JP2005511481A - ロピナビルを含有する組成物及び薬剤のバイオアベイラビリティーを高めるための方法 - Google Patents
ロピナビルを含有する組成物及び薬剤のバイオアベイラビリティーを高めるための方法 Download PDFInfo
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Abstract
本発明は、医薬活性物質のバイオアベイラビリティーを高めることに関する。特に、本発明は、P−糖タンパク質阻害因子としてのロピナビル、医薬適合性のその等価物、及びそれらの誘導体の使用に関する。
Description
本出願は、2001年5月1日に提出された仮出願通し番号第60/367,353号の優先権を主張する。
本発明は、医薬活性物質のバイオアベイラビリティー(bioavailability)を高めることに関する。特に、本発明は、P−糖タンパク質阻害因子としてのロピナビルの使用に関する。
本発明は、医薬活性物質のバイオアベイラビリティー(bioavailability)を高めることに関する。特に、本発明は、P−糖タンパク質阻害因子としてのロピナビルの使用に関する。
医薬活性物質のバイオアベイラビリティーを高めることは、所与の用量について、該医薬活性物質のより多くが標的組織部位において利用可能になることから、患者にとってより効率的で有効な治療を提供することができる。バイオアベイラビリティーとは、医薬活性物質の体内への導入後に標的組織にとって利用可能になる度合である。いくつかの場合には、医薬活性物質の低いバイオアベイラビリティーは、膜結合P−糖タンパク質のような多剤輸送体の作用が原因である。P−糖タンパク質は、いくつかの医薬活性物質の細胞内蓄積を低下させる、エネルギー依存性流出ポンプとして機能する。P−糖タンパク質は、ある種の医薬活性物質が細胞を横切って身体の全身循環へと吸収される能力を制限すると考えられる。この吸収の欠損は活性物質の全体的バイオアベイラビリティーを低下させうる。
より特定して言うと、P−糖タンパク質は、細胞内へと拡散した又は細胞内に輸送された物質を、細胞内から外へと逆輸送することを促進すると考えられる。例えば、腸上皮細胞におけるP−糖タンパク質は、摂取され、細胞内へと拡散された又は輸送された毒性物質が循環系へと吸収されて生体内で利用可能になることを制限する、保護的流出ポンプとして機能しうると考えられる。P−糖タンパク質のこの機能の1つの潜在的な負の局面は、ある種の医薬活性物質のような有益な物質が細胞内及び血流中へと拡散する又は輸送されるのを妨げ得るということである。
P−糖タンパク質は、副腎皮質、腸、近位尿細管上皮の刷子縁、分泌性内皮(胆管の内層など)、膵管、及び脳、胎盤及び精巣を裏打ちする血管内皮細胞におけるような組織を含む、様々な種類の上皮及び内皮細胞において発現される。
P−糖タンパク質はまた、癌性腫瘍細胞の膜においても認められる。多くの抗癌性医薬活性物質は、腫瘍細胞によるP−糖タンパク質の発現のゆえに低いバイオアベイラビリティーを有する。化学療法を受けている患者からの腫瘍細胞はしばしば、多剤耐性を増強する、高いレベルのP−糖タンパク質を示す。癌における多剤耐性は、アドリアマイシン、ダウノマイシン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、パクリタキセル、アクチノマイシンD、及びエトポシドのような様々な非関連抗癌剤に関して、細胞が、これらのタイプの医薬活性物質の1つだけに接触した後、それらの様々な非関連抗癌剤に対して耐性となる腫瘍細胞の状態と定義される。製薬活性抗癌剤のような細胞傷害性物質への腫瘍細胞の接触はP−糖タンパク質の高い発現を引き起こすと思われる。P−糖タンパク質は、他の広汎なクラスの細胞傷害性物質と共に、多くの抗癌剤を腫瘍細胞から外へと送り出す、腫瘍細胞膜内の逆輸送系を仲介し、細胞に多剤耐性を生じさせる。
P−糖タンパク質阻害因子と共に有効量の医薬活性物質を投与することは様々な医薬活性物質のバイオアベイラビリティーを高めると考えられる。P−糖タンパク質輸送系の活性の低下は、細胞から外へと輸送される医薬活性物質の分子数を減少させる傾向があり、血流内への医薬活性物質の正味輸送を上昇させることができ、従って、最終的に標的組織において所望変化を生じさせるために利用可能な分子数を増加させることができる。
ロピナビルは、P−糖タンパク質阻害因子であることが発見された。それ故、1又はそれ以上の医薬活性物質と共にロピナビルを投与することにより、その医薬活性物質のバイオアベイラビリティーを高めることができる。
本発明は、そのような治療を必要とする哺乳類(例えばヒト)にロピナビルを投与することを含む、P−糖タンパク質を阻害するための方法を対象とする。典型的には、ロピナビルを医薬組成物の一部として投与する。その医薬組成物はまた、1又はそれ以上の医薬活性物質及び/又はリトナビル又は治療上許容されるその塩のような、他のP−糖タンパク質阻害剤も含有しうる。
医薬活性物質のバイオアベイラビリティーを高めるための方法も説明する。これらの方法は、そのような治療を必要とする哺乳類、好ましくはヒトに、該医薬活性物質とロピナビルを同時投与することを含む。ロピナビル及び/又は該医薬活性物質は、1又はそれ以上の医薬組成物の一部として投与しうる。そのような医薬組成物はまた、リトナビル又は治療上許容されるその塩も含有しうる。リトナビルはまた、他の方法でロピナビル及び前記医薬活性物質と同時投与してもよい。
医薬活性物質の中枢神経系浸透を高めるための方法もここで説明する。これらの方法は、そのような治療を必要とする哺乳類、好ましくはヒトに、該医薬活性物質とロピナビルを同時投与することを含む。該医薬活性物質及び/又はロピナビルは、1又はそれ以上の医薬組成物の一部として投与することができる。そのような医薬組成物は、リトナビル又は治療上許容されるその塩を含有しうる。リトナビルはまた、他の方法でロピナビル及び前記医薬活性物質と同時投与してもよい。
胃腸管からの医薬活性物質の吸収を高めるための方法も記述する。これらの方法は、そのような治療を必要とする哺乳類、好ましくはヒトに、該医薬活性物質とロピナビルを同時投与することを含む。該医薬活性物質とロピナビルの一方又は両方を、1又はそれ以上の医薬組成物の一部として投与しうる。任意に、リトナビル又は治療上許容されるその塩をそのような医薬組成物中に含めることができる。リトナビルはまた、他の方法でロピナビル及び前記医薬活性物質と同時投与してもよい。
多剤耐性を治療するための方法も開示する。これらの方法は、そのような治療を必要とする哺乳類、例えばヒトに、多剤耐性を治療するための医薬活性物質とロピナビルを同時投与することを含む。該医薬活性物質及び/又はロピナビルは、1又はそれ以上の医薬組成物の一部として投与しうる。そのような医薬組成物はまた、リトナビル又は治療上許容されるその塩も含有しうる。リトナビルはまた、他の方法でロピナビル及び前記医薬活性物質と同時投与してもよい。
本発明はまた、癌を治療する方法を対象とする。特に、そのような方法は、そのような治療を必要とする哺乳類、好ましくはヒトに、抗癌剤とロピナビルを同時投与することを含む。該医薬活性物質とロピナビルの一方又は両方を、1又はそれ以上の医薬組成物の一部として投与しうる。そのような医薬組成物はさらに、リトナビル又は治療上許容されるその塩を含有しうる。リトナビルはまた、他の方法でロピナビル及び前記医薬活性物質と同時投与してもよい。
癌に加えて、本発明はまた、哺乳類(例えばヒト)におけるウイルス感染、特にHIVを治療することを対象とする。特に、その方法は、そのような治療を必要とする哺乳類に、抗ウイルス薬とロピナビルを投与することを含む。抗ウイルス薬とロピナビルの一方又は両方を、1又はそれ以上の医薬組成物の一部として投与しうる。そのような組成物はまた、リトナビル又は治療上許容されるその塩も含有しうる。リトナビルはまた、他の方法でロピナビル及び該医薬活性物質と同時投与してもよい。
本発明はまた、癌を治療するために有用な医薬組成物を記述する。特に、本発明は、ロピナビルと医薬活性抗癌剤を含有する医薬組成物を対象とする。好ましくは、該抗癌剤は、タキサン、紡錘体毒、エピドフィロトキシン、又は抗生物質である。より好ましくは、該抗癌剤はパクリタキセルである。該組成物はまた、リトナビル又は治療上許容されるその塩も含有しうる。リトナビルはまた、他の方法でロピナビル及び前記医薬活性物質と同時投与してもよい。
本明細書において、単数形態である「a」、「an」及び「the」は、文脈から明らかに異なって指示されない限り、複数への言及を包含する。「医薬活性物質(単数及び複数)」及び「薬剤(単数及び複数)」の語は、ここでは交換可能に使用される。ここで使用するとき、次の各語は下記で特定する意味を有する。
「抗ウイルス薬」の語は、ウイルス感染(例えばヒト免疫不全ウイルス又はHIV)の治療において有用な薬剤を表わす。抗ウイルス薬の例は、非環式ヌクレオシド(例えばアシクロビル、バラシクロビル、ファンシクロビル、ガンシクロビル及びペンシクロビル)、プロテアーゼ阻害因子(例えばリトナビル、インジナビル、ネルフィナビル、サキナビル及びアンプレナビル)、逆転写酵素阻害因子(例えばジデオキシシチジン(ddC;ザルシタビン)、ジデオキシイノシン(ddI;ジダノシン)、BCH−189、ddA、d4C、d4T(スタブジン)、3TC(ラミブジン)、3’−アジド−3’−デオキシチミジン(AZT)、(2R,5S)−5−フルオロ−1−[2−(ヒドロキシメチル)−1,3−オキサチオラン−5−イル]シトシン(FTC)及びアバカビル)、α−インターフェロンのようなインターフェロン、及び非ヌクレオシド逆転写酵素阻害因子(例えばネビラピン、エファビレンズ及びデラビルジン)を含むが、これらに限定されない。
「バイオアベイラビリティー」の語は、医薬活性物質又は他の物質が哺乳類の体内の標的組織に利用可能となる度合及び速度を表わす。
「化学療法剤」及び「抗癌剤」の語は、癌の治療において有用な療法を表わす。化学療法剤の例は、パクリタキセル又はドセタキセルのようなタキサン;シクロホスファミド、イソスファミド、メルファラン、ヘキサメチルメラミン、チオテパ又はダカルバジンのようなアルキル化剤;ピリミジン類似体、例えば5−フルオロウラシル及びシタラビン又は2−フルオロデオキシシチジンのようなその類似体又はメトトレキサート、イダトレキサート又はトリメトレキサートのような葉酸類似体などの代謝拮抗物質;ビンブラスチン又はビンクリスチンのようなビンカアルカロイド類又はナベルビンのようなそれらの合成類似体、又はエストラムスチン又はタキソイドを含む紡錘体毒;エトポシド又はテニポシドのようなエピドフィロトキシン;ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン又はミトマイシンのような抗生物質;L−アスパラギナーゼのような酵素;カンプトテシン誘導体(すなわちルビテカン、CPT−11及びトポテカン)又はピリドベンゾインドール誘導体のようなトポイソメラーゼ阻害因子;ファルネシルトランスフェラーゼ阻害因子;マトリックス金属プロテイナーゼ阻害因子;TSP類似体;及びプロカルバジン、ミトキサントロン、E−7010、ロイプロリド、シスプラチン又はカルボプラチンのような白金配位錯体などの様々な薬剤;及びインターフェロン又はインターロイキンのような生物学的応答変更因子又は成長因子阻害剤を含むが、これらに限定されない。癌の例示的な例は、悪性黒色腫及び菌状息肉腫のような皮膚腫瘍;白血病、例えば急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病又は慢性骨髄性白血病のような血液学的腫瘍;ホジキン病又は悪性リンパ腫のようなリンパ腫;卵巣腫瘍及び子宮腫瘍のような婦人科学的腫瘍;前立腺、膀胱又は精巣のような泌尿器科学的腫瘍;軟組織肉腫、骨性又は非骨性肉腫、乳癌;下垂体、甲状腺及び副腎皮質の腫瘍;食道、胃、腸及び結腸のような胃腸腫瘍;膵及び肝腫瘍;喉頭乳頭腫及び肺腫瘍を包含する。
「同時投与する」、「同時投与すること」及び「同時投与」の語はすべて、化合物又は組成物に関して、1又はそれ以上の化合物又は組成物を実質的に同時に投与すること、例えば、抗ウイルス療法又は抗癌療法に含まれる物質のような、但しそれらに限定されない、1又はそれ以上の医薬活性物質と共に1又はそれ以上のP−糖タンパク質阻害性化合物を投与することを表わす。「実質的に同時に」とは、化合物(例えばロピナビル)が、典型的には対象疾患を治療する医薬活性物質のような他の化合物の投与の間に若しくは投与の前又は後の妥当に短い期間内に投与されることを意味する。さらに、「同時投与」、「同時投与する」及び「同時投与すること」とは、P−糖タンパク質阻害因子の1回投与後24時間以内に該医薬活性物質を2回以上投与することをも包含する。言い換えると、P−糖タンパク質阻害因子は、医薬活性物質の各投与の前に又は各投与の時に毎回投与される必要はなく、治療期間に亙って、間欠的に投与されうる。「同時投与」、「同時投与する」及び「同時投与すること」はまた、医薬活性物質とP−糖タンパク質阻害因子(例えばロピナビル)を1又はそれ以上の医薬組成物の一部として投与することを包含し、そのような1又はそれ以上の医薬組成物は、P−糖タンパク質阻害因子と医薬活性物質の配合製剤(co−formulation)又は医薬活性物質とP−糖タンパク質阻害因子との個々の製剤を含有しうる。
「P−糖タンパク質阻害因子」の語は、P−糖タンパク質が仲介する輸送系の活性を阻害する又は低下させる有機化合物を表わす。様々なP−糖タンパク質阻害因子が周知であり、当技術分野において認識されている。これらは、水溶性ビタミンE;ポリエチレングリコール:Pluronic F−68を含むポロキサマー;ポリエチレンオキシド;ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、シクロスポリンA(シクロスポリンとしても知られる)、ベラパミル、タモキシフェン、キニジン、リトナビル、インジナビル、ネルフィナビル、サキナビル、アンプレナビル及びフェノチアジンを含む。
1又はそれ以上の作用物質に言及するとき「医薬活性」の語は、ロピナビルを除く1又はそれ以上の何らかの薬剤を意味する。
「ロピナビル」の語は、下記に構造を示す、化学名[1S−[1R*,(R*),3R*,4R*]]−N−[4−[[(2,6−ジメチルフェノキシ)アセチル]アミノ]−3−ヒドロキシ−5−フェニル−1−(フェニルメチル)ペンチル]テトラヒドロ−α−(1−メチルエチル)−2−オキソ−(2H)−ピリミジンアセトアミドによって表わされる医薬活性物質、その医薬適合性の等価物、医薬誘導体、及び参照してここに組み込まれる、1999年6月22日発行の米国特許第5,914,332号に述べられているような医薬類似体を表わす。
「多剤耐性」の語は、2以上の機能的及び/又は構造的に非関連性の薬剤に対する交差耐性によって特徴付けられる特定の種類の薬剤耐性を表わす。多剤耐性は、内因性又は後天性でありうる。
「リトナビル」の語は、下記に示す、化学名[5S−(5R*,8R*,10R*,11R*)]−10−ヒドロキシ−2−メチル−5−(1−メチルエチル)−1−[2−(1−メチルエチル)−4−チアゾリル]−3,6−ジオキソ−8,11−ビス(フェニルメチル)−2,4,7,12−テトラアザトリデカン−13−オイン酸、5−チアゾリルメチルエステルによって表わされる医薬活性物質、その医薬適合性の等価物、治療上許容される塩、医薬誘導体、及び参照してここに組み込まれる、1996年7月30日発行の米国特許第5,541,206号に述べられているような医薬類似体を表わす。
「基質」の語は、P−糖タンパク質に結合し、その後細胞から流出される化合物を表わす。ある化合物が基質として働くかどうかを判定する場合、既知のP−糖タンパク質基質であるパクリタキセルを比較として使用する。1つの判定基準において、細胞から流出される化合物の量が同種の条件で細胞から流出されるパクリタキセルの量と同等であるか又はより高い場合、その化合物はここでは基質とみなされる。
「治療上有効な量」又は「治療有効用量」の語は、妥当な利点/危険度比で疾患を治療するために十分な化合物又は組成物の量を表わす。本発明の化合物及び組成物の総一日使用量は、健全な医学的判断の範囲内で主治医によって決定されるものであると理解されるべきである。特定の患者についての特定の治療有効用量は、次のものを含むがそれらに限定されない、様々な因子に依存する傾向がある:治療する疾患の種類と重症度;使用する特定化合物の活性のレベルと種類;使用する特定組成物;患者の年齢、体重、全般的健康状態、性別及び食事;投与の時間、投与経路、及び使用する特定化合物の排泄速度;治療期間;使用する特定化合物と組み合わせて又は同時的に使用する薬剤;及び医学分野において周知の同様の因子。化合物の用量を、所望治療効果を達成するために必要なレベルよりも低いレベルから出発して、所望効果が達成されるまで徐々に用量を増加してもよいことは、当業者には理解される。
「治療上許容される塩」の語は、水溶性又は油溶性又は分散性であり、過度の毒性、刺激及びアレルギー反応を伴うことなく疾患の治療に適し、妥当な利点/危険度比に相応し、及びそれらの意図されている用途のために有効な、本発明の化合物の塩又は両性イオン性形態を表わす。該塩は、化合物の最終的な単離と精製の際に又は別途に、例えばアミノ基を適切な酸と反応させることによって、調製することができる。代表的な酸付加塩は、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、クエン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、ジグルコン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩(イソチオネート)、乳酸塩、マレイン酸塩、メシチレンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフチレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、トリクロロ酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、リン酸塩、グルタミン酸塩、重炭酸塩、パラ−トルエンスルホン酸塩及びウンデカン酸塩を含むが、これらに限定されない。また、本発明の化合物内のアミノ基を、(1)塩化、臭化及びヨウ化メチル、エチル、プロピル及びブチル;(2)硫酸ジメチル、ジエチル、ジブチル及びジアミル;(3)塩化、臭化及びヨウ化デシル、ラウリル、ミリスチル及びステリル;及び(4)臭化ベンジル及びフェネチルで第四級化してもよい。治療上許容される酸付加塩を生成するために使用できる酸の例は、塩酸、臭化水素酸、硫酸及びリン酸のような無機酸、及びシュウ酸、マレイン酸、コハク酸及びクエン酸のような有機酸を含む。
本発明は、P−糖タンパク質を阻害することによる医薬活性物質のバイオアベイラビリティーの増強を対象とする。特に、本発明は、P−糖タンパク質を阻害するために有効な量でのロピナビルの使用を記述する。本発明はまた、P−糖タンパク質を阻害し、様々な医薬活性物質のバイオアベイラビリティーを高める方法を対象とする。
(ロピナビル)
ロピナビルは既知のHIVプロテアーゼ阻害因子である。出願人は、ロピナビルが同時にP−糖タンパク質の阻害因子でもあることを発見した。P−糖タンパク質の阻害因子はP−糖タンパク質の基質である場合とそうでない場合があると考えられるが、ロピナビルはP−糖タンパク質の基質ではないと思われる。言い換えると、ロピナビルは、P−糖タンパク質輸送機構によって細胞から外へと容易に輸送されるような態様でP−糖タンパク質に容易に結合することはないと考えられる。他方で、やはりP−糖タンパク質阻害因子であると考えられるリトナビルは、P−糖タンパク質輸送機構によって細胞から外へと容易に輸送されるので、該タンパク質の基質であると考えられる。P−糖タンパク質基質についてのより詳細な情報に関しては、例えば、Drewe,J.ら、Biochemical Pharmacology 1999,57,1147−1152;及びLee,C.G.L.ら、Biochemistry 1998,37,3594−3601参照。両方のタイプの化合物(すなわちP−糖タンパク質基質であるものとそうでないもの)がP−糖タンパク質の阻害因子でありうるが、阻害の機序はこれら2種類の化合物の間で異なると考えられる。
ロピナビルは既知のHIVプロテアーゼ阻害因子である。出願人は、ロピナビルが同時にP−糖タンパク質の阻害因子でもあることを発見した。P−糖タンパク質の阻害因子はP−糖タンパク質の基質である場合とそうでない場合があると考えられるが、ロピナビルはP−糖タンパク質の基質ではないと思われる。言い換えると、ロピナビルは、P−糖タンパク質輸送機構によって細胞から外へと容易に輸送されるような態様でP−糖タンパク質に容易に結合することはないと考えられる。他方で、やはりP−糖タンパク質阻害因子であると考えられるリトナビルは、P−糖タンパク質輸送機構によって細胞から外へと容易に輸送されるので、該タンパク質の基質であると考えられる。P−糖タンパク質基質についてのより詳細な情報に関しては、例えば、Drewe,J.ら、Biochemical Pharmacology 1999,57,1147−1152;及びLee,C.G.L.ら、Biochemistry 1998,37,3594−3601参照。両方のタイプの化合物(すなわちP−糖タンパク質基質であるものとそうでないもの)がP−糖タンパク質の阻害因子でありうるが、阻害の機序はこれら2種類の化合物の間で異なると考えられる。
P−糖タンパク質の阻害因子は、インジナビル、サキナビル、ネルフィナビル、リトナビル及びアンプレナビルのようなHIVプロテアーゼ阻害因子の中枢神経系への浸透を高めることが示されている。P−糖タンパク質の阻害因子はまた、胃腸管からのHIVプロテアーゼ阻害因子の吸収を高め、リンパ球、精巣、腎、肝及び胎盤のような他のP−糖タンパク質発現組織への浸透を高めるためにも使用しうる。胃腸管からのHIVプロテアーゼ阻害因子の吸収の上昇は、例えば、そのような治療を必要とする患者に関して経口用量、毒性及び副作用の低下をもたらしうる。
P−糖タンパク質阻害因子を抗癌剤と共に投与することは抗癌剤のバイオアベイラビリティーを改善することが知られている。例えば、公開PCT特許願第WO97/15269号(1997年5月1日公開)は、既知のP−糖タンパク質阻害因子であるシクロスポリンAとパクリタキセルの組合せは、経口投与したとき、パクリタキセル単独を静脈内投与したときに得られるのと同等の局所組織濃度を達成することを教示している。従って、P−糖タンパク質阻害因子であるロピナビルはまた、パクリタキセルのような既知の抗癌剤と同時投与することにより、癌の治療においても使用することができる。
患者に対して医薬活性物質と同時投与すべきロピナビルの量は、患者、治療する疾患の状態、疾病の重症度、投与の方式とスケジュール、及びロピナビルと同時投与する医薬活性物質に依存する傾向がある。ロピナビルは、医薬活性物質の有効性を低下させる量で投与すべきではない。さらに、ロピナビルは、P−糖タンパク質を阻害するのに十分な量で患者に投与すべきである。ロピナビルを医薬活性物質と同時投与するときは、医薬活性物質に先立ってロピナビルを投与する投与プログラムと比較して、有用なロピナビルの量を低減しうる。単回用量又は分割用量として哺乳類宿主、好ましくはヒトに投与する総一日用量は、例えば、0.001mg/kg体重/日から300mg/kg体重/日の量でありうる。好ましい範囲内では、0.1mg/日から1600mg/日の量でロピナビルを投与する。投与単位組成物は、前記一日用量を達成するのに十分なその小分割量を含有しうる。一般に、意図する投与方式に依存して、医薬組成物は約0.005重量%から約95重量%、好ましくは約0.5重量%から約50重量%のロピナビルを含有しうる;及び該組成物の残分は、1又はそれ以上の適切な製薬賦形剤、担体、希釈剤及び/又は医薬活性物質を含みうる。
リトナビルは、肝においてロピナビル及び/又は医薬活性物質を代謝しうる酵素である、シトクロムP450モノオキシゲナーゼを阻害すると考えられているため、ロピナビルのバイオアベイラビリティーを高めることが知られている。ロピナビルの最も好ましい同時投与はリトナビルとの同時投与である(参照してここに組み込まれる、2000年3月14日発行の米国特許第6,037,157号参照)。ロピナビルとリトナビルの好ましい配合製剤が、参照してここに組み込まれる、1998年5月28日公開の公開PCT特許願第WO98/22106号及び2000年5月22日出願の米国特許願第09/576,097号に開示されている。
(医薬活性物質)
本発明によれば、医薬活性物質はロピナビルと同時投与される。その有効性又はバイオアベイラビリティーがP−糖タンパク質輸送機構によって低下するいかなる種類の医薬活性物質も、本発明の医薬活性物質として有用である。典型的な医薬活性物質は、化学療法剤及び抗ウイルス薬を包含する。
本発明によれば、医薬活性物質はロピナビルと同時投与される。その有効性又はバイオアベイラビリティーがP−糖タンパク質輸送機構によって低下するいかなる種類の医薬活性物質も、本発明の医薬活性物質として有用である。典型的な医薬活性物質は、化学療法剤及び抗ウイルス薬を包含する。
本発明において有用と考えられる化学療法剤の例は、パクリタキセル又はドセタキセルのようなタキサン;シクロホスファミド、イソスファミド、メルファラン、ヘキサメチルメラミン、チオテパ又はダカルバジンのようなアルキル化剤;ピリミジン類似体、例えば5−フルオロウラシル及びシタラビン又は2−フルオロデオキシシチジンのようなその類似体又はメトトレキサート、イダトレキサート又はトリメトレキサートのような葉酸類似体などの代謝拮抗物質;ビンブラスチン又はビンクリスチンのようなビンカアルカロイド類又はナベルビンのようなそれらの合成類似体、又はエストラムスチン又はタキソイドを含む紡錘体毒;エトポシド又はテニポシドのようなエピドフィロトキシン;ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン又はミトマイシンのような抗生物質;L−アスパラギナーゼのような酵素;カンプトテシン誘導体(すなわちルビテカン、CPT−11及びトポテカン)又はピリドベンゾインドール誘導体のようなトポイソメラーゼ阻害因子;ファルネシルトランスフェラーゼ阻害因子;マトリックス金属プロテイナーゼ阻害因子;TSP類似体;及びプロカルバジン、ミトキサントロン、E−7010、ロイプロリド、シスプラチン又はカルボプラチンのような白金配位錯体などの様々な薬剤;及びインターフェロン又はインターロイキンのような生物学的応答変更因子又は成長因子阻害剤を含むが、これらに限定されない。
本発明において有用と考えられる抗ウイルス薬の例は、非環式ヌクレオシド(例えばアシクロビル、バラシクロビル、ファンシクロビル、ガンシクロビル及びペンシクロビル)、プロテアーゼ阻害因子(例えばリトナビル、インジナビル、ネルフィナビル、サキナビル及びアンプレナビル)、逆転写酵素阻害因子(例えばジデオキシシチジン(ddC;ザルシタビン)、ジデオキシイノシン(ddI;ジダノシン)、BCH−189、ddA、d4C、d4T(スタブジン)、3TC(ラミブジン)、3’−アジド−3’−デオキシチミジン(AZT)、(2R,5S)−5−フルオロ−1−[2−(ヒドロキシメチル)−1,3−オキサチオラン−5−イル]シトシン(FTC)及びアバカビル)、α−インターフェロンのようなインターフェロン、及び非ヌクレオシド逆転写酵素阻害因子(例えばネビラピン、エファビレンズ及びデラビルジン)を含むが、これらに限定されない。
そのような治療を必要とする患者に投与すべき医薬活性物質の量は、投与するP−糖タンパク質阻害因子の量、治療する疾患、及び患者の全体的健康状態によって異なる。医薬活性物質をP−糖タンパク質阻害因子と同時投与するときは、医薬活性物質のバイオアベイラビリティーがP−糖タンパク質阻害因子によってどの程度増強されるかに依存して、該医薬活性物質の用量を低減しうる。哺乳類宿主、好ましくはヒトに投与する医薬活性物質の総一日用量は、単回用量又は分割用量でありうる。投与単位組成物は、総一日用量を達成するようなその小分割量を含有しうる。投与すべき医薬活性物質の量を決定するための過程は当技術分野において周知であり、投与すべき医薬活性物質の量は医師によって決定されるべきである。
ロピナビルとの組合せとして有用な好ましい医薬活性物質はパクリタキセルである。出願人は、ロピナビル(5又は10μM濃度)をパクリタキセルに加えると、HCT15細胞(P−糖タンパク質を発現する)においてパクリタキセルのIC50のそれぞれ9倍及び>37倍の低下を導くことを発見した。既知のP−糖タンパク質阻害因子であるシクロスポリンAとパクリタキセルの同時投与は、パクリタキセルのIC50の>37倍の低下を生じさせた。
さらに、パクリタキセル耐性のH460/T800細胞(P−糖タンパク質を過剰発現する)をロピナビル(5又は10μM)とパクリタキセルの組合せで処理すると、パクリタキセルのIC50のそれぞれ11倍及び21倍の低下を生じさせた。これらの結果は、P−糖タンパク質阻害因子として作用するロピナビルが、癌のような疾患における多剤耐性の治療において有用であることを示唆している。
上記のデータは、ロピナビルが、パクリタキセルを流出させるP−糖タンパク質の能力を阻害し、それによって、パクリタキセル単独での治療に耐性を示す細胞(すなわちH460/T800細胞)においても、パクリタキセルの効力を上昇させることを示唆する。それ故、ロピナビルと抗癌剤、好ましくはパクリタキセルの同時投与は、黒色腫、リンパ腫、白血病及び肉腫を含む、良性及び悪性腫瘍又は新生物に罹患した患者を治療することができる。典型的に多剤耐性である又は多剤耐性となる腫瘍は、本発明の化合物及び方法で治療することができる。そのような腫瘍は、結腸腫瘍、肺腫瘍、胃腫瘍及び肝腫瘍を含むが、これらに限定されない。
本発明によりロピナビル及び/又は医薬活性物質を投与するとき、医薬適合性のいかなる投与方式も使用できる。ロピナビル及び/又は医薬活性物質は、単独で又は他の医薬適合性の賦形剤と組み合わせて投与することができる。これらの医薬適合性の賦形剤は、例えば錠剤、カプセル、粉末、液体、懸濁液、坐薬等のような固体、半固体及び液体投与形態を含むが、これらに限定されない。本発明によるロピナビル及び/又は医薬活性物質はまた、好ましくは正確な用量の単回投与に適した単位投与形態で、あらかじめ定められた速度での化合物の持続投与のための、デポー注射剤、浸透圧ポンプ、丸剤、経皮(電気輸送を含む)パッチ等を含む、持続放出又は制御放出投与形態としても投与することができる。配合製剤組成物は、典型的には医薬活性物質、従来の製薬担体、希釈剤又は賦形剤、及びP−糖タンパク質阻害因子又は治療上許容されるその等価物を含有しうる。前記賦形剤は、該組成物の他の成分と適合性であり、その受容者に有害でないという意味で「許容され」ねばならない。さらに、これらの組成物は、上記に列挙した抗癌剤及び抗ウイルス治療薬のような他の医薬品、薬剤、担体、アジュバント等を含有しうる。
経口投与については、疾病の程度に応じて調整できる従来の一日用量プログラムが使用できる。そのような経口投与のために、医薬適合性の非毒性組成物は、その組成物にロピナビル及び/又は医薬活性物質及び、例えばマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、滑石、セルロース、クロスカルメロース(crosscarmellose)ナトリウム、グルコース、ゼラチン、スクロース、炭酸マグネシウム等のような通常使用される賦形剤のいずれかを組み込むことによって生成される。ここで使用するとき「組成物」の語は、溶液、懸濁液、錠剤、分散性錠剤、丸剤、カプセル、粉末、持続放出製剤等を含むが、これらに限定されない。
好ましくは、経口組成物は液体又は固体丸剤、錠剤又はカプセルの形態をとる。それ故、本発明による医薬組成物は、有効成分と共に、ラクトース、スクロース、リン酸二カルシウム等のような希釈剤;ステアリン酸マグネシウム等のような潤滑剤;及びデンプン、アカシアゴム、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、セルロース及びその誘導体のような結合剤等を含有しうる。
液体の医薬活性組成物は、例えば、医薬活性物質、ロピナビル及び任意の製薬佐剤を、例えば水、食塩水、マンニトール、水性デキストロース、グリセロール、グリコール、エタノール等のような担体に溶解する、分散する等により、溶液又は懸濁液を生成することによって製造できる。所望する場合には、前記医薬組成物はまた、湿潤剤、乳化剤、溶解補助剤、pH緩衝剤等のような少量の非毒性補助物質を含有しうる。これらの種類の物質の一部の例は、酢酸塩、クエン酸ナトリウム、シクロデキストリン誘導体、モノラウリン酸ソルビタン、酢酸トリエタノールアミンナトリウム、オレイン酸トリエタノールアミン等を含むが、これらに限定されない。そのような投与形態を製造する実際の方法は、当業者に既知であるか又は明白である。
非経口投与は、一般に中心ラインを通しての注射(例えば皮下、筋肉内、静脈内)又は注入によって特徴付けられる。P−糖タンパク質阻害因子(例えばロピナビル)及び医薬活性物質は、注射用製剤として非経口的に投与することができ、液体溶液又は懸濁液、注射に先立って溶液又は液体中の懸濁液にするのに適した固体形態、又は乳剤として、従来の形態で製造することができる。そのような注射用形態のための適切な賦形剤は、例えば水、食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノール、マンニトール等である。さらに、所望する場合には、投与する医薬組成物はまた、湿潤剤又は乳化剤、pH緩衝剤、溶解促進剤等のような少量の非毒性補助物質も含有しうる。例は、酢酸ナトリウム、モノラウリン酸ソルビタン、オレイン酸トリエタノールアミン及びシクロデキストリンを含む。非経口投与はまた、一定レベルの用量が維持されるための遅延放出又は持続放出システムの移植を包含しうる。
下記の実施例は、限定を伴わずに、P−糖タンパク質阻害因子としてのロピナビルの新規な使用をさらに説明するためのものである。
ロピナビルがP−糖タンパク質を阻害する能力を、「Caco−2細胞を横切る経上皮二方向輸送試験」(すなわち、その結果が表1A及び1Bに要約されている)と題する下記の実施例の群の中で示す。この能力は、医薬活性物質、ビンブラスチンをP−糖タンパク質阻害因子と組み合わせて投与したとき、P−糖タンパク質を示す細胞膜を横切るこの物質の見掛け透過性を測定することによって明らかにされる。これらの表に示すように、ビンブラスチンを既知のP−糖タンパク質阻害因子であるシクロスポリンA又はリトナビル、若しくはロピナビルと同時投与したとき、細胞単層を透過するビンブラスチンの能力は有意に改善される。
「ロピナビル及びリトナビル輸送試験」(すなわち、その結果が表2A及び表2Bに要約されている)と題する実施例の群は、リトナビルとロピナビルはいずれもP−糖タンパク質阻害因子であるが、リトナビルはこのタンパク質の基質としても作用し、一方ロピナビルは基質ではないことを示す。このデータは、「HCT15細胞における[3H]パクリタキセル、[14C]リトナビル又は[14C]ロピナビルの流出」と題する、図1によって確認され、この図はまた、リトナビルがP−糖タンパク質基質として作用しうること及びロピナビルは基質として働くことができないことを示している。
(Caco−2細胞を横切る経上皮二方向輸送試験)
Caco−2細胞膜を横切る、シクロスポリンAを伴う及び伴わないロピナビル及びリトナビルの見掛け透過性ならびにシクロスポリンAを伴う及び伴わないビンブラスチンの見掛け透過性を測定するために、P−糖タンパク質を発現するCaco−2腸癌細胞をRockvill,MDのAmerican Tissue Culture Collection(ATCC)から入手した。それらの細胞を、10%胎仔ウシ血清及びL−グルタミン2mMを補足したDMEM(ダルベッコ改変イーグル培地、Gibco/BRL,Grand Island,NYより購入)において増殖させ、保持した。
Caco−2細胞膜を横切る、シクロスポリンAを伴う及び伴わないロピナビル及びリトナビルの見掛け透過性ならびにシクロスポリンAを伴う及び伴わないビンブラスチンの見掛け透過性を測定するために、P−糖タンパク質を発現するCaco−2腸癌細胞をRockvill,MDのAmerican Tissue Culture Collection(ATCC)から入手した。それらの細胞を、10%胎仔ウシ血清及びL−グルタミン2mMを補足したDMEM(ダルベッコ改変イーグル培地、Gibco/BRL,Grand Island,NYより購入)において増殖させ、保持した。
細胞培養を、5%CO2のガス体中、90%の相対湿度で37℃のインキュベーターに抗生物質不含で保持した。前記細胞を10cm2の保存平板に保持し、ポリカーボネートのTranswell(商標)HTMフィルターインサート上に4×105細胞/mLで接種した。細胞を約27日間から30日間フィルター上で培養した、40から110の間の継代を有するCaco−2細胞を試験に使用した。
St.Louis,MOのSigma Chemicalから市販されている完全性マーカー、Luciferイエローの細胞傍経上皮輸送を測定することによって細胞単層の完全性を判定した。これらの実験において使用したCaco−2細胞単層におけるLuciferイエロー輸送の割合は概して<0.25%であった。Luciferイエロー輸送の割合は、参照してここに組み込まれる、「The Use of Cultured Epithelial and Endothelial Cells for Drug Transport and Metabolism Studies」、Pharmacol.Res.1990:7(5)435−451と題された論文の中で開示されている手順を用いて測定した。
(ビンブラスチン輸送試験)
ビンブラスチンの見掛け透過性試験のために、フィルター上で培養した後、細胞単層をpH7.4のHBSS(Gibco/BRL,Grand Island,NYより購入したハンクス緩衝食塩水)で洗い、下記の表1A及び1Bに示すように、HBSS及びP−糖タンパク質阻害因子であるシクロスポリンA、リトナビル及びロピナビルと共に37℃の温度で30分間プレインキュベートした。各々の実験の開始時に、トリチウムで放射能標識したビンブラスチン(5μM)を含むHBSSを、単独で又はリトナビル(10μM)、ロピナビル(10μM)又はシクロスポリンA(10μM)との組合せで、6.8のpHを有する細胞単層の先端側(AP)又は7.4のpHを有する細胞単層の基底外側(BL)のいずれかに適用した。P−糖タンパク質が主として細胞単層のAP側で発現されることは理解されるべきである。これらの試験における医薬活性物質であるビンブラスチンの輸送を37℃で120分間進行させた。各々のP−糖タンパク質阻害因子の保存濃度溶液(C0)を投与細胞と同様に処理し、保持して、出発用量のサンプルとした。細胞単層のAP側とBL側の両方のアリコートを2時間目に採取し、Packard Liquid Scintillation Counting装置を使用して液体シンチレーション計数(LSC)によってそれらのアリコートを分析した。次のArtusson式を用いて見掛け透過性の算定を行った:
ビンブラスチンの見掛け透過性試験のために、フィルター上で培養した後、細胞単層をpH7.4のHBSS(Gibco/BRL,Grand Island,NYより購入したハンクス緩衝食塩水)で洗い、下記の表1A及び1Bに示すように、HBSS及びP−糖タンパク質阻害因子であるシクロスポリンA、リトナビル及びロピナビルと共に37℃の温度で30分間プレインキュベートした。各々の実験の開始時に、トリチウムで放射能標識したビンブラスチン(5μM)を含むHBSSを、単独で又はリトナビル(10μM)、ロピナビル(10μM)又はシクロスポリンA(10μM)との組合せで、6.8のpHを有する細胞単層の先端側(AP)又は7.4のpHを有する細胞単層の基底外側(BL)のいずれかに適用した。P−糖タンパク質が主として細胞単層のAP側で発現されることは理解されるべきである。これらの試験における医薬活性物質であるビンブラスチンの輸送を37℃で120分間進行させた。各々のP−糖タンパク質阻害因子の保存濃度溶液(C0)を投与細胞と同様に処理し、保持して、出発用量のサンプルとした。細胞単層のAP側とBL側の両方のアリコートを2時間目に採取し、Packard Liquid Scintillation Counting装置を使用して液体シンチレーション計数(LSC)によってそれらのアリコートを分析した。次のArtusson式を用いて見掛け透過性の算定を行った:
表1A及び1Bに示す結果は、リトナビルとロピナビルの両方が、ビンブラスチンの存在下で活性なP−糖タンパク質阻害因子として作用することを示している。ビンブラスチンだけを細胞単層のAP側に投与したとき、見掛け透過性はBL側に投与したときよりも有意に低い。これらの結果は、主としてAP側で発現されるP−糖タンパク質がビンブラスチンの通過を阻害する能力を明らかにしている。ビンブラスチンを、シクロスポリンA、リトナビル又はロピナビルのようなP−糖タンパク質阻害因子と共に細胞単層のAP側に投与したときには、ビンブラスチンを単独で投与したときに比べて見掛け透過性が上昇する。P−糖タンパク質流出ポンプ輸送機構の阻害により、ビンブラスチンが先端媒質へと押し戻される流出の低下が起こり、AP側からBL側への透過性の上昇が生じる。BL側にP−糖タンパク質阻害因子と同時投与したときには、ビンブラスチンを単独で適用したときに比べて透過性は低下する。この低下は流出ポンプが存在しないことに関連し、それがBLからAP媒質へのビンブラスチンの積極的な輸送の阻害をもたらして、見掛け透過性の相対的低下を生じさせると考えられる。
これらの表からの結果は、ロピナビルがP−糖タンパク質阻害因子として働き、医薬活性物質が細胞に透過する能力を促進することを示している。
(ロピナビル及びリトナビル輸送試験)
ロピナビル及びリトナビルの見掛け透過性試験のために、フィルター上で培養した後、細胞単層をpH7.4のHBSSで洗い、下記の表2A及び2Bに示すように、HBSS、及びロピナビル、ロピナビルとシクロスポリンA、リトナビル、又はリトナビルとシクロスポリンAと共に37℃の温度で30分間プレインキュベートした。各々の実験について、細胞単層を、下記の表2A及び2Bに示すように、HBSSプラス1又はそれ以上の他の成分(すなわちロピナビル(5μM)、ロピナビル(5μM)とシクロスポリンA(10μM)、リトナビル(5μM)、及びリトナビル(5μM)とシクロスポリンA(10μM))と共に37℃の温度で120分間インキュベートした。
ロピナビル及びリトナビルの見掛け透過性試験のために、フィルター上で培養した後、細胞単層をpH7.4のHBSSで洗い、下記の表2A及び2Bに示すように、HBSS、及びロピナビル、ロピナビルとシクロスポリンA、リトナビル、又はリトナビルとシクロスポリンAと共に37℃の温度で30分間プレインキュベートした。各々の実験について、細胞単層を、下記の表2A及び2Bに示すように、HBSSプラス1又はそれ以上の他の成分(すなわちロピナビル(5μM)、ロピナビル(5μM)とシクロスポリンA(10μM)、リトナビル(5μM)、及びリトナビル(5μM)とシクロスポリンA(10μM))と共に37℃の温度で120分間インキュベートした。
ロピナビル、ロピナビルとシクロスポリンA、リトナビル、又はリトナビルとシクロスポリンA(集合的に「P−糖タンパク質阻害因子」として知られる)を、下記の表2A及び2Bに示すように、細胞単層のAP側又は細胞単層のBL側に適用した。各々のP−糖タンパク質阻害因子の保存濃度溶液(C0)を投与細胞と同様に処理し、保持して、出発用量のサンプルとした。細胞単層のAP側とBL側の両方のアリコートを2時間目に採取し、それらのアリコートを、上記に示すArtusson式を使用して見掛け透過性のLSC算定によって分析した。3つの穴に関して、P(app)は、各々の穴についての3つの個々のP(app)値の平均である。下記の表2A及び2Bに詳細に示すように、これらの数値を全体的P(app)の算定のためにデータに組み込んだ。
表2A及び2Bに示す結果は、ロピナビルがP−糖タンパク質についての基質ではないことを示唆している。ロピナビルの見掛け透過性(P(app))は、ロピナビルを細胞のAP側又はBL側のどちらに適用するかに関わらずほぼ同じであり、AP側のP−糖タンパク質が単層を透過するロピナビルの能力を妨げないことを明らかにしている。ロピナビルを既知のP−糖タンパク質阻害因子であるシクロスポリンAと共に適用したとき、BL/AP透過性の比は概して有意に変化せず、ロピナビルがP−糖タンパク質の基質ではないこと及びさらなるP−糖タンパク質阻害因子の同時投与からは利益が得られないことを示唆している。
逆に、表2A及び2Bのデータは、リトナビルがP−糖タンパク質の基質であることを示している。リトナビルの見掛け透過性は、BL側に適用したときよりもAP側に適用したときのほうが有意に低い。AP側は主としてP−糖タンパク質を発現する側であるので、このデータは、リトナビルがP−糖タンパク質の基質として働き、P−糖タンパク質がリトナビルが単層を通過する能力を阻害することを示唆している。ロピナビルと異なって、リトナビルは、既知のP−糖タンパク質阻害因子であるシクロスポリンAとの同時投与から恩恵を受ける。表2A及び2Bに示すように、リトナビルのBL/AP透過性の比はシクロスポリンAの存在下で有意に低下し、このタンパク質が阻害されるときには、リトナビルがP−糖タンパク質の基質として働くその能力が妨げられることを示唆する。
これらの結果は、ロピナビルとリトナビルはどちらもP−糖タンパク質阻害因子であるが、リトナビルがこのタンパク質の基質としても働くのに対し、ロピナビルはそうではないことを示している。
(ロピナビル、リトナビル、及びパクリタキセル流出試験)
薬剤の流出を測定するために、Rockville,MDのAmerican Tissue Culture Collection(ATCC)より購入した1×106のHCT15細胞(P−糖タンパク質を発現する)を35mmの培養皿に塗布し、10%胎仔ウシ血清を補足したRPMI培地(Roswell Park Memorial Institute培地、Life Technologies,Rockville,MDより入手可能)に16時間保持した。前記培地を吸引し、[3H]パクリタキセル(5μM、0.5μCi/ml)、[14C]リトナビル(1μM、0.03μCi/ml)、又は[14C]ロピナビル(1μM、0.15μCi/ml)のいずれかを含む新鮮培地を1時間添加した。その培地を吸引し、細胞をPBS(リン酸緩衝食塩水、Life Technologies,Rockville,MDより入手可能)で洗った。無血清RPMI培地を加え、図1に示す時点で細胞を採集した。採集後、細胞をPBSで1回洗い、そのペレットを1N NaOH 550μlに溶解した。Bio−Radアッセイ(Hercules,CAのBio−Radより入手可能)によって総タンパク質を測定し、LSCによって総放射能を測定した。タンパク質の量を基準化した後、各々の時点についてのcpm/μgを薬剤ピーク時点0と比較した。
薬剤の流出を測定するために、Rockville,MDのAmerican Tissue Culture Collection(ATCC)より購入した1×106のHCT15細胞(P−糖タンパク質を発現する)を35mmの培養皿に塗布し、10%胎仔ウシ血清を補足したRPMI培地(Roswell Park Memorial Institute培地、Life Technologies,Rockville,MDより入手可能)に16時間保持した。前記培地を吸引し、[3H]パクリタキセル(5μM、0.5μCi/ml)、[14C]リトナビル(1μM、0.03μCi/ml)、又は[14C]ロピナビル(1μM、0.15μCi/ml)のいずれかを含む新鮮培地を1時間添加した。その培地を吸引し、細胞をPBS(リン酸緩衝食塩水、Life Technologies,Rockville,MDより入手可能)で洗った。無血清RPMI培地を加え、図1に示す時点で細胞を採集した。採集後、細胞をPBSで1回洗い、そのペレットを1N NaOH 550μlに溶解した。Bio−Radアッセイ(Hercules,CAのBio−Radより入手可能)によって総タンパク質を測定し、LSCによって総放射能を測定した。タンパク質の量を基準化した後、各々の時点についてのcpm/μgを薬剤ピーク時点0と比較した。
図1は、表2A及び2Bに示すデータを確認しており、ロピナビルがP−糖タンパク質の基質ではないことを明らかにしている。この特定試験では、HCT15細胞(P−糖タンパク質を発現する)をリトナビル又はロピナビル又は、既知のP−糖タンパク質基質であり、対照として使用したパクリタキセルのいずれかで処理した。図1に示すように、15分間で多量のリトナビルがHCT15細胞によって速やかに排出され、リトナビルがP−糖タンパク質についての基質として働き、それ故細胞から速やかに流出されることを示唆している。リトナビル及びパクリタキセルと異なって、ロピナビルの約80%が60分後もHCT15細胞内に残存した。細胞によるロピナビルの比較的低い流出は、リトナビル及びパクリタキセルと比較して、ロピナビルがP−糖タンパク質についての基質ではないことを示唆する。
本発明が上記の説明的実施例に限定されないこと及び本発明が、その基本的属性から逸脱することなく他の特定形態で具体化されうることは当業者には明白であろう。それ故、これらの実施例はあらゆる点において例示であり、限定ではないとみなされることが望ましく、付属の特許請求の範囲が参照されるべきであり、またそれ故、特許請求の範囲の意味内及び均等の範囲内に含まれるすべての変更はその中に包含されることが意図されている。
Claims (43)
- 治療を必要とする哺乳類に、P−糖タンパク質を阻害するのに有効な量のロピナビルを投与することを含む、P−糖タンパク質を阻害するための方法。
- 投与段階が、ロピナビルを含有する医薬組成物を投与することを含む、請求項1に記載の方法。
- リトナビル又は治療上許容されるその塩を投与することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
- リトナビルを投与する段階が、リトナビルを含有する医薬組成物を投与することを含む、請求項3に記載の方法。
- 前記哺乳類がヒトである、請求項1に記載の方法。
- 治療を必要とする哺乳類に、P−糖タンパク質を阻害するために有効な量のロピナビルと治療上有効な量の医薬活性物質の組合せを同時投与することを含む、医薬活性物質のバイオアベイラビリティーを高めるための方法。
- 同時投与の段階が、ロピナビルを含有する少なくとも1つの医薬組成物を投与することを含む、請求項6に記載の方法。
- 同時投与の段階が、リトナビル又は治療上許容されるその塩を投与することをさらに含む、請求項6に記載の方法。
- リトナビルを投与する段階が、リトナビル又は治療上許容されるその塩を含有する少なくとも1つの医薬組成物を投与することを含む、請求項8に記載の方法。
- 前記哺乳類がヒトである、請求項6に記載の方法。
- 治療を必要とする哺乳類に、P−糖タンパク質を阻害するために有効な量のロピナビルと治療上有効な量の医薬活性物質の組合せを同時投与することを含む、医薬活性物質の中枢神経系浸透を高めるための方法。
- 同時投与の段階が、ロピナビルを含有する少なくとも1つの医薬組成物を投与することを含む、請求項11に記載の方法。
- 同時投与の段階が、リトナビル又は治療上許容されるその塩を投与することをさらに含む、請求項11に記載の方法。
- リトナビルを投与する段階が、リトナビル又は治療上許容されるその塩を含有する少なくとも1つの医薬組成物を投与することを含む、請求項13に記載の方法。
- 前記哺乳類がヒトである、請求項11に記載の方法。
- 治療を必要とする哺乳類に、P−糖タンパク質を阻害するために有効な量のロピナビルと治療上有効な量の医薬活性物質の組合せを同時投与することを含む、胃腸管からの医薬活性物質の吸収を高めるための方法。
- 同時投与の段階が、ロピナビルを含有する少なくとも1つの医薬組成物を投与することを含む、請求項16に記載の方法。
- リトナビル又は治療上許容されるその塩を投与することをさらに含む、請求項16に記載の方法。
- リトナビルを投与する段階が、リトナビル又は治療上許容されるその塩を含有する少なくとも1つの医薬組成物を投与することを含む、請求項18に記載の方法。
- 前記哺乳類がヒトである、請求項16に記載の方法。
- 治療を必要とする哺乳類に、P−糖タンパク質を阻害するために有効な量のロピナビルと、多剤耐性を治療するために有用な医薬活性物質の治療上有効な量の組合せを同時投与することを含む、多剤耐性を治療するための方法。
- 同時投与の段階が、ロピナビルを含有する少なくとも1つの医薬組成物を投与することを含む、請求項21に記載の方法。
- 同時投与の段階が、リトナビル又は治療上許容されるその塩を投与することをさらに含む、請求項21に記載の方法。
- リトナビルを投与する段階が、リトナビル又は治療上許容されるその塩を含有する少なくとも1つの医薬組成物を投与することを含む、請求項23に記載の方法。
- 前記哺乳類がヒトである、請求項21に記載の方法。
- 治療を必要とする哺乳類に、P−糖タンパク質を阻害するために有効な量のロピナビルと治療上有効な量の抗癌剤の組合せを同時投与することを含む、癌を治療するための方法。
- 同時投与の段階が、ロピナビルを含有する少なくとも1つの医薬組成物を投与することを含む、請求項26に記載の方法。
- リトナビル又は治療上許容されるその塩を同時投与することをさらに含む、請求項26に記載の方法。
- リトナビルを投与する段階が、リトナビル又は治療上許容されるその塩を含有する少なくとも1つの医薬組成物を投与することを含む、請求項28に記載の方法。
- 前記哺乳類がヒトである、請求項26に記載の方法。
- 治療を必要とする哺乳類に、P−糖タンパク質を阻害するために有効な量のロピナビルと治療上有効な量の抗ウイルス薬の組合せを同時投与することを含む、ウイルス感染を治療するための方法。
- 同時投与の段階が、ロピナビルを含有する少なくとも1つの医薬組成物を投与することを含む、請求項31に記載の方法。
- 同時投与の段階が、リトナビル又は治療上許容されるその塩を投与することをさらに含む、請求項31に記載の方法。
- リトナビルを投与する段階が、リトナビル又は治療上許容されるその塩を含有する少なくとも1つの医薬組成物を投与することを含む、請求項33に記載の方法。
- 前記哺乳類がヒトである、請求項31に記載の方法。
- ウイルス感染がHIVである、請求項31に記載の方法。
- ロピナビルと製薬上活性な抗癌剤を含有する、哺乳類において癌を治療するために有用な医薬組成物。
- リトナビル又は治療上許容されるその塩をさらに含有する、請求項37に記載の医薬組成物。
- 前記抗癌剤がタキサンである、請求項37に記載の医薬組成物。
- 前記タキサンがパクリタキセルである、請求項39に記載の医薬組成物。
- 前記抗癌剤が紡錘体毒である、請求項37に記載の医薬組成物。
- 前記抗癌剤がエピドフィロトキシン(epidophylloptoxin)である、請求項37に記載の医薬組成物。
- 前記抗癌剤が抗生物質である、請求項37に記載の医薬組成物。
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