JP2005527410A - 制御された大気圧樹脂注入プロセス - Google Patents

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Abstract

樹脂供給タンクを大気圧よりも低い圧力まで排気し、循環圧縮を用い、かつ正味の成形圧力を制御することにとよって、樹脂注入プロセス、特に真空補助樹脂トランスファ成形プロセスをより適切に制御し、かつオートクレーブを用いて製造されたものに匹敵する、またはそれを超える繊維体積分率およびツール側表面の仕上げを有する航空宇宙級の繊維強化樹脂複合材料を生成することができる。

Description

関連出願の相互参照
この出願は、2002年5月29日出願の、米国仮特許出願第60/384,154号の利益を主張する。
本発明は、プリホームの循環圧縮および正味の成形圧力の制御を含む繊維強化樹脂複合材料を製造するための真空のみの樹脂注入に関するものである。好ましいプロセスは、オートクレーブで製造された従来の複合材料に匹敵する、またはそれを超える高い繊維体積分率を有する複合材料を生成する。この複合材料は、好適な繊維体積分率が達成されたときに航空宇宙での適用例において用いることができる。
水産業、自動車産業、トラック運送業、鉄道業、航空宇宙産業、防衛産業、娯楽産業、化学工業、基盤産業、およびその他の産業は、複合材料に注目して、その一意の特性、特に腐食しない、または耐食性であり、かつ高い強度対重量の比を有するという特性を利用している。複合材料はまた、疲労および薬品侵食にも耐性がある。これは軽量の構成要素において強い強度および剛性の潜在性を与える。しかしながら、複合材料、特に大型構造の複合材料の費用を大幅に減じる一方で、高い強度および剛性を保持する複合材料の製造プロセスを開発する必要がある。
開放金型湿式レイアップ処理は、片側の型へのわずかな設備投資を伴う液体成形プロセスを用いて、大型の複合材料を製造することができ、樹脂含浸繊維性材料(プレプレグ材)よりも低価の材料を用いることができることが多い。しかしながら、製品の質および均一性にはかなりのばらつきがある。これらの複合材料の大半は、依然として比較的低い品質である。このプロセスはまた、溶媒および樹脂にさらされるという危険性があるために、作業員にとって不利であり、作業員に危険をもたらす傾向がある。
高性能の複合材料が、現在プレプレグ材とともに製造されている。網目テープまたは一方向のテープのプレプレグ材を、手または機械によって(「置かれた」)成形マンドレルの上に置く。高い繊維体積の構成要素を達成するために、積層が真空包装され(すなわち、樹脂の硬化の際に解放された放出揮発性物質を吸引するために、真空下の不活性雰囲気で取り囲まれ)、オートクレーブまたはプレスにおいて固められる(すなわち硬化サイクルにおいて高温および高圧に晒される)前に、積層における層の間で容積を小さく(圧縮)して空気を除去することが必要とされることが多い。プレプレグ材料(特に高い率の炭素繊維を用いたもの)は典型的に高価である。未加工のプレプレグ材料は、保存寿命が限られている。なぜなら、繊維を含浸する樹脂は周囲温度で反応(「進行」)し続けるからである。樹脂の進行は、結果として生じる複合材料の特性に悪影響を与える。プレプレグ材とともに作業することによって、かなりの材料廃棄物がもたらされることが多い。
積層プレプレグ材に圧力を与える圧密のために用いられるオートクレーブおよびプレスは、高価で主要な品目であり、これは複合材料の最終的な製造費用をさらに増大させる。処理は、オートクレーブまたはプレスが取付けられるバッチにおいて集中化され、行なわれなければならない。オートクレーブ(高温の加圧炉)のロードおよびアンロードは、通常律速ステップとなる。オートクレーブの位置は、複合材料が製造される場所を決定するため、プロセスの柔軟性が損なわれる。オートクレーブのまわりでは、献身的な労働力および設備が必要とされ、これが集中している。
いくつかの形成において、プレプレグ材における樹脂は、複合材料における所望のポリマー(すなわちPMR型のプレプレグ材)を生成する単量体反応物を含むラッカーまたはワニスとして、繊維に運ばれる。他の形成において、樹脂は、硬化の際に架橋して所望のポリマーを形成する比較的低い分子量のポリマーである。樹脂は、その状態で保持され使用されて、液体のままにし、繊維または織物に含浸することができるようにする。意図される硬化サイクルの前の、単量体反応物の反応またはポリマーの架橋(すなわちその進行)は、複合材料の質に悪影響を及ぼす。
トランスファ成形、樹脂フィルム注入、樹脂トランスファ成形、および構造反応射出成形(SRIM)等の液体成形技術は、典型的に、高価で整合した金属ダイおよび多数のプレスまたはオートクレーブを必要とする。これらのプロセスで製造された部品は、一般的に、サイズおよび幾何学的形状が制限される。
唯一の駆動力として、真空(大気圧)を用いて、乾式プリホームに、湿式樹脂を注入することが公知である。先行の例があるかもしれないが、マルコ方法(Marco Method)(米国特許第2,495,640号)は、1940年代初期に最初に用いられた。パーマー(Palmer)(米国特許第4,942,013号)およびゼーマン(Seemann)(米国特許第4,902,215号)はより最近の例である。我々はまた、複合材料技術文献に含まれる複数の他のアプローチ、すなわちRIRM,RIFTおよびUV−VaRTMについても認識している。米国特許出願第09/731,945号に記載されたボーイングのダブルバッグ真空注入(DBVI)プロセスは、樹脂分布媒体、多数のポーティングまたはチャネルによる真空補助注入の制御に関する多数のクレームを作成している。ゼーマンには、主として樹脂分布マトリックスを再使用可能なバッグへ組込むことに関する、米国特許第5,052,906号、第5,316,462号、第5,439,635号および第5,958,325号等の他の特許が付与されている。
注入プロセスの物理的過程では、プリホームへの樹脂の注入を行なうために、プリホームのまわりで圧力差が必要になる。従来のアプローチは、完全な大気圧で、すなわち樹脂が引き出されるリザーバが大気に開かれた状態で樹脂を注入する。注入の際に、プリホームが樹脂で満たされると、満たされた体積における真空バッグ内部の圧力(すなわち、注入の際に樹脂の流れを含む不浸透性の外部シート)は、バッグ外部の圧力、すなわち大気圧に接近する。真空のみの樹脂注入は、バッグの下にあるプリホームを成形表面に対して制約するのに大気圧の超過圧力のみに依存するため、バッグ内部におけるこの圧力の上昇は、上の大気圧に反発する。バッグ内部および大気圧(すなわち正味の成形圧力)間の残余の圧力差は、成形表面で繊維プリホームを制約するために残されたすべての圧力である。この圧力差は、勾配圧力の輪郭、したがって注入される材料の浸透性、ならびに入口線および出口線を締め付けるタイミングのシーケンスを含む複数の要素に依存して変化する。所与のプリホームの完成した厚さは、その完成した繊維圧力体積分率と直接関連している。高い繊維体積分率を達成するには、プリホームの圧縮が必要である。圧縮は、プリホームを成形表面に対して押し込むことによって達成される。樹脂が硬化するまで注入の際に、または、注入の後にプリホームを成形表面に対して適切に制約することは、高い繊維体積を有することによってもたらされる高性能の構造を得るために重要である。正味の成形圧力が不十分である(従来のVaRTMで、それはゼロに近い可能性がある)場合、プリホームは、自由に樹脂において浮遊し、またはその圧縮状態から跳ね返って、繊維体積分率を減じる。
ゼーマン複合材料会社(Seemann Composites, Inc.)は、ボーイングのために、ゼーマン複合材料樹脂注入成形プロセス(SCRIMP)を用いてさまざまな複合材料構造を製造しており、これは機械試験材を製造するためのフラットパネル(1999年秋、ボーイング、シアトル)から、航空宇宙部品を製造するためにSCRIMPを用いることを意図
した複雑な実証用の翼構造(ボーイングLB1998−2000)に及んでいる。
これらの構造およびパネルにおける共通の問題は、所望の繊維体積よりも低いことであり、それに伴って航空宇宙で用いられる層ごとの所望の完成した厚さよりも高いということである。航空宇宙複合材料における炭素繊維の体積分率の好ましい範囲は、名目上、注入されるプリホームに依存して達成可能なより高い限度、名目上52%から60%である。所望の繊維体積は、たとえば、織り方の種類または他の繊維構成、ならびに炭素トウのサイズおよび総数に大きく依存している。ゼーマン複合材料がボーイングのために製造した積層および構造は、典型的に、所望の範囲よりも繊維体積分率が低かった。層あたりのインチによる測定基準での複合材料の厚さの制御は、結果として生じる複合材料の重量を制御するために重要である。従来の樹脂注入において、厚さを最適化することができないということは、各々の層が必要以上に厚いということを意味することが多い。樹脂を欠く繊維強化の強度は不十分であるため、積層における制御されていない層は、より低い強度の領域に挟まれた高い強度の領域のパターンを形成することができる。全体的な積層の強度は、最適な層ごとの厚さの適切に固められた積層よりも低く、一般的に所望の強度を達成するのにさらに多くの層を必要とするであろう。より多くの層が必要ということは、より多くの材料および労力が必要であるということになり、これは既に高価な部品をさらに高価なものにする。これはまた、重量が増すことになり、複合材料が用いられる航空宇宙システムの全体的な性能が低下するということになる。
米国特許第4,902,215号に記載されたように、ゼーマンは、真空バッグ内部の繊維プリホームの上の流動媒体における優先的な流れおよび圧力を誘導して、プリホームにわたる正味のワークにおいて注入樹脂を分布する。駆動力は、真空ポンプを用いてバッグ内部の圧力を引き下ろすことによって主に生成される圧力差または上部圧力である。樹脂の大気圧は、入口のチューブを通して樹脂をバッグに押し込む。バッグに入る樹脂は、その下にある繊維プリホームに樹脂を導くのに用いられる流動媒体に遭遇する。樹脂は、プリホームの上の流動媒体を通して横方向に流れ、次にプリホームに向かって下方に流れる。プリホームは通常、流れに対して最小の浸透性(すなわち樹脂の流れに対して最高の抵抗)を有する。
簡単に、充填または送りおよび抽気ということのできるプロセスを採用することによって、より高い繊維体積分率を得ることを提案した者もいる。ここで、プリホームは、従来の樹脂注入で行なわれるように、完全な大気圧を用いて、樹脂を乾式プリホームに押し込むことによって注入される(充填ステップ)。プリホームが完全に注入された後で、入口線は締め付けられ、次にプリホームは入口で、または出口および入口の双方で、完全なまたはほぼ完全な真空に晒される(抽気ステップ)。プリホームの抽気は、より高い繊維体積をもたらすであろう。しかしながら、充填および抽気プロセスは、制御を欠き、非常に多くの樹脂が、局所的にまたはプリホーム全体から除去されないように、時限式のプロセスである。さらに、異なるプリホームの構成要素、媒体等の集合に伴う異なる浸透性は、抽気および結果として生じる繊維体積を制御するいかなる能力も悪化させる。ダルシーの法則によると、樹脂は、浸透性の高い領域からより急速に注入されたプリホームから流れるであろう。航空宇宙の設計において一般的に見られる実用的な構造は、所与のプリホームの集合におけるこのような浸透性の差を含みやすい。
本発明の樹脂注入プロセスは、プリホームにおける繊維層が圧縮されたままであり、注入が停止されたときにプリホームが完全に充填され、かつ最適な繊維体積分率が達成されることにより、従来の注入プロセスを改善することを保証する。
本発明において、我々は、圧力を樹脂供給タンクの大気圧よりも減じることによって、正味の成形圧力および樹脂注入を推進する圧力差を制御する。我々は、真空ポンプを用いて、いくつかのサイクルで繊維プリホームを圧縮し、次に真空バッグの下で体積を真空にして、最終的な内部バッグ圧力を樹脂化学および硬化サイクルにとって適切なレベルに設定する。供給ポットにおける供給樹脂の圧力は、真空バッグにおける圧力から独立して制御される。たとえば、真空バッグにおける圧力は、大気よりも〜30インチHg低くされ、一方で、樹脂注入を促進する15インチHg(およそ〜0.5atmから7psi)の圧力差とするために、供給ポットにおける圧力は15インチHgとされる。この場合における正味の成形圧力は、約15インチHg(およそ〜0.5atmまたは7psi)である。
供給ポットへの下位の大気圧は、(1)成形表面上でプリホームを適所に保持するための正味の成形圧力が常に存在し、かつ(2)プリホームにおける一部の厚さの変動、および気象条件、または公称の海面圧力条件による差異のための周囲圧力の変動を補償するために、正味の成形圧力で調整を行なうことができることを保証する。
内部圧力を制御しない樹脂注入プロセスは、完成した複合材料の構造、構成要素、および細部において所望の繊維体積を達成することに完全に成功してこなかった。制御された大気圧樹脂注入(CAPRI)プロセスは、所与のプリホームの構造にとって可能であると考えられる最も高い体積分率を達成するのに十分な繊維体積を制御する。CAPRIは、プレプレグ材から生成された、およびオートクレーブによって硬化された複合材料のために達成されるのと同等のまたはそれよりも高い繊維体積を達成することができる。CAPRIは、高価で律速することが多い処理装置としての圧力容器を必要としない。したがって、CAPRIは、繊維体積分率(または「層ごとの」厚さ)の制御が、最適な特定の強度(すなわち負荷容量/単位重量または強度/質量)を有する複合材料を得るために重要である航空宇宙級の複合材料を製造するための好ましい方法である。
CAPRIは、入口樹脂の圧力レベルが、完成した複合材料の繊維体積に大きな影響を与えることを認識している。この入口圧力を、注入の前に乾式プリホームの循環圧縮と併せて制御することによって、説明してきた先行技術の方法よりも高い繊維体積の積層を製造することが可能になる。
CAPRIは、入口圧力を周囲大気圧よりも下げることによって入口圧力の制御を結合し、一方で全体的な注入の際にプリホームへの正味の成形圧力を維持する。こうした注入の際の入口圧力の減少は、注入の後で圧力がプリホーム内で平衡を保つ中で、注入プロセス全体を通してプリホームへの予め定められた、制御された正味の成形圧力を生成し、維持する。この正味の成形圧力は、もはや周囲の大気圧には依存しない。CAPRIプロセスは、プリホームの最適な圧縮を達成し維持することによって、所与の繊維構成にとって可能な最適の航空宇宙の繊維体積を生成することができる。さらに、図4に示されるように、成形圧力を制御することによって、望まれれば、より低いが目標とする繊維体積を容易に生じることができる。図2,3および5は、注入の前のプリホームの圧縮サイクルからの繊維ネスティングにおける上昇を示している。同様の調査結果が、JAクレイエン(JA Craen),SMグローヴ(SM Grove)およびJサマースケールズ(J Summerscales)(英国、プリマス大学(University of Plymouth))による「フレキシブルな型のもとでの樹脂注入(RITF)の製造プロセスにおける、繰り返される負荷サイクルにさらされた繊維ベッドの圧縮反応」(“The Compression Response of Fibre Beds Subjected to Repeated Loading Cycles in the Resin Infusion Under Flexible Tooling(RIFT) Manufacturing Process”)において報告されている。我々の試験では、循環圧縮によって、単一
の容積の減少にわたって追加の圧縮を与えることが確認されている。いくつかのプリホームにおいて、1つの層における繊維は、隣接する層における繊維を捕えて、圧縮サイクルの間の「跳ね返り」を減じ、一方で他のプリホームにおいて、圧縮は主にネスティングのみによってもたらされるものと想定される。我々は、実用的な最適な圧縮を得るためのサイクルの数は、プリホームの構成に依存することを発見した。航空宇宙の適用例において通常用いられるプリホームの構成に関して、必要なサイクルの数は5から10の間であることを発見した。
圧縮サイクル試験(図2,3および5を参照)の際に、我々は、繊維構成に依存して、プリホームが、その上昇を制約する圧縮の損失に対してさまざまな反応を有することに注目した。すなわち、プリホームは本質的に、圧縮に抵抗する「ばね定数」を有する。一般的に、高い真空の下で圧縮されたプリホームは、大量の大気圧がバッグ内部に与えられるまで殆ど上昇しないであろう。たとえば、図4は、3K−70−Pの炭素繊維のこの破損がおよそ0.5atmで生じることを示している。この現象は、約0.5atmを超える正味の成形圧力を有する樹脂を注入することは、この注入が、層ごとの所望の完成した厚さおよび完成した複合材料の繊維体積を達成することができるということを意味している。さらに、繊維体積を制御する手掛かりは、所与のプリホームがいかにしてそれを圧縮する圧力の変化に応じて動作するか、および循環圧縮に対するその反応を理解することである。図4における曲線が示すように、正味の成形圧力が約0.5atm未満である場合、3K−70−P炭素繊維のプリホームは、プリホームへの正味の成形圧力が、入ってくる樹脂圧力によって減じられると、急速に拡張し始める。注入された複合材料は、望まれるよりも低い繊維体積分率を有するであろう。入口樹脂の圧力、循環圧縮、注入の前および注入の際の圧力の変化に対する圧縮プリホームの反応の間の相互関係を理解することによって、CAPRIのユーザは、複合材料構造において改善された型側の表面の精細度を有する、完成した高い繊維体積を達成することができる。
浸透性の低い領域が一般的に複雑なプリホームで生じる。CAPRI処理は、意図的に、浸透性の低い追加の領域を含んで、高い繊維体積を犠牲にすることなく、流れの面にわたる制御を与えることができる。樹脂圧力の制御は、流頭に沿った低い浸透性の領域によってもたらされる圧力の蓄積を防ぐ。CAPRIによって与えられた、入ってくる樹脂への圧力を制御しなければ、浸透性の低い領域がプリホーム内部の圧力を増加することにより、正味の成形圧力および結果として生じる繊維体積が減じられる可能性がある。さらに、流れ制御のCAPRI方法は、樹脂を「パージする(purge)」または「洗い流す(flush)」必要性を排除することにより、樹脂の廃棄物を排除する。
CAPRIプロセスの代替のバギング方式は、他のプロセスに関連した信頼性および性能の問題に対処する。2つの重要なバギングの特徴は、(1)大気がバッグに浸透するのを防ぐ活性真空密閉、および(2)多数のバッグを用いるときに、活性真空密閉/外部のバッグにおける圧力のレベルを積層圧力のレベルと均衡させて、空気の注入または樹脂の抽気を防ぐことである。不浸透性のシート(第1のバッグ)または周辺の密閉における漏れに対する保護を与えるために業界で用いられるさらに一般的なアプローチは、部品全体をダブルバッグにして、内部および外部のバッグ間の体積を完全に排気することである。このアプローチは、第1のバッグで漏れが生じた場合に、この量を完全に排気することによって、湿ったプリホームと、第1のおよび第2のバッグの間にある排気された領域との間に圧力差が生じるということを認識していない。この圧力差によって、樹脂がプリホームから流れ出るようになりやすい。漏れが第1のバッグで生じた場合に、バッグ間の圧力(すなわち真空のレベル)をプリホームのそれと整合させることは、プリホームにおける樹脂の損失を制限するまたは防ぐ。なぜなら、積層からの樹脂を2つのバッグの間の空間に押し込む駆動力が存在しないからである。
バッグへの入口で測定されたプリホームへの正味の成形圧力をできるだけ高く維持して、プリホームを圧縮された状態に保ちたい。しかしながら、正味の成形圧力は、一般的に約0.5atmであり、これは注入を完了するのに十分な駆動力を与えるが、航空宇宙のための所望の繊維体積を維持する。バッグが密閉されていることを保証するために配慮しならない。注入の際に、注入の後に続く樹脂の硬化/キュアのステップの前に、樹脂がいかなる相転移も行なわないことが好まれる。
図6から9は、高性能および低重量の複合材料を達成するための繊維体積(「層ごとの」厚さ)の重要性を示している。プリホームにおける繊維は、「制御されていない」複合材料において予想される負荷を運ぶが、繊維体積分率の減少によって、必要以上に重い構造が生じ、この場合追加の重量はいかなる性能の利益も与えない。
CAPRIを用いて、プレプレグ材から製造されたオートクレーブで処理されたパネルと均等なパネルの厚さを達成した(図9)。CAPRIプロセスでは、オートクレーブで硬化した部品の厚さのばらつきを整合させるまたはそれを上回る厚さの制御が行なわれる。これらの厚さを達成し、制御することは、部品の重量および特定の強度の制御が重要である一部の航空宇宙における適用例にとって重要である。CAPRIは、オートクレーブを必要とせずに航空部品の製造を可能にすることにより、資本費用および工具費を大幅に減じる。
CAPRIはまた、プレプレグ材よりも低価の材料を用い、サイクル時間を減じ、優れたツール側の仕上げを有する、さらに大きく、複雑な一体化構造を製造することができる。全体的な工具費が比較的低価である最高品質の複合材料を製造することに加えて、製造業者は、設計統合のレベル、設計アプローチ、および、傾き、バッチングの不使用、樹脂注入を可能にする流れの選択に依存して、原材料費の20%から50%の減少、および労務費の10%から40%の減少を期待することができる。
図1に示されるように、好ましいCAPRIプロセスは、入口リザーバ10に、約0.5atm(7.5psiまたは15インチHg)の減じられた圧力(真空)を与える。バギング12の出口で動作する真空ポンプは、出口での圧力を、本質的に完全な真空(0psiまたは30インチHg)に減じて、入口リザーバおよび出口の間で駆動力を生成する。入口リザーバにおける樹脂への圧力によって、樹脂がバッグ12に押し込まれ、テープ、織物または縫いこんだ構成の乾式強化繊維のプリホーム14が、必要に応じて適切な剥離層を有する成形表面16の上に乗る。バッグ12に入る樹脂は、分布媒体またはいかなる同様のチャネル、溝、もしくは、樹脂をプリホーム14および多孔質性の剥離層20にわたって運ぶもしくは導く他の装置もしくは構成18へと流れる。樹脂は、剥離層20を通ってプリホームへと流れ、入口から出口へと移動する。注入の際に、バッグにおける圧力は、本質的に完全な真空からおよそ入口リザーバの圧力へと上昇するであろう。このようにして、プリホーム14を圧迫する正味の成形圧力は、約0.5atmになる。
分布媒体18は、出口の手前で止まって、「不感帯」を生成する。樹脂は、分布媒体の端部を越えた「不感帯」の下にあるプリホームの最終的な部分を通過することなく、その出口に到達することはできない。したがって、この「不感帯」は、樹脂が出口線またはタブに到達するときに、プリホームが完全に濡れることを保証する。典型的にプリホームのこの部分は、約0.125から0.5インチの長さである。
我々は、プロセスで既存のVaRTM樹脂を用いるが、入口リザーバまたは型を加熱することなく、粘性の低い樹脂(50から800センチポアズ)を用いることが好ましい。プリホームまたはプリホームおよび樹脂は、望まれれば、加熱して、注入を加速するか、または室温での注入が実現不可能な高い室温の粘性を有する樹脂の使用を可能にすること
ができる。浸透性の高い分布媒体または樹脂分布の方法が好ましく、これによってプリホームの表面にわたる樹脂の流れに対して最小の抵抗が与えられる。質および性能の特性が、ボーイング仕様書BMS8−256に従って製造された、オートクレーブで処理された複合材料に対してボーイングが課す要件に対応する高い繊維体積分率を有する試験部品を製造することができた。しかしながら、我々の試験部品は、オートクレーブで処理された対応物よりも面内の剪断における性能がわずかに低かった。これは、CAPRI処理の結果ではなく、利用可能な注入樹脂の脆弱性によるものである。将来の樹脂形成では、このような比較的小さなギャップが排除されるものと予想される。
好ましい実施例を記載してきたが、当業者は、本発明の概念から逸脱することなく行なわれ得る修正または変形について認識するであろう。第2部および第3部で与えられた例は、本発明を例証するものであり、これを制限することは意図されていない。したがって、説明および特許請求の範囲は、関連の先行技術を考慮して必要とされるこのような制限のみとともに、自由に解釈されるべきである。
本発明の好ましいプロセスの概略図である。 典型的な注入プリホームにおける1581ガラス繊維強化材の圧縮サイクルの関数としての厚さの変化を示すグラフである。 典型的な注入プリホームにおける3K−70−P炭素繊維強化材の圧縮サイクルの関数としての厚さの変化を示すグラフである。 4つの繊維プリホームの圧縮超過圧力(真空バッグにおける真空インチHg)の関数としての「層ごと」を示すグラフである。 シーアテックス・スティッチ・パネル(Saertex Stitched Panel)プリホームの圧縮サイクルの関数としての厚さの変化を示すグラフである。 繊維体積分率の関数としての積層重量の変化および積層密度の変化を示すグラフであり、航空宇宙のおよび他の高性能の複合材料に認められる性能の範囲を示すグラフである。 設定された数の繊維を有するプリホームのための繊維体積分率の関数としての負荷運搬能力および構成要素の重量を示すグラフである。 「層ごとの」厚さの変化の関数としての、負荷運搬能力および構成要素の重量を示すグラフである。 さまざまな前処理の条件下の「層ごとの」厚さおよび炭素繊維プリホームの繊維体積分率の相互関係を示す表である。

Claims (8)

  1. 樹脂注入プロセスにおいて、樹脂は少なくとも1つの真空バッグ内のプリホームに流れて、高い繊維体積分率を有する複合部品を形成し、改良点は、
    樹脂の圧力を大気圧よりも減じて、プリホームへの正味の成形圧力を、予め定められたレベルの圧縮に保持するのに十分なくらいに維持することにより、高品質の複合部品の製造を可能にすることを含む、樹脂注入プロセス。
  2. 正味の成形圧力は、入ってくる樹脂への圧力を制御することによって制御される、請求項1に記載のプロセス。
  3. プリホームは、炭素、繊維ガラス、アラミド、または他の連続的なまたは非連続的な繊維材料および/または構成から選択された強化繊維を含む、請求項1に記載のプロセスによって製造された複合部品。
  4. 繊維体積分率の改善された制御を与えるために循環圧縮によって生成される圧縮されたプリホームであって、循環圧縮の利益は、樹脂圧力を制御することによって向上される、プリホーム。
  5. 樹脂を成形表面のプリホームへ流すステップを含む樹脂注入を用いて、高い繊維体積分率、予め定められた厚さ、および制御された厚さを有する複合部品を製造するためのプロセスであって、前記プロセスは、
    (a) 循環圧縮でプリホームを所望の厚さに圧縮するステップと、
    (b) プリホームへの好適な正味の成形圧力を保持することによって、樹脂を注入する際に所望の厚さのプリホームを保持するステップとを含む、プロセス。
  6. 正味の成形圧力は、樹脂を含む樹脂供給ポットを部分的な真空下に置くことによって達成される、請求項5に記載のプロセス。
  7. 請求項5のプロセスによって製造される、複合部品。
  8. 請求項6のプロセスによって製造される、複合部品。
JP2004509036A 2002-05-29 2003-05-28 制御された大気圧樹脂注入プロセス Pending JP2005527410A (ja)

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