JP2005521437A - バイオプロテーゼの石灰化対策 - Google Patents
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Abstract
特定の種類の抗石灰化剤の使用を取り込むためにトリグリシジルアミン(TGA)を用いた架橋を適合させることにより、生体内でバイオプロテーゼが石灰化するという問題に対して広範におよぶ解決策が提供される。問題の抗石灰化剤は、ポリホスホン酸とポリエポキシドとの間の反応部位として作用する官能基を含むポリホスホン酸化合物を含有する。該官能基は十分反応性が高くポリホスホン酸とポリエポキシドとの間の反応において優位であり、したがって反応からポリホスホン酸のキレート化酸素原子を排除し、その抗石灰化能を保護する。さらに、該官能基の反応性が高いのでポリホスホン酸がポリエポキシドにより完全に結合することができ、ポリエポキシドが架橋されたバイオプロテーゼ材料の石灰化耐性が向上する。
Description
本発明は、バイオプロテーゼ材料(bioprosthetic material)が生体内で石灰化する傾向に対抗する戦略に関する。
病的な石灰化が原因で、組織の構成要素を取り込む人工装具(プロテーゼ)の用途は限定されてきた。そのような「バイオプロテーゼ」に関連して、レビィ(Levy)らの特許(特許文献1)では、問題点およびその解決への一方策が議論されているが、その方策はバイオプロテーゼ組織をポリホスホン酸:ポリエポキシド一付加物で前処理することを伴う。ポリエポキシドは、バイオプロテーゼ組織のコラーゲン鎖と架橋することにより、その後生じる生体内における酵素分解に対し該組織を安定化させる。安定化に有効である一方、ポリエポキシドは石灰化を促進するが、ポリホスホン酸は石灰化に対抗しうるキレート化酸素原子(chelating oxygen atom)を提供する。
しかしながら、レビィ(Levy)の特許において提供された解決策には欠点がある。前処理の後、バイオプロテーゼ材料に対する抗石灰化効果は次第に減少するが、その理由はおそらく作用剤であるポリホスホン酸が時間とともに洗い流されてしまうからである。レビィ(Levy)らが可能性として挙げた、ポリホスホン酸が組織に共有結合する状態に結合させると、ポリホスホン酸の抗石灰化効果が弱まる可能性がある。というのも、共有結合はポリホスホン酸のキレート化酸素原子を一部アルキル化することによりなされるが、これはカルシウム結晶の成長を阻害するキレート化酸素原子の機能を無効にすると思われる。補うべくより多くのポリホスホン酸を適用すると、ポリエポキシドとプロテーゼ組織との間の架橋に悪影響を与える可能性がある。
特許文献2には、バイオプロテーゼ材料に石灰化抵抗性の向上をもたらすために架橋性トリグリシジルアミン(TGA)を使用することを伴う別の方策が開示されている。例えば、TGA処理はブタ大動脈弁バイオプロテーゼにおいて、弁尖部分が生体内で石灰化するのを抑制するために使用されてきた。
しかしながら、TGA架橋の方法論は、バイオプロテーゼ心臓弁のある部分の石灰化を抑制するには不十分である。具体的には、同方法論はバイオプロテーゼ移植片の大動脈壁部分の石灰化に対しては比較的効果が弱い。同様に、ウシ心膜の石灰化の抑制についても効果が弱い。
米国特許第5,674,298号
国際特許出願第PCT/US01/58503号明細書
レビィ(Levy)の特許において提供された解決策には欠点がある。前処理の後、バイオプロテーゼ材料に対する抗石灰化効果は次第に減少するが、その理由はおそらく作用剤であるポリホスホン酸が時間とともに洗い流されてしまうからである。レビィ(Levy)らが可能性として挙げた、ポリホスホン酸が組織に共有結合するような程度では、ポリホスホン酸の抗石灰化効果が弱まる可能性がある。というのも、共有結合はポリホスホン酸のキレート化酸素原子を一部アルキル化することによりなされるが、これはカルシウム結晶の成長を阻害するキレート化酸素原子の機能を無効にすると思われる。補うためにより多くのポリホスホン酸を適用すると、ポリエポキシドとプロテーゼ組織との間の架橋に悪影響を与える可能性がある。
TGA架橋の方法論は、バイオプロテーゼ心臓弁のある部分の石灰化を抑制するには不十分である。具体的には、同方法論はバイオプロテーゼ移植片の大動脈壁部分の石灰化に対しては比較的効果が弱い。同様に、ウシ心膜の石灰化の抑制についても効果が弱い。
抗石灰化戦略の改善の必要性に応え、本発明は、生体内における病的な石灰化に対する耐性が強化され、持続性であることを特徴とするバイオプロテーゼ材料をもたらす。
本発明は、抗石灰化の機能全般を失うことなくTGA架橋剤に結合可能な抗石灰化剤も提供する。
本発明は、抗石灰化の機能全般を失うことなくTGA架橋剤に結合可能な抗石灰化剤も提供する。
さらに本発明は、バイオプロテーゼ材料の製造または処理という面において、抗石灰化活性を実質的に弱めることなくTGA架橋を伴って抗石灰化剤を使用することを意図している。
これらの目的に向けて、本発明は、バイオプロテーゼ組織をアミノ‐チオール含有ポリホスホン酸の存在下でポリエポキシドと接触させることからなるバイオプロテーゼ材料の処理方法であって、前記組織が前記ポリエポキシドと架橋し、かつ前記ポリホスホン酸がそのチオール基を介してポリエポキシドに共有結合するような温度および時間接触させることを特徴とし、これにより該バイオプロテーゼ組織が生体内で抗石灰化作用を示すことを特徴とする方法を提供する。
上記およびその他の目的にさらに関連して、本方法により、ポリエポキシ架橋と、チオール基を介して共有結合したチオール含有ポリホスホン酸の抗石灰化剤とを有するバイオプロテーゼ物が提供される。
本発明の別の態様では、上記およびその他の目的は、(i )アミノ含有ジスルフィドをポリホスホン酸ビニルと反応させてアミノ‐ジスルフィド含有ポリホスホン酸を形成する工程と、(ii)該ジスルフィド結合を切断してアミノ‐チオール含有ポリホスホン酸を形成する工程とからなる、アミノ‐チオール含有ポリホスホン酸の調製法を提供することにより達成される。
発明者らは、ある特定の種類の抗石灰化剤を上述のTGA架橋法に取り入れることにより、生体内におけるバイオプロテーゼの石灰化という問題により普遍的な解決がもたらされることを発見している。本発明の抗石灰化剤は、ポリホスホン酸とポリエポキシドの間の反応部位となる官能基を含んだ、ポリホスホン酸化合物を含む。本発明によれば、該官能基はポリホスホン酸とポリエポキシドの間の反応において優位となるのに十分な反応性を有するので、ポリホスホン酸のキレート化酸素原子は反応から排除され、これによりポリホスホン酸の抗石灰化能が保護される。さらに、該官能基の高い反応性によりポリホスホン酸がポリエポキシドにさらに十分に結合可能となるので、ポリエポキシドが架橋したバイオプロテーゼ材料の石灰化への耐性が向上する。
この相互結合反応と架橋反応とが一緒に起きることが好ましい。したがって、反応する官能基の反応性を、架橋反応のpH条件および温度条件に近い条件下で調べることが好ましい。
本発明に従って、エポキシ環の開裂に必要な官能基、および求核基がこの点で説明に役立つ。発明者らは種々の求核試薬を調査したが、その結果(以下の表1にまとめた)から、上記目的に有効な求核試薬の種類が示される。
第1に、一般的なエポキシ架橋反応(すなわち20℃、pH約7)の条件にほぼ同等の条件では、反応性を示す全ての求核試薬が硫黄原子を含むことが明らかである。このように、チオ硫酸塩、システイン、N‐アセチル‐DL‐メチオニンなどの硫黄原子を含む求核試薬は、硫黄原子を含まない求核試薬よりも少なくとも20倍反応性が高い。
本発明者らは、システインの反応性が高いのはチオール基に対してβ位にアミノ基が存在することにより説明できるかもしれないと洞察した。システインが両性イオンの形態である場合、カルボン酸もチオール基に対してβ位になるであろう。この場合もいかなる機構にも縛られることは望まないが、本発明者らは、アミノ基またはカルボン酸基がチオール基に対して近接することによりエポキシドの開環におけるその反応性が高まると考えている。
従って、本発明は(i )チオール基の反応性を高める、または(ii)チオール基がエポキシドを攻撃するのに好適な環境をつくりだす付加的部分を備えたチオール含有ポリリン酸の使用を意図するものである。そのような付加的部分の例は、近接したアミノ基および
カルボキシル基、またはチオール基を有する芳香族基および複素環基の少なくともいずれかである。
カルボキシル基、またはチオール基を有する芳香族基および複素環基の少なくともいずれかである。
従って、本発明の抗石灰化剤は、アミノもしくはカルボキシ‐チオールを含有するポリホスホン酸であって、アミノもしくはカルボキシル基のうち少なくともいずれかがシステインに関して想定された方式でエポキシド基に対する求核攻撃を促進することを特徴とするポリホスホン酸であることが好ましい。そのようなポリホスホン酸のチオール基はポリホスホン酸とポリエポキシドとの間の相互結合反応よりも優位であり、かつこれら2つの反応物をより完全に反応させる効果があるので、これによりホスホン酸部分の抗石灰化機能は組織に結合した後では最大となると予想される。
本発明の一実施形態に関連して、そのようなアミノもしくはカルボキシ‐チオール含有ポリホスホン酸は、スキーム1により例示したような非エステル化ビニリデン‐ポリホスホン酸の化学反応により得られる。このように、非対称なアミノカルボキシ含有アルキルジスルフィドをポリホスホン酸ビニルと反応させてアミノカルボキシ‐アルキルジスルフィド含有ポリホスホン酸を生じた後、ジスルフィド結合の切断によりアミノカルボキシ‐チオール含有ポリホスホン酸を生産する。
本発明の好ましい抗石灰化剤は、アミノ基により、システインに関して想定された方式でエポキシド基に対する求核攻撃を促進する、アミノ‐チオール含有ポリホスホン酸である。そのようなポリホスホン酸のチオール基はポリホスホン酸とポリエポキシドとの間の相互結合反応よりも優位であり、かつこれら2つの反応物をより完全に反応させるので、これによりホスホン酸部分の抗石灰化機能は組織に結合した後では最大となる。
本発明の別の実施形態に関連して、そのようなアミノ‐チオール含有ポリホスホン酸は、非エステル化ビニリデン‐ポリホスホン酸の化学反応により得られる。このように、アミノ含有ジスルフィドをポリホスホン酸ビニルと反応させてアミノ‐ジスルフィド含有ポリホスホン酸を生じた後、ジスルフィド結合の切断によりアミノ‐チオール含有ポリホスホン酸を生産する。
この種のポリホスホン酸の別例は、本発明によれば、2‐(2‐メルカプトエチルアミノ)‐エチリデン‐1,1‐ビスホスホン酸(MABP)という化合物である。MABPの合成については以下のスキーム2に示すが、非エステル化ビニリデン‐ビスホスホン酸(VBP)の化学反応に基づいている。濃い水溶液の状態では、シスタミンのVBPへのマイケル付加反応が円滑に進行し、MABPの前駆物質が形成される。同物質を穏やかな条件下でトリメチルホスフィンで還元し、ジスルフィド結合を切断し、誘導される最終産物を高率で形成させる。
(MABPの合成)
シスタミン塩酸塩(3.54g、15.7mmol)を水(160ml)に溶解し、強塩基性の陰イオン交換樹脂(anionite)Dowex(登録商標)G‐55(約70mlのOH型の透湿性樹脂)を充填したカラムに通し、同カラムを中性になるまで水で溶出させた。得られたシスタミン遊離塩基溶液(約600ml)を減圧下で濃縮して容量を小さくし、VBP一水和物(3.00g、約15mmol)を用いて酸性化してpH4とし、さらに減圧下で濃縮して高粘度のシロップ状(6.14g)とした。一水和物としてのVBPはアルフェリーブ(Alferiev)ら、J.Polymer Sci.、パートA(ポリマー化学)第39巻、105ページ(2001年)に以前に記載されている。このシロップを100〜110℃で7時間加熱し、冷却してから水(20ml)に溶解した。この溶液を酢酸(1.4ml、24mmol)で酸性化し、アルゴン流で保護し、この攪拌混合物にトリメチルホスフィン(4.5ml、42mmol)を一度に添加し
た。反応の最初の10分間は温度が30℃を越えないようにした(冷水で外部から冷却)。次いで自己発熱が終了し、混合物を20〜25℃で3時間攪拌した。
シスタミン塩酸塩(3.54g、15.7mmol)を水(160ml)に溶解し、強塩基性の陰イオン交換樹脂(anionite)Dowex(登録商標)G‐55(約70mlのOH型の透湿性樹脂)を充填したカラムに通し、同カラムを中性になるまで水で溶出させた。得られたシスタミン遊離塩基溶液(約600ml)を減圧下で濃縮して容量を小さくし、VBP一水和物(3.00g、約15mmol)を用いて酸性化してpH4とし、さらに減圧下で濃縮して高粘度のシロップ状(6.14g)とした。一水和物としてのVBPはアルフェリーブ(Alferiev)ら、J.Polymer Sci.、パートA(ポリマー化学)第39巻、105ページ(2001年)に以前に記載されている。このシロップを100〜110℃で7時間加熱し、冷却してから水(20ml)に溶解した。この溶液を酢酸(1.4ml、24mmol)で酸性化し、アルゴン流で保護し、この攪拌混合物にトリメチルホスフィン(4.5ml、42mmol)を一度に添加し
た。反応の最初の10分間は温度が30℃を越えないようにした(冷水で外部から冷却)。次いで自己発熱が終了し、混合物を20〜25℃で3時間攪拌した。
反応溶液を濾過し、水で希釈して200mlとし、Dowex(登録商標)50(約80mlのH型の透湿性樹脂)を充填したカラムに供して、副生成物として形成されたシスタミンを除去した。同カラムを中性になるまで水で溶出させ、溶出物(1100ml)を濃縮して小容量(26ml)とした。メタノール(24ml)を残渣に徐々に添加し、ラビング(rubbing)およびシーディング(seeding)のうち少なくともいずれかにより結晶化を開始させた。結晶化終了後、さらにメタノール(17ml)を添加し、懸濁物を4℃に一晩放置した。
得られたMABP結晶を濾過し、水を含むメタノール(3容量のメタノールと1容量の水、20ml)およびメタノール(約70ml)で少しずつ洗浄し、次いで減圧下で乾燥させた。収量:3.59g(90%、開始時のVBPについて計算)。この化合物を、水(20ml)に溶解してメタノール(45ml)で沈殿させてから減圧乾燥することによりさらに精製した。
NMRによる構造確認:MABP(D20)の1H NMR,δ,ppm:2.57(tt、21Hz,7Hz,1H,CH)、2.89(t,6Hz,2H,S‐CH2),3.33(t,6Hz,2H,アミノエチル基のN‐CH2)、3.50(td,t:14Hz,d:7Hz,2H,ジホスホノエチル基のN‐CH2)。MABP(D20‐水,1H分断)の31P NMR:16.0ppmに1ピーク。
(バイオプロテーゼ心臓弁組織の、MABP存在下におけるTGAとの架橋)
屠殺場で新鮮なウシの心膜を入手し、氷中で実験室へ運搬した。通常の生理食塩水で何度もすすいだ後、組織を1cm角に切断し後述する架橋のための5群に分けた。反応は、振とう台上で室温で7日間、各溶液をホウ酸マンニトール緩衝液(9.33g/l テトラホウ酸ナトリウム、約2gのマンニトールでpH7.4とする)で新たに調製した溶液に毎日交換して実施した。心膜試料を毎日容器から取り出し、すすぎ、通常の生理食塩水で個別に4℃で保管して、実験の最後の示差走査熱量型(DSC)分析による収縮温度(Ts)の測定に備えた。
屠殺場で新鮮なウシの心膜を入手し、氷中で実験室へ運搬した。通常の生理食塩水で何度もすすいだ後、組織を1cm角に切断し後述する架橋のための5群に分けた。反応は、振とう台上で室温で7日間、各溶液をホウ酸マンニトール緩衝液(9.33g/l テトラホウ酸ナトリウム、約2gのマンニトールでpH7.4とする)で新たに調製した溶液に毎日交換して実施した。心膜試料を毎日容器から取り出し、すすぎ、通常の生理食塩水で個別に4℃で保管して、実験の最後の示差走査熱量型(DSC)分析による収縮温度(Ts)の測定に備えた。
MABP保存溶液に水を加え、NaHCO3で中和し、ホウ酸‐マンニトール緩衝液で3通りの所望の濃度(2mM、20mM、100mM)に希釈することにより毎日調製した。次いでTGAを各溶液に添加して終濃度100mMのTGAとした。追加の2群は同じ緩衝液中の100mM TGAのみで7日間処理し、うち1群は8日目に緩衝液中の100mM MABPで再度処理した。バイオプロテーゼ試料のDSC分析により、適当な収縮温度は架橋6日目までに得られ、その過程では等モル濃度のMABPとTGAを除けば全ての条件で重大な支障は認められなかった。等モル濃度のMABPとTGAの場合、予想通り、MABPがTGA‐エポキシ‐残基をクエンチングして架橋過程を著しく遅延させた。試験したうちで最も支障のない条件(ホウ酸‐マンニトール緩衝液(pH7.4)中の20mM MABPおよび100mM TGA)に用いられたMABP相互結合の抗石灰化能を試験する、さらなる実験を実施した。これらの実験データを表IIIおよびグラフとして図1に示す。
(MABPとともにTGAを用いた石灰化抑制の増強:ラット皮下移植の結果)
TGA‐MABPの抗石灰化の有効性をTGA架橋単独の場合と比較するために、一連のバイオプロテーゼ材料試料を調製した。使用した材料は、ブタの大動脈弁膜尖、ブタの大動脈壁、およびウシの心膜であった。屠殺場で新鮮なこれらの材料を入手し、氷中で実験室へ運搬した。
TGA‐MABPの抗石灰化の有効性をTGA架橋単独の場合と比較するために、一連のバイオプロテーゼ材料試料を調製した。使用した材料は、ブタの大動脈弁膜尖、ブタの大動脈壁、およびウシの心膜であった。屠殺場で新鮮なこれらの材料を入手し、氷中で実験室へ運搬した。
全ての材料を通常の生理食塩水で完全にすすぎ、1cm2の小片の大動脈壁、心膜、または個々の尖葉を上述のように毎日溶液を交換して7日間、20mMのMABPを含む100mMのTGAで架橋した。通常の生理食塩水ですすいだ後、生体材料を75‐80gのオスのスプレーグ‐ドーリー(Sprague‐Dawley)ラットの背面の皮下嚢にすでに説明されているように外科的に移植した。動物を21日目に屠殺し、移植片を回収し、すすぎ、乾燥させ、原子吸光分光光度計(AA)でCa含量を分析した。
表IVおよびグラフとして図2に示すように、TGA‐MABPはブタ大動脈壁の石灰化阻害についてTGA単独よりも有意に有効性が高く、同様にウシ心膜の石灰化を一貫して低減させた。MABPを含めてもラットの体重増加には有意な影響はなかった(表IV)。よって、これらのデータから、スルフヒドリル連結ビスホスホン酸によりTGA架橋による抗石灰化の有効性が増強されることが示されている。
Claims (12)
- バイオプロテーゼ組織をアミノ‐チオール含有ポリホスホン酸の存在下でポリエポキシドと接触させることからなるバイオプロテーゼ材料の処理方法であって、前記組織が前記ポリエポキシドと架橋し、かつ前記ポリホスホン酸がそのチオール基を介してポリエポキシドに共有結合するような温度および時間接触させることを特徴とし、これにより該バイオプロテーゼ組織が生体内で抗石灰化作用を示すことを特徴とする方法。
- 前記アミノ‐チオール含有ポリホスホン酸が、(i )アミノ含有ジスルフィドをポリホスホン酸ビニルと反応させてアミノ‐ジスルフィド含有ポリホスホン酸を形成する工程と、(ii)該ジスルフィド結合を切断してアミノ‐チオール含有ポリホスホン酸を形成する工程とからなる製法によって製造されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 前記ポリホスホン酸ビニルがビスホスホン酸ビニルである請求項2に記載の方法。
- 前記ポリホスホン酸が2‐(2‐メルカプトエチルアミノ)‐エチリデン‐1,1‐ビスホスホン酸(MABP)である請求項1に記載の方法。
- ポリホスホン酸の存在により、共存するポリエポキシドとバイオプロテーゼ組織との間の架橋反応が影響を受けないことを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 前記バイオプロテーゼ組織がバイオプロテーゼ弁膜尖である請求項1に記載の方法。
- 請求項1に記載の方法により製造される、改善された生体内抗石灰化作用を備えたバイオプロテーゼ物。
- ポリエポキシ架橋と、チオール基によって共有結合しているチオール含有ポリホスホン酸の抗石灰化剤とを有するバイオプロテーゼ物。
- アミノ‐チオール含有ポリホスホン酸である抗石灰化剤。
- 前記アミノ‐チオール含有ポリホスホン酸がβ‐アミノ‐チオール含有ポリホスホン酸である請求項9に記載の化合物。
- 前記β‐アミノ‐チオール含有ポリホスホン酸がβ‐アミノ‐チオール含有ビスホスホン酸である請求項10に記載の化合物。
- 前記β‐アミノ‐チオール含有ビスホスホン酸が2‐(2‐メルカプトエチルアミノ)‐エチリデン‐1,1‐ビスホスホン酸である請求項9に記載の化合物。
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