JP2005517638A - 保存安定性のあるフィブリンシーラント - Google Patents
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Abstract
即時使用可能で保存安定性のある濃縮液状フィブリノーゲン製剤から調製される、追加成分を含むまたは含まない、即時使用可能であり、かつ即座に利用可能なフィブリンシーラント(「FS」)が提供される。このようにして生成されるFS製品は、組織に適用した場合、失血を防止し、創傷治癒を促進し、ならびに多くの他の治療的または非治療的用途において必要な弾性、引張強度、および接着性を提供する。さらに、追加成分を含むまたは含まない保存安定性のある本発明のFS生成物のキットおよび調製方法、ならびにそれを使用および送達する方法も提供される。
Description
本発明は一般に、追加成分を含む(supplemented)または含まない、保存安定性のあるフィブリンシーラントに関する。より詳細には、本発明は、保存安定性がありすぐに使用できる濃縮フィブリノーゲン製剤から調製した、即座に利用可能なフィブリンシーラント、このようなフィブリンシーラントの調製方法、ならびに失血の防止、創傷治癒の促進、および多くの他の治療的および非治療的な用途のためのその使用方法に関する。
ヒトにおけるクロット形成、すなわち血液凝固は、その最終段階において単量体形態のフィブリノーゲンがカルシウムイオンの存在下でトロンビンおよび活性XIII因子と反応して架橋したフィブリンポリマーを含むフィブリンクロットを形成する、複雑なカスケード現象によって起こる。最近では、自然凝固の最終段階を模倣し、これによりフィブリンクロットをもたらす、フィブリノーゲン、トロンビンおよび1つまたは複数の他の成分を含む生物学的接着剤が開発されている。したがって、フィブリンシーラントもしくは組織シーラント、生物学的シーラント、フィブリン糊もしくは組織糊、生物学的接着剤、外科用接着剤などとして知られているフィブリノーゲンをベースとする材料(本明細書中で「フィブリンシーラント」、すなわち「FS」と総称する)を使用して、生組織を結合すること、また、内部および外部の創傷、たとえば、組織、器官、筋肉、骨および皮膚の創傷を封着して止血作用をもたらす間に失血を軽減するために結合しておくことができる。(たとえば、特許文献1参照)。このような接着剤は、手術において、特に出血を防止または停止するため、縫合糸に代わるためもしくはそれを補強するため、移植片、たとえば皮膚移植片を一定位置に保持するため、たとえば肺や胃腸管の手術において切除した組織を封着するため、または義装具のパーツを糊付けするためなどに、一般的に使用されている。
FS生成物は、一般に、(1)フィブロネクチン、XIII因子、フォンウィルブランド因子、および微量のアルブミンも含有してもよいフィブリノーゲン濃縮物、(2)トロンビン(たとえばヒトもしくはウシ)またはトロンビン様物質などの活性化成分、ならびに(3)カルシウムイオン(たとえばCaCl2)などのトロンビン活性化因子から調製される。しかし、それぞれのFSの正確な組成は、出発物質として使用する特定の血漿画分の関数である。たとえば、商業用に調製されたFS生成物は多くの場合ウシの成分を含む。カナダ、欧州、場合によっては他の国でも、市販されているFSは典型的には安定剤としてアプロチニンも含む。それにもかかわらず、引張強度と最終フィブリノーゲン濃度との間に直接的な関係が示された(特許文献2)。したがって、濃縮フィブリノーゲンの利用可能度は、従来のFS生成物の調製において重要な要素である。
特許文献3は、フィブリノーゲン、XIII因子、抗トロンビンIIIなどのトロンビン阻害剤、プロトロンビン因子、カルシウムイオン、および必要な場合はプラスミン阻害剤の水溶液を含む、一液型接着剤を記載している。特許文献4および特許文献5は、フィブリノーゲン、トロンビンおよび/またはプロトロンビンならびにフィブリン溶解阻害剤を含み、および血小板抽出物など他の成分も含んでもよい、創傷の封止および治癒を増強させるための粉末もしくは噴霧可能な製剤の形態の、濃縮血漿誘導体の調製を記載している。特許文献6および特許文献7は、フィブリノーゲンおよびXIII因子を含む寒冷沈降した懸濁液の調製方法、ならびにFSの調製におけるその使用を開示している。特許文献8は、創傷治癒のためのフィブリン接着剤を調製するためのキットを開示している。
特許文献9は、フィブリノーゲン、および添加されたトロンビンを含むフィブリン糊を記載している。このFSは追加のトロンビンを含むが、トロンビン活性が阻害されるように調製されており、一実施形態において、該FSはカルシウムイオンを含まず、使用時までカルシウムイオンを加えない。しかし、開示されているFSはカルシウムイオンを加えなくても約90秒間で自然に凝固する傾向がある。カルシウムイオンを加えると、それは2秒未満で凝固する。他の実施形態では、トロンビン活性を阻害するために製品のpHを5.5未満まで酸性化することによってこの糊の凝固を遅延させている。この開示はさらに、阻害効果を無効にするために使用時にpHを上げる手段を提供している。
さらに、FS送達系が特許文献10および特許文献9によって開示されている。FS生成物は、長年にわたって、欧州でImmuno AG(オーストリア、ウィーン)およびBehringwerke AG(ドイツ)によって(非特許文献1)、ならびに他の場所で市販されている(たとえば、Immuno AG所有の特許文献11および特許文献12参照)。
しかし、米国外で臨床的に使用されているほとんどのFS生成物はある程度の危険性を有しており、その結果、米国内での使用について食品医薬品局に認可されていない。たとえば、前述のように、欧州で入手可能なFS生成物は非ヒト由来のタンパク質、たとえばアプロチニンおよびウシトロンビンを含んでいる。その結果、一部の個体は、このような非ヒトタンパク質添加物に対するアレルギー反応を発生する危険性がある。特許文献13は、生物医学的接着剤の使用により炎症性組織反応の誘発が観察されたと報告している。
さらに、FS中に存在する可能性があるすべてのウイルスを失活させるために熱失活を使用する場合は、この方法は変性タンパク質の形成をもたらし、これも、アレルゲン性である可能性がある。たとえば、欧州の熱失活方法では、近年欧州のウシ集団で流行しているウシ海綿状脳症(「狂牛病」)を引き起こすプリオンが失活されず、したがって、疾病が海外製のFS生成物で使用されているウシタンパク質中で運ばれる可能性があり、これらの製品を意図する目的で使用した際にヒトへの感染の危険性がある。
特許文献14および特許文献15は、ウシ製品を全く使用しない自己由来のFSを生成する方法を開示している。特許文献16は、再石灰化させた糊にカオリンなどの凝固活性化剤を加えることによってトロンビンを加えずに凝固させることができる、血小板因子を富化したFSを記載している。しかし、糊の使用時まで活性化剤が取り込まれないので、時間凝固時間が確定されず、かつその予測や制御が困難となる。これは、フィブリノーゲン濃縮物が、取扱いの困難な非常に粘性の高い生成物であるからである。さらに、凝固が活性化と同時に進行するので、活性化された糊から活性化剤を分離することが困難である。
それにもかかわらず、十分に高いフィブリノーゲン濃度では、FS製剤は安全な止血作用、創傷および/または組織領域への良好な接着、強度の高い接着および/または創傷封着、ならびに創傷治癒プロセスの過程における接着剤の完全な再吸収性をもたらす(非特許文献2)。最適な接着には、すぐに使用できる組織接着剤溶液中において、約15から60mg/mlのフィブリノーゲン濃度が必要である(MacPhee、個人的な連絡)。FS生成物の臨床的使用が総説されている(たとえば、非特許文献3、非特許文献1、非特許文献4および非特許文献5による)。
Baxter/Hyland(カリフォルニア州ロサンゼルス)と赤十字社が協力して、米国で認可された最初の市販のフィブリンシーラントであるTisseelを協同開発した(たとえば、特許文献17、特許文献18および特許文献19参照)。このFS生成物は、ウシタンパク質を含まないので、欧州で利用可能なものに比べて利点を有する。たとえば、これはヒトトロンビンを含み、かつアプロチニンを含まず、これによりアレルゲン性の潜在性が低下する。さらに、これは、アレルゲン性の変性タンパク質の生成がより少ない、溶媒洗浄剤方法によって、ウィルスが失活される。
調製の観点からは、FSのフィブリノーゲン成分を、寒冷沈降、次いで分画化することによって血漿から調製して、活性トロンビンに曝された際、またはそれと混合された際にフィブリンシーラントすなわちクロットを形成する組成物を得ることができる。従来技術では、フィブリノーゲンおよびトロンビンの濃縮物は凍結乾燥形態で保存され、該形態は、使用直前に還元し、CaCl2の溶液と混合しなければならない。混合時に、それら成分を組織に付着させ、ここで、それら成分が組織表面上で凝固して架橋したフィブリンクロットを形成する。フィブリノーゲン濃縮物中に存在するXIII因子は、架橋を触媒する。
特許文献20によれば、初期の外科的接着剤配合物は高含有率のフィブリノーゲン(約8〜10%)を含んでいる必要があり、これから凍結乾燥物を調製するのは非常に困難であった。実際、濃縮フィブリノーゲンの寒冷沈降物は液状溶液中で高度に不安定であり、したがって、使用時まで−20℃で保存することが必要であることが知られている(非特許文献6)。すなわち、水溶液形態では、濃縮フィブリノーゲンは自然凝固する傾向がある。その結果、Tissucolなどの市販されている凍結乾燥および/または急速冷凍フィブリノーゲン濃縮物は、付着前に液化、すなわち凍結乾燥物をゆっくりと解凍する(「溶かす」)か、または還元しなければならない。しかし、どちらの液化方法も著しい手間を伴い、生成物をFS生成物中で使用できるまでに相当の時間の遅延があり、これは、既に傷害状態にある患者を生命にかかわる状態にすることができる。
したがって、凍結乾燥したフィブリノーゲン製剤の溶解性を向上するために著しい努力が成されてきた。たとえば、一製造者は、加熱中に顕著な攪拌をもたらすためにタンパク質のバイアルに磁気攪拌子を加えて使用することを要求している。これにより、同じ製品で顕著な混合なしで得られる溶解時間より速い溶解時間が得られるが、依然としてフィブリノーゲンが単に使用できるようになるまでに30〜60分間の調製時間が必要である。
特許文献21は、好ましくは加熱および/または攪拌装置などの追加の手段を使用せずに、即時使用可能なフィブリノーゲン接着剤溶液および/または組織接着剤溶液に還元および液化され、少なくとも70mg/mlのフィブリノーゲン濃度を有する即時使用可能な組織接着剤溶液を生成することができる、フィブリノーゲンの保存安定性のある凍結乾燥もしくは急速冷凍液状製剤を提供している。この製剤は、フィブリノーゲンと、調製物の溶解性を向上させ、および/またはその液化温度を下げ、即時使用可能な組織接着剤溶液の室温での粘度を低下させる少なくとも1種の追加の物質とを含む。しかし、特許文献21は、液化温度が下がるので、凍結した濃縮フィブリノーゲン溶液の液化が以前必要であった37℃の加温条件とは対照的に20℃から23℃(室温)の周囲温度で有利に可能となると主張している。それにもかかわらず、この方法では依然として急速冷凍条件下での保存が必要であり(温度は−15℃から−25℃未満の温度に維持される)、製剤は依然として液化するまでに最長で15分間かかる。
前述のTisseelフィブリンシーラント(Baxter)の取扱説明書には、フィブリノーゲンおよびトロンビン成分の調製には少なくとも15分間かかることが示されている。Baxterのシーラーのタンパク質濃縮物(フィブリノーゲン)は凍結乾燥粉末として提供されており、これは、フィブリン溶解阻害溶液と混合することによって還元される。同様に凍結乾燥濃縮物として提供されるBaxterのトロンビン成分は、塩化カルシウム溶液を用いて還元される。Baxterキット中の各成分の調製は、任意選択で提供されるFibrinotherm加熱および攪拌装置を用いて半自動的化することができる。タンパク質調製プロセスに適応させるために、それぞれのシーラータンパク質濃縮物バイアルは、至適の生理的温度(37℃)で均一に混合するためのカスタムサイズの攪拌用ウェルに適する磁気攪拌子を含む。
しかし、タンパク質成分をゆっくりと液化する必要性によってFS製剤の形成が顕著に遅延されるだけでなく、フィブリノーゲンが溶解した後も、顕著な問題が生じる。なぜなら、その不安定性が早すぎる自己凝固の傾向をもたらすからである。実際、ひとたび調製したならば、Baxterの取扱説明書には、還元された溶液はそれぞれのバイアルまたはシリンジに最大4時間のみ保管することができ、その後未使用のシーラントは廃棄しなければならないと示されている。その結果、BaxterのFSは、任意の有効時間にわたって即時使用可能状態で保存しておくことができない。
使用前に凍結乾燥または急速冷凍フィブリノーゲン製品、特に濃縮調製物を還元すなわち液化する必要性を克服する一解決策として、室温で可溶性のある特定のフィブリノーゲン製剤が導入されている。しかし、残念なことに、このような従来技術製品は細胞毒性があることが証明されている(Beriplast、Biocol、Bolheal HG-4)。
代替の解決策で、水溶液中のフィブリノーゲンが早期凝固する傾向を遅らせるために、特許文献22は、その活性化がカルシウムイオンに依存しない少なくとも1種の活性化した凝固因子を加えたフィブリノーゲンを含む、安定かつ生物学的な事前に活性化した接着剤を提供している。事前に活性化した接着剤は水溶液中で安定である。すなわち、この溶液は少なくとも1時間は20℃の温度で自発的に凝固しないが、単にカルシウムイオンを加えることによって約5分間以内に凝固させることができる。追加の活性化剤は必要ない。したがって、生じる生物学的接着剤は、凝固させるためにトロンビンまたはプロトロンビンのどちらを加えることも必要としない。しかし、残念なことに、5分間とは非常に遅い凝固時間であり、その遅い凝固時間は、得られるフィブリンシーラントを、流血性または拍動性の創傷、たとえば吻合、血管、肺傷害における通気孔、または柔組織もしくは細気管支組織への傷害のいずれかにおける使用を非現実的なものにする。
したがって、医学的な観点から、即時使用可能で生物学的な組織接着剤の迅速な利用可能性が、特に外科救急の状況において重要である。外傷の看護が常に進歩しているにもかかわらず、軍人および民間人の両方において、人口の有意な割合が毎年致命的または重篤な出血を被っている。驚くべき数の死者を防ぐことが可能である。なぜなら、それら死亡は、十分な道具と訓練が与えられていれば、死者の創傷の救命的な制御が達成できたであろう者が存在している時に起こっているからである。したがって、訓練された医療従事者だけでなく訓練されていない人が外傷の被害者の出血を迅速に軽減させることを可能にする、進歩した、容易に使用できる、野外で利用可能な止血製剤の必要性が認められている。この必要性の効果は2倍である:有意な数の外傷致死を防止することができ、かつ、利用可能な血液供給の要求を減らすことができる。
深刻な天災または人災によって多数の被害者が生じた場合、現地の病院および診療所は外傷の看護を必要とする人数に圧倒される可能性がある。多くの場合、これにより生じる血液および血液製剤の要求量が現地で入手可能な供給量を超える。また、多くの場合、救援の要求は、訓練された医療従事者の稼動可能な人数を超える。しかし、即時使用可能で自己充足的なFS製剤が利用可能であれば、現地の医療従事者および災害救助者が、負傷者に対して最終的な医療が可能になるまでの一時的な処置を行うことが可能になる。このような即時使用可能で保存安定性のあるFS製剤は、緊急看護者にとって、また救急車や救助車において貴重なツールとなるであろう。その結果、即時使用可能で保存安定性のあるFS製剤により、医療補助が提供できるまで負傷被害者を処置することまたは自己処置さえもが、誰にでも可能となり、これにより、このようなFSは自宅、車、または職場、あるいは公共交通機関における応急処置用品の貴重な構成要素となる。
理想的には、FS生成物は、その調製において可能な限り少ない操作を必要として、リスクおよび補助者の労力を最小限にするべきである。現在では、フィブリノーゲンベースのFS製剤は、凍結乾燥物として、急速冷凍濃縮物として、または止血作用もしくはヒト患者におけるその安全な使用を負に変化させる可能性がある他の成分との混合物としてのみ利用可能であるフィブリノーゲン成分を必要としている。したがって、本発明の前までは、保存安定性のあるフィブリノーゲン水溶液から迅速に調製される即時使用可能なFS組成物であって、高濃度であるにもかかわらず、流体形態のままで利用可能であり、ヒトまたは動物で使用する直ちに入手可能なFS生成物に容易に加工され、また、副作用の危険性がなく安全かつ有効である、FS組成物の必要性があった。
本発明は、即時使用可能で保存安定性のある濃縮液状フィブリノーゲン製剤から調製される、追加成分を含むまたは含まない、即時使用可能かつ直ちに入手可能なフィブリンシーラント(「FS」)を提供する。このように製造されたFS生成物は、組織に付着される際に、失血の防止、創傷治癒の促進および多くの他の治療的または非治療的な用途に必要な、弾性、引張強度、および接着性をもたらす。本発明はさらに、本発明の追加成分を含むまたは含まない保存安定性のあるFS生成物の調製方法、およびその使用方法を提供する。
追加成分を含むまたは含まない保存安定性のある本発明のFS生成物は、即時使用可能な形態で有利に直ちに入手可能であるという点で独特である。なぜなら、その調製に使用する成分が保存安定性であり、かつ即時使用可能であるからである。具体的には、本発明のFSのフィブリノーゲン成分は生体適合性であり、また適切な濃度において流体形態にて入手可能に維持されて、FSの迅速かつ容易な調製を可能にする。この無菌的な保存安定性のあるフィブリノーゲンは水性かつ完全に可溶化されており、その安定性はpHおよび温度に依存し、およびその生物学的活性(すなわち、トロンビンおよびカルシウムイオンへの曝露ならびにそれらとの激しい混合によってフィブリンクロットを迅速に形成する能力)を保持している。このようにして調製かつ保存され、、即時使用可能な濃縮ヒトフィブリノーゲン溶液は、生体適合性のある直ちに入手可能なFS組成物の調製において、追加のステップやプロセスなしで中和および使用してもよい。
フィブリンシーラント利点の1つは、架橋結合したフィブリン製品が創傷を封着した後に起こる自然な生体吸収である。プラスミンに媒介される溶解から生じるこの作用により、身体からのフィブリンシーラントの自然な除去が可能になり、必要な場合は加速した除去方法が提供される。この特性は、FS生成物の優れた接着性および弾性と共に、病院の従業員が、患者が収容された後または外科的処置の補助として行うことのできる緊急処置としてのFS生成物の価値および汎用性に寄与する。有利なことには、FS生成物を開放創に直接使用してもよく、または他の包帯システムもしくは縫合システムと組み合わせて使用してもよい。
したがって、本発明の目的は、分離している組織間で強力であるが柔軟な生物学的に適合性のある結合を迅速に形成することができる即時使用可能なFS組成物を提供すること、あるいは創傷もしくは組織内の望ましくない開口をコーティングもしくは封着を実現すること、移植片を適用すること、義装具物質をコーティングすること、または周囲組織もしくは循環系に添加化合物を送達することである。生じる結合、被覆または封着は水密性であることが好ましい。このような組成物は、in vitroならびにヒトまたは動物の患者においてin vivoの組織上でのその意図される目的に有効である。さらに、本発明の目的は、所望の用途に応じて粘度および/または重合時間を変化させて、組織部位に組成物を配置することを容易にすることができるFS組成物を提供することである。
本発明のさらに別の目的は、分離している組織を結合する方法、創傷もしくは組織を封着もしくはコーティングして水密性の封着を形成する方法、移植片を適用する方法、または義装具物質をコーティングする方法を提供することである。
本発明のさらに別の目的は、このようなFS生成物を配合する方法、ならびにin vitroまたはin vivoで創傷を封着するため、移植片を施用するため、義装具をコーティングするため、または添加化合物を周囲組織もしくは循環系に送達するために該製品を使用する方法を提供することでもある。
また、本発明の目的は、即時性FS成分および最終FS生成物を組織または創傷部位に適用することである。本発明の特定の利点は、水溶液としての保存安定性のあるフィブリノーゲン成分を含む成分が、すぐに使用できるように利用可能であることである。したがって、組織もしくは創傷部位に適用する直前または適用と同時に成分を混合してFS生成物を形成する。即時性のFS組成物の記載した成分を用いて、二連のシリンジ送達装置を容易に使用して一貫性のある結果を得ることができる。なぜなら、成分がすぐに使用できる状態で保存されており、および実際に、送達を容易にするためにシリンジの容器内に別個にかつ安定に保存されていてもよいからである。
代替実施形態では、プランジャを押すことなどの積極的措置によって境界が開き、事前に測定された成分が混合されるように、それら成分を単一容器のシリンジ内の分割された区画内に別個にかつ安定に保存してもよい。その後、FS組成物の送達を、即時に単一の孔または針から組織または創傷部位に向け、フィブリンクロットの重合および架橋結合がその部位で直接的に起こることを可能にする。さらに別の代替実施形態では、フィブリンの重合および架橋結合が創傷部位で引き起こされる限りにおいて、シリンジ装置(単一筒または複数筒)を使用して、標準のシリンジ技術を用いて保存安定性のある成分をより大きな保存容器から吸い出してもよく、この場合、成分または混合されたFS組成物は上述のように送達される。
さらなる目的は、少なくとも2つのバイアルを含む、即時性FS組成物の即時使用可能な送達のためのキットを提供することである。1つのバイアルは、保存安定性のあるフィブリノーゲンの水溶液を、トロンビンまたはトロンビン様組成物などの活性剤溶液と混合した際にFSを形成するのに適した濃度で含み、第2のバイアルは、活性剤溶液(好ましくはトロンビン)を、第1バイアル内の保存安定性のあるフィブリノーゲンの内容物と混合した際にFSを形成するのに適した濃度で含む。前記の少なくとも2つのバイアルのうち1つの内容物に、フィブリン重合を確実にするのに有効な量でCaCl2を加えてそれと共に保存するか、あるいは、CaCl2成分を追加のバイアルで供給する。追加の成分(安定剤および/またはXIII因子など、および/または成長因子、薬物、抗生物質などの添加剤)を1つまたは複数の追加のバイアルによって供給するか、あるいは、このような追加の成分を前記の少なくとも2つのバイアルの内容物に加えてそれと共に保存する。
しかし、特に、本明細書中に提供するキットのバイアルは、シリンジ筒も含むことを明確に意図する。したがって、一実施形態では、キットは、即時性FS組成物が混合および送達されるまでフィブリノーゲン成分および活性剤成分が分離されたままである限り、単一の分割された筒または複数筒のシリンジ装置内に提供される記載した成分を含む。
本発明の追加の目的、利点および新規の特徴は、以下の説明、実施例および図で示され、部分的には以下を検討すること当業者にとって明らかとなり、または本発明を実施することによって理解されるであろう。
本発明は、即時使用可能で保存安定性のある濃縮液状フィブリノーゲン溶液から調製される、追加成分を含むまたは含まない保存安定性のあるフィブリンシーラント(「FS」)を含む。本発明のFSは、その成分が保存安定性であり即時利用可能であるので直ちに利用可能であり、このため新規性がある。具体的には、フィブリノーゲン成分は、貯蔵対応(shelf-ready)の水溶液であり、それは、「保存安定性」であり、すなわち、数日、数週間、数カ月またはそれ以上の期間の後に液状形態で安定に維持され、自発的にクロット形成しておらず(すなわち、トロンビン/Ca++などの活性剤の不在においてさえ「自発的クロット」を形成していない)、およびその生物学的活性(すなわち、トロンビンおよびCa++への曝露および激しい混合の際に迅速にフィブリンクロットを形成する能力)を保持している。したがって、開示した方法は、フィブリノーゲンを含めたFS成分が、即時使用可能な水溶液で、数日間にわたって活性かつ安定なままである(保存安定性のある)条件を示している。
本発明のFS組成物は非感染性であり、様々な外科的処置における高い引張強度、弾性、変形性、水密性、粘度および接着性を有する組織結合を提供する。また、該組成物を用いて、移植可能な装置をコーティングして強度および流体抵抗性を増大させること、物質移植装置の織布中の孔を封着すること、および血栓形成性を軽減させることができる。本開示では、別段に定義しない限り、本明細書中で使用するすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する当該分野の技術者に一般的に理解されているものと同一の意味をもつ。
本発明のFS組成物は、任意の形態のフィブリン単量体から調製したフィブリンポリマーを含む。本発明の好ましい実施形態では、FSフィブリンポリマーは、即座に、すなわち製剤の保存安定性のあるフィブリノーゲン成分を活性化した数秒間以内に形成される。
フィブリノーゲンからフィブリンへの酵素的変換は2段階のプロセスである。まず、活性化されたトロンビンまたはトロンビン様分子が、フィブリノーゲン分子の外側のAおよびB末端ペプチドを切断して、内部触媒作用に感受性のある可溶性単量体であるフィブリンIを形成する。活性化されたXIII因子(これは、プロトロンビンからトロンビンへの変換によってアップレギュレートされている)は、フィブリノーゲン単量体内の1対のアミノ酸間のアミド結合の形成を触媒し、最終的な架橋した不溶性フィブリンIIマトリックスが生じる。この切断はフィブリノーゲンの分子量を340,000ダルトンから334,000ダルトンへとわずかに減少させるが、このプロセスにより、必須な重合部位が露出し、集合し架橋したフィブリンクロットの形成が可能となる。非特許文献7および非特許文献8参照。
活性トロンビンおよびXIII因子の酵素活性によるフィブリノーゲンからフィブリンへの変換は、精密な生理的条件下で起こる。天然フィブリンの優れたクロット形成特性を有するマトリックスの外因的生成は、これら必須の生理的条件が満たされていることを必要とする。一実施形態では、本発明のFSは、送達時に2つの活性化されたまたは自己活性化された成分を混合することによって活性化される。第1成分は濃縮フィブリノーゲン製剤であり、これは、特定の実施形態ではアプロチニンなどのプロテアーゼ阻害剤をさらに含む。これを、トロンビンまたはトロンビン様等価物とCaCl2などのカルシウムとを含む第2の活性剤成分と等量で混合する。とはいえ、第2の活性剤成分は接合される部位で十分に利用可能であり、追加の成分は必要ない可能性がある。2つの成分のそれぞれ、およびそれに加える任意の化合物は、FS生成物において生理的フィブリン形成が可能な限り厳密に複製されていることを保証するように選択および調製される。
フィブリン単量体の非限定的な例には、フィブリンI単量体、フィブリンII単量体もしくはdesBBフィブリン単量体、またはそれらの組合せが含まれる。技術的には、用語「FS組成物」とは、フィブリン凝塊が形成される前数秒以内の、フィブリノーゲンと活性トロンビンまたはトロンビン様活性剤(ならびに他の必須成分および/または添加剤成分)との混合物を指すために使用する。FSフィブリンクロットが不可逆的に形成された後は、本明細書中では用語「FS生成物」または単に「フィブリンシーラント」もしくは「FS」を使用する。いずれにせよ、FS組成物からFS生成物への移行はわずか数秒間以内に起こり、およびそれは連続的なクロット形成プロセスであるので、「組成物」から「生成物」への変化には明白な境界はなく、これらの用語は本質的に互換性がある。より重要なことには、これらの用語は、FS組成物中の成分の混合物から、得られるFS生成物中の最終的なFSクロットへの経時的な移行を示すために使用する。
また、本発明の目的のために、「フィブリンポリマー」にはフィブリン単量体の重合から生じる任意のポリマーが含まれる。したがって、たとえばフィブリンI単量体からフィブリンポリマーへの変換は、変換ステップをどのように実施したかに次第で、架橋または未架橋のフィブリンIポリマー、および/または架橋または未架橋のフィブリンIIポリマーをもたらすことができる。
FS組成物の成分の粘度、ならびにFS成分を活性化した際に形成されるFSフィブリン製剤の粘度は、送達、配置、および重合中の安定性が、選択したFSの用途に必要な封着能力、弾性および強度をもたらすのに適切であるように変化させることができる。このような属性は、損傷または衰弱した組織を、縫合または既知の非縫合処置で可能な修復よりも速く、より効率的な外科的修復を可能にする。好ましくは溶液の形態で、最も好ましくは水溶液として創傷部位に送達されるFS生成物は、融着した組織を一体に保持するのに必要な引張強度を提供して、分離している組織を結合し、組織、義装具または移植表面に水密性の柔軟な封着を提供しなければならない。
任意選択的に、必要に応じて、粘度調整剤および/または結合増強剤を以下に記載のように組成物に加えてもよい。得られる組成物は、優秀な強度および優れた取扱特性を有するFS生成物を提供する。この組成物は、強力で均一な、弾性のある融着またはコーティングを形成することによるレーザー融着に特に適している。
本発明のFS組成物は天然または合成ペプチドから選択されるタンパク質成分を含み、該成分は、完全長の分子、酵素的に活性である、改変、開裂もしくは短縮されたそれらの変異体、またはそれらの架橋誘導体(非特許文献9参照)、ならびにそれらの混合物を含む。ペプチドには、特に単純タンパク質、複合タンパク質およびそれらの混合物が含まれる。このようなタンパク質の例には、球状タンパク質および繊維状または構造タンパク質が含まれる。球状タンパク質の例には、合成または天然の血清タンパク質、それらの天然または合成の誘導体、塩、酵素的、化学的または他の方法で改変され、切断、短縮もしくは架橋し、酸化もしくは加水分解されたそれらの誘導体またはサブユニット、およびそれらの混合物が含まれる。
FS組成物は、成分の用途および濃度に応じて、流動性のある液体から、ゾルまで、粘稠なゲルまでの範囲の形態で調製される。たとえば、組成物は、分離している組織を結合するためには、粘稠なゲルの形態で使用されることが好ましく、この場合、ゲルは、耐久性のある、水に不溶性の、不可逆的に架橋したクロットへと速やかに重合して、組織を一体に固定する。他方で、組織または義装具物質への水密性または抵抗性のある封着の形成は、より低粘性の組成物を使用して達成され得る。いくつかの場合では、保存安定性のあるフィブリノーゲン成分の活性化により、自発的に融着を形成する。他の場合では、エネルギーおよび/または光子を用いて組成物を活性化する必要があってもよい。
即時性フィブリンシーラントの成分
保存安定性のあるフィブリノーゲン成分
本発明のFS組成物の特徴が定義されており、これは、本発明のFSを調製する成分の性質によって類似の用途に使用してもよい従来技術の組成物から区別されている。本FS発明の好ましい実施形態の主な成分はフィブリノーゲンの高濃度溶液である。本発明のFS組成物のキーポイントは、その意図する目的のための、貯蔵対応の即時性の利用可能性であり、これは、保存安定性のあるすぐに使用できる水性フィブリノーゲン成分を使用する配合によって可能となっている。たとえば、参照によりその内容を本明細書中に組み込む特許文献23および特許文献24参照。
保存安定性のあるフィブリノーゲン成分
本発明のFS組成物の特徴が定義されており、これは、本発明のFSを調製する成分の性質によって類似の用途に使用してもよい従来技術の組成物から区別されている。本FS発明の好ましい実施形態の主な成分はフィブリノーゲンの高濃度溶液である。本発明のFS組成物のキーポイントは、その意図する目的のための、貯蔵対応の即時性の利用可能性であり、これは、保存安定性のあるすぐに使用できる水性フィブリノーゲン成分を使用する配合によって可能となっている。たとえば、参照によりその内容を本明細書中に組み込む特許文献23および特許文献24参照。
保存安定性のあるフィブリノーゲン成分は、血漿から単離かつ精製したものであれ、細胞培養技術によって産生したものであれ、組換えによって調製したものであれ、新たに単離したものであれ、任意のフィブリノーゲン製剤から最初に調製してもよく、または、凍結乾燥もしくは急速冷凍した血漿由来の製剤から新たに調製してもよい。源にかかわらず、フィブリノーゲン製剤は、濃度および成分を等価にした後は、本質的に同じ様に取扱いおよび使用する。フィブリノーゲン成分の保存安定性はフィブリノーゲンの元々の源に無関係である。実際、フィブリノーゲン溶液を安定に維持するのは、他者で適切な保存安定性のあるフィブリノーゲン溶液の作製に失敗しているところの、保存方法および水溶液の条件である。
即時使用可能なフィブリノーゲン溶液に対してトロンビン/Ca++を加えた後、迅速な粘度の増加および液体挙動の低下が見られ、これは「ゲル」と呼ばれる。ゲル状態では、フィブリノーゲン溶液はもはや自由に流動しないが、攪拌によって移動を強いることができる。この測定は主観的であるが、推定されるばらつきはわずか±2秒である。
「クロット」形成とは、攪拌によって固化した物質から液体を流動させることができなくなる点を越えた、フィブリノーゲン溶液の突然の固化である。固化した物質は、通常、巨視的に不透明白色になり、粘弾性を有する。典型的な生理的または非生理的なフィブリンクロットの走査型電子顕微鏡(SEM)写真は、たとえば、非特許文献10に示されている。クロットは、通常、試験管壁に接着し、管を固体表面上に激しくたたいても取り外すことができない。この測定はゲル形成よりも主観的でなく、迅速に固化する試料(8〜12秒)で推定される不確定性はわずか±1秒間であるが、よりゆっくりと凝集する(>100秒)試料ではわずかに長い可能性がある。
フィブリノーゲン成分の調製
フィブリノーゲン成分を凍結乾燥または急速冷凍した血漿由来の製剤から調製する場合、新たに調製したフィブリノーゲン溶液の生物学的活性が新鮮な血漿から単離かつ精製したフィブリノーゲンの匹敵する試料の活性と等価であり、溶液中に自発的なクロット形成が誘発されない限り、フィブリノーゲン製剤が凍結乾燥または急速冷凍されていた時間の長さは本発明のFS組成物の調製において考慮すべき要因ではない。
フィブリノーゲン成分を凍結乾燥または急速冷凍した血漿由来の製剤から調製する場合、新たに調製したフィブリノーゲン溶液の生物学的活性が新鮮な血漿から単離かつ精製したフィブリノーゲンの匹敵する試料の活性と等価であり、溶液中に自発的なクロット形成が誘発されない限り、フィブリノーゲン製剤が凍結乾燥または急速冷凍されていた時間の長さは本発明のFS組成物の調製において考慮すべき要因ではない。
フィブリノーゲン成分を全血から調製する場合、典型的には、100mlなどの一定量の血液を、抗凝血剤を含む標準の市販されている血液バッグに採取する。ヘパリン、EDTA、ヒルジン、クエン酸塩または直接的もしくは間接的にトロンビンの形成を予防することができる任意の他の薬剤など、任意の抗凝血剤を使用することができるが、それらに限定されるものではない。クエン酸塩が好ましく、これは市販されているフィブリノーゲン製剤中に一般的に見出される。その後、フィブリノーゲン成分を含む血漿を全血から分離する。
現在入手可能な市販のフィブリノーゲンには、単離および精製プロセスで使用した塩が含まれている。実施例で言及するように、これにはクエン酸ナトリウムおよび塩化ナトリウムが含まれるが、フィブリノーゲンの精製プロセスの残留部分であるこのような塩の存在は、本発明のFS組成物の調製において、得られる製剤の保存安定性またはその有効性に影響を与えないと考えられる。保存安定性のある即時使用可能なフィブリノーゲン溶液は、同等の新たに調製したフィブリノーゲン溶液の特徴を保持する場合のみ有効であるので、フィブリノーゲンの精製プロセスの効果はどちらでも本質的に同じであり、本発明には無関係である。とはいえ、非常に高濃度のクエン酸塩および/またはナトリウムは保存したフィブリノーゲン製剤のクロット形成に影響を与える可能性がある。
非限定的なFS成分の非制限的源は、血液、好ましくは哺乳動物の血液、さらに好ましくはヒトの血液、フィブリノーゲンおよび組換えフィブリノーゲンを分泌する細胞培養物であり、血漿が好ましい。血液は、たとえば全血を含めた任意の形態の血液であることができる。また、血液を利用して、(患者自身の血液製品に由来する)自己フィブリンシーラントを調製することができる。自己フィブリノーゲンは、特許文献23および特許文献24の保存安定性のある方法を使用して、ヒトまたは動物患者が後に使用するために調製かつ保存することができる。
任意の分離技術、たとえば沈降、遠心分離または濾過を利用できる。たとえば遠心分離を使用する場合、血液を遠心分離に適した容器に移し、室温で10分間、3,000gで遠心分離する。透明な上清の血漿(約50ml)をデカントし、細胞性成分を廃棄する。しかし、血小板に富んだ血漿を得ることが望ましい場合は、より小さなg力、たとえば500gで約20分間遠心分離することができる。血漿を含む上清を標準の技術によって取り出すことができる。その後、得られた血漿からフィブリノーゲンを単離し、たとえば、特許文献23および特許文献24に従って処理して、本発明のFSの調製に必要な時まで安定性を維持する。
一実施形態では、血漿由来のフィブリノーゲン成分は、濾過によって全血から調製される。濾過は、血液細胞を血漿から分離する適切なフィルターに全血を通すことによって実施することができる。フィルターは、良好なタンパク質の透過性を示す微孔質の膜であることが好ましい。上記のように、100mlの全血を抗凝血剤を含むバッグに採取し、その後、蠕動ポンプによって血液を良好なタンパク質の透過性を示すフィルター上を再循環させる。膜を横断する圧力降下が、血漿を押し通し、細胞性成分が再循環中の血液中に残存する。前述のようなさらなる処理のために、血漿(50ml)を採取する。
代替の実施形態では、フィブリノーゲンを分泌することができる任意の細胞培養物を本発明で利用することができる。培養および維持プロセスは、本質的には、哺乳動物細胞培養に関する標準的参考書に記載のように実施する。たとえば、HEPG2細胞をこの目的のために使用してもよい(たとえば、非特許文献11参照)。10%仔ウシ血清を含み、5%CO2で緩衝された最少必須培地中、1:4から1:8の分割比で、細胞をフラスコに播種し、約37℃で維持する。24〜36時間後、培地を除去し、適切なプロテアーゼ阻害剤および2IU/mlのヘパリンを含む、血清を含まない培地で置き換えた。さらに24時間培養を続け、連続して3回、血清を含まない培地を変える。条件を整えた培地を3,000gで10分間遠心分離してすべての細胞残骸を除去し、透明になった上清はフィブリノーゲンを含む。これは所望に応じて既知の方法を使用してさらに濃縮できる。
本発明のFS組成物のフィブリノーゲン成分は、組換えDNA技術からも調製することができる(たとえば、非特許文献12参照)。非特許文献12は、フィブリノーゲンの3つの鎖すべてを発現させる方法を教示しており、また、COS細胞がこれらの鎖を、トロンビン誘発性のクロットを形成することができる形態で発現、構築、および分泌することも教示している。調製後、細胞培養物で使用した上記のように細胞残骸を遠心分離または濾過によって除去し、その後、フィブリノーゲンを濃縮してもよい。
特定の実施形態では、細胞培養または組換え技術による本発明で使用する保存安定性のあるフィブリノーゲン成分の調製が好ましい可能性がある。なぜなら、血漿汚染物によるウイルス汚染が排除され、最終FS中の他の成分の存在に関してより完全に制御することができるからである。たとえば、血漿由来のフィブリノーゲン中には、多くの場合XIII因子が存在する。しかし、明示的に加えない限り、細胞培養物から調製したフィブリノーゲンにはXIII因子は存在せず、これにより、FS組成物に添加してフィブリン鎖の架橋を引き起こす量を正確に定量することが可能となる。
本発明の好ましい実施形態は、調製中の粗フィブリノーゲン生成物に対して、もしくはタンパク質純度が90%を超え、クロット形成可能なタンパク質が95%を超える最終的な濃縮フィブリノーゲン製剤に対して、またはその間の任意の濃度のフィブリノーゲンに対して適用可能である。たとえば、以下の実施例では、ヒトフィブリノーゲン製剤は53%のタンパク質純度および95%のクロット形成可能なタンパク質を有しており、一方、ウシフィブリノーゲン製剤は61%のタンパク質純度および97%のクロット形成可能なタンパク質を有していた。それにもかかわらず、両方ともに本発明のFS組成物の調製に適用可能であった。
本発明の好ましい実施形態では、本発明の保存安定性のあるフィブリノーゲン製剤は、高濃度であるが水溶液中に可溶化されたままであり、そのことは、このフィブリノーゲンを、追加成分を含むまたは含まない即時使用可能なFS組成物の調製における使用に特に適したものにする。即時使用可能なFS組成物を調製するために使用される場合、フィブリノーゲンは10〜85mg/mlの濃度、より好ましくは15〜75mg/mlの濃度、さらに好ましくは30〜70mg/ml濃度、最も好ましくは40〜65mg/mlの濃度で最適に保存される。さらに、本発明の保存安定性のある水溶液中のフィブリノーゲンまたはフィブリノーゲン含有タンパク質の濃度は、一般に2から10w/v%、好ましくは4〜7w/v%の範囲である。フィブリノーゲンの濃度は、280nmにおけるタンパク質の吸光度測定(1%フィブリノーゲン溶液の吸光度を14とする)によって決定される。
本発明の好ましい実施形態では、保存安定性のあるフィブリノーゲンは、生物学的に活性であり(すなわち、トロンビンおよびCaイオンの存在下でクロット形成する)、新鮮な試料と本質的に同じ物理的特徴を有する。これにより、FS組成物を調製して使用した場合に、新しく調製したフィブリノーゲンを使用して形成されるものと同タイプの制御されたフィブリンクロットが生成される。フィブリノーゲン(およびトロンビン)の濃度が、クロット形成時間、クロット強度、クロット接着、およびそれによる止血作用を規定する。議論する目的のために、本明細書において、このタイプのクロットを単に「フィブリンクロット」と呼称し、不安定な濃厚フィブリノーゲン溶液中でトロンビンまたは別の活性剤が存在しなくても発生する可能性がある「自発性クロット」からのプロセスと区別する。
しかし、本明細書中で使用する用語の目的は、保存安定性のあるフィブリノーゲン溶液から調製したFS組成物を、従来技術のフィブリノーゲン溶液の不安定性の指標である自発性クロットから区別することのみである。前記FS組成物においては、等量のフィブリノーゲンとトロンビン/Ca++とを激しく攪拌した場合にフィブリンクロットが迅速に形成されることによって組成物の活性が素早く実証される。従来技術であるフィブリノーゲンの水溶液が高度に不安定であり、保存中に自発的にクロットを形成する傾向があることで知られている事実は、以前に認められている方法を使用する際に、即時使用可能な液体状態でフィブリノーゲンを1日または2日間でさえも保存することを非実用的にする。
本発明の好ましい実施形態では、その使用前には、保存安定性のあるフィブリノーゲンはポリマー、プラスチックまたはプラスチック系の容器に保存される。しかし、より好ましくは、プラスチック容器はポリプロピレン製である。ガラスは自発的なクロット形成を増強させるので、保存フィブリノーゲンまたは血小板を保存するためにガラスを使用するべきではない。
本発明のフィブリノーゲン溶液は、活性剤溶液に曝される際に生理的なフィブリン構造を形成するのに理想的に適しており、フィブリンクロットが迅速に形成される。これは、以下に示すように、保存フィブリノーゲン溶液と、等体積のトロンビン/CaCl2溶液(たとえば、2.5単位/mgフィブリノーゲン(100単位/ml)のトロンビン、および溶液に加えてもよいクエン酸塩もしくは他のキレート剤より3〜6mM過剰のCaCl2を含む)とを混合することによって証明される。生じるクロットが生理的なフィブリン構造を実証している場合は、これは、生理的条件(すなわちイオン強度約0.15およびほぼ中性のpH)下で新たに調製したまたは新たに単離かつ精製したヒトフィブリノーゲンに対するトロンビンの作用によってクロットが形成される場合に示される、典型的な空間的に分枝した原繊維(fibril)構造を有する。
連続的な観察および試験による以前の実験により、好ましい条件下の本発明のフィブリノーゲン水溶液は、pH6.3から8.0、室温(〜23℃)または冷蔵(〜4℃)下で保存した場合に、少なくとも97日間にわたって安定に維持される(活性であり、かつ自発的にクロットを形成していない)ことが証明されている。実際、この成分は、濃縮タンパク質の既知の凍結または凍結乾燥製剤と比較して、非常に長い間安定であり、フィブリノーゲン生成物を最初に保存してから数年後においてさえ、活性が実質的に損失されずに維持されること(すなわち、混合した際にフィブリノーゲン/トロンビンフィブリンクロットが迅速に形成されること)が示されている。したがって、「長期保存」とは、本発明で開示した条件下において、少なくとも3日間、好ましくは少なくとも3週間、より好ましくは少なくとも10週間、さらにより好ましくは少なくとも6カ月間、さらに好ましくは少なくとも1年間、さらにより好ましくは少なくとも2年間(≧1年間にわたり凍結し、さらに追加の≧1年間にわたり〜4℃で保存すると仮定する)にわたって、タンパク質活性の損失が実質的にない、即時使用可能な形態のフィブリノーゲン溶液、好ましくはヒトフィブリノーゲン溶液の保存を意味する。したがって、至適条件下では、フィブリノーゲン溶液は少なくとも2年間またはそれ以上の期間にわたって安定に維持される。
ヒト患者には、本発明の方法に従ってFSの用途で「ヒト」フィブリノーゲンを使用することが好ましい。しかしながら、他の種、最も好ましくは他の哺乳動物種由来の安定に保存され、即時使用可能なフィブリノーゲン水溶液の使用も適用可能である。実際、保存したヒトフィブリノーゲンを哺乳動物種で使用することに関連する種適合性の問題はなさそうである。たとえば、本発明のヒトフィブリノーゲンを、水溶液中での保存後に使用して、たとえば哺乳類の任意の種の内部または表面上で使用する生体適合性のある組織接着製剤を調製してもよい。しかし、本発明のヒトフィブリノーゲン製剤の有利な用途は、それがヒト対象に対する即時使用可能な適用性から生じていることは理解されよう。
フィブリノーゲンの保存条件:温度およびpH
保存安定性のあるフィブリノーゲン成分の至適温度およびpHは本発明によって知られるであろうが、これら両方は既知の手段を用いて当業者によって迅速に決定されることができるであろう。しかし、水系ゲルもまた、該物質がそれに含まれるフィブリノーゲンの完全な可溶化を可能にする限り、かつその製剤が本明細書中に開示される方法による保存後に、即時使用可能な生物学的組織接着剤の迅速な調製または他の用途を可能にするのに十分な流体である限りは、本発明で使用することができる。本FS発明のキーポイントは、フィブリノーゲン成分が即時使用可能な流体形態で保存されることである。その即時使用可能な形態では、凍結乾燥製剤としても、急速冷凍状態でも保存されない。
保存安定性のあるフィブリノーゲン成分の至適温度およびpHは本発明によって知られるであろうが、これら両方は既知の手段を用いて当業者によって迅速に決定されることができるであろう。しかし、水系ゲルもまた、該物質がそれに含まれるフィブリノーゲンの完全な可溶化を可能にする限り、かつその製剤が本明細書中に開示される方法による保存後に、即時使用可能な生物学的組織接着剤の迅速な調製または他の用途を可能にするのに十分な流体である限りは、本発明で使用することができる。本FS発明のキーポイントは、フィブリノーゲン成分が即時使用可能な流体形態で保存されることである。その即時使用可能な形態では、凍結乾燥製剤としても、急速冷凍状態でも保存されない。
保存中の溶液の温度は、それに含まれるフィブリノーゲンが安定に維持される(すなわち、失活も自発的なクロット形成もしていない)限りは、特に限定されない。本発明のフィブリノーゲン溶液を保存する好ましい温度は、1℃から25℃、より好ましくは約4℃から約23℃の範囲である。冷蔵する場合は、至適温度は約4℃±1℃であり、この温度では製品は少なくとも1年間にわたって安定であることが証明されている(データ示さず)。室温で保存する場合は、至適温度は約20℃から25℃、より好ましくは約22℃から24℃の範囲であり、最も好ましくは温度約23℃±1℃の範囲であり、この温度では、製品は少なくとも3カ月間にわたって安定であることが証明されている(データ示さず)。さらに、予め凍結された試料(少なくとも1年間まで)は、その後少なくともさらに1年間にわたって4℃で安定に保存され、これにより、本明細書中で使用する製品が少なくとも2年間にわたって即時使用可能な形態で利用可能になる。
フィブリノーゲン水溶液のpH値は、保存中に、約pH6.0から8.2、より好ましくはpH6.2〜8.0、さらに好ましくはpH6.3から7.5、最も好ましくはpH6.5から7.36に調整されることが好ましく、ウシフィブリノーゲンに関してpH7.24、最も好ましくはヒトフィブリノーゲンに関してpH6.32から7.13が例示されている。
保存安定性のあるフィブリノーゲン溶液のpHは、それが保存されている緩衝液によって決定される。本発明の好ましい実施形態では、保存安定性のあるフィブリノーゲン溶液はヒスチジン緩衝液中で調製されるが、活性が維持されるが自発的クロット形成が起こらないように、得られるフィブリノーゲン溶液のpHが規定された範囲内にある限りは、当該技術において承認され生理的に許容される他の緩衝液を使用して、保存安定性のあるフィブリノーゲンを調製してもよい。たとえば0.1Mの適切な緩衝液には、ヒスチジン、pH6.0もしくは7.2から7.24;トリスpH8.16;グリシンpH9.3;または炭酸塩pH9.05から9.31もしくはpH9.86から9.9が含まれるが、それらpHレベルを達成するものに限定されるものではない。
特定のフィブリノーゲン溶液を保存するための至適pHは、以下の実施例に添付の表に示すように、物質を保存する温度にある程度依存する。しかし、本明細書中に提供する情報に鑑みて、当業者は、それに含まれるタンパク質が安定に維持されること(すなわち、失活も自発的クロット形成もしていない)が決定因子であることを知っているので、予定する保存温度および条件に基づいてフィブリノーゲン溶液の最適pHを選択することができるであろう。
たとえば、室温(〜23℃)で保存される即時使用可能なヒトフィブリノーゲンは、pH6.3から7.1、好ましくは約pH6.32で最適に維持され、保存した製剤を中和してトロンビン/Ca++に曝した際に迅速にクロットを形成する能力を保持する。即時使用可能なヒトフィブリノーゲンを冷蔵下(〜4℃)で保存する場合も、至適pHは、最適にはpH6.32から8.0、好ましくは約pH6.3から7.5に維持され、保存した製剤を中和してトロンビン/Ca++に曝した際に迅速にFSクロットを形成する能力を保持する(第2表参照)。
同様に、室温(〜23℃)で保存される即時使用可能なウシフィブリノーゲンは、最適にはpH6.5から9.0、好ましくは約pH6.5から8.2で維持され、保存した製剤を中和してトロンビン/Ca++に曝した際に迅速にFSクロットを形成する能力を保持する。即時使用可能なウシフィブリノーゲンを冷蔵下(〜4℃)で保存する場合も、至適pHは、最適にはpH6.5から9.0、好ましくは約pH6.5から8.2、より好ましくはpH6.5から7.07に維持され、保存した製剤を中和してトロンビン/Ca++に曝した際に迅速にFSクロットを形成する能力を保持する(第1表および第2表参照)。
活性剤成分、たとえばトロンビンまたはトロンビン様酵素
本発明の「活性剤」は、トロンビンまたはトロンビン様酵素である。トロンビンを含めた「トロンビン様酵素」とは、フィブリノーゲンからのフィブリンの形成を触媒できる任意の酵素を意味する。哺乳動物血液源由来、好ましくはヒト患者で使用するためにはヒト源由来のトロンビンに加えて、細胞培養または組換え手段によって酵素を産生させ、フィブリノーゲン成分に関して以下に記載のように単離することができる。ウシトロンビンは、Parke-Davisを含めた様々な製造業者から便利かつ商業的に入手可能である。
本発明の「活性剤」は、トロンビンまたはトロンビン様酵素である。トロンビンを含めた「トロンビン様酵素」とは、フィブリノーゲンからのフィブリンの形成を触媒できる任意の酵素を意味する。哺乳動物血液源由来、好ましくはヒト患者で使用するためにはヒト源由来のトロンビンに加えて、細胞培養または組換え手段によって酵素を産生させ、フィブリノーゲン成分に関して以下に記載のように単離することができる。ウシトロンビンは、Parke-Davisを含めた様々な製造業者から便利かつ商業的に入手可能である。
トロンビンは、フィブリノーゲンが不溶性ポリマーであるフィブリンを与える触媒として作用する。トロンビンは、フィブリノーゲンの重合を触媒するのに十分な量でFS組成物中に存在する。同様に、トロンビンは、フィブリン内の共有結合性架橋を触媒し、得られるクロットを不溶性にさせる血漿タンパク質であるXIII因子も活性化させる。
トロンビンの代替物またはトロンビン類似体として、トロンビン様酵素の一般的源をレプチラーゼ凝固剤、すなわちヘビ毒から精製する(たとえば、非特許文献13参照)。好ましいトロンビン様酵素は、アンクロドまたはバトロキソビン、特にB.Moojeni、B.MaranhaoおよびB.atrox由来のもの、およびAncrod、特にA.rhodostoma由来のものであるが、それらに限定することを意図しない。トロンビン様酵素の選択に依存して、このようなトロンビン様酵素は、トロンビンとは異なる速度であるがフィブリンを形成する、フィブリノペプチドAを放出することができる。
本発明のFS製剤の保存安定性のあるフィブリノーゲン成分が、たとえば創傷部位で患者の血液と接触する場合、患者自身のトロンビンおよびXIII因子がフィブリンポリマーを架橋したフィブリンポリマーへと変換するのに十分であり得ることに注意すべきである。したがって、内在性プロトロンビンおよびXIII因子を、フィブリン単量体または架橋結合していないフィブリンを含む組成物の成分として本発明のFSで利用することができる。しかし、通常、十分な量の内在性トロンビンおよびXIII因子は、保存安定性のあるフィブリノーゲン成分を、有効なフィブリン封着を生じるのに適した反応速度で架橋したフィブリンへと変換するのに十分な量で保持されないことに注意すべきである。より大きな創傷では、より多量の血液流により内在性物質が流され、クロット形成が起こらない。フィブリノーゲンを架橋したフィブリンへと変換するには、未架橋のフィブリンを架橋したフィブリンへと同等の速度で変換するよりも多くのトロンビンが必要であるようである。
本発明のFS組成物中のトロンビン成分の濃度は、用途、周囲条件(たとえば温度、pH、混合)、および所望する重合速度に応じて、溶液中の40mgのフィブリノーゲンあたりわずか150μgのトロンビンから、溶液中のトロンビンとフィブリノーゲンが等量である範囲であることができる。フィブリノーゲン成分ではなくFS組成物の観点からは、1mlのFS組成物あたり約4単位から約500単位のトロンビンを加える。あるいはまた、トロンビン成分は創傷部位によって提供されることができる。しかし、フィブリノーゲン成分の重合は、トロンビン単独の添加によっては重合の増大が不可能となる最大点までは、溶液中のフィブリノーゲンのそれぞれの分子を活性化するためにより多くのトロンビンが利用可能であるのに伴って、より速く進行する。
カルシウムイオン源、たとえばCaCl2は、本発明のFS組成物において、トロンビン成分がフィブリノーゲン成分を活性化することができる前に、トロンビン成分を活性化させるために必須である。しかし、カルシウムイオンを保存したトロンビン成分に組み込んでもよい。あるいはまた、CaCl2を重合前にFS組成物に加えてもよく、または十分な量のカルシウムイオンが創傷部位において単に内在的に利用可能であってもよい。
XIII因子を含まないFS製剤では、任意選択的にXIII因子を添加して、フィブリンの架橋を活性化させる。活性化されたXIII因子は、FS組成物に、1mlのFS組成物あたり約1.0から約20単位のXIII因子の最終濃度で添加することができる。あるいはまた、XIII因子は、創傷部位において血液または体液によって供給されるか、または自己血漿の添加によって供給することができる。
本発明の一実施形態では、活性剤酵素を支持体上に固定化する。これは、任意の適切な技術によって実施することができる。たとえば、支持体を誘導体化するために利用可能な様々な活性化化学基は、ジアゾニウム基、イソシアネート基、酸塩化物基、酸無水物基、スルホニルクロリド基、ジニトロフルオロフェニル基、イソチオシアネート基、ヒドロキシル基、アミノ基、n−ヒドロキシスクシンイミド基、トリアジン基、ヒドラジノ基、カルボジイミド基、シラン基および臭化シアンである。たとえば、参照によりその手順を組み込む非特許文献14を参照されたい。酵素のカップリングのために、低いpH値、たとえばpH4〜6を利用して酵素分解を防止することができる。
支持体としてアガロースを使用してもよい。しかし、シリカを使用することも可能である。一般に、支持体を反応性の高い化合物によって活性化し、次いでこれをリガンドの官能基、たとえば、−OH、−NH2、−SH、−COOH、−CHOと反応させて共有結合を形成させる。
本発明の特定の実施形態では、FS組成物はエネルギーおよび/または光子の適用によって活性化される。エネルギーは、好ましくは電磁スペクトルの波長を有し、X線、紫外線、可視光、赤外線、および電波から選択される。たとえば電気焼灼器などの電気的に加熱したプローブ、あるいは先端におけるガスの圧縮によって、または先端を加熱ガスもしくは液体に通すことによって加熱したプローブなど、直接の接触によって送達される熱エネルギーを使用してもよい。同様に、超音波周波数の音響エネルギー、またはマイクロ波範囲の電波を使用してもよい。エネルギーは連続的または非連続的に、狭帯域または広帯域の電磁波波長で送達される。光子源の例には、連続的にまたは非連続的に送達される、単色光および多色光、コヒーレント光または非コヒーレント光が含まれる。非連続的なエネルギーならびに/もしくは光子の送達には、単一パルスおよび/または複数の連続パルス列による送達が含まれる。光子は、偏光または非偏光で、直接または反射させて、内部もしくは外部干渉させてまたは干渉させずに送達させることができる。好ましい実施形態では、レーザーを使用し、該レーザーは紫外範囲、可視範囲、または赤外範囲のものを含むが、それらに限定されない。
激しい攪拌とともにトロンビンおよびカルシウムイオンを加えた際にクロット形成しない、即時使用可能なヒトフィブリノーゲンの保存溶液は、「トロンビン非感受性」と呼ばれる。トロンビン非感受性製剤は流体のままである(水に類似の粘度を有する)。しかし、このようなトロンビン非感受性のフィブリノーゲン試料をSDS−PAGE(ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動)によって分析することにより、フィブリノーゲンタンパク質が小さい分子量断片に不可逆的に分解されていることが示された。したがって、該製剤はもはや活性フィブリノーゲンを含まず、本発明の対象ではない。
追加成分(supplement)および添加剤
言及したように、本発明のFS組成物は、組成物の最終用途に応じて、粘度調整剤および/または結合増強剤をさらに含むことができる。たとえば、粘度調整剤を加えることにより、FS組成物に、修復または封着する組織に特に適した粘度を与える。分離している組織を結合させるためには高粘度の組成物が好ましく使用され、Gortex(商標)血管移植片などの連続的な組織塊および補綴材料を水密に封着するためのコーティングを形成するためには、より低い粘度の組成物が最も適している。このような粘度調整剤には、ヒアルロン酸およびその塩(たとえばヒアルロン酸ナトリウムもしくはコンドロイチンナトリウム)などの非細胞性マトリックス物質;または果糖、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、デキストラン類、アガロース、アルギン酸もしくはペクチン類などの糖類;またはグリセリンなどの多価アルコール;またはコラーゲンおよびカゼイン塩などのタンパク質ゲル;またはそれらの混合物が含まれるが、それらに限定されるものではない。
言及したように、本発明のFS組成物は、組成物の最終用途に応じて、粘度調整剤および/または結合増強剤をさらに含むことができる。たとえば、粘度調整剤を加えることにより、FS組成物に、修復または封着する組織に特に適した粘度を与える。分離している組織を結合させるためには高粘度の組成物が好ましく使用され、Gortex(商標)血管移植片などの連続的な組織塊および補綴材料を水密に封着するためのコーティングを形成するためには、より低い粘度の組成物が最も適している。このような粘度調整剤には、ヒアルロン酸およびその塩(たとえばヒアルロン酸ナトリウムもしくはコンドロイチンナトリウム)などの非細胞性マトリックス物質;または果糖、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、デキストラン類、アガロース、アルギン酸もしくはペクチン類などの糖類;またはグリセリンなどの多価アルコール;またはコラーゲンおよびカゼイン塩などのタンパク質ゲル;またはそれらの混合物が含まれるが、それらに限定されるものではない。
組成物の結合強度を改善するために結合増強剤を使用してもよい。このような結合増強剤は、(i)保存安定性のあるフィブリノーゲン成分と混合する前に活性剤成分に対して添加してもよく、(ii)重合の前に活性フィブリノーゲン/フィブリン混合物に対して添加してもよく、または(iii)FS物質を適用する前に創傷表面に塗布してもよい。結合増強剤は一般に、帯電したグリコサミノグリカン、オリゴ糖類および多糖類などの極性化合物、多価アルコール、および極性染料から選択される。とりわけ、これらの化合物の多くは粘度調整剤としても作用する。このような極性化合物の例には、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、グリセリン、インドシアニングリーン、およびフルオレセインナトリウムが含まれるが、それらに限定されるものではない。同様に、カルシウムなどの多価陽イオンも、FS組成物のタンパク質成分内の負に帯電した部分(アルブミン、およびヒアルロン酸やコンドロイチン硫酸などのグリコサミノグリカン類など)に結合することによって結合を増強し得る。
粘膜付着剤は、胃腸管および肺系など、創傷表面がムチンを含む場合に特に有用な結合増強剤である。粘膜付着剤の例にはカルボキシメチルセルロースおよびアルギン酸ナトリウムが含まれる。また、高コラーゲン含有量を有する創傷表面(高濃度のヒドロキシル基を有する)におけるこれら材料の使用も、結合形成を促進するために有利である可能性がある。非特許文献15に報告されているように、膨潤および水素結合の両方に関して高い電荷濃度が好ましく、これにより所望の組織表面への堅固な付着が可能となる。同様に、当業者に明らかであろう他の粘膜付着剤を使用してもよい。
組成物は必要に応じて、pH調整剤、界面活性剤、抗酸化剤、浸透圧調整剤、および保存料をさらに含んでいてもよい。pH調整剤の例には、たとえば酢酸、ホウ酸、塩酸、酢酸ナトリウム、硫酸水素ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、硝酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、および硫酸が含まれるが、それらに限定されるものではない。界面活性剤の例には、たとえば塩化ベンザルコニウムが含まれる。抗酸化剤の例には、たとえば硫酸水素塩が含まれる。浸透圧調整剤の例には、たとえば塩化ナトリウムが含まれる。保存料の例には、たとえば、クロロブタノール、ソルビン酸塩、塩化ベンザルコニウム、チメロサール、メチルパラベン、プロピルパラベン、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、およびpolyquadが含まれる。
典型的には、pH調整剤、界面活性剤、抗酸化剤、浸透圧調整剤、および保存料は、約0.001から5重量%の濃度で存在する。
組成物の成分は、意図する最終用途に具体的に適合し、粘度に加えて所望の結合強度ならびに粘度をもたらす量で組み合わせられる。一般に、FS組成物中のペプチドの量は、約1から99重量%、好ましくは約5から80重量%、より好ましくは約6から70重量%、さらにより好ましくは約6から50重量%から約8から35重量%の範囲である。存在する場合は、糖類は、約0.1から70重量%の範囲で組合せてもよい。存在する場合は、グリコサミノグリカン類は、好ましくは約0.1から20重量%である。存在する場合は、多価アルコールは、約0.1から90重量%の量で加えてもよい。
粘度調整剤および結合増強剤のような添加剤の量は一般に約65重量%以下である。
FS組成物の粘度は、実施する具体的な外科的手順に応じて選択される。分離している組織の結合には、約1,000から1,000,000センチポアズ、好ましくは約20,000から200,000センチポアズの範囲の粘度が有利である。好ましい範囲内の粘度を有するFS組成物は、皮下用シリンジまたは二連シリンジ装置から吐出させ、シリンジの先端を動かすことによって創傷領域に広げることによって、分離している組織上に容易に配置させることができる。その粘度範囲内では、FS組成物は、組織融着を形成させるためにエネルギーを施用した際にも組織から流れずに固定されたままである。
組織または補綴材料を封着するための水密性のコーティングを形成することが必要な用途において、好ましくは本発明のFS組成物の粘度はより低い。このような目的のためには、コーティングのための好ましい粘度は10から1,000センチポアズの範囲内である。組織またはコーティングする材料に組成物を効率的に被覆するために容易に広がる能力を可能にするために、より低い粘度が好ましい。
ヒアルロン酸または他の非ニュートン流体をFS組成物に加えた場合、剪断力の増加に伴って粘度が低下する。したがって、組成物を創傷表面に施用する際の剪断力を変化させることによって、FS組成物の粘度を調整することができる。たとえば、非常に濃いFS組成物を高速すなわち高い剪断速度で移植片を介して射出して、疑似塑性と呼ばれる特性を適用して該材料で移植片をコーティングする遷移段階の間の粘度を低下させることができる。これは、重合プロセスの間に剪断力にさらされない部位における融着に関して、粘性の高いFS物質を理想的とする。組成物を射出する際には、剪断力は高く、粘度が低下し、これにより射出が容易になる。組織に堆積させた後、剪断力がゼロまで低下し、したがって組成物の粘度は迅速に増加する。その結果、組成物は組織上に局在したままにされる。
本発明の特定の実施形態では、上述のように保存中にフィブリノーゲン溶液の活性が維持され、かつ自発的クロット形成が誘発されない限りにおいて、FS組成物に単独でまたは2種以上組み合わせられる任意の数の化合物(たとえば、それだけには限定されないが、成長因子、薬物、血液因子または他の化合物あるいはそれらの混合物)追加され、該FS組成物はこれらの担体ビヒクルすなわち送達ビヒクルとして作用する。たとえば、FS組成物または保存安定性のあるフィブリノーゲン成分などFS組成物の一成分に対して成長因子を追加することによって、ヒト患者または動物対象の特に創傷部位にFS組成物を適用する際に、創傷治癒、組織(再)生成などを加速、促進もしくは向上させることができる。
追加成分は、添加剤の性質、FS重合速度、成分間の相互作用などに応じて、フィブリノーゲンもしくはトロンビン成分、またはそれらの組合せ、あるいは最終FS組成物と混合してもよい。このような追加成分の用量は、慣用のフィブリンシーラントで利用されているものと同一であると信じられる。
最適には、担体すなわち送達ビヒクルとして使用される際は、追加成分を含むFS組成物は、(1)成長因子、薬物、または他の添加剤もしくは成分の生物活性を増強、刺激または媒介するものとして、(2)追加成分を含むFS組成物あるいはそこに使用されている保存安定性のあるフィブリノーゲン成分の1種もしくは複数種の添加剤または成分の活性(該活性はそうでなければ製剤中の成長因子を阻害または破壊する)を低下させるものとして、(3)本発明のFS組成物または保存安定性のあるフィブリノーゲン成分からの持続的な添加剤もしくは成分の放出を可能にするものとして、および(4)他の望ましい特性を有するものとして作用する。企図される添加剤または追加成分は、任意の突然変異体、誘導体、切断された形態またはそれらの他の改変された形態を含むことを意図され、それら形態は、前記添加剤または追加成分から誘導された化合物または組成物と同様の生物活性あるいはそれらのサブセットを有する、。
2つ以上の添加剤または成分を、同時に添加、すなわち本発明のFS組成物によって供給してもよい。目的に依存してこのような添加剤および/または成分の濃度はFS組成物中で変化するが、その濃度は、それら化合物および/または組成物がその意図する目的または述べた目的を達成することを可能にするために十分でなければならない。そのような追加成分が添加される量は、様々な濃度を試験し、および意図する目的および適用部位に有効な濃度を選択することによって、当業者が実験的に決定することができる。たとえばFS組成物のその後の送達を調査するために、染料、トレーサー、マーカーなども加えてよい。
追加成分を含むFS製剤は、本発明ほどに効率的または有効に機能しない可能性がある他の送達装置または機構によって、その必要性によりヒトまたは動物患者に現在送達されている成長因子および/または他の化合物に加えて、たとえば薬物、抗体、抗凝血剤、VII因子、VIII因子、IX因子、X因子、XIII因子などの凝固因子およびフォンウィルブランド因子を含んでいてよい。白血球もしくは内皮個体群を補充もしくは増大させる、白血球、内皮細胞などの経路を阻害する、または新規ペプチドを変調するのに役立つ様々な成分を加えてもよい。生物学的価値を有する化合物には、成長因子、たとえばEGF、TGFα、TGFβ、TGF−IおよびTGF−II、FGF、PDGFなど;サイトカイン、たとえばIFN−α、IFNβ、IL−2、IL−2、IL−3、IL−6、造血因子など;免疫グロブリン;代謝物質、たとえば、インスリン、コルチコステロイド、ホルモンなどが含まれる。他の物質には、生理的に許容される無生物材料、たとえばポリマー、ガラス、金属、セラミック、それらの複合材などの構造材料が含まれるが、それらに限定されるものではない。
また、他の物質、たとえば、フィブロネクチン、アプロチニンのようなフィブリン溶解阻害剤、α−2抗プラスミン、PAI−1、PAI−2、6−アミノヘキサン酸、4−アミノメチルシクロヘキサン酸、またはコラーゲンも加えることができる。
FS物質を、自己由来、培養または修飾した、内因性または外因性の細胞(上皮細胞、表皮細胞、線維芽細胞、骨芽細胞、間充織細胞、肝臓性細胞(肝細胞)、膵臓性細胞(たとえば、マクロファージ、血小板、T細胞、B細胞、顆粒球、単球、ケラチノサイトなど)、もしくは培養した修飾細胞等)と混合して、治療または成長を増強させる物質を送達してもよい。
歯科または整形外科の用途において、配合物中に、天然もしくは合成の無機ミネラルまたは無機ミネラルの混合物、望ましくはヒドロキシアパタイトもしくは骨粉や骨細片中に見いだされるミネラルを配合物に加えてもよい。ミネラルは、所望する流動特性または意図される使用および部位に応じて、フィブリノーゲン成分に対して約1:2から約4:1の体積比で存在する。脱ミネラル骨マトリックス(DBM)は、オステオゲニンを含む骨形成タンパク質(BMP)として知られる骨誘発性タンパク質、および骨幹細胞の増殖を調節する成長因子の源である(たとえば、非特許文献16および非特許文献17参照)。残念なことには、DBM物質は、粒子状の髄自己移植片と組み合わせない限りは臨床的使用ほとんどなく、治療上の効果をもたらすためにレシピエントの骨中に外科的に配置することができるDBMの量には限界がある。さらに、DBM粉末およびオステオゲニンは、その骨誘発性の潜在能力が発現される前に組織液によって流され得る。さらに、DBMが充填された骨腔への組織液の滲出または創傷ベッドへの軟組織組織の崩壊は、DBMおよびオステオゲニンの骨誘発性特性に顕著に影響を与え得る因子の2つである。同様に、創傷ベッドへの軟組織組織の崩壊は、骨適合性幹細胞の創傷ベッドへの適当な移動を阻害する恐れがある。
また、FSは、細胞が創傷領域内へと移動して新しい組織を生成するのに使用できる「足場」としても役割を果たすことができる。さらに、生育可能な骨芽細胞をドナー部位から採取して、移植に使用するために組成物中に組み込んでもよい。粒子形態の他の骨回復性材料を使用してもよい。適切な無生物材料には、ポリ乳酸およびポリグリコール酸、ポリメチクリレート、ポリHEMA、バイオガラス、セレバイタル(cerevital)および他のガラス、Al、Ti、CoCrおよび他の金属、Al2O3および他のセラミックスなど、ならびにそれらの組合せおよび複合材がある。これらは、骨ミネラルと同じ体積対体積比で使用してもよい。組織の修復部位に応じて、コラーゲン、フィブリン、フィブリノーゲン、アルブミンなどから作製したタンパク質性の粒子またはビーズのような他の回復性物質も使用してよい。リポソームを組み込んでもよい。
前述したように、FS組成物は、感染症を軽減または予防するために抗生物質、たとえばゲンタマイシン、セフォタキシム、ネバセチン(nebacetin)およびシソマイシン、ヒスタミニンH2拮抗剤(たとえばラニチジン)、ならびに抗癌薬をさらに含んでいてもよい(たとえば、非特許文献18、非特許文献19、非特許文献20、非特許文献21、非特許文献22、非特許文献23および非特許文献24参照)。抗生物質は、抗生物質が液体である場合は重合前にFSの液体成分もしくは得られるFS組成物に組み込んでもよく、または抗生物質が粉末形態である場合は液体成分中に懸濁させてもよい。薬物放出系での使用における広範な種類の抗生物質の治療用量レベルはよく知られている(たとえば、非特許文献25参照)。抗微生物剤は、口内の部位など露出している創傷修復部位、または火傷など易感染性の創傷部位に適用する組成物に特に有用である。
発色団および指標組成物
1つの実施形態では、本発明の組成物は、内在性または外来性の発色団をさらに含んで、温血動物内に配置中の物質の可視化を容易にする。発色団を使用することにより、創傷部位を標的にするためのFSの可視化が可能となる。同様に、これは、所望の適用部位から外れたすべての材料を確認する迅速な手段を提供し、次いでセルローススポンジ、ガーゼパッド、または他の吸収性物質を使用した、この外来性物質の除去を可能にする。ヘモグロビンのような内在性発色団の使用は、非特許文献26に開示されている。生物学的接着剤の配置を補助するために外来性発色団を使用することは、以前に記載されている(たとえば、非特許文献27参照)。
1つの実施形態では、本発明の組成物は、内在性または外来性の発色団をさらに含んで、温血動物内に配置中の物質の可視化を容易にする。発色団を使用することにより、創傷部位を標的にするためのFSの可視化が可能となる。同様に、これは、所望の適用部位から外れたすべての材料を確認する迅速な手段を提供し、次いでセルローススポンジ、ガーゼパッド、または他の吸収性物質を使用した、この外来性物質の除去を可能にする。ヘモグロビンのような内在性発色団の使用は、非特許文献26に開示されている。生物学的接着剤の配置を補助するために外来性発色団を使用することは、以前に記載されている(たとえば、非特許文献27参照)。
使用してもよい発色団には、フルオレセインイソチオシアネート、インドシアニングリーン、硝酸銀などの銀化合物、ローズベンガル、ナイルブルー、エバンズブルー、Q-Switch(商標)(Kodak, Inc.)、スダンIII、スダンブラックBおよびインドインクが含まれるが、それらに限定されるものではない。好ましくは、発色団は、組成物の全重量に基づいて約0.01から50重量%の濃度で存在する。当業者に明らかであるタイプの他の発色団を使用してもよい。
また、このような物質は、組成物が低エネルギーレベルでエネルギーを吸収するように組成物の吸収特性を変化させることができる。これにより、エネルギー吸収性化合物によって選択的に吸収される電磁スペクトルの特定の波長を使用して物質を加熱することが可能になる。たとえば、これにより、他の方法ではエネルギーが本発明の組成物に吸収されないであろう特定のレーザーを使用して物質を加熱することが可能になり、また、これらのレーザーを使用して組成物を標的に結合させることが可能になる。特定の波長にピーク光吸収を有する染料の選択、および該波長をレーザービームなどの光源から発せられる光の波長との一致により、隣接組織への望ましくない付随的な熱損傷の危険性を著しく軽減させると同時に、コーティングまたは封着の部位における組成物の選択的活性化が可能になる。
インドシアニングリーンまたはフルオレセインのような外来性染料、およびヘモグロビンおよびメラニンのような内在性発色団などは、この目的のために特に適している。また、これらの色素は、接着性、結合強度および/または粘度を増大させ得る。好ましくは、このような色素は、組成物の全重量に基づいて約0.01から50重量%の量で組成物中に存在する。
カオトロピック剤
FS生成物のフィブリンの形成を遅らせることが望ましい場合は、フィブリノーゲンと活性剤とが接触した際に形成されるフィブリン単量体の自然重合を防止するためにカオトロピック剤を加える。カオトロピック剤をこのようなフィブリノーゲン組成物を混合し、その後、約1分間から2分間攪拌して修飾されたフィブリノーゲン溶液を形成させる。その後、上述のようにフィブリノーゲンをフィブリン単量体へと変換することができるが、重合が遅延する。
FS生成物のフィブリンの形成を遅らせることが望ましい場合は、フィブリノーゲンと活性剤とが接触した際に形成されるフィブリン単量体の自然重合を防止するためにカオトロピック剤を加える。カオトロピック剤をこのようなフィブリノーゲン組成物を混合し、その後、約1分間から2分間攪拌して修飾されたフィブリノーゲン溶液を形成させる。その後、上述のようにフィブリノーゲンをフィブリン単量体へと変換することができるが、重合が遅延する。
適切なカオトロピック剤には、たとえば、尿素、臭化ナトリウム、塩酸グアニジン、KCNS、ヨウ化カリウムおよび臭化カリウムが含まれる。カオトロピック剤の好ましい濃度は約0.2から約6.0モル濃度であり、最も好ましくは約0.3から約2.0モル濃度である。フィブリン単量体の自発的重合を予防することが可能な最も少ない量のカオトロピック剤を利用することが好ましい。より好ましくは、フィブリン単量体の重合を所望する時まではカオトロピック剤にカルシウムイオン源を加えるべきでない。これにより、内在性血液凝固因子による活性化によってはフィブリン単量体が架橋しないことが保証される。
カオトロピック剤をフィブリノーゲンまたはトロンビン成分の水性緩衝液に加えた場合は、組成物をたとえば蒸留水で希釈することによって、得られるフィブリン組成物を架橋したフィブリンへと変換することができる。この希釈は、最少量の希釈剤を利用するように行う。一般に、希釈後に得られるカオトロピック剤の濃度は約0.5から約0.1モル濃度であるべきである。
FS組成物の緩衝
創傷部位への適用の後、1つの実施形態では、FS組成物を約5未満のpHを有する酸性緩衝液を用いて酸性に緩衝する。適切な酸性緩衝溶液の非限定的な例には、酢酸、コハク酸、グルクロン酸、システイン酸、クロトン酸、イタコン酸、グルタミン酸、ギ酸、アスパラギン酸、アジピン酸およびそれらの塩が含まれる。コハク酸、アスパラギン酸、アジピン酸および酢酸塩が好ましく、酢酸ナトリウムがより好ましい。酸性緩衝液の好ましい濃度は、約0.02Mから約1M、より好ましくは約0.1Mから約0.3Mの範囲である。このような好ましい濃度は、組成物のイオン強度をより生体適合性が高いものにする。
創傷部位への適用の後、1つの実施形態では、FS組成物を約5未満のpHを有する酸性緩衝液を用いて酸性に緩衝する。適切な酸性緩衝溶液の非限定的な例には、酢酸、コハク酸、グルクロン酸、システイン酸、クロトン酸、イタコン酸、グルタミン酸、ギ酸、アスパラギン酸、アジピン酸およびそれらの塩が含まれる。コハク酸、アスパラギン酸、アジピン酸および酢酸塩が好ましく、酢酸ナトリウムがより好ましい。酸性緩衝液の好ましい濃度は、約0.02Mから約1M、より好ましくは約0.1Mから約0.3Mの範囲である。このような好ましい濃度は、組成物のイオン強度をより生体適合性が高いものにする。
したがって、本発明の1つの実施形態では、フィブリン単量体を含む組成物は活性剤酵素を実質的に含まない。「実質的に含まない」とは、トロンビンもしくはトロンビン様酵素のすべてが除去されているか、または組成物中に残存しているトロンビン様酵素は望ましくない薬理効果をもたらすのに不十分なレベルであることを意味する。したがって、活性剤酵素を実質的に含まない本発明の組成物は、フィブリンクロット中に通常見出される酵素の約0から10%、好ましくは約0から2%の酵素の量で活性剤酵素を含んでいてもよい。
本発明の好ましい実施形態はさらに、前述の定義に従った本発明の即時性のFS組成物を調製する方法をさらに提供する。
さらに別の好ましい実施形態では、適切なアルカリ性緩衝液を使用して本発明のFS組成物を調製する。適切なアルカリ性緩衝液の非限定的な例には、HEPES、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸水素ナトリウムおよび炭酸水素カリウムなど炭酸水素塩緩衝液、クエン酸のトリ金属塩、酢酸塩ならびに硫酸塩が含まれる。好ましいアルカリ性緩衝液には、0.5〜0.75Mの炭酸ナトリウム/炭酸水素ナトリウムpH10〜10.5、0.5〜0.75Mの炭酸水素ナトリウム/NaOH pH10.0、1.5Mのグリシン/NaOH pH10.0、0.5〜1.0Mのビスヒドロキシエチルアミノエタンスルホン酸(BES)pH7.5、1Mのヒドロキシエチルピペラジンプロパンスルホン酸(EPPS)pH8.5、0.5MのトリシンpH8.5、1Mのモルホリンプロパンスルホン酸(MOPS)pH8.0、1Mのトリスヒドロキシメチルアミノエタンスルホン酸(TES)pH8.0および0.5Mのシクロヘキシルアミノエタンスルホン酸(CHES)pH10.0が含まれる。0.5〜0.75Mの炭酸ナトリウム/炭酸水素ナトリウムpH10〜10.5、0.5〜1.0Mのビスヒドロキシエチルアミノエタンスルホン酸(BES)pH7.5、1Mのヒドロキシエチルピペラジンプロパンスルホン酸(EPPS)pH8.5および1Mのトリスヒドロキシメチルアミノエタンスルホン酸(TES)pH8.0が最も好ましい。
利用するアルカリ性緩衝液の量は、フィブリンを重合するのに十分な量であるべきである。フィブリン単量体を含む組成物の約10部から約1部を、約1部のアルカリ性緩衝液と混合することが好ましい。このような比が約9:1であることがさらにより好ましいが、好ましい比は選択した緩衝液およびフィブリンポリマーの所望される「強度」に依存する。もちろん、フィブリンポリマーの所望される強度は、FS組成物の意図する最終用途によって決定される。
FS重合の活性化
フィブリン単量体を含む組成物のpHを上昇させることまたはカオトロピック剤を希釈することに加えて、該組成物のプロトロンビンおよびXIII因子を活性化させて架橋したフィブリンを形成させることが好ましい。このような活性化は、FS組成物の成分をカルシウムイオン源と接触させることによって行うことができる。カルシウムイオン源は、フィブリノーゲンまたはトロンビンの緩衝液に含めることができる。前述のように、カルシウムイオンの非限定的な源には、好ましくは約30mMの濃度の塩化カルシウムが含まれる。あるいは、それほど好ましくはないが、カルシウムイオン源を、創傷部位の血液によって供給することができる。
フィブリン単量体を含む組成物のpHを上昇させることまたはカオトロピック剤を希釈することに加えて、該組成物のプロトロンビンおよびXIII因子を活性化させて架橋したフィブリンを形成させることが好ましい。このような活性化は、FS組成物の成分をカルシウムイオン源と接触させることによって行うことができる。カルシウムイオン源は、フィブリノーゲンまたはトロンビンの緩衝液に含めることができる。前述のように、カルシウムイオンの非限定的な源には、好ましくは約30mMの濃度の塩化カルシウムが含まれる。あるいは、それほど好ましくはないが、カルシウムイオン源を、創傷部位の血液によって供給することができる。
炭酸塩/炭酸水素塩の緩衝液を使用する場合、カルシウムイオン源は可溶化ステップで酸性緩衝液に加えなければならない。これは、塩化カルシウムが炭酸塩/炭酸水素塩の緩衝液に可溶性ではないからである。好ましくは、酸性緩衝溶液中のカルシウムイオンの濃度は約5ミリモル濃度から約150ミリモル濃度であり、より好ましくは約5mMから約50mMである。
製品の安全性
細胞培養によって調製した場合以外は、FS組成物は血漿タンパク質を含み、その結果、ヒト血漿タンパク質を汚染する可能性があるもの、具体的には肝炎ウイルスまたはHIVなど血液由来の病原体での汚染の危険性を伴う。既知のウイルス失活方法を使用した場合、広い流血表面に使用した場合においてさえ、市販のフィブリンシーラントからのウイルス伝染の報告はない。貯蔵したヒト血漿からの血漿誘導体の製造において、ウイルスは分画プロセスの一部として分離される。特定のウイルスは一部の分画で分離されるが他の分画では分離されず、一部の場合では、血漿誘導体から特定の感染性因子を取り除くためには分離することのみで十分であるかもしれない。しかし現在では、AIDSの流行以来、HIVは免疫グロブリンから有効に取り除かれ得るが、抗血友病因子の濃縮物中に残存することができることが今や知られている。したがって、すべての血漿分画が汚染されていると想定し、積極的な失活方法を使用することが非常に重要である。
細胞培養によって調製した場合以外は、FS組成物は血漿タンパク質を含み、その結果、ヒト血漿タンパク質を汚染する可能性があるもの、具体的には肝炎ウイルスまたはHIVなど血液由来の病原体での汚染の危険性を伴う。既知のウイルス失活方法を使用した場合、広い流血表面に使用した場合においてさえ、市販のフィブリンシーラントからのウイルス伝染の報告はない。貯蔵したヒト血漿からの血漿誘導体の製造において、ウイルスは分画プロセスの一部として分離される。特定のウイルスは一部の分画で分離されるが他の分画では分離されず、一部の場合では、血漿誘導体から特定の感染性因子を取り除くためには分離することのみで十分であるかもしれない。しかし現在では、AIDSの流行以来、HIVは免疫グロブリンから有効に取り除かれ得るが、抗血友病因子の濃縮物中に残存することができることが今や知られている。したがって、すべての血漿分画が汚染されていると想定し、積極的な失活方法を使用することが非常に重要である。
多数のウイルス失活戦略が調査され、従来技術の文献に記載されている。たとえば、血液製品におけるウイルス失活方法には、透析、限外濾過、2段階蒸気加熱(累積的)、高温高圧滅菌、トリ(n−ブチル)ホスフェート(TNBP)またはTween 80などの溶媒洗剤、ソラレン類似体などの光化学物質、低温殺菌(加熱)、放射線被曝、および紫外線処理が含まれるが、それらに限定されるものではない。高温での加熱または蒸気によるウイルス失活は、本発明のフィブリノーゲン溶液を含めた生物活性のあるタンパク質溶液には実用的でない。しかしながら、ナノ濾過は、滅菌保存容器内に入れる前に本発明の成分(ヒトフィブリノーゲン溶液など)の失活を引き起こさない任意選択の処理である。
感染性を5桁(log)低下させるウイルス失活方法が、製剤がもはや感染性でないことの保証を提供するであろう。たとえば、Tisseel VHフィブリンシーラントの生成に使用されている蒸気加熱プロセスにより、2段階プロセスの蒸気加熱ステップのそれぞれでウイルス力価が少なくとも6.4桁単位低下し、汚染の危険性が無視できるようにすることが示されている。当分野で知られている方法によって、安定化添加剤を除去するために様々な洗浄ステップを使用することができる。従来技術のフィブリンシーラント組成物にウイルス失活を有効にもたらすことが知られている方法を使用してもよく、これらは本発明の即時性のFS生成物において同等に有効となるであろう。
FS組成物の調製および使用方法
本発明のFS組成物を形成する方法は、一般に良好に形成された組成物をもたらす以下の調製技術を含むが、それらに限定されない多数の方法によって行ってよい。調製は一般に22.5℃〜30℃以下の温度で実施される。最初に、フィブリノーゲンと活性剤成分とを配合して、所望の濃度で滅菌水溶液にする。以前は可能でなかった本発明の利点は、水溶液をその後、数日間、数週間または数カ月間にわたって、混合した際に本発明のFS組成物を形成する活性すなわち能力を顕著に変化させずに安定に保存することができることである。FS組成物が必要な時には、フィブリノーゲン成分を中和し、FSの意図する目的に応じてCaCl2、XIII因子および他の添加剤も含んでいてよい活性剤成分と混合する。それら成分は、組成物の意図する最終用途によって決定される比で混合される。主要成分の分子の混合を向上させるために、組成物を内部的にまたは外部的に、典型的には以下の実施例に記載のように激しく攪拌もしくは振盪することによって、ゾルまたはゲルが形成されるまでかきまぜることが有利である。
本発明のFS組成物を形成する方法は、一般に良好に形成された組成物をもたらす以下の調製技術を含むが、それらに限定されない多数の方法によって行ってよい。調製は一般に22.5℃〜30℃以下の温度で実施される。最初に、フィブリノーゲンと活性剤成分とを配合して、所望の濃度で滅菌水溶液にする。以前は可能でなかった本発明の利点は、水溶液をその後、数日間、数週間または数カ月間にわたって、混合した際に本発明のFS組成物を形成する活性すなわち能力を顕著に変化させずに安定に保存することができることである。FS組成物が必要な時には、フィブリノーゲン成分を中和し、FSの意図する目的に応じてCaCl2、XIII因子および他の添加剤も含んでいてよい活性剤成分と混合する。それら成分は、組成物の意図する最終用途によって決定される比で混合される。主要成分の分子の混合を向上させるために、組成物を内部的にまたは外部的に、典型的には以下の実施例に記載のように激しく攪拌もしくは振盪することによって、ゾルまたはゲルが形成されるまでかきまぜることが有利である。
代替の実施形態では、成分を組合せた後に、物質の粘度、結合、または可視性を増強させる添加剤を加えてもよい。それ自体ではFSに影響を与えないがin vitroまたはin vivoで患者または組織に送達するために添加される成分に加えて、pH調整剤、安定剤、プロテアーゼ阻害剤、界面活性剤、抗酸化剤、浸透圧調整剤、保存料など他の成分をこの時点で添加してもよい。
本発明の好ましい実施形態では、フィブリノーゲンに抗微生物剤はまったく加えず、むしろ既知の技術を使用して無菌性を保つ。しかし、代替の実施形態では、抗微生物剤を例示した程度まで添加して、長期保存中にフィブリノーゲン溶液成分が微生物によって汚染されることを避ける。フィブリノーゲン溶液の活性が保存期間を通して維持され、自発的クロット形成が誘発されず、かつその抗微生物剤がヒトでの使用において禁忌でない限りにおいて、任意の承認されている生理的な抗微生物剤は本発明の目的において許容される。
したがって、ヒトフィブリノーゲンのような保存安定性のあるフィブリノーゲン成分から調製される本発明の即時性のフィブリンシーラントは、そのような生物学的に調製された追加成分を含むまたは含まない組織接着剤を使用する任意の知られている方法、たとえば、抗生物質、抗悪性腫瘍剤、麻酔剤などの送達のような注入目的を含む薬理的もしくは美容的な使用;形成再建手術における軟組織増強剤または軟組織置換物として;縫合糸を使用せずにもしくは縫合糸の数を減らしてレシピエント部位に皮膚移植片を結合させるため、または骨の修復および再構築における移植した無傷の骨芽細胞の成長マトリックスとして使用してもよい。また、FSは、耳小骨連鎖再建、神経の融着、または縫合による修復が不可能もしくは望ましくない他の状況などの用途において、あるいは創傷の包帯剤として使用することもできる。
FSは、外科的適応および技術によって決定される多くの方法において、患者における創傷治癒、凝固、フィブリノーゲン貧血(fibrinogenanemia)のため;手術中または手術後の後遺症を抑制するため;義装具をコーティングするため;包帯剤を使用可能な(dressable)創傷封着のため、ならびに安全かつ持続した止血作用、すなわち流体および/または空気の漏れを封止するために適用してもよい。本発明の特定の好ましい実施形態は、本発明の即時性のFS組成物を直接使用して組織または器官を連結させ、それだけには限定されないが、止血するため、創傷を治癒するため、外科的創傷を封着するため、遠位の冠状動脈の融着、左心室の縫合線、大動脈切開部位およびカニューレ挿入部位の縫合口出血、再手術で起こる心筋外膜出血、ならびに静脈出血部位からの滲出の止血作用を含めた血管手術において使用するための方法を提供する。本発明はまた、挿入前にダクロンおよび他の移植片を封止するため、ならびに義装具をコーティングするため、脾臓、肝臓および他の実質器官における出血を止めるため、気管および気管支の融着および肺の空気漏出または裂傷を封着するため、気管支断端、気管支瘻、および食道瘻を封着するため;不縫合性の無縫目治癒、ならびに脳内AVM、肝臓AVM、大腸の血管形成異常、食道静脈瘤、などの血管放射線医学における塞栓形成法、十二指腸潰瘍に付随する胃腸管の「ポンプ」出血の封着に有用である。本発明はさらに、角膜移植、鼻出血、扁桃摘出;抜歯および他の応用における止血作用を提供するのに有用である。
前述の記載した用途のそれぞれにおいて、患者の正常な組織の完全性に破損がある。破損の位置すなわちFSの適用部位は、本明細書中では「創傷部位」と総称するが、必ずしも本質的に創傷でなくてもよい。たとえば、空気漏出も義装具の付加も、必ずしも創傷ではないが、簡潔性のために、これらを本明細書中で「創傷」と総称する。なぜなら、これらはそれぞれ正常組織の破損の位置で起こり、かつそれぞれが本発明のFS組成物の適用によって封着または処置されるからである。
本発明の好ましい実施では、FS組成物を形成させて「即時」に変換させる。これは、創傷部位への接触と同時発生的に、または300秒以内、好ましくは180〜240秒以内、より好ましくは150〜180秒以内、さらに好ましくは100〜150秒以内、最も好ましくは100秒未満以内に、フィブリン単量体が形成されて重合フィブリンもしくは部分重合フィブリンへと変換される、および/または未架橋のフィブリンが架橋したフィブリンへと変換されることを意味する。実際、即時性のFSクロットは典型的には60秒未満、より多くの場合には30秒未満以内に形成され、および本明細書中に提供する実施例では、FSクロットは、一貫して、8から30秒以内、最も多くの場合には9から12秒以内に形成された。
したがって、同様に、「即時に」または「同時発生的に」とは、保存安定性のあるフィブリノーゲン成分の活性化の際に、300秒以内、好ましくは180〜240秒以内、より好ましくは150〜180秒以内、より好ましくは100〜150秒以内、より好ましくは100秒未満、より好ましくは60秒未満、より好ましくは30秒未満、最も好ましくは8から30秒以内、典型的には9から12秒以内に起こるフィブリン形成ステップを指す。しかし、最も長い時間においてさえ、従来技術の製剤と比較すると、本発明のFSは「即時」である。なぜなら、フィブリノーゲンおよび他の成分が常に水溶液中で即時使用可能であり、時間を消費する困難な計量、あるいは凍結乾燥もしくは凍結した配合物または新鮮な血液試料もしくは血漿試料からこれらの成分を別個に混合および調製しなくてよいからである。
好ましい1実施形態では、創傷部位におけるフィブリン形成ステップおよび接触ステップは「同時発生的」(同時を意味する)であるが、重合の完了には上述の時間範囲内の追加の期間を要してもよい。しかし、FS組成物成分からフィブリンへの変換ステップは、活性化および/または接触の60秒以内、好ましくは30秒以内、より好ましくは15秒以内、さらにより好ましくは10秒以内、最も好ましくは0〜10秒以内に起こる。そうでなければ、FS組成物は意図する部位から流出し得る。
最後に、即時におよび同時発生的にとは、すべてのフィブリン単量体(保存安定性のあるフィブリノーゲンの活性化から生じたもの)が重合されるか、または架橋したフィブリンへと変換される程に接触ステップより前ではないが、接触ステップの前に、変換ステップが起こることも意味することができる。たとえば、本発明の本実施形態は、保存安定性のあるフィブリノーゲン成分を、得られる混合組成物を創傷部位に施用する前にシリンジ型の装置中で、カルシウムイオンの存在下でトロンビンまたはトロンビン様酵素に曝すことによって活性化した際に起こる可能性がある。得られるのフィブリンの全てが接触ステップの前に重合されるか、または架橋したフィブリンに変換されると、組成物はもはやいかなる流体性も保持せず、これはもはや満足できるフィブリンシーラントを形成することができず、もはやこのような目的に使用することもできなくなる。理想的には保存安定性のあるフィブリノーゲン成分がFSフィブリン組成物へと変換されるまでに約30秒未満しかかからないので、変換を遅らせるためにカオトロピック剤などの成分が加えられている場合以外は、変換ステップは接触ステップの約30秒を超える、好ましくは約3〜10秒を超える時間より前に開始されるべきでない。本実施形態は、最大量のFS組成物が所望の部位で重合すると同時に優れたフィブリンクロットが形成することを保証するので好ましい。その結果、保存安定性のあるフィブリノーゲンから調製された本発明のFS組成物は、シーラント配合物の調製において多くの起こり得る変動要素を排除し、これにより厳密に制御された条件下で創傷部位へのFS組成物の適用を可能にする。
FSの送達
本発明のFS生成物は、少なくとも2つの成分を使用直前に混合することによって便利に形成される。第1の成分は即時使用可能な水溶液中の保存安定性のあるフィブリノーゲンを含み、第2の成分は活性剤成分、典型的にはトロンビンまたはトロンビン様活性剤およびカルシウムイオンである。XIII因子および/または他の添加剤成分も、本明細書中の他の箇所に記載したように含めてもよい。一般に、二シリンジシステムを使用して成分を便利に送達し、それらシリンジは直径約1mm以下の開口部を有するシリンジ−シリンジコネクタによって連結されている。単純な一般に利用可能な器具を用いて実質的な均一性を達成することができる。
本発明のFS生成物は、少なくとも2つの成分を使用直前に混合することによって便利に形成される。第1の成分は即時使用可能な水溶液中の保存安定性のあるフィブリノーゲンを含み、第2の成分は活性剤成分、典型的にはトロンビンまたはトロンビン様活性剤およびカルシウムイオンである。XIII因子および/または他の添加剤成分も、本明細書中の他の箇所に記載したように含めてもよい。一般に、二シリンジシステムを使用して成分を便利に送達し、それらシリンジは直径約1mm以下の開口部を有するシリンジ−シリンジコネクタによって連結されている。単純な一般に利用可能な器具を用いて実質的な均一性を達成することができる。
従来技術におけるFSの適用には、典型的には流れを創傷に向けるために大きな針を使用される単一の開口部から出て行く際にフィブリノーゲンとトロンビンが混合される二連シリンジ装置が含まれる。しかし、このような送達システムは、その内部で、針および管の閉塞を引き起こす可能性のあるクロットを形成することが知られている。また、既知の二連シリンジシステムは、充填および操作が不便であり、およびフィブリノーゲンおよびトロンビン成分の混合が不十分である場合、生じるクロットの強度または弾性が不足する恐れがある。多くの創傷部位がその部位で著しい量の流体を漏出するので、不適切に形成されたフィブリン封着は無効であるか、または流され得る。しかし、これらの問題は本発明によって克服されている。なぜなら、安定なフィブリノーゲンが、混合、測定または時間の遅れなしで即時使用可能な形態で水溶液中に保存されており、およびこれをペン型のシリンジ送達装置内に直接保存してもよいからである。
本発明では、重合の直前に成分を混合する。それら成分は、接着剤の最終的な調製を単純にするために適切な体積(好ましくはそれら体積は実質的に等しい)で混合することを可能にする濃度で配合してもよい。好都合なことには、使い捨ての混合用チップを備えた二筒式シリンジホルダを使用することができる。あるいはまた、上述の2つのシリンジを使用して2つの成分を混合することができ、または、それら成分を創傷部位に直接適用し、その部位で混合を起こしてもよい。しかし、好ましくは、部位への送達時にFS組成物を形成させるために、成分を送達前に、または送達プロセス操作手順の一部として完全に混合する。
二筒式シリンジはY字型であることができ、これにより、保存安定性のある成分からのFS成分の混合、および接触ステップと同時にまたは直前に変換ステップを活性化が可能になる。代替の実施形態では、Y字型の二筒式シリンジではなく、2つの開口部を有する二筒式シリンジを利用することができる。これにより、創傷部位との接触および保存安定性のある成分からFSポリマーへの変換が同時に可能となる。さらに別の代替の実施形態では、二筒式シリンジの保存安定性のある成分を所望の部位に噴霧することができる(非特許文献28参照)。さらに別の代替の実施形態では、保存安定性のある成分は、非多孔性の物質であって、後に変換されるFSの送達の直前に成分の混合を可能にするために穿孔、破壊、溶解または単に取り除かれる物質によって分離されて、単筒式シリンジ内に保持される。
別法として、フィブリノーゲンは、シリンジによって送達される医薬品で用いられる標準の薬物送達技術を使用して、より大きな容器から送達装置内に容易に吸い出される。
フィブリンシーラントキット
本発明では、少なくとも2つのバイアルを含む、即時性のFS組成物を即時使用可能な送達のためのキットがさらに提供される。既に言及したようにガラス製でない1つのバイアルは、保存安定性のあるフィブリノーゲンの水溶液を、トロンビンまたはトロンビン様組成物などの活性剤溶液と混合した際にFSが形成されるのに適した濃度で含み、第2のバイアルは、好ましくは第1バイアル内の保存安定性のあるフィブリノーゲンの内容物と混合した際にFSが形成されるのに適した濃度のトロンビンである活性剤溶液を含む。「バイアル」には、本明細書ではシリンジ筒が含まれることを意図し、複数のバイアルには複数筒式のシリンジ装置が含まれる。
本発明では、少なくとも2つのバイアルを含む、即時性のFS組成物を即時使用可能な送達のためのキットがさらに提供される。既に言及したようにガラス製でない1つのバイアルは、保存安定性のあるフィブリノーゲンの水溶液を、トロンビンまたはトロンビン様組成物などの活性剤溶液と混合した際にFSが形成されるのに適した濃度で含み、第2のバイアルは、好ましくは第1バイアル内の保存安定性のあるフィブリノーゲンの内容物と混合した際にFSが形成されるのに適した濃度のトロンビンである活性剤溶液を含む。「バイアル」には、本明細書ではシリンジ筒が含まれることを意図し、複数のバイアルには複数筒式のシリンジ装置が含まれる。
2つの成分を混合した際にフィブリノーゲン成分が中和されるように、活性剤溶液のpHを調節することができ、または、活性剤成分と混合する前にフィブリノーゲン成分を中和するために中和緩衝液の別個のバイアルを提供してもよい。
CaCl2などのカルシウムイオン源を、少なくとも2つのバイアルのうち1つの内容物に、フィブリン重合を保証するのに有効な量で加えてそれと共に保存される。好ましくは、それはトロンビン活性剤成分と組み合わせられる。代替の実施形態では、カルシウム(CaCl2)成分を追加のバイアルにて供給する。安定剤および/またはXIII因子などの追加の成分、および/または成長因子、薬物、抗生物質などの添加剤は、1つもしくは複数の追加のバイアルによって供給されるか、あるいはまた、そのような追加の成分を前記の少なくとも2つのバイアルの内容物に加えてそれと共に保存する。
本発明の好ましい実施形態では、保存安定性のあるフィブリノーゲン成分は約75〜115mg/mlの範囲の濃度で供給され、トロンビンは約500IU/mlで供給される。存在する場合は、CaCl2は約40mmol/リットルで供給される。存在する場合は、アプロチニンなどのフィブリン溶解阻害剤は約3000KIU/mlで供給される。追加の成分は、存在する場合は、それを加える目的によって決定される適切な濃度で供給される。たとえば、FS成分自体を安定化させることを意図する抗微生物成分は、本明細書中で例示するように低濃度で供給し、一方、FSを適用する患者への徐放性の送達を意図する抗微生物組成物は、はるかに高い濃度で供給される。このような量または濃度は、医薬配合物の分野の当業者によって決定できるか、または知られているであろう。同様に、当業者は、禁忌なしに2種以上の特定の成分もしくは添加剤を混合して単一のバイアル中に保存できるかどうか、または同じ成分もしくは添加剤が、個別のバイアル内に別個に供給した場合に、より独立して活性かつ保存安定性のままであるかどうかを知っているであろう。
本発明を、実施例によってさらに説明する。しかし、それら実施例は、当業者への例示目的として提供されており、限定することを意図しない。さらに、実施例は、添付の特許請求の範囲を限定すると解釈されるべきでない。したがって、本発明は、決して以下の実施例に限定されると解釈されるべきでなく、むしろ、本明細書中に提供する教示の結果明らかとなる任意のすべての変形実施形態を包含すると解釈されるべきである。
(実施例1) 室温、中性pHの水性溶液中で保存されるフィブリノーゲンを使用した製剤のFSクロット形成アッセイ
フィブリノーゲンの保存安定性のあり、即時使用可能な水溶液からFS組成物を迅速に調製する能力を評価するために、長期間にわたって水溶液中に保存したフィブリノーゲンを使用して調製したフィブリンシーラントのクロット形成活性を評価した。
フィブリノーゲンの保存安定性のあり、即時使用可能な水溶液からFS組成物を迅速に調製する能力を評価するために、長期間にわたって水溶液中に保存したフィブリノーゲンを使用して調製したフィブリンシーラントのクロット形成活性を評価した。
ウシフィブリノーゲン、ウシトロンビン、緩衝溶液、塩化カルシウム、水酸化ナトリウムおよび塩酸をSigma Chemical Company(St. Louis, MO)から購入した。ヒトフィブリノーゲンは、53%のタンパク質(95%がクロット形成可能なもの)および47%の塩を含むと証明された。ウシフィブリノーゲンは、61%のタンパク質(97%がクロット形成可能なもの)および39%の塩を含むと証明された。
標準の研究グレードのフィブリノーゲンは、単離および精製プロセスで使用した塩を含む。これにはクエン酸ナトリウムおよび塩化ナトリウムが含まれる。したがって、40mg/mlのフィブリノーゲン溶液は、フィブリノーゲンに加えて、たとえば54mMのクエン酸ナトリウムおよび419mMの塩化ナトリウムを含む。さらに、抗微生物剤として各試料にアジ化ナトリウム(0.025%)を加えたが、本発明の好ましい実施形態では、フィブリノーゲンには抗微生物剤を全く加えず、むしろ知られている技術を使用して無菌性を保つ。
クロット形成アッセイは、概して非特許文献29に従った以下の方法によって行った。一定分量の各フィブリノーゲン試料のアリコート(100μl)を4mlのポリプロピレン製試験管に加えた。0.1Mの水酸化ナトリウム、0.2Mのヒスチジン緩衝液(pH6.0)または0.1Mの塩酸(より大きな体積を用いて予備研究で決定した)を使用して、各試料を中和した(pH7.0〜7.5)。トロンビンを200単位/mlとして、1Mの塩化カルシウム(フィブリノーゲン製剤中のクエン酸ナトリウムに対して3〜6mM過剰のカルシウム)と共に調製した。その後、トロンビン調製物を0.1Mのヒスチジン緩衝液(pH7.2)で希釈し、最終トロンビン濃度100単位/ml(フィブリノーゲン1mgあたり2.5単位のトロンビン)とした。全ての試料を室温(23±2℃)でアッセイした。
クロット形成は、100μlのトロンビンをフィブリノーゲン試料(100μl)に加え、混合物を激しく混合した際に起こった反応の時間を測ることによって測定した。溶液が粘性のあるゲルになった時(混合中の液体が劇的に遅くなる)および固形クロットになった時(混合しても全ての液体の動きが止まる時点)の時間を記録した。固形クロット形成の時間は、多くの場合、ゲル形成の2倍の時間であった。
記載した手順に従って、保存フィブリノーゲン溶液を中和し、トロンビン(125単位/1mgのフィブリノーゲン)とフィブリノーゲン溶液中のクエン酸塩に対して3〜5mM過剰のCaCl2とを加えることによって、手動のクロット形成アッセイを25℃で実施した。調製物を激しく混合し、凝塊の形成に必要な時間を上述のように測定した。
室温(23℃)の水溶液中に保存されたpH7.24のヒスチジン緩衝液中のウシフィブリノーゲンを使用したクロット形成の結果は以下のとおりである。3日間保存したフィブリノーゲンでは9秒以内にクロットが形成され、36日間の保存では10秒以内にクロットが形成され、72日間(10週間以上)の保存では9.5秒以内にクロットが形成された。したがって、クロット形成アッセイの結果は、即時使用可能な水溶液(中性pH)中で長期間にわたって室温で保存したフィブリノーゲンから調製した製剤中でFSクロットを形成させるために必要な時間に関して、不変である。
(実施例2) 2つの温度および一定範囲のpH値で保存したフィブリノーゲン溶液を使用したFS凝塊形成アッセイ
フィブリノーゲンの保存安定性のある即時使用可能な水溶液からFS組成物が迅速に調製される能力を評価するために、長期間にわたって、一定範囲のpH値(pH6.50からpH9.87)で、室温(〜23℃)および冷蔵下(4℃)の水溶液中に保存したフィブリノーゲンを使用して調製されるフィブリンシーラントのクロット形成活性を評価した。フィブリンの2つの溶液を、実施例1の安定性研究に記載したようにクロット形成アッセイで評価した。
以下の0.1M緩衝液:ヒスチジン、pH6.0または7.2;トリスpH8.16のうち1つ中で保存するためにそれぞれ調製した第1表ではウシフィブリノーゲン(39mgのタンパク質/ml)、第2表ではヒトフィブリノーゲン(40mgのタンパク質/ml)のクロット形成の結果を示す。
前述の明細書中で引用したいずれの特許文献、特許出願および出版物も、参照によりその全体が本明細書中に組み込まれる。
前述の明細書は特定の好ましい実施形態について記載しており、多くの詳細な記述が例示目的で示されているが、本発明の精神および範囲から逸脱せずに本発明を様々な改変および追加の実施形態に供してもよく、また本明細書中の詳述の一部を変化させることができることは当業者に明らかであろう。このような改変、等価な変化および追加の実施形態も、添付の特許請求の範囲内にあることが意図される。
Claims (18)
- 保存安定性のあるフィブリノーゲン水溶液成分および活性化したトロンビンまたはトロンビン様成分から調製されることを特徴とする、即時使用可能で直ちに入手可能なフィブリンシーラント(FS)組成物。
- 少なくとも1種の追加の成分を前記フィブリノーゲンと活性化したトロンビンもしくはトロンビン様成分との重合の前、間、または直後に添加することを特徴とする、請求項1に記載のFS組成物。
- 請求項1または2に記載のFS組成物をin vitroで使用することを特徴とする方法。
- 請求項1または2に記載のFS組成物をin vivoで使用することを特徴とする方法。
- 前記保存安定性のあるフィブリノーゲン水溶液成分と前記水溶液中の活性化したトロンビンもしくはトロンビン様成分を混合する工程と、フィブリンゲルもしくはゾルが形成されるまで前記成分を混合する工程とを含むことを特徴とする、請求項1、3または4のいずれかに記載のFS組成物を調製する方法。
- 前記保存安定性のあるフィブリノーゲン水溶液成分と前記水溶液中の活性化したトロンビンもしくはトロンビン様成分を混合する工程と、前記混合した成分に少なくとも1種の追加の成分を加える工程と、フィブリンゲルもしくはゾルが形成されるまですべての前記成分を混合する工程とを含むことを特徴とする、請求項2、3または4のいずれかに記載のFS組成物を調製する方法。
- 請求項1から6のいずれかに記載のFS組成物を、組織に送達する方法であって、前記FS組成物を送達する直前まで、前記保存安定性のあるフィブリノーゲン水溶液は、全ての他の成分とは別個に保存されることを特徴とする方法。
- 前記FS組成物は二筒式シリンジから送達され、前記保存安定性のあるフィブリノーゲン水溶液成分が一方の筒内に別個に保存され、前記水溶液中の活性化したトロンビンまたはトロンビン様成分が第2の筒内に保存されており、それら成分は前記シリンジからの送達の際に混合されて前記FS組成物が形成されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
- 少なくとも1種の追加の成分が、前記二連シリンジ装置の第2の容器に保存されている前記水溶液中の活性化したトロンビンまたはトロンビン様成分と共に保存されており、送達の際にそれら成分が全て混合されて前記FS組成物が形成されることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
- 前記保存安定性のあるフィブリノーゲン水溶液成分および前記水溶液中の活性化したトロンビンまたはトロンビン様成分は、前記シリンジからの送達の際または送達の直前に穿孔、破壊、溶解または単に取り除いて、それら成分を混合して前記FS組成物を形成することを可能にする非多孔性材料によって分離されている単一筒式シリンジ内に別個に保存されていることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のFS組成物を組織に送達する方法。
- 請求項1から10のいずれかに記載のFS組成物を、調製および送達するためのキットであって、前記FS組成物の調製、送達および使用のための取扱説明書一式、ならびに前記保存安定性のあるフィブリノーゲン溶液の水溶液を含む非ガラス製のバイアルを含むことを特徴とするキット。
- 水溶液中の活性化したトロンビンまたはトロンビン様成分を含むバイアルをさらに含むことを特徴とする、請求項11に記載のキット。
- 前記成分を混合してFS組成物を形成させ、およびそれから前記FS組成物を送達する手段をさらに含むことを特徴とする、請求項11または12に記載のキット。
- 少なくとも1種の追加の成分が第2のバイアル内の前記水溶液中の活性化したトロンビンまたはトロンビン様成分と共に保存され、それら成分はすべて送達の際に混合されて前記FS組成物が形成されることを特徴とする、請求項12または13に記載のキット。
- 各バイアルが二筒式シリンジの筒の1つを形成することを特徴とする、請求項11から14のいずれかに記載のキット。
- 請求項1から10のいずれか一項に記載のFS組成物を調製および送達するためのキットであって、(1)前記FS組成物の調製、送達および使用のための取扱説明書一式、ならびに(2)前記保存安定性のあるフィブリノーゲン水溶液成分と前記水溶液中の活性化したトロンビンまたはトロンビン様成分とを含み、それら成分は、前記シリンジからの送達の際または送達の直前に穿孔、破壊、溶解または単に取り除いて、それら成分を混合して前記FS組成物を形成することを可能にする非多孔性材料によって分離されている、非ガラス製のシリンジを含むことを特徴とするキット。
- 前記成分を混合してFS組成物を形成させ、およびそれから前記FS組成物を送達する手段をさらに含むことを特徴とする、請求項16に記載のキット。
- 少なくとも1種の追加の成分が前記水溶液中の活性化したトロンビンまたはトロンビン様成分と共に保存され、送達の際にそれら成分をすべて混合して前記FS組成物を形成させることを特徴とする、請求項16または17に記載のキット。
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