JP6321546B2 - イオントラップ質量分析のためのイオン励起方法 - Google Patents

イオントラップ質量分析のためのイオン励起方法 Download PDF

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Description

(関連出願)
本願は、2011年12月29日に出願された、米国仮出願第61/581,278号に対する優先権を主張するものであり、該仮出願の全体は、参照により本明細書中に援用される。
本発明は、質量分析に関し、より具体的には、線形無線周波数多重極イオントラップ内におけるイオンの分離のための方法および装置に関する。
質量分析(MS)は、定量的および定質的用途の両方を有する、試験物質の元素組成を判定するための分析技法である。例えば、MSは、その断片化を観察することによって、未知の化合物を識別するため、分子中の元素の同位体組成を判定するため、および特定の化合物の構造を判定するため、ならびに試料中の特定の化合物の量を定量化するために有用であり得る。
質量分析では、イオン源が、典型的には、1つ以上の質量分析器による下流処理のために、試料からイオンを発生させる。しかしながら、従来のイオン源によって発生されるイオンの多くは、分析にあまりまたは全く有用ではない。実際、そのような不純物イオンの存在は、多くの場合、最適性能を犠牲にして、イオントラップ内の全体的電荷密度を増加させる役割を果たす。故に、具体的イオン種を単離する質量分析計システムの能力は、質量分析における重要な特徴である。
多くの望ましくない不純物イオンは、当技術分野において公知の種々の単離技法によって排除されることができるが(例えば、RF/DC質量分解モードにおいて、すなわち、線形イオントラップ内で動作する、四重極フィルタであって、これは、半径方向に、望ましくない種を射出する、または質量選択的に、選択された標的イオンを軸方向に射出することができる)、以前の単離技法は、多くの場合、標的イオンを1amu未満だけ標的イオンと異なる分子量を有する実質的等重イオンからは分解不可能である。さらに、そのような技法の質量分解能は、空間電荷の効果によって影響を受け得、調和RF場を歪曲させ、共鳴励起されたイオンの振動周波数を変化させ得る。
故に、改良された質量選択性を有する、質量分析計システムおよび方法の必要性が残っている。
一側面によると、本出願人の教示のある実施形態は、線形無線周波数多重極イオントラップ内でイオンを処理するための方法に関する。本方法によると、第1の多重極ロッドセットは、第2の多重極ロッドセットと縦一列に位置付けられることができ、各ロッドセットは、第1の端部および第2の端部を有する。本方法は、該第1のロッドセットの第1の端部を通して、第1および第2のロッドセットにイオンを導入するステップを含むことができる。RF場が、イオンを半径方向に閉じ込めるように、第1および第2のロッドセット内で発生されることができ、RF場は、第1のロッドセットの第2の端部と第2のロッドセットの第1の端部との間の相互作用領域内で相互作用し、漏れ電場を生成する。本方法はまた、該イオンの少なくとも一部を第2のロッドセットの第2の端部から、第1のロッドセットに向かってはね返すように、障壁場を該第2のロッドセットの第2の端部において発生させるステップを含むことができる。はね返されたイオンは、励起されたイオンの少なくとも一部が、第2のロッドセットの第2の端部に向かって戻るよう漏れ電場によって反発されるように、第2のロッドセット内で励起されることができる。
本出願人の教示の種々の実施形態のある側面によると、はね返されたイオンの少なくとも一部は、該第1のロッドセットに射出されることができる。いくつかの側面では、励起されたイオンの少なくとも一部は、該第1のロッドセットに射出されることができる。いくつかの側面では、はね返されたイオンを励起させるステップは、選択されたm/zを有するイオンを共鳴励起させるように、補助励起信号を第2のロッドセットに印加するステップを含むことができる。種々の実施形態では、補助励起信号は、実質的に、選択されたm/zを有するイオンの永年周波数に一致する周波数を有する、補助AC波形を含むことができる。いくつかの側面では、補助AC波形は、双極励起場を発生させる。種々の実施形態では、第2のロッドセット内のRF場は、第2のロッドセットの第2の端部に隣接する抽出領域内の障壁場と相互作用し、第2の漏れ電場を生成することができ、補助AC波形は、選択的に、選択されたm/zを有するイオンの少なくとも一部を第2のロッドセットの第2の端部から射出する。一例として、障壁場は、DC場であることができる。
本出願人の教示の種々の実施形態のある側面によると、選択されたm/zを有するイオンは、漏れ電場によって反発される。いくつかの実施形態では、RF場を第1および第2のロッドセット内で発生させるステップは、同じRF波形を第1および第2のロッドセットのそれぞれに印加するステップを含むことができる。種々の側面では、第1および第2のロッドセットは、中心軸に沿って軸方向に整合されることができる。いくつかの実施形態では、中心軸と第1のロッドセットのロッドとの間の距離は、中心軸と第2のロッドセットのロッドとの間の距離未満である。
本出願人の教示の種々の実施形態のある側面によると、RF場を第1および第2のロッドセット内で発生させるステップは、第1のRF波形を第1のロッドセットに、第2のRF波形を第2のセットに印加するステップを含むことができ、第1および第2のRF波形は、異なる。いくつかの側面では、第1のRF波形は、第2のRF波形より大きい振幅を有する。種々の実施形態では、第1のRF波形は、第2のRF波形より小さい周波数を有することができる。
本出願人の教示の種々の実施形態のある側面によると、選択されたm/zを有するイオンに対して、第1のロッドセットに対するq値は、第2のロッドセットに対するq値を上回ることができる。いくつかの側面では、第1のロッドセットのq値と第2のロッドセットのq値の比率は、約1.1〜約1.3の範囲内であることができる。
本出願人の教示の種々の実施形態のある側面によると、第1と第2のロッドセットとの間にDC電位が、発生されることができる。種々の側面では、本方法は、DC電位を調節し、漏れ電場を変調させるステップを含むことができる。
種々の側面では、第1および第2の多重極ロッドセットは、四重極ロッドセットを備えることができる。
一側面によると、本出願人の教示のある実施形態は、線形イオントラップ内でイオンを処理するための方法に関する。本方法によると、第1の多重極ロッドセットは、第2の多重極ロッドセットと縦一列に位置付けられることができ、第1のロッドセットに対して第2のロッドセットによって呈されるq値の比率は、1を上回る。RF半径方向閉じ込め場は、第1および第2のロッドセット内で発生されることができ、RF軸方向閉じ込め場は、漏れ電場を生成するように、第1と第2のロッドセットとの間の相互作用領域内で相互作用する。本方法はまた、第1のロッドセットを通して、該第2のロッドセットに向かってイオンを伝送するステップと、励起されたイオンの少なくとも一部が、漏れ電場によって反発されるように、第1のロッドセット内のイオンの少なくとも一部の半径方向振動振幅を増加させるステップとを含むことができる。
種々の側面では、第1のロッドセットを通して伝送されるイオンの少なくとも一部は、該励起されるイオンの励起の間、第2のロッドセットに軸方向に射出されることができる。いくつかの側面では、q値の比率は、約1.1〜約1.3の範囲内である。いくつかの側面では、半径方向振動振幅を増加させるステップは、第1のロッドセット内のイオンの少なくとも一部を共鳴励起させるステップを含むことができる(例えば、補助励起信号を第1のロッドセットに印加するステップを介して)。種々の側面では、補助励起信号は、実質的に、選択されたm/zを有するイオンの永年周波数に一致する周波数を有する、補助AC波形を含むことができる。
一側面によると、本出願人の教示のある実施形態は、質量分析計システムに関する。本システムは、イオン源と、イオン源からイオンを受け取るための第1の端部と第2の端部との間に延在する、第1の多重極ロッドセットとを備えることができる。第2の多重極ロッドセットは、第1の端部と第2の端部との間に延在することができ、第2のロッドセットに対して第1のロッドセットによって呈されるq値の比率は、任意のm/zに対して、1を上回る。本システムはまた、第1および第2のロッドセットに結合され、(i)RF軸方向閉じ込め場を第1および第2のロッドセットのそれぞれ内に生成するように、RF波形を第1および第2のロッドセットのうちの少なくとも1つに印加し、RF軸方向閉じ込め場は、第1と第2のロッドセットとの間の相互作用領域内で相互作用し、漏れ電場を生成し、(ii)障壁場を第2のロッドセットの第2の端部において発生させ、(iii)DC電位を第1と第2のロッドセットとの間に発生させ、(iv)補助AC波形を第2のロッドセットに印加し、それによって、補助AC波形は、励起されたイオンの少なくとも一部が、第2のロッドセットの第2の端部に向かって戻るよう漏れ電場によって反発されるように、障壁場からはね返されたイオンを励起させるように構成される、コントローラを備えることができる。本システムはまた、第2のロッドセットの第2の端部から射出されるイオンを検出するための検出器を備えることができる。
種々の側面では、はね返されたイオンの少なくとも一部は、第1のロッドセットから射出されることができる。いくつかの側面では、該励起されたイオンの少なくとも一部は、該第1のロッドセットに射出される。いくつかの実施形態では、補助励起信号は、実質的に、選択されたm/zを有するイオンの永年周波数に一致する周波数を有する、補助AC波形を含むことができる。一例として、補助AC波形は、双極励起場を発生させることができる。いくつかの側面では、第2のロッドセット内のRF軸方向閉じ込め場は、第2の漏れ電場を生成するように、第2のロッドセットの第2の端部に隣接する抽出領域内の障壁場と相互作用することができ、補助AC波形は、選択的に、選択されたm/zを有するイオンの少なくとも一部を第2のロッドセットの第2の端部から射出するように構成される。種々の実施形態では、選択されたm/zを有するイオンは、漏れ電場によって反発されることができる。
いくつかの側面では、コントローラは、RF軸方向閉じ込め場を第1および第2のロッドセットのそれぞれ内に生成するように、同じRF波形を第1および第2のロッドセットのそれぞれに印加するように構成されることができる。種々の実施形態では、第1および第2のロッドセットは、中心軸に沿って軸方向に整合されることができる。いくつかの側面では、中心軸と第1のロッドセットのロッドとの間の距離は、中心軸と第2のロッドセットのロッドとの間の距離未満であることができる。
本出願人の教示の種々の実施形態の一側面によると、コントローラは、第1のRF波形を第1のロッドセットに印加し、RF軸方向閉じ込め場を第1のロッドセット内に生成し、異なる第2のRF波形を第2のロッドセットに印加するように構成されることができる。種々の側面では、第1のRF波形は、第2のRF波形より大きい振幅を有することができる。いくつかの実施形態では、第1のRF波形は、第2のRF波形より小さい周波数を有することができる。いくつかの側面では、コントローラは、漏れ電場を変調させるように、該DC電位を調節するように構成されることができる。
種々の実施形態では、選択されたm/zを有するイオンに対して、第1のロッドセットに対するq値は、第2のロッドセットに対するq値を上回ることができる。いくつかの側面では、第1のロッドセットのq値と第2のロッドセットのq値の比率は、約1.1〜約1.3の範囲内であることができる。
本出願人の教示のこれらおよび他の特徴が、本明細書に記載される。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
多重極イオントラップ内でイオンを処理するための方法であって、
イオンを第2の多重極ロッドセットと縦一列に位置付けられた第1の多重極ロッドセットに導入するステップであって、各ロッドセットは、第1の端部および第2の端部を有し、前記イオンは、前記第1のロッドセットの前記第1の端部を通して、前記第1および第2のロッドセットに導入される、ステップと、
前記イオンを半径方向に閉じ込めるように、RF場を前記第1および第2のロッドセット内に発生させるステップであって、前記第1および第2のロッドセット内の前記RF場は、前記第1のロッドセットの前記第2の端部と前記第2のロッドセットの前記第1の端部との間の相互作用領域内で相互作用し、漏れ電場を生成する、ステップと、
前記イオンの少なくとも一部を前記第2のロッドセットの前記第2の端部から、前記第1のロッドセットに向かってはね返すように、障壁場を前記第2のロッドセットの前記第2の端部において発生させるステップと、
励起されたイオンの少なくとも一部が、前記漏れ電場によって、前記第2のロッドセットの前記第2の端部に向かって戻るよう反発されるように、前記はね返されたイオンを前記第2のロッドセット内で励起させるステップと
を含む、方法。
(項目2)
前記はね返されたイオンの少なくとも一部は、前記第1のロッドセットに射出される、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記励起されたイオンの少なくとも一部は、前記第1のロッドセットに射出される、項目2に記載の方法。
(項目4)
前記はね返されたイオンを励起させるステップは、選択されたm/zを有するイオンを共鳴励起させるように、補助励起信号を前記第2のロッドセットに印加するステップを含み、前記補助励起信号は、実質的に、前記選択されたm/zを有する前記イオンの永年周波数に一致する周波数を有する、補助AC波形を含み、前記補助AC波形は、双極励起場を発生させ、前記選択されたm/zを有する前記イオンは、前記漏れ電場によって反発される、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記第2のロッドセット内の前記RF場は、前記第2のロッドセットの前記第2の端部に隣接する抽出領域内の前記障壁場と相互作用し、第2の漏れ電場を生成し、前記補助AC波形は、選択的に、前記選択されたm/zを有する前記イオンの少なくとも一部を前記第2のロッドセットの前記第2の端部から射出し、前記障壁場は、DC場である、項目4に記載の方法。
(項目6)
前記RF場を前記第1および第2のロッドセット内で発生させるステップは、同じRF波形を前記第1および第2のロッドセットのそれぞれに印加するステップを含み、前記第1および第2のロッドセットは、中心軸に沿って軸方向に整合され、前記中心軸と前記第1のロッドセットのロッドとの間の距離は、前記中心軸と前記第2のロッドセットのロッドとの間の距離未満である、項目1に記載の方法。
(項目7)
前記RF場を前記第1および第2のロッドセット内で発生させるステップは、第1のRF波形を前記第1のロッドセットに、第2のRF波形を前記第2のセットに印加するステップを含み、前記第1および第2のRF波形は、異なり、前記第1のRF波形は、前記第2のRF波形より大きい振幅を有し、前記第1および第2の多重極ロッドセットは、第1および第2の四重極ロッドセットを備える、項目1に記載の方法。
(項目8)
選択されたm/zを有するイオンに対して、前記第1のロッドセットに対するq値は、前記第2のロッドセットに対するq値を上回る、項目1に記載の方法。
(項目9)
前記第1のロッドセットのq値と前記第2のロッドセットのq値の比率は、約1.1〜約1.3の範囲内である、項目8に記載の方法。
(項目10)
DC電位を前記第1と第2のロッドセットとの間で発生させるステップをさらに含み、前記DC電位を調節し、前記漏れ電場を変調させるステップをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目11)
多重極イオントラップ内でイオンを処理するための方法であって、
RF半径方向閉じ込め場を縦一列に位置付けられた第1および第2の多重極ロッドセット内に発生させるステップであって、前記第1のロッドセットに対して、前記第2のロッドセットによって呈されるq値の比率は、任意のm/zに対して、1を上回り、前記第1および第2のロッドセット内の前記RF軸方向閉じ込め場は、漏れ電場を生成するように、前記第1と第2のロッドセットとの間の相互作用領域内で相互作用する、ステップと、
前記第1のロッドセットを通して、前記第2のロッドセットに向かってイオンを伝送するステップと、
増加した半径方向振動振幅を有するイオンの少なくとも一部が、前記漏れ電場によって反発されるように、前記第1のロッドセット内のイオンの少なくとも一部の半径方向振動振幅を増加させるステップと
を含む、方法。
(項目12)
前記第1のロッドセットを通して伝送されるイオンの少なくとも一部は、前記励起されるイオンの励起の間、前記第2のロッドセットに軸方向に射出される、項目11に記載の方法。
(項目13)
前記q値の比率は、約1.1〜約1.3の範囲内である、項目11に記載の方法。
(項目14)
前記半径方向振動振幅を増加させるステップは、前記第1のロッドセット内の前記イオンの少なくとも一部を共鳴励起させるステップを含み、前記第1のロッドセット内の前記イオンの少なくとも一部を共鳴励起させるステップは、補助励起信号を前記第1のロッドセットに印加するステップを含み、前記補助励起信号は、実質的に、選択されたm/zを有するイオンの永年周波数に一致する周波数を有する、補助AC波形を含む、項目11に記載の方法。
(項目15)
質量分析計システムであって、
イオン源と、
第1の端部と第2の端部との間に延在する、第1の多重極ロッドセットであって、前記第1の端部は、前記イオン源からイオンを受け取るためのものである、第1の多重極ロッドセットと、
第1の端部と第2の端部との間に延在する、第2の多重極ロッドセットであって、前記第2のロッドセットに対して前記第1のロッドセットによって呈されるq値の比率は、任意のm/zに対して、1を上回る、第2の多重極ロッドセットと、
前記第1および第2のロッドセットに結合されたコントローラであって、
(i)RF軸方向閉じ込め場を前記第1および第2のロッドセットのそれぞれ内に生成するように、RF波形を前記第1および第2のロッドセットのうちの少なくとも1つに印加することであって、前記RF軸方向閉じ込め場は、前記第1と第2のロッドセットとの間の相互作用領域内で相互作用し、漏れ電場を生成する、ことと、
(ii)障壁場を前記第2のロッドセットの前記第2の端部において発生させることと、
(iii)DC電位を前記第1と第2のロッドセットとの間に発生させることと、
(iv)補助AC波形を前記第2のロッドセットに印加することであって、それによって、前記補助AC波形は、励起されたイオンの少なくとも一部が、前記漏れ電場によって、前記第2のロッドセットの前記第2の端部に向かって戻るよう反発されるように、前記障壁場からはね返されたイオンを励起させる、ことと
を行うように構成される、コントローラと、
前記第2のロッドセットの前記第2の端部から射出されるイオンを検出するための検出器と
を備える、システム。
(項目16)
前記励起されたイオンの少なくとも一部は、前記第1のロッドセットに射出される、項目15に記載のシステム。
(項目17)
前記補助励起信号は、実質的に、選択されたm/zを有するイオンの永年周波数に一致する周波数を有する、補助AC波形を含み、前記補助AC波形は、双極励起場を発生させ、前記第2のロッドセット内の前記RF軸方向閉じ込め場は、第2の漏れ電場を生成するように、前記第2のロッドセットの前記第2の端部に隣接する抽出領域内の前記障壁場と相互作用し、前記補助AC波形は、選択的に、前記選択されたm/zを有する前記イオンの少なくとも一部を前記第2のロッドセットの前記第2の端部から射出するように構成され、前記選択されたm/zを有する前記イオンは、前記漏れ電場によって反発される、項目15に記載のシステム。
(項目18)
前記コントローラは、RF軸方向閉じ込め場を前記第1および第2のロッドセットのそれぞれ内に生成するように、同じRF波形を前記第1および第2のロッドセットのそれぞれに印加するように構成され、前記第1および第2のロッドセットは、中心軸に沿って軸方向に整合され、前記中心軸と前記第1のロッドセットのロッドとの間の距離は、前記中心軸と前記第2のロッドセットのロッドとの間の距離未満である、項目15に記載のシステム。
(項目19)
前記コントローラは、第1のRF波形を前記第1のロッドセットに印加し、RF軸方向閉じ込め場を前記第1のロッドセット内に生成し、異なる第2のRF波形を前記第2のロッドセットに印加するように構成され、前記第1のRF波形は、前記第2のRF波形より大きい振幅を有し、前記コントローラは、前記漏れ電場を変調させるように、前記DC電位を調節するように構成される、項目15に記載のシステム。
(項目20)
前記第1のロッドセットのq値と前記第2のロッドセットのq値の比率は、約1.1〜約1.3の範囲内である、項目15に記載のシステム。
当業者は、以下に説明される図面が、例証目的にすぎないことを理解するであろう。図面は、本出願人の教示の範囲をいかようにも限定することを意図しない。
図1は、概略図として、本出願人の教示の種々の実施形態の一側面による、縦一列に位置付けられた2つの多重極ロッドセットを有する、イオン抽出システムを描写する。 図2Aは、図1のイオン抽出システム内で発生された逆漏れ電場を実証する、シミュレーションを描写する。 図2Bは、図1のイオン抽出システム内の0.2mmの初期半径方向変位を有するイオンのシミュレートされた経路を描写する。 図2Cは、図1のイオン抽出システム内の0.2mmの初期半径方向変位を有するイオンのシミュレートされた経路を描写する。 図3は、概略図として、本出願人の教示の種々の実施形態の一側面による、イオン抽出システムを備える、QTRAP Q−q−Q線形イオントラップ質量分析計システムを図示する。 図4は、概略図として、図3のイオン抽出システムの種々の側面を描写する。 図5Aは、概略図として、図4のイオン抽出システムの種々の側面による、非共鳴イオンの射出を描写する。 図5Bは、概略図として、図4のイオン抽出システムの種々の側面による、標的イオンの 図6は、本出願人の教示の種々の実施形態の一側面による、「逆」漏れ電場の選択的印加を実証する、データおよび対応する概略図を描写する。 図7は、本出願人の教示の種々の実施形態の一側面による、「逆」漏れ電場の使用を伴う、低励起振幅におけるイオン伝送の改良を実証する、データおよび対応する概略図を描写する。 図8Aは、本出願人の教示の種々の実施形態の一側面による、m/z=338を伴うイオンの単離を実証する、データを描写する。図8Bは、m/z=338を伴うイオンのための従来の単離技法を実証する、データを描写する。
明確にするために、以下の議論は、本出願人の教示の実施形態を詳説するが、そうすることが便宜的または適切である場合、ある具体的詳細を省略することを理解されたい。例えば、代替実施形態における同様または類似特徴の議論は、多少、簡略化され得る。公知の発想または概念はまた、簡潔にするために、あまり詳細に論じられない場合がある。当業者は、本出願人の教示の実施形態が、実施形態の完全な理解を提供するためだけに本明細書に記載される、具体的に説明された詳細の一部をすべての実装において要求しなくてもよいことを認識するであろう。同様に、説明される実施形態は、本開示の範囲から逸脱することなく、共通一般知識に従って、若干の変更または変形例を許容可能であってもよいことが明白であろう。以下の発明を実施するための形態は、本出願人の教示をいかようにも限定するものと見なされない。
多重極イオントラップ内でイオンを処理するための方法およびシステムが、本明細書に提供される。本出願人の教示の種々の側面によると、本方法およびシステムは、標的イオンの持続的単離および/または励起ならびに望ましくない不純物イオンの同時射出を可能にすることができる。種々の側面では、本出願人の教示による方法およびシステムは、改良された質量選択性を可能にすることができる。
次に図1を参照すると、本出願人の教示の種々の側面による、例示的イオン抽出デバイス100が、図式的に図示される。イオン抽出システム100は、本明細書に説明されるシステム、デバイス、および方法の種々の側面に従って使用するための1つのみの可能性として考えられる構成を表す。図1に示されるように、イオン抽出システム100は、縦一列に位置付けられ、中心軸(A)に沿って軸方向に整合される、2つの四重極ロッドセット120、140を含むことができる。ロッドセット120、140は、概して、本明細書では、四重極(すなわち、4つのロッドを有する)と称されるが、当業者は、本出願人の教示による方法およびデバイスは、任意の他の好適な多重極構成、例えば、六重極、八重極等を有するロッドセットを利用することができることを理解するであろう。また、本教示は、同じ第1および第2のロッドセットの使用に限定されないことを理解されたい。すなわち、1つのロッドセットは、あるタイプの多重極ロッドセット(例えば、四重極)であることができる一方、他のロッドセットは、異なるタイプの多重極ロッドセット(例えば、六重極)であることができる。図1に示されるように、複数のイオン102が、ロッドセット120の第1の端部120aに導入され、ロッドセット140に向かって伝送されることができる。当業者は、種々の上流構成要素が、例えば、ロッドセット120に入射するにつれて、イオン102の移動および/またはエネルギーを制御するように構成されることができることを理解するであろう。
1つ以上のRF電圧源104は、RF電位をロッドセット120、140のそれぞれのロッドに印加し、当技術分野において公知の様式において、イオン102をロッドセット120、140内に半径方向に捕捉するように構成されることができる。種々の実施形態では、ロッドセット120、140は、ロッドセットのうちの一方へのRF電位の印加が、加えて、半径方向捕捉電位を他方のロッドセット内に発生させるように有効であり得るように容量結合されることができる。代替として、種々の実施形態では、ロッドセットのそれぞれが、個別のRF波形をその専用RF源から受信し得るように、別個のRF源が、ロッドセット120、140のそれぞれに対して採用されることができる。種々の実施形態では、第1および第2のロッドセットに印加されるRF波形は、同一の周波数を有し、振幅が異なり得る。
種々の実施形態では、ロッドセット120、140内で発生されるRF場は、相互に対して異なり得る。タンデムロッドセット120、140の近接性のため、ロッドセット120、140によって発生される可変RF場は、第1のロッドセット120の第2の端部120bおよび第2のロッドセット140の第1の端部140aに隣接する相互作用領域130内で相互作用し、個別のRF場内の相互外乱のため、完全に四重極ではない場を生成し得る。一般に、漏れ電場と称される、本相互作用によって発生される、そのような場は、イオン運動の軸方向および半径方向成分を結合し得る。以下に詳細に論じられるように、ロッドセット120、140間に発生される漏れ電場は、本出願人の教示の種々の側面に従って利用され、小半径方向振動振幅を有するイオンをロッドセット120からロッドセット140に軸方向に射出させる一方、ロッドセット120内に大半径方向振動振幅を有するイオンを反発(例えば、捕捉)し、したがって、漏れ電場近傍の第1のロッドセット内のイオンの半径方向振動振幅に依存する障壁場を提供することができる。
当業者によって理解されるであろうように、異なるRF場が、種々の様式において、ロッドセット120、140内に発生されることができる。一例として、ロッドセット120、140のそれぞれに印加されるRF波形は、相互に対して振幅または周波数が変動し得る。加えて、または代替として、ロッドセット120、140の物理的幾何学形状も、相互に対して異なり得る。種々の側面では、異なるRF場は、ロッドセット120、140のそれぞれに対する異なるq値によって特徴付けられ得る。
当業者によって理解されるであろうように、RF半径方向捕捉電位が、四重極ロッドセットに印加されると、マシュー安定性パラメータqは、以下のように定義されることができる。
Figure 0006321546
式中、
rfは、ロッドに印加されるRF電圧を示し、
Ωは、RF電圧の角周波数を示し、
mは、イオンの質量を示し、
Zeは、イオン電荷を示し、
2rは、ロッドと中心軸との間の距離であって、
kは、当技術分野において公知の様式におけるVrfの定義に依存する、定数である。
故に、図1に描写されるイオン抽出システム100では、ロッドセット120、140内の異なるRF場は、以下のように、任意の所与のm/zおよび角周波数に対して、ロッドセット140内のq値(q140)に対するロッドセット120内のq値(q120)の比率によって特徴付けられ得る。
Figure 0006321546
本出願人の教示の種々の側面によると、ロッドセット120、140は、q120とq140の非1の比率を呈し得る。一例として、q120とq140の比率は、1未満であり得る(すなわち、ロッドセット120は、ロッドセット140を下回るq値を有し得る)。さらに、式2の検討は、q120とq140の非1の比率が、種々の様式で取得され得ることを示す。前述のように、例えば、ロッドセット120に印加されるRF波形の振幅(Vrf120)は、q120とq140の比率が、1未満であるように、全ての他のパラメータは、等しいが、ロッドセット140に印加されるRF波形の振幅(Vrf140)未満であり得る。同様に、各ロッドセットのロッド間の距離(例えば、r0,120)は、q120とq140の比率を変更するように、全ての他のパラメータは、等しいが、異なり得る。さらに、当業者は、ロッドセットに印加されるRF波形の振幅および各ロッドセットのロッド間の距離が両方とも、q120とq140の比率を変更するために異なり得ることを理解するであろう。
例示的実施形態では、図1に描写されるように、ロッドセット140のq値は、ロッドセット140内のロッド間の距離を減少させることによって、全ての他のパラメータは、等しいが、ロッドセット120のものに対して増加され得る。すなわち、同じRF波形が、ロッドセット120、140の両方に印加され得るが、ロッドセット120のものに対して中心軸(A)からのロッドセット140のロッド間の距離の減少は、q120より大きいq140をもたらし得る。
加えて、イオン抽出システム100は、ロッドセット120内のイオンの少なくとも一部の半径方向振動振幅を増加させるように、ロッドセット120内のイオンを励起させるように構成されることができる。当業者によって理解されるであろうように、イオンは、イオン−分子反応(例えば、イオン解離)およびイオン−イオン反応を介して、補助励起信号の印加を通してを含め、種々の機構を使用して励起され得る。種々の実施形態では、例えば、イオン抽出システムは、補助AC源108を含み、補助AC場をロッドセット120内に発生させることができる。当業者によって理解されるであろうように、補助AC信号の周波数は、選択されたm/zのイオンを共鳴励起させるように選択されることができる。一例として、補助AC信号は、実質的に、選択されたイオンの永年周波数(ω)に対応する周波数を有することができ、ω=βΩ/2であって、当技術分野において公知のように、Ωは、RF駆動の角周波数であって、βは、マシュー安定性パラメータaおよびqの関数である。故に、補助AC場は、優先的に、選択されたm/zのイオンを励起させ、それによって、選択されたm/zを有していないイオンに対して、ロッドセット120内のその半径方向振動振幅を増加させることができる。当業者によって理解されるであろうように、選択されたm/zを有していないイオンは、選択されたm/zのイオンに対して、ロッドセット120の中心軸を中心として比較的に半径方向に閉じ込められたままであることができる。
図1に示されるように、イオン抽出システム100は、加えて、以下に詳細に論じられるように、DC電源106を含み、DC電位をロッドセット120、140間に印加し、ロッドセット120、140間のイオンの通路を変調させ得る、DC障壁を発生させることができる。一例として、DC源106は、DC電位を2つのロッドセット120、140を横断して印加することができ、または代替として、いくつかの実施形態では、1つ以上のDC源が、ロッドセット120をあるDC電圧に、およびロッドセット140を異なるDC電圧に維持することができる。
次に図2A−2Cを参照すると、例示的イオン抽出システム100を使用する、種々のイオンの捕捉および抽出の理論的シミュレーションが、縦一列に位置付けられた図1のロッドセット120、140に対して、以下の例示的パラメータを使用して描写される。ロッドセット120のロッドは、中心軸から6.8mm離間され(r0,120=6.8mm)、ロッドセット140のロッドは、中心軸から5.4mm離間された(r0,140=5.4mm)。同じRF波形が、ロッドセット120、140に印加され、Vrf=1200V、Ω/2π=1MHz、およびRF相の開始は、90度であった。ロッドセット120のq値は、q120=0.65であって、第2のロッドセットのq値は、q140=0.85(q120:q140≒0.76)であった。ロッドセット120、140は、0V DCに維持された。補助AC波形は、これらのシミュレーションの間、ロッドセット120、140に印加されなかった。シミュレーションは、Scientific Instrument Services, Inc.(N.J., U.S.A)によって市販のSIMIONシミュレーションソフトウェアを使用して行なわれた。
図2Aを具体的に参照すると、プロットは、ロッドセット120、140によって印加されるRF捕捉電位によって発生される等電位表面を示す。相互作用領域130では、ロッドセット120、140によって発生されたRF場は、相互作用領域130内の湾曲等電位表面によって示されるように、漏れ電場132を発生させるように相互作用することが示される。前述のように、これらの漏れ電場132は、イオン運動の軸方向および半径方向成分を結合し得る。減少場強度を有する漏れ電場は、共鳴励起されたイオンを抽出するために使用されることができるが(例えば、質量選択的軸方向射出)、図2に示されるように、左から右に第1のロッドセット120を横断するイオンによって被られる「逆」漏れ電場の増加場強度は、本明細書のその他の場所で論じられるように、共鳴励起されたイオンをはね返すのに有効であり得る。
図2AのRF場のイオン移動に及ぼす効果は、図2Bおよび2Cのシミュレーションにおいて実証される。ロッドセット120からのイオンの軸方向射出(すなわち、ロッドセット120からロッドセット140へのイオンの軸方向伝送)が、中心軸からのイオンの種々の初期変位で試験された。同じカチオン(m/z500)が、同じエネルギー(3eV)を伴って、ロッドセット120の入力オリフィス120aに入射したが、図2Bは、rinit=0.2mmの初期変位を有するイオン102bの100%が、ロッドセット140に射出されたことを実証する一方、図2Cは、初期変位rinit=2.0mmを有するイオン102cの100%が、ロッドセット140に入射しないように防止された(例えば、ロッドセット120内に捕捉された)ことを示す。すなわち、中心軸から比較的に小変位を有するイオン102bのみ、相互作用領域130を通して進行し得る一方、タンデムロッドセット120、140のRF場の相互作用によって発生された「逆漏れ電場」は、比較的に大半径方向変位を有するイオン102cを反発させるのに有効であった。
図2Bおよび2Cに実証される異なる半径方向変位のイオンに及ぼす「逆」漏れ電場の効果に照らして、ロッドセット120、140は、ロッドセット120内のイオンを励起させることによって、選択されたm/zを有するイオンを単離するように構成されることができる。一例として、実質的に、選択されたm/zの永年周波数に対応する周波数を有する、補助AC信号は、例えば、選択されたイオンを共鳴励起させ、それによって、選択されたm/zを有していないイオンに対して、ロッドセット120内のその半径方向振動振幅を増加させるように、第1のロッドセット120に印加されることができる。その結果、「逆」漏れ電場は、共鳴励起されたイオンを反発(例えば、大半径方向振動振幅を有するイオンをロッドセット120内に捕捉)させるのに有効であり得る一方、より小さい半径方向振動振幅を有する共鳴励起されていないイオン(例えば、軸上またはその近傍を進行するイオン)は、「逆」漏れ電場によって大きく影響を受けないままであって、ロッドセット120から射出(すなわち、ロッドセット140に伝送される)されることができる。
当業者によって理解されるであろうように、前述の例示的イオン抽出システムは、本出願人の教示に従って修正された種々の公知の質量分析計システムにおいて利用されることができる。例えば、次に図3を参照すると、本出願人の本教示の種々の側面を組み込む、例示的質量分析計システム10が、描写される。
図3に描写される例示的実施形態では、質量分析計システムは、概して、Hager and LeBlanc in Rapid Communications of Mass Spectrometry 2003, 17, 1056−1064によって説明され、本明細書の教示に従って修正されるようなQTRAP Q−q−Q線形イオントラップ質量分析計システム10を備えることができる。質量分析計システム10は、例えば、イオン源12、検出器14、およびその間に位置する質量分析セクション16を含むことができる。イオン源12は、事実上、当技術分野において公知の任意のイオン源であることができる。一例として、イオン源は、とりわけ、連続イオン源、パルスイオン源、大気圧化学イオン化(APCI)源、エレクトロスプレーイオン化(ESI)源、誘導結合プラズマ(ICP)イオン源、マトリクス支援レーザ脱離/イオン化(MALDI)イオン源、グロー放電イオン源、電子衝突イオン源、化学イオン化源、または光イオン化イオン源であることができる。同様に、検出器14は、事実上、当技術分野において公知の任意の検出器であることができる。
当業者によって理解されるであろうように、質量分析セクション16は、その質量別にイオンを分離し、および/またはさらなる反応(例えば、試料源によって発生されるイオンの断片化)を行なうために、1つ以上の質量分析器を含むことができる。非限定的実施例として、例示的質量分析セクション16は、図3に示されるように、4つの四重極質量分析器:Q0、Q1、Q2、およびQ3を備えることができる。四重極ロッドセットのうちの任意の1つは、本出願人の教示の種々の側面に照らして修正されることができるが、図3に描写される例示的実施形態では、付加的四重極ロッドセットSTが、直接、上流に、Q1と縦一列に位置付けられ、その組み合わせは、本明細書では、ST+Q1 100’と称される。ロッドセットQ0、ST、Q1、Q2、およびQ3は、概して、本明細書では、便宜上、四重極(すなわち、4つのロッドを有する)と称されるが、任意の他の好適な多重極構成、例えば、六重極、八重極等を有することができる。
種々のロッドセットQ0、ST+Q1 100’、Q2、およびQ3が、例えば、開口レンズIQ1、IQ2、およびIQ3によって分離される、隣接するチャンバ内に配置されることができ、当技術分野において公知のように、低大気圧まで減圧される。出口レンズ18は、Q3と検出器14との間に位置付けられ、検出器14へのイオン流を制御することができる。当業者によって理解されるであろうように、質量分析計システム10の種々の構成要素は、コントローラ(図示せず)および1つ以上の電源(図示せず)と結合され、特定のMS用途に応じて、種々の異なる動作モードのために四重極ロッドセットを構成するように選択されたAC、RF、および/またはDC電圧を受電することができる。一例として、イオンは、ロッドセットによって印加されるRF電圧によって、Q0、ST+Q1 100’、Q2、およびQ3のいずれかに、半径方向に捕捉され、質量分析計の種々の構成要素に印加される種々のAC、RF、および/またはDC電圧の印加を通して、軸方向に捕捉されることができる。
質量分析計10の動作の間、イオン源12によって発生されるイオンは、オリフィス板およびスキム板(図示せず)内の開口を連続的に通過し、狭小かつ非常に集束したイオンビームをもたらすことによって、コヒーレントイオンビーム中に抽出されることができる。イオンビームは、次いで、Q0に入射し、これは、イオンガイド、例えば、その中に位置するイオンを衝突冷却することによって、衝突集束イオンガイドとして動作されることができる。種々の実施形態では、Q0は、着目イオンおよび/または着目イオンの範囲を選択するように動作され得る、従来の伝送RF/DC四重極質量フィルタとして動作されることができる(例えば、通過帯域フィルタ)。
Q0を通過後、ST+Q1 100’に入射するイオンは、本出願人の教示の種々の側面に従って、高分解能抽出ステップを受け得る。一例として、STおよびQ1内で発生されるRF場間の相互作用から生じる漏れ電場は、図1および2A−2Cを参照して前述のように、小半径方向振動振幅を有するイオンを比較的に大半径方向振動振幅を有するものから分離するのに有効であり得る。図3に描写される例示的実施形態では、四重極ロッドセットST、Q1の配向が、前述のイオン抽出デバイス100に対して逆であることを理解されたい。すなわち、図3に描写される概略では、ロッドセットSTは、任意のm/zに対して、Q1のものより高いq値を呈し得る(例えば、ロッドセットSTのロッド間の距離は、ロッドセットQ1のロッド間の距離未満である)。以下に詳細に論じられるように、ST+Q1 100’は、さらなる下流処理のために、共鳴励起された標的イオンの捕捉および/または抽出を可能にすることができる。
一例として、図3を継続して参照すると、標的イオンは、ST+Q1 100’から、示されるように、加圧された区画内に配置され、衝突セルとして動作するように構成されることができる、Q2に伝送されることができる。好適な衝突ガス(例えば、アルゴン、窒素、ヘリウム等)が、ガス入口(図示せず)を経由して提供され、イオンビーム中のイオンを断片化および/または熱運動化させることができる。Q2内では、標的イオンは、例えば、衝突誘起解離および/またはイオン−イオン反応を含む、種々のプロセスを受け得るが、Q2の他の動作モードも、利用されることができる(例えば、RF専用イオン伝送モードにおいて)。前駆体標的イオンおよび/または生成イオンは、Q2によって、例えば、走査RF/DC四重極、四重極イオントラップ、または線形イオントラップとして、いくつかの様式で動作され得る、隣接する四重極ロッドセットQ3に伝送されることができる。非限定的実施例として、Q3内に捕捉されるイオンは、米国特許第6,177,668号「Axial Ejection in a Multipole Mass Spectrometer」(参照することによって全体として本明細書に組み込まれる)に詳細に説明されるように、質量選択的軸方向射出(MSAE)を介して、出口レンズEXを通して、検出器14に質量選択的に走査されることができる。
次に図4を参照すると、イオン抽出システムST+Q1 100’の概略が、より詳細に描写され、イオンは、左から(例えば、図3に描写される質量分析計システム10内のQ0から)STに導入される。図4に描写されるように、ロッドセットST+Q1は、縦一列に位置付けられることができる。出口レンズIQ2は、ロッドセットQ1の下流端に隣接して配置される。RF電圧源104’は、イオンをST、Q1内に半径方向に閉じ込めるように、STに容量結合され得る、Q1にRF電位を印加するように構成されることができる。前述のように、ロッドセットST、Q1のRF半径方向閉じ込め場は、その相互作用が、漏れ電場を発生させ得るように、相互に対して異なることができる。種々の実施形態では、ロッドセットST、Q1内の異なるRF場は、例えば、qSTとqQ1の非1の比率によって特徴付けられ得る。一例として、qSTとqQ1の比率は、1を上回ることができる(すなわち、ロッドセットSTは、ロッドセットQ1を上回るq値を有することができる)。種々の例示的実施形態では、qSTとqQ1の比率は、約1.1〜約1.3の範囲内であることができる。例示的実施形態では、図4に描写されるように、ロッドセットST、Q1に印加されるRF電位は、同じであって、STのq値は、ロッドセットST内のロッド間の距離を減少させることによって、Q1に対して増加される。
q値の比率は、分子が、イオンがイオン抽出システム100およびST+Q1 100’に最初に入射したロッドセットに対応する、本明細書で使用される慣例に基づいて、図1および2A−2Cを参照して論じられるものに対して判定されて現れることに留意されたい。
図4に示されるように、ロッドセットQ1は、加えて、補助AC源108’に結合され、補助AC場をロッドセットQ1内に発生させることができる。ロッドセットSTは、ロッドセットSTをQ1に対してバイアスDC電位に維持し得る、DC電源106’に結合されることができる。コントローラ109’は、種々の構成要素に結合され、例えば、RF、AC、およびDC電圧のST、Q1、およびIQ2への印加を制御することができる。
使用時、図5Aおよび5Bの概略に描写されるように、イオンは、上流端からSTに導入されることができ、STは、イオンがIQ2に向かってQ1に(すなわち、左から右に)伝送され得るように、RF専用伝送モードで動作する。当業者によって理解されるであろうように、障壁電位は、Q1を横断するイオンの少なくとも一部が、IQ2によって、STに向かって戻るように反発(例えば、反射)されるように、IQ2に印加されることができる。例えば、Q1のロッドに印加される補助AC信号を介して、Q1内のイオンを励起することは、標的イオンの半径方向振動振幅が増加され得るように、本明細書の別の場所で論じられるように、選択されたm/zの標的イオンを共鳴励起させるのに有効であり得る。補助AC波形が、Q1に印加され、双極または四重極励起場を発生させることができることは、当業者によって理解されるであろう。さらに、種々の実施形態では、補助AC波形は、標的イオンが、IQ2によって反発される前および/または後に励起され得るように、Q1に持続的に印加されることができる。
次に、図5Aを具体的に参照すると、共鳴励起されない、STに向かってQ1を横断するイオンは、Q1から射出される(例えば、STに伝送される)ことができる。すなわち、補助AC信号によって十分に励起されておらず、実質的に、ST+Q1 100’の軸に閉じ込められたままである、イオンは、STにかかるDCバイアスによって提供されるDC障壁を克服し、それによって、望ましくないイオンおよびそれと関連付けられた任意の空間電荷効果を排除することができる。
図5Bに描写されるように、共鳴励起された標的イオンは、本明細書の別の場所で論じられるように、「逆」漏れ電場によって、IQ2に向かって反発されることができる。当業者によって理解されるであろうように、Q1内に捕捉された標的イオンは、次いで、IQ2の障壁電位を低下させることによって、トラップから伝送されることができる。しかしながら、種々の実施形態では、IQ2障壁電位は、維持されることができ、標的イオンは、図5Bに図式的に描写されるように、「逆」漏れ電場とIQ2との間に連続的に反射されるにつれて、補助AC信号からエネルギーを獲得し続けることができる。一例として、反射は、標的イオンの共鳴励起によって、例えば、米国特許第6,177,668号「Axial Ejection in a Multipole Mass Spectrometer」(参照することによって全体として本明細書に組み込まれる)に説明されるように、例えば、IQ2に隣接するQ1の抽出領域内の抽出漏れ電場における標的イオンの半径方向運動および軸方向運動の結合を通して、IQ2の出口障壁を克服するために十分な半径方向エネルギーを標的イオンが得ることをもたらすまで、持続することができる。
以前の標的イオン単離技法と異なり、複数の反射による補助AC信号への標的イオンの暴露の持続時間増加(ある場合には、励起信号の振幅減少)は、実質的に等重イオンからの標的イオンの発散を改善し、それによって、より選択的単離および分解能増加をもたらすことができる。さらに、本準捕捉アプローチは、(1)自動的に、望ましくないイオンを射出し、それによって、空間電荷効果を低減させ、(2)下流保管または分析のために、標的イオンをQ1から持続的に抽出し、それによって、「自己」空間電荷を減少させ、(3)標的イオンの持続的注入および射出を可能にして、それによって、単離のデューティサイクルを改善することによって、単離の分解能を改善することができる。
当業者は、タンデム四重極が、Q1と併せて描写されるが、本明細書の本出願人の教示は、本明細書に説明されるものおよびその他の当技術分野において公知の例示的質量分析計システム内の種々の他の多重極イオントラップに適用されることができることを理解するであろう。
種々の実施形態では、本出願人の教示の種々の側面による、前述の「逆」漏れ電場は、例えば、STとQ1との間のDC電位を調節することによって、選択的に印加されることができる。次に図6を参照すると、プロットは、Q1からSTへのイオン伝送の効率を描写し、「逆」漏れ電場が、Q1のものに対して、STのDC電圧を引力電位に維持することによって、オフにされることができることを実証する。具体的には、図6は、STに印加されるDCバイアス電圧が、33V〜約39Vに走査されるにつれて(Q1を39VのDC電圧に、IQ2を41VのDC電圧に維持しながら)、補助励起信号の振幅を変動させることによってQ1内で励起されたイオンは、Q1からSTに伝送されることを実証し、漏れ電場がイオンの移動に干渉しないことを示す。しかしながら、約39Vの電圧が、STとQ1との間にDC電位が存在しないようにSTに印加されるとき、Q1からSTへのイオンの伝送効率は、急降下する。これは、半径方向に励起されたイオンをはね返し、Q1からSTへのその伝送を防止するのに有効である、「逆」漏れ電場が発生したことを示す。
次に図7を参照すると、データは、本出願人の教示の種々の側面に従って発生された逆漏れ電場の存在下におけるイオンの伝送の改良を実証する。本明細書の別の場所で論じられるように、逆漏れ電場によって提供される励起持続時間の増加は、減少した振幅の補助AC励起信号の印加を可能にすることができる。図7は、逆漏れ電場の存在下、システム内のTOF較正溶液中の約830のm/zを有するペプチドの伝送が、約310mVp−p〜約160mVp−pの範囲内の補助励起振幅に対して、実質的に、逆漏れ電場がオフのシステムのものと同じ結果を提供することができることを実証する。しかしながら、逆漏れ電場の使用は、各励起振幅におけるプロットの左側のピーク間の差異において実証されるように、約160mVp−p〜約62mVp−p未満の励起振幅に対して、伝送改良をもたらす。本出願人はさらに、より高い励起振幅に対して、分裂ピークの存在が、標的イオンが過度に励起され、中性ガスとの衝突後、断片化されることを実証することに留意する。本意図されない解離は、例えば、窒素ガス(N2)より軽い中性緩衝ガスの存在下、より高い振幅を伴う補助AC励起を行なうことによって、阻害されることができる。一例として、ヘリウムの使用は、高振幅補助励起における衝突誘起断片化を阻害することができる。
次に図8Aおよび8Bを参照すると、それぞれ、逆漏れ電場の存在および不在下、軸方向に励起されるときの338のm/zを有するイオンの伝送の改良を実証する、データが、提示される。データは、m/z=338を伴うイオンの単離を実証する。本例示的実験では、IQ2バイアスは、Q1のロッドに印加される固定補助AC波形を用いて走査された。水平目盛りは、イオンが補助AC信号によって励起されるときの伝送率(すなわち、伝送されるイオンとイオンの総数の比率)を描写する。垂直目盛りは、イオンが補助AC信号によって励起されないときの阻止率(すなわち、総イオンと伝送されたイオンの比率)を描写する。本出願人の教示の種々の側面による、逆漏れ電場を使用するイオンの単離を描写する、図8Aは、イオンの単離と比較して、改良された分解能を実証する。さらに、データは、約60%の伝送限界を実証する。任意の特定の理論に高速されるわけではないが、本出願人は、伝送が、出口電極IQ2内の孔のサイズによって制限されると考える。伝送の改良は、したがって、より大きい開口を有する出口電極の使用によって期待されるであろう。
本明細書で使用される見出しは、編成目的にすぎず、説明される主題をいかようにも限定するものと解釈されない。本出願人の教示が、種々の実施形態と併せて説明されたが、本出願人の教示がそのような実施形態に限定されることを意図しない。対照的に、本出願人の教示は、当業者によって理解されるような種々の代替、修正、および均等物を包含する。

Claims (20)

  1. 多重極イオントラップ内でイオンを処理するための方法であって、前記方法は、
    第2の多重極ロッドセットに対して直列に配置された第1の多重極ロッドセットを提供することであって、各多重極ロッドセットは、第1の端部および第2の端部を有し、前記イオンは、前記第1の多重極ロッドセットの前記第1の端部を通して、前記第1の多重極ロッドセットおよび前記第2の多重極ロッドセットに導入される、ことと、
    前記第1の多重極ロッドセットおよび前記第2の多重極ロッドセット内にRF場を生成することにより、前記イオンを閉じ込めることであって、前記第1の多重極ロッドセットおよび前記第2の多重極ロッドセット内の前記RF場は、前記第1の多重極ロッドセットの前記第2の端部と前記第2の多重極ロッドセットの前記第1の端部との間の相互作用領域内で相互作用することにより、前記第1の多重極ロッドセットから前記第2の多重極ロッドセットに向かう方向で減少する場強度を有する漏れ電場を生成する、ことと、
    前記第2の多重極ロッドセットの前記第2の端部において障壁場を生成することにより、前記第2の多重極ロッドセットの前記第2の端部から前記第1の多重極ロッドセットに向かって前記イオンの少なくとも一部をはね返すことと、
    励起されたイオンの少なくとも一部が前記漏れ電場によって前記第2の多重極ロッドセットの前記第2の端部に向かって戻るように反発されるように、前記第2の多重極ロッドセット内で前記はね返されたイオンを励起させることと
    を含み、
    前記第1の多重極ロッドセットおよび前記第2の多重極ロッドセットは、中心軸に沿って軸方向に整列されることにより、直列に配置されており、
    前記中心軸と前記第1の多重極ロッドセットの複数のロッドとの間の距離は等しく、前記中心軸と前記第2の多重極ロッドセットの複数のロッドとの間の距離は等しく、
    前記中心軸と前記第1の多重極ロッドセットの複数のロッドとの間の距離は、前記中心軸と前記第2の多重極ロッドセットの複数のロッドとの間の距離よりも小さい、方法。
  2. 前記はね返されたイオンの少なくとも一部は、前記第1の多重極ロッドセットに射出される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記励起されたイオンの少なくとも一部は、前記第1の多重極ロッドセットに射出される、請求項2に記載の方法。
  4. 前記はね返されたイオンを励起させることは、前記第2の多重極ロッドセットに補助励起信号を印加することにより、選択されたm/zを有するイオンを共鳴励起させることを含み、前記補助励起信号は、前記選択されたm/zを有する前記イオンの永年周波数に実質的に一致する周波数を有する補助AC波形を含み、前記補助AC波形は、双極励起場を生成し、前記選択されたm/zを有する前記イオンは、前記漏れ電場によって反発される、請求項1に記載の方法。
  5. 前記第2の多重極ロッドセット内の前記RF場は、前記第2の多重極ロッドセットの前記第2の端部に隣接する抽出領域内の前記障壁場と相互作用することにより、前記第1の多重極ロッドセットから前記第2の多重極ロッドセットに向かう方向で減少する場強度を有する第2の漏れ電場を生成し、前記補助AC波形は、前記選択されたm/zを有する前記イオンの少なくとも一部を前記第2の多重極ロッドセットの前記第2の端部から選択的に射出し、前記障壁場は、DC場である、請求項4に記載の方法。
  6. 前記第1の多重極ロッドセットおよび前記第2の多重極ロッドセット内に前記RF場を生成することは、前記第1の多重極ロッドセットに印加されるRF波形が前記第2の多重極ロッドセットに印加されるRF波形と同一であるように、前記第1の多重極ロッドセットおよび前記第2の多重極ロッドセットのそれぞれに前記RF波形を印加することを含む、請求項1に記載の方法。
  7. 前記第1の多重極ロッドセットおよび前記第2の多重極ロッドセット内に前記RF場を生成することは、前記第1の多重極ロッドセットに第1のRF波形を印加することと、前記第2の多重極ロッドセットに第2のRF波形を印加することとを含み、前記第1のRF波形および前記第2のRF波形は、互いに異なり、前記第1のRF波形は、前記第2のRF波形より大きい振幅を有し、前記第1の多重極ロッドセットおよび第2の多重極ロッドセットのロッドは、四重極ロッドである、請求項1に記載の方法。
  8. 選択されたm/zを有するイオンに対して、前記第1の多重極ロッドセットに対するq値は、前記第2の多重極ロッドセットに対するq値よりも大きい、請求項1に記載の方法。
  9. 前記第2の多重極ロッドセットのq値に対する前記第1の多重極ロッドセットのq値の比率は、約1.1〜約1.3の範囲内である、請求項8に記載の方法。
  10. 前記第1の多重極ロッドセットと第2の多重極ロッドセットとの間でDC電位を生成することをさらに含み、前記DC電位を調節することにより、前記漏れ電場を変調することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  11. 多重極イオントラップ内でイオンを処理するための方法であって、前記方法は、
    直列に配置された第1の多重極ロッドセットおよび第2の多重極ロッドセット内にRF軸方向閉じ込め場を生成することであって、前記第1の多重極ロッドセットに対して前記第2の多重極ロッドセットによって呈されるq値の比率は、任意のm/zに対して、1よりも大きく、前記第1の多重極ロッドセットおよび前記第2の多重極ロッドセット内の前記RF軸方向閉じ込め場は、前記第1の多重極ロッドセットと前記第2の多重極ロッドセットとの間の相互作用領域内で相互作用することにより、前記第1の多重極ロッドセットから前記第2の多重極ロッドセットに向かう方向で減少する場強度を有する漏れ電場を生成する、ことと、
    前記第1の多重極ロッドセットを通して、前記第2の多重極ロッドセットに向かってイオンを伝送することと、
    増加した半径方向振動振幅を有するイオンの少なくとも一部が前記漏れ電場によって反発されるように、前記第1の多重極ロッドセット内のイオンの少なくとも一部の半径方向振動振幅を増加させることと
    を含み、
    前記第1の多重極ロッドセットおよび前記第2の多重極ロッドセットは、中心軸に沿って軸方向に整列されることにより、直列に配置されており、
    前記中心軸と前記第1の多重極ロッドセットの複数のロッドとの間の距離は等しく、前記中心軸と前記第2の多重極ロッドセットの複数のロッドとの間の距離は等しく、
    前記中心軸と前記第1の多重極ロッドセットの複数のロッドとの間の距離は、前記中心軸と前記第2の多重極ロッドセットの複数のロッドとの間の距離よりも小さい、方法。
  12. 前記第1の多重極ロッドセットを通して伝送されるイオンの少なくとも一部は、前記第1の多重極ロッドセット内のイオンの少なくとも一部の半径方向振動振幅を増加させる間、前記第2の多重極ロッドセットに軸方向に射出される、請求項11に記載の方法。
  13. 前記q値の比率は、約1.1〜約1.3の範囲内である、請求項11に記載の方法。
  14. 前記半径方向振動振幅を増加させることは、前記第1の多重極ロッドセット内の前記イオンの少なくとも一部を共鳴励起させることを含み、前記第1の多重極ロッドセット内の前記イオンの少なくとも一部を共鳴励起させることは、補助励起信号を前記第1の多重極ロッドセットに印加することを含み、前記補助励起信号は、選択されたm/zを有するイオンの永年周波数に実質的に一致する周波数を有する補助AC波形を含む、請求項11に記載の方法。
  15. 質量分析計システムであって、
    イオン源と、
    第1の端部と第2の端部との間に延在する第1の多重極ロッドセットであって、前記第1の端部は、前記イオン源からイオンを受け取るためのものである、第1の多重極ロッドセットと、
    第1の端部と第2の端部との間に延在する第2の多重極ロッドセットであって、前記第2の多重極ロッドセットに対して前記第1の多重極ロッドセットによって呈されるq値の比率は、任意のm/zに対して、1よりも大きい、第2の多重極ロッドセットと、
    前記第1の多重極ロッドセットおよび前記第2の多重極ロッドセットに結合されたコントローラであって、前記コントローラは、
    (i)前記第1の多重極ロッドセットおよび前記第2の多重極ロッドセットのうちの少なくとも1つにRF波形を印加することにより、前記第1の多重極ロッドセットおよび前記第2の多重極ロッドセットのそれぞれの内にRF軸方向閉じ込め場を生成することであって、前記RF軸方向閉じ込め場は、前記第1の多重極ロッドセットと前記第2の多重極ロッドセットとの間の相互作用領域内で相互作用することにより、前記第1の多重極ロッドセットから前記第2の多重極ロッドセットに向かう方向で減少する場強度を有する漏れ電場を生成する、ことと、
    (ii)前記第2の多重極ロッドセットの前記第2の端部において障壁場を生成することと、
    (iii)前記第1の多重極ロッドセットと前記第2の多重極ロッドセットとの間にDC電位を生成することと、
    (iv)前記第2の多重極ロッドセットに補助AC波形を印加することであって、これにより、励起されたイオンの少なくとも一部が前記漏れ電場によって前記第2の多重極ロッドセットの前記第2の端部に向かって戻るように反発されるように、前記補助AC波形は、前記障壁場からはね返されたイオンを励起させる、ことと
    を行うように構成されている、コントローラと、
    前記第2の多重極ロッドセットの前記第2の端部から射出されるイオンを検出するための検出器と
    を備え、
    前記第1の多重極ロッドセットおよび前記第2の多重極ロッドセットは、中心軸に沿って軸方向に整列されることにより、直列に配置されており、
    前記中心軸と前記第1の多重極ロッドセットの複数のロッドとの間の距離は等しく、前記中心軸と前記第2の多重極ロッドセットの複数のロッドとの間の距離は等しく、
    前記中心軸と前記第1の多重極ロッドセットの複数のロッドとの間の距離は、前記中心軸と前記第2の多重極ロッドセットの複数のロッドとの間の距離よりも小さい、システム。
  16. 前記励起されたイオンの少なくとも一部は、前記第1の多重極ロッドセットに射出される、請求項15に記載のシステム。
  17. 前記補助AC波形は、選択されたm/zを有するイオンの永年周波数に実質的に一致する周波数を有し、前記補助AC波形は、双極励起場を生成し、前記第2の多重極ロッドセット内の前記RF軸方向閉じ込め場は、前記第2の多重極ロッドセットの前記第2の端部に隣接する抽出領域内の前記障壁場と相互作用することにより、前記第1の多重極ロッドセットから前記第2の多重極ロッドセットに向かう方向で減少する場強度を有する第2の漏れ電場を生成し、前記補助AC波形は、前記選択されたm/zを有する前記イオンの少なくとも一部を前記第2の多重極ロッドセットの前記第2の端部から選択的に射出するように構成されており、前記選択されたm/zを有する前記イオンは、前記漏れ電場によって反発される、請求項15に記載のシステム。
  18. 前記コントローラは、前記第1の多重極ロッドセットに印加されるRF波形が前記第2の多重極ロッドセットに印加されるRF波形と同一であるように、前記第1の多重極ロッドセットおよび前記第2の多重極ロッドセットのそれぞれに前記RF波形を印加することにより、前記第1の多重極ロッドセットおよび前記第2の多重極ロッドセットのそれぞれの内にRF軸方向閉じ込め場を生成するように構成されており、前記第1の多重極ロッドセットおよび前記第2の多重極ロッドセットは、中心軸に沿って軸方向に整列されており、前記中心軸と前記第1の多重極ロッドセットのロッドとの間の距離は、前記中心軸と前記第2の多重極ロッドセットのロッドとの間の距離よりも小さい、請求項15に記載のシステム。
  19. 前記コントローラは、前記第1の多重極ロッドセットに第1のRF波形を印加することにより、前記第1の多重極ロッドセット内にRF軸方向閉じ込め場を生成し、前記第2の多重極ロッドセットに異なる第2のRF波形を印加するように構成されており、前記第1のRF波形は、前記第2のRF波形よりも大きい振幅を有し、前記コントローラは、前記DC電位を調節することにより、前記漏れ電場を変調するように構成されている、請求項15に記載のシステム。
  20. 前記第2の多重極ロッドセットのq値に対する前記第1の多重極ロッドセットのq値の比率は、約1.1〜約1.3の範囲内である、請求項15に記載のシステム。
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