1.0)%であった。実施例11のように、これらの結果は封入レベルに関しては大いに満足のいくものであり、2つのアプローチ間で良好な一致も見られる。
オリジナル調製物をpH=7.6のインスリンを含まないGlyGly/生理食塩水緩衝液中で1/20に希釈し、リポソーム濃度が脂質5.0mg/mlの調製物を得た。この(希釈)最終調製物中のインスリン濃度は2.1(±0.2)mg/mlであり、理論値2.0mg/mlと良好に一致した。動的アプローチにより封入効率を決定すると、88.9(±0.3)%であった。実施例11のように、系は持続性放出インスリンデポー剤として機能すること、およびリポソーム調製物の希釈で封入インスリンの即時損失の危険はないことが示される。
実施例16
実施例11で詳述した方法により実施したインスリン排出動力学を、実施例15のリポソームから得られた試料の以下の種類に対し調べた:(1)完全オリジナル調製物(2)オリジナル調製物由来の「封入インスリン」(実施例7における用語を参照のこと)、および(3)完全希釈調製物。3つの系全てに対する結果を図1に示す。実験データ(図1のしるしにより表される)を上記実施例11で示した式(1)に従い処理すると、2つの独立した薬物プールの場合に適合することがわかった:
Figure 2005536442
(ここで、指数1および2が速いおよび遅い流出速度を表し、それぞれ非封入インスリンおよび封入インスリンに割り当てられる)。図1の実線の曲線は式(2)に従う理論的予測値である。実験データおよび理論データの両方は、全2日の実験期間にわたり良好に一致し、リポソーム-インスリン製剤が持続放出性インスリンデポー剤として挙動することを明らかにした。
実施例17
実施例16で記述した種類の動力学的実験を、本質的に実施例11に従い調製されたが、脂質2.5〜100mg/mlの範囲にわたる異なるリポソーム濃度を用いた、一連のインスリン封入MLVに対し実施した。上記実施例16のようにデータを処理し、封入インスリンの排出に対する速度定数(k2)を、リポソーム濃度の関数として、図2にプロットする。リポソーム濃度の増加に伴うk2の減少は、以前に導き出した理論的予測値に適合する。その予測値はさらに、100〜6000Daの範囲の分子量を有する封入物質の宿主に対し実験的に支持された(Margalit、R.、Alon、R.、Linenberg、M.、Rubin、I.、Roseman、T.J.、およびWood R.W.(1991)J.Control.Rel.、17:285〜296;Margalit、R.およびYerushalmi、N.(1996)、「Microencapsulation Methods and Industrial Applications」Benita S.、編集、10章、59〜295。Marcel Dekker Inc)において。
本発明についてその特定の実施の態様に関し記述してきたが、当業者であれば、本発明の真の精神および範囲から逸脱せずに様々な変更が可能であること、等価なもので置換してもよいことを理解するはずである。加えて、特定の状態、材料、物質の組成、方法、方法の過程または複数の過程に対する、本発明の客観的な精神および範囲に適合させるような多くの改変が可能である。そのような改変はすべて、添付の特許請求の範囲に含まれるものとする。
リポソームからのインスリン排出の動力学を示すグラフであり、「トータル」はリポソーム濃度が脂質100mg/mlの完全リポソーム調製物を示し;「トータル/20」は脂質5mg/mlのリポソーム濃度を示し;「ペレット」は遠心分離により封入されなかったインスリンを除去した後の100mg/mlのリポソーム濃度の完全調製物由来の試料を示し、点は実験値であり、実線の曲線は本文中の式(2)による理論的予測値である。 脂質(mg)/mlで表したリポソーム濃度の関数としての封入インスリンの排出に対する速度定数、k2を示したグラフであり、点は実験値であり、誤差バーは標準偏差を示し、実線はデータの傾向を強調するために描いた非理論値である。

Claims (19)

  1. (a)pHが中性でない、インスリンを含む溶液を調製する過程;
    (b)中性でないpHでリポソーム内に溶液を封入する過程;および
    (c)過程(b)のリポソームを中和し7.2〜7.6のpHとする過程
    を含むインスリン製剤を調製するための方法。
  2. 溶液が、中和前では約2.3〜3.0の間のpHを有し、封入が酸性環境で行われる、請求項1記載の方法。
  3. 溶液が、中和前では約7.8〜9.5の間のpHを有し、封入が塩基性環境で行われる、請求項1記載の方法。
  4. 過程(a)の溶液が20〜80mg/mlのインスリンを含む、請求項1記載の方法。
  5. リポソームの直径が約0.2〜3ミクロンである、請求項1記載の方法。
  6. リポソームが、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、コレステロール、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロールおよびホスファチジルイノシトールからなる群から選択される脂質を含む、請求項1記載の方法。
  7. リポソームが単層である、請求項1記載の方法。
  8. リポソームが多層である、請求項1記載の方法。
  9. リポソーム内に封入された、分子量約6,000Daのモノマーインスリンを含む組成物。
  10. インスリンがインスリンアナログである、請求項9記載の組成物。
  11. インスリンが、超速効型インスリンアナログ、モノマーインスリンアナログ、および肝臓特異的インスリンアナログからなる群から選択される、請求項9記載の組成物。
  12. インスリンがインスリン・リスプロである、請求項11記載の組成物。
  13. 溶液が、第2の治療薬をさらに含む、請求項1記載の組成物。
  14. リポソーム内に封入されたモノマーインスリンを含む製剤を患者に投与する過程を含む、患者の血糖値を減少させるための方法。
  15. モノマーインスリンが約6,000Daの分子量を有する、請求項14記載の方法。
  16. 投与が、
    製剤のエアロゾルを生成させる過程;および
    エアロゾルを吸入する過程
    により実施される、請求項14記載の方法。
  17. 投与が、
    製剤の注射可能な溶液を生成する過程;および
    溶液を注入する過程
    により実施される、請求項14記載の方法。
  18. リポソーム内に封入されたモノマーインスリンを含む製剤を個人に投与する過程を含む、個人の高血糖症に関連する状態を治療するための方法。
  19. 請求項1記載の方法によりインスリン製剤を調製する過程;
    インスリン製剤をエアロゾル化し、約1〜約5ミクロンの空気動力学直径を有するエアロゾル粒子を提供する過程;および
    エアロゾルを個人の肺に吸入する過程
    を含む、個人の肺にインスリンを送達する方法。
JP2003533863A 2001-10-09 2002-10-07 リポソーム封入インスリン製剤 Pending JP2005536442A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US09/975,752 US20030068361A1 (en) 2001-10-09 2001-10-09 Liposome-encapsulated insulin formulations
PCT/US2002/032201 WO2003030829A2 (en) 2001-10-09 2002-10-07 Liposome-encapsulated insulin formulations

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005536442A true JP2005536442A (ja) 2005-12-02
JP2005536442A5 JP2005536442A5 (ja) 2006-01-19

Family

ID=25523349

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003533863A Pending JP2005536442A (ja) 2001-10-09 2002-10-07 リポソーム封入インスリン製剤

Country Status (6)

Country Link
US (2) US20030068361A1 (ja)
EP (1) EP1434601A4 (ja)
JP (1) JP2005536442A (ja)
AU (1) AU2002330273A1 (ja)
CA (1) CA2461048A1 (ja)
WO (1) WO2003030829A2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010275242A (ja) * 2009-05-29 2010-12-09 Okayama Univ 経口投与用リポソーム製剤およびその製造方法
KR101828426B1 (ko) 2010-01-12 2018-02-12 댄스 바이오팜 아이엔씨. 무방부제 인슐린 제제 및 에어로졸화 시스템 및 방법

Families Citing this family (34)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1487407A4 (en) * 2002-03-12 2010-08-25 Microdose Therapeutx Inc SITE SPECIFICITY ADMINISTRATION OF MEDICAMENTS SIMULTANEOUSLY TAKEN BY INHALATION
JP2006508126A (ja) * 2002-11-06 2006-03-09 アザヤ セラピューティクス インコーポレイティッド 薬学的製剤のタンパク質安定化されたリポソーム製剤
EP1525890A1 (en) 2003-10-02 2005-04-27 Complex Biosystems GmbH Protein-Proteophore complexes
WO2006055729A1 (en) * 2004-11-16 2006-05-26 Transcutaneous Technologies Inc. Iontophoretic device and method for administering immune response-enhancing agents and compositions
IL174387A0 (en) * 2005-03-31 2008-01-20 Dexcel Pharma Technologies Ltd A solid composition for intra-oral delivery of insulin
US20110135725A1 (en) 2005-05-23 2011-06-09 Sdg, Inc. Lipid Construct for Delivery of Insulin to a Mammal
WO2007041322A2 (en) * 2005-09-30 2007-04-12 Tti Ellebeau, Inc. Iontophoretic delivery of active agents conjugated to nanoparticles
CN101389650B (zh) 2005-12-28 2012-10-10 诺沃-诺迪斯克有限公司 包含酰化胰岛素和锌的组合物以及制备所述组合物的方法
WO2007079193A2 (en) 2005-12-30 2007-07-12 Tti Ellebeau, Inc. Iontophoretic systems, devices, and methods of delivery of active agents to biological interface
US20090232730A1 (en) * 2006-04-24 2009-09-17 Immune Disease Institute, Inc. Method of producing immunoliposomes and compositions thereof
US20080193514A1 (en) * 2006-11-02 2008-08-14 Transcu Ltd. Compostions and methods for iontophoresis delivery of active ingredients through hair follicles
WO2008087803A1 (ja) * 2007-01-16 2008-07-24 Hokkaido University 抗酸化成分を封入したイオントフォレーシス用リポソーム製剤
MX2009012273A (es) * 2007-05-18 2010-04-09 Tti Ellebeau Inc Dispositivos de suministro transd?rmico que aseguran la liberaci?n mejorada de un principio activo a trav?s de una interfaz biol?gica.
JP2010187707A (ja) * 2007-06-12 2010-09-02 Hokkaido Univ インスリンを封入したイオントフォレーシス用リポソーム製剤
US8962015B2 (en) 2007-09-28 2015-02-24 Sdg, Inc. Orally bioavailable lipid-based constructs
AR073575A1 (es) * 2008-09-10 2010-11-17 Transcu Ltd Aparato y metodo para dispensar basados en hpc liquidos viscosos en sustratos porosos por ejemplo proceso continuo basado en bandas
ES2607003T3 (es) 2008-10-30 2017-03-28 Novo Nordisk A/S Tratamiento de diabetes mellitus utilizando inyecciones de insulina con una frecuencia de inyección inferior a la diaria
CA2784041C (en) 2010-01-05 2017-11-07 Microdose Therapeutx, Inc. Inhalation device and method
US10842951B2 (en) 2010-01-12 2020-11-24 Aerami Therapeutics, Inc. Liquid insulin formulations and methods relating thereto
US20130269684A1 (en) 2012-04-16 2013-10-17 Dance Pharmaceuticals, Inc. Methods and systems for supplying aerosolization devices with liquid medicaments
US9545488B2 (en) 2010-01-12 2017-01-17 Dance Biopharm Inc. Preservative-free single dose inhaler systems
BR112013010345A2 (pt) 2010-10-27 2017-07-25 Novo Nordisk As tratamento de diabetes melitus usando as injeções de insulina administradas com intervalos de variação da injeção
US20150072929A1 (en) * 2011-02-01 2015-03-12 Artur Martynov Pharmaceutical composition comprising a mixture of carboxylated oligopeptides
US20140205671A1 (en) * 2013-01-18 2014-07-24 Nano And Advanced Materials Institute Limited Synthesis and use of polyhydroxyalkanoate (pha) nanocapsules as a protein carrier
EP2991672A1 (en) 2013-04-30 2016-03-09 Novo Nordisk A/S Novel administration regime
US10857313B2 (en) 2014-07-01 2020-12-08 Aerami Therapeutics, Inc. Liquid nebulization systems and methods
US11273271B2 (en) 2014-07-01 2022-03-15 Aerami Therapeutics, Inc. Aerosolization system with flow restrictor and feedback device
US10471222B2 (en) 2014-07-01 2019-11-12 Dance Biopharm Inc. Aerosolization system with flow restrictor and feedback device
WO2016137569A1 (en) 2015-02-25 2016-09-01 Dance Biopharm, Inc. Liquid insulin formulations and methods relating thereto
KR101764388B1 (ko) * 2016-03-17 2017-08-02 한국화학연구원 피하주사용 인슐린 함유 리포솜 조성물
US11077173B2 (en) 2017-03-13 2021-08-03 Sdg, Inc. Lipid-based nanoparticles and methods using same
KR20190124269A (ko) 2017-03-13 2019-11-04 에스디지,인코포레이티드 안정성이 증진된 지질 기반 나노입자
US10335464B1 (en) 2018-06-26 2019-07-02 Novo Nordisk A/S Device for titrating basal insulin
EP4061408A4 (en) * 2019-11-22 2024-04-10 The Research Foundation for the State University of New York COMPOSITIONS AND METHODS FOR USE IN TYPE 1 DIABETES

Family Cites Families (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CH624011A5 (ja) * 1977-08-05 1981-07-15 Battelle Memorial Institute
US4235871A (en) * 1978-02-24 1980-11-25 Papahadjopoulos Demetrios P Method of encapsulating biologically active materials in lipid vesicles
JPS55153713A (en) * 1979-05-02 1980-11-29 Kureha Chem Ind Co Ltd Pharmaceutical preparation of ribosome containing active substance
NL193099C (nl) * 1981-10-30 1998-11-03 Novo Industri As Gestabiliseerde insuline-oplossing.
US5514646A (en) * 1989-02-09 1996-05-07 Chance; Ronald E. Insulin analogs modified at position 29 of the B chain
US5545618A (en) * 1990-01-24 1996-08-13 Buckley; Douglas I. GLP-1 analogs useful for diabetes treatment
US5888477A (en) * 1993-01-29 1999-03-30 Aradigm Corporation Use of monomeric insulin as a means for improving the bioavailability of inhaled insulin
US5672581A (en) * 1993-01-29 1997-09-30 Aradigm Corporation Method of administration of insulin
US5970973A (en) * 1993-01-29 1999-10-26 Aradigm Corporation Method of delivering insulin lispro
US5504188A (en) * 1994-06-16 1996-04-02 Eli Lilly And Company Preparation of stable zinc insulin analog crystals
US5461031A (en) * 1994-06-16 1995-10-24 Eli Lilly And Company Monomeric insulin analog formulations
US5824638A (en) * 1995-05-22 1998-10-20 Shire Laboratories, Inc. Oral insulin delivery
PE79099A1 (es) * 1997-06-13 1999-08-24 Lilly Co Eli Formulaciones de insulina estables

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010275242A (ja) * 2009-05-29 2010-12-09 Okayama Univ 経口投与用リポソーム製剤およびその製造方法
KR101828426B1 (ko) 2010-01-12 2018-02-12 댄스 바이오팜 아이엔씨. 무방부제 인슐린 제제 및 에어로졸화 시스템 및 방법

Also Published As

Publication number Publication date
EP1434601A4 (en) 2009-08-19
EP1434601A2 (en) 2004-07-07
CA2461048A1 (en) 2003-04-17
US20040033256A1 (en) 2004-02-19
WO2003030829A2 (en) 2003-04-17
AU2002330273A1 (en) 2003-04-22
US20030068361A1 (en) 2003-04-10
WO2003030829A3 (en) 2003-08-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2005536442A (ja) リポソーム封入インスリン製剤
Owens New horizons—alternative routes for insulin therapy
Heinemann et al. Alternative routes of administration as an approach to improve insulin therapy: update on dermal, oral, nasal and pulmonary insulin delivery
US5006343A (en) Pulmonary administration of pharmaceutically active substances
Siekmeier et al. Inhaled insulin–does it become reality
KR100419037B1 (ko) 폐를통한인슐린의전달방법및그조성물
Mandal Inhaled insulin for diabetes mellitus
CN101151047A (zh) 使用肺施用的胰岛素组合基础胰岛素来在糖尿病中控制血糖
JP6522144B2 (ja) 低血糖症の治療用経鼻粉末製剤
US20090214657A1 (en) Orally Absorbed Pharmaceutical Formulation and Method of Administration
JP2011500850A (ja) Glp−1による副作用を防止する方法
KR20010073033A (ko) 인슐리노트로픽 펩티드의 투여 방법
JPH06504986A (ja) I型糖尿病に係る自己免疫疾患の抑制および予防用製剤
EP1701714A2 (en) Improved sustained release compositions for pulmonary administration of insulin
WO2009015456A1 (en) Pharmaceutical formulation in mixed micellar form and dispenser for oral delivery of agents as a spray
US20050220722A1 (en) Method of decreasing fasting sugars and weight gains in diabetic patients
De Galan et al. Efficacy and safety of inhaled insulin in the treatment of diabetes mellitus
Fuso et al. Inhaled insulin and the lung
Mukherjee et al. Variation of pharmacokinetic profiles of some antidiabetic drugs from nanostructured formulations administered through pulmonary route
JP2004533438A (ja) エーロゾル化したインスリンによる2型糖尿病の予防法
US20080206342A1 (en) Compositions and Methods For Increasing the Bioavailability of Pulmonarily Administered Insulin
Wadher et al. Pulmonary insulin delivery: Challenges and current status
Nag et al. An overview on diabetes mellitus with emphasis on non invasive techniques of insulin delivery
Patel et al. Inhaled insulin: current steps towards diabetes treatment
Shivanand et al. Pulmonary delivery as a route for insulin

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20051006

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20051006

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090225

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20090803