JP2005535071A - 質量分光装置および方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】干渉する多原子および多電荷イオンの減衰について改良された元素および同位体分析の質量分光装置および方法を提供する。
【解決手段】2つの真空領域38, 44の間の例えばスキマーコーン40において、検体イオンを含有するプラズマ28が開口42を通過する際に、前記プラズマ28内部へ物質を導入して、これにより、前記物質が前記プラズマ28と相互作用して、これにより、反応性または衝突性相互作用により前記プラズマにおける多原子または多電荷干渉イオンの濃度を低減させる質量分光計。前記物質は、スキマーコーン40の出口63を有する通路60を介して供給してもよい。本発明は、前記物質が、イオンビーム58が抽出される前に開口42により実質的に放射方向に関して閉じ込められた状態で前記プラズマ28内部へ直接供給されるので、干渉イオンの減衰を改善する。

Description

本発明は、検体イオンを提供するためのプラズマイオン源を含む質量分光計および方法に関する。プラズマイオン源は、誘導結合プラズマ(ICP)、マイクロ波誘導プラズマ(MIP)または他の適切なプラズマイオン源であってよい。
元素質量分光計における問題は、測定される同位体と同じ質量を有する多原子イオンおよび多電荷イオン干渉が存在することである。例えば、アルゴン内に保持されたプラズマでは、Ar+、Ar2 +、ArO+、ArOH+のようなアルゴンをベースとする干渉イオンは、Ca,Fe,Seの同位体の質量と重なる質量を有するので、このような同位体の極微量に対して信頼できる分析結果を生成することが困難となる。
干渉する多原子イオンまたは多電荷イオンを減衰させる周知の方法として、ICP−MSにおいて従来使用されているアルゴンへの水素の添加といった混合ガスプラズマを使用して、および、選択された反応性ガスまたは衝突ガスを含有する可能性のある種々の衝突セルもしくは反応セルを使用して、干渉の衝突分解および反応(つまり、イオン−分子電荷移動反応)を促進する方法がある。更に、プラズマイオン源と質量分析装置との間のインターフェース領域、例えば、誘導結合プラズマ質量分光計(ICP−MS)におけるサンプリングコーン・スキマーコーンのインターフェース領域、における干渉イオンの衝突分解および反応(電荷移動)を促進することが知られている。例えば、すでに1986年にR.S.ホウクおよびその同僚が、ICP−MSにおけるスペクトル重なり干渉の問題を解決するひとつの方策として、「ICPまたは真空システム内へ異物ガス(例えば、Xe)を添加して望ましくないイオンと反応させてそれを除去する」ことを記載している(下記非特許文献1)。別の例として、ヤスヒロ ミツイその他名義の「プラズマイオン源質量分光」というタイトルの下記特許文献1は、ICP−MSのサンプリングコーンとスキマーコーンとの間の第1差動ポンプ領域内へ適切なガスを導入して電荷移動反応を促進することを開示している。しかしながら、これは、例えば、サンプリングコーンの孔のすぐ後ろにマイナス帯電のメッシュ格子を使用することにより、電荷移動反応領域の前でプラズマから電子が反発することを教示している。これにより、プラズマから抽出されるイオンビームが効果的に通過する領域内へ反応性ガスを導入することが教示されている。グレゴリ C エイデンその他による「閉じ込められたイオンビームにおける選択されたイオン強度の低減装置」という名称の下記特許文献2は、スキマーコーンの孔のほとんどすぐ後ろへ反応性ガスを導入することを開示している。下記特許文献1のように、これは抽出イオンビームの領域内であり、そして、このビームは、導入されたガス分子と衝突して必要な反応を起こす。ここで、検体信号強度は衝突により低減され、かくして、最大検体感度を得るには最小衝突にしなければならず、干渉を効果的に減衰するには最大衝突を必要とするというジレンマがある。このジレンマは、これらの従来方法の効率に影響することは避けられない。下記特許文献2も、反応性ガス、つまり水素、を含む反応セルの使用を開示している。このセル内の反応性ガスは最適圧力に保持されるが、セル全体は異なる圧力の真空領域内部に置かれるので、この構成の操作が複雑になる。
ここでの従来技術に対する説明は、本発明の背景を説明するために含まれているものである。これは、引用された資料はいずれも、本出願による優先日時点にオーストラリアにおいて刊行され、周知であり、一般通常知識であるということを承認するものとして理解されるものではない。
米国特許4,948,962号明細書 米国特許6,259,091号明細書 R.S. ホウク, J.S.クレイン, J.T.ローワン「ICP-MSにおけるスペクトル重なり干渉について何が行えるか」、カイルアコナ、ハワイ、アメリカ 1986年1月2〜8日、プラズマ分光化学に関する冬季会議、要約、p.35 クリストファ P.イングル、ぺトラ K.アッペルブラド、マチュー A.デキシター、ヘレン J.ライド、バリイ L.シャープによる 「ICP−MSにおいて使用された6極衝突セルにおける特徴的なH2をベースとする化学反応を特徴付けるとともに最適化するための多変数手法およびバックグラウンドイオンの使用」、原子スペクトル分析ジャーナル(JOURNAL OF ANALYTICAL ATOMIC SPECTROMETRY)、第16巻、(2001), pp 1076〜1984
本発明の目的は、干渉する多原子および多電荷イオンの減衰について改良された元素および同位体分析の質量分光装置および方法を提供することである。
第1の局面において、本発明は
検体イオンを提供するプラズマイオン源と、
質量分析計と、
前記プラズマイオン源と前記質量分析計との間のインターフェースとを含み、
前記インターフェースは、前記プラズマイオン源からプラズマを受ける相対的に高圧力の第1領域を、前記質量分析計に至る相対的に低圧力の第2領域から分離する構造体を含み、前記構造体には、前記相対的高圧力の第1領域と前記相対的低圧力の第2領域との間に開口が設けられ、この開口を介してプラズマは前記相対的高圧力領域から前記相対的低圧力領域へ向けて流れるようにされており、
前記インターフェース構造体は、プラズマと相互作用をさせて、反応性または衝突性相互作用により多原子または多電荷干渉イオンを減衰させるために前記開口内部へ物質を供給する通路を含む質量分光計を提供する。
第2の局面において、本発明は、
検体イオンを含有するプラズマを生成することと、
前記プラズマが、より高圧力の領域からより低圧力の領域への方向へ流れる間、実質的に前記プラズマを放射方向に関して閉じ込めることと、
前記実質的に放射方向に関して閉じ込められたプラズマ内部へ物質を直接供給して、多原子または多電荷干渉イオンと反応性または衝突性相互作用を引き起こして、これにより、前記多原子または多電荷干渉イオンを減衰させることと、
前記プラズマからイオンを抽出して前記検体イオンの質量分析を行うこととを含むプラズマ質量分光方法を提供する。
サンプリングコーン/スキマーコーンのインターフェースを有するICP−MSの場合、本発明の第1の局面に係る質量分光計の開口は、サンプリングコーンまたはスキマーコーンいずれかを貫通する孔であってよい。この種の孔は、本発明の第2の局面(方法)に記載されているようにプラズマを放射方向(径方向)に関して閉じ込めるものである。この例において、サンプリングコーンまたはスキマーコーンは特別に、孔の部分に単数または複数の出口を有する1個または複数の通路を含むよう構成されていて、この通路により物質を供給して、プラズマが孔を通過する際にプラズマと反応させるよう構成されていてもよい。
かくして、第3の局面において本発明は、本発明の第1の局面の場合のように、プラズマイオン源質量分光計において使用されるサンプリングコーンまたはスキマーコーンを提供する。
開口を通るプラズマ内部に供給される物質は、反応および衝突現象により多原子または多電荷干渉イオンを減衰させるために以前から使用されてきた周知の1つの物質または複数物質の混合物であってもよい。一般的に、1つの物質または複数物質の混合物は、周知のように、選択的に特定の干渉を取り除くために選択してもよい。以後、この種の物質は、「反応/衝突物質」と定義される。単数または複数の物質は気体(例えば、窒素、水素、酸素、キセノン、メタン、プロパン、アンモニア、ヘリウム)であってもよい。本発明およびその使用例は、反応/衝突物質として水素を使用するものとして説明および図示している。しかしながら、所望の干渉減衰効果をもたらすことができる単数または複数の物質をいかなる物理的形態でも、本発明により開示されたやり方でプラズマ内部に導入してもよいと理解されるべきである。本発明は適切な単数または複数の反応/衝突物質を含み、これらの物質は、プラズマが質量分光計における2つの真空領域間の開口を通過する際にプラズマ内部に導入されて、これにより、単数または複数の反応/衝突物質がプラズマと相互作用することができて、これにより、プラズマ内の干渉イオン濃度を低減させるよう構成されている。本出願人は、質量分光計において電子をプラズマと相互作用させてプラズマ内の干渉イオン濃度を低減させることができる、ということを示すことができる。つまり、質量分光計における2つの真空領域間の開口を通過するプラズマ内部に電子を導入するということは、本発明の範囲に含まれるものである。かくして、「反応/衝突物質」という定義は、この種の電子を包含するものとして理解されるべきである。
プラズマが開口を通過する際、実質的にプラズマで満たされた開口内部へ反応/衝突物質を供給すると、プラズマ密度が比較的高い開口内部において減衰反応/衝突の発生が促進されて、これにより、導入物質と干渉イオンとの間での反応/衝突速度が増大する。実際、反応/衝突物質は効果的に供給されて、反応または衝突が最も速い速度で発生する。また、反応/衝突物質はプラズマそれ自体内部に供給されるのであって、従来技術の場合のようにプラズマから抽出されたイオンビーム内部に供給されるのではない。これは、プラズマ電子が、電子/イオン解離再結合を介して干渉イオンを減衰するのを支援することができるということを意味する。更に、プラズマ電子が存在すると、干渉減衰反応からの二次生成物が発生することを極めて減少させることができ、例えば、アルゴンプラズマに水素を添加した場合、ArH+またはH3 +イオンの数の増大は(たとえあったとしても)極めて少ない。
本発明により達成可能な改善された分析性能を支援する別の要因として、反応または衝突が、それをまたいで圧力差がある開口内部における閉じ込め領域内、つまり、閉じ込め領域内または閉じ込め領域に極めて近接して、発生するということがあげられる。閉じ込め領域と、関連するプラズマの流れとの間の圧力差により、検体イオンを含む反応/衝突生成物を、その領域から隣接する相対的低圧力領域内部へ効果的に「一掃」して、これにより、その相対的低圧力領域において検体イオンの利用可能性を増大させることができる。反応/衝突物質の導入、特に該物質の放射方向の導入により、検体イオンはプラズマの流れの中心方向へ押されて中心方向へ向かって流れるので、「衝突性収束」効果が発生すると考えられる。反応/衝突物質のこのような導入により、干渉が効果的に減衰されながら、BeおよびMgのような軽元素の信号を増大させることができる。このような要因および後述の要因により、本発明の質量分光計に対する検出限界、信号/バックグラウンド比率およびバックグランド同等濃度などの分析数値上のメリットにより示されるように、多原子または多電荷干渉イオンの大幅な減衰およびこれにより改善された分析性能が可能となる。
本発明の質量分光計はインターフェース構造体を含んでいてもよく、このインターフェース構造体には、第2の相対的低圧力領域と、プラズマがこの第2の相対的低圧力領域を通過した後にプラズマが流れるこの第2領域よりも更に圧力の低い第3領域との間に、第2の開口が設けられており、更にインターフェース構造体は第2通路を含み、この第2通路は第2開口内部へ物質を供給してプラズマと反応させ、反応性または衝突性相互作用により多原子または多電荷干渉イオンを減衰させるよう構成されている。例えば、ICP−MSの場合、サンプリングコーンおよびスキマーコーンは、反応/衝突物質が供給される連続開口が設けられていてもよい。
本発明において、反応/衝突物質を導入する第2開口を追加で設けると、同一の反応/衝突物質を両方の開口に供給することができて、干渉減衰効率を増大させることができる。また、異なる反応/衝突物質を開口へ供給することが可能となり、1つの開口において1種類の干渉イオンを、そして第2開口において別の種類の干渉イオン(第1開口での反応生成物を含む場合もある)を減衰させることが可能となる。反応/衝突物質の適切な組み合わせを使用すると、より多くの種類の干渉イオンの減衰がより大きな減衰効率で可能となると考えられる。
本発明において、質量分光計のインターフェース構造体はまた、単数または複数の開口の領域において衝撃波を生成する手段を含み、前記領域にて反応または衝突が発生して干渉イオンを除去する反応または衝突の速度を促進させるようにしてもよい。好ましくは、本発明の第2の局面(方法)において、物質は、プラズマ内に衝撃波を生成するように実質的に放射方向に関して閉じ込められたプラズマ内部へ供給することが好ましい。これにより、単数または複数の開口で利用可能な全体のエネルギを増大させ、これにより、より大きな衝撃エネルギを有するより多くの衝突を促進することができる。これにより、干渉イオンの減衰効率が更に増大される。
あるいはまた、反応/衝突物質は、衝撃波を引き起こすことなくプラズマを実質的に停滞させるように十分スムースに供給されてもよい。この目的は、単数または複数の開口の内部または該開口に極めて近接してプラズマの滞留時間を増大させることであり、これにより、干渉イオンの減衰効率を増大させ得る。
減衰効率を改善するために反応/衝突物質を供給することに関連するその他の可能性として、例えば物質が通過プラズマと整合する軸方向速度成分と最小限の放射方向速度成分とを有するように物質の導入角度を変えて、物質に十分なスピードを与えて開口を貫通するプラズマの全容積にほとんど瞬時に到達させることが挙げられる。
反応/衝突物質を供給する上記可能性は、本発明の第2の局面(方法)においてオプション工程として説明されているが、本発明の第1の局面(装置)に関連して適切な装置改変例として実施してもよい。
本発明の更なる利点として、インターフェース構造体をプラズマイオン源により加熱し、これにより、インターフェース構造体の通路を介して供給される反応/衝突物質をも加熱することが挙げられる。この反応/衝突物質の加熱により、反応速度を高め、これにより、要求される物質の量を低減するようにしてもよい。
あるいはまた、インターフェース構造体の通路を介して供給される反応/衝突物質を使用して、インターフェース構造体を冷却することもできる。これにより、インターフェース構造体の表面の温度誘引スパッタリングの効率を低減することができる。インターフェース表面からスパッタリングされる材料はバックグラウンドに影響を与えるので、その形成速度を低減することにより、信号/バックグラウンド比率を改善することができる。
本発明のよりよい理解のためおよび本発明を如何に実施するかを示すために、本発明の種々の実施形態を、非限定的な例示の目的のため、添付図面を参照に以下説明する。
本発明はICP−MSとして例示されるが、本発明はまた、高周波誘導結合以外の方法によりプラズマを生成するプラズマイオン源を有する質量分光計に関するものであってもよいと理解されるべきである。
図面全体を通して、同一の参照符号は、異なる実施形態において同一の特徴を示すものとして使用される。
従来のICP−MS(図1参照)は、プラズマイオン源20、つまり、誘導結合プラズマトーチを含み、このトーチは、キャリヤガス中の霧状サンプル22(検体)を、トーチ内において生成されるプラズマ28へ搬送する中央管を有している。トーチ20は、プラズマ形成ガス24(例えばアルゴン)および補助ガス26(例えばアルゴン)をそれぞれ搬送する外側管および中間管を有する。プラズマ28は、トーチ20の外側管周囲の高周波コイル30により、外側管の内部であってかつ内側管および中間管の出口を越えて生成され、このプラズマは周知のように検体22をイオン化する。
質量分光計はインターフェース構造32を有し、これを介して、検体イオンを含むプラズマ28は、質量分光計の質量分析部内部へ導入される。インターフェース構造32はサンプリングコーン34を有し、このサンプリングコーン34はその頂部に孔36(通常、直径約1mm)を有し、この孔36を介して、大気圧のプラズマ28の一部が第1ポンプ真空領域38(通常、圧力1torr〜10torr)内部を通過する。インターフェース構造32は更に、スキマーコーン40を有し、このスキマーコーン40はその頂部に孔42(通常、直径約0.5mm)を有し、この孔42を介して、プラズマ28の一部が第1真空領域38から第2ポンプ真空領域44(通常、圧力10-3torr〜10-4torr)内部を通過する。サンプリングコーン34およびスキマーコーン40は、通常、水冷される。第2真空領域44はイオン抽出電極46と他のイオン光学素子(図示せず)とを含み、スキマーコーン40の孔42を通過したプラズマ28からイオンビームを抽出するとともに、これを第3ポンプ真空領域48(通常、圧力10-5torr〜10-6torr)内部および第3ポンプ真空領域48内の質量分析装置50(例えば、4極子質量分析装置)内部へ向かわせる。質量分析装置50は、質量/電荷比に基づいてイオンを分離し、質量分析装置50を通過したイオンは検出器52(例えば、電子マルチプライヤ)により検出されるとともに記録手段54により読み取られる。
図2は、本発明の実施形態を含む図1と同様の質量分光計の一部分を示している。図2はインターフェース構造体32を示し、これは孔36を有するサンプリングコーン34と、孔42を有するスキマーコーン40とを含み、それらの間に第1真空領域38(通常、1torr〜10torrの範囲の圧力)が設けられている。スキマーコーン40は、イオン抽出電極46を含む第2真空領域44(通常、10-3torr〜10-4torrの圧力)に通じている。プラズマ28は、サンプリングコーン34の孔36を介して、低圧力領域38内へ流入し、スキマーコーン40の孔42を介して更なる低圧力領域44内へ流入する。電極46は静電界を生成し、この静電界は、真空領域44におけるプラズマ28のプラズマ境界領域56からイオンを抽出してイオンビーム58を形成するものであり、このプラズマ境界領域56は、その境界領域からの反発電子を含んでいる。スキマーコーン40は、入口62から、スキマーコーン40の孔42での出口63へ至る通路60を含む(これにより本発明の第1の局面における開口を構成する)。これは、反応/衝突物質を孔42へ供給して、通過するプラズマ28と相互作用させて、反応(電荷移動)または衝突反応により多原子または多電荷干渉イオンを低減させるためのものである。
本発明の図2の実施形態において、プラズマ28は低圧力領域38から、スキマーコーン40を貫通する孔42を介して、更なる低圧力領域44へ向けて流れ、実質的に孔42を満たしている。かくして、反応/衝突物質は、入口62,通路60および出口63を介して、孔42のプラズマ28内部へ直接的に効果的に供給される。これにより、反応ゾーンとも称される輪郭線で示す領域64により示されるように、孔42内部においてまたは孔42に極めて近接して減衰反応/衝突が生じる。反応ゾーン、すなわち領域64の寸法は、プラズマ密度、温度、反応/衝突物質の種類、反応速度、プラズマ速度など多数の要因に依存する。反応領域64においてかなりの干渉減衰が1ns〜10nsという短い時間しかかからないと仮定する。これは、プラズマが孔42を通って約0.001mm〜0.01mm走行した場合、反応がすでに効果的に発生していたということを意味する。反対に、もし反応時間が100ns〜1000nsの範囲であった場合、反応ゾーンは1mm以上開口部から突き出ている可能性がある。これは図2に示す反応ゾーン64の形状は全く概略的なものであり、実際は形状および寸法において極めて異なっている可能性があるということを意味している。従来技術の衝突セルにおける反応/衝突領域と領域64との大きな差異は、領域64に対して物理的な実質的に包囲する境界が無いということである。もうひとつの大きな差異は、反応/衝突は、プラズマから抽出されたイオンビームにおいてではなくプラズマにおいて発生するということである。
図3は、スキマーコーン40の背後に制限されたポンプ(排気)ゾーンを設けるという変更を図2の実施形態に組み合わせた、図1に示すような質量分光計の一部を示す。本発明の図3に示す実施形態において、制限されたポンプ領域66は、スキマーコーン40のすぐ後ろに装着されているイオン抽出電極46を介してスキマーコーン40の後ろに設けられている(あるいは、イオン抽出電極46は誘電体シール(図示せず)によりスキマーコーン40の内壁に装着されていてもよい)。イオン抽出電極46は、ガス阻害部材として効果的に作用して、スキマーコーン40とイオン抽出電極46との間で取り囲まれた相対的低圧力領域44の部分66からのポンプ(排気)作用を制限している。領域44にイオン光学系(図示せず)を更に設けて、集束イオンビーム58の形成に際して(プラズマ境界領域56からの電子を排斥する)イオン抽出電極46を補助するようにしてもよい。
図3の実施形態において、領域66は、イオン抽出電極46を貫通する開口部47(通常、直径1mm〜7mm)を介する領域66からの制限されたポンプ作用の故に、真空領域38と真空領域44との間の圧力を有することになる。この圧力は通常、0.1torr〜1torrである。領域66の圧力は、入口開口部42の面積の、出口開口部47の面積に対する比率、および、ガスが真空領域38からポンプされるレートにより設定される。領域66は入口開口部(つまり、スキマーコーン40を貫通する孔42の開口断面積)を有し、この入口開口部を介して、プラズマ28は高圧力領域38から相対的低圧力領域44へ向けて流れるとともに、実質的に容積部66を満たす。
反応/衝突物質は、(図2の実施形態のように)入口62、通路60および出口63を介してスキマーコーン40の孔42に供給される。これにより、図2の実施形態の場合と同様に単一の反応ゾーン64が形成され、これに加圧された容積部66が続き、ここで、イオンビーム58は、複合衝突に直面してプラズマ境界領域56から抽出される。真空領域44に比較して相対的に高い圧力であることから衝突が起こり得る。衝突作用は、熱運動化されかつより集束されたイオンビーム58を形成することにより、かなりの感度上昇をもたらすのに役に立つ可能性がある。
図4は、本発明の別の実施形態を含む、図1と同様の質量分光計の一部を示す。この実施形態は次の点を除いて図2の実施形態と同様である。つまり、サンプリングコーン34は、サンプリングコーン34を貫通する孔36内へ反応/衝突物質を供給する入口72と、通路74と、出口75とを含み、これにより、孔36内部におよび孔36に近接して反応ゾーン76を形成する。これにより、2つの連続する反応ゾーン76,64が形成されて干渉イオンの減衰効率を高めている。本実施形態によっても、2つの異なる反応/衝突物質を使用して、より広範囲の干渉イオンの減衰を達成することができる。表現されている反応ゾーン76,64の形状および寸法はまったく概略に過ぎず、反応条件に影響を与える多くの要因に依存して大きく変動することがある。
図5は、本発明の別の実施形態を含む、図1と同様の質量分光計の一部を示す。この実施形態は、サンプリングコーン34とスキマーコーン40とに2つの連続する反応ゾーン76,64をそれぞれ形成している点で図4に示す実施形態と類似している。この実施形態は貫通孔80を有する電極78を含み、電極78は、スキマーコーン40の下流側と協働してガス阻害部材として作用して、領域44と比較して比較的高い圧力の領域66を形成している(図3の実施形態の場合と同様)。孔80は通常、直径1mm〜7mmとすることができかつ、容積部66の圧力は1torr〜0.01torrの範囲であってもよい。電極78に対して電位を与えて、孔80を介するイオン抽出を容易にすることが有利にできよう。電極78は、孔80内部へ反応/衝突物質を供給するための入口82から出口85へ至る通路84を含んでおり、別の反応ゾーン86を形成している。このように、本実施形態では3つの連続する反応ゾーン76,64,86が形成されている。これにより、反応のために利用できる合計時間を増大させることができるとともに、干渉イオンの減衰を高めることができる。図4の実施形態の場合と同様に、本実施形態の場合も最大3つの反応/衝突物質を使用して、より広い範囲の干渉イオンを減衰させることが可能となる。
図6は、本発明の別の実施形態を含む、図1と同様の質量分光計の一部を示す。この実施形態では、スキマーコーン40は、通路60に加えて、入口90から出口91へ至る第2通路88を含み、スキマーコーン40の孔42内部へ反応/衝突物質を供給するよう構成されている。これにより、孔42の内部および孔42に極めて近接して第2反応ゾーン92を形成している。ここで第2反応ゾーン92は反応ゾーン64と重なることがあってもよい。本実施形態において、スキマーコーン40の孔42およびサンプリングコーン34の孔36の内部およびそれらに極めて近接したところで干渉イオンが減衰するが、ひとつの孔42において2つの反応ゾーン64,92が組み合わせられているので干渉減衰の効率がより大きくなることになる。更に、重なり合った反応ゾーン64,92において2つ以上の異なる反応/衝突物質を使用することが可能になり、更に広い範囲の干渉イオンの更に良好な減衰が得られる。
図7(図7A〜図7C)は、本発明の実施形態におけるインターフェース構造体32に使用されるサンプリングコーンまたはスキマーコーンの断面図であり、孔について異なる構造例を示す。図7Aにおいて、コーン94は、その孔98内部へ反応/衝突物質を供給する通路ダクト96を含み、孔98は従来型の平行壁の首部99を有しているが、首部99は更なる衝突を促進するよう長さがかなり長くされている。図7Bにおいて、コーン100は、その孔104内部へ反応/衝突物質を供給する通路102を含む。孔104の直径は段階的に増大している。これにより、プラズマが孔104を通過するときにプラズマの拡大に対する制限を減少させている。これにより、孔104はプラズマからの固体堆積物により詰まる傾向が減少する。図7Cにおいて、コーン106は、その孔110内部へ反応/衝突物質を供給する通路108を含み、この孔110はテーパ形状111となっており、プラズマが通過するときにプラズマの拡大に対する制限を最小にする。孔110のこの形状はコーン106の効率を弱めるが、コーン100の孔104と比較して、プラズマからの固体堆積物による詰まり傾向が更に減少するという利点がある。
図8(図8A〜図8C)は、本発明の実施形態におけるインターフェース構造体32の一部として使用されるサンプリングコーンまたはスキマーコーンの断面図である。図8Aにおいて、コーン112は孔116に至る通路114を有する。孔116周囲のコーン112の先端表面118は、フラットで尖っていないので、孔116の反応ゾーンのすぐ前に分離した衝撃波ゾーン120を形成する。衝撃波ゾーン120と、続く孔116の反応ゾーンとのつながりにより、孔116単独の反応ゾーンよりも、相対的に大きな干渉減衰を生じさせることができる。図8Bにおいて、コーン122は孔126に至る通路124を有している。通路124は、孔126の入口部のわずかに外方向に位置した出口128を有しており、図8Aのコーン112の尖っていない表面118と同様に、分離した衝撃波130を誘発する。通路124を介して供給される反応/衝突物質は、まず衝撃波ゾーン130内部へ導入されて、ゾーン130内部において反応/衝突を引き起こすが、これは干渉イオンの減衰に好都合である。図8Cにおいて、コーン132は、コーン132を貫通する孔138に出口136を有する通路134を有する。出口136は、通路134を介して供給された反応/衝突物質が孔138を通るプラズマの流れと同様の方向に通路から出るように構成されている。これにより、孔138の反応ゾーン内の反応/衝突物質の流速がプラズマの流速と実質的に整合するのを容易にする。これにより、プラズマ流れの乱れを減少させて、そこで生じる反応の制御をより良好に行うことができる。
図9(図9A〜図9E)は、本発明の実施形態におけるインターフェース構造体32の一部として使用される追加のサンプリングコーンまたはスキマーコーンの断面図である。図9A〜図9Eのコーンはすべて、それぞれの孔へ至る2つの通路を含み、それらの孔に少なくとも2つの分離したまたは重なり合った反応ゾーンを形成している。図9Aにおいて、コーン140は、全体的に平行な壁で仕切られた孔142を有しており(図7Aの場合と同様)、孔142内部へ反応/衝突物質を供給することにより、孔142内部にまたは孔142に近接して複合衝撃波(図示せず)を形成して、干渉イオンの減衰改善を促している。図9Bにおいて、コーン144は、直径が段階的に増大する孔146を有している(図7Bの場合と同様)。これにより、プラズマが孔146を通過する際に、プラズマが幾分拡大することを許容し、これにより、検体イオンのより速い移動を可能にするとともに信号/バックグラウンド比率を高めることができる。図9Cにおいて、コーン148は、図7Cと組み合わせた図8Bの場合に類似した孔150を有している。これにより、分離した衝撃波152を、孔150の前に形成している。このコーン148は、分離した衝撃波152の領域に位置する第1ゾーンと、低プラズマ擾乱領域154における第2ゾーンとの2つの連続した反応ゾーンを設けている。図9Dにおいて、コーン156は、孔162に通路出口158,160を有し、これらは、孔162の反応ゾーンに分離した衝撃波164を形成して干渉イオンの減衰を改善するよう構成されている。図9Eにおいて、コーン166は領域168を形成する通路出口を有し、通路を介して供給された2つの反応/衝突物質は、孔170を介して流れるプラズマ内部へ混合物が導入される直前に、一体的に混合されるよう構成されている。
図10は、本発明のICP−MS実施形態の場合のサンプリングコーンまたはスキマーコーン172の3次元図であり、内部構造を示すために部分的に破断している。コーン172は、入口174と、コーンの孔180に出口178とを有する通路176を含む。反応/衝突物質は、入口174と通路176と出口178とを介して孔180の反応ゾーン内部へ供給される。コーン172は、2つの円錐部分182,184を組み合わせて形成されていてもよく、この場合、2つの円錐部分182,184は、それらの外周部周辺で、それらの間に挟持された環状板186で結合されていてもよい。出口178での円錐部分182,184の間隔は小さくすることができる。これは、平行な首部を有する開口を形成するためではなく、単に、反応ゾーン内部へ反応/衝突物質を導入するための通路を設けるためである。
図11は図10のコーン172の変形例であるコーン172’を示す。この変形例では、通路176’は孔180’において、分離された一連の出口178’を有している。通路176’に分離した出口178’を構成する目的は、反応/衝突物質が孔180'に入るときに反応/衝突物質に対して所望の放射状スピードを与えて、これにより、孔180’の反応ゾーンにおける混合時間を短縮するとともに、干渉イオンの減衰効率を高めることおよび/または反応/衝突物質の消費を低減することにある。
サンプリングコーンまたはスキマーコーン172,172’における通路176、176’に対する出口178、178’は、反応/衝突物質が、プラズマが孔180,180’を介して流入するときにプラズマ周囲に実質的に対称に導入されるので、これにより、プラズマに対して実質的に均一な影響を与えるという利点がある。これに対して、上記特許文献2の従来技術のように、片側から反応性ガスが導入される場合、不均一な効果しか得られない。つまり、干渉イオンがイオンビームに渡って均一に分布していると仮定すると、反応性ガスを不均一に導入すると、イオンビームの異なる部分における干渉イオンは、異なる濃度の反応性ガスに曝されることになり、これにより、異なるレートでそのガスと反応することになり、したがって、干渉減衰効率が低減することになるということを意味する。
図12(図12A〜図12D)は、本発明のICP−MS実施形態のサンプリングコーンまたはスキマーコーンの断面図であり、その構造を示すために反応/衝突物質を供給する通路の断面を示している。図12Aのコーン188は、反応/衝突物質用の入口190を有し、この入口190は円周(周囲の)通路192に通じ、円周通路192から放射状ダクト通路194が孔196にて出口に通じている。図12Bのコーン188’は同様に、入口190、円周通路192、および放射状ダクト194を有しているが、ダクト194の出口は、孔196の側に、供給された反応/衝突物質用の混合領域198を形成するよう構成されている。図12Cおよび図12Dのコーンは、図12Aおよび図12Bのコーンとそれぞれ類似しているが、次の点で異なっている。すなわち、各コーンは別々の反応/衝突物質を供給するための2つの入口190,191を含み、円周通路192はパーティション200により2つの部分に分割されており、各分割通路192はそれぞれ入口に連通している。これらのコーンにより、2種以上の反応/衝突物質を、孔196の反応ゾーン内部で直接プラズマと同時に効果的に混合することが可能となる。これにより、孔196を通過するプラズマにおいて、当該物質が干渉イオンと反応する代わりに、当該物質同士で早期に反応してしまう危険性を回避できる。コーンは、3つ以上の入口を含む図12Cおよび図12Dと同様のコーンに構成してもよい。
本発明により、真空領域に直接的にまたはICPトーチを介して間接的に反応/衝突ガスを導入する従来周知の方法と比較して、導入される反応/衝突ガスの量をかなり低減することが可能である。これは、このような従来周知の方法においては反応/衝突ガスの大部分が、必要な反応に一切関与することなく真空システムにより排出されるが、他方、本発明の実施形態では、反応/衝突ガスは、プラズマからイオンビームが抽出される前にプラズマ内部へ直接導入されるからである。本発明の実施形態では、10分の1迄反応/衝突ガス量の低減が可能である。
実験テスト
従来のICP−MS測定器を、イオン抽出電極46とイオンビームを集束させる追加のイオン光学系とを配備して、図4に示すように改変した。実験に使用した反応/衝突物質は水素であるが、原則的に干渉イオンと相互反応できるものであれば他の物質または種を本発明に基づいて使用することができることは理解されよう。
ICP−MSにおいて潜在的干渉物である多くのイオンに対する信号を、実験中に監視した。特に、40Ar+40Ar12C+40Ar16O+40Ar16O1H+40Ar35Cl+および40Ar40Ar+に対して注意を払った。これらのイオンすべてに対して、表1に示すように、従来技術の場合に報告された(上記特許文献2、コラム14、行17)よりもかなり良好な減衰が見られた。また、表2に示す従来技術について報告されたものに対して、40Ca、52Cr、56Fe、57Fe、75Asおよび80Seに関する検出限界の改善も良好であった。最も重要なことは、最大5%(容積比)濃度の塩酸を含む水性試料を導入しても、従来ICP−MS測定器で見られたようなClベースの干渉イオンの増加を引き起こさなかったことである。これは、干渉の減衰効率が、潜在的干渉種の濃度と同じ度合いで増加するということを意味している。つまり、検体イオンに対して信頼できる信号を、潜在的干渉イオンの親元素の存在下で、試料溶液におけるこれらの元素の変動する濃度と関係なく、検出することができるということを意味している。
反応性ガスとして水素を使用することによる干渉物40Ar16O+40Ar35Cl+および40Ar40Ar+の減衰に対する結果を表1に示す。
Figure 2005535071
表2は、受動的なRFのみの衝突セル(*)と比較して、反応性ガスとして水素を使用して得られた検出限界を示している。検出限界は低いほどよい。
Figure 2005535071
表3は、受動的なRFのみの衝突セル(*)と比較して、反応性ガスとして水素を使用して得られたバックグラウンド同等濃度(BEC)を示している。 BECは低いほどよい。
Figure 2005535071
*上記非特許文献2
ここに記載された本発明は、具体的に記載された実施形態以外に種々の変形、変更および/または追加を施すことができ、本発明は、以下に記す特許請求の範囲に属するすべての変形、変更および/または追加を含むものであることは理解されよう。
従来の誘導結合プラズマイオン質量分光計(ICP−MS)を図解的に示す。 本発明の第1の局面に係る第1実施形態の場合の、図1に示す質量分光計のインターフェース構造を図解的に示す。ここで、反応/衝突領域がスキマーコーン孔に形成されている。 本発明の第1の局面に係る第2実施形態の場合の、図1に示す質量分光計の別のインターフェース構造を図解的に示す。ここで、スキマーコーン孔での反応/衝突領域に衝突ゾーンが続いている。 本発明の第1の局面に係る第3実施形態の場合の、図1に示す質量分光計の更に別のインターフェース構造を図解的に示す。ここでは、2つの連続する反応/衝突領域が設けられている。 本発明の第1の局面に係る第4実施形態の場合の、図1に示す質量分光計の更に別のインターフェース構造を図解的に示す。ここでは、3つの連続する反応/衝突領域が設けられている。 本発明の第1の局面に係る第5実施形態の場合の、図1に示す質量分光計の更に別のインターフェース構造を図解的に示す。ここでは、スキマーコーンに2つの反応/衝突領域が設けられている。 図2〜図6に示すインターフェース構造に使用されるサンプリングコーンまたはスキマーコーンの概略断面図であり、それぞれ異なる孔構造を示している。 衝撃波を誘導するまたは供給物質の流れをプラズマの流れに整合させるためのための、図2〜図6に示すインターフェース構造に使用されるサンプリングコーンまたはスキマーコーンの概略断面図である。 2つの反応/衝突物質を反応/衝突領域に供給することができる、図2〜図6に示すインターフェース構造に使用されるサンプリングコーンまたはスキマーコーンの概略断面図である。 本発明のICPーMSの実施形態のサンプリングコーンまたはスキマーコーンの概略斜視図であり、内部構造を示すために一部を破断して示している。 図10に類似した図であり、変更例を示している。 本発明のICP−MSの実施形態のサンプリングコーンまたはスキマーコーンの断面図であり、反応/衝突物質を供給する通路構造を示している。

Claims (23)

  1. 検体イオンを提供するプラズマイオン源と、
    質量分析計と、
    前記プラズマイオン源と前記質量分析計との間のインターフェースとを含み、
    前記インターフェースは、前記プラズマイオン源からプラズマを受ける相対的に高圧力の第1領域を、前記質量分析計に至る相対的に低圧力の第2領域から分離する構造体を含み、前記構造体には、前記相対的高圧力の第1領域と前記相対的低圧力の第2領域との間に開口が設けられ、この開口を介してプラズマは前記相対的高圧力領域から前記相対的低圧力領域へ向けて流れるようにされており、
    前記インターフェース構造体は、プラズマと相互作用をさせて、反応性または衝突性相互作用により多原子または多電荷干渉イオンを減衰させるために前記開口内部へ物質を供給する通路を含む質量分光計。
  2. 前記インターフェースは、スキマーコーンが続くサンプリングコーンを含み、前記構造体は、前記開口内部に物質を供給する前記通路を含む前記スキマーコーンである請求項1に記載の質量分光計。
  3. 前記インターフェースは、スキマーコーンが続くサンプリングコーンを含み、前記構造体は、前記開口内部に物質を供給する前記通路を含む前記サンプリングコーンである請求項1に記載の質量分光計。
  4. 前記サンプリングコーンは、プラズマと相互作用させて、反応性または衝突性相互作用により多原子または多電荷干渉イオンを減衰させるために前記開口内部へ物質を供給する通路を含む請求項2に記載の質量分光計。
  5. 前記スキマーコーンに続く電極手段であって、検体イオンを含有するイオンビームをプラズマから抽出して前記質量分析計へ送る電極手段を含み、
    前記電極手段は少なくとも1つの電極を含み、この電極は、前記スキマーコーンと前記少なくとも1つの電極との間の相対的低圧力領域の1部分が、前記相対的低圧力領域内部の他の部分の圧力よりも相対的に高い圧力を有し、これにより多原子または多電荷干渉イオンの減衰を支援する衝突ガス容積部が提供されるように構成されかつ前記スキマーコーンと連動している請求項2ないし4のいずれかに記載の質量分光計。
  6. 前記少なくとも1つの電極は、プラズマと相互作用させて、反応性または衝突性相互作用により多原子または多電荷干渉イオンを減衰させるために前記少なくとも1つの電極の開口内部へ物質を供給する通路を含む請求項5に記載の質量分光計。
  7. 前記スキマーコーンは、プラズマと相互作用させて、反応性または衝突性相互作用により多原子または多電荷干渉イオンを減衰させるためにその開口内部へ追加物質を供給する追加通路を含む請求項2ないし6のいずれかに記載の質量分光計。
  8. 前記サンプリングコーンは、プラズマと相互作用させて、反応性または衝突性相互作用により多原子または多電荷干渉イオンを減衰させるためにその開口内部へ追加物質を供給する追加通路を含む請求項4ないし7のいずれかに記載の質量分光計。
  9. プラズマが流れかつプラズマと相互作用する物質が供給される単数または複数の前記開口が、平行壁で形成されかつ相対的に長く形成されて更なる衝突を促進する請求項1ないし8のいずれかに記載の質量分光計。
  10. プラズマが流れかつプラズマと相互作用する物質が供給される単数または複数の前記開口の直径が、プラズマの流れ方向に段階的に増大して、プラズマからの堆積固体による当該開口の詰まりを低減する請求項1ないし8のいずれかに記載の質量分光計。
  11. プラズマが流れかつプラズマと相互作用する物質が供給される単数または複数の前記開口が、プラズマの流れ方向の外側方向にテーパ状に形成されて、プラズマからの体積固体による当該開口の詰まりを低減する請求項1ないし8のいずれかに記載の質量分光計。
  12. 前記インターフェース構造体は、単数または複数の前記開口の領域において衝撃波を生成する手段を含み、前記領域において反応または衝突が発生して干渉イオンを除去する反応または衝突の速度を促進させる請求項1ないし8のいずれかに記載の質量分光計。
  13. 前記衝撃波を生成する手段は、単数または複数の前記開口を取り巻く平坦面を含む請求項12に記載の質量分光計。
  14. 前記開口内部へ物質を供給する前記通路は出口を有し、この出口は、前記開口領域において衝撃波を引き起こすように位置するとともに構成されて、反応または衝突の速度を促進して干渉イオンの減衰を改善する請求項2または3に記載の質量分光計。
  15. 前記開口内部へ物質を供給する前記通路は出口を有し、この出口は、供給された物質が、前記開口を通過するプラズマの流れと実質的に同一方向で、前記通路から出て行くように位置するとともに構成されている請求項2または3に記載の質量分光計。
  16. 検体イオンを含有するプラズマを生成することと、
    前記プラズマが、より高圧力の領域からより低圧力の領域への方向へ流れる間、実質的に前記プラズマを放射方向に関して閉じ込めることと、
    前記実質的に放射方向に関して閉じ込められたプラズマ内部へ物質を直接供給して、多原子または多電荷干渉イオンと反応性または衝突性相互作用を引き起こして、これにより、前記多原子または多電荷干渉イオンを減衰させることと、
    前記プラズマからイオンを抽出して前記検体イオンの質量分析を行うこととを含むプラズマ質量分光方法。
  17. 前記物質が、前記実質的に放射方向に関して閉じ込められたプラズマ内部へ供給されて、前記プラズマにおいて衝撃波を生成して、反応または衝突速度を促進して干渉イオンの減衰を改善する請求項16に記載のプラズマ質量分光方法。
  18. 前記物質が、前記実質的に放射方向に関して閉じ込められたプラズマ内部へ供給されて、衝撃波を引き起こすことなく、前記放射方向に関して閉じ込められたプラズマを実質的に停滞させ、放射方向に関して閉じ込められた状態でのプラズマの滞留時間を増大させて、干渉イオンの減衰を改善する請求項16に記載のプラズマ質量分光方法。
  19. 前記物質は、前記実質的に放射方向に関して閉じ込められたプラズマ内部へ供給されて、前記プラズマの流れと実質的に同一方向の軸方向速度成分および実質的にゼロの放射方向速度成分を有する請求項16に記載のプラズマ質量分光方法。
  20. 前記軸方向速度成分は実質的にプラズマと同一速度である請求項19に記載のプラズマ質量分光方法。
  21. 前記プラズマはアルゴン中で生成されるとともに前記供給物質は水素である請求項16ないし20のいずれかに記載のプラズマ質量分光方法。
  22. プラズマイオン源質量分光計用のサンプリングコーンであって、前記サンプリングコーンは、その頂部に開口を有するとともに、前記開口に出口を有する通路であって、物質を前記開口内部へ供給する通路を含み、前記物質は前記開口を通過して流れるプラズマと相互作用するためのものであるサンプリングコーン。
  23. プラズマイオン源質量分光計用のスキマーコーンであって、前記スキマーコーンは、その頂部に開口を有するとともに、前記開口に出口を有する通路であって、物質を開口内部へ供給する通路を含み、前記物質は前記開口を通過して流れるプラズマと相互作用するためのものであるスキマーコーン。
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