JP2004533438A - エーロゾル化したインスリンによる2型糖尿病の予防法 - Google Patents
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Abstract
2型糖尿病におけるβ細胞の破壊の進行を予防するために吸入インスリンを使用することができ、それにより発症を遅らせる、または確実とは言えないが発症を阻止する、または既に発症している患者においては同疾患を改善することができる。
Description
【技術分野】
【0001】
発明の属する技術分野
本発明は、有効量の吸入インスリンを2型糖尿病の予防を必要とするヒトの患者に投与することを含む、吸入インスリンによる同疾患の予防法を定めるものである。当該方法は特に、免疫学的機構を介しての膵β細胞の破壊の進行を遅らせたり、阻止したりすることにより作用する。
【0002】
発明の背景
糖尿病は、慢性的な高血糖の存在で定義される重篤な代謝疾患である。成人の糖尿病の古典的な症状は、血漿ブドウ糖濃度高値を伴う多尿および口渇である。正常な空腹時血漿ブドウ糖濃度は1デシリットルあたり110ミリグラム未満である。糖尿病患者の場合、空腹時濃度は1デシリットルあたり126ミリグラムまたはそれ以上であることが認められている。一般に糖尿病は、膵臓のβ細胞の破壊または欠損に呼応して発症する。
【0003】
原発性糖尿病は1型糖尿病(インスリン依存型糖尿病またはIDDMともいう)および2型糖尿病(インスリン非依存型糖尿病またはNIDDMともいう)に分類される。1型(若年発症のまたはインスリン依存型)糖尿病は、公知のホルモン欠損状態であり、この場合膵β細胞が患者自身の免疫防御機構により破壊されていると考えられる。1型糖尿病の患者は、内因性インスリン分泌能力がほとんどないか、または全くない。これらの患者は著明な高血糖を発症する。1型糖尿病は70年程前にインスリン補充治療が導入されるまでは致死性であった−−最初は動物素材からのインスリンが使用され、最近では組み換えDNA技術により合成されたヒトインスリンが使用されている。1型糖尿病ではβ細胞の破壊によりインスリンを産生できなくなり、それにより慢性的なインスリン欠損に至る。これらのタイプの患者には最も一般的には皮下注(典型的には腹部または大腿上部に)によりインスリンを投与する。
【0004】
2型糖尿病はインスリン抵抗性、すなわちインスリンの作用に対して末梢組織の正常な代謝反応ができないことを特徴とする。言葉をかえればインスリン抵抗性は、血中インスリンが正常以下の生物学的反応しか起こせない状態である。臨床用語ではインスリン抵抗性は、インスリン濃度が正常または高値であるにもかかわらず、血糖値が正常または高値のまま持続する場合に存在する。2型糖尿病に伴う高血糖は、時には末梢組織のインスリンへの感受性を保持するのに十分な食事または体重減少により、好転または改善できることもある。2型糖尿病の進行は血糖値の上昇を伴い、ブドウ糖により誘発されるインスリン分泌速度の相対的低下とカップルする。したがって例えば2型糖尿病後期にはインスリンの欠損が起こり得る。2型糖尿病の一群に自己免疫病変のエビデンスが認められ、すなわち “緩徐進行型インスリン依存糖尿病(latent autoimmune diabetes in adults)”(LADAと略される)として公知となった亜群が含まれる。
【0005】
2型糖尿病における膵β細胞の病巣の特質は明らかではない。1型糖尿病の膵β細胞とは異なり、2型糖尿病のβ細胞はインスリンおよびアミリンを合成し分泌する能力を保持している。
【0006】
2型糖尿病に対して1型糖尿病の進行の時間経過は明確に区別することができる(通常明らかに異なる)。1型糖尿病の若年の(例えば小児)患者は、大量の膵β細胞が破壊された後まで症状が診断されず、そのために慢性的なインスリン治療が不可避となる。通常1型は、患者の代謝の需要に見合う十分なインスリンをもはや産生できなくなる時点まで膵臓が破壊されるまでに、数年のオーダーで進行する。
【0007】
1型糖尿病の治療はしたがって必然的に補充用量のインスリン投与を含み、腸管外経路で投与される。正しい食事と血糖値の自己管理を組み合わせることで、1型糖尿病の大多数は一定レベルの血糖コントロールを達成することができる。
【0008】
1型糖尿病とは逆に、2型糖尿病の治療はしばしばインスリンの使用を必要とせず、その症状自体も数十年にわたって進行し得る。2型糖尿病の治療設定は、通常第1段階として典型的には6−12週間の食事療法およびライフスタイルの改善の試みを含む。糖尿病の食事の特徴として、規則的な食事、飽和脂肪含有量の制限、付随しての多価不飽和脂肪酸含有量の増量、食物線維の摂取の増加を伴う、適当なしかし過剰ではない総カロリー摂取を含む。ライフスタイルの改善には、体重のコントロールそしてまたインスリン抵抗性の程度の低減の双方を目的とする、規則的な運動の維持を含む。食事およびライフスタイルの改善の適当な試みの後も空腹時高血糖が持続する場合は、今度は“最初の食事療法は効果なし”と診断され、経口血糖降下剤の治療を試みるか、または直接インスリン治療を設定するかのいずれかが、血糖コントロールを行いそれにより当疾患の合併症を最小限に抑えるために必要となる。食事療法および体重減量の効果を示さなかった2型糖尿病の患者も、経口非インスリン血糖降下剤、例えばスルホニル尿素薬またはビグアナイド薬による治療に反応する可能性がある。しかしそれ以外の2型糖尿病の患者、特に最初の食事療法の効果がなくかつ肥満ではない患者、または最初の食事療法および第2の経口血糖降下剤の双方とも効果がなかった患者を治療するために、インスリン治療が用いられる。
【0009】
発明の概要
本発明は、2型糖尿病の予防を必要とするヒトの患者に、有効量のエーロゾル化した吸入インスリンを投与することを含む、吸入インスリンによる同疾患の予防法を提供する。したがって当インスリンはそれ自体がエーロゾル化した粒子状インスリンであり、それが吸入される、すなわち経肺(肺深部)投与される。
【0010】
“インスリン”は実質的に精製された形、あるいはまた添加剤を含む様々な市販の入手可能な形で糖尿病治療に使用される、当該技術分野で認識されているポリペプチドを意味する。同用語は天然の抽出されたヒトインスリン、組み換えにより合成されたヒトインスリン、ウシおよび/またはブタの素材から抽出されたインスリン、組み換えにより合成されたブタおよびウシのインスリン、およびそれらの混合物を包含する。“インスリン”という用語はまた、ポリペプチド鎖中の1つまたはそれ以上のアミノ酸を代替アミノ酸に置き換えた、および/または1つまたはそれ以上のアミノ酸をポリペプチド鎖から削除した、または1つまたはそれ以上のアミノ酸をポリペプチド鎖に加えた、インスリンアナログを包含するものとする。一般に本発明のこのようなインスリンアナログは、血清ブドウ糖濃度に作用するインスリンアナログの能力が、従来のインスリンと比較してかなり高められている“スーパーインスリンアナログ”、ならびに脂肪組織より肝臓でより活性の高い、肝臓に選択的なインスリンアナログを含む。本発明では、単量体、例えばインスリンリスプロ(insulin lipro)であるエーロゾル化した吸入インスリンを用いることができる。
【0011】
“吸入インスリン”は、インスリンを含むエーロゾルを患者が肺の中に“吸い込む”ことにより、一般的には口を通して肺の中にまでエーロゾルを引き込むことにより経肺投与される、エーロゾル化した、湿ったまたは乾燥した粒子状のインスリン含有製剤を意味する。製剤は例えばドライパウダー吸入器、例えばInhale Therapeutics Systems, San Carlos, CAより入手可能な吸入器から吸入される乾燥粒子であってもよい。吸入インスリン製剤はまた、噴射剤に懸濁させた粒子状のインスリン含有製剤とすることもできる。あるいは製剤は湿ったエーロゾル、すなわち液体噴霧器システム(Laube, Journal of Aerosol Medicine, Vol 4, No.3, 1991および米国特許5,320,094を参照のこと、これら文献の全内容を参照として当該明細書に援用する)によりインスリン水溶液から製造されるタイプの液体エーロゾルとすることができる。エーロゾル製剤の詳細は特に重要であると考えなくてよく、液体であっても乾燥していても、その粒度が、肺胞が肺から血液への開口部として働くと考えられている肺の深部にまでの到達を促進する粒度である限り、パウダーはドライパウダーの形でも、あるいは噴霧器で製造するタイプの湿ったインスリン含有エーロゾルの形であってもよい。一般にこのような粒度は約10μm未満である。インスリンを鼻孔内に投与し、鼻の粘膜を通して血流にわずかに吸収される“鼻孔内投与インスリン”に対して、“吸入インスリン”は対照的である。
【0012】
本発明において吸入インスリンは、糖尿病を“予防する”ために用いられるが、“予防”とは数ヶ月から数年位の範囲の期間まで、本質的には永久にまで2型糖尿病の発症を遅らせるために、臨床的に明らかな発症前にインスリン含有エーロゾルを患者に投与することができることを意味する。この予防法において一般に医師が、実際の2型糖尿病を今後発症する徴候を示す“前駆状態”と考えられる以下の症状の、いずれか1つまたはそれ以上を患者が有すると診断することにより、同患者は2型糖尿病を発症するリスクがあると診断されることになる。
【0013】
1.空腹時血糖異常、患者が通常空腹時血糖値として110mg/dl未満を示さず、しかもその患者が空腹時血糖値126mg/dlまたはそれ以上も示さないことを意味する。この状態において同患者は空腹時血糖異常を有すると考えられるが、糖尿病としての明確な診断はされない。
【0014】
2.耐糖能異常、すなわち標準的な経口ブドウ糖負荷試験の投与時に患者が正常に反応しない状態。耐糖能障害は、ブドウ糖75g経口摂取後2時間値が140−199mg/dlの間のブドウ糖濃度と定義する。
【0015】
3.妊娠糖尿病の既往があるがまだ糖尿病ではない女性。この前駆状態では、同女性患者は妊娠中1回またはそれ以上糖尿病と判定されたかまたは診断されたが、妊娠中以外は糖尿病と診断されていないものとする。
【0016】
本発明における“予防”はまた、一度2型糖尿病が臨床的に明確になったおよび/または診断された場合でも、患者に吸入インスリンを投与して、疾患の進行を遅らせるかまたは完全に阻止することさえできることも意味する。すなわち患者は、糖代謝のコントロールに外因性インスリン投与をまだ必要としない、早期2型糖尿病であると診断されてもよい。それでもこの時点で、糖代謝のコントロールのためではなく、その免疫学的効果により2型糖尿病の進行を遅らせおよび/または阻止するために、吸入インスリンを処方することができる。これに関して、2型糖尿病が多くの場合に、免疫学的機構を通して時間をかけて膵β細胞が徐々に破壊されること、すなわちゆっくり何年もそして数十年さえにもわたり膵β細胞の破壊に影響または寄与し、それにより2型糖尿病の発症および進行を引き起こすリンパ球を特徴とし得ることは、注目に値する。吸入インスリンの投与は、特にこのようなリンパ球の活性を抑制することにより作用すると考えられる。したがって吸入インスリンを投与する患者の一部では2型糖尿病の進行を遅らせることができ、それに伴ってこのような患者は、単に糖代謝のためにインスリンを摂取しなければならない治療を遅らせられるという有益性を得ることができる。あるいはこのような患者は、吸入インスリン治療をしない場合に比してずっと長い期間、食事、運動、および/または非インスリン治療に依存することができるだろう。他の患者では2型糖尿病の進行を阻止させることができ、その結果血糖のコントロールのために外因性インスリンの摂取を全く必要としなくなることも可能となる。
【0017】
患者が2型糖尿病のリスクがある(すなわち上述の前駆状態の1つまたはそれ以上を示している)と診断されるか、または実際に2型糖尿病であると診断されるかのいずれかの時から、少なくとも糖代謝のコントロールを助けるために外因性インスリン投与が必要となる時までに、吸入インスリンを投与することが好ましい。
【0018】
膵β細胞を保持する吸入インスリンの免疫学的効果によるその有益性を得るためには、糖代謝をコントロールするためにインスリンを慢性的に投与しなければならなくなるできるだけ前に、患者への吸入インスリン投与を開始することが好ましい。このことは、2型糖尿病の前駆状態または実際に発症しているとのいずれかを医師に診断された時に、吸入インスリン投与を開始することを意味する。2型糖尿病が進行した後まで、例えば糖コントロール用のインスリン投与が必要となった後までこの疾患が検出されない場合でさえも、なお吸入インスリンを投与し、血糖代謝のコントロールに加えて、β細胞の残されたあらゆる機能を保持する、または少なくともその破壊を遅らせることができる。
【0019】
したがって本発明は、患者が2型糖尿病の症状を発症するリスクのあることを示す前駆状態を示しているその患者における、同疾患を予防する手段を提供する。上述のように2型糖尿病を予防する吸入インスリンの免疫学的能力は、膵β細胞の破壊を予防するまたは少なくとも遅らせる吸入インスリンの能力に関与すると考えられ、その予防等をしない場合にはβ細胞の破壊が2型糖尿病の発症および/または進行をきたすことになるだろう。一度2型糖尿病を発症してしまった場合でも、膵β細胞の破壊を阻止または遅らせる吸入インスリンの能力から、予防に関する能力をまた引き出すことができる。
【0020】
まとめると、本発明より得られる“予防”は以下の方法の1つまたはそれ以上において、それ自体を明らかにすることができるだろう:
1.2型糖尿病が臨床的発症前に検出される場合に、その開始を遅らせること。前駆状態の検出後直ちに、または少なくとも2型糖尿病を実際に発症する前に吸入インスリンの投与計画が開始される場合に、この効果が得られる。既に臨床的に糖尿病を発症している患者においては、このような患者のすべてとはいかないまでもほとんどにおいて、吸入インスリン治療を行わない場合に起こる血糖値の不規則性および不安定性に比して、その不規則性を軽減し不安定性を抑えるという意味において、症状をまたより安定させることができるだろう。さらに吸入インスリン以外の治療(運動、食事コントロールおよび吸入インスリン以外の他の抗糖尿病剤)の必要性を軽減させるだろう。
【0021】
2.臨床的発症前に前駆状態が検出される症例の一部においては、2型糖尿病への進行を完全に予防することができる、すなわち予防効果のための吸入治療以外のあらゆる形の糖尿病治療(運動、食事コントロール、経口薬、または外因性インスリン投与を含む)を全く必要としなくなることを意味する。
【0022】
3.症状が臨床的に明らかな患者における、吸入インスリンによる糖尿病の進行の遅延および一部の患者における完全な進行の停止。
食事、運動、および/または血糖値の供給を免疫以外の方法でコントロールする薬剤により、臨床的2型糖尿病を治療する現行の治療法に対して、完全な変更を表明している点で本発明は驚異に値する。上述のように血糖のコントロールに使用できる非インスリン薬の例には、当該技術分野で公知のスルホニル尿素薬またはビグアナイド薬があるが、これらの使用は免疫以外の様々な機構を通して正常なブドウ糖を保持しようとするものである。
【0023】
詳細な説明
A.吸入器/投与
治療有効量のインスリンを肺深部に送達できるのであれば、当該技術分野で公知のいかなる吸入器も本発明に使用することができる。これにはあらゆる装置、例えばドライパウダー吸入器、噴霧器、および定量吸入器(metered dose inhaler)と分類されるものを含む。当該技術分野で認識されている吸入器、例えばTurbohaler(Astra)、登録商標Rotahaler(Glaxo)、登録商標Diskus(Glaxo)、the Ultravent噴霧器 (Mallinckrodt)、the Acorn II 噴霧器(Marquest medical Products)、登録商標the Ventolin定量吸入器(Glaxo)、登録商標the Spinhalerパウダー吸入器(Fisons)等の商品名で販売されているもは潜在的に有用である。
【0024】
好ましい態様において、手で持つタイプの装置、例えば米国特許6,089,228、5,458,135、5,775,320、5,785,049、5,740,794およびWO 93/00951(これらの全開示内容を参照として当明細書に援用する)のいずれかに開示された装置により、ドライパウダーとしてインスリンを吸入させる。このような装置はInhale Therapeutics Systems, San Carlos, CAより入手できる。
【0025】
B.製剤
患者に吸入し経肺送達できる、インスリンのエーロゾル化した形を製造することを可能にするあらゆる製剤を、本発明に関連して使用することができる。エーロゾル化する送達装置に関連して使用できる製剤に関する特定の情報は、Remington’s Pharmaceutical Sciences, A. R. Gennaro著(最新版)Mack Publishing Companyに記載されている。インスリン製剤に関しては、Sciarra et al.[Journal of Pharmaceutical Sciences, Vol. 65, No. 4, 1976]に注目することもまた有用である。
【0026】
様々の異なるインスリン含有エーロゾル製剤を本発明に関連して使用することができる。このような製剤に含まれる活性成分はインスリンであり、これは好ましくは組み換えにより合成されたヒトインスリンであるが、動物素材から抽出されたインスリンも含み得る。さらにインスリンは組み換えにより合成されたヒトインスリンの類似体である、インスリンアナログとすることもできる。インスリンおよび/またはインスリンアナログはそれ自体で単独の活性成分として存在することができるが、インスリンは付加的な活性成分、例えばスルホニル尿素薬と共に存在することもできる。しかしこのようなスルホニル尿素薬は、より厳密に用量および血清ブドウ糖濃度をコントロールするため、一般に別に投与される。
【0027】
活性成分のいかんにかかわらず、本発明に関連して使用できるインスリン製剤には幾つかの基本的なタイプがある。すべての製剤はインスリンを含むが、好ましくは肺内への投与に適する医薬的に受容可能な担体を共に含む。第1の製剤においては、低沸点すなわち高揮発性の噴射剤を、活性成分および医薬的に受容可能な助剤と組み合わせる。活性成分は例えば、噴射剤中の懸濁物質またはドライパウダーとして提供することができ、あるいは活性成分は噴射剤中に溶液として溶かすことができる。これら製剤は双方とも、唯一の開放として弁を有する容器内に容易に納めることができる。噴射剤は高揮発性すなわち低沸点であるため、容器の内容物は加圧されることになる。したがって低沸点噴射剤を使用する場合、噴射剤は装置の加圧された保存容器内に保持され、液体状態で維持される。弁を作動させると噴射剤が放出され、噴射剤と共に保存容器から活性成分が押し出される。噴射剤は周囲圧への暴露下で “急激に蒸発する”、すなわち噴射剤は直ちに気化することになる。この急激な蒸発が非常に急速に起こるため、実際に患者の肺に送達されるのは、本質的に純粋な活性成分となる。低沸点噴射剤を使用することで起こるこの“急激な蒸発”の現象は、噴霧器またはこのような噴射剤を使用しない製剤と比較して、短時間でより多量の薬剤を容易に投与できる本発明の実用性を大いに高めることができる。さらに肺に送達される物質が本質的に純粋な薬剤であるため、投与量をモニターし、より厳密にコントロールすることがより容易になり、これは本発明の方法の重要な特徴である。したがってこのような送達装置を使用する場合、低沸点の噴射剤、例えば低沸点のクロロフルオロカーボンまたは炭化水素、例えばトリクロロフルオロメタンおよびジクロロジフルオロメタンを使用することが好ましい。低沸点噴射剤となるクロロフルオロカーボンを含まない噴射剤が開発されてきているので、それらを本発明に関連して使用できることは当該技術分野の業者には明らかであろう。
【0028】
第2の製剤においては、インスリンを溶液製剤中に提供する。本態様において、好ましくはドライパウダーを水溶液に溶かして溶液を生成し、それを多孔質メンブレンに通し、吸入用エーロゾルを製造する。このような溶液は注射用市販品の入手可能なタイプおよび/または肺内への送達により適用できるその他の溶液とすることができる。噴霧器から水溶性エーロゾルを製造する適切な溶液の1例は、Laubeにより米国特許5,320,094に開示されている0.9%生理食塩水である。
【0029】
インスリンを吸入投与する好ましい形はドライパウダーとしてである。好ましいインスリンドライパウダーはPatton らに対する米国特許5,997,848に記載されているものを含む。前記インスリンパウダーは、肺胞に到達できるように選択された粒度を有する、一般に直径10μm未満、好ましくは7.5μm未満、最も好ましくは5μm未満、そして通常直径0.1μmから5μmの範囲の自由流動性粒子からなる。上述の粒度は一般に固体粒子に適応する。空力的には軽いが、平均直径が10μmよりずっと大きい、例えば5から30μmのより大きな粒度の粒子を使用することもまた可能である。そのような粒子は一般に非常に低いタップ密度、すなわち0.4g/cm未満で平均直径が1から3ミクロンの間である。前記粒子は米国特許RE37,053 EおよびPCT出願公開WO 01/13891に開示されており、双方を参照として当明細書に援用する。いずれの場合も使用するインスリンパウダーは、それが肺胞を通して血中に吸収される肺の深部に到達するために、選択された粒度でなければならない。
【0030】
あるいはアモルファスインスリンは、アモルファス構造を形成する条件下で適切なインスリン溶液を凍結乾燥、真空乾燥、蒸発乾燥させることにより製造することができる。このように製造されたアモルファスインスリンを次にすりつぶしたり、ミルにかけたりして所望の粒度範囲内の粒子を製造する。結晶ドライパウダーインスリンは結晶インスリンの固まりをすりつぶしたり、ジェットミルにかけたりして製造することができる。所望の粒度範囲の粒子を含むインスリンパウダーを製造する好ましい方法は噴霧乾燥であるが、この場合純粋な固まりのインスリン(通常結晶形)をまず生理学的に受容可能なバッファー水溶液、典型的には約pH2から9の範囲のクエン酸バッファーに溶かす。このインスリンは0.01%(重量)から1%(重量)、通常0.1%から0.2%の濃度で溶かす。次にこの溶液を市販の従来の噴霧乾燥装置、例えばBuchi、Niro等で噴霧乾燥させ、実質的にアモルファスの粒子生成物を得ることができる。
【0031】
インスリンドライパウダーは本質的には、必要な粒度範囲のインスリン粒子から成るものとし、他のあらゆる生物学的活性成分、医薬的担体等を実質的に含まないようにすることができる。このような“純品(neat)混合物を含まない”製剤は、副次成分、例えば保存剤を微量に、典型的には10%以下(重量)そして通常5%(重量)以下で含んでもよい。このような純品製剤を使用することで、高投与量の場合でさえ、必要な吸入回数をしばしば1回の呼吸のみに実質的に減らすことができる。
【0032】
本発明に有用なインスリンパウダーは、呼吸による投与および経肺投与に適する医薬的担体または助剤を所望により組み合わせることができる。このような担体は、患者に送達されるパウダー中のインスリン濃度を減らすように所望される場合に、単なる補填物質として供給することができる。しかしこれらはまたインスリン組成物の安定性を高め、インスリンのより効率的な再現性ある送達を提供することを目的とするパウダー分散装置内のパウダーの分散能を改善し、そしてインスリンの取り扱い上の特性、例えば製造およびパウダーの充填を促進するような流動性およびコンシスタンシーを改善するために、供給することもできる。
【0033】
適切な担体物質は、アモルファスパウダー、結晶パウダー、またはアモルファスパウダーと結晶パウダーの混合物の形とすることができる。適切な物質は炭水化物、例えば単糖類、例えばフルクトース、ガラクトース、グルコース、D−マンノース、ソルボース等;二糖類、例えばラクトース、トレハロース、セロビオース等;シクロデキストリン、例えば2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン;および多糖類、例えばラフィノース、マルトデキストリン、デキストラン等;(b)アミノ酸、例えばグリシン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン、リシン等;(c)有機酸および塩基から生成される有機塩、例えばクエン酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、グルコン酸マグネシウム、グルコン酸ナトリウム、トロメタミン塩酸塩等;(d)ペプチドおよびタンパク質、例えばアスパルテーム、ヒト血清アルブミン、ゼラチン等;(e)糖アルコール、例えばマンニトール、キシリトール等を含む。担体の好ましい群は、ラクトース、トレハロース、ラフィノース、マルトデキストリン、グリシン、クエン酸ナトリウム、トロメタミン塩酸塩、ヒト血清アルブミン、およびマンニトールを含む。
【0034】
このような担体物質は噴霧乾燥前に、すなわち噴霧乾燥用に調製したバッファー溶液に担体物質を加えることにより、インスリンと混合することができる。この場合担体物質はインスリン粒子と共におよび該粒子の一部として同時に形成されることになる。典型的には担体を噴霧乾燥によりインスリンと共に形成する場合、インスリンは各粒子中に重量比で5%から95%、好ましくは20%から80%の範囲で存在するものとする。粒子の残り部分は主に担体物質(典型的には5%から95%(重量)、通常20%から80%(重量)である)であるが、バッファーもまた含み、上述の他の成分を含むこともできる。肺の肺胞領域に送達される粒子(すなわち要求される粒度範囲の10μm以下のもの)中の担体物質の存在は、インスリンの全身への吸収を有意に妨げることはないことが見出された。
【0035】
あるいは担体は、ドライパウダーの形に別個に製造し、インスリンドライパウダーとブレンドして混合することができる。この別個に製造する担体パウダーは通常(水の吸収を避けるために)結晶とするが、場合によってはアモルファス形、または結晶形とアモルファス形の混合物としてもよい。担体粒子の粒度はインスリンパウダーの流動性を改善するように選択する、典型的には25μmから100μmの範囲とすることができる。この粒度範囲の担体粒子は一般に肺の肺胞領域内には到達せず、吸入前の送達装置内でもしばしばインスリンと分離していることになる。したがって肺の肺胞領域内に到達する粒子は、本質的にはインスリンおよびバッファーからなる。好ましい担体物質は上述の粒度範囲の結晶マンニトールである。
【0036】
本発明に有用なインスリンドライパウダーはまた、他の活性成分と併用することもできる。例えば糖尿病の治療を改善するため、インスリンパウダー中に少量のアミリンまたは活性アミリンアナログを併用することを所望される可能性はある。アミリンは、健常な(糖尿病でない)ヒトの膵β細胞からインスリンと共に分泌されるホルモンである。in vivoでアミリンがインスリンの活性を修飾すると考えられており、アミリンのインスリンとの同時投与が血糖のコントロールを改善できることが提案された。本発明の成分中にインスリンと共にアミリンドライパウダーを併用することで、このような同時投与を達成できる特に便利な製品を提供することになる。アミリンは(1投与量中のインスリンの総重量を基準として)0.1%(重量)から10%(重量)、好ましくは0.5%(重量)から2.5%(重量)としてインスリンと併用することができる。アミリンは市販品、例えばAmylin Corporation, San Diego, Calif.より入手でき、本発明の組成物中に容易に製剤化することができる。例えばアミリンをインスリン(および所望により担体)と共に水溶液または他の適切な溶液に溶かし、その溶液を噴霧乾燥してパウダー製品を製造することができる。
【0037】
本発明のインスリンドライパウダー組成物は、好ましくは気流内で分散させる(dispersion in a flowing air)、または従来の方法の生理学的に受容可能なガス気流内で分散させることによりエーロゾル化する。このような分散に適する1つのシステムは出願中の(copending application)Ser.No.07/910,048(同出願はWO93/00951として公開されている)に記載されており、その全開示を参照として当明細書に援用する。このような装置のすべての操作法は同書に開示されている。
【0038】
特に上述の吸入器に利用する好ましいドライパウダー製剤は、WO98/16205(その全内容を参照として当明細書に援用する)に実施例3として開示されている。同ドライパウダー製剤は、1mL脱イオン水中に7.50mgインスリン、1.27mgマンニトール、3.38mgクエン酸ナトリウム、0.026mg水酸化ナトリウムおよび0.32mgグリシンを含み、総固体濃度12.5mg/mL、pH7.3とした製剤を、噴霧乾燥することにより作製したドライパウダーから成る(この製剤を噴霧乾燥して平均粒度5μm未満のドライパウダーを製造することができる)。このパウダーが吸入を経て肺の深部に送達される。ドライパウダーインスリンを用いる好ましい治療法は、上述の米国特許5,997,848に記載されたとおりである。
【0039】
C.試験
患者の状態を評価するため当明細書で使用する試験は、吸入インスリンの治療計画が適するかどうかにかかわらず、空腹時および/または随時の血清、血漿、または全血のブドウ糖を測定する、公知の当該技術分野で認められている測定法である。β細胞の機能の評価はブドウ糖負荷試験、特に静脈内ブドウ糖負荷試験により行うことができる。この方法では、ブドウ糖濃度および血漿または血清のインスリン濃度(後者は通常ラジオイムノアッセイまたは関連技術により測定する)について、公知の量のブドウ糖の経口または静脈内投与前後にサンプル採取測定する。ブドウ糖負荷に対するブドウ糖/インスリン反応の正常なパターンは公知である。糖尿病前駆状態または糖尿病によるβ細胞機能不全の患者は、一般にブドウ糖負荷に対してブドウ糖/インスリン反応の異常を示す。ブドウ糖およびインスリン濃度測定用の検査手段は広く市販品より入手できる。
【0040】
あまり好ましい代替法ではないが、空腹時および/または(経口または静脈内)ブドウ糖負荷後のCペプチド濃度(ラジオイムノアッセイまたは関連技術により測定する)を、膵β細胞の機能の完全性を評価するために使用することができる。
【0041】
投与するインスリンの量および適当な投与計画は、一般に担当医により決定される。一般にエーロゾルの形でインスリンを投与する場合、組み換えにより合成されたヒトインスリンに助剤を加えたものとして、吸入インスリンの量を0.5から50mg/日、通常0.5から25mg/日を、通常1から4回の個別のドライパウダー用量で患者に投与するものとする。通常の投与操作自体は、適切な吸入器または噴霧器から1回またはそれ以上、通常1から4回吸入して、必要な用量を投与することを含むものとする。吸入インスリンが送達される形にかかわらず、すなわちドライパウダーとして、噴霧器より製造される水溶性エーロゾルとして、または計量吸入器から送達される噴射剤中の懸濁物質として、これらのいずれの形でインスリンが送達される場合にも、全身に送達される1.5および150ユニットの間の量と均等な量のインスリン(一般に吸入インスリン1mgは全身に送達される組み換えヒトインスリンの約3ユニット(U)と均等である)が患者に送達されるものとする。高い活性を持つインスリンアナログは、実質的により少量を投与することができ、その場合にも血清ブドウ糖濃度を低減することに関しては、実質的に等しい効果が得られる。
【0042】
吸入インスリンによりもたらされる糖尿病の予防は、糖尿病を自然発症する素因を与えた動物で示すことができる。適切な動物試験モデルがHarrisonらによる文献 (J. Exp. Med., 184: 2167-2174, 1996)に開示されているが、そのモデルでは、8頭のNonobese Diabetic (NOD)マウスを入れた一部開封した箱を、標準的な患者用電動ポンプおよび噴霧器に接続して、エーロゾル化した組み換えヒトインスリンに暴露させている。他の系のマウスおよび他の種もまたこの目的に適当である。このような動物において、吸入インスリンへの暴露後、吸入インスリン治療マウスにおける高血糖の開始時期を、空気に暴露させたコントロール動物と比較することができる。(通常予め決定された)暴露期間後、膵臓組織の自己免疫活性による細胞の炎症について評価することができる。in vitroでは自己抗原に反応するリンパ球増殖反応の低減を、リンパ球性膵炎の軽減と関連させて示すことができる。このリンパ球増殖アッセイに使用できる関連する自己抗原の例として以下を含む:インスリン、インスリン変性生成物または主要なエピトープ、および関連の膵島抗原。サイトカイン(例えばインターロイキン4およびインターロイキン10)濃度を、コントロール動物に対して吸入インスリン動物で測定することができ、細胞の抗炎症免疫反応の程度の評価に使用することができる。
【0001】
発明の属する技術分野
本発明は、有効量の吸入インスリンを2型糖尿病の予防を必要とするヒトの患者に投与することを含む、吸入インスリンによる同疾患の予防法を定めるものである。当該方法は特に、免疫学的機構を介しての膵β細胞の破壊の進行を遅らせたり、阻止したりすることにより作用する。
【0002】
発明の背景
糖尿病は、慢性的な高血糖の存在で定義される重篤な代謝疾患である。成人の糖尿病の古典的な症状は、血漿ブドウ糖濃度高値を伴う多尿および口渇である。正常な空腹時血漿ブドウ糖濃度は1デシリットルあたり110ミリグラム未満である。糖尿病患者の場合、空腹時濃度は1デシリットルあたり126ミリグラムまたはそれ以上であることが認められている。一般に糖尿病は、膵臓のβ細胞の破壊または欠損に呼応して発症する。
【0003】
原発性糖尿病は1型糖尿病(インスリン依存型糖尿病またはIDDMともいう)および2型糖尿病(インスリン非依存型糖尿病またはNIDDMともいう)に分類される。1型(若年発症のまたはインスリン依存型)糖尿病は、公知のホルモン欠損状態であり、この場合膵β細胞が患者自身の免疫防御機構により破壊されていると考えられる。1型糖尿病の患者は、内因性インスリン分泌能力がほとんどないか、または全くない。これらの患者は著明な高血糖を発症する。1型糖尿病は70年程前にインスリン補充治療が導入されるまでは致死性であった−−最初は動物素材からのインスリンが使用され、最近では組み換えDNA技術により合成されたヒトインスリンが使用されている。1型糖尿病ではβ細胞の破壊によりインスリンを産生できなくなり、それにより慢性的なインスリン欠損に至る。これらのタイプの患者には最も一般的には皮下注(典型的には腹部または大腿上部に)によりインスリンを投与する。
【0004】
2型糖尿病はインスリン抵抗性、すなわちインスリンの作用に対して末梢組織の正常な代謝反応ができないことを特徴とする。言葉をかえればインスリン抵抗性は、血中インスリンが正常以下の生物学的反応しか起こせない状態である。臨床用語ではインスリン抵抗性は、インスリン濃度が正常または高値であるにもかかわらず、血糖値が正常または高値のまま持続する場合に存在する。2型糖尿病に伴う高血糖は、時には末梢組織のインスリンへの感受性を保持するのに十分な食事または体重減少により、好転または改善できることもある。2型糖尿病の進行は血糖値の上昇を伴い、ブドウ糖により誘発されるインスリン分泌速度の相対的低下とカップルする。したがって例えば2型糖尿病後期にはインスリンの欠損が起こり得る。2型糖尿病の一群に自己免疫病変のエビデンスが認められ、すなわち “緩徐進行型インスリン依存糖尿病(latent autoimmune diabetes in adults)”(LADAと略される)として公知となった亜群が含まれる。
【0005】
2型糖尿病における膵β細胞の病巣の特質は明らかではない。1型糖尿病の膵β細胞とは異なり、2型糖尿病のβ細胞はインスリンおよびアミリンを合成し分泌する能力を保持している。
【0006】
2型糖尿病に対して1型糖尿病の進行の時間経過は明確に区別することができる(通常明らかに異なる)。1型糖尿病の若年の(例えば小児)患者は、大量の膵β細胞が破壊された後まで症状が診断されず、そのために慢性的なインスリン治療が不可避となる。通常1型は、患者の代謝の需要に見合う十分なインスリンをもはや産生できなくなる時点まで膵臓が破壊されるまでに、数年のオーダーで進行する。
【0007】
1型糖尿病の治療はしたがって必然的に補充用量のインスリン投与を含み、腸管外経路で投与される。正しい食事と血糖値の自己管理を組み合わせることで、1型糖尿病の大多数は一定レベルの血糖コントロールを達成することができる。
【0008】
1型糖尿病とは逆に、2型糖尿病の治療はしばしばインスリンの使用を必要とせず、その症状自体も数十年にわたって進行し得る。2型糖尿病の治療設定は、通常第1段階として典型的には6−12週間の食事療法およびライフスタイルの改善の試みを含む。糖尿病の食事の特徴として、規則的な食事、飽和脂肪含有量の制限、付随しての多価不飽和脂肪酸含有量の増量、食物線維の摂取の増加を伴う、適当なしかし過剰ではない総カロリー摂取を含む。ライフスタイルの改善には、体重のコントロールそしてまたインスリン抵抗性の程度の低減の双方を目的とする、規則的な運動の維持を含む。食事およびライフスタイルの改善の適当な試みの後も空腹時高血糖が持続する場合は、今度は“最初の食事療法は効果なし”と診断され、経口血糖降下剤の治療を試みるか、または直接インスリン治療を設定するかのいずれかが、血糖コントロールを行いそれにより当疾患の合併症を最小限に抑えるために必要となる。食事療法および体重減量の効果を示さなかった2型糖尿病の患者も、経口非インスリン血糖降下剤、例えばスルホニル尿素薬またはビグアナイド薬による治療に反応する可能性がある。しかしそれ以外の2型糖尿病の患者、特に最初の食事療法の効果がなくかつ肥満ではない患者、または最初の食事療法および第2の経口血糖降下剤の双方とも効果がなかった患者を治療するために、インスリン治療が用いられる。
【0009】
発明の概要
本発明は、2型糖尿病の予防を必要とするヒトの患者に、有効量のエーロゾル化した吸入インスリンを投与することを含む、吸入インスリンによる同疾患の予防法を提供する。したがって当インスリンはそれ自体がエーロゾル化した粒子状インスリンであり、それが吸入される、すなわち経肺(肺深部)投与される。
【0010】
“インスリン”は実質的に精製された形、あるいはまた添加剤を含む様々な市販の入手可能な形で糖尿病治療に使用される、当該技術分野で認識されているポリペプチドを意味する。同用語は天然の抽出されたヒトインスリン、組み換えにより合成されたヒトインスリン、ウシおよび/またはブタの素材から抽出されたインスリン、組み換えにより合成されたブタおよびウシのインスリン、およびそれらの混合物を包含する。“インスリン”という用語はまた、ポリペプチド鎖中の1つまたはそれ以上のアミノ酸を代替アミノ酸に置き換えた、および/または1つまたはそれ以上のアミノ酸をポリペプチド鎖から削除した、または1つまたはそれ以上のアミノ酸をポリペプチド鎖に加えた、インスリンアナログを包含するものとする。一般に本発明のこのようなインスリンアナログは、血清ブドウ糖濃度に作用するインスリンアナログの能力が、従来のインスリンと比較してかなり高められている“スーパーインスリンアナログ”、ならびに脂肪組織より肝臓でより活性の高い、肝臓に選択的なインスリンアナログを含む。本発明では、単量体、例えばインスリンリスプロ(insulin lipro)であるエーロゾル化した吸入インスリンを用いることができる。
【0011】
“吸入インスリン”は、インスリンを含むエーロゾルを患者が肺の中に“吸い込む”ことにより、一般的には口を通して肺の中にまでエーロゾルを引き込むことにより経肺投与される、エーロゾル化した、湿ったまたは乾燥した粒子状のインスリン含有製剤を意味する。製剤は例えばドライパウダー吸入器、例えばInhale Therapeutics Systems, San Carlos, CAより入手可能な吸入器から吸入される乾燥粒子であってもよい。吸入インスリン製剤はまた、噴射剤に懸濁させた粒子状のインスリン含有製剤とすることもできる。あるいは製剤は湿ったエーロゾル、すなわち液体噴霧器システム(Laube, Journal of Aerosol Medicine, Vol 4, No.3, 1991および米国特許5,320,094を参照のこと、これら文献の全内容を参照として当該明細書に援用する)によりインスリン水溶液から製造されるタイプの液体エーロゾルとすることができる。エーロゾル製剤の詳細は特に重要であると考えなくてよく、液体であっても乾燥していても、その粒度が、肺胞が肺から血液への開口部として働くと考えられている肺の深部にまでの到達を促進する粒度である限り、パウダーはドライパウダーの形でも、あるいは噴霧器で製造するタイプの湿ったインスリン含有エーロゾルの形であってもよい。一般にこのような粒度は約10μm未満である。インスリンを鼻孔内に投与し、鼻の粘膜を通して血流にわずかに吸収される“鼻孔内投与インスリン”に対して、“吸入インスリン”は対照的である。
【0012】
本発明において吸入インスリンは、糖尿病を“予防する”ために用いられるが、“予防”とは数ヶ月から数年位の範囲の期間まで、本質的には永久にまで2型糖尿病の発症を遅らせるために、臨床的に明らかな発症前にインスリン含有エーロゾルを患者に投与することができることを意味する。この予防法において一般に医師が、実際の2型糖尿病を今後発症する徴候を示す“前駆状態”と考えられる以下の症状の、いずれか1つまたはそれ以上を患者が有すると診断することにより、同患者は2型糖尿病を発症するリスクがあると診断されることになる。
【0013】
1.空腹時血糖異常、患者が通常空腹時血糖値として110mg/dl未満を示さず、しかもその患者が空腹時血糖値126mg/dlまたはそれ以上も示さないことを意味する。この状態において同患者は空腹時血糖異常を有すると考えられるが、糖尿病としての明確な診断はされない。
【0014】
2.耐糖能異常、すなわち標準的な経口ブドウ糖負荷試験の投与時に患者が正常に反応しない状態。耐糖能障害は、ブドウ糖75g経口摂取後2時間値が140−199mg/dlの間のブドウ糖濃度と定義する。
【0015】
3.妊娠糖尿病の既往があるがまだ糖尿病ではない女性。この前駆状態では、同女性患者は妊娠中1回またはそれ以上糖尿病と判定されたかまたは診断されたが、妊娠中以外は糖尿病と診断されていないものとする。
【0016】
本発明における“予防”はまた、一度2型糖尿病が臨床的に明確になったおよび/または診断された場合でも、患者に吸入インスリンを投与して、疾患の進行を遅らせるかまたは完全に阻止することさえできることも意味する。すなわち患者は、糖代謝のコントロールに外因性インスリン投与をまだ必要としない、早期2型糖尿病であると診断されてもよい。それでもこの時点で、糖代謝のコントロールのためではなく、その免疫学的効果により2型糖尿病の進行を遅らせおよび/または阻止するために、吸入インスリンを処方することができる。これに関して、2型糖尿病が多くの場合に、免疫学的機構を通して時間をかけて膵β細胞が徐々に破壊されること、すなわちゆっくり何年もそして数十年さえにもわたり膵β細胞の破壊に影響または寄与し、それにより2型糖尿病の発症および進行を引き起こすリンパ球を特徴とし得ることは、注目に値する。吸入インスリンの投与は、特にこのようなリンパ球の活性を抑制することにより作用すると考えられる。したがって吸入インスリンを投与する患者の一部では2型糖尿病の進行を遅らせることができ、それに伴ってこのような患者は、単に糖代謝のためにインスリンを摂取しなければならない治療を遅らせられるという有益性を得ることができる。あるいはこのような患者は、吸入インスリン治療をしない場合に比してずっと長い期間、食事、運動、および/または非インスリン治療に依存することができるだろう。他の患者では2型糖尿病の進行を阻止させることができ、その結果血糖のコントロールのために外因性インスリンの摂取を全く必要としなくなることも可能となる。
【0017】
患者が2型糖尿病のリスクがある(すなわち上述の前駆状態の1つまたはそれ以上を示している)と診断されるか、または実際に2型糖尿病であると診断されるかのいずれかの時から、少なくとも糖代謝のコントロールを助けるために外因性インスリン投与が必要となる時までに、吸入インスリンを投与することが好ましい。
【0018】
膵β細胞を保持する吸入インスリンの免疫学的効果によるその有益性を得るためには、糖代謝をコントロールするためにインスリンを慢性的に投与しなければならなくなるできるだけ前に、患者への吸入インスリン投与を開始することが好ましい。このことは、2型糖尿病の前駆状態または実際に発症しているとのいずれかを医師に診断された時に、吸入インスリン投与を開始することを意味する。2型糖尿病が進行した後まで、例えば糖コントロール用のインスリン投与が必要となった後までこの疾患が検出されない場合でさえも、なお吸入インスリンを投与し、血糖代謝のコントロールに加えて、β細胞の残されたあらゆる機能を保持する、または少なくともその破壊を遅らせることができる。
【0019】
したがって本発明は、患者が2型糖尿病の症状を発症するリスクのあることを示す前駆状態を示しているその患者における、同疾患を予防する手段を提供する。上述のように2型糖尿病を予防する吸入インスリンの免疫学的能力は、膵β細胞の破壊を予防するまたは少なくとも遅らせる吸入インスリンの能力に関与すると考えられ、その予防等をしない場合にはβ細胞の破壊が2型糖尿病の発症および/または進行をきたすことになるだろう。一度2型糖尿病を発症してしまった場合でも、膵β細胞の破壊を阻止または遅らせる吸入インスリンの能力から、予防に関する能力をまた引き出すことができる。
【0020】
まとめると、本発明より得られる“予防”は以下の方法の1つまたはそれ以上において、それ自体を明らかにすることができるだろう:
1.2型糖尿病が臨床的発症前に検出される場合に、その開始を遅らせること。前駆状態の検出後直ちに、または少なくとも2型糖尿病を実際に発症する前に吸入インスリンの投与計画が開始される場合に、この効果が得られる。既に臨床的に糖尿病を発症している患者においては、このような患者のすべてとはいかないまでもほとんどにおいて、吸入インスリン治療を行わない場合に起こる血糖値の不規則性および不安定性に比して、その不規則性を軽減し不安定性を抑えるという意味において、症状をまたより安定させることができるだろう。さらに吸入インスリン以外の治療(運動、食事コントロールおよび吸入インスリン以外の他の抗糖尿病剤)の必要性を軽減させるだろう。
【0021】
2.臨床的発症前に前駆状態が検出される症例の一部においては、2型糖尿病への進行を完全に予防することができる、すなわち予防効果のための吸入治療以外のあらゆる形の糖尿病治療(運動、食事コントロール、経口薬、または外因性インスリン投与を含む)を全く必要としなくなることを意味する。
【0022】
3.症状が臨床的に明らかな患者における、吸入インスリンによる糖尿病の進行の遅延および一部の患者における完全な進行の停止。
食事、運動、および/または血糖値の供給を免疫以外の方法でコントロールする薬剤により、臨床的2型糖尿病を治療する現行の治療法に対して、完全な変更を表明している点で本発明は驚異に値する。上述のように血糖のコントロールに使用できる非インスリン薬の例には、当該技術分野で公知のスルホニル尿素薬またはビグアナイド薬があるが、これらの使用は免疫以外の様々な機構を通して正常なブドウ糖を保持しようとするものである。
【0023】
詳細な説明
A.吸入器/投与
治療有効量のインスリンを肺深部に送達できるのであれば、当該技術分野で公知のいかなる吸入器も本発明に使用することができる。これにはあらゆる装置、例えばドライパウダー吸入器、噴霧器、および定量吸入器(metered dose inhaler)と分類されるものを含む。当該技術分野で認識されている吸入器、例えばTurbohaler(Astra)、登録商標Rotahaler(Glaxo)、登録商標Diskus(Glaxo)、the Ultravent噴霧器 (Mallinckrodt)、the Acorn II 噴霧器(Marquest medical Products)、登録商標the Ventolin定量吸入器(Glaxo)、登録商標the Spinhalerパウダー吸入器(Fisons)等の商品名で販売されているもは潜在的に有用である。
【0024】
好ましい態様において、手で持つタイプの装置、例えば米国特許6,089,228、5,458,135、5,775,320、5,785,049、5,740,794およびWO 93/00951(これらの全開示内容を参照として当明細書に援用する)のいずれかに開示された装置により、ドライパウダーとしてインスリンを吸入させる。このような装置はInhale Therapeutics Systems, San Carlos, CAより入手できる。
【0025】
B.製剤
患者に吸入し経肺送達できる、インスリンのエーロゾル化した形を製造することを可能にするあらゆる製剤を、本発明に関連して使用することができる。エーロゾル化する送達装置に関連して使用できる製剤に関する特定の情報は、Remington’s Pharmaceutical Sciences, A. R. Gennaro著(最新版)Mack Publishing Companyに記載されている。インスリン製剤に関しては、Sciarra et al.[Journal of Pharmaceutical Sciences, Vol. 65, No. 4, 1976]に注目することもまた有用である。
【0026】
様々の異なるインスリン含有エーロゾル製剤を本発明に関連して使用することができる。このような製剤に含まれる活性成分はインスリンであり、これは好ましくは組み換えにより合成されたヒトインスリンであるが、動物素材から抽出されたインスリンも含み得る。さらにインスリンは組み換えにより合成されたヒトインスリンの類似体である、インスリンアナログとすることもできる。インスリンおよび/またはインスリンアナログはそれ自体で単独の活性成分として存在することができるが、インスリンは付加的な活性成分、例えばスルホニル尿素薬と共に存在することもできる。しかしこのようなスルホニル尿素薬は、より厳密に用量および血清ブドウ糖濃度をコントロールするため、一般に別に投与される。
【0027】
活性成分のいかんにかかわらず、本発明に関連して使用できるインスリン製剤には幾つかの基本的なタイプがある。すべての製剤はインスリンを含むが、好ましくは肺内への投与に適する医薬的に受容可能な担体を共に含む。第1の製剤においては、低沸点すなわち高揮発性の噴射剤を、活性成分および医薬的に受容可能な助剤と組み合わせる。活性成分は例えば、噴射剤中の懸濁物質またはドライパウダーとして提供することができ、あるいは活性成分は噴射剤中に溶液として溶かすことができる。これら製剤は双方とも、唯一の開放として弁を有する容器内に容易に納めることができる。噴射剤は高揮発性すなわち低沸点であるため、容器の内容物は加圧されることになる。したがって低沸点噴射剤を使用する場合、噴射剤は装置の加圧された保存容器内に保持され、液体状態で維持される。弁を作動させると噴射剤が放出され、噴射剤と共に保存容器から活性成分が押し出される。噴射剤は周囲圧への暴露下で “急激に蒸発する”、すなわち噴射剤は直ちに気化することになる。この急激な蒸発が非常に急速に起こるため、実際に患者の肺に送達されるのは、本質的に純粋な活性成分となる。低沸点噴射剤を使用することで起こるこの“急激な蒸発”の現象は、噴霧器またはこのような噴射剤を使用しない製剤と比較して、短時間でより多量の薬剤を容易に投与できる本発明の実用性を大いに高めることができる。さらに肺に送達される物質が本質的に純粋な薬剤であるため、投与量をモニターし、より厳密にコントロールすることがより容易になり、これは本発明の方法の重要な特徴である。したがってこのような送達装置を使用する場合、低沸点の噴射剤、例えば低沸点のクロロフルオロカーボンまたは炭化水素、例えばトリクロロフルオロメタンおよびジクロロジフルオロメタンを使用することが好ましい。低沸点噴射剤となるクロロフルオロカーボンを含まない噴射剤が開発されてきているので、それらを本発明に関連して使用できることは当該技術分野の業者には明らかであろう。
【0028】
第2の製剤においては、インスリンを溶液製剤中に提供する。本態様において、好ましくはドライパウダーを水溶液に溶かして溶液を生成し、それを多孔質メンブレンに通し、吸入用エーロゾルを製造する。このような溶液は注射用市販品の入手可能なタイプおよび/または肺内への送達により適用できるその他の溶液とすることができる。噴霧器から水溶性エーロゾルを製造する適切な溶液の1例は、Laubeにより米国特許5,320,094に開示されている0.9%生理食塩水である。
【0029】
インスリンを吸入投与する好ましい形はドライパウダーとしてである。好ましいインスリンドライパウダーはPatton らに対する米国特許5,997,848に記載されているものを含む。前記インスリンパウダーは、肺胞に到達できるように選択された粒度を有する、一般に直径10μm未満、好ましくは7.5μm未満、最も好ましくは5μm未満、そして通常直径0.1μmから5μmの範囲の自由流動性粒子からなる。上述の粒度は一般に固体粒子に適応する。空力的には軽いが、平均直径が10μmよりずっと大きい、例えば5から30μmのより大きな粒度の粒子を使用することもまた可能である。そのような粒子は一般に非常に低いタップ密度、すなわち0.4g/cm未満で平均直径が1から3ミクロンの間である。前記粒子は米国特許RE37,053 EおよびPCT出願公開WO 01/13891に開示されており、双方を参照として当明細書に援用する。いずれの場合も使用するインスリンパウダーは、それが肺胞を通して血中に吸収される肺の深部に到達するために、選択された粒度でなければならない。
【0030】
あるいはアモルファスインスリンは、アモルファス構造を形成する条件下で適切なインスリン溶液を凍結乾燥、真空乾燥、蒸発乾燥させることにより製造することができる。このように製造されたアモルファスインスリンを次にすりつぶしたり、ミルにかけたりして所望の粒度範囲内の粒子を製造する。結晶ドライパウダーインスリンは結晶インスリンの固まりをすりつぶしたり、ジェットミルにかけたりして製造することができる。所望の粒度範囲の粒子を含むインスリンパウダーを製造する好ましい方法は噴霧乾燥であるが、この場合純粋な固まりのインスリン(通常結晶形)をまず生理学的に受容可能なバッファー水溶液、典型的には約pH2から9の範囲のクエン酸バッファーに溶かす。このインスリンは0.01%(重量)から1%(重量)、通常0.1%から0.2%の濃度で溶かす。次にこの溶液を市販の従来の噴霧乾燥装置、例えばBuchi、Niro等で噴霧乾燥させ、実質的にアモルファスの粒子生成物を得ることができる。
【0031】
インスリンドライパウダーは本質的には、必要な粒度範囲のインスリン粒子から成るものとし、他のあらゆる生物学的活性成分、医薬的担体等を実質的に含まないようにすることができる。このような“純品(neat)混合物を含まない”製剤は、副次成分、例えば保存剤を微量に、典型的には10%以下(重量)そして通常5%(重量)以下で含んでもよい。このような純品製剤を使用することで、高投与量の場合でさえ、必要な吸入回数をしばしば1回の呼吸のみに実質的に減らすことができる。
【0032】
本発明に有用なインスリンパウダーは、呼吸による投与および経肺投与に適する医薬的担体または助剤を所望により組み合わせることができる。このような担体は、患者に送達されるパウダー中のインスリン濃度を減らすように所望される場合に、単なる補填物質として供給することができる。しかしこれらはまたインスリン組成物の安定性を高め、インスリンのより効率的な再現性ある送達を提供することを目的とするパウダー分散装置内のパウダーの分散能を改善し、そしてインスリンの取り扱い上の特性、例えば製造およびパウダーの充填を促進するような流動性およびコンシスタンシーを改善するために、供給することもできる。
【0033】
適切な担体物質は、アモルファスパウダー、結晶パウダー、またはアモルファスパウダーと結晶パウダーの混合物の形とすることができる。適切な物質は炭水化物、例えば単糖類、例えばフルクトース、ガラクトース、グルコース、D−マンノース、ソルボース等;二糖類、例えばラクトース、トレハロース、セロビオース等;シクロデキストリン、例えば2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン;および多糖類、例えばラフィノース、マルトデキストリン、デキストラン等;(b)アミノ酸、例えばグリシン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン、リシン等;(c)有機酸および塩基から生成される有機塩、例えばクエン酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、グルコン酸マグネシウム、グルコン酸ナトリウム、トロメタミン塩酸塩等;(d)ペプチドおよびタンパク質、例えばアスパルテーム、ヒト血清アルブミン、ゼラチン等;(e)糖アルコール、例えばマンニトール、キシリトール等を含む。担体の好ましい群は、ラクトース、トレハロース、ラフィノース、マルトデキストリン、グリシン、クエン酸ナトリウム、トロメタミン塩酸塩、ヒト血清アルブミン、およびマンニトールを含む。
【0034】
このような担体物質は噴霧乾燥前に、すなわち噴霧乾燥用に調製したバッファー溶液に担体物質を加えることにより、インスリンと混合することができる。この場合担体物質はインスリン粒子と共におよび該粒子の一部として同時に形成されることになる。典型的には担体を噴霧乾燥によりインスリンと共に形成する場合、インスリンは各粒子中に重量比で5%から95%、好ましくは20%から80%の範囲で存在するものとする。粒子の残り部分は主に担体物質(典型的には5%から95%(重量)、通常20%から80%(重量)である)であるが、バッファーもまた含み、上述の他の成分を含むこともできる。肺の肺胞領域に送達される粒子(すなわち要求される粒度範囲の10μm以下のもの)中の担体物質の存在は、インスリンの全身への吸収を有意に妨げることはないことが見出された。
【0035】
あるいは担体は、ドライパウダーの形に別個に製造し、インスリンドライパウダーとブレンドして混合することができる。この別個に製造する担体パウダーは通常(水の吸収を避けるために)結晶とするが、場合によってはアモルファス形、または結晶形とアモルファス形の混合物としてもよい。担体粒子の粒度はインスリンパウダーの流動性を改善するように選択する、典型的には25μmから100μmの範囲とすることができる。この粒度範囲の担体粒子は一般に肺の肺胞領域内には到達せず、吸入前の送達装置内でもしばしばインスリンと分離していることになる。したがって肺の肺胞領域内に到達する粒子は、本質的にはインスリンおよびバッファーからなる。好ましい担体物質は上述の粒度範囲の結晶マンニトールである。
【0036】
本発明に有用なインスリンドライパウダーはまた、他の活性成分と併用することもできる。例えば糖尿病の治療を改善するため、インスリンパウダー中に少量のアミリンまたは活性アミリンアナログを併用することを所望される可能性はある。アミリンは、健常な(糖尿病でない)ヒトの膵β細胞からインスリンと共に分泌されるホルモンである。in vivoでアミリンがインスリンの活性を修飾すると考えられており、アミリンのインスリンとの同時投与が血糖のコントロールを改善できることが提案された。本発明の成分中にインスリンと共にアミリンドライパウダーを併用することで、このような同時投与を達成できる特に便利な製品を提供することになる。アミリンは(1投与量中のインスリンの総重量を基準として)0.1%(重量)から10%(重量)、好ましくは0.5%(重量)から2.5%(重量)としてインスリンと併用することができる。アミリンは市販品、例えばAmylin Corporation, San Diego, Calif.より入手でき、本発明の組成物中に容易に製剤化することができる。例えばアミリンをインスリン(および所望により担体)と共に水溶液または他の適切な溶液に溶かし、その溶液を噴霧乾燥してパウダー製品を製造することができる。
【0037】
本発明のインスリンドライパウダー組成物は、好ましくは気流内で分散させる(dispersion in a flowing air)、または従来の方法の生理学的に受容可能なガス気流内で分散させることによりエーロゾル化する。このような分散に適する1つのシステムは出願中の(copending application)Ser.No.07/910,048(同出願はWO93/00951として公開されている)に記載されており、その全開示を参照として当明細書に援用する。このような装置のすべての操作法は同書に開示されている。
【0038】
特に上述の吸入器に利用する好ましいドライパウダー製剤は、WO98/16205(その全内容を参照として当明細書に援用する)に実施例3として開示されている。同ドライパウダー製剤は、1mL脱イオン水中に7.50mgインスリン、1.27mgマンニトール、3.38mgクエン酸ナトリウム、0.026mg水酸化ナトリウムおよび0.32mgグリシンを含み、総固体濃度12.5mg/mL、pH7.3とした製剤を、噴霧乾燥することにより作製したドライパウダーから成る(この製剤を噴霧乾燥して平均粒度5μm未満のドライパウダーを製造することができる)。このパウダーが吸入を経て肺の深部に送達される。ドライパウダーインスリンを用いる好ましい治療法は、上述の米国特許5,997,848に記載されたとおりである。
【0039】
C.試験
患者の状態を評価するため当明細書で使用する試験は、吸入インスリンの治療計画が適するかどうかにかかわらず、空腹時および/または随時の血清、血漿、または全血のブドウ糖を測定する、公知の当該技術分野で認められている測定法である。β細胞の機能の評価はブドウ糖負荷試験、特に静脈内ブドウ糖負荷試験により行うことができる。この方法では、ブドウ糖濃度および血漿または血清のインスリン濃度(後者は通常ラジオイムノアッセイまたは関連技術により測定する)について、公知の量のブドウ糖の経口または静脈内投与前後にサンプル採取測定する。ブドウ糖負荷に対するブドウ糖/インスリン反応の正常なパターンは公知である。糖尿病前駆状態または糖尿病によるβ細胞機能不全の患者は、一般にブドウ糖負荷に対してブドウ糖/インスリン反応の異常を示す。ブドウ糖およびインスリン濃度測定用の検査手段は広く市販品より入手できる。
【0040】
あまり好ましい代替法ではないが、空腹時および/または(経口または静脈内)ブドウ糖負荷後のCペプチド濃度(ラジオイムノアッセイまたは関連技術により測定する)を、膵β細胞の機能の完全性を評価するために使用することができる。
【0041】
投与するインスリンの量および適当な投与計画は、一般に担当医により決定される。一般にエーロゾルの形でインスリンを投与する場合、組み換えにより合成されたヒトインスリンに助剤を加えたものとして、吸入インスリンの量を0.5から50mg/日、通常0.5から25mg/日を、通常1から4回の個別のドライパウダー用量で患者に投与するものとする。通常の投与操作自体は、適切な吸入器または噴霧器から1回またはそれ以上、通常1から4回吸入して、必要な用量を投与することを含むものとする。吸入インスリンが送達される形にかかわらず、すなわちドライパウダーとして、噴霧器より製造される水溶性エーロゾルとして、または計量吸入器から送達される噴射剤中の懸濁物質として、これらのいずれの形でインスリンが送達される場合にも、全身に送達される1.5および150ユニットの間の量と均等な量のインスリン(一般に吸入インスリン1mgは全身に送達される組み換えヒトインスリンの約3ユニット(U)と均等である)が患者に送達されるものとする。高い活性を持つインスリンアナログは、実質的により少量を投与することができ、その場合にも血清ブドウ糖濃度を低減することに関しては、実質的に等しい効果が得られる。
【0042】
吸入インスリンによりもたらされる糖尿病の予防は、糖尿病を自然発症する素因を与えた動物で示すことができる。適切な動物試験モデルがHarrisonらによる文献 (J. Exp. Med., 184: 2167-2174, 1996)に開示されているが、そのモデルでは、8頭のNonobese Diabetic (NOD)マウスを入れた一部開封した箱を、標準的な患者用電動ポンプおよび噴霧器に接続して、エーロゾル化した組み換えヒトインスリンに暴露させている。他の系のマウスおよび他の種もまたこの目的に適当である。このような動物において、吸入インスリンへの暴露後、吸入インスリン治療マウスにおける高血糖の開始時期を、空気に暴露させたコントロール動物と比較することができる。(通常予め決定された)暴露期間後、膵臓組織の自己免疫活性による細胞の炎症について評価することができる。in vitroでは自己抗原に反応するリンパ球増殖反応の低減を、リンパ球性膵炎の軽減と関連させて示すことができる。このリンパ球増殖アッセイに使用できる関連する自己抗原の例として以下を含む:インスリン、インスリン変性生成物または主要なエピトープ、および関連の膵島抗原。サイトカイン(例えばインターロイキン4およびインターロイキン10)濃度を、コントロール動物に対して吸入インスリン動物で測定することができ、細胞の抗炎症免疫反応の程度の評価に使用することができる。
Claims (5)
- 免疫学的機構を介してのβ細胞の破壊を吸入インスリンにより予防する方法であって、2型糖尿病の発症前または発症後に、前記予防を必要とするヒトの患者に有効量の吸入インスリンを投与することを含む前記方法。
- 前記吸入インスリンをエーロゾル化したインスリンの形で送達し、その際同エーロゾルを溶液から霧状化する請求項1に記載の方法。
- 前記吸入インスリンをドライパウダーとして投与する、請求項1に記載の方法。
- 前記有効量の吸入インスリンが、噴射剤により前記インスリンの溶液または懸濁液として定量吸入器から送達される、請求項1に記載の方法。
- 患者が2型糖尿病のリスクがある、または実際に2型糖尿病であるとのいずれかと診断された時から、糖代謝のコントロールを助けるために外因性インスリン投与が必要となる時までに、前記吸入インスリンを投与する請求項1に記載の方法。
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