JP2005528094A - ビタミンb12を製造する方法 - Google Patents

ビタミンb12を製造する方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、ビタミンB12を製造するための改良方法に関し、該方法は、シロヘム合成に関与する酵素ウロポルフィリノーゲンIIメチルトランスフェラーゼ及びプレコリン−2デヒドロゲナーゼの活性が少なくとも対応の内因性酵素活性と比較して増大されている微生物を含む培養物を発酵することを含むものである。

Description

本発明は、少なくとも1つのシロヘム合成酵素を使用する、ビタミンB12を製造するための改良方法に関する。
1930年代というかなり前に、ビタミンB12はGeorge Minot及びWilliam Murphy(Stryer,L.,1988,Biochemie(Biochemistry),第4版 pp.528−531,Spektrum Akademischer Verlag GmbH,Heidelberg,Berlin,New York)により人体に対するその作用から間接的に発見された。ビタミンB12は1948年に最初に精製、単離され、その複雑な三次元結晶構造はDorothy Hodgkinにより解明された(Hodgkin,D.C.ら,1956,Structure of Vitamin B12.Nature 176,325−328;及びNature 178,64−70)。天然に見出されるビタミンB12の生合成の最終生成物は5’−デオキシアデノシルコバラミン(B12補酵素)及びメチルコバラミン(MeCbl)であり、他方ではビタミンB12はシアノコバラミン(CNCbl)とも呼ばれ、これは主に産業界によって製造され取り扱われている化学物質形である。本発明においては、特に断らない限り、ビタミンB12は常に三つすべての類縁分子を指す。
巨大菌(巨大菌;B.megaterium)は100年以上前(1884年)にDe Baryによって初めて報告された。土壌菌として一般分類されているが、巨大菌は様々な他の生息地、例えば海水、沈殿物、コメ、乾燥肉、牛乳及び蜂蜜においても検出されることがある。巨大菌はシュードモナス菌[pseudomonads]及びアクチノミセス菌[actinomyces]と一緒に見出されることが多い。巨大菌はその近縁関係にある枯草菌[Bacillus subtilis]と同様グラム陽性菌であり、なかでも2×5μmというその相対的に顕著な大きさ(これによりその名前が付けられている)、約38%というG+C含有量、及び非常に顕著な胞子形成能力を特徴としている。増殖培地に極僅かでもマンガンがあればこの種が完全なる胞子形成を行うのには十分であり、これは一部の好熱性バチルス菌の胞子形成効率にしか見られない能力である。そのサイズ及びその非常に効率的な胞子形成と発生がために、巨大菌におけるこれらのプロセスの分子的基礎に関して広範な研究が行われ、その胞子形成と発生に関係している150超個の巨大菌遺伝子が今までに報告されている。巨大菌についての生理学的な研究(Priest,F.G.ら,1988,A Numerical Classification of the Genus Bacillus,J.Gen.Microbiol.134,1847−1882)により、この種は、ウレアーゼ陽性及びフォゲス−プロスカウアー(Voges−Proskauer)陰性であり、硝酸塩を還元することができない偏性好気性の胞子形成性細菌として分類された。巨大菌の最も際だった特性のうちの1つは、多くの炭素源を利用することができるという能力である。つまり巨大菌は非常に数多くの糖類を消費し、例えばコーンシロップ、食肉産業からの廃棄物、さらには石油化学産業の廃棄物の中に見られる。極めて広い範囲の炭素源を代謝できるというこの能力に関して、巨大菌は制限なしにシュードモナス菌と同じとみなすことができる(Vary,P.S.,1994,Microbiology,40,1001−1013,Prime time for Bacillus megaterium)。種々の微生物群、例えばバチルス属、シュードモナス属又はプロピオン酸菌属の微生物は、バイオテクノロジーによりビタミンB12を産生させるのに好適である。
本発明の目的は、微生物を用いるビタミンB12の生物工学的製造をさらに最適化することである。
この目的は、シロヘム合成に関与する酵素ウロポルフィリノーゲンIIIメチルトランスフェラーゼ及びプレコリン−2デヒドロゲナーゼの活性が少なくとも対応の内因性酵素活性と比較して増大されている微生物を含む培養物を発酵することを含む、ビタミンB12を製造するための改良方法によって達成される。
同様に、本発明は、シロヘム合成に関与する酵素ウロポルフィリノーゲンIIIメチルトランスフェラーゼ、シロヒドロクロリンフェロキレターゼ及びプレコリン−2デヒドロゲナーゼの活性が少なくとも対応の内因性酵素活性と比較して増大されている微生物を含む培養物を発酵することを含む、ビタミンB12を製造するための改良方法に関する。
さらに、本発明は、シロヘム合成に関与する酵素ウロポルフィリノーゲンIIIメチルトランスフェラーゼ及びプレコリン−2デヒドロゲナーゼ、並びにコバラミン合成に関与する酵素シロヒドロクロリンコバルトキレターゼの活性が少なくとも対応の内因性酵素活性と比較して増大されている微生物を含む培養物を発酵することを含む、ビタミンB12を製造するための改良方法に関する。
発酵に続いて、生成されたビタミンB12を発酵培地から回収することができる。これを行う手段は、標準的な実験室慣例の一部であるので、ここではさらに注釈しない。
本発明の変形は、少なくとも1の配列番号2に示されるウロポルフィリノーゲンIIIメチルトランスフェラーゼ及び1の配列番号6に示されるプレコリン−2デヒドロゲナーゼ又はそれらのイソ酵素が対応の内因性酵素活性と比較して増大されている方法を包含する。
別の変形は、少なくとも1の配列番号2に示されるウロポルフィリノーゲンIIIメチルトランスフェラーゼ及び1の配列番号4に示されるシロヒドロクロリンフェロキレターゼ及び1の配列番号6に示されるプレコリン−2デヒドロゲナーゼ、又はそれらのイソ酵素が対応の内因性酵素活性と比較して増大されている方法を包含する。
さらに、本発明は、少なくとも1の配列番号2に示されるウロポルフィリノーゲンIIIメチルトランスフェラーゼ、1の配列番号6に示されるプレコリン−2デヒドロゲナーゼ及びシロヒドロクロリンコバルトキレターゼ(cbiX)、又はそれらのイソ酵素が対応の内因性酵素活性と比較して増大されている変形方法を包含する。
従って、本発明は、シロヘム合成に関与する酵素ウロポルフィリノーゲンIIIメチルトランスフェラーゼ(sirA)、プレコリン−2デヒドロゲナーゼ(sirC)及びシロヒドロクロリンフェロキレターゼ(sirB)、並びにコバラミン合成に関与する酵素シロヒドロクロリンコバルトキレターゼ(cbiX)の活性が、単独で又は組み合わせて、少なくとも対応の内因性酵素活性と比較して増大されている微生物を含む培養物を発酵することを含む、ビタミンB12を製造するための改良方法の変形に関する。
「内因性酵素活性」とは、細胞又は生物の構成(基本的遺伝子装置)から生じる(自然に存在する)ものであって、かつ外的影響又は外部からの供給の結果として生じていない活性、すなわち微生物が遺伝的に操作される前の個々の酵素活性のレベルにある活性であると理解される。
「イソ型」とは、同一又は同等の基質及び作用特異性を有するが、異なる一次構造を有する酵素であると理解される。
さらに、本発明は、上記酵素の改変形態に関する。
本発明によって同様に包含される「改変形態」とは、配列中に、例えばポリペプチドのN末端及び/若しくはC末端に、又は保存アミノ酸の領域内に変化が存在する酵素であるが、これが酵素の機能に影響することのないものであるであると理解される。これらの変化をアミノ酸置換の形で作製するために、自体公知の方法を用いることができる。
本発明の1つの特定の実施形態は、その活性が、例えばアミノ酸置換によって、個々の元のタンパク質の活性と比較して減弱又は増大されている、本発明に係るポリペプチドの変形を包含する。同じことは、細胞中の本発明に係る酵素の安定性、例えばプロテアーゼによる分解をより受けやすいか又はより受けにくい酵素の安定性にも当てはまる。
従って、本発明の意味の範囲内で、「内因性酵素活性」とは、微生物中に天然に存在するシロヘム合成又はコバラミン合成酵素の活性であると理解される。シロヘムは、前駆体ウロポルフィリノーゲンIIIから合成される。当業者であれば、ウロポルフィリノーゲンIIIをシロヘムに変換するために必要な反応段階、及びこれらの段階に関与する生体触媒をよく理解している。特に、これらの生体触媒は、次の活性を有する酵素である:ウロポルフィリノーゲンIIIメチルトランスフェラーゼ、シロヒドロクロリンフェロキレターゼ及びプレコリン−2デヒドロゲナーゼを有する生体触媒である。コバラミン(ビタミンB12)に変換するために、挙げるべき重要な生体触媒は、シロヒドロクロリンコバルトキレターゼの活性。これに関し、遺伝子cbiXはシロヒドロクロリンコバルトキレターゼ酵素をコードする。
巨大菌(Bacillus megaterium)、大腸菌(Escherichia coli)及びネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)の野生型の、すなわち遺伝的に改変されていない株において、内因性ウロポルフィリノーゲンIIIメチルトランスフェラーゼ、シロヒドロクロリンフェロキレターゼ、プレコリン−2デヒドロゲナーゼ及びシロヒドロクロリンコバルトキレターゼ酵素活性は、それらを殆ど検出できないほど低い。
粗細胞抽出物において、ウロポルフィリノーゲンIIIメチルトランスフェラーゼ及びプレコリン−2デヒドロゲナーゼの活性は、それぞれ0.25単位/mg粗細胞抽出物、約0.002単位/mg粗細胞抽出物よりも低い。一方、キレートゲン(chelatogen)の活性は、約0.01単位/mg粗細胞抽出物である。これに関し、1単位は、それぞれ、毎時生成される1nMのプレコリン−2、毎分生成される1nMのシロヒドロクロリンに相当し、そしてキレターゼの場合は毎分1nMのシロヒドロクロリンの消費(すなわち、消失)に相当する。
形質転換された菌株は、比較的に増大された活性を示す(以下参照)。
これに関し、上記酵素の各々は、それぞれの場合に1の遺伝子によってコードされることができるか、又は例えば、1の遺伝子は本来、上記酵素の2つ若しくは3つ全部又は任意の他の可能な組み合わせの活性の組み合わせで多機能性遺伝子産物をコードすることができる。
多数の微生物のうち、シロヘム及びコバラミンの合成に関与する酵素をコードする遺伝子は既に公知である。これらの遺伝子及び対応の遺伝子産物の命名は異なる。すなわち、大腸菌におけるシロヘム合成は、例えば多機能性タンパク質シロヘムシンターゼにより触媒され、その遺伝子はcysGと呼ばれる。酵母サッカロミセス・セレビシエにおいて、2つの酵素(ウロポルフィリノーゲンIIIメチルトランスフェラーゼ及びデヒドロゲナーゼ/キレターゼ)がシロへム合成に特異的に関与し、それらの遺伝子はmet1及びmet8と呼ばれる。枯草菌(Bacillus subtilis)において、その一部について、シロへム合成の上記酵素をコードする3つの遺伝子、すなわち、ylnD、ylnE及びylnFが知られている。
また、多くのコバラミン合成酵素が知られている。例えば、シロへム合成及びコバラミン合成の分岐点における触媒であるシロヒドロクロリンキレターゼを挙げることができる。サルモネラ菌において、それはCbiK又はCbiLと呼ばれる。巨大菌において、それはCbiXの名称で知られている(Raux,Eら,1998,Biochem.J.,335:159−166)。
本発明の意味の範囲内で、既に公知のシロへム合成遺伝子及びそれらをコードするシロへム合成酵素、並びに本発明に係るヌクレオチド配列及びそれらをコードする酵素、そしてまた、コバラミン合成の既に公知の遺伝子及びそれらによりコードされる酵素も、ビタミンB12を合成するための本発明に係る方法に使用するのに適している。
さらに、本発明は、配列番号1に示され、かつシロヘム合成酵素をコードする巨大菌sirABCオペロンを含む、単離されたヌクレオチド配列に関する。
本発明は、配列番号1に示され、かつsirABCオペロン全体をコードするヌクレオチド配列を包含するか、又はそのほかに、配列番号1に示されるヌクレオチド配列の一部を包含する。「一部」は、配列番号1に示される配列の個々のコード領域であって、該領域がそれぞれの場合に本発明により、個々に又は全ての考慮される組み合わせで使用できるもの、例えば、sirA、sirB、sirC、sirAB、sirAC、sirBC又はsirABCを意味すると考えられる。これに関し、コバラミン合成遺伝子、有利にはシロヒドロクロリンキレターゼをコードする遺伝子(cbiX)又はその一部との全ての可能な組み合わせも考慮される。
本発明の1つの変形は、配列番号2に示されるウロポルフィリノーゲンIIIメチルトランスフェラーゼ(sirA)のヌクレオチド1〜780をコードする、配列番号1に示される単離されたヌクレオチド配列又はその対立遺伝子を包含する。同様に、本発明は、配列番号4に示されるシロヒドロクロリンフェロキレターゼ(sirB)のヌクレオチド761〜1561をコードする、配列番号1又は3に示される単離されたヌクレオチド配列又はその対立遺伝子に関し、また、配列番号6に示されるプレコリン−2デヒドロゲナーゼ(sirC)のヌクレオチド1542〜2150をコードする、配列番号1、3又は5に示される単離されたヌクレオチド配列又はその対立遺伝子に関する。
本発明の別の変形は、上記シロへム合成遺伝子とシロヒドロクロリンキレターゼをコードするcbiX遺伝子との、そしてまた対応の対立遺伝子との任意の組み合わせを包含する。
本発明によれば、「単離された核酸又は単離された核酸断片」は、1本鎖又は2本鎖であってよく、かつ天然の、化学的に合成された、改変された、又は人工のヌクレオチドを場合により含んでいてもよい、RNA又はDNAから構成されるポリマーを意味すると理解すべきである。これに関し、用語「DNAポリマー」は、ゲノムDNA及びcDNA又はその混合物をも包含する。
本発明によれば、「対立遺伝子」は、機能的に等価である、すなわち、本質的に同一効果を有するヌクレオチド配列であると理解すべきである。機能的に等価な配列は、異なるヌクレオチド配列を有するにもかかわらず、例えば、遺伝暗号の縮重の結果として、所望の機能を依然として有している。従って、機能的等価物は、本明細書に記載される配列の天然変異体、並びに例えば、化学的合成により得られ、そして適切ならば、宿主生物のコドン用法に適合させた人工ヌクレオチド配列を含む。これに加えて、機能的に等価な配列は、脱感作又は阻害剤に対する抵抗性を酵素に与える改変ヌクレオチド配列を有する配列を含む。
また、「機能的等価物」は、特に、所望の機能を示し続ける、最初に単離した配列の天然変異体又は人工変異体を意味すると理解すべきである。変異は、1以上のヌクレオチド残基の置換、付加、欠失、交換又は挿入を含む。また、それらは、例えばタンパク質レベルで保存アミノ酸の置換を生じ得るが、タンパク質の活性を根本的に変化させず、従って機能的に中性である、センス突然変異と呼ばれるものを包含する。また、これは、タンパク質レベルではタンパク質のN末端又はC末端に影響を及ぼすが、タンパク質の機能を有意に損なうことのないヌクレオチド配列の変化を包含する。これらの変化は、タンパク質の構造に対して安定化作用を発揮することさえできる。
加えて、本発明はまた、例えば、ヌクレオチド配列の改変により得られ、結果として対応の誘導体となるヌクレオチド配列を包含する。このような改変の目的は、例えば、配列中に存在するコード配列のさらなる制限部位の除去であってよく、又は、例えば追加の制限酵素切断部位の挿入であってもよい。その機能が元の遺伝子又は遺伝子断片と比較して減弱又は増大されている変異体もまた、機能的等価物である。
加えて、本発明はまた、上記のように所望の特性を担っている限り、人工DNA配列にも関する。これらの人工DNA配列は、例えば、コンピュータ補助プログラム(分子モデリング)を用いて作成されたタンパク質の戻し翻訳、又はインビトロ選択により同定することができる。宿主生物に特異的であるコドン用法に従ってポリペプチド配列の戻し翻訳により得られたコードDNA配列が特に適している。分子遺伝学的方法に精通する当業者は、形質転換しようとする生物に由来する他の既に公知の遺伝子のコンピュータ分析を行うことによって、特定のコドン用法を容易に決定することができる。
本発明によれば、「相同配列」とは、本発明に係るヌクレオチド配列に相補的であり、そして/又はこれらの配列とハイブリダイズする配列であると理解すべきである。本発明の意味の範囲内で、「ハイブリダイズするヌクレオチド配列」とは、標準的ハイブリダイゼーション条件下で本発明に係る対応のヌクレオチド配列に結合するオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドであると理解される。用語「標準的ハイブリダイゼーション条件」は広く理解すべきであり、そしてストリンジェントなハイブリダイゼーション条件又はより低いストリンジェントなハイブリダイゼーション条件を意味する。これらの条件は、とりわけ、Sambrookら(1989,Molecular Cloning,第2版,Cold Spring Harbor Laboratory Press)に記載されている。本発明によれば、ハイブリダイズする配列という用語は、実質的に類似し、そして自体公知の標準的ハイブリダイゼーション条件下で本発明に係るヌクレオチド配列との特異的な相互作用(結合)を行うDNA又はRNA群からのヌクレオチド配列を包含する。また、ハイブリダイズする配列は、例えば、10〜30、好ましくは12〜15のヌクレオチド長を有する短いヌクレオチド配列を包含する。本発明によれば、これはまた、とりわけ、プライマー又はブローブと呼ばれるものを包含する。
また、本発明は、コード領域(構造遺伝子)の前(5’−又は上流)及び/又は後(3’−又は下流)の配列領域を包含する。これは、特に、調節機能を有する配列領域を包含する。それらは、転写、RNA安定性又はRNAプロセッシング、及び翻訳に対して効果を発揮することができる。調節配列の例は、とりわけ、プロモーター、エンハンサー、オペレーター、ターミネーター又は翻訳アンプリファイアーである。
さらに、本発明は、シロヘム合成酵素をコードする、配列番号1のヌクレオチド1〜780に示される遺伝子sirA、及び配列番号1、3又は5のヌクレオチド1542〜2150に示されるsirCが、強力に発現される及び/又は増加したコピー数で存在する、上述したタイプの方法に関する。
本発明に係る方法の好ましい変形において、シロヘム合成酵素をコードする、配列番号1のヌクレオチド1〜780に示される遺伝子sirA、配列番号1又は3のヌクレオチド761〜1561に示されるsirB、及び配列番号1、3又は5のヌクレオチド1542〜2150に示されるsirCが、強力に発現さる及び/又は増加したコピー数で存在する。
本発明の特に有利な変形は、シロヘム合成酵素をコードする、配列番号1のヌクレオチド1〜780に示される遺伝子sirA、及び配列番号1、3又は5のヌクレオチド1542〜2150に示されるsirC、並びにコバラミン合成酵素をコードする遺伝子cbiXが、強力に発現される及び/又は増加したコピー数で存在する方法を包含する。
上記の変形は、巨大菌を含む培養物を発酵することによって好ましく実施される。
また、本発明は、巨大菌sirABCオペロン又はその一部によりコードされる酵素、配列番号2に示されるウロポルフィリノーゲンIIIメチルトランスフェラーゼ、配列番号4に示されるシロヒドロクロリンフェロキレターゼ及び配列番号6に示されるプレコリン−2デヒドロゲナーゼに関する。
さらに、本発明は、上記酵素の改変形態に関する。
本発明により同様に包含される「改変形態」とは、配列中に、例えばポリペプチドのN末端及び/若しくはC末端に、又は保存アミノ酸領域中に変化があるが、これが酵素の機能を損なうことのない酵素であると理解すべきである。これらの変化をアミノ酸置換の形で行うために、自体公知の方法を用いることができる。
本発明の特定の実施形態は、その活性が、例えばアミノ酸置換によって、個々の元のタンパク質の活性と比較して減弱又は増大されている、本発明に係るポリペプチドの変異体を包含する。同じことは、細胞中の本発明に係る酵素の安定性、例えばプロテアーゼによる分解をより受けやすいか又はより受けにくい酵素の安定性にも当てはまる。
本発明に係る配列番号4に示されるシロヒドロクロリンフェロキレターゼは、コバルトキレターゼ活性を追加的に有するという事実によってさらに区別される。
鉄及びコバルトに加えて、本発明に係るキレターゼ活性を有する配列番号4に示される酵素は、ニッケルイオン、亜鉛イオン及び銅イオンをも受容する。
これらの金属イオンを含む反応混合物について行った適切な分光光度分析は、SirBが鉄キレターゼとして、またインビトロでコバルトキレターゼとして作用でき、そして、これに加えて、多数の他の金属イソ型細菌性クロリンを合成できることを示した。
SirB及びCbiXのアミノ酸配列を比較すると、広範囲の一致性が認められる。SirB及びCbiXの活性は同様である。しかしながら、SirBと比較して、CbiXはC末端でヒスチジン残基の異常な蓄積を示す。さらに、システイン栄養要求変異体を用いた補完の研究によって、巨大菌に由来することが既知であり、かつ遺伝子cbiXによりコードされるシロヒドロクロリンキレターゼが鉄よりもコバルトに対して高い親和性を有することを示された。
本発明によれば、生物工学的方法によりビタミンB12を製造するために、シロヒドロクロリンフェロキレターゼ及び/又はシロヒドロクロリンコバルトキレターゼと、好適な生物においてシロヘム合成又はコバラミン合成に関与する他の酵素との組み合わせの使用を考慮することが少なくとも可能であり、コバラミンのために代謝回転に導く好適な発酵条件の使用を可能にする。
発酵条件は、好気的、半嫌気的又は嫌気的条件下での微生物の培養を含むことができる。加えて、本発明は、好気的条件から嫌気的条件へのシフト又はその逆の全ての考慮し得る変形を包含する。
本発明に係る方法において、ビタミンB12を生物工学的に製造するために、バシラス属、サルモネラ属、シュードモナス属、エシェリヒア属又はプロピオニバクテリウム属の微生物又はこれらの微生物の混合物を含む培養物を発酵する。例えば、プロピオニバクテリウム属として、プロピオニバクテリウム・シェルマニイ(Propionibactgerium shermanii)種を使用することが可能である。
本発明によれば、ビタミンB12を製造するための上述したタイプの方法において、ネズミチフス菌又は大腸菌又は巨大菌を含む培養物を発酵することが好ましい。
巨大菌の使用は、この生物が工業的に興味深い種々の生成物の生物工学的製造に使用するための多くの利点を有するので、経済的に極めて興味深い。
例えば、巨大菌はアルカリプロテアーゼを有さず、これは、異種タンパク質が産生されたときに分解が殆ど観察されないことを意味する。さらに、巨大菌は、商業的に興味深い生成物を効率的に分泌することが知られており、この特徴は例えば、α−アミラーゼ及びβ−アミラーゼの製造に利用される。加えて、巨大菌を用いると、生物の大きさの結果として、集団密度が高すぎることに起因して死滅する前に、高いバイオマスを蓄積させることが可能である。加えて、この種が、価値の高い生成物、並びに廃棄材料及び低級物質から最高品質の生成物を生成することができるという好ましい状況は、巨大菌を用いる工業的製造に関して実に最も有意義であることが分かる。また、著しく広範囲の物質を代謝するこの可能性は、シアン化物、除草剤及び持続性殺虫剤をも分解できる土壌解毒剤としての巨大菌の使用に反映される。最後に、巨大菌は完全に病原性がなく、かつ毒素を生成しないという事実は、特に食品及び化粧品の製造において最も重要である。これら種々の利点のため、巨大菌は、現在では、多数の工業的用途、例えばα−アミラーゼ及びβ−アミラーゼ並びにペニシリンアミダーゼの製造、毒性廃棄物の再生、並びにビタミンB12の好気的製造に既に使用されている(概要について、Vary,P.S.,1994,Microbiology,40,1001−1013,Prime time for Bacillus megateriumに記載されている)。
原則として、少なくともシロヘム合成及び適切ならばコバラミン合成の酵素の活性が対応の野生型と比較して増大されているバシラス属、サルモネラ属、シュードモナス属、エシェリヒア属又はプロピオニバクテリウム属の菌株又はその混合物は、本発明の目的に使用することができる。これらの菌株は、特に、少なくともシロヘム合成及び適切ならばコバラミン合成の酵素をコードするヌクレオチド配列の発現の上昇及び/又はコピー数の増加を示す、遺伝的に改変された微生物を包含する。
ビタミンB12を生成する菌株の使用が好ましい。特に好ましいサルモネラ種は、(遺伝的に改変された)AR3612株である(Rauxら,1996;J.Bacteriol.,178,(3):753−767)。プロピオニバクテリウム・シェルマニイ種は、プロピオニバクテリウム属の微生物の場合に特に適することが分かった。巨大菌DSMZ509株、及びビタミンB12を生成する菌株としての使用に適する全ての通常の巨大菌株が非常に特に好ましい。
本発明の意味の範囲内で、「ビタミンB12を生成する菌株」は、好ましくは、それらの代謝回転がビタミンB12又はその誘導体の生合成の方向に増大して進行するように、古典的及び/又は分子遺伝学的方法を用いて改変されている微生物株(代謝工学)を意味すると理解すべきである。例えば、これらの生成株において、重要な位置(ボトルネック)に存在し、代謝経路において決定的であり、従って複合的に調節される1以上の遺伝子及び/又は対応の酵素の調節は、変更されるか、あるいはこれらの遺伝子及び/又は酵素は脱調節さえされる。これに関し、本発明において使用できる微生物は、全ての既に公知のビタミンB12生成株、好ましくはバシラス属又は相同生物の株を包含する。本発明によれば、有利に使用される株は、特に、巨大菌DSMZ509株及びDSMZ2894株を包含する。
しかしながら、ビタミンB12を生成するために、本発明なくしてはビタミンB12を生成し得ない株、例えば大腸菌ER185株又はER171株を用いることもできる(以下の表1参照)。大腸菌は、例えばサルモネラ属又はバシラス属に存在するが進化の過程で失われてしまった若干の酵素を欠いているので、ビタミンB12を新規合成することができない。しかしながら、これらの欠損する遺伝子を含む好適なプラスミドで形質転換することにより、これらの酵素を再導入することができる。また、これに関して、cysG株を用いる場合には、ウロポルフィリノーゲンIIIをコビンアミド(cobinamide)に変換するための酵素も大腸菌に存在する。本発明によれば、酵素ウロポルフィリノーゲンIIIメチルトランスフェラーゼ、シロヒドロクロリンフェロキレターゼ及びプレコリン−2デヒドロゲナーゼの酵素活性を増大させるか又はこの場合には導入することにより、大腸菌におけるビタミンB12の合成をそれぞれ改善する又は可能にすることを実証することができた(以下及び表4参照)。
また、本発明は、古典的な突然変異誘発、又は選択的分子生物学的技術及び対応の選択方法を用いて作製することができる遺伝的に改変された細菌株を包含する。選択的遺伝子操作のための重要な標的点は、ビタミンB12に導く生合成経路の分岐点であって、これによって、最大のビタミンB12生成に向けた選択的手段で代謝回路を選択できるものを包含する。また、代謝回路の調節に関与する遺伝子の選択的改変は、構造遺伝子の上流及び下流の調節領域の調査及び変化、例えばプロモーター、エンハンサー、ターミネーター、リボソーム結合部位などの最適化及び/又は置換を包含する。また、本発明は、DNA若しくはmRNA、又はそれらによりコードされるタンパク質の安定性を、例えばヌクレアーゼ又はプロテアーゼによる分解の減少又は防止によって改善することを包含する。
さらに、本発明は、上述したタイプのsirオペロンに由来する単離されたヌクレオチド配列又はそれらの一部、並びに調節機能を有し、かつそれらに機能的に連結したヌクレオチド配列を含む、遺伝子構造物を包含する。本発明によれば、シロヒドロクロリンコバルトキレターゼをコードするヌクレオチド配列(cbiX)又はその一部が、上述したタイプの遺伝子構造物に存在することができる。
「機能的な連結」は、例えばプロモーター、コード配列、ターミネーター、及び、適切ならば調節配列の各々がコード配列の発現のために意図したようにその機能を発揮し得るような他の調節配列、の連続的配置を意味すると理解される。これらの調節ヌクレオチド配列は、天然起源のものであってよいし、又は化学的合成により得ることができる。原則として、対応の宿主生物において遺伝子発現を調節できる任意のプロモーターをプロモーターとしての使用に適している。これに関し、プロモーターは、本発明によれば、その制御下にある遺伝子の発現を宿主細胞において特定の時点にで調節できる化学的誘導性プロモーターであってもよい。ここで、一例として、β−ガラクトシダーゼ系又はアラビノース系を挙げることができる。
遺伝子構造物は、慣用の組換え及びクローニング技術を用いて、例えば、Sambrook,J.ら,1989,Molecular cloning; a laboratory manual.第2版,Cold Spring Haubor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New Yorkに記載されるように、好適なプロモーターを少なくとも1の本発明に係るヌクレオチド配列に融合させることにより調製される。
DNA断片を互いに結合するために、アダプター又はリンカーをDNA断片に結合することができる。
また、本発明は、上述したタイプのsirオペロンに由来する単離されたヌクレオチド配列若しくはそれらの一部、又は上述したタイプの遺伝子構造物、並びに選択、宿主細胞における複製及び/又は宿主細胞ゲノムへの組込みのための追加のヌクレオチド配列を含むベクターを包含する。これら追加の配列の多数の例は文献に記載されているので、さらに注釈しない。
従って、本発明は、sirオペロンに由来する上記ヌクレオチド配列又はそれらの一部に加えて、シロヒドロクロリンコバルトキレターゼ又はその一部をコードするヌクレオチド配列を含むベクターをも包含する。
上述した遺伝子を形質転換及び過剰発現するために適した系の例は、プラスミドpACYC184(New England Biolabs)及びpKK8668(Pharmacia)、pWH1510及びpWH1520、並びにRygus,T.ら(1991,Inducible high level expression of heterologous genes in Bacillus megaterium,Appl.Microbiol.And Biotechnol.,35,5:594−599)に記載されたプラスミド不含の過剰発現株である巨大菌pWH320である。しかしながら、本発明においてはこれらの系に限定されない。
また、本発明は、ビタミンB12を製造するための上述したタイプの方法に使用するためのトランスジェニック微生物に関し、該微生物は、ウロポルフィリノーゲンIIIメチルトランスフェラーゼ及びプレコリン−2デヒドロゲナーゼをコードするヌクレオチド配列の発現の上昇及び/又はコピー数の増大を示すという事実によって区別されるものである。
同様に、本発明は、ビタミンB12を製造するための上述したタイプの方法に使用するためのトランスジェニック微生物を包含し、該微生物は、ウロポルフィリノーゲンIIIメチルトランスフェラーゼ、シロヒドロクロリンフェロキレターゼ及びプレコリン−2デヒドロゲナーゼをコードするヌクレオチド配列の発現の上昇及び/又はコピー数の増大を示すという事実によって区別されるものである。
同様に、本発明は、ビタミンB12を製造するための上述したタイプの方法に使用するためのトランスジェニック微生物を包含し、該微生物は、ウロポルフィリノーゲンIIIメチルトランスフェラーゼ、シロヒドロクロリンコバルトキレターゼ及びプレコリン−2デヒドロゲナーゼをコードするヌクレオチド配列の発現の上昇及び/又はコピー数の増大を示すものである。
これに関し、発現の上昇及び/又はコピー数の増大は、例えば、多機能性酵素をコードするヌクレオチド配列に関するものであってよい。同様に、幾つかのシロヘム合成酵素をコードするヌクレオチド配列は、それがオペロン又は遺伝子クラスターを含むので、例えば、トランスジェニック微生物において、より強力に発現される及び/又は増加したコピー数で存在するものであってよい。
本発明に係るトランスジェニック微生物は、巨大菌sirABCオペロン又はその一部を含む、配列番号1に示される少なくとも1のヌクレオチド配列を含むことが好ましい。配列番号2に示されるウロポルフィリノーゲンIIIメチルトランスフェラーゼ(sirA)のヌクレオチド1〜780をコードし、配列番号4に示されるシロヒドロクロリンフェロキレターゼ(sirB)のヌクレオチド761〜1561をコードし、及び/又は配列番号6に示されるプレコリン−2デヒドロゲナーゼ(sirC)のヌクレオチド1542〜2150をコードする、配列番号1に示される少なくとも1の単離されたヌクレオチド配列又はその対立遺伝子の発現の上昇及び/又はコピー数の増大を示すトランスジェニック微生物も同様に好ましい。また、本発明に係るトランスジェニック微生物は、配列番号1に示される少なくとも1つの単離されたヌクレオチド配列若しくはその一部又はその対立遺伝子の発現の上昇及び/又はコピー数の増大を示すもの、そしてさらに、コバラミン生合成酵素(有利にはシロヒドロクロリンコバルトキレターゼ)をコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列の発現の上昇及び/又はコピー数の増大を示すものが同等に有利である。
これは、本発明の一つの変形において、配列番号1に示されるヌクレオチド配列の一部を含むトランスジェニック微生物の使用を包含し、これらの一部は、より強力に優越して発現され、そして/又は増加したコピー数で優越して存在する。これに関し、該一部が、コードする機能を有する上記で詳細に定義したタイプの構成領域(sirA、sirB又はsirC)であることが好ましい。これに関し、構成配列は、単独で又は任意の随意の組み合わせで存在してもよいし、あるいは調節配列、例えばプロモーター、エンハンサー、ターミネーターなどに機能的に連結されていてもよい。同様に、本発明は、コバラミン合成経路、例えばcbiX遺伝子又はその一部の酵素をコードするsirオペロン及び配列に由来する上記配列の組合せを包含する。
さらに、本発明は、本発明に係る遺伝子又は本発明に係るベクターを複製形態で含むトランスジェニック微生物に関する。バシラス属、サルモネラ属、シュードモナス属、エシェリヒア属又はプロピオニバクテリウム属のトランスジェニック微生物が有利である。巨大菌、大腸菌又はネズミチフス菌種である本発明に係るトランスジェニック微生物が好ましい。
本発明に係る方法の有利な変形は、そのsirA、sirB又はsirC遺伝子又はそれらの一部の個々の又は組み合わせ、及び/あるいはcbiX遺伝子又はその一部との全ての考慮し得る組み合せを、より強力に発現する巨大菌株又は大腸菌株を発酵することを含み、内因性に(天然に)存在するシロヘム合成酵素又はコバラミン合成酵素の活性と比較して増大された酵素活性が達成される。これに関して、sirAB、sirAC又はsirABC、又はsirABcbiX、sirACcbiX又はsirABCcbiXの遺伝子組み合わせが好ましい。遺伝子組み合わせsirACcbiXが特に好ましい。
本発明に係る方法の同様に有利な変形は、そのsirA、sirB若しくはsirC遺伝子又はそれらの一部の個々の又は組み合わせ、及び/あるいはcbiX遺伝子又はその一部との全ての考慮し得る組み合せが、遺伝的に改変されていない生物と比較して増加したコピー数で細胞中に存在する、遺伝的に改変された巨大菌株又は大腸菌株を発酵することを伴う方法を包含する。コピー数は、2〜数百で変化することができ、そして上述したシロヘム合成遺伝子及び適切ならばコバラミン合成遺伝子を含むベクター又はプラスミドをトランスジェニック細胞に導入し、それらを複製することによって達成することができる。また、本発明は、該シロヘム合成及び適切ならばコバラミン合成遺伝子の追加のコピーをトランスジェニック生物のゲノムに挿入するための、相同組換えの使用を包含する。
天然(内因性)酵素活性の増大、遺伝子発現の増大、遺伝子コピー数の増大、及び本発明に係る遺伝子又はそれらの一部の個々の又は組み合わせを、微生物、好ましくはビタミンB12生成株、特に好ましくは巨大菌種に導入することは、ビタミンB12の生産性を増大するために有利である。
遺伝子発現の増大(上昇)を達成するために、対応の遺伝子のコピー数を増加することができる。さらに、構造遺伝子の上流に存在するプロモーター領域及び/又は調節領域及び/又はリボソーム結合部位を、発現が高められた割合で行われるように対応して改変することができる。構造遺伝子の上流に導入された発現カセットは、同じ効果を有する。加えて、ビタミンB12生成の経過中に発現を増大するために、誘導性プロモーターを使用することが可能である。
同様に、発現は、mRNAの寿命を延長する手段によって改善される。遺伝子又は遺伝子構造物は、異なるコピー数を有するプラスミドに存在していてよいか、又は染色体に組込まれ若しくは増幅されていてもよい。さらに、酵素の活性それ自体が増大されているか、又は活性が酵素タンパク質の分解の防止によって増大されていることも可能である。
さらに、ビタミンB12の方向での代謝回転の増大は、培地の組成又は培養物の取り扱いの変化によって達成することができる。
加えて、ビタミンB12の生成は、本発明によれば、代謝回転をビタミンB12又はその対応の前駆体の方向に重要な位置で、より強力に導くことにより改善することができる。これは、本方法を発酵に関して変更すること、例えば嫌気的条件下での発酵によって達成することができる。別法として、発酵を最初は好気的条件下で、次いで嫌気的条件下で行うことができる。この目的には、バシラス属、サルモネラ属、シュードモナス属、エシェリヒア属又はプロピオニバクテリウム属の微生物の使用が好ましい。巨大菌、大腸菌又はネズミチフス菌が特に好ましい。
巨大菌は嫌気的に増殖することができる。加えて、ビタミンB12生成は、これらの嫌気的条件下では好気的条件下でよりも高い。好気的条件下及び嫌気的増殖条件下での巨大菌によるビタミンB12生成の比較は、研究した全ての株において、嫌気的ビタミンB12生成が、好気的ビタミンB12生成と比較して、少なくとも3〜4倍増大することを示す(図1〜3及び特に4参照)。さらなる増大は、増殖条件及び培地の組成、並びに使用する細菌株を系統的に最適化することによって達成することができる。
さらに、本発明の別の変形において、巨大菌を最初に好気的に発酵し、次いで嫌気的に発酵することを考慮することも可能である。有利な変形において、好気的に発酵した細胞の対数増殖期に、好気的発酵から嫌気的発酵への移行が行われる。これに関し、好気的発酵から嫌気的発酵への移行を、好気的に増殖する細胞の対数増殖期の半ば又は終りに、好ましくは終りに行う場合が好ましい。
巨大菌の1段階及び2段階発酵の両者において、「嫌気的条件」は、好気的増殖の後に細菌を嫌気的フラスコに移し、これらのフラスコ中で発酵する場合に起こる条件と理解すべきである。特に、2段階方法において、嫌気的フラスコに移す時期は、好気的に増殖する細菌細胞が対数増殖期になるとすぐに行われる。すなわち、細菌が嫌気的フラスコに移された後、細菌はフラスコ中に存在する酸素を消費し、酸素はさらに供給されない。これらの条件は、半好気的と説明することもできる。対応の手法は慣用の実験室的慣例であり、当業者に公知である。
同等の条件は、細菌を最初に発酵槽中で好気的に培養し、次いで、やがて半好気的条件が起こるように酸素の供給を徐々に減少する場合にも可能である。
発酵の特別な変形において、例えば培地に還元剤を添加することにより、厳密に嫌気的の条件を作り出すことも可能である。
一般的に、細菌の好気的増殖(初期培養)は、嫌気的条件(これらが半嫌気的条件であろうと又は厳密に嫌気的条件であろうと)における発酵にとって必ずしも絶対的に必要ではない。すなわち、細菌を嫌気的条件下で増殖させ、次いで半嫌気的又は厳密に嫌気的条件下でさらに発酵することもできる。ストック培養物からの直接接種を行い、それを嫌気的条件下でのビタミンB12の生成に使用することを考慮することも可能である。
職業的専門技術の範囲内で、対応の条件及び方法を、別の株の場合に使用することもできる。
さらに、例えば、巨大菌又は大腸菌によるビタミンB12の生成を少なくともコバルトを培地に添加することによって増加させ得ることを考慮することが可能である。例えば、ベタイン、メチオニン、グルタメート、ジメチルベンズイミダゾール若しくはクロリン又はそれらの組み合わせの添加も、ビタミンB12生成に対して有利な効果を有する。これらの化合物の単独又はそれらの組合せは、コバルトとの組み合わせにおいても有利であり得る。コバルトのような物質の添加により、コバルトが、例えば鉄イオン又はマグネシウムイオンと比較して増大した程度で、生合成経路の共通の前駆体に取り込まれることができ、こうしてコバラミン(ビタミンB12)の合成が、例えば、シロヘム、ヘモグロビン又はクロロフィルの合成を超えて増大して有利になることが可能である。
本発明の別の変形において、少なくともコバルト及び/又は少なくともコバルト及び5−アミノピルビン酸を含む培地中で、嫌気的条件下で発酵を行うことが考慮される。
本発明によれば、炭素源としてグルコースを含む培地中で発酵を行うことが可能である。炭素源としてグリセロールを含む培地中で発酵を行う、本発明に係る方法の変形を考慮することも可能である。
一般的に、より高い細胞密度は、炭素源がグルコースである場合に達成されるよりも、炭素源としてグリセロールを用いて巨大菌を発酵する場合に達成される。これに関して、興味深いことに、好気的条件下でのコバルト及び5−アミノピルビン酸の同時添加は、何れも添加することなく対応の培地で得られるよりもビタミンB12の生成が上昇する。
このビタミンB12の改善された生成は、発酵した巨大菌細胞を好気的増殖条件から嫌気的増殖条件に移行することによって、よりいっそう増大することができる。グリセロール、コバルト及び5−アミノピルビン酸を含む培地を用いることが有利である。培養物を好気的から嫌気的増殖条件に移行することによって、高いビタミンB12含有量及び高い細胞密度の組合せを達成することが可能である。
有利には、培養は回分式で行われる。発酵を供給−回分式で、又は連続培養で行う変形も同様に、本発明は包含される。
本発明は、ビタミンB12を製造するための、酵素ウロポルフィリノーゲンIIIメチルトランスフェラーゼ、シロヒドロクロリンフェロキレターゼ、シロヒドロクロリンコバルトキレターゼ及びプレコリン−2デヒドロゲナーゼを個々に又は組み合わせてコードするヌクレオチド配列の使用に関する。
さらに、本発明は、ビタミンB12を製造するための、シロヘム合成酵素をコードする配列番号1に示されるヌクレオチド配列又はその一部の使用に関する。同様に、本発明は、ビタミンB12を製造するための、シロヘム合成酵素をコードする配列番号1に示されるヌクレオチド配列若しくはその一部の単独の又はシロヒドロクロリンコバルトキレターゼ酵素をコードするヌクレオチド配列との組み合わせての使用に関する。これに関し、本発明は、ビタミンB12を製造するための、本発明に係る遺伝子構造物又は本発明に係るベクターの使用をも包含する。
また、本発明は、先に説明したトランスジェニック微生物を製造するための、配列番号1に示されるヌクレオチド配列若しくはその一部の単独の又はシロヒドロクロリンコバルトキレターゼ酵素をコードするヌクレオチド配列若しくはその一部と組み合わせての、又は本発明に係るタイプの遺伝子構造物、又は本発明に係るタイプのベクターの使用に関する。これはまた、ビタミンB12生成株、好ましくはバシラス属又はエシェリヒア属、特に好ましくは巨大菌又はエシェリヒア種を製造するための、本発明に係るヌクレオチド配列、遺伝子構造物又はベクターの使用を包含する。
同様に、本発明は、ビタミンB12を製造するための、トランスジェニック微生物、好ましくはバシラス属、特に好ましくは巨大菌種の使用を包含する。
以下の実施例は本発明を説明するためのものである。しかしながら、それらは本発明を限定するためのものではない。
1.化学物質及び分子生物学試薬
化学物質、試薬、抗生物質及びDEAE SephacelsはAmersham−Pharmaciaより入手し、増殖培地はOxoidから入手した。酵素はPromega、Bioline又はInvitrogen Life Technologiesより入手した。
2.細菌株、プラスミド及びプライマー
この研究で用いた細菌株、プラスミド及びプライマーのすべてを表1、2及び3に掲載する。
3.バッファー及び溶液
3.1.最少培地
大腸菌(E.coli)最少培地
HPO 60.3mM
KHPO 33.1mM
(NHSO 7.6mM
クエン酸ナトリウム 1.7mM
MgSO 1.0mM
D−グルコース 10.1mM
チアミン 3.0μM
カザミノ酸 0.025%(w/v)
固体培地にはカンテン15g/Lを加えた。
Mopso最少培地
Mopso(pH7.0) 50.0mM
トリシン(pH7.0) 5.0mM
MgCl 520.0μM
SO 276.0μM
FeSO 50.0μM
CaCl 1.0mM
MnCl 100.0μM
NaCl 50.0mM
KCl 10.0mM
HPO 1.3mM
(NHMo24 30.0pM
BO 4.0nM
CoCl 300.0pM
CuSO 100.0pM
ZnSO 100.0pM
D−グルコース 20.2mM
NHCl 37.4mM
滴定試薬はKOH溶液とした。
ネズミチフス菌(S.typhimurium)最少培地
NaCl 8.6mM
NaHPO 33.7mM
KHPO 22.0mM
NHCl 18.7mM
D−グルコース 20.2mM
MgSO 2.0mM
CaCl 0.1mM
固体培地にはカンテン15g/Lを加えた。
3.2.巨大菌(B.megaterium)のプロトプラスト形質転換用溶液
SMMPバッファー
抗生物質培地No.3(Difco) 17.5g/L
スクロース 500.0mM
マレイン酸Na(pH6.5) 20.0mM
MgCl 20.0mM
滴定試薬はNaOH溶液とした。
PEG−P溶液
PEG6000 40.0%(w/v)
スクロース 500.0mM
マレイン酸Na(pH6.5) 20.0mM
MgCl 20.0mM
滴定試薬はNaOH溶液とした。
cR5上部カンテン
スクロース 300.0mM
Mops(pH7.3) 31.1mM
NaOH 15.0mM
L−プロリン 52.1mM
D−グルコース 50.5mM
SO 1.3mM
MgCl×6HO 45.3mM
KHPO 313.0μM
CaCl 13.8mM
カンテン 4.0g/L
カザミノ酸 0.2g/L
酵母エキス 10.0g/L
滴定試薬はNaOH溶液とした。
4.培地及び培地への添加物
4.1.培地
特に断らない限り、Sambrook,J.ら(1989,Molecular cloning;a laboratory manual.第2版,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New York)に書かれているルリア−ベルターニブロス(LB)完全培地を用いた。
4.2.添加物
炭素源、アミノ酸又は抗生物質などの添加物は、培地に加えて一緒にオートクレーブ処理するか又は水中の濃縮ストック溶液として作製し、濾過により滅菌した。各物質は、オートクレーブ処理し、50℃未満に冷却しておいた培地に加えた。テトラサイクリンのような光に対して感受性のある物質に関しては、暗所でインキュベートするように注意した。通常用いた最終濃度は以下のとおりであった:
アンピシリン 296μM
テトラサイクリン 21μM
ALA 298μM
ヘム 153μM
X−Gal 98μM
メチオニン 335μM
システイン 285μM
硝酸ナトリウム 10mM
亜硝酸ナトリウム 10mM
フマル酸二ナトリウム10mM
グルコース 10mM
塩化アンモニウム 37mM
キシロース 33mM
リソザイム 10μg/mL
カザミノ酸 0.025%(w/v)
5.微生物学的手法
5.1.滅菌
特に断らない限り、すべての培地及びバッファーは120℃及び陽圧1バールで20分間スチーム滅菌した。熱に影響を受け易い物質は濾過により滅菌し、ガラス器具は180℃で少なくとも3時間熱滅菌した。
5.2.共通の増殖条件
好気的細菌培養液はバッフル付フラスコ中で37℃、最低回転数180rpmでインキュベートした。インキュベーション時間はその細菌培養液の所望の光学密度に応じて変えた。
5.3.巨大菌の増殖用条件
好気的培養液の考えられうる最高の空気混和のためにはバッフル付フラスコ中250rpmで、特に断らない限り30℃でインキュベートした。嫌気的培養液は小さな嫌気的ボトル中、容量100mLで30℃にて100rpmで培養した。いずれの場合も、一定品質の培地を用いること、一晩培養液に1:100の比で接種すること、その一晩培養に同じ条件を用いることに注意した。
5.4.細胞密度の決定
細菌培養液の細胞密度は578nmで光学密度(OD)を測定することにより決定し、OD578が1とは1×10個の細胞の細胞数に相当すると仮定した。
5.5.比較増殖試験
各種巨大菌株の好気的及び嫌気的増殖挙動の比較試験を行った。それらを図1、2及び3に示す。用いた菌株は、好気的条件下でのビタミンB12生成に好適である巨大菌DSMZ32株(野生型)又は「生産菌株」DSMZ509株及びDSMZ2894株である。しかしながら、本発明はこれらの菌株の使用に限定されるものではない。ビタミンB12を製造するのに好適である他の菌株もまた考えられ、例えば古典的変異誘発法又は特定の分子生物学的手法及び適切な選抜方法により作製することができる遺伝子改変細菌株が挙げられる。
5.6.ビタミンB12産生の比較試験
巨大菌についての好気的及び嫌気的増殖条件下でのビタミンB12産生の解析も行った。本発明で用いた例は、グルコース含有(完全LB)培地中嫌気的条件下での巨大菌DSMZ32株、DSMZ509株及びDSMZ2894株であり、pmol/OD578で表わしたビタミンB12含有量を指数増殖期の終わりに測定した。これと並行して、好気的に増殖している間のビタミンB12生成を指数増殖期の中央で調べた。結果を図4に示す。
好気的条件(2、4及び6)下で増殖した巨大菌は、多量のビタミンB12を産生することを確認することができる。2〜3倍高い値が達成された。ビタミンB12は当業者に公知の方法で単離することができる。
5.7.定量的ビタミンB 12 分析
OD578の決定の後に、指数増殖期の中央で好気的巨大菌培養液を採取し、指数増殖期の終わりで、5000rpmにて15分間の遠心分離(Centrifuge 5403,Eppendorf)による嫌気的培養液を採取した。細菌を食塩水40mLで洗ったあと再度5000rpmで15分間遠心分離(Centrifuge 5403,Eppendorf)した。得られた細胞沈殿物を最終的に凍結乾燥した。ネズミチフス菌metE cysG二重変異体(Raux,E.ら,1996,J.Bacteriol.,178:753−767)をメチオニン及びシステイン含有最少培地で一晩37℃でインキュベートし、プレートから掻きとり、等張性食塩水40mLで洗った。遠心分離のあと、細胞沈殿物を等張性食塩水中に再懸濁させた。洗った細菌培養液を慎重に47〜48℃のシステイン−含有最少培地カンテン400mLと混ぜた。滅菌脱イオン水中に再懸濁させ、水浴中で15分間沸騰させた巨大菌サンプル10μLを冷却したプレート上に載せ、37℃で18時間インキュベートした。増殖するサルモネラ菌コロニーの直径は添加した巨大菌サンプル中のビタミンB12含有量に比例する。調べたサンプル中のビタミンB12含有量は、ビタミンB12を0.01、0.1、1、10及び40pmol加えることにより作成した検量線と比較することにより推定した。この標準的な方法によって、生物材料中におけるビタミンB12の僅かな量を迅速にかつ非常に再現性よく検出することが可能となる。
5.8.酵素活性の測定
ウロポルフィリノーゲンIIIメチルトランスフェラーゼの活性は、ウロポルフィリノーゲンIIIからプレコリン−2への変換に基づいて測定した。プレコリン−2の産生は、市販の蛍光分析装置を用いて、励起380nm及び発光610nmにて蛍光をモニターすることにより測定した。測定は、既知量のプレコリン−2で較正することにより、すなわち検量線を作成することにより定量した。酵素活性1単位は1時間当たりに産生されるプレコリン−2の1nMと規定される。
約50〜200μgの粗細胞抽出物を、50mM Tris/HClバッファー(pH8)中の0.1mM S−アデノシル−L−メチオニンを含有する2μMウロポルフィリノーゲンIII溶液1mlに添加し、反応を30分間かけて嫌気的条件下にて行った。
粗細胞抽出物1mg当たり0.2単位のウロポルフィリノーゲンIIIメチルトランスフェラーゼ活性が野生株においてみとめられた。これは、検出可能な値の下限にすぎない。形質転換した大腸菌及びネズミチフス菌の場合には、粗細胞抽出物1mg当たり50単位のウロポルフィリノーゲンIIIメチルトランスフェラーゼ活性が得られた。形質転換した巨大菌においては粗細胞抽出物1mg当たり20単位のレベルが得られた。
キレターゼsirB及びcbiXの場合には、キレターゼ反応の活性は、コバルトのシロヒドロクロリンへの導入について、減衰係数2.4×10−1cm−1を用いてλmax376nmにてシロヒドロクロリン蛍光の低減速度を測定することによって決定した。酵素活性1単位は1分当たりのシロヒドロクロリン1nMの低減であると定義した。
活性を測定するため、約50〜200μgのタンパク質を含有する粗細胞抽出物を、50mM Tris/HClバッファー(pH8)の存在下でシロヒドロクロリン(50μM)及びコバルト(10μM)と反応させた。
野生株においては、粗細胞抽出物1mg当たり約0.01単位の活性が測定された。形質転換大腸菌及び形質転換ネズミチフス菌においては、SirB及びcbiXの活性はほぼ同じであり、いずれの場合にも活性は粗細胞抽出物1mg当たり3単位と決定された。
プレコリン−2デヒドロゲナーゼ(SyroC)活性を測定するため、デヒドロゲナーゼ反応を、減衰係数2.4×10−1cm−1を用いてλmax376nmにおけるシロヒドロクロリンの形成により決定した。これに関して、酵素活性1単位は1分当たりシロヒドロクロリン1nMの生成と定義した。
酵素活性を測定するため、50〜200μgのタンパク質を含有する粗細胞抽出物を、50mM Tris/HClバッファー(pH8)を含有する1mlの反応量でプレコリン−II(5μM)及びNAD(100μM)と反応させた。
野生株においては、粗細胞抽出物1mg当たり0.002単位の活性が測定された。形質転換された大腸菌及びネズミチフス菌株においては、プレコリン−2デヒドロゲナーゼ活性は粗細胞抽出物1mg当たり0.3単位であった。
上記のことから、形質転換生物が、場合によっては野生株での測定値よりも100倍以上も高い酵素活性を示すことが明らかである。
6.分子生物学手法
DNAの調製、DNAの制限、連結、PCR、シークエンシング、機能的補完、タンパク質発現などの一般的な手法は通常の実験室実験の一部を形成するものであり、Sambrook,J.ら(1989,Molecular cloning;a laboratory manual.第2版,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New York)に記載されている。
6.1.巨大菌のプロトプラストの形質転換
プロトプラストの調製:
LB培地50mLに巨大菌の一晩培養液1mLを接種し、37℃でインキュベートした。OD578が1の時点で、細胞を15000rpmにて4℃で15分間遠心分離(RC 5B Plus,Sorvall)し、SMMPバッファー5mL中に再懸濁させた。SMMPバッファー中のリソザイムを加えたあと、懸濁液を37℃で60分間インキュベートし、顕微鏡下でプロトプラスト形成をチェックした。細胞を室温にて3000rpmでの遠心分離(Centrifuge 5403,Eppendorf)により回収した後、細胞沈殿物を慎重にSMMPバッファー5mL中に再懸濁させ、2回目の遠心分離工程及び洗浄工程を行った。そうして、10%(w/v)グリセロールを加えたあとプロトプラスト懸濁液をアリコートに分け、それらを−80℃で凍結させた。
形質転換:
プロトプラスト懸濁液500μLをSMMPバッファー中のDNA0.5〜1μgと混ぜ、PEG−P溶液1.5mLを加えた。室温で2分間インキュベートしたあと、SMMPバッファー5mLを加え、慎重に混合した後、懸濁液を室温にて3000rpmで10分間遠心分離(Centrifuge 5403,Eppendorf)した。そのあと直ちに、上澄み液を取り除き、僅かに見える沈殿物をSMMPバッファー500μL中に再懸濁させた。懸濁液を37℃で優しく振盪しながら90分間インキュベートした。次に形質転換細胞50〜200μLをcR5上部カンテン2.5mLと混ぜ、選抜に好適な抗生物質を含有するLBカンテンプレート上に載せた。37℃で2日間インキュベートした後形質転換コロニーが目に見えた。
6.2.巨大菌のsirABCオペロンの同定とシークエンシング
sirABCオペロンはPCRによりクローニングした。巨大菌ゲノムDNAは、Sambrookら,1989に記載のように調製し、これを使用して、以下の通り、表3に示されるプライマーを使用してsirA、sirB及びsirC遺伝子を単離した:
遺伝子配列の3’末端に相補的なプライマーを、ウロポルフィリノーゲンIIIをプレコリン−2に変換するメチルトランスフェラーゼをコードするcobA遺伝子の既知配列に基づいて調製した(Robinら,1991,J.Bacteriol.,172(15):4893−6)。これらのプライマーは、Sigma−Genosys vectoretteシステムにおいて、Lillebergら(1998,Genosys Origins 1(2))の方法を用いて未知の巨大菌sirA配列を増幅するために使用した。sirB及びsirC遺伝子も同様に増幅した。さらに、完全なsirABCオペロンをシークエンシングした。sirABCオペロンをコードする2150bpのDNA断片を同定した。対応する塩基配列を配列番号1に示し、これから推定されるアミノ酸配列を配列番号2、4及び6に示す。これに関し、配列番号1、3及び5に示す配列は同一であり、PatentIn配列表を作成するためにのみ作成したものである。その理由は、PatentInは重複するコード領域を許容せず、アミノ酸配列はそれ自体の塩基配列を有することを要するためである。
その後、プライマーを合成し、これらのプライマーを使用して、上記遺伝子を個々に及び組み合わせて2つの別個の発現ベクターにクローニングした。
補完試験のため、sirA、sirAB、sirABC及びsirACのPCT産物を調製し、pKK8668(プラスミドpKK223.3の改変体)のEcoRI/BamHI切断部位にtacプロモーターの制御下にクローニングした。sirCは、pKK8668にBamHI−PstI断片としてクローニングした。sirA、sirB及びsirCは個々に、NdeI/BamHI断片としてpET14b(T7発現ベクター)にクローニングした。これにより、対応するタンパク質がN末端Hisタグを有して過剰発現されることとなった。
6.3.形質転換及び発現系
巨大菌における遺伝子の形質転換と過剰発現に好適なプラスミドはpWH1510及びpWH1520ならびにプラスミドなしの過剰発現巨大菌WH320株である(Rygus,T.ら,1991,Inducible high level expression of heterologous genes in Bacillus megaterium,Appl.Microbiol.And Biotechnol.,35,5:594−599)。
コントロールプラスミドpWH1510は分断されたxylAリーディングフレーム中にspoVG−lacZ融合体を有している。SpoVG−lacZとは、本発明においては、枯草菌胞子形成タンパク質(spoVG)の非常に強力なリボソーム結合配列と、β−ガラクトシダーゼをコードする大腸菌遺伝子(lacZ)の融合体を意味する。このプラスミドは従って巨大菌における形質転換効率及び過剰発現条件を調べるのに極めて好適である。
プラスミドpWH1520は、実際のクローニング及び発現ベクターとして機能する。2つのベクターはいずれもテトラサイクリン耐性及びアンピシリン耐性をもち、大腸菌及びバチルス属細菌における複製にとって重要な構成要素を有する。つまりそれらは、大腸菌においてプラスミドpBR322の誘導体に対して確立されているすべての手法に使用することができる。2つのベクターはいずれもその調節配列と一緒にxylオペロンの巨大菌xylA及びxylR遺伝子を含有する(Rygus,T.ら,1991,Molecular Cloning,Structure;Promoters and Regulatory Elements for Transcription of the Bacillus megaterium Encoded Regulon for Xylose Utilization,Arch.Microbiol.155,535−542)。xylAはキシロースソメラーゼをコードし、xylRは、xylAに強力な転写調節を発揮する調節タンパク質をコードする。xylAはキシロースの不存在下では抑制される。キシロースを加えるとxylAの抑制解除により約200倍の誘導が起こる。xylAリーディングフレーム中のポリリンカーによって、遺伝子がその時同様にXylRの強力な転写調節の下にあるxylAと融合する。さらに、xylAリーディングフレームはポリリンカーの上流においてまだ完全に無傷であるので、転写融合を生成させるか又は翻訳融合を生成させるかという選択肢の間で選択が可能である。
6.4.補完研究
大腸菌シロヘム変異体を補完する目的で、ウロポルフィリノーゲンIIIをシロヘムに変換するために必要な酵素活性の全部が欠損している大腸菌cysG302Δa株(ER171)(Rauxら,1997,J.Bacteriol.,179(10):3202−12)に、上記のsir遺伝子の組み合わせを含むpKK8668誘導体を形質転換した。この株はシロヘムを合成できず、従ってシステインを合成することができない。形質転換した大腸菌株を、システイン含有及び非含有の最少培地で選択した。加えて、シロヘムの合成に対するコバルトの影響を、コバルト含有(1mgのCoCl/l)及びコバルト非含有の最少培地で調べた。最少培地プレートを37℃で24時間インキュベートした。プラスミドpKK8668sirAB及びpKK8668sirABCは、両方とも大腸菌ER171を補完できる。これは、SirA(ウロポルフィリノーゲンIIIメチルトランスフェラーゼ)及びSirB(シロヒドロクロリンフェロキレターゼ)がシロヘムの生成に必須であることを意味する。形質転換した大腸菌は、その時点でビタミンB12を生成することができる。それらは4.25、好ましくは72.5pMのビタミンB12/ODを生じる。SirABC遺伝子がコードする酵素の3つ全てを用いる利点を認めることができる。
SirBが鉄キレターゼ又はコバルトキレターゼをコードするかどうかを調べるため、コバルト含有及び非含有の培地を用いた。pKK8668sirAB又はpKK8668sirABCによる大腸菌ER171の補完は、外部コバルトの添加により阻害されなかった(表4)。これは、SirBが特異的シロヒドロクロリンフェロキレターゼであることを示す。
平行アッセイにおいて、sir遺伝子を個々に又は組み合わせて含むpKK8668誘導体を、cibK(コバルトキレターゼ;Rauxら,1997,J.Bacteriol.,179(10):3202−12)とは別にB12を合成するためのネズミチフス菌の遺伝子全てを含む大腸菌ER185株に形質転換した。形質転換した株を鉱油の積層により嫌気的に増殖させた(37℃で6時間)。IPTG及びALAを添加し、培養物をさらに18時間増殖させた。次いで、細胞を超音波処理により破壊し、ネズミチフス菌cysGmetE(AR3621)バイオアッセイプレートを用いる標準的方法でビタミンB12を定量測定するために(Rauxら,1996,J.Bacteriol.,178(3):753−67)、粗製抽出物を測定した。
表4から分かるように、SirBは、それがcbiKの不在下でビタミンB12の生合成を回復するので、シロヒドロクロリンコバルトキレターゼとして作用することができる。生成するビタミンB12の含有量は、SirCも存在する場合に増加する。
従って、本発明に従って形質転換された大腸菌株は、ビタミンB12を製造するために適している。
大腸菌302Δa(外因性システインを添加した場合に最少培地でのみ増殖する機能的シロヘムシンターゼを含まないcysG欠損株)をプラスミドpAR8766(巨大菌cbiX及び大腸菌cysGを含むpKK223.3誘導体;Pharmacia;Raux.E.ら,1998,Biochem.J.,1998,335:167−173)又はプラスミドpER179(シュードモナス・デニトリフィカンス(Pseudomonas denitrificans)cobA遺伝子及び巨大菌cbiX遺伝子を含むpKK223.3誘導体;Pharmacia;Raux.E.ら,1998,Biochem.J.,1998,335:167−173)で補完することだけが可能であったが、cysGまたはcobA単独では不可能であった。これは、cbiXがシロヒドロクロリンキレターゼとして作用することを示す。鉄特異性に関し、システイン栄養要求変異体である大腸菌302Δaは、外因性コバルト(5μM)を最少培地に添加した場合に補完されなかったことが示された。すなわち、鉄はコバルトで置換され、コバラミンの生合成に導く。これに関し、CbiXは、sirBと同じシロヒドロクロリンキレターゼ活性を有し、このために、シロヘムの生合成及びコバラミンの生合成の両者に使用できる。しかしながら、CbiXは鉄よりもコバルトに高い親和性を有する。
6.5.SirA、SirB、SirC及びCbiXタンパク質の過剰生成及び精製
sirA、sirB及びsirCによりコードされる酵素を迅速に精製する目的で、IPTG誘導性T7プロモーターの制御下に、これらの遺伝子を別個にベクターpET14bにクローニングした。これらのベクターを大腸菌株BL21 DE3 pLysSに形質転換した後、対応遺伝子が過剰発現されたときに、それぞれのタンパク質にHisタグを付加した。これらのタンパク質をクロマトグラフィー(金属キレートの形成)により、標準的方法及び製造業者の指示を用いて精製した。次いで、サンプルをSDSゲル電気泳動により分画した。結果を図5に示す。
巨大菌cbiX遺伝子をSspI/SnaBI断片として、copオペロン全体(Raux,E.ら,1998,Biochem.J.,1998,335:167−173)を含むプラスミドpAR8766から単離し、プラスミドpKK223.3(Pharmacia)にクローニングし、プラスミドpAR8882を得た。大腸菌302Δaに形質転換し、IPTGを添加した後、SirA、SirB及びSirCの場合の精製と同様に発現及び精製を行った。
6.6.形質転換株にin vivoで蓄積した生成物の分光分析
異なるsir遺伝子の組み合わせを含むpKK8668誘導体を、ウロポルフィリノーゲンIIIをシロヘムに変換するために必要な酵素活性の全部が欠損している大腸菌cysG302Δa ER171株(Rauxら,1997,J.Bacteriol.,179(10):3202−12)に形質転換した。この株はシロヘムを合成できず、従ってシステインを合成することができない。
対応の形質転換株を200mlの最少培地に接種し、コバルト含有及び非含有で培養した。培養物をODが0.1となるまで増殖させ、IPTG及びALAを添加した後、さらに4時間増殖させた。回収した細胞を超音波処理により破壊した後、それぞれの場合に粗製抽出物をDEAE Sephacolカラムに加えた。溶出物を300〜600nmで分光光度法により分析した。結果を図6に示す。シロヒドロクロリンに相当する378nmでの吸収極大を、大腸菌pKK8668sirACの抽出物で測定した。大腸菌pKK8668sirAのスペクトルは354nmで極大を示し、これは、ウロポルフィリノーゲンIIIの過剰メチル化に起因する非生理的化合物トリメチルピロコルフィンに相当する。大腸菌pKK8668sirABCの場合には、シロヘムスペクトルを明確に検出することは不可能であった。シロヒドロクロリン及びシロヘム(378nmに極大を有する)のUV−Visスペクトルには多くの類似性があり、これは明確な区別が困難であることを意味する。しかしながら、410nm及び590nmにおける極大では、コバルト−シロヒドロクロリンのスペクトルはシロヒドロクロリンのものとは明確に異なる。
6.7.改善されたコバラミン製造のためのプレコリン−2デヒドロゲナーゼの必要性の測定
既に述べたように、大腸菌は、それがプレコリン−2をコビンアミドに変換するために必要な若干の酵素を欠くので、ビタミンB12を新規合成することができない。しかしながら、この能力は、失損するコバラミン生合成遺伝子の導入に適するプラスミドの使用により、大腸菌において回復することができる。加えて、この場合にcysG株を用いる場合には、ウロポルフィリノーゲン−IIIをコビンアミドに変換するための全ての酵素は対応の大腸菌株に再び存在する。
この知見は、コバラミン生合成において、プレコリン−2及びその酸化生成物(シロヒドロクロリン)の合成のための酵素に対する必要条件を調べるのに用いられた。以下の結果は、本発明により、ビタミンB12の生成がプレコリン−2デヒドロゲナーゼの存在下で改善されることを示す。
ウロポルフィリノーゲンIIIをコビリン酸(cobyric acid)に変換するために必要な遺伝子を含む大腸菌株を用いて、巨大菌でのコバラミン生合成経路におけるプレコリン−2デヒドロゲナーゼの必要条件を、ます第一に調べた。大腸菌cysG株(大腸菌302Δa)を、巨大菌のcbiW、−H、−X、−J、−C、−D、−ET、−L、−F、−G、−A、cysG、−Y、−btuR及びcbiP遺伝子を含むプラスミドpER270で形質転換することにより、これを行った。加えて、cysG、met8P又はsirCの何れかを含む第二の好適なプラスミドを、大腸菌株の形質転換に用いた。cysG、met8P及びsirCは全て、プレコリン−2デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする。それぞれ2つのプラスミドを共形質転換した後、コバラミン生成は、下記の表に示すように、少なくとも30倍増大した:
Figure 2005528094
cysGG21Dで形質転換した株は、デヒドロゲナーゼ活性を有しなかった。なぜならば、NAD結合部位が破壊的なので、該株はNADに結合できないためである。CbiKはサルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)コバルトキレターゼである。
これらの結果から、プレコリン−IIデヒドロゲナーゼの存在がビタミンB12の改善された製造の達成に必須であることになる。
これらの結果を裏付けるために、サルモネラ・エンテリカ(ネズミチフス菌)経路内のデヒドロゲナーゼの必要条件を調べた。このために、全てのサルモネラ・エンテリカcbi遺伝子を含むが、cbiK遺伝子が欠損しているプラスミドであるプラスミドpER185Kで大腸菌cysG株を形質転換した。加えて、プレコリン−IIデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子の必要条件の調査を行うことができるもう1つのプラスミドで大腸菌を共形質転換した。下記の結果が得られた:
Figure 2005528094
これらの結果は、サルモネラ・エンテリカ生合成経路においてビタミンB12のコリン環を生合成する際のプレコリン−IIデヒドロゲナーゼの必要性又は利点を確証する。より良好なコバラミン生成の結果は、デヒドロゲナーゼ(この場合はSirC)が存在する場合に再現性よく得られ、達成できるコバラミン生成は検出されたコビリン酸から明らかなように、約10倍増大する。
6.8.SirB及びSirCの役割の判定
SirAを過剰発現する細胞は、UV光下で僅かな蛍光を示すという特徴を有する(Warrenら,1994,Biochem.J.,302(Pt3):837−44)ので、さらなる酵素分析を行わなかった。
キレターゼとしてのSirBの役割及びデヒドロゲナーゼとしてのSirCの役割を判定するために、タンパク質を精製し、シロヒドロクロリン及びコバルトシロヒドロクロリンの形成を検査するための、in vitro反応アッセイに用いた。この目的で、0.5mgのCobA、0.1mgのHemC、0.15mgのHemD、0.75mgのSAM及び0.05mgのPBGを用いた。CobA(SirAの代わり)、HemC及びHemDを、Rauxら(1999、Bioorganic.Chem.,27:100−118)に記載されたように精製した。アッセイサンプルを1mlの50mM Tris/HCl、pH8に混合した。次いで、0.1mgのSirB、0.1mgのSirC、0.5mgのNAD及び21μMのCoCl×6HOを添加した。次いで、このアッセイサンプルを37℃で30分間インキュベートした後、分光光度法で分析した。対照のために、SirB及びSirCを用いることなくスペクトルを測定した。
図7aは、NADの存在下又は不在下でインキュベートした20分後において、PBG、HemC、HemD、CobA及びSAMを含む共役アッセイ(coupled assay)におけるプレコリン−2の合成は、プレコリン−2特異的スペクトルと同程度のスペクトルを示す。SirCの添加によって、378nmでの極大で、シロヒドロクロリンのスペクトルに対応し、かつ図6に示す大腸菌pKK8668sirAC粗製抽出物のスペクトルと同程度のスペクトルが生じた。
378nmに吸収極大を有するスペクトルは、同様に、SirB及びSirCの添加により得られた(図7b)。しかしながら、コバルトの添加によって、コバルト−シロヒドロクロリンのスペクトルと同等である420nm及び590nmに吸収極大を有するスペクトルが生じた。これは、SirBがコバルトキレターゼとして作用することを意味する。
加えて、硫酸銅(II)、塩化マグネシウム6水和物、塩化亜鉛及び硫酸鉄7水和物を、硫酸コバルトニッケル(II)6水和物の代わりに共役反応アッセイにおいて用いた。対応のスペクトルを300〜700nmで記録した。図8は、生成したシロヒドロクロリン金属錯体の吸収極大が顕著に異なることを示す。これは、SirBがin vitroで鉄キレターゼ及びコバルトキレターゼとして作用でき、これに加えて、多数の他の金属イソ型細菌性クロリンを合成できることを示す。
6.9.SirAの過剰発現:
SirAを含むプラスミドpKK8668(pKK8668sirA)で大腸菌ER171を形質転換した後、このように形質転換した微生物を実施例5.3に記載したように培養した。対照として、形質転換されていない対応の大腸菌株を同じ条件下で培養した。遺伝子発現は、10mg/lの濃度のIPTG及びALAで誘導した。次いで、ウロポルフィリノーゲンIIIメチルトランスフェラーゼ(SirA)の比活性を、形成されたプレコリン−2の測定により測定した。プレコリン−2は蛍光を発し、蛍光性プレコリン−2による明確な発光は、340nmでのアッセイサンプルの励起後に600nmで測定することができる(消光係数:8×10−1−1)。基質ウロポルフィリノーゲンIIIは蛍光を発しない。
この実験において、形質転換されていない大腸菌株では、ウロポルフィリノーゲンIIIメチルトランスフェラーゼ活性は殆ど測定できなかった。これに対して、形質転換した大腸菌株において、sirAでコードされる酵素ウロポルフィリノーゲンIIIメチルトランスフェラーゼの過剰を測定することが可能であり、培地1L当り少なくとも10mgのタンパク質で、培地1L当り約15000単位を有する。1単位は毎時1nmoleのプレコリン−2の生成に対応する。タンパク質を測定するために、Bradfordの方法(Anal.Biochem.,1989,178,263.268)に基づくタンパク質検出キット(BioRad,Germany)を用いた。
同様に、巨大菌DSMZ509株も、実施例5.3に記載したように、sirAを含むプラスミドpKK8668(pKK8668sirA)で形質転換し、培養した。この場合にも、対応の方法で培養した形質転換されていない対応の巨大菌を対照として使用する。
sirAでコードされるタンパク質は、形質転換した巨大菌株においてより強力に生成され、これは、遺伝子が発現されるとすぐに赤色蛍光を発する細胞により定性的に示される。遺伝子発現は、10mg/lの濃度のIPTG及びALAで誘導された。
ウロポルフィリノーゲンIIIメチルトランスフェラーゼの比活性も測定した。この場合にも、形質転換されていない株において比酵素活性は殆ど測定できなかった。形質転換した巨大菌株において、約15000単位/l培地の比活性を測定した。
実施例6.5に記載したように、sirAでコードされるタンパク質を精製した後、形成されたウロポルフィリノーゲンIIIメチルトランスフェラーゼの比タンパク質含有量を測定した(Bradford;Anal.Biochem.,1989,178,263,268)。これにより、培地1L当り10mgのタンパク質という過剰のSirAが生じた。
6.10.SirA及びSirCの過剰発現
プラスミドPKK8668sirAC(sirA及びsirCを含む)で大腸菌ER171を形質転換した後、このように形質転換した微生物を実施例5.3に記載したように培養した。対照として、形質転換されていない対応の大腸菌株を同じ条件下で培養した。遺伝子発現は、10mg/lの濃度のIPTG及びALAで誘導した。次いで、ウロポルフィリノーゲンIIIメチルトランスフェラーゼ(sirA)の比活性を、形成されたプレコリン−2の測定により測定した。340nmでのアッセイサンプルの励起後に、蛍光性プレコリン−2による明確な発光を600nmで測定することができる(消光係数:8×10−1−1)。基質ウロポルフィリノーゲンIIIは蛍光を発しない。この実験において、形質転換されていない大腸菌株は、測定し得る酵素活性を殆ど有しなかった。形質転換した大腸菌株において、ウロポルフィリノーゲンIIIメチルトランスフェラーゼ(SirA)の比酵素活性は、培地1L当り2500単位のプレコリン−2と測定された一方、プレコリン−2デヒドロゲナーゼ(SirC)の比酵素活性は、培地1L当り4000単位のシロヒドロクロリンと測定された。
加えて、実施例6.6に記載したように、生成物シロヒドロクロリンが培地中で測定された。
6.11.シロヒドロクロリンの役割の調査
シロヒドロクロリンは、例えば実施例6.9に記載したように、形質転換細胞中で生成される。
基質としてシロヒドロクロリン又はプレコリン−2(各場合に、1mlの0.05M Tris−HCl緩衝液、pH8中2.5μMの基質)を用い、かつsirB及びcbiXによりそれぞれコードされる精製した酵素(各場合に、25μg)を用いるin vitro試験において、中間物質としてシロヒドロクロリンは、sirBによりコードされるシロヘム合成酵素(シロヒドロクロリンフェロキレターゼ)及びcbiXでコードされるコバラミンキレターゼの両者の基質として機能することを見出した。これに関し、上記の2つの酵素、すなわちシロヒドロクロリンフェロキレターゼ(sirB)及びコバラミンキレターゼ(cbiX)はそれぞれ、それらが金属イオンを還元プレコリン−2中間体に取り込む効率よりも100倍を超えて優れた効率で、金属イオン(20μM)をシロヒドロクロリンに取り込む。すなわち、シロヒドロクロリンフェロキレターゼ(sirB)により触媒されると、プレコリン−2への金属イオンの取り込みは、低い効率(<1%)でしか行われない。一方、コバラミンキレターゼ(cbiX)は、プレコリン−2への金属イオンの取り込みを全く支持しない。
図表について
表1、2及び3に示す細菌株、プラスミド及びプライマーを用いた。
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図面の説明
本発明を、さらに図面を利用して以下に説明する。
図1は、好気的条件下及び嫌気的条件下における30℃での巨大菌DSMZ32(野生型)の増殖の比較を示す。嫌気的増殖は、添加した10mM硝酸塩(白菱形)、10mM亜硝酸塩(白三角)、及び10mMフマル酸塩(ばつ印)の存在下で測定した。発酵増殖(白丸)及び好気増殖(黒菱形)は、添加物なしでLB培地で行った。表示した時間においてサンプルを採取し、光学密度を578nmで測定した。
図2は、好気的条件下及び嫌気的条件下における30℃での巨大菌DSM509の増殖の比較を示す。嫌気的増殖は、添加した10mM硝酸塩(白菱形)、10mM亜硝酸塩(白三角)、及び10mMフマル酸塩(ばつ印)の存在下で測定した。発酵増殖(白丸)及び好気増殖(黒菱形)は、添加物なしでLB培地で行った。表示した時間においてサンプルを採取し、光学密度を578nmで測定した。
図3は、好気的条件下及び嫌気的条件下における30℃での巨大菌DSM2894の増殖の比較を示す。嫌気的増殖は、添加した10mM硝酸塩(白菱形)、10mM亜硝酸塩(白三角)、及び10mMフマル酸塩(ばつ印)の存在下で測定した。発酵増殖(白丸)及び好気増殖(黒菱形)は、添加物なしでLB培地で行った。表示した時間においてサンプルを採取し、光学密度を578nmで測定した。
図4は、好気的条件下及び嫌気的条件下における巨大菌によるビタミンB12の産生を示す。細胞量当たりのビタミンB12量(pmol/OD578)は、好気的増殖(1)及び嫌気的増殖(2)した巨大菌DSM32野生株、好気的増殖(3)及び嫌気的増殖(4)した巨大菌DSM509、並びに好気的増殖(5)及び嫌気的増殖(6)した巨大菌DSM2894で測定した。
図5は、Hisタグを付加した精製SirA、SirB及びSirCのSDSポリアクリルアミドゲルを示す。分子量標準をレーン1に泳動させ、精製Hisタグ付加タンパク質SirA、SirB及びSirCをそれぞれレーン2、3及び4に泳動させた。
図6は、pKK8668SirA、pKK8668SirAB、pKK8668SirABC及びpKK8668SirACを過剰発現し、ALAの存在下で培養された大腸菌ER171細菌株から単離された蓄積色素のUV−Visスペクトルを示す。
図7は、SirB及びSirCを含有する共役プレコリン−2酵素アッセイからのin vitro蓄積色素のUV−Visスペクトルを示す。
(7a)プレコリン−2(PC−2)及びSirC添加後のプレコリン−2(コバルトの存在下及び不在下)を含有する共役プレコリン−2アッセイのスペクトル。吸光度の最大値はシロヒドロクロリンの値と等しい。
(7b)SirB及びSirCと一緒のPC−2のスペクトル。吸光度の最大値(410nm及び590nm)はコバルトシロヒドロクロリンの値と等しい。
図8は、添加したコバルト以外の金属(すなわち、Ni2+、Zn2+、Cu2+及びFe2+)の存在下にてSirB及びSirCを含有する共役プレコリン−2酵素アッセイからのin vitro蓄積色素のUV−Visスペクトルを示す。Ni2+、Zn2+、Cu2+及びFe2+の吸光度の最大値は395nm、405nm及び402nmである。
好気的条件下及び嫌気的条件下における30℃での巨大菌DSMZ32(野生型)の増殖の比較を示す。 好気的条件下及び嫌気的条件下における30℃での巨大菌DSM509の増殖の比較を示す。 好気的条件下及び嫌気的条件下における30℃での巨大菌DSM2894の増殖の比較を示す。 図4は、好気的条件下及び嫌気的条件下における巨大菌によるビタミンB12の産生を示す。分子量標準をレーン1に泳動させ、精製Hisタグ付加タンパク質SirA、SirB及びSirCをそれぞれレーン2、3及び4に泳動させた。 図5は、Hisタグを付加した精製SirA、SirB及びSirCのSDSポリアクリルアミドゲルを示す。 図6は、pKK8668SirA、pKK8668SirAB、pKK8668SirABC及びpKK8668SirACを過剰発現し、ALAの存在下で培養された大腸菌ER171細菌株から単離された蓄積色素のUV−Visスペクトルを示す。 図7は、SirB及びSirCを含有する共役プレコリン−2酵素アッセイからのin vitro蓄積色素のUV−Visスペクトルを示す。 図8は、添加したコバルト以外の金属(すなわち、Ni2+、Zn2+、Cu2+及びFe2+)の存在下にてSirB及びSirCを含有する共役プレコリン−2酵素アッセイからのin vitro蓄積色素のUV−Visスペクトルを示す。
【配列表】
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Claims (30)

  1. シロヘム合成に関与する酵素ウロポルフィリノーゲンIIIメチルトランスフェラーゼ及びプレコリン−2デヒドロゲナーゼの活性が少なくとも対応の内因性酵素活性と比較して増大されている微生物を含む培養物を発酵することを含む、ビタミンB12を製造するための改良方法。
  2. シロヘム合成に関与する酵素ウロポルフィリノーゲンIIIメチルトランスフェラーゼ及びプレコリン−2デヒドロゲナーゼの活性、並びにcbiXによりコードされ、かつコバラミン合成に関与する酵素シロヒドロクロリンコバルトキレターゼの活性が少なくとも対応の内因性酵素活性と比較して増大されている微生物を含む培養物を発酵することを含む、請求項1に記載の方法。
  3. シロヘム合成に関与する酵素ウロポルフィリノーゲンIIIメチルトランスフェラーゼ、シロヒドロクロリンフェロキレターゼ及びプレコリン−2デヒドロゲナーゼの活性が少なくとも対応の内因性酵素活性と比較して増大されている微生物を含む培養物を発酵することを含む、請求項1に記載の方法。
  4. 少なくとも1の配列番号2に示されるウロポルフィリノーゲンIIIメチルトランスフェラーゼ及び1の配列番号6に示されるプレコリン−2デヒドロゲナーゼ又はそれらのイソ酵素が対応の内因性酵素活性と比較して増大されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 少なくとも1の配列番号2に示されるウロポルフィリノーゲンIIIメチルトランスフェラーゼ、1の配列番号6に示されるプレコリン−2デヒドロゲナーゼ及びシロヒドロクロリンコバルトキレターゼ(cbiX)又はそれらのイソ酵素が対応の内因性酵素活性と比較して増大されている、請求項1又は2に記載の方法。
  6. 少なくとも1の配列番号2に示されるウロポルフィリノーゲンIIIメチルトランスフェラーゼ及び1の配列番号4に示されるシロヒドロクロリンフェロキレターゼ及び1の配列番号6に示されるプレコリン−2デヒドロゲナーゼ又はそれらのイソ酵素が対応の内因性酵素活性と比較して増大されている、請求項1又は3に記載の方法。
  7. 配列番号1のヌクレオチド1〜780に示されるsirA、及び配列番号1、3又は5のヌクレオチド1542〜2150に示されるsirCのシロヘム合成酵素をコードする遺伝子が、強力に発現される及び/又は増加したコピー数で存在する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 配列番号1のヌクレオチド1〜780に示されるsirA、配列番号1又は3のヌクレオチド761〜1561に示されるsirB、及び配列番号1、3又は5のヌクレオチド1542〜2150に示されるsirCのシロヘム合成酵素をコードする遺伝子が、強力に発現される及び/又は増加したコピー数で存在する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  9. 配列番号1のヌクレオチド1〜780に示されるsirA、及び配列番号1、3又は5のヌクレオチド1542〜2150に示されるsirCのシロヘム合成酵素をコードする遺伝子、並びにコバラミン合成酵素をコードする遺伝子(cbiX)が、強力に発現される及び/又は増加したコピー数で存在する、請求項1、2、5及び7のいずれか1項に記載の方法。
  10. バシラス属、サルモネラ属、シュードモナス属若しくはプロピオニバクテリウム属の微生物又は該微生物の混合物を含む培養物を発酵することを含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 配列番号2に示されるウロポルフィリノーゲンIIIメチルトランスフェラーゼ。
  12. 配列番号4に示されるシロヒドロクロリンフェロキレターゼ。
  13. 配列番号6に示されるプレコリン−2デヒドロゲナーゼ。
  14. シロヘム合成酵素をコードする巨大菌(Bacillus megaterium)sirABCオペロンを含む、配列番号1に示される単離されたヌクレオチド配列。
  15. 配列番号2に示されるウロポルフィリノーゲンIIIメチルトランスフェラーゼのヌクレオチド1〜780(sirA)をコードする、配列番号1に示される単離されたヌクレオチド配列又はその対立遺伝子。
  16. 配列番号4に示されるシロヒドロクロリンフェロキレターゼのヌクレオチド761〜1561(sirB)をコードする、配列番号1若しくは3に示される単離されたヌクレオチド配列又はその対立遺伝子。
  17. 配列番号6に示されるプレコリン−2デヒドロゲナーゼのヌクレオチド1542〜2150(sirC)をコードする、配列番号1、3若しくは5に示される単離されたヌクレオチド配列又はその対立遺伝子。
  18. 請求項14〜17のいずれか1項に記載の単離されたヌクレオチド配列又はそれらの一部、及び、それらに機能的に連結され、かつ調節機能を有するヌクレオチド配列、を含む遺伝子構造物。
  19. シロヒドロクロリンフェロキレターゼをコードするヌクレオチド配列をさらに含む、請求項18に記載の遺伝子構造物。
  20. 請求項14〜17のいずれか1項に記載の単離されたヌクレオチド配列若しくはそれらの一部、又は請求項18若しくは19に記載の遺伝子構造物、並びに、選択、宿主における複製及び/又は宿主細胞ゲノムへの組込みのための追加のヌクレオチド配列を含むベクター。
  21. 請求項1〜10のいずれか1項に記載のビタミンB12の製造方法に使用するための、ウロポルフィリノーゲンIIIメチルトランスフェラーゼ及びプレコリン−2デヒドロゲナーゼをコードするヌクレオチド配列の発現の上昇及び/又はコピー数の増加を示すトランスジェニック微生物。
  22. ウロポルフィリノーゲンIIIメチルトランスフェラーゼ、シロヒドロクロリンコバルトキレターゼ又はシロヒドロクロリンフェロキレターゼ及びプレコリン−2デヒドロゲナーゼをコードするヌクレオチド配列の発現の上昇及び/又はコピー数の増加を示す、請求項21に記載のトランスジェニック微生物。
  23. 請求項14〜17のいずれか1項に記載の単離されたヌクレオチド配列又はそれらの一部の発現の上昇及び/又はコピー数の増加を示す、請求項21又は22に記載のトランスジェニック微生物。
  24. 請求項18若しくは19に記載の遺伝子構造物又は請求項20に記載のベクターを複製形態で含む、請求項21〜23のいずれか1項に記載のトランスジェニック微生物。
  25. バシラス属、サルモネラ属、シュードモナス属又はプロピオニバクテリウム属の微生物である、請求項21〜24のいずれか1項に記載のトランスジェニック微生物。
  26. 巨大菌種に属する、請求項21〜25のいずれか1項に記載のトランスジェニック微生物。
  27. ビタミンB12を製造するための、酵素ウロポルフィリノーゲンIIIメチルトランスフェラーゼ、シロヒドロクロリンコバルトキレターゼ、シロヒドロクロリンフェロキレターゼ及びプレコリン−2デヒドロゲナーゼをコードするヌクレオチド配列の単独又は組み合わせの使用。
  28. ビタミンB12を製造するための、請求項14〜17のいずれか1項に記載のヌクレオチド配列若しくはそれらの一部の単独の又はシロヒドロクロリンコバルトキレターゼと組み合わせての、又は請求項18若しくは19に記載の遺伝子構造物の、又は請求項20に記載のベクターの使用。
  29. 請求項21〜26のいずれか1項に記載のトランスジェニック微生物を製造するための、請求項14〜17のいずれか1項に記載のヌクレオチド配列若しくはそれらの一部の単独の又はシロヒドロクロリンコバルトキレターゼと組み合わせての、又は請求項18若しくは19に記載の遺伝子構造物の、又は請求項20に記載のベクターの使用。
  30. ビタミンB12を製造するための、請求項21〜26のいずれか1項に記載のトランスジェニック微生物の使用。
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