JP2005510227A - カルボキシペプチダーゼg2のt細胞エピトープ - Google Patents

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Abstract

本発明は特に、インビボで使用した時に、非修飾の相当物に比べ免疫原性が低いまたは実質的に非免疫原性であるCPG2蛋白質をもたらす細菌酵素カルボキシペプチダーゼG2(CPG2)の修飾に関する。本発明はまた、前記非修飾蛋白質から得られたT細胞エピトープペプチドにも関し、それによって免疫原性が減少した修飾CPG2変異体を生成することが可能である。これらのポリペプチドは、ヒトでの治療使用に特に適している。

Description

本発明は、特にヒトに投与され、そして特に治療に使用するポリペプチドに関する。このポリペプチドは修飾されたポリペプチドであり、この修飾により、ポリペプチドがヒトに投与された際に免疫反応を誘発する傾向が低減されるという結果をもたらす。本発明は特に、インビボで使用した時に、非修飾の相当物に比べ免疫原性が低いまたは実質的に非免疫原性であるCPG2蛋白質をもたらす細菌酵素カルボキシペプチダーゼG2(CPG2)の修飾に関する。本発明はさらに、前記非修飾蛋白質から得られたT細胞エピトープペプチドにも関し、それによって免疫原性が減少した修飾CPG2変異体の作製を可能にするものである。
(発明の背景)
治療用タンパク質に対して望ましくない免疫反応が起こるために、治療用タンパク質の有効性が制限される例が多々ある。いくつかのマウスモノクローナル抗体はヒトの多数の疾病症状において治療剤としての可能性を示すが、ヒト抗マウス抗体(HAMA)応答が著しく誘導するため失敗したケースもある[Schroff,R.W. et al(1985) Cancer Res. 45:879−885;Shawler, D.L. et al(1985) J.Immunol.135:1530−1535]。モノクローナル抗体については、HAMA応答を低減させようと多数の技術が開発されている[WO 89/09622;EP 0239400;EP 0438310;WO 91/06667]。これらの組換えDNA手法は、一般に最終的な抗体コンストラクトにおいてマウス遺伝子情報を低減させる一方、最終コンストラクト中のヒト遺伝子情報を増加させるものである。それにもかかわらず、得られた「ヒト化」抗体は、依然として患者に免疫反応を誘発する場合があった[Issacs J.D.(1990)Sem. Immunol.2:449, 456;Rebello,P.R. et al(1999)Transplantation 68:1417−1420]。
抗体は、治療剤として投与した際にそれに対して免疫反応が発動し得る唯一の種類のポリペプチド分子ではない。ヒトに由来する、しかも人体内に存在するのと同じアミノ酸配列を有するタンパク質でさえ、人体内で免疫反応を引き起こすことがある。顕著な例としては、とりわけ、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子細胞[Wadhwa, M. et al(1999)Clin. Cancer Res. 5:1353−1361] やインターフェロンアルファ2 [Russo, D. et al (1996) Bri. J. Haem. 94:300−305;Stein, R. et al(1988) New Engl. Med. 318:1409-1413] の治療上の使用が挙げられる。これらのヒト蛋白質が免疫原性であるような場合、これらの対象においてそうでなければ作用していたと思われるこれらの蛋白質に対する免疫寛容が破壊されると推測される。
これは、たとえば、血友病A、クリスマス病、ゴーシェ病およびその他の数多くの例などの疾患であり得るような蛋白質の構造的欠損がある遺伝病において置換療法としてヒト蛋白質が投与される場合とは異なった状況である。このような場合、治療の置換蛋白質は最初から外来分子として免疫学的に機能することが可能で、個体は治療薬に対して免疫応答を起こすことができ、治療効果はあまり発揮されないようである。
蛋白質治療薬が宿主免疫系によって外来分子であるとみなされるかどうか、またはこの分子に対する既存の免疫寛容が打破されるかどうかにかかわらず、この蛋白質に対する免疫反応の機構は同一である。免疫反応誘導の鍵は、MHCクラスII分子上での提示を介してT細胞活性を刺激し得るペプチド(いわゆる「T細胞エピトープ」)がタンパク質内に存在することである。このようなT細胞エピトープは、MHCクラスII分子に結合する能力を備えた任意のアミノ酸残基配列として一般に定義される。暗黙にではあるが、「T細胞エピトープ」は、MHC分子に結合する際、T細胞レセプター(TCR)によって認識され、少なくとも原理的には、TCRと結びつくことによりT細胞応答を促進することによって、これらT細胞の活性化を引き起こし得るエピトープを意味する。
MHCクラスII分子は、ヘルパーT細胞の選択および活性化に中心的な役割を果たす高度に多型的なタンパク質のグループである。ヒトの白血球抗原グループDR(HLA−DR)はこのグループタンパク質で優越的なアイソタイプであるが、イソタイプHLA−DQとHLA−DPも同様の機能を果たす。ヒト集団では、各個人は2個〜4個のDR対立遺伝子、2個のDQ対立遺伝子および2個のDP対立遺伝子を有する。多数のDR分子の構造が解明されており、それらの構造は、ペプチドの疎水性残基(ポケット残基)と結合する多数の疎水性ポケットを有する開放端のペプチド結合溝を指している[Brown et al Nature (1993) 364:33;Stern et al (1994) Nature 368:215]。クラスII分子の様々なアロタイプを識別する多型は、ペプチド結合溝内の様々な異なるペプチド結合表面に寄与し、集団レベルで外来タンパク質を認識する能力に関する最大の柔軟性を保証し、病原性有機体への免疫反応を引き起こす。
治療のタンパク質に対する免疫反応は、MHCクラスIIペプチド提示経路経由で進行する。ここに外来タンパク質は、DR、DQまたはDPタイプのMHCクラスII分子と連携した提示のために飲み込まれ処理される。MHCクラスII分子は、とりわけ、マクロファージなどの抗原提示専門細胞(APC)および樹状細胞によって発現される。T細胞表面上の同族(cognate)のT細胞レセプターによるMHCクラスIIペプチド複合体の結合は、CD4分子などの他のある種のコレセプターの相互結合を伴って、T細胞内での活性化状態を引き起こすことができる。活性化は、サイトカインの放出をもたらし、B細胞などの他のリンパ細胞をさらに活性化して抗体を産生するか、完全な細胞性免疫応答としてキラーT細胞を活性化する。
T細胞エピトープ同定は、エピトープ除去の最初の段階であるが、当業界ではエピトープ同定とエピトープ除去が単一の体系に一体化されたわかりやすい例はほとんどない。したがって、WO98/52976とWO00/34317は、ポリペプチド配列を、ヒトのMHCクラスII DRアロタイプのサブセットに結合する能力を有するポリペプチドを識別するための計算によるスレッディング(computational threading)手法を教示する。これらの教示では、予想されたT細胞エピトープは、関心のあるタンパク質内で慎重なアミノ酸置換を用いることによって除去される。しかし、この方法およびその他のコンピュータに基づいたエピトープ同定方法(Godkin、A. J. et al(1998)J.Immunol. 161:850〜858、Sturniolo、T. et al(1999)Nat. Biotechnol. 17:555〜561)では、MHCクラスII分子に結合できることが予測されたペプチドは、プロセシング経路またはその他の現象のために、あらゆる場合において、特にin vivoでT細胞エピトープとしての機能を果たすことができない。さらに、コンピュータによるT細胞エピトープ予測方法では、一般的にDPまたはDQに限定してエピトープを予測することができなかった。
同様に、合成ペプチドがMHCクラスII分子に結合する能力を測定するためのin vitro測定方法は、たとえばMHCクラスII結合表面材料として限定したMHCアロタイプのB細胞株を使用して、MHCクラスIIリガンド同定に適用することが可能である(Marshall K. W. et al. (1994) J.Immunol.152:4946〜4956、O’Sullivan et al (1990) J.Immunol.145:1799〜1808、Robadey C. et al (1997)J.Immunol 159:3238〜3246)。
しかし、このような技法は、多種多様なMHCアロタイプに対する多数のエピトープ候補のスクリーニングに適応できないだけでなく、結合ペプチドがT細胞エピトープとして機能する能力を確認することもできない。
近年、合成ペプチドと組み合わせて組換えMHC分子の可溶性複合体を使用する技術が使用されるようになってきた(Kern、F. et al(1988)Nature Medicine 4:975〜978、Kwok、W. W. et al(2001)TRENDS in Immunol.22:583〜588)。これらの試薬および方法を使用して、ヒトまたは実験動物対象の末梢血試料から特定のMHCペプチド複合体に結合できるT細胞クローンの存在を同定するが、多種多様なMHCアロタイプに対して多数のエピトープ候補をスクリーニングすることには適応していない。
実用上、T細胞活性化の生物アッセイを選択すると、試験ペプチド/蛋白質配列が免疫応答を惹起する能力を判断することができる。この種の取り組みの例には、細菌蛋白質スタフィロキナーゼにT細胞増殖アッセイを使用し、その後T細胞株を刺激する合成ペプチドを使用したエピトープマッピングを行ったPetra et alの研究が含まれる(Petra、A.M. et al(2002)J.Immunol.168:155〜161)。同様に、破傷風毒素蛋白質の合成ペプチドを使用したT細胞増殖アッセイによって、この毒素の免疫優性エピトープ領域が確認された(Reece J.C. et al(1993)J.Immunol.151:6175〜6184)。WO99/53038は、単離されたヒト免疫細胞サブセットを使用し、in vitroでその分化を促進し、関心のある合成ペプチドの存在下で細胞を培養して、培養T細胞において誘導された増殖を測定して、試験蛋白質のT細胞エピトープを決定できる方法を開示している。同様の技法はまた、Stickler et al(Stickler、M.M. et al(2000)J. Immunotherapy 23:654〜660)に記載されており、いずれの場合においても、その方法は枯草菌のT細胞エピトープの検出に適用されている。このような技法には、注意深く細胞を単離する技術を使用し、多数のサイトカインを補給して細胞を培養して所望する免疫細胞サブセット(樹状細胞、CD4+およびまたはCD8+T細胞)を得ることが必要で、多数の供与試料を使用した高速処理スクリーニングには役に立たない。
前述のように、またそれらの結果として、重要な治療価値が与えられているが元々免疫原性のあるペプチド、ポリペプチドまたは蛋白質からT細胞エピトープを同定し、除去するか、または少なくとも減少させることが望ましい。これら治療的に有効な分子の1つはカルボキシペプチダーゼG2(本明細書ではCPG2と略す)である。
CPG2は元々シュードモナス種RS−16株から単離された細菌酵素(EC番号3.4.17.11)である。この酵素の基質特性は広く、様々な範囲のN−アシル基からのC末端グルタミン酸残基の遊離を触媒する。この酵素をコードする遺伝子は特徴づけられており(Minton、N.P. et al(1984)Gene 31:1〜3)、蛋白質の結晶構造が解明されている(Roswell、S. et al(1997) Structure 5:337〜347)。この酵素は、癌治療のために抗体特異的(antibody-directed)酵素プロドラッグ治療法(ADEPT)計画で既に使用されており、実験的な遺伝子特異的(gene-directed)酵素プロドラッグ治療法(GDEPT)にもまた採用されてきた。ADEPTの取り組みにおいては、酵素分子は、抗原結合特異性を保持している抗体または抗体の断片などの標的部分に結合する(Napier、M.P. et al (2000) Clinical Cancer Res.6:765〜772)。抗体への結合は、化学的な架橋結合を介してよく、または抗体CPG2酵素は融合蛋白質として結合させ、E.coliなどの組換え宿主生物で発現させることが可能である。
したがって、本発明は酵素CPG2に関し、1文字コードで示した野生型の蛋白質のアミノ酸配列は以下の通りである。
Figure 2005510227
治療量のCPG2融合蛋白質は有用であるにもかかわらず、ヒト対象に投与したときin vivoでの特性を増強する必要がある。この点に関して、ヒト対象における免疫応答を誘導する能力が減少しているか、または無くなっているCPG2を形成することが強く望まれる。このような蛋白質は、ヒト対象内で循環する時間が延長することが期待される。本発明では、in vivoでの増強された特性を示すことが期待される修飾型CPG2蛋白質を提供する。
修飾CPG2(UP6004550)を含めたCPG2分子(WO88/07378)が提供されているが、いずれの教示も蛋白質の免疫原性に対するT細胞エピトープの重要性について認識しておらず、本発明の方法による特定の制御された方法で直接前記特性に影響を与えることについても考慮していなかった。
本発明の目的は特に、潜在的T細胞エピトープの数を減少させることによって免疫特性を改変させた修飾CPG2蛋白質を提供することである。
発明の概要および説明
本発明は、潜在的T細胞エピトープの数を減少させることによって免疫特性を改変させた修飾型CPG2蛋白質を提供する。本発明は、CPG2一次配列内で同定された配列であって、MHCクラスII結合能力によってT細胞エピトープ候補である配列を開示する。この開示は具体的に、アミノ酸残基390個の成熟CPG2蛋白質に関する。本発明は、ヒトにおいて免疫原性であるCPG2一次配列の主要領域を開示し、それによってこれらの部位の免疫原性有効性を排除または減少させる配列改変を実施するために必要な重要な情報を提供する。
一実施形態において、免疫原性領域を含む合成ペプチドは完全な分子に対する寛容応答を促進するための医薬組成物として提供することができる。他の実施形態では、本明細書で開示されたエピトープ領域内で改変されたCPG2分子は医薬組成物で使用することができる。
概略すると、本発明は以下の点に関する
・CPG2の免疫原性領域をマッピングするための、ナイーブT細胞アッセイにおける一群の合成ペプチドの使用
・in vitroで最小限の免疫原性を示す変種を選択するための、ナイーブT細胞アッセイにおける一群のCPG2蛋白質変異体の使用
・in vitroで最小限の免疫原性を示すペプチド配列を選択するための、ナイーブT細胞アッセイにおける一群の合成CPG2ペプチド変異体の使用
・ナイーブT細胞アッセイにおいて野生型CPG2分子で記録された指標よりも少ない刺激指数、好ましくは2.0未満を示すCPG2蛋白質変異体を選択するためのT細胞刺激の生物アッセイの使用
・ナイーブT細胞アッセイにおいて元々刺激指数が1.8を上回る、好ましくは2.0を上回ることが発見されたCPG2由来のペプチド配列であって、ペプチドの改変は最小限の範囲であり、ナイーブT細胞アッセイで試験され、刺激指数が減少していることが発見された配列
・ナイーブT細胞アッセイにおいて1.8以上、好ましくは2.0を上回る刺激指数を生じることができる、野生型蛋白質配列と100%のアミノ酸同一性を有するCPG2由来ペプチド配列。
・野生型蛋白質配列と100%未満のアミノ酸同一性を含有し、T細胞アッセイで試験したとき2.0未満の刺激指数を生じるように改変された結果的に特異的なCPG2ペプチド配列
・T細胞アッセイで試験したとき、非修飾蛋白質分子と比較して少ない刺激指数を生じるような改変を含有するCPG2分子
・T細胞アッセイを使用して免疫原性領域をマッピングし、次にT細胞アッセイで再試験したとき、修飾蛋白質は親(非修飾)分子よりも小さい、最も好ましくは2.0未満の刺激指数を生じるように改変されたCPG2分子
・CPG2の生物活性を備え、実質的に免疫原性がないか、またはin vivoで使用したとき同様の生物活性を備えた非修飾分子よりも免疫原性が少ない改変分子
・前記免疫原性の損失は、元の非修飾分子から得られた1個または複数のT細胞エピトープを除去することによって実現する結果的に特異的なCPG2分子
・前記免疫原性の損失は、前記分子から得られたペプチドに結合することができるMHCアロタイプの数を減少させることによって実現する結果的に特異的なCPG2分子
・1個のT細胞エピトープを除去した結果的に特異的なCPG2分子。
・前記元々存在するT細胞エピトープは、MHCクラスIIリガンドまたはクラスII上に提示されることによってT細胞を刺激するか、結合する能力を示すペプチド配列である結果的に特異的なCPG2分子
・前記ペプチド配列は表1または表2で示した群から選択される結果的に特異的な分子
・前記分子は表4または表5で示した群から選択された1個または複数のアミノ酸置換基を含有する結果的に特異的な分子
・元々存在するT細胞エピトープのいずれかの1〜9個のアミノ酸残基、好ましくは1個のアミノ酸残基が改変した結果的に特異的な分子
・アミノ酸残基の改変は特定の位置の元々存在するアミノ酸残基のその他のアミノ酸残基による置換、付加または欠失である結果的に特異的な分子
・必要であれば、通常特定のアミノ酸の置換、付加または欠失によってさらに改変を実施して分子の生物活性を回復する結果的に特異的な分子
・以下のように隣接した残基の配列(A)〜(K)鎖のいずれかまたは全ての1個または複数の残基に改変を実施し、前記配列は1文字コードを使用したCPG2野生型配列から得られる結果的に特異的な分子
Figure 2005510227
・前記配列(A)〜(K)のいずれかから得られた少なくとも9個の連続した残基を含むペプチド分子
・(A)〜(K)から得られたペプチド配列のいずれかと90%を上回るアミノ酸同一性を有する前記ペプチド分子
・前記(A)〜(K)から得られたペプチド配列のいずれかと80%を上回るアミノ酸同一性を有する前記ペプチド分子
・1個または複数の前記(A)〜(K)配列と同一または実質的に相同な配列要素を含有するペプチド分子
・MHCクラスIIに結合することができる前記のようなペプチド配列
・MHCクラスIIに結合する活性を有する前記のペプチドまたは修飾ペプチドのいずれかを含む医薬組成物
・前記および以下に定義したような特異的に修飾した分子のいずれかをコードするDNA配列または分子
・CPG2の生物活性を有する修飾分子を含む医薬組成物
・任意選択で薬剤として許容される担体、希釈剤または医薬品添加物と一緒になった前記および/またはクレームで定義した医薬組成物
・以下の段階を含む本明細書で定義したCPG2の生物活性を備えた修飾分子の製造方法;(i)ポリペプチドまたはその一部のアミノ酸配列を決定する段階、(ii)in vitroまたはin silico技術または生物アッセイを使用したペプチドのMHC分子への結合の測定を含めた任意の方法によって、蛋白質のアミノ酸配列内の1個または複数のT細胞エピトープ候補を同定する段階、(iii)in vitroまたはin silico技術または生物アッセイを使用してペプチドのMHC分子への結合によって測定したとき、実質的にT細胞の活性を減少または除去するような方法で修飾した1個または複数の同定された潜在的T細胞エピトープ内でアミノ酸を有する新規配列変異体を設計する段階、(iv)組換えDNA技術によってこのような配列変異体を構築し、所望する特定を備えた1種または複数の変異体を同定するために前記変異体を試験する段階、および(v)任意選択で段階(ii)〜(iv)を繰り返す段階。
・段階(iii)を元々存在するT細胞エピトープのいずれかの1〜9個のアミノ酸残基を置換、付加または欠失することによって実施する結果的に特異的な方法。
・前記修飾は相同な蛋白質配列および/またはin silicoモデル作成技術を参考にして実施する結果的に特異的な方法
・前記のような13マーT細胞エピトープペプチドの少なくとも9個の連続したアミノ酸残基から成るペプチド配列および実質的に免疫原性がないか、または非修飾分子よりも免疫原性が少なく、in vivoで使用したときCPG2の生物活性を有するCPG2の製造におけるその使用
・以下の構造のCPG2分子
Figure 2005510227
ここでX0は、任意に、抗体ドメインのような標的部位であり;
1はI,T;X2はL,A;X3はM,K;X4はL,I;X5はY,T;X6はI,A;X7はV,A;X8はL,A;X9はK,T,A;X10はK,T;X11はL,M,A;X12はL,T,A;X13はL,G,T;X14はI,T,A;X15はV,A;X16はL,T,G;X17はF,A;X18はL,A;X19はL,A;X20はV,A;X21はL,A;X22はV,T,A;X23はL,A;X24はW,A,H;X25はI,A;X26はN,T,A;X27はV,T;X28はN,T,A;X29はI,T,A;X30はI,T,A;X31はL,T,A,I;X32はV,A;X33はV,A;X34はK,T;X35はL,A;X36はV,A;X37はV,S,T,A;X38はY,T,A;X39はY,S,T,A;
および同時に以下の場合となることは除外される;
Figure 2005510227
「T細胞エピトープ」という用語は、本発明についての理解によれば、MCH IIを結合可能で、T細胞を刺激するおよび/または(必ずしも測定可能な程度に活性化せずに)T細胞を複合体中でMHC IIに結合可能であるアミノ酸配列を意味する。
本明細書および添付する特許請求の範囲において「ペプチド」という用語は、2個以上のアミノ酸を含む化合物である。アミノ酸はペプチド結合(以下に定義される)によって互いに連結される。ペプチドの生物学的生産に関わる20個の異なる天然アミノ酸が存在し、これらが任意の数、任意の順序で連結して、ペプチド鎖または環を形成する。ペプチドの生物学的生産で使用される天然アミノ酸はすべてL‐配置である。合成ペプチドは、L−アミノ酸、D−アミノ酸またはこれら2種の異なる配置のアミノ酸の様々な組合せを使用して従来の合成方法を用いて調製できる。ペプチドによっては数単位のアミノ酸しか含まないものもある。短いペプチド、例えばアミノ酸単位が10個未満のものは、時に「オリゴペプチド」と呼ばれる。他のペプチドは多数のアミノ酸残基、例えば100個以上を含み「ポリペプチド」と呼ばれる。従来、「ポリペプチド」は3個以上のアミノ酸を含む任意のペプチド鎖と考えられ、「オリゴペプチド」は通常、特に「短い」タイプのポリペプチドと見なされる。したがって、本願では「ポリペプチド」へのどのような言及もオリゴペプチドを含むと理解される。さらに、「ペプチド」へのどのような言及もポリペプチド、オリゴペプチドおよびタンパク質を含む。アミノ酸の個々の異なる配置は異なるポリペプチドまたはタンパク質を形成する。形成することができるポリペプチドの数、したがって異なるタンパク質の数は、実際上無制限である。
「アルファ炭素(Cα)」はペプチド鎖中の炭素水素(CH)部分の炭素原子である。「側鎖」はCαへの吊り下がり(ペンダント)基であり、ペプチドの寸法と比較して著しく変動幅の広い物理的な寸法を有する、単純もしくは複雑な基または部分を含むことができる。
本発明は、実質的にここに示されたものと同じ1次アミノ酸配列を有する任意のCPG2分子種に適用でき、したがって、遺伝子工学的手段その他の方法によって誘導されたCPG2分子を含み、390アミノ酸残基を含まなくてもよい。異なるシュードモナス種およびその他の生物を含めたその他の材料から同定されたCPG2タンパク質は、共通して、本開示のペプチド配列の多数を有し、また、開示されたペプチド配列と実質的に同じ配列を有する多数のペプチド配列を共通に有する。したがって、このようなタンパク質配列も等しく本発明の範囲内に入る。
本発明は、ヒトにおいて治療目的で導入された可溶性タンパク質が免疫反応を引き起こし、その可溶性タンパク質に結合する宿主抗体の進行をもたらしうるという、実際ある現実を克服することを想定している。本発明は、ヒト宿主への投与において免疫反応を誘導する傾向性が変更されたCPG2タンパク質を供給することにより、この問題の解決を図る。本明細書で説明した方法によって、本発明者等はこの蛋白質に対する免疫応答を生じさせる重要なT細胞エピトープを含むCPG2分子の領域を発見した。
修飾されたCPG2をもたらす本発明の一般的な方法は、次のステップを含む:
(a)ポリペプチドまたはその一部のアミノ酸配列を決定すること;
(b)インビトロまたはインシリコ技術を用いるか生物学的アッセイを用いてペプチドのMHC分子への結合を測定することを含む任意の方法によりタンパク質のアミノ酸配列内の1つまたは複数の潜在的T細胞エピトープを識別すること;
(c)インビトロまたはインシリコ技術を用いるか生物学的アッセイを用いてペプチドのMHC分子への結合を測定したT細胞エピトープ活性を実質的に低減するか除去するように、識別された潜在的T細胞エピトープ内において1つまたは複数のアミノ酸を修飾した新規な配列変異体を設計する。このような配列変異体は、そのような新しい潜在的なT細胞エピトープが、次には、T細胞エピトープの活性を実質的に低減するか除去するように修飾されなければ、配列変化によって新しい潜在的なT細胞エピトープの生成を回避する方法で作成される。そして、(d)組換えDNA技術によってそのような配列変異体を構成し、所望の特性を備えた1つまたは複数の変種を識別するために前記変異体をよく知られた組換えDNA技術によって試験する。
ステップ(b)による潜在的なT細胞エピトープの識別は従来法によって実行することができる。適当な方法はWO 98/59244;WO 98/52976;WO 00/34317に開示されており、CPG2−誘導ペプチドのMHCクラスII分子への結合性向を識別するために好適に使用できる。
計算によってT細胞エピトープを識別する別の非常に特異的な方法は、この発明によって好ましい実施形態である実施例1に記述される。
CPG2タンパク質配列についての上記スキームのステップ(b)による結果を表1に示す。
Figure 2005510227
Figure 2005510227
さらに重要なT細胞エピトープ検出操作方法は、生物学的T細胞増殖アッセイによる。CPG2分子内のT細胞エピトープを検出するために、特に効果的な方法は、完全なCPG2配列を試験するためにCPG2由来の重複ペプチドを試験すること、あるいは表1に挙げたものの全てまたはいくつかなどのCPG2ペプチドのサブセットを試験することである。合成ペプチドがin vitroで培養したヒトT細胞の増殖応答を引き起こす能力を試験する。この種の取り組みは、健康なドナーから採取したヒトナイーブT細胞を使用して実施することができる。本発明者等は、このようなアッセイの操作において、誘導した増殖の測定には刺激指数2.0以上が有用であることを確立した。刺激指数は、通常、試験(ポリ)ペプチドに接触していない細胞で測定した増殖スコアで試験(ポリ)ペプチドで測定した増殖スコア(たとえば、3H−チミジンの取り込みを使用する場合、1分当たりのカウント)を除することによって得られる。この種の適切な方法を実施例2に詳述する。このアッセイで得られた結果は、実施例2の方法によってヒトT細胞で増殖応答を引き起こすことが示されたCPG2由来のペプチド配列を挙げた表2および図1に示す。
Figure 2005510227
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複数の潜在的エピトープを同定した場合、特にいくつかのペプチド配列が生物アッセイでT細胞を刺激できることが発見された場合、MHCクラスII提示経路によって免疫応答を引き起こす傾向に関連させて蛋白質の構造的特性を認識することもまた可能である。たとえば、関心のある蛋白質の結晶構造が公知の場合、結晶学的B因子スコアは蛋白質内の構造的欠陥の証拠として分析され、変数は生物学的に関係のある免疫優性ペプチドエピトープへの近接と相関することを示唆された(Dai G. et al(2001)J. Biological Chem.276:41913〜41920)。CPG2結晶構造に実施したこのような分析によって(PDB ID:ICG2、Rowsell、S. et al(1997)、Structure 5:337)、CPG2をモデルにした結晶構造の個々の4本鎖のうち少なくとも3本において、前記平均B因子スコアを有する領域の中間位置にマッピングする少なくとも11個の別々の領域を備えた多数免疫優性エピトープが存在することが示唆される。これらの11個の領域のうち、ペプチドのN末端境界にマッピングされた9個は、実施例2のナイーブT細胞アッセイにおいて増殖応答を引き起こすことが示された。
このデータは特定のペプチドに応じたナイーブドナーの数のデータと一緒にすると、分子の最も免疫優性な領域を予測採点することが可能である。しかし、実際に、これらの領域のそれぞれはヒトで免疫原性とみなされ、したがって本発明の計画では改変が必要であることが認識された。したがって、前記で定義した配列鎖(A)−(K)については、配列は(A)、[(B)、(E)]、[(D)、(G)、(F)、(H)]、{(I)、(J)、(K)}の順番で位置づけることが可能で、(A)は分子内で最も免疫原性のある配列であると考えられる。同等の位置づけは、括弧内の配列にも考えられる。これらの領域は、主要なエピトープ領域A〜Hおよび少数エピトープ領域IおよびJとして表3に挙げた。この区別は、ナイーブT細胞アッセイで応答するドナーの頻度に基づいて行い、それによっていわゆる「少数エピトープ」領域では、配列のこの領域を代表する合成ペプチドへの応答を示したのは調査パネルの1ドナーのT細胞であった。対照的に、主要なエピトープ領域にマッピングされたペプチドでは、ほとんどの部分が多数のドナーのT細胞を刺激した。使用したドナー調査パネルは、広範な異なるMHCクラスIIアロタイプを示した。
Figure 2005510227
実際には、いくつかのCPG2蛋白質変異体を生成して、所望する免疫特性および機能特性を試験する。蛋白質変異体は周知の組換えDNA技術の方法によって生成することが最も好ましいが、CPG2断片の化学合成を含めたその他の方法を含めることも可能である。修飾CPG2蛋白質を含めたCPG2蛋白質を構築または発現するのに適した方法を、実施例3〜5に示す。
本発明は、少なくとも1個のアミノ酸残基の置換が蛋白質の1個または複数のT細胞エピトープ候補の活性の実質的な減少または除去をもたらす位置に生じたCPG2類縁体に関する。親分子の最も免疫原性の領域内にアミノ酸改変(たとえば、置換)を実施したCPG2分子を提供することが最も好ましい。本発明の主要な好ましい実施形態には、結合を排除するため、そうでなければペプチドが結合可能なMHCアロタイプの数を減少させるためMHCクラスIIリガンドのいずれかが改変したCPG2分子が含まれる。本発明者等は、ヒトのCPG2分子の免疫原性領域を発見し、本明細書で開示した。ある環境下では、たとえば、本発明の場合と同様の配列を有する蛋白質またはペプチドを発現する病原体に感染した場合では、本明細書で開示したものに付け加えられた配列領域が免疫原性エピトープになることができることが理解される。いかなる場合においても、MHCクラスIIリガンドとして作用することは配列要素として不可欠で、したがって表1で開示した配列はいずれも本発明の範囲下では免疫原性エピトープと考えることができる。
T細胞エピトープを除去するために、T細胞エピトープの活性の実質的な減少または除去を実現できることが予測されたペプチド配列内の適切な点をアミノ酸置換することが好ましい。実際には、適切な点は、MHCクラスII結合溝内にもたらされたポケットの1個に結合するアミノ酸残基と同等であることが好ましい。
ペプチドのいわゆるP1またはP1アンカー位置で溝の第1のポケット内に結合するものを変更することが最も好ましい。ペプチドのP1アンカー残基と、MHCクラスII結合溝第1ポケット間の結合相互作用の質は、ペプチド全体に対する総合的な結合親和性の主な決定要素であると認められる。ペプチドのこの位置での適切な置換は、ポケット内にはより収容されにくい残基、例えばより親水性の大きな残基に置換するものとなろう。MHC結合溝内の他のポケット領域内での結合と同等な位置でのペプチド中のアミノ酸残基も考慮され、本発明の範囲に入る。
所与の潜在的T細胞エピトープ内の単一のアミノ酸置換が、エピトープ除去の最も好ましいルートであることが理解される。単一のエピトープ内での置換の組合せも考えられ、例えば、個別に定義されたエピトープが互いに重複する場合には、特に適切なものとなり得る。さらに、所与のエピトープ内における単一のアミノ酸置換または単一のエピトープ内における組合せ置換は、MHCクラスII結合溝に関して「ポケットペプチド」と同等な位置でなくともペプチド配列内のどのポイントでなされていてもよい。置換は、同族体構造に関してか当技術分野で知られたインシリコ技術を用いて生成する構造的方法でなされるものでもよいし、本発明による分子で知られた構造上の特徴に基づくものでもよい。そのような置換はすべて本発明の範囲内に入る。
特に、リストに挙げたペプチド内でなされた置換と組み合わせて行う場合、上に識別されたペプチド内以外のアミノ酸置換を考えてもよい。例えば、変異体分子の構造や生物活性を回復するために変更を考えることができる。そのような補償的変更およびCPG2ポリペプチドからの特定のアミノ酸残基の除去または追加を含む変更は、所望の活性で、かつ開示するペプチドのうちのいずれかの変化と組み合わせた変異体をもたらし、本発明の範囲内に入る。
本発明の計画で考えられる特に好ましいCPG2分子内の一連の変異を表4に挙げる。このような置換は、実施例1のコンピュータによる方法を使用して選択する。本明細書において前記で定義し、表3にも挙げたエピトープ領域へ、各置換をマッピングする。
Figure 2005510227
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その他の公知の方法を適用することができ、それによって特定のその他の置換の定義をもたらすことが可能であることが認識されている。いずれにせよ、特に好ましい置換は、分子内の機能活性を保持しながら、さらに1種または複数のヒトMHCクラスII分子のリガンドとして作用し、および/またはコグネイトT細胞受容体の刺激を停止する、その場内のペプチド配列の能力を破壊するという並行する目標を満足し得るものであろう。公知の適用可能な一計画には、本明細書で開示したエピトープ領域のランダム変異体および酵素的に機能のある変異体の選択を含めることができる。次に、選択した変異体に免疫学的分析用の独立した第2のスクリーニングを実施することができる。便利な免疫学的スクリーニングは、たとえば、変異体配列の合成ペプチドおよびin vitroで培養したヒトT細胞またはT細胞株を使用したT細胞増殖アッセイである。
他の方法では、前記に概略した並行する二重の目標に適合する置換をin silicoで選択する分子モデル作製技術を使用してもよい。CPG2分子の構造モデルは、適切なソフトウェアパッケージを使用して採点することが可能で、非常に望ましい置換を選択することが可能である。このような特に好ましい置換の例を表5に挙げる。この置換はCPG2構造内に広く適していると考えられ、これらのリストに挙げた置換のいずれかを含有するCPG2変異体は本発明の好ましい実施形態として考えられる。
Figure 2005510227
Figure 2005510227
したがって、特に好ましい修飾CPG2分子を以下の構造に示す。
Figure 2005510227
ここでX0は、任意に、抗体ドメインのような標的部位であり;
1はI,T;X2はL,A;X3はM,K;X4はL,I;X5はY,T;X6はI,A;X7はV,A;X8はL,A;X9はK,T,A;X10はK,T;X11はL,M,A;X12はL,T,A;X13はL,G,T;X14はI,T,A;X15はV,A;X16はL,T,G;X17はF,A;X18はL,A;X19はL,A;X20はV,A;X21はL,A;X22はV,T,A;X23はL,A;X24はW,A,H;X25はI,A;X26はN,T,A;X27はV,T;X28はN,T,A;X29はI,T,A;X30はI,T,A;X31はL,T,A,I;X32はV,A;X33はV,A;X34はK,T;X35はL,A;X36はV,A;X37はV,S,T,A;X38はY,T,A;X39はY,S,T,A;
および同時に以下の場合となることは除外される;
Figure 2005510227
前記構造による修飾CPG2蛋白質は、本発明の一実施形態である。修飾CPG2蛋白質が生成され、in vitroで培養したヒトT細胞における増殖応答を引き出す能力が減少していることが示された(実施例6に詳述する)。このようなデータは、in vivoでの免疫原性が減少した修飾CPG2蛋白質と合致している。
ナイーブCPG2酵素はホモダイマーを形成し、活性には亜鉛イオンが必要であることが認識されている。本発明の目的は、MHCクラスIIに結合できるかまたはMHCクラスII分子に関連するT細胞に結合できる、数が減少したT細胞エピトープまたは配列を含み、また好ましくはホモダイマーを形成し、亜鉛イオンと結合することができる、修飾CPG2分子を生成することである。
ナイーブCPG2酵素はホモダイマーを形成し、活性に亜鉛イオンが必要であることは認識されているが、ヒト対象に投与すると免疫応答を誘導する能力が減少するか、無くなった修飾CPG2分子提供することが最も好ましく、このような所望する特性を備えた前記修飾CPG2分子はホモダイマーを形成する能力およびまたは亜鉛イオンに結合する能力が損なわれているが、プロドラッグを活性型薬剤に変換する能力に関する程度の酵素活性を保持している。このような分子は、本発明の範囲内に含まれる。
本発明の修飾CPG2分子はホモダイマーを形成できず、モノマーCPG2を生じるが、所望する酵素活性を備えており、T細胞エピトープあるいはMHCクラスII分子に結合することができるか、MHCクラスII分子に関連してT細胞に結合することができる配列が無いか、または少なくとも減少している配列改変はまた、同様に本発明の所望する目的である。
それ自体のホモダイマーを形成することができず、溶液中でモノマーとして所望する酵素活性を有すことができない改変CPG2分子は、2個以上の改変CPG2を隣接させてもなお部分的または全体的な活性を回復することができることが認識された。T細胞エピトープあるいはMHCクラスIIに結合できるか、またはMHCクラスII分子に関連してT細胞に結合できる配列の数が減少したこのような分子はまた、同様に本発明の範囲内に含まれる。
2個以上の修飾CPG2分子を隣接させ、それによって酵素活性の再構成を遺伝子操作手段によって実現するような場合、たとえばCPG2分子の第2蛋白質から得られたドメインへの融合によって、2量体を形成させるか、またはその他の結合相互作用を促進することができる。このようなドメインには、IgGまたは他の免疫グロブリンイソタイプのFcドメインなどの抗体定常領域が含まれる。他の例には、抗体V領域ドメインまたはFOSおよびJUNなどの蛋白質で例示されたb−zipモチーフが含まれる。その他の認識された蛋白質ドメインも同様に考えることが可能である。単一の組換え融合蛋白質として2個のCPG2部分を連結する蛋白質リンカードメインはまた、一緒になって前記CPG2部分を適度に隣接させる効果を実現することもまた期待され得る。
ヒドロキシプロピルメタクリルアミドまたはポリスチレンコマレイン酸その他などの合成水溶性ポリマーを含めた非蛋白質化合物との修飾CPG2複合体の形成を企図してもよい。同様に、修飾CPG2部分が直にまたは強制的に隣接していなければ存在しないと思われる、ある程度の酵素活性を複合体に回復または提供するために、リポソームまたは炭水化物の調製物を検討し、該CPG2と複合させてもよい。
本発明の目的は、ヒト宿主に投与すると免疫応答を誘発する能力が減少しているか、または無くなっている修飾CPG2分子を生成することである。この目的の中で、プロドラッグから活性薬剤への変換を触媒する能力に関した分子の機能的活性を保持することもまた望まれる。活性薬剤は、プロドラッグよりも所望する標的細胞に対して少なくとも1桁毒性が強いことが好ましく、活性薬剤の毒性は1桁を上回っていることが最も好ましい。適切なプロドラッグには、ナイトロジェンマスタードプロドラッグおよび本明細書に参考として援用したW088/07378、W089/10140、W090/02729、W091/03460、EP-A-540263、W094/02450、W095/02420、W095/03830またはUS6004550に記載されたようなその他の化合物が含まれる。いかなるその他の化合物も、本発明の修飾CPG2によって変換を受けることが可能で、本発明の修飾CPG2と組み合わせた使用を考えることができる適切な毒性特性を実現することができる。
本発明が修飾CPG2に関する限りでは、このような修飾CPG2蛋白質または修飾CPG2蛋白質の断片を含有する組成物および関連組成物は、本発明の範囲内であると考えられる。他の態様では、本発明は修飾CPG2単位をコードする核酸に関する。さらに他の態様では、本発明は修飾CPG2蛋白質を使用したヒトの治療処置方法に関する。この態様では、修飾CPG2蛋白質は、抗体分子または抗体分子の断片と結合することが可能である。この結合は、化学的架橋結合によることが可能で、またはCPG2抗体は組換え融合蛋白質として産生することが可能である。融合分子は、修飾CPG2ドメインと融合分子のN末端に向かう方法に抗体ドメインを含有するが、反対方向も企図してもよい。
本発明の修飾CPG2分子に結合させるために望ましい抗体特性には、MFE23(Chester、K.A.等(1994) Lancet 343:455)、A5B7(W092/010159)、T84.66(US5081235)MN−14(Hansen、H.J. et al (1993) Cancer 71:3478〜3485),COL−1(US5472693)他を含めた数々の抗体によって例示されるような癌胎児抗原を標的とするものが含まれる。その他の所望する特異性には、内部移行していない抗原を標的とする抗体が含まれ、これには、抗体KS1/4(Spearman等(1987)J. Pharmacol. Exp. Therapeutics 241:695〜703) およびその他の抗体によって認識される40kDa糖蛋白質抗原などの抗原が含まれる。上皮細胞増殖因子受容体(HER1)またはHER2などの関連受容体などのその他の抗原を選択することが可能で、抗体14.18(US4675287、EP0192657)などの抗GD2抗体、または前立腺特異的膜抗原(US6107090)、IL−2受容体(US6013256)、A33抗原(Heath、J. K. et al(1997)Proc. Natl. Acad. Sci U.S.A.94:469〜474)、Lewis Y決定基、ムチン糖蛋白質またはその他に対する抗体を企図してもよい。
修飾CPG2蛋白質が抗体配列との融合で形成される場合はいずれも、T細胞エピトープまたはMHCクラスII分子に結合するか、またはT細胞を刺激することが可能であるか、あるいはMHCクラスII分子に関連してT細胞に結合することが可能な配列を除去した抗体配列を使用することが最も好ましい。
本発明の他の実施形態では、修飾CPG2蛋白質は非抗体蛋白質、さらには特定の標的細胞に対する特異的な結合相互作用を標的とすることができる蛋白質に結合することが可能である。このような蛋白質部分には、それに特異的な細胞表面受容体が存在し、したがって様々なサイトカイン、ペプチドおよびポリペプチドホルモンおよびその他の生物学的応答改変因子を含む様々なポリペプチドリガンドが含まれる。とりわけ顕著な例には、血管上皮細胞増殖因子、上皮細胞増殖因子、ヘレグリン、インターロイキン、インターフェロン、腫瘍壊死因子およびその他の蛋白質および糖蛋白質分子などの蛋白質が含まれる。これらおよび他の分子の本発明のCPG2との融合蛋白質を企図してもよく、蛋白質リガンドドメインに関してN末端またはC末端方向のいずれかに修飾CPG2部分を含んでもよい。同様に、修飾CPG2蛋白質に対する精製リガンドの化学的架橋結合を考慮することが可能で、本発明の範囲内である。
他の態様では、本発明の修飾CPG2蛋白質は、ヒドロキシプロピルメタクリルアミドなどの水溶性ポリマーまたはその他のポリマーを含有する複合体として使用することが可能で、修飾CPG2蛋白質はポリマーに共有結合しているか、またはポリマーと非共有結合によって相互作用している。このような実施形態ではさらに、ポリマーCPG2複合体と組み合わせて抗体または抗体の断片などの抗原結合ドメインを含めることが可能である。
本発明の他の実施形態では、修飾CPG2酵素の遺伝子は、それ自体遺伝子酵素プロドラッグ計画などの治療薬単位として使用することが可能で、ベクター内の組織特異的プロモータ配列に対する結合を含めることが可能で、またはベクター内のウイルス起源のプロモータから発現することが可能で、このベクター自体はウイルス由来でもよく、または細胞に感染できるウイルス粒子内に封入することが可能である。本発明は、ここで以下の実施例によって例示するが、限定はしない。これらの実施例は以下の図面を参考にする。
図1は、実施例2の方法によってナイーブT細胞増殖アッセイで使用した合成ペプチドを挙げた図である。ID#=各試験ペプチドの認識番号。ドナー#=特定のペプチドに対して刺激指数>1.95が採点されたドナーPBMC培養物を認識する。配列=1文字コードのペプチド配列。
図2は、異なる濃度の野生型または修飾CPG2蛋白質の存在下で培養したナイーブヒトPBMCを使用した免疫原性アッセイの結果を示したプロットの図である。この図は、応答した2種類のドナーPBMC試料の結果を示す。パネルA=ドナー#1。パネルB=ドナー#16。SI=刺激指数。
実施例1
コンピュータ手段によるCPG2蛋白質配列における潜在的MHCクラスIIリガンドの同定
MHCクラスII結合リガンドとして作用する可能性を備えたペプチド配列の分析方法は既に詳述されている(WO02/069232)。この方法を使用したソフトウェアツールは開発されており、CPG2蛋白質配列の分析に適用した。簡単に言うと、このソフトウェアはモデルMHCクラスII分子のライブラリーを含めたいくつかの要素から構成され、ヒト集団に存在する数多くのアロタイプ変異体を含めるために作製されており、ペプチド骨格構造のライブラリーは、理論的かつ公知の主鎖構造を含めるために作製されている。これらの要素を使用して、モデルMHCアロタイプ結合溝それぞれに結合する各主鎖構造の結果に基づいて、大きなデータセットを作製した。このデータセットにはまた、所与の位置に可能なアミノ酸全ての最良の側鎖構造が含まれる。(最適な構造の)ペプチド側鎖とMHC蛋白質との間の原子間距離はこのデータセットに蓄えられる。関心のある蛋白質の試験ペプチドは、その側鎖配列を主鎖全てに添加し、次に最適な側鎖コンホメーションを見出すためにデータセットを検索し、こうして各主鎖の「ペプチドスコア」を計算することによって分析する。最高のスコアを選択して表示し、入手できるMHCモデル構造それぞれについてこの方法を繰り返す。
アルゴリズムを完全なCPG2蛋白質配列の分析に適用した。分析によって、1個または複数のアロタイプに対する予測されるMHCクラスIIリガンドであることによって潜在的T細胞エピトープである多数の13マーペプチド配列を同定する。これらのペプチドを表1に示し、ペプチド配列は1文字コードを使用して示す。
実施例2
in vitro増殖アッセイで合成ペプチドおよびヒトナイーブPBMCを使用したT細胞エピトープの同定
MHC、ペプチドおよびT細胞受容体(TCR)の間の相互作用によって、T細胞認識の抗原特異性のための構造的基礎がもたらされる。T細胞増殖アッセイは、ペプチドのMHCに対する結合およびTCRによるMHC/ペプチド複合体の認識を試験する。この実施例のin vitro T細胞増殖アッセイには、抗原提示細胞(APC)およびT細胞を含有する末梢血単核細胞(PBMC)の刺激が必要である。刺激は、合成ペプチド抗原を使用して、実験によっては蛋白質抗原全体を使用してin vitroで実施される。刺激されたT細胞増殖は、3H−チミジン(3H−Thy)を使用して測定し、取り込まれた3H−Thyの存在は、洗浄した固定細胞をシンチレーションカウントして採点する。
提供された細胞は、National Blood Service (Addenbrooks Hospital、Cambride、UK)から入手した。Ficoll-paqueは、Amersham Pharmacia Biotech(Amersham、UK)から購入した。初代ヒトリンパ球培養用のL−グルタミン、ストレプトマイシン 50□g/ml、ゲンタマイシン 10□g/mlおよびヒト血清アルブミン 0.1%を含有する血清を含まないAIM V培地およびGibco−BRL(Paisley、UK)から購入した。合成ペプチドはEurosequence(Groningen、オランダ)およびBabraham Technix (Cambridge、UK)から入手した。
赤血球および白血球は、白血球層(バフィーコート)をゆっくり遠心することによって血漿および血小板から分離した。(血漿および血小板を含有する)上層は取り除き、廃棄した。赤血球および白血球は、Ficoll-paque (Amersham Pharmacia、Amersham UK)15ml上に積層する前に、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で1:1に希釈した。製造者推奨条件にしたがって遠心を実施し、PBMCを血清+PBS/Ficoll-paque界面から回収した。PBMCをPBSと混合し(1:1)、遠心によって収集した。上清を除去し、廃棄して、PBMCペレットをPBS 50mlに再懸濁した。細胞を再度遠心によってペレットにして、PBS上清を廃棄した。細胞は50mlのAIM V培地を使用して再懸濁して、この時点で計数して、トリパンブルー色素排除を使用して生存率を採点した。細胞を遠心によって再度収集し、上清を廃棄した。細胞は、凍結保存するために1ml当たり3×107個の密度で再懸濁した。保存培地は、熱で不活性化したABヒト血清(Sigma、Poole、UK)90%(v/v)およびDMSO(Sigma、Poole、UK)10%であった。細胞を凍結調整容器(Sigma)に移し、一晩−70℃に置いた。必要時に、細胞を37℃の水浴で迅速に解凍し、予備加温した10mlのAIM V培地に移した。
PBMC試料全ての組織型は市販の試薬系(Dynal、Wirral、UK)を使用してアッセイした。供給者推奨の方法および標準的補助試薬およびアガロース電気泳動系に従ってアッセイを実施した。CPG2エピトープ分析のために選択した20個のドナーPBMC試料からなる調査パネルの組織型を表6(以下)に同定し、様々なアロタイプを提供するために選択した。
Figure 2005510227
PBMCは96ウェルの平底プレートの中で、ウェル当たり2×105PBMCの密度で蛋白質およびペプチド抗原で刺激を受けた。PBMCを3H−Thy(Amersham-Pharmacia、Amersham、UK)でパルスする前に37℃で7日間インキュベートした。本研究では、完全なCPG2配列を包含し、さらにC末端6−Hisタグを含む合成ペプチド(15マー)を作製した。各ペプチドは12残基の連続したペプチドそれぞれが重複しており、すなわち、各ペプチドは3残基ずつ配列がずれていた。ペプチド配列および認識番号を図1に示す。各ペプチドを独立して20個のナイーブドナーから単離したPBMCに対してスクリーニングした。既に免疫原性があり、非再生抗原KLH能が示された2個の対照ペプチド(PKYVKQNTLKLAT)およびC49(KVVDQIKKISKPVQH)を各ドナーアッセイに使用した。ペプチドをDMSOに溶解して、最終濃度を10mMにして、次にこれらの保存溶液をAIM V培地で1/500に希釈した(最終濃度20μM)。ペプチドを平底96ウェルプレートに添加して、最終濃度を100μl中2μMおよび10μMにした。解凍したPBMCの生存率は、トリパンブルー色素排除によって採点し、次に細胞を2×106細胞/mlの密度で再懸濁して、ペプチドを含有した各ウェルに100μl(2×105PBMC/ウェル)を移した。3連のウェルの培養物それぞれのペプチド濃度を採点した。プレートをCO2 5%の湿潤雰囲気中で、37℃で7日間インキュベートした。細胞をウェル当たり3H−チミジン1μCiで18〜21時間パルスしてからフィルターマット上に収集した。CPM値は、Wallacマイクロプレートベータトッププレートカウンタ(Perkin Elmer)を使用して測定した。結果は、刺激指数(SI)で表し、SI=CPM 試験ペプチド/CPM未処理対照であった。
ナイーブT細胞増殖アッセイを使用してCPG2配列のT細胞エピトープをマッピングすると、いくつかの免疫原性領域の同定がもたらされた。個々のドナーにおいて有意な刺激指数を有するペプチドを図1に挙げる。ナイーブT細胞増殖アッセイの結果を使用して、CPG2蛋白質のエピトープマップを編集することができる。一般的に、このようなマップの編集には、陽性応答としてSI>1.95を使用する。
実施例3
CPG2遺伝子の産生
CPG2の元の配列は、シュードモナス種RS−16株(遺伝子バンク受け入れ番号AE002078)から得られた。アミノ酸390個の蛋白質配列を逆翻訳して、ヌクレオチド1170個のDNA配列を得た。逆翻訳(back-translated)は、市販のソフトウェア(DNAstar、Madison、WI、USA)およびE.coliで最も頻繁に使用されるコドンをベースにして蓄積された配列を使用して実施した。この配列を使用して、一連の24個の合成オリゴヌクレオチドを設計した。オリゴヌクレオチドの大きさは、ヌクレオチドの長さが50個から83個の範囲で、19個から25個のヌクレオチドの重複末端を有するように設計した。この遺伝子はまた、5’末端にAscI部位および3’末端にSacI部位を有するように設計し、プラスミドベクターへのクローニングを可能にした。これらのオリゴヌクレオチドを表7に挙げる。
Figure 2005510227
Figure 2005510227
この遺伝子は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって組み立てられた。以下で同定したオリゴヌクレオチドの異なる組み合わせを特徴とする4種の異なるPCR混合物(A、B、C、D)1組を蓄積した。いずれの場合も、反応を進めるプライマーは、各混合物中に高濃度で存在させる(50pmol)。以下に下線を引いて示す。
Figure 2005510227
完全なCPG2遺伝子は、前記反応の精製産物を使用して連結反応で形成し、隣接プライマーOL571およびOL572によって操作し、クローニング部位を導入した。PCRは、精度の高いポリメラーゼ(Promega、Southampton、UK)および酵素用反応緩衝液を使用して実施した。この反応は、以下に詳述したプログラムを実施する熱サイクルを使用して繰り返した。
PCRサイクルの条件は、
Figure 2005510227
組み立てたCPG2遺伝子をpGEMにサブクローニングして、配列分析によって配列を確かめた。CPG2の活性を試験するために、CPG2遺伝子を含有する細胞を葉酸 0.1%を含有するLB寒天に播種した(葉酸は、NaOH 1Mに溶解して、10%保存液を作製した)。次に、これらの37℃でインキュベートして、CPG2活性を有するコロニーを黄色のハローによって同定した。このハローは、葉酸が加水分解したときに沈殿するプテロイン酸(pteroic acid)である。
実施例4
CPG2遺伝子の部位特異的変異誘発
クローニングした活性CPG2遺伝子は、QuickChange(商標)部位特異的変異誘発キット(Stratagene、LaJolla、CA)を使用した遺伝子の変異変異体作製の鋳型として使用した。精度の高い熱安定なポリメラーゼを使用して、ベクターの反対の鎖に相補的で、所望する変異を含有するオリゴヌクレオチドプライマー対を延長する。プライマーを取り込むことによって、ねじれた切れ目を含有する変異ベクターが生じる。親DNAは、メチル化DNAおよびヘミメチル化DNAに特異的なDpnIエンドヌクレアーゼを使用して消化し、次に所望する変異を取り込んだ切れ目の入ったベクターDNAをコンピテントE.coli細胞に形質転換する。鋳型それぞれに点突然変異を導入するように設計した16対のオリゴヌクレオチドプライマーを使用した。オリゴヌクレオチド配列を表8に示す。
Figure 2005510227
Figure 2005510227
実施例5
組換えCPG2の発現および精製
変異CPG2遺伝子をコード領域に隣接したAscI/SacI制限部位を使用して発現ベクターにクローニングした。ライゲーション混合物を使用してE.coli細胞を形質転換した。いくつかのアンピシリン耐性クローンをアンピシリン 50〜100μg/mlを含有するLBプレートで選択した。これらの組換え挿入物の存在および方向を分析して、Hisタグを有するフレーム内にあることを確かめた。正確な方向を確認した後、細胞を37℃で増殖させ、発現を誘導して、遠心によって収集した。発現は、SDS−PAGEゲルで溶解細胞試料を分析し、クマジーブルーで染色することによって確認した。発現量は、その後の組換え蛋白質精製のために細胞培養50mlに拡大した。
6個のHisタグを付けたCPG2蛋白質はProBond(商標)精製システム(Invitrogen、Carlsbad、CA)および供給元推奨の方法を使用して精製した。簡単に言うと、遠心によって培養物50mlから細胞を収集し、結合緩衝液に再懸濁し、細胞溶解した。溶解物は、ゆっくり撹拌しながら60分間精製カラム樹脂に結合させた。樹脂を洗浄して、組換え蛋白質は溶出緩衝液を使用して溶出させた。以前のようにSDS−PAGEおよびクマジー染色を使用して試料を分析した。精製蛋白質の濃度は、分光光度計を使用して測定した。
実施例6
ヒトPBMCのin vitro増殖アッセイを使用した、修飾CPG2蛋白質の免疫原性の減少の明示
修飾蛋白質は実施例3〜5の方法に従って調製した。この修飾蛋白質には、多数置換された野生型配列が含まれていた。陽性対照蛋白質は野生型CPG2とした。
T細胞増殖アッセイでは、健康なドナーの(ウェル当たり)PBMC4×106個をバルク培養2ml(24ウェルプレート)において未修飾および修飾抗体と共にインキュベートした。それぞれのドナー培養物を5および50μg/mlの修飾および未修飾CPG2で処理した。さらに、未処理対照バルク培養を維持して、刺激指数の測定を可能にした。5、6、7および8日目に、各バルク培養物をゆっくり撹拌して、増殖指数を測定するために試料50μlを3連ずつ取り出した。この試料50μl部分それぞれをU底96ウェルプレートの3個のウェルに移した。新鮮なAIM V培地(130μl)を各96ウェルに添加した。細胞をウェル当たり[3H]チミジン 1μCiでパルスし(18〜21時間)、AIM V培地全量20μlで希釈した。各培養物の全量は200μlであった。CPM値は、ベータ−プレートリーダーを使用して収集し、各時点の刺激指数は実施例2によって決定した。
時点毎および処理毎のSIをプロットした。応答ドナーにおいて、野生型CPG2で処理すると有意な増殖応答が引き起こされ、7日目にピークに達する。同様のドナーで本発明の修飾CPG2組成物で処理すると、有意な増殖応答はもたらされない。この結果は、修飾CPG2蛋白質では免疫原性能が減少していることを示している。応答ドナー#1および#16のプロットを図2に示す。
実施例2の方法によってナイーブT細胞増殖アッセイで使用した合成ペプチドを挙げた図である。 異なる濃度の野生型または修飾CPG2蛋白質の存在下で培養したナイーブヒトPBMCを使用した免疫原性アッセイの結果を示したプロットの図である。

Claims (19)

  1. インビボで使用した時に、本質的に同様の生物学的特異性を有する非修飾の相当物に比べ免疫原性が低いまたは実質的に非免疫原性であり、かつ非修飾親酵素と比較して修飾を有する特異的なアミノ酸残基を含む、修飾細菌酵素カルボキシペプチダーゼG2(CPG2)であって、親酵素中ではMHCクラスII結合リガンドとして作用しT細胞を刺激するT細胞エピトープ配列が、前記改変により、1個または複数減少または消失している修飾細菌酵素CPG。
  2. 前記改変を、CPG2野生型配列からの以下の連続したアミノ酸残基鎖の1個または複数の位置で行われる、請求項1に記載の修飾CPG2分子。
    Figure 2005510227
  3. 前記T細胞エピトープ配列が、13マー(13mer)または15マーペプチドであり、かつ表1または表2のいずれかから選択される、請求項1に記載の修飾CPG2分子。
  4. 前記改変は、1〜9個のアミノ酸残基の置換である請求項1〜3のいずれかに記載の修飾CPG2分子。
  5. 前記置換は、表4または表5のいずれかから選択される請求項3に記載の修飾CPG2分子。
  6. アミノ酸残基の1個または複数のさらなる改変を含み、前記改変は該分子の生物活性を回復させるために実施する請求項1〜5のいずれかに記載の修飾CPG2分子。
  7. 細菌酵素カルボキシペプチダーゼG2(CPG2)の生物活性および以下のアミノ酸配列:
    Figure 2005510227
    [式中、X0は任意選択で抗体ドメインなどの標的部分であり、および
    1はI,T;X2はL,A;X3はM,K;X4はL,I;X5はY,T;X6はI,A;X7はV,A;X8はL,A;X9はK,T,A;X10はK,T;X11はL,M,A;X12はL,T,A;X13はL,G,T;X14はI,T,A;X15はV,A;X16はL,T,G;X17はF,A;X18はL,A;X19はL,A;X20はV,A;X21はL,A;X22はV,T,A;X23はL,A;X24はW,A,H;X25はI,A;X26はN,T,A;X27はV,T;X28はN,T,A;X29はI,T,A;X30はI,T,A;X31はL,T,A,I;X32はV,A;X33はV,A;X34はK,T;X35はL,A;X36はV,A;X37はV,S,T,A;X38はY,T,A;X39はY,S,T,A;
    および同時に以下の場合となることは除外される;
    Figure 2005510227
  8. ヒトT細胞の誘導細胞増殖の生物アッセイにおいて全蛋白質として試験したとき、同じドナーからの細胞を使用して並行して試験した親酵素より小さい刺激指数を示す、請求項1〜7のいずれかに記載の修飾CPG2酵素であって、前記指数は前記蛋白質による刺激の後に採点され、蛋白質を受容していない対照細胞で採点された細胞増殖の値によって除した細胞増殖の値として求められ、細胞増殖は任意の適切な手段によって測定する前記酵素。
  9. 請求項1から8のいずれかで定義されたCPG2分子をコードするDNA配列。
  10. 薬剤として許容される担体、希釈剤または賦形剤と、場合により一緒に用いる前記クレームのいずれかの修飾CPG2分子を含む医薬組成物。
  11. MHCクラスIIへの潜在的な結合活性能を有し、非修飾CPG2酵素の1次配列から作製されることによって、細胞増殖の生物アッセイにおいて少なくとも1.8〜2までの刺激指数を有する、9〜15個の連続したアミノ酸残基から成るペプチド分子であって、前記指数は前記ペプチドによる刺激の後に採点され、ペプチドを受容していない対照細胞で採点された細胞増殖の値によって除した細胞増殖の値として求められ、細胞増殖は任意の適切な手段によって測定する前記ペプチド分子。
  12. 前記刺激指数が2より大きい請求項11に記載のペプチド分子。
  13. 表1または表2に示す連続したT細胞エピトープ配列の群から選択される、請求項11または12に記載のペプチド分子。
  14. アミノ酸置換によって請求項11〜13のいずれかのペプチド分子から得られた修飾ペプチド分子であって、発現したMHCクラスII結合活性能が刺激指数2未満に減少しているか、またはなくなっており、前記指数はペプチドによる刺激の後に採点され、ペプチドを受容していない対照細胞で採点された細胞増殖の値によって除した細胞増殖の値として求められ、細胞増殖は任意の適切な手段によって測定する前記修飾ペプチド分子。
  15. 前記刺激指数が2未満である請求項14に記載の修飾ペプチド分子。
  16. インビボで使用したとき、非修飾CPG2酵素に比べて免疫原性が低いまたは実質的にない修飾CPG2酵素を製造するための請求項11〜15のいずれかに記載のペプチドの使用。
  17. 患者にワクチン接種するために、インビボにおけるCPG2に対する免疫原性を減少させるための請求項11〜13のいずれかに記載のペプチドの使用。
  18. 請求項11〜15のいずれかのペプチドをコードするDNA配列。
  19. 薬剤として許容される担体、希釈剤または賦形剤と、場合により一緒に用いる請求項11〜15のいずれかのペプチドを含む医薬組成物。
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