JP2005531678A - 官能化された電気導体または半導体表面を含む固体支持体、その調製方法及びその使用 - Google Patents

官能化された電気導体または半導体表面を含む固体支持体、その調製方法及びその使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、官能化されエレクトログラフトされた有機層でコーティングされた、官能化された導電性または半導体表面を含む固体支持体に関し、ここで、目的の官能基の数の少なくとも90%がアクセス可能である。本発明は、そのような支持体を調製するための方法及び、特に、相補的な官能基を保有する目的の分子またはオブジェクトを固定するための接着プライマー(分子接着剤)としてのその使用にも関する。

Description

本発明は、官能基の数の少なくとも90%がアクセス可能である官能化されエレクトログラフトされた(electrografted)有機層でコーティングされた導電性または半導体表面を含む官能化固体支持体、そのような支持体を調製するための方法、及び特に、相補的官能基を保有するオブジェクトまたは目的の分子(「molecular Velcro(登録商標)」)を付着させるための接着プライマー(adhesion primer)としてのその使用に関する。
表面の官能化とは、その操作によって、目的の分子(例えば、溶液中での特性が証明されている分子)が、少なくとも、その特性の全てまたは一部をそこで保存するような様式で、表面に好首尾に結合する操作である。従って、表面の官能化とは、目的の分子及び表面にそれを付着させるための結合方法が利用可能であることを想定している。
目的の分子が最も一般的には有機(有機金属)分子であるので、最も一般的に用いられる方法は、有機化学反応の非常に大きなライブラリを用いることからなり:その論理は、単に、表面上及び目的の分子上の夫々に、適合性である、すなわち、互いに容易に(可能であれば迅速に)反応し得る、官能基を見出すことができるというものである。
例えば、ヒドロキシルまたはアミン基を含む表面が利用可能である場合、それは、目的の分子(例えば、欧州特許出願公開第1 110 946号、国際出願WO 00/51732もしくは米国特許第6,258,454号に記載されるようなイソシアナートもしくはシロキサン基またはそうでなければフランス国特許出願公開第2 781 232号に記載されるような酸クロライド)を添加することによって官能基化され得る。
目的の分子が、表面の官能基に直接的に適合性の官能基を有さない場合、この表面は二官能性中間有機分子(その官能基のうちの一方が表面の官能基に適合性であり、そして他方が付着することが所望される分子の官能基に適合性である)を用いてプレ官能化(prefunctionalize)され得る。この分子は、しばしば、接着プライマーと呼ばれる(例えば、E.P.Plueddman、「Fundamentals of Adhesion」L.H.Lee(編)、p.279、Plenum Press、New York(1990)を参照のこと)。
本発明によれば、それは、目的の分子と考えられるべき接着プライマーの付着であり:本明細書においては、第一の有機フラグメントが表面に付着する様式、特にそれが無機物であり、引き続く官能化後の過程が純粋な有機反応と考えられる場合に焦点をあてる。
この観点から、この表面の官能化が、有機化学反応のうち、2つの反応物の一方が溶液中の分子でなく表面であるという単なる特定の場合であることが注目される。確かに、溶液と表面との間の不均一系反応に関連するキネティックスは、均一相における類似の反応とは実質的に異なるが、反応機構は、原理的には、同一である。
特定の場合、この表面は、その上に、より早い反応を得るために、より高い反応性を有する官能基を生成するように、それを前処理することによって活性化される。これらは、特に、例えば、表面での化学的または放射を介する激しい酸化によって形成されるラジカルのような、一過性で形成される不安定な官能基であり得る:
−既に、国際出願WO 98/22542及び米国特許第6,022,597号にも記載されているように、窒素を含む基を保有する表面に粒子(イオン、電子、プロトン等)で衝撃を与えることによってそれを官能基化して、これらの窒素を含む基を多数の有機官能基と反応し得るナイトレンに変換することが可能である;
−既に、米国特許第6,287,687号及び国際出願WO 01/34313に記載されているように、表面を、プラズマ処理(ここで、プラズマガスは、放射の間に形成される反応性基と反応することができるモノマーを含む)に供することによってそれを官能化することが可能である;
−例えば、既に、米国特許第4,421,569号;同第5,043,226号及び同第5,785,791号に記載されているように、ヒドロキシル化した表面を、金属塩を用いて強力に酸化することによって官能化して、その上に、有機重合反応を開始することができるラジカルを生成することができる;
−例えば、米国特許第6,306,975号に記載されているような重イオン放射、または、例えば、国際出願WO 98/49206に記載されているような熱、またはそうでなければ、例えば、国際出願WO 99/16907に記載されているような光化学等のいずれかによって、ラジカルを用いて表面を官能化することが可能である。
従って、これらの全ての例(これらの例の列挙はすべてを網羅するものではない)において、表面または目的の分子のいずれかが、一旦改変された後の、これら二つの実体間の付着が、公知の、さらには、有機化学反応のライブラリ中の反応と等しいような様式で改変される。
ここで、この表面が絶縁体の電子構造に類似する電子構造を有する場合においてのみ、この推定が可能であることが観察され:物理学者は、この表面が局在化状態を有していなければならないと述べ得る。化学者は、それが官能基を有していなければならないと述べ得る。
この表面が、ドープされていないかまたは比較的ドープされていない導体または半導体である場合、そのような局在化状態は存在しない:この表面の電子的状態は、非局在化状態である。言い換えると、(有機化学の感覚での)「官能基」の概念は、意味がなく、従って、有機化学反応のライブラリを用いて、表面に目的の分子を付着させることは不可能である。
2つの注目すべき例外が存在する:これらは、金属表面、特に金表面への、チオール官能基(−SH、特に、Z.Mekhalifら、Langmuir、1997、13、2285を参照のこと)及びイソニトリル(−N=C、例えば:V.Hucら、J.of Physical Chemistry B、1999、103、10489を参照のこと)の自発的化学反応である。
しかし、これらの反応は、全ての状況において利用され得るわけではない。特に、例えば、チオールは、弱い硫黄/金属結合をもたらす。これらの結合は、例えば、この金属が引き続いてカソードまたはアノード分極を受けると、壊れて、夫々、チオレート及びスルフォネートを形成して脱着する。
これらの他に例のない二つの例を除いて、導電性または半導性表面を官能化するための単純な化学反応は存在しない。
導電性または半導体表面に有機分子を付着させるために最も一般的に用いられる手段は、既知の問題とそれとを同一視することによって、その困難性を回避することである。それは、予め金属上への(全体的または部分的に水和した)酸化物層の促進を確保することによって、これらの表面上に、ヒドロキシル基を形成するといったことである。グラファイトにおいては、固体酸化物を有さないが、それにも関わらず、陽極酸化は、利用され得るヒドロキシル基を生成する(特定の条件下では、それは、その上にカルボキシル基を生成することも可能である)。表面上にヒドロキシル基を形成することが可能であった場合、これは、局在化表面電子状態(すなわち、官能基)を有する表面と等しく、そしてその状況は、既知の問題と等しい。特に、次いで、絶縁性表面についての上に記載されている官能化工程の全てを適用することができる。
しかし、金または多くの貴金属上に酸化物層を形成することが不可能であるという事実に加えて、目的の有機分子と金属表面との間に作り出される境界部の堅さの要因の大部分は、酸化物層及びそれを得る方法に起因している(現在、特定の酸化物は、特に、これらが化学量論的でない場合、非コーティング性であり(non covering)、または非接着性でさえある)。さらに、分子自体を付着させる前(2工程)または目的の分子の付着を可能にする接着プライマーを付着させる前(3工程)に酸化物層が最初に構築されなくてはならないので、この経路は、目的の分子の付着を得るために少なくとも2つまたは3つの工程を必要とする。
導電性または半導性表面に、電気化学的に有機フラグメントを付着することも可能である。
国際出願WO 98/44172に記載されるプロセスは、実際、導電性表面に有機官能基を付着することを可能にする。これは、導電性表面を(カソーディックな)電位下で、アリールジアゾニウム塩を含む溶液中に配置し、表面に付着することが所望される官能基で官能化するプロセスである。ここで、アリールジアゾニウム塩は、塩酸媒体中の亜硝酸ナトリウムを用いるジアゾ化反応によって、芳香族アミンから生成される。この工程は、非常に低いpHを必要とし、従って、付着することが所望される全ての官能基に適合するわけではない。例えば、(水酸基またはアミン基を保有する目的の分子を付着させるのに有用である)スクシンイミド基を保有する、またはアミン基もしくはピリジン基を保有する芳香族アミンをジアゾ化することができないこと、及びジアゾニウム官能基が、容易にフリーラジカル重合をもたらすことができる不飽和結合に適合性であり難いことが知られている。
特定の場合、目的の分子の官能基及びジアゾ化反応の両方に適合性の官能基がない場合、ジアゾニウム塩をグラフトするプロセスの使用は、エレクトログラフトされた層が二官能性接着プライマー(この二官能性接着プライマーの基の少なくとも1つは、目的の分子の官能基と適合可能である)で官能基化される中間工程の介入を必要とする。
さらに、このプロセスは、実際、厚層を生成させることができず、このことは、表面に非常に近い比較的少数のグラフトされた官能基を導く。グラフトされている官能基は、総じて、引き続く有機分子との官能化反応のために中程度にアクセス可能である。このコメントの最も直接的な実施上の結果は、このプロセスに従い有機層でコーティングされた導電性表面上での官能化後反応が遅いことである。
ここで、例えば、欧州特許出願公開第0 038 244号に記載されているように、1980年代以降、導電性及び半導体表面上にビニルまたは環状モノマーから誘導されたポリマーをエレクトログラフトすることは可能である。このプロセスは、有機ポリマーと導電性または半導体表面との間に共有化学結合を作り出すことを可能にする。ポリマー鎖が表面のある点でグラフトされる場合、表面部位あたり多数の官能基がグラフトされ:従って、単位表面あたり有機分子の付着点の数は減少するので、これらの有機層は、有機または有機金属分子の付着の一次層としての先験的に理想的な候補を構築する。しかし、このプロセスの特徴では、十分な種々の有用な官能基を、表面に直接グラフトさせることはできないので、この先行文献に記載されているようなエレクトログラフトされたポリマーの使用は、明確ではない。用語「直接グラフトする」とは、表面に付着させることが所望される官能基を含む、または所望される官能基の独自の単純な前駆体(すなわち、単なる保護基ではない前駆体)を含むビニルまたは環状モノマーの使用を意味することが意図される。
さらに、特に、欧州特許出願第0 665 275号において、あるプロセスに従ってポリマーフィルムが形成され、そのプロセスの間に鎖の成長が官能基で妨害されることが既に提唱されている。従って、このプロセスによると、目的の官能基は、エレクトログラフティングに用いられるモノマー上に直接配置されず、所望の官能基を保有するインヒビターでその成長が実質的に妨害される。このプロセスが鎖1つ当り1つの官能基のみを提供し、そして多数のアクセス可能な基を有することができない(これは、プローブ分子の容量が大きい場合に特に不利である)ことが特に注目される。さらに、表面のポリマー鎖の成長が必然的にアニオン性であり(C.Bureauら、Macromolecules、1997、30、33)、そして、このプロセスによって導入されるフリーラジカルインヒビターは、合成の最後にフィルム中にあり得るが、これは、これらが電極の表面上に吸着及び/または還元されるから(これらは、一般的に、電気活性である)であり、これらが鎖の成長を妨害するからではないことが実証されている。
現在のエレクトログラフティングの機構の理解、及びそれに関する偏見を考慮すると、なぜ当業者が種々の官能基を有するモノマーの使用に向わなかったかを理解することができる。
今日、導電性表面からの重合反応のエレクトロイニシエーション(electroinitiation)と引き続くモノマー毎の鎖の成長(growth)を用い、導電性表面上への活性化ビニルモノマーのエレクトログラフティングによって、グラフトされたポリマーフィルムが得られることは受け入れられているようである(C.Bureauら、1997、上記;C.Bureau及びJ.Delhalle、Journal of Surface Analysis、1999、6(2)、159及びC.Bureauら、Jouranal of Adhesion、1996、58、101)。
この重合反応は、以下のスキームAで示される:
スキームA
Figure 2005531678
このスキームにおいて、グラフティング反応(grafting reaction)は、表面から成長が生じる工程1に対応する。工程2は、グラフトされていないポリマーが得られる結果となる主要な寄生反応(parasite reaction)である。
従って、グラフトされた鎖の成長は、純粋な化学重合を用いて生じる(すなわち、グラフティングを生じた導電性表面の分極とは無関係である)。従って、この工程は、この成長の化学阻害剤の存在に敏感である(特にそれによって妨害される)。
カソード分極を用いるアクリロニトリルのエレクトログラフティングを論じている上記スキームAに示される反応の例において、グラフトされた鎖の成長は、アニオン重合(anionic polymerization)によって生じる。この成長は、特にプロトンによって妨害され、そしてプロトン含量が溶液中のポリマーの形成、及びこの合成の過程で回収される情報(特に、この合成に伴うボルタモグラムの出現(appearance))を制御する主要なパラメータを構成さえすることが実証されている(特に、C.Bureau、Journal of Electroanalytical Chemistry、1999、479、43)。
微量の水(そしてより一般的には、プロトン性溶媒の不安定なプロトン)は、グラフトされた鎖の成長に有害なプロトンの供給源を構成する。ビニルモノマーのエレクトログラフティングについての反応機構が理解される前でさえ、この技術的ブロッキングポイントは、当業者に、明らかに確認されていた。
この理由から、プロトン供給源である官能基を含むモノマー(プロトン性モノマー)を用いた電解重合反応を想定することは明らかに不可能である。
溶媒及び合成のためのモノマーの型の両方に関連するこれらの厳しい制限に起因して、導電性または半導体表面へのビニルモノマーのエレクトログラフティングは、表面の化学的官能化の観点から比較的目的とされないポリマーのグラフティングのみを可能にするプロセスである。
この理由から、エレクトログラフトされたポリマーフィルムが、受動的機能:例えば、欧州特許出願公開第0 038 244号及びフランス国特許出願公開2 672 661号に既に記載されているような防食性または潤滑性をもたらすために特に用いられてきた。
従って、現在利用可能なものより早い官能化後反応を確保するために、多くの種類の官能基、及び表面単位当り多数のアクセス可能な官能基を有する有機層で、導電性または半導体表面を官能化することができる必要がある。
本出願人は、特に、相補的官能基を保有するオブジェクトもしくは目的の分子(プローブ分子)を付着させるのに有用な官能化された付着ゾーンまたは「molecular Velcro(登録商標)」を含む導電性または半導体支持体を提供するために、無機/有機界面の問題を解決することを目的とする。
本発明の技術的な詳細、及び方法の実施例は、特に、従来技術の教示と対照的に、プロトン性基またはプロトン性基の前駆体、より一般的には、他の有機官能基と化学反応することができる基を保有するビニルまたは環状モノマー自体を使用することによって、エレクトログラフティングにより−直接的または間接的に−プロトン性官能基を得ることができることを実証する。
従って、本発明の第一の主題は、その表面に還元可能な酸化物を含む少なくとも1つの導電性及び/または半導体領域を含む固体支持体であって、この表面の少なくとも1つのゾーンが、各々が少なくとも1つの目的の官能基を含む電気活性な有機前駆体(必要に応じて、目的の官能基を含まない電気活性な有機前駆体との混合物である)から得られるエレクトログラフトされた有機フィルムで官能化されていること、及びこのフィルム中の相補的な基との共有、イオンまたは水素結合の形成のためにアクセス可能な目的の官能基の数が、目的の有機官能基の総数の少なくとも90%を示すことを特徴とする。
本発明の重要な特徴の1つは、大部分が−代表的には、90%より多くが−官能化後反応のためにアクセス可能である目的の官能基の層が有機コーティングのエレクトログラフティングによって生成されることである。
有機コーティングのエレクトログラフティングは、導電性または半導体物質と有機物質との間での、共有結合性の界面結合をもたらすことを可能にする。
本発明に従う支持体の官能化有機フィルムは、まさに「molecular Velcro(登録商標)」を構成し、この上に、引き続いて、例えば、(化学的または生化学的)分子、ポリマーもしくは細胞のような種々のオブジェクトをそれに付着させるため、または例えば、グラフトされた前駆体上での化学的付着による肉眼的オブジェクトに対する結合の機能を得るために、エレクトログラフトされた前駆体の全ての特性を、それが化学的または物理的特性であるかに関わらず、直接的に用いることを可能とする。
本発明に従い、「アクセス可能である目的の官能基」との表現は、特にステアリックターム(stearic term)において、それ自体のサイズに匹敵するサイズの相補的な基との共有結合、イオン結合または水素結合を形成するために十分に利用可能である官能基を意味することが意図される。この相補的官能基を保有する分子は、プローブ分子と呼ばれる。
用語「相補的な基」とは、互いに反応又は相互作用して、これらを保有する2つの化学実体−コーティング及びプローブ分子−の間の付着の供給源となるほどに十分に安定である付加物をもたらし得る有機または有機金属化学物質の官能基を意味することが意図される。従って、この文脈において、これらは、求核性基またはルイス塩基(例えば、アミン、アルコール、チオール、ジエン及びポリエン等))と反応することができる求電子性基またはルイス酸(例えば、カルボニル、カルボキシル、イソシアナート、エポキシド、ジエノフィル等);ローンペアドナー(例えば、アミン、アルコール、チオール、カルボキシル、カルボニル、電子がリッチな不飽和結合等)と相互作用することができる水素結合ドナー基(例えば、アミン、アルコール、チオール、カルボン酸等);アニオン性基(例えば、カルボキシレート、ホスフェート、ホスホネート、スルフェート、スルフォネート等)と相互作用することができるカチオン性基(例えば、アンモニウム、アンチモニウム、スルフォニウム、ジアゾニウム等)であり得る。相補的官能基のペアのより包括的なリストは、任意の有機化学モノグラフにおいて容易に見出され得る。
目的の官能基のアクセシビリティー(accessibility)は、例えば、これらの基を保有するコーティングが相補的官能基を保有するプローブ分子と反応する際の、これらの官能基の転化速度を(例えば、赤外、UV可視、光電子分光法等により)測定することによって、定量的に評価され得る。プローブ分子が小さい場合、それは、実際に、コーティングの全ての目的の官能基と反応することができる。
本発明に従い、「目的の官能基を含まない電気活性な有機前駆体」との表現は、必要に応じて官能化されているが、上で規定されるような所定の相補的な基と共有結合、イオン結合または水素結合を形成することができない任意の有機基を意味することが意図される。
多数のアクセス可能な官能基を有するコーティングを含む支持体の利点は、その官能基のサイズと比較して大きい〜非常に大きいサイズのオブジェクト(代表的には、ナノメーターより大きいサイズのオブジェクトであり、そして約10〜約100ナノメーター、またはマイクロメーターより大きければなおさらとなる)を付着することが問題となる場合、なおより大きい程度に見出される。この状況において、このコーティングの目的のアクセス可能な基の全ては用いられないが、これらは、このコーティングに付着することが所望されるオブジェクトの、ステアリック制限(stearic constraint)、より一般的にはトポロジーに適合しそしてそれを可能にするのに十分な数である。
本発明に従い、好ましくは、有機前駆体は、以下から選択される:
−少なくとも1つの目的の有機官能基を保有する重合可能かつエレクトログラフト可能なモノマー。次いで得られるエレクトログラフトされた有機フィルムは、ポリマーである;
−単に、誘導体化によって、所望される目的の反応性有機官能基を得ることを可能にする少なくとも1つの官能基を保有する重合可能かつエレクトログラフト可能なモノマー。これらは、所望される目的の反応性官能基のシントンを保有するモノマーとしても示される。次いで得られるエレクトログラフトされた有機フィルムは、ポリマーである;
−上記のようなモノマーで官能化された分子、マクロ分子及びオブジェクト。次いで得られる有機フィルムは、必ずしも重合性の性質ではない。
これらの重合可能なモノマーの中で、以下の式(I)及び(II):
Figure 2005531678
に対応する、活性化ビニルモノマー及び求核攻撃により開裂可能な分子が特に言及され得、
ここで:
−A、B、R及びRは同じでも異なっていてもよく、水素原子、C−Cアルキル基、ニトリル基または以下の官能基;ヒドロキシル、アミン:−NH(xは1または3である)、チオール、カルボン酸、エステル、アミド:−C(=O)NH(ここで、yは1または2である)、イミド、イミドエステル、芳香族(特に、ピリジン、スチレンまたはハロスチレン)、酸ハライド:−C(=O)X(ここで、Xは、フッ素、塩素または臭素から選択されるハロゲン原子を示す)、酸無水物:−C(=O)OC(=O)、ニトリル、スクシンイミド、フタルイミド、イソシアナート、エポキシド、シロキサン:−Si(OH)(ここで、zは、1〜3の間の整数である)、ベンゾキノン、カルボニルジイミダゾール、パラ−トルエンスルフォニル、パラ−ニトロフェニルクロロホルメート、エチレン及びビニル、または上記の官能基の少なくとも1つを保有する有機基(またはスペーサーアーム(spacer arm)(例えば、複数のビニル官能基を含む基(例えば、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート))から選択される有機官能基を示し;A及びBのうち少なくとも1つそしてR及びRのうち少なくとも1つがこれらの有機官能基の1つまたはこれらの官能基の少なくとも1つを保有する有機基を示すと理解され;
−n、m及びpは同じでも異なっていてもよく、0〜20の間の整数である。
上記の表記法において、R及びRは、示されていない指数iに依存する基であり、iは、0〜nである。これは、基R及びRが実際に上記式(II)の環状分子の構造において、1つ(C(R)R)から他のものに異なり得るという事実を表す。
上記式(I)の活性化ビニルモノマーの中で、メタクリロイル スクシンイミド、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、メタクリロニトリル、アクリロニトリル、グリシジルアクリレート及びグリシジルメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、アミノプロピルメタクリルアミド、アミノヘキシルメタクリルアミド、メタクリロイルスクシンイミド、アクリロイルスクシンイミド、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、メチルシアノメタクリレート、メチルシアノアクリレート、2−及び4−ビニルピリジンならびに4−クロロスチレンが特に言及され得る。
上記式(II)の求核攻撃により開裂可能である分子の中で、エチレンオキシド、置換エチレンオキシド、ブチロラクトン、カプロラクトン、そして特にε−カプロラクトンが言及され得る。
モノマーで官能化される分子、マクロ分子及びオブジェクトの中で、オリゴヌクレオチド、核酸分子(例えば、DNA及びRNA)、オリゴペプチド、ポリペプチド(例えば、ポリ−L−リジン)、タンパク質(例えば、アビジン、ストレプトアビジン、抗体、抗原、成長因子、蛍光タンパク質(例えば、緑色蛍光タンパク質(GFP))、フェレドキシン等)、オリゴ糖、ポリマー(例えば、ポリアリルアミン、多糖及び誘導体(例えば、セルロース及びモディファイドセルロース)、ヘパリン、デキストラン及び置換デキストラン(例えば、カルボキシメチル(CM)、N−ベンジルメチレンカルボキサミド(B)及びスルフォネート(S)基を保有するデキストラン(CMDBSとも呼ばれる))、テレケリックポリマー(すなわち、末端を適切な相補的官能基で置換されている任意の構造のポリマー(例えば、ポリエチレングリコールジメタクリレート)等))、フラーレン、官能化カーボンナノチューブ、及び細胞等が特に言及され;これらの分子、マクロ分子及びこれらのオブジェクトは、上記の式(I)または(II)に対応するモノマーで、全体的または部分的に、誘導体化される。
本発明に従い、好ましくは、導電性または半導体表面は、ステンレス鋼、スチール、鉄、銅、ニッケル、コバルト、ニオブ、アルミニウム(特に、新しくブラシされている(brushed)場合)、銀、チタン、シリコン(ドープまたは非ドープ)、窒化チタン、窒化タングステンもしくは窒化タンタルの表面、または金、白金、イリジウムもしくは白金−イリジウム合金の表面から選択される貴金属表面であり;本発明によれば、金表面が特に好ましい。
本発明に従う支持体に対して、目的のアクセス可能な官能基の密度は、好ましくは、10/μm〜1010/μmの間である。
本発明の主題は、上記の支持体を調製するためのプロセスでもあり、このプロセスは、少なくとも1つの目的の官能基を含む少なくとも1つの電気活性有機前駆体を有機媒体中に含む組成物と、表面上に還元可能な酸化物を含む固体支持体の少なくとも1つの導電性及び/または半導体領域のゾーンとを接触させ、後者を、電位プロトコルに供することによる、該組成物の該有機媒体中での電気分解によって、該領域への該電気活性有機前駆体の単一工程でのエレクトログラフティングを実施することを包含し、ここで、該電位プロトコルの間、それは、該電位プロトコルの全てまたは一部において、参照電極に対して測定される閾値電位(threshold electrical potentical)以上の電位にされており、該閾値電位は、該前駆体のグラフティングが生じる電位を超える電位であることを特徴とし、そして:
a)60%以下の程度のグラフティングをもたらすように電位プロトコル、特に、反復プロトコルにおけるスキャンの数及びスキャン速度(ボルタンメトリックパルス(voltametric pulsed)等のスキャン)を調整することによって、及び/または
b)官能化電気活性有機前駆体が目的の官能基を含まない電気活性有機前駆体との混合物中に存在する組成物(後者がこの組成物中に存在する前駆体の総数の0.1〜95%を示す)を用いることによって、及び/または
c)目的の官能基がスペーサーアームの末端に保有されているものから選択される電気活性有機前駆体を用いることによって、
目的の官能基の少なくとも90%(数量)のアクセシビリティの程度が得られることを特徴とする。
このプロセスを用いて、種々の有機基で表面を官能化すること、そしてまさに「molecular Velcro(登録商標)」を生成することが可能であり、これらに対し、引き続いて、グラフトされた前駆体の全ての特性を、それらが化学的または物理的特性であるかに関わらず、直接的に用いて、例えば、(化学的または生物学的)分子、ポリマーもしくは細胞のような種々の「オブジェクト」をそれに付着させること、または例えば、グラフトされたポリマー上での化学的接着による巨視的なオブジェクトに対する結合の機能を得ることさえも可能である。
ビニルモノマー上に存在する任意の反応性基(ビニル結合自体を除く)が寄生反応を実施すること、またはグラフトされた鎖の電解重合の間にその鎖の成長を妨害もしくは防止することさえ可能であると考えると、この結果は、予測できない(例えば、G.Deniauら、J.of Electroanalytical Chem.、1998、451、145)。
しかし、本発明の概念は、官能化ビニルモノマーにより最初に保有されている目的の官能基の付着から利益を得ることができるためには、表面上での長い鎖の成長を確保することが必ずしも必要でないことを包含する。この観点においては、最初に存在するビニルモノマー上の、プロトン性官能基、または成長末端と反応性でありかつ保護されていない官能基の存在に起因するようである寄生反応、または終結反応さえ、これらが前駆体上に存在する目的の官能基の全てを消費するのでなければ、比較的重要でない。
従って、特に、種々の目的の有機基を保有するビニルまたは環状モノマーのエレクトログラフティングは、(例えば、酸化物層の生成と、二機能性接着プライマーを用いる化学的官能化との組み合わせによる)手順は、従来の酸化物層の作製に含まれる場合、少なくとも2回の工程で得られるものを、導電性及び半導体表面上に、一工程で得るための手段として、エレクトログラフトされた有機フィルムを想定することを可能にする。本発明に従うプロセスは、金属とグラフトされたポリマーとの間の共有結合の形成を可能にし、このことは、この界面の堅さに実質的に寄与する層の作製を確保することを可能にする。
このプロセスに従い、そしてバリアントa)の場合において、電位プロトコルの調整は、特にポリマーの場合、グラフティングの程度(すなわち、単位表面当りグラフトされるポリマー鎖の数)を調整することを可能にし、中程度のグラフティングは、例えば、適切な溶媒で湿潤するようなコーティングの厚さを可能にするのに十分であるようにこれらの鎖の間隔を空けることを可能にし、そしてこのコーティングのフィルム内にプローブ分子が入ることも可能にする。本発明のバリアントa)の好ましい実施形態によれば、グラフティングの程度は、10〜40%の値に調整される。
バリアントb)の場合、目的の官能基は、種々のモノマーの混合物(これらのうちいくつかのみが、最終的なコーティング上に存在することが所望される目的の官能基を保有する)を用いるエレクトログラフティングを実施することによって互いに間隔を空けられる。次いで、種々のモノマーの相対的な比率は、目的の官能基の数(従って、これらのアクセシビリティー)を調整することを可能にする。このバリアントb)の好ましい実施形態によれば、目的の官能基を保有しない電気活性有機前駆体は、この組成物中に存在する前駆体の総数の0.1〜50%を示す。
官能化前駆体(モノマーまたはその他)の濃度条件は、前駆体毎に変化し得る。しかし、好ましい濃度は、目的の官能基を保有する電気活性有機前駆体として0.1〜10mol/l、そして特に0.1〜5mol/lと考えられ得る。目的の官能基を含まない電気活性有機前駆体は、有機組成物(バリアントb))中に存在し、次いで、これらの前駆体は、10−3〜18mol/lの間、なおより好ましくは10−3〜9mol/lの間の濃度で存在する。
バリアントc)によれば、目的の官能基を、スペーサーアーム(これらは、例えば、いくつかの炭素原子の鎖であり得る)末端に配置することによって、これらのアクセシビリティーを改善することもできる。このスペーサーアームは、おそらく、このエレクトログラフトされたコーティングの前駆体上に直接的に存在しているか、または後から添加される。これらのスペーサーアームは、コーティングに付着されるオブジェクトのサイズが大きい場合に、特に有効である:スペーサーアームを保有する(プローブ)分子は一般的にオブジェクトより小さいので、エレクトログラフトされたコーティングへのスペーサーアームの付着は、大きなオブジェクトの付着より容易である。従って、それは、実質的に全てのエレクトログラフトされたコーティングの目的のアクセス可能な官能基に付着され得、そしてこれらと、なおよりアクセス可能である基とを置換することができる。
このプロセスに従い、好ましくは、電気分解は、ボルタンメトリックな条件下での分極によって実施される。
このプロセスの間に用いられる有機媒体は、好ましくは、ジメチルホルムアミド、酢酸エチル、アセトニトリル及びテトラヒドロフランから選択される。
この有機媒体は、特に、第四級アンモニウム塩(例えば、過塩素酸塩)、トシラート、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、第四級アンモニウムハライド、硝酸ナトリウム及び塩化ナトリウムから選択され得る少なくとも1つの支持電解質も含み得る。
これらの第四級アンモニウム塩の中で、例えば、テトラエチルアンモニウム過塩素酸塩(TEAP)、テトラブチルアンモニウム過塩素酸塩(TBAP)、テトラプロピルアンモニウム過塩素酸塩(TPAP)及びベンジルトリメチルアンモニウム過塩素酸塩(BTMAP)が特に言及され得る。
金に対するポリ(メタクリロイルスクシンイミド)のフィルムは、例えば、5×10−2mol/lのTEAPの存在下で、DMF中、メタクリロイルスクシンイミド0.5mol/lの溶液中に浸漬した金表面に対して、50mV/sで−0.4〜−2.8V/(Ag+/Ag)の10回のボルタンメトリックスキャンを実施することによって得られる。スクシンイミド官能基は、得られたフィルムに対する、5分間の超音波リンス後の、赤外反射吸収分光法(IRRAS)によって検出される。引き続いて実施例において詳述されるように、このグラフトされたフィルムは、ポリアリルアミンのアミン基とエレクトログラフトされたポリ(メタクリロイルスクシンイミド)のスクシンイミド基との反応による、ポリアリルアミンの付着を容易に可能にする。
さらに、ポリ(メタクリロイルスクシンイミド)フィルムを、金及び白金の両方の上に、アセトニトリル中で0.18mol/lで得ることができることが観察される。
あるいは、金上でのポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)(PHEMA)のエレクトログラフトされたフィルムの形成は、5×10−2mol/lのTEAP(テトラエチルアンモニウム過塩素酸塩)の存在下で、DMF中、ヒドロキシエチルメタクリレート0.4mol/lの溶液中に浸漬した金表面に対して、50mV/sで+1.0〜−3.0V/(Ag+/Ag)の10回のボルタンメトリックスキャンを実施することによって観察される。従来技術は、HEMAエレクトログラフティングを実施するためにはヒドロキシル基を保護することが必要であったと言及しているが(詳細には、欧州特許出願公開第0 665 275号を参照のこと)、このフィルムが、保護されていないヒドロキシル機を保有するモノマーを用いて得られることが注目され得る。実施例において詳述するように、このエレクトログラフトされたPHEMAフィルムは、ジイソシアナート基と容易に反応して、この表面の官能化後反応(post−functionalization)がもたらされ、このことは、この鎖の成長が、プロトン性の基の存在によって妨害されているにも関わらず、「molecular Vercro(登録商標)」のように作用し得るエレクトログラフトされたコーティングを得るために必要ではないことを示す。
最後に、本発明の主題は、相補的官能基を保有するオブジェクトまたは目的の分子(プローブ分子)を付着させるための接着プライマー(「molecular Velcro(登録商標)」)としての、本発明に従う支持体の使用である。
この使用の第一の有利な実施形態によれば、本発明に従う支持体は、タンパク質(アビジン、抗体、成長因子等)を付着されるために用いられ得る。潜在的な応用は、例えば、細胞接着及び、必要に応じて、コロニー再形成を促進する生物活性表面(血管形成、生体活性補綴物等)の製造;(所定の細胞壁に特定的な抗体の付着による)選択的セルソーティングのために用いられ得る表面の製造;導電性ブロックを有する支持体に基づくプロテインチップマトリクスの製造に関する。
この使用の第二の有利な実施形態によれば、本発明に従う支持体は、例えば、生体活性表面(アンチセンスオリゴヌクレオチド)または化学もしくは生化学分析チップ(例えば、DNAチップのような核酸チップ)のための付着ブロックを製造するために、核酸分子(例えば、DNA、RNAまたはオリゴヌクレオチド分子)を付着させるためにも用いられ得る。
この使用の第三の有利な実施形態によれば、本発明に従う支持体は、例えば、生体適合性表面または封入特性を有する表面を製造するために、オリゴ糖、及びより一般的に生体材料(例えば、デキストランなどの多糖、セラミックス等の生体適合性ポリマー)を付着させるためにも用いられ得る。
最後に、この使用の第四の有利な実施形態によれば、本発明に従う支持体は、表面化学反応を用いて導電性または半導体表面にオブジェクトを結合するためにも用いられ得る。
上記手段に加えて、本発明は、ポリ(メタクリロイルスクシンイミド)、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)またはポリメタクリロニトリル(PMAN)のフィルムでコーティングされた表面を含む本発明に従う支持体の調製の例、ポリアリルアミンを付着させるための接着プライマーとしての、エレクトログラフトされたポリ(メタクリロイルスクシンイミド)フィルムでコーティングされた支持体の使用を示す例、カルバメートを形成するための接着プライマーとしての、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)フィルムで覆われた支持体の使用を示す例、そして種々の分子またはマクロ分子を付着させるための接着プライマーとしての、ポリメタクリロニトリルフィルムを含む支持体の使用を示す例、及び添付の図1〜16が言及される以下の記載から明らかになる他の手段も含む:
−図1は、エレクトログラフトされたポリ(メタクリロイルスクシンイミド)フィルムでコーティングされた金表面のIRRASスペクトルを示し;
−図2は、ポリアリルアミンと官能化後、ポリ(メタクリロイルスクシンイミド)フィルムでコーティングされた金表面のIRRASスペクトルを示し;
−図3は、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)フィルムでコーティングされた金表面のIRRASスペクトルを示し;
−図4は、ジイソシアナートヘキサンとの反応及びカルバメートの形成後のポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)フィルムでコーティングした金表面のIRRASスペクトルを示し;
−図5は、エレクトログラフトされたPMANフィルムでコーティングされた金表面(上のスペクトル)の、ニトリル基からアミンへの還元後(真中のスペクトル)、及びアミド形成のためのこれらのアミン基とトリフルオロ酢酸無水物との反応後(下のスペクトル)のIRRASスペクトルを示し;
−図6は、エレクトログラフトされたPMANフィルムでコートされた金表面(CN)、水素化リチウムアルミニウムを用いるニトリル基からアミンへの還元後(CHNH)、尿素を形成するための、これらのアミン基と1,6−ジイソシアナートヘキサンとの反応後(CHNHCONH(CHNCO)、及びカルバメート形成のためのトリフルオロエタノールとの反応後(CHNHCONH(CHNHCOOCHCF)後のIRRASスペクトルを示し;
−図7は、エレクトログラフトされたPMANフィルムでコーティングされた金表面(CN)、水素化リチウムアルミニウムを用いるニトリル基からアミンへの還元後(CHNH)、尿素を形成するための、これらのアミン基と1,6−ジイソシアナートヘキサンとの反応後(CHNHCONH(CHNCO)及び対応するカルボメートを形成するための、ヒドロキシエチルセルロースとの反応後のIRRASスペクトルを示し;
−図8は、ヒドロキシエチルセルロースがグラフトされているエレクトログラフトされたPMANフィルムでコーティングされた金表面のIRRASスペクトル、及びヒドロキシエチルセルロースを含むKBrディスクのIRRASスペクトルを示し;
−図9は、ニトリル基からアミドへ(酸処理)、次いでカルボン酸への(アルカリ処理)加水分解後のエレクトログラフトされたPMANフィルムでコーティングされた金表面のIRRASスペクトルを示し;
−図10は、アビジンがグラフトされているエレクトログラフトされたPMANフィルムでコーティングされた金表面のIRRASスペクトルを示し;
−図11は、エレクトログラフトされたPMANフィルムでコーティングされた金表面(a);アビジンの付着後(b)ならびにアビジン及びその5’末端でビオチン化されたオリゴヌクレオチドの付着後のX線光電子分光法(XPS)により測定されたスペクトルのP2p領域を示し;
−図12は、エレクトログラフトされたPMANフィルムでコーティングされた金表面(a)、抗ウサギIgG抗体を付着したもの(b)、特異的な抗原の溶液で処理したもの(c)のIRRASスペクトルを示し;
−図13は、エレクトログラフトされたPMANフィルムでコーティングされた金表面(a)、ニトリル基が還元されているもの(b)、アミドを形成するためにグルタル酸無水物で処理したもの(c)、及び次いでトリフルオロ酢酸無水物で処理したもの(d)のIRRASスペクトルを示し;
−図14は、5’位がアミノ化されている一本鎖オリゴヌクレオチド、及び引き続く第一のオリゴヌクレオチドに相補的な第二のオリゴヌクレオチドとの反応後の、図13(d)のIRRASスペクトルを示し;
−図15は、5’位がアミノ化されている一本鎖オリゴヌクレオチド、及び引き続く第一のオリゴヌクレオチドに相補的な第二のオリゴヌクレオチドとの反応後の、図13(d)のフィルムのXPSスペクトルのP2p領域を示し;
−図16は、グリシジルメタクリレート基で官能化されているエレクトログラフトされたデキストランのフィルムのIRRASスペクトル(上のスペクトル)及びエレクトログラフティングする前のグリシジルメタクリレート基で官能化されているデキストランのスペクトル(下のスペクトル)を示す。
実施例1:エレクトログラフトされたポリ(メタクリロイルスクシンイミド)フィルムを用いるポリアリルアミンの付着
本実施例は、有機分子(スクシンイミド基、求電子物質)での官能基化に関連し得る目的の官能基を保有するモノマーのエレクトログラフティング、及びアミン(求核物質)とエレクトログラフトされたポリマーのスクシンイミド基との反応を介するそれ自体の官能化後反応の両方を例示する。アミン基を保有するプローブは、ポリマーであるポリアリルアミンであり、従って、官能化後反応は、ポリマー対ポリマーの反応であり、これは、エレクトログラフトされたコーティングのスクシンイミド基の高いアクセシビリティーを例示する。
a)エレクトログラフトされたポリ(メタクリロイルスクシンイミド)フィルムの形成
50mV/sでの−0.3〜−2.5V(Ag/Ag)の10回のボルタンメトリックスキャンを、5×10−2mol/lのTEAPの存在下でDMF中0.18、0.25または0.5mol/lのメタクリロイルスクシンイミド(MASU)溶液中に浸漬した金表面に対し実施する。添付の図1に示される、1782及び1746cm−1に特徴的なカルボニルのバンド(波長(cm−1)の関数としての透過率(%))を示す表面のIRRASスペクトルにより証明されるように、ポリ(メタクリロイルスクシンイミド)フィルムが得られる。
このIRRASスペクトルを、超音波を用いるアセトンでの5分間のリンスの後に測定した。
以下の表Iに、合成条件の関数としてのIRRASの特徴(スクシンイミド基のバンドC=Oの強度)をまとめる。
この表において、VCは、ボルタンメトリック条件下でのスキャンを示し、示した電位の限界値は、銀電極に対して位置するものである。
表I
Figure 2005531678
b)官能化後反応:ポリアリルアミンの付着
20mlの脱イオン水、次いで0.5mlの脱イオン水中20重量%のポリアリルアミン溶液を、マグネティックスターラーを備えるグラウンドチューブ(ground tube)に導入する。次いで、上記のプロトコルに従い得られたエレクトログラフトされたポリ(メタクリロイルスクシンイミド)フィルムを保有する金スライドを導入する。このスライドを、攪拌しながら、周囲温度で1時間30分放置する。
次いで、それを、チューブから取り出し、脱イオン水のジェット、引き続く脱イオン水中での2分間の超音波を用いてリンスし、最後に、窒素のブローによって乾燥する。
IRRAS(図2)によって、ポリアリルアミンの特徴的なバンド(詳細には、1656cm−1でのアミドバンドνCO、1574cm−1での伸長(elongation)νCN及び変角(deformation)δNHバンド、ならびに3254cm−1での伸長バンドνNH)の出現に伴う、1746及び1782cm−1でのスクシンイミド基に特徴的なバンドの減少が観察される。
実施例2:ジイソシアナートヘキサン(diisocyanatohexane)とエレクトログラフトされたポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)(PHEMA)フィルムのヒドロキシル基との反応によるカルバメートの形成
本実施例は、ヒドロキシル基を保有するモノマー(HEMA)のエレクトログラフティング、及びPHEMAフィルムの形成、ならびにジイソシアナートヘキサンのイソシアナート基と反応させてカルバメートを形成するためのこのPHEMAのヒドロキシル基の使用を例示する。それは、全ての基がこの反応によって変換されるので、ジイソシアナートへキサンにより構成されるプローブ分子に対する、エレクトログラフトされたポリマーのヒドロキシル基の高いアクセシビリティーも例示する。
a)PHEMAフィルムの形成
5×10−2mol/lのTEAPの存在下でDMF中2.7mol/lのヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)溶液中に浸漬した金表面に対して50mV/sでの−2.4〜+1V(Ag/Ag)の10回のボルタンメトリックスキャンを用いて、PHEMAフィルムを金上に生成する。得られたフィルムのIRRASスペクトルを図3に示す。1737cm−1での特徴的なカルボニルバンドの存在が注目される。このポリマーのヒドロキシエチルアームのヒドロキシル基に起因して、3500cm−1周辺にもバンドが観察される。
b)官能化後反応:ジイソシアナートヘキサンの付着
4Åモレキュラーシーブで乾燥した30mlのトルエン、1.5mlのトルエン中、5容量%のジイソシアナートヘキサン及び2滴の1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデク−7−エン(DBU)を乾燥グラウンドチューブに導入する。
次いで、上記の工程において得られ、乾燥トルエン中に予め浸漬(pre−soak)してその層でコーティングしたエレクトログラフトされたPHEMAフィルムでコーティングした金スライドを導入する。
チューブを閉じ、次いでアルゴン下、周囲温度で142時間、放置して反応させる。スライドを取り出し、ジェットを用いて、乾燥トルエン、引き続く乾燥アセトンでリンスする。次いで、それを窒素を用いて乾燥させる。
ジイソシアナートヘキサンとの反応及びカルバメートの形成の後に測定されたスライドのIRRASスペクトルを図4に示す。
3330cm−1でのνNH伸長バンド及び2264cm−1でのN=C=Oイソシアナートバンドの出現が観察される。1623cm−1でのバンドは、恐らく、残留DBUの存在に起因する。ヒドロキシル基に起因する3500cm−1周辺のバンドの消滅も観察され、これは、これらの基の変換が定量的であったこと、従ってこれらがプローブ分子に対して完全にアクセス可能であったことを示す。
実施例3:エレクトログラフトされたポリメタクリロニトリルフィルムのニトリルの還元による金スライド上でのアミン基の取得
本実施例は、アミン基の前駆体としてのポリメタクリロニトリル(PMAN)フィルムのニトリル基の使用、及びトリフルオロ酢酸無水物を用いるアミドの形成によるこれらのアミン基の反応性を例示する。ここでまた、官能化反応は定量的であり、このことは、ニトリル、次いで、アミン基が非常にアクセス可能であることを示す。
a)エレクトログラフトされたPMANフィルムでコーティングされた金スライドの調製
5×10−2mol/lのTEAPの存在下でDMF中2.5mol/lのメタクリロニトリル溶液中に浸漬した金表面に対して50mV/sでの−0.5〜−2.7V(Ag/Ag)の10回のボルタンメトリックスキャンを実施することによって、PMANフィルムを金上に作製する。形成されたポリマーのニトリル基は、IRRASにおける2235cm−1でのバンドによって同定される。
b)官能化後反応:トリフルオロ酢酸無水物を用いるアミドの形成
上記の工程a)において得られ、窒素でブローしたPMANフィルムでコーティングされたスライドを、セプタム(septum)を備えるチューブ中に導入する。セプタムを閉め、次いでモレキュラーシーブで乾燥した20mlのピリジン、及びモレキュラーシーブで乾燥したテトラヒドロフラン(THF)中、1mol/lの水素化リチウムアルミニウム(LiAlH)の1mlの溶液を、パージしたシリンジを用いてアルゴン下で導入する。このスライドを、反応媒体中に70℃で2分間放置する。次いで、このスライドを、ピリジンへの5分間の浸漬、次いで脱イオン水のジェットによりリンスし、窒素ブローにより乾燥し、1mol/lの水酸化ナトリウム溶液中で1分間超音波処理し、脱イオン水でリンスし、次いで窒素ブローによって乾燥する。
添付の図5は、エレクトログラフトされたPMANフィルムでコーティングされた金スライド(上)、水素化リチウムアルミニウムを用いるニトリル基からアミンへの還元後(中)、及びアミド形成のためのこれらのアミン基とトリフルオロ酢酸無水物との反応後(下)のIRRASスペクトルを示す。
ポリアリルアミンの形成の特徴としての、3250〜3450cm−1の間のNH基νNH伸長バンド、2929cm−1でのCH(NH)非対称伸長バンド、及び1642cm−1でのNH変角バンドの出現に伴って、2235cm−1でのニトリル伸長バンドの消滅が観察される。
実施例4:実施例3の実施形態に従い形成されたアミン基の反応性
本実施例の目的は、上記実施例3において生成されたアミン基がアクセス可能でありかつこれらの反応性を保存していることを確認することである。これは、J.Org.Chem.、1989、54、2498に記載される手順に従い、そして本発明の場合においては金表面上での反応に再適用したアミン官能基のアミド化によって実現される。
THF中のトリフルオロ酢酸無水物の0.35mol/l溶液20mlをチューブに導入する。実施例3で最終的に得られたスライドを、アルゴン下(セプタム)、周囲温度で2分間浸漬する。スライドを取り出し、乾燥THFでリンスし、次いで窒素ブローで乾燥する。
得られたコーティングを、IRRASにより分析し(示さず)、このコーティングは、アミンからのアミド基の形成に非常に特徴的である:1694cm−1でのアミドバンド、1572cm−1でのCN伸長及びN−H変角バンド、ならびに1209cm−1でのC−F伸長バンド(1250cm−1周辺にCNH変角バンドを伴う)の出現が観察される。同時に、2929cm−1周辺でのアミン伸長バンドの実質的に完全な消滅が観察される。
実施例5:実施例3において形成されたアミン基の反応性;1,6−ジイソシアナートヘキサンとの反応、尿素の形成
本実施例は、尿素を形成するための、実施例3において形成されたアミン基と、二官能性カップリング剤との反応を例示する。表面で形成された尿素は、それにアルコールを付着させるために用いられる。表面で尿素を合成するための手順は、Org.Synth.、1988、VI、951から適用される。
(4Åモレキュラーシーブを用いて乾燥した)乾燥トルエン中、5容量%の1,6−ジイソシアナートヘキサン(ONC−(CH−NCO)の溶液30mlを、チューブに導入する。実施例3で得られ、乾燥トルエンの層でコーティングさせた、アミン基を含むエレクトログラフトされたフィルムを保有する金スライドを、導入する。このスライドを、アルゴン下、マグネチックスターラーで攪拌しながら、周囲温度で22時間放置して反応させる。それをチューブから取り出し、乾燥トルエンのジェットでリンスし、次いで窒素のブローで乾燥する。
得られたフィルムを、実際、以下のプロトコルに従いトリフルオロエタノールと反応させる:30mlの乾燥トルエン(4Åモレキュラーシーブ)、1.5mlのトリフルオロエタノール、及び3滴のDBUをチューブに導入する。1,6−ジイソシアナートヘキサンで修飾され、乾燥トルエンの層でコーティングされたエレクトログラフトされたフィルムを保有するスライドを、そこに配置する。このスライドを、周囲温度、アルゴン下で、マグネチックスターラーで88時間攪拌しながらこの溶液と接触させた状態で放置する。スライドを取り出し、乾燥トルエン、引き続くアセトン、脱イオン水、最後にジェットによるアセトンを用いてリンスし、そして窒素ブローによって乾燥する。
添付の図6は、エレクトログラフトされたPMANフィルムでコーティングされた金スライド(CN)、水素化リチウムアルミニウムを用いるニトリル基からアミンへの還元後(CHNH)、尿素を形成するためのこれらのアミン基と1,6−ジイソシアナートヘキサンとの反応後(CHNHCONH(CHNCO)、及びカルバメートを形成するためのトリフルオロエタノールとの反応後(CHNHCONH(CHNHCOOCHCF)のIRRASスペクトルを示す。
最初のアミン基と1,6−ジイソシアナートヘキサンの2つのイソシアナート基のうち少なくとも1つとの反応の証拠である、3330cm−1のνN−H伸長バンド、2271cm−1のO=C=N伸長バンドならびに1633及び1576cm−1の尿素バンドが観察される。さらに、O=C=Nバンドは、いくつかのイソシアナート部位が利用可能なままであること(これは、アルコールとの反応させるためのこれらの基の使用を通して証明される)を示す。
カルバメート(CHNHCONH(CHNHCOOCHCF)を形成するためのトリフルオロエタノールとの反応後、得られたスライドのIRRASスペクトルは、1722及び1590cm−1でのカルバメートC=Oバンド(尿素のバンドと混合されている)、1256cm−1でのCHOバンド(CFCHO−)、及び1179cm−1でのC−F結合伸長バンドも示す。2271cm−1でのNCOバンドの消滅も注目される。
ここでも、コーティング上で引き続き実現される官能基の変換は、定量的であり、このことは、これらの高いアクセシビリティーを示す。
実施例6:ヒドロキシエチルセルロースを付着させるためのエレクトログラフトされたポリマーフィルムの官能基の使用
本実施例は、上記の実施例5において形成された尿素が、ヒドロキシエチルセルロース、及びより一般的には多糖、の付着も可能にするという事実を例示する。この経路は、エレクトログラフトされたコーティング上での目的の官能基の高いアクセシビリティーによってその付着が可能になるような、複雑な三次元構造を有するマクロ分子の反応を例示する。それは、導電性表面、特に金属、に付着させることが困難なポリマーまたはマクロ分子の付着を可能にするので有利であり、その価値としては、金属上に、バイオミメティック(biomimetic)表面(ヘパリン、修飾デキストラン、ヒアルロン酸等)、及び複雑な目的の生物学的分子(DNA、タンパク質、成長因子等)の付着のためのモジュールの作製への道を開くことがある。
1,6−ジイソシアナートヘキサンで修飾され、フリーのイソシアナート基を有するエレクトログラフトされたフィルムでコーティングされた金スライドを、上記の実施例5に記載されるように作製する。
4Åモレキュラーシーブで乾燥したDMF30mlをチューブに導入する。10分間のアルゴンのスパージングによってこの溶液を脱気する。次いで0.6gのヒドロキシエチルセルロースを導入し、そしてこの溶液を、マグネティックスターラーで攪拌しながら、60℃で15分間加熱して溶解させる。次いで、5滴のDBUを添加し、そしてイソシアナート基を保有するスライドをその合成溶液(トルエン及び過剰の1,6−ジイソシアナートヘキサン)でコーティングし、次いで導入する。このスライドを、アルゴン下、マグネティックスターラーで攪拌しながら50℃で46時間放置して反応させる。スライドを取り出し、そしてマグネティックスターラーで攪拌しながら脱イオン水中で1時間リンスする。
このようにして得られた支持体のIRRASスペクトルを、添付の図7に示す。この図において、エレクトログラフトされたPMANフィルムでコーティングされた金スライドのスペクトル(CN)、水素化リチウムアルミニウムを用いるニトリル基からアミンへの還元後のスライドのスペクトル(CHNH)、引き続く尿素を形成するための1,6−ジイソシアナートヘキサンとこれらのアミン基の反応後(CHNHCONH(CHNCO)、そして最後にカルバメートを形成するためのヒドロキシエチルセルロースとの反応後(CHNHCONH(CHNHCOOCHCHヒドロキシエチルセルロース)のスライドのスペクトルを見ることができる。1200〜1000cm−1の間のヒドロキシエチルセルロースの特徴的なバンド(エーテル(COC)及びアルコール(OH)基の伸長バンドに対応する)と共に、第二のカルバメートバンドが、1715cm−1に観察される。
対照的に、図8は、本発明に従う金スライドにおいて得られたフィルムのスペクトル及びヒドロキシエチルセルロースを含むKBrディスクのスペクトルを示す。このスペクトルから、本発明の支持体へのヒドロキシエチルセルロースの付着が確認される。
実施例7:導電性及び半導体表面上のアミド及びカルボン酸基の前駆体であるエレクトログラフトされたPMANフィルム
本実施例は、上記の実施例3において得られるようなPMANフィルムが、金属表面上でのアミド及びカルボン酸基の単純な前駆体として用いられ得るという事実を例示する。この変換は、開始時のフィルムとは異なる反応基の形成を容易に生じるが、疎水性のエレクトログラフトされたフィルムから親水性表面を単純に作製することも可能にするといる利点を有する(このことは、特に、親水性化合物接着プライマーとしてのフィルムの使用を容易にし、そして生物医学的応用においてより容易に許容されるコーティングの作製において有用であり得る)。
ニトリル官能基を、2工程:
Figure 2005531678
でカルボン酸官能基へと改変した。
反応時間に従い、数%〜100%の変換を有することが可能である。これらの処理は、厚みのかなりの損失を伴う。酸処理の後、処理された領域は、親水性である。水は、修飾された部分を完全に湿らせ、そして表面上に「層」を形成する。
2つの反応を、開口ビーカーまたはフラスコ中、100℃(内部温度)で、大気圧下で実施する。各々の処理の後、スライドを、水中に5分間浸漬してリンスし、次いで、窒素ブローによって乾燥させる。
用いる溶液は以下のとおりである:
・酸溶液:
21mlの95%以上のHSO
3.5gのNaHSO:約37Nの溶液
・塩基溶液
18gのNaOH/25ml HO:18Nの溶液。
5秒間以下の時間、酸媒体中にスライドを浸漬させること、及び5〜10秒間、塩基性媒体にそれを浸漬させることによって部分的な処理が得られる。2つの媒体中での30秒間の処理により、ニトリル官能基の完全な消滅(これらの完全な変換に対応する)がもたらされる。
IRRAS分析を各々の工程の前後に実施する:ニトリル基からアミドへの加水分解(酸処理)の前後、及び引き続くカルボン酸官能基への変換(塩基処理)の後の、エレクトログラフトされたPMANフィルムでコーティングされた金スライド。
得られたIRRASスペクトルを添付の図9に示す。
これらのスペクトルの分析によって酸処理における1680cm−1のアミドバンド(C=O伸長)、及び1605cm−1のNH基変角バンドの形成が明らかになる。塩基処理の後、カルボニルバンドが1700cm−1にシフトする(恐らく二量体化したカルボン酸に対応する)ことが注目される。
実施例8:エレクトログラフトされたPMANフィルムへのアビジンの付着
本実施例は、エレクトログラフトされたPMANフィルムのニトリル基が、タンパク質の共有結合のために用いられ得ることを例示する。実際、ニトリル基が、以下の反応:
R−CN + R’−OH → R−C(OR’)=NH
に従い、アルコールと反応してイミノエーテルを生じることが知られている(Pinner synthesis、cf.:P.L.Compagnon、M.Miocque、Annales de Chimie、1970、5、23)。
アミン及びチオールについての同じ型の反応も知られている。上記の実施例6におけるように、複雑な3次元構造を有するマクロ分子の付着は達成されており、そしてそれはエレクトログラフトされたポリマーのニトリル官能基の高いアクセシビリティーに起因してのみ可能である。以下の実施例において、このアクセシビリティーが、それが、アビジンに対して非常に高い親和性を有するビオチンフラグメントを保有する分子との反応による、その活性を保存するコンフォメーションのタンパク質の付着さえ可能にするようなものであることが例示される。
pH7.2のリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)中、2ml/lのアビジン溶液30mlをセプタムを備えるチューブに導入する。上記の実施例3において調製されるようなエレクトログラフトされたPMANフィルムでコーティングした金スライドをその中に配置する。このスライドを、4℃の温度で15時間放置して反応させる。次いで、それを取り出して、脱イオン水でリンスする。
このようにして得られたスライドのIRRASスペクトルを添付の図10に示す。
このスペクトルの分析は、このタンパク質の特徴であるアミドバンドI(1666cm−1)及びII(1545cm−1)、ならびに骨格のバンド(1469cm−1)の存在を示す。
実施例9:エレクトログラフトされたPMANフィルムに付着したアビジンの活性の確認
本実施例は、実施例8のプロトコルに従い付着したアビジンが活性であることを、ビオチン化オリゴヌクレオチド(ODN)の付着の点からそれを用いることによって例示する。用いるODNは、以下の15マーである:
ビオチン−5’−GCTTGCTGAAGTTCG−3’(ビオチン−配列番号1)
実施例8のプロセスに従い得られたスライドを、チューブの中の、PBS緩衝液(pH7.2)中のこのOND25μMの溶液に浸漬する。スライドを、周囲温度で15時間反応させ、取り出し、脱イオン水のジェットを用いて数回リンスする。
ODNの存在を、X線光電子分光法(XPS)によって検出する。この分析ならびに単にエレクトログラフトされたPMANフィルムでコーティングされたスライドの分析及び実施例8(アビジンの付着後)において得られたスライドの分析に対応する曲線を添付の図11に示す。領域P2pは、ODN塩基のホスフェート基のリン酸原子の存在を示す。
これらの結果は、実施例8に従い調製されたスライドが、その活性を保存するコンフォメーションのアビジンを付着させることを可能にすることを、アビジンに対して非常に高い親和性を有するビオチンフラグメントを保有する分子との反応によって示す。
実施例10:エレクトログラフトされたPMANフィルムへの抗体の付着及びその活性の確認
本実施例は、エレクトログラフトされたフィルムが、複雑な三次元構造を有する分子を付着させるためのプライマーとして用いられ得る(ここで、この構造は、その分子の特性を決定するものである)という事実を例示する。表面上に存在する目的の官能基の高いアクセシビリティーは、実際、プローブタンパク質の最小限のゆがみを可能にし、従ってこのことは、活性なコンフォメーションを保存し得る。
このために、抗体、抗ウサギIgG免疫グロブリンを付着させる。次いで、この抗体の活性及び特異性を、第一に、特異的抗原(ウサギIgG)及び、第二に、非特異的抗原(ヒツジIgG)との反応によって確認する。
抗体の付着が、特に、エレクトログラフトされたポリマーを介する細胞の付着への道を開くことに注目すべきである。
表面への(例えば、センサーのトランスデューサーへの)抗体の付着を可能にするために、一般的には、予め電極を修飾することが必要である。結果として、多くの表面の基が生成され得るが、これらは、免疫グロブリンのカップリングを可能にしなければならず;従って、3つの型の官能基が本発明者らの注目を集めた:アミン、アルコール、シアノ。
アミン及びアルコール官能基は、しばしば、表面に抗体を付着させるために用いられる。従って、表面の官能基と免疫グロブリンのこれらとの間の共有結合を形成するための多くの市販のカップリング剤が存在する。
一方、シアノ官能基は、生体分子の直接的な付着を可能にする。この方法は、独自のものであり、そして表面、特に導電性表面に免疫グロブリンを付着させるために用いられたことはない。
抗体は、表面にこれらを付着させることができる種々の官能基:アミン(NH)、酸(COOH)、ヒドロキシル(OH)及びジスルフィド架橋(S−S)を含む。アミン及び酸官能基は、アミノ酸を起源とし、抗体の構成要素でありタンパク質にわたって分布している。従って、これらは、容易だが局在化していないカップリング(これは、抗原に対する抗体の不活性化(変性)を生じ得る)を可能にする付着の可能性のある複数の部位である。アミン及び酸官能基は、表面に抗体全部をグラフトすることを可能にする。一方、それは、ジスルフィド(S−S)を切断し、チオール官能基(SH)を生成することを必要とする。次いで、それは、付着しているFAB’フラグメントとなる。このようにして得られた生体分子の層は、反応性部位に関してより密であり、さらに、チオール官能基が残存する定常部分に存在するので、これらの抗体は、方向付けられている。抗体は、その活性部位の1つを介して付着しないので、後者の特徴が重要である。このようにして固定化された免疫グロブリンは、変性及び抗原に対する不活性化の危険性が少ない。
シアノ官能基の場合を除いて、表面及び抗体の官能基を共有結合することを可能にするカップリング剤を用いることは本質的なことである。エレクトログラフトされたフィルムが、プライマー層を提供すること及び生物学的プローブ分子の付着に直接的に利用可能である目的の官能基をもたらすことの両方を可能にするという事実を本明細書中に例示する。
PBS緩衝液(pH7.2)中、2mg/lの抗ウサギIgG溶液をチューブに導入する。上記実施例3において調製されるようなエレクトログラフトされたPMANフィルムでコーティングされた金スライドをこの溶液に浸漬する。このスライドを、4℃で15時間放置して反応させ、次いで取り出し、そして脱イオン水のジェットでリンスし、そして窒素ブローによって乾燥させる。
このように処理したスライドを、再び、PBS中2mg/lの特異的抗原(ウサギIgG)の溶液に浸漬し、そして周囲温度で15時間放置する。次いで、それを取り出し、脱イオン水のジェットでリンスし、そして窒素ブローによって乾燥する。
このスライドを、抗体での処理の前後、及び抗原での処置の後にIRRASによって分析する。
このようにして得られたIRRASスペクトルを添付の図12に示す。
これらのスペクトルの分析によって、アミドバンドI(1655cm−1)及びII(1546cm−1)ならびに1469cm−1のタンパク質骨格のバンドも明らかになる。
アミドバンドI(1655cm−1)及びII(1546cm−1)、ならびに1469cm−1でのタンパク質骨格のバンドの増加も観察され、このことは、表面に付着したタンパク質の量が増加したことを証明している(抗原(そのサイズは抗体のそのサイズとほぼ同じである)とのカップリングの効果の下、これらのバンドの実質的に2倍の強度が注目される)。
抗体(抗ウサギIgG)でコーティングされたスライドが非特異的抗原(ヒツジIgG)を含む溶液中で同じ条件で処理された場合に、IRRASスペクトル上で上記の特徴的なバンドの非常にわずかな上昇(恐らく、非特異的吸着に起因する)しか観察されないので(示さず)、この結果はいっそうの証拠になる。
実施例11:エレクトログラフトされたPMANフィルムへのDNAの付着
本実施例は、上記実施例9において見出される経路に対する代替的な経路に従う、エレクトログラフトされたポリマーの反応性官能基へのオリゴヌクレオチド(ODN)の付着を例示する。
このために、エレクトログラフトされたポリマーのカルボン酸官能基を用いて、これらとその5’末端にアミン官能基を保有する一本鎖ODN:
N−5’−GCTTGCTGAAGTTCG−3’−(HN−配列番号1)
のアミン官能基とを反応させる。
次いで、この鎖の付着を、官能化されていない相補鎖:
5’−CGAACGACTTCAAGC−3’(配列番号2)
とのハイブリダイゼーションによって明らかにする。
本明細書におけるスペーサーアームの可能な使用を例示するために、フィルムの事前の相補的な官能化を実施する:出発物質は、エレクトログラフトされたPMANフィルムであり、そのニトリルを、例えば、実施例3に示されるようにアミンに還元する。これらのアミンを、以下のプロトコルに従いグルタル酸無水物と反応させて、カルボン酸官能基を得る:モレキュラーシーブ(4Å)で乾燥したTHF30mlをチューブに導入し、それに1gのグルタル酸無水物を添加する。アミン基を保有するスライドをこのチューブに導入し、そしてマグネティックスターラーで攪拌しながら、アルゴン下で(セプタム)、50℃の温度で17時間放置して反応させる。次いで、このスライドをアセトンでリンスし、次いで窒素ブローで乾燥する。
次いで、以下のプロトコルに従うトリフルオロ酢酸無水物を用いるアミド化によって残留アミン基を破壊する:モレキュラーシーブで乾燥したTHF30ml、引き続き1mlのトリフルオロ酢酸無水物をチューブに導入する。次いで、前の工程のスライドを導入し、そして周囲温度で、マグネティックスターラーで攪拌しながらアルゴン下で、2.5分間放置して反応させる。このスライドを取り出し、次いで脱イオン水に5分間浸漬し、次いで脱イオン水のジェットを用いてリンスし、そして最後に、窒素ブローによって乾燥する。
このスライドを、各工程の前後でIRRASにより分析する:このようにして得られたスペクトルを添付の図13に示す。
アミド化反応の前、IRRAS分析によってカルボン酸基C=O伸長バンド(1700cm−1)、及び1591cm−1のアミドIIバンドが明らかになり、これは、少なくとも部分的に官能化された構造を示しており、そして以下の構造:R−(CH−NH−(CH−NH(C=O)−(CH−COOH)(ここで、y/(x+y)は、最初のアミン基とグルタル酸無水物との置換の程度を示し、そしてRは、エレクトログラフトされたPMANの骨格である)を有する。
アミド化反応の後、IRRAS分析によって、カルボン酸基C=O伸長バンド(1700cm−1)、及び1591cm−1のアミドIIバンドが確かめられ、そしてCF基のC−F伸長バンド(1203cm−1)が明らかになる。これは、以下の構造:
R−(CH−NH(C=O)CF−(CH−NH(C=O)−(CH−COOH)
(ここで、y/(x+y)は、グルタル酸無水物による最初のアミン基の置換の程度であり、そしてRは、エレクトログラフトされたPMANの骨格である)
を有する官能化された構造を示している。
次いで、このようにして官能化された表面を、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)及び1,3−(ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)の存在下、周囲温度で、15時間、脱イオン水中、15μMの5’位でアミノ化されたODN(15マー)の溶液と反応させる。
このスライドを取り出し、脱イオン水でリンスし、そして窒素ブローによって乾燥し、次いでIRRAS及びXPSによって分析する。
次いで、このようにして得られたスライドを、周囲温度で、15時間、脱イオン水中で付着させた第一の鎖に相補的なODN鎖の溶液と反応させ、取り出し、脱イオン水でリンスし、次いで窒素ブローによって乾燥する。
このようにして得られたIRRASスペクトルを添付の図14に示す。
XPSスペクトルを添付の図15に示す。
付着させた第一の鎖に相補的なODN鎖との反応の前のIRRASスペクトルの分析により、窒素に基づくアミドバンド及び1273cm−1周辺のホスフェート基のP=O結合伸長バンドの存在が明らかになる。
このスライドのXPS分析により、DNAホスフェート基の結合エネルギーの特徴を有するリンの存在が明らかになる。
付着した第一の鎖に相補的なODN鎖との反応後のIRRASスペクトルの分析によって窒素ベースアミドバンドが確認され、そして1273cm−1周辺でのホスフェート基のP=O結合伸長バンドの強度の有意な増加が示される。この観察は、XPS分析によって確認される。
実施例12:スペーサーアームを保有する前駆体モノマーのエレクトログラフティング
本実施例は、6個の炭素原子を含むスペーサーアーム、及び(塩化アンモニウムの形態の)目的のアミン基を保有するモノマー:以下の式のアミノヘキシルメタクリルアミド(AHMAA):
Figure 2005531678
のエレクトログラフティングを例示する。
本実施例は、目的の官能基が全てアクセス可能であるエレクトログラフトされたポリマーを生じる、プロトン性基、スペーサーアーム、を保有するモノマーをエレクトログラフトする可能性を例示する。これらは、アミン基を保有するエレクトログラフトされたフィルムを得るための実施例3の経路に対する代替的な経路を構成する。本実施例のフィルムを用いて再現した実施例4、5、6及び11も同様の結果を生じる。
100mV/sでの−0.5〜−2.3V/(Ag/Ag)の20回のボルタンメトリックスキャンを5×10−2mol/lのTEAPの存在下で、DMF中、0.25mol/lのAHMAAの溶液に浸漬した金表面に対して実施することによって、金上にポリAHMAA(PAHMMA)フィルムを作製する。このスライドを、電気化学セルから取り出し、次いで脱イオン水、引き続きアセトンを用いて激しくリンスし、最後に、窒素のストリーム下、乾燥した。
そのIRRASスペクトル(示さず)は、予想されるポリマーに特徴的なものであり、詳細には、1535及び1465cm−1のアミドバンドに加えて、1613及び1522にアンモニウム基ならびに2050cm−1にハーモニック(harmonic)の特徴的なバンド、ならびに2400〜2800cm−1の間に一連の微細なバンド、ならびに3327cm−1にN−H伸長バンドを有する。
次いで、得られたPAHMAAフィルムを、1mol/lの水酸化ナトリウム(NaOH)溶液中に攪拌しながら15分間、浸漬する。次いで、このスライドを脱イオン水、引き続きアセトンでリンスし、最後に、上記のように乾燥する。そのIRRASスペクトル(示さず)により、アンモニウム基の特徴的なバンドの消滅、ならびに2933cm−1(CH−NH伸長)及び3360cm−1(第一級アミンのN−H伸長)でのアミン基の特徴的なバンドの出現が明らかになる。この結果は、水酸化ナトリウムとの酸−塩基反応によってアミンに変換されるアンモニウム基の完全なアクセシビリティーを実証する。
次いで、このスライドを、再び、1mol/lの塩酸溶液に20分間浸漬し、次いでリンスし乾燥する。
そのIRRASスペクトル(示さず)は、あらゆる点で、上記で得られるスペクトルと同一であり、このことは、形成されたアミン基は、それら自体、再び、アンモニウム基への完全に変換されていることを示す。
これらの結果は、XPS(示さず)によって確認される(ここで、フィルムが塩化アンモニウムの形態である場合、スペクトル全体に対する塩素の存在が明らかに観測され、そしてそれがアミン形態である場合にそれが存在しないことが観察される)。同時に、窒素のK閾値の領域(N1s)は、フィルムがアンモニウム形態である場合に400(アミド)及び402eV(アンモニウム)に2つのピークを含み、そしてそれがアミン形態である場合に、400.5eV周辺を中心とするシングルピークを含む。
実施例13:エレクトログラフトされたデキストラン/メタクリレートフィルムの調製
本実施例の目的は、活性化ビニル基で部分的に誘導体化されたマクロ分子をエレクトログラフトすること、及び引き続く官能化後反応のためのこの分子の非誘導体化官能基を有することが可能であることを実証することである。用いられるマクロ分子は、グリシジルメタクリレート(GMA)基で官能化されたデキストランである。
デキストラン−GMAと呼ばれる、考慮されるマクロ求電子物質は、以下の式により表される:
Figure 2005531678
上記の式において、明確化のために、1つのヒドロキシルのみがGMAで置換されているように示している。その割合は、実際には、合成の条件に従って変化する。
デキストラン−GMAは、van Dijk−Wolthuisら、W.N.E.、Macromolecules、1995、28、6317に記載されるプロトコルに従って、質量M=15000のデキストラン及びグリシジルメタクリレート(2,3−エポキシプロピルメチルプロペノエート)から得られる。
H NMR及び13C NMRによるこの生成物の分析(示さず)は、77%の程度の置換を有するデキストラン−GMAが得られていることを示す。
10−2mol/lのTEAPの存在下でDMF50ml中に0.25gのデキストラン−GMAを溶解することによって、デキストラン−GMA溶液と呼ばれる溶液を調製する。従って、この溶液は、約3.3×10−4mol/lのデキストラン−GMAである。
クロムミストで前処理したガラススライド上に、Joule効果を用いて、金を噴霧することによって、いくつかの金表面(金スライドと呼ぶ)を調製する。
本発明に従うプロセスによれば、デキストラン−GMA溶液中で、以下の電位プロトコル:
−100mV/sの速度でのEinitial=−0.6V/(Ag/Ag)〜Efinal=−2.8V(Ag/Ag)の15回スキャンのボルタンメトリック条件、
に従い、三電極アセンブリにおける作用電極として用いられる金スライド上に、デキストラン−GMAがエレクトログラフトされる。
このスライドをアセトン及び水でリンスした後、200nmの厚さのフィルムが得られ、IR分光法によって証明されたその特徴は、ポリ(デキストラン−GMA)の特徴に対応する(図16、ここで下の曲線は、リンス前のスライドのIRスペクトルを示し、そして上の曲線は、リンス後のIRスペクトルを示す)。
エレクトログラフトされたデキストランの多数のOH基の特徴である、3500cm−1の周辺のバンドの存在が、特に観察される。
図1は、エレクトログラフトされたポリ(メタクリロイルスクシンイミド)フィルムでコーティングされた金表面のIRRASスペクトルを示す。 図2は、ポリアリルアミンと官能化後、ポリ(メタクリロイルスクシンイミド)でコーティングされた金表面のIRRASスペクトルを示す。 図3は、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)フィルムでコーティングされた金表面のIRRASスペクトルを示す。 図4は、ジイソシアナートヘキサンとの反応及びカルバメートの形成後のポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)フィルムでコーティングした金表面のIRRASスペクトルを示す。 図5は、エレクトログラフトされたPMANフィルムでコーティングされた金表面(上のスペクトル)、ニトリル基からアミンへの還元後(真中のスペクトル)、及びアミド形成のためのこれらのアミン基とトリフルオロ酢酸無水物との反応後(下のスペクトル)のIRRASスペクトルを示す。 図6は、エレクトログラフトされたPMANフィルムでコートされた金表面(CN)、水素化リチウムアルミニウムを用いるニトリル基からアミンへの還元後(CHNH)、尿素を形成するための、これらのアミン基と1,6−ジイソシアナートヘキサンとの反応後(CHNHCONH(CHNCO)、及びカルバメート形成のためのトリフルオロエタノールとの反応後(CHNHCONH(CHNHCOOCHCF)後のIRRASスペクトルを示す。 図7は、エレクトログラフトされたPMANフィルムでコーティングされた金表面(CN)、水素化リチウムアルミニウムを用いるニトリル基からアミンへの還元後(CHNH)、尿素を形成するための、これらのアミン基と1,6−ジイソシアナートヘキサンとの反応後(CHNHCONH(CHNCO)及び対応するカルボメートを形成するための、ヒドロキシエチルセルロースとの反応後のIRRASスペクトルを示す。 図8は、ヒドロキシエチルセルロースがグラフトされているエレクトログラフトされたPMANフィルムでコーティングされた金表面のIRRASスペクトル、及びヒドロキシエチルセルロースを含むKBrディスクのIRRASスペクトルを示す。 図9は、ニトリル基からアミドへ(酸処理)、次いでカルボン酸への(アルカリ処理)加水分解後のエレクトログラフトされたPMANフィルムでコーティングされた金表面のIRRASスペクトルを示す。 図10は、アビジンがグラフトされているエレクトログラフトされたPMANフィルムでコーティングされた金表面のIRRASスペクトルを示す。 図11は、エレクトログラフトされたPMANフィルムでコーティングされた金表面(a);アビジンの付着後(b)ならびにアビジン及びその5’末端でビオチン化されたオリゴヌクレオチドの付着後のX線光電子分光法(XPS)により測定されたスペクトルのP2p領域を示す。 図12は、エレクトログラフトされたPMANフィルムでコーティングされた金表面(a)、抗ウサギIgG抗体を付着したもの(b)、特異的な抗原の溶液で処理したもの(c)のIRRASスペクトルを示す。 図13は、エレクトログラフトされたPMANフィルムでコーティングされた金表面(a)、ニトリル基が還元されているもの(b)、アミドを形成するためにグルタル酸無水物で処理したもの(c)、及び次いでトリフルオロ酢酸無水物で処理したもの(d)のIRRASスペクトルを示す。 図14は、5’位がアミノ化されている一本鎖オリゴヌクレオチド、及び引き続く第一のオリゴヌクレオチドに相補的な第二のオリゴヌクレオチドとの反応後の、図13(d)のIRRASスペクトルを示す。 図15は、5’位がアミノ化されている一本鎖オリゴヌクレオチド、及び引き続く第一のオリゴヌクレオチドに相補的な第二のオリゴヌクレオチドとの反応後の、図13(d)のフィルムのXPSスペクトルのP2p領域を示す。 図16は、グリシジルメタクリレート基で官能化されているエレクトログラフトされたデキストランのフィルムのIRRASスペクトル(上のスペクトル)及びエレクトログラフティングする前のグリシジルメタクリレート基で官能化されているデキストランのスペクトル(下のスペクトル)を示す。

Claims (21)

  1. 還元可能な酸化物を表面上に含む少なくとも1つの導電性及び/または半導体の領域を含む固体支持体であって、該表面の少なくとも1つのゾーンが、必要に応じて、目的の官能基を含まない電気活性有機前駆体との混合物中に、各々少なくとも1つの目的の官能基を含む電気活性有機前駆体から得られるエレクトログラフトされた(electrografted)有機フィルムで官能化されていること、及び該フィルム中の相補的な基との共有、イオンまたは水素結合の形成のためにアクセス可能な目的の官能基の数が目的の有機官能基の総数の少なくとも90%を示すことを特徴とする、固体支持体。
  2. 前記有機前駆体が:
    −少なくとも1つの目的の有機官能基を保有する重合可能及びエレクトログラフト可能なモノマー;
    −誘導体化によって、所望される目的の反応性有機官能基を得ることが可能である少なくとも1つの官能基を保有する重合可能及びエレクトログラフト可能なモノマー;
    −少なくとも1つの目的の有機官能基を保有するモノマー、または、誘導体化によって所望される目的の反応性有機官能基を得ることが可能である少なくとも1つの官能基を保有するモノマーで官能化されている分子、マクロ分子及びオブジェクト、
    から選択されることを特徴とする請求項1に記載の支持体。
  3. 前記重合可能なモノマーが、以下の式(I)及び(II):
    Figure 2005531678
    ここで:
    −A、B、R及びRは、同じでも異なっていてもよく、水素原子、C−Cアルキル基、ニトリル基または以下の官能基;ヒドロキシル、アミン:−NH(xは1または3である)、チオール、カルボン酸、エステル、アミド:−C(=O)NH(ここで、yは1または2である)、イミド、イミドエステル、芳香族、酸ハライド:−C(=O)X(ここで、Xは、フッ素、塩素または臭素から選択されるハロゲン原子を示す)、酸無水物:−C(=O)OC(=O)、ニトリル、スクシンイミド、フタルイミド、イソシアナート、エポキシド、シロキサン:−Si(OH)(ここで、zは、1〜3の間の整数である)、ベンゾキノン、カルボニルジイミダゾール、パラ−トルエンスルフォニル、パラ−ニトロフェニルクロロホルメート、エチレン及びビニル、または上記の官能基の少なくとも1つを保有する有機基(またはスペーサーアーム(spacer arm))から選択される有機官能基を示し;A及びBのうち少なくとも1つそしてR及びRのうち少なくとも1つが該有機官能基の1つまたは該官能基の少なくとも1つを保有する有機基を示すと理解され;
    −n、m及びpは同じでも異なっていてもよく、0〜20の間の整数である、
    に夫々対応する、求核攻撃により開裂可能な分子及び活性化ビニルモノマーから選択されることを特徴とする、請求項2に記載の支持体。
  4. 前記式(I)の活性化ビニルモノマーが、メタクリロイルスクシンイミド、ヒドロキシエチルメタクリレート、メタクリロニトリル、アクリロニトリル、グリシジルアクリレート及びグリシジルメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、アミノプロピルメタクリルアミド、アミノヘキシルメタクリルアミド、メタクリロイルスクシンイミド、アクリロイルスクシンイミド、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、メチルシアノメタクリレート、メチルシアノアクリレート、2−及び4−ビニルピリジンならびに4−クロロスチレンから選択されることを特徴とする、請求項3に記載の支持体。
  5. 前記式(II)の、求核攻撃によって開裂可能な分子が、エチレンオキシド、置換エチレンオキシド、ブチロラクトン、カプロラクトン、そして特にε−カプロラクトンから選択されることを特徴とする、請求項3に記載の支持体。
  6. モノマーで官能化された該分子、マクロ分子及びオブジェクトが、オリゴヌクレオチド、核酸分子、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質、オリゴ糖、ポリマー、フラーレン、官能化カーボンナノチューブ、及び細胞から選択され;該分子、マクロ分子及び該オブジェクトが、請求項3に規定される式(I)または(II)に対応するモノマーで、全体的または部分的に誘導体化されることを特徴とする請求項2に記載の支持体。
  7. 前記導電性または半導体表面が、ステンレス鋼、スチール、鉄、銅、ニッケル、コバルト、ニオブ、アルミニウム、銀、チタン、シリコン、窒化チタン、窒化タングステンもしくは窒化タンタルの表面、または金、白金、イリジウムもしくは白金−イリジウム合金表面から選択される貴金属表面であることを特徴とする、前記請求項のいずれか一項に記載の支持体。
  8. アクセス可能な目的の官能基の密度が、好ましくは10/μm〜1010/μmの間であることを特徴とする、前記請求項のいずれか一項に記載の支持体。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に規定される支持体を調製するためのプロセスであって、該プロセスは、少なくとも1つの目的の官能基を含む少なくとも1つの電気活性有機前駆体を有機媒体中に含む組成物と、表面上に還元可能な酸化物を含む固体支持体の少なくとも1つの導電性及び/または半導体領域のゾーンとを接触させ、後者を、電位プロトコルに供することによる、該組成物の該有機媒体中での電気分解によって、該領域への該電気活性有機前駆体の単一工程でのエレクトログラフティングを実施することを包含し、ここで、該電位プロトコルの間、それは、該電位プロトコルの全てまたは一部において、参照電極に対して測定される閾値電位(threshold electrical potentical)以上の電位にされており、該閾値電位は、該前駆体のグラフティングが生じる電位を超える電位であることを特徴とし、そして:
    a)60%以下の程度のグラフティングをもたらすように該電位プロトコルを調整することによって、及び/または
    b)該官能化電気活性有機前駆体が目的の官能基を含まない電気活性有機前駆体との混合物(後者が該組成物中に存在する前駆体の総数の0.1〜95%を示す)中に存在する組成物を用いることによって、及び/または
    c)目的の官能基がスペーサーアームの末端に保有されているものから選択される電気活性有機前駆体を用いることによって、
    目的の官能基の少なくとも90%(数で)のアクセシビリティの程度が得られることを特徴とする。
  10. 前記グラフティングの程度が10〜40%の間の値に調整されることを特徴とする、請求項9に記載のプロセス。
  11. バリアントb)に従い、目的の官能基を含まない電気活性有機前駆体が前記組成物中に存在する前駆体の総数の0.1〜50%を示すことを特徴とする、請求項9または10に記載のプロセス。
  12. 目的の官能基を含む電気活性有機前駆体の濃度が0.1〜10mol/lの間であることを特徴とする、請求項9〜11のいずれか一項に記載のプロセス。
  13. 前記有機組成物中の目的の官能基を含まない電気活性有機前駆体の濃度が10−3〜18mol/lであることを特徴とする、請求項9〜12のいずれか一項に記載のプロセス。
  14. 前記電気分解がボルタンメトリック条件下で実施されることを特徴とする、請求項9〜13のいずれか一項に記載のプロセス。
  15. 前記有機媒体がジメチルホルムアミド、酢酸エチル、アセトニトリル及びテトラヒドロフランから選択されることを特徴とする、請求項9〜14のいずれか一項に記載のプロセス。
  16. 前記有機媒体が少なくとも1つの支持電解質も含むことを特徴とする、請求項9〜15のいずれか一項に記載のプロセス。
  17. 相補的官能基を保有するオブジェクトまたは目的の分子を付着させるための接着プライマーとしての、請求項1〜8のいずれか一項に記載の固体支持体の使用。
  18. 前記目的の分子がタンパク質であること、そして前記支持体が生物活性表面としてまたはプロテインチップとして用いられることを特徴とする、請求項17に記載の使用。
  19. 前記目的の分子が核酸分子であること、及び前記支持体が生物活性表面としてまたは核酸チップとして用いられることを特徴とする、請求項17に記載の使用。
  20. 前記相補的官能基を保有するオブジェクトまたは目的の分子が、生体適合性ポリマーから選択されること、及び前記支持体が生物適合性表面としてまたは封入特性を有する表面として用いられることを特徴とする、請求項17に記載の使用。
  21. 表面化学反応を用いて、導電性または半導体表面にオブジェクトを結合するための、請求項1〜8のいずれか一項に規定される固体支持体の使用。
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