JP2005535304A - 低減された免疫原性を有する修飾されたbryodin1 - Google Patents

低減された免疫原性を有する修飾されたbryodin1 Download PDF

Info

Publication number
JP2005535304A
JP2005535304A JP2004510834A JP2004510834A JP2005535304A JP 2005535304 A JP2005535304 A JP 2005535304A JP 2004510834 A JP2004510834 A JP 2004510834A JP 2004510834 A JP2004510834 A JP 2004510834A JP 2005535304 A JP2005535304 A JP 2005535304A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
bryodin
peptide
molecule
sequence
protein
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2004510834A
Other languages
English (en)
Inventor
マシュー ベーカー、
フランシス ジェイ. カー、
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Merck Patent GmbH
Original Assignee
Merck Patent GmbH
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Merck Patent GmbH filed Critical Merck Patent GmbH
Publication of JP2005535304A publication Critical patent/JP2005535304A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K47/00Medicinal preparations characterised by the non-active ingredients used, e.g. carriers or inert additives; Targeting or modifying agents chemically bound to the active ingredient
    • A61K47/50Medicinal preparations characterised by the non-active ingredients used, e.g. carriers or inert additives; Targeting or modifying agents chemically bound to the active ingredient the non-active ingredient being chemically bound to the active ingredient, e.g. polymer-drug conjugates
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/415Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from plants
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K48/00Medicinal preparations containing genetic material which is inserted into cells of the living body to treat genetic diseases; Gene therapy
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P43/00Drugs for specific purposes, not provided for in groups A61P1/00-A61P41/00
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Botany (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Abstract

本発明は、インビボで使用した時に、非修飾の相当物に比べて免疫原性が低い、または実質的に非免疫原性である、bryodin 1タンパク質の変異体をもたらすbryodin 1の修飾に関する。本発明はさらに、前記非修飾タンパク質に由来するT細胞エピトープペプチドに関し、これにより免疫原性の低減された修飾bryodin 1変異体の作成を可能にするものである。

Description

本発明は、特にヒトに投与され、そしてとりわけ治療に使用するポリペプチドに関する。このポリペプチドは修飾されたポリペプチドであり、この修飾により、ポリペプチドがヒトに投与された際に免疫反応を誘発する傾向が低減するという結果をもたらす。本発明は特に、インビボで使用した時に、非修飾の相当物に比べて免疫原性が低い、または実質的に非免疫原性である、bryodin 1タンパク質の変異体をもたらすbryodin 1の修飾に関する。本発明はさらに、前記非修飾タンパク質に由来するT細胞エピトープペプチドに関し、これにより免疫原性の低減された修飾bryodin 1変異体の作成を可能にするものである。
治療用タンパク質に対して望ましくない免疫反応が起こるために、治療用タンパク質の有効性が制限される例が多々ある。いくつかのマウスモノクローナル抗体はヒトの多数の疾病症状において治療剤としての見込みを示すが、ヒト抗マウス抗体(HAMA)反応が著しく誘導するため失敗したケースもある[Schroff,R.W. et al(1985)Cancer Res.45:879-885;Shawler,D.L. et al(1985)J.Immunol. 135:1530-1535]。モノクローナル抗体については、HAMA反応を低減させようと多数の技術が開発されている[WO 89/09622;EP 0239400;EP 0438310;WO 91/06667]。これらの組換えDNA手法は、一般に最終的な抗体コンストラクトにおいてマウス遺伝子情報を低減させる一方、最終コンストラクト中のヒト遺伝子情報を増加させるものである。それにもかかわらず、得られた「ヒト化」抗体は、依然として患者に免疫反応を誘発する場合があった[Issacs J.D.(1990)Sem.Immunol.2:449、456;Rebello,P.R. et al(1999)Transplantation 68:1417-1420]。
抗体は、治療剤として投与した際にそれに対して免疫反応が発動し得る唯一の種類のポリペプチド分子ではない。ヒトに由来する、しかも人体内に存在するのと同じアミノ酸配列を有するタンパク質でさえ、人体内で免疫反応を引き起こすことがある。顕著な例としては、とりわけ、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子[Wadhwa,M. et al(1999)Clin.Cancer Res. 5:1353−1361]やインターフェロンアルファ2[Russo,D. et al(1996)Bri.J.Haem. 94:300-305;Stein,R. et al(1988)New Engl.Med.318:1409-1413]の治療上の使用が挙げられる。
免疫反応誘導の主要な要因は、MHCクラスII分子上での提示を介してT細胞活性を刺激し得るペプチド、いわゆる「T細胞エピトープ」がタンパク質内に存在することである。このような潜在的T細胞エピトープは、MHCクラスII分子に結合する能力を備えた任意のアミノ酸残基配列として一般に定義される。このようなT細胞エピトープは、MHC結合を確立することで測定できる。暗黙にではあるが、「T細胞エピトープ」は、MHC分子に結合する際、T細胞レセプター(TCR)によって認識され、少なくとも原理的には、TCRと結びつきT細胞応答を促進することによって、これらT細胞の活性化を引き起こし得るエピトープを意味する。しかし、MHCクラスII分子に結合することが判明しているある種のペプチドはタンパク質配列中に保持されているものと通常理解されており、このようなペプチドは、最終タンパク質が投与される有機体内で「自己」として認識される。
これらのT細胞エピトープペプチドのある種は、細胞内でのペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質の分解中に放出され得るものであり、続いてT−細胞の活性化を起動すべく主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子によって提示されることが知られている。MHCクラスIIによって提示されたペプチドの結果として、T細胞のこのような活性化は、次いで、例えばB細胞の直接の刺激による抗体応答を引き起こし、そうした抗体を産生する。
MHCクラスII分子は、ヘルパーT細胞の選択および活性化に中心的な役割を果たす高度に多型的なタンパク質のグループである。ヒトの白血球抗原グループDR(HLA−DR)はこのグループタンパク質で優性なアイソタイプで、本発明の主な着目点である。しかしながら、アイソタイプHLA−DQおよびHLA−DPも同様の機能を果たし、したがって本発明はこれらにも等しく適用可能である。MHCクラスII DR分子は、アルファ鎖およびベータ鎖で形成され、それらのC末端は細胞膜を通して挿入される。各ヘテロダイマーは、9〜20個の範囲のアミノ酸長のペプチドに結合するリガンド結合領域を有するが、結合溝に収容できるのは最高11個のアミノ酸である。リガンド結合領域は、アルファ鎖の1〜85個のアミノ酸およびベータ鎖の1〜94個のアミノ酸が含まれる。DQ分子は、相同的な(homologous)構造を有することが最近示されており、DP族タンパク質も非常に類似していると予想される。ヒトでは、DRアイソタイプのおよそ70種類の異なるアロタイプが知られており、DQについては30種類の異なるアロタイプが、また、DPについては47種類の異なるアロタイプが知られている。各個人は2〜4個のDR対立遺伝子、2個のDQおよび2個のDP対立遺伝子を有する。多数のDR分子の構造が解明されており、それらの構造は、ペプチドの疎水性残基(ポケット残基)と結合する多数の疎水性ポケットを有する開放端のペプチド結合溝を指している[Brown et al Nature (1993)364:33;Stern et al(1994) Nature 368:215]。
クラスII分子の様々なアロタイプを識別する多型は、ペプチド結合溝内の様々な異なるペプチド結合表面に寄与し、集団レベルで外来タンパク質を認識し病原性有機体への免疫反応を引き起こす能力に関する最大の柔軟性を保証する。リガンド結合領域には相当な量の多型が存在し、これは異なる地理的な集団および民族グループ内で区別される「ファミリー」を備えている。この多型は、ペプチド結合領域の結合特性に影響し、したがって、DR分子の異なる「ファミリー」は、幾分かは重複があるかもしれないが、異なる配列特性を備えたペプチドに対して特異性を有するであろう。この特異性は、Th細胞エピトープの認識(クラスII T細胞反応)を決定し、これは最終的には、Th細胞エピトープが由来するのと同じタンパク質上に存在するβ細胞エピトープに対する抗体反応を駆動する原因となる。したがって、個人におけるタンパク質への免疫反応は、その個人のHLA−DRアロタイプのペプチド結合特異性によって決まるT細胞エピトープ認識によって重大な影響を受ける。ゆえに、世界的な人口レベルにおいてタンパク質またはペプチド内のT細胞エピトープを識別するためには、HLA−DRアロタイプのできるだけ多様なセット(それにより世界人口のできるだけ高い割合をカバーする)の結合特性を考慮することが望ましい。
治療タンパク質に対する免疫反応は、MHCクラスIIペプチド提示経路経由で進行する。ここに外来タンパク質は、DR、DQまたはDPタイプのMHCクラスII分子と連携した提示のために飲み込まれ処理される。MHCクラスII分子は、とりわけマクロファージおよび樹状細胞などの専門的な抗原提示細胞(APC)によって発現される。T細胞表面上の同族のT細胞レセプターによるMHCクラスIIペプチド複合体の結合は、CD4分子などの他のある種のコレセプターの相互結合を伴って、T細胞内での活性化状態を引き起こすことができる。活性化は、サイトカインの放出をもたらし、B細胞などの他のリンパ細胞をさらに活性化して抗体を産生するか、完全な細胞性免疫反応としてTリンパ球を活性化する。
ペプチドがAPC表面における提示用の所与のMHCクラスII分子と結合する能力は、多数の要因(最も顕著にはその1次配列)に依存する。これは、MHCクラスII分子のペプチド結合溝(cleft)内でのタンパク質分解による切断およびその結合親和性の両者に影響を及ぼすことになる。APC表面上のMHCクラスII/ペプチド複合体は、特別なT細胞レセプター(TCR)が、露出したペプチド残基およびMHCクラスII分子の両方によって提供される決定基(determinant)を認識することができるように結合面を提示する。
当技術分野では、MHCクラスII分子に結合できる合成ペプチドを識別するための操作手順が存在する(例えば、WO98/52976およびWO00/34317)。そのようなペプチドは、必ずしもすべての状況下で(特にインビボでは処理経路または他の現象により)T細胞エピトープとして特に機能しないかもしれない。T細胞エピトープ識別はエピトープ除去に向けての最初のステップである。タンパク質からの潜在的なT細胞エピトープの識別および除去はすでに示されている。当技術分野では、通常、実験的に決定されたT細胞エピトープ中で認識された配列モチーフを走査する計算手段により、あるいはMHCクラスII結合ペプチドおよび特にDR結合ペプチドクラスを予想するために計算上の技術を用いることにより、T細胞エピトープの検知を可能にする方法が提供された。
WO98/52976とWO00/34317は、ポリペプチド配列がヒトのMHCクラスII DRアロタイプのサブセットに結合する可能性を識別するための計算によるスレッディング(computational threading)手法を教示する。これらの教示では、予想されたT細胞エピトープは、ヒト由来および非ヒト由来の治療用抗体または非抗体タンパク質の1次配列内で慎重なアミノ酸置換を用いることによって除去される。
合成ペプチドとの組み合わせで、ヒトまたは実験動物の末梢血試料から得られたT細胞クローンと結合し得る組換えMHC分子の可溶性複合体を開発する他の技術が、当技術分野で使用されている[Kern,F. et al(1998)Nature Medicine 4:975-978;Kwok,W.W. et al(2001)TRENDS in Immuology 22:583-588]。例えば、タンパク質全体または合成ペプチドもしくは変異体分子の興味のあるタンパク質への使用を含む、上記の技術および他のスキームは、T細胞に結合するか刺激する能力を有する分子を分析するかもしれないし、エピトープ識別戦略において同様に開発されるかもしれない。
上記のように、およびその結果として、基本的に治療上価値があるが本来は免疫原性であるペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質からT細胞エピトープを識別しさらに除去または少なくとも低減することが望ましいであろう。
これらの治療上有益な分子のうちの1つはbryodin 1である。本願発明は、1個または複数のT細胞エピトープが除去された、修飾されたbryodin 1を提供する。Gawlak他によるbryodin 1タンパク質の配列は、以下に示す一文字コードにより示されている[Gawlak,S. et al (1997) Biochemistry 36:3095-3103]:
Figure 2005535304
bryodin 1タンパク質は、およそ29,000Daの分子量を有する267アミノ酸のポリペプチドである。bryodin 1は、元々は植物Bryonia dionica[US,5541110]の根から単離されたタイプ1のリボソーム不活性タンパク質(RIP)である。生細胞に対するこれらの毒性のために、該タンパク質および他のRIPにかなり興味がある。特に、細胞特異的標的ドメインと融合した組換え型(例えば抗体)は、多くの治療領域において潜在的な価値を有し、特定の細胞集団を選択的に殺すことは望ましい結果である。本願発明の特別な目的は、免疫特性を潜在的なT細胞エピトープの数を減少させることにより修正する修飾されたbryodin 1タンパク質を提供することである。
他にも、bryodin分子、および特に組み換えbryodin 1を提供するものはある[US,5541110;US,5932447]が、しかし、これらの教示はいずれも、タンパク質の免疫原特性に対するT細胞エピトープの重要性を認識するものではないし、本発明のスキームに従って特異的かつ制御されたかたちでこうした特性に直接影響を及ぼすとは考えられていない。対照に、2000年6月15日に発行されたPCT特許明細書WO00/34317には、位置5,6, 18, 27, 111, 164, 216, 222, 237および249で置換されているものを含む修飾bryodin 1分子を開示している。該置換体はイン・シリコ(in silico)モチーフ照合ツールを基にして選択されているが、生物学的アッセイにおいて検出されたほとんどの生物学的に関連のあるMHCクラスIIとは対応しないし、このことはここで初めて開示する。さらに、本願発明は目的の分子に置いて生物学的に関連のあるエピトーブと思われる配列を開示し、発明者らは、α-trichosanthin(α−トリコサンチン)、α-momorcharin(α−モモルカリン)及びβ-momorcharin(β−モモルカリン)と言う名の関連タンパク質とほぼ同一の配列であることを認識しており、従って、これらのタンパク質についても構造的な同一性により関連エピトープである。
特性の強化されたbryodin 1類似体には継続的な需要がある。強化が望まれている点としては、前記治療剤の発現および精製のための別スキームおよび精製の様式(modality)が含まれるが、また特に、タンパク質の生物学的特性における改良も含まれる。ヒトに投与した際のインビボ特性の改善は特に必要である。この点では、ヒトに免疫反応を引き起こす可能性が低減されているか可能性のないbryodin 1の提供が強く望まれている。
(発明の詳細な説明)
本発明は、bryodin 1の修飾形(潜在的なT細胞エピトープの数の低減によって免疫の特性は修正されているもの)を提供する。
本発明は、MHCクラスII結合能力により潜在的なT細胞エピトープであるbryodin 1の1次配列内に識別された配列を開示する。この開示は、特に、N末端プロペプチドのすべてを含んだ267アミノ酸残基を含むbryodin 1タンパク質に関する。
本発明は、ヒトにおいて免疫原性であるbryodin 1の一次配列の主要な領域を開示しており、従ってこれらの領域において効果的な免疫原性を除去または減少させる配列の修飾を導くことを要求されている重要な情報を提供する。
一つの実施形態としては、該免疫原性領域を含む合成ペプチドは分子全体に対して免疫寛容原を促進させる目的のある医薬組成物を提供することができる。
更なる実施形態として、ここで開示されているエピトープ領域内で修飾されたbryodin 1分子は医薬組成物として用いることができる。
要約すると、本発明は以下の対象となる事項に関する:
・ナイーブT細胞アッセイにおける合成ペプチドのパネルを用いたbryodin 1の免疫原性領域のマッピング;
・ナイーブT細胞アッセイにおいて、およそ2より大きい刺激指数を起こすことが見られるbryodin 1由来ペプチド配列;
・bryodin 1アミノ酸配列の修飾形を含み、bryodin 1に応答するドナーからの細胞を用いたT細胞増殖アッセイにおいて野生型bryodin 1アミノ酸配列により引き起こされた刺激指数よりも低い値の刺激指数を引き起こすことができる分子;
・bryodin 1の生物活性を有し、インビボで使用した時に実質的に免疫原性でないか、同じ生物活性を有する非修飾分子と比較して免疫原性の小さい修飾された分子;
・これに応じた特定の分子(本来の非修飾分子に由来する1個または複数のT細胞エピトープの除去により、前記免疫原性の喪失が達成されているもの);
・これに応じた特定の分子(前記分子に由来するペプチドを結合し得る多数のMHCアロタイプの低減により、前記免疫原性の喪失が達成されるもの);
・これに応じた特定の分子(もともと存在するT細胞エピトープがクラスII上での提示を介してT細胞を刺激するか結合する能力を示すMHCクラスIIリガンドであるかペプチド配列であるもの);。
・これに応じた特定の分子(前記ペプチド配列が図1に記載される群から選択されるもの);
・これに応じた特定の分子(1〜9個のアミノ酸残基、好ましくは本来存在するT細胞エピトープのうちのいずれか1つのアミノ酸残基が変更されたもの);
・これに応じた特定の分子(アミノ酸残基の変更が、特定の位置において本来存在するアミノ酸残基を他のアミノ酸残基によって置換、付加または欠失したもの);
・これに応じた特定の分子(必要であれば、加えて、特定のアミノ酸の通常、置換、付加または欠失によるさらなる変更が、前記分子の生物活性を回復するようにされているもの);
・図1の何れかのペプチド配列と90%より大きい同一性を有する上記ペプチド分子;
・図1の何れかのペプチド配列と80%より大きい同一性を有する上記ペプチド分子;
・MHCクラスIIと結合することができる上記ペプチド配列;
・これに応じた特定のbryodin 1分子(1つまたは複数のアミノ酸置換が図1の中で特定されたアミノ酸の何れかに対応する位置で行われるもの);
・変更が以下に示す配列(a), (b), (c), (d)または(e)の連続する残基の列の何れかまたはすべてを用いた一つまたは複数の残基でなされる、これに応じた特定の分子であって、該配列はbryodin 1野生型配列由来であり、一文字コードを用いて以下に示す;
Figure 2005535304
・上記配列(a), (b), (c), (d)または(e)の13−15の連続した残基を含むペプチド分子;
・上記配列(a), (b), (c), (d)または(e)の少なくとも9の連続した残基を含むペプチド分子;
・上記(a), (b), (d)または(e)由来のペプチド配列のいずれかと90%より大きいアミノ酸同一性を有する上記ペプチド分子;
・上記(a), (b), (c), (d)または(e)由来のペプチド配列のいずれかと80%より大きいアミノ酸同一性を有する上記ペプチド分子;
・MHCクラスIIと結合することができる上記のペプチド配列;
・これに応じた特定のbryodin 1分子(1つまたは複数のアミノ酸置換が、上記(a), (b), (c), (d)または(e)の配列内で特定されたアミノ酸の何れかに対応する位置で行われる);
・これに応じた特定のbryodin 1分子(1つまたは複数のアミノ酸置換が、上記(a)およびまたは(e)の配列内で特定されたアミノ酸の何れかに対応する位置で行われる);
・これに応じた特定のbryodin 1分子(1つまたは複数のアミノ酸置換が、上記(a)およびまたは(e)の配列内で特定されたアミノ酸の何れかに対応する位置で行われ、追加の置換が上記(c)及びまたは(d)で行われる);
・上記で特定されている配列(a), (b), (c), (d)または(e)の何れかの少なくとも9の連続した残基からなるペプチド配列及び、非修飾分子と比較して免疫原性が低いまたは実質的に非違免疫原性でありインビボで使用した時にタイプ1 RIPの生物活性を有するbryodin 1、α-trichosanthin, α-momorcharinまたはβ-momorcharinの製造のためのそれらのペプチド配列の使用;。
・MHCクラスII結合活性を有する上記ペプチドまたは修飾ペプチドのいずれかを含む医薬組成物;
・上記及び下記に定義されている該特定の修飾分子のいずれかをコードするDNA配列または分子;
・bryodin 1の生物活性を有する修飾分子を含む医薬組成物;
・上記および/またはクレーム中に定義されている医薬組成物であって、任意に薬剤的に許容される担体、希釈剤および賦形剤を含む;
・以下のステップを含む、特許請求の範囲の請求項のいずれかに定義されるbryodin 1の生物活性を有する修飾された分子の製造方法:(i)ポリペプチドまたはその一部のアミノ酸配列を決定すること;(ii)インビトロ(in vitro)またはインシリコ(in silico)技術を用いるか生物学的アッセイを用いて、ペプチドのMHC分子への結合を測定することを含む任意の方法により、タンパク質のアミノ酸配列内の1つまたは複数の潜在的なT細胞エピトープを識別すること;(iii)インビトロまたはインシリコ技術を用いるか生物学的アッセイを用いて測定されたペプチドのMHC分子への結合により示されるT細胞エピトープの活性を実質的に低減するか除去するように、識別された潜在的なT細胞エピトープ内において1つまたは複数のアミノ酸が修飾(変更)された新規な配列変異体を設計すること;(iv)組換えDNA技術によってそのような配列変異体を構成し、所望の特性を備えた1つまたは複数の変異体を識別するために前記変異体を試験すること;および(v)場合によってはステップ(ii)〜(iv)を繰り返すこと;
・ステップ(iii)が本来存在するT細胞エピトープのうちのいずれかにおいて1〜9個のアミノ酸残基の置換、付加または欠失により行われる、これに応じた特定の方法;
・変更が、同族体タンパク質配列に関して、および/またはインシリコモデリング技術において行われる、これに応じた特定の方法;。
・これに応じた特定の方法であって、上記のステップ(ii)が以下のステップ:(a)既知のアミノ酸残基配列を有するペプチド領域を選択すること;(b)予め定義した均一サイズを有し、少なくとも3個のアミノ酸残基によって構成される重複したアミノ酸残基セグメントを選択された領域から連続的にサンプリングすること;(c)サンプリングされた前記セグメント中に存在する個々の疎水性アミノ酸残基側鎖に対し割り当てられた値を合計することにより、サンプリングされた前記セグメントの各々についてMHCクラスII分子結合スコアを計算すること;および(d)実質的にペプチドの治療上の有用性を低減させずに、ペプチドに対するMHCクラスII結合スコア全体を変更するために、そのセグメントについて計算されたMHCクラスII結合スコアに基づいて、修飾に適した前記セグメントの少なくとも1つを識別することにより実行され;ステップ(c)を、好ましくは、12−6ファンデアワールスのリガンド−タンパク質エネルギー反発項およびリガンド立体構造のエネルギー項を含むように修飾されたベームスコアリング関数(Boehm scoring function)を用い、(1)MHCクラスII分子モデルの第1のデータベースを提供すること;(2)前記MHCクラスII分子モデルについて許容されるペプチド骨格の第2のデータベースを提供すること;(3)前記第1のデータベースからモデルを選択すること;(4)前記第2のデータベースから許容されるペプチド骨格を選択すること;(5)サンプリングされた各セグメント中に存在するアミノ酸残基側鎖を識別すること;(6)サンプリングされた各セグメント中に存在するすべての側鎖に対する結合親和性値を決定すること;および前記各モデルと各骨格についてステップ(1)〜(5)を繰り返すことによって実行する方法;
・潜在的なMHCクラスII結合活性を有し、非修飾bryodin 1から作製され、図1に記載された群から選択される13merのT細胞エピトープペプチド、および、インビボで使用した時に、同一の生物活性を有する非修飾の分子よりも免疫原性が低いまたは実質的に非免疫原性であるbryodin 1製造のためのその使用;
・図1の配列の何れかに由来する13merのT細胞エピトープペプチドのうち少なくとも9個の連続するアミノ酸残基からなるペプチド配列、およびインビボで使用した時に、非修飾の分子よりも免疫原性が低いまたは実質的に非免疫原性であり、bryodin分子の生物活性を有する、bryodin 1製造のためのその使用。
・式Iの構造を有するbryodin 1分子:
Figure 2005535304
ここで、
0は、水素または抗体ドメインのような標的部分;
1は、最も好ましくはAであるが、GおよびPもまた考えられる;
2は、最も好ましくはMであるが、A,G,PおよびIもまた考えられる;
3は、最も好ましくはAであるが、GおよびPもまた考えられる;
4は、最も好ましくはPであるが、Yもまた考えられる;
5は、最も好ましくはTであるが、Sもまた考えられる;
6は、Pである;
7は、最も好ましくはAであるが、PおよびGもまた考えられる;
8は、最も好ましくはAであるが、PおよびGもまた考えられる;
9は、最も好ましくはAであるが、P,G,H,D,E,N,Q,K,R,SおよびTもまた考えられる;
10は、最も好ましくはAであるが、PおよびGもまた考えられる;
11は、最も好ましくはAであるが、PおよびGもまた考えられる;
12は、最も好ましくはAであるが、P,S,T,HおよびKもまた考えられる;
13は、Tである;
14は、Hである;
15は、Sである;
16は、最も好ましくはAであるが、S,T,P,N,D,E,G,H,KおよびQもまた考えられる;
17は、Tである;
18は、最も好ましくはAであるが、Pもまた考えられる;
19は、最も好ましくはAであるが、I,F,G,M,P,V,WおよびYもまた考えられる;
20は、最も好ましくはFであるが、PおよびWもまた考えられる;
21は、最も好ましくはAであるが、PおよびGもまた考えられる;
22は、最も好ましくはGであるが、AおよびPもまた考えられる;
23は、最も好ましくはGであるが、AおよびPもまた考えられる;
24は、最も好ましくはAであるが、PおよびGもまた考えられる;
25は、最も好ましくはAであるが、P,G,SおよびTもまた考えられる;
26は、最も好ましくはAであるが、I,M,S,T,PおよびGもまた考えられる;
27は、最も好ましくはAであるが、GおよびPもまた考えられる;
28は、最も好ましくはSであるが、A,G,P,T,H,D,N,Q,KおよびRもまた考えられる;
29は、最も好ましくはTであるが、A,G,S,P,H,K,R,D,E,NおよびQもまた考えられる;
30は、最も好ましくはAであるが、G,S,T,P,K,R,H,D,E,NおよびQもまた考えられる;
31は、Qである;
32は、最も好ましくはHであるが、D,E,F,L,N,P,S,WおよびYもまた考えられる;
33は、最も好ましくはTであるが、A,G,P,D,E,H,K,R,N,Q,SおよびTもまた考えられる;
34は、最も好ましくはDであり、同時に
Figure 2005535304
は除外される。
「T細胞エピトープ」という用語は、本発明についての理解によれば、MCH IIを結合可能で、T細胞を刺激するおよび/または(必ずしも測定可能な程度に活性化せずに)T細胞を複合体中でMHC IIに結合可能であるアミノ酸配列を意味する。
本明細書および添付する特許請求の範囲において「ペプチド」という用語は、2個以上のアミノ酸を含む化合物である。アミノ酸はペプチド結合(以下に定義される)によって互いに連結される。ペプチドの生物学的生産に関わる20個の異なる天然アミノ酸が存在し、これらが任意の数、任意の順序で連結して、ペプチド鎖または環を形成する。ペプチドの生物学的生産で使用される天然アミノ酸はすべてL−配置である。合成ペプチドは、L−アミノ酸、D−アミノ酸またはこれら2種の異なる配置のアミノ酸の様々な組合せを使用して従来の合成方法を用いて調製できる。ペプチドによっては数単位のアミノ酸しか含まないものもある。短いペプチド、例えばアミノ酸単位が10個未満のものは、時に「オリゴペプチド」と呼ばれる。他のペプチドは多数のアミノ酸残基、例えば100個以上を含み「ポリペプチド」と呼ばれる。従来、「ポリペプチド」は3個以上のアミノ酸を含む任意のペプチド鎖と考えられ、「オリゴペプチド」は通常、特に「短い」タイプのポリペプチドと見なされる。したがって、本願では「ポリペプチド」へのどのような言及もオリゴペプチドを含むと理解される。さらに、「ペプチド」へのどのような言及もポリペプチド、オリゴペプチドおよびタンパク質を含む。アミノ酸の個々の異なる配置は異なるポリペプチドまたはタンパク質を形成する。形成することができるポリペプチドの数、したがって異なるタンパク質の数は、実際上無制限である。
「アルファ炭素(Cα)」はペプチド鎖中の炭素水素(CH)部分の炭素原子である。「側鎖」はCαへの吊り下がり(ペンダント)基であり、ペプチドの寸法と比較して著しく変動幅の広い物理的な寸法を有する、単純もしくは複雑な基または部分を含むことができる。
本発明は、実質的にここに示されたものと同じ1次アミノ酸配列を有する任意のbryodin 1分子種に適用でき、したがって、遺伝子工学的手段その他の方法によって誘導されたbryodin 1分子を含み、おおよそ267個のアミノ酸残基を含んでよい。
本発明は、ヒトにおいて治療目的を有する導入された可溶性タンパク質が免疫反応を引き起こし、その可溶性タンパク質に結合する宿主抗体の進行をもたらしうるという、実際ある現実を克服することを想定している。本発明は、ヒト宿主への投与において免疫反応を誘導する傾向性が変更されたbryodin 1タンパク質を供給することにより、この問題の解決を図る。ここに示された方法によると、発明者らは、このタンパク質に対して免疫応答をもたらす重要なT細胞エピトープを含むbryodin 1分子の領域を発見した。
修飾されたbryodin 1をもたらす本発明の一般的な方法は、次のステップを含む:
(a)ポリペプチドまたはその一部のアミノ酸配列を決定すること;
(b)インビトロまたはインシリコ技術を用いるか生物学的アッセイを用いてペプチドのMHC分子への結合を測定することを含む任意の方法によりタンパク質のアミノ酸配列内の1つまたは複数の潜在的なT細胞エピトープを識別すること;
(c)インビトロまたはインシリコ技術を用いるか生物学的アッセイを用いてペプチドのMHC分子への結合を測定したT細胞エピトープ活性を実質的に低減するか除去するように、識別された潜在的なT細胞エピトープ内の1つまたは複数のアミノ酸を用いて新規な配列変異体を設計する。このような配列変異体は、そのような新しい潜在的なT細胞エピトープが、設計毎に、T細胞エピトープの活性を実質的に低減するか除去するように修飾されないのであれば、配列変化によって新しい潜在的なT細胞エピトープの生成を回避する方法で作成される。そして、
(d)組換えDNA技術によってそのような配列変異体を構築し、所望の特性を備えた1つまたは複数の変異体を識別するために前記変異体をよく知られた組換えDNA技術によって試験する。
ステップ(b)による潜在的なT細胞エピトープの識別は従来法によって実行することができる。適当な方法はWO 98/59244;WO 98/52976;WO 00/34317;WO 02/069232に開示されており、bryodin 1から誘導されるペプチドのMHCクラスII分子への結合性向を識別するために使用できる。実際、本発明の具体的な化合物は生物学的なex vivoヒトT細胞増殖アッセイの調整された適応に由来しており、ソフトウェアは、WO 02/069232に概要されているスキームを利用し、それは本発明の具体例に含まれる。
上記ソフトウェアは、抗原提示の過程を、ペプチドMHCクラスII結合相互作用のレベルでシミュレートし、あらゆる所与のペプチド配列に対して結合スコアを与える。そのようなスコアは集団内の現存の優れたMHCクラスIIアロタイプの多くを識別する。このスキームではいかなるペプチド配列も試験することが出来るので、ペプチドのMHCクラスII結合溝への相互作用に関して、アミノ酸の置換、付加または欠失の結果を予測することができる。従って、新しい配列の構成を設計することができ、それはMHCクラスIIと相互作用を及ぼし、したがって免疫原性のT細胞エピトープとして機能するペプチドの数を減らすことを含む。所与の何れかのドナーサンプルを用いた生物アッセイにより最大の4DRアロタイプへの結合を判断する場合、インシリコ工程により、40より多いアロタイプを同時に用いて同じペプチド配列を試験することができる。実際、この工程では、新しい配列変異体の設計を管理することができ、該配列変異体は、多数のMHCアロタイプと相互作用を及ぼす能力を妥協する。
このインシリコ工程の例をあげると、完全なbryodin 1配列による分析の結果は図1に示されている。そこには、1以上のMHCクラスIIアロタイプと優れた結合スコアで結合する能力を備えたbryodin 1由来の13merペプチド配列が挙げられている。その全体を考慮すると、この13merペプチドのデータセットは、程度の高い信頼性を与えていると考えられており、bryodin 1タンパク質の許容できる範囲のMHCクラスリガンドである。インビボでのbryodin 1ペプチドの存在を導く、完全bryodin 1ポリペプチドのタンパク質分解工程および他の物理学的な工程のための要求のような例により、比較的少数派のペプチドのレパートリー全体は決定的な生物学的関連性を有することが明らかである。生物学的な関連性のあるペプチドのようなさらなる同定のためには、該発明者らは、ex vivoヒトT細胞増殖アッセイを利用するアプローチを発展させている。
このアプローチは、特に効果的な方法であることが明らかにされており、本発明の実施形態としてここに開示する。該方法は、配列の一部を試験するために用いられており、例えば、図1に記載されているような、すべてもしくはいくつかのbryodin 1ペプチドのサブセットが挙げられる;または、該方法は、配列全体を試験するために適用されるかもしれない。本研究において、その方法は、(N末端プロペプチドに相当するペプチドを含む)bryodin 1配列全体を走査しテストするために、そのスキームにおいてはbryodin 1由来ペプチド配列の重複試験をすることも含まれている。合成ペプチドはインビトロで培養されたヒトT細胞での増殖応答を引き起こす能力をテストされる。この種のアプローチは健常なドナーからのナイーブなヒトT細胞を用いて行われ、本発明者らはそのようなアッセイを行うにあたり、刺激指数が2.0以上のものが誘発された増殖の測定に有効であると確立した。該刺激指数は、試験ペプチドに対して測定された増殖スコア(3H−チミジン取り込み用いた場合の放射能のカウント/分)をテストペプチドに接触していない細胞内で測定されたスコアで割ることによって求められる。
本研究では、少なくとも1つのドナーに由来するT細胞において重要な増殖応答(たとえばSI>2.0)をもたらすことができる、約32のペプチド配列が含まれていない。このペプチドセットにおいては、更なるペプチドのサブセットが確認され、それは2以上の個々のドナーに置いて重要な増殖応答を引き起こし、それらの応答のうちのいくつかにおいて、実際には、応答の強度はSI=2.0よりもかなり大きい。
アミノ酸修飾(例えば置換)が、親分子の免疫原性領域のほとんどで行われているbryodin 1を供給することが最も好ましい。本発明者らはヒトのbryodin 1分子のほとんどの免疫原性領域において少なくとも5つの領域R1−R5(残基;46−66;88−102;112−135;136−162および178−204)にとどまることを発見し、それぞれのアミノ酸配列を以下に示す;
Figure 2005535304
これらの領域は、1以上のドナーPBMCサンプルにおいてSI>2の値を与えることを基にして同定された。例えばエピトープ領域R1は6の異なるドナーサンプルで反応を示すことが認められ、それはスクリーニングされたサンプルの28%を示す。同様にR2およびR3エピトープでは、3のドナー(14%)サンプル、R4では5(24%)、R5では4(19%)のドナーが試験された。R1−R5の領域を合わせると、試験された21のドナーPBMCサンプルのうち、10(48%)が反応を示し、広い範囲でアロタイプの特異性をカバーしている。
本発明の主要な好ましい実施形態では、bryodin 1を含み、それはエピトープR1−R5のいずれかにおいて同定されたMHCクラスIIリガンドが、結合を除去する、またはペプチドが結合することができるMHCアロタイプの数を減少するように変更する。
多くの潜在的なエピトープが同定され特に多くのペプチド配列が生物学的アッセイにおいてT細胞を刺激することができることが見られたところでは、MHCクラスII提示経路を介して免疫応答を引き起こす傾向があることに関連して、タンパク質の構造的な特徴が認識される。例えば、興味のあるタンパク質の結晶構造が公知の場合、結晶のB因子スコアはタンパク質内の構造の崩壊を証明するために分析され、パラメータは生物学的に関係のある免疫優性なペプチドエピトープと近似する相関関係を示唆する[Dai G. et al(2001) J. Biological Chem. 276:41913-41920]。そのような分析がbryodin 1結晶構造モデルに用いられた場合[PDB ID:1BRY, Gawlak, S.L. et al(1997) Biochemistry 36:3095]、多くの免疫優性なエピトープが少なくとも4の別々の域においてB因子スコアの平均を超える内側位にマッピングする高い可能性を示唆する。それらの4つのエリアのうち3つにおいて実施例2のナイーブなT細胞アッセイの中で増殖応答を引き起こすことが見られるペプチドのN末端境界にマッピングした。
特定のペプチドに応答するナイーブドナーの数のデータをまとめると、その分子のほとんどの免疫優性な領域の位置付けを予想することができる。しかしながら、実際はそれらのそれぞれの領域はヒトにおいて免疫原性であると考えられているので、本発明の枠組みの中では修飾を要求される。従って上記定義した配列R1−R5を参考にすると、配列は[R1,R5]、[R3,R4]、R2の順序でランキングされる;[R1,R5]が最も免疫原性であるとみなされる場合、R2は相対的に免疫原性が低い。同等のランキングは、それらの配列を一区切りにする。本発明のスキームにおける最も好ましいbryodin 1組成物はエピトープ領域R1およびR5内での修正を含む。エピトープ領域R3およびR4内での更なる修飾を含む組成物はまた好ましく、エピトープ領域R2内での更なる置換も任意に好ましい。
ここに開示されているペプチド配列は修飾されたbryodin 1分子の構築に必要とされる重要な情報を示している。これらのエピトープのうちのいくつかに於いては妥協される。本発明のスキームの下では、前記ペプチドは突然変異によってT細胞エピトープとしての機能を果たすことができなくなる。標的配列の直接の突然変異誘発を成し遂げるために組換えDNA方法を用いることが可能であり、多くのそのような技術は利用することができ、よく知られている。実際多くの変異体bryodinタンパク質が生成され、望ましい免疫および機能の特徴の試験が行われる。
図1に挙げられているペプチドの少なくとも1つ以上のアミノ酸配列を修飾するための本発明の目的では、上記定義したR1−R5のエピトープ領域の1つ以上の配列を修飾することが最も好ましい。ここでは、好ましい修飾を開示し、それは目的のペプチド配列のT細胞エピトープとしての機能を除去もしくは減少させることにより成し遂げられる。そして、その結果bryodin 1分子はヒト宿主に治療として投与される場合、免疫原性の可能性が減少される。
T細胞エピトープの除去のためには、アミノ酸置換が好ましく、T細胞エピトープの活性が実質的に減少または除去されると予想されるペプチド配列内の適切な位置で行われることが好ましい。実際、適切な位置は、好ましくはMHCクラスII結合溝内に存在するポケットの1つに結合するアミノ酸残基と同じであることが好ましい。最も好ましくは、P1と呼ばれる裂け目の第一ポケットまたはペプチドのP1アンカー位置内に結合するように変更する。ペプチドのP1アンカー残基とMHCクラスII結合溝の第一のポケットとの間の結合の相互作用の質は、ペプチド全体の結合親和性の主要な定義として認識されている。ペプチドのこの位置での適切な置換により、残基がポケット内、例えばより親水性残基への置換、に容易には適応しない。1つのエピトープ内での置換の組み合わせは予測することができ、例えば個々に定義されたエピトープがお互い重複するところでは特に適切である。さらに、アミノ酸置換は所与のエピトープ内または1つのエピトーブ内での組み合わせにより、MHCクラスII結合溝に関して、"ポケット残基"とは等しい位置のみではなく、ペプチド配列のいかなる位置においても成される。置換は相同な構造、または当業者にとって公知のインシリコ技術を用いて製造された構造的な手段を参考して行われ、本発明の分子の公知の構造的特徴が基になっている。すべてのそのような置換は本発明に含まれる。
上記定義されたペプチド以外のアミノ酸置換は特にリストされたペプチドに成された置換を組み合わせて行われた時に特に意図される。例えば、変更は、変異体分子の構造または生物学的活性を再構築するために検討される。そのような代償的変化および、bryodin 1ペプチド由来の特定のアミノ酸残基の欠失または付加を含む変化の結果、好ましい活性を有する変異体及び開示されているペプチドのいずれのいかなる変化の組み合わせをも本発明の適応範囲に含まれる。
そのような好ましい修飾のセットの1つの例として、R1エピトープ領域の崩壊がある。この領域のすべての可能なMHCリガンドの完全な除去は以下の変更を含む置換のセットによって成し遂げられる;T49A、L50M、H52A、N55P、Y56T、I61P、V65AおよびV67A。そのような単離または組み合わせの好ましい変化は、本発明の実施態様である。
同様に、R2エピトープの崩壊を成し遂げる修飾の好ましいセットとして以下の置換セットが挙げられる;F99A、V100AおよびV108A。そのような単離または組み合わせの好ましい変化は、本発明の実施態様である。
エピトープ領域R3において、更なる置換セットが挙げられ、それは分子の鍵となる構造の知識に基づいている。この残基は、R3領域内で定義されるMHCクラスIIリガンドのP1アンカーとしての機能を有するため、ロイシン残基115(L115)での置換を含む修飾されたbryodin 1分子を構成することが特に好ましい。好ましい置換セットは従って、L115A、I122A、I126A、L130A、L133FおよびI137Aを含む。しかしながら、L115はRIP活性においては結合溝の底に位置しているので、この置換は該分子の機能活性を妥協するかもしれない。別の置換セットでは、R3領域の重要なMHCリガンドは分離するがL115は維持される。従ってこのような置換はA118T、G120H、K121SおよびR123Tを含み、2重の変更L115AおよびI122Aの代替も成されうる。すべての変更は本発明の実施態様である。
エピトープ領域R4においては、好ましい置換セットはL152A、L153A、V154AおよびL155Sと組み合わせたL140G、Y142G、T143Aの変更を含む。すべての変更は個々であれ、組み合せであれ本発明の実施態様である。
更なる好ましい修飾セットの例としては、I187T、L189A、L196Q、K197H、I200TおよびI202Dを含む変化を用いたR5エピトープ領域の崩壊により得られる。すべての変更は、個々であれ、組み合わせであれ本発明の実施態様である。
上記好ましい修飾のほとんどすべてにおいて代替アミノ酸はいかなる位置においても考慮しうる。代替残基の選択はしかしながら限定されないわけではなく、潜在的なMHCペプチド相互作用の減少または除去という大きな目的を満足し、また分子の構造内で伴うことができる残基に限定されている。例えば重大な側鎖の衝突はほとんどの回転異性体で避けられ、およびまたは、静電的なまたは他の接触は保存される。考えうる別の残基の選択としては式1に示しているようなbryodin 1構造で供給される。
先述から、本発明に従うと、多くの変異体bryodin 1タンパク質は望ましい免疫及び機能の特徴を得るために調製され試験されている。そしてそれらの機能タンパク質はすべて本発明の実施態様である。さらにはそれらの導かれた修飾体は、MHCクラスII分子と結合しないペプチド配列をもたらし、それらはWO 02/069232の予想的なインシリコMHCクラスII結合ツールを用いると親ペプチドまたは"野生型"(wt)ペプチド配列と同じ親和性を有する。
本発明の好ましい分子はいかなる方法によっても調製することができるが、最も好ましくは通常の組換え方法を用いて調製される。ここに示されているタンパク質および情報を用いて好ましいタンパク質のいずれかをコードするポリヌクレオチド(DNA)を推論することが容易な手順である。例えばDNSstar software suite [DNAstar Inc, Madison, WI, USA]またはそのような、コンピューターのソフトウエアツールを用いて行うことができる。いかなるそのような本願の好ましいポリペプチドをコードする能力を有するDNA配列またはそのような同位体は本発明の実施態様として考えられうる。
一般的なスキームとして、いかなる好ましいbryodin 1タンパク質配列をコードする遺伝子は遺伝子合成を用いて作製され、好ましい発現ベクターにクローンされる。次に発現ベクターは宿主細胞に取り込まれ、それらは選別され培養される。好ましい分子は培地から精製され、治療のための投与の形態に調製される。あるいは、野生型bryodin 1遺伝子配列は、例えばブリオニア植物の根の細胞から調製されたRNAを用いてcDNAクローン方法を用いて得られる。この野生型遺伝子は突然変異のテンプレートおよび好ましい変異体配列の構築に用いられる。この点では、 Higuchi et al [Higuchi et al (1998) Nucleic Acids Res. 16:7351]に記載されている“重複伸長PCR”の方法を用いることが特に便利であるが、他の方法も用いることができる。
好ましいbryodin 1分子の構築は組換えDNA技術を用いて行うことができ、これは望ましい抗体可変領域ドメインまたは他の標的部分において融合されるbryodin 1分子も含まれる。融合タンパク質を含む組換えタンパク質を精製し処置する方法は、当業者に公知である。必要な技術は以下の文献に完全に説明されている:例えば、"Molecular Cloning: A Laboratory Manual", second edition (Sambrook et al., 1989); "Oligonucleotide Synthesis" (M.J. Gait, ed., 1984): "Animal Cell Culture" (R.I. Freshney, ed., 1987); "Methods in Enzymology" (Academic Press, Inc.); "Handbook of Experimental Immunology" (D.M. Weir & C.C. Blackwell, eds.); "Gene transfer Vectors for Mammalian Cells" (J.M. Miller & M.P. Calos, eds., 1987); "Current Protocols in Molecular Biology" (F.M. Ausubel et al., eds., 1987); "PCR: The Polymerase Chain Reaction", (Mullis et al., eds., 1994); "Current Protocols in Immunology" (J.E. Coligan et al., eds., 1991)。
当業者にとっては明らかなことであるが、望ましくないエピトープを除去する目的を成し遂げることができる置換セットに至る。しかしながら得られる配列はここに開示される特異的な組成物とほぼ相同的なものであると認識され、従って本発明の適用範囲に含まれる。
本発明が修飾bryodin 1に関連する限り、そのような修飾bryodin 1タンパク質または修飾bryodinタンパク質の断片などを含む組成物及び関連する組成物は本発明の適用範囲内であると考えられる。他の態様に於いて、本発明は修飾bryodin実体をコードする核酸に関連する。さらなる態様において本発明は修飾bryodin 1タンパク質を用いてヒトの治療処置の方法に関する。この点では修飾bryodin 1タンパク質は抗体分子または抗体分子の断片に連結される。この連結は化学的な架橋剤を用いたものであるかもしれないし、組換え融合タンパク質としてbryodin 1抗体が精製されるのかもしれない。融合分子は該分子のN末端方向に向く抗体ドメインと共に修飾bryodin 1ドメインを含んでよいが、反対の方向も意とされる。
本発明の修飾bryodin 1分子に連結する望ましい抗体特異性は、内在する抗体決定因子に対して向けられていることも含まれる。このクラスの抗原の例としてはまれではあるが、A33抗原 [Heath, J.K. et al (1997) Proc. Natl, Acad. Sci U.S.A 94: 469-474]およびGA733-1抗原[US,5,840,854]が含まれる。癌胎児性抗原もまた使用に際し意図されており、多くの抗体のいくつかによって標的とされるかもしれないが、MFE23[Chester, K.A. et al (1994) Lancet 343:455]、A5B7[WO 92/010159]、T84.66[US 5,081,235]、MN−14[Hansen, H.J. et al (1993) Cancer 71: 3478-3485]、COL−1[US 5,472,693]及びその他も含まれる。他の望ましい特異性には、非内在性抗原に向けられる抗体が含まれ、このことは抗体KS1/4[Spearman et al (1987) J.Pharmacol.Exp.Therapeutics 241:695-703]および他の抗体により認識される40kDa糖タンパク質のような抗原も含むかもしれない。上皮細胞増殖因子受容体(HER1)またはHER2のような関連する受容体のような他の抗原が選択されるかもしれない。それらには、抗体14.18[US,4,675,287; EP 0192657]のような抗GD2抗体、前立腺特異的膜抗原に対する抗体[US,6,107,090]、IL-2受容体[US,6,013,256]、ルイスY決定因子、ムチン糖タンパク質、またはその他のものも意図される。
修飾bryodin 1が抗体配列と融合して調製されるすべての場合の中で、最も望ましいのは、T細胞エピトープまたは配列がMHCクラスII分子と結合しまたはT細胞を刺激する抗体配列を使用するか、MHCクラスII分子が除去されたT細胞と結びついて結合することである。
本発明の更なる実施態様において、修飾bryodin 1タンパク質は非抗体タンパク質と連結されており、さらに特定の標的細胞と特異的に結合相互作用を及ぼすことができるタンパク質と連結される。そのようなタンパク質の一部には様々なポリペプチドリガンドを含み、そこでは特異的な細胞表面の受容体があり、従って、様々なサイトカイン、ペプチド及びポリペプチドホルモン、およびその他生物的応答修飾因子が含まれる。顕著な例としては以下のタンパク質及び糖タンパク質分子が含まれる:血管上皮成長因子、上皮成長因子、ヘレグリン、インターロイキン、インターフェロン、腫瘍破壊因子および他のタンパク質。これらの融合タンパク質及び他の分子は本発明のbryodin 1と共に意図されており、タンパク質リガンドドメインに関してN末端及びC末端方向の両方に修飾bryodin 1部分を含んでもよい。同様に、精製されたリガンドの修飾bryodin 1への化学的な架橋も意図されてもよく、それは本発明の適用範囲に含まれる。
本発明の修飾bryodin 1タンパク質の更なる実施態様は、複合物としての使用であり、それにはヒドロキシプロピルメタアクリルアミドまたは修飾bryodin 1タンパク質がポリマーへの共有結合またはポリマーと非共有結合の相互作用である他のポリマーなどの水可溶性ポリマーが含まれる。そのような実施態様は、さらにポリマーbryodin 1複合体と組み合わせて抗体または抗体の断片など抗原結合ドメインを含む。
さらに、更なる面において、本発明はペプチドまたは配列の同一またはここで開示されている配列と一部同一である誘導体分子を含む医薬調製物を用いた治療上の処置の方法に関する。
さらに、ここに開示されておりbryodin 1分子に関する主要な免疫原性エピトープは、bryodin 1が例となっている、いくつかの他の型の1RIPタンパク質の一次配列に存在することがここで示されている。従ってタンパク質、α―トリコサンチン(1TCS)、α−モモルカリン(1MOM)及びβ−モモルカリン(1CF5)、及び他のタンパク質がタンパク質配列の分析により示され、それにはbryodin 1分子の免疫原性領域に対して同一またはほぼ同一の配列要素を含む。図3には、bryodin 1主要エピトープと1GCF、1MOMおよび1CF5の配列要素との間の配列の比較を示している。本発明がbryodin 1タンパク質由来のペプチド及び修飾配列に関係する限り、これらは本発明の適用範囲に平等に含まれる。これは特にここで定義されている好ましい突然変異のセットのいくつかにも当てはまる。例えば、bryodin 1配列内で行われるR2およびR3での変更は、MHCクラスIIリガンドを1TCS配列内の同等の領域から除去するために適用されるかもしれない。同様に、1つ以上の置換T49A、L50M、H52A、N55P、Y56T、I61P、V65AおよびV67Aを含むbryodin 1でのR1の変更はタンパク質1TCSおよび1CFSの同等の領域において適用されうる。先述に於いては、bryodin 1配列に従ってナンバリングが行われる。好ましいR4およびR5の変更の関係は、RIPタンパク質1TCS、1CF5、及び1MOMの中で行われ、これらは平等に本発明の適用範囲に含まれる。
本発明が修飾bryodin 1に関係する場合には、そのような修飾bryodin 1タンパク質またはその断片を含む組成物、および関連する組成物は本発明の適用範囲内と見るべきである。この点に関する適切な例としてはここに開示されている1つ以上のペプチドが免疫治療の目的で患者に投与される、間接的な寛容誘発方法の発展である。従って合成ペプチド分子、例えば図1に挙げられているもの、または上記で定義したエピトープ領域R1−R5のいずれかにおけるすべてまたは一部分を含むより好ましい配列であり、そのようなペプチドは本発明の実施態様に含まれる。
他の点において、本発明は修飾bryodin 1実体をコードする核酸に関する。
本発明は以下の実施例によって描写される。本発明はさらに以下に記載する図面によってさらに描写される。
図1は、潜在的なヒトMHCクラスII結合活性を有するbryodin 1でのペプチド配列のリストを供給する。ペプチドは13merであり、アミノ酸は一文字表記で定義されている。
図2は、実施例2のナイーブなヒト・インビトロT細胞アッセイを用いて分析されたbryodin 1の15merペプチド配列の表を示す。ペプチドID#およびbryodin 1配列内のN末端ペプチド残基の位置が示されている。
図3は、実施例2のナイーブなヒト・インビトロT細胞アッセイを用いた二以上のドナーのPBMCから調製されたPBMC調製物のうち、2.0以上の刺激指数を有するbryodin 1(1BRY)配列からの、配列要素R1、R2、R3、R4、およびR5を示す。関連するタンパク質であるα−トリコサンチン(1TCS)、α−モモルカリン(1MOM)及びβ−モモルカリン(1CF5)からの対応する配列をそれぞれのbryodin 1配列の下に示す。配列は示したところ以外はbryodin 1と同一である。アミノ酸は一文字表記で示す。
図4は、個々のbryodin 1ペプチドに対してドナーが応答する割合(パーセント)を示す。85のペプチドが21のドナーサンプルからPBMC調整物を用いて試験された。陽性の反応はSI>2とし、エピトープ領域は、陽性の反応が二以上のドナーで見られたときに定義される。
図5は、ナイーブなヒトT細胞増殖アッセイから得られた刺激指数(SI)プロットを示す。1μMおよび5μMの濃度のペプチドにおける応答を示す。それぞれのピークは三重のアッセイの平均である。
パネルAはエピトープ領域R1内に含まれるbryodin 1ペプチドへの3つのドナーサンプルから得られたPBMC応答を示す。
パネルBはエピトープ領域R2内に含まれるbryodin 1ペプチドへの2つのドナーサンプルから得られたPBMC応答を示す。
パネルCはエピトープ領域R3内に含まれるbryodin 1ペプチドへの2つのドナーサンプルから得られたPBMC応答を示す。
パネルDはエピトープ領域R5内に含まれるbryodin 1ペプチドへの3つのドナーサンプルから得られたPBMC応答を示す。
図6は、エピトープ領域R1で同定されたMHCクラスIIリガンドの描写である。リガンドは実施例1のインシリコシステムを用いて特定された。このケースでは、18ヒトDRアロタイプの結合プロファイルは、コラムとして示される。検出されたリガンドは13merであり、各々の13merの残基番号1は、色づけされたブロックで同定される。それぞれの18のアロタイプに関し、それぞれのペプチドのこの結合相互作用の強度は(高、中、低)、表示された調に従って示される。
図7は、エピトープ領域R2で同定されたMHCクラスIIリガンドの描写である。リガンドは実施例1のインシリコシステムを用いて特定された。このケースでは、18ヒトDRアロタイプの結合プロファイルは、コラムとして示される。検出されたリガンドは13merであり、各々の13merの残基番号1は、色づけされたブロックで同定される。それぞれの18のアロタイプに関し、それぞれのペプチドのこの結合相互作用の強度は(高、中、低)、表示された調に従って示される。
図8は、エピトープ領域R3で同定されたMHCクラスIIリガンドの描写である。リガンドは実施例1のインシリコシステムを用いて特定された。このケースでは、18ヒトDRアロタイプの結合プロファイルは、コラムとして示される。検出されたリガンドは13merであり、各々の13merの残基番号1は、色づけされたブロックで同定される。それぞれの18のアロタイプに関し、それぞれのペプチドのこの結合相互作用の強度は(高、中、低)、表示された調に従って示される。
図9は、エピトープ領域R4で同定されたMHCクラスIIリガンドの描写である。リガンドは実施例1のインシリコシステムを用いて特定された。このケースでは、18ヒトDRアロタイプの結合プロファイルは、コラムとして示される。検出されたリガンドは13merであり、各々の13merの残基番号1は、色づけされたブロックで同定される。それぞれの18のアロタイプに関し、それぞれのペプチドのこの結合相互作用の強度は(高、中、低)、表示された調に従って示される。
図10は、エピトープ領域R5で同定されたMHCクラスIIリガンドの描写である。リガンドは実施例1のインシリコシステムを用いて特定された。このケースでは、18ヒトDRアロタイプの結合プロファイルは、コラムとして示される。検出されたリガンドは13merであり、各々の13merの残基番号1は、色づけされたブロックで同定される。それぞれの18のアロタイプに関し、それぞれのペプチドのこの結合相互作用の強度は(高、中、低)、表示された調に従って示される。
式1は、低減された免疫原性の潜在性をもつbryodin 1分子に取り込まれることが検討される、最も好ましい代替置換を特徴付けるbryodin 1構造を示す。
実施例1
ペプチドMHC結合分析を行うためのin silicoシステムを用いたbryodin 1のエピトープを同定する方法
タンパク質やポリペプチドの全体的な構造を決定するのに重要な役割を果たす要因は多数存在する。第1に、ペプチド結合、アミノ酸を鎖状に互いに連結するその結合は、共有結合である。この結合は平面構造であり実質的に置換アミドである。「アミド」は−CONH−基を含む有機化合物の任意の基である。
隣接アミノ酸のCαを連結する平面状ペプチド結合は以下に示すように表すことができる:
Figure 2005535304
O=CおよびC−N原子は比較的剛性な平面内にあるので、これらの軸の周りに自由な回転は生じない。このため、破線によって模式的に描いた平面は時として「アミド平面」または「ペプチド平面」と呼ばれ、この平面にはペプチド骨格の酸素(O)、炭素(C)、窒素(N)および水素(H)原子が載る。このアミド平面の相対する両隅にはCα原子が位置する。ペプチド平面すなわちアミド平面内では、O=CおよびC−N原子の周りの回転が実質的にないので、ポリペプチド鎖はCα原子を連結する一連の平面状ペプチド結合を含む。
ポリペプチドまたはタンパク質の全体構造または立体構造を規定する上で重要な役割を果たす第2の要因は、共通なCα連結の周りの各アミド平面の回転角である。「回転角」および「ねじり角」という用語は以下では同義語と見なされる。アミド平面にO、C、NおよびH原子が載ると仮定すると(立体構造によってはこれらの原子のうちいくつかは平面から若干ずれるかもしれないが、これは通常有効な仮定である)、これらの回転角はNとRポリペプチドの骨格の立体構造、つまり隣接残基間に存する構造を定義する。これらの2つの角度はφおよびψとして知られている。したがって、1組の角度、φiおよびψi(ここで添字iはポリペプチド鎖の特定の残基を表す)はポリペプチドの2次構造を有効に規定する。角度φおよびψを定義するのに使用される慣用規則、すなわち、所与のポリペプチドについてのアミド平面が角度0を形成する参照ポイント、並びに角度φの定義および角度ψの定義は、文献に定義される。例えば、Ramachandran et al. Adv.Prot.Chem. 23:283−437(1968)、特に285−94頁参照(これらの頁は言及によって本願に組み込まれる)。
本発明の方法は任意のタンパク質に適用することができ、ヒトでは、MHCクラスII分子結合溝の主要なポケット1アンカー位置が、特定のアミノ酸側鎖に対してよく設計された特異性を有するという発見に部分的に基づいている。このポケットの特異性は、MHCクラスII分子のベータ鎖の位置86でのアミノ酸の同一性によって決定される。このサイトはポケット1の底に位置し、このポケットに収容され得る側鎖の大きさを決定する。Marshall,K.W.、J.Immunol.、152:4946−4956(1994)。この残基がグリシンである場合、すべての疎水性脂肪族および芳香族アミノ酸(疎水性脂肪族は以下のものである:バリン、ロイシン、イソロイシンおよびメチオニン、また芳香族は以下のものである:フェニルアラニン、チロシンおよびトリプトファン)は、ポケット内に収容され得る(芳香族側鎖が優先される)。このポケット残基がバリンである場合、このアミノ酸側鎖はポケット内部に突出するので、収容できるペプチド側鎖のサイズを制限する(例えば疎水性脂肪族側鎖だけが収容可能である)。したがって、アミノ酸残基配列において、疎水性脂肪族および芳香族側鎖を有するアミノ酸が存在する場合にはいつでも、MHCクラスII制限T細胞エピトープが存在する可能性がある。しかし、側鎖が疎水性脂肪族である場合は、芳香族側鎖の場合と比較して、(全人口において、ポケット1タイプの分布がほぼ均一であると定すれば)T細胞エピトープに関連する可能性はおよそ2倍である。
本発明を具体化する計算方法は、以下のようにT細胞エピトープを含むペプチド領域の可能性を特徴づける:
(1)予め定義した長さのペプチドセグメントの1次配列を走査し、存在する疎水性脂肪族と芳香族側鎖をすべて識別する。(2)疎水性脂肪族側鎖には芳香族側鎖用のそれより大きな値、好ましくは芳香族側鎖に割り当てる値の約2倍を割り当てる(例えば、疎水性脂肪族側鎖に対しては値2を、芳香族側鎖に対しては値1を割り当てる)。(3)ペプチド内の予め定義した一定の長さの各重複するアミノ酸残基セグメント(ウィンドウ)について存在が決定された値を合計し、特定のセグメント(ウィンドウ)に対する値の合計を、セグメント(ウィンドウ)の中間位置で単一のアミノ酸残基、好ましくは、サンプリングされたセグメント(ウィンドウ)の中間点付近の残基に割り当てる。この手続きを、サンプリングされた各重複するアミノ酸残基セグメント(ウィンドウ)について繰り返す。したがって、ペプチドの各アミノ酸残基は、特定のセグメント(ウィンドウ)内に存在するT細胞エピトープの可能性に関係のある値を割り当てられる。(4)上記ステップ3に記載するように計算し割り当てた値は、評価するアミノ酸残基配列全体のアミノ酸座標に対してプロットすることができる。(5)予め定義した値(例えば値1)のスコアを有する配列のすべての部分は、T細胞エピトープを含むと認められ、必要であれば、修飾することができる。本発明のこの特定の実施態様は、T細胞エピトープを含むであろうペプチド領域を記述できる一般的な方法を提供する。これらの領域内のペプチドに対する修飾は、MHCクラスII結合特性を修飾する可能性を有する。
本発明の別の実施態様によれば、MHCクラスII対立遺伝子モデルによりペプチドの相互作用を考慮に入れたより精巧な計算方法を使用して、T細胞エピトープをより高精度で予想できる。特にこの実施態様によるペプチド内に存在するT細胞エピトープの計算上の予想では、すべての公知のMHCクラスII分子の構造に基づく少なくとも42個のMHCクラスII対立遺伝子のモデルの構築が考えられ、T細胞エピトープの計算による識別におけるこれらのモデルの使用、相対的なペプチド骨格アルファ炭素(Cα)位置の知られた変わりやすさを考慮に入れるための各モデルのペプチド骨格のライブラリーの構築、ペプチドとMHCクラスII分子との間の相互作用において重要な位置での20個のアミノ酸置換各々のための各モデルを備えた各骨格ドック(dock)のアミノ酸側鎖コンホメーションのライブラリーの構築、および特定のMHCクラスII分子に収容(dock)された特定のペプチドについての最適な骨格および側鎖コンホメーション選択のための、これら骨格および側鎖コンホメーションライブラリーの使用、並びにこの相互作用からの結合スコアの誘導が考えられる。
MHCクラスII分子のモデルは相同モデリングによって、ブルックヘブン(Brookhaven)タンパク質データバンク(「PDB」)で見出された多数の同様の構造から誘導できる。これらは、エネルギー最小化のためのCHARMm力場(Molecular Simulations Inc.、San Diego、CA.から入手可能)と共に、シミュレートされたアニーリング機能を組み込んだ半自動的な相同モデリングソフトウェア(Modeller,Sali A.& Blundell TL.、1993. J.Mol.Biol 234:779−815)によって形成できる。別のモデリング方法も同様に利用できる。
本願の方法は、MHCクラスII分子の小さな集合について結合溝内の各位置での各アミノ酸選択肢の実験により得た結合データのライブラリーを使用する他の計算方法(Marshall,K.W.、et al.、Biomed.Pept.Proteins Nucleic Acids、1(3):157−162)(1995)や溝内の特定タイプの結合ポケットの結合特性を定義するために実験による同様の結合データを使用し(ここでもまたMHCクラスII分子の比較的小さな部分集合を使用する)次いでこのポケットライブラリーからポケットタイプを「混合およびマッチング」して人為的に別の「仮想的な」MHCクラスII分子を生成するさらに別の計算方法(Sturniolo T.、et al.、Nat.Biotech、17(6):555−561(1999)と著しく異なる。先行技術は両方とも分析が複雑である点および多数のペプチド変異体を合成する必要がある点の不利益を被り、少数のMHCクラスII分子しか実験的に走査できない。したがって、第1の先行技術の方法は少数のMHCクラスII分子の予想しかできない。第2の先行技術の方法は、異なるクラスII対立遺伝子間においては、1個の分子中で類似したアミノ酸で裏打ちされているポケットは同じ結合特性を持つという仮定も前提としており、ポケットライブラリーに含まれるポケットを含むそうしたMHCクラスII分子だけが「仮想的に」生成されるという欠点をさらに有する。本明細書に述べるモデリング手法を使用すれば、任意の数およびタイプのMHCクラスII分子の構造を推定でき、したがって全集団を代表する対立遺伝子を特異的に選択できる。さらに、走査されるMHCクラスII分子の数は、複雑な実験によって追加データを生成する必要以上にさらにモデルを生成することにより増加させることができる。
骨格ライブラリーの使用により、走査されている様々なペプチドについて、特定のMHCクラスII分子に収容された時のCα原子位置における変化を考慮に入れることができる。この点もまた、上記の先行技術における計算方法(これらは特定のポケット中でアミノ酸結合を走査するため単純化されたペプチド骨格の使用に依存している)と対照的である。これらの単純化された骨格は、「実際の」ペプチドで見つかる骨格構成の代表ではないであろうし、その結果、ペプチド結合の予想が不正確になる。本発明の骨格ライブラリーは、タンパク質データバンク内で見出されるMHCクラスII分子に結合するすべてのペプチドの骨格を重ね、結合溝内に位置する11個のアミノ酸各々のCα原子間の2乗平均平方根(RMS)偏差を記録することにより生成される。このライブラリーは、より大きな変動の可能性までも考慮に入れるために、少数(現在13個)の適切な利用可能なマウスおよびヒト構造から誘導できる一方、各C"-αについてのRMS数値は、50%増加する。その後、各アミノ酸の平均のCα位置が決定され、その半径がその位置でのRMS偏差プラス50%と等しい球がこの点のまわりに描かれる。この球体は許容されるCα位置をすべて表す。
最小のRMS偏差を有するCα(これは、上記のポケット1中のアミノ酸であり、結合溝中の11個の残基の位置2と等価である)を動かして、球体は3次元的にグリッド化され、次いでグリッド内の各頂点はそのアミノ酸のCαのために可能な位置として使用される。結果として得られるアミド平面は、引き続きアミノ酸へのペプチド結合に対応し、これらのCαの各々にグラフトされ、次のCαを位置付けるためにφおよびψ角を所定の間隔で回転させる。引き続きCαがCαに対して「許容される位置の球」内にある場合にはジペプチドの向きが許容され、それが球の外部になる場合には、ジペプチドは拒絶される。
その後、先行するCαのあらゆる組合せから9個の後続Cαがすべて位置付けられるまで、ペプチドがポケット1 Cα「種子」から成長するように後続Cα位置の各々についてこのプロセスを繰り返す。次いで、ポケット1の前の単一Cαについてこのプロセスをもう一度繰り返して結合溝内に位置する骨格Cα位置のライブラリーを生成する。
生成された骨格の数はいくつかの要因に依存する:「許容される位置の球」の大きさ;ポケット1位置の「1次球」のグリッドの精密さ;後続Cαを位置付けるために用いるφおよびψの段階的回転角の精密さ。このプロセスを使用すると、大きな骨格ライブラリーを生成できる。骨格ライブラリーが大きい程、MHCクラスII分子の結合溝内の特定のペプチドに対して最もよく適合するものが見つかる可能性は大きくなる。各対立遺伝子について、結合領域のアミノ酸との衝突により、必ずしもすべての骨格がMHCクラスII分子のすべてのモデルに収容されるのには適さないため、その対立遺伝子によって収容され得る骨格を含むライブラリーの部分集合が生成される。
骨格ライブラリーの使用は、MHCクラスII分子モデルと共に、各許容される骨格に収容される各MHCクラスII分子について結合溝の各位置の各アミノ酸の許容される側鎖コンホメーションからなる徹底的なデータベースを作成する。このデータセットは、単純な立体的重なり関数を用いて生成され、ここで、MHCクラスII分子は骨格と結合し、アミノ酸側鎖は所望の位置で骨格上にグラフトされる。各々の側鎖の回転可能な結合を設定した間隔で段階的に回転させ、得られる原子位置は注目する結合に依存する。原子と結合溝の側鎖の原子との相互作用が注目され、位置は次の基準によって許容されるか拒絶される:ここまでに位置付けられたすべての原子の重なりの合計は、予め決めた値を超過してはならない。したがって、コンホメーション探索の厳格性は、結合の段階的回転で用いる間隔と全重なりについて予め決めた限界の関数である。特定のポケットが剛性であると知られている場合、この後者の値は小さくなり得るが、ポケット側鎖の位置に比較的柔軟性があると知られている場合は、比較的緩和である。したがって、許容は結合溝ポケット内の柔軟性における変化を模倣するようになすことができる。次いで、MHCクラスII分子の各々に収容された時、このコンホメーション探索を各骨格のすべての位置にあるすべてのアミノ酸について繰り返し、側鎖コンホメーションの徹底的なデータベースを作成する。
適切な数式を用いて、上記骨格/側鎖コンホメーションの大きなデータベースの走査により経験的に導き出さなければならないペプチドリガンドコンホメーションと組み合うMHCクラスII分子モデル間の結合エネルギーを評価する。したがって、9〜20アミノ酸の範囲で長さが変化する(もっとも、長さは各走査に対しては一定にしておく)可能なペプチドに、以下の計算を施すことにより、タンパク質を潜在的なT細胞エピトープについて走査する:MHCクラスII分子をその分子に許容されるペプチド骨格とともに選択し、所望のペプチド配列に対応する側鎖をグラフトする。骨格上の特定の位置での原子の識別および特定の側鎖に関する原子間距離データを、そのアミノ酸の許容される各コンホメーションについて集める(上記データベースから得られる)。これを骨格に沿って各側鎖に対して繰り返し、スコアリング関数を用いてペプチドスコアを導く。その骨格のための最良のスコアを保持し、選択されたモデルについて各許容される骨格に対してこのプロセスを繰り返す。すべての許容される骨格から得られたスコアを比較し、最高のスコアをそのMHCクラスIIモデル中の所望のペプチドについてのペプチドスコアであると見なす。次いで、このプロセスを、走査されているタンパク質に由来するあらゆる可能なペプチドを備えた各モデルについて繰り返し、ペプチド対モデルのスコアを表示する。
本発明の状況では、結合親和性計算のために提示される各リガンドは、上に議論されるようなペプチドまたはタンパク質から選択されるアミノ酸断片である。したがって、リガンドは、公知の配列のペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質から得られ、長さがおよそ9〜20個のアミノ酸である選択されたアミノ酸伸張物である。「アミノ酸」および「残基」という用語は以下においては同義語と見なされる。
リガンドは、骨格ライブラリーから得た骨格上にグラフトされて検査されるペプチドの連続アミノ酸の形をしており、ペプチド骨格のC"−α原子の座標を介して、MHCクラスII分子モデルライブラリーから得られるMHCクラスII分子の結合溝中に位置し、各側鎖に対して許容されるコンホメーションは許容されるコンホメーションデータベースから選択される。関連する原子同一性および原子間距離もこのデータベースから検索し、ペプチド結合スコアを計算するために使用する。MHCクラスII結合ポケットへの高い結合親和性を備えたリガンドには、部位指図突然変異生成に対する候補としてフラグが立てられる。フラグが立てられたリガンド(したがって対象タンパク質)でアミノ酸置換を行い、これはその後、結合親和性を予め定義した閾値以下に低減する変更を決定するためにスコアリング関数を使用して再試験する。次いで、これらの変更を対象タンパク質に組み入れ、T細胞エピトープを除去する。
MHCクラスII分子のペプチドリガンドと結合溝の間は、非共有結合性の相互作用(水素結合、静電気的相互作用、疎水性(親油性)相互作用およびファンデアワールス相互作用を含むが、これらに限定されない)を含む。これらは、以下に詳細に述べるペプチドスコアリング関数に含まれている。
水素結合は極性または帯電基間で形成され得るもので、2つの他の原子によって共有された水素原子からなる非共有結合であることが理解されるべきである。水素受容体が部分的に負帯電を有する一方で、水素供与体の水素は正電荷を有する。ペプチド/タンパク質相互作用のために、水素結合供与体は、水素と結合した窒素または酸素もしくは窒素に結合した水素のいずれでもよい。水素結合受容体原子は水素と結合していない酸素、水素が全く結合しておらず1個か2個の結合がある窒素、または1つの結合のみある硫黄でもよい。水素を結合した酸素またはイミン窒素(例えばC=NH−)などのある種の原子は、水素受容体とも供与体ともなり得る。水素結合エネルギーは3〜7kcal/molの範囲であり、ファンデアワールス結合よりはるかに強いが共有結合よりは弱い。水素結合はまた指向性が強く、供与体原子、水素原子および受容体原子が同一直線上にある場合に最も強い。
静電的結合は反対荷電のイオン対間で形成され、相互作用の強さはクーロンの法則による原子間の距離の二乗に反比例する。イオン対間の最適距離は約2.8Åである。タンパク質/ペプチド相互作用では、静電的結合がアルギニン、ヒスチジンまたはリジンとアスパラギン酸塩またはグルタミン酸塩との間で形成され得る。それらは水素結合と強さがほぼ似ているが、結合の強さはイオン化基のpKaおよび媒体の誘電率に依存するであろう。
親油性(脂肪親和性)相互作用は、タンパク質とペプチドリガンド間に生じる良好な疎水性−疎水性接触である。通常、これらは結合溝のポケット内に埋没したペプチドの疎水性アミノ酸側鎖間に、それらが溶媒に露出しないように生じる。疎水性残基の溶媒への露出は、周囲の溶分子が互いに水素結合を強いられ、かご状のクラスレート構造を形成するので非常に不利である。結果として生じるエントロピーの減少は非常に不利である。脂肪親和性の強い原子は、極性でもなく水素受容体でもない硫黄や非極性の炭素原子などである。
ファンデアワールス結合は3〜4Å離れた原子間で見られる非特異的な結合である。これは水素結合や静電的結合より弱く特異性も低い。原子のまわりの電荷分布は時間とともに変化し、どの瞬間でも、電荷分布は対称ではない。電荷分布におけるこの一時的な非対称性は、近隣の原子にも同様の非対称性を引き起こす。この結果生じる原子間引力は、ファンデアワールス接触距離で最大に達するが、約2Å〜約1Åに至ると非常に急速に低減する。逆に、原子間の隔たりが接触距離未満になるとともに、原子の外殻電子雲が重なるため、強い斥力が支配的になる。引力は静電的結合や水素結合に比べて比較的弱いが(約0.6Kcal/mol)、斥力は特に、ペプチドリガンドがタンパク質に成功裡に結合するかどうか決する上で非常に重要であろう。
1つの実施形態では、ベーム(Boehm)スコアリング関数(SCORE1手法)が結合定数を評価するために使用される(Boehm,H.J.、J.Comput Aided Mol.Des.、8(3):243-256(1994)、その内容は言及によってその全体が本願に組み入れられる)。別の実施形態では、スコアリング関数(SCORE2手法)が、T細胞エピトープを含むリガンドの指標として結合親和力を評価するために使用される(Boehm,H.J.、J.Comput Aided Mol.Des.、12(4):309-323(1998)、その内容は言及によってその全体が本願に組み入れられる)。しかし、上記の文献に記述されているベームスコアリング関数は、タンパク質へのリガンドの結合親和力を評価するために使用されるが、この場合、リガンドがタンパク質に成功裡に結合することが既に知られており、タンパク質/リガンド複合体はその構造が解明されタンパク質データバンク(「PDB」)の中に存在するものである。したがって、スコアリング関数は、陽性であることが知られた結合データを利用して開発されている。陽性および陰性バインダー間の区別を考慮に入れるために、方程式に反発項を加えなければならない。さらに、結合エネルギーのより満足な評価は、上記のベーム関数の領域ベースのエネルギー項を用いるのではなく対同士の方法で脂肪親和性の強い相互作用を計算することで達成される。
したがって、好ましい実施形態では、結合エネルギーは修正されたベームスコアリング関数を使用して評価される。修正されたベームスコアリング関数では、タンパク質とリガンド間の結合エネルギー(ΔGbind)は、以下のパラメーターを考慮して評価される:リガンド(ΔGo)の並進エントロピーと回転エントロピーの全面的な喪失による結合エネルギーの低減;少なくとも1個のパートナーが中性である、理想的な水素結合からの寄与(ΔGhb);摂動のないイオン間相互作用(ΔGionic)からの寄与;脂肪親和性リガンド原子と脂肪親和性受容体原子の間の脂肪親和性相互作用(ΔGlipo);リガンド中の内部自由度の凍結による結合エネルギーの喪失、つまり、各C−C結合の周りの回転自由度が低減する(ΔGrot);タンパク質とリガンド間の相互作用エネルギー(EvdW)。これらの項を考慮すると方程式1が与えられる:
(ΔGbind)=(ΔGo)+(ΔGhbxNhb)+(ΔGionicxNionic)+(ΔGlipoxNlipo)+(ΔGrot+Nrot)+(EvdW)
式中、Nは特定の項の相互作用を特徴付ける数であり、1つの実施形態では、ΔGo、ΔGhb、ΔGionic、ΔGlipoおよびΔGrotは、それぞれ5.4、−4.7、−4.7、−0.17および1.4の値を与えられる定数である。
hbは方程式2:
hb=Σh-bondsf(ΔR,Δα)×f(Nneighb)×fpcs
によって計算される。
f(ΔR,Δα)は、理想状態からの水素結合の大きな偏差を説明し、方程式3によって計算されるペナルティ関数である:
f(ΔR,Δ−α)=f1(ΔR)×f2(Δα)
ここで、f1(ΔR)=1(ΔR<=TOLの場合)、
または =1−(ΔR−TOL)/0.4(ΔR<=0.4+TOLの場合)、
または =0(ΔR>0.4+TOLの場合)。
さらに、f2(Δα)=1(Δα<30°の場合)
または =1−(Δα−30)/50(Δα<=80°の場合)
または =0(Δα>80°の場合)。
TOLは水素結合長さ(=0.25Å)で許容される偏差、
ΔRはH−O/N水素結合長さの理想的な値(=1.9Å)からの偏差、
Δαは水素結合角度∠N/O-H,O/Nの理想的な値(=180°)からの偏差、
f(Nneighb)は、タンパク質表面の凹面と凸面の部分を識別し、したがってタンパク質表面で見られるものではなくポケットで見られる極性相互作用に大きな重みを割り当てる。この関数は下記方程式4:
f(Nneighb)=(Nneighb/Nneighb,0)α(ここで、α=0.5)
によって計算される。
neighbは任意の所与のタンパク質原子に5Åより接近している非水素タンパク質原子の数であり、
neighb,0=定数25である。
pcsは1つの水素結合当たり極性接触表面積を考慮に入れた関数であり、したがって強い水素結合と弱い水素結合を区別し、その値は次の基準によって決定される:
pcs=β(Apolar/NHB<10Å2の場合)、
またはfpcs=1(Apolar/NHB>10Å2の場合)
polarはタンパク質リガンド接触表面の大きさであり、
HBは水素結合の数であり、
βは定数=1.2である。
修正されたベームスコアリング関数の実行のためには、イオン相互作用からの寄与、ΔGionicを上記水素結合からの寄与と同様の方法で計算する(同じ幾何学依存性が仮定されるため)。
lipo項は方程式5によって計算される:
lipo=ΣILf(rIL)
f(rIL)はすべての脂肪親和性リガンド原子について、1また、すべての脂肪親和性タンパク質原子についてLであり、以下の基準により計算される:
f(rIL)=1(rIL<=R1f(rIL)=(rIL−R1)/(R2−R1)でR2<rIL>R1の場合、
f(rIL)=0(rIL>=R2の場合)。
ここで、R1はr1vdw+rL vdw+0.5および
R2=R1+3.0であり、
r1vdwは、原子1のファンデアワールスの半径であり、
L vdwは、原子Lのファンデアワールスの半径である。
rotはアミノ酸側鎖の回転可能な結合の数であり、非環式のsp3−sp3結合およびsp3−sp2結合の数である。末端CH3またはNH3の回転は考慮に入れない。
最後の項Evdwは方程式6によって計算される:
vdw=ε1ε2((r1 vdw+r2 vdw12/r12−(r1 vdw+r2 vdw6/r6)。
ここでε1とε2は原子同一性に依存する定数であり、
1 vdw+r2 vdwはファンデアワールスの原子半径であり、
rは1対の原子間の距離である。
方程式6に関して、1つの実施形態では、定数ε1とε2はそれぞれ原子ごとに以下の値を与えられる:C:0.245、N:0.283、O:0.316、S:0.316(つまり、炭素、窒素、酸素および硫黄のそれぞれの原子について)。方程式5および6については、ファンデアワールスの半径はそれぞれ原子ごとに以下の値を与えられる:C:1.85、N:1.75、O:1.60、S:2.00Å。
タンパク質リガンド相互作用についての現時点での理解の制約内ではあるが、上記の方程式に現われるすべての所定の値および定数がすべて決定されることは理解されるべきである(特に本願で試みられている計算のタイプについて)。したがって、このスコアリング関数がさらに精緻化された場合には、これらの値および定数を変更することが可能で、したがって、リガンドへのタンパク質の結合エネルギーを評価する項において所望の結果を与える適当な数値を使用してもよく、ゆえに本発明の範囲内である。
上記のように、スコアリング関数は、側鎖コンホメーション、原子同一性および原子間の距離のデータベースから抽出されたデータに適用される。本発明を説明する目的のために言えば、このデータベースに含まれるMHCクラスII分子の数は42個のモデルと4つの解決された構造である。本発明の計算方法の構築はモジュール化された性質を有するため、新しいモデルを加えペプチド骨格ライブラリーと側鎖コンホメーション関数を用いて走査するだけで、上記のペプチドスコアリング関数によって処理できる追加のデータセットを作成できることは上記の説明から明らかである。これにより、走査されたMHCクラスII分子のレパートリーを容易に増加させることが可能になり、あるいは、データが入手できる場合には構造および関連データを置き換えて、既存の対立遺伝子のより正確なモデルを作成することができる。
本発明の予想方法は、様々なMHCクラスII分子に対する有する親和性が実験的に測定された多数のペプチドを含むデータセットにより較正できる。計算値を実験値と比較することによって、すべての実験的に測定したT細胞エピトープが正確に予想されることがわかれば有益性の一端を決定できる。
利用可能ないくつかの精巧な方法論と比較して、上記のスコアリング関数は比較的単純であるが、計算が非常に急速に実行される、ということが理解されるべきである。また、目的が、選択されたMHCクラスIIタンパク質の結合溝に収容される各ペプチドについて真の結合エネルギーそれ自身計算するものではないことも理解されるべきである。根本的な目的は、選択されたタンパク質の1次構造(すなわち、アミノ酸配列)に基づいてT細胞エピトープの位置を予想する助けとして相対的な結合エネルギーデータを得ることである。比較的高い結合エネルギー、すなわち選択された閾値以上の結合エネルギーは、リガンド中のT細胞エピトープの存在を示唆するだろう。次いで、リガンドに少なくとも1回のアミノ酸置換を施し、結合エネルギーを再計算すればよい。計算が迅速性を有するため、ペプチド配列のこれらの操作はコストに見合う利用可能なコンピューターハードウェアにおいてプログラムのユーザインターフェース内で対話形式に実行できる。したがって、コンピューターハードウェアへの大きな投資は要求されない。
同じ目的のために他の利用可能なソフトウェアを使用できるかもしれないことは当業者には明白であろう。特に、タンパク質結合サイト内にリガンドをドッキングさせ得るより精巧なソフトウェアを、エネルギー最小化と共に使用してもよい。ドッキングソフトウェアの例は次の通りである:DOCK(Kuntz et al.、J.Mol.Biol.、161:269-288(1982))、LUDI(Boehm,H.J.、J.Comput Aided Mol.Des.、8:623-632(1994))およびFLEXX(Rarey M.、et al.、ISMB、3:300-308(1995))。分子モデリングおよび操作ソフトウェアの例としては:AMBER(Tripos)およびCHARm(Molecular Simulations Inc.)。これらの計算方法の使用は、必要な計算を行うために要求される処理時間の長さにより本発明方法の処理能力を厳しく制限するだろう。しかし、本発明の方法によって「陽性なバインダー」であると判明したペプチドについて結合エネルギーのより正確な計算結果を得るために「第2のスクリーン」として、このような方法を使用するというのもあり得ることである。
洗練された分子の機械的または分子の動的な計算のための処理時間の制限は、これらの計算を行うソフトウェアの設計およびコンピューターハードウェアの現在の技術制限の両者によって決まる。将来的には、より効率的なコードが書かれ、さらにコンピュータープロセッサー速度の持続的な増加によって、より扱いやすい時間枠内でそのような計算を行うことが実現可能になるかもしれない。
巨大分子に適用されるエネルギー関数および折り畳まれたタンパク質構造内で起こる様々な相互作用についての考慮に関するさらに詳しい情報は以下に見られる:Brooks,B.R.,et al.、J.Comput.Chem.、4:187-217(1983)。一般的なタンパク質−リガンド相互作用に関するさらに詳細な情報は以下に見られる:Dauber-Osguthorpe et al.、proteins4(1):31-47(1988)。その内容の全体は言及によって本願に組み入れられる。有用な背景的事項は、例えば以下に見られる:Fasman,G.D.、ed.、Prediction of Protein Structure and the Principles of Protein Conformation、Plenum Press、New York、ISBN:0-306 4313-9。
実施例2
ナイーブヒトT細胞増殖アッセイを用いたbryodin 1のエピトープマッピングの方法
MHC、ペプチドおよびT細胞受容体(TCR)間の相互作用において、T細胞の認識のための抗体特異性の構造的な基礎を与える。T細胞増殖アッセイによりペプチドのMHCへの結合を試験し、TCRによりMHC/ペプチド複合体の認識を行う。本発明のインビトロT細胞増殖アッセイでは、末梢血単核細胞(PBMC)の刺激を含み、さらに抗原提示細胞(APC)およびT細胞も含まれる。インビトロでの刺激は合成ペプチド抗原を用いて行われ、さらにいくつかの実験では全タンパク質抗原も用いられる。刺激されたT細胞の増殖は3H−チミジン(3H−Thy)を用いて測定され、組み込まれた3H−Thyの存在は、洗浄した固定細胞をシンチレーション測定を用いて判断する。
保存時間が12時間未満であるヒト血液由来軟膜は、National Blood Service(Addenbrooks Hospital, Cambridge, UK)から得た。フィコール−パック(ficoll-paque)は、Amersham Pharmacia Biotech (Amersham, UK)から得た。一次ヒトリンパ球を培養するための無血清AIM V培地、およびL−グルタミン、50μg/mlのストレプトマイシン、10μg/mlのジェントマイシン(gentomycin)および0.1%のヒト血清アルブミンはGibco-BRL(Paisley, UK)から得た。合成ペプチドは、Eurosequence(Groningen, オランダ)およびBabraham Technix(ケンブリッジ、イギリス)から得た。
赤血球および白血球を軟膜の穏やかな遠心分離により血漿と血小板から分離した。血漿と血小板を含む最上層は取り除き、破棄した。赤血球と白血球はリン酸緩衝食塩水で1:1の比で希釈し、15mlのフィコール−パック(Amersham Pharmacia, Amersham UK)の上に層状にした。遠心分離は製造者の推奨する条件を用いて行われ、血清+PBS/フィコール−パック接触面から収穫した。PBMCはPBSと混合し(1:1)、遠心分離により収集した。上澄を取り除き、破棄し、沈殿物であるPBMCは50mlのPBSに再懸濁した。細胞は再び遠心分離により沈澱させ、PBS上澄は破棄した。細胞を50mlのAIM V培地で再懸濁し、その地点でカウントし、トリパンブルー色素排除を用いて生存の評価を行った。細胞を再び遠心分離により集め、上澄を破棄した。細胞を3×107/mlの密度で低温貯蔵のために再懸濁した。貯蔵培地は、90%(v/v)の熱不活性化ABヒト血清(Sigma, Poole, UK)と10%(v/v)DMSO(Sigma, Poole, UK)であった。細胞は調節された冷凍コンテナー(Sigma)に移され、−70℃で一晩そこに置かれた。使用する時には、細胞は37℃の水浴バスの中で急速に解凍され、10mlの予め温めておいたAIM V培地に移した。
PBMCは96穴平底プレートに2×105PBMC/穴の密度でタンパク質とペプチド抗原とを刺激した。PBMCは37℃で7日間インキュベートされ、3H−Thy(Amersham-Phamacia, Amersham, UK)パルスした。本研究では、12アミノ酸が重複している合成ペプチド(15mer)は、bryodin 1の全配列に渡って生成された。ペプチド同定ナンバー(ID#)と配列を図2に示す。各ペプチドは、21のナイーブなドナーから単離されたPBMCに対して個々にスクリーニングされた。以前に免疫原性が見られた2つのコントロールペプチドと強力な非回収抗原KLHをそれぞれのドナーアッセイに用いた。
本研究に用いられたコントロール抗原を以下に示す:
Figure 2005535304
ペプチドはDMSOに溶解し、最終濃度を10mMとし、それらの貯蔵溶液はそれからAIM V培地で1/500に希釈した(最終濃度は20μm)。ペプチドは平底96穴プレートに配置し、最終濃度は100μl中に2および20μMとした。解凍されたPBMCの生存はトリパンブルー色素排除により評価を行い、細胞はそれから2×106細胞/mlの密度で再懸濁を行った。100μl(2×105PBMC/穴)をペプチドを含む穴に移動した。三重の穴での培養は各ペプチド濃度でアッセイされた。プレートは7日間、5%CO2、37℃の湿潤な雰囲気の中でインキュベートされた。細胞は18〜21時間、1μCiの3H−Thy/穴でパルス処理を行い、それからフィルターマット上に蒔いた。CPM値をWallac microplate beta top plate counter(Perkin Elmer)を用いて決定した。結果は刺激指数として示された。それはテストペプチドに対して測定された増殖スコアをテストペプチドと接触しない細胞において測定された増殖スコアで除することにより求められる(1分あたりの放射活性の数値)。
本研究では少なくとも1のドナー由来のT細胞において、目立った増殖応答(すなわちSI>2.0)をもたらすことができる32のペプチド配列はカバーしていない。このペプチドセットの中で、さらなるペプチドのセブセットを同定し、二以上の個体のドナーにおいて目立った増殖応答がもたらされていると同定された。そしてそれらの応答のうちのいくつかは応答の強度がSI=2.0を大きく上回るものであった。bryodin 1配列におけるT細胞増殖アッセイを用いたT細胞エピトープマッピングにより、5つの主要な免疫原性の領域が同定された。それらはペプチドID# 16−18、30、38−41、46−50および60−64を網羅する。それらのペプチドの各々において、2またはそれ以上のドナーから供給されたPBMCは、2.0より大きい刺激指数を示した。図5のパネルA−Eは選択されたPBMCドナーサンプルの個々のペプチドに応答するSIの代表的なヒストグラムを示している。合わせて、パネルはエピトープ領域R1−R5由来のペプチドにおける陽性応答の例として明らかにされている。すべてのPBMCサンプルの組織の型は、市販されている試薬システム(Dynal, Wirral, UK)を用いてアッセイされた。アッセイは、供給者が推奨するプロトコル、標準付属試薬、アガロース電気泳動システムに従って行われた。DRB1アレルのためのアロタイプ対象は、試験を行った20のドナーのうちの70%であった。21の異なるPBMCドナー調製物のうち、エピトープ領域R1−R5のなかに包含されるペプチドに対して反応性があった。それぞれの応答のあるドナーサンプルのそれぞれのアロタイプ特異性を表1に示す。
Figure 2005535304
実施例3
免疫原性プロフィールが改良された修飾配列の設計
実施例1の方法を用いてエピトープ領域R1、R2、R3、R4およびR5の分析を行った。このシステムは、生物学的に検知されるエピトープ領域内の特定のMHCリガンドを予想することができ、特定のMHCアロタイプと相互作用を及ぼすMHCクラスIIリガンドを与える能力に関して「スコア」を与える。MHCリガンドのためのアロタイプ制限パターンは図6−10に付随するエピトープ領域R1−R5のそれぞれに供給されているようなアロタイプ制限チャート表示を用いて示す。
分析はそれぞれのエピトープR1−R5内で配列の修飾形を考慮に入れて広められる。配列変異体をMHCクラスII結合の継続能力およびそれらが保持する結合スコアについて試験する。多重のアミノ酸置換は、多くのテストされたMHCアロタイプと結合するMHCクラスIIの除去を成し遂げることにより定義される。特定の定義された置換体はさらにbryodin分子の構造モデルに伴う能力をさらに試験する。野生型配列の選択された残基上での設計された突然変異は、立体衝突、水素結合の形成、疎水性相互作用およびその構造的な一般適応力が確認された。立体衝突をもたらす置換は除かれる。側鎖が、本来の残基に対して似たような配置(回転異性体)を採用する時に伴う置換は受け入れられると解釈される。二以上の置換がこれらの基準を見たす場合、隣接側鎖またはバックボーン原子を水素結合を形成する可能性のある残基、および/または好ましい疎水性接触またはその他の結合を形成する残基が好ましい。上記手順はSwiss Prot Deep View v3.7[Guex, N. およびPeitsch, M.C. (1997) electrophoresis 18:2714-2723]を用いて相互作用的に行われる。この手順により、それぞれのエピトープ領域R1−R5において好ましい置換のセットがもたらされる。この置換の組み合わせは、式1に示す構造をもたらすために編集される。すべての置換はそれぞれのエピトープ領域R1−R5においてMHCクラスIIリガンドの除去をもたらすことは確認された。最も好ましい置換に加え、代替アミノ酸残基をもたらす置換は式1に示す。
エピトープ領域R3において、代替置換セットは、野生型配置におけるロイシン115を除く選択肢が可能なように設計される。構造上重要と思われる残基にはbryodin 1酵素における裂け目を結合する基質の一部として形成する。L115を含む好ましい置換のセットはL115A、I122A,I126A,L130A,L133FおよびI137Aの変化を含有する。L115を保持する代替置換セットはA118T、G120H,K121SおよびR123Tを含む。これらの変化は二重の変化L115AおよびI122Aをもたらすであろう。
潜在的なヒトMHCクラスII結合活性を有するbryodin 1でのペプチド配列のリストを供給する。 実施例2のナイーブなヒト・インビトロT細胞アッセイを用いて分析されたbryodin 1の15merペプチド配列の表を示す。 実施例2のナイーブなヒト・インビトロT細胞アッセイを用いた二以上のドナーのPBMCから調製されたPBMC調製物のうち、2.0以上の刺激指数を有するbryodin 1(1BRY)配列からの、配列要素R1、R2、R3、R4、およびR5を示す。 個々のbryodin 1ペプチドに対してドナーが応答する割合(パーセント)を示す。 ナイーブなヒトT細胞増殖アッセイから得られた刺激指数(SI)プロットを示す。1μMおよび5μMの濃度のペプチドにおける応答を示す。Aはエピトープ領域R1内に含まれるbryodin 1ペプチドへの3つのドナーサンプルから得られたPBMC応答を示す。 ナイーブなヒトT細胞増殖アッセイから得られた刺激指数(SI)プロットを示す。1μMおよび5μMの濃度のペプチドにおける応答を示す。Bはエピトープ領域R2内に含まれるbryodin 1ペプチドへの3つのドナーサンプルから得られたPBMC応答を示す。 ナイーブなヒトT細胞増殖アッセイから得られた刺激指数(SI)プロットを示す。1μMおよび5μMの濃度のペプチドにおける応答を示す。Cはエピトープ領域R3内に含まれるbryodin 1ペプチドへの3つのドナーサンプルから得られたPBMC応答を示す。 ナイーブなヒトT細胞増殖アッセイから得られた刺激指数(SI)プロットを示す。1μMおよび5μMの濃度のペプチドにおける応答を示す。Dはエピトープ領域R5内に含まれるbryodin 1ペプチドへの3つのドナーサンプルから得られたPBMC応答を示す。 エピトープ領域R1で同定されたMHCクラスIIリガンドの描写である。 エピトープ領域R2で同定されたMHCクラスIIリガンドの描写である。 エピトープ領域R3で同定されたMHCクラスIIリガンドの描写である。 エピトープ領域R4で同定されたMHCクラスIIリガンドの描写である。 エピトープ領域R5で同定されたMHCクラスIIリガンドの描写である。

Claims (16)

  1. bryodin 1の生物活性を有し、インビボで使用した時に同じ生物活性を有する非修飾分子と比較して免疫原性の小さいまたは実質的に免疫原性でない修飾された分子であって、
    該免疫原性の喪失が本来の非修飾分子に由来する1個または複数のT細胞エピトープの除去により達成されており、さらに該T細胞エピトープが、MHCクラスII上での提示を介してT細胞を刺激または結合する能力を示す前記クラスIIのリガンドまたはペプチド配列である、修飾された分子。
  2. 前記T細胞エピトープの除去が、1〜9個のアミノ酸残基の置換によって行われる請求項1に記載のbryodin 1分子。
  3. 前記T細胞エピトープが図1に記載のグループから選択されるペプチド配列である、請求項1または2に記載のbryodin 1分子。
  4. 前記T細胞エピトープは、野生型bryodin 1配列のR1−R5で示される46−66;88−102;112−135;136−162および178−204の残基にとどまる連続アミノ酸残基の列の中に位置している、請求項1または2に記載のbryodin 1分子。
  5. 前記列が以下の配列を有する、請求項4に記載のbryodin 1分子:
    Figure 2005535304
  6. アミノ酸残基の置換が列R1−R5のいずれかより少なくとも9の連続した残基のサブ配列の中で行われる、請求項5に記載のbryodin 1分子。
  7. ペプチド配列R1−R5のいずれかと80%より大きい同一性を有する、請求項4から6のいずれかに記載のbryodin 1分子。
  8. ペプチド配列R1−R5のいずれかと90%より大きい同一性を有する、請求項7に記載のbryodin 1分子。
  9. 以下の配列を含む、請求項1から8のいずれかに記載のbryodin 1分子:
    Figure 2005535304
    ここで、
    1はA、GまたはP;X2はM、A、G、PまたはI;X3はA、GまたはP;X4はPまたはY;X5はTまたはS;X6はP;X7はA、PまたはG;X8はA、PまたはG;X9はA、P、G、H、D、E、N、Q、K、R、SまたはT;X10はA、PまたはG;X11はA、PまたはG;X12はA、P、S、T、HまたはK;X13はT;X14はH;X15はS;X16はA、S、T、P、N、D、E、G、H、KまたはQ;X17はT;X18はAまたはP;X19はA、I、F、G、M、P、V、WまたはY;X20はF、PまたはW;X21はA、PまたはG;X22はG、AまたはP;X23はG、AまたはP;X24はA、PまたはG;X25はA、P、G、SまたはT;X26はA、I、M、S、T、PまたはG;X27はA、GまたはP;X28はS、A、G、P、T、H、D、N、Q、KまたはR;X29はT、A、G、S、P、H、K、R、D、E、NまたはQ;X30はA、G、S、T、P、K、R、H、D、E、NまたはQ;X31はQ;X32はH、D、E、F、L、N、P、S、WまたはY;X33はT、A、G、P、D、E、H、K、R、N、Q、SまたはT;X34はD、
    であり、さらに同時に以下の条件を満たすものは除かれる:
    Figure 2005535304
  10. 1はA、X2はM、X3はA、X4はP、X5はT、X6はP、X7はA、X8はA、X9はA、X10はA、X11はA、X12はA、X13はT、X14はH、X15はS、X16はA、X17はT、X18はA、X19はA、X20はF、X21はA、X22はG、X23はG、X24はA、X25はA、X26はA、X27はA、X28はS、X29はT、X30はA、X31はQ、X32はH、X33はT、X34はD、
    である請求項9に記載のbryodin 1分子。
  11. 該分子は、ヒトT細胞の誘発された細胞増殖の生物学的なアッセイにおいて全タンパク質をテストするときに、親の非修飾分子と比べて小さい値の刺激指数(SI)を示し、さらに、該刺激指数がタンパク質刺激に続く細胞増殖スコアの値として定義されており、タンパク質を享受していないコントロール細胞の細胞増殖スコアの値で割ることにより求められる、同じドナーからの細胞を用いて平行に試験されたときに2より小さい刺激指数を示し、該細胞増殖はいかなる手段によっても測定される、請求項1から10のいずれかに記載の修飾されたbryodin 1分子。
  12. 請求項1から11に記載の修飾されたbryodin 1分子を含む医薬組成物であって、任意に、薬剤的に許容される担体、希釈剤または賦形剤を含む、医薬組成物。
  13. 請求項1から12のいずれかにおいて特定される修飾されたbryodin 1分子のいずれかをコードするDNA分子。
  14. 野生型bryodin 1の一部であり、さらにクラスII上での提示を介してT細胞を刺激しまたは結合する能力を示すMHCクラスIIリガンドまたはペプチド配列である1以上のT細胞エピトープを含むペプチドであって、該ペプチドは以下の群より選択される:
    Figure 2005535304
  15. ヒトT細胞の細胞増殖の生物学的なアッセイにおいて1.8より大きい刺激指数(SI)を有し、該刺激指数がタンパク質刺激に続く細胞増殖スコアの値として定義されており、タンパク質を享受していないコントロール細胞の細胞増殖スコアの値で割ることにより求められ、該細胞増殖はいかなる手段によっても測定される、請求項14に記載のペプチド。
  16. インビボで使用した時に同じ生物活性を有する非修飾分子と比較して免疫原性の小さいまたは実質的に免疫原性でないbryodin 1分子またはその変異体の製造のための、図1のペプチド配列、または請求項14または15の少なくとも9の連続アミノ酸残基であるペプチド配列の何れかの使用。





JP2004510834A 2002-06-11 2003-06-10 低減された免疫原性を有する修飾されたbryodin1 Pending JP2005535304A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
EP02012911 2002-06-11
PCT/EP2003/006055 WO2003103715A1 (en) 2002-06-11 2003-06-10 Modified byrodin 1 with reduced immunogenicity

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005535304A true JP2005535304A (ja) 2005-11-24

Family

ID=29724385

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004510834A Pending JP2005535304A (ja) 2002-06-11 2003-06-10 低減された免疫原性を有する修飾されたbryodin1

Country Status (13)

Country Link
US (1) US20060019885A1 (ja)
EP (1) EP1511519A1 (ja)
JP (1) JP2005535304A (ja)
KR (1) KR20050010898A (ja)
CN (1) CN1658905A (ja)
AU (1) AU2003274705A1 (ja)
BR (1) BR0311308A (ja)
CA (1) CA2489153A1 (ja)
MX (1) MXPA04012210A (ja)
PL (1) PL372202A1 (ja)
RU (1) RU2004139047A (ja)
WO (1) WO2003103715A1 (ja)
ZA (1) ZA200500219B (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
NZ550339A (en) * 2004-03-19 2009-11-27 Merck Patent Gmbh Modified bouganin proteins, cytotoxins and methods and uses thereof
US11258531B2 (en) 2005-04-07 2022-02-22 Opanga Networks, Inc. System and method for peak flow detection in a communication network
US9065595B2 (en) 2005-04-07 2015-06-23 Opanga Networks, Inc. System and method for peak flow detection in a communication network
CA2618468A1 (en) * 2005-08-12 2007-02-22 Astrazeneca Ab Process for the preparation of a stable dispersion of sub-micron particles in an aqueous medium
TW200848039A (en) * 2007-02-09 2008-12-16 Astrazeneca Ab Pharmaceutical compositions
US9388397B2 (en) 2013-02-15 2016-07-12 Research Development Foundation Deimmunized gelonin molecules and therapies

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5541110A (en) * 1994-05-17 1996-07-30 Bristol-Myers Squibb Cloning and expression of a gene encoding bryodin 1 from Bryonia dioica
ES2258817T3 (es) * 1997-05-21 2006-09-01 Biovation Limited Metodo para la produccion de proteinas no inmunogenas.
EP1051432B1 (en) * 1998-12-08 2007-01-24 Biovation Limited Method for reducing immunogenicity of proteins
HUP0303199A2 (hu) * 2001-02-19 2003-12-29 Merck Patent Gmbh Eljárás T-sejt-epitópok azonosítására és csökkentett immunogenitású molekulák előállítására

Also Published As

Publication number Publication date
PL372202A1 (en) 2005-07-11
AU2003274705A1 (en) 2003-12-22
RU2004139047A (ru) 2006-01-20
WO2003103715A1 (en) 2003-12-18
MXPA04012210A (es) 2005-02-25
BR0311308A (pt) 2005-02-15
ZA200500219B (en) 2005-10-27
US20060019885A1 (en) 2006-01-26
KR20050010898A (ko) 2005-01-28
CA2489153A1 (en) 2003-12-18
EP1511519A1 (en) 2005-03-09
CN1658905A (zh) 2005-08-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2005501547A (ja) 修飾された第ix因子
JP2004532617A (ja) 低減された免疫原性を有する修飾されたヒト脳由来の好中性因子(bdnf)
JP2004529633A (ja) 低減された免疫原性を有する修飾されたヒトインターフェロンベータ
US20040072219A1 (en) Modified leptin with reduced immunogenicity
JP2004522445A (ja) 低減された免疫原性を有する修飾されたエリスロポエチン(epo)
US20040076991A1 (en) Modified interleukin-1 receptor antagonist(il-1ra) with reduced immunogenicity
US7208147B2 (en) Modified granulocyte macrophage colony stimulating factor (GM-CSF) with reduced immunogenicity
JP2004535173A (ja) 低減された免疫原性を有する修飾されたインターフェロンアルファ
US20040087503A1 (en) Modified ciliary neurotrophic factor (cntf ) with reduced immunogenicity
US20040121443A1 (en) Modified protamine with reduced immunogenicity
JP2005501546A (ja) 修飾されたヒト成長ホルモン
JP2005535304A (ja) 低減された免疫原性を有する修飾されたbryodin1
US20040063634A1 (en) Modified kertinocyte growth factor (kgf) with reduced immunogenicity
JP2004533812A (ja) 低減された免疫原性を有する修飾されたトロンボポエチン
JP2004527243A (ja) 低減された免疫原性を有する修飾された顆粒球コロニー刺激因子(g−csf)
JP2004533817A (ja) 低減された免疫原性を有する修飾されたインスリン
AU2002238530A1 (en) Modified human brain-derived neutrophic factor (BDNF) with reduced immunogenicity
AU2002242715A1 (en) Modified protamine with reduced immunogenicity
AU2002257579A1 (en) Modified granulocyte colony stimulating factor (G-CSF) with reduced immunogenicity
AU2002249180A1 (en) Modified keratinocyte growth factor (KGF) with reduced immunogenicity