JP2005518195A - 治療用タンパク質および治療方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、アンギオゲニン、および特にアンギオゲニン−4に関連する病気、特に腸の病気(ただしこれに限定されない)の微生物(抗菌および抗真菌)処置およびその他の治療的処置;新規の腸特異的な、上皮に関連する、微生物により調節されるアンギオゲニンファミリーメンバーに関する。新規のタンパク質、および、医薬スクリーニングにおけるそれらの使用も説明される。

Description

本発明は、アンギオゲニン、および特にアンギオゲニン−4、すなわち、新規の腸特異的な、上皮に関連する、微生物により調節されるアンギオゲニンファミリーのメンバーに基づく病気、特に腸の病気への微生物を用いた処置およびその他の治療的処置に関する。また、新規のタンパク質、および、医薬のスクリーニングにおけるそれらの使用も説明される。
本出願人は、これまで、腸の正常な定住菌の一つであるバクテロイデス−シータイオタオミクロンが定着することにより腸で生じる転写の変化の分析を行ってきた。この分析の目的は、正常な腸の機能および/または様々な胃腸疾患の病因において重要な役割を果たす新しい治療標的を同定し、特徴付けることであった(Hooper,L.V等(2001年),Science 291:881)。
ヒトおよびマウスの重要な遺伝子操作可能な消化管内共生生物であるバクテロイデス−シータイオタオミクロンが無菌NMRIマウスに定着する前と後の遺伝子発現を包括的に評価するためのアプローチには、アフィメトリックス社のジーンチップを用いた。
本出願人は、アンギオゲニンファミリーの特定のメンバーが、腸で、より具体的には上皮のパネート細胞系で特異的に発現することを見出した。結果として、それにより様々な治療適用を生み出すことが可能であると考えられる。
本発明の第一の局面は、添付の図1で示される配列番号1を含む単離されたポリペプチド、もしくはそれらの対立遺伝子変異体、もしくは、配列番号1と少なくとも85%のアミノ酸配列同一性を有するポリペプチド、または、これらいずれかの生物学的に活性な断片を提供することである。
用語「ポリペプチド」は、タンパク質などのペプチドを意味する。「対立遺伝子変異体」は、マウスゲノムにおいて配列番号1のタンパク質をコードする遺伝子と同じ遺伝子座に見出される遺伝子の代替型によりコードされるタンパク質を意味する。
特定の実施態様において、本発明は、添付の図1で示される配列番号1のポリペプチド、もしくは、配列番号1と、少なくとも85%、適切には少なくとも90%、より適切には少なくとも95%、さらにより適切には少なくとも98%、最も好ましくは少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有するポリペプチド、または、これらいずれかの生物学的に活性な断片を提供する。
配列の同一性は、任意の既知のアルゴリズムを用いて推定することができる。例えば、BLAST Pアルゴリズムまたはリップマン−ピアソンのアルゴリズムを、Ktuple:2、ギャップペナルティー:4、ギャップレングスペナルティー:12、標準PAM
スコアリングマトリックスと一緒に用いて同一性を測定することができる(Lipman,D.J.およびPearson,W.R.,Rapid and Sensitive Protein Similarity Searches,Science,1985年,第227巻,1435〜1441)。
本願明細書で用いられる用語「断片」は、後述するような望ましい生物活性を有する所定のアミノ酸配列の任意の部分を意味する。断片は、適切には、基本の配列の少なくとも10個、好ましくは少なくとも50個の連続したアミノ酸を含む。
本願明細書で用いられる用語「生物活性」は、この場合、タンパク質が有する後述する活性のいずれか一つ、例えば抗微生物活性または血管新生活性を意味し、これら活性は、任意の慣用的な方法、例えば下記の実施例で後述する方法を用いて試験することができる。抗微生物活性の例としては、抗菌活性および抗真菌活性が挙げられる。血管新生活性とは、脈管形成、すなわち血管の発達を刺激するタンパク質の能力である。
特に、本発明は、配列番号1のタンパク質を提供する。このタンパク質はアンギオゲニン−4と指定されており、それをコードする遺伝子はAng4である。Ang4mRNAは、このタンパク質をコードする。配列番号1は全長タンパク質を示し、一方、配列番号44は、成熟タンパク質を示し、従って配列番号44は、特に好ましい断片を示す。配列番号44は、予想されるN末端シグナルペプチド配列を含む。配列番号1のタンパク質のさらなる特定の断片は、配列番号44の断片であり、この断片は、N末端シグナルペプチド配列が欠失している。このN末端シグナルペプチド配列は、配列番号44の最初の5個のアミノ酸QNERYを含み、これは図1Aにおいて下線で示される。
配列番号1のタンパク質はマウスのタンパク質であり、マウスの腸で特異的に発現する。この配列は、他の哺乳動物から相同タンパク質を見つけることを目的としたプローブおよびプライマーを設計するのに用いることができ、少なくとも85%の同一性を有する相同タンパク質は、本発明の特定の実施態様を形成する。このようなタンパク質は、以下、類似体と称する。
類似体はまた、標的の種、特にヒトの小腸の手術標本からのパネート細胞、腺窩上皮の上部、および絨毛上皮のレーザーキャプチャーマイクロダイセクション(LCM)を行うことにより同定することもできる。特にqRT−PCRは、ヒトアンギオゲニン、および、ヒトゲノムに存在し、腸で発現されることが知られているRNアーゼスーパーファミリーの様々なメンバーを分析する(このような腸のRNアーゼは、インシリコで利用可能なデータベースの検索で、または、リアルタイム定量RT−PCR分析を用いたヒトサンプルの直接的な分析により同定することができる)。
さらなる局面において、本発明は、上述の本発明のポリペプチドをコードする核酸を提供する。このような核酸は、上述の類似体を同定するのに用いることができる。加えて、このような核酸は、組換えDNA技術を用いた本発明のタンパク質などのポリペプチド生産に用いることもできる。例えば、このような核酸は、細胞(例えば大腸菌のような原核細胞)を形質転換させるのに用いることができるプラスミドまたはベクターに組み込むことができ、そして該細胞は続いてタンパク質を発現させる。配列番号1をコードする核酸の詳細な例は、図2の配列番号5、または図3の配列番号48で示される。
アンギオゲニン−4は、特定の種の微生物に対する抗微生物剤としての効果を有する。アンギオゲニン−4は、生得的な宿主側防御/腸の上皮バリア機能の構成要素であると考えられている。それゆえに、アンギオゲニン−4は、腸感染症、または、パネート細胞が過形成される炎症性の腸疾患に適応するための宿主反応の予防または治療において役割を有する可能性があり、従って、このような状態を治療するのに用いることができる。
消化管内共生生物、例えばバクテロイデス−シータイオタオミクロンは、マウス消化管において血管新生を調節することが示されている。この調節は、パネート細胞に依存する
。パネート細胞における遺伝子発現のジーンチッププロファイリングでは、既知の血管新生因子のどれも同定することができなかった。しかしながら、確立された血管新生活性を有するタンパク質ファミリーメンバーであるAng4は、パネート細胞で特異的に発現される。その上、消化管の微生物によるAng4の誘導は、血管新生の誘導と同時に起こる(T.S.Stappenbeck等,P.N.A.S.(2002年)99,15451〜15455)。
従って、さらなる局面において、本発明は、腸内で本発明のポリペプチドの活性に影響を与えることを含む、腸内の血管新生活性の改変を必要とする動物において腸内の血管新生活性を改変する方法を含む。血管新生活性のレベル、特にアンギオゲニン−4タンパク質のレベルを改変することにより影響を受ける可能性のある機能としては、栄養吸収、運動性、および成長(例えば腸の切除に対する適応反応)が挙げられる。また、上皮に基づく血管新生因子は、虚血性発作または放射線治療に対する反応(胃腸症候群)に関与するか、または、結腸直腸の腫瘍形成の病因に関与すると考えられる。
抗微生物活性または血管新生活性レベルを変えることは、様々な方法で達成することができる。例えば、アンギオゲニン−4を生産しない動物において、本発明のポリペプチドまたはミメティックを腸に投与することにより活性を誘導することができる。特に、投与されるポリペプチドは、アンギオゲニン−4、または、血管新生活性を有するそれらの断片であり、特に配列番号44の成熟タンパク質であり、これは場合によりN末端シグナル配列を欠失している。
アンギオゲニン−4が産生される場合には、本発明のポリペプチド、またはそれらのアゴニストまたはミメティックを腸に投与することにより活性を増強することができる。
これは、例えば、本発明のポリペプチド、アゴニストまたはミメティックを腸に送達する製剤を処方することにより達成することができる。例えば、このような製剤は、胃酸耐性であるが腸内のよりアルカリ性の環境で溶解し、そこでタンパク質を放出させることができる腸溶コーティングでコーティングすることができる。
加えて、アンギオゲニン−4の発現は、微生物叢の構成要素(例えばバクテロイデス−シータイオタオミクロン)により調節されることが知られており、それゆえにこのような有機体または微生物叢の構成要素により生産されることが同定された化学物質(例えば微生物のリポ多糖体(LPS))を投与することは、アンギオゲニン−4レベルを高めるのに有効である可能性がある。
しかしながら、アンギオゲニン−4が産生される場合には、望ましい治療効果を達成するために活性レベルを低下させてもよい。腸におけるアンギオゲニン−4レベルの低下は、タンパク質活性のアンタゴニスト、または、アンギオゲニン−4に結合してそれを失活させることによりタンパク質活性をブロックする化合物または抗体を投与することにより達成することができる。血管新生活性レベルの低下は、例えば、腸ガンの治療において望ましく、または栄養吸収、運動性もしくは成長または上記で列挙したその他の機能を抑制することが望ましい状態の治療において望ましい。
本発明に係る遺伝子の知見により、例えばアンチセンスDNAまたはRNAの使用により、インビボでの遺伝子発現を調節することが可能である。特定の遺伝子(例えば本発明において同定されたAng4)の発現レベルを阻害または減少させる一つの治療的手段は、アンチセンス療法の使用である。アンチセンス療法は、アンチセンス核酸分子を利用するものであり、このアンチセンス核酸分子は、特異的なmRNA配列をミラーとして、タンパク質産生をブロックするように設計されたDNAまたはRNAの合成セグメント(「オリゴヌクレオチド」)である。一度形成されると、mRNAは、細胞のタンパク質産生「工場」であるリボソームに結合し、そこで効果的にRNA配列が読み取られ、遺伝子により指令される特異的なタンパク質分子が製造される。アンチセンス分子が細胞に送達される場合(例えば野生型オリゴヌクレオチドとして、または、適切なアンチセンス発現ベクターにより)、アンチセンス分子の配列が標的の塩基配列に相補的になるように設計されているため、アンチセンス分子はメッセンジャーRNAに結合する。2つの鎖が一旦結合すると、mRNAはコードされたタンパク質のリボソームでの製造を指令しなくなり、細胞の酵素により急速に破壊され、それによりアンチセンスオリゴヌクレオチドが解放され、mRNAの他の同一なメッセンジャー鎖を探し不能化することができる。
本願明細書において示されるAng4遺伝子およびmRNA配列の知見を用いれば、当業者は、適切なアンチセンス核酸療法用の分子を設計し、それらを必要に応じて投与することができる。
治療上の可能性を有するアンチセンスオリゴヌクレオチド分子は、よく確立された技術を用いて実験的に決定することができる。哺乳動物細胞で本発明のAng4遺伝子の発現をダウンレギュレートする方法を可能にするための、アンチセンス発現構築物の一例は、例えばpREP10ベクター(インビトロジェン社)を用いて容易に構築することができる。転写物は、このタイプの構築物でトランスフェクトされた細胞における遺伝子の翻訳を阻害すると考えられている。アンチセンス転写物は、野生型遺伝子の転写の翻訳を阻害するのに有効であり、本願明細書で説明された効果(例えば組織生理機能の調節)の誘導を可能にする。Ang4遺伝子mRNAのいずれかの部分に相補的でありハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドは、治療的に用いることが考えられる。1997年6月17日に発行された米国特許第5,639,595号「Identification of Novel Drugs and Reagents」では、インビボで活性を示すオリゴヌクレオチド配列を同定する方法が十分に説明されており、参照により本願明細書に加入する。Ang4遺伝子配列に由来するランダムオリゴヌクレオチド配列を含む発現ベクターは、細胞に形質転換される。次にこの細胞を、所望のオリゴヌクレオチド活性から生じる表現型について検定される。所望の表現型を有する細胞が同定されたら、所望の活性を有するオリゴヌクレオチドの配列を同定することができる。同定は、ベクターを回収することにより、または、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅を行い、挿入された核酸物質を含む領域を配列解析することにより達成することができる。アンチセンス分子をアンチセンス療法用に合成することができる。これらアンチセンス分子は、DNA、適切なDNA誘導体、例えばホスホロチオエートまたはメチルホスホネート、RNA、適切なRNA誘導体、例えば2’−O−アルキルRNA、またはその他のオリゴヌクレオチドミメティックが可能である。1997年7月29日に発行された米国特許第5,652,355号「Hybrid Oligonucleotide Phosphorothioates」、および、1997年7月29日に発行された米国特許第5,652,356号「Inverted Chimeric and Hybrid Oligonucleotides」では、生理学的に安定なアンチセンス分子の合成および効果が説明されており、参照により加入する。アンチセンス分子は、マイクロインジェクション、リポソームカプセル化により、または、アンチセンス配列を含むベクターから発現させることにより細胞に導入することができる。上述したように、いくつかのRNAの安定な形態は、ベクターを用いずに直接投与することができる長い半減期を有することが当業界既知であるため、アンチセンス核酸分子はRNAとして提供することもできる。加えて、DNA構築物は、リポソーム、受容体が介在するトランスフェクションおよびその他の当業界既知の方法により細胞に送達することもできる。
標的遺伝子と共同作用するアンチセンスDNAまたはRNAは、標準的な分子生物学的および/または上述の化学合成により、慣用の手段を用いて製造することができる。必要
に応じて、アンチセンスDNAまたはアンチセンスRNAは、インビボで分解しないように、または、細胞膜の通過が容易になるように化学修飾してもよく、および/または、mRNAを不活性化することができる物質、例えばリボザイムをそれらに連結させてもよく、本発明にはこのような構築物も含まれる。アンチセンスDNAまたはアンチセンスRNAは、Ang4遺伝子産物の生産が過剰調節または過少調節されたことに関連するヒトの病気または障害の治療において利用可能である。
あるいは、リボザイム分子は、インビボでAng4mRNAを分解および破壊するように設計することもできる。リボザイムは、極めて特異的なエンドリボヌクレアーゼ活性を有するRNA分子である。ハンマーヘッド型リボザイムは、標的RNAの少なくとも一部と相補的なヌクレオチド配列を有するハイブリダイズ領域と、標的RNAを認識し分解するように適応された触媒領域とを含む。ハイブリダイズ領域は、好ましくは、少なくとも9個のヌクレオチドを含む。このようなリボザイムの設計、構築および使用は、当業界周知であり、HaselhoffおよびGerlachにおいてより詳細に説明されている(Nature,334:585〜591,1988年)。その他の代替法として、Ang4遺伝子の5’領域とハイブリダイズして三重らせん構造を形成するように設計されたオリゴヌクレオチドを用いてAng4遺伝子の転写をブロックまたは減少させてもよい。その他の代替法として、プラスミドベクターにクローニングされたRNA干渉(RNAi)オリゴヌクレオチドまたは短い(18〜25bp)RNAiAng4配列を設計し、二本鎖化したRNAを哺乳動物細胞に導入し、Ang4メッセンジャーRNA分解を阻害および/または分解に至らせることができる。Ang4のRNAi分子は、アデニン/アデニン(AA)または少なくとも(いずれかの塩基、すなわちA、U、CまたはG)A***で始まり、18、19、20、21、22、23、24または25個の塩基対の二本鎖化したRNA分子を含みうるものであり(好ましい塩基対長さは21個)、2個のヌクレオチドからなる3’オーバーハングまたは45〜50merのRNA分子を形成するヘアピンを有する個々のAng4配列に特異的でありうる。このような小さい阻害RNA分子の設計、構築および使用は当業界周知であり、以下でより詳細に説明されている:Elbashir等(Nature,411(6836):494〜498,2001年);Elbashir等(Genes&Dev.15:188〜200,2001年);Harborth,J.等(J.Cell Science 114:4557〜4565,2001年);Masters等(Proc.Natl.Acad.Sci.USA98:8012〜8017,2001年);および、Tuschl等(Genes&Dev.13:3191〜3197,1999年)。
アゴニストもしくはアンタゴニストまたは遮断化合物の同定は、標準的な方法を用いて行うことができる。
アゴニストまたはアンタゴニストは、例えば適切に設計された機能分析により同定することができる。試験化合物、例えばコンビナトリアルライブラリーからの試験化合物もしくはその他の化合物、またはペプチドコレクションを上記タンパク質を発現する細胞に施すことができる。これら細胞を、アンギオゲニン−4の存在を示す生物活性(例えば抗微生物活性または血管新生活性)に関して分析することができる。活性の増加は、化合物がアゴニストとして作用していることを示し、活性の減少は化合物がアンタゴニストであることを示しうる。
ミメティックは、タンパク質に関して知られている構造的情報およびその他の情報を用いて特定の標的に適合するように合理的に設計された低分子物質である。ペプチドミメティックは活性ペプチドに基づいているが、ペプチド結合の数は減少している。
本発明のポリペプチドまたはそれをコードする核酸は、医薬スクリーニングに用いることができる。特に、アンギオゲニン−4遺伝子は、消化管内共生生物の存在に対する強健
で信頼性の高いレポーターであることがわかっている。それゆえに、その産生は、パネート細胞の機能を調節する化合物をスクリーニングすることにより測定することができる。
アンギオゲニン−4またはその他のアンギオゲニン−4mRNAの検出は、慣用の方法を用いて行うことができる。例えばアンギオゲニン−4遺伝子は、プローブまたはプライマーを用いて検出することができる。タンパク質は、例えばアンギオゲニン−4に特異的に結合する抗体を用いたイムノアッセイにより検出することができる。このような抗体は、新規であり、本発明のさらなる局面を形成する。
本願明細書で用いられる用語「抗体」は、完全抗体またはそれらの断片、例えばF(a
b)2、Fab、FV、VHもしくはVK断片、単鎖抗体、多量体の単一特異的な抗体もしくはそれらの断片、または、二重特異性または多重特異的抗体もしくはそれらの断片を意味するものとする。これらのタイプの抗体誘導体およびそれらの頭字語はいずれも当業者周知である。
このような本発明の局面において用いられる抗体は、アンギオゲニン−4タンパク質/ポリペプチドを用いて製造することができる。
標識された抗体の製造方法および検出方法は周知である(Campbell;Monoclonal Antibody Technology,in:Laboratory
Techniques in Biochemistry and Molecular Biology,第13巻,Burden R等編集,エルゼビア社,アムステルダム(1984年))。用語「抗体」は、実質的に同種の集合体であるモノクローナル抗体、および、異種の集合体であるポリクローナル抗体の両方を含む。この用語はまた、特に、ヒト化抗体およびキメラ抗体を含む。
特異的な抗原に対するモノクローナル抗体は、当業者既知の方法により、例えばハイブリドーマ細胞、ファージディスプレイライブラリーまたはその他の方法により得ることができる。モノクローナル抗体は、特に、ヒト、ウサギまたはラット由来でありうる。ヒトモノクローナル抗体の生産に関しては、ハイブリドーマ細胞を免疫化動物(例えばウサギ)からの脾臓細胞と腫瘍細胞とを融合することによって製造しうる。続いて、適切な分泌性のハイブリドーマ細胞を選択することができる(KoehlerおよびMilstein,Nature256:495〜497(1975年);Cole等の「Monoclonal antibodies and Cancer Therapy」,Alan R Liss Inc.New York N.Y.第77頁〜第96頁(1985年))。このような抗体は、任意の免疫グロブリンクラス、例えばIgG、IgM、IgE、IgA、IgD、および、それらの任意のサブクラスであり得る。
ポリクローナル抗体は、動物(例えばウサギ、ラット、ヤギ、ウマ、ヒツジなど)の免疫化により生産することができる(例えば実施例3を参照)。
げっ歯類の抗体は、当業界既知の技術により組換えDNA技術を用いてヒト化することができる。あるいは、キメラ抗体、単鎖抗体、Fab断片を、当業界既知の技術を用いて本発明のポリペプチドに対して製造することもできる(Huse等,Science256:1275〜1281(1989年))。このようにして製造された抗体は、多数の用途を有し、これは当業界の熟練した分子生物学者または免疫学者にはよく知られている。このような用途としては、これらに限定されないが、酵素発現のモニター、酵素活性を測定するための分析の開発、および、治療剤としての用途が挙げられる。酵素結合免疫吸着検査法(ELISA)が当業界周知であり、試験サンプル中でアンギオゲニン−4タンパク質またはそれらのポリペプチド断片を検出するのに特に適切である。
特定の局面において、本発明は、本発明のタンパク質、特にアンギオゲニン−4タンパ
ク質のレベルをそれらを必要とする動物の腸内で増加させることによって、炎症性の腸疾患を治療する方法、または、腸感染症を予防および/または治療する方法を提供する。同様に、この方法は、腸に到達するような形態で上記タンパク質を投与することによって、または上記で概説したその他の方法によって達成することができる。
共生細菌によるAng4の誘導は、他の腸の殺菌性タンパク質をコードする遺伝子とは区別される特性である。小腸は、主にパネート細胞でデフェンシンファミリーメンバーを複数発現する。デフェンシンmRNAレベルは、無菌マウスおよび慣用的に飼育したマウスの腸におけるのと類似している(K.Putsep等,J.Biol.Chem.275,40478(2000年))。加えて、我々が以前に行ったDNAマイクロアレイ研究では、無菌マウスでバクテロイデス−シータイオタオミクロンが定着した後、腸のデフェンシンmRNA発現の増加は見られなかった(L.V.Hooper等,Science291,881(2001年)。
共生細菌は、適応性の腸の免疫反応の正常な発達に寄与する(G.L.Talham等,Infect.Immun.67,1992(1999年)。しかしながら、定住微生物が生得的な粘膜防御の発現に影響するかどうか、またはどのように影響するかについてはほとんど知られていない。本願明細書で示された結果によれば、選択的な殺菌性を有するパネート細胞の低分子量タンパク質の、微生物叢の構成要素による発現/分泌の調節に関与するこれまで認識されていなかったメカニズムの存在が示される。離乳期における殺菌性タンパク質の微生物による調節は、発達中の微生物叢の組成を定める優れた方法であり、Ang遺伝子発現および殺菌活性の両方が微生物特異性を有する場合、このようなシステムには明確なフィードバック因子が存在する。一度安定した群集が確立されれば、腸は、管腔の微生物抗原の複合体レパートリーに対する免疫炎症性反応の変動を防いで、その微生物叢との安定した関係を維持しなければならない。共生生物にAng4のような分子の発現を誘導させることの利点は、細菌の上皮への接近が制限されること、その幹細胞の分裂速度や移行期の増殖する細胞群(transit amplifying population)の厳しいコントロールが重要であるような「神聖な場所(sacred spaces)」(特に腺窩)において細胞性免疫反応の活性化の変化が低減されること、および、「反応性の低い(hyporesponsive)」状態(A.S.Neish等,Science289,1560(2000年))が長続きすることである。共生細菌により分泌された殺菌性タンパク質(例えばAng4)発現が維持されることは、腸病原体が消化管の生態系へ侵入することを防ぐために微生物叢が提供する「コロニー形成バリア」の分子相互関係を示す。
その上、アンギオゲニン−4、および、アンギオゲニンファミリーのその他のメンバーが抗微生物活性を有すること、それゆえに、腸内で、またさらに全身的に、これらのタンパク質のレベルが増加することで望ましい抗菌効果を生じ得ることがわかった。
さらなる局面において、本発明は、哺乳動物における細菌感染または真菌感染を治療する方法を提供し、該方法は、抗微生物性アンギオゲニン、抗微生物活性を有するそれらの断片もしくは変異体、それらのアゴニストもしくはミメティック、または、内在性アンギオゲニンタンパク質の量または活性を増加させることができる化合物を哺乳動物に投与することを含む。
アンギオゲニンは、血管の発達の刺激に関与するタンパク質クラスである。例としては、図1Bで示される配列番号47のヒトアンギオゲニン、および、マウスアンギオゲニンが挙げられる。これらは、高度に保存された一連のタンパク質であり、一般的に、図1で示される配列番号1、2、3、4、または、44、45、46もしくは47と少なくとも60%の配列の同一性を有する。
本願明細書で用いられる用語「変異体」は、塩基配列が異なる抗微生物性ポリペプチドを意味し、この塩基配列から、配列中の1またはそれ以上のアミノ酸がその他のアミノ酸で置換された変異体が得られる。アミノ酸置換は、アミノ酸がほぼ類似した特性を有する異なるアミノ酸で置換された「保存的」なものであるとみなすことができる。非保存的な置換は、アミノ酸が異なるタイプのアミノ酸で置換されることである。大まかに言えば、多くの非保存的な置換により、ポリペプチドの生物活性が改変される可能性がある。適切には、変異体は、塩基配列と、少なくとも60%の配列の同一性、好ましくは少なくとも75%の配列の同一性、およびより好ましくは少なくとも90%の配列の同一性を有する。
この場合の配列の同一性は、例えば上述したBLAST Pアルゴリズムまたはリップマン−ピアソンアルゴリズムを用いて判断することができる。
特定の実施態様において、アンギオゲニンは、本発明のタンパク質であり、例えば上述したアンギオゲニン−4であるが、本発明においては、アンギオゲニンファミリーのその他のメンバー、特に配列番号2または46のAng1または配列番号47のhAngも有用であり得る。
特に好ましい実施態様において、アンギオゲニンは、配列番号47のhAng、または、抗微生物活性を有するそれらの断片もしくは変異体である。特定の配列番号47の断片は、配列の最初に見いだされるN末端シグナルペプチド配列QDNSRYを欠失している。配列番号47の微生物的に活性なそれらの断片を用いる利点は、タンパク質がヒト由来であり、それゆえに全身投与しても免疫反応を起こしにくいことである。
一般的に、アンギオゲニンまたはそれらの誘導体は、抗微生物治療を必要とするヒトまたは動物に投与され得る。アンギオゲニンまたはそれらの誘導体は、慣用の方法で、例えば当業界で認められた医薬組成物の形態で、例えば経口投与または局所投与することができる。ヒト由来のアンギオゲニンまたはそれらの誘導体はまた、非経口投与することもできる。
本願明細書で用いられる用語「誘導体」は、上述の生物学的に活性な断片または変異体、および、アゴニストまたはミメティック、または、内在性アンギオゲニンタンパク質の量または活性を増加させることができる化合物を含む。
これらは全身感染を治療するのに用いることができるが、特にこれらタンパク質は腸管の腸感染症を治療するのに用いることもできる。それゆえに、治療計画は、前述したように腸内でタンパク質のレベルを上昇させることを含み得る。
〔図面の説明〕
図1Aは、マウスアンギオゲニンファミリーメンバーのアミノ酸配列(配列番号1〜4)の配列アライメントを説明し、図1Bは、成熟ヒトアンギオゲニン配列(配列番号47)と比較したこれら配列のいくつかの成熟タンパク質配列(配列番号44〜46)を示す。
図2は、マウスアンギオゲニン−4およびアンギオゲニン−3のヌクレオチド配列をアライメント(それぞれ配列番号5および6)で示す。
図3は、マウスアンギオゲニンファミリーメンバーに特異的なプライマーの位置を示す。
図4は、アンギオゲニン−4mRNAの組織分布を説明するグラフ、および、アガロースゲル分析の結果である。
図5は、アンギオゲニン−1mRNAの組織分布を説明するグラフである。
図6は、リアルタイム定量RT−PCR分析に基づくアンギオゲニン−3mRNAの組織分布を説明するグラフである。
図7は、アンギオゲニン関連タンパク質遺伝子発現の非存在を示すRT−PCR分析の結果を示す。
図8は、小腸におけるアンギオゲニン−4発現の微生物による調節実験の結果を示す一連のグラフである。
図9は、生後発育中のアンギオゲニン−4発現の調節を示すグラフである。
図10は、小腸におけるアンギオゲニン−4発現の細胞内の位置、すなわち腺窩の基底から単離された細胞のqRT−PCR分析を示すブロックグラフである。
図11は、マウスおよびヒトアンギオゲニンに関する殺菌性および殺真菌性の分析の結果を示す。
図12は、Ang4発現が正常な腸内細菌により誘導されることを示す実験結果を示す。
〔発明の詳細な説明〕
実施例1
10dの定着が、公開されたアンギオゲニン−3配列から設計されたアフィメトリックス社設計のプローブセットにより検出されたmRNAの回腸での発現が11倍増加したことに関連するという観察結果から、我々は、マウスアンギオゲニン−3の3’末端および5’末端に特異的なプライマーを設計した。このプライマーは、以下の通りである:
ORF[フォワードプライマー(5’末端にBamHI部位を含む):
5’−CCTTGGATCCATGGTGATGAGCCCAGGTTCTTTG(配列番号7);
リバースプライマー(5’末端にXbaI部位を含む):
5’−CCTTTCTAGACTACGGACTGATAAAAGACTCATCGAAG(配列番号8)。
これらプライマーを共にRT−PCRに用いて、前無菌NMRIマウスの回腸から調製されたRNAから438bpの配列を増幅した。これらマウスに、同じ近交系に属する慣用的に飼育した動物から回収した完全な回腸/盲腸の微生物叢を10dの間定着させた。我々は、PCR産物をBamHI/XbaIで消化したpGEX−KGにサブクローニングし、それをベクター特異的プライマーを用いて配列解析した。
驚くべきことに、ORFのヌクレオチド配列は、マウスアンギオゲニン−3のOFRと90%の同一性しか有していなかった。PCR反応で用いられたプライマー配列(アンギオゲニン−3に特異的)を産物に組み込んだため、我々は、5’−および3’−RACEを用いて、(a)この新規のアンギオゲニンのORFの5’および3’末端の正確な配列を得て、(b)そのmRNAの5’−および3’−非翻訳領域を特徴付けた。その結果から、アンギオゲニン−3mRNAと88.3%のヌクレオチド配列の同一性しか有さないことがわかった。
アンギオゲニン−4タンパク質をコードするヌクレオチド配列は、アンギオゲニン−3配列と並べられて、下記の図2においてそれぞれ配列番号5および6として示される。
アンギオゲニン−4は、その他の3つのマウスアンギオゲニンファミリーメンバーと74〜81%のアミノ酸配列同一性を有する(図1)。アンギオゲニン−4の5’および3’非翻訳領域が、アンギオゲニン−3mRNAの対応する領域と密接に関連することがわかった(図2)。
続いて、様々なマウスアンギオゲニンmRNAの組織分布の比較分析を行った。慣用的
に飼育した成体の(12〜14週齢)雄および雌NMRIマウスから回収された組織(25の組織/マウス)から単離したRNAからcDNAを合成した。各遺伝子発現の相対レベルを定量するため、我々は、4つのマウスアンギオゲニンファミリーメンバーそれぞれに特異的なプライマーセットを設計し(図3;表1)、それらをSYBR−Greenに基づくリアルタイム定量RT−PCR(qRT−PCR)分析に用いた。
Figure 2005518195
注目すべきことに、アンギオゲニン−4mRNAは、腸に限定されており、十二指腸から直腸にわたり発現する(図4)。その一方で、アンギオゲニン−1発現は、肝臓、肺、および膵臓で最も高く(図5)、一方、アンギオゲニン−3は主に肝臓、肺、膵臓、および前立腺で発現される(図6)。アンギオゲニン関連タンパク質のmRNAは、PCRを40サイクル行った後で観察したがいずれの組織においても検出不可能であった(図7)。
従って、極めて限定的なアンギオゲニン−4発現の腸特異的なパターンは、マウスアンギオゲニンファミリーメンバーのなかでも独特である。
これらの発見により、腸内では、アンギオゲニン−3よりむしろアンギオゲニン−4発現が微生物により調節されていることが示された。この仮説を直接的に検証するために、アンギオゲニン−4特異的なプライマーおよびqRT−PCRを用いて、無菌NMRIマウス、および、通常通り発育したNMRI動物から回収した回腸/盲腸の微生物叢を10dの間定着させた無菌マウスの小腸の長さに沿ってアンギオゲニン−4mRNAレベルを比較した。対比較により、アンギオゲニン−4発現は、定着させたマウスの空腸で最も高く、通常のマウス(conventionalization)は、この領域において、アンギオゲニン−4発現の最大17倍の増加を誘導することがわかった(図8)。無菌NMRIマウスの、バクテロイデス−シータイオタオミクロンの10dの間の単独定着により、匹敵するアンギオゲニン−4発現の誘導が生じた(データは示さず)。
生後発育中のアンギオゲニン−4発現の調節は、その微生物による調節と一致する
続いて、生後5日目(P5)〜30日目(P30)の無菌マウスおよび慣用的に飼育したNMRIマウス(n=3匹のマウス/時点/群)におけるアンギオゲニン−4発現の発達パターンを評価した(図9)。アンギオゲニン−4転写の相対レベルは、両方のマウス群においてP20までは相対的に低いままであった。この時点の後、無菌動物において発現がわずかに上昇した(2〜3倍)。その一方で、アンギオゲニン−4発現は、慣用的に飼育した動物においてP15〜P30の間に20倍を超えて増加した。これら結果は、アンギオゲニン−4は、授乳/離乳の移り変わりの際に誘導され、消化管の微生物叢におけ
る主要な変化と一致することを示す。また、生後の無菌マウスにおいてアンギオゲニン−4誘導がないことは、微生物叢の構成要素は、腸内でのアンギオゲニン−4発現の調節において重要な役割を果たすという結論とも一致する。
アンギオゲニン−4の細胞局在化
細胞由来のアンギオゲニンタンパク質発現の上述したレーザーキャプチャーマイクロダイセクション(LCM)/qRT−PCR研究(実施例2)では、アンギオゲニン−3とアンギオゲニン−4との両方を認識するプライマー、および、採取された腺窩上皮、絨毛上皮、または絨毛の中心からの間充組織集合体から単離されたRNAを用いた。qRT−PCR分析によれば、微生物により調節される「アンギオゲニン」は、リーベルキューン陰窩の基底に位置する上皮細胞で生産されることが示された(Hooper等,2001年)。
アンギオゲニン−4発現はパネート細胞で起こるという仮説を検証するため、我々は、LCMを用いて、(a)弱力化したジフテリア毒素A断片(tox176)で処理したパネート細胞系を切除した無菌成体(12週齢)トランスジェニックマウス(CR2−tox176マウス)(Garabedian等,1997年)、および、(b)それらの年齢および性別が一致する無菌の正常な同腹子から、空腸の腺窩の基底に位置する細胞を単離した。アンギオゲニン−4特異的プライマーを用いたqRT−PCRから、正常なマウスの腺窩の基底の上皮細胞から精製したRNAにおいては、アンギオゲニン−4mRNAレベルはCR2−tox176同腹子と比べて10倍高いことがわかった(図10)。
慣用的に飼育したNMRIマウスを用いて追跡調査した。3種の細胞プール;パネート細胞のみ、上部の腺窩および絨毛からの上皮細胞(パネート細胞を除いた分画)、ならびに、絨毛の中心および腺窩近縁の領域から採取された間充織、をLCMで回収した。アンギオゲニン−4mRNAの分布は、Mom−1遺伝子座の産物であるホスホリパーゼA2、および周知のパネート細胞に特異的な遺伝子産物の分布と密接に類似していた(データは示さず)。
qRT−PCR研究で用いられた追加のプライマーを表2に示す。
Figure 2005518195
実施例2
機能分析のためのアンギオゲニン(例えばアンギオゲニン−4)の発現および精製
pET3aに基づく発現ベクターを大腸菌でアンギオゲニン−4およびアンギオゲニン−1を発現するように構築した(ポジティブコントロール)。特に、マウスAng1、マウスAng4、およびヒトAngをコードしたORF(add ref)を、成体マウスの肝臓、成体マウスの小腸の中間(空腸)、およびヒト小腸からそれぞれ得られたcDNA、および、遺伝子特異的なプライマーを用いたRT−PCRで増幅した(表3を参照)。
Figure 2005518195
得られたアンプリコンはシグナル配列の代わりにMetコドンを含み、5’NdeIおよび3’BamHI部位を組み込んでいた。PCR産物をNdeIおよびBamHIで消化し、NdeI/BamHIで消化したpET3a(インビトロジェン)にクローニングし、配列解析した。
次に、組換えプラスミドを大腸菌BL21−コドンプラス(DE3)−RIL細胞(ストラタジーン)に導入した。中期対数期の培養物で、製造元(ストラタジーン)が開発したプロトコールを用いて、0.5mMイソプロピルチオガラクトシドでタンパク質発現を
誘導した。その後、細胞を遠心分離(6500×g)で回収し、0.1容量の100μg
/mlリゾチームを含むIB緩衝液(20mMトリス−HCl、pH7.5、10mMの
EDTA、1%TritonX−100)に分散し、音波破砕で破壊した。
予備実験によれば、IPTGで誘導した後、各アンギオゲニンが封入体に局在することが示された。この特徴は、アンギオゲニンファミリーメンバーに共通する特性である。
封入体を遠心分離(10,000×g)で回収し、IB緩衝液で2回洗浄し、7Mグア
ニジン−HCl、0.15M還元グルタチオン、0.1Mトリス−HCl(pH8)、および2mMのEDTAに可溶化した。アンギオゲニンをリフォールディングし、陽イオン交換クロマトグラフィーで精製した(S2)。各タンパク質調製物の純度をSDS−PAGEおよびN末端配列解析で推定した。RNアーゼ活性(S3)を測定し、タンパク質が適切にリフォールディングされたかを調べた。アンギオゲニンを10mMリン酸ナトリウム(pH7.2)に対して透析した。
適切なフォールディングは、溶解性およびRNアーゼ活性(アンギオゲニンに共通する特徴)の分析により推定することができた。
実施例3
ポリクローナル抗体の生産
精製アンギオゲニン−4を用いて、ウサギでポリクローナル抗体を生産した。この抗体は他のアンギオゲニンを認識する可能性もあるが、アンギオゲニン−4は腸上皮で生産される唯一のアンギオゲニンであるため、これら抗体は、パネート細胞におけるその輸送を調査するのに極めて有用であると考えられる(下記参照)。
実施例4
血管新生活性の分析
血管新生活性の標準的な生物学的分析は、ヒヨコの漿尿膜を用いた。様々な量の精製アンギオゲニン−1(ポジティブコントロール)またはアンギオゲニン−4を、膜および新しい血管形成に適用し、単盲検法で評点した。
数種のマウスモデルにおいて、新規のフルオロクロムで標識された血管撮影分析を用いて、腺窩近縁および絨毛の血管ネットワークの三次元再構築を行うことも可能である(Hashimoto,H.等(1998年)Microvascular Res.55:179,Stappenbeck T.S.,Hooper L.V.およびGordo
n J.I(2002年)Proc.Natl.Acad.Sci USA,99,15451〜15455)。この分析において、フルオレセインを結合させた高分子量のデキストランまたはローダミンB標識されたゼラチンのいずれかの溶液で心室潅流したマウスから回収された厚さ120μmの腸切片を用いた共焦点レーザー顕微鏡検査法が用いた。以下の2つの比較群を作製した:(a)成体無菌FVB/N CR2−tox176トランスジェニックと、正常な同腹子との対(すなわち、それぞれ空腸の腺窩にパネート細胞を有する動物と有さない動物);(b)成体無菌NMRIマウスと、未分画の回腸/盲腸の微生物叢を10dおよび35dの間で定着させた年齢および性別が一致する前無菌動物との対。
実施例5
静菌活性または殺菌活性の分析
慣用的な方法を用いて精製アンギオゲニン−4を殺菌活性に関して分析した。例えば、これらを正常な腸内細菌叢のメンバー(例えば、大腸菌、バクテロイデス−シータイオタオミクロン、クロストリジウム属、乳酸菌属)、様々な腸の病原体(例えば、サルモネラ−チフィムリウム、シゲラ−フレキシネル、カンピロバクター−ジェジュニ)と共にインキュベートした。適切には、既知の殺菌活性を有するRNアーゼをポジティブコントロールとして用いた(ヒト好酸球陽イオンタンパク質,Lehrer,R.I.等(1989年)J.Immunol.142,4428〜4434)。
実施例2で説明したように得られた精製アンギオゲニン−4を数種のグラム陽性およびグラム陰性の腸の病原体および共生生物に対する殺菌活性に関して分析した。増大する濃度の精製Ang4で処理した後に残存するコロニー形成単位(CFU)のパーセンテージを測定し、図11Aに示す。細菌を中期対数期まで増殖させ、10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.2)に再懸濁した。最初の細菌濃度は、105〜106CFU/mlの範
囲であった。37℃で2時間インキュベートした後、生育可能な細菌を希釈プレーティング法で定量した。分析は三回で行った。平均値±SDをプロットし、図11(A)に示す。精製hAng、Ang1、およびAng4の、(B)エンテロコッカス−フェカーリス(ATCC29212)、(C)リステリア−モノサイトゲネス(EGD−e株;P.Glaser等,Science294,849(2001年)、(D)カンジダ−アルビカンス、および(E)ストレプトコッカス−ニューモニエに対する殺菌活性の比較も示す。
対数期のエンテロコッカス−フェカーリスまたはリステリア−モノサイトゲネス(いずれもグラム陽性の病原体)のコロニー形成単位数は、1μMのAng4で2時間処理した後、>99%に低下した(図11A)。1μMのAng4を用いたところ、腸の共生生物であるバクテロイデス−シータイオタオミクロンの感受性は低下し、生育可能な有機体の数は30%減少した(平均±1SD)。その他のグラム陰性の共生生物である大腸菌K12は、10μMのAng4に耐性であった(図11A)。大腸菌K12はリステリア−モノサイトゲネスと近い遺伝的関係を有するが(上述のGlaser等)、リステリア−イノキュアは最大10μMの濃度でAng4耐性であることから(図11A)、種特異的な特徴により、この宿主由来の抗菌タンパク質に対する感受性または耐性が調節されることが強調された。
ほぼ同量の免疫活性リゾチームおよびAng4をパネート細胞分泌顆粒で検出した(示さず)。インビボで、他のパネート細胞顆粒タンパク質の分泌と同様のレベルでAng4が腺窩内腔に分泌されるとすれば(T.Ayabe等,Nat.Immunol.1,113(2000年)、D.Ghosh等,Nat.Immunol.3,583(2002年))、その腺窩中の推定濃度(>1mM)は、エンテロコッカス−フェカーリスまたはリステリア−モノサイトゲネスを殺すのに必要な濃度より1000倍高いと考えられる(図11A,E)。
Ang1およびhAngは感染に対する急性期反応の際に血流中で見出されるため、それらが感染に対する全身性の生得的な反応のメディエーターとして機能し得るかどうかを確かめるため、Ang1およびhAngを調査した(K.A.Olson,S.J.Verselis,J.W.Fett.Biochem.Blopnys.Res.Commun.242,480(1998年))。エンテロコッカス−フェカーリスおよびリステリア−モノサイトゲネスに対するAng4により示される有効な殺菌活性とは異なり、いずれの細菌種もAng1およびhAngに対して耐性であった(図11B,C)。しかしながらヒトにおいて全身性の感染を引き起こす2つの生物は、Ang1およびhAngに対して感受性であった。カンジダ−アルビカンスは、日和見性の真菌病原体であるが、70nMのAng1およびhAng(それらの血清レベルに匹敵する濃度)に晒して2時間後に97%および>99%のCFU減少を示した。
同様に、2μMのAng1またはhAngにより、ストレプトコッカス−ニューモニエ(一般的に肺炎や敗血症を引き起こすグラム陽性の病原体)の生存能力が>99%に減少した。これら病原体のいずれも、Ang4に対する感受性が極めて低かった(図11D,E)。従って、マウスAng1およびhAngは、77%のアミノ酸配列同一性を共有しており、感染に対する全身性の生得的な宿主側防御のこれまで認識されていなかった構成要素であると考えられる。
実施例6
マウスの結腸およびヒト消化管のLCM研究
成体マウスの結腸(パネート細胞が欠失している)において、LCMを用いて細胞由来のアンギオゲニン−4を同定した。3つの領域:最も下の3分の1の腺窩、残り上部の3分の2の腺窩、および、表面上皮のカフ(cuff)(絨毛の結腸相同体)から、細胞を切り取った。次に、成体無菌および慣用的に飼育したNMRIマウスを実験に用いた(ただしその他の種も有用である)。アンギオゲニン1、3、および4に特異的なプライマーを用いたqRT−PCRで発現を分析した。アンギオゲニン−4が腺窩上皮で検出される唯一のアンギオゲニンであるため、実施例3で述べたように作製された抗体を発現の細胞パターンのさらなる分析に用いることができる。
LCM/qRT−PCRはまた、ApcMin/+マウスにおけるアンギオゲニン−4発
現を比較し、対比させるのに用いることもでき、腺腫および隣接する正常な外見の上皮からのRNAを分析することもできる。
特に、いくつかの観察によれば、Angr4発現は、インビボで、腸の微生物叢の構成要素により調節されることが示された。年齢および性別が一致する慣用的に飼育した動物の小腸遠位部および盲腸から回収された未分画の微生物叢の、成体無菌NMRIマウスにおける10dの間の定着により、小腸のあらゆる部分でAng4mRNA濃度の増加が引
き起こされる。無菌マウスまたは定着マウス(L.V.Hooper等,Science291,881(2001年))からの小腸を16個の等しいセグメントに分割し、各セグメントにおいてAng4mRNAレベルをqRT−PCRを用いて測定した(三回の分析;平均値±SDをプロット、この反応は、バクテロイデス−シータイオタオミクロンの単独定着で総括され、Ang4発現は、少なくとも1種の微生物叢の通常のメンバーにより増強されることが示される(図12A))。結果を図12Aに示すが、これは3つの独立した実験のうちの代表的なものである。
qRT−PCR研究によれば、定着によりAng4の増強が示されたが、顕微解剖されたパネート細胞におけるsPLA2mRNA発現は示されなかった。バクテロイデス−シ
ータイオタオミクロンが単独定着したマウスおよび通常のマウスから回収された、レーザーキャプチャーマイクロダイセクションされたパネート細胞におけるAng4mRNAの細菌性の誘導を確認した(例えば、図12C)。その一方で、sPLA2mRNAレベルは影響を受けておらず(図12C)、これは、Ang4発現の微生物依存性の増加は、パネート細胞分泌顆粒タンパク質をコードする遺伝子の一般的な誘導の一部ではないことを示す。
小腸のセグメント9から単離された総細胞性タンパク質25μgの免疫ブロット分析を行った。ブロットを抗Angでプロービングし、続いてストリップし、抗β−アクチンで再プロービングしたところ、バクテロイデス−シータイオタオミクロンを定着させたマウスにおいてAng4タンパク質レベルの増加を示した。この増加は、そのmRNAの上昇と対応している(図12B)。完全な腸遠位部の微生物叢を10dで定着させたマウスの腸内では、Ang4タンパク質の劇的な増加は観察されなかった(図12B;定着の密度は、CPUにより測定したところ、2つの動物群において同等であったことに留意すること)。この違いは、Ang4発現の翻訳調節または翻訳後調節、または、バクテロイデス−シータイオタオミクロンが単独定着した腸と比べて、通常の腸(conventionalized)において強化されたパネート細胞の脱顆粒化によるものと考えられる。
生後発育中のAng4発現のqRT−PCR分析により、その微生物による調節を支持する追加の証拠が得られた。プールされた小腸中央部のRNAで分析を行った(n=3匹のマウス/時点)。全てのqRT−PCR測定は、三回で行われた。
Ang4mRNAのレベルは、慣用的に飼育したが無菌ではない離乳期(生後17〜28日)のNMRIマウスの小腸で顕著に上昇した(図12D)。離乳は、消化管の微生物叢の組成における劇的な変化に関連し、すなわち、グラム陽性および陰性の通性嫌気性菌の存在度が低下し、グラム陰性の偏性嫌気性菌が優勢になる(D.C.Savage.Annu.Rev.Microbiol.31,107(1977年))。
Aは、マウスアンギオゲニンファミリーメンバーのアミノ酸配列(配列番号1〜4)の配列アライメントを説明し、Bは、成熟ヒトアンギオゲニン配列(配列番号47)と比較したこれら配列のいくつかの成熟タンパク質配列(配列番号44〜46)を示す。 マウスアンギオゲニン−4およびアンギオゲニン−3のヌクレオチド配列をアライメント(それぞれ配列番号5および6)で示す。 マウスアンギオゲニンファミリーメンバーに特異的なプライマーの位置を示す。 アンギオゲニン−4mRNAの組織分布を説明するグラフ、および、アガロースゲル分析の結果である。 アンギオゲニン−1mRNAの組織分布を説明するグラフである。 リアルタイム定量RT−PCR分析に基づくアンギオゲニン−3mRNAの組織分布を説明するグラフである。 アンギオゲニン関連タンパク質遺伝子発現の非存在を示すRT−PCR分析の結果を示す。 小腸におけるアンギオゲニン−4発現の微生物による調節実験の結果を示す一連のグラフである。 生後発育中のアンギオゲニン−4発現の調節を示すグラフである。 小腸におけるアンギオゲニン−4発現の細胞内の位置、すなわち腺窩の基底から単離された細胞のqRT−PCR分析を示すブロックグラフである。 マウスおよびヒトアンギオゲニンに関する殺菌性および殺真菌性の分析の結果を示す。 Ang4発現が正常な腸内細菌により誘導されることを示す実験結果を示す。

Claims (33)

  1. 添付の図1で示される配列番号1を含む単離されたポリペプチド、もしくはそれらの対立遺伝子変異体、配列番号1と少なくとも85%のアミノ酸配列同一性を有するポリペプチド、または、これらいずれかの生物学的に活性な断片。
  2. 配列番号1と少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有する、請求項1に記載の単離されたポリペプチド、または、これらいずれかの生物学的に活性な断片。
  3. 配列番号1または、それらの生物学的に活性な断片を含む、請求項1に記載の単離されたポリペプチド。
  4. 配列番号44に記載の、配列番号1の断片を含む、請求項3に記載の単離されたポリペプチド。
  5. 配列番号44に記載の、配列番号1の断片を含むが、ただし最初の5個のアミノ酸が欠失している、請求項3に記載の単離されたポリペプチド。
  6. 請求項1に記載のポリペプチドをコードする単離された核酸。
  7. 図2で示される配列番号5の少なくとも一部を含む、請求項6に記載の核酸。
  8. 請求項6または7に記載の核酸を含むプラスミド。
  9. 請求項6または7に記載の核酸を含むベクター。
  10. 請求項8に記載のプラスミド、または請求項9に記載のベクターを含む細胞。
  11. 腸内で請求項1に記載のポリペプチドの活性に影響を与えることを含む、腸内の血管新生活性の改変を必要とする、ヒトまたは動物の腸内の血管新生活性を改変する方法。
  12. 請求項1に記載のポリペプチドまたはそれらのミメティックを腸に投与することを含む、請求項11に記載の方法。
  13. 投与されたポリペプチドは、請求項4または5に記載のポリペプチドである、請求項12に記載の方法。
  14. 動物はアンギオゲニン−4を生産し、その活性は、本発明のポリペプチド、それらのアゴニストまたはミメティックを腸に投与することによって増強される、請求項11に記載の方法。
  15. アンギオゲニン−4の発現を調節する微生物、または、微生物叢の構成要素により生産されることが同定された化学物質を動物の腸に投与することを含む、請求項11に記載の方法。
  16. 微生物は、バクテロイデス−シータイオタオミクロンである、請求項15に記載の方法。
  17. アンギオゲニン−4の活性は、タンパク質活性のアンタゴニスト、または、タンパク質に結合し不活性化することによってタンパク質活性をブロックする化合物もしくは抗体
    を投与することによって減少する、請求項11に記載の方法。
  18. アンギオゲニン−4の活性は、アンチセンスDNAまたはRNA構築物(アンギオゲニン−4のDNAまたはRNAにそれぞれハイブリダイズする)、Ang−4mRNAを特異的に分解するリボザイム分子、または、Ang−4配列に特異的なRNA干渉(RNAi)オリゴヌクレオチドを投与することにより減少する、請求項11に記載の方法。
  19. 炎症性の腸疾患の治療または腸感染症の予防もしくは治療を必要とする動物の腸内で、請求項1に記載のポリペプチドのレベルを増加させることにより、炎症性の腸疾患を治療する方法、または、腸感染症を予防もしくは治療する方法。
  20. 製薬上許容できるキャリアーと組み合わせて、請求項1に記載のポリペプチド、アゴニスト、アンタゴニストまたはそれらのミメティックを含む医薬組成物。
  21. 製剤が腸溶コーティングされて提供される、請求項20に記載の組成物。
  22. 化合物とマウスのパネート細胞とを接触させること、および、アンギオゲニン−4またはアンギオゲニン−4遺伝子を検出することを含む、パネート細胞の機能を調節する化合物のスクリーニング方法。
  23. 請求項1に記載のポリペプチドに特異的に結合する抗体。
  24. 抗微生物性アンギオゲニンを含むポリペプチド、抗微生物活性を有するそれらの断片もしくは変異体、それらのアゴニストもしくはミメティック、または、内在性アンギオゲニンタンパク質の量または活性を増加させることができる化合物を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物の細菌感染または真菌感染を治療する方法。
  25. 抗微生物アンギオゲニンは、図1で示される配列番号1、2、3、4、または44、45、46もしくは47で示されるものであるか、または、これらいずれかと少なくとも60%の配列の同一性を有する抗微生物変異体である、請求項24に記載の方法。
  26. ポリペプチドは請求項1に記載のポリペプチドである、請求項24に記載の方法。
  27. ポリペプチドは配列番号2または46のポリペプチドである、請求項24に記載の方法。
  28. ポリペプチドは配列番号47のポリペプチド、または、抗微生物活性を有するそれらの断片もしくは変異体である、請求項24に記載の方法。
  29. ポリペプチドは配列の1〜6位にあるN末端シグナルペプチド配列QDNSRYが欠失した配列番号47の断片である、請求項28に記載の方法。
  30. アンギオゲニンはヒトに非経口投与される、請求項29に記載の方法。
  31. 真菌感染を治療するための、請求項28に記載の方法。
  32. ポリペプチドは経口投与される、請求項24に記載の方法。
  33. 腸管の細菌または真菌感染を治療するための、請求項32に記載の方法。
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