便器は、目に見えない付着物の蓄積を防ぎ、悪臭を抑え、細菌の成長を防ぐための手入れを必要とする。従来、便器は、液状又は粉状の洗浄及び消毒剤を用いて、擦ることによって洗浄、脱臭、殺菌を行ってきた。この仕事は、便器を清潔に保つために肉体労働を必要とした。
手で擦る労力を取り除くために、様々な自動連続洗浄型の便器洗浄製品が提案されてきた。あるタイプの製品は、便器水洗水の通路に配置された容器内に便器のリムから懸吊された洗浄物質の固体ブロック又は固体粒子を含む。特許文献1は、この種類の便器洗浄システムの例を示す。一般には、固体ブロックの一部が便器に水を流すたびに便器水洗水内に溶解され、この溶解した製品を含む便器水洗水(トイレを流す水)が、便器内に分配され、便器を洗浄する。これらの固体ブロック型便器洗浄システムは、製品寿命が短いこと、及び固体ブロックが減ると、便器に放出される洗浄及び脱臭剤の量も減少することなどの欠点がある。
他の自動連続洗浄型の便器洗浄システムは、便器内に分配される液体洗浄剤を使用する。例えば、特許文献1、2、3、4、5、6及び7は全て、トイレの水を流す毎に液体活性物質を瓶から便器水洗水ヘ送るために便器のリムから吊せるようになっている洗浄装置を開示している。一般に、液体活性物質は、界面活性剤(アニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤等)、溶剤、金属封鎖剤、pH調節器、増粘剤、防腐剤、芳香剤、及び染料の一つ以上を含む。これらの便器のリムの下に設置される装置において、液体活性物質は、容器(タンク)から、便器のリムから懸吊された基部に支持されるウィッキング装置(例、分配板又は多孔物質)へ分配される。この装置は、便器水洗中に便器洗浄水流がウィッキング装置と接触するように、便器のリムから懸吊される。便器水洗水は、ウィッキング装置上の液体活性物質を便器の中へ運搬し、便器を洗浄する。
公知の便器リム下の液体洗浄装置に関する問題は、これらの装置が汎用の多種多様の便器の型や大きさに合わされる為に必要な設計上の柔軟性がないことである。特に、これらの装置は、便器水洗中に便器水洗水がウィッキング装置と接触可能に構成されていない。例えば、便器リム下の洗浄装置は、幅の広いリムを有する便器から吊り下げられた時、ウィッキング装置は一般的に便器の内壁に隣接する便器水洗水の通路の下方に配置されない。これによって、便器水洗水はウィッキング装置に接触できないため、便器を洗浄するためのウィッキング装置上の液体活性物質を便器に運搬できない。
この問題には二つの解決法が提案されている。特許文献7においては、便器リム下の洗浄装置は、ウィッキング装置は、当該装置が幅広いリムを有する便器に取付けられた時、便器水洗水の通路内に当該ウィッキング装置を位置決め可能に摺動する、可動ウィッキング装置を含む。幅の狭いリムを有する便器内に使用された時、ウィッキング装置は後方に摺動されて戻る。この装置は非常に効果的であるが、取付け基部とウィッキング装置との間に専用の接続手段を必要とする。この専用の接続手段をつけると、製造コストが高くなる。特許文献5は、便器リム下液体洗浄装置の取付け構造が取付け構造から外方へ延びる折り曲げ可能な板状要素を含むという他の解決法を提案する。この装置は幅の広いリムを有する便器で使用された時には利点を提供するが、延出要素を必要としない幅の狭い便器リム上で使用される時には、他の折り曲げ可能な板状要素を取り除けない上、また、これが障害とならない位置へも移動できない。結果的に、この装置は、幅の狭い便器リムに使用される時には便器水洗水をウィッキング装置(及びこのウィッキング装置の上に含有された液体活性物質)とは異なる方向へ導いていまう。また、便器リム下洗浄装置の性能は、ウィッキング装置を便器に向かって下方に傾斜させると、向上することがわかった。特許文献5に開示されている装置の取付け構造から外へ延びる折り曲げ可能な板状要素によって、装置が便器リムに取付けられた時、ウィッキング装置に有効な傾斜をもたらすようになった。
米国特許第4777670号
欧州特許第0538957号
欧州特許第0785315号
米国特許第6178564B1号
米国特許第6230334B1号
WO99/66139
WO99/66140
欧州特許第775741号
このように、便器水洗中に大量の洗浄液を便器のリムの下から分配できる改良された装置が必要とされている。特に、便器水洗水をウィッキング装置に向けて集めて流すように当該装置に追加される延出板を有し、これによって、便器の構造とは無関係に、ウィッキング装置の洗浄液を効果的に便器内に流し入れられる、便器リム下の液体洗浄装置の提供が必要とされる。更に、便器のリムにウィッキング装置を取付けた時に便器の内壁に向かってウィッキング装置が下方に傾斜するように当該装置に追加され得る延出板を有し、これによって、装置の性能が最適化される、便器リム下の液体洗浄装置の提供が必要とされる。
上記の要求は、便器処理液を便器に分配するために便器水洗中の水流が利用される、本発明による分配装置によって満たされる。この分配装置は、瓶、基部、便器のリムから当該基部を懸吊する手段と、ウィッキング装置と、延出板とを有する。瓶は、液体を収容すると共に口蓋とこの口蓋を閉じるための栓とを有する。基部は、瓶を保持するとともに瓶を開栓するために好適である、穴抜き支柱を有する。ウィッキング装置は、基部に支持されると共に液体を穴抜き支柱から当該ウィッキング装置の分配位置へ運搬するために好適である。延出板は、着脱可能にウィッキング装置に固着されるとともに、当該延出板が便器洗浄水内に位置決めされるように、そして、便器洗浄中に水流の少なくとも一部がウィッキング装置の分配位置へ方向付けされるように、大きさが決定される。
本発明の他の実施の形態において、延出板は、基部に着脱可能に固着されると共に、当該延出板が便器洗浄水内に位置決めされ且つ便器洗浄中に水流の少なくとも一部がウィッキング装置の分配位置へ流れるように、大きさが決定される。
本発明による分配装置のウィッキング装置は、基部の穴抜き支柱と流体連通する少なくとも一つの送り水路を含む上面を有する分配板、穴が形成された板、又は多孔パッドを有する、任意数の異なるウィッキング構造を備えてもよい。
着脱可能な延出板は、スナップフィット(嵌着)係合によってウィッキング装置または基部に固着されてもよい。着脱可能な延出板は、延出板の内壁の溝に、ウィッキング装置の端部又は基部の端部を嵌入することによって、ウィッキング装置又は基部に固着されてもよい。一つの形態において、着脱可能な延出板は、便器のリムに分配装置を取付けた時にウィッキング装置が便器の内壁に対して下方へ傾斜するように当該ウィッキング装置又は当該基部に対して大きさが決定されると共に固着されてもよい。着脱可能な延出板は、その周辺に上方に延出するリムを含み、便器水洗水の貯水及び分配を促進可能である。好ましくは、延出板は、ウィッキング装置又は基部に取付けられた時に当該ウィッキング装置又は当該基部に対する回転動作によって固定される。より好ましくは、延出板は、ウィッキング装置と同一平面上に固定的に位置決めされる。
着脱可能な延出板は、世界中の市場で入手可能な多種多様の種類や大きさの便器に応じて既存の便器リム下の液体洗浄装置が変更できる設計上のフレキシビリティを提供する。これにより、各便器に対する数え切れないほどの便器リム下の液体洗浄装置の専用構成を必要とせずに、様々な種類及び大きさの便器のリム下洗浄が可能となる。着脱可能な延出板は、グローバルマーケットにおける多種多様の便器に既存の装置を適合範囲を広げるべく、既存の便器リム下の液体洗浄装置に取付けられる。これまでウィッキング装置が便器洗浄水内に配置されなかった(従って、便器リム下の液体洗浄装置が無駄になる)便器も適用できる。
着脱可能な延出板も便器リム下の液体洗浄装置全体に対して更なる構造を提供し、これによって便器に取付けられた時にウィッキング装置に傾斜(又は下方傾斜)が生じる。この傾斜によって便器に取付けられた時の装置の流体分配性能が向上する。
従って、本発明の利点は、便器水洗中に便器のリム下からの大量の便器洗浄処理液を分配可能な改良された装置を提供することである。
従って、本発明の他の利点は、便器の構成とは無関係に、便器水洗水が貯水されウィッキング装置に対して方向付けされるように当該装置に追加され得る延出板を有する便器リム下の液体洗浄装置を提供し、これによって、ウィッキング装置の洗浄液を効果的に便器に流入可能である。
本発明のさらに他の利点は、便器のリムに分配装置を取付けた時の便器の内壁に向かってウィッキング装置が下方に傾斜するように当該装置に追加され得る延出板を有し、これによって、装置の流体分配性能が最適化される、便器リム下の液体洗浄装置を提供することである。
本発明のさらに他の利点は、世界中で販売されている大部分の便器に効果的に作用するように当該装置に追加される、延出板を有する、便器リム下の液体洗浄装置を提供することである。
本発明の種々の特徴、態様、及び利点は、以下の詳細な記述、添付クレーム、及び添付図面を参照することによって、より明確に理解されよう。
本発明の以下の記述において、図面を通して、同様の又は類似した部分を称するために同様の参照番号が使用されている。
図1乃至図8、図12、図14、及び図15を参照すると、第1の実施の形態による、便器のリム(縁端)から液状便器処理剤を分配するための液体分配装置10が示されている。液体分配装置10は、基部20と、(図14及び図15に示されるように)便器のリムから基部20を吊下げるためのばね式懸吊フック40と、液体58を収容する貯蔵瓶50と、基部20によって支持されるウィッキング(吸上げ)装置60と、当該ウィッキング装置60に固定される着脱可能な延出板80と、を有する。瓶50の中で使用される液体58は、便器洗浄という特定用途に必要とされる洗浄、泡立て、殺菌、及び芳香の特性を有する任意の液体を調合したものであってもよい。一例としては、アニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、溶剤、金属封鎖剤、pH調節用塩基、増粘剤、防腐剤、芳香剤、及び染料を含む、液体58が挙げられる。他の例としては、1乃至25重量%の香水、10乃至50重量%のアニオン又は非イオン系界面活性剤、1乃至20重量%の気化調整剤、及びバランス溶剤を含む、特許文献8に記載の液体が挙げられる。図14及び図15に示されるような便器などの便器から、液体分配装置10が懸吊されると、ユーザは、液体を入れた貯蔵瓶50を倒立させて基部20の中へ挿入する。この挿入動作によって、下記に示すように、貯蔵瓶(ボトル)50の上のシールが破られる。分配板又は多孔パッドの形態を取ってもよいウイッキング装置60は、基部20内に配置される。当該ウィッキング装置60は、毛管作用を介して、液体58を、貯蔵瓶50から便器洗浄水内の位置まで運搬する。
基部20、懸吊フック40、瓶50、及び延出板80を形成するためには種々の材料が使用され得るが、これら構成部品をポリエチレンやポリプロピレンなどの熱可塑性材料で製造するのが好ましい。一般に、基部20、懸吊フック40、及び延出板80は、着色されたポリエチレンやポリプロピレンなどの不透明な熱可塑性材料を含み、瓶50は、透明なポリエチレンやポリプロピレンなどの透明な熱可塑性材料を含む。製造を容易にするため、懸吊フック40は、基部20とは別体の構成部品として形成され、当該基部20は、組み立て中に懸吊フック40の下端を挿入するための矩形断面形状の案内溝21(図2)と一体成形される。懸吊フック40の下端には隆起した面取り部42が設けられ、これにより、挿入時に、スナップフィット(嵌着)構成によって、フック40は溝21に係止されたままの状態になる。
基部20は、上縁25で成端する側壁24を有する。側壁24と上縁25は、瓶50が基部20上に取付けられた時に瓶50を保持する取付け構造を形成する。側壁24の内面は、基部20内の瓶50を保持するリブを含んでいてもよい。図2に明確に示されているように、液体分配装置10が便器のリムに取付けられる時、流体を瓶50から運搬するために使用される穴抜き支柱30に隣接して形成される環状溝27が基部20の内側中心部に設けられている。基部20は、ウィッキング装置60の上から便器水洗水を排水させる手前側の下部に形成された一連の排水スロット28(図5参照)を有する。
瓶50の基部20上への取付けについては図2及び図3に明確に示されている。基部20の穴抜き支柱30は送り導管34を画定する円筒形の管状部分32を有する。管状部分32の上端33は斜めに成端して楕円形の開口を形成する。瓶50は、出荷と保管目的のため、瓶50に液体58を密封する栓54によって覆われた円形の瓶口52を有する。図3に示された瓶の型において、栓54は、瓶50の瓶口52において円形のフランジを係合する溝を有する熱可塑性の蓋である。箔(フォイル)やプラスチック製フィルムなどの他の栓も瓶50の瓶口52を密閉するのに好適である。図3に示された栓54の中心部分は、主意より薄肉の円形領域のある取り外し可能な密封部を有する。
取付けの際、倒立した瓶50は、基部20の穴抜き支柱30に対して、栓54の円形内壁が穴抜き支柱30の円形外面と略面一になるように配向され、当該瓶50は、穴抜き支柱30の上端33が取り外し可能な密封部の円形領域を破断させるまで、下方移動する。次に、基部20の送り導管34は、瓶50の瓶口52と流体連通するように配置され、液体58は、瓶50から、送り導管34を通って、流れ、穴抜き支柱30の底の分配穴36から、重力によって、流れ出る。穴抜き支柱30と栓54と瓶50の瓶口52を正確に寸法合わせすることによって、瓶が基部20に取り付けられるときに、流体の気密シールが形成される。基部20は、ウィッキング装置60を支承するシリンダ形状の出口部分38を更に有する。
基部内にウィッキング装置60が取付けられる方法と、延出板80がウィッキング装置60内に固着される方法が図8及び図12に示されている。ウィッキング装置60は、基部20内の二つの対応するばねフィンガー22によって係合される、二つの長形の案内スロット61を有する。ウィッキング装置60は、案内スロット61がばねフィンガー22によって係合されるまで、図12の矢印I方向へ移動する。案内スロット61は、基部20にあるときのウィッキング装置60の可能性のある位置範囲の二つの最大位置を画定するように作用する。延出板80は、当該延出板80の内壁82に、溝81を有する。延出板80は、ウィッキング装置60の縁65が延出板80の内壁82の溝81に嵌入されるまで、図12の矢印E方向へ移動する。ウィッキング装置60の縁65と延出板80の内壁82の溝81との締り嵌め(図8参照)は、ウィッキング装置60に延出板80を固着させたままにするように作用する。しかしながら、延出板80を図12の矢印O方向に引き出すことによって、当該延出板80をウィッキング装置60から取り外してもよい。任意であるが、延出板80の内壁82は、ウィッキング装置60と延出板80の間にスナップフィット係合を提供する、突起物86(図8参照)を有する。あるいは、ウィッキング装置60と延出板80の間にスナップフィット係合が生じるように、更なる突起物86を延出板80に設けてもよい。また、延出板80は上方に延出するリム84をその周囲に備えるようにしてもよい。
図6及び図12を参照すると、ウィッキング装置60は、無孔板64の上面に放射状に配列された毛管送り水路62aを含む分配板であってもよい。図18を参照すると、ウィッキング装置60は、無孔板64の上面に並列に配列された毛管送り水路62bを含む分配板であってもよい。凹部63は、ウィッキング装置60内に形成され、倒立された貯蔵瓶50から送られる流体を収容する。ウィッキング装置60は、当該ウィッキング装置60の凹部63が基部20の送り導管34と流体連通して配置されるように、基部20に取付けられる。図2に示される型のウィッキング装置60において、穴抜き支柱30の下部の出口部分38は、送り導管34とウィッキング装置60の凹部63との間に流路を設けるために使用される。この構成によると、液体は、瓶58から、基部20の送り導管34へ流れ、次に、出口部分38を通って、ウィッキング装置60の凹部63へ流れる。次に、液体58は、ウィッキング装置60の凹部63から上部表面内の毛管送り水路62a又は62bへ流れる。次に、液体58は、当該液体が便器水洗水と混合される、毛管送り水路62a又は62bの外端へ向かって移動し続ける。ウィッキング装置60の凹部63から毛管送り水路62a又は62bまで、液体を移動するために、種々の手段を応用可能である。例えば、毛管送り水路62a又は62bの側面に流体を当接することによって提供される毛管作用は、液体、毛管送り水路62a又は62bの外端へ向かって移動させるように作用する。便器水洗水がウィッキング装置60から流れる液体58を洗って便器の水の中へ流した後、上記のように、新たに供給される液体58は、瓶58からウィッキング装置60へ分配される。
図14は、オープン型のリムを有する便器140と共に用いられる分配装置10の構成を示す。このような便器140のリム160から懸吊された分配装置10の場合、矢印Wによって示される便器洗浄水流が、延出板80と接触するのがわかる。図15に示されるように、ボックス型のリムの構成の便器14bと共に用いられる場合、矢印Wによって示される、便器洗浄水流も延出板80と接触する。延出板80は、当該延出板80が便器洗浄水内に位置決めされるように大きさが決定される。
分配装置10の構造について説明したが、以下に、分配装置10の作用について説明する。上記されたように、瓶50は、分配装置10の基部20上に取付けられ、図14及び図15に関して上記されたように便器のリムに分配装置10を取付けた後、分配装置10を作動する準備が整う。液体58は、瓶50から基部20の送り導管34へ流れ、出口部分38を通って、ウィッキング装置60へ流れる。次に、液体58は、毛管送り水路62a又は62bの毛管作用を介してウィッキング装置60の外端へ向かって流れる。トイレの水を流すと、便器洗浄水流が延出板80と接触し、便器水洗水がウィッキング装置60の外端へ向かって流れる。ウィッキング装置60の液体58が便器水洗水と混ざり、次に、当該液体58と便器水洗水との混合液が便器へ分配される。便器水洗水がウィッキング装置60から流れる液体58を洗って便器の水の中へ流した後、新たに供給される液体58は、上記のように、瓶からウィッキング装置60へ分配される。次のトイレの水を流す時に、液体58のまた新たな供給が行われる。
ここで、図9乃至図11、図13、図16、及び図17を参照すると、第2の実施の形態による、便器のリム(縁端)から液状便器処理剤を分配するための液体分配装置10aが示されている。液体分配装置10aは、基部20(上記記載)と、(図16及び図17に示されるように)便器のリムから基部20を吊下げるためのばね式懸吊フック40(上記記載)と、液体58(上記記載)を収容する貯蔵瓶50(上記記載)と、基部20によって支持されるウィッキング(吸上げ)装置60(上記記載)と、基部20と一体成形される支持構造39に固着された着脱可能な延出板80aと、を有する。第1の実施の形態の分配装置10に関して上記されたように、瓶50は、分配装置10aの基部20上に取付けられる。
延出板80aが基部20の支持構造39に固着される方法が図13に示されている。延出板80aは延出板80aの内壁82a内に溝81aを有する。延出板80aは、基部20の支持構造39の端部39aが延出板80aの内壁82a内の溝81aに嵌入されるまで、図13の矢印X方向へ移動する。基部20の支持構造39の端部39aと延出板80aの内壁82a内の溝81aとの締り嵌め(図11参照)は、延出板80aを基部20の支持構造39の端部39aに固着させたままにするように作用する。しかしながら、延出板80aを図13の矢印Y方向に引き出すことによって、基部20の支持構造39の端部39aから延出板80aを取り外せる。任意であるが、延出板80aの内壁82aは、基部20の支持構造39の端部39aと延出板80aとの間にスナップフィット係合を提供する突起物を有する。延出板80aは上方に延出するリム84aをその周囲に有していてもよい。
図16は、オープン型リムを有する便器140と共に使用するときの分配装置10aの構成を示す。このような便器140のリム160から懸吊された分配装置10の場合、矢印Wによって示される、便器洗浄水流が、延出板80aと接触するのがわかる。図17に示されるように、ボックス型のリムの構成の便器14bと共に用いられる場合、矢印Wによって示される、便器洗浄水流も延出板80aと接触する。延出板80aは、当該延出板80aが便器洗浄水内に位置決めされるように大きさが決定される。
分配装置10aの構造について説明したが、以下に、分配装置10aの作用について更に説明する。既に述べたように、瓶50は、分配装置10aの基部20上に取付けられ、図16及び図17に関して上記されたように便器のリムに分配装置10aを取付けた後、分配装置10aを作動する準備が整う。液体58は、瓶50から基部20の送り導管34へ流れ、出口部分38を通って、ウィッキング装置60へ流れる。次に、液体58は、毛管送り水路62a又は62bの毛管作用を介してウィッキング装置60の外端へ向かって流れる。便器の水が勢いよく流されると、便器洗浄水流が延出板80aと接触し、便器水洗水がウィッキング装置60の外端へ向かって流れる。ウィッキング装置60の液体58が便器水洗水と混合し、次に、当該液体58と便器水洗水との混合液が便器へ分配される。便器水洗水がウィッキング装置60から流れる液体58を洗って便器の水の中へ流した後、新たに供給される液体58は、上記のように、瓶からウィッキング装置60へ分配される。次のトイレの水を流す時に、液体58のまた新たな供給が行われる。
ここで、図19を参照すると、他の構造のウィッキング装置が斜視図で示されている。このウィッキング装置は、図1乃至図18で示されたウィッキング装置60と同様の全体的形状を有する分配板70の形態をとり、この分配板70の位置の調整を可能にする長形の案内スロット72を有する。本実施の形態のウィッキング装置において、板70は、当該板に形成された多数の隆起した貫通孔73以外は中実である。板70を有する分配装置の作用において、液体58は、瓶58から基部20の送り導管34へ流れ、出口部分38を通って、多孔パッドへ送られる。上記のように、液体58は、便器水洗水と混合される。便器水洗水と液体との混合液は、板70内の貫通孔73を通って便器へ分配される。貫通孔73は、希釈されない液体58が通過するのを避けるように充分に小さくされている。便器水洗水が、板70内の貫通孔73を通って流れる液体58を液体58を洗って便器の水の中へ流した後、新たに供給される液体58は、上記のように、瓶50から板70へ分配される。
2番目の他の構造のウィッキング装置は、瓶50と便器洗浄水内の分配位置との間に流路を設けるように使用される多孔パッドである。多孔パッドは、図1乃至図18で示されたウィッキング装置60と同様の全体的形状を有し、パッドの位置の調整を可能にする長形の案内スロットを有する。この構成において、液体58は、瓶58から基部20の送り導管34へ流れ、出口部分38を通って、多孔パッドへ送られる。次に、液体は、上記のように、当該液体が便器水洗水と混合される毛管作用を介して多孔パッドの外端に向かって移動し続ける。
分配装置10と分配装置10aは多くの利点を有する。一つの利点は、便器のリム16bに取付けられた分配装置10を示す図15を参照することによって理解されよう。延出板80は、当該延出板80が便器洗浄水内に位置決めされ、この例では、便器14bの内壁17と接触するように位置決めされるように大きさが決定されるので、矢印Wによって示される便器洗浄水流が、便器水洗中の分配装置10の延出板80と接触することがわかる。次に、延出板80は便器水洗水をウィッキング装置60の外端へ方向付けする。ウィッキング装置60の液体58は便器水洗水と混合され、次に、便器水洗水と液体58の混合液が、便器へ分配される。分配装置10内に延出板80が設けられてない場合、便器水洗水はウィッキング装置60をバイパス(回避)し、液体58は殆どあるいは全く便器に分配されなくなる。同様に、分配装置10a内に延出板80aが設けられてない場合、便器水洗水はウィッキング装置60をバイパス(回避)し、液体58は殆どあるいは全く便器に分配されなくなる(図17参照)。任意であるが、延出板80と延出板80aの便器水洗水の貯蔵及び分配機能を更に最適化するために当該延出板80と当該延出板80aの各々は上方に延出するリムをそれぞれその周囲に有してもよい。
分配装置10と分配装置10aの他の利点は、便器のリム160に取付けられた分配装置10を示す図14を参照することによって理解されよう。延出板80は、分配装置10が便器140のリム160に取付けられる時に、ウィッキング装置60が便器140の内壁15に対して下方へ傾斜されるように当該ウィッキング装置60に対して大きさが決定されると共に固着されるのがわかる。ウィッキング装置60の傾斜を達成する一つの方法としては、延出板80がウィッキング装置60に固着される時、当該ウィッキング装置60に対する回転動作によって延出板80が固定されるように、延出板80を構成することが挙げられる。上記された延出板80の溝81はこのような構成の一つである。延出板80のこの構成において、延出板80は、ウィッキング装置60と同一平面上に固定的に位置決めされると共に、ウィッキング装置60と同一平面上での動作によって、ウィッキング装置60から着脱可能となる。ウィッキング装置60の下方傾斜によって、便器のリムに取付けられた時の分配装置10の流体分配性能を改良可能である。同様に、図16は、分配装置10aが便器140のリム160に取付けられた時に、ウィッキング装置60が便器140の内壁15に対して下方に傾斜されることを示す。ウィッキング装置60の下方傾斜によって、便器のリムに取付けられた時の分配装置10aの流体分配性能が改良される。
延出板80と延出板80aの着脱可能な態様も利点を提供する。いくつかの便器に分配装置10を取付ける際、ウィッキング装置60は便器洗浄水内にあり、好ましくは、便器のリムの内壁に対して下方に傾斜されてもよい。この場合、延出板80を分配装置10から取り外せて、従来の着脱不可能な水流変位要素を有する、便器のリム下から洗浄液を分配する従来型の装置の場合に起こしたであろう水流変化なしに、当該分配装置10は、使用可能である。分配装置10が便器に取付けられると共にウィッキング装置60が便器水洗中の便器洗浄水内に配置されない時、上記のように、延出板80は、便器洗浄水流をウィッキング装置60へ方向付けするように分配装置10に取付けられる。さらに、分配装置10が便器に取付けらるとともにウィッキング装置60が便器の内壁に対して傾斜されてない時、延出板80は、所望されれば、ウィッキング装置60に対して下方に傾斜するように、分配装置10に取付けられてもよい。分配装置10aへの延出板80の設置によって同一の結果が得られる。
このように、便器水洗中に水流を介して便器のリム下から洗浄液等の液状便器処理剤を分配するための装置が提供されている。分配装置は、便器の構造とは無関係に便器水洗水を集め分配板全体に方向付けされるように当該装置に追加され得る、延出板を有し、これによって、分配板の洗浄液を効果的に便器に流入可能である。延出板は、便器のリムに分配装置を取付けた時の便器の内壁に向かって分配板が下方に傾斜するように装置に追加され、これによって、装置の流体分配性能が最適化される。本発明の便器リム下からの液体洗浄装置は、世界中で販売されている大部分の便器に効果的に作動するように当該装置に追加される、延出板を有する。
本発明はいくつかの実施の形態に関してかなり詳細に記述されているが、当業者は、本発明は、図解を目的とし、本発明を限定することを意図するものではない、上記された実施の形態以外の方法でも、本発明を実施可能なことを理解するであろう。したがって、添付クレームの範囲は本明細書中に含まれている実施の形態の記述に限定されるものではない。