JP2005511193A - 調節式結石バスケット - Google Patents

Abstract

医療用回収装置は、ハンドル（１２）と、前記ハンドル（１２）に移動可能に取り付けられた長手方向に移動する２つのギアラック（２６ａ、２６ｂ）と、前記２つのギアラック（２６ａ、２６ｂ）と係合するように前記ハンドル（１２）に回転可能に取り付けられたピニオン（５２）と、を含む。前記ピニオン（５２）の回転により前記ギアラック（２６ａ、２６ｂ）が反対方向に移動する。バスケット（１６）は少なくとも３つの脚部（７０ａ〜ｄ）を有しており、これら脚部（７０ａ〜ｄ）の内の隣接する２つは前記ギアラック（２６ａ、２６ｂ）の１つに接続され、残りの脚部は他方のギアラックに接続され、前記ピニオン（５２）の回転により２つの脚部が第１の方向に移動し、且つ残りの脚部が第２の方向に移動する。このように、前記ピニオン（５２）を回転させることによって前記バスケット（１６）を調節する。

Description

本発明は、一般的に外科用回収器具に関し、より詳細には結石バスケットまたは前記バスケットを調節することができる医療用回収装置に関する。

尿管から結石を捕えて摘出するための医療用回収装置または結石バスケットはよく知られている。このような器具は通常、細長いシースの前端部にバスケットを備えている。シース内に配置されたワイヤがバスケットをシースの反対側の端部のハンドルに接続している。バスケットを伸縮させるための様々な機構がハンドルに連結され得る。

今日の結石バスケットは、単に尿管内の結石を捕える目的以外でも使用されている。結石バスケットは腎臓に達し、結石を捕え、それを他の場所へ移し、除去し、または補助的な処置のために結石を押さえることも可能でなければならない。大きなバスケットは大きな結石を捕えることができるが、小さな結石を捕える際には性能を発揮することができない。たとえ厄介な問題が生じ迅速に引き抜く必要があっても、既知の医療用回収装置では結石を敏速に放すことができない。場合によっては、医師は結石を放すために実際にバスケットワイヤを切断しなければならないことがあるため、患者からバスケットワイヤを摘出しなければならないという明らかな複雑化を生じている。

従来の医療用回収装置の多くはその前端部にバスケットの脚部を結合するためのチップを有している。このような”チップ付きの” 医療用回収装置は通常結石の横で操作されてバスケットに結石を横から入れるようにしなければならない。したがって、結石がバスケットの直前に位置し且つ腎臓の壁等の障害物でつかえているためにバスケットを結石の横で操作することが妨げられる場合は、チップ付き医療用回収装置では特に問題が生じる。

（発明の開示）
一般的に、本発明は医療用回収装置を含む。この装置は、ハンドルと、前記ハンドルに対して移動可能に取り付けられた長手方向に移動する２つのギアラックと、前記２つのギアラックと係合するように前記ハンドルに回転可能に取り付けられたピニオンと、を含む。ピニオンを回転させることによってギアラックが反対方向に移動する。バスケットは少なくとも３つの脚部を有しており、これら脚部の内の隣接する２つは一方のギアラックに接続され、残りの脚部は他方のギアラックに接続され、ピニオンの回転により２つの脚部が第１の方向に移動し、且つ残りの脚部が第２の方向に移動する。このように、ピニオンを回転させることによってバスケットを調節する。

本発明の一実施形態において、シースはハンドルの前部から延び、バスケットはシースの前端部に配置される。ハンドルには長手方向に移動するスライドが取り付けられ、前記ギアラックおよびピニオンはこのスライドに取り付けられている。スライドを移動させることによってシースに対してバスケットが伸縮する。

本発明の他の実施形態において、シースはスライドに連結され、スライドの平行移動に伴って伸縮する。ギアラックおよびピニオンがハンドルに長手方向の固定位置で取り付けられている。ピニオンを回転させることによってバスケットを調節する一方、スライドの移動によりシースが移動してバスケットが被覆または露出される。

開示されている実施形態において、操作者が親指でスライドアセンブリの上部のボタンに圧力を加えることによって、スライドアセンブリがその長手方向の経路に沿って移動する。また、開示されている実施形態において、サムホイールが、操作者の親指で前記ホイールを回転させることによってピニオンが回転してバスケットを調節するように、ピニオンに操作可能に連結されている。

他の態様において、本発明は医療用回収装置のためのバスケットに関し、且つこのバスケットを製造する方法に関する。バスケットはその脚部の前端部がチップ部材に取り付けられている。一実施形態において、チップ部材は穴を有しており、チップ部材の前端部をこの穴に挿入し、チップ部材を圧着することによって脚部をチップ部材に締め付けている。

開示されている実施形態の特徴は、チップがバスケットの前部域の後方の位置まで移動する程度に調節されるというチップ付きバスケットの能力にある。この能力によってバスケットが前方に開くことが可能となるため、バスケットを結石の横で操作する必要なくバスケットの直前にある物体をバスケットに入れることが可能となる。従って、通常はチップ付きバスケットでは回収することができない腎臓の壁等の障害物でつかえている結石を、開示されている実施形態の医療用回収装置によって回収することができる。

開示されている実施形態の他の特徴は、結石を掴んだ後、バスケットがこれを放すことができることである。従って、医師が結石の摘出を開始しこの結石が大きすぎるために壁内尿管のような生理学的狭窄部を通過させることができないと判断した場合、または医療用回収装置を迅速に引き抜くことが要求される厄介な問題が生じた場合、医師はバスケットを調節してバスケットワイヤを広げることによって結石を放すことができる。

本発明の他の目的、特徴および利点は、図面および添付された請求の範囲と合わせて以下の明細書を読むことにより明らかとなる。

図面を参照すると、いくつかの図に渡って同様の番号で同様の要素が示されており、図１および２は、医療用回収装置１０を示している。医療用回収装置１０は、ハンドル１２と、本体の前端部に取り付けられたシース１４と、シース１４の前端部から延出するバスケット１６と、本体１２にスライド可能に取り付けられたスライドアセンブリ１８と、を含む。ハンドル１２の上端面には、縦方向（長手方向）のスロット２０（図１）が形成されている。ハンドルの一方の側面にはチャネル２２（図２）が形成され、ハンドルの反対側の側面には第２のチャネル２４（図１２参照）が形成されている。

図３および４は、上部および下部ギアラック２６ａ、２６ｂを示している。これらのギアラックは、上部ギアラック２６ａが下部ギアラック２６ｂに対して反転している点を除いては同一のものである。ギアラック２６ａ、２６ｂは各々、縦部材２７と、この縦部材の一端面に取り付けられた横基部２８と、を含む。複数のギア歯２９が基部２８と反対側の縦部材２７の端面に形成されている。ギアラック２６ａ、２６ｂの各々の前面３１には通路３０が形成されている。

図５および６は、スライドアセンブリ１８のサムスライド３４を示している。サムスライド３４は、本体部３５と、本体部３５の上にあり且つ操作者の親指を受けるように適合されたボタン部材３６と、を含む。ボタン部材３６は、操作者の親指がボタン部材３６上で滑ることを最小限に留めるための畝（リブ）付き上面３８を含む。細幅の首部３９がボタン部材３６を本体部３５に結合する。縦方向に延びる凹部４０が首部３９の両側に沿って本体部３５とボタン部材３６との間に形成されている。本体部３５の下部端面には、丸みをつけられた下面を有するフット部材４１がある。フット部材４１の各横端面にはレース（案内溝）４２が形成されている。

Ｉ字型チャネル４３がサムスライド３４の本体部３５を貫いて縦方向に延びている。Ｉ字型チャネル４３は、ギアラック２６ａ、２６ｂの基部２８を受けるように構成された水平方向の上部および下部チャネル部を含む。この上部および下部水平チャネル部は、ギアラック２６ａ、２６ｂの縦部材２７を受けるように構成された鉛直チャネル部によって結合されている。

第１の横孔４４が、サムスライド３４の本体部３５の一方の側面に形成され、Ｉ字型チャネル４３内に延びている。第１の孔４４と同軸で且つ第１の穴よりも小さな直径を有する第２の横孔４５が、本体部３５の反対側の側面に形成され、Ｉ字型チャネル４３内に延びている。

図７〜９は、スライドアセンブリ１８のサムホイール４６を示す。サムホイール４６は、操作者の親指を受けるように適合された畝付き外周面４８を有する。サムホイール４６上の１２時の位置には、ホイールの角度方向を視覚的および触覚的に示すためのタブ４９が形成されている。

サムホイール４６は、その内側面に形成された同心の円盤状ボス５０を有する。円筒形アクスル５１はボス５０と同心に形成され、サムホイール４６から内側に向かって延びている。アクスル５１はサムスライド３４の第１の横孔４４に嵌合する大きさとなっている。ピニオン５２はアクスル５１と同心に形成され、上部および下部ギアラック２６ａ、２６ｂ上のギア歯と係合するように適合された複数の歯を含む。ピニオン５２のアクスル５１と反対の側にはピニオン５２と同心に円筒形延伸部５３が形成されている。円筒形延伸部５３は、サムスライド３４内の第２の横孔４５内に受けられるように構成されている。ネジ穴５４が延伸部５３の自由端内に形成されている。

図１０は、ハンドル１２およびスライドアセンブリ１８の分解図である。ハンドル１２は、本質的に互いの鏡像である合わせハンドル半部（ハーフ）１２ａ、１２ｂを含む。ハンドル半部１２ａ、１２ｂの一方はロケータピン（図示せず）を含み、他方のハンドル半部は反対側のハンドル半部のピンを受けてこれらハンドル半部を位置合わせする対応するロケータ穴（同じく図示せず）を含む。そして、２つのハンドル半部１２ａ、１２ｂは共に接着される。

ハンドル半部１２ａ、１２ｂの各々はその上面に縦方向凹部２０ａ、２０ｂを含む。縦方向凹部２０ａ、２０ｂの各々の外側境界線はスロット壁５６によって画定される。ハンドル半部が組み立てられた時、縦方向凹部２０ａ、２０ｂは共に縦方向スロット２０（図１）を形成する。

第１のハンドル半部１２ａに形成されたチャネル２２は、これを通してサムホイール３４のアクスル５１を受けるような大きさとなっている。第２のハンドル半部１２ｂ内のチャネル２４は反対側のハンドル半部１２ａ内のチャネル２２と水平方向および縦方向に位置合わせされ、且つチャネル２４を通してサムホイール３４の円筒形延伸部５３を受けるような大きさとなっている。

チャネル２２、２４の直下には、縦方向に延びるリブ５８が各ハンドル半部１２ａ、１２ｂの内壁上に形成されている。ハンドル半部１２ａ、１２ｂが組み立てられた時、リブ５８は互いに向かって延びるが、それらの端部は離間されている。

次に、ハンドル１２およびスライドアセンブリ１８の組み立てを図１０〜１３に従って説明する。まず図１０を参照すると、上部および下部ギアラック２６ａ、２６ｂがサムスライド３４内のＩ字型チャネル４３の両端部内に挿入され、サムスライドに対して縦方向に中央に寄せられる。次に、ハンドル半部１２ａ、１２ｂをサムスライド３４の周囲に組み立てる。図１１および１２に見ることができるように、縦方向スロット２０の外側端面を画定する壁５６がサムスライド３４の凹部４０に嵌合し、サムスライドの首部３９がスロット２０内で動く。同様に、各ハンドル半部１２ａ、１２ｂの内壁上のリブ５８が、サムスライド３４のフット４１の両側にあるレース４２内へ延びる。壁５６およびリブ５８がサムスライド３４をハンドル１２内の所定の経路に沿って摺動するように案内する。

ハンドル半部１２ａ、１２ｂをサムスライド３４の周囲に組み立てた状態で、サムホイール４６の円筒形延伸部５３がハンドル半部１２ａ内のチャネル２２を貫くように挿入され、図１３に示された位置まで進められる。延伸部５３はサムスライドの孔４５内に配置され、ピニオン５２が上部および下部ギアラック２６ａ、２６ｂと係合し、サムスライドのアクスル５１がサムスライドの横孔４４内に配置される。ピニオン５２がこのようにギアラック２６ａ、２６ｂと係合した状態で、サムホイール４６の円筒形延伸部５３の外側端部がハンドル１２のチャネル２４内で移動し、アクスル５１の内部がハンドルのチャネル２２内で移動し、サムホイールのボス５０がハンドルのチャネル２２を囲む壁を支えてサムホイールをハンドルの表面から離している。

さらに図１３を参照すると、サムホイール４６を所定の位置に保持するため、ネジ付き軸部６２および拡大された頭部６３を有するネジ６０がサムホイール４６の円筒形延伸部５３の端部内のネジ穴５４に挿入される。ネジの拡大頭部６３は、ハンドル１２内のスロット２４よりも大きいため、サムホイール４６がサムスライド３４およびハンドルから横方向に外れることを防止する。

図１４および１５を参照すると、ハンドル１２およびスライドアセンブリ１８が上述したように組み立てられると、ピニオン５２の歯がギアラック２６ａ、２６ｂの歯２９と係合する。

図１６および１７はバスケット１６の細部を示している。バスケット１６は、それぞれ前端部７１ａ〜７１ｄを有する４つの脚部７０ａ〜７０ｄを備えている。チップ部材７２は内部に開けられた穴７３を有するステンレス製のボールからつくられている。ワイヤ７０ａ〜７０ｄの前端部７１ａ〜７１ｄはチップ部材７２の穴７３に挿入される。次に、おもりが釣り糸に取り付けられるのとほぼ同様に、チップ部材７２がコレットに圧着されて穴７３内でワイヤを捕える。その結果丸いチップが構成され、使用時に裂傷の可能性または穴を開ける可能性を最小限に抑える。

図１８〜２１は医療用回収装置１０の更なる細部を示している。２つの細長いチューブ６４、６６が医療用回収装置１０のシース１４内に入れ子式に（伸縮自在に）配置されている。チューブ６４、６６の前端部にバスケット１６が取り付けられている。より詳細には、２つの上部脚部７０ａ、７０ｂの後端部７５ａ、７５ｂは上部チューブ６４に取り付けられ、２つの下部脚部７０ｃ、７０ｄの後端部７７ａ、７７ｂは下部チューブ６６に取り付けられている。（尚、図１８〜２１において、バスケット脚部７０ａはバスケット脚部７０ｂの真後ろ（陰）にあり、バスケット脚部７０ｃはバスケット脚部７０ｄの真後ろにある）。開示されている実施形態のバスケット脚部７０ａ〜７０ｄは、脚部の後端部７５ａ、７５ｂ、７７ａ、７７ｂをそれらの各チューブに挿入し、次にチューブ端部を圧着することによってチューブ６４、６６に固定される。しかし、接着剤、溶接等を含む、バスケット脚部をチューブに取り付ける他の方法を採用してもよい。

以上の説明から明らかなように、チップ部材７２には、ループの端部後端部７５ａ、７５ｂ、７７ａ、７７ｂをそれらの各チューブ６４、６６に取り付けた後にバスケット脚部７０ａ〜７０ｄの前端部７１ａ〜７１ｄをチップ部材に接合できるため組み立てが容易になるという利点がある。

チューブ端部を上部および下部ギアラック２６ａ、２６ｂの前面３１の通路３０内に直接挿入することによって、チューブ６４、６６の後端部はスライドアセンブリ１８に操作可能に接続される。チューブ端部を通路内に接着、溶接、締め付けまたは結合することによってチューブ６４、６６がギアラック２６ａ、２６ｂに固定される。または、長さの短いケーブルを用いて各チューブをそれに関連したギアラックに連結することもできる。ケーブルをチューブに圧着、接着、溶接または結合することによってケーブルの前端部がチューブの後端部に接続される。ケーブルの後端部は上部および下部ギアラック２６ａ、２６ｂの前面３１の通路３０内に挿入され、チューブ端部を通路内に接着、溶接、締め付けまたは結合することによって固定される。後者の構成においては、ケーブルに加えられる軸方向の圧縮力がケーブルを曲げることなくケーブルの反対側の端部に伝達されるようにケーブルは十分な固さである必要がある。

次に、医療用回収装置１０の作用を図１８〜２３に従って説明する。図１８において、スライドアセンブリ１８はハンドル１２に対して後方の位置にあり、バスケット１６はシース１４の前端部内に引込まれている。図１８において、チップ部材７２はシース１４の前端部内に引込まれている様子が示されている。患者への導入を容易にするようにシース１４の直径を可能な限り小さくするため、チップアセンブリ７２をバスケット１６の組み立てが便利となるように十分に大きくする一方で、チップ部材７２の外径をシース１４の内径よりも大きくするようにしてもよい。この場合、脚部７０ａ〜７０ｄはシースの前端部内に引込まれるが、チップ部材７２はシースの前端部に当接し、少なくとも部分的にシースの外部に露出する。この使用のために、チップ部材７２がシースの外部にあっても、脚部７０ａ〜７０ｄの大部分がシースの前端部内に引込まれている場合には、バスケット７０はシース１４の前端部内に引込まれていると考えるものとする。

図１９に示すように、スライドアセンブリ１８が矢印８０の方向に前進した時、チューブ６４、６６はシース１４内で入れ子式に進み、バスケット脚部７０ａ〜７０ｄをシースの前端部から延出させる。バスケット脚部７０をニチノール等の形状記憶金属で形成して、シース１４の束縛から開放された脚部が外側に飛び出してその所定の形状となるようにすることが好ましい。図２０に見られるように、バスケット１６がその所定の形状に展開した時、バスケット脚部７０ａ〜７０ｄは本質的に、装置の長手方向の軸に沿って見ると”Ｘ”字形状を形成する。

図２１においては、サムホイール４６が前方に回転している。この動作によってピニオン５２は、図２１に矢印８２で示すように時計と反対方向に回転する。上部ギアラック２６ａは前方に移動し、下部ギアラック２６ｂは後方に移動する。下部ギアラック２６ｂの後方の移動によって下部チューブ６６が引込まれる。同時に、上部ギアラック２６ａの前方の移動によって上部チューブ６４が前進する。従って、チューブ６４、６６は逆方向に移動する。このような上部チューブ６４の延出および下部チューブ６６の引込みによって上部バスケット脚部７０ａ、７０ｂが延出し、下部バスケット脚部７０ｃ、７０ｄが引込まれ、それによってバスケット１６は下向に調節される。

図２１および２２を参照すると、バスケット１６の調節によっていくつかの有利な効果が生じる。第１に、図２１に見られるように、チップ部材７２がバスケットの前端部によって画定された平面９２の後方に移動している。従って、装置１０の長手方向の軸に直交する壁に結石がつかえている場合、バスケット１６は壁の直前まで進んで結石を捕えることをチップ部材７２によって妨げられることがない。第２に、図２２に見られるように、バスケット１６の調節によって２つの脚部７０ａ、７０ｂが離れて広がり、それによって結石の周囲でのバスケットの操作が容易になる。

図２３においては、サムホイール４６が後方に回転している。サムホイールを回すことによって、ピニオン５２が、図２３に矢印８４で示すように時計方向に回転する。このピニオン５２の回転によって上部ギアラック２６ａを後方に駆動し、同時に下部ギアラック２６ｂを前方に駆動する。ギアラック２６ａ、２６ｂのこの逆の移動によって上部チューブ６４が引込まれ、下部チューブ６６が前進する。このようにして、下部バスケット脚部７０ｃ、７０ｄが延出し、上部バスケット脚部７０ａ、７０ｂが引込まれる。これによってバスケット１６は上向に調節される。

次に、患者の体内から結石を捕える装置１０の使用法について図２４〜２７に従って説明する。バスケット１６がシース１４内に引込まれた状態で、装置の前端部が目的地点に隣接する位置まで患者に挿入される。例証のため、目的位置は尿管のような管１００内の地点とする。装置の前端部が結石１０２に接近するに従って、バスケット１６が開かれる。図２４に示すように、４つのバスケットワイヤ７０ａ〜７０ｄが展開する。この展開されながら調節されていない形状においては、チップアセンブリ７２が装置の最も前方の要素となる。

図２５に示すように、装置は次にバスケット１６を調節するための動作を行なう。２つの上部脚部７０ａ、７０ｂが延出し、２つの下部脚部７０ｃ、７０ｄが引込まれる。この調節によってチップアセンブリ７２が下向き且つ後方に移動するので、チップアセンブリは装置の最も前方の要素ではなくなる。また、調節によって２つの上部脚部７０ａ、７０ｂが離れて広がり、それによってより大きな開口を作り出すため、結石１０２の周囲でのバスケット１６の操作が容易になる。

次に、装置は図２６に示される位置まで操作され、ここでバスケット１６は結石１０２を取り囲む。そして、バスケットはその元の位置に戻るように調節され、バスケット１６を部分的に引込むように装置が作動され、それによって図２７に示されているようにバスケット脚部７０ａ〜７０ｄが結石１０２の周囲で締まる。このように結石１０２を捕えた状態で、装置が引き出されて管１００から結石を除去する。

医師が結石１０２の摘出を開始し、この結石が大きすぎるために壁内尿管のような生理学的狭搾部を通過させることができないと判断した場合、または装置１０を迅速に引き抜くことが要求される厄介な問題が生じた場合、医師はホイール４６を回転させてバスケット１６を調節することによりバスケットワイヤ７０ａ〜ｄを広げる。このようにして、結石を迅速に放すことができる。

結石１０２の位置によりバスケット１６を上下ではなく左右に調節する必要が生じた場合、医師は単にハンドル１２を９０度回転させる。シース１４はハンドル１２と共に回転するだけの十分なねじれ剛性を有しているため、サムホイール４６の回転によってバスケット１６を左右に向けることができる。

チューブ６４、６６の一方を移動させることによって他方のチューブを同等にしかし反対方向に移動させる構成には、サムホイール４６を所定量回転させる結果として有効な”行程（スロー）”を倍増させるという利点がある。従って、同じ調節範囲を達成するためには、一方のチューブのみを移動し残りのチューブを静止状態に保った場合と比較してサムホイール４６をより少なく動かす必要がある。

明らかなように、上述した実施形態１０においては、バスケット脚部の移動には依存性がある、即ち、１つのバスケット脚部の移動は同一の方向または反対向きの方向のいずれにおいても必ず他のすべての脚部の移動に伴って行なわれる。別の言い方をすれば、実施形態１０においては、バスケットのいずれの脚部も他の脚部から独立して移動することはできない。図２８および２９は１つ以上の脚部を他の脚部に対して独立して移動させることが可能な他の実施形態１１０を示す。実施形態１１０においては、スライドアセンブリ１１８はピニオン５２と係合する単一のギアラック２６ａのみを備えており、この場合は１つのチューブのみを移動してバスケット１６を調節する。上部チューブ６４は上述した方法と同様にギアラック２６ａに取り付けられている。しかし、下部チューブ１６６はサムスライド１３４に対して固定的に取り付けられている。サムホイール４６を前方向に回転させることによって下部チューブ１６６を固定したままで上部チューブ６４を前進させると、バスケット１６は下向に調節される。サムホイール４６を後方向に回転させることによって下部チューブ１６６を固定したままで上部チューブ６４を引っ込めると、バスケット１６は上向に調節される。

図３０および３１は第２の他の実施形態を示しており、この場合固定されたシースに対してバスケット１６の延出および引込みを行なうのではなく、シースを延出および引込可能にした状態で、バスケット１６をハンドルに対して固定する。

上述した実施形態は、スライドアセンブリ１８のギアラック２６ａ、２６ｂにバスケット脚部７０ａ〜７０ｄを容易に連結することができるように、シース１４内に入れ子式に配置された１対のチューブ６４、６６を使用するが、２つ以上のチューブを用いてスライドアセンブリ１８のギアラック２６ａ、２６ｂにバスケット脚部７０ａ〜７０ｄを連結することもできる。例えば、各脚部７０ａ〜７０ｄを各々のチューブに取り付け、１つ以上のチューブを所定のギアラックに取り付けることができる。

また、上述した実施形態１０は、ピニオン５２を回転してバスケット１６を調節するために操作者が回すサムホイール４６を設けているが、サムホイールは装置の操作に不可欠なものではない。例えば、ピニオン５２に連結されたレバーをサムホイールの代わりに用いること、または電気モータを配置してその作動時にピニオンを回転させることができる。同様に、実施形態１０のスライドアセンブリ１８を操作者の指によってハンドル１２上の移動経路に沿って手動で前進および後退させているが、電気モータを含み、ハンドルに対してスライドアセンブリを長手方向に移動させる他の構成を使用してもよい。

開示された実施形態１０のバスケット１６は穴７３を有するチップ部材７２を備えており、その内部にバスケット脚部７０ａ〜７０ｄの前端部７１ａ〜７１ｄを挿入し、次にチップ部材を圧着してバスケット脚部をチップ部材に締め付けていた。しかし、開示された実施形態の作動装置を従来の構成のバスケットに使用することもできる。または、バスケット脚部７０ａ〜７０ｄを、接着剤または溶接等の他の手段によってチップ部材７２の穴７３内に固定することもできる。

最後に、好ましい実施形態を一例として開示したが、添付された請求の範囲の趣旨から逸脱しない範囲で当業者は他の変形を考えてもよい。

図１は、本発明の好ましい実施形態による医療用回収装置の側面図である。 図２は、図１の医療用回収装置の上面図である。 図３は、図１の医療用回収装置のギアラックの側面図である。 図４は、図３のギアラックの前面図である。 図５は、図１の医療用回収装置のスライドの側面図である。 図６は、図５のスライドの前面図である。 図７は、図１の医療用回収装置のサムホイールの側面図である。 図８は、図９のサムホイールの前面図である。 図９は、図７の線９−９に沿った断面図である。 図１０は、図１の医療用回収装置のハンドルおよびスライドアセンブリの分解斜視図である。 図１１は、図１の線１１−１１に沿ったハンドルおよびスライドアセンブリの分解断面図である。 図１２は、ハンドルおよびサムスライドが組み立てられ且つサムホイールが分解されている、図１の線１１−１１に沿ったハンドルおよびスライドアセンブリの部分分解断面図である。 図１３は、図１の線１１−１１に沿ったハンドルおよびスライドアセンブリの断面図である。 図１４は、図１３のハンドル、スライドおよびサムホイールが組み立てられた状態の側面図である。 図１５は、図１３の線１５−１５に沿った断面図である。 図１６は、図１の装置のバスケットワイヤをチップ部材に組み込む様子を示す分解等角図である。 図１７は、図１６の組み立てられたバスケットワイヤおよびチップ部材を示す等角図である。 図１８は、バスケットが引込位置にある図１の医療用回収装置の側断面図である。 図１９は、バスケットが延出位置にある図１の医療用回収装置の側断面図である。 図２０は、図１９の延出位置にあるバスケットの前面図である。 図２１は、バスケットが延出され且つ下向に調節された図１の医療用回収装置の側断面図である。 図２２は、図２１の延出および調節位置にあるバスケットの前面図である。 図２３は、バスケットが延出され且つ上向に調節された図１の医療用回収装置の側断面図である。 図２４は、管腔から結石を回収する図１の医療用回収装置の使用法を示す斜視図であり、通常の延出位置にあるバスケットを示す。 図２５は、管腔から結石を回収する図１の医療用回収装置の使用法を示す斜視図であり、開いて結石を受け取る準備の整った調節位置にあるバスケットを示す。 図２６は、管腔から結石を回収する図１の医療用回収装置の使用法を示す斜視図であり、バスケットが結石の周囲に位置するように操作された調節位置にあるバスケットを示す。 図２７は、管腔から結石を回収する図１の医療用回収装置の使用法を示す斜視図であり、結石を捕えるために引込まれるバスケットを示す。 図２８は、医療用回収装置の他の実施形態のスライドアセンブリである。 図２９は、図２８のスライドアセンブリを含む医療用回収装置の他の実施形態の側断面図である。 図３０は、シースがハンドルに対して移動するようにスライドに接続された医療用回収装置の他の実施形態の側面図であって、バスケットを被覆するように延出位置にあるシースを示す。 図３１は、バスケットを露出させるように引込位置にあるシースを示す、図３０の他の実施形態の側面図である。

Claims (16)

1. 医療用回収装置であって、
   ハンドルと、
   前記ハンドルに対して移動可能に取り付けられた長手方向に移動する２つのギアラックと、
   前記２つのギアラックと係合するように前記ハンドルに対して回転可能に取り付けられたピニオンであって、前記ピニオンの回転により前記ギアラックを反対の方向に移動させる前記ピニオンと、
   少なくとも３つの脚部を有するバスケットであって、前記脚部の内の隣接する２つは前記ギアラックの内の第１のものに接続され、前記脚部の残りは前記ギアラックの内の第２のものに接続され、前記ピニオンの回転により前記２つの脚部が第１の方向に移動し、且つ前記脚部の残りが前記第１の方向と異なる第２の方向に移動するバスケットと、
   を備える、医療用回収装置。
2. 前記ハンドルに取り付けられ、後方位置と前方位置との間の経路に沿って前記ハンドルに対して長手方向に移動するスライドをさらに備え、
   前記ラックおよび前記ピニオンは、前記ラックおよび前記ピニオンを前記スライドに取り付け、次いで前記スライドを前記ハンドルに取り付けることにより、前記ハンドルに対して取り付けられる、請求項１に記載の医療用回収装置。
3. 前記ハンドルから前方に延びる中空のシースをさらに備え、前記シースは前端部を有し、前記バスケットは前記シースの前端部に配置され、
   前記バスケットは前記スライドと操作可能に結合し、前記スライドが前記後方位置にある時、前記バスケットは前記シースの前端部内に引込まれ、前記スライドが前記前方位置にある時、前記バスケットは前記シースの前記前端部の前方に延出し、
   前記スライドの長手方向の移動により前記バスケットの延出および引込みを行なう、請求項２に記載の医療用回収装置。
4. 前記ハンドルに取り付けられ、後方位置と前方位置との間の経路に沿って前記ハンドルに対して長手方向に移動するスライドと、
   前記スライドに取り付けられ且つ前記ハンドルから前方に延びる中空のシースであって、前記シースは前端部を有し、前記バスケットは前記シースの前端部に配置される前記シースと、
   をさらに備え
   前記シースは前記スライドと操作可能に結合し、前記スライドが前記後方位置にある時、前記シースは引込まれて前記バスケットを露出させ、前記スライドが前記前方位置にある時、前記シースは前方に延びて前記バスケットを被覆し、
   前記スライドの長手方向の移動により前記シースの伸縮を行なう、請求項１に記載の医療用回収装置。
5. 前記ピニオンと操作可能に結合されたホイールをさらに備え、前記ホイールを回転させることによって前記ピニオンが回転して前記バスケット脚部を移動させる、請求項１に記載の医療用回収装置。
6. 前記シース内に伸縮可能に配置された１対のチューブをさらに備え、前記１対のチューブの内の第１のものは前記ギアラックの内の前記第１のものに接続され、前記１対のチューブの内の第２のものは前記ギアラックの内の前記第２のものに接続され、前記２つの隣接するバスケット脚部は、前記２つの隣接するバスケット脚部を前記第１のチューブの前端部に接続することによって、前記ギアラックの内の前記第１のものに接続され、前記バスケット脚部の前記残りは、前記バスケット脚部の前記残りを前記第２のチューブの前端部に接続することによって、前記ギアラックの内の前記第２のものに接続される、請求項３に記載の医療用回収装置。
7. 前記バスケットはチップ部材をさらに備え、前記バスケット脚部はそれぞれ前端部を備え、前記バスケット脚部の前記前端部は前記チップ部材に接続されている、請求項１に記載の医療用回収装置。
8. 前記チップ部材はその内部に形成された穴を備え、前記バスケット脚部の前記前端部は、前記バスケット脚部の前記前端部を前記穴に挿入し且つ前記バスケット脚部の前記前端部を前記穴内に固定することによって、前記チップ部材に接続される、請求項７に記載の医療用回収装置。
9. 前記チップ部材は変形可能であり、前記バスケット脚部の前記前端部は、前記バスケット脚部の前記前端部を前記穴に挿入し且つ前記チップ部材を変形させて前記バスケット脚部の前記前端部を前記穴内に締め付けることによって、前記穴内に固定される、請求項８に記載の医療用回収装置。
10. 医療用回収装置であって、
    ハンドルと、
    前記ハンドルに対して移動可能に取り付けられ、前記ハンドルに対して長手方向に移動するギアラックと、
    前記ギアラックと係合するように前記ハンドルに対して回転可能に取り付けられたピニオンであって、前記ピニオンの回転により前記ギアラックを移動させる前記ピニオンと、
    少なくとも３つの脚部を有するバスケットと、
    を備え、前記脚部の内の少なくとも１つは前記ギアラックに接続され、前記脚部の残りは前記ハンドルに接続され、前記ピニオンの回転によって前記ギアラックを移動させて、前記脚部の内の前記少なくとも１つを前記脚部の残りに対して相対的に移動させる、医療用回収装置。
11. 前記ハンドルに取り付けられ、後方位置と前方位置との間の経路に沿って前記ハンドルに対して長手方向に移動するスライドをさらに備え、
    前記ラックおよび前記ピニオンは、前記ラックおよび前記ピニオンを前記スライドに取り付け、次いで前記スライドを前記ハンドルに取り付けることにより、前記ハンドルに対して取り付けられ、
    前記脚部の残りは、前記脚部の残りを前記スライドに取り付け、次いで前記スライドを前記ハンドルに取り付けることによって、前記ハンドルに接続される、請求項１０に記載の医療用回収装置。
12. 前記ハンドルから前方に延びる中空のシースをさらに備え、前記シースは前端部を有し、前記バスケットは前記シースの前端部に配置され、
    前記バスケットは前記スライドと操作可能に結合し、前記スライドが前記後方位置にある時、前記バスケットは前記シースの前端部内に引込まれ、前記スライドが前記前方位置にある時、前記バスケットは前記シースの前記前端部の前方に延出し、
    前記スライドの長手方向の移動により前記バスケットの延出および引込みを行なう、請求項１１に記載の医療用回収装置。
13. 前記ハンドルに取り付けられ、後方位置と前方位置との間の経路に沿って前記ハンドルに対して長手方向に移動するスライドと、
    前記スライドに取り付けられ且つ前記ハンドルから前方に延びる中空のシースと、
    をさらに備え、前記シースは前端部を有し、前記バスケットは前記シースの前端部に配置され、
    前記シースは前記スライドと操作可能に結合し、前記スライドが前記後方位置にある時、前記シースは引込まれて前記バスケットを露出させ、前記スライドが前記前方位置にある時、前記シースは前方に延びて前記バスケットを被覆し、
    前記スライドの長手方向の移動により前記シースの伸縮を行なう、請求項１０に記載の医療用回収装置。
14. 前記ピニオンと操作可能に結合されたホイールであって、前記ホイールの回転により前記ピニオンが回転して前記ギアラックを移動させる前記ホイールをさらに備える、請求項１０に記載の医療用回収装置。
15. 前記バスケットは、
    それぞれ前端部を有する複数の脚部と、
    内部に形成された穴を有するチップ部材と、
    を備え、
    前記複数の脚部の各々の前記前端部は前記チップ部材の前記穴内に受けられ、且つその内部に固定される、請求項１０に記載の医療用回収装置。
16. 前記複数の脚部の各々の前記前端部は、前記複数の脚部の各々の前記前端部を前記穴内に挿入し、且つ前記複数の脚部の各々の前記前端部を前記穴内で捕えるように前記チップ部材を圧着することによって、前記チップ部材の前記穴内に固定される、請求項１５に記載のバスケット。

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