JP2005520521A - 統合失調症の診断および処置方法 - Google Patents

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Abstract

プロゲステロンにより誘導される脱落膜タンパク質(DEPP)をコードする遺伝子、アドレノメデュリンをコードする遺伝子および低温ショックドメインタンパク質A(csdA)をコードする遺伝子は、正常患者と比べて統合失調症患者の前帯状回ではアップレギュレーションされている。これらの遺伝子に基いた統合失調症のスクリーニング、診断および処置方法が提供されている。これらの遺伝子のコピー数が増加または発現レベルが増加したヒト以外のトランスジェニック動物もまた提供されている。ヒト以外のトランスジェニック動物は、可能性のある治療薬についてのスクリーニング方法で使用される。

Description

発明の詳細な説明
背景
1.発明の分野
本発明は、統合失調症と相互関係を示す遺伝子および統合失調症の診断および処置についての遺伝子の使用方法に関するものである。
2.関連技術の記載
統合失調症は、通常現実からの引きこもり、非論理的な思考パターン、妄想および幻覚を特徴とし、様々な程度で他の情緒的、行動的または知的障害を伴う深刻な精神障害である。Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders、第4版、アメリカン・サイキアトリック・アソーシエーション、273−315(1994)(DSM−IV(登録商標))参照。しかしながら、そこに述べられている通り、一つの症状が統合失調症の特有症候というわけではない。診断は、職業的または社会的機能を十分に果たし得ない場合に伴う徴候および症状の布置(constellation)の認識を含む(同上)。若干の検出可能な生理学的変化が報告されており、たとえば神経病理学的および画像試験は、この病気に伴う解剖学的改変を描き出している。Arnold et al.、Acta Neuropathol.(Berl)92、217−231(1996);Harrison、Brain 122、593−624(1999)。ある種の細胞異常が観察されており、生化学的およびRNA解析は、若干の神経伝達物質経路およびシナプス前部成分における改変を立証している。同上;Benes、Brain Res.Rev.31、251−269(2000)。
初期段階およびさらに進行した段階でさえ、統合失調症に伴う行動の変化は微妙であり、また神経系構造および機能における細胞および/または分子レベルでの変化も微妙/または検出不可能なものであり得る。この検出可能な神経学的欠陥の欠如によって、統合失調症は、解剖学的または生化学的病理が明白に証明されている他の十分に特定された神経学的疾患とは区別される。すなわち、統合失調症をスクリーニングおよび診断するための非主観的モダリティーが要望されている。さらに、統合失調症の原因となる欠陥および神経病理の同定は、早期段階または病状が不明瞭なときに統合失調症の病状を治療または改善するのに適切な治療過程を臨床医が評価および指示できるようにするために必要とされる。事実、この病気についての有効な治療法はほとんど無く、その分子的基礎は依然として十分には解明されていない。
様々な病気および障害における調節障害遺伝子について検索するためにmRNA発現における改変を精査する方法が設計されている。完全ゲノムが判明している生物体では、細胞内における全遺伝子の転写物を解析することが可能である。ゲノムの情報が増大している他の生物体、たとえばヒトでは、細胞内における多数の遺伝子を同時にモニターすることが可能である。DNAマイクロアレイ解析は、同時に数千の遺伝子の転写発現の定量的測定を可能にする技術である。この技術は、統合失調症患者および対照個体の両方における遺伝子発現パターンのプロファイル作成を可能にする。したがって、異常な遺伝子発現レベルの測定により、治療的介入についての手掛かりが提供される。
RNAレベルおよび活性を修飾する技術は、リボザイム、アンチセンス種、およびRNAアプタマーおよび小分子プロモーターモジュレーターを含む。RNA開裂反応を触媒し得るリボザイムおよびRNAなどは、特定標的mRNAを特異的に開裂するように設計され得る。リボザイム方法では、上記RNAリボザイム分子に細胞を曝露し、細胞等においてそれらの発現を誘導する。標的RNA(好ましくはmRNA)種の活性、具体的にはその翻訳速度は、アンチセンス核酸の適用により阻害され得る。「アンチセンス」核酸は、コーディングおよび/または非コーディング領域と相補的である配列を介して標的RNAの配列特異的部分、たとえばその翻訳開始領域とハイブリダイゼーションし得る核酸である。アンチセンス核酸は、2本鎖または1本鎖、RNAまたはDNAまたはその修飾体または誘導体であるオリゴヌクレオチドであり得、それらは標的RNAの翻訳を摂動するのに十分な制御可能量での外因性導入配列の転写により細胞内で製造され得る。
上記技術は、特異的遺伝子産物の発現を低減化する有効な方法であることが判明しているため、統合失調症患者における調節障害遺伝子をモジュレーションするための若干の治療、診断および研究適用において独特なものとして有用であることが立証され得る。
要約
一局面では、集団における統合失調症についてのスクリーニング方法であって、試料中におけるプロゲステロンにより誘導される脱落膜タンパク質(DEPP)をコードする遺伝子、アドレノメデュリン(adrenomedullin)をコードする遺伝子および低温ショックドメインタンパク質A(csdA)をコードする遺伝子から成る群から選択される一遺伝子の発現の規模を、集団の構成員において測定し、遺伝子発現の基準的規模と発現の規模を比較することを含み、遺伝子発現の増加が統合失調症の存在を示すものである方法が提供される。試料は、脳、脊髄、リンパ液、血液、尿または糞から採取され得る。好ましい実施態様において、試料は、前帯状回(anterior cingulated)から採取される。別の好ましい実施態様では、集団はヒトである。別の局面では、宿主における統合失調症の診断方法であって、試料中におけるプロゲステロンにより誘導される脱落膜タンパク質(DEPP)をコードする遺伝子、アドレノメデュリンをコードする遺伝子および低温ショックドメインタンパク質A(csdA)をコードする遺伝子から成る群から選択される一遺伝子の発現の規模を測定し、遺伝子発現の基準的規模と発現の規模を比較することを含み、遺伝子発現の増加が統合失調症の存在を示すものである方法が提供される。
別の局面では、宿主における統合失調症の処置方法であって、プロゲステロンにより誘導される脱落膜タンパク質(DEPP)をコードする遺伝子、アドレノメデュリンをコードする遺伝子および低温ショックドメインタンパク質A(csdA)をコードする遺伝子から成る群から選択される一遺伝子の発現を、アンチセンスオリゴヌクレオチドの発現低下量または小阻害性RNA(siRNA)の発現低下量を宿主に投与することにより低下させることを含む方法が提供される。この局面の好ましい実施態様において、宿主はヒトである。
別の局面では、宿主における統合失調症の処置方法であって、プロゲステロンにより誘導される脱落膜タンパク質(DEPP)をコードする遺伝子、アドレノメデュリンをコードする遺伝子および低温ショックドメインタンパク質A(csdA)をコードする遺伝子から成る群から選択される一遺伝子の発現を、遺伝子の発現に伴うRNAを開裂するリボザイムの発現低下量を宿主に投与することにより低下させることを含む方法が提供される。別の局面では、宿主における統合失調症の処置方法であって、プロゲステロンにより誘導される脱落膜タンパク質(DEPP)をコードする遺伝子、アドレノメデュリンをコードする遺伝子および低温ショックドメインタンパク質A(csdA)をコードする遺伝子から成る群から選択される一遺伝子の発現を、上記遺伝子との三重らせん形成を促すように設計された1個またはそれ以上の核酸分子を投与することにより低下させることを含む方法が提供される。別の局面では、有効量の抗DEPP、抗アドレノメデュリンおよび/または抗csdA抗体を投与することにより、患者において利用可能なDEPP、アドレノメデュリンおよび/またはcsdAの量を低減化させることを含む統合失調症の処置方法が提供される。上記局面の好ましい実施態様では、宿主はヒトである。
別の局面では、統合失調症の処置に有用な化合物についてのスクリーニング方法であって、DEPP、アドレノメデュリンおよびcsdAから成る群から選択される遺伝子についての調節配列に検出可能なタンパク質を発現するリポーター遺伝子を機能し得るように結合することにより、リポーター構築物を製造し、リポーター構築物で細胞をトランスフェクションし、トランスフェクションされた細胞を試験化合物に曝露し、そして試験化合物に曝露後のリポーター遺伝子の発現レベルを、試験化合物に曝露する前の発現レベルと比較することを含み、曝露後の発現レベルの低下が統合失調症の処置に有用な化合物の指標となる方法が提供される。
別の局面では、ヒト以外のトランスジェニック動物であって、そのゲノムに高いコピー数のプロゲステロンにより誘導される脱落膜タンパク質(DEPP)をコードする遺伝子、アドレノメデュリンをコードする遺伝子および低温ショックドメインタンパク質A(csdA)をコードする遺伝子から成る群から選択される一遺伝子を安定して含み、遺伝子が基準レベルより高レベルで発現される、異常な行動を呈するトランスジェニック動物が提供される。別の局面では、そのゲノムに、プロゲステロンにより誘導される脱落膜タンパク質(DEPP)をコードする遺伝子、アドレノメデュリンをコードする遺伝子および低温ショックドメインタンパク質A(csdA)をコードする遺伝子から成る群から選択される一遺伝子を含み、遺伝子が基準レベルよりも高レベルで発現されるように遺伝子の発現が遺伝子の調節配列における少なくとも一つの改変により高められている、異常な行動を呈するトランスジェニック動物が提供される。好ましい実施態様では、一またはそれ以上の改変に、遺伝子の天然プロモーターよりも高い発現率を有するプロモーターの置換が含まれ、さらに好ましい実施態様では、プロモーターは誘導性プロモーターである。別の局面では、そのゲノムがプロゲステロンにより誘導される脱落膜タンパク質(DEPP)をコードする遺伝子、アドレノメデュリンをコードする遺伝子および低温ショックドメインタンパク質A(csdA)をコードする遺伝子から成る群から選択される1個またはそれ以上の遺伝子におけるホモ接合崩壊を含むヒト以外のトランスジェニックノックアウト動物であって、そのホモ接合崩壊により遺伝子の発現が阻止されており、ホモ接合崩壊の結果生じた、野生型動物と比べて1個またはそれ以上の遺伝子の発現レベルが減少しているトランスジェニックノックアウト動物が提供される。別の局面では、上記のヒト以外のトランスジェニック動物は、ヒト以外のトランスジェニック動物に候補化合物を投与し、統合失調症に伴う病状に対する化合物の効果を測定することにより統合失調症の病状を調節する治療薬についてスクリーニングするのに使用される。上記局面の好ましい実施態様において、ヒト以外のトランスジェニック動物は哺乳類である。
図面の簡単な説明
図1は、プレプロアドレノメデュリンをコードする核酸配列を示す。
図2は、DEPPをコードする核酸配列を示す。
図3は、低温ショックドメインタンパク質A(csdA)をコードする核酸配列を示す。
好ましい実施態様の詳細な説明
本明細書は、3種の遺伝子、すなわちプロゲステロンにより誘導される脱落膜タンパク質(DEPP)をコードする遺伝子、アドレノメデュリンをコードする遺伝子および低温ショックドメインタンパク質A(csdA)をコードする遺伝子が罹患個体における統合失調症と関連しているという驚くべき発見に基いている。さらに詳しくは、これら3種の遺伝子は、通常患者と比して統合失調症患者の前帯状回ではアップレギュレーションされている。したがって、統合失調症の診断、スクリーニングおよび評価方法が本発明に従って提供される。たとえば、DEPP、csdAおよびアドレノメデュリン遺伝子の増加した発現レベルを測定する検定法が提供される。さらに、DEPP、csdAおよびアドレノメデュリンをコードする核酸分子は、診断用ハイブリダイゼーションプローブとして使用されるか、またはDEPP、csdAまたはアドレノメデュリン遺伝子突然変異、対立遺伝子変異およびDEPP、csdAまたはアドレノメデュリン遺伝子における調節欠損を同定するための診断的PCR分析用プライマーの設計に使用され得る。本明細書で使用されている「診断」の語は、一般的に個体に適用され、「スクリーニング」は一般的に集団または個体に適用され得るものとする。また、これらの語は両方とも、たとえば単離組織または単離細胞または培養で生長させた細胞を用いるインビトロ方法を包含する。本発明はまた、これらのタンパク質の利用可能な血漿レベルを減少させるのに使用され得るDEPP、csdAおよびアドレノメデュリン遺伝子産物に対する抗体、並びに遺伝子発現の阻害に使用され得るヌクレオチド配列(たとえば、アンチセンス、siRNAおよびリボザイム分子)、および遺伝子発現を低減化または促進するように設計された遺伝子または調節配列結合または置換構築物(たとえば、三重らせん形成部分または遺伝子を強力なプロモーター系の制御下に置く発現構築物)を包含する。
アドレノメデュリンは、以下の配列:yrqsmnnfqg lrsfgcrfgt ctvqklahqi yqftdkdkdn vaprskispq gy (配列番号1)をもつ52アミノ酸から成る強力な血管拡張薬ペプチドである。プレプロアドレノメデュリンと呼ばれる前駆体は、185アミノ酸長である。それはもともとヒト褐色細胞腫から発見されたもので、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)ファミリーに属する。プレプロアドレノメデュリンタンパク質をコードするcDNAは図1に示されている(配列番号2)。アドレノメデュリンは、様々なタイプの細胞、たとえば血管内皮および平滑筋細胞、心筋細胞、線維芽細胞、マクロファージ、ニューロン、グリア細胞、および網膜色素上皮細胞により生産および分泌される。アドレノメデュリンの発現は、低酸素および向炎症性サイトカインにより誘導される。血管拡張薬作用に加えて、このペプチドは、水飲用および塩分欲求に対する中心阻害作用、若干のホルモンおよびサイトカインの分泌に対する効果、変力作用および細胞成長およびアポトーシスに対する効果を有する。アドレノメデュリンはまた、様々な非内分泌性腫瘍並びに内分泌性腫瘍により生産され、腫瘍細胞についての増殖刺激因子として作用する。アドレノメデュリンは、虚血性心疾患、炎症性疾患、腫瘍、さらには眼病を含む多くの疾患の病態生理学に関与すると思われる。Takahashi、Tohoku J.Exp.Med.、193(2)79−114(2001)。本明細書で使用されている「アドレノメデュリンをコードする遺伝子」または「アドレノメデュリン遺伝子」は、プレプロアドレノメデュリンおよびアドレノメデュリンを包含するものとする。
プロゲステロンにより誘導される脱落膜タンパク質(DEPP)は、212アミノ酸により構成され、以下の配列を有する:
Figure 2005520521
DEPPをコードするcDNA配列は、図2に示されている(配列番号4)。DEPPの機能は現在のところ未知である。
低温ショックドメインタンパク質A(csdA)は、372アミノ酸により構成され、以下の配列を有する:
Figure 2005520521
DEPP、csdAおよびアドレノメデュリン遺伝子の驚くべき発現特性は、統合失調症および正常対象からの死後前帯状回試料の検査により発見された。高品質RNAを有する試料をさらなる試験に使用した。当業者であれば、発現レベルの測定に使用され得る技術については熟知しているはずである。たとえば、逆転写酵素検定法またはDNAマイクロアレイ解析は、遺伝子チップ技術を用いて実施され得る。差次的発現遺伝子は、確立された原理に従って開発された若干の方法を用いて同定され得る。試料グループ間における発現差異の統計的有意性は、t−試験、ANOVAまたはノンパラメトリック試験を用いて決定され得る。本発明によると、遺伝子の中には統合失調症患者においてアップレギュレーションされていることが見出されたものもあれば、基準または正常レベルと比べてダウンレギュレーションされていることが見出されたものもある。「正常」および「基準」の語は本明細書では互換的に使用される。基準レベルは、非統合失調症者の一般的集団の分析と結び付けた慣用的統計技術を用いて定義される。たとえば本明細書の実施例1参照。一般に、本明細書で特記されていない方法は、当業者に公知の一般的に認められている原理に従って実施されると理解すべきである。
定量的rtPCR(Q−PCR)は、上記発現レベル分析に使用されるのと同じ試料で実施され得る。逆転写酵素を用いてRNAからcDNAへ変換後、いかなる慣用的PCR技術でも使用され得るが、好ましい技術は、TaqMan(登録商標)技術(パーキン・エルマー・コーポレーション、フォスターシティー、カリフォルニア)に基づくものであり得る。慣用的PCR検定法では、興味の対象であるDNA配列の5'および3'末端に相補的であるオリゴヌクレオチドプライマーを設計する。熱サイクル処理中に、DNAを熱変性させる。次いで、試料をアニーリングおよび伸長温度に到達させると、プライマーはそれらの特異的相補体と結合し、Taqポリメラーゼによるヌクレオチド三リン酸の付加により伸長される。反復熱サイクル処理により、鋳型DNAの量が増幅される。DNAに結合したとき強く蛍光を発する色素、たとえばSybrGreen(登録商標)の存在により、管中における全量のDNA産物のリアルタイムモニターが可能となる。このシグナルを測定することにより、増幅生成物が定量され得る。蛍光シグナルがバックグラウンドノイズから測定できる形で区別される閾値サイクル(C)は、管中におけるcDNA、すなわち試料中におけるRNAの出発量の正確な尺度である。この方法は、特異的DNAをターゲッティングすることにより複合RNAにおける遺伝子の定量を可能にする。統合失調症患者で差次的に発現されるマイクロアレイ解析により最初に同定された遺伝子のうち、3種、すなわちプロゲステロンにより誘導される脱落膜タンパク質(DEPP)、csdAおよびアドレノメデュリン遺伝子は、RNA試料の最初の、およびさらなる独立セットにおいて差次的に調節されることが示された。
一局面において、集団における統合失調症のスクリーニング方法であって、試料中におけるプロゲステロンにより誘導される脱落膜タンパク質(DEPP)をコードする遺伝子、アドレノメデュリンをコードする遺伝子および低温ショックドメインタンパク質A(csdA)をコードする遺伝子から成る群から選択される一遺伝子の、集団の構成員における発現の規模を測定し、遺伝子発現の基準的規模と発現の規模を比較することを含み、遺伝子発現の増加が統合失調症の存在を示すものである方法が提供される。別の局面では、宿主における統合失調症の診断方法であって、試料中におけるプロゲステロンにより誘導される脱落膜タンパク質(DEPP)をコードする遺伝子、アドレノメデュリンをコードする遺伝子および低温ショックドメインタンパク質A(csdA)をコードする遺伝子から成る群から選択される一遺伝子の発現の規模を測定し、遺伝子発現の基準的規模と発現の規模を比較することを含み、遺伝子発現の増加が統合失調症の存在を示すものである方法が提供される。上記スクリーニングまたは診断的局面のいずれにおいても、試料は、たとえば、脳、脊髄、リンパ液、血液、尿または糞から採取され得る。好ましい実施態様では、試料は、前帯状回から採取される。別の好ましい実施態様では、集団はヒトである。試料中における遺伝子発現を測定するための当業者に公知の技術が多数存在する。たとえば、DEPP、csdAおよび/またはアドレノメデュリン遺伝子を発現することが知られているかまたは疑われている細胞型または組織、たとえば脳からのRNAは、ハイブリダイゼーションまたはPCR技術、たとえば上記の技術を用いて単離および試験され得る。単離されたRNAは、患者からの一次細胞培養から、または患者からの生物学的試料から直接誘導され得る。
別の局面において、本発明は、統合失調症の処置に有用である化合物のスクリーニングを目的とする、プロゲステロンにより誘導される脱落膜タンパク質(DEPP)をコードする遺伝子、アドレノメデュリンをコードする遺伝子および低温ショックドメインタンパク質A(csdA)をコードする遺伝子から成る群から選択される遺伝子の使用法を提供する。これらの方法は、DEPPまたはアドレノメデュリンまたはcsdAと結合および/またはDEPPまたはアドレノメデュリンまたはcsdAの活性または発現に対する刺激または阻害効果を有する候補または試験化合物を同定することを含む。好ましくは、候補または試験化合物の同定の後、DEPPまたはアドレノメデュリンまたはcsdAと結合するかまたはDEPPまたはアドレノメデュリンまたはcsdAの活性または発現に対する刺激または阻害効果を有する化合物のうちのどれがインビボ検定法、たとえば本発明により記載されているトランスジェニック動物での統合失調症に対して効果を有するかをさらに決定する。
かかる検出スキームの一実施態様では、cDNA分子を興味の対象であるRNA分子から合成する(たとえば、RNA分子からcDNAへの逆転写により)。次いで、cDNA内の配列を、核酸増幅反応、たとえばPCR増幅反応用などの鋳型として使用する。この方法の逆転写および核酸増幅工程における合成開始試薬(たとえば、プライマー)として使用される核酸試薬は、DEPP、csdAまたはアドレノメデュリン遺伝子核酸試薬の中から選択される。当業者であれば、適切なプライマーを設計および入手する技術については熟知しているはずである。たとえば後記実施例2における表1参照。上記核酸試薬の好ましい長さは、少なくとも9〜30ヌクレオチドである。増幅生成物の検出については、放射性または非放射性標識ヌクレオチドを用いて核酸増幅が実施され得る。別法として、増幅生成物が標準臭化エチジウム染色によるかまたは他の適切な核酸染色方法を用いることにより視覚化され得るように、十分な増幅生成物が製造され得る。
さらに、核酸精製が全く必要とされないように、「インシツ(in situ)」、すなわち生検または切除術から得られた患者組織の組織片(固定および/または冷凍)において直接的に、上記DEPP、csdAまたはアドレノメデュリン遺伝子発現検定法を実施することが可能である。核酸試薬、たとえば上記のものは、かかるインシツ手順についてのプローブおよび/またはプライマーとして使用され得る。別法として、十分な量の適切な細胞が入手され得る場合、標準ノーザン分析を実施することにより、DEPP、csdAまたはアドレノメデュリン遺伝子のmRNA発現レベルが測定され得る。
DEPP、csdAおよび/またはアドレノメデュリン遺伝子の発現の定量に使用される方法にかかわらず、病因が不確定の対象における発現レベルを、既知の正常発現レベルと比較する。これらの遺伝子の1個またはそれ以上の発現レベルが正常または基準レベルより約25%高い場合、統合失調症の診断が下されるかまたは確認され得る。高いレベルの測定結果は、病気の重さを示し得る。
下記実施例により立証されている通り、基準レベルを確立する一技術は、リアルタイム定量的PCRを含み得る。当業者であれば、試料集団を試験して、統計的に有効な結果を得るのに使用され得る多くの技術については熟知しているはずである。たとえば、この技術を実施する場合、正常個体の集団からの試料を選択する。試料は、年齢、性別、社会的地位、地理的分布、薬物および医療に関する既往歴等の点で十分に多様なものであり、有意義な統計的値を提供できる程度に十分な大きさを有するべきである。すなわち、DEPP、csdAまたはアドレノメデュリン遺伝子の発現を、正常集団における分布を特定する興味の対象である試料中で測定する。次いで、基準レベルを割当てる。また、一群の罹患対象を検定にかけて、罹患試料の結果を正常試料の結果と比較することにより試験の有効性を決定する。
本発明によると、DEPP、csdAおよび/またはアドレノメデュリン遺伝子が介在する統合失調症の病状は、DEPP、csdAおよび/またはアドレノメデュリン遺伝子発現のレベルを減少させるための公知アンチセンス、siRNA、遺伝子「ノックアウト」、リボザイムおよび/または三重らせん方法と連係的にそれぞれのDEPP、csdAおよびアドレノメデュリン遺伝子配列を用いることにより、DEPP、csdAおよび/またはアドレノメデュリン遺伝子発現および/またはDEPP、csdAおよびアドレノメデュリン遺伝子産物活性のレベルを減少させることにより改善され得る。DEPP、csdAおよび/またはアドレノメデュリン介在統合失調症の病状を改善する能力を含む、DEPP、csdAおよび/またはアドレノメデュリン遺伝子の活性、発現または合成を調節する能力を呈し得る化合物の中には、アンチセンス、リボザイムおよび三重らせん分子が含まれる。上記分子は、損なわれていないか、または適切な場合、突然変異体標的遺伝子活性を低減化または阻害するように設計され得る。上記分子の製造技術および使用は、当業者にはよく知られている。
アンチセンスRNAおよびDNA分子は、標的mRNAとハイブリダイゼーションし、タンパク質翻訳を阻止することによりmRNAの翻訳を遮断すべく作用する。アンチセンス方法は、標的遺伝子mRNAと相補的であるオリゴヌクレオチドの設計を含む。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、相補的標的遺伝子mRNA転写物に結合し、翻訳を阻止する。絶対相補性は、好ましいが必ずしも要求はされるわけではない。
2本鎖RNA(dsRNA)はまた、RNA干渉(RNAi)として当業界で公知の機構により遺伝子発現を阻止するのに使用され得る。RNAiは、たとえば米国特許第6506559号または特許出願国際公開第WO0244321号または国際公開第WO0175164号に記載されており、本明細書ではこれらを出典明示により援用する。dsRNAの長さは、本発明によるRNAiにとって重大というわけではないが、好ましいdsRNAは、小阻害性RNA(siRNA)として当業界で一般的に知られているものである。好ましい実施態様において、siRNAは、19〜25ヌクレオチド長を有する短いdsRNAである。最も好ましいのは、21〜23ヌクレオチド長を有するdsRNAである。dsRNAは、平滑末端であるか、またはリボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドから成るループをもつ末端または少なくとも一末端または化学合成リンカーで連結され得る(国際公開第WO00/44895号)。好ましい実施態様において、リボ核酸は、少なくとも1個のリボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチド、または修飾ヌクレオチドのdsRNAのアンチセンス鎖および/またはセンス鎖における3'末端ヌクレオチドオーバーハングを含む。好ましいのは、1、2、3または4個のヌクレオチドを伴うオーバーハングである。オーバーハングは、さらに修飾糖部分を含み得るリボヌクレオチド(複数も可)およびデオキシリボヌクレオチド(複数も可)の両方を含み得る。オーバーハングは、いずれの配列でも有し得るが、好ましい実施態様では、オーバーハングは標的mRNA鎖と相補的である。別の好ましい実施態様において、オーバーハングは、少なくとも1個のUU基またはdTdT基を含む。別の好ましい実施態様において、アンチセンス鎖におけるオーバーハングは、mRNA標的鎖と相補的な末端前オーバーハングヌクレオチドを有する。好ましくは、かかるオーバーハングは、2−ヌクレオチドオーバーハングである。さらに好ましい実施態様において、オーバーハングは、4個のUにより構成される。別の好ましい実施態様において、siRNAの先端3'位はヒドロキシル基である。さらに、5'末端は、ヒドロキシルまたはリン酸基であり得る。
本明細書で使用されている、RNAの一部分に「相補的な」配列とは、RNAとハイブリダイゼーションできる程度に十分な相補性を有することにより、安定した二重らせんを形成する配列を意味する。2本鎖アンチセンス核酸の場合、2本鎖DNAの1本鎖はかくして試験され得るか、または三重らせん形成が検定され得る。ハイブリダイゼーションする能力は、相補性の程度およびアンチセンス核酸の長さの両方に左右される。一般的に、ハイブリダイゼーションしている核酸が長いとき、それが含み得るRNAとの塩基誤対合は多くなるが、依然として安定した二重らせん(または場合によっては、三重らせん)を形成し得る。当業者であれば、標準的手順を用いてハイブリダイゼーションした複合体の融解点を測定するにより、許容できる誤対合の度合を確かめ得るはずである。
一実施態様において、DEPP、csdAおよび/またはアドレノメデュリン遺伝子のコーディングまたは非コーディング領域と相補的なオリゴヌクレオチドは、アンチセンスまたはRNAi方法で内在性DEPP、csdAおよび/またはアドレノメデュリンmRNAの翻訳を阻害するのに使用され得る。図1〜3に示された配列または対立遺伝子または相同性ゲノムおよび/またはDNA配列に基づくと、当業者であれば、本発明により使用される若干の適切なアンチセンスまたはsiRNA分子を容易に選択および合成できるはずである。アンチセンス核酸は、少なくとも6個のヌクレオチドの長さを有するべきであり、好ましくは6〜約50ヌクレオチド長の範囲のオリゴヌクレオチドである。ある種の好ましい局面では、オリゴヌクレオチド長は、約8〜約30ヌクレオチドである。
本発明における適切なアンチセンスオリゴヌクレオチドは、高い安定性、ターゲッティングを呈し得るかまたは他の場合、高い治療有効性を呈する修飾オリゴヌクレオチドを包含する。修飾オリゴヌクレオチドの例には、(1)少なくとも2個のヌクレオチドが合成ヌクレオシド間結合(すなわち、一ヌクレオチドの5'末端および別のヌクレオチドの3'末端間におけるホスホジエステル結合以外の結合)を介して共有結合している、および/または(2)核酸には通常伴わない化学基がオリゴヌクレオチドに共有結合しているものがある。合成ヌクレオシド間結合の例には、ホスホロチオエート、アルキルホスホネート、ホスホロジチオエート、リン酸エステル、アルキルホスホノチオエート、ホスホルアミデート、カルバメート、リン酸トリエステル、アセトアミデート、ペプチド、およびカルボキシメチルエステルがある。修飾オリゴヌクレオチドはまた、共有結合的に修飾された塩基および/または糖類を有し得る。たとえば、3'位におけるヒドロキシル基以外および5'位におけるリン酸基以外の低分子量有機基に共有結合しているバックボーン糖類を有するオリゴヌクレオチドがある。すなわち、修飾オリゴヌクレオチドは、2'−O−アルキル化リボース基を含み得る。さらに、修飾オリゴヌクレオチドは、糖類、たとえばリボースの代わりにアラビノースを含み得る。修飾オリゴヌクレオチドはまた、塩基類似体、たとえばC−5プロピン修飾塩基を含み得る。
アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはsiRNA分子は、当業界で公知の標準技術、たとえば自動DNA合成装置(たとえばバイオサーチ、アプライド・バイオシステムズなどから市販されているもの)の使用により合成され得る。例として、ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドは、Stein et al.(1988、Nucl.Acids Res.16、3209)の方法により合成され得、メチルホスホネートオリゴヌクレオチドは、細孔径制御ガラスポリマー支持体の使用(Sarin et al.、1988、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.85、7448−7451)などにより製造され得る。
標的遺伝子コーディング領域配列と相補的なアンチセンスヌクレオチドが使用され得るが、転写された、非翻訳領域に相補的なものが最も好ましい。好ましい部位は、遺伝子のオープンリーディングフレーム(ORF)の翻訳開始または終止コドンを包含する領域である。当業者であれば、真核生物および原核生物の両方における様々な適切な開始または終止コドンについては熟知しているはずである。
アンチセンスまたはsiRNA分子は、インビボまたはインビトロで標的遺伝子を発現する細胞に送達され得る。細胞へアンチセンスDNAまたはRNAまたはsiRNAiを送達するための若干の方法が開発されている。たとえば、アンチセンス分子は組織部位へ直接注入され得るか、または目的細胞を標的とするように設計された修飾アンチセンス分子(たとえば、標的細胞表面で発現された受容体または抗原と特異的に結合するペプチドまたは抗体に結合されたアンチセンス分子)は、全身投与され得る。好ましい技術では、強力なプロモーターを組込むことにより、標的部位におけるアンチセンスまたはsiRNAオリゴヌクレオチドの高い発現性および良好な収率をもたらすベクターを構築する。かかる構築物を用いて患者における標的細胞をトランスフェクションした結果、内在性標的遺伝子転写物と相補塩基対を形成することにより、標的遺伝子mRNAの翻訳を阻止する十分な量の1本鎖RNAが転写されるか、またはRNAiにより遺伝子発現を阻止し得るdsRNAを形成する互いに相補的である十分な量の1本鎖RNAが転写される。たとえば、ベクターは、それが細胞により取込まれ、アンチセンスRNAの転写を指令するように導入され得る。かかるベクターは、それが転写されることにより、所望のアンチセンスRNAを製造するものであれば、エピソームのままでもまたは染色体に組込まれてもよい。かかるベクターは、当業者に公知の組換えDNA技法により構築され得る。ベクターは、たとえば、哺乳類細胞における複製および発現に一般的に使用されるプラスミド、ウイルスなどであり得る。アンチセンスRNAをコードする配列の発現は、哺乳類、好ましくはヒト細胞で作用すると当業界では知られているプロモーターにより誘導され得ると理解すべきである。上記プロモーターは、誘導性または構成的であり得る。いずれのタイプのプラスミド、コスミド、YAC、BACまたはウイルスベクターでも、組織部位へ直接導入され得る組換え体DNA構築物を製造するのに使用され得る。別法として、目的組織に選択的に感染するウイルスベクターが使用され得、その場合投与は別の経路(たとえば、全身的)により行われ得る。
関連した局面において、本発明は、統合失調症の処置に有用な医薬の製造を目的とする、DEPP、csdAおよび/またはアドレノメデュリン遺伝子の発現を特異的に阻害する1個またはそれ以上のアンチセンスまたはsiRNA分子の使用を提供する。
標的遺伝子mRNA転写物を触媒的に開裂するように設計されたリボザイム分子はまた、DEPP、csdAまたはアドレノメデュリン標的遺伝子mRNAの翻訳、従って標的遺伝子産物の発現を阻止または低減化するのに使用され得る。(たとえば、PCT国際公開第WO90/11364号、1990年10月4日公開;Sarver et al.、1990、Science 247、1222−1225参照)。リボザイムは、RNAの特異的開裂を触媒し得る酵素的RNA分子である。リボザイムの作用機序は、相補的標的RNAとリボザイム分子の配列特異的ハイブリダイゼーション、次いで内在ヌクレオチド鎖分解性開裂事象を伴う。リボザイム分子の組成は、標的遺伝子mRNAと相補的な1個またはそれ以上の配列を含まなければならず、mRNA開裂の誘因となる公知触媒配列を含まなければならない。この配列については、たとえば米国特許第5093246号参照、これを出典明示により援用する。
部位特異的認識配列でmRNAを開裂するリボザイムは、標的遺伝子mRNAを破壊するのに使用され得る。たとえば、ハンマーヘッドリボザイムは、標的mRNAと相補塩基対を形成するフランキング領域により必然的に決められる位置でmRNAを開裂するのに使用され得る。唯一の必要条件は、標的mRNAが以下の2塩基の配列:5'−UG−3'を有することである。ハンマーヘッドリボザイムの構築および製造は当業界ではよく知られている。好ましくは、開裂認識部位が標的遺伝子mRNAの5'末端付近に位置するように、すなわち効率を高め、非機能性タンパク質フラグメントの細胞内蓄積を最小限にするように、リボザイムに遺伝子操作を加える。また、適切なリボザイムには、RNAエンドリボヌクレアーゼ、たとえばテトラヒメナ・テルモフィラ(Tetrahymena thermophila)に天然に存するもの(IVSまたはL−19 IVS RNAとして知られている)がある。このタイプのリボザイムは、標的RNA配列とハイブリダイゼーションすることにより、標的RNAの開裂を行わせる8塩基対活性部位を有する。
アンチセンス方法の場合と同様、リボザイムは、修飾オリゴヌクレオチド(たとえば、安定性、ターゲッティングなどの改良のため)により構成され得、インビボで標的遺伝子を発現する細胞に送達されるべきである。好ましい送達方法では、強力な構成的プロモーターの制御下でリボザイムを「コードする」DNA構築物を用いることにより、トランスフェクションされた細胞は、充分な量のリボザイムを製造して内在性DEPP、csdAおよび/またはアドレノメデュリン遺伝子メッセージを破壊し、翻訳を阻止する。アンチセンス分子とは異なり、リボザイムは触媒的であるため、低い細胞内濃度でも十分に有効である。
別法として、内在性DEPP、csdAおよび/またはアドレノメデュリン遺伝子発現は、標的DEPP、csdAおよび/またはアドレノメデュリン遺伝子の調節領域(すなわち、標的遺伝子プロモーターおよび/またはエンハンサー)に相補的なデオキシリボヌクレオチド配列をターゲッティングして、体内の標的細胞で標的遺伝子の転写を阻止する三重らせん構造を形成することにより低減化され得る。転写を阻止するための三重らせん形成に使用される核酸分子は、1本鎖であり、デオキシヌクレオチドにより構成されるべきである。これらのオリゴヌクレオチドの塩基組成は、フーグスティーン型塩基対法則により三重らせん形成を促進するように設計されなければならず、一般的にかなりの大きさの伸長をもつプリンまたはピリミジンが二重らせんの一鎖に存在することを必要とする。ヌクレオチド配列は、ピリミジンに基づくものであり得、生じた三重らせんの会合した3本の鎖全域にTATおよびCGCトリプレットをもたらす。高ピリミジン分子は、二重らせんの1本鎖の高プリン領域との塩基相補性をその鎖と平行した配向で提供する。さらに、プリンに富む、たとえばG残基の伸長部を含む核酸分子が選択され得る。これらの分子は、GC対に富むDNA二重らせんと三重らせんを形成し、プリン残基の大多数はターゲッティングされた二重らせんの1本鎖に位置することにより、三重らせんにおける3鎖全域にGGCトリプレットをもたらす。
別法として、三重らせん形成にターゲッティングされ得る可能性のある配列は、いわゆる「スイッチバック」核酸分子を作製することにより増やされ得る。スイッチバック分子は、それらがまず二重らせんの一鎖と、次いで他方の鎖と塩基対を形成するように、交互の5'−3'、3'−5'方式で合成されるため、かなりの大きさの伸長をもつプリンまたはピリミジンが二重らせんの一鎖に存在する必要性は排除される。
関連した局面において、本発明は、統合失調症の処置に有用な医薬の製造を目的とする、DEPP、csdAおよび/またはアドレノメデュリン遺伝子の発現を特異的に阻害する1個またはそれ以上のリボザイムまたは三重らせん形成を促す核酸分子の使用を提供する。
本明細書に記載されたアンチセンスRNAおよびDNA、siRNA、リボザイムおよび三重らせん分子は、上記で検討されている通り、DNAおよびRNA分子の合成についての当業界で公知の方法により製造され得る。これらには、当業界でよく知られているオリゴデオキシリボヌクレオチドおよびオリゴリボヌクレオチドの化学合成技術、たとえば固相ホスホルアミダイト化学合成技術が含まれる。別法として、RNA分子は、アンチセンスRNA分子をコードするDNA配列のインビトロおよびインビボ転写により生成され得る。上記DNA配列は、適切なRNAポリメラーゼプロモーター、たとえばT7またはSP6ポリメラーゼプロモーターを組込んだ広く多様なベクターへ組込まれ得る。別法として、使用されるプロモーターによって、構成的または誘導的にアンチセンスRNAを合成するアンチセンスcDNA構築物は、セルラインへ安定して導入され得る。
別の局面において、本発明は、統合失調症についてのバイオマーカーとしてのプロゲステロンにより誘導される脱落膜タンパク質(DEPP)をコードする遺伝子、アドレノメデュリンをコードする遺伝子および低温ショックドメインタンパク質A(csdA)をコードする遺伝子から成る群から選択される遺伝子の使用を提供する。さらに、本発明は、対象をスクリーニングにかけて、統合失調症についてのバイオマーカーが存在するか否かを測定することにより、純粋に臨床的な立場で下された診断を確認する方法を提供する。本発明はまた、個体における統合失調症の重症度または進行をモニターする方法を提供する。
DEPP、csdAおよび/またはアドレノメデュリンを調節することにより統合失調症を処置する方法は、中和抗体をDEPP、csdAおよび/またはアドレノメデュリンタンパク質に曝露することにより提供される。上記抗体への曝露を制御した形で実施することにより、タンパク質存在量/活性が制御可能な形で修飾され得る。たとえば、タンパク質表面上の適切なエピトープに対する抗体は、野生型非凝集野生型形態と比べて活性が劣るかまたは極微である複合体に活性形態を凝集させることにより、DEPP、csdAおよび/またはアドレノメデュリンタンパク質の野生型活性形態の存在量を減少させ、それによって、間接的にその活性を減少させ得る。別法として、抗体は、たとえば活性部位と直接相互作用することにより、または活性部位への基質の接近を遮断することによりタンパク質活性を直接減少させ得る。いずれの場合にしても、抗体が特異的タンパク質種に対して産生され、それらの効果はスクリーニングされ得る。抗体の効果が測定され、標的タンパク質種の濃度および/または活性を低下させる適切な抗体が選択され得る。上記検定法では、抗体を細胞または周囲培地に導入し、当業界で公知の標準的手段(たとえばイムノアッセイ)により標的タンパク質の野生型量の濃度または活性を測定する。野生型形態の活性は、標的タンパク質の既知活性に適切な検定手段により検定され得る。
すなわち、別の局面において、本発明は、統合失調症の処置に有用な医薬の製造を目的とする、DEPP、csdAおよび/またはアドレノメデュリンタンパク質のエピトープと特異的に結合する一抗体または幾つかの抗体の使用を提供する。
抗体は、たとえば、細胞への抗体の顕微注入(Morgan et al.、1988、Immunology Today 9:84−86)または所望の抗体をコードするハイブリドーマmRNAを細胞へ形質転換する方法(Burke et al.、1984、Cell 36:847−858)を含む様々な方法で細胞に導入され得る。さらなる技術では、組換え体抗体を遺伝子操作により製造し、広く多様な非リンパ系細胞型で異所発現させることにより、標的タンパク質と結合させ、標的タンパク質活性を遮断させ得る。好ましくは、抗体の発現は制御可能なプロモーター、たとえばTetプロモーターの制御下にある。第一工程は、標的タンパク質に対する適切な特異性を伴う特定モノクローナル抗体の選択である。次いで、選択された抗体の可変域をコードする配列は、たとえば全抗体、Fabフラグメント、Fvフラグメント、1本鎖Fvフラグメント(ペプチドリンカーにより結合されたVHおよびVL領域)(「ScFv」フラグメント)、二重特異性抗体(異なる特異性をもつ2つの会合したScFvフラグメント)などを含む様々な遺伝子工学的抗体フォーマットへクローン化され得る。様々なフォーマットの細胞内発現抗体は、様々な既知細胞内先導配列との融合体としてそれらを発現させることにより細胞区画へターゲッティングされ得る。
1個またはそれ以上のDEPP、csdAおよび/またはアドレノメデュリン遺伝子産物エピトープまたはDEPP、csdAおよび/またはアドレノメデュリン遺伝子産物の保存変異型またはペプチドフラグメントのエピトープを特異的に認識し得る抗体の製造方法は、当業界では公知である。上記抗体には、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体(mAb)、ヒト化またはキメラ抗体、1本鎖抗体、Fabフラグメント、F(ab')フラグメント、Fab発現ライブラリーにより製造されるフラグメント、抗イディオタイプ(抗Id)抗体、および上記のいずれかのエピトープ結合性フラグメントが含まれ得るが、これらに限定はされない。
上記抗体はまた、たとえば、生物学的試料におけるDEPP、csdAおよび/またはアドレノメデュリン遺伝子産物の検出で使用され得るため、患者がDEPP、csdAおよび/またはアドレノメデュリン遺伝子産物の異常なレベル、および/または上記遺伝子産物の異常な形態の存在について検査され得る診断または予後技術の一部として利用され得る。上記抗体はまた、たとえば、DEPP、csdAおよび/またはアドレノメデュリン遺伝子産物レベルおよび/または活性に対する試験化合物の効果を評価するために、化合物スクリーニングスキームと連係的に使用され得る。
DEPP、csdAおよび/またはアドレノメデュリン遺伝子産物に対する抗体を製造するためには、様々な宿主動物を、DEPP、csdAおよび/またはアドレノメデュリン遺伝子産物またはその一部分を含む注射により免疫化し得る。上記宿主動物には、少し例を挙げればウサギ、マウスおよびラットがあるが、限定はされない。宿主の種により免疫応答を高めるのに様々なアジュバントが使用され得、例としては、限定はされないが、フロイント(完全および不完全)アジュバント、鉱物ゲル、たとえば水酸化アルミニウム、表面活性物質、たとえばリソレシチン、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、油性エマルジョン、キーホール・リンペット・ヘモシアニン、ジニトロフェノール、および潜在的に有用なヒトアジュバント、たとえばBCG(カルメット‐ゲラン菌、bacille Calmette-Guerin)およびコリネバクテリウム・パルブム(Corynebacterium parvum)が挙げられる。
ポリクローナル抗体は、抗原、たとえばDEPP、csdAおよび/またはアドレノメデュリン遺伝子産物、またはその抗原性機能性誘導体により免疫化された動物の血清から誘導される抗体分子の異種集団である。ポリクローナル抗体を製造するためには、宿主動物、たとえば上記のものを、同じく上記のアジュバントを補ったDEPP、csdAおよび/またはアドレノメデュリンを含む注射により免疫化し得る。
特定抗原に対する抗体の均質集団であるモノクローナル抗体は、培養中の連続セルラインによる抗体分子製造をもたらす技術により得られる。これらの例としては、KohlerおよびMilsteinのハイブリドーマ技術(1975、Nature 256、495−497;および米国特許第4376110号)、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kosbor et al.、1983、Immunology Today 4、72;Cole et al.、1983、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 80、2026−2030)、およびEBV−ハイブリドーマ技術(Cole et al.、1985、Monoclonal Antibodies And Cancer Therapy、Alan R.Liss インコーポレイテッド、77−96頁)が挙げられるが、限定はされない。上記抗体は、IgG、IgM、IgE、IgA、IgDおよびそのサブクラスを含む免疫グロブリンクラスに属し得る。mAbを生産するハイブリドーマは、インビトロまたはインビボで培養され得る。
さらに、適切な生物活性のヒト抗体分子からの遺伝子と一緒に適切な抗原特異性のマウス抗体分子からの遺伝子をスプライシングすることによる「キメラ抗体」製造のために開発された技術(Morrison et al.、1984、Proc.Natl.Acad.Sci.、81、6851−6855;Neuberger et al.、1984、Nature 312、604−608;Takeda et al.、1985、Nature、314、452−454)が使用され得る。キメラ抗体は、種々の部分が異なる動物種に由来する分子、たとえばネズミmAbから誘導された可変域およびヒト免疫グロブリン定常域を有するものである。また、ヒト化抗体製造用の技術も開発されている。(たとえば、Queen、米国特許第5585089号参照)。免疫グロブリン軽または重鎖可変域は、相補性決定領域(CDR)と称される、3つの超可変域により中断された「フレームワーク」領域により構成される。フレームワーク領域およびCDRの範囲は、正確に特定されている(たとえば、“Sequences of Proteins of Immunological Interest”、Kabat,E et al.、米国保健福祉省(1983)参照)。簡単に述べると、ヒト化抗体は、ヒト以外の種からの1個またはそれ以上のCDRおよびヒト免疫グロブリン分子からのフレームワーク領域を有するヒト以外の種からの抗体分子である。別法として、1本鎖抗体の製造について報告された技術(米国特許第4946778号;Bird、1988、Science 242、423−426;Huston,et al.、1988、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85、5879−5883;およびWard et al.、1989、Nature 334、544−546)は、DEPP、csdAおよび/またはアドレノメデュリン遺伝子産物に対する1本鎖抗体の製造に適合化され得る。1本鎖抗体は、アミノ酸架橋によりFv領域の重および軽鎖フラグメントを結合して、1本鎖ポリペプチドを生じさせることにより形成される。
特異的エピトープを認識する抗体フラグメントは、公知技術により生成され得る。たとえば、上記フラグメントには、抗体分子のペプシン消化により製造され得るF(ab')フラグメント、およびF(ab')フラグメントのジスルフィド架橋を還元することにより製造され得るFabフラグメントがあるが、これらに限定されるわけではない。別法として、所望の特異性をもつモノクローナルFabフラグメントの迅速で容易な同定を可能にするFab発現ライブラリーが構築され得る(Huse et al.、1989、Science、246、1275−1281)。
抗体、または抗体のフラグメント、たとえば上記のものは、DEPP、csdAおよび/またはアドレノメデュリン遺伝子産物またはその保存変異型またはペプチドフラグメントの存在を定量的または定性的に検出するのに使用され得る。これは、たとえば、光学顕微鏡、フローサイトメトリーまたは蛍光光度計検出手段と結び付けた蛍光標識抗体を用いる免疫蛍光技術により実施され得る。
本発明で有用な抗体(またはそのフラグメント)は、DEPP、csdAおよび/またはアドレノメデュリン遺伝子産物、その保存変異型またはペプチドフラグメントをその場で(インシツ)検出するために、免疫蛍光または免疫電子顕微鏡の場合と同様、組織学的に使用され得る。その場での検出は、組織標本を患者から取出し、DEPP、csdAおよび/またはアドレノメデュリンポリペプチドに結合する標識抗体をそれに適用することにより実施され得る。抗体(またはフラグメント)は、好ましくは標識抗体(またはフラグメント)を生物学的試料上に載せることにより適用される。かかる手順の使用を通して、DEPP、csdAおよび/またはアドレノメデュリン、保存変異型またはペプチドフラグメントの存在および検査組織におけるその分布を測定することが可能である。本発明を用いると、普通の当業者であれば、広範で多様な組織学的方法(たとえば染色手順)のいずれかに修正を加えることにより、DEPP、csdAおよび/またはアドレノメデュリンのその場での検出が達成され得ることを容易に認めるはずである。
DEPP、csdAおよび/またはアドレノメデュリン、その保存変異型またはペプチドフラグメントについてのイムノアッセイは、典型的にはDEPP、csdAおよび/またはアドレノメデュリン、その保存変異型またはペプチドフラグメントを同定し得る検出可能な標識抗体の存在下において試料、たとえば生物学的流体、組織抽出物、新たに採取された細胞、または細胞のライゼートをインキュベーションし、当業界で熟知されている若干の技術のいずれかにより結合抗体を検出する段階を含む。生物学的試料を、細胞、細胞粒子または可溶性タンパク質を固定化し得る固相支持体または担体、たとえばニトロセルロースに接触させ、固定させ得る。次いで、支持体を適切な緩衝液で洗浄した後、検出可能標識DEPP、csdAおよび/またはアドレノメデュリン特異的抗体で処理し得る。次いで、固相支持体を再度緩衝液で洗浄することにより、非結合抗体が除去され得る。次いで、固体支持体における結合標識の量は、慣用的手段により検出され得る。
DEPP、csdAおよび/またはアドレノメデュリン特異的抗体を検出可能な形で標識し得る方法の一つは、たとえば酵素免疫検定法(EIA)で使用する場合のように、それを酵素に結合することによるものである。抗体に結合されている酵素は、たとえば分光光度計、蛍光光度計または視覚的手段により検出され得る化学的部分を生じるように、適切な基質、好ましくは色素原基質と反応する。抗体を検出可能な形で標識するのに使用され得る酵素はよく知られている。検出は、酵素についての色素原基質を使用する比色分析方法により実施され得る。検出はまた、同様に調製した標準と比べた基質の酵素反応の程度の視覚的比較により実施され得る。検出はまた、様々な他のイムノアッセイのいずれかを用いて実施され得る。たとえば、抗体または抗体フラグメントを放射能標識することにより、ラジオイムノアッセイ(RIA)の使用を通してDEPP、csdAおよび/またはアドレノメデュリンを検出することが可能である。放射性同位元素は、ガンマカウンターまたはシンチレーション計数管の使用といった手段により、またはオートラジオグラフィーにより検出され得る。また、蛍光化合物で抗体を標識することも可能である。蛍光標識抗体を適切な波長の光線に曝露すると、その存在は、蛍光により検出され得る。最も一般的に使用される蛍光標識化合物には、緑色蛍光タンパク質、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、フィコエリスリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o−フタルアルデヒドおよびフルオレスカミンがある。また、抗体は、蛍光放射性金属、たとえば152Euまたはランタン系列の他の金属を用いて検出可能な形で標識され得る。これらの金属は、上記金属キレート基、たとえばジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)またはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を用いて抗体に結合され得る。抗体はまた、それを化学発光化合物にカップリングすることにより検出可能な形で標識され得る。次いで、化学発光性標識抗体の存在は、化学反応の経過中に生じるルミネセンスの存在を検出することにより測定される。特に有用な化学発光性標識化合物の例は、ルミノール、イソルミノール、セロマティック(theromatic)アクリジニウムエステル、イミダゾール、アクリジニウム塩およびしゅう酸エステルである。同様に、生物発光化合物も、本発明の抗体の標識に使用され得る。生物発光は、触媒タンパク質が化学発光反応の効率を高める生物系で見出される化学発光の一タイプである。生物発光性タンパク質の存在は、ルミネセンスの存在を検出することにより測定される。標識目的にとって重要な生物発光性化合物には、ルシフェリン、ルシフェラーゼおよびエクオリンがある。
本発明が意図するところでは、DEPP、csdAおよび/またはアドレノメデュリンの異常な発現レベルを有する動物モデルを製造することにより、上記動物に対するこれらのタンパク質のレベルを増加または減少させる効果について試験する。上記動物は、統合失調症に対する治療用または潜在的治療用化合物の効果を測定するための試験対象を提供する。したがって、DEPP、csdAおよび/またはアドレノメデュリン遺伝子産物は、トランスジェニック動物で発現され得る。限定されるわけではないが、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、ブタ、ミニブタ、ヤギ、ヒツジおよびヒト以外の霊長類、たとえばヒヒ、サル、およびチンパンジーを含むいかなる種の動物でも、DEPP、csdAおよび/またはアドレノメデュリントランスジェニック動物を製造するのに使用され得る。本明細書で使用されている「トランスジェニック」の語は、異なる種からのDEPP、csdAおよび/またはアドレノメデュリン遺伝子配列を発現する動物(たとえば、ヒトDEPP、csdAおよび/またはアドレノメデュリン遺伝子配列を発現するマウス)、並びに内在性(すなわち、同種)DEPP、csdAおよび/またはアドレノメデュリン配列を過剰発現するように遺伝子操作が加えられた動物またはもはや内在性DEPP、csdAおよび/またはアドレノメデュリン遺伝子配列を発現しないように遺伝子操作された動物(すなわち、「ノックアウト」動物)、およびそれらの子孫をいう。
当業界で公知の技術を用いて、DEPP、csdAおよび/またはアドレノメデュリン遺伝子を動物に導入することにより、トランスジェニック動物の創始ラインが製造され得る。上記技術には、前核顕微注入(HoppeおよびWagner、1989、米国特許第4873191号)、生殖系列へのレトロウイルス仲介遺伝子導入(Van der Putten et al.、1985、Proc.Natl.Acad.Sci.,USA 82、6148−6152)、胚性幹細胞における遺伝子ターゲッティング(Thompson,et al.,1989、Cell 56、313−321);胚の電気穿孔(Lo、1983、Mol.Cell.Biol. 3、1803−1814)、および精子仲介遺伝子導入(Lavitrano et al.、1989、Cell 57、717−723)があるが、これらに限定されるわけではない(上記技術の概説については、Gordon、1989、Transgenic Animals,Intl.Rev.Cytol.115、171−229参照)。当業界で公知の技術、たとえば静態に誘導された培養胚性、胎児または成熟細胞からの核の除核卵母細胞への核導入を用いることにより、DEPP、csdAおよび/またはアドレノメデュリン導入遺伝子(トランスジーン)を含むトランスジェニック動物クローンが製造され得る(Campbell,et al.、1996、Nature 380、64−66、Wilmut,et al.、1997、Nature 385、810−813)。
本発明は、DEPP、csdAおよび/またはアドレノメデュリン導入遺伝子をその全細胞にもつトランスジェニック動物、およびその全細胞ではなく一部の細胞に導入遺伝子をもつ動物、すなわちモザイク動物を提供する。導入遺伝子は、単一導入遺伝子として、またはコンカテマー、たとえば頭‐頭縦列または頭‐尾縦列で組込まれ得る。導入遺伝子はまた、たとえばLasko et al.の説(Lasko,et al.、1992、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89、6232−6236)に従うことにより特定細胞へ選択的に導入され、そこで活性化され得る。かかる細胞型特異的活性化について要求される調節配列は、興味の対象である特定細胞型によって異なるもので、当業者には明白である。DEPP、csdAおよび/またはアドレノメデュリン導入遺伝子が内在性DEPP、csdAおよび/またはアドレノメデュリン遺伝子の染色体部位へ組込まれるのが望まれる場合、遺伝子ターゲッティングが好ましい。簡単に述べると、かかる技術が使用される場合、内在性DEPP、csdAおよび/またはアドレノメデュリン遺伝子と相同的なヌクレオチド配列を含むベクターは、染色体配列との相同的組換えにより、内在性DEPP、csdAおよび/またはアドレノメデュリン遺伝子のヌクレオチド配列中に組込まれ、その機能を破壊するという目的に適うように設計される。導入遺伝子はまた、特定細胞型に選択的に導入され、たとえば、Gu et al.、1994、Science 265、103−106の説に従うことにより、その細胞型でのみ内在性DEPP、csdAおよび/またはアドレノメデュリン遺伝子を不活化させ得る。かかる細胞型特異的不活化に要求される調節配列は、興味の対象である特定細胞型により異なるもので、当業者には明白である。
上述したところによると、トランスジェニックノックアウト動物もまた提供される。上記トランスジェニック動物では、DEPP、csdAおよび/またはアドレノメデュリン遺伝子発現は、検出され得ないかまたは微々たるものである。当業界で公知の技術を用いることにより、上記トランスジェニックノックアウト動物が製造され得る。これは、様々な機構、たとえばコーディング配列の破壊の導入、たとえば1個またはそれ以上の停止コドンの挿入、DNAフラグメントの挿入など、調節またはコーディング配列の欠失、コーディング配列の停止コドンによる置換などによる、たとえばDEPP、csdAおよび/またはアドレノメデュリン遺伝子の幾つかまたは全ての改変により達成され得る。トランスジェニック動物は、改変のためにホモ接合性またはヘテロ接合性であり得る。機能的ノックアウトはまた、天然遺伝子の発現を遮断するアンチセンス構築物の導入により達成され得る。ノックアウトはまた、条件的ノックアウト、たとえば標的遺伝子改変を促す物質への動物の曝露、標的遺伝子部位における組換えを促進する酵素の導入時、または出生後に標的遺伝子改変を指令する他の方法により標的遺伝子の改変が行なわれる場合を包含する。
トランスジェニック動物が一旦製造されると、組換え体DEPP、csdAおよび/またはアドレノメデュリン遺伝子の発現は、標準技術を用いることにより検定され得る。初回スクリーニングは、サザーンブロット分析またはPCR技術により実施され、動物組織を分析することにより、導入遺伝子の組込みが行われたか否かが検定され得る。トランスジェニック動物の組織における導入遺伝子のmRNA発現レベルはまた、上記技術および、限定はされないが、動物から入手した組織標本のノーザンブロット分析、インシツ ハイブリダイゼーション分析、およびRT−PCR(逆転写酵素PCR)を含む技術を用いて評価され得る。DEPP、csdAおよび/またはアドレノメデュリン遺伝子発現性組織の試料もまた、DEPP、csdAおよび/またはアドレノメデュリン導入遺伝子産物に特異的な抗体を用いて免疫細胞化学的に評価され得る。
対象トランスジェニック動物またはそこから誘導された細胞の使用を通して、統合失調症に伴う現象、たとえば行動上の現象を調節するリガンドまたは基質が同定され得る。行動試験、投与後における薬剤の局在性の測定等を含む、広く多様な検定法がこの目的に使用され得る。特定検定法により、動物総体またはそこから誘導された細胞が使用され得る。細胞は、動物から新たに単離され得るか、または培養で不死化され得る。特に興味深い細胞は、神経組織に由来する。
本明細書で使用されている「治療薬」の語は、統合失調症に伴う分子および臨床的現象に影響を及ぼす可能性をもつ分子、たとえばタンパク質、炭水化物、金属または有機化合物をいう。一般的に、複数の検定混合物を、異なる薬剤濃度で平行して検定にかけることにより、様々な濃度に対する種々の応答が得られる。典型的には、これらの濃度の一つは、陰性対照として、すなわち0濃度または検出レベル未満における対照としての役割を果たす。
候補治療薬には非常に多数の化学的分類が包含されるが、それらは典型的には有機分子、好ましくは分子量が50より多く約2500ダルトンより少ない小有機化合物である。候補薬剤は、タンパク質との構造的相互作用、特に水素結合に必要な官能基を含み、典型的には少なくともアミン、カルボニル、ヒドロキシルまたはカルボキシル基、好ましくは官能性化学基の少なくとも2個を含む。候補治療薬は、上記官能基の1個またはそれ以上により置換された環状炭素または複素環構造および/または芳香族または多芳香族構造を含むことが多い。候補治療薬はまた、限定されるわけではないが、ペプチド、糖類、脂肪酸、ステロイド、プリン、ピリミジン、誘導体、構造類似体またはその組合わせを含む生体分子の中から見出される。
上述したところによると、DEPP、csdAおよび/またはアドレノメデュリン遺伝子産物に特異的な抗体は、スクリーニングイムノアッセイで使用され、特に細胞または試料中における上記生成物のレベルを検出し得る。試料中の細胞数は、一般的に少なくとも約10、通常少なくとも10、さらに普通は少なくとも約10である。細胞は、固体組織の場合には解離され得、または組織片が分析され得る。別法として、細胞のライゼートを調製し得る。たとえば、検出は細胞または組織片の染色を利用するもので、慣用的方法に従って実施され得る。興味の対象である抗体を細胞試料に加え、エピトープに結合させるのに十分な時間、通常少なくとも約10分間インキュベーションする。抗体を放射性同位元素、酵素、蛍光剤、化学発光剤または直接検出用の他の標識で標識し得る。別法として、第2段階抗体または試薬を用いて、シグナルを増幅する。上記試薬は、当業界ではよく知られている。たとえば、一次抗体はビオチンにコンジュゲートされ、西洋ワサビペルオキシダーゼ‐コンジュゲートアビジンは第2段階試薬として加えられ得る。最終の検出では、ペルオキシダーゼの存在下で色の変化を被る基質を使用する。抗体結合の不存在または存在は、解離細胞のフローサイトメトリー、顕微鏡、ラジオグラフィー、シンチレーション計数などを含む、様々な方法により測定され得る。
統合失調症に伴う動物行動および他の現象に対する薬剤の効果を測定するための若干の検定法が当業界では知られている。幾つかの例が提供されているが、当業者であれば、多くの他の検定法も使用され得ることは容易に理解できるはずである。対象動物は、それらだけで、または対照動物と組合わせて使用され得る。
本発明のトランスジェニック動物を用いるスクリーンは、動物モデルで容易に評価され得る統合失調症に付随する現象を使用し得る。統合失調症についてのスクリーニングは、限定されるわけではないが、1)分子マーカーの分析(たとえば、脳組織におけるDEPP、csdAおよび/またはアドレノメデュリン遺伝子産物の発現レベル;様々なDEPP、csdAおよび/またはアドレノメデュリンスプライス変異型の脳組織における存在/不存在)、2)記憶および学習に伴う行動上の病状の評価、および3)神経変性の検出を含む現象の評価を含み得る。好ましくは、スクリーンは対照値(たとえば、試験化合物(複数も可)の不存在下における試験動物でのDEPP、csdAおよび/またはアドレノメデュリン生産のレベル)を含む。陽性とみなされる、すなわち統合失調症の処置に有益であると思われる試験物質は、統合失調症関連現象に対する実質的な効果を有するものである(たとえば、奇行または異常行動を正常にし得るか、またはDEPP、csdAおよび/またはアドレノメデュリン生産のレベルを正常範囲内まで低下させる試験薬剤)。
本発明はまた、細胞に基づく検定法または細胞‐ライゼート検定法(たとえば、インビトロ転写または翻訳検定法)の使用による、DEPP、csdAおよび/またはアドレノメデュリン遺伝子発現を調節する化合物または組成物についてのスクリーニングを包含する。この目的のため、DEPP、csdAおよび/またはアドレノメデュリンをコードする遺伝子のいずれかまたは全部の調節エレメントに結合されたリポーター配列を含む構築物を、遺伝子操作された細胞または細胞ライゼート抽出物で使用することにより、転写レベルでリポーター遺伝子産物の発現を調節する化合物についてのスクリーニングが行なわれ得る。たとえば、上記検定法は、DEPP、csdAおよび/またはアドレノメデュリンをコードする遺伝子の発現に関与する転写因子の発現または活性を調節する化合物を同定し、または三重らせんポリヌクレオチドの活性を試験するのに使用され得る。別法として、遺伝子操作細胞または翻訳抽出物が、DEPP、csdAおよび/またはアドレノメデュリンmRNA転写物の翻訳を調節する、従ってDEPP、csdAおよび/またはアドレノメデュリン遺伝子産物の発現に影響を及ぼす化合物(アンチセンスおよびリボザイム構築物を含む)のスクリーニングに使用され得る。すなわち、調節領域、たとえばプロモーターを、リポーター分子、たとえば緑色蛍光タンパク質(GFP)、ルシフェラーゼなどをコードする遺伝子に機能し得るように結合させて、DEPP、csdAおよび/またはアドレノメデュリン調節配列により調節されるリポーター構築物を作製する。次いで、遺伝子構築物を所望の細胞、たとえばニューロン細胞にトランスフェクションする。次いで、リポーター分子の基準発現レベルを、慣用的方法を用いて計算する。次いで、細胞を試験化合物に曝露し、リポーター分子の発現レベルを測定し、基準レベルと比較する。リポーター発現量を低減化させる化合物は、統合失調症治療用の候補である。次いで、第二スクリーニング手順を開始し、天然遺伝子(複数も可)からのRNAまたはタンパク質の量を測定することにより、化合物が、DEPP、csdAおよび/またはアドレノメデュリンをコードする遺伝子(複数も可)の発現レベルに影響を及ぼすか否かが測定され得る。発現に対する化合物の効果を測定するためにリポーター遺伝子を組込んだニューロン細胞の構築は公知である、たとえば、Asselbergs et al.、Nucleic Acids Res. 27:1826−33(1998)参照、これを出典明示により援用する。
本明細書に記載されているアンチセンス化合物、リボザイム、抗体および他のDEPP、csdAおよび/またはアドレノメデュリンノックアウトデバイスまたはモジュレーター(集合的に、便宜上「モジュレーター」と称す)は、取込、分配および/または吸収を助けるために、たとえばリポソーム、受容体標的化分子、経口、直腸、局所または他の処方物として、他の分子、分子構造または化合物の混合物と混合、封入、コンジュゲートまたは他の形で会合され得る。当業者であれば、上記装置を製造する技術については熟知しているはずである。
モジュレーターは、医薬上許容される塩類、エステル類、または上記エステルの塩類、またはヒトを含む動物へ投与されると、(直接的または間接的に)生物活性代謝物またはその残留物を提供し得る他の化合物を全て包含し得るものと考えられる。従って、たとえば、本開示はまた、本発明化合物のプロドラッグおよび医薬上許容される塩類、上記プロドラッグの医薬上許容される塩類、および他の生物均等内容物に関するものである。「医薬上許容される塩類」の語は、本発明化合物の生理学的にまたは医薬的に許容される塩類、すなわち親化合物の望ましい生物活性を保持しており、過度の毒物作用を伝達してはいない塩類をいう。上記化合物は、当業者により慣用的方法に従って製造され得る。(Berge et al.、“Pharmaceutical Salts”、J. of Pharma Sci.、1977、66、1−19)。「プロドラッグ」の語は、不活性形態で製造され、内在性酵素または他の化学物質の作用および/または条件により体内またはその細胞内で活性形態(すなわち、薬剤)に変換される治療剤を示す。特に、オリゴヌクレオチドのプロドラッグバージョンは、Gosselin et al.による国際公開第WO93/24510号または、Imbach et al.による国際公開第WO94/26764号に開示された方法に従ってSATE[(S−アセチル−2−チオエチル)リン酸]誘導体として製造され得る。
本発明におけるモジュレーターは、診断法、治療薬、予防用に、および研究試薬およびキットとして使用され得る。治療薬の場合、統合失調症または1つまたはそれ以上のDEPP、csdAおよび/またはアドレノメデュリン調節遺伝子の発現を調節することにより治療され得る疾患に罹患している疑いのある動物、好ましくはヒトを、本発明によるモジュレーターを投与することにより処置する。モジュレーターは、適切な医薬上許容される希釈剤または担体に1種またはそれ以上のモジュレーターの有効量を加えることにより医薬組成物で使用され得る。当業者であれば、医薬組成物を調合するのに使用される非常に多くの技術および処方物については熟知しているはずである。本発明の医薬組成物は、局所または全身処置が望ましいか否か、および処置されるべき領域により異なる若干の方法で投与され得る。投与は、局所的(眼および粘膜経路、たとえば膣および直腸送達を含む)、たとえば、ネブライザーによる場合を含む、液体、粉末またはエーロゾルの吸入または吹送による肺経路、気管内、鼻腔内、経腸、表皮および経皮的、経口、舌下、口腔内または非経口経路であり得る。非経口投与は、静脈内、動脈内、皮下、腹腔内または筋肉内注射または注入、骨髄内または頭蓋内、たとえばくも膜下腔または脳室内投与を含む。少なくとも1個の2'−O−メトキシエチル修飾を伴うオリゴヌクレオチドは、経口投与に有用であり得る。
局所投与用医薬組成物は、経皮パッチ、軟膏、ローション、クリーム、ゲル、滴剤、坐剤、スプレー、液体および散剤を包含し得る。慣用的医薬担体、水性、粉末または油性基剤、増粘剤なども必要であるかまたは望ましいものであり得る。経口投与用組成物および処方物には、粉末または顆粒、水または非水性媒質中の懸濁液または溶液、カプセル剤、糖衣錠、トローチまたは錠剤が含まれる。増粘剤、調味料、希釈剤、乳化剤、分散助剤または結合剤も望ましいものであり得る。非経口、くも膜下腔または脳室内投与用組成物は、緩衝液、希釈剤および他の適切な添加物、たとえば、限定はされないが、浸透促進剤、担体化合物および他の医薬上許容される担体または賦形剤も含有し得る滅菌水溶液を含み得る。本発明の医薬組成物は、溶液、エマルジョン、懸濁液、泡沫およびリポソーム含有処方物を含むが、これらに限定されるわけではない。これらの組成物は、当業者により、慣用的方法に従って、限定はされないが、前形成液体、自己乳化型固体および自己乳化型半固体を含む様々な成分から生成され得る。
本発明の医薬処方物は、好都合には単位用量形態を呈し得、医薬業界でよく知られている慣用的技術に従って製造され得る。上記技術は、有効成分を医薬用担体(複数も可)または賦形剤(複数も可)と調合する工程を含む。一般に、処方物は、有効成分を液体担体または微細分割固体担体またはその両方と均一および緊密に調合し、次いで必要ならば生成物を成形することにより製造される。非常に多くの用量形態の処方および投与についての技術に関するさらなる詳細は、Remington's Pharmaceutical Sciences(マック・パブリッシング・カンパニー、イーストン、ペンシルベニア)の最新版で見られる。組成物は、単独または滅菌生体適合性医薬担体、たとえば、限定はされないが、食塩水、緩衝食塩水、デキストロースおよび水中で投与され得る少なくとも1種の他薬剤、たとえば安定性化合物、と組合わせて投与され得る。組成物は、単独、または他の薬剤、薬物またはホルモン剤と組合わせて患者に投与され得る。
非経口投与に適切な医薬処方物は、水溶液、好ましくは生理学的に適合し得る緩衝液、たとえばハンクス溶液、リンゲル溶液、または生理学的緩衝食塩水中で処方され得る。水性注射懸濁液は、懸濁液の粘稠性を高める物質、たとえばカルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトールまたはデキストランを含み得る。さらに、活性化合物の懸濁液は、適切な油性注射懸濁液として製造され得る。適切な親油性溶媒または賦形剤には、油脂類、たとえばゴマ油、または合成脂肪酸エステル、たとえばエチルオレエートまたはトリグリセリド、またはリポソームが含まれる。非脂質ポリカチオンアミノポリマーもまた送達に使用され得る。所望により、懸濁液はまた、高濃縮溶液の製造を可能にする適切な安定剤または化合物の溶解度を高める薬剤を含み得る。局所または経鼻投与の場合、浸透させるべき特定障壁に適切な浸透剤が処方物に使用される。上記浸透剤は、当業界では公知である。
本発明での使用に適切な医薬組成物は、モジュレーターが意図された目的の達成に有効な量で含まれている組成物を含む。有効用量の決定は、当業者には十分可能な技術である。いずれの化合物についても、治療有効量は、最初、たとえば新生物細胞の細胞培養検定法で、または動物モデル、通常マウス、ウサギ、イヌまたはブタで評価され得る。動物モデルはまた、適切な濃度範囲および投与経路の決定にも使用され得る。次いで、上記情報は、ヒトにおける有用な用量および投与経路を決定するのに使用され得る。治療有効量とは、症状または状態を部分的または完全に改善する有効成分の量をいう。治療効力および毒性は、細胞培養物および実験動物において標準医薬手順により決定され得、たとえばED50(集団の50%における治療有効用量)およびLD50(集団の50%における致死量)がある。毒性および治療効力間の比が治療指数であり、それはLD50/ED50の比として表され得る。大きな治療指数を呈する医薬組成物が好ましい。細胞培養検定法および動物試験から得られたデータは、ヒトで使用される用量の範囲を処方する際に使用される。上記組成物に含まれる用量は、好ましくはほとんど、または全く毒性を伴わないED50を含む循環濃度の範囲内に含まれる。用量は、使用される用量形態、患者の感受性、および投与経路によってこの範囲内で変動する。
正確な用量は、処置を必要とする対象に関連した因子に照らして開業医により決定される。用量および投与は、所望の効果を維持するのに十分なレベルのモジュレーターを供給できるように調節される。考慮され得る因子には、病状の重症度、対象の全般的健康状態、対象の年齢、体重および性別、食餌療法、投与の時間および頻度、薬剤の組合わせ(複数も可)、反応感受性、および治療に対する耐容性/応答がある。長時間作用医薬組成物は、特定処方物の半減期およびクリアランス速度によって異なり、3〜4日毎、毎週、または2週間ごとに1回投与され得る。通常の投薬量は、投与経路によって異なり、体重1キログラム当たり総用量約1g以下、0.1〜100000マイクログラムの範囲で変動し得る。詳しい投薬量および送達方法に関するガイダンスは、文献に提供されており、当業界の実践者にとって一般的に入手可能なものである。当業者は、タンパク質またはそれらの阻害剤よりもヌクレオチドについての種々の処方物を使用する。同様に、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの送達は、特定細胞、条件、位置などに特異的である。
引用した参考文献については全て、出典明示により援用する。以下の実施例は、説明目的で記載されており、本発明を制限するものと見なされるべきではない。
実施例1
DNAマイクロアレイ解析
ヒト前帯状回試料を、10名の正常および10名の統合失調症死亡対象から得る(メリーランド・サイキアトリック・リサーチ・クリニック、バルチモア、メリーランド)。良質のRNAは、9正常(「N1」)および7統合失調症(「S1」)試料から得られる。
マイクロアレイ解析は、本質的には以下の要領で実施される。簡単に述べると、5μgまたはそれ未満の総RNAを用いてcDNAを合成し、次いでそれを鋳型として用いてビオチニル化cRNAを生成する。15〜30μgの標識RNAを得、ジーンチップ(GeneChip、登録商標)技術マニュアルに記載されているプロトコールに従って、アフィメトリックス(サンタクララ、カリフォルニア)のジーンチップ(GeneChip、登録商標)ヒューマン・ゲノムU95セット(HG−U95Av2は、完全長遺伝子の〜12000配列を含む)のヒューマンゲノムU95Av2アレイとハイブリダイゼーションさせる。各試料をデュプリケイトでプロファイルする。試料ハイブリダイゼーション後、マイクロアレイを洗浄し、レーザースキャナーで走査する。
得られた画像を用いて、アフィメトリックスのジーンチップ(登録商標)遺伝子発現解析アルゴリズムバージョン4を用いた分析用に絶対テキストファイルを作製する。正常および統合失調症対象由来の試料間で差次的に発現された遺伝子を、確立された原則に従って開発されたパターン認識アルゴリズムを用いてランク付けし、比較されている各遺伝子についてのスコアを作製する。以下の3条件が作製されるスコア(平均比率変化と等しい)に必要とされる:(1)t−試験p値<0.5%、(2)平均比率変化>1.5、(3)最大平均AvgDiff(アフィメトリックスチップでの発現レベル)>200。上記条件の一つまたはそれ以上を比較中の遺伝子が満たさない場合、割当てられるスコアはゼロである。幾つかの候補遺伝子は、正常対象と比べたとき、統合失調症患者において差次的に発現されることが見出される。
実施例2
差次的調節遺伝子のリアルタイム定量的PCR確認
リアルタイム定量的PCR(Q−PCR)用プローブ対を、実施例1で同定された38の改変遺伝子用に設計する。アフィメトリックスは、チップ上のプローブが誘導される配列のファイルを提供する。このファイルから、これら38の改変遺伝子に対応する配列を得、プローブ対を調製する。良好なプライマー対がアフィメトリックス配列から得られない場合、さらに長い配列が、アフィメトリックス配列に対して良好なBLASTスコアを伴うRefSeqから得られ(Pruitt KD、Maglott DR Nucleic Acids Res 2001年1月1日、29(1):137−140;Introducing RefSeq and LocusLink:NCBIで管理されたヒトゲノムリソース、Pruitt KD、Katz KS、Sicotte H、Maglott DR Trends Genet.2000年1月;16(1):44−47参照)、プライマーはその配列から設計される。プローブ対の配列を表1に示す。
Figure 2005520521
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次いで、Q−PCRを用いてRNAレベルを測定する。簡単に述べると、ランダム6量体を用いてcDNAを合成し、TAQポリメラーゼ、SybrGreen(登録商標)(モレキュラー・プローブズ、インコーポレイテッド、ユージーン、オレゴン)、非標識ヌクレオチド、緩衝液および水を含むマスターミックス中で希釈する。混合物をTaqMan(登録商標)(パーキン・エルマー)プレート中へ等分し、オリゴヌクレオチド対を適切なウェルに加える。各試料を少なくともデュプリケイトのウェルで検定し、転写酵素が最初の反応から省かれている(無RT対照)全てのオリゴヌクレオチド対により全ての試料を検定する。閾値サイクル(CT)を、パーキン・エルマーのソフトウェアABI Prism(登録商標)7700配列検出システム改訂版Bを用いて計算する。CT値は、蛍光(SybrGreen(登録商標)から)の統計的に有意な増加が検出されるサイクルとして定義される。CT値が低いということは、mRNA濃度が高いことを示している。
cDNAを、慣用的方法に従ってN1およびS1試料から別々に調製する。ピコグリーン(登録商標、PicoGreen)(モレキュラー・プローブズ、インコーポレイテッド、ユージーン、オレゴン)検定法を用いて収率を評価する。全N1試料からの等量のcDNAを、プールした試料中へ混合し、全S1試料からの等量のcDNAを個別にプールした試料中へ混合する。GAPDHおよびジーンチップ(登録商標、GeneChip)実験から同定された38遺伝子用に設計されたオリゴヌクレオチドによるQ−PCRを、無RT対照によるデュプリケイトで実施する。2群間でのCにおける差異が1サイクルより大きい遺伝子を、個々の試料についてのQ−PCRによる確認用に選択する。
N1およびS1プール試料間におけるCTの差異が最大である9遺伝子が同定され、Q−PCRを個々のcDNA試料について実施する。これら9遺伝子+GAPDH(対照として)についての個々のCT値を調べ、t−試験p値を計算して、2試料N1およびS1が同じ集団に由来するという無効仮説を試験する。5遺伝子が、正常および統合失調症前帯状回試料間で差次的に発現されることが見出された。これらの遺伝子は、34777_at、36711_at、39114_at、39839_atおよび39579_atという名称を有する。
これら5遺伝子の差次的解像結果を確認するため、前帯状回試料の独立したセットを入手する(メリーランド・サイキアトリック・リサーチ・クリニック)。9正常試料および9統合失調症試料をそれぞれN2およびS2と命名する。5遺伝子の各々+GAPDHについて、全10対のプライマーによる、プールした正常cDNAの2倍希釈系列のQ−PCRにより標準曲線を得る。マイクロリットルでのcDNA出発量の対数に対するCのプロットは線形である。これらの標準曲線の等式を用いて、cDNA対試料間で変化していないものと見なされる遺伝子、GAPDHの相対量が計算され得る。これらの新しい試料からRNA試料を得、新旧両試料をQ−PCRにかける。Cから、各試料でGAPDHの量に関して補正されたcDNAの相対量を、全遺伝子および試料について計算する。
データにおける分散分析は、これら3遺伝子、39114_at、39839_atおよび34777_atが、両データセットにわたる正常および統合失調症前帯状回試料において一貫して異なる発現レベルを有し、p値がそれぞれ0.001、0.0013および0.0013であることを立証した。
公開配列データベースのBLAST(ベーシック・ローカル・アラインメント・サーチ・ツール)検索により、39114_at、39839_atおよび34777_atがそれぞれプロゲステロンにより誘導される脱落膜タンパク質(DEPP)、アドレノメデュリンおよび低温ショックドメインタンパク質A(csdA)として同定された。
上述の記載は、本発明の好ましい実施態様を説明している。当業者であれば、上記請求の範囲に包含される実施態様の修飾も想到できるものと理解すべきである。
図1は、プレプロアドレノメデュリンをコードする核酸配列を示す。 図2は、DEPPをコードする核酸配列を示す。 図3は、低温ショックドメインタンパク質A(csdA)をコードする核酸配列を示す。

Claims (20)

  1. 集団における統合失調症についてのスクリーニング方法であって、試料中におけるプロゲステロンにより誘導される脱落膜タンパク質(DEPP)をコードする遺伝子、アドレノメデュリンをコードする遺伝子および低温ショックドメインタンパク質A(csdA)をコードする遺伝子から成る群から選択される少なくとも一遺伝子の、集団の構成員における発現の規模を測定し、遺伝子発現の基準的規模と発現の規模を比較することを含み、遺伝子発現の増加が統合失調症の存在を示すものである方法。
  2. 宿主における統合失調症の診断方法であって、試料中におけるプロゲステロンにより誘導される脱落膜タンパク質(DEPP)をコードする遺伝子、アドレノメデュリンをコードする遺伝子および低温ショックドメインタンパク質A(csdA)をコードする遺伝子から成る群から選択される少なくとも一遺伝子の発現の規模を測定し、遺伝子発現の基準的規模と発現の規模を比較することを含み、遺伝子発現の増加が統合失調症の存在を示すものである方法。
  3. 試料が、脳、脊髄、リンパ液、血液、尿または糞から採取される、請求項1または2記載の方法。
  4. 試料が前帯状回から採取されたものである、請求項3記載の方法。
  5. 試料が、ヒトから採取されたものである、請求項1、2、3または4記載の方法。
  6. プロゲステロンにより誘導される脱落膜タンパク質(DEPP)をコードする遺伝子、アドレノメデュリンをコードする遺伝子および低温ショックドメインタンパク質A(csdA)をコードする遺伝子から成る群から選択される少なくとも一遺伝子の発現を、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはsiRNAまたはリボザイムまたは核酸分子の発現低下量を宿主に投与することにより低下させることを含む方法。
  7. 統合失調症処置用医薬の製造を目的とするDEPP、csdAまたはアドレノメデュリン遺伝子の発現を特異的に阻害するアンチセンス分子またはsiRNAまたはリボザイムまたは三重らせん形成を促す核酸分子の使用。
  8. 患者においてDEPP、アドレノメデュリンおよびcsdAから成る群から選択される少なくとも一タンパク質の量を、タンパク質の正常活性を妨害するのに十分な抗DEPP、抗アドレノメデュリンおよび/または抗csdA抗体または機能的抗体フラグメントの有効量を投与することにより減少させることを含む統合失調症の処置方法。
  9. 統合失調症処置用医薬の製造を目的とするDEPPまたはcsdAまたはアドレノメデュリンのエピトープと特異的に結合する抗体の使用。
  10. 抗体または機能的抗体フラグメントが、全抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、Fabフラグメント、Fab'フラグメント、F(ab')フラグメント、1本鎖Fvフラグメントおよび二重特異性抗体から成る群から選択される、請求項8記載の統合失調症の処置方法。
  11. 基準レベルより高いレベルでプロゲステロンにより誘導される脱落膜タンパク質(DEPP)をコードする遺伝子、アドレノメデュリンをコードする遺伝子および低温ショックドメインタンパク質A(csdA)をコードする遺伝子から成る群から選択される遺伝子の少なくとも一つを発現するヒト以外のトランスジェニック動物であって、統合失調症的行動を呈する動物。
  12. 遺伝子が基準レベルより高レベルで発現されるように遺伝子の調節配列に一つまたはそれ以上の改変を加えることにより遺伝子の発現が高められ、動物が統合失調症的行動を呈している、請求項11記載の動物。
  13. 遺伝子の発現が、遺伝子のコピー数増加により増強され、動物が統合失調症的行動を呈する、請求項11記載の動物。
  14. ヒト以外のトランスジェニック動物が哺乳類である、請求項11、12または13記載のヒト以外のトランスジェニック動物。
  15. 一またはそれ以上の改変が、遺伝子の天然プロモーターよりも高い発現率を有するプロモーターの置換を含む、請求項11、13または14記載のヒト以外のトランスジェニック動物。
  16. プロモーターが誘導性プロモーターである、請求項15記載のヒト以外のトランスジェニック動物。
  17. ゲノムが、プロゲステロンにより誘導される脱落膜タンパク質(DEPP)をコードする遺伝子、アドレノメデュリンをコードする遺伝子および低温ショックドメインタンパク質A(csdA)をコードする遺伝子から成る群から選択される1個またはそれ以上の遺伝子におけるホモ接合崩壊を含むヒト以外のトランスジェニックノックアウト動物であって、そのホモ接合崩壊により遺伝子の発現が阻止されており、ホモ接合崩壊の結果生じた、野生型動物と比べて1個またはそれ以上の遺伝子の発現レベルが減少しているトランスジェニックノックアウト動物。
  18. 統合失調症の症状を調節する治療薬についてのスクリーニング方法であって、請求項11〜16のいずれかに記載のヒト以外のトランスジェニック動物に候補化合物を投与し、統合失調症に伴う症状に対する化合物の効果を測定することを含む方法。
  19. 統合失調症の症状を調節する治療薬についてのスクリーニング方法であって、請求項17記載のヒト以外のトランスジェニック動物と候補化合物を合わせ、統合失調症に伴う症状に対する化合物の効果を測定することを含む方法。
  20. 統合失調症の処置に有用な化合物についてのスクリーニング方法であって、DEPP、アドレノメデュリンおよびcsdAから成る群から選択される遺伝子についての調節配列に検出可能なタンパク質を発現するリポーター遺伝子を機能し得るように結合することにより、リポーター構築物を製造し、リポーター構築物で細胞をトランスフェクションし、トランスフェクションされた細胞を試験化合物に曝露し、そして試験化合物に曝露後のリポーター遺伝子の発現レベルを、試験化合物に曝露する前の発現レベルと比較することを含み、曝露後の発現レベルの低下が統合失調症の処置に有用な化合物の指標となる方法。
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