JP2005514348A - 腫瘍リンパ性脈管構造を目指すペプチドおよびその使用方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、腫瘍リンパ性脈管構造を選択的に目指すホーミング分子に連結される部分を含む結合体を提供する。本発明はまた、腫瘍リンパ性脈管構造を選択的に目指すホーミング分子に連結される部分を含む結合体を被験体に投与することによって、被験体中の腫瘍リンパ性脈管構造に対して、部分を指向させる方法を提供する。この結合体は、例えば、単離されたペプチドまたはペプチド模倣物であり、この単離されたペプチドまたはペプチド模倣物が、アミノ酸配列GNKRTRG(配列番号2)またはそのペプチド模倣物を含む。
Description
(発明の背景)
(発明の分野)
本発明は、分子医薬および薬物送達の分野に一般に関し、そしてより具体的には、特定の腫瘍のリンパ性脈管構造を選択的に目指す分子に関する。
(発明の分野)
本発明は、分子医薬および薬物送達の分野に一般に関し、そしてより具体的には、特定の腫瘍のリンパ性脈管構造を選択的に目指す分子に関する。
(背景情報)
原発部位から、しばしば別の器官中の二次的部位への癌の広がりである転移は、癌患者の死亡率に有意に寄与する。転移は、例えば、乳癌ならびに中期病期および後期病期の骨癌において、一般に生じる。最も頻繁には、全身的化学療法が、癌転移を管理するため、または転移が生じる可能性を低減するために、必要である。しかし、所望でない副作用(例えば、重篤な悪心、嘔吐、ニューロパシー、抜け毛および血球数の低下)が、化学療法剤での全身処置の際に生じ得、そして患者の生活の質に大きく影響する。さらに、このような所望されない副作用は、しばしば、安全に投与され得る処置の量を限定し、それによって、癌患者の生存率を低下させる。
原発部位から、しばしば別の器官中の二次的部位への癌の広がりである転移は、癌患者の死亡率に有意に寄与する。転移は、例えば、乳癌ならびに中期病期および後期病期の骨癌において、一般に生じる。最も頻繁には、全身的化学療法が、癌転移を管理するため、または転移が生じる可能性を低減するために、必要である。しかし、所望でない副作用(例えば、重篤な悪心、嘔吐、ニューロパシー、抜け毛および血球数の低下)が、化学療法剤での全身処置の際に生じ得、そして患者の生活の質に大きく影響する。さらに、このような所望されない副作用は、しばしば、安全に投与され得る処置の量を限定し、それによって、癌患者の生存率を低下させる。
癌は、腫瘍の脈管系(これは、その細胞組成および分子組成の両方において多様であり、脈管を裏打ちする細胞および細胞表面レセプターの補体の型において、多様性を示す)を通って転移する。血管は、腫瘍脈管系の1つの型であり、原型的血管は、内皮細胞で完全に裏打ちされている。腫瘍血管もまた、モザイクであり得るか、または内皮細胞および腫瘍細胞の両方によって裏打ちされ得るが、他の脈管は、腫瘍細胞から完全に形成される。リンパ管(これもまた、いくつかの腫瘍型内で生じる)は、腫瘍脈管系の第二の型である。リンパ性脈管構造は、癌の広がりのための重要な経路であり、そして動物実験により、転移と腫瘍の中および腫瘍周囲のリンパ管の数との間に正の相関が示されている。
転移を低減または予防するために設計された従来の全身的化学療法を制限する所望でない副作用の観点から、腫瘍リンパ性脈管構造を選択的に目指し、そして例えば、腫瘍リンパ性脈管構造を除去し、それによって、腫瘍転移の危険性を低減するための選択的標的化剤に適切な分子についての必要性が存在する。本発明は、腫瘍リンパ性脈管構造(例えば、乳癌および骨肉腫のリンパ性脈管構造)を選択的に目指す分子を提供することによって、この必要性を満たす。関連する利点もまた、提供される。
(発明の要旨)
本発明は、アミノ酸配列GNKRTRG(配列番号2)またはそのペプチド模倣物を含む、単離されたペプチドまたはペプチド模倣物を提供する。本発明はさらに、アミノ酸配列CGNKRTRGC(配列番号1)またはそのペプチド模倣物を含む、単離されたペプチドまたはペプチド模倣物を提供する。本発明のペプチドまたはペプチド模倣物は、例えば、環状または他のようにコンフォメーション的に制約され得、そして種々の長さ(例えば、100残基未満の長さ、50残基未満の長さ、20残基未満の長さ、または15残基未満の長さ)を有し得る。
本発明は、アミノ酸配列GNKRTRG(配列番号2)またはそのペプチド模倣物を含む、単離されたペプチドまたはペプチド模倣物を提供する。本発明はさらに、アミノ酸配列CGNKRTRGC(配列番号1)またはそのペプチド模倣物を含む、単離されたペプチドまたはペプチド模倣物を提供する。本発明のペプチドまたはペプチド模倣物は、例えば、環状または他のようにコンフォメーション的に制約され得、そして種々の長さ(例えば、100残基未満の長さ、50残基未満の長さ、20残基未満の長さ、または15残基未満の長さ)を有し得る。
本発明はさらに、腫瘍リンパ性脈管構造を選択的に目指すホーミング分子に連結された部分を含む結合体を提供する。1実施形態において、この結合体は、黒色腫脈管系以外の腫瘍リンパ性脈管構造を選択的に目指すホーミング分子を含む。別の実施形態において、この結合体は、腫瘍リンパ性脈管構造を選択的に目指し、そして抗VEGFR−3抗体でも抗LYVE−1抗体でもなく、その抗原結合フラグメントでもない、ホーミング分子を含む。さらなる実施形態において、この結合体は、腫瘍リンパ性脈管構造を選択的に目指し、そして抗体でもその抗原結合フラグメントでもないホーミング分子を含む。
本発明の結合体において、腫瘍リンパ性脈管構造を選択的に目指すホーミング分子は、例えば、ペプチドまたはペプチド模倣物であり得る。1実施形態において、この結合体のペプチドまたはペプチド模倣物部分は、最大で200残基の長さを有する。別の実施形態において、この結合体のペプチドまたはペプチド模倣物部分は、最大で50残基の長さを有する。さらなる実施形態において、この結合体は、環状または他のようにコンフォメーション的に制約されたホーミング分子(例えば、ペプチドまたはペプチド模倣物)を含み、このホーミング分子は、腫瘍リンパ性脈管構造を選択的に目指す。
本発明の結合体において有用なホーミング分子は、例えば、アミノ酸配列GNKRTRG(配列番号2)またはその保存的改変体もしくはペプチド模倣物を含む、ホーミングペプチドまたはペプチド模倣物であり得る。所望の場合、このようなペプチドまたはペプチド模倣物は、環状であり得るか、または他のようにコンフォメーション的に制約され得る。本発明の結合体において有用なホーミング分子はまた、例えば、アミノ酸配列CGNKRTRGC(配列番号1)またはその保存的改変体もしくはペプチド模倣物を含む、ホーミングペプチドまたはペプチド模倣物であり得る。特定の実施形態において、このようなホーミングペプチドまたはペプチド模倣物は、環状であるか、または他のようにコンフォメーション的に制約されている。種々の部分が、本発明の結合体において有用であり、これには、治療剤、癌化学療法剤、細胞傷害性薬剤、抗リンパ管形成(lymphangiogenic)剤、検出可能標識およびファージが挙げられるが、これらに限定されない。
所望の場合、本発明の結合体は、その各々が腫瘍リンパ性脈管構造を選択的に目指す、複数のホーミング分子を含み得る。1実施形態において、本発明の結合体は、少なくとも2つのホーミング分子を含み、その各々が、腫瘍リンパ性脈管構造を選択的に目指す。さらなる実施形態において、本発明の結合体は、少なくとも10のホーミング分子、または少なくとも100のホーミング分子を含み、その各々が、腫瘍リンパ性脈管構造を選択的に目指す。別の実施形態において、本発明は、その各々が腫瘍リンパ性脈管構造を選択的に目指す、少なくとも100のホーミング分子に連結したファージを含む結合体を提供する。さらなる実施形態において、本発明は、結合体を提供し、この結合体において、ファージまたは他の粒子が、その各々が腫瘍リンパ性脈管構造を選択的に目指す、少なくとも100、200、300、400または500の同一または非同一のホーミング分子に連結されている。
本発明の結合体は、例えば、その各々が腫瘍リンパ性脈管構造を選択的に目指し、そしてその各々が、アミノ酸配列GNKRTRG(配列番号2)またはその保存的改変体もしくはペプチド模倣物を独立して含む、少なくとも2つのホーミング分子に連結された部分を含み得る。さらなる実施形態において、本発明は、その各々が腫瘍リンパ性脈管構造を選択的に目指し、そしてその各々が、アミノ酸配列GNKRTRG(配列番号2)またはその保存的改変体もしくはペプチド模倣物を独立して含む、少なくとも10のホーミング分子に連結された部分を含む結合体を提供する。なお別の実施形態において、本発明は、その各々が腫瘍リンパ性脈管構造を選択的に目指し、そしてその各々が、アミノ酸配列GNKRTRG(配列番号2)またはその保存的改変体もしくはペプチド模倣物を独立して含む、少なくとも100のホーミング分子に連結された部分を含む結合体を提供する。複数のホーミング分子を含む本発明の結合体において有用な部分としては、ファージ部分が挙げられるが、これに限定されない。
本発明はまた、腫瘍リンパ性脈管構造を選択的に目指すホーミング分子に連結された部分を含む結合体を被験体に投与し、それによって、この部分を腫瘍リンパ性脈管構造に指向させることによる、被験体において腫瘍リンパ性脈管構造に部分を指向させる方法を提供する。本発明の方法において、このホーミング分子は、例えば、環状であり得るか、または他のようにコンフォメーション的に制約され得、そしてさらに、例えば、ペプチドまたはペプチド模倣物であり得る。1実施形態において、このホーミング分子は、アミノ酸配列GNKRTRG(配列番号2)を含むペプチドまたはその保存的改変体もしくはペプチド模倣物である。別の実施形態において、このホーミング分子は、アミノ酸配列CGNKRTRGC(配列番号1)を含むペプチドまたはその保存的改変体もしくはペプチド模倣物である。種々の部分が、本発明の方法において有用であり、これには、治療剤、癌化学療法剤、細胞傷害性薬剤、抗リンパ管形成剤、検出可能標識およびファージが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明はまた、腫瘍リンパ性脈管構造を選択的に目指すホーミング分子に連結された検出可能標識を含む結合体を被験体に投与し、この結合体を検出し、それによって、腫瘍リンパ性脈管構造を画像化することによる、被験体において腫瘍リンパ性脈管構造を画像化する方法を提供する。腫瘍リンパ性脈管構造を画像化するための本発明の方法において、このホーミングペプチドは、例えば、環状であり得るか、または他のようにコンフォメーション的に制約され得、そしてさらに、例えば、ペプチドまたはペプチド模倣物であり得る。1実施形態において、このホーミング分子は、アミノ酸配列GNKRTRG(配列番号2)を含むペプチドまたはその保存的改変体もしくはペプチド模倣物である。別の実施形態において、このホーミング分子は、アミノ酸配列CGNKRTRGC(配列番号1)を含むペプチドまたはその保存的改変体もしくはペプチド模倣物である。本発明の画像化方法において有用な検出可能標識は、例えば、放射性核種または蛍光分子であり得る。検出可能標識として有用な放射性核種の例としては、インジウム−111、テクネチウム−99、炭素−11および炭素−13が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明によって、腫瘍リンパ性脈管構造を選択的に目指すホーミング分子に連結された部分を含む結合体を被験体に投与し、それによって、腫瘍転移を低減または予防することによる、被験体において腫瘍転移を低減または予防する方法がさらに提供される。腫瘍転移を低減または予防するための本発明の方法において、このホーミング分子は、例えば、環状であり得るか、または他のようにコンフォメーション的に制約され得、そしてさらに、例えば、ペプチドまたはペプチド模倣物であり得る。1実施形態において、このホーミング分子は、アミノ酸配列GNKRTRG(配列番号2)を含むペプチドまたはその保存的改変体もしくはペプチド模倣物である。別の実施形態において、このホーミング分子は、アミノ酸配列CGNKRTRGC(配列番号1)を含むペプチドまたはその保存的改変体もしくはペプチド模倣物である。種々の部分が、腫瘍転移を低減または予防するための本発明の方法において有用である。このような部分としては、癌化学療法剤、細胞傷害性薬剤および抗リンパ管形成剤が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明はさらに、腫瘍リンパ性脈管構造を選択的に目指すホーミング分子に連結された部分を含む結合体を被験体に投与し、それによって、被験体における腫瘍リンパ管の数を減少することによる、被験体において腫瘍リンパ管の数を減少する方法を提供する。本発明の方法において、このホーミング分子は、例えば、環状であり得るか、または他のようにコンフォメーション的に制約され得、そしてさらに、例えば、ペプチドまたはペプチド模倣物であり得る。1実施形態において、このホーミング分子は、アミノ酸配列GNKRTRG(配列番号2)を含むペプチドまたはその保存的改変体もしくはペプチド模倣物である。別の実施形態において、このホーミング分子は、アミノ酸配列CGNKRTRGC(配列番号1)を含むペプチドまたはその保存的改変体もしくはペプチド模倣物である。種々の部分が、腫瘍リンパ管の数を減少するための本発明の方法において有用であり得、これには、癌化学療法剤、細胞傷害性薬剤および抗リンパ管形成剤が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明はさらに、腫瘍リンパ性脈管構造を選択的に目指すホーミング分子に連結された部分を含む結合体を被験体に投与することによる、被験体において癌を処置する方法を提供する。本発明の方法において、このホーミング分子は、例えば、環状であり得るか、または他のようにコンフォメーション的に制約され得、そしてさらに、例えば、ペプチドまたはペプチド模倣物であり得る。1実施形態において、このホーミング分子は、アミノ酸配列GNKRTRG(配列番号2)を含むペプチドまたはその保存的改変体もしくはペプチド模倣物である。別の実施形態において、このホーミング分子は、アミノ酸配列CGNKRTRGC(配列番号1)を含むペプチドまたはその保存的改変体もしくはペプチド模倣物である。種々の部分が、被験体において癌を処置するための本発明の方法において有用であり得、これには、癌化学療法剤、細胞傷害性薬剤および抗リンパ管形成剤が挙げられるが、これらに限定されない。
(本発明の詳細な説明)
本発明は、正常なリンパ性脈管構造ではなく腫瘍リンパ性脈管構造(例えば、乳癌腫瘍および骨肉腫のリンパ性脈管構造)に選択的に目指すホーミング分子の発見に、一部関する。本発明のホーミング分子はまた、例えば、扁平上皮癌のリンパ性脈管構造に選択的に戻り得る。本明細書中に開示されるように、ペプチドCGNKRTRGC(配列番号1)は、種々の正常な組織のリンパ性脈管構造ではなくいくつかの腫瘍のリンパ性脈管構造に選択的に目指すので、エキソビボおよびインビボ選択の組み合わせによって同定された。図1Aに示されるように、非組換えコントロールT7ファージより約5000倍以上のCGNKRTRGC(配列番号1)を提示しているファージは、MDA−MB−435胸部腫瘍異種移植片から調製された腫瘍細胞懸濁液に結合した。CGNKRTRGC(配列番号1)ファージはまた、KRIBヒト骨肉腫異種移植片だけでなくC8161黒色腫またはHL−60ヒト白血病細胞から調製された腫瘍細胞懸濁液に結合した。(実施例Iを参照のこと)。
本発明は、正常なリンパ性脈管構造ではなく腫瘍リンパ性脈管構造(例えば、乳癌腫瘍および骨肉腫のリンパ性脈管構造)に選択的に目指すホーミング分子の発見に、一部関する。本発明のホーミング分子はまた、例えば、扁平上皮癌のリンパ性脈管構造に選択的に戻り得る。本明細書中に開示されるように、ペプチドCGNKRTRGC(配列番号1)は、種々の正常な組織のリンパ性脈管構造ではなくいくつかの腫瘍のリンパ性脈管構造に選択的に目指すので、エキソビボおよびインビボ選択の組み合わせによって同定された。図1Aに示されるように、非組換えコントロールT7ファージより約5000倍以上のCGNKRTRGC(配列番号1)を提示しているファージは、MDA−MB−435胸部腫瘍異種移植片から調製された腫瘍細胞懸濁液に結合した。CGNKRTRGC(配列番号1)ファージはまた、KRIBヒト骨肉腫異種移植片だけでなくC8161黒色腫またはHL−60ヒト白血病細胞から調製された腫瘍細胞懸濁液に結合した。(実施例Iを参照のこと)。
本明細書中の実施例2においてさらに開示されるように、CGNKRTRGC(配列番号1)ファージは、インビボでMDA−MB−435胸部腫瘍およびKRIB骨肉腫に選択的に戻った。図1Cに示されるように、CGNKRTRGC(配列番号1)を提示するファージの平均ファージ力価は、435胸部腫瘍から回収された非組換えファージの平均ファージ力価よりも約60倍大きく、そしてKRIB骨肉腫から回収された非組換えコントロールT7ファージの平均ファージ力価より15倍大きかった。さらに、CGNKRTRGC(配列番号1)を提示するファージは、黒色腫(C8161)細胞株または白血病(HL−60)細胞株を用いて得られた腫瘍、あるいは種々の正常な組織(腎臓、肺、脾臓および皮膚を含む)に戻らず、そして正常な胸部組織に対する最小の親和性を提示した(図1Cおよび1Dを参照のこと)。
実施例3に証明されるように、ホーミングペプチド(配列番号1)は、細胞によって内在化された。特に、MDA−MB−435胸部腫瘍異種移植片を保有するマウスの尾静脈への配列番号1ファージの注射後、10〜20倍以上のCGNKRTRGC(配列番号1)を提示するファージを、未処理のサンプルからよりもNP−40界面活性剤(これは、細胞を溶解する)で処理した腫瘍サンプルから回収した。このことは、配列番号1を保有するファージが、内在化したことを示す(図1Eを参照のこと)。CGNKRTRGC(配列番号1)を提示するファージの内在化を、培養された435細胞中のフルオレセイン標識されたペプチド配列番号1の内在化によって確認した。このことは、腫瘍細胞が、リンパ管細胞とペプチド配列番号1のレセプターを共有することを示す。図2AおよびBに示されるように、フルオレセイン結合体化配列番号1は、435細胞の核に内在化され、そして転座されたが、配列番号1のように3つの塩基性残基を含むコントロールペプチドの内在化は検出可能でなかった。さらに、フルオレセイン結合体化配列番号1はまた、図5に示されるように、インビボで核に内在化され、そして輸送された。
本明細書中にさらに開示されるように、MDA−MB−435胸部腫瘍を有するヌードマウスの尾静脈への注射の際、CGNKRTRGC(配列番号1)を提示するファージおよびフルオレセイン結合体化ペプチド配列番号1の両方は、胸部癌異種移植片内の管様構造およびいくつかの個々の細胞に局在化した(実施例4を参照のこと)。ファージまたはフルオレセイン結合体化ペプチドが局在化した管は、マーカーCD31およびMeca−32についてネガティブであった。このファージまたはフルオレセイン結合体化ペプチドが局在化した管は、リンパ性内皮細胞よりもむしろ血管内皮細胞によって発現され、このことは、ペプチドCGNKRTRGC(配列番号1)によって標的化された管様構造は血管でなかったことを示す。本明細書中の図5にさらに開示されるように、フルオロセイン結合体化ペプチドCGNKRTRGC(配列番号1)は、435腫瘍組織中のリンパ性マーカーVEGFR−3およびLYVE−1と共局在化した。しかし、これらの異種移植片は、435腫瘍と同じぐらいのVEGFR−3/LYVE−1−ポジティブ/トマトレクチンネガティブ管を含むにもかかわらず、配列番号1を保有するファージは、C8161黒色腫異種移植片に戻らなかった。あわせて、これらの結果は、ペプチド配列番号1が、いくつかの異なる腫瘍のVEGFR−3およびLYVE−1ポジティブリンパ管に選択的に目指すことを示す。培養された435細胞およびKRIB細胞が配列番号1を保有するファージを結合し、そしてフルオレセイン標識したペプチド配列番号1を内在化したことを示すデータを組み合せて、これらの結果は、CGNKRTRGCペプチド(配列番号1)が腫瘍細胞上に存在するリンパ管標的分子ならびに同じ腫瘍のリンパ管細胞を認識することを示す。本明細書中に開示されるように、この標的分子は、正常な組織のリンパ管中に有意に発現されない。
本明細書中に開示される結果は、CGNKRTRGCペプチド(配列番号1)が細胞培養物およびインビボで細胞傷害性活性を有することをさらに示す。図7に示されるように、有意に増加した細胞傷害性は、コントロールペプチドとインキュベートした細胞と比較して、ペプチド配列番号1とインキュベートした培養されたMDA−MB−435細胞において観察された。さらに、MDA−MB−435ヒト胸部癌細胞異種移植片を、1週間で2回CGNKRTRGCペプチド(配列番号1)の静脈内注射によって処置した場合、腫瘍の容積は増加した。図8に示されるように、腫瘍増殖は、ペプチド配列番号1で処置されたマウスにおいて有意に遅延したのに対し、腫瘍容積は、ペプチドで処置されなかったマウスにおいて迅速に増大し続けた。これらの結果は、ペプチドCGNKRTRGC(配列番号1)が、細胞培養物およびインビボの両方において細胞傷害性活性を有することを証明し、そしてこのペプチドならびに構造的に関連したペプチドおよびペプチド模倣物ならびに同じレセプターを結合する分子が、インビボにおいて腫瘍増殖を遅延するかまたは予防するのに有用であり得ることをさらに示す。
これらの知見に基づいて、本発明は、例えば、原発性腫瘍を有する癌患者において腫瘍転移を減少するかまたは予防するのに有用なホーミング分子およびホーミング結合体を提供する。本発明の結合体は、例えば、前転移性(pre−metastatic)の胸部癌または骨癌を有する被験体、あるいは初期または後期の転移性胸部癌または転移性骨癌を有する被験体に投与され得る。本発明の結合体はまた、例えば、腫瘍リンパ性脈管構造(例えば、胸部癌リンパ性脈管構造または骨肉腫リンパ性脈管構造)を画像化するのに有用であり得る。
従って、本発明は、アミノ酸配列GNKRTRG (配列番号2)またはそのペプチド模倣物を含む単離されたペプチドまたはペプチド模倣物を提供する。本発明は、アミノ酸配列CGNKRTRGC(配列番号1)またはそのペプチド模倣物を含む単離されたペプチドまたはペプチド模倣物をさらに提供する。本発明のペプチドまたはペプチド模倣物は、例えば、環状またはそうでなければ歪んだコンフォメーション的に制約されたものであり得、そして多様な長さ(例えば、100残基未満の長さ、50残基未満の長さ、20残基未満の長さまたは15残基未満の長さ)を有し得る。1つの実施形態において、アミノ酸配列GNKRTRG(配列番号2)またはCGNKRTRGC(配列番号1)を含む本発明のペプチドまたはペプチド模倣物、あるいはこれらの配列の1つのペプチド模倣物は、細胞傷害性活性を有する。例えば、アミノ酸配列(配列番号1または配列番号2)を含むペプチドは、特定のアミノ酸が他のアミノ酸によって分離されない連続的な配列として特定のアミノ酸を含むことが理解される。
本発明のペプチドおよびペプチド模倣物は、単離された形態で提供される。本発明のペプチドまたはペプチド模倣物に関して、本明細書中で使用される場合、用語「単離された」は、細胞においてペプチドまたはペプチド模倣物に正常に関連するかまたはライブラリーまたは粗調製物においてペプチドまたはペプチド模倣物に関連する物質(例えば、夾雑ポリペプチド、夾雑脂質、夾雑核酸および他の夾雑細胞物質)を比較的含まない形態で存在するペプチドまたはペプチド模倣物を意味する。
本発明のペプチドおよびペプチド模倣物(以下に開示される二機能性のペプチドおよびペプチド模倣物、多価のペプチドおよびペプチド模倣物ならびにホーミングペプチドおよびホーミングペプチド模倣物を含む)は、多様な長さを有する。本発明のペプチドまたはペプチド模倣物は、例えば、8未満、9未満、10未満、12未満、15未満、20未満、25未満、30未満、35未満、40未満の残基の比較的短い長さを有し得る。本発明のペプチドまたはペプチド模倣物はまた、有意により長い配列という面においても有用であり得る。例えば、本明細書中に開示されるように、ファージコートタンパク質に融合された場合、ペプチドCGNKRTRGC(配列番号1)は、目指す能力を維持し、このことは、より大きなタンパク質配列に組み込まれた場合、本発明のペプチドが、選択的なホーミング活性を有し得ることを確認する。従って、本発明のペプチドまたはペプチド模倣物は、例えば、50まで、100まで、150まで、または200までの残基の長さを有し得る。本明細書中に使用される場合、用語「残基」は、アミノ酸またはそのアナログをいう。
本発明はまた、アミノ酸配列GNKRTRG(配列番号2)もしくはCGNKRTRGC(配列番号1)、またはこれらの配列の1つの保存的改変体もしくはペプチド模倣物を含む、単離されたペプチドまたはペプチド模倣物を提供する。本明細書中で使用される場合、「保存的改変体」は、第1のアミノ酸が、少なくとも1つの類似の生物学的特性(これは、例えば、類似のサイズ、電荷、疎水性または水素結合能であり得る)を有する第2のアミノ酸またはアミノ酸アナログで置換されているアミノ酸配列である。例えば、第1の疎水性アミノ酸は、第2の(非同一)疎水性アミノ酸(例えば、アラニン、バリン、ロイシンもしくはイソロイシン)、またはそのアナログで保存的に置換され得る。同様に、第1の塩基性アミノ酸は、第2の塩基性アミノ酸(例えば、アルギニンもしくはリジン)、またはそのアナログで保存的に置換され得る。同じ様式で、第1の酸性アミノ酸は、第2の酸性アミノ酸(例えば、アスパラギン酸もしくはグルタミン酸)またはそのアナログで保存的に置換されるか、あるいは芳香族アミノ酸(例えば、フェニルアラニン)が、第2の芳香族アミノ酸またはアミノ酸アナログ(例えば、チロシン)で保存的に置換され得る。
本発明はさらに、異種タンパク質に融合された、本発明のペプチドもしくはペプチド模倣物、または本発明のホーミングペプチドもしくはホーミングペプチド模倣物を含むキメラタンパク質を提供する。一実施形態において、本発明は、異種タンパク質に融合された腫瘍リンパ性脈管構造を選択的に目指す(home)ホーミングペプチドまたはホーミングペプチド模倣物を含むキメラタンパク質を提供する。一実施形態において、腫瘍リンパ性脈管構造を選択的に目指すホーミングペプチドまたはホーミングペプチド模倣物は、細胞傷害活性を有する。別の実施形態において、異種タンパク質は、治療活性を有する。さらなる実施形態において、異種タンパク質は、抗体またはその抗原結合フラグメントである。他の実施形態において、本発明は、アミノ酸配列CGNKRTRGC(配列番号1)もしくはGNKRTRG(配列番号2)、またはこれらの配列のうち1つの保存的改変体もしくはペプチドも放物を含むペプチドまたはペプチドも放物が、異種タンパク質に融合されているキメラタンパク質を提供する。用語「異種」とは、本発明のペプチドまたはペプチド模倣物に融合されたタンパク質に関して本明細書中で使用される場合、本発明のペプチドをコードする遺伝子以外、またはペプチド模倣物が由来している遺伝子以外の供給源由来のタンパク質を意味する。本発明のキメラタンパク質は、例えば、100、200、300、400、500または800残基までの種々の長さを有し得る。
本発明はまた、別個の機能を有する第2のペプチドに融合された、腫瘍リンパ性脈管構造(例えば、乳癌または骨肉腫のリンパ性脈管構造)を選択的に目指すホーミングペプチドを含む二機能性ペプチドを提供する。このような二機能性ペプチドは、このペプチドの異なる部分によって与えられる少なくとも2つの機能を有し、そして例えば、選択的ホーミング活性に加えて、抗リンパ管種活性または前アポトーシス活性を示し得る。例示的な二機能性ペプチドとして、本発明は、CGNKRTRGC−GG−D(KLAKLAK)2およびGNKRTRG−GG−D(KLAKLAK)2を提供する。このようなペプチドにおいて、CGNKRTRGC(配列番号1)部分は、選択的ホーミング活性および細胞傷害活性を示し、一方、D(KLAKLAK)2部分は、前アポトーシス活性を示す。
本発明はさらに、それぞれが独立して、アミノ酸配列GNKRTRG(配列番号2)またはその保存的改変体もしくはペプチドも放物を含む少なくとも2つのモチーフを含む単離された多価ペプチドまたはペプチド模倣物を提供する。この多価ペプチドまたはペプチド模倣物は、例えば、少なくとも3個、少なくとも5個または少なくとも10個のこのようなモチーフを有し得、このようなモチーフの各々は、独立して、アミノ酸配列GNKRTRG(配列番号2)またはその保存的改変体もしくはペプチド模倣物を含む。特定の実施形態において、この多価ペプチドまたはペプチド模倣物は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15,または20の、アミノ酸配列GNKRTRG(配列番号2)またはその保存的改変体もしくはペプチド模倣物の同一または非同一のモチーフを有する。別の実施形態において、この多価ペプチドまたはペプチド模倣物は、同一のモチーフを含み、このモチーフは、アミノ酸配列番号2またはその保存的改変体もしくはペプチド模倣物から構成される。さらなる実施形態において、この多価ペプチドまたはペプチド模倣物は、連続したモチーフを含み、このモチーフは、いずれの介在アミノ酸によっても分離されない。なおさらなる実施形態において、この多価ペプチドまたはペプチド模倣物は、環状であるか、またはそうでなければコンフォメーション的に制約されているか、あるいは細胞傷害活性を有する。
本発明の単離された多価ペプチドまたはペプチド模倣物において、少なくとも1つのモチーフは、所望の場合、CGNKRTRGC(配列番号1)またはその保存的改変体もしくはペプチド模倣物であり得る。特定の実施形態において、本発明の多価ペプチドまたはペプチド模倣物は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15,または20の、アミノ酸配列CGNKRTRGC(配列番号1)またはその保存的改変体もしくはペプチドも放物の同一または非同一のモチーフを有する。このような多価ペプチドまたはペプチド模倣物は、所望の場合、連続であり得、そしてさらに、所望の場合、環状であるか、またはそうでなければコンフォメーション的に制約され得る。
従って、本発明は、二官能性または多価のペプチドおよびペプチド模倣物、ならびに以下でさらに議論されるホーミングペプチドおよびホーミングペプチド模倣物を含む、ペプチドおよびペプチド模倣物を提供する。本明細書中で使用される場合、用語「ペプチド」は、ペプチド、タンパク質、タンパク質のフラグメントなどを広く意味するように使用される。用語「ペプチド模倣物」とは、本明細書中で使用される場合、このペプチド模倣物の構造的な基礎であるペプチドの活性を有するペプチド様分子を意味する。このようなペプチド模倣物としては、化学的に改変されたペプチド、天然に存在しないアミノ酸を含むペプチド様分子、およびペプトイドが挙げられ、そしてこのペプチド模倣物が由来するペプチドの選択的ホーミング活性のような活性を有する(例えば、GoodmanおよびRo,Peptidomimetics for Drug Design,「Burger’s Medicinal Chemistry and Drug Discovery」第1巻(M.E.Molff編;John Wiley & Sons 1995)、803−861頁を参照のこと)。
種々のペプチド模倣物が、当該分野で公知であり、このペプチド模倣物としては、制約されたアミノ酸を含むペプチド様分子、ペプチドの二次構造を模倣する非ペプチド成分またはアミド結合アイソスターが挙げられる。制約された天然に存在しないアミノ酸を含むペプチド模倣物は、例えば、以下を含む:α−メチル化アミノ酸;α,αジアルキルグリシンまたはα−アミノシクロアルカンカルボン酸;Nα−Cα環化アミノ酸;Nα−メチル化アミノ酸;α,β−またはγ−アミノシクロアルカンカルボン酸;α,β−不飽和アミノ酸;β,β−ジメチルアミノ酸もしくはβ−メチルアミノ酸;β−置換−2,3−メタノアミノ酸;N−CδまたはCα−Cδ環化アミノ酸;置換プロリンまたは別のアミノ酸模倣物。ペプチドの二次構造を模倣するペプチド模倣物は、例えば、非ペプチドβ−ターン模倣物;γターン模倣物;βーシート構造の模倣物;またはらせん構造の模倣物を含み得、これらの各々は、当該分野で周知である。ペプチド模倣物はまた、例えば、以下を含むペプチド様分子であり得る:アミド結合アイソスター(例えば、レトロ−インベルソ(retro−inverso)改変);還元アミド結合;メチレンチオエーテル結合もしくはメチレンスルホキシド結合;メチレンエーテル結合;エチレン結合;チオアミド結合;trans−オレフィン結合もしくはフルオロオレフィン結合;1,5−二置換テトラゾール環;ケトメチレン結合もしくはフルオロケトメチレン結合、または別のアミドアイソスター。当業者は、これらおよび他のペプチド模倣物が、本明細書中で使用されるような用語「ペプチド模倣物」の意味に含まれることを理解する。
ペプチド模倣物を同定するための方法は、当該分野で周知であり、これには例えば、潜在的なペプチド模倣物のライブラリーを含むデータベースのスクリーニングが挙げられる。例えば、Cambridge Structural Databaseは、公知の結晶構造を有する300,000種を超える化合物のコレクションを含む(Allenら、Acta Crystallogr.Section B,35:2331(1979))。
この構造登録所は、新たな結晶構造が決定されると、連続的にアップデートされ、そして適切な形状(例えば、本発明のペプチドと同じ形状、ならびに標的分子に対する潜在的な幾何学的相補性および化学的相補性)を有する化合物についてスクリーニングされ得る。本発明のペプチドまたはこのペプチドに結合する標的分子の結晶構造が有用でない場合、構造は、例えば、プログラムCONCORD(Rusinkoら、J.Chem.Inf.Comput.Sci.29:251(1989))を使用して作製され得る。別のデータベースであるAvailable Chemicals Directory(Molecular Design Limited,Informations Systems;San Leandro CA)は、市販の約100,000種の化合物を含み、そしてまた、例えば、腫瘍リンパ性脈管構造に対する選択的ホーミングにおける活性を有する本発明のペプチドの潜在的ペプチド模倣物を同定するために検索され得る。
本発明の単離されたペプチドもしくはペプチド模倣物、または以下でさらに議論されるような本発明のホーミング分子は、環式でありえるか、そうでなければコンフォメーション的に制約され得る。本明細書中で使用される場合、「コンフォメーション的に制約された」分子(例えば、ペプチドまたはペプチド模倣物)は、三次元構造が長期にわたって1つの空間的配置に実質的に維持される分子である。コンフォメーション的に制約された分子は、改善された特性(例えば、増加した親和性、代謝安定性、膜透過性および溶解性)を有し得る。コンフォメーションの制約方法は、当該分野で周知であり、そして環化を含む。
1つの実施形態において、本発明のペプチドまたはペプチド模倣物、あるいはホーミング分子(例えば、ホーミングペプチドまたはホーミングペプチド模倣物)は、環状である。本明細書中で使用される場合、用語「環状」とは、隣接しない成分が、共有結合もしくはイオン結合を介して、または例えば、分子の剛体もしくは半剛体の三次元構造が維持されるような等価な相互作用を介して、互いに連結した分子をいう。
ペプチドまたはペプチド模倣物を言及する際に本明細書中で使用される場合、環状との用語は、2つの隣接しないアミノ酸またはアミノ酸アナログの、分子内結合を含む構造をいう。環状化は、共有結合または非共有結合を介してもたらされ得る。分子内結合としては、骨格から骨格の結合、側鎖から骨格の結合、および側鎖から側鎖の結合が挙げられるが、これらに限定されない。環状化の好ましい方法は、隣接しないアミノ酸またはアミノ酸アナログの側鎖間での、ジスルフィド結合の形成を介する。ジスルフィド結合を形成し得る残基としては、例えば、システイン(Cys)、ペニシラミン(Pen)、β,β−ペンタメチレンシステイン(Pmc)、β,β−ペンタメチレン−β−メルカプトプロピオン酸(Pmp)およびこれらの機能的等価物が挙げられる(表1もまた参照のこと)。
本発明はまた、腫瘍リンパ性脈管構造を選択的に目指す、単離されたホーミングペプチドまたはホーミングペプチド模倣物を提供する。1つの実施形態において、単離されたホーミングペプチドまたはホーミングペプチド模倣物は、黒色腫脈管構造以外の腫瘍リンパ性脈管構造を選択的に目指す。別の実施形態において、単離されたホーミングペプチドまたはホーミングペプチド模倣物は、抗VEGFR−3抗体でも抗LYVE−1抗体でも、それらの抗原結合フラグメントでもない。さらなる実施形態において、単離されたホーミングペプチドまたはホーミングペプチド模倣物は、抗体でもその抗原結合フラグメントでもない。本発明の単離されたホーミングペプチドまたはホーミングペプチド模倣物としては、例えば、アミノ酸配列GNKRTRG(配列番号2)またはアミノ酸配列CGNKRTRGC(配列番号1)、あるいはこれらの配列の1つの保存改変体またはペプチド模倣物が挙げられる。
本発明は、腫瘍リンパ性脈管構造を選択的に目指すホーミング分子に連結した部分を含む、結合体をさらに提供する。1つの実施形態において、この結合体は、黒色腫脈管構造以外の腫瘍リンパ性脈管構造を選択的に目指す、ホーミング分子を含む。別の実施形態において、この結合体は、抗VEGFR−3抗体でも抗LYVE−1抗体でも、その抗原結合フラグメントでもない、腫瘍リンパ性脈管構造を選択的に目指す、ホーミング分子を含む。さらなる実施形態において、この結合体は、抗体でもその抗原結合フラグメントでもない、腫瘍リンパ性脈管構造を選択的に目指す、ホーミング分子を含む。なおさらなる実施形態において、この結合体は、腫瘍リンパ性脈管構造を選択的に目指し、そして細胞傷害性活性を有する、ホーミング分子を含む。
本発明の結合体において、腫瘍リンパ性脈管構造を選択的に目指すホーミング分子は、例えば、ペプチドまたはペプチド模倣物であり得る。1つの実施形態において、この結合体のペプチド部分またはペプチド模倣物部分は、最大200残基の長さを有する。別の実施形態において、この結合体のペプチド部分またはペプチド模倣物部分は、最大50残基の長さを有する。さらなる実施形態において、この結合体は、腫瘍リンパ性脈管構造を選択的に目指す、環状、または他の様式でコンフォメーション的に制約されたホーミング分子(例えば、ペプチドまたはペプチド模倣物)を含む。なおさらなる実施形態において、この結合体のペプチド部分またはペプチド模倣物部分は、細胞傷害性活性を有する。
本発明の結合体において有用なホーミング分子は、例えば、アミノ酸配列GNKRTRG(配列番号2)を含むホーミングペプチドまたはホーミングペプチド模倣物、あるいはその保存的改変体またはペプチド模倣物であり得る。所望であれば、このようなペプチドまたはペプチド模倣物は、環状であり得るか、または他の様式でコンフォメーション的に制約され得る。本発明の結合体において有用なホーミング分子はまた、例えば、アミノ酸配列CGNKRTRGC(配列番号1)を含むホーミングペプチドまたはホーミングペプチド模倣物、あるいはその保存的改変体またはペプチド模倣物であり得る。特定の実施形態において、このようなホーミングペプチドまたはホーミングペプチド模倣物は、環状であるか、または他の様式でコンフォメーション的に制約されている。種々の部分が、本発明の結合体において有用であり、治療剤、癌化学療法剤、細胞傷害性薬剤、抗リンパ管形成剤、検出可能な標識およびファージが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書中に開示されるように、配列番号1のペプチドは、同じ腫瘍細胞上および同じ腫瘍のリンパ管細胞で発現されるが、正常組織のリンパ管においては有意に発現されない、リンパ管標的「レセプター」、を認識する。この標的レセプターへの、配列番号1の結合は、配列番号1のペプチド、ならびに関連するペプチドおよびペプチド模倣物の、選択的ホーミング活性の基礎を形成する。この発見に基づいて、配列番号1に構造的には関連しないが同じ標的レセプターに結合する分子もまた、腫瘍リンパ性脈管構造に対する選択的ホーミングの、同じ特徴を有することが明らかである。このような分子は、配列番号1によって結合される標的レセプターに特異的に結合するか、またはそれへの結合に競合する能力によって、同定され得る。従って、本発明は、配列番号1のペプチドによって結合されるレセプターに特異的に結合する分子を提供する;このような分子はまた、腫瘍リンパ性脈管構造を選択的に目指す能力によって、特徴付けられる。1つの実施形態において、この分子は、例えば、最大20残基、50残基または200残基の長さを有し得る、ペプチドまたはペプチド模倣物である。
本発明はまた、配列番号1のペプチドによって結合されるレセプターを特異的に結合し、そして腫瘍リンパ性脈管構造を選択的に目指す分子に連結された部分を含む、結合体を提供する。このような結合体において、この分子は、例えば、ペプチドまたはペプチド模倣物であり得、そしてこの部分は、本発明の結合体において有用であると本明細書中で開示される、任意の部分であり得る。
本発明はまた、部分を、被験体において腫瘍リンパ性脈管構造に指向する方法を提供し、この方法は、腫瘍リンパ性脈管構造を選択的に目指すホーミング分子に結合された部分を含む結合体を、この被験体に投与し、これによって、この部分を腫瘍リンパ性脈管構造に指向させることによる。1つの実施形態において、腫瘍リンパ性脈管構造に部分を指向させる方法は、黒色腫管構造以外の腫瘍リンパ性脈管構造を選択的に目指す、ホーミング分子を含む結合体を用いて実施される。別の実施形態において、本発明の方法は、腫瘍リンパ性脈管構造を選択的に目指し、そして抗VEGFR−3抗体でも抗LYVE−1抗体でも、その抗原結合フラグメントでもないホーミング分子を含む、結合体を用いて実施される。さらなる実施形態において、本発明の方法は、腫瘍リンパ性脈管構造を選択的に目指し、そして抗体でもその抗原結合フラグメントでもないホーミング分子を含む結合体を用いて実施される。なおさらなる実施形態において、本発明の方法は、腫瘍リンパ性脈管構造を選択的に目指し、そして細胞傷害活性を有する、ホーミング分子を含む、結合体を用いて実施し得る。
本発明の方法において、ホーミング分子は、例えば、環状であるかまたは他の様式でコンフォメーション的に制約され得、そしてさらに、例えば、ペプチドまたはペプチド模倣物であり得る。1つの実施形態において、ホーミング分子は、アミノ酸配列GNKRTRG(配列番号2)を含むペプチド、またはその保存的改変体もしくはペプチド模倣物である。別の実施形態において、ホーミング分子は、アミノ酸配列CGNKRTRGC(配列番号1)を含むペプチド、またはその保存的改変体もしくはペプチド模倣物である。種々の部分が、本発明の方法において有用であり、例えば、治療剤、癌化学療法剤、細胞傷害性薬剤、抗リンパ管形成剤、検出可能な標識およびファージが挙げられる。
種々の投与経路が、本発明の方法において有用であることが理解される。このような経路としては、全身投与と局所投与との両方が挙げられ、限定されないが、経口投与、静脈内注射、腹腔内注射、筋肉内注射、皮下注射、経皮拡散または電気泳動、局所注射、長期放出送達デバイス(局所的に移植される長期放出デバイス(生体腐食性移植物およびレザバに基づく移植物が挙げられる)が挙げられる)が挙げられる。
本明細書中で使用される場合、用語「分子」とは、ポリマー性または非ポリマー性の有機化学物質(例えば、低分子薬物;RNA、cDNAまたはオリゴヌクレオチドのような核酸分子;ペプチドまたはペプチド模倣物;あるいは抗体もしくは増殖因子レセプターまたはそのフラグメント(例えば、抗原結合ドメインを含む抗体のFvフラグメント、Fdフラグメント、またはFabフラグメント)のようなタンパク質)を広範に意味するように使用される。
腫瘍リンパ性脈管構造を選択的に目指すが、いくつかの正常組織のリンパ管を検出可能には目指さない、種々のホーミング分子が、本明細書中に例示されている(例えば、CGNKRTRGC(配列番号1)、GNKRTRG(配列番号2)、およびその保存的改変体またはペプチド模倣物)。腫瘍リンパ管を選択的に目指すさらなるホーミング分子は、実施例1および2に開示されるように、インビボパニングを使用して、所望であれば、エキソビボ選択と組み合わせて、同定され得る(米国特許第5,622,699号もまた参照のこと)。
用語「ホーミング分子」とは、本明細書中で使用される場合、正常リンパ性脈管構造の存在下で、1つ以上の腫瘍のリンパ性脈管構造を、インビボで選択的に目指す、任意の分子を意味する。同様に、用語「ホーミングペプチド」または「ホーミングペプチド模倣物」とは、正常リンパ性脈管構造の存在下で、1つ以上の腫瘍のリンパ性脈管構造を、インビボで選択的に目指す、ペプチドまたはペプチド模倣物を意味する。腫瘍リンパ性脈管構造をインビボで選択的に目指すホーミング分子は、全ての腫瘍のリンパ性脈管構造を目指し得るか、または腫瘍の型のサブセットのリンパ性脈管構造に対して優先的なホーミングを示し得ることが理解される。
「選択的に目指す」とは、本明細書中で使用される場合、インビボで、ホーミング分子、ホーミングペプチドまたはホーミングペプチド模倣物が、非腫瘍リンパ性脈管構造と比較して、腫瘍リンパ性脈管構造(例えば、乳房腫瘍または骨肉腫のリンパ性脈管構造)に優先的に結合することを意味する。選択的ホーミングは、一般に、非腫瘍リンパ性脈管構造のいくつかの組織型と比較して、腫瘍リンパ性脈管構造(例えば、乳房または骨肉腫のリンパ性脈管構造)における少なくとも2倍大きい局在化によって特徴付けられる。ホーミング分子は、非腫瘍リンパ性脈管構造のいくつかの組織型と比較して、あるいは非腫瘍リンパ性脈管構造の大部分または全てと比較して、腫瘍リンパ性脈管構造への、5倍、10倍、20倍、またはそれより大きい優先的局在化によって特徴付けられ得る。従って、ホーミング分子は、腫瘍リンパ性脈管構造に加えて、部分的には、1つ以上の正常器官のリンパ性脈管構造を目指し得ることが、理解される。
1つの実施形態において、本発明の結合体は、抗体でもその抗原結合フラグメント(これは、1つ以上の相補性決定領域(CDR)を含むペプチドまたはポリペプチドをいう、当該分野で認識された用語である)でもないホーミング分子を含む。例えば、Borrabaeck,Anibody Engineering 第2版、Oxford Universiy Press,New York(1995)を参照のこと。
別の実施形態において、結合体のペプチド部分またはペプチド模倣物部分は、規定された長さを有する。結合体のペプチド部分またはペプチド模倣物部分は、例えば、最大10残基、20残基、30残基、40残基、50残基、100残基、150残基、200残基、250残基、300残基、400残基、500残基、600残基、700残基、800残基、900残基、1000残基、または2000残基の長さを有し得る。用語「結合体のペプチド部分またはペプチド模倣物部分」とは、ホーミングペプチドまたはホーミングペプチド模倣物、および任意の連続するタンパク質、ペプチドまたはペプチド模倣物(例えば、治療タンパク質またはアポトーシス誘導ペプチド)における、残基の総数を意味する。
所望であれば、本発明の結合体は、各々が腫瘍リンパ性脈管構造を選択的に目指す、複数のホーミング分子を含み得る。1つの実施形態に置いて、本発明の結合体は、少なくとも2つのホーミング分子を含み、これらの各々が、腫瘍リンパ性脈管構造を選択的に目指す。さらなる実施形態において、本発明の結合体は、少なくとも10のホーミング分子、または少なくとも100のホーミング分子を含み、これらの各々が、腫瘍リンパ性脈管構造を選択的に目指す。なおさらなる実施形態において、本発明は、各々が腫瘍リンパ性脈管構造を選択的に目指す少なくとも100のホーミング分子に連結したファージを含む、結合体を提供する。
本発明の結合体は、例えば、各々が腫瘍リンパ性脈管構造を選択的に目指し、そして各々が独立して、アミノ酸配列GNKRTRG(配列番号2)を含む、少なくとも2つのホーミング分子、あるいはその保存的改変体またはペプチド模倣物に結合した部分を含み得る。さらなる実施形態において、本発明は、各々が腫瘍リンパ性脈管構造を選択的に目指し、そして各々が独立して、アミノ酸配列GNKRTRG(配列番号2)を含む、少なくとも10のホーミング分子、あるいはその保存的改変体またはペプチド模倣物に結合した部分を含み得る。なおさらなる実施形態において、本発明は、各々が腫瘍リンパ性脈管構造を選択的に目指し、そして各々が独立して、アミノ酸配列GNKRTRG(配列番号2)を含む、少なくとも100のホーミング分子、あるいはその保存的改変体またはペプチド模倣物に結合した部分を含み得る。複数のホーミングペプチドを含む、本発明の結合体において有用な部分としては、ファージ部分が挙げられるが、これらに限定されない。
したがって、複数のホーミング分子を含む、本発明の結合体は、例えば、2つ以上、3つ以上、5つ以上、10以上、20以上、30以上、40以上、50以上、100以上、200以上、300以上、400以上、500以上、または100以上のホーミング分子を含み得る。1つの実施形態において、ホーミング分子は、同一のアミノ酸配列を有する。別の実施形態において、結合体は、同一ではないアミノ酸配列を有するホーミング分子を含む。複数のホーミング分子を組み込む、本発明の結合体において有用な部分としては、ファージ、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルスおよび他のウイルス、細胞、リポソーム、ポリマーマトリックス、非ポリマーマトリックス、または粒子(例えば、金粒子)、マイクロデバイスおよびナノデバイス、ならびにナノスケールの半導体材料が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の結合体は、例えば、その各々が腫瘍リンパ性脈管構造を選択的に目指す、少なくとも2つのホーミング分子に連結されたリポソームまたは他のポリマーマトリクスを含み得る。所望であれば、リポソームまたは他のポリマーマトリクスは、その各々が腫瘍リンパ性脈管構造を選択的に目指す、少なくとも10、または少なくとも100のホーミング分子に連結され得る。このような結合体において有用なホーミング分子は、独立して、例えば、アミノ酸配列GNKRTRG(配列番号2)、アミノ酸配列CGNKRTRGC(配列番号1)、またはこれらの配列のうちの1つの保存的改変体もしくはペプチド模倣物を含む。リポソーム(例えば、リン脂質または他の脂質からなる)は、無毒の、生理学的に受容可能な代謝可能なキャリアであり、これは、作製および投与が比較的簡易である(Gregoriadis,Liposome Technology,Vol.1(CRC Press,Boca Raton,FL(1984))。リポソームまたは他のポリマーマトリクスは、所望であれば、さらに、別の成分を含み得る。このような成分としては、例えば、治療剤、癌化学療法剤、細胞傷害性薬剤、または抗リンパ管形成剤が挙げられる。
本発明の結合体は、腫瘍リンパ性脈管構造を選択的に目指すホーミング分子に連結される部分を含む。本明細書中で使用される場合、用語「部分(moiety)」は、本発明のホーミング分子に連結され得、そして一般に、そのホーミング分子に生物学的に有用な機能を付与する物理的物質、化学的物質、生物学的物質を意味するように、広範に使用される。部分は、任意の天然または非天然の物質であり得、これらとしては、以下が挙げられる:生物学的物質(例えば、細胞もしくはファージ);有機化学物質(例えば、低分子);放射性核種;核酸分子またはオリゴヌクレオチド;ポリペプチド;またはペプチドもしくはペプチド模倣物。本発明に有用な部分としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:治療剤;癌化学療法剤、細胞傷害性薬剤、前アポトーシス剤(pro−apoptotic agents)、抗リンパ管形成剤、検出標識、および造影剤;ならびにタグまたは他の不溶性支持体。本発明に有用な部分としてはさらに、例えば、ファージおよび他のウイルス、細胞、リポソーム、ポリマーマトリクス、非ポリマーマトリクスまたは粒子(例えば、金粒子)、マイクロデバイスおよびナノデバイス、ならびにナノスケール半導体材料が挙げられる。これらの部分および当該分野で公知の他の部分は、本明細書中に開示されるように、本発明の結合体の成分であり得る。
1つの実施形態では、本発明の結合体において有用な部分は、抗リンパ管形成剤である。本明細書中で使用される場合、用語「抗リンパ管形成剤」は、リンパ管の成長を低下させるか、または阻害する分子である。血管内皮増殖因子レセプター−3(VEGFR−3)シグナル伝達経路の刺激は、インビボでリンパ管形成を特異的に誘導するのに十分であり、そしてVEGFR−3発現は、主に、後期発達におけるリンパ管に制限される。さらに、VEGFR−3リガンド(EGF−C)は、リンパ内皮細胞(lymphatic endothelial cells)に対して分裂促進的であり、そして分化したトリ絨毛尿膜およびマウス皮膚においてリンパ管形成応答を誘導し得る(Karkkainen and Petrova,Oncogene 19:5598−5605(2000);and Veikkolaら、EMBO J.20:1223−1231(2001))。従って、抗リンパ管形成剤は、例えば、VEGFR−3インヒビターであり得、これは、VEGFR−3発現、活性、またはシグナル伝達を阻害する分子である。
VEGFR−3インヒビターは、VEGFR−3に対して選択的であり得、そして例えば、他の血管内皮増殖因子レセプター(VEGFR)の発現または活性に比較して、VEGFR−3発現または活性の少なくとも10倍大きい阻害を示し得る。このような選択的VEFGR−3インヒビターは、例えば、他のVEGFRの発現または活性に比較して、VEGFR−3発現または活性の少なくとも20倍、50倍、または100倍大きい阻害を示し得る。非選択的VEGFR−3インヒビターもまた、本発明において有用であり得ることが理解される。このようなVEGFR−3インヒビターは、VEGFR−3を阻害するのに加えて、1つ以上の他のVEGFR(例えば、VEGFR−1もしくVEGFR−2)または他のチロシンキナーゼの発現または活性を阻害する。VEGFR−3阻害または他の抗リンパ管形成剤もまた、さらなる活性(例えば、抗脈管形成剤として)を有し得ることが、さらに理解される。
種々の抗リンパ管形成剤が当該分野で公知であり、例えば、VEGFR−3アンタゴニスト(、VEGFR−3に結合するが、これを活性化しない);可溶性レセプターまたは他のドミナントネガティブVEGFR−3レセプター(例えば、キナーゼ不活化レセプター);阻害性抗VEGFR−3抗体;VEGFR−3リガンド結合(例えば、VEGF−CもしくはVEGF−D結合)の競合体;低分子;アンチセンス核酸分子;リボザイム;転写因子またはそれらをコードする核酸分子;またはVEGFR−3発現を減少させる他の分子;選択的VEGFR−3キナーゼインヒビター(例えば、ATPアナログ);およびVEGFR−3シグナル伝達経路の選択的インヒビターが挙げられる。従って、種々の型の分子が、抗リンパ管形成剤として機能し得ることが理解される。このような分子としては、低分子;タンパク質(例えば、ドミナントネガティブレセプター、転写因子もしくは抗体);ペプチドまたはペプチド模倣物;リボザイム;あるいは核酸分子(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはドミナントネガティブレセプター、転写因子もしくは抗体をコードする核酸分子が挙げられる。
1つの実施形態では、本発明の結合体において含まれる部分は、治療剤である。本明細書中で使用される場合、用語「治療剤」は、正常組織または病的組織において生物学的活性を変化させる分子を意味する。従って、治療剤は、疾患状態の処置に潜在的に有用である。種々の治療剤が、本発明の結合体中に含まれ得る。別の実施形態では、本発明の結合体は、癌化学療法剤を含む。本明細書中で使用される場合、「癌化学療法剤」は、癌細胞の増殖、成長、寿命、または転移活性を阻害する化学的薬剤である。このような癌化学療法剤は、タキサン(例えば、ドデタキセル);アントラサイクリン(例えば、ドキソルビシン);アルキル化剤;ビンカアルカロイド;抗代謝産物;白金剤(例えば、シスプラチンまたはカルボプラチン);選択的エストロゲンレセプター調節因子;抗体(例えば、trastuzumab);ステロイド(例えば、メトトレキセート);抗生物質(例えば、アドリアマイシン);および化学療法剤(イソフォスファミド)であり得るが、これらに限定されない。
本発明の結合体における癌化学療法剤として有用なタキサン化合物は、例えば、ドセタキセル(タキソテル(Taxotere);Aventis Pharmaceuticals,Inc.;Parsippany,NJ)またはパクリタキセル(タキソール(Taxol);Bristol−Myers Squibb;Princeton,NJ)であり得る。例えば、Chanら、J.Clin.Oncol.17:2341−2354(1999)、およびParidaensら、J.Clin.Oncol.18:724(2000)を参照のこと。
本発明の結合体において有用な癌化学療法剤はまた、アントラサイクリン(例えば、ドキソルビシン、イダルビシン、またはダウノルビシン)であり得る。ドキソルビシンは、一般に使用される癌化学療法剤であり、これは、例えば、乳癌の処置に有用であり得る(StewartおよびRatain,「Cancer:Principles and practice of oncology」、第5版、19章(DeVita,Jr.ら編;J.P.Lippincott 1997);Harrisら、「Cancer:Principles and practice of oncology」、前出、1997)。さらに、ドキソルビシンは、抗脈管形成活性を有し(Folkman,前出、1997;Steiner,「Angiogenesis:Key principles−Science,technology and medicine」449〜454頁(Steinerら編;Birkhauser Verlag,1992))、このことは、癌の処置におけるその有効性に寄与し得る。
アルキル化剤(例えば、メルファランまたはクロラムブシル)もまた、本発明の結合体において有用な癌化学療法剤であり得る。同様に、ビンカアルカロイド(例えば、ビンデシン、ビンブラスチン、もしくはビノレルビン);または抗代謝産物(例えば、5-フルオロウラシル、5-フルオロウリジン、またはそれらの誘導体)は、本発明の結合体に有用な癌化学療法剤であり得る。
本発明の結合体において有用な別の癌化学療法剤は、白金剤である。このような白金剤は、例えば、シスプラチンまたはカルボプラチンであり得、これは、例えば、Crown,Seminars in Oncol.28:28−37(2001)に記載されるとおりである。本発明の結合体において有用な他の癌化学療法剤は、メトトレキセート、マイトマイシン-C、アドリアマイシン、イソフォスファミド、およびアンサミシン(ansamycin)が挙げられるが、これらに限定されない。
乳癌および他のホルモン依存性癌の処置のための癌化学療法剤はまた、エストロゲンの効果を拮抗する薬剤(例えば、選択的エストロゲンレセプター調節因子、または抗エストロゲン)であり得る。選択的エストロゲンレセプター調節因子であるタモキシフェンは、乳癌の処置のために本発明の結合体において使用され得る癌化学療法剤である(Fisherら、J.Natl.Cancer Instit.90:1371−1388(1998))。
本発明の結合体で有用な治療薬は、ヒト化モノクローナル抗体のような抗体であり得る。例えば、抗上皮成長因子レセプター2(HER2)抗体であるトラスツツマブ(trastuzumab)(Herceptin;Genentech,South San Francisco,CA)は、HER2/neuを過剰発現する乳癌を処置するための本発明の結合体において有用な治療薬である(Burrisら、前出、2001;Whiteら、Annu.Rev.Med.52:125−141(2001))。
別の実施形態において、本発明の結合体で有用な部分は、細胞傷害性薬剤である。本明細書中で使用される場合、用語「細胞傷害性薬剤」とは、任意の機構によって細胞死をもたらす任意の分子をいう。本発明の結合体で有用な細胞傷害性薬剤の例としては、ドキソルビシン、ドセタキセルおよびトラスツツマブならびに本明細書中で後述する抗菌ペプチドが挙げられる。
本発明の結合体で有用な部分はまた、抗脈管形成剤であり得る。本明細書中で使用される場合、「抗脈管形成剤」とは、新脈管形成(血管の増殖および発生)を減じるかまたは阻害する分子である。血管内皮成長因子(VEGF)は、インビボでの乳癌の新脈管形成を含む多くの型の癌における新脈管形成に重要であることが示されている(Borgstromら、Anticancer Res.19:4213−4214(1999))。抗脈管形成剤は、例えば、成長因子または新脈管形成に重要な他の因子を阻害するインヒビターまたは中和抗体であり得る。1つの実施形態において、抗脈管形成剤は、抗VEGF中和モノクローナル抗体(Borgstromら、前出、1999)である。別の実施形態において、抗脈管形成剤は、ステロイドまたはテラトゲンである。さらなる実施形態において、抗脈管形成剤は、タンパク質、ペプチド、またはペプチドフラグメント(例えば、エンドスタチン、アナステリン、トロンボスポンジン、アンジオスタチンまたはアンジオスタチンのクリングル(kringle)ペプチド)である。
本発明の結合体で有用な部分はまた、検出可能な標識であり得る。本明細書中で使用される場合、用語「検出可能な標識」とは、インビボで投与され、その後検出され得る任意の分子をいう。本発明の結合体で有用な検出可能な標識および方法の例としては、放射標識および蛍光分子が挙げられる。例示的な放射性核種としては、インジウム−111、テクネチウム−99、炭素−11および炭素−13が挙げられる。蛍光分子としては、限定することなく、フルオレセイン、アロフィコシアニン、フェコエリスリン、ローダミンおよびテキサスレッドが挙げられる。
本発明はさらに、選択的に腫瘍リンパ血管系を目指すホーミング分子が抗菌ペプチドに連結される結合体を提供し、ここで、この結合体は腫瘍リンパ血管系により選択的に内在化され、腫瘍リンパ血管系に対し高い毒性を示し、そして、この抗菌ペプチドは、ホーミング分子に連結されない場合、低い哺乳動物細胞毒性を有する。本明細書中で使用される場合、用語「抗菌ペプチド」は、抗菌活性(1以上の細菌を殺傷するかまたは1以上の細菌の増殖を遅延する能力)を有する天然に生じるペプチドまたは合成ペプチドを意味し、ホーミング分子に連結されない場合、この抗菌ペプチドは、低い哺乳動物細胞傷害性を有する。例えば、抗菌ペプチドは、グラム陽性菌もしくはグラム陰性菌、または真菌もしくは原虫を含む1種以上の細菌株を殺傷し得るかまたは1種以上の細菌株の増殖を遅延し得る。従って、抗菌ペプチドは、例えば、1種以上のEscherichia coli、Pseudomonas aeruginosaまたはStaphylococcus aureusに対する静菌活性または殺菌活性を有し得る。以下によって束縛されることは望まないが、抗菌ペプチドは、自己凝集の結果として膜二重層を通ってイオンチャネルを形成する能力に起因する生物学的活性を有し得る。
抗菌ペプチドは、代表的には非常に塩基性であり、そして、直鎖状構造または環状構造を有し得る。以下でさらに議論するように、抗菌ペプチドは、両親媒性のα−ヘリックス構造を有し得る(米国特許第5,789,542号;Javadpourら、前出、1996;BlondelleおよびHoughten、前出、1992を参照のこと)。抗菌ペプチドはまた、例えば、Manchenoら、J.Peptide Res.51:142−148(1998)に記載されるようなβ−鎖/シート形成ペプチドであり得る。
抗菌ペプチドは、天然に存在するペプチドまたは合成ペプチドであり得る。天然に存在する抗菌ペプチドは、生物学的供給源(例えば、細菌、昆虫、両生類、および哺乳動物)から単離されており、細菌感染から宿主生物を保護し得る誘導性防御タンパク質を表すと考えられる。天然に存在する抗菌ペプチドとしては、グラミシジン、マガイニン、メリチン、ディフェンシン、およびセクロピンが挙げられる(例えば、MaloyおよびKari,Biopolymers 37:105−122(1995);Alvarez−Bravoら,Biochem.J.302:535−538(1994);Bassalleら,FEBS 274:151−155(1990);ならびにBlondelleおよびHoughten(Bristol)編,Annual Reports in Medicinal Chemistry,159〜168頁,Academic Press,San Diegoを参照のこと)。以下でさらに議論されるように、抗菌ペプチドはまた、天然ペプチドのアナログ(特に、抗菌性を保持または増強するもの)であり得る。
本発明の結合体に組み込まれる抗菌ペプチドは、腫瘍ホーミング分子に連結されない場合に低い哺乳動物細胞傷害性を有する。哺乳動物細胞傷害性は、慣用的なアッセイを用いて容易に評価され得る。例えば、哺乳動物細胞傷害性は、Javadpourら、前出、1996に記載されるように、ヒト赤血球の溶解によりインビトロでアッセイされ得る。低い哺乳動物細胞傷害性を有する抗菌ペプチドは、ヒト赤血球に対して溶解性でないかまたは溶解活性について、100μMより高い濃度、好ましくは、200、300、500、または1000μMよりも高い濃度を必要とする。
1つの実施形態において、本発明は、抗菌ペプチド部分が真核生物細胞によりインターナライズされる場合にミトコンドリア膜の破壊を促進する結合体を提供する。特に、このような抗菌ペプチドは、真核生物膜と比較してミトコンドリア膜を優先的に破壊する。ミトコンドリア膜は、細菌膜と同様に、しかし真核生物原形質膜とは対称的に、多量の負に荷電したリン脂質を有する。抗菌ペプチドは、例えば、ミトコンドリア膨張アッセイまたは当該分野で周知の別のアッセイを用いて、ミトコンドリア膜を破壊する活性についてアッセイされ得る。例えば、D(KLAKLAK)2は、10μMの濃度(真核生物細胞を死滅させるのに必要とされる濃度よりも有意に小さい)で顕著なミトコンドリア膨張を誘導する抗菌ペプチドである。例えば、50μM、40μM、30μM、20μM、10μM、またはそれ未満で有意なミトコンドリア膨張を誘導する抗菌ペプチドは、ミトコンドリア膜の破壊を促進するペプチドであるとみなされる。
抗菌ペプチド部分としては、例えば、配列(KLAKLAK)2(配列番号5)、(KLAKKLA)2(配列番号6)、(KAAKKAA)2(配列番号7)、または(KLGKKLG)3(配列番号8)が挙げられ、1つの実施形態において、配列D(KLAKLAK)2が挙げられる。抗菌ペプチドに連結された腫瘍リンパ管を選択的に目指すホーミング分子を含む本発明の結合体は、例えば、配列CGNKRTRGC−GG−D(KLAKLAK)2またはGNKRTRG−GG−D(KLAKLAK)2を有し得る。
抗菌ペプチドは、一般的に、希釈水溶液中で、ランダムコイルコンホメーションをとり、より高いレベルのらせん性は、ヘリックス促進溶媒および両親媒性媒体(例えば、ミセル、合成二重層、または細胞膜)により誘導され得る。α−ヘリックス構造は、当該分野で周知であり、理想的なα−ヘリックスは、1ターンあたり3.6残基および1残基あたり1.5Åの転換(translation)(1ターンあたり5.4Å:Creighton,Proteins:Structures and Molecular Properties W.H.Freeman,New York(1984)を参照のこと)を有することにより特徴付けられる。両親媒性α−ヘリックス構造において、極性および非極性アミノ酸残基が、両親媒性ヘリックス(らせん軸に沿ってそのペプチドを見た場合、疎水性アミノ酸残基が1つの面に優先的に存在し、親水性残基が反対の面に優先的に存在するα−ヘリックス)に整列される。
共通の特徴として両親媒性α−ヘリックス構造を共有する、広範に変化する配列を有する抗菌ペプチドが単離されている(Saberwalら,Biochim.Biophys.Acta 1197:109−131(1994))。両親媒性およびらせん性を増強すると予測されるアミノ酸置換を有するネイティブペプチドのアナログは、代表的に、増大した抗菌活性を有する。一般的に、増大した抗菌活性を有するアナログはまた、哺乳動物細胞に対して増大した細胞傷害性を有する(Maloyら,Biopolymers 37:105−122(1995))。
抗菌ペプチドに言及して本明細書中で使用される場合、用語「両親媒性α−ヘリックス構造」は、生理学的pHにおいていくつかの極性残基を含む親水性面および非極性残基を含む疎水性面を有するα−ヘリックスを意味する。極性残基は、例えば、例えば、リジン残基またはアルギニン残基であり得る一方、非極性残基は、例えば、ロイシン残基またはアラニン残基であり得る。両親媒性α−ヘリックス構造を有する抗菌ペプチドは、一般に、両親媒性ドメイン内に等しい数の極性残基および非極性残基を有し、そして中性pHで全体的な正電荷をペプチドに与えるに十分な数の塩基性残基を有する(Saberwalら,Biochim.Biophys.Acta 1197:109−131(1994))。当業者は、ヘリックス促進アミノ酸(例えば、ロイシンおよびアラニン)が、有利には、本発明の抗菌ペプチド中に含まれ得ることを理解する(例えば、Creighton,前出,1984を参照のこと)。両親媒性α−ヘリックス構造を有する合成抗菌ペプチドは、例えば、McLaughlinおよびBeckerの米国特許第5,789,542号に記載されるように、当該分野で公知である。
これらおよび他の薬剤が、有用な治療剤であり、これらの薬剤が、本発明の結合体および方法において別個にまたはともに使用され得ることは、医学腫瘍学の分野の当業者により理解される。さらに、本発明の結合体が、このような治療剤の1種以上を含み得ること、および所望であれば、さらなる成分が、この結合体の一部として含まれ得ることが理解される。例えば、いくつかの場合において、ホーミング分子と治療剤との間にオリゴペプチドスペーサーを使用することが所望され得る(FitzpatrickおよびGarnett,Anticancer Drug Des.10:1−9(1995))。
本発明はまた、腫瘍リンパ性脈管構造を選択的に目指すホーミング分子に連結された検出可能な標識を含む結合体を被験体に投与する工程、およびこの結合体を検出し、それによって、この腫瘍リンパ性脈管構造を画像化する工程によって、被験体における腫瘍リンパ性脈管構造を画像化する方法を提供する。腫瘍リンパ性脈管構造を画像化するための本発明の方法において、このホーミングペプチドは、例えば、環状であり得るか、またはそうでなければコンフォメーション的に制約され得、さらに、例えば、ペプチドまたはペプチド模倣物であり得る。1つの実施形態において、このホーミング分子は、アミノ酸配列GNKRTRG(配列番号2)またはその保存的改変体もしくはペプチド模倣物を含むペプチドである。別の実施形態において、このホーミング分子は、アミノ酸配列CGNKRTRGC(配列番号1)を含むペプチド、またはその保存的改変体もしくはペプチド模倣物である。本発明の画像化方法において有用な検出可能な標識は、例えば、放射性核種または蛍光分子であり得る。検出可能な標識として有用な放射性核種の例としては、インジウム−111、テクネチウム−99、炭素−11、および炭素−13が挙げられるが、これらに限定されない。
腫瘍リンパ性脈管構造を画像化するための本発明の方法は、種々の腫瘍と関連した腫瘍リンパ性脈管構造の存在を検出するために有用であり得る。検出可能な標識を含む、本発明の結合体の投与後、腫瘍リンパ性脈管構造は可視化される。この画像が、このような腫瘍リンパ管の存在についてポジティブである場合、この腫瘍は、サイズおよびリンパ管浸潤の量について評価され得る。これらの結果は、癌の発達段階および転移の存在または可能性に関する有益な情報を臨床医に提供する。
腫瘍リンパ性脈管構造を画像化する方法において、投与される結合体は、腫瘍における(例えば、胸部腫瘍におけるもしくは骨肉腫における)リンパ性脈管構造の検出または可視化を可能にする検出可能な標識を含む。このような腫瘍リンパ性脈管構造のインビボ診断画像化について、所望の腫瘍に選択的なホーミング分子は、被験体に投与するに際して、被験体に対して外部から検出可能である、検出可能な標識に連結される。このような検出可能な標識は、例えば、γ線放射放射性核種(例えば、インジウム−113、インジウム−115またはテクネチウム−99であり得;被験体に投与した後に、結合体は、固形シンチレーション検出器を使用して可視化され得る。
本発明はまた、被験体において腫瘍転移を低減または予防するための方法を提供する。転移は、主にリンパ系を通じて発生し、リンパ節が関与する程度は、疾患の重篤度についての重要な予後因子である。原発性腫瘍におけるリンパ管形成および腫瘍内リンパ管の量は、動物実験において腫瘍転移と相関していた。例えば、乳癌において(Skobeら,Nature Medicine 7(2):192−198(2001))。腫瘍内リンパ性脈管構造は、多くの腫瘍型(例えば、乳癌、結腸癌、肺癌、甲状腺癌、胃癌、扁平上皮癌、中皮腫、骨肉腫、および神経芽腫)の転移において重要な役割を果たし得る。
本発明に従うと、腫瘍転移は、腫瘍リンパ性脈管構造を選択的に目指すホーミング分子に連結された部分を含む結合体を被験体に投与し、それによって腫瘍転移を低減または予防することによって、低減または予防される。本発明のこのような方法において、このホーミング分子は、例えば、環状であり得るか、またはそうでなければコンフォメーション的に制約され得、さらに、例えば、ペプチドまたはペプチド模倣物であり得る。1つの実施形態において、このホーミング分子は、アミノ酸配列GNKRTRG(配列番号2)を含むペプチド、またはその保存的改変体もしくはペプチド模倣物である。別の実施形態において、このホーミング分子は、アミノ酸配列CGNKRTRGC(配列番号1)を含むペプチド、またはその保存的改変体もしくはペプチド模倣物である。種々の部分が、腫瘍転移を低減または予防するための本発明の方法において有用である。このような部分としては、癌化学療法剤、細胞傷害性薬剤および抗リンパ管形成剤が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明はさらに、腫瘍リンパ性脈管構造を選択的に目指すホーミング分子に連結された部分を含む結合体を被験体に投与し、それによって、被験体における腫瘍リンパ管の数を減少させることによって、被験体における腫瘍リンパ管の数を減少する方法を提供する。本発明の方法において、このホーミング分子は、例えば、環状であり得るか、またはそうでなければコンフォメーション的に制約され得、さらに、例えば、ペプチドまたはペプチド模倣物であり得る。1つの実施形態において、このホーミング分子は、アミノ酸配列GNKRTRG(配列番号2)を含むペプチド、またはその保存的改変体もしくはペプチド模倣物である。別の実施形態において、このホーミング分子は、アミノ酸配列CGNKRTRGC(配列番号1)を含むペプチド、またはその保存的改変体もしくはペプチド模倣物である。種々の部分が、腫瘍リンパ管の数を減少させるための本発明の方法において有用である。このような部分としては、癌化学療法剤、細胞傷害性薬剤および抗リンパ管形成剤が挙げられるが、これらに限定されない。
さらに、本発明は、腫瘍リンパ性脈管構造を選択的に目指すホーミング分子に連結された部分を含む結合体を被験体に投与することによって、被験体における癌を処置する方法を提供する。本発明の方法において、このホーミング分子は、例えば、環状であり得るか、またはそうでなければコンフォメーション的に制約され得、さらに、例えば、ペプチドまたはペプチド模倣物であり得る。1つの実施形態において、このホーミング分子は、アミノ酸配列GNKRTRG(配列番号2)を含むペプチド、またはその保存的改変体もしくはペプチド模倣物である。別の実施形態において、このホーミング分子は、アミノ酸配列CGNKRTRGC(配列番号1)を含むペプチド、またはその保存的改変体もしくはペプチド模倣物である。種々の部分が、被験体における癌を処置するための本発明の方法において有用であり得る。このような部分としては、癌化学療法剤、細胞傷害性薬剤および抗リンパ管形成剤が挙げられるが、これらに限定されない。
上記に開示されるように、ペプチド配列番号1は、腫瘍リンパ性脈管構造を選択的に目指し、さらに細胞傷害性活性を有する。従って、本発明はさらに、腫瘍リンパ性脈管構造を選択的に目指す細胞傷害性ホーミング分子を被験体に投与することによって、被験体における癌を処置する方法を提供する。本発明の方法において、この細胞傷害性ホーミング分子は、例えば、環状であり得るか、またはそうでなければコンフォメーション的に制約され得、さらに、例えば、ペプチドまたはペプチド模倣物であり得る。さらに、本発明の方法において有用な細胞傷害性ホーミング分子は、アミノ酸配列GNKRTRG(配列番号2)を含む細胞傷害性ペプチド、またはその保存的改変体もしくはペプチド模倣物、あるいはアミノ酸配列CGNKRTRGC(配列番号1)を含む細胞傷害性ペプチド、またはその保存的改変体もしくはペプチド模倣物である。
以下の実施例は、本発明を例示するのであって、限定することを意図しない。
(実施例1:MDA−MB−435胸部癌腫細胞にインビトロで結合するペプチドの同定)
この実施例は、エキソビボ選択およびインビボ選択を使用する、MDA−MB−435胸部癌腫異種移植片腫瘍を選択的に目指すペプチドの同定を記載する。
この実施例は、エキソビボ選択およびインビボ選択を使用する、MDA−MB−435胸部癌腫異種移植片腫瘍を選択的に目指すペプチドの同定を記載する。
いくつかのエキソビボ選択を、以下に記載のように、ヌードマウス中で増殖させたMDA−MB−435胸部癌腫異種移植片から調製した435腫瘍細胞懸濁物を用いて行った。抗マウスCD31を使用して、CD31ネガティブ細胞集団に結合したファージをレスキューする前に、血管内皮細胞の腫瘍細胞混合物を除去した。三回目のエキソビボラウンドにより、ファージプールは、コントロールの非組換えファージに対して約350倍、腫瘍細胞懸濁物を結合した。このエキソビボ予備選択ファージプールを、次いで、MDA−MB−435腫瘍を有するヌードマウスの尾静脈に注射することによって、インビボ選択ラウンドに供した。次いで、ファージを、採取した異種移植片腫瘍組織からレスキューした。
選択したファージを、腫瘍中の非組換えT7ファージに対して30倍に富化した。48個の個々のクローンを、インビボ選択プールから無作為に選択し、挿入物を、以下に記載のように配列決定した。個々のクローンを、培養435細胞、および435腫瘍から調製した細胞懸濁物を結合する能力についてアッセイした。
図1Aに示されるように、ペプチドCGNKRTRGC(配列番号1)を提示するファージは、非組換えファージより約5000倍高く原発性435腫瘍細胞懸濁物に結合した。対照的に、その自然順列(spontaneous permutation)CGEKRTRGC(配列番号3)またはCGNKRTRGV(配列番号4)を提示するファージは、435腫瘍細胞懸濁物に結合しなかった(図1Aを参照のこと)。合成CGNKRTRGC(配列番号1)ペプチドの添加により、同じペプチド配列を提示するファージの結合が阻害された。
CGNKRTRGC(配列番号1)提示ファージの435腫瘍細胞懸濁物に対する結合は、この提示されたペプチドのコピー数と相関した。図1Bに示されるように、このペプチドが、415コピー、10コピー、または1コピーで提示された場合、ファージ結合が漸進的に減少した。従って、配列番号1を提示するファージの435腫瘍細胞懸濁物への結合は、特異的であった。CGNKRTRGC(配列番号1)を提示するファージはまた、1〜3日間培養した435細胞に結合したが、腫瘍から単離された細胞より結合が弱かった。平均すると、培養435細胞への結合は、コントロール非組換えファージで観察された結合より約50倍大きかった。
これらの結果は、ペプチド配列番号1を提示するファージの胸部癌腫MDA−MB−435異種移植片から調製された腫瘍細胞懸濁物への特異的結合を実証する。
一般構造CX7Cを有するペプチド提示ファージライブラリー(ここでCはシステインであり、Xは任意のアミノ酸である)を、本質的に以下のように、T7ファージにおいて構築した。簡潔には、NNKコドンとしてランダムなペプチド挿入物をコードし、5’EcoRIオーバーハングおよび3’HindIIIオーバーハングを有する相補的なオリゴヌクレオチドを、アニールした。得られた二本鎖DNAを、T4ポリヌクレオチドキナーゼ(Novagen;Madison,WI)でリン酸化し、1μgのT7Select415−1bベクターアームに連結した。この連結産物を、50μlのパッケージング抽出物に直接添加し、2時間インキュベートして、108pfuの総組換え体を得た。500mlの液体培地中で組換え体を増幅した後に、ファージ粒子の精製および一本鎖ファージDNAの配列決定を、標準的な方法によって行った。
異種移植片、腫瘍細胞懸濁物およびエキソビボ選択を、本質的に以下のように行った。ヌードBalb/cマウスに、1×106MDA−MB−435腫瘍細胞を皮下注射して、胸部癌腫異種移植片を作製した。ヒトMDA−MB−435胸部癌腫異種移植片腫瘍を、移植の9〜12週間後に採取し、腫瘍細胞懸濁物をコラゲナーゼ(0.5mg/ml,Sigma)を使用して調製した。
435腫瘍細胞懸濁物を、T7ファージが提示するCX7Cライブラリー(3.7×1010pfu)とともに、一晩4℃でインキュベートした。この懸濁物を、DME中の1% BSAでの連続洗浄に供して、非結合ファージを除去した。血管内皮細胞を、抗マウスCD31抗体(MEC 13.3;Pharminogen;San Diego,California)でコーティングした磁性ビーズ(Dynal;Lake Success,New York)を使用して、製造業者の説明書に従って、腫瘍細胞混合物から除去した。CD31ネガティブ細胞集団に結合したファージは、細菌を添加することによってレスキューされ、レスキューされたファージを力価測定し、液体培養で増幅させた。
(実施例2:ペプチドCGNKRTRGC(配列番号1)の選択的インビボホーミング)
この実施例は、CGNKRTRGC(配列番号1)を提示するファージが、インビボでMDA−MB−435およびKRIBヒト骨肉腫腫瘍を選択的に目指すことを実証する。
この実施例は、CGNKRTRGC(配列番号1)を提示するファージが、インビボでMDA−MB−435およびKRIBヒト骨肉腫腫瘍を選択的に目指すことを実証する。
インビボホーミング選択性を、本質的に以下に記載のように分析した。CGNKRTRGC(配列番号1)を提示するファージを、MDA−MB−435腫瘍、KRIB骨肉腫、C8161黒色腫またはHL−60白血病細胞異種移植片のいずれかを有するヌードマウスの尾静脈に注射した。ファージを、その後、それぞれの腫瘍からレスキューし、同様に、いくつかの正常な組織(脳、腎臓、肝臓、脾臓、皮膚および胸部)からもレスキューした。
図1Cに示されるように、CGNRTRKGC(配列番号1)を提示するファージは、インビボで435およびKRIB腫瘍を目指した。ホーミングの強さは変化したが、腫瘍組織における平均ファージ力価は、435腫瘍において非組換えファージより約60倍大きく、KRIB骨肉腫において非組換えファージより15倍大きかった。対照的に、CGNKRTRGC(配列番号1)を提示するファージは、インビボでは、C8161黒色腫異種移植片またはHL−60ヒト白血病異種移植片を目指さない。さらに、CGNKRTRGC(配列番号1)を提示するファージは、正常脳、脾臓、皮膚、腎臓、または肺組織を目指さない。CGNKRTRGC(配列番号1)を提示するファージは、正常な胸部組織を弱く目指すようである(図1Dを参照のこと)。
インビボでの、CGEKRTRGC(配列番号3)を提示するファージの435腫瘍へのホーミング(ここでアスパラギン−3は、グルタミン酸と置換される)は、CGNKRTRGC(配列番号1)ファージのホーミングのわずか約8%であった。(図1Cを参照のこと)。これらのインビボホーミングの結果は、腫瘍由来細胞懸濁物において示される結合結果を再現し、3位でのアスパラギンまたは関連する残基が、ホーミング活性に寄与し得ることを示す。
まとめると、これらの結果は、ペプチド配列番号1が、正常組織に優先して、選択的ホーミング活性を有し、乳癌および骨肉腫の腫瘍を選択的に目指すことを実証する。
(実施例3)
(細胞によるCGNKRTRGC(配列番号1)提示ファージの内在化)
本実施例は、CGNKRTRGC(配列番号1)提示ファージが、細胞によって内在化されることを実証する。
(細胞によるCGNKRTRGC(配列番号1)提示ファージの内在化)
本実施例は、CGNKRTRGC(配列番号1)提示ファージが、細胞によって内在化されることを実証する。
CGNKRTRGC(配列番号1)提示ファージの静脈内注射からの時間を増加させて、435腫瘍からレスキューすることは、ファージ回収を減少した。この疾患が、細胞によるファージの内在化に起因するか否かを決定するために、ファージを、界面活性剤NP−40の0.5%溶液により435腫瘍細胞を溶解することによって、レスキューした。図1Eに示されるように、界面活性剤を使用しない場合より、10〜20倍より多い配列番号1提示ファージを界面活性剤を使用してレスキューした。このことは、ファージが、腫瘍細胞によって内在化されたことを示す。
フルオレセイン結合体化CGNKRTRGC(配列番号1)ペプチドを利用して、細胞性内在化および非細胞局在化をさらに分析した。フルオレセイン結合体化CGNKRTRGC(配列番号1)ペプチドおよび3つの塩基残基を含むフルオレセイン結合体化コントロールペプチドを、Wenderら、Proc.Natl.Acad.Sci.97:13003(2000)に従って合成した。フルオレセイン結合体化ペプチドを、培養したMDA−MB−435腫瘍細胞とともに37℃で1〜5時間インキュベートした。図2Aに示されるように、フルオレセイン標識化ペプチドCGNKRTRGC(配列番号1)を、435腫瘍細胞によって取り込ませ、そして細胞核へと移した。対照的に、フルオレセイン標識化コントロールペプチドの細胞による取り込みは検出され得なかった(図2Bを参照のこと)。さらに、フルオレセイン結合体化CGNKRTRGC(配列番号1)ペプチドを、インビボで核へと内在化および輸送した。培養した435細胞もまた、CGNKRTRGC(配列番号1)ファージを内在化したが、このファージは、細胞の細胞質に集積した。
これらの結果は、CGNKRTRGC(配列番号1)提示ファージおよびフルオレセイン(配列番号1)結合体が、細胞によって内在化されたことを実証する。
(実施例4)
(リンパマーカーVEGFR−3およびLYVE−1によるCGNKRTRGC(配列番号1)ペプチドの局在化)
この実施例は、ペプチド配列番号1が、リンパ性脈管構造に局在化することを実証する。
(リンパマーカーVEGFR−3およびLYVE−1によるCGNKRTRGC(配列番号1)ペプチドの局在化)
この実施例は、ペプチド配列番号1が、リンパ性脈管構造に局在化することを実証する。
(A.ペプチド配列番号1は、血管マーカーに対して陰性である脈管に局在化する)
CGNKRTRGC(配列番号1)提示ファージをMDA−MB−435腫瘍を保有するヌードマウスの尾静脈へ静脈内注射した後に、抗T7ファージ抗体を用いて、配列番号1を提示するファージの局在化を分析した。CGNKRTRGC(配列番号1)提示ファージは、脈管様構造および435腫瘍内の幾つかの単一細胞に局在化した。ファージが局在化した脈管は、Meca−32(血管に特異的なマーカー)に対して陰性であり、また、CD31(これは、リンパ性脈管構造よりも血管においてより顕著に発現される)に対して陰性である。同様の結果が、ファージオーバレイアッセイにより得られ、このアッセイにおいて、ファージを、マウスに注射するのではなく、凍結組織切片に加えた。
CGNKRTRGC(配列番号1)提示ファージをMDA−MB−435腫瘍を保有するヌードマウスの尾静脈へ静脈内注射した後に、抗T7ファージ抗体を用いて、配列番号1を提示するファージの局在化を分析した。CGNKRTRGC(配列番号1)提示ファージは、脈管様構造および435腫瘍内の幾つかの単一細胞に局在化した。ファージが局在化した脈管は、Meca−32(血管に特異的なマーカー)に対して陰性であり、また、CD31(これは、リンパ性脈管構造よりも血管においてより顕著に発現される)に対して陰性である。同様の結果が、ファージオーバレイアッセイにより得られ、このアッセイにおいて、ファージを、マウスに注射するのではなく、凍結組織切片に加えた。
フルオレセイン結合体化CGNKRTRGC(配列番号1)ペプチドを、435腫瘍保有マウスの尾静脈に注射した場合、フルオレセイン結合体化ペプチドは、脈管様構造および腫瘍内の個々の細胞に局在化した。これらの脈管は、CD31およびMeca−32血管マーカーに対して陰性であった。図3A〜Cに見られるように、フルオレセイン結合体化ペプチドと、ビオチン結合体化トマトレクチンにより標識した血管との同時局在化の顕著な欠如が存在した。腫瘍の部分が、ペプチドおよび血管の両方を含んでいた場合でさえ、それらの位置は、識別可能であった(図3G〜I)。これらのデータは、CGNKRTRGC(配列番号1)ペプチドによって標的化された脈管様構造は、血管ではなかったことを示す。
幾つかの正常組織をまた、CGNKRTRGC(配列番号1)ペプチドの局在化について研究した。フルオレセインは、尿細管においてのみ見出され、このことは、糸球体濾液由来のペプチドの取り込みの結果であり得る。フルオレセイン標識化コントロールペプチドをまた、静脈内注射後に尿細管において同程度に検出したが、腫瘍組織においては検出しなった。このことは、尿細管へのペプチド局在化が、非特異的であったことを示す。
抗T7抗血清を、1010pfuのT7非組換えファージ(Novagen)を用いて、ニュージーランドホワイトウサギを免疫することによって調製した。初期免疫をフロイント完全アジュバントにおいて実施し、一方、不完全フロイントアジュバントにおいて追加投与した。抗体力価をELISAによって概算し、そして抗血清を、BLT5615細菌溶解物およびマウス肝臓溶解物に吸収させた。抗T7ファージ抗血清(1:1000希釈)を使用してファージを検出し、そしてヤギ抗ウサギ二次抗体をフルオレセインに結合体化させた。
蛍光ペプチドおよびビオチン結合体化トマトレクチンの検出を、以下のように実施した。フルオレセイン結合体化ペプチドCGNKRTRGC(配列番号1)を、上記のように調製した。ペプチド(200μLのPBS中に100μg)を、MDA−MB−435乳癌腫瘍を保有するマウスの尾静脈に注射した。10分後、ビオチン結合体化lycopersicon esculentum(tomato)レクチン(200μLのPBS中に100μg;Vector;Burlingame,California)をまた、尾静脈に注射した。5分後、4%パラホルムアルデヒドにより、心臓を介してマウスを灌流した。組織を取り除き、O.C.T.包埋培地(Tissue−Tek;Torrence,California)中で凍結した。血管を、ストレプトアビジン結合体化Alexa594(Molecular Probes;Eugene,Oregon)でトマトレクチンを検出することによって可視化した。緑色染色は、ペプチド配列番号1の存在を示し、一方、赤色染色は、トマトレクチンの存在を示した。
(B.ペプチドCGNKRTRGC(配列番号1)は腫瘍内のリンパ性脈管構造および細胞を目指す)
MDA−MB−435乳癌腫瘍は、リンパ内皮細胞のマーカーに対して陽性であるリンパ性脈管構造を含む。CGNKRTRGC(配列番号1)が、435腫瘍リンパを目指したか否かを決定するために、腫瘍切片を、リンパマーカーVEGFR−3およびLYVE−1を用いて染色した。リンパ性脈管構造を、ラット抗マウスVEGFR−3抗体または以下に記載されるように産生されるウサギ抗LYVE−1抗体を用いて可視化した。
MDA−MB−435乳癌腫瘍は、リンパ内皮細胞のマーカーに対して陽性であるリンパ性脈管構造を含む。CGNKRTRGC(配列番号1)が、435腫瘍リンパを目指したか否かを決定するために、腫瘍切片を、リンパマーカーVEGFR−3およびLYVE−1を用いて染色した。リンパ性脈管構造を、ラット抗マウスVEGFR−3抗体または以下に記載されるように産生されるウサギ抗LYVE−1抗体を用いて可視化した。
図4に示されるように、腫瘍内の脈管様構造は、両方のリンパマーカーに対する抗体により染色された。これらの脈管の少数のみが、血管であり、これは、VEGFR−3の重なりのまれな発生および注射されたトマトレクチンの標識によって示される。対照的に、静脈に注射されたフルオレセイン結合体化CGNKRTRGCペプチド配列番号1は、435腫瘍組織において染色しているVEGFR−3およびLYVE−1とともに同時局在化した(図5を参照のこと)。さらに、フルオレセイン結合体化ペプチド(配列番号1)は、脈管様構造に沿った核中に集積した(図5C)。これらの結果は、ペプチド配列番号1が、腫瘍リンパ性脈管構造を選択的に目指すことを示す。
CGNKRTRGC(配列番号1)ペプチドはまた、腫瘍内のVEGFR−3陽性単一細胞およびヒト組織における崩壊したリンパ性脈管構造において観察された染色パターンに類似の構造(Fukudaら,The Prostate 44:332(2000)およびEbataら,Microvasc.Res.61:40(2001))に集積した;これらの構造は、VEGFR−3またはLYVE−1に対して時に陽性であるのみであった。配列番号1およびマクロファージマーカーF4/80の同時局在化の欠如によって証明されるように、VEGFR−3陽性単一細胞は、マクロファージ(腫瘍に浸潤し得る)ではなかった。VEGFR−3陽性単一細胞は、リンパ内皮細胞(例えば、リンパ性脈管構造芽細胞(lymphangioblast))(Schneiderら,Dev.Dyn.216:311(1999)または、Wigleら,Cell 98:769(1999)によって記載されるような混合型の移動する内皮細胞)の発生に関与し得る。
LYVE−1抗体を、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH;Pierce;Iselin,New Jersey)に結合体化したマウスLYVE−1(Prevoら,J.Biol.Chem.276:19420(2001))の最もC末端から19残基をコードするペプチドを用い、ニュージーランドホワイトウサギを免疫することによって産生した。完全フロイントアジュバント中で初期免疫を行い、そして不完全フロイントアジュバント中で追加免疫を実施した。Sulfolink Gel(Pierce)に結合したペプチドによる親和性精製後に、特異的抗体を得た。フルオレセイン結合体化ペプチドによる注射後に、ラット抗マウス抗VEGFR−3、およびウサギ抗LYVE−1を使用して組織を15分間処理した。抗LYVE−1抗体を、1:500希釈にて凍結切片上で使用し、その後、Alexa(Molecular Probes)に結合体化したヤギ抗ウサギ二次抗体による検出に使用した。
(実施例5)
(皮下注射後のペプチドCGNKRTRGC(配列番号1)を提示するファージのインビボでのホーミング)
この実施例は、皮下注射後のMDA−MB−435腫瘍リンパ性脈管構造への配列番号1を提示するファージのインビボでのホーミングを実証する。
(皮下注射後のペプチドCGNKRTRGC(配列番号1)を提示するファージのインビボでのホーミング)
この実施例は、皮下注射後のMDA−MB−435腫瘍リンパ性脈管構造への配列番号1を提示するファージのインビボでのホーミングを実証する。
ファージの皮下注射および静脈内注射を以下のように実施した。CGNKRTRGC(配列番号1)ファージ(5×109PFU)を、435腫瘍から約3cmに皮下(s.c.)に注射するか、または435腫瘍保有マウスの尾静脈(i.v.)に注射した。12分後、20mlのPBSを用いて、心臓を介してこれらのマウスを灌流し、そして腫瘍およびコントロール器官を除去した。結合していないファージを数回の洗浄により除去し、結合したファージを細菌の添加により回収して、滴定した。
図6に示されるように、配列番号1保有ファージの著しい富化を、皮下注射後に、非組換えファージと比較して腫瘍において観察した。図6にさらに示されるように、CGNKRTRGC(配列番号1)ファージの有意に低下したバックグラウンドが、静脈内注射から生じるバックグラウンドと比較して、皮下注射後にコントロール器官において存在した。これらの結果は、CGNKRTRGC(配列番号1)ペプチドのリンパ性脈管構造特異性をさらに実証し、そして、配列番号1提示ファージおよびペプチドが、静脈内に注射した数分後に腫瘍のリンパ性脈管構造に集積し得ることを示す。
(実施例6)
(ペプチドCGNKRTRGC(配列番号1)の細胞傷害活性)
この実施例は、ペプチド配列番号1が、細胞培養物およびインビボにおいて細胞傷害活性を有することを実証する。
(ペプチドCGNKRTRGC(配列番号1)の細胞傷害活性)
この実施例は、ペプチド配列番号1が、細胞培養物およびインビボにおいて細胞傷害活性を有することを実証する。
培養したMDA−MB−435細胞を、コントロールペプチド(CGEKRTRGC;配列番号3)またはCGNKRTRGC(配列番号1)とともに、37℃で1時間、2時間または4時間インキュベートした。トリパンブルー(これは、死亡または瀕死の細胞に取り込まれる)による染色後、細胞の全数を計数し、トリパンブルー染色した細胞のパーセントを決定した。図7に示されるように、後の時点において、コントロールペプチド配列番号3と比較して、ペプチド配列番号1の有意に増強された細胞傷害効果を観察した。特に、4時間のインキュベーション後、コントロールペプチドとともにインキュベートした培養物と比較して、ペプチド配列番号1とともにインキュベートした細胞培養物において、少なくとも7倍より多いトリパンブルーの取り込みが明らかとなった。これらの結果は、ペプチド配列番号1が、細胞傷害活性を有することを示す。
200μlのPBS中の1×106細胞をヌードマウスに皮下注射することで調製した、MDA−MB−435ヒト乳癌細胞異種移植片を用いて、腫瘍処置研究を実施した。マウス(各群に5匹)を、67nmolのCGNKRTRGCペプチド(配列番号1)またはPBSを用いて1週間に2回静脈内で処置した(腫瘍を移植して4週間後に開始)。腫瘍容積を4週間にわたって1週間に1回測定した。図8に示されるように、平均腫瘍容積は、処置の約2週間後に開始したが、PBS単独を投与したマウスより、ペプチド配列番号1を投与したマウスにおいて少なくとも数倍小さかった。これらの結果は、ペプチドCGNKRTRGC(配列番号1)は、インビボで細胞傷害活性を有することを実証し、そして、同じレセプターに結合するこれらのペプチドは、インビボでの腫瘍増殖の遅延または予防に有用であり得ることを示す。
上記に提供された全ての雑誌記事、参考文献および特許は、丸括弧内でもそうでなくても、以前に記載されているか否かに関わらず、その全体が本明細書に参考として援用される。
本発明は、上記に提供された実施例に対する参照により記載されているが、種々の改変が、本発明の精神から逸脱することなくなされ得ることは理解されるべきである。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲によってのみ制限される。
この特許または出願ファイルは、少なくとも1つのカラー写真を含む。カラー写真を有する、この特許または特許出願公開の副本は、要求および必要な手数料の支払いによって、特許商標庁によって提供される。
図1は、CGNKRTRGC(配列番号1)を提示するファージのエキソビボの結合およびインビボのホーミングを示す。(A)CGNKRTRGC(配列番号1)、CGEKRTRGC(配列番号3)またはCGNKRTRGV(配列番号4)を提示する組換えT7ファージの、435の乳房癌腫異種移植片から調製した原発性MDA−MB−435乳房癌腫腫瘍細胞懸濁物への結合。
図1は、CGNKRTRGC(配列番号1)を提示するファージのエキソビボの結合およびインビボのホーミングを示す。(B)CGNKRTRGC(配列番号1)をディスプレイするファージのエキソビボの結合の、提示されたペプチドコピー数との相関。
図1は、CGNKRTRGC(配列番号1)を提示するファージのエキソビボの結合およびインビボのホーミングを示す。(C)CGNKRTRGC(配列番号1)ファージの、MDA−MB−435乳房癌腫およびKRIB骨肉種異種移植片への、インビボのホーミング。
図1は、CGNKRTRGC(配列番号1)を提示するファージのエキソビボの結合およびインビボのホーミングを示す。(D)正常組織(正常な腎臓、肺、脾臓、皮膚または乳房組織)へのインビボのホーミング。
図1は、CGNKRTRGC(配列番号1)を提示するファージのエキソビボの結合およびインビボのホーミングを示す。(E)CGNKRTRGC(配列番号1)ファージの、MDA−MB−435乳房癌腫腫瘍細胞による内在化。
図2は、435細胞におけるフルオレセイン結合体化ペプチドCGNKRTRGC(配列番号1)のインビトロ内在化および核局在化を示す。(A)フルオレセイン結合体化CGNKRTRGC(配列番号1)ペプチド(緑)。核は、DAPI染色(青)によって可視化されている。(B)フルオレセイン結合体化コントロールペプチド。
図3は、静脈内注射後の、腫瘍における蛍光ペプチドCGNKRTRGC(配列番号1)の局在化を示す。(A〜C)蛍光ペプチドCGNKRTRGC(配列番号1)染色(緑)。(D〜F)ストレプトアビジン結合体化Alexa 594を用いて検出されたトマトレクチン染色(赤)。(G〜I)同じ顕微鏡視野内に存在するペプチドおよび血管染色。
図4は、リンパ管マーカーおよび血管マーカーの別個の局在化を示す。リンパ管は、ウサギ抗LYVE1およびヤギ抗Alexa 594を使用して435腫瘍切片において可視化され、顕微鏡写真では赤に見える。血管は、フルオレセイン結合体化トマトレクチンによって標識され、顕微鏡写真では緑に見える。
図5は、フルオレセイン結合体化ペプチドCGNKRTRGC(配列番号1)の、リンパマーカーであるVEGFR−3およびLYVE−1との同時局在化を示す。(A、C、E)フルオレセイン結合体化CGNKRTRGC(配列番号1;緑)およびリンパマーカーVEGFR−3(赤)。(G)フルオレセイン結合体化CGNKRTRGC(配列番号1;緑)およびリンパマーカーLYVE−1(赤)。(B、D、F、H)フルオレセイン結合体化配列番号1(緑)およびDAPI核染色(青)。
図6は、静脈内注射または皮下注射後の、MDA−MB−435異種移植片腫瘍または脳へのCGNKRTRGC(配列番号1)ファージのホーミングを示す。
図7は、CGNKRTRGC(配列番号1)またはコントロールペプチド(CGEKRTRGC;配列番号3)と共にインキュベートしたMDA−MB−435細胞を示す。トリパンブルーでの染色後、細胞総数を計数し、そしてトリパンブルーで染色された細胞の割合を決定した。
図8は、インビボのMDA−MB−435ヒト乳房癌腫異種移植片の増殖に対する、ペプチドCGNKRTRGC(配列番号1)の注射の効果を示す。
Claims (91)
- 単離されたペプチドまたはペプチド模倣物であって、該単離されたペプチドまたはペプチド模倣物が、アミノ酸配列GNKRTRG(配列番号2)またはそのペプチド模倣物を含む、単離されたペプチドまたはペプチド模倣物。
- ペプチドである、請求項1に記載の単離されたペプチドまたはペプチド模倣物。
- 請求項1に記載の単離されたペプチドまたはペプチド模倣物であって、該単離されたペプチドまたはペプチド模倣物が、アミノ酸配列CGNKRTRGC(配列番号1)またはそのペプチド模倣物を含む、単離されたペプチドまたはペプチド模倣物。
- ペプチドである、請求項3に記載の単離されたペプチドまたはペプチド模倣物。
- コンフォメーション的に制約された、請求項1、2、3、または4に記載の単離されたペプチドまたはペプチド模倣物。
- 環状である、請求項1、2、3、または4に記載の単離されたペプチドまたはペプチド模倣物。
- 100残基未満の長さを有する、請求項1、2、3、または4に記載の単離されたペプチドまたはペプチド模倣物。
- 50残基未満の長さを有する、請求項1、2、3、または4に記載の単離されたペプチドまたはペプチド模倣物。
- 20残基未満の長さを有する、請求項1、2、3、または4に記載の単離されたペプチドまたはペプチド模倣物。
- 15残基未満の長さを有する、請求項1、2、3、または4に記載の単離されたペプチドまたはペプチド模倣物。
- 腫瘍リンパ性脈管構造を選択的に目指すホーミング分子に連結された部分を含む、結合体。
- 請求項11に記載の結合体であって、ここで、前記ホーミング分子が、抗体でもその抗原結合性フラグメントでもない、結合体。
- 請求項11に記載の結合体であって、ここで、前記ホーミング分子が、ペプチドまたはペプチド模倣物である、結合体。
- 請求項13に記載の結合体であって、ここで、前記結合体の前記ペプチド部分またはペプチド模倣物部分が、多くとも200残基の長さを有する、結合体。
- 請求項14に記載の結合体であって、ここで、前記結合体の前記ペプチド部分またはペプチド模倣物部分が、多くとも50残基の長さを有する、結合体。
- 前記ホーミング分子が、コンフォメーション的に制約された、請求項11または13に記載の結合体。
- 前記ホーミング分子が、環状である、請求項11または13に記載の結合体。
- 請求項13に記載の結合体であって、ここで前記ホーミング分子が、アミノ酸配列GNKRTRG(配列番号2)またはその保存的改変体もしくはペプチド模倣物を含む、結合体。
- 請求項18に記載の結合体であって、ここで前記ホーミング分子が、アミノ酸配列GNKRTRG(配列番号2)またはそのペプチド模倣物を含む、結合体。
- 請求項19に記載の結合体であって、ここで前記ホーミング分子が、アミノ酸配列GNKRTRG(配列番号2)を含む、結合体。
- 請求項18に記載の結合体であって、ここで前記ホーミング分子が、アミノ酸配列CGNKRTRGC(配列番号1)またはその保存的改変体もしくはペプチド模倣物を含む、結合体。
- 請求項21に記載の結合体であって、ここで前記ホーミング分子が、アミノ酸配列CGNKRTRGC(配列番号1)またはそのペプチド模倣物を含む、結合体。
- 請求項22に記載の結合体であって、ここで前記ホーミング分子が、アミノ酸配列CGNKRTRGC(配列番号1)を含む、結合体。
- 前記ホーミング分子が、コンフォメーション的に制約された、請求項18、20、21、または23に記載の結合体。
- 前記ホーミング分子が、環状である、請求項18、20、21、または23に記載の結合体。
- 前記部分が、治療剤である、請求項11、18、または21に記載の結合体。
- 前記部分が、癌化学療法剤である、請求項11、18、または21に記載の結合体。
- 前記部分が、細胞傷害性薬剤である、請求項11、18、または21に記載の結合体。
- 前記部分が、抗リンパ管形成剤である、請求項11、18、または21に記載の結合体。
- 前記部分が、検出可能な標識である、請求項11、18、または21に記載の結合体。
- 前記部分が、ファージである、請求項11、18、または21に記載の結合体。
- 請求項11に記載の結合体であって、該結合体が、少なくとも2個のホーミング分子を含み、該少なくとも2個のホーミング分子が、各々、腫瘍リンパ性脈管構造を選択的に目指す、結合体。
- 請求項32に記載の結合体であって、該結合体が、少なくとも10個のホーミング分子を含み、該少なくとも10個のホーミング分子が、各々、腫瘍リンパ性脈管構造を選択的に目指す、結合体。
- 請求項33に記載の結合体であって、該結合体が、少なくとも100個のホーミング分子を含み、該少なくとも100個のホーミング分子が、各々、腫瘍リンパ性脈管構造を選択的に目指す、結合体。
- 前記部分が、ファージである、請求項34に記載の結合体。
- 請求項11に記載の結合体であって、該結合体が、少なくとも2個のホーミング分子を含み、該少なくとも2個のホーミング分子が、各々、腫瘍リンパ性脈管構造を選択的に目指し、該ホーミング分子が、アミノ酸配列GNKRTRG(配列番号2)またはその保存的改変体もしくはペプチド模倣物を各々独立して含む、結合体。
- 請求項36に記載の結合体であって、該結合体が、少なくとも10個のホーミング分子を含み、該少なくとも10個のホーミング分子が、各々、腫瘍リンパ性脈管構造を選択的に目指し、該ホーミング分子が、アミノ酸配列GNKRTRG(配列番号2)またはその保存的改変体もしくはペプチド模倣物を各々独立して含む、結合体。
- 請求項37に記載の結合体であって、該結合体が、少なくとも100個のホーミング分子を含み、該少なくとも100個のホーミング分子が、各々、腫瘍リンパ性脈管構造を選択的に目指し、該ホーミング分子が、アミノ酸配列GNKRTRG(配列番号2)またはその保存的改変体もしくはペプチド模倣物を各々独立して含む、結合体。
- 前記部分が、ファージである、請求項38に記載の結合体。
- 被験体における腫瘍リンパ性脈管構造に対して、部分を指向させる方法であって、該方法が:
結合体を該被験体に投与する工程であって、該結合体が、腫瘍リンパ性脈管構造を選択的に目指すホーミング分子に連結される部分を含み、それによって
該部分を、腫瘍リンパ性脈管構造に指向させる工程、
を包含する、方法。 - 前記ホーミング分子が、環状である、請求項40に記載の方法。
- 前記ホーミング分子が、ペプチドまたはペプチド模倣物である、請求項40に記載の方法。
- 請求項40に記載の方法であって、ここで前記ホーミング分子が、アミノ酸配列GNKRTRG(配列番号2)またはその保存的改変体もしくはペプチド模倣物を含む、方法。
- 請求項43に記載の方法であって、ここで前記ホーミング分子が、アミノ酸配列GNKRTRG(配列番号2)を含む、方法。
- 請求項43に記載の方法であって、ここで前記ホーミング分子が、アミノ酸配列CGNKRTRGC(配列番号1)またはその保存的改変体もしくはペプチド模倣物を含む、方法。
- 請求項45に記載の方法であって、ここで前記ホーミング分子が、アミノ酸配列CGNKRTRGC(配列番号1)を含む、方法。
- 前記部分が、治療剤である、請求項40に記載の方法。
- 前記部分が、癌化学療法剤である、請求項40に記載の方法。
- 前記部分が、細胞傷害性薬剤である、請求項40に記載の方法。
- 前記部分が、抗リンパ管形成剤である、請求項40に記載の方法。
- 前記部分が、検出可能な標識である、請求項40に記載の方法。
- 前記部分が、ファージである、請求項40に記載の方法。
- 被験体における腫瘍リンパ性脈管構造を画像化する方法であって、該方法が、
(a)結合体を該被験体に投与する工程であって、該結合体が、腫瘍リンパ性脈管構造を選択的に目指すホーミング分子に連結される検出可能な標識を含む、工程;および
(b)該結合体を検出し、それによって、該腫瘍リンパ性脈管構造を画像化する工程
を包含する、方法。 - 前記ホーミング分子が、環状である、請求項53に記載の方法。
- 前記ホーミング分子が、ペプチドまたはペプチド模倣物である、請求項53に記載の方法。
- 請求項53に記載の方法であって、ここで前記ホーミング分子が、アミノ酸配列GNKRTRG(配列番号2)またはその保存的改変体もしくはペプチド模倣物を含む、方法。
- 請求項56に記載の方法であって、ここで前記ホーミング分子が、アミノ酸配列GNKRTRG(配列番号2)を含む、方法。
- 請求項56に記載の方法であって、ここで前記ホーミング分子が、アミノ酸配列CGNKRTRGC(配列番号1)またはその保存的改変体もしくはペプチド模倣物を含む、方法。
- 請求項58に記載の方法であって、ここで前記ホーミング分子が、アミノ酸配列CGNKRTRGC(配列番号1)を含む、方法。
- 前記検出可能な標識が、放射性核種である、請求項53に記載の方法。
- 前記放射性核種が、インジウム−111、テクネチウム−99、炭素−11、および炭素−13からなる群より選択される、請求項60に記載の方法。
- 被験体における腫瘍転移を低減または予防する方法であって、該方法が、
結合体を該被験体に投与する工程であって、該結合体が、腫瘍リンパ性脈管構造を選択的に目指すホーミング分子に連結される部分を含み、それによって
該被験体における腫瘍転移を低減または予防する、工程、
を包含する、方法。 - 前記ホーミング分子が、環状である、請求項62に記載の方法。
- 前記ホーミング分子が、ペプチドまたはペプチド模倣物である、請求項62に記載の方法。
- 請求項62に記載の方法であって、ここで前記ホーミング分子が、アミノ酸配列GNKRTRG(配列番号2)またはその保存的改変体もしくはペプチド模倣物を含む、方法。
- 請求項65に記載の方法であって、ここで前記ホーミング分子が、アミノ酸配列GNKRTRG(配列番号2)を含む、方法。
- 請求項65に記載の方法であって、ここで前記ホーミング分子が、アミノ酸配列CGNKRTRGC(配列番号1)またはその保存的改変体もしくはペプチド模倣物を含む、方法。
- 請求項67に記載の方法であって、ここで前記ホーミング分子が、アミノ酸配列CGNKRTRGC(配列番号1)を含む、方法。
- 前記部分が、癌化学療法剤である、請求項62に記載の方法。
- 前記部分が、細胞傷害性薬剤である、請求項62に記載の方法。
- 前記部分が、抗リンパ管形成剤である、請求項62に記載の方法。
- 被験体における腫瘍リンパ管の数を減少する方法であって、該方法が、
結合体を該被験体に投与する工程であって、該結合体が、腫瘍リンパ性脈管構造を選択的に目指すホーミング分子に連結される部分を含み、それによって
該被験体における腫瘍リンパ管の数を減少する、工程、
を包含する、方法。 - 前記ホーミング分子が、環状である、請求項72に記載の方法。
- 前記ホーミング分子が、ペプチドまたはペプチド模倣物である、請求項72に記載の方法。
- 請求項72に記載の方法であって、ここで前記ホーミング分子が、アミノ酸配列GNKRTRG(配列番号2)またはその保存的改変体もしくはペプチド模倣物を含む、方法。
- 請求項75に記載の方法であって、ここで前記ホーミング分子が、アミノ酸配列GNKRTRG(配列番号2)を含む、方法。
- 請求項75に記載の方法であって、ここで前記ホーミング分子が、アミノ酸配列CGNKRTRGC(配列番号1)またはその保存的改変体もしくはペプチド模倣物を含む、方法。
- 請求項77に記載の方法であって、ここで前記ホーミング分子が、アミノ酸配列CGNKRTRGC(配列番号1)を含む、方法。
- 前記部分が、癌化学療法剤である、請求項72に記載の方法。
- 前記部分が、細胞傷害性薬剤である、請求項72に記載の方法。
- 前記部分が、抗リンパ管形成剤である、請求項72に記載の方法。
- 被験体における癌を処置する方法であって、該方法が、
結合体を該被験体に投与する工程であって、該結合体が、腫瘍リンパ性脈管構造を選択的に目指すホーミング分子に連結される部分を含む、工程、
を包含する、方法。 - 前記ホーミング分子が、環状である、請求項82に記載の方法。
- 前記ホーミング分子が、ペプチドまたはペプチド模倣物である、請求項82に記載の方法。
- 請求項82に記載の方法であって、ここで前記ホーミング分子が、アミノ酸配列GNKRTRG(配列番号2)またはその保存的改変体もしくはペプチド模倣物を含む、方法。
- 請求項85に記載の方法であって、ここで前記ホーミング分子が、アミノ酸配列GNKRTRG(配列番号2)を含む、方法。
- 請求項85に記載の方法であって、ここで前記ホーミング分子が、アミノ酸配列CGNKRTRGC(配列番号1)またはその保存的改変体もしくはペプチド模倣物を含む、方法。
- 請求項87に記載の方法であって、ここで前記ホーミング分子が、アミノ酸配列CGNKRTRGC(配列番号1)を含む、方法。
- 前記部分が、癌化学療法剤である、請求項82に記載の方法。
- 前記部分が、細胞傷害性薬剤である、請求項82に記載の方法。
- 前記部分が、抗リンパ管形成剤である、請求項82に記載の方法。
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