JP2005528745A - 質量分析計内の影を減らす方法と装置 - Google Patents

質量分析計内の影を減らす方法と装置 Download PDF

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Abstract

本発明は、トラップされたイオンをトラップして質量分析するための四重極ロッド・セットを用いる質量分析計にしばしば発生する影のゴースト・ピークの問題に対処するものである。この問題は、ロッドの長さに沿った不規則に分散された電圧勾配の結果として起こる。3つの解決方法が示される。第1の方法はロッド・セットの導電特性を改善することを含む。第2の方法は少なくとも1つの連続的な軸方向DC電界をトラッピング四重極ロッド・セットに印加し、イオンをトラップの所定の領域に向かわせて電圧勾配をなくすことを含む。別の方法は、1つ以上の離散的な軸方向電界を印加してトラップの軸方向の次元に沿った1つ以上のポテンシャル障壁を作る(最初にイオンをトラップするのに用いられた障壁に加えて)ことを含む。これらの障壁は異なる電圧勾配のイオンが互いに平衡することを防ぐ。

Description

本発明は一般に質量分析計の分野に関するもので、より詳しく述べると、イオン・トラップ内に含まれるイオンを質量分析することにより得られる質量スキャンから「ゴースト・ピーク」などの影を減らすまたは除く方法に関する。
四重極質量分析計はこれまで貫流する装置、すなわち、イオンの連続的な流れが四重極に入って出てゆく装置として用いられてきた。しかし最近は同じ四重極質量分析計が、直線イオン・トラップと質量分析計とが結合されたものとして用いられるようになった。すなわち、直線イオン・トラップは四重極の容積内にイオンを蓄積して抑制する。直線イオン・トラップの特徴は細長い多重極ロッド・セットであって、2次元のRF電界を用いてイオンを半径方向に抑制し、DC障壁すなわちトラッピング電界を用いてイオンを軸方向に抑制する。適当な充填時間の後で、例えば半径方向または軸方向の放出技術を用いて、トラップされたイオンを質量に従ってスキャンアウトする。イオンのトラッピングと質量分析の機能を結合した四重極質量分析計の例が、とりわけ、バイエル(Bier)他の米国特許第5,420,425号と、ヘージャ(Hager)の米国特許第6,177,668号と、2002年12月4日出願で本出願の被譲渡人に譲渡された同時継続出願の米国特許出願第10/310,000号に述べられている。この明細書で参照することによりここに援用する。
かかる四重極質量分析計では、質量スキャンを行うとゴースト・ピーク(すなわち、主ピークの近くに現れる随伴ピーク)が現われて、質量スキャンを疑わしものにすることがある。この一例を図1Aに示す。この図の質量スキャン78の特色は主質量ピーク82である。主ピーク82の低質量側にある随伴ピーク80がゴースト・ピーク、すなわち影(artifact)である。主ピーク82の高質量側にある小さなピーク84は正当なアイソトープ・ピークである。かかるスペクトログラムはAgilent(TM)製のアセトニトリルと水とで薄められた市販の標準溶液(製品番号ES Mix G2421A)を用いて描かれたものである。四重極ロッド・セットをイオン・トラップと質量分析計とが結合されたものとして動作させたとき、この種の影が多数の質量分析計で観察されている。質量が大きくなると影のピークの厳しさが増し、質量の分離が質量と共に増える。すなわち、質量が大きいとき問題は最悪になる。また、分解能が最良である低いスキャン速度(例えば、250Da/s)のときにも問題は非常に顕著であった。装置の経年数やロッドの長さも要因であった。パラメータ条件(主として、イオンを軸方向にトラップするのに用いられる出口レンズなどの端セクション部材の障壁ポテンシャル)に従って影のピークは最小になるが、主ピークの強さは犠牲になる。また、測定器やその調整方法に従って、影のピークは主ピークの高質量側にも低質量側にも出る。
本発明は、この望ましくない現象を減らし、また場合によってはなくすことができる。
影は、トラップする四重極ロッド・セットの長さに沿って分散される不規則に分散された電圧勾配のために起こると考えられる。これにより、イオン・トラップ内には異なる運動エネルギーの、空間的に分散され孤立したイオン集団が生じる。イオンがトラップから出るとき、同じm/z値を持つ孤立したイオン集団が異なる時刻に出口端に現れる。トラップから出るイオンはトラップの長さ全体のどこからでも出るので、同じm/z値のイオンが同じように挙動せずにゴースト・ピークを生じる。
本発明は影の問題に対して3つの可能な解決方法を提供する。第1の方法はロッド・セットの冶金学的性質(特に導電特性)を改善することを含む。第2の方法は、トラップする四重極ロッド・セットに少なくとも1つの連続的な軸方向DC電界を印加してイオンを最終的に放出するトラップの所定の領域にイオンを向かわせて、孤立したイオン集団をなくすことである。第3の方法は、少なくとも1つの離散的な軸方向電界を印加してトラップの軸方向の次元に沿ってポテンシャル障壁を作る(最初にイオンをトラップするのに用いられる障壁の他に)ことにより、イオン・トラップを区画することである。これらの障壁は孤立したイオン集団がトラップに沿って互いに平衡するのを防ぐ。
本発明の1つの態様では、入口端と縦軸と遠端とを有する細長いロッド・セットを有する質量分析計を動作させる方法を提供する。この方法は、(a)入口端を介してイオンを前記ロッド・セット内に導入し、(b)ロッドと遠端の近くの障壁電界との間にRF電界を作ることにより、ロッド・セット内に導入された少なくとも複数のイオンをトラップし、(c)イオンをトラップした後、ロッド・セットの内部に少なくとも1つの追加の障壁電界を確立して、トラップされたイオンの少なくとも2つの区画を画定し、(d)選択された質量対電荷比の少なくとも複数のイオンを、全部ではなく選択された区画から放出し、(e)少なくとも複数の放出されたイオンを検出することを含む。
好ましい実施の形態では、イオンは1つの区画だけから検出される。
この方法は、イオンを軸方向に(すなわち、縦軸に沿って)または半径方向に(すなわち、縦軸を横切って)放出する質量分析計で実現することができる。軸方向に放出する質量分析計では、遠端はトラップされたイオンの出口端として機能し、好ましくは1つの追加の障壁電界を作り、選択された区画はこの追加の障壁電界と遠端/出口端の近くの障壁電界との間に画定される。半径方向に放出する質量分析計では、選択された区画はロッド・セットに沿った任意の場所に定義してよく、好ましくは検出器を設けて、実質的に選択された区画だけから放出するイオンを検出する。
本発明の別の態様では、質量分析計であって、或る容積を定義する多重極ロッド・セットと、ロッド・セットに接続し、この容積内にRF電界を生成して選択された範囲の質量対電荷比のイオンを第1および第2の直交する次元に沿って抑制するための電源手段と、第1および第2の次元と実質的に直交する第3の次元に沿ってこの容積内にイオンを導入してトラップするための手段と、トラップされたイオンの少なくとも2つの区画を画定するための手段と、全部ではなく選択された区画からイオンを検出するための手段とを備える質量分析計を提供する。
本発明の別の態様では、イオンを2つの次元内に抑制するための2次元のRF電界と、これらの2つの次元に実質的に垂直の方向にイオンを抑制するための少なくとも1つの障壁ポテンシャルとを用いるイオン・トラップの改善を提供する。この改善は、トラップされたイオンの少なくとも2つの区画を定義するための手段と、全部ではなく少なくとも1つの区画からイオンを放出して検出するための手段とを含む。
本発明の別の態様では、入口端と縦軸と遠端とを有する細長いロッド・セットを有する質量分析計を動作させる別の方法を提供する。この方法は、(a)入口端を介してイオンをロッド・セット内に導入し、(b)ロッドの間にRF電界を作ることによりまた遠端の近くに障壁電界を作ることにより、ロッド・セット内に導入された少なくとも複数のイオンをトラップし、(c)縦軸に沿って少なくとも1つのDC電界を確立して、前記トラップされたイオンをロッド・セットにより画定される容積の所定の領域に向かわせ、(d)選択された質量対電荷比の少なくとも複数のイオンを所定の領域から放出し、(e)少なくとも複数の放出されたイオンを検出することを含む。
この方法は、イオンを軸方向または半径方向に放出する質量分析計で実現することができる。軸方向に放出する質量分析計では、遠端はトラップされたイオンの出口端として機能し、イオンはロッド・セットの遠端に向かわせられる。半径方向に放出する質量分析計では、所定の領域はロッド・セットに沿った任意の場所にあってもよく、好ましくは検出器を設けて、実質的にこの領域だけから放出するイオンを検出する。
好ましい実施の形態では、DC電界はロッド・セットの近くに設けられたバイアスされた電極のセットにより確立される。これらの各電極はステムを含むT型の断面を有し、ステムの深さはロッド・セットの長さに沿って異なり、縦軸に沿って実質的に均一の電界を与える。
本発明者の理論では、影の問題はリニア・イオン・トラップ(LIT)に用いられるロッドの冶金学的性質とその形状とが原因である。最初は、一般にステンレス・スチールで作られた新しいロッド・セットと交換すればこの問題は解決すると考えた。また多くの場合に、新しいロッド・セットを取り付けると影のピークはなくなるが、数時間または数日経過するとまた影が現れると考えた。
図2は、1つの四重極ロッド・セットQ3が、リニア・イオン・トラップと質量分析計とが結合されたものとして動作するトリプル四重極質量分析計装置10を示す。実験はかかる装置で行われ、本発明はこの型の質量分析計で用いてよい(ただし、これに限定されない)。
より詳しく述べると、装置10はイオン源12を含む。これは電気スプレイ、イオン・スプレイ、コロナ放電装置、またはその他の周知のイオン源でよい。イオン源12からのイオンはアパーチャ・プレート16内のアパーチャ14を通って送られる。プレート16の反対側にカーテン・ガス室18があり、カーテン・ガスがガス源(図示しない)からここに供給される。カーテン・ガスは、コーネル研究基金(Cornell Research Foundation Inc.)の米国特許第4,861,988号に記載されているように、アルゴンや窒素やその他の不活性ガスでよい。上記特許は適当なイオン・スプレイ装置も開示している。この特許の内容をここに援用する。
次に、イオンはオリフィス・プレート20内のオリフィス19を通って、差動ポンプで排気される真空室21に入る。次にイオンはスキマ・プレート24内のアパーチャ22を通って、差動ポンプで排気される第2の室26に入る。一般に差動ポンプで排気される室21内の圧力は1トルまたは2トル程度であり、差動ポンプで排気される第2の室26(質量分析計の第1室と見なされることが多い)は約7ミリトルまたは8ミリトルの圧力まで真空排気される。
室26内に、従来のRF専用の多重極イオン・ガイドQ0がある。その機能はイオンを冷却して収束させることであって、室26内にある比較的高いガス圧力により助けられる。室26は、大気圧のイオン源12と低圧真空室との間のインターフェースとしての役目もあり、次の処理の前にイオン・ストリームから更にガスを除去する働きをする。
インターカッド(interquad)アパーチャIQ1は室26と第2の主真空室30とを分離する。第2の室30内に、ST(スタッビーズ(stubbies)の略で、軸長の短いロッドであることを示す)と書かれているRF専用のロッドがあり、これはブルベーカ(Brubaker)レンズの役目をする。四重極ロッド・セットQ1は、約1から3x10-5トルに真空排気された真空室30内にある。第2の四重極ロッド・セットQ2は、ガス室34から衝突ガスを供給される衝突セル32内にある。トムソン(Thomson)とジョリフェ(Jolliffe)の米国特許第6,111,250号に教示されているように、衝突セル32は出口端に向かって軸方向電界を形成するよう設計する。上記特許の全内容はここに援用される。セル32は一般に約5x10-4トルから10-2トルの範囲の圧力に保たれ、室30内にあって、両端にインターカッド・アパーチャIQ2,IQ3を含む。Q2の後に、35で示す第3の四重極ロッド・セットQ3と、出口レンズ40とがある。
Q3内の各ロッドは約10mmの半径と約120mmの長さとを有するが、他のサイズも考えられ、また実際に用いられる。ロッドはできるだけ理想的な形状(例えば、完全な円、または完全な双曲面)に近くて、質量分析に必要な実質的な四重極電界を作ることが望ましい。Q3内の向かい合うロッドは好ましくは約20mm離れているが、他の間隔も考えられ、また実際に用いられる。Q3領域内の圧力は通常はQ1内の圧力と同じで、1から3x10-5トルである。出口レンズ40を通って軸方向に出るイオンを検出するために検出器76を設ける。
RF用の電源37と、RF/DC用の電源36と、RF/DCおよび補助AC用の電源38とを設けて、四重極Q0、Q1、Q2、Q3に接続する。Q0はRF専用の多重極イオン・ガイドとして動作し、その機能は、米国特許第4,963,736号に教示されているように、イオンを冷却して収束させることである。上記特許の内容はここに援用される。Q1は標準の分解RF/DC四重極である。RF電圧とDC電圧とは、注目の前駆イオンまたは或る範囲のイオンだけをQ2に送るように選択される。Q2はガス源34から衝突ガスを供給され、前駆イオンを解離してフラグメント・イオンを作る。Q3は直線イオン・トラップとして動作し、解離されない前駆イオンだけでなくフラグメント・イオンをトラップするのに用いられる。次に、軸方向放出技術を用いて、質量に依存してイオンをQ3からスキャンアウトする。Q3は標準の分解RF/DC四重極としても機能する。
例示の実施の形態では、イオン源12からのイオンは真空室30に送られる。必要であれば、この技術で周知のように四重極ロッド・セットに印加されるRF+DC電圧を操作して、選択されたm/z値(または質量対電荷比の範囲)の前駆イオンをQ1で選択してよい。前駆イオンを選択した後、Q1とQ2との間の適当な電圧降下によりイオンを加速してQ2内に送り、米国特許第5,248,875号に教示されているように、フラグメンテーションを誘発させる。上記特許の内容はここに援用される。フラグメンテーションの程度は、衝突セルQ2内の圧力とQ1とQ2との間のポテンシャル差とにより部分的に制御することができる。例示の実施の形態では、Q1とIQ2との間には約40−80ボルトのDC電圧降下がある。
フラグメント・イオンは解離されない前駆イオンと共に、その運動量と、Q2とQ3との間の周囲圧力勾配とにより、Q3内に運ばれる。適当な充填時間の後、IQ3に阻止ポテンシャルを与えて、前駆イオンとそのフラグメント・イオンとをQ3内にトラップする。Q3内にトラップされると、前駆イオンとそのフラグメント・イオンとは直線イオン・トラップから質量選択的にスキャンアウトされて、MS/MSまたはMS2スペクトルを生成する。
図3は四重極Q3に与えられる波形のタイミング図の詳細を示す。初期段50で、IQ3のDC阻止ポテンシャルを下げて、好ましくは約5−1000msの範囲(好ましくは50ms)の間、直線イオン・トラップを充填する。
次は冷却段52で、トラップ内のイオンをQ3内で約10msの間、冷却または熱運動化する。冷却段はオプションであって、実際には省略してよい。
冷却段の後に質量スキャンすなわち質量分析段54が続き、ここでイオンをQ3から質量に従って軸方向にスキャンアウトする。図の実施の形態では、Q3内にイオンをトラップするのに用いられるRF電圧に補助二重極AC電圧を重ねて、一組の極対にxまたはy方向(軸方向に直角である)に印加する。補助AC電圧の周波数fauxは、好ましくは軸放出を行うことが知られている所定の周波数ωejecに設定する(各直線イオン・トラップは、その正確な形状に基づいて最適な軸放出のための幾分異なる周波数を有してよい)。同時に、Q3のRF電圧とQ3の補助AC電圧との振幅をランプする、すなわちスキャンする。本被譲渡人に譲渡された同時継続する2002年5月30日出願の米国特許出願第10/159,766号に教示されているように、この技術は軸放出の分解能を高める。この文書の内容をここに援用する。
質量スキャニングの後、次の段56でQ3から全てのイオンを出して空にする。この段では、トラップを空にするために全ての電圧を下げる。
装置10内でQ3から発生する影の現象を調べると、Q3LITから軸方向にスキャンされるイオンはQ3ロッド・セットの長さに沿った任意の場所から出ることができるし実際に出るが、同じm/z値のイオンが必ずしも同時にはトラップから出ないことが知られている。したがって、Q3ロッド・セットの長さに沿った、電圧勾配により互いに孤立したイオンの集団がある、すなわち、異なるイオン集団は少し異なる電圧ポテンシャルに付勢されるので少し異なる運動エネルギーを有する、と考えられる。経験によると、異なるロッド・セットは異なる孤立したイオン集団を有する可能性があり、これはQ3ロッド・セット上に不規則に分散された電圧勾配が存在することを意味する。
このように、LIT内の或るイオン集団は他のイオン集団とは異なる運動エネルギーを有してよい。したがって、離散的なまたは異なるイオン集団は、IQ3と、Q3LITの向かい合う端にある出口レンズとを含む電圧勾配すなわち障壁から反射すると予想される。Q3の長さすなわち軸方向の次元に沿って不規則に分散された電圧勾配すなわち障壁を生じる他の機構も働いている可能性がある。
伝送特性に影響を与える不規則に分散された電圧障壁すなわち勾配は、恐らく元素または酸化物である表面合成物が異なるために生じるロッドの表面ポテンシャルの不均一から起こると考えられる。影の影響が徐々に発生する理由は酸化のためであろう。かかる不規則性のためにロッド表面上の仕事関数が変動し、したがって、ロッドに沿った異なる位置での実効RF電圧振幅が変動すると考えられる。ゲルリッヒ(Gerlich)、ディータ(Dieter)の「不均質のRF電界: 遅いイオンを持つプロセスの研究のための種々のツール(Inhomogeneous RF Fields: A Versatile Tool For The Study of Processes With Slow Ions)」、Advance in Chemical Physics Series, Vol. 52, pages 75-81, 1992、を参照のこと。
LIT内の影の問題に対して3つの可能な解決方法がある。第1の方法はロッド・セットの冶金学的性質(得に導電特性)を改善することを含む。第2の方法は連続的な軸方向電界をLIT四重極ロッド・セットに印加してイオンをトラップの出口端に向かわせて、孤立したイオン集団をなくすことを含む。リナックスをこの目的に用いたときのLITの挙動について調査した。第3の方法は離散的な軸方向電界を印加してトラップの軸方向の次元に沿って1つ以上のポテンシャル障壁を作ることを含む。かかる障壁は、トラップに沿って孤立しているイオン集団が互いに妨害し合うのを防ぐ。四重極ロッド・セットを囲むバイアスされた金属被覆リングを用いてポテンシャル障壁を作ったときのLITの挙動を調べた。第2および第3の方法は、検出されたイオン内に孤立したイオン集団をなくすための手段を与える。第1の方法は、ロッドの冶金学的性質から生じる不規則なポテンシャル勾配を改善するための手段を与える。
1. 改善された冶金学的性質
影の問題を減らす1つの方法はロッド・セットの冶金学的性質を改善して導電特性を良くし、酸化しにくくすることである。従来、ロッド・セットは従来の機械加工法を用いてステンレス・スチールで作られた。かかる方法は特定のロッド長さを超えると厳しい許容レベルを必ずしも満たすことができない(質量分析に必要な実質的な四重極電界を作るには高い許容範囲が重要である)ので、精密な許容範囲のロッド・セットを作るための他の材料と製作方法が開発された。例えば、本被譲渡人は金被覆のセラミック・ロッドを用いた比較的長いロッド・セットを開発した。次の実験は、Q3ロッドとして金被覆のセラミック・ロッドと金被覆のステンレス・スチール・ロッドとを用いて行った。
9つの金被覆のロッド・セットを用いると、9セット中8セットの影の影響が少なくとも1つの方向または他の方向(方向は、ロッドをQ2に向けまたは逆に検出器に向けて置いたと定義する)で許容レベルまで減少したことが観察された。1つのロッド・セットだけが両方向で合格であった。金の層は改善された均一の導電層を形成するので、ロッドに沿った不規則な電圧障壁すなわち勾配を減らすと考えられる。しかし、ロッド・セットに金被覆することは影のピークの厳しさを減らす助けになるだけであって、この現象を完全に除くことはできなかった。
金ではなく、他の金属アモルファス被覆でも十分である。
2. 連続的な軸方向電界
別の方法はQ3LIT内に1つ以上の軸方向電界を作るまたは与えることである。ここで「連続的」電界と呼ぶ種類の軸方向電界は、Q3の長さ全体に沿ってトラップされたイオンをロッド・セットの出口端の方に押しやるすなわち向けるよう機能する。これはトラップされたイオンを集めて、離散的なイオン集団をなくす効果を有する。また軸方向電界により、軸方向に放出するよう選択された所定のm/z値の実質的に全てのイオンは実質的に同時にトラップから出る。
図4Aと図4Bは、連続的な軸方向電界を印加するのに用いてよい装置の一例である「マニトバ」型のリナックス100の半径方向と軸方向の断面図をそれぞれ示す。リナックはQ3の主四重極ロッド35の間に導入された4個の追加の電極102を含む。種々の電極の形が可能であるが、好ましい電極はT型の断面を有する。リナック電極は同じDCポテンシャル104に保たれるが、ステム部106の深さdは図4Bに示すように異なり、Q3の軸方向の次元に沿ってほぼ均一な電界を与える。これに関するより詳細な情報は、ロボダ(Loboda)他の「多重極イオン・ガイド内に軸方向電界を作るための新しいリナックII電極の形状(Novel Linac II Electrode Geometry for Creating an Axial Field in a Multipole Ion Guide)」, Eur. J. Mass Spectrom., 6, 531-536(2000)、を参照のこと。その内容がここに援用される。リナック100は連続的なDC軸方向電界(記号的に電界線108で示す)を作り、これがQ3ロッド・セットの出口端に向かってイオンを押しやる力を与える。影の現象はこの方法を用いることにより実質的になくすことができる。
図3を参照すると、軸方向電界はイオン導入段50の間は好ましくはオフなので、トラップの空間電荷特性は影響されない(充填時間中に軸方向電界をオンにすると充填時間が短縮される)。放出の間は、イオンが出るに従って空間電荷効果は軸方向電界により小さくなる、および/または補償される。
ゴースト影ピークを小さくするには、異なるロッド・セットに対して異なる軸方向勾配が必要であることが分かった。したがって、異なるロッド・セットは個別に調整しなければならない。実験的に、LITの長さが約20mmのときは0.05から0.15ボルト/cmのポテンシャル勾配が必要である。測定器の間の違いを補償するために、この値はアプリケーションによって変えてよい。また、正と負のモードのイオンでは異なる極性の軸方向電界が必要である。
リナック100を用いると、IQ3の付近のリナック電界の間に或る相互作用があって、イオン導入段50の間、Q3へのイオンの伝送に影響を与えることが分かった。これは、リナック100の位置をロッド・セットの端に対して調整することにより克服することができた。より詳細に述べると、DC電界はIQ3とQ3ロッド・セットの端とにより作られる縁電界と相互作用する。この相互作用はトラップを充填するイオンに影響を与えてその充填量を減らす。この相互作用を避けるため、リナック電極の端をロッド・セットの端から1mmから4mm離す。一般に縁電界はロッド半径の約1/2(図の実施の形態では約6mm)の距離だけロッド・セット内に入る。したがって、この相互作用を高めるには約4mmのギャップで十分である。また、適当な電圧を印加すると、通常のRF/DC分解の動作モードはリナック・ハードウエアが存在しても余り影響されないようである。
影の問題をなくすために連続的な軸方向電界を直線イオン・トラップ内に作る代替的な方法として種々の他の機構を用いることができる。これらの多くのものが、トムソンとジョリフェの米国特許第5,847,386号と第6,111,250号とに述べられている。これらの特許はここに援用される。これらの特許はイオンがトラップされていない標準の分解四重極セルまたは衝突セル内に補助の軸方向電界を作ることを述べているが、これらの多くはイオン・トラップで用いることができる。
簡単に述べると、上の特許に述べられているように、1つ以上のロッド・セット内に軸方向電界を作るには、ロッドを先細にし(図8から図11)、ロッドを互いに或る角度で配置し(図12から図15)、ロッドをセグメント化し(図16、図17)、ロッドの回りにセグメント化されたケースを設け(図18、図19)、抵抗性被覆のまたはセグメント化された補助ロッドを設け(図18、図19)、各ロッドに沿って間隔をあけた一組の導電金属バンドを設けてバンドの間に抵抗性被覆を行い(図20)、抵抗性外部被覆と導電性内部被覆とを持つ管として各ロッドを形成し(図21、図22)、上記の任意の2つ以上を組み合せ、または任意の他の適当な方法を用いる。
詳しく述べると、図8から図11は軸方向電界を与える先細のロッド・セット262を示す。ロッド・セット262は、共に等しく先細にした2対のロッド262Aと262Bとで構成する。一方の対262Aの向きを示すと、ロッドの広い端264Aはロッド・セットの内部容積268の入口266にあり、狭い端270Aはロッド・セットの出口端272にある。他方の対262Bの向きを示すと、その広い端264Bは内部容積268の出口端272にあり、その狭い端270Bは入口266にある。ロッドは中心縦軸267を定義する。各対のロッド262A、262Bは電気的に互いに接続され、電源248の一部を形成するRF発電機274からRFポテンシャルが各対に(絶縁コンデンサC2を通して)印加される。別のDC電圧が各対に印加される。例えば、電圧V1がDC源276−1から一方の対262Aに、また電圧V2が276−2から他方の対262Bに印加される。先細のロッド262Aと262Bとは絶縁されたホルダまたは支持(図示しない)内にあるので、ロッドの中心は正方形の4隅にある。他の間隔を用いて望ましい電界を与えてよい。例えば、ロッドの広い端の中心を狭い端の中心より中心軸267の近くに置いてよい。
図12から図15は、軸方向電界を与える角度付きロッド・セット262を示す。図の中のダッシュ付き番号は図8から図11の番号に対応する部分を示す。図12から図15では、ロッドの直径は同じであるが、一方の対262Aの端264Aは一端で四重極の軸267に近付けて置かれ、他方の対262Bの端268Bは他端で中心軸267に近付けて置かれる。上の両方の場合に、DC電圧は一端と他端とで異なる軸ポテンシャル(すなわち、軸267のポテンシャル)を与える。好ましくはこの差は滑らかであるが、階段状の差でもよい。どちらの場合も、軸方向電界は軸267に沿って作られる。
図16と図17は、2対の平行な円筒ロッド296A、296Bから成る、軸方向電界を与えるセグメント化されたロッド・セット296を示す。これは通常の方法で配置されるが、縦軸方向に6つのセグメント296A−1から296A−6と、296B−1から296B−6とに分割されている(セクション296B−1から296B−6は別に示さない)。隣接するセグメントすなわちセクションの間の隙間98は非常に小さく、例えば約0.5mmである。各Aセクションと各Bセクションには絶縁コンデンサC3を介してRF発電機274から同じRF電圧が供給されるが、それぞれには抵抗器R1からR6を介して異なるDC電圧V1からV6が供給される。セクション296A−1と296B−1とは電圧V1を受け、セクション296A−2と296B−2とは電圧V2を受ける。以下同じである。これは、垂直軸に軸方向電圧、水平軸にロッド・セットに沿った距離をプロットした図16に302で示すように、ロッド・セット296の中心縦軸300に沿って階段状電圧を作る。セクション毎の別個のDC電源によりまたは抵抗分割器網を持つ1つの電源により、別個のポテンシャルを生成して各セクションに供給することができる。
図18、図19は軸方向の電界を与えるロッドの回りのセグメント化されたケースを示す。この装置では、四重極ロッド316A、316Bは従来のものであるが、6個のセグメント318−1から318−6に分割され絶縁リング320で分離された円筒形金属ケースすなわちシェル318で囲まれている。四重極の中心軸322の電界は、ロッド316A、316Bのポテンシャルとケース318のポテンシャルとに従う。ケースの正確な寄与は中心軸322からケースまでの距離に従い、適当なモデリング・プログラムにより決定することができる。ケースはセグメントに分割されるが、図16と図17の場合と同じように、すなわち勾配を段階状に近似して、軸方向電界を作ることができる。
図20は各ロッドに沿って間隔をあけた一組の導電金属バンドを示す。これは軸方向電界を与えるようにバンドの間に抵抗性被覆を有する。図20は単一ロッド356の四重極を示す。ロッド356は図に示すように5個の取り囲む導電金属バンド358−1から358−5を有し、ロッドを4個のセグメント360に分割する。残りのロッド表面、すなわち各セグメント360は抵抗材料で被覆され、スクエア当たり2.0オームから50オームの間の表面抵抗率を有する。5個のバンドを選んだのは設計の複雑さと最大軸方向電界との間で妥協した結果であり、1つの制約は抵抗表面で発生する熱である。RFは金属バンド358−1から358−5に印加される。別個のDCポテンシャルV1からV5がRF阻止チョークL1からL5をそれぞれ介して各金属バンド358−1から358−5に印加される。
図21−図24は、軸方向電界を与える抵抗性被覆の、またはセグメント化された補助ロッドを示す。ロッド370は、外面に導電性の高い1対の端金属バンド374を有する絶縁セラミック管372として形成する。バンド374は外部抵抗性の外面被覆376により分離する。管372の内部は導電金属378で被覆する。管372の壁は比較的薄く、例えば約0.5mmから1.0mmである。外部抵抗性表面376の表面抵抗は通常はスクエア当たり1.0メグオームから10メグオームの間である。V1とV2とで示されているDC電圧差が2個の金属バンド374により抵抗表面376に接続され、RFは内部導電金属表面378に接続される。外面376は高抵抗率であって外面内の電子がRFに応答する(約1.0MHzの周波数で)のを制限するので、RFはほとんど減衰せずに抵抗表面を通ることができる。同時に、電圧源V1はロッド370の長さに沿ってDC勾配を確立し、やはり軸方向のDC電界を確立する。図23と図24では、各四重極ロッド379は低抵抗率(例えば、スクエア当たり300オーム)の表面材料で被覆され、RFポテンシャルはRF源380から従来の方法でロッドに印加される。別個のDC電圧V1とV2とがRFチョーク381−1から381−4を通して4個のロッド全ての各端に印加される。ロッド379の表面の抵抗が低いのでRF電界に実質的に影響を与えないが、ロッドの長さに沿ったDC電圧勾配を形成して軸方向電界を確立する。抵抗率は高すぎてはならない。さもないと抵抗熱が発生する(または、抵抗性被覆を持つ外部ロッドすなわちシェルを用いてよい)。
トラップされたイオンを質量検出のために半径方向に放出するLITに連続的な軸方向電界を印加してもよいことを認識すべきである。かかるLIT150の例を図7Aに示す。これは3つのセクション、すなわち、細長い中心セクション154と、入口端セクション152と、出口端セクション156とで構成する。各セクションは2対の向かい合う電極を含む。トラッピング・モードでは、端セクション152、156は中心セクション154より高いDCポテンシャルに保たれる。トラップを充填するには、入口セクション152のDCポテンシャルを下げる。適当な充填時間の後、このDCポテンシャルを上げてトラップの中心セクション154内にポテンシャル井戸を形成して、イオンを軸方向に抑制する。
細長いアパーチャ160を中心セクション154の電極構造内に形成して、トラップされたイオンが質量選択的に半径方向(トラップの軸方向の次元に垂直の方向)に放出できるようにする。ロッドに印加されるRF電圧とDC電圧とを操作して、四重極電界内の選択されたイオンを不安定にする。トラップの長さに沿って存在して不安定になったこれらのイオンは細長いアパーチャ160を通って中心セクション154から出る。または、アパーチャを省略して、位相同期した共振放出電界を中心セクション154内の両方のロッドの対に印加することにより、ロッドの間の空間内でイオンを半径方向に放出してよい。図示していないが検出器を設けて、半径方向に放出されたイオンを受ける。
入口端セクション152は中心アパーチャを有するプレートで置換してよく、同様に、出口端セクション156もプレートで置換してよい。
ロッド・セットの長さ全体からイオンを放出するのではなく、上に述べた任意の技術を用いて逆極性の2つの軸方向電界(矢印155aと155bで示す)を確立して、イオンを中心セクション154の中心領域180に、またはロッドの間の特定の点または領域に向かわせることができる。選択された領域から出てくるイオンだけを受けまたは数えるように検出器(図示しない)を形成しまたは遮蔽してよい。または、1つの軸方向電界を確立してイオンを入口端セクション152または出口端セクション156に向かわせ、かかるセクションだけから出てくるイオンを検出するように適当に形成されまたは遮蔽された検出器を用いてよい。
3. 離散的な軸方向電界
図5の略図に示すように、セラミックなどの非導電性材料で作られたカラー118により四重極ロッド・セットQ3を両端付近で支持する。各カラー118は、金属被覆してロッド・セットの回りにあるが四重極のロッド122から電気的に絶縁された導電リング120aと120bとを形成する部分を有する。適当にバイアスされたDCポテンシャルを各リング120aと120bとに与えると、LIT容積内に離散的な電圧障壁が作られる。なぜなら、リング120aと120bとにより作られた半径方向電界のごく一部が四重極内に入り込むからである。トムソンとジョリフェの米国特許第5,847,386号を参照していただきたい。金属リング120aと120bとにより誘導された電圧障壁を制御することにより、Q3LIT内のイオン集団を制御することができる。好ましくは、IQ3レンズを第1の(すなわち上流の)金属被覆リング120aに電気的に結合し、第2の(すなわち下流の)金属被覆リング120bを独立のDC電源128により制御する。
図6の修正されたタイミング図に示すように、質量スキャンアウト段54の間は、IQ3レンズのDC電圧をQ3のDCオフセット電圧(特に示さない)より下げて、IQ3に向かって加速されたイオンの反射を防ぐ。上流の金属被覆リング120aはIQ3に結合されているので、このリング120aからQ3に余り大きな電圧障壁は誘導されない。しかし下流の金属被覆リング120bを適当にバイアスした場合は、イオンはこのリング120bと出口レンズ40との間の領域130内にトラップされるので、リング120bとIQ3との間のイオンは領域130内に入ることができず、トラップされたイオン区画が形成される。したがって、リング120bと出口レンズ40とにより定義される領域130内のイオンだけが軸方向に放出されて質量スキャンで記録される。この技術により、図1Bの質量スペクトル90に示すように影の問題はきれいになくなる。図1Bは図1Aの質量スキャンと同じ動作条件の下であるが、好ましい金属被覆リング120bを設けて作動させて描いたものである。
ゴースト影ピークをなくすには、下流のリング120bのDCポテンシャルを異なるロッド・セットについて別々に調整する必要がある。下流のリング120bに印加されるDC電圧はLIT毎に変わる。電圧は低い方は200Vから高い方は1500Vまで変わる。金属被覆リング120bのポテンシャルの設定が高すぎると、ピークの高質量側にピークの尾引きが起こることがある。
代替的に種々の他の機構を用いて、Q3の軸方向の次元に沿って離散的なポテンシャル障壁を作ることができる。これは、ロッドをセグメント化し(例えば、図16と図17に示すように)、異なるDCオフセット電圧を印加することを含む。または図8Bに示すように、ロッドの直径を先細にして中心263の直径を端部より大きくしてよい。
また、かかる離散的な軸方向電界技術を、図7Aを参照して上に述べたように、また図7Bに示すように適当に修正して、トラップされたイオンを質量検出のために半径方向に放出するLITに適用してよい。
図7Bに示すように、中心セクション154のロッドはセラミックなどの材料で作られた非導電性カラー165により支持してよい。各カラー165は、金属被覆してロッド・セットの回りにあるが四重極のロッドから電気的に絶縁された導電リング170aと170bとを形成する部分を有する。適当にバイアスされたDCポテンシャルを各リング170aと170bとに与えると、中心セクション154内に離散的な電圧障壁が作られる。なぜなら、リング170aと170bとにより作られた電界のごく一部が中心セクション154内に入り込むからである。動作を説明すると、これらの障壁はトラップが充填された後に印加されて、リング170aと170bとの間の領域180内に第2のポテンシャル井戸を作る。イオンはこの領域180に出入りすることができないので、中心セクション内にトラップされたイオンの区画が形成される。アパーチャ160を短くし、または検出器を好ましくは短くし、および/または遮蔽して、領域180から出るイオンだけを数えるようにする。このようにして、トラップの長さに沿った不規則の電圧勾配から生じる任意の孤立したイオン集団が質量スキャンを妨害することを防ぎ、影の現象を最小にする。
認識されるように、トラップされたイオンを放出する区画は、代替的に入口セクション152と上流リング170aとの間に定義される領域、または端セクション156と下流リング170bとの間に定義される領域でよい。また認識されるように、トリプル四重極測定器を提示して説明したが、本発明は、イオン・トラップの上流のロッド・セットを省略してイオン源をイオン・トラップ/質量分析計の結合されたロッド・セットに直接結合する装置で用いることができる。また当業者が認識するように、本発明の精神から逸れることなくここに説明した実施の形態に多くの変更と修正を行ってよい。
上述の本発明の態様は、本発明の原理の単なる例を示す特定の実施の形態の説明と添付の図面から明らかになる。
影のゴースト・ピークが存在することを示す質量スペクトログラムである。 図1Aと同じ条件の下で得られた影のゴースト・ピークのない質量スペクトログラムである。このスペクトログラムは図5に示す影除去器具を用いて作られた。 本発明を用いてよい直線イオン・トラップ(Q3)を有するトリプル四重極質量分析計の略図である。 図2に示す直線イオン・トラップ(Q3)を制御するのに用いられる種々の波形を示すタイミング図である。 軸方向DC電界を作るためのリナックス(追加の電極)を持つ修正された四重極ロッド・セット/直線イオン・トラップの半径方向の断面図を示す。 軸方向DC電界を作るためのリナックス(追加の電極)を持つ修正された四重極ロッド・セット/直線イオン・トラップの軸方向の断面図を示す。 ロッド・セットの軸方向の次元に沿ったポテンシャル障壁を生成するためのバイアスされた金属被覆リングを備える修正された四重極ロッド・セット/直線イオン・トラップの透視図である。 図5に示す修正された直線イオン・トラップを制御するのに用いられる種々の波形を示すタイミング図である。 トラップから半径方向に放出されるイオンを検出する修正された四重極ロッド・セット/直線イオン・トラップの略図である。トラップは軸方向電界を作るための手段を含む。 トラップから半径方向に放出されるイオンを検出する修正された四重極ロッド・セット/直線イオン・トラップの略図である。トラップは、ロッド・セットの軸方向の次元に沿ったポテンシャル障壁を生成するためのバイアスされた金属被覆リングを備える。 直線イオン・トラップの四重極ロッド・セットの1つの代わりにまたは追加して用いられる、軸方向電界を生成するための先細のロッド・セットの2つのロッドの側面図である。 図8のロッド・セットの入口端の端面図である。 図8のロッド・セットの中心の断面図である。 図8のロッド・セットの出口端の端面図である。 直線イオン・トラップの四重極ロッド・セットの1つの代わりにまたは追加して用いられる、軸方向電界を生成するための修正されたロッド・セットの2つのロッドの側面図である。 図12のロッド・セットの入口端の端面図である。 図12のロッド・セットの中心の断面図である。 図12のロッド・セットの出口端の端面図である。 直線イオン・トラップの四重極ロッド・セットの1つの代わりにまたは追加して用いられる、軸方向電界を生成するための修正されたロッド・セットの2つのロッドの側面図である。 図16のロッド・セットの端面図とその電気接続とを示す。 直線イオン・トラップの四重極ロッド・セットの1つの代わりにまたは追加して用いられる、軸方向電界を生成するための別の修正されたロッド・セットの2つのロッドの側面図である。 図18のロッド・セットの端面図とその電気接続とを示す。 直線イオン・トラップの四重極ロッド・セットの1つの代わりにまたは追加して用いられる、軸方向電界を生成するための別の修正されたロッド・セットの側面図である。 直線イオン・トラップの四重極ロッド・セットの1つの代わりにまたは追加して用いられる、軸方向電界を生成するための別の修正されたロッド・セットの側面図である。 図21のロッド・セットの中心の断面図である。 更に別の修正されたロッド・セットの略図である。 図23のロッド・セットの端面図である。

Claims (34)

  1. 入口端と縦軸と前記入口端の遠端とを有する細長いロッド・セットを有する質量分析計を動作させる方法であって、
    (a) 前記入口端を介してイオンを前記ロッド・セット内に導入し、
    (b) 前記ロッドと前記遠端の近くの障壁電界との間にRF電界を作ることにより、前記ロッド・セット内に導入された少なくとも複数のイオンをトラップし、
    (c) イオンをトラップした後、前記ロッド・セットの内部に少なくとも1つの追加の障壁電界を確立して、トラップされたイオンの少なくとも2つの区画を画定し、
    (d) 選択された質量対電荷比の少なくとも複数のイオンを、全部ではなく選択された前記区画から放出し、
    (e) 少なくとも複数の前記放出されたイオンを検出する、
    ステップを含む、質量分析計を動作させる方法。
  2. イオンは前記区画の1つだけから検出される、請求項1記載の質量分析計を動作させる方法。
  3. ステップ(c)の前に、前記入口端の近くに障壁電界を作るステップを含む、請求項2記載の質量分析計を動作させる方法。
  4. 1つの追加の障壁電界を作り、前記選択された区画は前記追加の障壁電界と前記遠端の近くの前記障壁電界との間に画定される、請求項2または3記載の質量分析計を動作させる方法。
  5. 前記遠端は前記イオンの出口端として機能し、
    前記RF電界と前記出口端の近くの障壁電界とは前記選択された区画内にある前記出口端の近くの抽出領域内で交互作用して縁電界を作り、
    少なくとも前記抽出領域内のイオンは質量選択的に付勢されて前記出口端の近くの障壁電界を克服し、前記ロッド・セットから前記縦軸に沿って放出される、
    請求項4記載の質量分析計を動作させる方法。
  6. 前記イオンは前記縦軸を横切る1つ以上の方向に放出され、実質的に前記選択された区画だけからのイオンが検出される、請求項2または3記載の質量分析計を動作させる方法。
  7. 前記ロッド・セットの各ロッドは細長いアパーチャを含み、前記ロッド・セットを質量選択的な不安定モードで動作させるとイオンは前記アパーチャを通って放出される、請求項6記載の質量分析計を動作させる方法。
  8. 前記トラップされたイオンを質量選択的共振的に励起させてイオンを前記横方向に放出させる、請求項6記載の質量分析計を動作させる方法。
  9. 1つの追加の障壁電界が作られ、前記選択されトラップされたイオンの区画は前記追加の障壁電界と前記遠端の近くの障壁電界との間にある、請求項6記載の質量分析計を動作させる方法。
  10. 2つの追加の障壁電界が作られ、前記選択されトラップされたイオンの区画は前記2つの追加の障壁電界の間にある、請求項6記載の質量分析計を動作させる方法。
  11. 1つの追加の障壁電界が作られ、前記選択されトラップされたイオン区画は前記追加の障壁電界と前記入口端の近くの障壁電界との間にある、請求項6記載の質量分析計を動作させる方法。
  12. 或る容積を定義する多重極ロッド・セットと、
    前記ロッド・セットに接続して、前記容積内にRF電界を生成して選択された範囲の質量対電荷比のイオンを第1および第2の直交する次元に沿って抑制するための電源手段と、
    前記第1および第2の次元と実質的に直交する第3の次元に沿ってイオンを前記容積内に導入してトラップするための手段と、
    トラップされたイオンの少なくとも2つの区画を画定するための手段と、
    全部ではなく選択された前記区画からイオンを検出するための手段と、
    を備えた質量分析計。
  13. イオンは前記区画の1つだけから検出される、請求項12記載の質量分析計。
  14. 前記第3の次元に沿ってイオンを導入してトラップするための前記手段は前記ロッド・セットのイオン入口端の近くに障壁電界を作るための手段を含む、請求項13記載の質量分析計。
  15. イオンは前記第3の次元に沿った前記容積から放出され、前記第3の次元に沿ってイオンをトラップするための前記手段は前記ロッド・セットの出口端の近くに障壁電界を作るための手段を含む、請求項14記載の質量分析計。
  16. 前記RF電界と前記出口端の近くの障壁電界とは前記選択された区画内にある前記出口端の近くの抽出領域内で交互作用して縁電界を作り、
    少なくとも前記抽出領域内のイオンは質量選択的に付勢されて前記出口端の近くの障壁電界を克服し、前記ロッド・セットから前記第3の次元に沿って放出される、
    請求項15記載の質量分析計。
  17. 前記区画化手段は前記容積を囲む少なくとも1つのDCバイアスされた導電リングを含む、請求項12記載の質量分析計。
  18. 前記イオンは前記第1および第2の次元に沿って放出され、実質的に前記選択された区画だけからのイオンが検出される、請求項14記載の質量分析計。
  19. 前記ロッド・セットの各ロッドは細長いアパーチャを含み、前記ロッド・セットを質量選択的な不安定モードで動作させるとイオンは前記アパーチャを通って放出される、請求項18記載の質量分析計。
  20. 前記トラップされたイオンを質量選択的に共振的に励起するとイオンは前記第1および第2の次元に放出される、請求項18記載の質量分析計。
  21. イオンを2つの次元内に抑制するための2次元のRF電界と、前記2つの次元に実質的に垂直の方向にイオンを抑制するための少なくとも1つの障壁ポテンシャルとを用いるイオン・トラップにおいて、
    トラップされたイオンの少なくとも2つの区画を画定するための手段と、
    全部ではなく少なくとも1つの区画からイオンを放出して検出するための手段と、
    を含む改善。
  22. イオンは前記区画の1つだけから検出される、請求項21記載の改善。
  23. 入口端と縦軸と前記入口端の遠端とを有する細長いロッド・セットを有する質量分析計を動作させる方法であって、
    (a) 前記入口端を介してイオンを前記ロッド・セット内に導入し、
    (b) 前記ロッドの間にRF電界を作ることによりまた前記遠端の近くに障壁電界を作ることにより、前記ロッド・セット内に導入された少なくとも複数のイオンをトラップし、
    (c) 前記トラップされたイオンを前記ロッド・セットにより定義される容積の所定の領域に向かわせ、
    (d) 選択された質量対電荷比の少なくとも複数のイオンを前記所定の領域から放出し、
    (e) 少なくとも複数の前記放出されたイオンを検出する、
    ステップを含む、質量分析計を動作させる方法。
  24. 前記イオンを向かわせることは前記縦軸に沿って少なくとも1つのDC電界を確立することにより行う、請求項23記載の質量分析計を動作させる方法。
  25. 前記DC電界は前記ロッド・セットの近くに設けられたバイアスされた電極のセットにより確立され、各前記電極はステムを含むT型の断面を有し、前記ステムの深さは前記ロッド・セットの長さ全体で異なるので前記縦軸に沿って実質的に均一の電界を作る、請求項24記載の質量分析計を動作させる方法。
  26. 入口端と出口端と縦軸とを有する細長いロッド・セットを有する質量分析計を動作させる方法であって、
    (a) 前記入口端を介してイオンを前記ロッド・セット内に導入し、
    (b) 前記ロッドの間にRF電界を作ることによりまた前記出口端の近くに障壁電界を作ることにより、前記ロッド・セット内に導入された少なくとも複数のイオンをトラップし、
    (c) 前記縦軸に沿ってDC電界を確立してイオンを前記出口端に向かわせ、
    (d) 選択された質量対電荷比の少なくとも複数のイオンを軸方向に放出し、
    (e) 少なくとも複数の前記放出されたイオンを検出する、
    ステップを含む、質量分析計を動作させる方法。
  27. 前記DC電界は前記ロッド・セットの近くに設けられたバイアスされた電極のセットにより確立される、請求項26記載の質量分析計を動作させる方法。
  28. 各前記電極はステムを含むT型の断面を有し、前記ステムの深さは前記ロッド・セットの所定の長さ全体で異なる、請求項27記載の質量分析計を動作させる方法。
  29. 入口端と縦軸と前記入口端の遠端とを有する細長いロッド・セットを有する質量分析計を動作させる方法であって、
    (a) 前記入口端を介してイオンを前記ロッド・セット内に導入し、
    (b) 前記ロッドの間にRF電界を作ることによりまた前記遠端の近くに障壁電界を作ることにより、前記ロッド・セット内に導入された少なくとも複数のイオンをトラップし、
    (c) 前記縦軸に沿って少なくとも1つのDC電界を確立してイオンを前記縦軸に沿って所定の領域に向かわせ、
    (d) 選択された質量対電荷比の少なくとも複数のイオンを、前記縦軸を横切る方向に放出し、
    (e) 少なくとも複数の前記放出されたイオンを検出する、
    ステップを含む、質量分析計を動作させる方法。
  30. 前記DC電界は前記ロッド・セットの近くに設けられた1つ以上のバイアスされた電極のセットにより確立される、請求項29記載の質量分析計を動作させる方法。
  31. 各前記電極はステムを含むT型の断面を有し、前記ステムの深さは前記ロッド・セットの所定の長さ全体で異なる、請求項30記載の質量分析計を動作させる方法。
  32. 入口端と縦軸と前記入口端の遠端とを有して或る容積を定義する細長いロッド・セットと、
    前記入口端を介してイオンを前記ロッド・セット内に導入するための手段と、
    前記ロッドの間にRF電界を作ることによりまた前記遠端の近くに障壁電界を作ることにより、前記ロッド・セット内に導入された少なくとも複数のイオンをトラップするための手段と、
    前記縦軸に沿って少なくとも1つのDC電界を確立して前記トラップされたイオンを前記ロッド・セットにより定義される所定の領域に向かわせるための手段と、
    選択された質量対電荷比の少なくとも複数のイオンを前記所定の領域から放出するための手段と、
    少なくとも複数の前記放出されたイオンを検出するための手段と、
    を備えた質量分析計。
  33. 前記DC電界は前記ロッド・セットの近くに設けられた1つ以上のバイアスされた電極のセットにより確立される、請求項32記載の質量分析計。
  34. 各前記電極はステムを含むT型の断面を有し、前記ステムの深さは前記ロッド・セットの所定の長さ全体で異なる、請求項33記載の質量分析計。
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