JP2005535799A - パルプの処理方法 - Google Patents

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Abstract

本方法は、懸濁紙繊維またはパルプ繊維の変更に、特にこれらから作成される紙の強度が増大するように役立つ。精砕ゾーン(3)内のパルプ(F)と二つの精砕表面(1,2)との間でできる限り低い相対速度が行き渡るように、二つの精砕表面(1,2)は互いに加圧されかつ運動させられる。本方法は、精砕体(9)を用いて特に容易に実施でき、この精砕体(9)は、精砕表面(1)を有しており、また、精砕表面(2)を有する精砕ドラム(8)の内側面上で回転して離れる。

Description

本発明は、請求項1の導入部に従ってパルプを処理する方法に関する。
上述した種類のパルプを処理する方法は一般に、精砕プロセスとも呼ばれる。パルプ繊維は精砕する必要があり、それによって、パルプ繊維からその後に作成される紙が所望の性質、特に強度、形態、および表面を有することは長い間知られてきた。極めて最も用いられている精砕プロセスは、ブレードとして知られるレールを備えた精砕表面などを用いる。対応する機械はたいてい、ブレードリファイナーと呼ばれる。特別な場合には、少なくとも一つの精砕表面がブレードなしであり、それによって、精砕作用が摩擦力または剪断力によって伝達される精砕プロセスも使用される。
プロセスの効果は、精砕パラメータを変更することで広範囲に制御でき、抽出量に加えて、特に、より強力な切断またはより強力な小繊維化を行う精砕が望ましいかについての差も生じる。パルプ繊維が既知の精砕プロセスによって処理される場合は、その脱水抵抗は、抽出が増大するにつれて増大する。脱水抵抗の通例の尺度は、ショッパー−リーグラー(Schopper−Riegler)による濾水度である。
濾水度が増大すると、紙作成機械上での形態に望ましくない影響が生じるが、濾水度の増大が許容されるのは、パルプの既に指定されている性質の特徴が、その有用性に対して格別の役割を果たすからである。多くの場合、精砕パラメータは、必要な繊維の性質に到達するのに生じる濾水度の増大ができる限り低くなるように選択される。しかしながら、この影響の可能性は非常に限定されている。さらに、それによって精砕は、強度−経済性の見地からより望ましくないものとなる。
本発明の根底にある目的は、パルプ繊維または紙繊維から作成される紙の強度が増大するようにパルプ繊維または紙繊維を変更することを可能にするパルプ処理のための方法を提供することである。このプロセスにおいて生じる脱水抵抗の増大は、既知の精砕プロセスを用いるより少なくとも低くなる必要がある。
この目的は、請求項1に挙げられる特徴によって満足される。
新規な精砕プロセスは、パルプ繊維の精砕剪断負荷が最大程度に回避されるように実質的に作用する。それによって、三つの重要な利点が、既知の精砕プロセスに関して実質的に達成される。
1. 繊維長が実質的に良好に維持される。
2. 繊維表面が、小繊維化されないか、あるいは実質的にほとんど小繊維化されない。
3. 所望の強度を達成する特定の精砕作用が、一般に少なくなる。
長繊維パルプを用いた比較試験では、8kmの引き裂き長さを得るためには45°のSR濾水度がブレード精砕で生じたことが示されたが、新規なプロセスでは、わずか18°SRであった。必要とされる特定の精砕作用は、50%まで低下した。
繊維表面は、繊維の外側表面から除去する必要のある小繊維を有することなく向上した可撓性と曲げ可能性が与えられるように、新規な精砕プロセスによって変更される、と仮定される。繊維断片から成る微細物の生成も 省くことができる。
プロセスを再生繊維に使用する場合は、1.および2.で挙げた利点が特別な役割を果たす。再生繊維は、既に少なくとも一回の、しばしば数回もの精砕処理を受けているので、さらなるどのような破砕も都合よく回避される。
本発明とその利点は、図面に関連して説明される。
図1の図は、本方法を実施するのに特に適した装置の一部の上からの図とみなすことができる。しかしながら、技術的な設計の詳細は示されていない。精砕表面1が、この図に従って回転精砕体9の外周上に配置される。同様の回転精砕ドラム8の内側面としての精砕表面2が、その内側面上の精砕されるパルプFを運び、このパルプFは、紙繊維またはパルプ繊維を含有する水性懸濁液である。それは、精砕表面2上に均一に分散され、遠心力に起因して精砕表面2上でおよび精砕表面2と共に回転する。精砕体9の周速は、矢印6によって示され、精砕ドラム8の周速は、矢印7によって示される。本発明に従うこれら二つの精砕表面の運動学は、二つの精砕表面が互いに最も近づく位置5において、二つの精砕表面の主要運動方向でパルプFと二つの精砕表面との間に非常に低い速度が生じるようなものである。主要運動方向は、駆動に起因する二つの精砕表面の運動により生じる。このプロセスにおける精砕体9は、精砕ドラム8の内側面から回転して離れる。精砕体9の回転軸は、精砕ドラム8の回転軸に平行しており、空間的に固定することができる。実際の精砕ゾーン3は、精砕表面1がパルプFの層内に沈み込む位置において開始する。圧縮力を生成するために、精砕体9は、力Pで精砕表面2の方へ加圧される。精砕効果は、この力を変更することで調節できる。2と10N/mmの間の線力が有利であると分かった。この図面では、この力は、運行方向の接触面の膨張を考慮しなければ、接触する精砕体の幅と関連がある。従って、繊維処理は、非常に穏やかな仕方で繊維を撓ませる圧縮プロセスおよび破砕プロセスで精砕ゾーン3に生じる。実際の剪断力も、切断力さえも繊維には伝達されない。
精砕表面1は、ここでは溝4を備えており、この溝の効果は、ブレードが互いに相対的に高速で運動する既知のブレードリファイナーのブレードの効果には比較できない。溝4は、対向面と共同して圧力パルスを生成し、この圧力パルスは、例えば繊維の水吸収に役に立つ。それらはまた、生成ゾーン3を通るパルプFの輸送を提供する。溝は、精砕体の軸方向の長さ全体に亘って延在できるが、それらは、中断されることもできる。深さtおよび幅uは一般に、少なくとも2mmに達する。ここに示す方形構造からの逸脱も、台形構造に関連する例として図3に示すように可能である。
本方法を実施するための装置は一般に、使用の位置において図2に示すものなどのように作成される。水平に配置された精砕ドラム8が駆動装置11により回転するように設定されているのを見ることができる。複数の精砕体9が、この精砕ドラムの内部に配置されており、これらは既に説明したように、精砕ドラム8に接触する位置で回転して離れる運動が生じるように運動する。精砕体9は、駆動装置10により回転するように設定されており、その回転軸は、垂直であり、空間的に固定されている。添加されたパルプFは、このような装置を用いて段階的に精砕されることができ、抽出パルプF’のように精砕プロセス後に除去できる。このような装置を連続的に作動させる場合は、均一な精砕が生じるように、パルプの一定の処理量をもたらす処置を講ずる必要がある。
本発明を実施する別の可能性を図4に示しており、ここでは、精砕ドラム8の中心線と精砕体9の中心線は水平である。この装置によって連続精砕が可能となるが、精砕ゾーンを通る少数の通路を用いて既に所望の抽出が達成されることが必要とされる。精砕されるパルプFの幅広の層が、重力によって精砕ドラムの内壁面を流れ落ちるように、固定精砕ドラム8内へ注がれる。精砕体9のその軸回りの回転運動(矢印6)が、精砕ドラム8の中心線回りの精砕体9の軸の回転運動(矢印6’)に重なるので、精砕体9は、精砕ドラム8の内壁面から回転して離れる。通例、このような装置は、回転ラック上に支持される複数の精砕体9を含む。パルプFの添加位置および除去位置を選択することで、その流速を調整できる。精砕体は、パルプの流れとは反対に(ここに図示するように)運行してもよく、あるいはそれについて行ってもよい。
新規な本プロセスにより達成できる改善は、図5に従う概略図に示す。この図は、引き裂き長さ(矢印13)に対して描かれた濾水度(矢印12)を示す。曲線14は、従来のブレード精砕の結果を示し、曲線15は、新規な本方法を用いて得られた結果を示す。容易に理解できるように、新規な本方法に従うと所望の高い引き裂き長さを達成するのに極めてより低い濾水度が生成される。この図は、基本的な傾向を示すのを意図しているだけである。
本発明に従う方法を実施するための簡単な例を示す図。 本方法を実施するための装置の概略図。 ロール構造の変形例を示す図。 使用の位置における本方法を実施するためのさらなる装置の概略図。 定性的な強度を示す図。

Claims (14)

  1. パルプ(F)が、精砕表面(1、2)間に存在する少なくとも一つの精砕ゾーン(3)を通って案内され、
    精砕表面(1、2)が、互いに相対的に運動しかつ互いに加圧され、
    それによって、紙繊維またはパルプ繊維から作成される紙の強度が変更されるように、機械的精砕作用がこれらの繊維に伝達される、
    水性懸濁液内の紙繊維またはパルプ繊維を変更する方法であって、
    精砕ゾーン(3)内の繊維に剪断力が全く伝達されないかあるいは多くても非常に低い剪断力しか伝達されないように、精砕表面の主要運動方向で考えられるパルプ(F)と精砕表面との間の相対速度が、二つの精砕表面(1、2)が精砕ゾーン(3)内で最も近づく位置(5)において、最も速く駆動される精砕表面の絶対速度の10%以下であることを特徴とする方法。
  2. 精砕表面の主要運動方向で考えられるパルプ(F)と精砕表面との間の相対速度は、二つの精砕表面(1、2)が精砕ゾーン(3)内で最も近づく位置(5)において、最も速く駆動される精砕表面の絶対速度の5%未満であることを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 精砕表面(1、2)の相対運動が、回転して離れる運動であることを特徴とする請求項1または2記載の方法。
  4. 機械的精砕作用は、パルプを圧縮することによって伝達されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 精砕表面(1)は、運動する精砕表面の主要運動方向に対して横方向に延在する溝(4、4’)を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 溝(4、4’)は、少なくとも2mmの深さ(t)と、運動する精砕表面の運動方向に少なくとも2mmの幅(u)とを有することを特徴とする請求項5記載の方法。
  7. 第二の精砕表面(2)は、横方向に延在する溝を備えていないことを特徴とする請求項5または6記載の方法。
  8. 一方の精砕表面(1)は、円筒形の精砕体(9)上の外側に配置されており、この精砕体(9)の中心線が、内側面上に他方の精砕表面(2)を含む精砕ドラム(8)に相対的に運動することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の方法。
  9. 複数の精砕体(9)が精砕ドラム(8)内に使用されることを特徴とする請求項8記載の方法。
  10. パルプ(F)は、精砕ゾーン(3)内の精砕表面(1、2)のうちの一方とは相対的に運動しないことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載の方法。
  11. 繊維は、10%以下の固体含有量を有する懸濁液内に存在することを特徴とする請求項1〜10のいずれか一つに記載の方法。
  12. 固体含有量は、最大6%に達することを特徴とする請求項11記載の方法。
  13. 少なくとも一方の精砕表面(1、2)の絶対速度は、8と30m/secの間の値に保たれることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一つに記載の方法。
  14. 精砕表面(1、2)は、2と10N/mmの間の線力が精砕ゾーン(3)内に生じるように、互いに加圧されることを特徴とする請求項1〜13のいずれか一つに記載の方法。
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