JP2005515759A - GroELキメラ蛋白質およびワクチン - Google Patents

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Abstract

例えば病原性微生物の抗原決定基を含む表面に露出した外因性アミノ酸配列を含むキメラGroEL蛋白質が提供される。外因性アミノ酸配列をGroEL蛋白質の親水性領域に挿入して、抗原決定基に特異的に反応する免疫応答を誘発するための抗原決定基表出手段を提供することができる。これは、誘発した免疫応答に細胞性の偏りを提供し、したがって細胞内寄生生物に対して特に有用であると考えられる。

Description

本発明は、哺乳動物の抗原に対する免疫応答を誘発する方法において用いることができるGroELキメラ蛋白質およびワクチン、特に微生物またはアレルゲンの免疫原決定基(immunogenic determinant)が挿入された蛋白質または核酸を有するキメラGroEL蛋白質または核酸を提供することにより、微生物またはアレルゲンに対する免疫応答を促進することに関する。
哺乳動物の特定の微生物疾患は、高リスク群にワクチン接種することにより適切に予防される。ワクチンの型は伝統的に死滅または弱毒生菌である。このアプローチは、感染時に存在する抗原はワクチン量産中にはマスクされているか、または存在しない可能性があるために、すべての病原体に対して成功しているわけではない。加えて、ワクチン接種群の死滅したと推定された生菌への偶発的曝露、および微生物全体から製造された製剤の成分、特にエンドトキシンに対する有害反応に関連するリスクがある。
微生物全体から製造されたワクチンの使用に関連する問題を回避するために、数十年にわたって主に努力されてきたのは感染微生物の表面上に存在する特定の抗原決定基を同定することであり、この抗原決定基に対する抗体が感染のリスクを低下させ、好ましくは除去することができる。この目的は、オプソニン化と感受性群の免疫系による処分とのために抗体と相互作用するために、微生物上に安定に存在する1つまたは複数の主要な抗原決定基を同定すること;および1つまたは複数の主要抗原決定基に対する適切な免疫応答を誘発することを試みることである。
この主要な抗原決定基を使用することにより、関係している微生物に対する適切な応答を得ることも期待される。したがって、細胞内の病原体に対しては細胞性免疫に偏った免疫応答が好ましい。あるいは、病原体の侵入に対する特定の障壁を示す粘膜免疫を提供することも好ましいと考えられる。
いくつかの重要な蛋白質が主要抗原として同定されており、または実際には腸内病原体におけるトキシンおよび線毛蛋白質などの原因として同定されている。全蛋白質、または修飾蛋白質がワクチン接種試験の基礎として用いられている。しかし、免疫プログラムに対する免疫応答は低く、予防効果を提供するには不十分であると判断されているケースもある。
特定の抗原決定基についての理解がさらに正確になっており、特にいくつかの蛋白質の場合には特定の直鎖アミノ酸配列であることが判明している。これは微生物ならびにアレルゲンについてあてはまる。したがって、これらのアミノ酸配列を感受性群において免疫応答を誘発する形態で存在させることが期待される。1つのアプローチにおいて、これらの直鎖抗原決定基を、表面に露出し、それによって適当な免疫応答を引き起こすように、別の蛋白質に挿入する。そのようなキメラ蛋白質を含む製剤による免疫によって誘発される免疫応答の性質には不確定な点がある。例えば、応答の種類が適当であるかどうか、または十分に強い応答が提供されるかどうかは確かではない。加えて、1つだけの抗原決定基に対する免疫応答では、必要とされる防御を提供するのに十分ではないと考えられる。
キメラ蛋白質を標的動物内に存在させることで、強い免疫応答が誘発されることが明らかにされている。このキメラ蛋白質は毒性を伴う蛋白質VapAの抗原決定基をロドコッカスエクイ(Rhodococcus equii)のGroEL2蛋白質に挿入したものである。
この知見は、子ウマのR.エクイ(R.equii)感染症に対処する有望なアプローチを示しているが、抗原決定基、または通常は抗原性の低い肝抗原を挿入したキメラGroEL蛋白質を用いて他の感染に対する免疫応答を増強するメカニズムも示している。データ、特にDNAワクチン接種のデータはTh1応答の増強を示しているが、これは体液性免疫に比べて細胞性免疫が大きいことを示すものであり、したがって一般的アプローチは特に細胞内感染症に対して適用可能であると考えられる。この知見は、微生物感染症だけでなく、より一般的に免疫応答を誘発することも示唆しており、例えばアレルゲンの場合に望ましいと考えられる様々な抗原に対する低免疫応答の誘発に適用可能である。
したがって、第1の態様の広範な形態において、本発明は哺乳動物において抗原決定基に対する免疫応答を誘発する方法であって、哺乳動物に免疫反応を誘発するための経路および形態で抗原決定基と反応するキメラ蛋白質を供給する工程を含むとともに、このキメラ蛋白質がその中に挿入されて表面に露出した外因性アミノ酸配列を有するGroEL蛋白質、その修飾体または類縁体であり、前記外因性アミノ酸配列が抗原決定基に特異的な抗体と反応するものに属するということができる。
しかし、本発明は特に微生物感染症に適用可能であり、したがって、第2の態様の広範な形態において、本発明は哺乳動物において微生物の抗原決定基に対する免疫応答を誘発する方法であって、哺乳動物にキメラ蛋白質を投与する工程を含むとともに、このキメラ蛋白質がその中に挿入されて表面に露出した外因性アミノ酸配列を有するGroEL蛋白質、その修飾体または類縁体であり、前記外因性アミノ酸配列が微生物の抗原決定基に特異的な抗体と反応する免疫応答を誘発するよう構成されたものに属するということができる。
第3の態様の広範な形態において、本発明は、その中に挿入されて表面に露出した外因性アミノ酸配列を有するGroEL蛋白質、その修飾体または類縁体であるキメラ蛋白質であって、前記外因性アミノ酸配列が抗原決定基に特異的に反応する免疫応答を誘発するよう構成されたものに属すると言うことができる。
第4の態様の広範な形態において、本発明はキメラ蛋白質をコードする核酸であって、このキメラ蛋白質がその中に挿入されて表面に露出した外因性アミノ酸配列を有するGroEL蛋白質、その修飾体または類縁体であって、前記外因性アミノ酸配列が抗原決定基に特異的に反応する免疫応答を誘発するよう構成されたものに属すると言うことができる。
第5の態様の広範な形態において、本発明は哺乳動物において微生物またはアレルゲンに対する免疫応答を誘発するための組成物であって、薬学的に許容される担体中のキメラ蛋白質を含み、このキメラ蛋白質がその中に挿入されて表面に露出した外因性アミノ酸配列を有するGroEL蛋白質、その修飾体または類縁体であり、前記外因性アミノ酸配列が微生物またはアレルゲンの抗原決定基に特異的な抗体と反応するものに属すると言うことができる。
略記法により、アミノ酸残基についての下記の三文字および一文字略号を表1の定義のとおりに本明細書で用いる。
特定のアミノ酸残基を蛋白質のポリペプチド内のその位置によって言及する場合、アミノ酸の略号に残基番号を上付き文字で添えて(すなわちXaa)用いる。
Figure 2005515759
GroEL蛋白質は最初、大腸菌中で溶菌感染中のバクテリオファージカプシド構築に必要とされる宿主因子の1つとして同定された。groEL2遺伝子は種間で高度に保存されており、系統発生研究において用いられている(Gupta、1995、Gupta、2000)。GroELファミリーのメンバーはすべての真正細菌細胞ならびに真核生物のミトコンドリアおよび葉緑体で見いだされる(Gupta、1995)。
GroELは様々な細菌蛋白質の正しい折りたたみを促進し、同様にATP依存性メカニズムにより変性蛋白質の凝集を防ぐことが知られている(Craigら、1993)。GroEL蛋白質は中心に空洞を有する七量体の環状に配置された14のサブユニットからなる。この中心の空洞は「アンフィンセンのかご(Anfinsen cage)」と呼ばれ、蛋白質の再折りたたみのための保護された環境を提供する(Maら、2000)。
ほとんどの真正細菌において、サイズが約60〜65kDaの蛋白質をコードするgroEL(L−大きい)遺伝子は、小さい蛋白質(Hsp10)をコードするgroES(S−小さい)遺伝子と共にgroEオペロン中に存在する(SegalおよびRon、1996)。オペロン中にgroEL遺伝子のコピーを1つだけ含む生物もある(SegalおよびRon、1996)。しかし、ミコバクテリア属(Rinke de Witら、1992)や、特に窒素固定ダイズ根粒菌であるBradyrhizobium japonicumなどのα−プロテオバクテリアを含む生物で、その染色体にGroELをコードする遺伝子の2つまたはそれ以上のコピーを有するものがある(KarlinおよびBrocchieri、2000)。ミコバクテリア属および他の放線菌類などの生物は2つのgroEL遺伝子を含む。これらの1つはgroEL2と命名され、通常は2シストロン性(bicistronic)のオペロンにおけるgroES遺伝子とは関係ない。オペロン中のgroESと関係するgroEL1と同様に、groEL2も熱ショックおよび他の生理的ストレス後に誘導される(Ducheneら、1994、Mazodierら、1991)。
GroEL蛋白質の発現は、さまざまな細菌性病原体による宿主の感染中にアップレギュレートされることが知られている(Nollら、1999)。重要なことに、これらの蛋白質は多くの細菌、特にレジオネラニューモフィラなどのさまざまな細胞内病原体に対する宿主の体液性および細胞性両方の応答における主要抗原(immunodominant antigen)であることが明らかにされている(Sampsonら、1986、ZugelおよびKaufmann。1999b)。
生物が高温などの環境ストレスにさらされると、groEL2はgroEL1に比べてはるかに速い速度で転写されるようである(de Leonら、1997)。加えて、感染中に両方の蛋白質に対する抗体が観察されるが、groEL2によりコードされる蛋白質はgroEL1によりコードされる蛋白質よりも免疫優性であると考えられる(Lathigraら、1991、Rinke de Witら、1992、Shinnick、1991)。
GroELはヒトの結核予防薬として結核菌に対する免疫の手段としてそれ自体で用いられている(Lowrieら、1997、1999)。
GroELは免疫原性の低い抗原の免疫応答を増強するために結合体で用いられている(Cohenら米国特許第5869058号)。
本発明は、キメラ蛋白質の表面への露出を導くGroEL蛋白質の1つまたは複数の領域への微生物の表面蛋白質の抗原決定基に対する抗体と反応する外因性アミノ酸配列を挿入することによって、GroELの免疫原性を利用する。発明者らは、このアプローチを用いた免疫反応増強についてのいかなる他の報告も知らない。
このアプローチにはさまざまな適用例がある。1つの特定の態様において、適用はロドコッカスエクイによる子ウマの感染症に限定されるが、他のより広範な態様において、本発明はさまざまな病原体、他の微生物、または実際にさまざまなアレルゲンに存在しうるような他の抗原決定基に関する。
外因性アミノ酸配列により少なくとも1つの主要抗原決定基が運び込まれたGroELは、免疫応答の誘発に関係する微生物種により運ばれたGroELと免疫原として同一であることが好ましい。種特異的GroELのすべての主要抗原決定基が運ばれる必要はない。したがって、哺乳動物において誘発される免疫応答が部分的にGroEL抗原決定基にも向けられることが好ましい。そのようなGroELを提供する最も有効な方法は、キメラ蛋白質を形成するために、免疫が望まれる微生物のGroELに外因性アミノ酸を挿入することである。したがって、例えば、R.エクイにおいて免疫反応を誘導することが望まれる場合、R.エクイ由来のアミノ酸配列に加えてR.エクイ由来のGroElを用いる。
免疫反応の特異性が完全に主要抗原決定基に対するものであることが望ましいが、GroELの保存的性質を考慮すると、GroELの種特異性は、外因性アミノ酸配列内の抗原決定基が哺乳動物中に存在する様式に特に影響をおよぼすことはないと思われる。
キメラ蛋白質の基礎を形成するGroELは、病原性微生物によってコードされるいかなるGroELであってもよい。微生物は、リステリアイバノビイ、リステリアモノサイトゲネス、サルモネラエンテリカ、ボルダテラ属菌種、ミコバクテリア属菌種、ノカルジア属菌種、赤痢菌属菌種、腸病原性大腸菌、エルシニア属菌種、レジオネラ属菌種、フランシセラツラレンシス、ブルセラ属菌種、クラミジア、リケッチアを含む微生物の群より選択することができる。
多くのGroEL遺伝子のDNA配列が知られており、Gupta、1995およびGupta、2000、ならびにRichardonら、(1998)およびSaibil(2000)で多くが言及されている。DNA/アミノ酸配列の具体例は下記のとおりである:ミコバクテリウムマリナム(GenBank U55831)、結核菌H37Rv(GenBank AL021932)、ウシ結核菌(GenBank M17705)、トリ結核菌(GenBank AF281650)、ツカムレラチロシノソルベンス(GenBank U90204)、ロドコッカスエクイ(GenBank AF233387)、ストレプトミセスリビダンス(GenBank X95971)、ストレプトミセスアルブス(GenBank M76658)、コリネバクテリウムアクアチクム(GenBank AF184092)、緑膿菌(GenBank M63957)、ヘリコバクターピロリ(GenBank X73840)、ボレリアブルグドルフェリ(GenBank X65139)。
生物が2つのgroEL遺伝子を有する場合、groEL遺伝子はgroEL2を発現している遺伝子であることが好ましい。そのような生物にはミコバクテリア属ならびに他の放線菌類およびα−プロテオバクテリアが含まれると考えられる。
GroEL蛋白質の変異および改変がキメラ蛋白質の妥当な基礎を形成するであろうことも予想される。蛋白質、特に蛋白質の必須でない部分における保存的置換(conservative substitution)があっても機能には差し支えないことが知られており、事実、これらのキメラ蛋白質が導入される哺乳動物はGroEL機能についてこれらに依存してはおらず、したがって少なくとも特定の部分における置換は構成性である必要はない。したがって、点突然変異などの遺伝子改変、ならびに欠失、切断、置換、逆位および重複などの再配列が起こったgroEL遺伝子は、挿入された外因性アミノ酸配列と、好ましくは1つまたは複数の主要GroEL抗原決定基も適切に呈示する機能を有すると予想される。例えば、GroEL蛋白質は抗原決定基を規定している既存の親水性領域またはアミノ酸配列の部分的欠失を含みうるため、外因性アミノ酸配列はその中で部分的または完全に置換されていてもよい。これに関して、キメラ蛋白質は二重の七量体の環を形成し、それにより外因性アミノ酸配列の実質的な露出を提供しうることが好ましい。
前述の外因性アミノ酸配列は、キメラ蛋白質の表面に露出されるように、GroELアミノ酸配列に挿入される。したがって、外因性アミノ酸配列は、所望の免疫応答の誘導を担う受容体に接近可能なように存在する。より好ましくは前述のとおり、外因性アミノ酸配列をGroELが生成される二重七量体環構造の表面に露出させる。
挿入に適した部位を決定するための1つのアプローチは、当該蛋白質の予測アミノ酸配列から疎水性プロットを計算し、1つまたは複数の親水性領域に外因性アミノ酸配列を挿入することである。したがって、複数の挿入部位を選択することが望ましいと考えられる。事実、当該微生物が複数の主要抗原決定基を有する場合、複数のさらなる抗原決定基を提供する複数の外因性アミノ酸配列を発現するために、多価挿入を形成することが望ましいと考えられる。
これに対するもう1つのアプローチは、外因性アミノ酸配列をそれ自体が抗原決定基であることが知られているGroEL配列に挿入することである。これらはPanchanathanら、(1998)において同定されているとおりである。しかし、この後者のアプローチは必ずしも好ましくない。なぜなら、既存の主要抗原GroEL決定基ならびに外因性アミノ酸配列によって提供されるものの両方を有し、2つの抗原決定基が免疫応答のために提供される方がより好ましいためである。
ロドコッカスエクイGroELに関して、親水性領域を下記の複数から選択することができる:V26〜S54、V73〜T90、G109〜A144、M191〜L246、R270〜I290、G342〜A397およびV415〜N468。
特に、M191〜L246が選択されうる。
他のGroEL蛋白質におけるこれらまたは類似の親水性領域を、HoppおよびWoods(1981)の方法を用いて予測することができ、この方法はどのアミノ酸が抗原決定基でありうるかを予測するために用いることもできる。
このことに関して、GroELについてのアミノ酸/核酸の比較およびモデル研究において行われた詳細な研究が役立つ(Richardonら、1998;Saibil、2000)。これらのモデルおよび/または蛋白質配列の比較を用いて、外因性アミノ酸配列の良好な露出を提供する可能性が高い1つまたは複数の部位に関して、比較的詳しい情報に基づいた計算をすることができる。加えて、前述の2つの引用文献は、特定の微生物または他の標的抗原に対して用いるための適切なGroEL配列を選択する際の助けとなりうる。
挿入は、既存の配列への直接挿入の形でありうる。したがって、外因性アミノ酸配列が11アミノ酸の長さであれば、キメラ蛋白質はその基礎となるGroELよりも11アミノ酸長くなる。あるいは、いかなる表面露出ループもその元のサイズよりも小さく、またはおそらく同じサイズに保つために、外因性アミノ酸配列の挿入に加えてGroELのいくつかのアミノ酸の欠失を行ってもよい。
外因性アミノ酸の選択は非常に重要であると予想される。一般的には、これらは直鎖抗原決定基であると予想される。蛋白質表面の抗原決定基は、抗体に結合することができる形状をしている。時に、露出されるアミノ酸の鎖が抗体による結合を誘発するような、直鎖のアミノ酸配列への十分な結合がある。これらの抗原決定基は直鎖抗原決定基として知られている。あるいは、連続するアミノ酸配列の複数の鎖が抗体結合に必要とされる。これらのより複雑な抗原決定基は、抗体が蛋白質表面の互いに近接するアミノ酸を認識したが、一次アミノ酸配列の折りたたみのために、同じ直鎖配列上では隣接していない場合に生じる。本発明は、より単純な直鎖抗原決定基の存在に特に関する。おそらくアミノ酸配列の2つの鎖が抗原決定基を形成し、GroELの隣接ループのスペーシングが元の抗原決定基とマッチしている場合、本発明をその目的のために適合させることができる。
直鎖抗原決定基の長さはかなり変動し、3〜4アミノ酸から約25アミノ酸の範囲でありうる。
アミノ酸配列は病原性微生物の主要抗原決定基と反応するよう選択されると考えられる。特定の微生物菌株の感染により、一般に免疫応答はほんの少数の抗原決定基に対するものであることが判明している。実際、1つの抗原決定基が優位に立つことがある。加えて、認識される低位の抗原決定基があることもある。一般に、主要抗原決定基は感染微生物の認識および処分を担うものを含む免疫系の細胞に、より接近しやすいものである。主要抗原決定基に対する免疫を誘導することが望ましい。これらは、ワクチンとしてよりよい予防効果を提供するか、またはアレルゲンの場合にはより有効なトレランスを提供することが予想されるからである。事実、アレルゲンに対するトレランスを誘導する場合、用いる抗原決定基は当該個人がそれに対するアレルギー反応を有するものであると予想される。
したがって、外因性アミノ酸配列は、現在同定されている広範な主要抗原決定基から選択することができる。これらは例えば、下記の微生物から選択することができる。リステリアイバノビイ、リステリアモノサイトゲネス、サルモネラエンテリカ、ボルダテラ属菌種、ミコバクテリア属菌種、ノカルジア属菌種、赤痢菌属菌種、腸病原性大腸菌、エルシニア属菌種、レジオネラ属菌種、フランシセラツラレンシス、ブルセラ属菌種、クラミジア、リケッチア。
本発明によって企図される適当な外因性アミノ酸配列の他の例は下記のとおりである。これらはライノウイルス、ロタウイルス、レトロウイルス、ポリウイルスなどのウイルス由来のものでありうる。HIVの適当な抗原決定基は、Enshell−Seijffersら(FASEB 2001 15;2012〜2020)によって同定されたものでありうる。Bugliら(J.Virol.2001 75:9986〜9990)によりE2糖蛋白質に対して同定されたC型肝炎ウイルス。FiedlerおよびGoggendorf(Intervirology(2001)44:154〜161)によって同定されたデルタ型肝炎ウイルス。
同様に、これらは様々なアレルゲン、例えばFockeら(FASEB(2001)15:2042〜2044)により同定された特定の花粉抗原に対するワクチン接種のためでもある。
本発明に適した他のアミノ酸配列には、Irving、PanおよびScott(Current Opinions in Chem Biol(2001)5:314〜324)によるランダムペプチドライブラリの総説、またはPartido(2000、Current Opinions in Molecular Therapy 2:74〜79)による総説において言及されているものが含まれると考えられる。
実際には外因性アミノ酸配列はさらにGroEL配列であることが望ましいと考えられる。したがって、例えばGroEL特異的抗原決定基の複数のコピーを提供することにより、増強された免疫反応を提供することが望ましいと考えられる。
ロドコッカスエクイは、莢膜を有する棹型のグラム陽性菌で、土壌環境で生存する土壌腐生菌であると考えられる。R.エクイは長い間ウマ、主に生後6カ月未満(特に生後1〜3カ月)の子ウマにおける病原体であると考えられていた。この菌による感染は肺外症状を伴い、しばしば細菌血症、リンパ節炎、髄膜炎および腸炎などの化膿性肉芽腫性肺炎を引き起こす(BartonおよびHughes、1980;GiguereおよびPrescott、1997;Takai、1997)。感染症は治療しなければ致死的であることが多い。ウマで疾患の原因となる他に、R.エクイはウシ、ブタ、およびヤギの感染症も引き起こす(Barton、1992)。R.エクイは免疫無防備状態のヒト、特にAIDS患者で重度の肺および播種性疾患を引き起こすことも知られている(Capdevilaら、1997)。
オーストラリアでは、ほとんどのウマR.エクイ感染症は、子ウマの年齢ならびに暖かく乾燥した環境条件が動物の感染に対する感受性を高める夏(12月から2月)に起こる(BartonおよびHughes、1984)。
多くのワクチン候補が子ウマのR.エクイ感染予防について試験された。ワクチン候補は主に蛋白質サブユニットまたは全細胞製剤であった。Clinica Equina(Capitan Sarmiento、アルゼンチン)により開発された「Rhodovac」として知られるワクチン製剤は、VapAを含む可溶性の病原性R.エクイ抗原を高濃度で含む(Becuら、1997)。他のVapA含有抗原製剤も開発されている(Prescottら、1997a)。加えて、死または生R.エクイを含むさまざまなワクチン製剤(Prescottら、1997b、Vargaら、1997)も試験されている。
R.エクイはコレステロールオキシダーゼ、ホスホリパーゼCおよびレシチナーゼなどのさまざまな推定病原性因子を産生する(Smolaら、1994)。しかし、より重要な推定病原性因子の1つはプラスミドによりコードされる17kDaの病原性関連蛋白質(VapA)であると考えられる。この蛋白質はR.エクイのウマ臨床単離株の90%までにより産生されることが知られている。VapA産生株は疾患起因単離株の間で広く行きわたっているが、最近の研究によりVapA蛋白質単独では子ウマで疾患を引き起こすのに十分ではなく、また不明の他のプラスミドにより生じる因子が関与している可能性があることが明らかにされている(Giguereら、1999)。病原性におけるVapAの役割はこれから解明されるが、この蛋白質をコードするプラスミドが微生物のマクロファージ内での生存において重要な役割を果たすことを示唆する強力な証拠がある(HondalusおよびMosser、1994)。
1つの特定の形態において、外因性アミノ酸はVapA蛋白質の一部で、ロドコッカスエクイに関して優性であることが判明している抗原決定基でありうる(Vanniasinkamら、2001)。
R.エクイに感染したウマの血清中の抗体により認識されるVapA蛋白質の推定20アミノ酸領域はTSLNLQKDEPNGRASDTAGQ[配列番号2]と同定されているが、抗原認識のための最小領域はこの同定された配列内でさらに規定することができるか、さらに、この同定された配列が複数の別々の隣接エピトープを含みうることが理解されるであろう。したがって、アミノ酸配列はVapA特異的免疫原性を提供するかぎり、この領域を模倣することができるいかなるペプチドであってもよい。したがって、ペプチドは本発明のアミノ酸配列TSLNLQKDEPNGRASDTAGQ[配列番号2]、ならびに天然VapA蛋白質におけるその配列のいずれかの側の1つまたは複数のアミノ酸を含む、より大きいペプチドの一部であってもよい。
したがって、この態様の1つの形態において、アミノ酸配列は5つ以上のアミノ酸残基を有し、配列TSLNLQKDEPNGRASDTAGQ[配列番号2]のすべてもしくは一部、またはその免疫学的に活性な誘導体もしくは類縁体を含む。好ましくは、ペプチドは7から30のアミノ酸残基、より好ましくは10から12のアミノ酸残基を含む。最も好ましくは、ペプチド配列はNLQKDEPNGRA[配列番号3]を含む。
本発明のペプチドがVapA特異的免疫原性を提供するかどうかは、(Vanniasinkanら2001)に記載の方法に従って、常法により決定することができる。
本発明のこの態様のペプチドは、ペプチドがVapA特異的免疫原性を提供するかぎり、前述のペプチドのいずれと相同であってもよい。この状況において、ペプチドはR.エクイVapA蛋白質に特異的な抗体と免疫交差反応性である場合、本発明のペプチドと相同であると考えられる。当業者であれば、ペプチド内のアミノ酸配列には、ペプチドの構造または機能に著しい影響をおよぼすことなく変動しうるものもあることを理解すると思われる。したがって、例えば、「典型」アミノ酸置換は免疫交差反応性を保持し、したがってペプチドの免疫学的機能が置換によって変わらないかぎり、中性アミノ酸を別の中性天然または非天然アミノ酸と保存的に置換することができ、酸性アミノ酸を天然または非天然酸性アミノ酸と保存的に置換することができ、親水性アミノ酸を別の親水性アミノ酸と置換することができ、他も同様である、と予想される。
保存的置換として典型的に見られるものは、脂肪族アミノ酸Ala、Val、LeuおよびIleの間の置換;ヒドロキシル残基SerおよびThrの交換;酸性残基AspおよびGluの交換;アミド残基AsnおよびGlnの間の置換;塩基性残基LysおよびArgの交換;ならびに芳香族残基PheおよびTyrの間の置換である。好ましくは、相同ペプチドは本発明のペプチドと50%の相同性を有し、より好ましくは70%の相同性、最も好ましくは90%の相同性を有する。
一般に、挿入は核酸レベルで達成される。GroEL蛋白質をコードするベクターの精製DNAを用い、外因性アミノ酸配列をコードするDNA配列を合成し、GroEL蛋白質をコードするDNAを制限エンドヌクレアーゼを用いて挿入部位で切断し、合成配列中に連結し、生成した組換えDNA分子を単離し、それを適当な宿主またはベクターに導入して、DNAワクチンまたは組換え蛋白質製剤を生成するためのDNAを増幅する。
細胞性免疫(Th1免疫)は本発明の使用によって増強されることが判明している。したがって、これは細胞内病原体に対してワクチン接種するための特に有用なアプローチであると予想される。免疫反応をTh1免疫の方へさらに偏らせるために、ワクチンを核酸ワクチンとして提供することが望ましいと考えられる。
本発明のワクチンの予防効果を改善する様々な戦略があり、その多くは公知で、様々なアジュバントの使用を含む。研究により、IL−18などの免疫刺激分子(Kimら、2001)を病原体特異的抗原をコードするDNAワクチンと同時投与することで、Th1型の防御反応を増強しうることが明らかにされている。このアプローチは、R.エクイに対する防御を提供する十分な免疫応答を誘導するために、本研究で用いるワクチンで観察されるTh1型免疫のレベルを改善するのに有用であると考えられる。ワクチンの予防効果を改善するための他の戦略には、groEL2に加えて他のR.エクイ遺伝子を含む多エピトープワクチンの開発、または宿主を免疫するためのプライムブースト法の使用が含まれる(RamshawおよびRamsay、2000)。Il−12も長期の細胞性免疫の維持における役割が認められている(ParkおよびScott、2001)。したがって、DNAワクチンまたは組換え蛋白質としてのIL−12の適当な主ワクチンと組み合わせての同時投与は、宿主におけるR.エクイに対する防御を増強することができる。
キメラ蛋白質は、蛋白質を精製し、免疫反応を誘発するために哺乳動物に投与するワクチン組成物を形成した後に投与してもよい。精製は公知の方法による。キメラ蛋白質は、発現微生物中に導入されるいくつかの公知の発現ベクターのいずれか1つによってコードされる。発酵の後に公知の方法による精製を行う。次いで、精製または半精製蛋白質を投与することができる。
投与は、皮下、筋肉内などの非経口であってもよく、または単純に粘膜表面に、たぶん経肺投与により供給してもよく、あるいは腹腔内投与でもよい。粘膜投与は、当該生物の侵入に対する障壁を提供するための局所粘膜免疫を誘導することを目的とすることもできる。
好ましくは、キメラ蛋白質は免疫原として有効な量のキメラ蛋白質を含む組成物または製剤としての医薬品剤形(pharmaceutical dosage form)で投与する。投与するキメラ蛋白質の量は、薬物動態パラメーター、治療する疾患の重症度、または望まれる免疫原応答に応じて変動する。用量は医師または獣医師が脊椎動物の年齢、体重、および免疫原剤形の場合には脊椎動物が過去にワクチン接種対象疾患の原因微生物に曝露されているかどうかを含む条件、ならびに本発明の医薬品剤形からのペプチドの放出特性を含む、関連因子を考慮して設定することができる。
組成物は注射してもよく、または「Remington's Pharmaceutical Science」、第16版、Mack Publishing Co、1980に記載されている当業者によく知られた担体であって、水、または低分子量アルカン、エチレングリコール、もしくはポリエチレングリコールやプロピレングリコールなどのポリアルカノールを含む他の極性物質、または非極性担体を含む薬学的に許容される担体に加えてもよい。
ワクチンの投与法は変動することがあり、静脈内、口腔内、経口、経皮および鼻内、ならびに筋肉内または皮下投与が含まれうる。好ましくは、ワクチンを吸入により投与し、これにより局所免疫を賦活させる。あるいは、ワクチンは他の粘膜初回抗原刺激の形式を用いて投与してもよい。
特にGroEL/vapAキメラ蛋白質の場合、肺系が病原性生物の伝播経路であるため、肺系に、おそらくはエアロゾルとして投与することが望ましい。
ワクチンはキメラ蛋白質を用いた組成物で提供してもよいが、もう1つの形態として、キメラ蛋白質は哺乳動物に対して、好ましくは適当な核酸ベクターに媒介されるキメラ蛋白質をコードする核酸の注入により提供することができる。この形態において、核酸(通常はDNAベクター)は典型的には、公知の方法により筋肉内に導入する。細胞を形質転換するために細胞内に導入する核酸もある。そして、形質転換細胞はキメラ蛋白質を発現し、これは細胞表面に存在して免疫反応を誘導するか、または形質転換細胞の老化期に認められて免疫反応を誘発する。
DNAワクチンは、ウシなどの大きい動物における細菌およびウイルス感染症予防のための長期の細胞性免疫を誘導するために用いられている(Babiukら、1998、Chaplinら、1999)。Lowrieら、1997、1999はこのアプローチを用いて、GroELを基にしたDNAワクチンにより結核に対する免疫を与えた。DNAの取り込みを助けるために、ブピバカインなどの物質による補助を必要とする。
DNAワクチン送達を促進するための代替法には、遺伝子銃接種(Yoshidaら、2000)、ワクチン担体としての弱毒細菌の使用(Dietrichら、2001)、またはプラスミドの電気導入(Bachyら、2001)などのワクチン送達法が含まれる。加えて、Th1応答促進サイトカインまたはカチオンマンナンコーティングリポソーム(Todaら、1997)などのアジュバントの同時投与も試験することができる。あるいは、プラスミドDNAを複製開始点および抗生物質耐性カセットを欠くスーパーコイル分子(ミニサークル)として投与することもできる。ミニサークルは現在用いられている多くのワクチンベクターよりも小さく、かつ安全である可能性があり、重要なことにはインビボで高レベルの発現を示すことが明らかにされている(Darquetら、1999)。
様々な細菌病原体、特に結核菌(Lowrieら、1997)およびオウム病クラミジア(Vanrompayら、1999)などの細胞内病原体に対するDNAワクチンとなる可能性があるものが開発されている。一般に細胞内病原体は防御免疫のためにTh1型応答を必要とするため、Th1応答を誘発するために用いることができるDNAワクチンアプローチは、ウシ結核菌のワクチン(BehrおよびSmall、1997)で観察されたように時として効果にばらつきがあるサブユニットワクチン(Strugnellら、1997)または弱毒生ワクチンよりも有用である可能性がある、と仮定できる。しばしば、DNAワクチンで用いられる遺伝子は、主要抗原およびそれらをコードする遺伝子の同定後に選択される。これらのワクチン候補遺伝子によりコードされる蛋白質には、熱ショック蛋白質(Lowrieら、1997)(Svanholmら、2000)、分泌抗原(Kamathら、1999)、および外膜蛋白質(Palら、1999)などのさまざまな他の免疫原を含んでいるものもあった。
本発明を下記の実施例により詳細に例示するが、どのような限定をも意図するものではない。
実施例
方法
微生物学的技術に着手するために一般的な分子生物学的方法を用いた。分子生物学的技術はSambrookら、1989に一般的に記載されているとおりである。
実施例1 GROELのR.エクイのクローニングおよび配列決定
菌株およびプラスミド
groEL2のクローニングおよび配列決定のためにR.エクイATCC 6939を用いた。大腸菌BL21(DE3)におけるヒスチジン(His)標識GroEL2の産生のためにベクターpET−28a(+)(Novagen)を用いた。
細菌培養条件
細菌を蛋白質発現のためにL−ブロス中で培養した。形質転換体の増殖のためにコロンビア寒天を用いた。groEL2のクローニングのために組み替えプラスミドの宿主として大腸菌DH5αを用い、His標識GroELの発現のために大腸菌BL21(DE3)を用いた。
R.エクイ染色体の断片を含むgroEL2遺伝子のPCR増幅
R.エクイgroEL2遺伝子の断片を増幅するために、オリゴヌクレオチドプライマーを設計した。これらのプライマーの配列は、公知の結核菌H37 RvのgroEL2の配列(GenBank寄託番号:AL021932)とツカムレラチロシノソルベンスのgroELの配列(GenBank寄託番号:U90204)との間の相同領域に基づいている。(これらの遺伝子は、ツカムレラおよびミコバクテリア属がR.エクイに密接に関連しており(Ruimyら、1995)、したがってR.エクイgroEL2遺伝子と高度に類似したgroEL2遺伝子を有する可能性があることを示す16S rRNAの研究に基づいて選択した。)
用いた順方向プライマーは5'−CAAGGAGGTCGAGACCAAGG−3'[配列番号4]で、逆方向プライマーは5'−GTGCCGCGGATCTTGTTGAC−3'[配列番号5]であった。PCR増幅は、アニーリング温度64℃で、鋳型としてR.エクイ由来染色体DNAを用いて実施した。PCR生成物を配列決定し、ジゴキシゲニンで標識した(Boehringer Mannheim、ドイツ)。次いで標識生成物をプローブに用いて、サザンブロット分析において下記の制限酵素で別々に消化したR.エクイ染色体DNAを調べた:SacI、XbaI、SmaI、EcoRI、BamHI、NsiI、HindIII、KpnIおよびSphI。消化酵素に応じてR.エクイ染色体DNA中の異なる長さの断片を同定した。4.7kbのサイズの単一のSphI断片を同定して、pGEM−7Zf(−)中にクローニングし(構築体をpIMVS−ReIと称する)、R.エクイ挿入のヌクレオチド配列を決定した。
pIMVS−Re1の配列決定を、ABI Prism Big Dye chemistry(PE Applied Biosystems)を用いて行った。
R.エクイ中でのGroEL2の発現
R.エクイの10mlアリコートの2つをL−ブロス中、30℃で振盪しながら一晩培養した。翌朝、それぞれのアリコートの培養物を30℃または42℃で2時間振盪培養した。次いで、培養物を17,000gで15分間遠心沈降し、ペレットを1mlの1×PBS中に再懸濁し、1分間超音波処理し、トラコーマ病原体Hsp60モノクローナル抗体(Affinity Bioreagents Inc.、米国コロラド州)を用いたウエスタンイムノブロット分析のために調製した。この抗体はトラコーマ病原体HSP60アミノ酸配列の517から522のアミノ酸に特異的で、大腸菌HSP60とは交差反応しないことが知られている。モノクローナル抗体の免疫反応性エピトープの最初の5残基(LTTEAL)[配列番号6]はR.エクイGroEL2配列のアミノ酸残基512から516(図1)と同一で、したがってウエスタンイムノブロット分析で用いた時、この蛋白質を検出することが予想された。
配列分析を、GeneBase第1.0版(Applied Maths、Kortrijk、ベルギー)およびBLASTX第2.0版(Altschulら、1997)を用いて実施した。groEL2遺伝子のプロモーター領域を、Berkeley Drosophila Genome Projectプロモーター予測ウェブサイト(www.fruitfly.org)を用いて解析した。
R.エクイgroEL2遺伝子のサブクローニング
pET−28a(+)(Novagen)発現ベクター中にクローニングするために、groEL2遺伝子を、導入されたNcoI部位(下線)を含む順方向プライマー5'−ACGGTACCATGGCCAAGATCATCGC−3'[配列番号7]および導入されたHindIII部位(下線)を含む逆方向プライマー5'−CGTCAAGCTTGAAGTCCATGCCGC−3'[配列番号8]を用いてPCR増幅した。PCRはDyNAzyme(登録商標) EXT DNAポリメラーゼを用い、アニーリング温度61℃で、鋳型としてCsCl勾配法で精製したpIMVS−Re1の調製物を用いて標準的条件下で実施した。PCR生成物およびベクターはNcoIおよびHindIIIで別々に消化し、連結して、構築体pIMVS−Re2を作製した(図2)。
C末端His標識GroEL2蛋白質の産生
プラスミドpIMVS−Re2を大腸菌BL21(DE3)に形質転換し、下記の方法によりHis標識GroEL2蛋白質を発現させ、Ni2+−NTAアガロース(Qiagen)を用いて精製した。
pIMVS−Re2を含むクローンを、50μg/mlのカナマイシンを含むL−ブロス4ml中で一晩培養した。この培養物を50μg/mlのカナマイシンを含むL−ブロス200mlに加え、3時間振盪培養した。IPTGを最終濃度1mMとなるように加えて蛋白質産生を誘導し、同じ条件下でさらに4時間培養した。次いで、培養物を3000gで遠心沈降し、ペレットを−20℃で終夜保存した。翌日、ペレットを溶解剤(lysis buffer)(20mMトリス、pH8および100mM NaCl)10mlに再懸濁し、5、15秒パルスで超音波処理した。溶液を17,000gで15分間遠心沈降した。上清を溶解剤中で2回洗浄(緩衝液10mlをNi−NTAアガロースに加え、17,000gで1分間遠心沈降)したNi−NTAアガロース1mlに加えた。溶液をロータリーミキサー(200rpm)で2時間混合した。次いで溶液を5mlのカラム(Qiagen)に導入し、カラム通過分を除去した。カラムに沈着したNi−NTAスラリーを溶解剤5mlで2回洗浄した(溶解剤をカラムに加え、重力で流出させた)。250mMイミダゾール溶液の500μl量を加えて、Ni−NTAスラリーから蛋白質を溶出(2回)し、蛋白質溶出液を100μlのアリコートに分けて−20℃で必要時まで保存した。
ホールセルおよび蛋白質調製物を10%SDS PAGEで分離した。
C末端6×His標識GroEL2のN末端配列分析
精製したHis標識GroEL2蛋白質100μlを10%SDS−PAGEで分離し、二フッ化ポリビニリデン膜(Immobilon−P、Millipore、米国マサチューセッツ州)に転写した。次いで、蛋白質をエドマン分解法によるN末端アミノ酸配列決定にかけた(配列決定はAustralian Proteome Analysis Facility、Macquarie University、オーストラリア、ニューサウスウェールズ州によって実施された)。
結果
オリゴヌクレオチドプライマーにより、R.エクイ由来の402塩基対(bp)PCR生成物を増幅した。このPCR生成物はトリ結核菌およびパラ結核菌のgroEL2配列と部分的に相同である(P=6×10−61)ことが判明し、推定groEL2遺伝子を含むR.エクイゲノムの断片を有する形質転換体を同定するためにサザンハイブリダイゼーションにおけるプローブとして用いた。
4.713kbの断片は、1623bpの長さで推定分子量56543.5Daの蛋白質をコードするgroEL2遺伝子(GenBank寄託番号:AF233387)を含むことが判明した。この遺伝子は68%という高いG+C含有量を示したが、R.エクイはGCの多いゲノムを有することが知られている(Goodfellow、1987)ため、驚くことではない。
ウエスタンイムノブロット分析から、42℃で熱ショックを受けたR.エクイは約60kDaのサイズの蛋白質を産生し、この蛋白質は30℃で培養したものには検出されないことが明らかとなった。
R.エクイGroEL2のデータベース上の類似蛋白質に対する相同性
推測R.エクイGroEL2蛋白質は、結核菌、ライ菌、トリ結核菌およびツカムレラチロシノソルベンスのGroEL2蛋白質に、約90%の同一性で非常に密接に関連していることが判明した。同様に、ストレプトミセスアルブス、ストレプトミセスリビダンスおよびストレプトミセスコエリコルなどの他のグラム陽性放線菌由来GroEL2様蛋白質にも関連していた(表2)。R.エクイGroEL2は他の放線菌のGroEL1配列に対しては相同性が低く(約60〜69%の同一性)、大腸菌およびヘリコバクターピロリなどの生物のGroEL配列とは約60%の同一性を有することが明らかとなった。
Figure 2005515759
考察
ミコバクテリアおよびストレプトミセス属菌種などのR.エクイ関連生物には2つのgroEL遺伝子がある(Rinke de Witら、1992)。これらのうちgroEL1はgroEオペロンの一部であると考えられるが、groEL2は通常は染色体の異なる位置で見いだされる(Ducheneら、1994)。配列決定したR.エクイ遺伝子は下記の理由からgroEL2遺伝子と同定された。まず、他の放線菌groEL2遺伝子と相同である(90%の同一性)ことが判明した。さらに、上流にgroES様遺伝子を持たないようで、groEオペロンの一部ではないことが示唆された。ミコバクテリアおよびストレプトミセスなどの他のR.エクイ関連細菌属菌種に関する過去の研究から、groEL遺伝子の同様の配列が明らかにされている(Ducheneら、1994、Rinke de Witら、1992)。R.エクイはGroELをコードする少なくとも2つの遺伝子を含むようで、その1つは本研究で配列決定されたモノシストロニックなgroEL2である。
推定R.エクイGroEL2蛋白質と他の放線菌GroEL2蛋白質との間の高度の同一性は、熱ショック蛋白質は高度に保存されていることが知られていることから、驚くことではない。これらの蛋白質およびそれらをコードする遺伝子は高度に保存された性質を有するため、これらは細菌系統学試験において用いられることが多い(Gupta、2000)。
実施例2
R.エクイに対するワクチン候補の開発
groEL2を組み込んだDNAワクチンの作製
groEL2遺伝子をPCR増幅し、ベクターpcDNA3(Invitrogen)(Boshartら、1985)にクローニングした。開始コドンを含む順方向オリゴヌクレオチドプライマーは5'−ACGGTACCATGGCCAAGATCATCGC−3'[配列番号7](KpnI部位に下線;開始コドンは太字)で、逆方向オリゴヌクレオチドプライマーは5'−CTTCTAGACGGCGGATGCGAAATGC−3'[配列番号8](XbaI部位に下線)であった。順方向プライマーはKozak配列CCATGG(開始コドンに下線)(Kozak、1982)も含んでいた。
PCRは、鋳型であるCsCl勾配法で精製したpIMVS−Re1の調製物、およびDyNAzyme(登録商標) EXT DNAポリメラーゼ(Finnzymes、フィンランド)を用い、アニーリング温度65℃の標準的条件下で実施した。PCR生成物およびpcDNA3ベクターはKpnI/XbaIで別々に消化し、連結した。ワクチン調製のために、pcDNA3−Re1と命名した構築体(図3)を大腸菌DH5αにクローニングした。
もう一つのgroEL2を組み込んだDNAワクチン候補、すなわち理想的なKozak配列を含まないものも作製した。この構築体は、groEL2遺伝子を含む断片(約2kb、2714bpから4710bp)を得るためにpIMVS−Re1をKpnI/XbaIで消化して作製した。この断片をKpnI/XbaIで消化したpcDNA3ベクターに連結した。この構築体をpcDNA3−hsp1と命名し、次いでワクチン調製のために大腸菌DH5αにクローニングした。
vapAを組み込んだDNAワクチンの作製
vapA遺伝子をPCR増幅し、ベクターpcDNA3(Invitrogen)(Boshartら、1985)にクローニングした。順方向オリゴヌクレオチドプライマーは5'−GAGGATCCATGGAGACTCTTCACAAGACG−3'[配列番号9](BamHI部位に下線;開始コドンは太字)で、逆方向オリゴヌクレオチドプライマーは5'−GATGAATTCTAACAACCGAGGCTGAGCG−3'[配列番号10](EcoRI部位に下線)であった。順方向プライマーはKozak配列CCATGG(開始コドンに下線)(Kozak、1982)も含んでいた。PCRは、DyNAzyme(登録商標) EXT DNAポリメラーゼ(Finnzymes、フィンランド)、および鋳型としてR.エクイATCC 33701の小規模プラスミド抽出物を用い、アニーリング温度65℃の標準的条件下で実施した。PCR生成物およびpcDNA3ベクターはBamHI/EcoRIで別々に消化し、連結した。ワクチン調製のために、pcDNA3−Re2と命名した構築体を大腸菌DH5αにクローニングした(図4)。
改変Kozak配列を含まない、もう1つのvapAを組み込んだDNAワクチン候補も作製した。この構築体は、制限部位EcoRIおよびBamHIを含む、PCR増幅したvapA遺伝子をpcDNA3に挿入することによって作製した。vapAのPCR増幅のために下記のオリゴヌクレオチドを用いた:5'−TCTTCGGATCCGCTAATTACCGGC−3'[配列番号11](順方向プライマー;BamHI部位に下線)および5'−GGAATTCGCACCAATCCTGTTGCG−3'[配列番号12](逆方向プライマー;EcoRI部位に下線)。PCR反応のために用いた鋳型はR.エクイATCC 33701のプラスミド抽出物で、PCRは、DyNAzyme(登録商標) EXT DNAポリメラーゼ(Finnzymes、フィンランド)を用い、アニーリング温度55℃の標準的条件下で実施した。PCR生成物およびpcDNA3ベクターはいずれもEcoRIおよびBamHIで別々に消化し、連結した。この構築体をpIMVS−vap1と命名し、ワクチン調製のために大腸菌DH5αにクローニングした。
VapAの免疫原性を増強するための戦略
ワクチンとしてのVapAの免疫原性を高めるために、VapA B細胞エピトープをコードする遺伝子配列をgroEL2に挿入して、キメラgroEL2/vapA構築体を作製した。このアプローチは他の研究者らも用いており、彼らは、キメラ遺伝子構築体において、アジュバントとして作用する担体遺伝子は挿入エピトープに対する免疫応答を顕著に増強し、したがって通常のアジュバントが必要なくなることを明らかにしている(Fomsgaardら、1998)。
過去の研究から、複合ワクチンにおける担体としての熱ショック蛋白質は複合抗原に対するT細胞性免疫応答を実質的に増強しうることが明らかにされている(Barriosら、1992)ため、groEL2遺伝子を担体として用いた。
真核生物の発現ベクターpcDNA3は他のワクチン研究においてうまく利用されている(Todorokiら、2000、Turnesら、1999)ため、これをDNAワクチンの作製に用いた。重要なことに、このベクターはプラスミドワクチンの効果を増進すると考えられる免疫賦活性非メチル化シトシン−リン酸−グアニンジヌクレオチド(CpG)配列を多く含むことが知られている(Cohenら、1998)(Satoら、1996、Strugnellら、1997)。さらに、筋肉内ワクチン接種で投与したプラスミドDNAは、Th1応答に関与するCD4+ T細胞を活性化すると考えられる(Leclercら、1997)。
用いた蛋白質ワクチンはヒスチジン残基で標識して、蛋白質を大腸菌で発現させた後にその天然の形で精製(Ni−NTAアガロースを用いて)に便利なようにした。これは蛋白質ワクチン調製のためにこれまで他の研究者により用いられてきたアプローチである(von Spechtら、2000)。
キメラgroEL2/vapAを組み込んだDNAワクチンの作製
キメラgroEL2/vapAワクチン構築体を、VapAの免疫原性エピトープNLQKDEPNGRA[配列番号3]をGroELの親水性領域(HoppおよびWoodsの疎水性プロットによって示されるとおり)および予想した免疫原性エピトープ(Panchanathanによりチフス菌GroELで行われた試験に基づく)(Panchanathanら、1998)に挿入することによって調製した。VapAエピトープNLQKDEPNGRA[配列番号3]をコードするDNA配列をgroEL2に、オーバーラップ伸長PCR(overlap extention PCR)突然変異生成を用いて挿入した(Hoら、1989)(図6および図7)。最初の(2回の)PCR反応における鋳型として構築体pcDNA3−Re1を用いた。
これらの反応の1つで用いたオリゴヌクレオチドプライマーは、5'−AACCTTCAGAAAGACGAACCGAACGGTCGAGCAGAGCGTCAGGAAGCGGTCCTCG−3'[配列番号13]オリゴヌクレオチドプライマーGVIF(挿入されるVapAエピトープに対応する配列に下線)および5'−CTATAGAATAGGGCCCTCTAGACGG−3'[配列番号14]−オリゴヌクレオチドプライマーGVORであった。
他のPCRは、5'−TGCTCGACCGTTCGGTTCGTCTTTCTGAAGGTTGGCGTCGGTCGCGAAGTACAGCG−3'[配列番号15](挿入されるVapAエピトープに対応する配列に下線)の配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーGVIRおよび5'−GAGACCCAAGCTTGGTACCATGG−3'[配列番号16](Kozak配列に下線)の配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーGVOFを用いて実施した。
前述の両反応から得られたPCR生成物を1.5%アガロースゲルで分離し、QIAquickゲル精製キット(Qiagen、GmbH、ドイツ)を用いて精製した。PCR生成物それぞれ約100ngを最後のPCR反応の鋳型として用い、反応はオリゴヌクレオチドプライマーGVOFおよびGVOR(前述の配列)を用いて実施した。
すべてのPCR反応はアニーリング温度59℃の標準的条件を用いて実施した。PCR生成物およびpcDNA3ベクターはKpnI/XbaIで別々に消化し、連結した。構築体をpcDNA3−Re3と命名し、ワクチン調製のために大腸菌DH5αにクローニングした(図8および図9)。
DNAワクチンの調製
100μg/mlのアンピシリンを含むL−ブロスの10ml量中、37℃で6時間振盪しながら、ワクチン構築体を含む単コロニーを培養することにより、ワクチン構築体を増殖させた。この培養物を、100μg/mlのアンピシリンを含むL−ブロス500mlに加え、37℃で振盪しながら一晩培養した。翌日、大規模プラスミド抽出を実施した。プラスミド抽出物を、CsCl勾配遠心法で2回精製し、次いで1×TEに対し一晩の透析を2回行った。
ワクチンの使用前に、プラスミド調製物を標準的技法(R.Strugnell、personal communication;DNAワクチン調製のプロトコル、http://dnavaccine.com)を用いて下記のとおりに処理した:NaCl(最終濃度0.1M)および2倍量の無水エタノールをプラスミド溶液に加え、混合した。次いで、調製物を−20℃で30分間沈殿させた。DNAを17,000gで15分間遠心沈降してペレットとした。ペレットを70%エタノールで洗浄し、風乾し、1×PBSに再懸濁した(用いたPBSの量は、処理したDNA調製物の元の量の半量であった)。
次いで、混入エンドトキシンを除去するために、ワクチン調製物を下記のとおりに処理した(Manthorpeら、1993):トリトンX−114(TX−114)をワクチン調製物に、最終濃度1%(v/v)まで加え、混合した。混合物を氷上に5分間放置し、次いで40℃で10分間加熱して、相を分離させた。次いで、混合物を30℃、3000gで10分間遠心沈降した。DNAを含む上部の水相を除去し、新しいTX−114を加え、抽出工程を2回繰り返した。最後に、同量のイソプロパノールを加え、17,000gで遠心沈降してDNAを沈殿させ、DNAペレットを70%エタノールで洗浄し、乾燥し、1×PBS(エンドトキシン非含有、Media Production Unit of the IMVS)に再懸濁した。DNAの濃度を定量し、1×PBS中で希釈して100μg/μlに調節し、その後調節物をワクチンとして用いるために100μlずつに分けて−20℃で保存した。
マウスを免疫する前に、最終ワクチン調製物中のエンドトキシンレベルが10pg/ml未満であることを、QCL−1000 Limulus Amoebocyte Lysate Kit(BioWhittaker、米国メリーランド州ウォーカーズビル)(Liら、1999)により確認した(試験はMedia Production Unit of the IMVSにより実施された)。
groEL2を組み込んだDNAワクチン(pcDNA3−Re1)、VAPAを組み込んだDNAワクチン(pcDNA3−Re2)、およびキメラGROEL2/VAPAを組み込んだDNAワクチン(pcDNA3−Re3)のCos−7細胞における発現
Cos−7細胞を、L−グルタミン(CSL、米国カンザス州)および10%ウシ胎仔血清(Sigma Chemical Co.)を含むRPMI−1640細胞培地中で維持した。トランスフェクションの24時間前に、細胞を確実に対数増殖期とするように継代培養した。約3×105細胞をNunc(登録商標)の35mm細胞培養皿に加え、下記の方法を用いてpcDNA3、pcDNA3−hsp1、pcDNA3−vap1、pcDNA3−Re1、pcDNA3−Re2またはpcDNA3−Re3ベクターで一時的にトランスフェクトした:Fugene(登録商標)トランスフェクション試薬(Boehringer Mannheim)の15μl量を無血清細胞培地85μlで希釈し、室温で5分間インキュベートした。各ワクチン構築体調製物およびpcDNA3ベクター(CsCl勾配法で精製したプラスミド調製物5μg)をFugene(登録商標)混合物に別々に加え、室温で15分間インキュベートした。次いで、混合物を新鮮培地中の細胞に加え、5%CO2存在下、37℃のインキュベーター内で48時間インキュベートした。回収前に、細胞をコンフルエンスであるかチェックした。培地を遠沈管に移し、1×PBS 1mlを細胞に加えた後、細胞培養皿の底から細胞を回収した。細胞を同じ遠沈管に加えた。次いで、遠沈管を10,000gで遠心沈降して、細胞をペレットとした。ペレットを1×PBSを加えて洗浄し、10,000gで遠心沈降した。最後に、ペレットを1×PBS 50μlに再懸濁し、同量の試料緩衝液と混合し、SDS−PAGE分析およびウエスタンイムノブロットに用いた。
His標識VapA蛋白質をコードするプラスミドの調製
vapA遺伝子をpET−28a(+)(Novagen)発現ベクター中にクローニングするために、導入されたNcol部位(下線)を含む順方向プライマー5'−GAGGATCCATGGAGACTCTTCACAAGACG−3'[配列番号17]および導入されたXhoI部位(下線)を含む逆方向プライマー5'−GCCTCGAGGGCGTTGTGCCAGCTACC−3'[配列番号18]によるPCRを用いて増幅した。PCRは、鋳型としてR.エクイATCC 33701のプラスミド抽出物およびDyNAzyme(登録商標) EXT DNAポリメラーゼ(Finnzymes、フィンランド)を用い、アニーリング温度65℃の標準的条件下で実施した。PCR生成物およびベクターをNcoIおよびXhoIで別々に消化し、連結して、構築体pIMVS−Re3を作製した(図5)。
His標識VapA蛋白質調製物
pIMVS−Re3からのHis標識VapAは、基本的にはHis標識GroEL2の産生について記載した方法を用い、下記の変更を加えて調製した:蛋白質をNi−NTAアガロースから100mM EDTA(Ni−NTAアガロースに結合した蛋白質をうまく溶出するためにイミダゾールを用いることはできないため、EDTAを用いた)を用いて溶出した。蛋白質溶出液を1×PBSで2回透析したが、TX−114を用いたエンドトキシン除去は行わなかった。この処理は、おそらくはこの蛋白質が親油性であるために、VapA蛋白質調製物からのエンドトキシン除去に効果的でないことが判明したためである。使用前に、蛋白質調製物中のエンドトキシンレベルを、QCL−1000 Limulus Amoebocyte Lysate Kit(BioWhittaker、米国メリーランド州ウォーカーズビル)を用いて定量すると(試験はMedia production Unit of the IMVSによって実施された)、100〜500pg/mlの間で変動した。His標識蛋白質を15%SDS PAGEゲルで分離し、VapA特異的モノクローナル抗体(Takaiら、1993a)を用いたウエスタンイムノブロットで検出した。
His標識キメラGroEL2/VapA蛋白質を発現するプラスミドの作製
His標識GroEL2/VapA蛋白質を発現するキメラ遺伝子の調製法は、基本的にはpcDNA3−Re3におけるgroEL2/vapA産生に用いたものに、下記の変更を加えて行った:GVORの代わりに下記のプライマー5'−CGTCAAGCTTGAAGTCCATGCCGC−3'[配列番号21](HindIII部位に下線)を用い、その後His標識GroEL2/VapA構築体(pIMVS−Re4)をpIMVS−Re2について記載したように生成した。
His標識キメラGroEL2/VapA蛋白質の調製
His標識GroEL2/VapA蛋白質の調製法は、基本的にはHis標識GroEL2生成について記載したとおりであった。精製蛋白質をSDS PAGEゲルで分離し、GroEL2特異的モノクローナル抗体を用いてウエスタンイムノブロットで検出した。
結果
groEL2を組み込んだDNAワクチンのCos−7細胞における発現
pcDNA3−Re1でトランスフェクトした細胞でのみ約60kDaの大きい蛋白質バンドが観察され、GroEL2の産生が示された。この蛋白質バンドはトラコーマ病原体Hsp60特異的モノクローナル抗体を用いたウエスタンイムノブロット分析で検出した。
VAPAを組み込んだDNAワクチンのCos−7細胞における発現
pcDNA3−Re2でトランスフェクトした細胞において、約19kDaの蛋白質バンド、および約15kDaのより大きく拡散したバンドが発現された。VapA特異的モノクローナル抗体(Takaiら、1993a)を用いたウエスタンイムノブロット分析で検出した。pcDNA3−hsp2(理想的なKozak配列を含まない構築体)でトランスフェクトしたCos−7細胞またはpcDNA3ベクターでトランスフェクトした細胞では蛋白質発現は認められなかった。pcDNA3−Re2による15および19kDaの蛋白質の発現は、クーマシーブリリアントブルー染色したSDS PAGEでは観察されなかったが、ウエスタンイムノブロットでのみ観察された。これは、他の研究者らがクーマシーブリリアントブルー染色を用いたSDS PAGE上でのVapAの可視化において同様の困難を報告している(S.Takai、personal communication)ため、驚くことではなかった。
GROEL2/VAPAを組み込んだDNAワクチンのCos−7細胞における発現
pcDNA3−Re3(キメラgroEL2/vapAワクチン構築体)でトランスフェクトした細胞で、約60kDaの大きい蛋白質バンドが発現された。この蛋白質はCos−7細胞で発現されたGroEL2蛋白質よりもわずかに大きかった。
実施例3 マウス感染モデルにおいて評価したR.エクイ特異的ワクチンの免疫原性
ワクチンを使用する前に、蛋白質調製物をインビボでの使用に適するように下記のとおりに処理した。すべての調製物を1×PBSで2回透析した。TX−114を用いてGroEL2およびキメラGroEL2/VapA蛋白質調製物からエンドトキシンを除去した。His標識VapA調製物からはエンドトキシンを除去しなかった。TX−114による方法でこの調製物からエンドトキシンをうまく除去することができなかったためである。
エンドトキシンレベルをQCL−1000 Limulus Amoebocyte Lysate Kit(BioWhittaker、米国メリーランド州)を用いて定量したところ、エンドトキシン処理した蛋白質調製物では100pg/ml未満であり、未処理のHis標識VapA蛋白質調製物では100〜500pg/ml前後であった。
試料の蛋白質濃度をBiorad蛋白質アッセイを用いて定量し、試料100μlずつに分けて必要時まで−20℃で保存した。ワクチン接種前に、試料を室温で解凍し、1×PBSで2mg/mlの濃度に希釈した。
生ワクチンにおける使用のためのR.エクイの調製および抗原投与試験(challenge test)
R.エクイ菌株ATCC 33701を、過去に報告されている方法(Takaiら、1995a、Takaiら、1991a)を用いてマウスの感染のために調製した。動物試験での使用前に、R.エクイ菌株をvapA遺伝子の存在についてPCRで、VapAの発現についてウエスタンイムノブロットで確認した。菌株を−70℃で保存した一定量から、BHIブロス中、37℃で撹拌しながら48時間培養した。細菌を10,000gで10分間遠心沈降してペレットとし、1×PBSで1回洗浄し、滅菌食塩水で希釈して、550nmでのODが約0.6の懸濁液を得た。この懸濁液を滅菌食塩水によって50%希釈し、100μl中に約1.5×10の生物を含む最終接種材料を得た。懸濁液を滅菌食塩水でさらに希釈して、生ワクチンとして用いるために約10の菌濃度とした。マウスに接種する直前に接種材料の一定量をHBAに播種し、37℃で48時間インキュベートした後にコロニーを計数して、細菌の概数を遡及的に確認した。
試験に用いたマウス
6〜8週齢の雌BALB/cマウスの群(各群5匹)を用いた。動物はVeterinary Services Division of the IMVS(Gilles Plains、南オーストラリア、アデレード)から入手した。これらは特定病原体不在(SPF)であることが証明されていた。マウスの各群を免疫後、別々の上部にフィルターがついたケージに入れた。
マウスのDNAワクチン接種
マウスの各群をpcDNA3−Re1、pcDNA3−Re2、pcDNA3−Re3またはpcDNA3ベクター(対照群)でワクチン接種した。DNA 50μg(50μl)をそれぞれの大腿四頭筋に注射した。
動物をワクチン接種前にFluothane(ハロタン)(登録商標)(Zeneca、英国チェシャー州)の吸入により軽く麻酔した。これは、動物への注射を容易にするのと同時に、注射したDNAが脚の動き(筋肉収縮)により排出されるのを防ぐために行った。動物に2週間の間隔で3回ワクチン接種した。
マウスの蛋白質ワクチン接種
100μgの濃度の蛋白質を含む蛋白質調製物50μlを、同量の1.3%水酸化アルミニウムゲル(Alhydrogel、Asia Pacific Specialty Chemicals Ltd、オーストラリア、ニューサウスウェールズ)と混合して100μlとし、各動物に投与した。マウスの各群にHis標識GroEL2、キメラGroEL2/VapAまたはVapA蛋白質調製物でワクチン接種した。対照群のマウスには、1×PBS 100μlでワクチン接種した。2週間の間隔で3回腹腔内にワクチン接種し、各追加免疫前と投与の直前に採血した。
生R.エクイワクチン接種
マウス群を、他のワクチンとの比較のために致死量以下の生R.エクイで免疫した。動物に、約105の生R.エクイ菌株ATCC 33701を腹腔内経路で投与してワクチン接種した。2週間の間隔で3回ワクチン接種し、各追加免疫前と投与の直前に採血した。ワクチンに用いた生物の数は過去の試験(Takaiら、1999a)に基づいて選択した。ワクチン接種前に、調製物の一定量をHBAに播種し、調製物中の生菌数を遡及的に定量した。
マウスIL−12をコードするプラスミドとDNAワクチン候補との同時投与
マウスサイトカインIL−12を発現するプラスミドpORF−mIL12(InvivoGen、米国カリフォルニア州)(製造者によりこのプラスミドはマウスIL−12を分泌すると報告されており、いかなる改変もせずに用いた)を大腸菌DH5αに電気穿孔法により導入し、DNAワクチンを筋肉内注射用に前述(前述のDNAワクチン調製の項を参照されたい)のとおりに調製した。IL−12挿入断片は単一のIL−12の開いた読み枠を生成し、両サブユニットの同レベルの発現を確実にする、2つのウシエラスチンモチーフ(10アミノ酸の長さ)で連結された2つのネズミIL−12サブユニット(p35およびp40)をコードする遺伝子を含んでいた(Leeら、1998)。この調製物5μgを前述の抗原と同時に注射(筋肉内)した。
マウス血清試料の採取
各免疫の2週間後と投与の直前に、マウスの眼窩後方から血液試料を採取した。採血前に、Fluothane(ハロタン)(登録商標)(Zeneca、英国チェシャー州)の吸入により軽く麻酔した。マウス各群の血液試料を保存した(血液を含む試験管を室温で30分間、次いで−4℃で1時間インキュベートし、最後に1000gで遠心沈降して血清を除去し、必要時まで−20℃で保存した)。
全IgGおよび免疫グロブリンサブクラスIgG1、IgG2a、IgG2b検出のためのELISA
免疫応答中に産生されるIgGサブクラスのパターンは、その応答で産生されるサイトカインのタイプの信頼できる指標であることが広く認められている。一般に、IgG2aはIFN−γ応答(細胞性応答に関連)を反映すると考えられるが、IgG1アイソタイプスイッチングはIL−4(液性免疫に関連するサイトカイン)によって促進される(MosmannおよびCoffman、1989)。
IgGおよびIgGサブクラスのレベルの定量は下記のとおりに行った:Nunc(登録商標) maxisorpプレートを、コーティング緩衝液(Na2CO3 15mM、NaHCO3 35mM;pH9.6)中5μg/ml(各ウェル100μl)のHis標識GroEL2またはVapAでコーティングし、ELISAアッセイで用いた。マウス血清を、0.25mg/mlの大腸菌抽出物(Promega、米国ウィスコンシン州)を含むPBS/0.05%トゥイーン20緩衝液で1/250に希釈し、室温で30分間放置した後、ウェルに分配した。大腸菌抽出物は、血清試料中に存在する大腸菌特異的抗体とELISA抗原との交差反応により生じる可能性があるバックグラウンドの低減を助けるために用いた。用いた二次抗体はウサギ抗マウスIgG(HおよびL鎖特異的)、γ2a、γ2bまたはγ1鎖特異的ペルオキシダーゼに結合したアフィニティー精製モノクローナル抗体(Rockland、米国ペンシルバニア州)で、それぞれ1/5000、1/4000、1/5000、および1/1000に希釈した。反応溶液の波長450nm(対照波長630nm)のODをELISAプレート読みとり器で読み取った。
結果をHis標識VapAおよびGroEL2蛋白質を用いたウエスタンイムノブロットで確認した(結果は示していない)。
DTH応答試験用の抗原の調製
R.エクイ菌株ATCC 33701をBHIブロス500ml中37℃で撹拌しながら48時間培養した。培養物を10,000gで10分間遠心沈降してペレットとし、1×PBSで2回洗浄した。ペレットを1×PBS 200〜500μlに再懸濁した。懸濁液を氷上で30秒間超音波処理し、10分間煮沸した。蛋白質濃度を定量し、1×PBS中で100μg/mlに調節した。この調製物を必要時まで−20℃で保存した。
DTH応答試験
後足蹠のDTH応答を測定するために、2つの別々の試験(前述の異なるワクチン候補で免疫した3匹のマウス群に対して)を実施した。各マウスの右後足蹠に抗原20μlを注射し、対応する左後足蹠に1×PBS 20μlを注射した。足蹠の厚みを24、48および72時間後にVernierノギスを用いて測定し(3回の測定値の平均を取った)、24時間の時点での反応が対照に比べて最も有意であったため、この時点のDTHをすべての解析で用いた。腫脹のパーセンテージを下記の式を用いて計算した:
R.エクイ抗原足蹠腫脹(mm)−PBS足蹠腫脹/PBS足蹠腫脹×100
データの統計解析
データをウィルコクソンの(順位和)2標本検定を用い、有意レベルP≦0.05で解析した。データは正規分布していないことが判明したため、非パラメーター検定を用いた。データをSASバージョン8.01(SAS Institute,Inc.米国ノースカロライナ州)を用いて解析した。
結果
R.エクイによる投与後にマウスで観察された症状
生R.エクイワクチンで免疫したものを除くすべての動物が、投与の24時間後に軽度の疾患の症状を発症した。これらのマウスで有意な体重減少は認められず、感染で死亡した動物はなかった。マウスは投与後4または5日目までに完全に正常のようであった。
生R.エクイによるワクチン接種に対する免疫応答
生R.エクイでワクチン接種したマウスは、中等度に高いIgG2aレベルおよび低いIgG1レベルによって示されるとおり、Th1に偏った免疫応答を示した。IgG1、IgG2aおよびIgG2b応答は追加免疫のたびに増大した。興味深いことに、VapA特異的抗体応答はGroEL2特異的応答よりも高かった(表6.1)。重要なことに、有意なDTH応答もこれらのマウスで検出された。さらに、ワクチン接種したマウスは静脈内投与後にR.エクイのクリアランス促進を示した。
GroEL2を組み込んだワクチン候補に対する免疫応答
His標識GroEL2蛋白質およびDNAワクチン(pcDNA3−Re1)ワクチン接種したマウスの双方で、R.エクイGroEL2蛋白質に対するIgG2a抗体の有意なレベルが検出されたが、2回の追加免疫後、DNAワクチンは蛋白質ワクチンよりも高いIgG2a応答を誘発することが判明した(図10B)。IgG1(図10A)およびIgG2a抗体(図10B)応答はいずれも、追加免疫毎に漸増的に高まった。最後の追加免疫後、DNAワクチンに対してIgG2b応答(図11A)はIgG2a応答よりも低く、IgG1応答よりも高かった。
pORF−mIL12を加えると、最後の追加免疫後のIgG1応答が高まった。加えて、最後の追加免疫後、IgG2b応答も高くなった。最後の追加免疫後、IgG2a応答は低かった。同時投与群のpORF−mIL12におけるDTH応答はpcDNA3−Re1で得られたものよりも低く、pcDNA3−Re1単独で得られるよりもTh1への偏りが小さいことを示していた。
DNAおよびHis標識蛋白質ワクチンで誘導されたDTH応答は、ベクターpcDNA3で免疫したマウスの応答に比べて有意であった(図11B)。DNAワクチンpcDNA3−Re1で誘導された応答はHis標識GroEL2でワクチン接種したマウスの応答よりも高かった。
VapAを組み込んだワクチン候補に対する免疫応答
VapAを組み込んだDNAワクチン(pcDNA3−Re2)でワクチン接種したマウスにおいて、His標識VapA蛋白質に対する中等度のレベルのIgG2a抗体が検出された。IgG1抗体のレベルはIgG2aのレベルよりもはるかに低く(図12Aおよび図12B)、Th1に偏った免疫応答を示していた。His標識VapAワクチンに対する免疫応答は、DNAワクチンに対するよりもIgG2aでは高く、IgG1応答でははるかに高く、免疫応答におけるTh1型への偏りがDNAワクチンで観察されるよりも弱いことを示していると考えられる。試験したDNAおよび蛋白質ワクチンではいずれも、IgG2b応答(図13A)はIgG2aよりも低く、IgG1応答に比べるとほぼ同等またはそれよりも高く、ここでも免疫応答のTh1への偏りが示された。これらの結果は、VapAを組み込んだワクチンによって免疫応答におけるTh1への偏りが誘発されたことを示すものである。pORF−mIL12の同時投与は、pcDNA3−Re2へのIgG1応答を実質的に高め、同じくIgG2a応答も高めたが、最後の追加免疫までにすぎなかった。pORF−mIL12の同時投与はIgG2b応答を有意に変えることはなかった。
vapA DNAワクチン(pcDNA3−Re2)およびHis標識VapAワクチンでワクチン接種したマウスのDTH応答は、対照マウス(pcDNA3単独でワクチン接種)よりも有意に高かった(図13B)。
キメラGroEL2/VapAワクチン候補に対する免疫応答
pcDNA3−Re3(groEL2/vapAキメラDNAワクチン)およびキメラGroEL2/VapA蛋白質ワクチンでワクチン接種したマウスにおいて、R.エクイGroEL2蛋白質に対する有意なレベルのIgG2a抗体が検出された。IgG1およびIgG2a抗体応答はいずれも、追加免疫毎に漸増的に高まった。IgG1抗体のレベルはIgG2aのレベルよりもはるかに低く(図14A、図14B)、免疫応答におけるTh1への偏りを示していた。試験したDNAおよび蛋白質ワクチンではいずれも、IgG2b応答(図14A)はIgG2aよりも低く、IgG1応答よりも高く、免疫応答のTh1への偏りが示唆された。
pcDNA3−Re3およびHis標識GroEL2/VapAでワクチン接種したマウスのDTH応答は、pcDNA3ベクターでワクチン接種した対照群よりも有意に高かった(図15B)。
pORF−mIL12を加えると、最後の追加免疫後のIgG1応答が高まったが、IgG2a応答は有意に変わることはなかった。最後の追加免疫後、IgG2b応答は有意に高くなった。
キメラgroEL2/vapAワクチン構築体におけるVapA B細胞エピトープへの抗体検出アッセイ
VapA B細胞エピトープNLQKDEPNGRA[配列番号3]への抗体を検出するために、キメラgroEL2/vapA DNAワクチン(pcDNA3−Re3)で免疫したマウスからの血清をアッセイした。これは、標的抗原としてビオチン化ペプチドNLQKDEPNGRA[配列番号3]によるELISAを用いて実施した。加えて、別のELISAでHis標識VapAを標的抗原として用いた。キメラgroEL2/vapAワクチンで免疫したマウスからの血清で得られたOD値は、対照マウスからの血清で得られた値と有意差はなかった(結果は示していない)。これは、GroEL2に挿入したVapAエピトープがマウスにおいて検出可能なIgG応答を誘発しなかったことを示唆している。
DNAワクチンの比較
groEL2(pcDNA3−Re1)およびキメラgroEL2/vapA(pcDNA3−Re3)ワクチンはいずれも、有意な全IgG、特に高いIgG2aおよびDTH応答を生じた。IgG1およびIgG2b応答は軽度から中等度であった。一般に、IgG1およびIgG2a応答はいずれもpORF−mIL12存在下で増大する。pcDNA3−Re1およびpcDNA3−Re3によって生じた応答は一般にほぼ同等であったが、IgG1応答は例外でpcDNA3−Re1の方が高かった。驚くことではないが、IgG1およびIgG2a抗体応答はいずれも、追加免疫毎に漸増的に高まった。
vapAを組み込んだDNAワクチンにより生じた免疫応答は他のDNAワクチンよりも有意に低く、pORF−mIL12を同時投与した場合、最初の追加免疫後にIgG2a応答で有意な増大が見られたが、groEL2/vapA(pcDNA3−Re3)キメラワクチンで観察されたものほど高くはなかった。groEL2を組み込んだワクチン(pcDNA3−Re1およびpcDNA3−Re3)によって誘発されたIgG2a、IgG2bおよびIFN−γ応答は、生ワクチンで観察されたものよりも有意に高く、DNAワクチンによるTh1型免疫応答が有意に高いことが示唆された。これとは対照的に、生ワクチンで得られたDTH応答はどのプラスミドワクチンで観察されたものよりも有意に高かった(表3)。重要なことに、DNAワクチンは生ワクチンとは異なり、マウスのクリアランス増大を誘発するものはなかった。
蛋白質ワクチンの比較
一般に、3つのHis標識蛋白質ワクチンはすべて主にIgG2a応答を誘発したが、生じたIgG1応答も対応するDNAワクチン候補で観察された応答よりも実質的に高かった。これは、DNAワクチンと比較した場合に、蛋白質ワクチンによって誘発された免疫応答でTh1への偏りが小さいことを示していた。
His標識VapAワクチンは、試験した他の蛋白質ワクチンと比べて最も強いDTH応答を誘発した。しかし、この結果は部分的には、VapA調製物では他のワクチンに比べて比較的高レベルのエンドトキシンが存在すること(グラム陰性菌において発現された結果)が原因であると考えられる。興味深いことに、His標識GroEL2およびキメラGroEL2ワクチンでさえも、生R.エクイ免疫マウスで観察されるよりも高い有意なDTH応答を引き起こした(表3)。
groEL2を組み込んだDNAワクチン(pcDNA3−Re1およびpcDNA3−Re3)は、IgGをサブクラスに分けることによって示されるとおり、強いTh1型免疫応答を誘発するようであった。これに関して、他の報告は他の細菌病原体に対して発生したgroEL2を組み込んだDNAワクチンで同様の知見を示している(Nollら、1994)。重要なことに、これらのワクチンは、vapAを組み込んだワクチン(pcDNA3−Re2)よりも強くTh1に偏っていると思われる免疫応答を誘発し、groEL2がvapAよりも良好なDNAワクチン候補である可能性が示唆された。
VapA B細胞エピトープNLQKDEPNGRA[配列番号3]のgroEL2への挿入は、より低いIgG1およびより高いIgG2a応答で観察されるとおり、GroEL2によって誘発されるTh1応答を増強したようであった。
His標識蛋白質ワクチンは、対応するDNAワクチンとは異なり、高いIgG1およびIgG2aレベルで示されるとおり、有意なTh1型免疫応答を誘発しなかった。他の研究者らは、感染のクリアランスに宿主のTh1応答を必要とする細胞内病原体に対する蛋白質ワクチンの使用に関して、同様の知見を報告している(Turnerら、2000)。
groEL2を組み込んだDNAワクチンは、vapAを組み込んだDNAワクチンよりも強くTh1に偏った免疫応答を誘発することが明らかとなり、DNAワクチンとして投与した場合に、groEL2はvapAよりも免疫原性が強いことを示していた。
Figure 2005515759
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図1はロドコッカスエクイのGroEL2をコードするヌクレオチドおよびアミノ酸配列[配列番号1]を示す図である。 図2はpIMVS−Re2の物理的地図を示す図である。C末端に6個のヒスチジン残基を有するGroEL2を発現するpET−28a(+)ベクターにR.エクイgroEL2遺伝子を挿入した。ベクターは形質転換体選択のためのカナマイシンカセット(Kan)、T7プロモーター、および蛋白質発現誘導のためのLacオペレーター(lacI)を含む。 図3は構築体pcDNA3−Re1(改変Kozak配列を有するR.エクイgroEL2を含むpcDNA3)の物理的地図を示す図である。groEL2をクローニングするために用いた制限部位を示している。ベクターは抗生物質選択のためのアンピシリン耐性カセット(Amp)、ヒトサイトメガロウイルス最初期プロモーター(Pcmv)、およびエピソーム複製のためのSV40開始点を含む。 図4は構築体pcDNA3−Re2(R.エクイvapAを含むKozak配列を有するベクターpcDNA3)の物理的地図を示す図である。vapAをクローニングするために用いた制限部位を示している。ベクターは抗生物質選択のためのアンピシリン耐性カセット(Amp)、ヒトサイトメガロウイルス最初期プロモーター(Pcmv)、およびエピソーム複製のためのSV40開始点を含む。 図5はpIMVS−Re3の物理的地図を示す図である。C末端に6個のヒスチジン残基を有するVapAを発現するpET−28a(+)ベクターにR.エクイvapA遺伝子を挿入した。ベクターは形質転換体選択のためのカナマイシンカセット(Kan)、T7プロモーター、および蛋白質発現誘導のためのLacオペレーター(lacI)を含む。 図6はキメラgroEL2/vapA DNAワクチン構築体pcDNA3−Re3を作製するために実施したオーバーラップ伸長PCRの概略を示す図である。構築体pcDNA3−Re1を最初の2回のPCR反応の鋳型として用い、挿入されたVapAエピトープを含む生成物を得た(破線はVapAエピトープの配列を示す)。次いで、これらの反応から得たPCR生成物を最後の反応の鋳型として用い、ワクチン構築体pcDNA3−Re3を作製するために用いるPCR生成物を得た。 図7はR.エクイGroEL2のアミノ酸配列を示す図である。太字の残基は免疫原性に大いに関連するGroEL蛋白質内の領域に関連する親水性残基の領域を示している(他の研究者によって記載されているとおり)(Panchanathanら、1998)。矢印はGroEL2へのVapA免疫原性エピトープNLQKDEPNGRA[配列番号3]の挿入点を示している。 図8は構築体pcDNA3−Re3(groEL2/vapAエピトープキメラ遺伝子を含むKozak配列を有するベクターpcDNA3)の物理的地図を示す図である。vapAをクローニングするために用いた制限部位を示している。ベクターは抗生物質選択のためのアンピシリン耐性カセット(Amp)、ヒトサイトメガロウイルス最初期プロモーター(Pcmv)、およびエピソーム複製のためのSV40開始点を含む。 図9はpIMVS−Re4の物理的地図を示す図である。C末端に6個のヒスチジン残基を有する蛋白質を発現するpET−28a(+)ベクターにキメラgroEL2/vapA遺伝子を挿入した。ベクターは形質転換体選択のためのカナマイシンカセット(Kan)、T7プロモーター、および蛋白質発現誘導のためのLacオペレーター(lacI)を含む。 図10はpcDNA3ベクター(対照)、pcDNA3−Re1、His標識GroEL2蛋白質、pcDNA3−Re1+pORF−mIL12または生R.エクイワクチンによる免疫後のR.エクイGroEL2特異的IgG1/IgG2a抗体応答を示す図である。抗体レベルを初回免疫の2、4および6週間後に定量した。データは平均および標準誤差で示している。データはウィルコクスン(順位和)2標本検定を用いて解析した(P<0.05)。(図10A)IgG1応答:すべてのワクチン構築体は対照に比べて統計学的に有意な応答を誘発した。(図10B)IgG2a応答:すべてのワクチン構築体は対照に比べて統計学的に有意な応答を誘発した。pcDNA3ベクター(対照)(−)、pcDNA3−Re1 ◆、His標識GroEL2蛋白質 ▲、pcDNA3−Re1+pORF−mIL12 ■、生R.エクイATCC 33701 *。 図11はpcDNA3ベクター(対照)、pcDNA3−Re1、His標識GroEL2蛋白質、pcDNA3−Re1+pORF−mIL12または生R.エクイワクチンによる免疫後のR.エクイGroEL2特異的IgG2b抗体応答およびDTH応答を示す図である。IgG2bサブクラス抗体レベルを初回免疫の2、4および6週間後に定量した。DTH応答を最後の追加免疫の2週間後に定量した。データは平均および標準誤差で示している。データはウィルコクスン(順位和)2標本検定を用いて解析した(P<0.05)。(C)IgG2b応答:すべてのワクチン構築体は対照に比べて統計学的に有意な応答を誘発した。(D)遅延型過敏(DTH)応答:すべてのワクチン構築体は対照に比べて統計学的に有意な応答を誘発した。 pcDNA3ベクター(対照)(−)、pcDNA3−Re1 ◆、His標識GroEL2蛋白質 ▲、pcDNA3−Re1+pORF−mIL12 ■、生R.エクイATCC 33701 *。 図12はpcDNA3ベクター(対照)、pcDNA3−Re2、His標識VapA蛋白質、pcDNA3−Re2+pORF−mIL12または生R.エクイワクチンによる免疫後のR.エクイVapA特異的IgG1/IgG2a抗体応答を示す図である。抗体レベルを初回免疫の2、4および6週間後に定量した。データは平均および標準誤差で示している。データはウィルコクスン(順位和)二標本検定を用いて解析した(P<0.05)。(図11A)IgG1応答:すべてのワクチン構築体は対照に比べて統計学的に有意な応答を誘発した。(図11B)IgG2a応答:すべてのワクチン構築体は対照に比べて統計学的に有意な応答を誘発した。pcDNA3ベクター(対照)(−)、pcDNA3−Re1 ◆、His標識GroEL2蛋白質 ▲、pcDNA3−Re1+pORF−mIL12 ■、生R.エクイATCC 33701 *。 図13はpcDNA3ベクター(対照)、pcDNA3−Re2、His標識VapA蛋白質、pcDNA3−Re2+pORF−mIL12または生R.エクイワクチンによる免疫後のR.エクイVapA特異的IgG2b抗体応答およびDTH応答を示す図である。IgG2b抗体レベルを初回免疫の2、4および6週間後に定量した。DTH応答を最後の追加免疫の2週間後に定量した。データは平均および標準誤差で示している。データはウィルコクスン(順位和)2標本検定を用いて解析した(P<0.05)。(図12A)IgG2b応答:すべてのワクチン構築体は対照に比べて統計学的に有意な応答を誘発した。(図12B)遅延型過敏(DTH)応答:すべてのワクチン構築体は対照に比べて統計学的に有意な応答を誘発した。pcDNA3ベクター(対照)(−)、pcDNA3−Re1 ◆、His標識GroEL2蛋白質 ▲、pcDNA3−Re1+pORF−mIL12 ■、生R.エクイATCC 33701 *。 図14はpcDNA3ベクター(対照)、pcDNA3−Re3、His標識キメラGroEL2/VapA蛋白質、pcDNA3−Re3+pORF−mIL12または生R.エクイワクチンによる免疫後のR.エクイGroEL2特異的IgG1/IgG2a抗体応答を示す図である。抗体レベルを初回免疫の2、4および6週間後に定量した。データは平均および標準誤差で示している。データはウィルコクスン(順位和)二標本検定を用いて解析した(P<0.05)。(図14A)IgG1応答:すべてのワクチン構築体は対照に比べて統計学的に有意な応答を誘発した。(図14B)IgG2a応答:すべてのワクチン構築体は対照に比べて統計学的に有意な応答を誘発した。pcDNA3ベクター(対照)(−)、pcDNA3−Re1 ◆、His標識GroEL2蛋白質 ▲、pcDNA3−Re1+pORF−mIL12 ■、生R.エクイATCC 33701 *。 図15はpcDNA3ベクター(対照)、pcDNA3−Re3、His標識GroEL2/VapA蛋白質、pcDNA3−Re3+pORF−mIL12または生R.エクイワクチンによる免疫後のR.エクイGroEL2特異的IgG2b抗体応答およびDTH応答を示す図である。IgG2bサブクラス抗体レベルを初回免疫の2、4および6週間後に定量した。DTH応答を最後の追加免疫の2週間後に定量した。データは平均および標準誤差で示している。データはウィルコクスン(順位和)二標本検定を用いて解析した(P<0.05)。(図15A)IgG2b応答:キメラ蛋白質ワクチン構築体のみが対照に比べて統計学的に有意な応答を誘発した。(図15B)遅延型過敏(DTH)応答:すべてのワクチン構築体は対照に比べて統計学的に有意な応答を誘発した。pcDNA3ベクター(対照)(−)、pcDNA3−Re1 ◆、His標識GroEL2蛋白質 ▲、pcDNA3−Re1+pORF−mIL12 ■、生R.エクイATCC 33701 *。

Claims (42)

  1. 表面に露出する外因性アミノ酸配列が挿入されたGroEL蛋白質、その修飾体または類縁体であり、前記外因性アミノ酸配列が抗原決定基に特異的に反応する免疫応答を誘発するよう構成されているキメラ蛋白質。
  2. 前記外因性アミノ酸配列が前記GroEL蛋白質の親水性領域に挿入されている、請求項1記載のキメラ蛋白質。
  3. 前記外因性アミノ酸配列がGroEL抗原決定基を含む前記GroEL蛋白質の位置に挿入されている、請求項1記載のキメラ蛋白質。
  4. 前記GroELがR.エクイ(R.equii)由来である、請求項2記載のキメラ蛋白質。
  5. 前記親水性領域がV26〜S54、V73〜T90、G109〜A155、M191〜L246、R270〜I290、G342〜A197、およびV415〜N468からなる疎水性領域の群より選択される、請求項4記載のキメラ蛋白質。
  6. 前記親水性領域がM191〜L246である、請求項4記載のキメラ蛋白質。
  7. 前記外因性アミノ酸配列が3から25アミノ酸の範囲の長さを有する、請求項1記載のキメラ蛋白質。
  8. 前記外因性アミノ酸配列が約11アミノ酸の長さを有する、請求項1記載のキメラ蛋白質。
  9. 前記外因性アミノ酸配列が病原性細菌種の主要抗原決定基を含む、請求項1記載のキメラ蛋白質。
  10. 前記GroEL蛋白質が前記病原性細菌種由来である、請求項9記載のキメラ蛋白質。
  11. 前記病原性の種がロドコッカスエクイ(Rhodococcus equii)であり、前記主要抗原決定基がVapA蛋白質由来である、請求項9記載のキメラ蛋白質。
  12. 前記抗原決定基が配列番号2の中に存在するものである、請求項11記載のキメラ蛋白質。
  13. 前記抗原決定基が配列番号3の中に存在するものである、請求項11記載のキメラ蛋白質。
  14. キメラ蛋白質をコードする配列および前記キメラ蛋白質発現のために配置される制御因子を含む核酸分子であって、前記キメラ蛋白質は表面に露出する外因性アミノ酸配列が挿入されたGroEL蛋白質、その修飾体または類縁体であり、前記外因性アミノ酸配列は抗原決定基に特異的に反応する免疫応答を誘発するよう構成されている核酸分子。
  15. 前記外因性アミノ酸配列が前記GroEL蛋白質の親水性領域に挿入されている、請求項14記載の核酸分子。
  16. 前記外因性アミノ酸配列がGroEL抗原決定基を含むGroEL蛋白質の位置に挿入されている、請求項14記載の核酸分子。
  17. 前記GroEL蛋白質がR.エクイ由来である、請求項15記載の核酸分子。
  18. 前記外因性アミノ酸配列が3から25アミノ酸の範囲の長さを有する、請求項14記載の核酸分子。
  19. 前記外因性アミノ酸配列が病原性細菌種の主要抗原決定基を含む、請求項14記載の核酸分子。
  20. 前記GroEL蛋白質が前記病原性細菌種由来である、請求項19記載の核酸分子。
  21. 前記病原性の種がロドコッカスエクイであり、前記主要抗原決定基が前記VapA蛋白質由来である、請求項19記載の核酸分子。
  22. 前記抗原決定基が配列番号2の中に存在するものである、請求項21記載の核酸分子。
  23. 前記キメラ蛋白質が前記蛋白質の精製を助ける非GroEL配列も含む、請求項14記載の核酸分子。
  24. 複数のヒスチジン残基が前記キメラ蛋白質のC末端に付加されている、請求項23記載の核酸分子。
  25. 免疫応答を誘発するための宿主細胞における発現のプロモーターを含む、請求項14記載の核酸分子。
  26. 前記DNA分子ベクターが共刺激分子をコードし、前記共刺激分子が宿主の前記免疫応答を刺激することができる、請求項25記載の核酸分子。
  27. 哺乳動物において抗原決定基に対する免疫応答を誘発する方法であって、前記哺乳動物にキメラ蛋白質を投与する工程を含むとともに、前記キメラ蛋白質が表面に露出する外因性アミノ酸配列が挿入されたGroEL蛋白質、その修飾体または類縁体であり、前記外因性アミノ酸配列が抗原決定基に特異的に反応する免疫応答を誘発するよう構成されている方法。
  28. 前記外因性アミノ酸配列が前記GroEL蛋白質の親水性領域に挿入されている、請求項27記載の免疫応答誘発法。
  29. 前記外因性アミノ酸配列がGroEL抗原決定基を含む前記GroEL蛋白質の位置に挿入されている、請求項27記載の免疫応答誘発法。
  30. 前記外因性アミノ酸配列が3から25アミノ酸の範囲の長さを有する、請求項27記載の免疫応答誘発法。
  31. 前記外因性アミノ酸配列が病原性細菌種の主要抗原決定基を含む、請求項27記載の免疫応答誘発法。
  32. 前記GroEL蛋白質が前記病原性細菌種由来である、請求項31記載の免疫応答誘発法。
  33. 前記病原性の種がロドコッカスエクイであり、前記主要抗原決定基が前記VapA蛋白質由来である、請求項31記載の免疫応答誘発法。
  34. 前記抗原決定基が配列番号2の中に存在するものである、請求項33記載の免疫応答誘発法。
  35. 前記GroEL蛋白質がR.エクイ由来である、請求項28記載の免疫応答誘発法。
  36. 前記免疫応答が前記抗原決定基に特異的な抗体応答を含む、請求項27記載の免疫応答誘発法。
  37. 前記抗体応答がIgG1に比べてIgG2aで比例的に大きい、請求項36に記載の免疫応答誘発法。
  38. 前記キメラ蛋白質を薬学的に許容される担体中の精製された形で投与する、請求項27記載の免疫応答誘発法。
  39. アジュバントを同時投与する、請求項38記載の免疫応答誘発法。
  40. 哺乳動物の細胞に挿入されるとキメラ蛋白質が細胞内で発現されるように、キメラ蛋白質を発現可能な核酸分子を哺乳動物に投与する、請求項27記載の免疫応答誘発法。
  41. 前記核酸が前記細胞内で免疫刺激分子も発現する、請求項40記載の免疫応答誘発法。
  42. 前記核酸を筋肉内注射により投与する、請求項40記載の免疫応答誘発法。
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