JP2005529765A - 射出成形ユニット用の調量装置 - Google Patents

Abstract

射出成形ユニットを用いてプラスチック製品を製造するために、プラスチックのための射出量を正確に調量することができる調量装置が提案される。調量装置は、接続通路（３０）を介して互いに接続されている前室（２０）と調量室（４０）とを有している。前室（２０）と調量室（４０）との間には、可動の押し退けエレメント（５０）が配置されている。調量段階において前室（２０）と調量室（４０）とは接続通路（３０）を介して互いに接続されており、調量室（４０）はプラスチック材料によって満たされ、この場合押し退けエレメント（５０）はストッパ（７４）に向かって移動させられ、射出通路（７０）は閉鎖されている。射出段階においては接続通路（３０）が閉鎖され、射出通路（７０）は開放され、プラスチック材料は高温通路（１０）を介して前室（２０）に射出される。この場合押し退けエレメント（５０）はストッパ（４２）に向かって移動し、調量室の容積Ｖによって決定されるところの正確に規定された量のプラスチック材料が、射出される。

Description

本発明は、請求項１に記載の射出成形ユニット用の調量装置に関する。

プラスチックの射出成形時には常に、サイクル（射出）毎に成形型のキャビティ内に射出されるプラスチック量（射出量）を可能な限り正確に測定し、そして何回もの射出作業にわたって再現可能に維持することが必要である。このことは特に、いわゆるキャッシュカード又はいわゆるスマートカードのようなデータカードや、ＣＤやＤＶＤのようなデータ坦体に対して言える。それというのはこのような製品では、極めて狭い許容誤差範囲を維持することが必要だからである。この問題は特にマルチプル・キャビティ成形型を用いた射出圧刻成形（Spritzpraegen）時に強く生じ、この場合プラスチック材料は圧刻成形行程に応じて拡大されるキャビティに射出され、次いで圧刻される。この場合圧刻成形前に既に正確な射出量が各キャビティ内に存在していなくてはならない。それというのは、キャビティは圧刻成形時に射出通路を閉鎖し、これによって次のゲートの切離しが省かれるからである。

他方において射出量は、温度調整箇所のような熱的なバランス障害や、種々様々なキャビティの高温通路分配器における異なった流れ抵抗や、系における製造誤差又はその他の不正確さに基づいて、変化してしまう。また射出スクリュでは射出動作は、戻り流遮断やこれに類したもののような機械的な特性によって影響を受けるので、その射出量の精度もしばしば十分なものではない。

ゆえに本発明の課題は、プラスチックの射出量を各サイクルに対して射出前に正確に測定する調量装置を提供することである。

この課題を解決するために本発明による調量装置は、請求項１の特徴部に記載のように構成されている。

本発明の別の有利な構成は、請求項２以下に記載されている。

本発明によれば、調量装置が調量室と前室とを有しており、この調量室と前室とは、遮断可能な接続通路を介して互いに接続されていて、かつ可動の押し退けエレメントによって互いに切り離されている。各射出サイクルの前にプラスチック材料が前室から接続通路を介して調量室に導入され、この場合押し退けエレメントは、調量室の正確な容積を規定する所定のポジションへと移動させられる。次いで接続通路は遮断され、注入通路を介して、可塑化されたプラスチック材料が前室に導入される。これによって押し退けエレメントは第２の所定のポジションへと移動し、これにより、正確に所定された容量を調量室から射出通路内に押し込む。

機械的な構造に基づいて、射出量は常に等しく、圧力下にある保圧によって閉じ込めることができ、これによって射出毎に等しく予負荷もしくは圧縮され、そしてこのことは、射出精度に対してポジティブな影響を及ぼす。

押し退けエレメントは有利にはピストンであり、そして前室を画成しているピストン面が、調量室を画成しているピストン面よりも小さい。逆向きの方向（調量方向）におけるピストンの運動は、その互いに異なった面積比と存在する保圧又は堰き止め圧とによって接続通路の開放時に行われ、この場合両方向における両方の運動は制限されている。

接続通路及び射出通路の開閉は有利には閉鎖装置を介して行われ、この場合閉鎖装置の第１の位置（調量位置）では、接続通路は開放されていて、射出通路は閉鎖されており、第２の位置（射出位置）では接続通路は閉鎖されていて、射出通路は開放されている。閉鎖装置はまた、該閉鎖装置の中間位置（保圧位置）において両方の通路が開放されているように、構成されていてもよい。

本発明の別の有利な構成では、押し退けエレメントのために移動調節可能なストッパが設けられており、このように構成されていると、調量室の容積を必要に応じて合わせることができる。

本発明による調量装置によって、高い製品精度と、製品の極めて狭い誤差範囲の維持とを同時に保証することができる。そして複数のキャビティを備えたマルチプル成形型が、１つのキャビティしか備えていないシングル成形型と同様な挙動を有することになる。調量装置は、正確な射出重量を得るために、成形型閉鎖ノズルとしても、高温通路ノズルとしても、又は射出成形機閉鎖ノズルとしても使用することができる。

次に、本発明による調量装置の１実施例を部分的に断面して示す側面図である図面を参照しながら本発明の１実施例を説明する。

ベース体１００には注入通路１０が設けられており、この注入通路１０は高温通路として形成されていて、射出成形ユニット、つまり射出スクリュユニット又は射出シリンダと結合されている。注入通路１０は円形リング状の前室２０に開口しており、この前室２０はオーバフロー通路３０を介して調量室４０と接続されている。調量室４０は、成形キャビティ９０に開口している射出通路７０と接続されている。

前室２０と調量室４０との間には、円形リング状のピストンの形をした摺動可能な押し退けエレメント５０が設けられている。押し退けエレメント５０は、該押し退けエレメント５０がストッパ７４に接触している第１ポジションと、第２のストッパ４２に接触している第２ポジションとの間において移動可能である。ストッパ７４は調量行程・調節ピストン８０の一部であり、この調量行程・調節ピストン８０のポジションは調量行程を調節するために可変である（矢印７２参照）。

さらに調量装置は閉鎖装置６０を有しており、この閉鎖装置６０は操作エレメント６８からシャフト６６として調量装置の長手方向軸線を貫いて調量室及び射出通路７０内まで延びている。閉鎖装置６０は調量室及び射出通路７０における端部に、閉鎖ヘッドを有しており、この閉鎖ヘッドは、オーバフロー通路３０を閉鎖するための遮断面６４と射出通路７０を閉鎖するための遮断ニードル６２とを備えている。前室２０を画成しているピストンの面Ａ_１は、調量室４０を画成している面Ａ_２よりも小さい。さらにピストン５０はピストンロッド５２と結合されており、このピストンロッド５２は前室２０の領域に、閉鎖装置のシャフト６６よりも大きな直径を有している。これによって、中間ポジションにおいても面Ａ_１が面Ａ_２よりも小さいということが保証される。

図１では閉鎖装置は射出ポジションを占めており、この射出ポジションではオーバフロー通路３０は閉鎖されていて、射出通路７０は開放されている。この場合押し退けエレメント５０はストッパ７４に接触しており、調量室４０は完全にプラスチック材料によって満たされている。この状況においてプラスチック材料は注入通路１０を介して射出成形ユニットから供給される。オーバフロー通路３０が閉鎖されていることによって、射出圧は小さなピストン面Ａ_１に作用し、押し退けエレメント５０をストッパ４２に向かって移動させ、これによって、正確に押し退けエレメント５０の前に存在する容量Ｖ_２が射出される。次いで閉鎖装置は調量位置にもたらされ、この調量位置においてニードル閉鎖装置はまず初めに射出通路７０を閉鎖し、その直後にオーバフロー通路３０を開放する。同時に例えば圧刻成形過程（Praegevorgang）が実施される。

調量位置において前室２０と調量室４０とは互いに連通しており、この場合両方の室には等しい圧力、保圧（Nachdruck）又は堰き止め圧（Staudruck）が支配している。面Ａ_１，Ａ_２の面積が異なっていることから、押し退けエレメント５０をストッパ７４に移動させる力が生じるが、この力は、調量室４０が完全に満たされるまで作用する。この際に成形型（図示せず）は圧刻成形ポジションに移動し、ニードル閉鎖装置は開放するが、この場合まず初めにオーバフロー通路３０が閉鎖され、次いで射出通路７０が開放され、そして新たなサイクルが始まる。

本発明による調量装置の使用によって、マルチプル成形型（Mehrfach-Formwerkzeug）のデリケートな優しい運転が可能になる。それというのは、マルチプル成形型のキャビティが硬直した場合でも、キャビティの過射出はキャビティ毎に所定された射出量によって不可能だからである。面Ａ_１と面Ａ_２との間における僅かな面積の差で十分であるので、押し退けエレメント５０には小さな負荷しか生ぜず、またその結果漏れも僅かしか生じない。

調量装置は成形キャビティの極めて近くに配置することができるので、調量装置と成形キャビティとの間における質量補償は僅かな影響しか及ぼさず、調量装置の使用は射出成形機の大きな変向なしに可能であるので、機能の実行は成形型閉鎖ノズルと同一である。

原則的にはまた、オーバフロー通路をニードル閉鎖装置とは別に遮断することも可能であり、その結果必要とあればオーバフロー通路を介して保圧を生ぜしめることもできる。調量装置による射出量の測定が行われるので、射出スクリュでは、多くの場合可塑化における戻り流の遮断を省くことができ、その結果これに関連した問題、例えば摩耗、射出速度の変動及びこれに類したような問題はなくなる。

原則的に、キャビティ毎の射出重量は調量行程・調節ピストン８０によって調節されるので、極めて種々異なった射出量を調節することができる。

調量装置が成形型において閉鎖ノズルとして使用される場合には、キャビティ毎に単に１回の射出重量調節しか必要ない。それというのは、製品重量は成形キャビティによって決定されているからである。

さらに例えば、射出スクリュ又は射出シリンダによって、複数のサイクルのために使用される大きな調量行程を可塑化することが可能である。
調量装置が成形型において閉鎖ノズルとして使用される場合には、前室２０の側には既に閉鎖ニードルの開放前に、高い射出圧が存在している。次いで閉鎖ニードルが開放されると、存在している射出圧がアキュムレータのように作用するので、急減な射出が行われる。これによって射出の開始時に、注入通路を通って調量装置に到るまでの抵抗損失はなくなる。この急激な射出によって極めて短い射出時間を達成することができる。付加的に急激な射出によってさらに方法技術的な利点も得ることができる。

冒頭に述べたように、本発明による調量装置は特に、複数のキャビティを備えた成形型における使用のために適している。このような成形型では、可塑化装置が材料を射出する射出通路は複数の射出通路に分岐しており、これらの射出通路はそれぞれ成形キャビティに開口している。分岐した各射出通路において分岐部の下流に、調量装置が設けられていると、各成形キャビティが固有の調量装置を有することになるので、有利である。この場合調量装置は有利には成形キャビティの近傍に配置されており、このようになっていると、射出通路７０が成形キャビティ９０に開口することになる。

ただ１つの成形キャビティしか備えていない成形型においても、調量装置は有利にはキャビティの近傍に配置されている。しかしながらまた、調量装置を可塑化装置と成形キャビティとの間の所望の箇所に配置することも可能である。

本発明による調量装置の１実施例を部分的に断面して示す側面図である。

Claims (9)

1. 射出成形ユニット用の調量装置であって、注入通路（１０）に接続された前室（２０）と、射出通路（７０）に接続された調量室（４０）とが設けられていて、前室（２０）と調量室（４０）とが遮断可能な接続通路（３０）を介して互いに接続されており、さらに前室（２０）と調量室（４０）とを互いに隔てている可動の押し退けエレメント（５０）が設けられていることを特徴とする、射出成形ユニット用の調量装置。
2. 押し退けエレメント（５０）が摺動可能なピストンである、請求項１記載の調量装置。
3. 前室を画成しているピストン面（Ａ_１）が、調量室を画成しているピストン面（Ａ_２）よりも小さい、請求項２記載の調量装置。
4. 閉鎖装置（６０）が設けられていて、該閉鎖装置（６０）が、射出通路を閉鎖する第１の遮断手段（６２）と接続通路（３０）を閉鎖する第２の遮断手段（６４）とを備えており、閉鎖装置が、射出通路（７０）が第１の遮断手段によって閉鎖されかつ接続通路（３０）が開放されている調量箇所と、接続通路が第２の遮断手段（６４）によって閉鎖されかつ射出通路（７０）が開放されている射出箇所との間において可動である、請求項１から３までのいずれか１項記載の調量装置。
5. 閉鎖装置が、接続通路と射出通路とが開放されている保圧箇所に移動可能である、請求項４記載の調量装置。
6. 押し退けエレメント（５０）のために移動調節可能なストッパ（７４）が設けられている、請求項１から５までのいずれか１項記載の調量装置。
7. 請求項１から５までのいずれか１項記載の調量装置を備えた射出成形ユニット。
8. 請求項１から５までのいずれか１項記載の調量装置を少なくとも１つ備えた、プラスチック製品を製造する成形型。
9. 複数の成形キャビティが設けられていて、各成形キャビティにそれぞれ固有の調量装置が対応配置もしくは配属されている、請求項８記載の成形型。

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